説明

複合搬送装置及びそれを用いた方法

【課題】複合搬送装置及びそれを用いた搬送方法を提供する。
【解決手段】複合搬送装置は、基台と、少なくとも一つの積み込み機構と、降ろし機構と、を備えている。基台は当該基台上に少なくとも一つのカセットを備えている。積み込み機構は基台の一側に隣接し、カセットに複数の目的物を積み込むために用いられる。他方、降ろし機構は、基台の他側に隣接し、カセットから複数の目的物を降ろすために用いられる。基台は少なくとも二つの領域を備え、各々の領域は積み込み機構又は降ろし機構に隣接し、カセットは、目的物の積み込み動作及び降ろし動作を実行するために、二つの領域の間を移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置及びそれを用いた搬送方法に関し、特に積み込み機能及び降ろし機能を有する搬送装置及びその搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インテリジェントな携帯電話、デジタルカメラ、タブレットコンピュータ、及びグローバル方位システムのような一般的な電子製品に接続されるガラスは、必須であり、重要な構成要素である。完成品になる前に、ガラスは切断、強化及び洗浄などのような幾つかの生産工程を介する必要がある。そして、それらの工程の間の殆どにおいて、複数回の運搬及び搬送が要求される。実際の生産では、ガラスを搬送するために降ろし機構及び積み込み機構が用いられる。降ろし機構及び積み込み機構の動作工程は、積み込み機構がガラスの片をカセットに運搬するステップを含み、ガラスがカセットに積み込まれると、手作業で降ろし機構に運ばれ、降ろし機構がカセットからガラスを一枚ずつ送り出すと、その後の生産のフロー工程に移行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許第100368269号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第100426484号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、実際の生産において、降ろし機構と積み込み機構との間にいくらか距離があり、そのために何人かの作業者がカセットを運ぶために、降ろし機構と積み込み機構との間を往復する必要があり、手作業による高コスト化を招いている。さらに、手作業による搬送工程は、物理的な接触が発生し易く、ガラスに傷や亀裂の幾つもの欠陥が生じる原因となり、それ故に生産の品質に影響を及ぼす。
【0005】
本開示の目的は、複合搬送装置及びその搬送方法を提供し、マンパワーを軽減するために降ろし機構と積み込み機構とを複合化することによって、当該装置が降ろし機能と積み込み機能とを同時に処理し、それ故に手作業によるコストや人手による搬送によって生じる接触の確率を低減する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の複合搬送装置は、基台、少なくとも積み込み機構及び降ろし機構を含み、基台は、その上に配置された少なくとも一つのカセットを有し、基台の一側に隣接する積み込み機構は、複数の目的物を少なくとも一つのカセットに積み込むために用いられる。基台の他側に隣接する降ろし機構は、複数の目的物を少なくとも一つのカセットから降ろすために用いられ、基台は少なくとも二つの領域を有し、互いの領域は、同様の積み込み機構又は降ろし機構に隣接し、少なくとも一つのカセットは、目的物の積み込み及び降ろしを実行するために少なくとも二つの領域の間を移動する。
【0007】
本開示は積み込み機構と降ろし機構とを複合化することで、作業者が降ろし機構と積み込み機構との間を往復して手作業でカセットを搬送する工程を省略でき、それ故に手作業の搬送工程によって生じる物理的な接触又は干渉を防ぐことができる。
【0008】
本形態において、複合搬送装置は、二つの積み込み機構(第1の積み込み機構及び第2の積み込み機構)を含むことができる。複合搬送装置は、二つのカセット(第1のカセット及び第2のカセット)を含むこともできる。複合搬送装置の基台は、三つの領域(第1の領域、第2の領域及び第3の領域)を有し、第1の領域は隣接する第1の積み込み機構に対応し、第3の領域は隣接する第2の積み込み機構に対応する。第2の領域は第1の領域と第3の領域の間に配置され、隣接する降ろし機構に対応する。第1のカセットは第1の領域と第2の領域との間を移動し、第2のカセットは第2の領域と第3の領域との間を移動する。
