説明

複合コイルおよびノイズフィルタ

【課題】コモンモード信号とノーマルモード信号との双方に対して必要なインダクタンス値を得ることができる複合コイルおよびノイズフィルタを提供する。
【解決手段】コア10と、このコア10に巻かれる第1ないし第4の巻線11〜14とを備える。コア10は、全体として日の字形状で、中脚部20と中脚部20に略直交する第1ないし第4の辺21〜24とを有する。コア10に対する第1ないし第4の巻線11〜14の巻き位置の最適化を図ることで、コモンモード信号とノーマルモード信号との双方に対して必要なインダクタンス値を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のコイルを一体化した複合コイル、およびその複合コイルのチョークコイルとしての機能を利用してノイズを抑制するノイズフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、AC電源ラインや信号ラインを伝搬するノイズを抑制するためにノイズフィルタ(ラインフィルタ)が用いられている。AC電源ラインや信号ラインなどの2本の導電線を伝搬するノイズには、2本の導電線の間で電位差を生じさせるノーマルモード(ディファレンシャルモード)ノイズと、2本の導電線を同じ位相で伝搬するコモンモードノイズとがある。
【0003】
図22は、従来のノイズフィルタの回路構成の一例を示している。このノイズフィルタは、2つのコモンモードチョークコイル110,120と、2つのYコンデンサCy1,Cy2と、XコンデンサCx1とを備えている。第1のコモンモードチョークコイル110は、第1のコア110Aとこの第1のコア110Aに共通に巻かれる第1の巻線111および第2の巻線112とを有している。第1のコア110Aに第1の巻線111が巻かれることで第1の導電線101上に第1のインダクタL1が形成され、第1のコア110Aに第2の巻線112が巻かれることで第2の導電線102上に第2のインダクタL2が形成されている。第2のコモンモードチョークコイル120は、第2のコア120Aとこの第2のコア120Aに共通に巻かれる第3の巻線113および第4の巻線114とを有している。第2のコア120Aに第3の巻線113が巻かれることで第1の導電線101上に第3のインダクタL3が形成され、第2のコア120Aに第4の巻線114が巻かれることで第2の導電線102上に第4のインダクタL4が形成されている。第1のYコンデンサCy1は、一端が第1の巻線111と第3の巻線113との間に接続され、他端が接地されている。第2のYコンデンサCy2は、一端が第2の巻線112と第4の巻線114との間に接続され、他端が接地されている。XコンデンサCx1は、一端が第1の導電線101に接続され、他端が第2の導電線102に接続されている。Lx1,Lx2は、コモンモードチョークコイル110,120の漏れ磁束によって生ずるリーケージインダクタンス成分を表している。ちなみに、第1のコモンモードチョークコイル110の漏れ磁束によって第1および第2の導電線上にそれぞれリーケージインダクタンス成分が形成されると共に、第2のコモンモードチョークコイル120の漏れ磁束によって第1および第2の導電線上にそれぞれリーケージインダクタンス成分が形成されるが、ここでは、第1の導電線上に形成されるリーケージインダクタンス成分を1つにまとめてLx1として表し、第2の導電線上に形成されるリーケージインダクタンス成分を1つにまとめてLx2として表している。
【0004】
このノイズフィルタでは、2つのコモンモードチョークコイル110,120とYコンデンサCy1,Cy2とにより、コモンモードノイズを減衰させている。具体的には、第1の導電線101を流れるコモンモードノイズは、第1のインダクタL1または第3のインダクタL3とYコンデンサCy1とにより減衰される。また第2の導電線102を流れるコモンモードノイズは、第2のインダクタL2または第4のインダクタL4とYコンデンサCy2とにより減衰される。一方、コモンモードチョークコイル110,120自体による、ノーマルモード信号に対するインダクタとしての作用は小さい。ノーマルモードノイズの減衰効果は、リーケージインダクタンス成分Lx1,Lx2とXコンデンサCx1と、直列接続されたYコンデンサCy1,Cy2とにより得ている。具体的には、コモンモードチョークコイル110によるリーケージインダクタンス成分と直列接続されたYコンデンサCy1,Cy2によって形成されるフィルタと、コモンモードチョークコイル120によるリーケージインダクタンス成分とXコンデンサCx1によって形成されるフィルタとによって2段のフィルタが形成され、これによってノーマルモードノイズが減衰される。
【0005】
一般的なコモンモードチョークコイルは、ノーマルモード信号に対するインダクタとしての作用は小さいが、特許文献1には、コモンモード信号に対するインダクタンス成分とノーマルモード信号に対するインダクタンス成分とを発生させることが可能な複合コイルが開示されている。特許文献1に記載の複合コイルは、形状の異なる2つのコアを上下方向に積層配置し、それら積層された2つのコアを跨るように2つの巻線を巻くことで、コモンモード信号に対するインダクタンス成分とノーマルモード信号に対するインダクタンス成分とを発生させている。
