複合入力装置
【課題】太陽電池の上にタッチパネルを設けた複合入力装置において、引き回し配線部による光透過率の低下を防いで、太陽電池に届く光を十分に確保し、太陽電池における光電変換効率を向上させると共に、タッチパネルとしての機能を有する複合入力装置を提供することである。
【解決手段】複合入力装置は、受光面で受光して発電可能な太陽電池部と、前記太陽電池部の前記受光面の上に設けられ、透明導電膜を有するタッチパネル部と、前記太陽電池部の前記受光面に対する側面に設けられ、前記透明導電膜と接続された引き回し配線部と、を備え、導電性ナノワイヤ材料によって構成され、前記受光面上から前記側面にわたって折り曲げ可能な折り曲げ部によって、前記透明導電膜と前記引き回し配線部とを電気的に接続する。
【解決手段】複合入力装置は、受光面で受光して発電可能な太陽電池部と、前記太陽電池部の前記受光面の上に設けられ、透明導電膜を有するタッチパネル部と、前記太陽電池部の前記受光面に対する側面に設けられ、前記透明導電膜と接続された引き回し配線部と、を備え、導電性ナノワイヤ材料によって構成され、前記受光面上から前記側面にわたって折り曲げ可能な折り曲げ部によって、前記透明導電膜と前記引き回し配線部とを電気的に接続する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池と、その受光面の上に設けられたタッチパネルと、を備えた複合入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池部材は、光電変換効率の向上が重要な課題であり、そのために光電変換層の膜厚を厚くする、凹凸表面構造からなる”テクスチャ構造”と呼ばれる構造を設け、光をこの”テクスチャ構造”によって光を散乱させることによって、光電変換層を通過する光の光路長を長くして、光電変換層において吸収される光の量を増加させる方法が用いられている。
【0003】
しかし、テクスチャ構造上に光電変換層(半導体層)を形成した場合、光電変換層に多くの欠陥を誘起し、変換効率を悪化させる場合があることや、光電変換層の膜厚を厚くすることによる材料コストのアップや生産速度の低下などの問題がある。太陽電池において、変換効率向上及び入射角度依存性の解消のために、入射光を散乱光に変換する提案がある(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【0004】
一方、太陽電池と透明タッチパネルとを組み合わせたデバイス技術についていくつか提案がなされている(例えば、特許文献3〜6参照。)。このように太陽電池とタッチパネルを組み合わせたデバイスによれば、例えばリモコンとして用いた場合、1次電池を必要としないというメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−40525号公報
【特許文献2】特開2010−56532号公報
【特許文献3】実開昭61−189352号明細書
【特許文献4】特開2003−167233号公報
【特許文献5】特開2004−102677号公報
【特許文献6】特開2006−228196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、図8の従来のタッチパネルの平面図に示すように、タッチパネルには引き回し配線部22が存在する。この引き回し配線部22には銀ペーストなどが用いられる。そのため、図9に示すように、太陽電池1の上に従来のタッチパネル2を配置した場合、引き回し配線部22の光透過率は低く、有効な受光面として機能しない。その結果、引き回し配線部22の面積については十分な発電効率が得られないという問題があった。
【0007】
一方、タッチパネルの透明導電膜として通常使用されているITO材料は折り曲げに弱く、わずかな折り曲げであっても抵抗値変化が大きくなる。そのため、引き回し配線部22を側面に配置することは困難であるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、太陽電池の上にタッチパネルを設けた複合入力装置において、引き回し配線部による光透過率の低下を防いで、太陽電池に届く光を十分に確保し、太陽電池における光電変換効率を向上させると共に、タッチパネルとしての機能を有する複合入力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る複合入力装置は、受光面で受光して発電可能な太陽電池部と、
前記太陽電池部の前記受光面の上に設けられ、透明導電膜を有するタッチパネル部と、
前記太陽電池部の前記受光面に対する側面に設けられ、前記透明導電膜と接続された引き回し配線部と、
を備え、