【0009】
二つの積み込み機構と降ろし機構とを複合することで、人的運搬の抑制と製造品質の向上を図ることができ、複合搬送装置の動作の効率がより良くなる。特に、積み込み動作及び降ろし動作を同時に実行でき、作業効率を向上させることができる。
【0010】
本形態において、カセットは基台と平行な方向に沿って、又は下降及び上昇するために基台と直交する方向に沿って移動する。基台と平行な方向に沿って移動する目的は、積み込み動作及び降ろし動作を実行するための準備の際に、カセットを積み込み機構と降ろし機構との間の隣接する領域に到達させるためである。基台と直交する方向に沿って上昇及び下降する目的は、カセットに積み込み作業及び降ろし作業を実行させるためである。
【0011】
本形態において、基台は一つの軌道と共に配置することができ、少なくとも一つのカセットは、基台と平行な軌道に沿って少なくとも二つの領域の間を移動することができる。軌道はカセットの移動をガイドすることができる。
【0012】
他の形態において、カセットと対応する基台は、カセットが載置される昇降台を有し、昇降台は基台と直交する方向に沿って上昇及び下降する。昇降台は、カセットを支持し、カセットを基台と直交する方向に沿って上昇及び下降させるため、及び積み込み動作及び搬送動作を実行するためのものである。
【0013】
複合搬送装置は、また軌道、少なくとも一つの昇降台、エアーシリンダ装置、及び少なくとも一つの電子モータを含めることができる。基台上に軌道が配置される。昇降台は軌道上に配置され、カセットは昇降台上に配置される。エアーシリンダは軌道を駆動し、基台と平行な軌道の方向に沿って隣接する領域の間で昇降台を移動させるために駆動する。電子モータは基台と直交する方向に沿って昇降台を上昇及び下降させるために駆動する。
【0014】
前述のエアーシリンダ及び電子モータの目的は、カセットを駆動するための動力を与えるためのものである。本開示の正しい理解では、ステッピングモータのような動力源の他の形式を採用することもできる。
【0015】
複合搬送装置の搬送方法は、少なくとも積み込み機構を用いることによって、少なくとも一つのカセットに複数の目的物を積み込む工程と、降ろし機構を用いることによって、カセットから目的物を降ろす工程と、カセットが基台の隣接する二つの領域の間で移動する工程と、を有し、各々の領域は、目的物の積み込み作業及び降ろし作業を実行することができるように、積み込み機構に対応する位置又は降ろし機構に対応する位置に隣接する。
【0016】
基台上の二つの領域の間をカセットが移動する工程は、積み込み動作が終了したカセットを積み込み機構に隣接する領域から降ろし機構に隣接する領域に移動し、降ろし動作が終了したカセットを降ろし機構に隣接する領域から積み込み機構に隣接する領域に移動する。
【0017】
本形態において、二つの積み込み機構(第1の積み込み機構及び第2の積み込み機構)を有し、第1の積み込み機構及び第2の積み込み機構は、交互に目的物を搬送する。他の形態において、二つのカセット(第1のカセット及び第2のカセット)を有する。基台は三つの領域(第1の領域、第2の領域及び第3の領域)を有することができ、第1の領域は隣接する第1の積み込み機構に対応し、第3の領域は隣接する第2の積み込み機構に対応し、第2の領域は第1の領域と第3の領域との間に配置され、降ろし機構に対応するように隣接する。第1のカセットは第1の領域と第2の領域との間を移動し、第2のカセットは第2の領域と第3の領域との間を移動する。
【0018】
二つの積み込み機構と一つの降ろし機構を用いることによって、作業動作はより効率化される。特に降ろし機構が降ろし動作を実行する際に、第1の積み込み機構及び第2の積み込み機構は、積み込み動作と降ろし動作とを同時に実行するために、交互に搬送を実行でき、作業効率を向上させることができる。
【0019】
本形態において、第1の積み込み機構又は第2の積み込み機構が積み込み動作を実行している間、降ろし機構は降ろし動作を実行する。
【0020】