【特許文献1】特許第2729937号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図22に示したノイズフィルタの構成では、2つのコモンモードチョークコイル110,120が必要になるため小型化が困難である。そこで、図23の等価回路に示したように、各巻線を1つのコア130Aに巻いて2つのコモンモードチョークコイル110,120を一体化したチョークコイル130を形成することが考えられる。この場合、具体的には図24に示したように、コア130Aとして、EEコアやEIコアなどにより、中脚部131と2つの外脚部132,133とを有する日の字形状のコアを形成し、2つの外脚部132,133に各巻線を巻くことが考えられる。例えば図示したように、一方の外脚部132には第1の巻線111と第2の巻線112とを併設するように巻き、他方の外脚部133には第3の巻線113と第4の巻線114とを併設するように巻く構成が考えられる。
【0007】
図24において各巻線部分に図示した実線の矢印はコモンモードでの磁束の向きを示し、破線の矢印はノーマルモードでの磁束の向きを示す。図示したようにコモンモード信号141Cに対しては、中脚部131において第1の巻線111および第2の巻線112による磁束Φ1の向きと第3の巻線113および第4の巻線114による磁束Φ2の向きとが同じとなり、磁束Φ1、Φ2が打ち消し合うこともなく、各巻線111〜114によるインダクタL1〜L4がそれぞれ単独でチョークコイルとして機能する。一方、ノーマルモード信号141Nに対しては、第1の巻線111による磁束Φ11の向きと第2の巻線112による磁束Φ12の向きとが互いに逆方向となり互いに打ち消し合う。同様に、第3の巻線113による磁束Φ13の向きと第4の巻線114による磁束Φ14の向きとが互いに逆方向となり互いに打ち消し合う。これにより、ノーマルモード信号141Nに対するインダクタンス値は小さくなる。また、この構成の場合、ノーマルモード信号141Nに対する漏れ磁束も打ち消し合う方向に作用する。すなわち、一方の外脚部132において第1の巻線111と第2の巻線112とが併設して配置されているので、第1の巻線111による漏れ磁束の向きと第2の巻線112による漏れ磁束の向きとが互いに逆方向となり互いに打ち消し合う。同様に、第3の巻線113による漏れ磁束の向きと第4の巻線114による漏れ磁束の向きとが互いに逆方向となり互いに打ち消し合う。これにより、ノーマルモード信号141Nに対するリーケージインダクタンス値も小さくなってしまう。このため、XコンデンサCx1と組み合わせたときのノーマルモードノイズに対する減衰作用も小さくなってしまうという問題がある。
【0008】
なお、小型化に際して、ロの字形状のような1つの環状コアに対して2つのコモンモードチョークコイル110,120の各巻線を巻く手法が考えられるが、その場合には、第1および第3の巻線111,113の結合、ならびに第2および第4の巻線112,114の結合が強くなり、相互インダクタンスがYコンデンサCy1,Cy2に直列に形成され、その結果、カットオフ周波数が低域側に移動してしまって所望の特性が得られないという問題がある。
【0009】
また、特許文献1に記載の複合コイルでは、コモンモード信号に対するインダクタンス成分とノーマルモード信号に対するインダクタンス成分とを発生させることが可能であるものの、AC電源ラインや信号ラインに流れるAC電源成分やデータ信号成分のノーマルモード信号でコアが飽和してしまい、ノーマルモードノイズに対する十分なインダクタンス値が得られないという問題がある。
【0010】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、コモンモード信号とノーマルモード信号との双方に対して必要なインダクタンス値を得ることができる複合コイルおよびノイズフィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による複合コイルは、中脚部と中脚部に略直交する第1ないし第4の辺とを有するコアと、コアの第1の辺に巻かれた第1の巻線と、コアの第2の辺に巻かれた第2の巻線と、コアの第3の辺に巻かれた第3の巻線と、コアの第4の辺に巻かれた第4の巻線とを備えている。そして、第1の辺と第2の辺とがそれぞれ中脚部の両端部に接続されて互いに対向するように設けられると共に、第3の辺と第4の辺とがそれぞれ中脚部の両端部に接続されて互いに対向するように設けられ、中脚部と第1および第2の辺とによって第1および第2の巻線に対する第1の磁路が形成されると共に、中脚部と第3および第4の辺とによって第3および第4の巻線に対する第2の磁路が形成され、中脚部においてコモンモード信号に対する磁束の向きが同方向となるように、第1ないし第4の巻線がコアの第1ないし第4の辺に巻かれているものである。
【0012】
本発明による複合コイルでは、各巻線が同一のコアの巻かれ、また、中脚部と第1および第2の辺とによって第1および第2の巻線に対する第1の磁路が形成されると共に、中脚部と第3および第4の辺とによって第3および第4の巻線に対する第2の磁路が形成されていることで、2つのコモンモードチョークコイルを一体化した構成のチョークコイルが形成される。この場合において、第1の磁路と第2の磁路とが中脚部を共有するように形成されていると共に、中脚部においてコモンモード信号に対する磁束の向きが同方向となるように各巻線が巻かれていることで、第1の磁路での磁束と第2の磁路での磁束とが打ち消し合うこともなく、各巻線による各インダクタがそれぞれ単独でチョークコイルとして機能する。また、互いに対向する第1の辺と第2の辺とに、第1の巻線と第2の巻線とが巻かれているので、1つの辺に第1の巻線と第2の巻線とを併設して巻いた場合に比べて、ノーマルモード信号に対する第1および第2の巻線による漏れ磁束が打ち消し合う作用が小さくなる。同様に、互いに対向する第3の辺と第4の辺とに、第3の巻線と第4の巻線とが巻かれているので、1つの辺に第3の巻線と第4の巻線とを併設して巻いた場合に比べて、ノーマルモード信号に対する第3および第4の巻線による漏れ磁束が打ち消し合う作用が小さくなる。これにより、ノーマルモード信号に対するリーケージインダクタンス値が大きくなる。このように、コモンモード信号とノーマルモード信号との双方に対して必要なインダクタンス値が得られる。
