説明

複合メンブレン及び製造方法

本発明は、多孔質ベースメンブレン及びその上に設けられたポリアミドコーティングを含み、ポリアミドコーティングがC3〜C8環状カルボニル化合物及び少なくとも1つのN−H部分を有するC1〜C8アミド化合物を含有する、複合メンブレンを提供する。また、本発明が提供する複合メンブレンの製造方法は、多酸ハロゲン化物を含有する有機溶液をポリアミンを含有する水溶液と界面重合条件下で接触させる工程を含み、接触工程が多孔質ベースメンブレンの表面で行われ、前記有機溶液がさらにC3〜C8環状カルボニル化合物を含有し、前記水溶液が少なくとも1つのN−H部分を有するC1〜C8アミド化合物を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複合メンブレン及び複合メンブレンの製造方法に関する。本発明のメンブレンは、従来の複合メンブレンに比べて高い性能を示す。
【背景技術】
【0002】
多様な薄膜複合メンブレンが知られており、これらが溶質を含有する流体の精製、例えば海水から塩を除去して飲用水を得るのに有用なことが分かっている。通常、このような薄膜複合メンブレンを製造するには、多孔質ベースメンブレンの表面上で水不混和性有機溶剤中の多酸塩化物を水溶液中のポリアミンと界面重合させる。重合で得られたポリアミドは薄膜として多孔質ベースメンブレンの1つの表面上に堆積する。このようなメンブレンは、メンブレン構造に多孔質ベースメンブレン及び界面重合で形成したポリアミド膜層の少なくとも2つの層が存在するので、しばしば複合メンブレンと呼ばれる。複合メンブレンの性能特性は、ポリアミド層の構造及び界面重合反応混合物中の添加剤の有無に応じて変化することが確認されている。さらに、このような薄膜複合メンブレンは、水をメンブレンに強制的に通すときに遭遇する圧力下での水の影響に敏感である。例えば、多孔質ベースメンブレンの表面でのポリアミド膜の圧力による圧縮が、時間の経過とともに気孔率低下及びメンブレン性能の劣化につながるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1958685号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、複合メンブレン技術では技術的に優れた多くの進歩が見られるが、世界の水供給の高まる需要を踏まえて依然として向上が求められている。効率的かつ経済的であることに加えて、高い選択性、流量及び薬剤耐性を兼ね備えた優れたメンブレンが必要とされている。さらに、このような優れた性能特性を有するメンブレンを提供できる新しいメンブレン組成物及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態では、本発明は、多孔質ベースメンブレン及び多孔質ベースメンブレン上に配置されたポリアミドコーティングを含み、このポリアミドコーティングがC3〜C8環状カルボニル化合物及び少なくとも1つのN−H部分を有するC1〜C8アミド化合物を含有する、複合メンブレンを提供する。
【0006】
別の実施形態では、本発明は、多酸ハロゲン化物を含有する有機溶液をポリアミンを含有する水溶液と界面重合条件下で接触させる工程を含み、接触工程が多孔質ベースメンブレンの表面上で行われ、前記有機溶液がさらにC3〜C8環状カルボニル化合物を含有し、前記水溶液が少なくとも1つのN−H部分を有するC1〜C8アミド化合物を含有する、複合メンブレンの製造方法を提供する。
【0007】
他の実施形態では、本発明は、有機三酸塩化物、脂肪族炭化水素溶剤及びシクロヘキサノンを含有する有機溶液を芳香族ジアミン、水及びアセトアミドを含有する水溶液と界面重合条件下で接触させる工程を含み、接触工程が多孔質ポリスルホンメンブレンの表面で行われ、シクロヘキサノンが有機溶液の総重量の約0.1〜約3.5wt%に相当する量で存在し、アセトアミドが水溶液の総重量の約0.1〜約3.5wt%に相当する量で存在し、接触工程が約0℃〜約80℃の範囲の温度で行われる、複合メンブレンの製造方法を提供する。
【0008】
本発明の上記その他の特徴、態様及び利点については、図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによって理解を深めることができるであろう。図面を通して、同様の部材には同様の符号を付した。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】複合メンブレンを製造する普通の装置の線図である。
【図2】多孔質ベースメンブレンを製造する装置の線図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