導電性ナノワイヤ材料によって構成され、前記受光面上から前記側面にわたって折り曲げ可能な折り曲げ部によって、前記透明導電膜と前記引き回し配線部とを電気的に接続する。
【0010】
また、前記引き回し配線部は、前記太陽電池の前記側面に接する面に光を反射する反射材を設けてもよい。
【0011】
さらに、前記透明導電膜は、導電性ナノワイヤ材料によって構成されてもよい。またさらに、前記透明導電膜は、ITOによって構成されてもよい。
【0012】
また、外部と無線通信を行うための無線通信部と、
前記太陽電池で発電した電力を蓄えるためのバッテリと、
をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る複合入力装置は、太陽電池部の側面にタッチパネル部の透明導電膜と折り曲げ部を介して電気的に接続された引き回し配線部を備える。この折り曲げ部は、導電性ナノワイヤ材料によって構成されており、これによって、タッチパネル部の引き回し配線部を太陽電池部の受光面の上ではなく、太陽電池部の側面に設けることができる。そのため、太陽電池部の受光面を最大限に生かすことができ、発電効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施の形態1に係る複合入力装置10の断面構造を示す概略断面図である。
【図2】図1の特に端部の引き回し配線部とタッチパネル部の透明導電膜との接続部分の断面構造を示す部分断面図である。
【図3】導電性ナノワイヤ材料の構造を示す概略図である。
【図4】ITOからなる透明導電膜(◆)と、銀ナノワイヤからなる透明導電膜(■)について、8mmφマンドレル屈曲試験テスト結果の折り曲げ回数と抵抗値変化率との関係を示すグラフである。
【図5】実施の形態1に係る複合入力装置のタッチパネル部の透明導電膜と接続された引き回し配線部を折り曲げ線で折り曲げて太陽電池部の側面に配置する概念図である。
【図6】実施の形態1に係る複合入力装置の引き回し配線部を示す斜視図である。
【図7】(a)は、図5の引き回し配線部を折り曲げ線で折り曲げて太陽電池部の側面に配置する工程を示す概略断面図であり、(b)は、(a)によって得られる複合入力装置の断面構造を示す概略断面図である。
【図8】従来のタッチパネルの引き回し配線部分を示す平面図である。
【図9】図8のタッチパネルを太陽電池の上に設けた場合の断面構造を示す断面図である。
【図10】実施の形態1に係る複合入力装置の平面図である。
【図11】実施の形態2に係る複合入力装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態に係る複合入力装置について添付図面を用いて説明する。なお、図面において実質的に同一の部材には同一の符号を付している。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る複合入力装置10の断面構造を示す概略断面図である。図2は、図1の特に端部の引き回し配線部22とタッチパネル部2の透明導電膜4との接続部分の断面構造を示す部分断面図である。また、図5は、この複合入力装置10のタッチパネル部2の透明導電膜4と接続された引き回し配線部22を折り曲げ線23で折り曲げて太陽電池部1の側面に配置する概念図である。図6は、この複合入力装置10の引き回し配線部22を示す斜視図である。図7(a)は、図5の引き回し配線部22を折り曲げ線23で折り曲げて太陽電池部1の側面に配置する工程を示す概略断面図であり、図7(b)は、(a)によって得られる複合入力装置10の断面構造を示す概略断面図である。
【0017】
この複合入力装置10は、太陽電池部1と、太陽電池部1の受光面12の上に設けられたタッチパネル部2とを備える。また、この複合入力装置10は、太陽電池部1の側面にタッチパネル部2の透明導電膜4と折り曲げ部24を介して電気的に接続された引き回し配線部22を備える。この折り曲げ部24は、導電性ナノワイヤ材料3によって構成されていることを特徴とする。これによって、タッチパネル部2の引き回し配線部22を太陽電池部1の受光面12の上ではなく、太陽電池部1の側面に設けることができる。そのため、太陽電池部1の受光面12を最大限に生かすことができ、発電効率を向上させることができる。
【0018】
上記のタッチパネル部2の透明導電膜4と電気的に接続された引き回し配線部22を太陽電池部1の側面に配置することについてさらに説明する。
