説明

複合サッシ

【課題】樹脂枠材と額縁材の間や縦枠材と横枠材の間に隙間が生じることを防止し、美観を向上させることのできる複合サッシを提供する。
【解決手段】方形状に枠組みされた金属枠体2の室内側を覆うように樹脂枠材3が設けられてなる枠体1を有し、樹脂枠材3は断面中空状に形成された中空領域を有し、中空領域の少なくとも一つは樹脂枠材3の室内側壁16を壁面として有した室内側空間部18であり、樹脂枠材3の連結部分には樹脂製の位置決め部材20を備え、位置決め部材20は、連結される一方の樹脂枠材3の室内側空間部18に一端側が挿入され嵌合し、連結される他方の樹脂枠材3の室内側空間部18に他端側が挿入され嵌合すると共に、一方の樹脂枠材3の室内側壁16と他方の樹脂枠材3の室内側壁16の両方に当接してこれらの見込方向位置を面一状に規定する位置決め面23を備えてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属枠体の室内側を覆うように樹脂枠材が設けられてなる枠体を有した複合サッシに関し、特に樹脂枠材の連結部分に位置決め部材を設けてなる複合サッシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、方形状に枠組みされた金属枠体の室内側を覆うように樹脂枠材が設けられてなる枠体を有した複合サッシが知られている。ここで樹脂枠材は、断熱性の確保と共に、装飾材として意匠性を向上させるために設けられるものである。このような枠体の内部に障子を開閉自在に納めたり、あるいはガラスを嵌め殺し状に納めたりすることで、複合サッシを構成する。このような複合サッシとしては、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【特許文献1】特開2001−123756号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
複合サッシの室内側には、四周に渡って額縁材が設けられる。額縁材は、樹脂枠材の周縁部における室内面に当接し、室内側に向かって延びるように取付けられる。この額縁材を、四周に渡って見込方向同位置に設けるために、複合サッシを構成する樹脂枠材は、四周に渡って室内面が面一状となるようにされている。
【0004】
しかし、従来は各枠材の製作誤差や組立誤差などにより、樹脂枠材の室内面を四周に渡って正確に位置決めし、面一状とすることは困難であった。このため、樹脂枠材の接合部分において段差が生じ、額縁材との間に隙間を生じることがあった。樹脂枠材と額縁材の間に隙間を生じると、室内側から見た場合の美観を損ねることとなっていた。また、樹脂枠材は縦枠材と横枠材とを方形状に連結するものであるが、縦枠材と横枠材との連結部分に隙間を生じることもあって、これも複合サッシの美観を損ねることとなっていた。
【0005】
本発明は、前記課題を解決すべくなされたものであり、縦方向の樹脂枠材と横方向の樹脂枠材を正確に位置決めすることができて、額縁材の間や縦枠材と横枠材の間に隙間が生じることを防止し、美観を向上させることのできる複合サッシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る複合サッシは、方形状に枠組みされた金属枠体の室内側を覆うように樹脂枠材が設けられてなる枠体を有した複合サッシにおいて、
前記樹脂枠材は断面空間状に形成された空間領域を有し、該空間領域の少なくとも一つは前記樹脂枠材の室内側壁を壁面として有した室内側空間部であり、
前記樹脂枠材の連結部分には位置決め部材を備え、該位置決め部材は、連結される一方の樹脂枠材の室内側空間部に一端側が挿入され嵌合し、連結される他方の樹脂枠材の室内側空間部に他端側が挿入され嵌合して、連結される各樹脂枠材を位置決めすることを特徴として構成されている。
【0007】
また、本発明に係る複合サッシは、前記位置決め部材は、前記一方の樹脂枠材の室内側壁と前記他方の樹脂枠材の室内側壁の両方に当接して、これらの見込方向位置を面一状に規定する位置決め面を備えることを特徴として構成されている。
【0008】