【0013】
本発明による複合コイルにおいて、コアは例えば、中央部に中脚部となる部分を有するH形コアと、H形コアの両端部を挟み込むようにしてH形コアに一体化された2つのU形コアとを有する構成にすることができる。この場合において、H形コアとU形コアとが、垂直方向の断面内において異なる位置に配置されていても良い。
H形コアとU形コアとを垂直方向の断面内において異なる位置に配置した場合には、垂直方向の断面内においてコンデンサなどの回路部品を配置する部品配置空間を確保しやすくなる。これにより、ノイズフィルタを構成する場合に、全体の小型化を図りやすくなる。
【0014】
また、コアを、中脚部となるI形コアと、I形コアを挟み込むようにしてI形コアに一体化された2つのU形コアとを有する構成にしても良い。この場合において、I形コアの一端部と2つのU形コアの一端部とが挿通されると共に、第1および第3の巻線が巻かれる第1のボビンと、I形コアの他端部と2つのU形コアの他端部とが挿通されると共に、第2および第4の巻線が巻かれる第2のボビンとをさらに備え、第1のボビンと第2のボビンとによりI形コアと2つのU形コアとが一体化されていても良い。
第1のボビンと第2のボビンとによりI形コアと2つのU形コアとを一体化した構成の場合には、例えば第1ないし第4の辺のそれぞれにボビンを配置して各巻線を巻いた構成に比べて、部品点数が少なくなる。
【0015】
また、コアを、中央部に中脚部となる部分を有するH形コアと、H形コアの一端側に配置されてH形コアに一体化されたU形コアと、H形コアの他端側に配置されてH形コアに一体化されたI形コアとを有する構成にしても良い。
【0016】
本発明によるノイズフィルタは、チョークコイルとしての機能を有する複合コイルを備えたノイズフィルタであって、複合コイルが、中脚部と中脚部に略直交する第1ないし第4の辺とを有するコアと、コアの第1の辺に巻かれた第1の巻線と、コアの第2の辺に巻かれた第2の巻線と、コアの第3の辺に巻かれた第3の巻線と、コアの第4の辺に巻かれた第4の巻線とを有している。そして、第1の辺と第2の辺とがそれぞれ中脚部の両端部に接続されて互いに対向するように設けられると共に、第3の辺と第4の辺とがそれぞれ中脚部の両端部に接続されて互いに対向するように設けられ、中脚部と第1および第2の辺とによって第1および第2の巻線に対する第1の磁路が形成されると共に、中脚部と第3および第4の辺とによって第3および第4の巻線に対する第2の磁路が形成され、中脚部においてコモンモード信号に対する磁束の向きが同方向となるように、第1ないし第4の巻線がコアの第1ないし第4の辺に巻かれているものである。
【0017】
本発明によるノイズフィルタでは、複合コイルにおいて、各巻線が同一のコアの巻かれ、また、中脚部と第1および第2の辺とによって第1および第2の巻線に対する第1の磁路が形成されると共に、中脚部と第3および第4の辺とによって第3および第4の巻線に対する第2の磁路が形成されていることで、2つのコモンモードチョークコイルを一体化した構成のチョークコイルが形成される。この場合において、第1の磁路と第2の磁路とが中脚部を共有するように形成されていると共に、中脚部においてコモンモード信号に対する磁束の向きが同方向となるように各巻線が巻かれていることで、第1の磁路での磁束と第2の磁路での磁束とが打ち消し合うこともなく、各巻線による各インダクタがそれぞれ単独でチョークコイルとして機能する。また、互いに対向する第1の辺と第2の辺とに、第1の巻線と第2の巻線とが巻かれているので、1つの辺に第1の巻線と第2の巻線とを併設して巻いた場合に比べて、ノーマルモード信号に対する第1および第2の巻線による漏れ磁束が打ち消し合う作用が小さくなる。同様に、互いに対向する第3の辺と第4の辺とに、第3の巻線と第4の巻線とが巻かれているので、1つの辺に第3の巻線と第4の巻線とを併設して巻いた場合に比べて、ノーマルモード信号に対する第3および第4の巻線による漏れ磁束が打ち消し合う作用が小さくなる。これにより、ノーマルモード信号に対するリーケージインダクタンス値が大きくなる。このように、コモンモード信号とノーマルモード信号との双方に対して必要なインダクタンス値が得られ、コモンモードノイズとノーマルモードノイズとの双方が良好に抑制される。
【0018】
本発明によるノイズフィルタにおいて、少なくとも1つのコンデンサをさらに備え、複合コイルが、中央部に中脚部となる部分を有するH形コアと、H形コアの両端部を挟み込むようにしてH形コアに一体化された2つのU形コアとを有していても良い。そして、H形コアとU形コアとが、垂直方向の断面内において部品配置空間が形成されるように垂直方向の断面内において異なる位置に配置され、コンデンサが、部品配置空間に配置されていても良い。
この構成の場合には、垂直方向の断面内において複合コイルとコンデンサとが集積化され、全体の小型化を図りやすくなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の複合コイルによれば、中脚部と中脚部に略直交する第1ないし第4の辺とを有するコアに対して、第1ないし第4の巻線を巻き、その巻き位置の最適化を図るようにしたので、コモンモード信号とノーマルモード信号との双方に対して必要なインダクタンス値を得ることができる。
【0020】
