説明

複動式流体圧シリンダ

【課題】用途に応じて部品選択を可能にすることでコストの低減を図れ、また分解・組付けや洗浄の容易化を図り得る複動式流体圧シリンダを提供する。
【解決手段】シリンダチューブ1と、該シリンダチューブ1内を摺動可能であり、該シリンダチューブ1内部を第1室2と第2室3とに区画するピストン4とを備えた複動式流体圧シリンダにおいて、第1および第2室2,3にそれぞれ流体を給排する出入口5及びピストン位置を検出するセンサ6を有する第1および第2ソケット7,8がシリンダチューブ1の両端に着脱可能に取付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、水熱合成反応させる流体原料を反応器に供給するのに使用される供給シリンダや、反応器から反応生成物を回収するのに使用される回収シリンダ等に好適に使用される複動式流体圧シリンダに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の複動式流体圧シリンダには、そのピストンの位置を検出するためのセンサが取付けられる。
従来、ピストンの位置を検出するセンサは磁気近接スイッチ等からなってシリンダチューブの外面に一体的に取付けられている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−150517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複動式流体圧シリンダにおいては、用途に応じてピストンの位置を検出するセンサが必要である場合や不必要である場合がある。また、シリンダの長さ(容量)も用途に応じて各種のものを製造する必要がある。したがって、このように多種類の複動式流体圧シリンダを用意するとなると個々の複動式流体圧シリンダのコストアップにつながり、また在庫管理面においても厄介であるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、用途に応じて部品選択を可能にすることでコストの低減を図れ、また分解・組立てや洗浄の容易化を図り得る複動式流体圧シリンダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の複動式流体圧シリンダは、請求項1に記載のように、シリンダチューブと、該シリンダチューブ内を摺動可能であり、該シリンダチューブ内部を第1室と第2室とに区画するピストンとを備えた複動式流体圧シリンダにおいて、前記第1または第2室に流体を給排する出入口及び前記ピストン位置を検出するセンサを有するソケットが前記シリンダチューブの少なくとも一端に着脱可能に取付けられていることに特徴を有するものである。
【0007】
これによると、シリンダチューブを共用し、ソケットを取り替えるだけで、センサと出入口を有する複動式流体圧シリンダを容易に低コストで得ることができる。また、ソケットを取り外して長さ(容量)の異なる各種シリンダチューブと取り替えることで各種容量の複動式流体圧シリンダを容易にかつ低コストで得ることができる。また、シリンダチューブに対しソケットを着脱するだけの簡単な操作で、複動式流体圧シリンダを容易に分解、組立てを行うことができる。またソケットを取り外すことにより、シリンダチューブ、ソケットを容易に洗浄することができる。
【0008】
請求項1に記載の複動式流体圧シリンダは、請求項2に記載のように、前記ソケットのシリンダチューブとは反対側の端部に軸支持部材を挿通固定し、該軸支持部材の中心に回転軸を貫通し、該回転軸のシリンダチューブ内に臨む側の内端部に撹拌羽根を取付けることができる。これによると、撹拌羽根の回転によりシリンダチューブ内の流体、例えば水熱合成の流体原料(スラリー)中の微粒子を均一に分散させることができる。
【0009】
請求項1又は請求項2に記載の複動式流体圧シリンダは、請求項3に記載のように、前記軸支持部材の内周と前記回転軸との間に軸封部材を介入することができる。これによると、軸支持部材の内周と前記回転軸との間からシリンダチューブ内の流体が外部へ漏れ出たり、あるいは大気からシリンダチューブ内へ吸気したりするのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、用途に応じてソケットあるいはシリンダチューブを交換することでコストの低減を図れ、また分解・組付けや洗浄の容易化を図り得るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例を示す複動式流体圧シリンダの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0013】
図1に示すように、この複動式流体圧シリンダは、円筒状のシリンダチューブ1と、該シリンダチューブ1内を摺動可能であり、該シリンダチューブ1内部を第1室2と第2室3とに区画するピストン4とを備える。そして、シリンダチューブ1の両端には、第1および第2室2,3にそれぞれ流体を給排する出入口5及びピストン位置を検出する磁気近接スイッチ等からなるセンサ6を有する第1および第2ソケット7,8が着脱可能に取付けられている。その着脱可能な具体的手段としては、第1および第2ソケット7,8はそれぞれの一端に雌ねじ9を、他端に雄ねじ10を設けて、第1および第2ソケット7,8の各雌ねじ9をシリンダチューブ1の両端に設けた雄ねじ11にそれぞれねじ込むことで着脱可能に取付けられる。
【0014】
シリンダチューブ1内の流体、例えば水熱合成の流体原料(スラリー)中の微粒子を均一に分散させることができるように、第1および第2ソケット7,8の双方又は片方のシリンダチューブ1とは反対側の端部に軸支持部材12を挿通し、ノック13およびナット18によって固定してある。軸支持部材12の中心には回転軸14を貫通し、該回転軸14のシリンダチューブ1内に臨む側の内端部に撹拌羽根15を取付けている。回転軸14の外端側にはモータ16が取付けられる。
【0015】
軸支持部材12の内周と回転軸14との間からシリンダチューブ1内の流体が外部へ漏れ出たり、あるいは大気からシリンダチューブ内へ吸気したりするのを防ぐことができるように、軸支持部材12の内周と回転軸14との間にシール等軸封部材17を介入してある。
【0016】
上記のように構成された複動式流体圧シリンダは水熱合成反応させる流体原料を反応器に供給するのに使用される供給シリンダや、反応器から反応生成物を回収するのに使用される回収シリンダ等に好適に使用することができる。
【0017】
なお、図示例では、上記回転軸14には通水路19を有するように中空軸を使用しているが、撹拌羽根15の回転軸として使用する場合はその通水路19の外端部を栓20等で塞ぐことになる。また、第1および第2ソケット7,8のうち一方は、公知のソケットであってもよい。
【符号の説明】
【0018】
1 シリンダチューブ
2 第1室
3 第2室
4 ピストン
5 出入口
6 センサ
7 第1ソケット
8 第2ソケット
12 軸支持部材
14 回転軸
15 撹拌羽根
17 軸封部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダチューブと、該シリンダチューブ内を摺動可能であり、該シリンダチューブ内部を第1室と第2室とに区画するピストンとを備えた複動式流体圧シリンダにおいて、前記第1または第2室に流体を給排する出入口及び前記ピストン位置を検出するセンサを有するソケットが前記シリンダチューブの少なくとも一端に着脱可能に取付けられていることを特徴とする、複動式流体圧シリンダ。
【請求項2】
前記ソケットのシリンダチューブとは反対側の端部に軸支持部材を挿通固定し、該軸支持部材の中心に回転軸を貫通し、該回転軸のシリンダチューブ内に臨む側の内端部に撹拌羽根を取付けている、請求項1に記載の複動式流体圧シリンダ。
【請求項3】
前記軸支持部材の内周と前記回転軸との間に軸封部材を介入している、請求項1又は請求項2に記載の複動式流体圧シリンダ。

【図1】
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【公開番号】特開2010−190303(P2010−190303A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−34484(P2009−34484)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成20年度 独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構「超ハイブリッド材料技術開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(598084895)株式会社アイテック (24)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】