さらに、本発明に係る複合サッシは、前記位置決め部材は、一端側が前記一方の樹脂枠材の端部から前記室内側空間部に対して挿入され、他端側が前記他方の樹脂枠材の端部内周面に設けられた切欠部または孔部から前記室内側空間部に対して挿入されて、それぞれ固定されることを特徴として構成されている。
【0009】
さらにまた、本発明に係る複合サッシは、前記位置決め部材は、少なくとも前記切欠部または孔部から前記他方の樹脂枠材に挿入される他端側に略L字状の嵌合部が形成され、該嵌合部は前記室内側空間部を構成する内周側壁に対して当接する当接面を有し、該当接面は前記嵌合部の先端から角部に向かって、前記一方の樹脂枠材の接合端部側に傾斜するように形成されてなることを特徴として構成されている。
【0010】
そして、本発明に係る複合サッシは、前記位置決め部材は、前記一方の樹脂枠材に挿入される部分に係止部が形成され、前記一方の樹脂枠材の室内側空間部には前記係止部を係合させる係合部が形成されてなることを特徴として構成されている。
【0011】
また、本発明に係る複合サッシは、前記位置決め部材は、前記嵌合部が形成される一端側とは反対側の一端側にも同形状の嵌合部が形成されると共に、前記係止部が2つの嵌合部間の中央位置に配置されることで、当該位置を中央とした対称形状に形成されることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る複合サッシによれば、樹脂枠材の連結部分には樹脂製の位置決め部材を備え、位置決め部材は、連結される一方の樹脂枠材の室内側空間部に一端側が挿入され嵌合し、連結される他方の樹脂枠材の室内側空間部に他端側が挿入され嵌合して、連結される各樹脂枠材を位置決めすることにより、樹脂枠材同士を確実に位置決めすることができるので、これらの連結部分において段差が生じたりするのを防止することができて美観を向上させることができる。
【0013】
また、本発明に係る複合サッシによれば、位置決め部材は、一方の樹脂枠材の室内側壁と他方の樹脂枠材の室内側壁の両方に当接して、これらの見込方向位置を面一状に規定する位置決め面を備えることにより、連結される各樹脂枠材の室内面を確実に面一状とすることができるので、額縁材との間に隙間が生じることを防止することができ、美観をより確実に向上させることができる。
【0014】
さらに、位置決め部材は、一端側が一方の樹脂枠材の端部から室内側空間部に対して挿入され、他端側が他方の樹脂枠材の端部内周面に設けられた切欠部または孔部から室内側空間部に対して挿入されて、それぞれ固定されることにより、位置決め部材を各樹脂枠材に対し容易に取付けることができるので、組立作業を簡易化することができる。
【0015】
さらにまた、本発明に係る複合サッシによれば、位置決め部材は少なくとも一方の樹脂枠材に挿入される一端側に略L字状の嵌合部が形成され、嵌合部は室内側空間部を構成する内周側壁に対して当接する当接面を有し、当接面は嵌合部の先端から角部に向かって、他方の樹脂枠材の接合端部側に傾斜するように形成されてなることにより、嵌合部を樹脂枠材の室内側空間部に挿入することで、一方の樹脂枠材を連結される他方の樹脂枠材の端面側に引き寄せることができるので、樹脂枠材同士の連結部分に隙間が生じることを防止することができる。
【0016】
そして、本発明に係る複合サッシによれば、位置決め部材は一方の樹脂枠材に挿入される部分に係止部が形成され、一方の樹脂枠材の室内側空間部には係止部を係合させる係合部が形成されてなることにより、位置決め部材を樹脂枠材に対して容易に固定することができる。
【0017】
また、本発明に係る複合サッシによれば、位置決め部材は、嵌合部が形成される一端側とは反対側の一端側にも同形状の嵌合部が形成され、係止部は2つの嵌合部間の中央位置に配置されて、当該位置を中央とした対称形状に形成されることにより、位置決め部材を反転させることで、左右いずれの連結部分にも同一部品で対応することができるので、部品種類を減らしてコストダウンを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施形態について、図面に沿って詳細に説明する。図1には本実施形態における複合サッシの縦断面図を、図2には複合サッシの横断面図を、それぞれ示している。これら各図に示すように、本実施形態における複合サッシは、建物開口部に取付けられる枠体1内に障子4を納めてなると共に、枠体1の室内側には額縁材5を配設してなるものである。本実施形態の複合サッシは、障子4が枠体1に対して開閉することのできる縦辷り出し窓として構成されている。