前述したように、本発明の一実施形態は、多孔質ベースメンブレンにポリアミドコーティングを配置してなる複合メンブレンであり、該ポリアミドコーティングがC3〜C8環状カルボニル化合物及び少なくとも1つのN−H部分を有するC1〜C8アミド化合物を含有する。本発明のメンブレンを、「複合メンブレン」と表記するが、複合メンブレンは、支持用ベース構造、即ち多孔質ベースメンブレンとポリアミドの表面層との組合せ(即ち、複合体)を示す。ポリアミドコーティング成分は、複合メンブレンの表面層を溶質が透過するのを抑制しながら、複合メンブレンの表面層を水が選択的に透過するのに必要な化学官能性及びバリア特性を与える。
【0011】
当業者に明らかなように、多孔質ベースメンブレンは通常、2つの表面を有する膜として構成される。多孔質ベースメンブレンの2つの表面のうち1つにポリアミドコーティング成分を形成して、ポリアミドで被覆した表面と未処理表面を有する複合メンブレンを得る。ポリアミドコーティング成分は、複合メンブレンの表面層を溶質種が透過するのを抑制しながら、複合メンブレンの表面層を水が選択的に透過するのを可能にするので、ポリアミドが配置された複合メンブレンの表面は、よく複合メンブレンの「活性」(能動)表面と呼ばれる。逆に、多孔質ベースメンブレンの未処理表面は、元のベースメンブレンの透過特性を維持しているので、よく複合メンブレンの「受動」表面と呼ばれる。
【0012】
複合メンブレンのポリアミド成分をコーティングと表記するが、多孔質ベースメンブレンが多孔質であるので、ポリアミドは、多孔質ベースメンブレンの内部体積の少なくとも一部に浸透することができ、厳密に多孔質ベースメンブレンの表面にとどめる必要がないことは当業者に明らかである。ポリアミンを多酸ハロゲン化物と界面重合させるのに必要な水溶液及び有機溶液と多孔質ベースメンブレンの1つの表面を接触させることにより複合メンブレンを製造する実施形態では、これは特にあてはまる。当業者に明らかなように、界面重合領域は多孔質ベースメンブレンの内部体積の少なくとも一部を含むことができる。
【0013】
ポリアミドコーティングはC3〜C8環状カルボニル化合物及びC1〜C8アミド化合物を含有し、アミド化合物は少なくとも1つのN−H部分を有する。ここで詳細に示すように、カルボニル化合物とアミド化合物の組合せは、ポリアミドコーティング中にこの組合せの添加剤を含有しない複合メンブレンに比べて、本発明の複合メンブレンの性能を向上する。
【0014】
3〜C8環状カルボニル化合物は、炭素原子数3〜8の環状ケトン、例えばシクロオクタノン、シクロヘプタノン、2−メチルシクロヘキサノン、シクロヘキサノン、シクロヘキセン−3−オン、シクロペンタノン、シクロブタノン、3−ケトテトラヒドロフラン、3−ケトテトラヒドロチオフェン及び3−ケトオキセタン;炭素原子数3〜8の環状エステル、例えば2−メチルカプロラクトン、カプロラクトン、バレロラクトン、ブチロラクトン、ジケテン及びプロピオラクトン;又はC3〜C8環状カーボネート、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブタンジオールカーボネート、1,2−ペンタンジオールカーボネート、1,2−ヘキサンジオールカーボネート及び1,2−ヘプタンジオールカーボネートとすることができる。
【0015】
一実施形態では、環状カルボニル化合物はシクロヘキサノンである。別の実施形態では、環状カルボニル化合物はブチロラクトンである。他の実施形態では、環状カルボニル化合物はシクロヘキサノン及びブチロラクトンの混合物を含有する。
【0016】
少なくとも1つのN−H部分を有するC1〜C8アミド化合物は、脂肪族アミド、脂環式アミド又は芳香族アミドとすることができる。ここで定義するアミド化合物は、ホルムアミド(HCONH2)、アセトアミド(CH3CONH2)、プロピオンアミド(CH3CH2CONH2)などの単純脂肪族アミド;シクロプロパンカルボキサミド、シクロブタンカルボキサミド、シクロペンタンカルボキサミド、シクロヘキサンカルボキサミド、シクロヘプタンカルボキサミドなどの単純脂環式アミド;カプロラクタム、バレロラクタムなどの単純ラクタム;及びチオフェン−2−カルボキサミド、チオフェン−3−カルボキサミド、ベンズアミド、2−メチルベンズアミドなどの単純芳香族アミドのように、少なくとも1つのN−H部分がカルボニル基に直接結合しているものである。
【0017】
少なくとも1つのN−H部分を有するC1〜C8アミド化合物は、N−メチルアセトアミド、N−メチルシクロプロパンカルボキサミド及びN−メチルベンズアミドのように、N−H部分に置換基、例えばメチル基を有することができる。一実施形態では、C1〜C8アミド化合物は、N−アセチルアセトアミド(CAS No.625−77−4)、N−アセチルホルムアミド、N−アセチルプロピオンアミド、N−プロピオニルホルムアミド、N−プロピオニルプロピオンアミド、コハク酸イミド、N−アセチルシクロプロパンカルボキサミド及びN−アセチルチオフェン−2−カルボキサミドのように、N−H部分に置換基としてアシル基を有する。N−H部分に置換基としてアシル基を有するC1〜C8アミド化合物がイミドと呼ばれることがあるのは当業者に明らかである。例えば、上記のコハク酸イミドは、N−H部分に第2の環状カルボニル基がついた環状アミドを示す。
【0018】