図4は、ITOからなる透明導電膜(◆)と、銀ナノワイヤからなる透明導電膜(■)とについて、8mmφマンドレル屈曲試験テスト結果の折り曲げ回数と抵抗値変化率との関係を示すグラフである。この図4に示すように、通常よく使用されるITO(インジウムスズ酸化物)材料からなる透明導電膜は、折り曲げに弱く、わずかな折り曲げであってもその抵抗値が大きく変化する。そのため、図8の従来のタッチパネルの平面図に示すように、透明導電膜4からの引き回し配線部22は透明導電膜4と同一平面内に設けられていた。この引き回し配線部22には、通常、銀ペーストが用いられている。図9は、図8のタッチパネル部2を太陽電池部1の上に設けた場合の断面構造を示す断面図である。図9に示すように、従来のタッチパネル2をそのまま太陽電池1の上に設けた場合、銀ペーストによる引き回し配線部22の部分の光透過率は低く、発電に寄与しない。そのため、引き回し配線部22を除く部分だけが有効な受光面12となっていた。
【0019】
この複合入力装置10では、タッチパネル部2の透明導電膜4と引き回し配線部22とを電気的に接続する折り曲げ部24を導電性ナノワイヤ材料3によって構成している。図4の8mmφマンドレル屈曲試験テスト結果に示すように、この導電性ナノワイヤ材料3の一つである銀ナノワイヤ材料からなる透明導電膜は、10回を越える折り曲げ回数を経ても抵抗値変化がほとんどないほど十分な折り曲げ耐性を有している。そこで、図5及び図7(a)に示すように、引き回し配線部22を折り曲げ線23で折り曲げた場合でも導電性ナノワイヤ材料3で構成された折り曲げ部24の抵抗値は変化しない。その結果、図6及び図7(b)に示すように太陽電池部1の側面に引き回し配線部22を配置でき、太陽電池部1の受光面12を発電に有効に利用することができる。
【0020】
以下に、この複合入力装置10を構成する各構成部材について説明する。
【0021】
<タッチパネル部>
タッチパネル部2は、マトリクス・スイッチ方式、抵抗膜方式、静電容量方式等のいずれの方式によるタッチパネルも使用できる。タッチパネル部2は、入力のための入力面14を有する。この入力面14は、太陽電池部1の受光面12に光を入射するための面としても機能する。なお、タッチ箇所を示すための最下層の表示部分については、例えば、図10に示す印刷によるボタン16表示であってもよい。あるいは、タッチパネル部2と太陽電池部1との間に、さらに液晶表示部を備えてもよい。また、タッチパネル部2の透明導電膜4は、導電性ナノワイヤ材料3で構成された折り曲げ部24を介して太陽電池部1の側面に配置された引き回し配線部22と電気的に接続されている。
【0022】
<折り曲げ部>
折り曲げ部24によって、タッチパネル部2の透明導電膜4と、太陽電池部1の側面に配置された引き回し配線部22とが電気的に接続されている。この折り曲げ部24は、導電性ナノワイヤ材料3によって構成されており、複数回の折り曲げによっても抵抗値変化をほとんど示さない。
【0023】
<導電性ナノワイヤ材料>
図3は、直径d及び長さLを有する導電性ナノワイヤ材料3の構造を示す概略図である。この導電性ナノワイヤ材料3は、およそ10〜100,000の範囲のアスペクト比を有する。また、図4の8mmφマンドレル屈曲試験テスト結果に示すように、この導電性ナノワイヤ材料3の一つである銀ナノワイヤ材料からなる透明導電膜(■)は、10回を超える折り曲げ回数を経ても抵抗値変化がほとんどないほど十分な折り曲げ耐性を有している。
【0024】
導電性ナノワイヤ材料3としては、例えば、銀、金、銅、ニッケル、金めっきされた銀、アルミニウム等の金属ナノワイヤ、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ等の繊維状カーボンを用いることができる。なお、導電性ナノワイヤ材料3としては、上記例示に限定されるものではない。導電性ナノワイヤ材料として、特に銀ナノワイヤが好ましい。
【0025】
なお、導電性ナノワイヤ材料を透明導電材料として用いる提案(特開2010−244747号公報、特表2009−505358号公報)がある。
【0026】
<引き回し配線部>
引き回し配線部22は、図1及び図2に示すように、太陽電池部1の側面に配置される。この引き回し配線部22は、上記折り曲げ部24を介してタッチパネル部2の透明導電膜4と電気的に接続されている。また、引き回し配線部22は、例えば、銀ペースト等で形成してもよい。
【0027】
なお、引き回し配線部22の太陽電池部1の側面に接する面に光を反射する反射材を設けてもよい。これによって、太陽電池部1内で散乱光を反射させることができ、発電効率をさらに向上させることができる。
【0028】
<太陽電池部>
太陽電池部1には、通常の可視光領域の光について光電変換して発電可能な太陽電池を使用できる。例えば、単結晶シリコン系太陽電池、多結晶シリコン系太陽電池、アモルファスシリコン系太陽電池、化合物系太陽電池、等のいずれであってもよい。
【0029】
(実施の形態2)