特に、基台の二つの隣接する領域の間でカセットが移動する工程は、(1)積み込み動作が完了した第1のカセットは、第1の領域から第2の領域に移動し、第1のカセットの降ろし動作を実行し;(2)降ろし動作が完了した第1のカセットが第2の領域から第1の領域に移動して、積み込み動作の次の工程を準備し、その合間に、積み込み動作が完了した第2のカセットが第3の領域から第2の領域に移動して、第2のカセットの降ろし動作を準備し;(3)降ろし動作が完了した第2のカセットが第2の領域から第3の領域に戻って、積み込み動作の次の工程を準備し、その合間に、積み込み動作が完了した第1のカセットが第1の領域から第2の領域に再び移動して、降ろし動作の次の工程を準備し;(4)工程(2)及び(3)を、目的物の降ろし動作及び積み込み動作が完了するまで繰り返す。
【0021】
複合搬送装置の搬送方法は、カセットを基台と平行な方向に沿って駆動し、また、カセットを基台と直交する方向に沿って上昇及び下降する工程を含む。カセットは、基台と平行な方向に沿って移動することによって、積み込み機構と降ろし機構との間の隣接する領域に到達することができ、積み込み作業及び降ろし作業の準備を行う。カセットは、基台と直交する方向に沿って上昇及び下降することによって、積み込み動作及び搬送動作を実行する。
【0022】
複合搬送装置の搬送方法は、カセットの異なる層に複数の目的物を一つ一つ積み込む、又はカセットの異なる層から複数の目的物を一つ一つ降ろす工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0023】
この発明を当業者が理解するために、複数の形態を以下に開示し、添付の図面に本発明の内容やその目的に関して詳細に示す。
【図1A】図1Aは、本開示の形態における複合搬送装置の斜視図である。
【図1B】図1Bは、本開示の形態における複合搬送装置の上面図である。
【図2】図2は、本開示の形態における複合搬送装置の基台の昇降台の図である。
【図3】図3は、本開示の形態における積み込み動作を実行するために積み込み機構を用いる複合搬送装置の側面図である。
【図4】図4は、本開示の形態における降ろし動作を実行するために降ろし機構を用いる複合搬送装置の上面図である。
【図5】図5は、本開示の形態における複合搬送装置の搬送方法のフローチャートである。
【図6A】図6Aは、本開示の第2の形態における複合搬送装置の斜視図である。
【図6B】図6Bは、本開示の第2の形態における複合搬送装置の上面図である。
【図7】図7は、本開示の第2の形態における複合搬送装置の基台の昇降台の図である。
【図8】図8は、本開示の第2の形態における積み込み動作を実行するために第1の積み込み機構を用いる複合搬送装置の側面図である。
【図9】図9は、本開示の第2の形態における降ろし動作を実行するために降ろし機構を用いる複合搬送装置の上面図である。
【図10】図10は、本開示の第2の形態における複合搬送装置の搬送方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1Aは、複合搬送装置の第1の形態の斜視図である。本形態において、複合搬送装置は、略長方形であって、略X1方向に延在する基台110、基台110の一側に隣接する積み込み機構120(但し、積み込み機構120の数は一個に限らない。)、基台110の他側に隣接する降ろし機構140を備えている。
【0025】
積み込み機構120の近傍には、積み込み機構120及び降ろし機構140を用いて積み込み動作や降ろし動作を実行するために、作業者が立つ作業スペース170が存在し、作業スペース170で作業者は動作インターフェイス190を操作する。
【0026】
積み込み機構及び降ろし機構の両方は、ガラスを支持及び搬送するために用いられるガイドホイールを備えている。図1Bに示すように、積み込み機構120は、ガラス(不図示)を支持するために用いられるガイドホイール124、及びガイドホイール124を支持するために用いられる回転軸122を備えている。他方、降ろし機構140は、ガラスを支持するために用いられるガイドホイール144、及びガイドホイール144を支持するために用いられる回転軸142を備えている。
【0027】
カセット150(但し、カセット150の数は一個に限定されない。)は、基台110に載置される。昇降台は、カセット150の下に配置されており、カセット150をX1方向(基台110の方向と平行な方向)に沿って移動させ、さらにZ1方向(基台110の方向と直交する方向)に下降及び上昇させるために用いられる。図2は、カセット150の下に配置され、そして軌道114上に配置された昇降台111を示しており、当該昇降台は、エアーシリンダ116(又は、ステッピングモータや他の駆動源)が駆動することによって、X1方向に沿って移動して配置される。他方、昇降台111は、その底部に電子モータ115を備えており、当該電子モータ115は、昇降台111をZ1方向に沿って上昇、下降させる。