一実施形態では、少なくとも1つのN−H部分を有するC1〜C8アミド化合物はアセトアミドである。別の実施形態では、少なくとも1つのN−H部分を有するC1〜C8アミド化合物はホルムアミドである。他の実施形態では、少なくとも1つのN−H部分を有するC1〜C8アミド化合物はコハク酸イミドである。
【0019】
ポリアミドコーティングの成分であるC3〜C8環状カルボニル化合物及びC1〜C8アミド化合物に関する上記の考察で、このような添加剤の混合物を用いても本発明の複合メンブレンの性能を、ポリアミドコーティングにこれらの添加剤を含有しない複合メンブレンに比べて向上できることは当業者に明らかである。
【0020】
前述したように、本発明の複合メンブレンは、C3〜C8環状カルボニル化合物及びC1〜C8アミド化合物を含有するポリアミドを多孔質ベースメンブレン上に配置した構成である。様々な多孔質ベースメンブレンが適当であり、市販品として入手可能であり、、また当業者に既知の方法で製造することもできる。一実施形態では、多孔質ベースメンブレンは、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエステル、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン及びポリエーテルエーテルケトンから選択される。
【0021】
一実施形態では、本発明の複合メンブレンは、本明細書で記載したように製造したポリスルホン膜からなる多孔質ベースメンブレンを含有する。別の実施形態では、多孔質ベースメンブレンは多孔質ポリエーテルスルホン膜である。
【0022】
多孔質ベースメンブレンの厚さは、変えることができるが、流体精製デバイスの運転条件に耐える複合メンブレンを提供するのに十分でなければならない。一実施形態では、多孔質ベースメンブレンの厚さは約10〜約500μmの範囲である。別の実施形態では、多孔質ベースメンブレンの厚さは約20〜約250μmの範囲である。他の実施形態では、多孔質ベースメンブレンの厚さは約40〜約100μmの範囲である。
【0023】
一態様では、本発明は、複合メンブレンを製造する方法を提供する。一実施形態では、本方法は、多酸ハロゲン化物を含有する有機溶液をポリアミンを含有する水溶液と界面重合条件下で接触させる工程を含む。接触工程は多孔質ベースメンブレンの表面で行われ、前記有機溶液はさらにC3〜C8環状カルボニル化合物を含有し、前記水溶液は少なくとも1つのN−H部分を有するC1〜C8アミド化合物を含有する。界面重合反応は通常、約0℃〜約80℃の範囲の温度で行う。一実施形態では、界面重合反応は約5℃〜約60℃の範囲の温度で行う。別の実施形態では、界面重合反応は約10℃〜約40℃の範囲の温度で行う。本明細書の実施例に、本発明の上記その他の態様を実施するさらに詳細な例を示す。
【0024】
一実施形態では、有機溶液は、炭化水素溶剤、アルコール溶剤、ケトン溶剤、エステル溶剤、エーテル溶剤、アミド溶剤及びこれらの混合物から選択される有機溶剤を含有する。一実施形態では、有機溶液は炭化水素溶剤を含有する。
【0025】
前述したように、有機溶液はC3〜C8環状カルボニル化合物を含有する。一実施形態では、有機溶液は、有機溶液の総重量の約0.1〜約3.5wt%に相当する量でC3〜C8環状カルボニル化合物を含有する。別の実施形態では、有機溶液は、有機溶液の総重量の約0.5〜約2.5wt%に相当する量でC3〜C8環状カルボニル化合物を含有する。他の実施形態では、有機溶液は、有機溶液の総重量の約1〜約1.5wt%に相当する量でC3〜C8環状カルボニル化合物を含有する。
【0026】
前述したように、水溶液はC1〜C8アミド化合物を含有する。一実施形態では、水溶液は、水溶液の総重量の約0.1〜約3.5wt%に相当する量でC1〜C8アミド化合物を含有する。別の実施形態では、水溶液は、水溶液の総重量の約0.5〜約2.5wt%に相当する量でC1〜C8アミド化合物を含有する。他の実施形態では、水溶液は、水溶液の総重量の約1〜約1.5wt%に相当する量でC1〜C8アミド化合物を含有する。
【0027】
前述したように、有機溶液は多酸ハロゲン化物を含有し、この多酸ハロゲン化物は、ポリアミンを含有する水溶液と接触すると、多孔質ベースメンブレンの表面でポリアミンと反応して界面重合反応を起こし、多孔質ベースメンブレンの表面にポリアミドを配置させる。適当な多酸塩化物には、トリメシン酸塩化物、テレフタロイル塩化物、イソフタロイル塩化物、コハク酸二酸塩化物、グルタル酸二酸塩化物、アジピン酸二酸塩化物、トランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸二酸塩化物、シス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸二酸塩化物、ケンプ三酸の三酸塩化物及びこれらの多酸塩化物を2つ以上含有する混合物がある。
【0028】