【0019】
枠体1は、金属製の枠材を方形状に枠組みしてなる金属枠体2と、金属枠体2の室内側を覆うように取付けられる樹脂製の樹脂枠材3とで構成されている。金属枠体2は、いずれもアルミ材によって形成された金属上枠10、金属下枠11、及び左右の金属縦枠12によって構成されている。これら各金属枠材に対して、それぞれ樹脂枠材3が取付けられる。樹脂枠材3は、金属上枠10に取付けられる樹脂上枠13と、金属下枠11に取付けられる樹脂下枠14と、金属縦枠12に取付けられる樹脂縦枠15とで構成される。これらの樹脂枠材3は、それぞれ金属枠体2に対して係合及びネジ止めによって固定されることで、金属枠体2の室内側露出面を覆っている。
【0020】
なお、本実施形態では金属枠体2は全て金属材によって形成されたものを用いているが、金属枠体2としてはこれには限られず、金属材を内外の部材に分割し、これら内外の部材間を樹脂材などの断熱材で連結した、いわゆる断熱ブリッジ構造のものも含まれる。
【0021】
樹脂枠材3は、いずれも断面中空状に形成され、また室内面が四周に渡って面一状となるように配置されている。この四周に渡って面一状とされた樹脂枠材3の周縁部における室内面に対して、額縁材5の室外端面が当接している。樹脂枠材3の室内面は、室内側壁16によって形成されており、この室内側壁16と直交するように内周側壁17が形成されている。そして、これら室内側壁16と内周側壁17及びこれらとそれぞれ対向する壁面によって、それぞれの樹脂枠材3には室内側に室内側空間部18が形成されている。なお、樹脂枠材3には、室内側空間部18の他にも複数領域の空間部が形成されている。
【0022】
次に、樹脂枠材3の連結について説明する。ここでは、樹脂下枠14と樹脂縦枠15の連結部分について特に説明する。図3には、金属縦枠12に取付けられた樹脂縦枠15の下端付近の斜視図を示している。金属枠材については、金属下枠11の端面が金属縦枠12の内周面に突き合わされて連結されるのに対し、樹脂枠材3については、樹脂縦枠15の端面が樹脂下枠14の内周面に突き合わされて連結される。このため、図3に示すように、樹脂縦枠15は、その端面が金属縦枠12の端面よりも上方となるように、金属縦枠12に対して取付けられている。
【0023】
樹脂縦枠15の下端部には、室内側空間部18に対して位置決め部材20が挿入される。位置決め部材20は、樹脂縦枠15と樹脂下枠14の連結部分に設けられるものであって、その両方の室内側空間部18に対して挿入、嵌合することで、樹脂縦枠15と樹脂下枠14の位置関係を正確に規定すると共に、これらを連結する。
【0024】
位置決め部材20は、樹脂によって形成されるものであって、略方形状の基部21と、基部21の一端及びそれと反対側の他端にそれぞれ形成される略L字状の嵌合部22とを有している。基部21は、室外側に面するように平面状の平板部21aを有すると共に、平板部21aの周縁部から室内側に向かって突出するように形成されるリブ21bを有している。また、嵌合部22の室内側面は平面状に形成され、リブ21bの室内側面とで連続した面一状の位置決め面23を構成している。
【0025】
図4には、位置決め部材20の正面図を示している。この図は、位置決め部材20を室外側から見た状態の正面図を示している。位置決め部材20の基部21は、平板部21aの一側部がスリット状に切り欠かれてスリット部21bを形成し、一側面が弾性的に変形可能となるようにされている。この一側面の中央位置には、突起状の係止部24が形成されている。また、基部21の上下に形成された嵌合部22は、基部21から外方に突出するように形成された根元部22aと、根元部22aから略直交するように形成された先端部22bとで、全体として略L字状となるように形成されており、先端部22bの先端面は、基部21の側面と略同一面内となるように配置されている。
