説明

複合サッシ

【課題】アングル部のビスを露出させず、かつ熱膨張によって波打ち状となることも防止することのできる複合サッシを提供する。
【解決手段】窓開口部に装着される金属枠22と、金属枠22の室内側に配置された樹脂枠23とからなる枠体1を備え、樹脂枠23の室内側部に形成されるアングル部13を窓開口部の額縁部4にビス33で固定するものであって、アングル部13は金属からなる長尺状の押さえ材30を介して額縁部4にビス33で固定され、押さえ材30は露出面を樹脂製のカバー材31で覆われ、カバー材31の両端部は枠体1のコーナー部においてそれぞれコーナーキャップ32に覆われてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属枠と樹脂枠とからなる枠体の樹脂枠に、窓開口部の額縁部にビスで固定されるアングル部を備えた複合サッシに関し、特にアングル部を固定するビスを露出させないようにした複合サッシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物躯体の窓開口部に装着されるサッシにおいて、その枠体が金属枠とその室内側に設けられる樹脂枠とからなる複合サッシが知られている。このような複合サッシにおいて、樹脂枠の室内側部に設けられるアングル部は、窓開口部の窓額縁に対して、ビス止め固定される。
【0003】
この場合、アングル部の表面にはビスの頭部が露出するため、意匠性を悪化させることとなる。そこで、ビス止めしたアングル部の露出面を樹脂製のアングルカバーで覆うことで、ビスの頭部を露出しないようにしたものも知られている。このような複合サッシとしては、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【特許文献1】特開2004−124407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アングル部は樹脂材によって形成されているため、温度変化によって膨張と収縮を繰り返す。これによりビス止め部間が波打ち状となることがあり、意匠性を損なうこととなっていた。また、従来のようにビス止めしたアングル部の露出面を樹脂製のアングルカバーで覆っても、アングルカバーもアングル部の変形に伴って変形するために、意匠性を損なうこととなっていた。
【0005】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、アングル部のビスを露出させず、かつ熱膨張によって波打ち状となることも防止することのできる複合サッシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る複合サッシは、窓開口部に装着される金属枠と、該金属枠の室内側に配置された樹脂枠とからなる枠体を備え、前記樹脂枠の室内側部に形成されるアングル部を窓開口部の額縁部にビスで固定する複合サッシにおいて、
前記アングル部は金属からなる長尺状の押さえ材を介して前記額縁部にビスで固定され、前記押さえ材は露出面を樹脂製のカバー材で覆われ、該カバー材の両端部は前記枠体のコーナー部においてそれぞれコーナーキャップに覆われることを特徴として構成されている。
【0007】
また、本発明に係る複合サッシは、前記カバー材は前記押さえ材の室外端部から室内端部までの全面を覆うことを特徴として構成されている。
【0008】
さらに、本発明に係る複合サッシは、前記コーナーキャップは室内側面が略L字状に形成されると共に、その表面に縦方向に延びる切欠と横方向に延びる切欠が形成されてなることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る複合サッシによれば、アングル部は金属からなる長尺状の押さえ材を介して額縁部にビスで固定され、押さえ材は露出面を樹脂製のカバー材で覆われ、カバー材の両端部は枠体のコーナー部においてそれぞれコーナーキャップに覆われることにより、アングル部にビスの頭部が露出しないようにして、意匠性を向上させることができ、また押さえ材によってアングル部が温度変化により波打ち状に変形することを防止し、さらにカバー材の伸縮はコーナーキャップに覆われることにより露出させないことができるので、意匠性をさらに向上させることができる。
【0010】
また、本発明に係る複合サッシによれば、カバー材は押さえ材の室外端部から室内端部までの全面を覆うことにより、押さえ材が一切外部に露出しないようにすることができて、意匠性をさらに向上させることができる。
【0011】
さらに、本発明に係る複合サッシによれば、コーナーキャップは室内側面が略L字状に形成されると共に、その表面に縦方向に延びる切欠と横方向に延びる切欠が形成されてなることにより、必要に応じて縦方向の切欠または横方向の切欠、あるいは両方を切り取ることができて室内側面のサイズを変更することができる。このため、無目や方立を介して連結される部分にも同じコーナーキャップを用いることができるので、部品の共用化によるコストダウンを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の複合サッシの実施形態について図面に沿って詳細に説明する。図1には本実施形態における複合サッシの縦断面図を、図2にはその横断面図を、それぞれ示している。これら各図に示すように、本実施形態における複合サッシは、建物躯体の開口部Aに取付けられる方形状の枠体1内にガラス体2を納めてなる嵌め殺し窓である。
【0013】