適当なポリアミンには、p−フェニレンジアミン(pPD)、m−フェニレンジアミン(mPD)、4,4’−ジアミノビフェニル、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,10−デカンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、1,3,5−トリアミノベンゼン、ピペラジン、シス−1,3,5−シクロヘキサントリアミン及びこれらのポリアミンを2つ以上含有する混合物がある。
【0029】
ここで図を参照すると、図1は、複合メンブレンを製造する普通の装置及び方法を示す。図1に示す装置は、供給ロール10を備え、供給ロール10でメンブレン基材膜20をコーティングゾーン30を有するメンブレンコーティングライン2に搬送し、そこでポリアミンを含有する水溶液及び多酸塩化物を含有する有機溶液をメンブレン基材膜20の1表面に適用する。ゾーン32はポリアミン及び多酸塩化物がポリアミドに転化する界面重合ゾーンを示す。ゾーン34はメンブレンコーティングラインの乾燥段階を示す。ゾーン36は、メンブレン基材膜の表面に配置したポリアミド(図示せず)を水で洗浄し、その前の界面重合及び乾燥段階後に残留している水溶性成分を除去する洗浄ゾーンを示す。ゾーン36の洗浄段階後、被覆膜を乾燥段階34で再乾燥して被覆メンブレン基材膜22を得、それを受入ロール100に巻き付ける。
【0030】
さらに図1では、その後、メンブレン後処理ライン4で被覆メンブレン基材膜22に化学修飾を施し、性能特性、例えば複合メンブレンのメンブレン「A値」を向上する。被覆メンブレン基材膜22を供給ロール10からメンブレン後処理ライン4に供給し、化学処理ゾーン38、洗浄ゾーン36及び乾燥ゾーン34を通して、複合メンブレン製品24を形成し、受入ロール100に保管する。
【0031】
つぎに図2を参照すると、図2は、メンブレンバッキング材料200上に支持された多孔質ベースメンブレンを製造する装置及び方法を示す。メンブレンバッキング材料を供給ロール10からローラー21を通してメンブレンキャスティング溶液52に供給し、計量ナイフ54によりメンブレンバッキング材料200上にメンブレンキャスティング溶液52を分散させる。一実施形態では、メンブレンキャスティング溶液52は、ジメチルホルムアミドなどの水溶性溶剤にポリスルホンを含む溶液である。その後、メンブレンキャスティング溶液で被覆したメンブレンバッキング材料を水を入れた凝固浴56に送り込む。メンブレンキャスティング溶液に存在する水溶性溶剤が凝固浴中に分散し、多孔質ベースメンブレンがメンブレンバッキング材料上に沈殿する。つぎに多孔質ベースメンブレンが堆積したメンブレンバッキング材料をすすぎ浴58に通して微量の溶剤を除去した後、受入ロール100に保管する。複合メンブレンの製造に多孔質ベースメンブレンを使用する前に、メンブレンバッキング材料200を多孔質ベースメンブレンから分離することができる。あるいは、複合メンブレンの製造時は、メンブレンバッキング材料を多孔質ベースメンブレンに接触したままにし、製造後に取り除いてもよい。メンブレンバッキング材料の気孔率及び強度が適当な場合、メンブレンバッキング材料を多孔質ベースメンブレン及び複合メンブレンの両方の一体化成分として残してもよい。
【0032】
一実施形態では、本発明のメンブレンを以下のように製造する。基材膜(多孔質ベースメンブレンとも表記する)を水、ポリアミン及び少なくとも1つのN−H部分を有するC1〜C8アミド化合物を入れた水性コーティング浴に送り込む。アミド化合物は、水性コーティング浴溶液の総重量に基づき約0.1〜約3.5wt%に相当する量で存在する。ポリアミン及びアミド化合物の水溶液で片側を被覆した多孔質ベースメンブレンをゴム製ニップローラーのような装置又は空気流に通して余分な流体を除去する。その後、被覆多孔質ベースメンブレンを水不混和性溶剤、多酸ハロゲン化物及びC3〜C8環状カルボニル化合物を入れた有機コーティング浴に送り込む。C3〜C8環状カルボニル化合物は有機コーティング浴溶液の総重量の約0.1〜約3.5wt%に相当する量で存在する。有機コーティング溶液通過後、多孔質ベースメンブレンを乾燥器に通して溶剤及び水を除去して複合メンブレン製品を形成する。
【実施例】
【0033】
[共通の方法]
ウェブコーティング装置を用いたメンブレン製造:メンブレンは、ポリアミド界面重合化学を用いてポリアミド薄膜層を多孔質ポリスルホン限外濾過(UF)支持体(多孔質ベースメンブレン)上に堆積することにより製造した。標準ウェブコーティング装置に装填した湿潤ポリスルホンUF支持体ウェブをm−フェニレンジアミン(mPD)の水溶液(溶液A)を入れた第1ディップコーティングタンクに浸し引き上げた。本発明の実施形態を製造する実験では、この水溶液はmPDの他に有効量のC1〜C8アミドを含有した。支持体ウェブ上の余分な水溶液は、ゴム製ニップローラーアセンブリ及びエアナイフによって除去した。その後、アイソパーG溶剤にトリメシン酸クロリド(TMC)を含む有機溶液(溶液B)を入れた第2ディップコーティングタンクにウェブを浸し引き上げた。本発明の実施形態を製造する実験では、この有機溶液はTMCの他に有効量のC3〜C8環状カルボニル化合物を含有した。多孔質ベースメンブレン(支持体ウェブ)上で溶液Aと溶液Bとを接触させることによりmPDとTMC成分の界面重合を引き起こし、多孔質ベースメンブレン上にポリアミドコーティングを配置した。次に、複合メンブレン製品を乾燥用オーブン内で乾燥し、その後、必要になるまでスプールに巻き付けておいた。