【0028】
さらに、昇降台111の上部には、動作時にカセット150内にガラスを積み込むため、又はカセット150からガラスを積み下ろすために用いられるガイドホイール118(図3を参照)を備えている。
【0029】
以下に、第1の形態の複合搬送装置の搬送方法を説明する。複合搬送装置の基台110は二つの領域(但し、領域の個数は二つに限定されない。)を含み、すなわち第1の領域1101(積み込み機構120に隣接する位置に相当)、及び第2の領域1102(降ろし機構140に隣接する位置に相当)を含む。本形態において、先ず、カセット150が第1の領域1101(積み込み機構120に隣接する位置に相当)に配置される。カセット150の内部は空である。
【0030】
図3に示すように、作業者はガラス180を一つずつ積み込み機構120上に載置する。積み込み機構120は、ガラス180をカセット150内に送り込む積み込み動作を実施する(矢印A1は搬送方向を示す)。昇降台111は、カセット150の異なる層(異なる高さ位置)にガラス180を送り込むことができるように動作中、徐々に下降する。
【0031】
積み込み動作が終了すると、ガラス180が積み込まれたカセット150は昇降台111の動作によってゆっくりと上昇し、そしてX1方向に移動し、第1の領域1101(積み込み機構120に隣接する位置に相当)から第2の領域1102(降ろし機構140に隣接する位置に相当)に移動し、降ろし動作を実行するための準備を行う。
【0032】
図4に示すように、カセット150は一方で下降し、他方で降ろし機構140を用いることによって同時にカセット(不図示)からガラスを送り出す。なお、矢印B1は搬送方向を示している。
【0033】
カセット150は全てのガラスの送り出しが終了すると、カセット150が第1の領域1101に戻るように、昇降台111の駆動によってゆっくりと撤去され、このとき、ガラス180はX1方向に沿って移動する。そのため、作業者は積み込み機構120を用いることによってカセット150にガラスを送り込むことができる。
【0034】
上述の動作方法の連続的な繰り返しは、効率良く積み込み動作と降ろし動作を実行し、手作業での運搬に起因する接触問題を回避する。図5は、本形態における複合搬送装置の搬送方法のフローチャートを示している。つまり、先ずカセット150は第1の領域1101に移動され、その後、ガラスが積み込み機構120によって積み込まれる。ガラスが積み込まれたカセット150は第2の領域1102に移動され、ガラスは降ろし機構140によってカセット150から降ろされる。
【0035】
図6Aは、複合搬送装置の第2の形態の斜視図である。本形態において、複合搬送装置は、略長方形であって、略X2方向に延在する基台210、基台210の一側に隣接する第1の積み込み機構220及び第2の積み込み機構230、基台210の他側に隣接する降ろし機構240を含む。
【0036】
本形態において、第1の積み込み機構220と第2の積み込み機構230との間に動作スペース270が存在する。作業者は、動作スペース270に立ち、動作インターフェイス290を操作して、第1の積み込み機構220及び第2の積み込み機構230によって積み込み動作を実行する。
【0037】
各々の積み込み機構及び各々の降ろし機構は、ガラスを支持し、そして搬送するために用いられるガイドローラを備えている。図6Bに示すように、第1の積み込み機構220は、ガラスを支持するために用いられるガイドホイール224、及びガイドホイール224を支持するために用いられる回転軸222を備えている。第2の積み込み機構230は、ガラスを支持するために用いられるガイドホイール234、及びガイドホイール234を支持するために用いられる回転軸232を備えている。降ろし機構240は、ガラスを支持するために用いられるガイドホイール244、及びガイドホイール244を支持するために用いられる回転軸242を備えている。
【0038】
第1のカセット250及び第2のカセット260は、同時に基台210上に載置される。第1のカセット250及び第2のカセット260は、その底部に昇降台が配置されている。各々の昇降台は、第1のカセット250や第2のカセット260を駆動するために用いられ、X2方向(基台210の方向と平行な方向)に沿って移動し、Z2方向(基台210と直交する方向)に沿って上昇及び下降する。図7は、第1のカセット250の下に配置された昇降台211を示し、当該昇降台211は軌道214上に配置され、エアーシリンダ216(又はステッピングモータや駆動源)を用いることによって駆動され、それ故にX2方向と平行な方向に沿って移動して配置可能である。