図11は、実施の形態2に係る複合入力装置10aの構成を示すブロック図である。この複合入力装置10aは、実施の形態1に係る複合入力装置と対比すると、2次電池部18と、無線通信部20と、をさらに備える点で相違する。2次電池部18は、太陽電池部1で発電した電力を蓄える。無線通信部20は、外部と無線通信を行う。この複合入力装置10aによれば、例えば無線通信部20を利用してリモコンとして機能させることができる。この場合、太陽電池部1で発電した電力を2次電池部18で蓄えておくことができるので、十分な太陽光や照明等が得られない場合にも、あらかじめ発電し、蓄えておいた電力を利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明に係る複合入力装置は、太陽電池部の側面にタッチパネル部の透明導電膜と折り曲げ部を介して電気的に接続された引き回し配線部を備える。この折り曲げ部は、導電性ナノワイヤ材料によって構成されており、タッチパネル部の引き回し配線部を折り曲げて太陽電池部の側面に設けることができる。そのため、太陽電池部1の受光面を最大限に生かすことができ、発電効率を向上させることができ、太陽電池及びタッチパネルを有する複合入力装置として有用である。
【符号の説明】
【0031】
1 太陽電池部
2 タッチパネル部
3 導電性ナノワイヤ
4 透明導電膜
10 複合入力装置
12 受光面
14 入力面
16 ボタン
18 2次電池部
20 無線通信部
22 引き回し配線部
23 折り曲げ線
24 折り曲げ部
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池と、その受光面の上に設けられたタッチパネルと、を備えた複合入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池部材は、光電変換効率の向上が重要な課題であり、そのために光電変換層の膜厚を厚くする、凹凸表面構造からなる”テクスチャ構造”と呼ばれる構造を設け、光をこの”テクスチャ構造”によって光を散乱させることによって、光電変換層を通過する光の光路長を長くして、光電変換層において吸収される光の量を増加させる方法が用いられている。
【0003】
しかし、テクスチャ構造上に光電変換層(半導体層)を形成した場合、光電変換層に多くの欠陥を誘起し、変換効率を悪化させる場合があることや、光電変換層の膜厚を厚くすることによる材料コストのアップや生産速度の低下などの問題がある。太陽電池において、変換効率向上及び入射角度依存性の解消のために、入射光を散乱光に変換する提案がある(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【0004】
一方、太陽電池と透明タッチパネルとを組み合わせたデバイス技術についていくつか提案がなされている(例えば、特許文献3〜6参照。)。このように太陽電池とタッチパネルを組み合わせたデバイスによれば、例えばリモコンとして用いた場合、1次電池を必要としないというメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−40525号公報
【特許文献2】特開2010−56532号公報
【特許文献3】実開昭61−189352号明細書
【特許文献4】特開2003−167233号公報
【特許文献5】特開2004−102677号公報
【特許文献6】特開2006−228196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、図8の従来のタッチパネルの平面図に示すように、タッチパネルには引き回し配線部22が存在する。この引き回し配線部22には銀ペーストなどが用いられる。そのため、図9に示すように、太陽電池1の上に従来のタッチパネル2を配置した場合、引き回し配線部22の光透過率は低く、有効な受光面として機能しない。その結果、引き回し配線部22の面積については十分な発電効率が得られないという問題があった。
【0007】
一方、タッチパネルの透明導電膜として通常使用されているITO材料は折り曲げに弱く、わずかな折り曲げであっても抵抗値変化が大きくなる。そのため、引き回し配線部22を側面に配置することは困難であるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、太陽電池の上にタッチパネルを設けた複合入力装置において、引き回し配線部による光透過率の低下を防いで、太陽電池に届く光を十分に確保し、太陽電池における光電変換効率を向上させると共に、タッチパネルとしての機能を有する複合入力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る複合入力装置は、受光面で受光して発電可能な太陽電池部と、
前記太陽電池部の前記受光面の上に設けられ、透明導電膜を有するタッチパネル部と、
前記太陽電池部の前記受光面に対する側面に設けられ、前記透明導電膜と接続された引き回し配線部と、