【0034】
多孔質ベースメンブレンは、ポリマーに対して非溶剤として作用する水を入れた浴に浸漬することによりポリスルホン溶液の薄膜を凝固させる転相法(R. E. Kesting, 1971, Synthetic Polymeric Membranes, McGraw-Hill)を用いて製造した。具体的には、ジメチルホルムアミド(DMF)及びエチレングリコールモノメチルエーテルを含有する混合物にポリマーを溶解することによりULTRASAN S 6010ポリスルホン(BASF)を含有するキャスティング溶液を製造した。キャスティング溶液は、約16.3wt%(重量%)のポリスルホンポリマー、8wt%のエチレングリコールモノメチルエーテル及び残部のDMFを含有した。キャスティング溶液を強化不織ポリエステル布支持体ウェブ上に定量移送し、被覆支持体を水浴に浸漬して多孔質ポリスルホン膜を形成した。水で多孔質ポリスルホン膜を洗浄することにより残留溶剤を多孔質ポリスルホン膜から除去した。ポリスルホン限外濾過(UF)メンブレンとも呼ばれる多孔質ポリスルホン膜は、使用するまで湿らせておいた。この方法で製造した多孔質ポリスルホン膜は、本発明の複合メンブレンの多孔質ベースメンブレン成分として有効であった。
【0035】
メンブレン性能試験:フラットシートに形成した複合メンブレンに、クロスフロー試験セル装置(米国ワシントン州ケント所在Sterlitech社)(モデルCF042)で35.68cm2の有効メンブレン面積にてメンブレン試験を行った。試験セルを2つ直列に6つの平行な試験ラインのそれぞれにつないだ。セルの各ラインは、供給流れをオン/オフしたり、濃縮物の流量を調節したりするバルブを備え、すべての試験で濃縮物の流量を1gpm(ガロン/分)に設定した。試験装置は、温度測定プローブ、ポンプ輸送により生じた過剰熱を除去するように構成された熱交換器及び熱交換器に循環する冷却材の温度を下げるように構成された空冷式冷却装置を有する温度制御システムを備えた。
【0036】
最初に、複合メンブレンを赤色蛍光色素(Cole−Parmer社製ローダミンWT)で試験して欠陥を検出した。1%のローダミン赤色色素を含有する色素溶液を複合メンブレンのポリアミド表面にスプレーし、1分間放置し、その後、赤色色素をすすぎおとした。ローダミン赤色色素は、ポリアミドを着色しないが、ポリスルホンを非常に良く着色するので、完全なすすぎ後は、無欠陥メンブレンに色素着色は認められないはずである。一方、色素着色のパターン(例えば、赤色スポット又は他の不規則な色素着色パターン)は、複合メンブレンの欠陥を表す。メンブレンから2インチx6インチの長方形のクーポンを切り出し、クロスフロー試験セルに装填した。各種類のメンブレンからの3つのクーポン(3つの反復試験片)を同条件下で試験し、得られた結果を平均して平均性能値と標準偏差を求めた。まず、水を試験セルのメンブレンに30分間循環させて残留薬品及び色素を除去することにより、メンブレンクーポンを浄化した。その後、500ppmの硫酸マグネシウムを含有する合成汽水をメンブレンに65psi、25℃で循環させた。水のpHをpH6.5〜pH7.5の範囲で制御した。運転1時間後、透過液サンプルを10分間採取して分析した。
【0037】
最初の試験後、試験クーポンを70ppmの次亜塩素酸ナトリウムに25℃で30分間暴露した。その後、試験クーポンを脱イオン水で1時間すすいだ。この「塩素処理」後、上記の500ppmの硫酸マグネシウムを含有する合成供給溶液で試験クーポンを逆浸透メンブレン性能について再び試験した。CON11導電率計(Oakton Instruments社製)で溶液の導電率及び温度を測定した。導電率を25℃での測定値に補正した。Russell RL060PポータブルpHメータ(Thermo Electron社製)でpHを測定した。
【0038】
透過液をメスシリンダーに採取した。採取した透過液の重量をNavigator天秤で測定し、時間間隔をFisher Scientific社製ストップウオッチで記録した。各場合で「A値」で表すメンブレン透過率を計算した。得られたA値はメンブレンを通過する水の透過率を示し、標準温度(77°F(25℃))で測定した。ここで示したA値の単位は10-5cm3/(s・cm2・atm)である。
【0039】
透過液の重量、採取時間、メンブレン面積及び膜間差圧からA値を計算した。透過液及び供給溶液の塩濃度を導電率により測定して脱塩率を得た。
【0040】
場合によっては、複合メンブレン製品を熱い脱イオン水ですすぎ、試験又は部材製造まで冷蔵室に保管した。一実施形態では、複合メンブレン製品をポリビニルアルコールを含有する溶液で処理し、乾燥した後、保管、試験又は部材製造を行った。