【0039】
また、図8に示すように、ガイドホイール218は昇降台211の上部に配置されており、当該ガイドホイール218は第1のカセット250にガラスを積み込む、及び第1のカセット250からガラスを送り出すために用いられる。
【0040】
第2のカセット260の下に配置される昇降台211の構造は、第1のカセット250の下に配置された昇降台211と一致しており、説明は省略する。
【0041】
上述によれば、第1のカセット250と第2のカセット260は、昇降台211によって駆動されることが可能であって、Z2方向に沿って昇降及び下降し、又はX2方向に沿って水平移動する。
【0042】
第2の形態の複合搬送装置の搬送方法を説明する。本開示において、先ず、第1のカセット250は空であり、第1の領域2101(第1の積み込み機構220に隣接する位置に相当)に配置される。その一方で、第2のカセット260も空であり、第3の領域2103(第2の積み込み機構230に隣接する位置に相当)に配置される。搬送方法は以下の工程を含む。
【0043】
工程1:図8は第1のカセット250内にガラス280を送り込むための第1の積み込み機構220を用いて、作業者が積み込み動作を実施する様子を示している(矢印A2は搬送方向を示す)。積み込み動作の間、昇降台211は第1のカセット250の異なる層(異なる高さ位置)にガラス280を送り込みことができるように、徐々に下降する。
【0044】
搬送動作が終了した後に、ガラスが積み込まれた第1のカセット250は昇降台211の動作によってゆっくりと上昇し、上昇動作が終了した後にX2方向に移動する。言い換えると、第1のカセット250は、降ろし動作の準備のために、第1の領域2101(第1の積み込み機構220に隣接する位置に相当)から第2の領域2102(降ろし機構240に隣接する位置に相当)に移動する。
【0045】
工程2:図9に示すように、第1のカセット250内のガラス(不図示)は、第1のカセット250が下降している間に、一枚ずつ降ろし機構240を用いることによって送り出される。また、作業者はガラス280を第2のカセット260に送り込むために第2の積み込み機構230を用いることによって積み込み動作を実行し、この際、昇降台211は、第2のカセット260の異なる層(異なる高さ位置)にガラスを送り込むことができるように、徐々に下降する。
【0046】
第1のカセット250は降ろし動作が終了すると、第1のカセット250は、昇降台211の動作によってゆっくりと上昇し、上昇動作が終了した後に−X2方向(X2方向と逆方向)に移動する。言い換えると、第1のカセット250は、第2の領域2102から第1の領域2101に移動する。すなわち、作業者は、第1のカセット250の異なる層(異なる高さ位置)にガラスを送り込むために、第1の積み込み機構220を用いることによって、積み込み動作を実行することができる。同時に、第2のカセット260は、昇降台211の動作によってゆっくりと上昇し、上昇動作が終了いた後に−X2方向に移動する。言い換えると、第2のカセット260は、第3の領域2103(第2の積み込み機構230に隣接する位置に相当)から第2の領域2102(降ろし機構240に隣接する位置に相当)に移動し、第2のカセット260内のガラスを、一枚ずつ降ろし機構240を用いることによって送り出す。
【0047】
前述の第1のカセット250及び第2のカセット260の駆動目的は個々に独立させることである。
【0048】
工程3:第2のカセット260は、降ろし動作が終了すると、第2のカセット260は昇降台211の動作によってゆっくりと上昇し、第3の領域2103に戻ることができるように、当該上昇が終了した後に、X2方向に移動する。作業者は、第2の積み込み機構230を用いることによって第2のカセット260内にガラスを積み込むことができる。その間に、第1の領域2101の第1のカセット250は、降ろし機構240を用いることによって、第1のカセット250からガラスを一枚ずつ送り出す準備のため、第2の領域2102に戻るためにX2方向に移動する。
【0049】
工程2及び3は、全ての積み込み動作及び降ろし動作が終了するまで、工程2の始まりから繰り返される。