【0026】
また、先端部22bの基部21側の側面は、先端側から根元部22aとの角部に向かって、基部21側に傾斜するように形成された当接面22cとして形成されている。当接面22cは、後述するように、樹脂下枠14の室内側空間部18の壁面に当接することで、樹脂下枠14を樹脂縦枠15の端面側に引き寄せることができる。
【0027】
図5には、樹脂縦枠15の室内側空間部18に挿入された位置決め部材20の正面図を示している。この図は、樹脂縦枠15を室内側から見た正面図を示している。図5に示すように、室内側空間部18に挿入された位置決め部材20は、下端部の嵌合部22のみが樹脂縦枠15の端面から突出し、それ以外の部分は室内側空間部18の内部に配置されている。
【0028】
室内側空間部18を構成する内周側壁17と対向する壁面には、孔状の係合部19が形成されており、室内側空間部18に挿入された位置決め部材20の係止部24が、この係合部19に係合することにより、位置決め部材20が樹脂縦枠15に対して係合固定される。また、位置決め部材20の上側の嵌合部22は、先端部22bの先端面が基部21の側面よりも突出しないように形成されているので、室内側空間部18を構成する壁面と干渉することなく、位置決め部材20を室内側空間部18に挿入することができる。
【0029】
位置決め部材20は、基部21の上下にそれぞれ嵌合部22が同形状に形成され、また係止部24は上下方向中央位置に形成されており、当該位置を中央とした上下対称形状となるように形成されている。したがって、上下反転させることで左右いずれの樹脂縦枠15にも取付けることができる。
【0030】
図6には、位置決め部材20が室内側空間部18に挿入された樹脂縦枠15の横断面図を示している。この図に示すように、位置決め部材20の基部21の外形状は、樹脂縦枠15の室内側空間部18の内面形状と略適合するように形成されており、また前述した位置決め面23が、室内側空間部18を構成する室内側壁16の内面に対して当接する。
【0031】
図7には、樹脂縦枠15と樹脂下枠14の連結部分の分解斜視図を示している。この図に示す樹脂縦枠15と樹脂下枠14は、それぞれ金属縦枠12及び金属下枠11に取付けられた状態を示している。この図に示すように、樹脂下枠14は、室内側空間部18を構成する内周側壁17が端部から切り欠かれた切欠部17aを有している。樹脂縦枠15に取付けられた位置決め部材20は、室内側空間部18から突出する嵌合部22が、樹脂下枠14の室内側空間部18に対して挿入され、根元部22aが切欠部17a内をスライドし、その端部に当接した状態で先端部22bが室内側空間部18に対して嵌合して固定される。この際、先端部22bの当接面22cは、樹脂下枠14の室内側空間部18を構成する内周側壁17の内面に当接し、傾斜状に形成されていることにより、挿入するのに伴って樹脂下枠14を樹脂縦枠15の端面側に引き寄せることができる。これによって、樹脂下枠14と樹脂縦枠15の連結部分に隙間が生じることを防止することができる。なお、樹脂下枠14の内周側壁17には端部から切り欠かれた切欠部17aを形成しているが、これは必ずしも端部から切り欠かれている必要はなく、内周側壁17に孔部を形成し、この孔部から室内側空間部18に対して位置決め部材20の嵌合部22を挿入するようにしてもよい。
【0032】
図8には、位置決め部材20が室内側空間部18に挿入された樹脂下枠14の縦断面図を示している。樹脂下枠14は2つの部材によって構成されているが、この図ではそのうち室内側に配置される部材について示している。図8に示すように、位置決め部材20の嵌合部22の室内外方向厚みは、樹脂下枠14の室内側空間部18の内面における室内外方向厚みと略適合するように形成されており、これにより位置決め面23が、室内側空間部18を構成する室内側壁16の内面に対して当接する。
【0033】