【0041】
比較例1
実験室用メンブレンコーターを用いてポリアミド被覆薄膜複合ROメンブレンを製造した。2.0wt%のm−フェニレンジアミン(mPD)、6.6wt%のトリエチルアンモニウムカンファースルホネート(TEACSA)及び0.2wt%のラウリル硫酸ナトリウム(CAS#151−21−3)(SLS)を含有する水性コーティング溶液(溶液A、公称91.2wt%の水)を調製した。アイソパーG中に0.11wt%のトリメシン酸クロリド(TMC)を含有する有機コーティング溶液(溶液B)を調製した。パイロットスケールのメンブレンコーターを用い、[共通の方法]の項に記載した共通の重合方法にしたがって、湿潤ポリスルホン多孔質支持体膜をm−フェニレンジアミンを含有する水溶液(溶液A)で最初に被覆し、その後、トリメシン酸クロリドを含有する有機溶液(溶液B)で被覆し、ポリスルホン多孔質支持体膜の1表面でジアミンと三酸塩化物との界面重合反応を行い、こうして薄膜複合逆浸透メンブレンを製造した。硫酸マグネシウムの溶液(500ppmのMgSO4)を用いて運転圧力65ポンド/平方インチ(psi)、運転クロスフロー量1.0g/分(g/モル)、pH7.0で[共通の方法]の項で説明したようにメンブレン製品を3組ずつ試験した。試験結果を表1に示す。
【0042】
【表1】

試験後、メンブレンを70ppmの次亜塩素酸ナトリウムを含有する水溶液と25℃で30分間接触させた。その後、メンブレンを水で1時間すすぎ、続いて硫酸マグネシウム溶液で上記と同条件(500ppmのMgSO4、運転圧力65(psi)、運転クロスフロー量1.0(gpm)、pH7.0、周囲温度)下で再び試験して、表1の「メンブレンA値(塩素処理後)」及び「塩透過(塩素処理後、%)」の項目のデータを得た。
【0043】
比較例2〜4
ポリアミド薄膜複合ROメンブレンは、水性コーティング溶液(溶液A)がさらに1.5wt%〜3.5wt%のアセトアミドを含有したこと以外は、比較例1と同様な方法で製造した。複合メンブレン製品を試験し、メンブレンA値及び塩透過特性を測定した。データを表2にまとめる。データから水性コーティング溶液が溶解アセトアミドを含有する場合、コントロール(比較例1)に比べて性能が向上することがわかる。比較例2〜4から、アセトアミドが高濃度になると、多孔質ベースメンブレンは、溶液Aに存在するアセトアミドの量に影響を受けることがあり、これらの比較例2〜4に用いた特定の多孔質ベースメンブレンでは、3.5wt%のアセトアミドで、低品質の複合メンブレン製品となることがわかる。
【0044】
【表2】

比較例5〜7
ポリアミド薄膜複合ROメンブレンは、有機コーティング溶液(溶液B)がさらに1.5wt/vol%(2wt/wt%)、2.5wt/vol%(3.3wt/wt%)又は3wt/vol%(4wt/wt%)のシクロヘキサノン(chex)を含有したこと以外は、比較例1と同様な方法で製造した。複合メンブレン製品を試験し、メンブレンA値及び塩透過特性を測定した。データを表3にまとめる。データから、有機コーティング溶液が溶解シクロヘキサノンを含有する場合、コントロール(比較例1)に比べて複合メンブレン製品の性能が向上することがわかる。データから、複合メンブレン性能はシクロヘキサノンによって向上するが、有機コーティング溶液(溶液B)の添加剤としてのシクロヘキサノンがわずか4wt%で多孔質支持体メンブレンを損傷することがわかる。
【0045】
【表3】

実施例1
ポリアミド薄膜複合ROメンブレンは、水性コーティング溶液(溶液A)がさらに1.5wt%のアセトアミドを含有し、有機コーティング溶液(溶液B)がさらに2.5wt%(実施例2)のシクロヘキサノン(chex)を含有したこと以外は、比較例1と同様な方法で製造した。複合メンブレン製品を試験し、メンブレンA値及び塩透過特性を測定した。データを表4にまとめる。データから、水性及び有機コーティング溶液の両方が性能向上添加剤を含有する場合、水性又は有機コーティング溶液のいずれかに性能向上添加剤を1つだけ含有するコントロール(比較例2及び6)に比べて複合メンブレン製品の性能が向上することがわかる。便宜上、比較例1、2及び6も表4に示す。
【0046】
【表4】

比較例1(表4)は、コーティング溶液A中のアセトアミドの効果を示す。つまり、コーティング溶液Aがさらに1.5%のアセトアミドを含有した場合、塩素処理前でコントロール(比較例1)に比べてA値が3.8向上した。比較例6(表4)では、有機コーティング溶液がさらに3.3wt/wt%のシクロヘキサノンを含有する場合、溶液A又は溶液Bどちらにも添加剤を含有しないコントロールに比べてA値が19ポイント増加した。しかし、実施例1では、水性コーティング溶液がさらに1.5%のアセトアミド添加剤を含有し、有機コーティング溶液がさらに3.3wt/wt%のシクロヘキサノンを含有した場合、比較例1と比べてA値が37.9向上した。2つの添加剤併用のこの効果は、アセトアミド単独又はシクロヘキサノン単独のいずれかの独立した効果をはるかに超過している。