【0050】
図10は、第2の形態における複合搬送装置の搬送方法のフローチャートを示している。先ず、第1のカセット250は、第1の積み込み機構220によってガラスが積み込まれ、ガラスを降ろすために第2の領域2102に移動する。次に、ガラスを降ろした後に、第1のカセット250は、第1の領域2101に戻り、それと平行に、ガラスが積み込まれた第2のカセット260は、ガラスを降ろすために第2の領域2102に移動する。次に、第2のカセット260は、ガラスを降ろした後に第3の領域2103に戻り、それと平行に、ガラスが積み込まれた第1のカセット250は、ガラスを降ろすために第2の領域2102に移動する。この動作は全ての積み込み動作及び降ろし動作が終了するまで繰り返される。
【0051】
要するに、本開示では積み込み機構と降ろし機構とを複合化しており、複合搬送装置は、カセットを運ぶ作業者が降ろし機構と積み込み機構との間を往復する動作を省略し、手作業による運搬での物理的な接触の発生を回避する。
【0052】
幾つかの形態を説明したが、種々の改変及び置き換えは開示された精神やスコープから逸脱しない範囲で含められる。すなわち、本開示は例として示されたものであり、限定されない。
【符号の説明】
【0053】
110 基台
111 昇降台
114 軌道
115 電子モータ
116 エアーシリンダ
118 ガイドホイール
120 積み込み機構
122 回転軸
124 ガイドホイール
140 降ろし機構
142 回転軸
144 ガイドホイール
150 カセット
170 作業スペース
180 ガラス
190 動作インターフェイス
210 基台
211 昇降台
214 軌道
216 エアーシリンダ
218 ガイドホイール
220 第1の積み込み機構
222 回転軸
224 ガイドホイール
230 第2の積み込み機構
232 回転軸
234 ガイドホイール
240 降ろし機構
242 回転軸
244 ガイドホイール
250 第1のカセット
260 第2のカセット
270 動作スペース
280 ガラス
290 動作インターフェイス
1101 第1の領域
1102 第2の領域
2101 第1の領域
2102 第2の領域
2103 第3の領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
前記基台に配置される少なくとも一つのカセットと、
前記基台の一側に隣接し、前記少なくとも一つのカセット内に複数の目的物を積み込むために用いられる、少なくとも一つの積み込み機構と、
前記基台の他側に隣接し、前記少なくとも一つのカセットから複数の目的物を降ろすために用いられる、降ろし機構と、を備え、
前記基台は、少なくとも二つの領域を有し、
各々の領域は、前記複数の目的物の積み込み又は降ろしに対応するように隣接し、
前記少なくとも一つのカセットは、積み込み動作及び降ろし動作を実行するために前記少なくとも二つの領域の間を移動する、複合搬送装置。
【請求項2】
前記複合搬送装置は、第1の積み込み機構と第2の積み込み機構とを備え、
また、前記複合搬送装置は、第1のカセットと第2のカセットとを備え、
前記基台は、第1の領域、第2の領域及び第3の領域を備え、
前記第1の領域は前記第1の積み込み機構に隣接し、前記第3の領域は前記第2の積み込み機構に隣接し、前記第2の領域は前記降ろし機構に隣接し、
前記第1のカセットは前記第1の領域と前記第2の領域との間を移動し、前記第2のカセットは前記第2の領域と前記第3の領域との間を移動する、請求項1に記載の複合搬送装置。
【請求項3】
前記少なくとも一つのカセットは、前記基台と平行な方向に沿って移動し、前記基台と直交する方向に沿って上昇及び下降する、請求項1又は2に記載の複合搬送装置。
【請求項4】
前記基台は軌道を備え、
前記カセットは、前記軌道に沿って前記基台と平行な方向に、前記基台における少なくとも二つの領域の間を移動する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の複合搬送装置。
【請求項5】
前記基台は、前記カセットを支持するために昇降台と共に配置されており、
前記昇降台は、前記基台と直交する方向に沿って上昇及び下降する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の複合搬送装置。
【請求項6】
前記基台が配置される軌道と、