このように、位置決め部材20が樹脂縦枠15及び樹脂下枠14にそれぞれ嵌合した状態において、位置決め面23が、樹脂縦枠15の室内側空間部18を構成する室内側壁16の内面と、樹脂下枠14の室内側空間部18を構成する室内側壁16の内面との両方に当接することにより、樹脂縦枠15の室内側壁16と樹脂下枠14の室内側壁16が面一状となるように見込方向位置を規制されることとなる。これによって、樹脂縦枠15と樹脂下枠14の室内面が確実に面一状となって、これらの連結部分において段差が生じることを防止することができる。
【0034】
また、樹脂上枠13と樹脂縦枠15の連結部分も、樹脂下枠14と樹脂縦枠15の連結部分と同様の構成からなっている。したがって、樹脂枠材3においては四周に渡って、連結部分における段差が生じないようにすることができるので、樹脂枠材3の室内側に配設される額縁材5との間に隙間を生じて美観を損ねることを防止することができる。
【0035】
ここまで縦辷り出し窓について説明したが、本発明は窓の種類によらず、適用することができる。第2の実施形態としては、嵌め殺し窓について説明する。図9には第2の実施形態における複合サッシの縦断面図を、図10には第2の実施形態における複合サッシの横断面図を、それぞれ示している。これら各図に示すように、第2の実施形態における複合サッシは、建物開口部に取付けられる枠体1内にガラス体6を納めてなる嵌め殺し窓であり、また枠体1の室内側には額縁材5を配設してなるものである。
【0036】
枠体1の構成は、第1の実施形態と同様に、金属製の枠材を方形状に枠組みしてなる金属枠体2と、金属枠体2の室内側を覆うように取付けられる樹脂製の樹脂枠材3とで構成されている。金属枠体2は、いずれもアルミ材によって形成された金属上枠10、金属下枠11、及び左右の金属縦枠12によって構成され、それぞれの室内側には樹脂上枠13、樹脂下枠14、及び樹脂縦枠15が取付けられる。また、樹脂上枠13及び樹脂縦枠15には、ガラス体6を挟持する押縁部材7が取付けられる。樹脂下枠14については、その室外端部で直接ガラス体6を挟持する。
【0037】
各樹脂枠材3の室内面は、室内側壁16によって形成されており、この室内側壁16と直交するように内周側壁17が形成されている。そして、これら室内側壁16と内周側壁17及びこれらとそれぞれ対向する壁面によって、各樹脂枠材3には室内側に室内側空間部18が形成されている。
【0038】
樹脂枠材3の連結部分には、第1の実施形態と同様の位置決め部材20が設けられる。図11には、位置決め部材20が室内側空間部18に挿入された樹脂縦枠15の横断面図を示している。この図に示すように、樹脂縦枠15の室内側空間部18は、内面の見込方向中間位置に内側に向かって突出する突出片18aが形成されており、この突出片18aよりも室内側の領域に対して、位置決め部材20が挿入される。またこの状態において、位置決め部材20の位置決め面23が、室内側空間部18を構成する室内側壁16の内面に対して当接する。
【0039】
図12には、位置決め部材20が室内側空間部18に挿入された樹脂下枠14の縦断面図を示している。この図に示すように、位置決め部材20の嵌合部22は、樹脂下枠14の室内側空間部18に対して挿入され、また位置決め面23が、室内側空間部18を構成する室内側壁16の内面に対して当接する。
【0040】
このように本実施形態においても、位置決め部材20が樹脂縦枠15及び樹脂下枠14にそれぞれ嵌合した状態において、位置決め面23が、樹脂縦枠15の室内側空間部18を構成する室内側壁16の内面と、樹脂下枠14の室内側空間部18を構成する室内側壁16の内面との両方に当接することで、樹脂下枠14と樹脂縦枠15の室内面を面一状となるように規制している。また、樹脂上枠13と樹脂縦枠15の連結部分においても同様に、位置決め部材20により室内面が面一状となるようにしている。これによって、樹脂枠材3の室内側に配設される額縁材5との間に隙間を生じて美観を損ねることを防止することができる。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用はこれら実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。前述のように、金属枠体2としては、断熱ブリッジ構造を有するものを用いてもよい。また、位置決め部材20は、樹脂材により形成されているが、材質はこれに限られず、金属材など別の材料によって位置決め部材20を形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】第1の実施形態における複合サッシの縦断面図である。