2つの添加剤を併用した場合に明白な、驚くべき相乗効果が認められる。2つの性能向上成分のメンブレンA値への併用効果(+37.9)は、それぞれ単独の効果の合計(+22.8=19+3.8)より著しく高い。水性コーティング溶液又は有機コーティング溶液いずれかに1つの添加剤だけを用いる場合、比較的小さな流束増加が認められただけであることから考えて、有機コーティング溶液中の環状カルボニル化合物と水性コーティング溶液中のN−H部分を有する固体アミドの組合せのこの相乗効果は予想外である。また注目すべきことに、水性コーティング溶液(溶液A)又は有機コーティング溶液(溶液B)のいずれかの単独のメンブレン性能向上添加剤が3.5wt%を上回ると、この実施例1及び比較例で用いた多孔質メンブレン支持体を損傷するが、実施例1の被覆複合メンブレンが含有するメンブレン性能向上添加剤の総量が、比較例4及び7のいずれかで用いた添加剤量を超える量に相当するという事実にもかかわらず、実施例1ではメンブレンに損傷は無かった。
【0047】
実施例2〜8及び比較例8〜16
ハンドフレームコーティング器具を用いたメンブレン製造:複合メンブレンは、多孔質ベースメンブレンを固定し、その後C3〜C8環状カルボニル化合物及びC1〜C8アミド化合物を含有するポリアミドコーティングで被覆することができる、1対のフレームをはめ合わせてなるハンドフレームコーティング装置を用いても製造した。用いた方法は以下の通りであった。多孔質ベースメンブレンをまず脱イオン水に30分間以上浸漬した。湿潤多孔質ベースメンブレンを2つの8インチ×11インチのプラスチックフレームの間に固定し、次に加工するまで水で覆ったままにした。多孔質ベースメンブレンから余分な水を除去し、多孔質ベースメンブレンの1表面をm−フェニレンジアミン(2wt%)、トリエチルアミン(2wt%)、カンファースルホン酸(4.6wt%)及びC1〜C8アミド化合物を含有する200gの水溶液で処理した。フレームの上側部分により水溶液を多孔質ベースメンブレンの表面に保持した。30秒間後、フレームと処理された多孔質ベースメンブレンとのアセンブリを傾けることにより水溶液を多孔質ベースメンブレンの表面から除去したところ、水溶液の孤立した水滴のみが処理後の多孔質ベースメンブレンの表面に認められる状態となった。処理後の表面を穏やかな空気流にさらすことによりさらに処理して水溶液の孤立した水滴を除去した。その後、多孔質ベースメンブレンの処理後の表面をアイソパーG溶剤にトリメシン酸クロリド(0.11wt%)及びC3〜C8環状カルボニル化合物を含有する100gの有機溶液と接触させた。その後、フレームの角を傾けることにより余分な有機溶液を除去し、余分な有機溶液を適当な回収容器に集めた。その後、フレームを水平位置に戻し、多孔質ベースメンブレンの処理表面上に残った有機溶液の膜を約1分間放置した。穏やかな空気流を用いて多孔質ベースメンブレンの処理表面から残留有機溶液を除去した。その後、処理後のアセンブリを乾燥オーブンに入れ100℃の温度に約6分間維持した。得られた複合メンブレンを試験した。本発明の複合メンブレン及び比較例の複合メンブレンを上記のハンドフレーム法を用いて製造した。これらのメンブレンの性能データを下記表5に示す。
【0048】
【表5】

表5の実施例2、3、5及び6のデータは、実施例1で認められたアミド及び環状カルボニル化合物添加剤の相乗効果と合致している。不可解なことに、実施例4及び7では相乗効果が認められなかった。2つの添加剤の相乗効果の大きさは、未処理コントロールの「A値」性能(比較例8のA値11.36)に与える各添加剤の単独の効果と2つの添加剤の併用効果を比較することにより確認することができる。この一連の比較を下記表6に示す。これにより実施例2、3、5及び6のそれぞれで相乗効果があることが明らかである。
【0049】
【表6】

本明細書では、本発明を最良の形態を含めて開示するとともに、装置又はシステムの製造・使用及び方法の実施を始め、本発明を当業者が実施できるようにするため、例を用いて説明してきた。本発明の特許性を有する範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に自明な他の例も包含する。かかる他の例は、特許請求の範囲の文言上の差のない構成要素を有しているか、或いは特許請求の範囲の文言と実質的な差のない均等な構成要素を有していれば、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0050】
2 メンブレンコーティングライン
4 メンブレン後処理ライン
10 供給ロール
20 メンブレン基材膜
21 ローラー
22 被覆メンブレン基材膜
24 複合メンブレン製品
30 コーティングゾーン
32 界面重合ゾーン
34 乾燥ゾーン
36 洗浄ゾーン
38 化学処理ゾーン
52 メンブレンキャスティング溶液
54 計量ナイフ
56 凝固浴
58 すすぎ浴
100 受入ロール