枠体1は、枠材である上枠10と下枠11及び左右の縦枠12、12を方形状に枠組みして構成される。上枠10は金属上枠20とその室内側に取付けられる樹脂上枠21とからなり、下枠11は金属下枠22とその室内側に取付けられる樹脂下枠23とからなり、縦枠12は金属縦枠24とその室内側に取付けられる樹脂縦枠25とからなっている。金属上枠20と金属下枠22及び金属縦枠24は、いずれもアルミの押出型材によって形成される。樹脂上枠21と樹脂下枠23及び樹脂縦枠25は、いずれも合成樹脂によって形成され、また室内側端部には四周に渡って室内側に向かって延出されるアングル部13が一体的に形成されている。アングル部13は、枠体1の室内側に設けられる額縁部4の内周面に当接し、ビス止め固定される。
【0014】
金属上枠20には、室外側部の内周面に下方に向かって突出する気密材保持部20aが形成され、その先端部分には気密材3が設けられてガラス体2の室外面を押圧している。また、樹脂上枠21には、アングル部13より室外側の内周面に、上押縁材26が取付けられ、その室外下端部には気密材3が設けられてガラス体2の室内面を押圧している。このように、これら金属上枠20の気密材保持部20aと上押縁材26とに設けられる気密材3によって、ガラス体2の上辺を内外から挟持する。
【0015】
金属縦枠24には、室外側部の内周面に内側に向かって突出する気密材保持部24aが形成され、その先端部分には気密材3が設けられてガラス体2の室外面を押圧している。また、樹脂縦枠25には、アングル部13より室外側の内周面に、縦押縁材27が取付けられ、その室外端部には気密材3が設けられてガラス体2の室内面を押圧している。このように、これら金属縦枠24の気密材保持部24aと縦押縁材27とに設けられる気密材3によって、ガラス体2の縦辺を内外から挟持する。
【0016】
金属下枠22には、室外側部の内周面に上方に向かって突出する気密材保持部22aが形成され、その先端部分には気密材3が設けられてガラス体2の室外面を押圧している。また、樹脂下枠23の室外端部には気密材3が設けられてガラス体2の室内面を押圧している。このように、これら金属下枠22の気密材保持部22aと樹脂下枠23とに設けられる気密材3によって、ガラス体2の下辺を内外から挟持する。
【0017】
次に、アングル部13の構成についてさらに詳細に説明する。図3には、図1のうち下枠11付近の拡大図を示している。この図に示すように、樹脂下枠23に形成されるアングル部13には、その上面を覆うように金属製の押さえ材30が設けられ、さらにその押さえ材30の室外端部から室内端部までの全面を覆うカバー材31が設けられる。
【0018】
押さえ材30は、上面部30aと室内面部30bとが断面略L字状となるように一体的に形成されてなる長尺材からなり、上面部30aによりアングル部13の上面を、室内面部30bによりアングル部13の室内面を、それぞれ覆っている。また、押さえ材30は、長手方向所定間隔毎に設けられるビス33によって、アングル部13と共に額縁部4に対して固定される。このように、金属材からなる押さえ材30によってアングル部13をビス止め固定することとしたので、アングル部13が温度変化により膨張と収縮を繰り返しても、ビス止め部間が波打ち状となることを防止することができる。
【0019】
カバー材31は、樹脂材によって形成され、押さえ材30の全面を覆うことができるように、上面部31aと室内面部31bとが断面略L字状となるように一体的に形成されてなる長尺材からなる。そして、上面部31aによって押さえ材30の上面部30aを、室内面部31bによって押さえ材30の室内面部30bを、それぞれ覆っている。また、上面部31aの室外端部には、室外係合部31cが形成されており、これが押さえ材30の室外端部に対して係合する。さらに、室内面部31bの下端部には、室内係合部31dが形成されており、これが押さえ材30の室内端部に対して係合する。これらによってカバー材31が押さえ材30に対して固定される。このように、カバー材31は押さえ材30の全面を覆うと共に、押さえ材30に対してビスを用いることなく係合によって固定されるので、カバー材31が温度変化により膨張と収縮を繰り返しても、波打ち状に変形することがない。
【0020】
これら押さえ材30及びカバー材31は、図3に示した下枠11のアングル部13のみならず、上枠10及び縦枠12のアングル部13に対しても同様に取付けられる。これにより、四周に渡ってアングル部13は押さえ材30を介して額縁部4にビス止め固定され、さらにカバー材31によって押さえ材30の露出面が覆われる。
【0021】
また、カバー材31の両端部は、枠体1のコーナー部に配置され、このコーナー部においてそれぞれコーナーキャップ32によって覆われる。図4には、コーナーキャップ32の斜視図を示している。この図に示すように、コーナーキャップ32は、連結される2つの枠材に設けられるカバー材31の各上面部31aをそれぞれ覆うことができるように、縦側被覆部32aと横側被覆部32bとが直交するように一体的に形成されている。また、枠体1のコーナー部に取付けられた際に、室内側に面してカバー材31の室内面部31bを覆う室内面部32cと、室外側に面してカバー材31の室外係合部31cを覆う室外面部32dが、それぞれ形成されている。
【0022】
図5には、コーナーキャップ32の平面図を示している。この図に示すように、縦側被覆部32aの内面側には、突出する係合爪32gが2つ形成されている。この係合爪32gは、縦枠12の端部に設けられる受部品34に係合されて、コーナーキャップ32を固定する機能を有する。
【0023】