を備え、
導電性ナノワイヤ材料によって構成され、前記受光面上から前記側面にわたって折り曲げ可能な折り曲げ部によって、前記透明導電膜と前記引き回し配線部とを電気的に接続する。
【0010】
また、前記引き回し配線部は、前記太陽電池の前記側面に接する面に光を反射する反射材を設けてもよい。
【0011】
さらに、前記透明導電膜は、導電性ナノワイヤ材料によって構成されてもよい。またさらに、前記透明導電膜は、ITOによって構成されてもよい。
【0012】
また、外部と無線通信を行うための無線通信部と、
前記太陽電池で発電した電力を蓄えるためのバッテリと、
をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る複合入力装置は、太陽電池部の側面にタッチパネル部の透明導電膜と折り曲げ部を介して電気的に接続された引き回し配線部を備える。この折り曲げ部は、導電性ナノワイヤ材料によって構成されており、これによって、タッチパネル部の引き回し配線部を太陽電池部の受光面の上ではなく、太陽電池部の側面に設けることができる。そのため、太陽電池部の受光面を最大限に生かすことができ、発電効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施の形態1に係る複合入力装置10の断面構造を示す概略断面図である。
【図2】図1の特に端部の引き回し配線部とタッチパネル部の透明導電膜との接続部分の断面構造を示す部分断面図である。
【図3】導電性ナノワイヤ材料の構造を示す概略図である。
【図4】ITOからなる透明導電膜(◆)と、銀ナノワイヤからなる透明導電膜(■)について、8mmφマンドレル屈曲試験テスト結果の折り曲げ回数と抵抗値変化率との関係を示すグラフである。
【図5】実施の形態1に係る複合入力装置のタッチパネル部の透明導電膜と接続された引き回し配線部を折り曲げ線で折り曲げて太陽電池部の側面に配置する概念図である。
【図6】実施の形態1に係る複合入力装置の引き回し配線部を示す斜視図である。
【図7】(a)は、図5の引き回し配線部を折り曲げ線で折り曲げて太陽電池部の側面に配置する工程を示す概略断面図であり、(b)は、(a)によって得られる複合入力装置の断面構造を示す概略断面図である。
【図8】従来のタッチパネルの引き回し配線部分を示す平面図である。
【図9】図8のタッチパネルを太陽電池の上に設けた場合の断面構造を示す断面図である。
【図10】実施の形態1に係る複合入力装置の平面図である。
【図11】実施の形態2に係る複合入力装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態に係る複合入力装置について添付図面を用いて説明する。なお、図面において実質的に同一の部材には同一の符号を付している。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る複合入力装置10の断面構造を示す概略断面図である。図2は、図1の特に端部の引き回し配線部22とタッチパネル部2の透明導電膜4との接続部分の断面構造を示す部分断面図である。また、図5は、この複合入力装置10のタッチパネル部2の透明導電膜4と接続された引き回し配線部22を折り曲げ線23で折り曲げて太陽電池部1の側面に配置する概念図である。図6は、この複合入力装置10の引き回し配線部22を示す斜視図である。図7(a)は、図5の引き回し配線部22を折り曲げ線23で折り曲げて太陽電池部1の側面に配置する工程を示す概略断面図であり、図7(b)は、(a)によって得られる複合入力装置10の断面構造を示す概略断面図である。
【0017】
この複合入力装置10は、太陽電池部1と、太陽電池部1の受光面12の上に設けられたタッチパネル部2とを備える。また、この複合入力装置10は、太陽電池部1の側面にタッチパネル部2の透明導電膜4と折り曲げ部24を介して電気的に接続された引き回し配線部22を備える。この折り曲げ部24は、導電性ナノワイヤ材料3によって構成されていることを特徴とする。これによって、タッチパネル部2の引き回し配線部22を太陽電池部1の受光面12の上ではなく、太陽電池部1の側面に設けることができる。そのため、太陽電池部1の受光面12を最大限に生かすことができ、発電効率を向上させることができる。
【0018】
上記のタッチパネル部2の透明導電膜4と電気的に接続された引き回し配線部22を太陽電池部1の側面に配置することについてさらに説明する。