本発明のノイズフィルタによれば、中脚部と中脚部に略直交する第1ないし第4の辺とを有するコアに対して、第1ないし第4の巻線を巻き、その巻き位置の最適化の図られた複合コイルをチョークコイルとして用いるようにしたので、コモンモード信号とノーマルモード信号との双方に対して必要なインダクタンス値を得ることができ、コモンモードノイズとノーマルモードノイズとの双方を良好に減衰させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施の形態に係る複合コイルの基本構成を示している。また、図2は、その複合コイルによって形成されるチョークコイルの等価回路を示している。この複合コイルは、コア10と、このコア10に巻かれる第1の巻線11、第2の巻線12、第3の巻線13、および第4の巻線14とを備えている。コア10は、全体として日の字形状で、中脚部20と、この中脚部20に略直交する第1の辺21、第2の辺22、第3の辺23、および第4の辺24とを有している。第1の辺21と第2の辺22は、それぞれ中脚部20の両端部に接続され、一方の側(図では左側)において互いに対向するように設けられている。第3の辺23と第4の辺24は、それぞれ中脚部20の両端部に接続され、他方の側(図では右側)において互いに対向するように設けられている。
【0023】
第1の巻線11は、コア10の第1の辺21に巻かれている。第2の巻線12は、コア10の第2の辺22に巻かれている。第1の辺21に第1の巻線11が巻かれることで第1の導電線1上に第1のインダクタL1が形成され、第2の辺22に第2の巻線12が巻かれることで第2の導電線2上に第2のインダクタL2が形成されている。第3の巻線13は、コア10の第3の辺23に巻かれている。第4の巻線14は、コア10の第4の辺24に巻かれている。第3の辺23に第3の巻線13が巻かれることで第1の導電線1上に第3のインダクタL3が形成され、第4の辺24に第4の巻線14が巻かれることで第2の導電線2上に第4のインダクタL4が形成されている。
【0024】
コア10において、第1の辺21、中脚部20、および第2の辺22を含む略片側部分によって第1の巻線11および第2の巻線12に対する第1の磁路が形成される。またコア10において、第3の辺23、中脚部20、および第4の辺24を含むもう一方の略片側部分によって第3の巻線13および第4の巻線14に対する第2の磁路が形成される。このように第1の磁路と第2の磁路とが中脚部20を共有するように形成されている。また、第1ないし第4の巻線11〜14は、中脚部20においてコモンモード信号3Cに対する、第1の巻線11および第2の巻線12による磁束Φ1の向きと第3の巻線13および第4の巻線14による磁束Φ2の向きとが同方向となるように、コア10の第1ないし第4の辺21〜24に巻かれている。
【0025】
なお、図1において各巻線部分に図示した実線の矢印はコモンモードでの磁束の向きを示し、破線の矢印はノーマルモードでの磁束の向きを示す。また、図2においてLx1,Lx2は、第1ないし第4の巻線11〜14の漏れ磁束によって生ずるリーケージインダクタンス成分を表している。
【0026】
次に、本実施の形態に係る複合コイルの作用を説明する。
この複合コイルでは、各巻線が日の字形状の同一のコア10に巻かれ、また、コア10において、第1の辺21、中脚部20、および第2の辺22を含む略片側部分によって第1の磁路が形成されると共に、第3の辺23、中脚部20、および第4の辺24を含むもう一方の略片側部分によって第2の磁路が形成されていることで、2つのコモンモードチョークコイル(第1および第2の巻線11,12によるコモンモードチョークコイルと第3および第4の巻線13,14によるコモンモードチョークコイル)を一体化した構成のチョークコイルが形成される。この複合コイルでは、図1に示したように、コモンモード信号3Cに対しては、中脚部20において第1の巻線11および第2の巻線12による磁束Φ1の向きと第3の巻線13および第4の巻線14による磁束Φ2の向きとが同じとなり、磁束Φ1,Φ2が打ち消し合うこともなく、各巻線11〜14による各インダクタL1〜L4がそれぞれ単独でチョークコイルとして機能する。
【0027】
一方、ノーマルモード信号3Nに対しては、コア10内においては、第1の巻線11による磁束Φ11の向きと第2の巻線12による磁束Φ12の向きとが互いに逆方向となり互いに打ち消し合う。同様に、コア10内においては、第3の巻線13による磁束Φ13の向きと第4の巻線14による磁束Φ14の向きとが互いに逆方向となり互いに打ち消し合う。これにより、ノーマルモード信号141Nに対するインダクタンス値は小さくなると共に、コア10内の磁束に対する飽和がなくなる。ただし、この複合コイルでは、互いに対向する第1の辺21と第2の辺22とに第1の巻線11と第2の巻線12とが巻かれているので、1つの辺に第1の巻線11と第2の巻線12とを併設して巻いた場合(図24参照)に比べて、ノーマルモード信号3Nに対する第1および第2の巻線11,12による漏れ磁束が打ち消し合う作用は小さくなる。同様に、互いに対向する第3の辺23と第4の辺24とに、第3の巻線13と第4の巻線14とが巻かれているので、1つの辺に第3の巻線13と第4の巻線14とを併設して巻いた場合に比べて、ノーマルモード信号3Nに対する第3および第4の巻線13,14による漏れ磁束が打ち消し合う作用は小さくなる。これにより、ノーマルモード信号3Nに対するリーケージインダクタンスLx1,Lx2の値が大きくなる。このように、コモンモード信号3Cとノーマルモード信号3Nとの双方に対して必要なインダクタンス値が得られる。このため、Xコンデンサを組み合わせてノイズフィルタを構成した場合に、ノーマルモードノイズに対する減衰作用を改善することができる。
【0028】