200 メンブレンバッキング材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質ベースメンブレン及び多孔質ベースメンブレン上に配置されたポリアミドコーティングを含み、前記ポリアミドコーティングがC3〜C8環状カルボニル化合物及び少なくとも1つのN−H部分を有するC1〜C8アミド化合物を含有する、複合メンブレン。
【請求項2】
多孔質ベースメンブレンが、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエステル、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン及びポリエーテルエーテルケトンよりなる群から選択される、請求項1記載の複合メンブレン。
【請求項3】
多孔質ベースメンブレンが多孔質ポリスルホン膜である、請求項1記載の複合メンブレン。
【請求項4】
環状カルボニル化合物が、シクロブタノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ブチロラクトン、バレロラクトン、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートよりなる群から選択される、請求項1記載の複合メンブレン。
【請求項5】
環状カルボニル化合物がシクロヘキサノンである、請求項1記載の複合メンブレン。
【請求項6】
アミド化合物が、ホルムアミド、アセトアミド、プロピオンアミド、ブチルアミド及びコハク酸イミドよりなる群から選択される、請求項1記載の複合メンブレン。
【請求項7】
アミド化合物がアセトアミドである、請求項1記載の複合メンブレン。
【請求項8】
多酸ハロゲン化物を含有する有機溶液をポリアミンを含有する水溶液と界面重合条件下で接触させる工程を含み、接触工程が多孔質ベースメンブレンの表面で行われ、前記有機溶液がさらにC3〜C8環状カルボニル化合物を含有し、前記水溶液が少なくとも1つのN−H部分を有するC1〜C8アミド化合物を含有する、複合メンブレンの製造方法。
【請求項9】
多孔質ベースメンブレンが、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエステル、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルケトン及びポリエーテルエーテルケトンよりなる群から選択される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
多孔質ベースメンブレンが多孔質ポリスルホンメンブレンである、請求項8記載の方法。
【請求項11】
環状カルボニル化合物が、シクロブタノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ブチロラクトン、バレロラクトン、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートよりなる群から選択される、請求項8記載の方法。
【請求項12】
環状カルボニル化合物がシクロヘキサノンである、請求項8記載の方法。
【請求項13】
アミド化合物が、ホルムアミド、アセトアミド、プロピオンアミド、ブチルアミド及びコハク酸イミドよりなる群から選択される、請求項8記載の方法。
【請求項14】
アミド化合物がアセトアミドである、請求項8記載の方法。
【請求項15】
3〜C8環状カルボニル化合物が有機溶液の総重量の約0.1〜約3.5wt%に相当する量で存在する、請求項8記載の方法。
【請求項16】
1〜C8アミド化合物が水溶液の総重量の約0.1〜約3.5wt%に相当する量で存在する、請求項8記載の方法。
【請求項17】
前記有機溶液が脂肪族炭化水素溶剤を含有する、請求項8記載の方法。
【請求項18】
多酸ハロゲン化物がトリメシン酸塩化物を含む、請求項8記載の方法。
【請求項19】
ポリアミンがm−フェニレンジアミンを含む、請求項8記載の方法。
【請求項20】
有機三酸塩化物、脂肪族炭化水素溶剤及びシクロヘキサノンを含有する有機溶液を芳香族ジアミン、水及びアセトアミドを含有する水溶液と界面重合条件下で接触させる工程を含み、接触工程が多孔質ポリスルホンメンブレンの表面で行われ、シクロヘキサノンが有機溶液の総重量の約0.1〜約3.5wt%に相当する量で存在し、アセトアミドが水溶液の総重量の約0.1〜約3.5wt%に相当する量で存在し、接触工程が約0℃〜約80℃の範囲の温度で行われる、複合メンブレンの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−527348(P2012−527348A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511834(P2012−511834)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/029631
【国際公開番号】WO2010/135033
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】