また、図6には、コーナーキャップ32の正面図を示している。この図に示すように、コーナーキャップ32の室内面部32cは、溝状の切欠が縦方向に形成された縦切欠部32eと、横方向に形成された横切欠部32fとをそれぞれ有している。これらは、室内面部32cの一部を切り取ることができるように設けられているもので、コーナーキャップ32が、無目や方立を介した枠体1の連結部分に取付けられる際に、当該連結部分における押さえ材30及びカバー材31の形状に適合するように、縦方向または横方向、あるいは両方向について、室内面部32cが切り取られる。
【0024】
図7には、受部品34の斜視図を示している。この図に示すように、受部品34は薄型の箱形状に形成され、正面にはコーナーキャップ32の係合爪32gを係合させる係合穴34aが2つ形成されている。受部品34の背面側には、両面テープが設けられて、これによって受部品34は縦枠12の内周面に固定される。また、受部品34の上面には、突出状に突起部34bが2つ形成されている。この突起部34bは、縦枠12側の押さえ材30の端部に係合し、押さえ材30を縦枠12に対して取付ける際にその脱落を防止する。
【0025】
図8には、下枠11と縦枠12の連結部分を下枠側から見た各部材の納まり図を示している。この図に示すように、縦枠12のアングル部13に取付けられる押さえ材30は、コーナーキャップ32の縦側被覆部32aに対し、端部が呑み込まれた状態となるように配置される。また、押さえ材30の下端部は、受部品34の突起部34bに対して係合する。カバー材31もコーナーキャップ32の縦側被覆部32aに端部が呑み込まれた状態となるが、その下端部は押さえ材30の下端部より若干上方に配置される。なお、上枠10と縦枠12の連結部分においても、各部材の配置は上下反転する以外は同様とされる。
【0026】
図9には、下枠11と縦枠12の連結部分を縦枠側から見た各部材の納まり図を示している。この図に示すように、下枠11のアングル部13に取付けられる押さえ材30は、コーナーキャップ32の横側被覆部32bに対し、端部が呑み込まれた状態となるように配置される。また、カバー材31の端部位置も押さえ材30の端部位置と重なるように配置されている。
【0027】
これら各押さえ材30及びカバー材31は、端部が露出しないようにコーナーキャップ32に覆われるが、カバー材31は温度変化により膨張及び収縮することから、受部品34の表面との間には若干の隙間を設ける。
【0028】
このように、枠体1のコーナー部において、押さえ材30及びカバー材31の端部を覆うコーナーキャップ32を設けたことにより、カバー材31が温度変化により膨張、収縮しても、端部を露出しないようにすることができると共に、カバー材31の波打ちも防止することができる。
【0029】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態に限られるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。本実施形態では、嵌め殺し窓に本発明を適用したものを示したが、窓の種類はこれに限られず、引き違い窓や開き窓、辷り出し窓など、アングル部を有するあらゆる種類の窓に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本実施形態におけるサッシの縦断面図である。
【図2】本実施形態におけるサッシの横断面図である。
【図3】図1のうち下枠付近の拡大図である。
【図4】コーナーキャップの斜視図である。
【図5】コーナーキャップの平面図である。
【図6】コーナーキャップの正面図である。
【図7】受部品の斜視図である。
【図8】下枠と縦枠の連結部分を下枠側から見た各部材の納まり図である。
【図9】下枠と縦枠の連結部分を縦枠側から見た各部材の納まり図である。
【符号の説明】
【0031】
1 枠体
2 ガラス体
3 気密材
4 額縁部
10 上枠
11 下枠
12 縦枠
13 アングル部
30 押さえ材
30a 上面部
31b 室内面部
31 カバー材
31a 上面部
31b 室内面部
31c 室外係合部
31d 室内係合部
32 コーナーキャップ
32a 縦側被覆部
32b 横側被覆部
32c 室内面部
32d 室外面部
32e 縦切欠部
32f 横切欠部
32g 係止爪
33 ビス
34 受部品
34a 係合穴
34b 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓開口部に装着される金属枠と、該金属枠の室内側に配置された樹脂枠とからなる枠体を備え、前記樹脂枠の室内側部に形成されるアングル部を窓開口部の額縁部にビスで固定する複合サッシにおいて、
前記アングル部は金属からなる長尺状の押さえ材を介して前記額縁部にビスで固定され、前記押さえ材は露出面を樹脂製のカバー材で覆われ、該カバー材の両端部は前記枠体のコーナー部においてそれぞれコーナーキャップに覆われることを特徴とする複合サッシ。
【請求項2】
前記カバー材は前記押さえ材の室外端部から室内端部までの全面を覆うことを特徴とする請求項1記載の複合サッシ。
【請求項3】
前記コーナーキャップは室内側面が略L字状に形成されると共に、その表面に縦方向に延びる切欠と横方向に延びる切欠が形成されてなることを特徴とする請求項1または2記載の複合サッシ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−190213(P2008−190213A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−25589(P2007−25589)
【出願日】平成19年2月5日(2007.2.5)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】