図4は、この複合コイルによって得られるリーケージインダクタンスLx1,Lx2の値を測定した結果(実施例)を示している。図3は、その測定に用いた回路の等価回路を示している。図4では、比較例として、図24に示した構成の複合コイルによって得られる測定結果も示す。図4において、k12は、図3に示したように第1の巻線11と第2の巻線12との間の結合係数を示す。k13は、第1の巻線11と第3の巻線13との間の結合係数を示す。k14は、第1の巻線11と第4の巻線14との間の結合係数を示す。測定結果から分かるように、この複合コイルでは比較例の構成に比べて、各巻線間の結合係数k12,k13,k14が小さくなっている。このことから、この複合コイルでは比較例の構成に比べて、各巻線間の結合が弱く、漏れ磁束が多く発生していることが分かる。これにより、リーケージインダクタンスLx1,Lx2の値が比較例の構成に比べて大きくなっている。
【0029】
以上説明したように、本実施の形態に係る複合コイルによれば、中脚部20と中脚部20に略直交する第1ないし第4の辺21〜24とを有するコア10に対して、第1ないし第4の巻線11〜14を巻き、その巻き位置の最適化を図るようにしたので、コモンモード信号とノーマルモード信号との双方に対して必要なインダクタンス値を得ることができる。
<複合コイルの具体的な構成例>
【0030】
図5(A),図5(B)および図6(A),図6(B)は、この複合コイルの第1の具体的な構成例を示している。図5(A)は、この複合コイルの各構成要素を一体化する前の状態での分解平面図(上面図)、図5(B)は分解側面図を示している。図6(A)は、この複合コイルの各構成要素を一体化した状態での平面図(上面図)、図6(B)は側面図を示している。
【0031】
この構成例は、コア10を、中央部に中脚部20となる部分を有するH形コア30Hと、このH形コア30Hの両端部を挟み込むようにしてH形コア30Hに一体化される2つのU形コア31U,32Uとで構成したものである。この構成例では、第1の巻線11および第2の巻線12がH形コア30Hと一方のU形コア31Uとの接続部分を跨るようにして巻かれると共に、第3の巻線13および第4の巻線14がH形コア30Hと他方のU形コア32Uとの接続部分を跨るようにして巻かれる構造となる。なお、この場合、H形コア30HとU形コア31U,32Uとをボビンを介して接続し、そのボビンに各巻線を巻くようにしても良い。この構成例では、図5(B)および図6(B)から分かるように、側面方向から見た場合において、H形コア30Hと2つのU形コア31U,32Uとの垂直方向(Z方向)の断面内での垂直方向の配置位置は略同じとなっている。
【0032】
図7(A),図7(B)および図8(A),図8(B)は、この複合コイルの第2の具体的な構成例を示している。図7(A)は、この複合コイルの各構成要素を一体化する前の状態での分解平面図(上面図)、図7(B)は分解側面図を示している。図8(A)は、この複合コイルの各構成要素を一体化した状態での平面図(上面図)、図8(B)は側面図を示している。
【0033】
この構成例は、上記第1の構成例と同様、コア10を、H形コア30Hと2つのU形コア31U,32Uとで構成したものである。ただし、図7(B)および図8(B)から分かるように、H形コア30Hと2つのU形コア31U,32Uとが、垂直方向(Z方向)の断面内において垂直方向に異なる位置に配置されている。図示した例では、垂直方向の断面内において、H形コア30Hを上側に、2つのU形コア31U,32Uを下側に配置している。そして、H形コア30Hの一方の側の脚部と一方のU形コア31Uの脚部とが平面方向で部分的に重なるようにしてH形コア30Hと一方のU形コア31Uとが一体化される構造となっている。同様に、H形コア30Hの他方の側の脚部と他方のU形コア32Uの脚部とが平面方向で部分的に重なるようにしてH形コア30Hと他方のU形コア32Uとが一体化される構造となっている。この構成例の場合には、H形コア30Hと2つのU形コア31U,32Uとが垂直方向の断面内において異なる位置に配置されていることにより、垂直方向の断面内においてコンデンサなどの回路部品を配置する部品配置空間を確保しやすくなる。例えば図示したように、H形コア30Hの下側に部品配置空間40を形成し、2つのU形コア31U,32Uの上側に部品配置空間41,42を形成することができる。この部分にコンデンサ部品などを配置することで、ノイズフィルタを構成する場合に全体の小型化を図りやすくなる。
【0034】
図9(A),図9(B)および図10(A),図10(B)は、この複合コイルの第3の具体的な構成例を示している。図9(A)は、この複合コイルの各構成要素を一体化する前の状態での分解平面図(上面図)、図9(B)は分解側面図を示している。図10(A)は、この複合コイルの各構成要素を一体化した状態での平面図(上面図)、図10(B)は側面図を示している。
【0035】
この構成例は、コア10を、中脚部20となるI形コア30Iと、このI形コア30Iの両端部を挟み込むようにしてI形コア30Iに一体化される2つのU形コア31U,32Uとで構成したものである。この構成例では、第1の巻線11および第2の巻線12が一方のU形コア31Uにおける対向する脚部分に巻かれると共に、第3の巻線13および第4の巻線14が他方のU形コア32Uにおける対向する脚部分に巻かれる構造となる。
【0036】
図11(A),図11(B)および図12(A),図12(B)は、この複合コイルの第4の具体的な構成例を示している。図11(A)は、この複合コイルの各構成要素を一体化する前の状態での分解平面図(上面図)、図11(B)は分解側面図を示している。図12(A)は、この複合コイルの各構成要素を一体化した状態での平面図(上面図)、図12(B)は側面図を示している。
【0037】