図4は、ITOからなる透明導電膜(◆)と、銀ナノワイヤからなる透明導電膜(■)とについて、8mmφマンドレル屈曲試験テスト結果の折り曲げ回数と抵抗値変化率との関係を示すグラフである。この図4に示すように、通常よく使用されるITO(インジウムスズ酸化物)材料からなる透明導電膜は、折り曲げに弱く、わずかな折り曲げであってもその抵抗値が大きく変化する。そのため、図8の従来のタッチパネルの平面図に示すように、透明導電膜4からの引き回し配線部22は透明導電膜4と同一平面内に設けられていた。この引き回し配線部22には、通常、銀ペーストが用いられている。図9は、図8のタッチパネル部2を太陽電池部1の上に設けた場合の断面構造を示す断面図である。図9に示すように、従来のタッチパネル2をそのまま太陽電池1の上に設けた場合、銀ペーストによる引き回し配線部22の部分の光透過率は低く、発電に寄与しない。そのため、引き回し配線部22を除く部分だけが有効な受光面12となっていた。
【0019】
この複合入力装置10では、タッチパネル部2の透明導電膜4と引き回し配線部22とを電気的に接続する折り曲げ部24を導電性ナノワイヤ材料3によって構成している。図4の8mmφマンドレル屈曲試験テスト結果に示すように、この導電性ナノワイヤ材料3の一つである銀ナノワイヤ材料からなる透明導電膜は、10回を越える折り曲げ回数を経ても抵抗値変化がほとんどないほど十分な折り曲げ耐性を有している。そこで、図5及び図7(a)に示すように、引き回し配線部22を折り曲げ線23で折り曲げた場合でも導電性ナノワイヤ材料3で構成された折り曲げ部24の抵抗値は変化しない。その結果、図6及び図7(b)に示すように太陽電池部1の側面に引き回し配線部22を配置でき、太陽電池部1の受光面12を発電に有効に利用することができる。
【0020】
以下に、この複合入力装置10を構成する各構成部材について説明する。
【0021】
<タッチパネル部>
タッチパネル部2は、マトリクス・スイッチ方式、抵抗膜方式、静電容量方式等のいずれの方式によるタッチパネルも使用できる。タッチパネル部2は、入力のための入力面14を有する。この入力面14は、太陽電池部1の受光面12に光を入射するための面としても機能する。なお、タッチ箇所を示すための最下層の表示部分については、例えば、図10に示す印刷によるボタン16表示であってもよい。あるいは、タッチパネル部2と太陽電池部1との間に、さらに液晶表示部を備えてもよい。また、タッチパネル部2の透明導電膜4は、導電性ナノワイヤ材料3で構成された折り曲げ部24を介して太陽電池部1の側面に配置された引き回し配線部22と電気的に接続されている。
【0022】
<折り曲げ部>
折り曲げ部24によって、タッチパネル部2の透明導電膜4と、太陽電池部1の側面に配置された引き回し配線部22とが電気的に接続されている。この折り曲げ部24は、導電性ナノワイヤ材料3によって構成されており、複数回の折り曲げによっても抵抗値変化をほとんど示さない。
【0023】
<導電性ナノワイヤ材料>
図3は、直径d及び長さLを有する導電性ナノワイヤ材料3の構造を示す概略図である。この導電性ナノワイヤ材料3は、およそ10〜100,000の範囲のアスペクト比を有する。また、図4の8mmφマンドレル屈曲試験テスト結果に示すように、この導電性ナノワイヤ材料3の一つである銀ナノワイヤ材料からなる透明導電膜(■)は、10回を超える折り曲げ回数を経ても抵抗値変化がほとんどないほど十分な折り曲げ耐性を有している。
【0024】
導電性ナノワイヤ材料3としては、例えば、銀、金、銅、ニッケル、金めっきされた銀、アルミニウム等の金属ナノワイヤ、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ等の繊維状カーボンを用いることができる。なお、導電性ナノワイヤ材料3としては、上記例示に限定されるものではない。導電性ナノワイヤ材料として、特に銀ナノワイヤが好ましい。
【0025】
なお、導電性ナノワイヤ材料を透明導電材料として用いる提案(特開2010−244747号公報、特表2009−505358号公報)がある。
【0026】
<引き回し配線部>
引き回し配線部22は、図1及び図2に示すように、太陽電池部1の側面に配置される。この引き回し配線部22は、上記折り曲げ部24を介してタッチパネル部2の透明導電膜4と電気的に接続されている。また、引き回し配線部22は、例えば、銀ペースト等で形成してもよい。
【0027】
なお、引き回し配線部22の太陽電池部1の側面に接する面に光を反射する反射材を設けてもよい。これによって、太陽電池部1内で散乱光を反射させることができ、発電効率をさらに向上させることができる。
【0028】
<太陽電池部>
太陽電池部1には、通常の可視光領域の光について光電変換して発電可能な太陽電池を使用できる。例えば、単結晶シリコン系太陽電池、多結晶シリコン系太陽電池、アモルファスシリコン系太陽電池、化合物系太陽電池、等のいずれであってもよい。
【0029】
(実施の形態2)