【図2】第1の実施形態における複合サッシの横断面図である。
【図3】金属縦枠に取付けられた樹脂縦枠の下端付近の斜視図である。
【図4】位置決め部材の正面図である。
【図5】樹脂縦枠の室内側空間部に挿入された位置決め部材の正面図である。
【図6】位置決め部材が室内側空間部に挿入された樹脂縦枠の横断面図である。
【図7】樹脂縦枠と樹脂下枠の連結部分の分解斜視図である。
【図8】位置決め部材が室内側空間部に挿入された樹脂下枠の縦断面図である。
【図9】第2の実施形態における複合サッシの縦断面図である。
【図10】第2の実施形態における複合サッシの横断面図である。
【図11】位置決め部材が室内側空間部に挿入された樹脂縦枠の横断面図である。
【図12】位置決め部材が室内側空間部に挿入された樹脂下枠の縦断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 枠体
2 金属枠体
3 樹脂枠材
4 障子
5 額縁材
10 金属上枠
11 金属下枠
12 金属縦枠
13 樹脂上枠
14 樹脂下枠
15 樹脂縦枠
16 室内側壁
17 内周側壁
18 室内側空間部
20 位置決め部材
22 嵌合部
22a 根元部
22b 先端部
22c 当接面
23 位置決め面
24 係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
方形状に枠組みされた金属枠体の室内側を覆うように樹脂枠材が設けられてなる枠体を有した複合サッシにおいて、
前記樹脂枠材は断面空間状に形成された空間領域を有し、該空間領域の少なくとも一つは前記樹脂枠材の室内側壁を壁面として有した室内側空間部であり、
前記樹脂枠材の連結部分には位置決め部材を備え、該位置決め部材は、連結される一方の樹脂枠材の室内側空間部に一端側が挿入され嵌合し、連結される他方の樹脂枠材の室内側空間部に他端側が挿入され嵌合して、連結される各樹脂枠材を位置決めすることを特徴とする複合サッシ。
【請求項2】
前記位置決め部材は、前記一方の樹脂枠材の室内側壁と前記他方の樹脂枠材の室内側壁の両方に当接して、これらの見込方向位置を面一状に規定する位置決め面を備えることを特徴とする請求項1記載の複合サッシ。
【請求項3】
前記位置決め部材は、一端側が前記一方の樹脂枠材の端部から前記室内側空間部に対して挿入され、他端側が前記他方の樹脂枠材の端部内周面に設けられた切欠部または孔部から前記室内側空間部に対して挿入されて、それぞれ固定されることを特徴とする請求項1または2記載の複合サッシ。
【請求項4】
前記位置決め部材は、少なくとも前記切欠部または孔部から前記他方の樹脂枠材に挿入される他端側に略L字状の嵌合部が形成され、該嵌合部は前記室内側空間部を構成する内周側壁に対して当接する当接面を有し、該当接面は前記嵌合部の先端から角部に向かって、前記一方の樹脂枠材の接合端部側に傾斜するように形成されてなることを特徴とする請求項3記載の複合サッシ。
【請求項5】
前記位置決め部材は、前記一方の樹脂枠材に挿入される部分に係止部が形成され、前記一方の樹脂枠材の室内側空間部には前記係止部を係合させる係合部が形成されてなることを特徴とする請求項4記載の複合サッシ。
【請求項6】
前記位置決め部材は、前記嵌合部が形成される一端側とは反対側の一端側にも同形状の嵌合部が形成されると共に、前記係止部が2つの嵌合部間の中央位置に配置されることで、当該位置を中央とした対称形状に形成されることを特徴とする請求項5記載の複合サッシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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