この構成例は、コア10を、中央部に中脚部20となる部分を有するH形コア30Hと、このH形コア30Hの一方の端部側に配置されてH形コア30Hに一体化されるU形コア31Uと、H形コア30Hの他方の端部側に配置されてH形コア30Hに一体化されるI形コア32Iとで構成したものである。この構成例では、第1の巻線11および第2の巻線12がH形コア30HとU形コア31Uとの接続部分を跨るようにして巻かれる構造となる。また、第3の巻線13および第4の巻線14が、H形コア30Hの他方の端部側における対向する脚部分に巻かれる構造となる。
【0038】
図13(A),図13(B),図13(C)および図14(A),図14(B)は、この複合コイルの第5の具体的な構成例を示している。図13(A)は、この複合コイルの各構成要素を一体化する前の状態での分解平面図(上面図)、図13(B)は分解側面図を示している。図13(C)は、部分的な側面図である。
【0039】
この構成例において、コア10の構成自体は、上記第3の構成例と同様であり、I形コア30Iと2つのU形コア31U,32Uとで構成されている。ただし、この構成例では、I形コア30Iと2つのU形コア31U,32Uとの接続部分に第1および第2のボビン51,52が設けられている。第1のボビン51は、内部が中空の筒状となっており、中央部に開口51Aが設けられ、両端部に開口51B,51Cが設けられている。第2のボビン52も同様に、内部が中空の筒状となっており、中央部に開口52Aが設けられ、両端部に開口52B,52Cが設けられている。なお、図13(C)は、第2のボビン52を中央部の開口52A側から見た状態を示している。
【0040】
この構成例では、第1のボビン51の開口51AにI形コア30Iの一端部が挿通されると共に、両端部の開口51B,51Cに、2つのU形コア31U,32Uの一端部が挿通される。また、第2のボビン52の開口52AにI形コア30Iの他端部が挿通されると共に、両端部の開口52B,52Cに、2つのU形コア31U,32Uの他端部が挿通される。これにより、I形コア30Iと2つのU形コア31U,32Uとが第1および第2のボビン51,52を介して一体化されている。また、第1のボビン51には第1および第3の巻線11,13が巻かれ、第2のボビン52には第2および第4の巻線12,14が巻かれる。この構成の場合には、例えばI形コア30Iと2つのU形コア31U,32Uとの4つの接続部分のそれぞれにボビンを配置し、それぞれに各巻線を巻いた構成に比べて、ボビンの部品点数を少なくできる。また、I形コア30Iを第1および第2のボビン51,52によって固定することができ、I形コア30Iの位置ずれを防止することができる。
<ノイズフィルタの具体的な構成例>
【0041】
次に、本実施の形態に係る複合コイルを用いたノイズフィルタの具体的な構成例について説明する。
【0042】
図16(A)は、このノイズフィルタの具体的な構成例を示す平面図(上面図)、図16(B)は側面図を示している。図15は、このノイズフィルタの等価回路を示している。まず図15を参照して、このノイズフィルタの回路構成について説明する。このノイズフィルタは、本実施の形態に係る複合コイルによって形成されるチョークコイルに、2つのXコンデンサCx1,Cx2と、2つのYコンデンサCy1,Cy2とを接続した構成になっている。第1のYコンデンサCy1は、一端が第1の巻線11と第3の巻線13との間に接続され、他端が接地されている。第2のYコンデンサCy2は、一端が第2の巻線12と第4の巻線14との間に接続され、他端が接地されている。第1のXコンデンサCx1は、第3の巻線13と第4の巻線14とが設けられた側において、一端が第1の導電線1に接続され、他端が第2の導電線2に接続されている。第2のXコンデンサCx2は、第1の巻線11と第2の巻線12とが設けられた側において、一端が第1の導電線1に接続され、他端が第2の導電線2に接続されている。図15においてLx1,Lx2は、第1ないし第4の巻線11〜14の漏れ磁束によって生ずるリーケージインダクタンス成分を表している。
【0043】
次に、具体的な構成について説明する。図16(A),図16(B)に示した構成例は、本実施の形態に係る複合コイルの第2の構成例(図7(A),図7(B)および図8(A),図8(B))を応用したものであり、上記第2の構成例と同様、コア10がH形コア30Hと2つのU形コア31U,32Uとで構成され、H形コア30Hと2つのU形コア31U,32Uとが垂直方向の断面内において垂直方向の異なる位置に配置されている。そして、H形コア30Hの下側に部品配置空間40が形成され、2つのU形コア31U,32Uの上側に部品配置空間41,42が形成されている。また、H形コア30Hと2つのU形コア31U,32Uとは、4つのボビン61〜64を介して一体化されている。第1のボビン61には第1の巻線11が巻かれ、第2のボビン62には第2の巻線12が巻かれ、第3のボビン63には第3の巻線13が巻かれ、第4のボビン64には第4の巻線14が巻かれる。
【0044】
2つのXコンデンサCx1,Cx2は例えば、リードタイプのコンデンサで構成されている。第2のXコンデンサCx2は、一方のU形コア31Uの上側の部品配置空間41に配置され、第1のXコンデンサCx1は、他方のU形コア32Uの上側の部品配置空間42に配置されている。2つのYコンデンサCy1,Cy2は例えば、チップタイプのコンデンサで構成され、H形コア30Hの下側の部品配置空間40に配置されている。以上の複合コイルの部品と各コンデンサ部品が、基板60の表面に実装されている。この構成例では、H形コア30Hと2つのU形コア31U,32Uとの配置を工夫して部品配置空間を形成し、そこにコンデンサ部品を配置するようにしたので、垂直方向の断面内において複合コイルとコンデンサ部品とが集積化され、全体の小型化が図られている。