図11は、実施の形態2に係る複合入力装置10aの構成を示すブロック図である。この複合入力装置10aは、実施の形態1に係る複合入力装置と対比すると、2次電池部18と、無線通信部20と、をさらに備える点で相違する。2次電池部18は、太陽電池部1で発電した電力を蓄える。無線通信部20は、外部と無線通信を行う。この複合入力装置10aによれば、例えば無線通信部20を利用してリモコンとして機能させることができる。この場合、太陽電池部1で発電した電力を2次電池部18で蓄えておくことができるので、十分な太陽光や照明等が得られない場合にも、あらかじめ発電し、蓄えておいた電力を利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明に係る複合入力装置は、太陽電池部の側面にタッチパネル部の透明導電膜と折り曲げ部を介して電気的に接続された引き回し配線部を備える。この折り曲げ部は、導電性ナノワイヤ材料によって構成されており、タッチパネル部の引き回し配線部を折り曲げて太陽電池部の側面に設けることができる。そのため、太陽電池部1の受光面を最大限に生かすことができ、発電効率を向上させることができ、太陽電池及びタッチパネルを有する複合入力装置として有用である。
【符号の説明】
【0031】
1 太陽電池部
2 タッチパネル部
3 導電性ナノワイヤ
4 透明導電膜
10 複合入力装置
12 受光面
14 入力面
16 ボタン
18 2次電池部
20 無線通信部
22 引き回し配線部
23 折り曲げ線
24 折り曲げ部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光面で受光して発電可能な太陽電池部と、
前記太陽電池部の前記受光面の上に設けられ、透明導電膜を有するタッチパネル部と、
前記太陽電池部の前記受光面に対する側面に設けられ、前記透明導電膜と接続された引き回し配線部と、
を備え、
導電性ナノワイヤ材料によって構成され、前記受光面上から前記側面にわたって折り曲げ可能な折り曲げ部によって、前記透明導電膜と前記引き回し配線部とを電気的に接続する、複合入力装置。
【請求項2】
前記引き回し配線部は、前記太陽電池部の前記側面に接する面に光を反射する反射材を設けた、請求項1に記載の複合入力装置。
【請求項3】
前記透明導電膜は、導電性ナノワイヤ材料によって構成される、請求項1又は2に記載の複合入力装置。
【請求項4】
前記透明導電膜は、ITOによって構成される、請求項1又は2に記載の複合入力装置。
【請求項5】
外部と無線通信を行うための無線通信部と、
前記太陽電池で発電した電力を蓄えるためのバッテリと、
をさらに備えた、請求項1から4のいずれか一項に記載の複合入力装置。
【請求項1】
受光面で受光して発電可能な太陽電池部と、
前記太陽電池部の前記受光面の上に設けられ、透明導電膜を有するタッチパネル部と、
前記太陽電池部の前記受光面に対する側面に設けられ、前記透明導電膜と接続された引き回し配線部と、
を備え、
導電性ナノワイヤ材料によって構成され、前記受光面上から前記側面にわたって折り曲げ可能な折り曲げ部によって、前記透明導電膜と前記引き回し配線部とを電気的に接続する、複合入力装置。
【請求項2】
前記引き回し配線部は、前記太陽電池部の前記側面に接する面に光を反射する反射材を設けた、請求項1に記載の複合入力装置。
【請求項3】
前記透明導電膜は、導電性ナノワイヤ材料によって構成される、請求項1又は2に記載の複合入力装置。
【請求項4】
前記透明導電膜は、ITOによって構成される、請求項1又は2に記載の複合入力装置。
【請求項5】
外部と無線通信を行うための無線通信部と、
前記太陽電池で発電した電力を蓄えるためのバッテリと、
をさらに備えた、請求項1から4のいずれか一項に記載の複合入力装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図11】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図11】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−8102(P2013−8102A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138777(P2011−138777)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000231361)日本写真印刷株式会社 (477)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000231361)日本写真印刷株式会社 (477)
【Fターム(参考)】
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