前記軌道に配置され、前記少なくとも一つのカセットが対応して配置される、少なくとも一つの昇降台と、
前記基台と平行な方向に、前記軌道に沿って前記昇降台を前記少なくとも二つの領域の間で移動させるために前記昇降台を駆動するエアーシリンダと、
前記基台と直交する方向に上昇及び下降するために前記少なくとも一つの昇降台を駆動する少なくとも一つの駆動源と、
を備える、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の複合搬送装置。
【請求項7】
前記少なくとも一つの積み込み機構は、前記複数の目的物を支持するためのガイドホイールと、前記ガイドホイールを支持するための回転軸と、を備える請求項1乃至6のいずれか1項に記載の複合搬送装置。
【請求項8】
少なくとも一つの積み込み機構を介して少なくとも一つのカセットに複数の目的物を積み込む工程と、
降ろし機構を介して前記カセットから前記複数の目的物を降ろす工程と、
基台における少なくとも二つの隣接する領域の間で前記カセットが移動する工程と、を備え、
各々の領域は少なくとも一つの積み込み機構又は降ろし機構に隣接する、複合搬送装置の搬送方法。
【請求項9】
前記カセットが移動する工程は、
前記複数の目的物が積み込まれた前記カセットが、降ろし動作の準備のために、前記積み込み機構に隣接する領域から前記降ろし機構に隣接する領域に移動する工程と、
複数の目的物が降ろされた後に、前記カセットが前記降ろし機構に隣接する領域から前記積み込み機構に隣接する領域に移動する工程と、
を備える、請求項8に記載の複合搬送装置の搬送方法。
【請求項10】
前記複合搬送装置は、前記複数の目的物を順に搬送するために、第1の積み込み機構と第2の積み込み機構とを備え、
また、前記複合搬送装置は、第1のカセットと第2のカセットとを備え、
前記基台は、第1の領域、第2の領域及び第3の領域を含み、前記第1の領域は前記第1の積み込み機構に隣接し、前記第3の領域は前記第2の積み込み機構に隣接し、前記第2の領域は前記降ろし機構に隣接し、
前記第1のカセットは前記第1の領域と前記第2の領域との間を移動し、前記第2のカセットは前記第2の領域と前記第3の領域との間を移動する、請求項8又は9に記載の複合搬送装置の搬送方法。
【請求項11】
前記第1の積み込み機構又は前記第2の積み込み機構は、前記降ろし機構が降ろし動作を実行している間に、積み込み動作を実行する、請求項10に記載の複合搬送装置の搬送方法。
【請求項12】
前記カセットが移動する工程は、
a)前記第1のカセットから複数の目的物を降ろすために、前記複数の目的物が積み込まれた前記第1のカセットが前記第1の領域から前記第2の領域に移動する工程と、
b)前記第1のカセットに複数の目的物を積み込むために、工程a)で複数の目的物が降ろされた前記第1のカセットが前記第2の領域から前記第1の領域に移動すると共に、前記第2のカセットから複数の目的物を降ろすために、前記複数の目的物が積み込まれた前記第2のカセットが前記第3の領域から前記第2の領域に移動する工程と、
c)前記第2のカセットに複数の目的物を積み込むために、前記第2のカセットが前記第2の領域から前記第3の領域に移動し、前記第1のカセットから複数の目的物を降ろすために、前記第1のカセットが前記第1の領域から前記第2の領域に移動する工程と、
d)複数の目的物の積み込み及び降ろしが終了するまで工程b)と工程c)とを繰り返す工程と、
を備える、請求項10又は11に記載の複合搬送装置の搬送方法。
【請求項13】
前記カセットは前記基台と平行な方向に沿って移動し、前記カセットは前記基台と直交する方向に沿って上昇又は下降する、請求項8乃至12のいずれか1項に記載の複合搬送装置の搬送方法。
【請求項14】
前記カセットの対応する位置に複数の目的物を積み込み、そして前記カセットの対応する位置から複数の目的物を降ろすために、前記カセットが上昇又は下降する請求項8乃至13のいずれか1項に記載の複合搬送装置の搬送方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−67515(P2013−67515A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−208033(P2012−208033)
【出願日】平成24年9月21日(2012.9.21)
【出願人】(512240361)瑞世▲達▼科技(廈門)有限公司 (2)
【Fターム(参考)】