【0045】
次に、本実施の形態に係る複合コイルを用いたノイズフィルタの伝送特性について説明する。図20は、本実施の形態に係るノイズフィルタのコモンモードでの伝送特性の実施例を示し、図21はノーマルモードでの伝送特性の実施例を示している。なお、図20および図21の横軸は周波数(Hz)を表し、縦軸は減衰量(dB)を表している。図17は、伝送特性のシミュレーションに用いた回路の等価回路を示している。図15に示した回路構成に対して第2のXコンデンサCx2を省いた構成となっている。図19には、シミュレーションに用いた回路値を示す。なお、k12は、図18に示したように第1の巻線11と第2の巻線12との間の結合係数を示す。k13は、第1の巻線11と第3の巻線13との間の結合係数を示す。k14は、第1の巻線11と第4の巻線14との間の結合係数を示す。k23は、第2の巻線12と第3の巻線13との間の結合係数を示す。k24は、第2の巻線12と第4の巻線24との間の結合係数を示す。k34は、第3の巻線13と第4の巻線14との間の結合係数を示す。
【0046】
なお、比較例1として、等価回路は同じであるが複合コイルを図24に示した構成(1つの脚部に2つの巻線を併設した構成)にした場合の伝送特性についても示す。また、比較例2として、回路を図22に示した構成(2つのコモンモードチョークコイル110,120を持つ構成)にした場合の伝送特性についても示す。本実施例に係るノイズフィルタと比較例1,2のノイズフィルタとにおける回路値としての違いは、図19に示したように巻線間の結合係数の違いとして現れている。本実施例に係るノイズフィルタは、コモンモードでの伝送特性(図20)に関しては、比較例1のノイズフィルタに対してあまり違いは現れていない。しかし、ノーマルモードでの伝送特性(図21)は、比較例1,2のノイズフィルタに対して本実施例に係るノイズフィルタでは、低域側に減衰極ができている。これは、本実施例に係わるノイズフィルタでは、漏れ磁束によるリーケージインダクタンス成分が大きくなっているためである。比較例1と比較例2とでは、ノーマルモードでの伝送特性が同じとなっている。このように、本実施の形態に係る複合コイルを用いたノイズフィルタでは、ノーマルモードでの伝送特性に減衰極を生じさせることができる。
【0047】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、コア10の具体的な構成は、上記した具体例に限らず、他の形状のコアを組み合わせた構成も可能である。また、ノイズフィルタの具体的な構成は、図16(A),図16(B)に示した構成に限らず、上記した複合コイルの他の具体例を用いた構成であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施の形態に係る複合コイルの基本構成を示す構成図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る複合コイルの等価回路を示す回路図である。
【図3】リーケージインダクタンスの測定回路を示す回路図である。
【図4】リーケージインダクタンスの測定結果を示す説明図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る複合コイルの第1の具体的な構成例を示すものであり、(A)は分解平面図(上面図)であり、(B)は分解側面図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る複合コイルの第1の具体的な構成例を示すものであり、(A)は平面図(上面図)であり、(B)は側面図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る複合コイルの第2の具体的な構成例を示すものであり、(A)は分解平面図(上面図)であり、(B)は分解側面図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係る複合コイルの第2の具体的な構成例を示すものであり、(A)は平面図(上面図)であり、(B)は側面図である。
【図9】本発明の一実施の形態に係る複合コイルの第3の具体的な構成例を示すものであり、(A)は分解平面図(上面図)であり、(B)は分解側面図である。
【図10】本発明の一実施の形態に係る複合コイルの第3の具体的な構成例を示すものであり、(A)は平面図(上面図)であり、(B)は側面図である。
【図11】本発明の一実施の形態に係る複合コイルの第4の具体的な構成例を示すものであり、(A)は分解平面図(上面図)であり、(B)は分解側面図である。
【図12】本発明の一実施の形態に係る複合コイルの第4の具体的な構成例を示すものであり、(A)は平面図(上面図)であり、(B)は側面図である。
【図13】本発明の一実施の形態に係る複合コイルの第5の具体的な構成例を示すものであり、(A)は分解平面図(上面図)であり、(B)は分解側面図であり、(C)は部分側面図である。
【図14】本発明の一実施の形態に係る複合コイルの第5の具体的な構成例を示すものであり、(A)は平面図(上面図)であり、(B)は側面図である。
【図15】本発明の一実施の形態に係る複合コイルを用いたノイズフィルタの回路構成を示す等価回路図である。
【図16】本発明の一実施の形態に係る複合コイルを用いたノイズフィルタの具体的な構成例を示すものであり、(A)は平面図(上面図)であり、(B)は側面図である。
【図17】伝送特性のシミュレーションに用いた回路の等価回路図である。
【図18】結合係数についての説明図である。
【図19】伝送特性のシミュレーションに用いた回路値を示す説明図である。
【図20】コモンモードでの伝送特性のシミュレーション結果を示す特性図である。
【図21】ノーマルモードでの伝送特性のシミュレーション結果を示す特性図である。
【図22】従来のノイズフィルタの回路構成の一例を示す回路図である。
【図23】2つのチョークコイルを一体化した複合コイルの等価回路を示す回路図である。
【図24】2つのチョークコイルを一体化した複合コイルの一例を示す構成図である。
【符号の説明】
【0049】
1…第1の導電線、2…第2の導電線、3C…ノーマルモード信号、3N…コモンモード信号、11…第1の巻線、12…第3の巻線、14…第4の巻線、20…中脚部、21…第1の辺、22…第2の辺、23…第3の辺、24…第4の辺、30H…H形コア、30I…I形コア、31U,32U…U形コア、51…第1のボビン、52…第2のボビン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中脚部と前記中脚部に略直交する第1ないし第4の辺とを有するコアと、
前記コアの前記第1の辺に巻かれた第1の巻線と、
前記コアの前記第2の辺に巻かれた第2の巻線と、
前記コアの前記第3の辺に巻かれた第3の巻線と、
前記コアの前記第4の辺に巻かれた第4の巻線とを備え、
前記第1の辺と前記第2の辺とがそれぞれ前記中脚部の両端部に接続されて互いに対向するように設けられると共に、前記第3の辺と前記第4の辺とがそれぞれ前記中脚部の両端部に接続されて互いに対向するように設けられ、
前記中脚部と前記第1および第2の辺とによって前記第1および第2の巻線に対する第1の磁路が形成されると共に、前記中脚部と前記第3および第4の辺とによって前記第3および第4の巻線に対する第2の磁路が形成され、前記中脚部においてコモンモード信号に対する磁束の向きが同方向となるように、前記第1ないし前記第4の巻線が前記コアの前記第1ないし前記第4の辺に巻かれている
ことを特徴とする複合コイル。
【請求項2】
前記コアは、中央部に前記中脚部となる部分を有するH形コアと、前記H形コアの両端部を挟み込むようにしてH形コアに一体化された2つのU形コアとを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の複合コイル。
【請求項3】
前記H形コアと前記U形コアとが、垂直方向の断面内において異なる位置に配置されている
ことを特徴とする請求項2に記載の複合コイル。
【請求項4】
前記コアは、前記中脚部となるI形コアと、前記I形コアを挟み込むようにして前記I形コアに一体化された2つのU形コアとを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の複合コイル。
【請求項5】
前記I形コアの一端部と前記2つのU形コアの一端部とが挿通されると共に、前記第1および前記第3の巻線が巻かれる第1のボビンと、
前記I形コアの他端部と前記2つのU形コアの他端部とが挿通されると共に、前記第2および前記第4の巻線が巻かれる第2のボビンとをさらに備え、
前記第1のボビンと前記第2のボビンとにより前記I形コアと前記2つのU形コアとが一体化されている
ことを特徴とする請求項4に記載の複合コイル。
【請求項6】
前記コアは、中央部に前記中脚部となる部分を有するH形コアと、前記H形コアの一端側に配置されて前記H形コアに一体化されたU形コアと、前記H形コアの他端側に配置されて前記H形コアに一体化されたI形コアとを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の複合コイル。
【請求項7】
チョークコイルとしての機能を有する複合コイルを備えたノイズフィルタであって、
前記複合コイルは、
中脚部と前記中脚部に略直交する第1ないし第4の辺とを有するコアと、
前記コアの前記第1の辺に巻かれた第1の巻線と、
前記コアの前記第2の辺に巻かれた第2の巻線と、
前記コアの前記第3の辺に巻かれた第3の巻線と、
前記コアの前記第4の辺に巻かれた第4の巻線とを備え、
前記第1の辺と前記第2の辺とがそれぞれ前記中脚部の両端部に接続されて互いに対向するように設けられると共に、前記第3の辺と前記第4の辺とがそれぞれ前記中脚部の両端部に接続されて互いに対向するように設けられ、
前記中脚部と前記第1および第2の辺とによって前記第1および第2の巻線に対する第1の磁路が形成されると共に、前記中脚部と前記第3および第4の辺とによって前記第3および第4の巻線に対する第2の磁路が形成され、前記中脚部においてコモンモード信号に対する磁束の向きが同方向となるように、前記第1ないし前記第4の巻線が前記コアの前記第1ないし前記第4の辺に巻かれている
ことを特徴とするノイズフィルタ。
【請求項8】
少なくとも1つのコンデンサをさらに備え、
前記複合コイルは、中央部に前記中脚部となる部分を有するH形コアと、前記H形コアの両端部を挟み込むようにして前記H形コアに一体化された2つのU形コアとを有し、
前記H形コアと前記U形コアとが、垂直方向の断面内において部品配置空間が形成されるように垂直方向の断面内において異なる位置に配置され、前記コンデンサが、前記部品配置空間に配置されている
ことを特徴とする請求項7に記載のノイズフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2007−214789(P2007−214789A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−31332(P2006−31332)
【出願日】平成18年2月8日(2006.2.8)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】