説明

複合材料の補剛材を製造する方法

本発明は、少なくとも一つの補剛材要素を作るための方法に関するものである。この方法は、ほぼ同一の二つの細長いフランク2及び4にして、中央部分6の両側に二つの側方突出部10及び14を各々が有する二つの細長いフランク2及び4を繊維プレートから切り出す段階と、二つのフランク2及び4を重ね合わせて、側方突出部と中央部分との間の境界を表す二本の平行線8及び12に沿って二つのフランク2及び4を縫合する段階と、このように形成された組立体の両側で、フランジ22及び24を形成するために、側方突出部10及び14を縫合線に沿って折り曲げる段階とを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に航空機に用いられるパネルのような薄い構造要素を補剛するための複合材料から作られた補剛材要素に関するものである。
【背景技術】
【0002】
飛行機又はヘリコプタは薄い構造要素を含んでおり、前記薄い構造要素は、そのサイズが非常に大きいことがあり、また可能な限り軽量のままである一方で、様々な方向で作用する様々な機械的応力に耐える必要がある。
【0003】
そのような薄い構造要素を、例えば炭素繊維、ガラス繊維、又はアラミド繊維のような繊維でできたプレートから作ることはよく知られている。プレート内で、繊維は、特に製織によって互いに集められた層の中に共に集められている。プレートは、それの切断と取扱いを可能にする一定の強度を保有している。そのようなプレートから切り出された部分は、次に共に組み立てられ、その後それらは、構造要素を得るために重合可能樹脂で含浸される。
【0004】
薄い構造要素に剛性を与える一方で前記薄い構造要素の重量を最小限に抑える一つのよく知られた手段は、補剛材をそれに付加することにある。
【0005】
先行技術が、特に次の文献、米国特許第462254号明細書、欧州特許出願公開第1023986号明細書、欧州特許出願公開第0056352号明細書、米国特許第5518564号明細書、及び米国特許第4966802号明細書によって明らかにされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、薄い構造要素を作るために用いられる薄いプレートに類似した薄いプレートから補剛材を作るための非常に単純な手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このために、本発明は少なくとも一つの補剛材要素を製造する方法を提供する。この方法は以下の段階、即ち、
ほぼ同一の二つの細長いフランクにして、中央部分の両側に二つの側方突出部を各々が有する二つの細長いフランクを繊維プレートから切り出す段階と、
二つのフランクを重ね合わせて、側方突出部と中央部分との間の境界を表す二本の平行線に沿って二つのフランクを縫合する段階と、
このように形成された組立体の両側で、側方突出部を縫合線に沿って折り曲げる段階と、を含んでいる。
【0008】
このように折り曲げられた側方突出部は、補剛材要素の補強リブを形作っており、前記リブは、フランクの中央部分を構成する補剛材要素のウェブの両側にフランジを形成するように、平行な二平面内においてペアで延在している。縫合線はこのように自然な折線を構成する。これら縫合線は、前記リブの基部からこのように延びており、またリブが補剛材に接続される箇所を構成し、そのことにより良好な結合性と、損傷に耐える高い能力とをその結果生じた部分に対するより大きな剛性と共に提供する。
【0009】
本発明はより良く理解されることが可能であり、また他の特徴及び利点は、添付図面を参照して、一例として示された次の説明を読んだときより一層明瞭になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、二つのフランクの斜視図であり、前記二つのフランクは、本発明の特定の実施形態における補剛材要素を作るために、繊維プレートから切り出されて、縫合によって一体に組み立てられたものである。
【図2】図2は、図1の二つのフランクが折り曲げられた後の斜視図である。
【図3】図3は、補剛材要素の斜視図であるが、前記補剛材要素は変更実施形態として作られたものである。
【図4】図4は、図3の補剛材要素の部分表面図である。
【図5】図5は、本発明の特定の実施形態における、一体に組み立てられた補剛材要素の斜視図である。
【図6】図6は、図5の補剛材要素が折り曲げられた後の斜視図である。
【図7】図7は、格子状に配列された補剛材を備えるパネルの表面図である。
【図8】図8は、図7の切断線VIII−VIIIによる前記パネルの断面図である。
【図9】図9は、一体に組み立てられた補剛材のための補強の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、補剛材要素がどのように細長い補剛材の形に作られるかを示している。製造は二つの同一のフランク2及び4を繊維プレートから切り出すことにより始まり、前記フランクは細長い形状に切り出される。層を重ね合わせることにより作り出されたプレートを用いることが有利であり、このように切り出されたフランクの取扱いを容易にするように層に対して結合性を与えるのに適した接続手段であって、例えば層間縫合又は製織を含む接続手段によって、前記層はそれ自身が相互接続される。繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、又はさらにアラミド繊維であり得る。
【0012】
各フランク2及び4は、各フランクの全長にわたって延在する矩形細片を形作る中央部分6を有している。中央部分6は、その長辺に沿って及び対称の様態で二つの側方突出部10及び14に部分的に境を接しており、前記側方突出部10及び14は小さな幅の矩形細片を形作っている。これら側方突出部10及び14は、中央部分6の端の手前で終わっており、そのことにより中央部分の二つの自由端16及び18が形成されており、それら二つの自由端はこの実施形態では長さが同一である。
【0013】
フランク2及び4は重ね合わされて、二本の平行で直線状の縫合線8及び12によって共に縫合され、前記縫合線8及び12は各フランクの中央部分6に沿って延びると共に、側方突出部10及び14を中央部分から分けている。
【0014】
図2は、次の製造段階におけるフランク2及び4を示している。この段階では、二つのフランクの二つの側方突出部10が共通平面内に延在するように及び同様に二つの側方突出部14が共通平面内に延在するように、側方突出部10及び14は中央部分6の両側で縫合線8及び12に沿って直角に折り曲げられる。これは、二つのフランク2及び4の間の接触平面に関して対称形のフランジ22及び24を作り出し、前記フランジ22及び24は、フランクの中央部分によって構成される補剛材のウェブの両側で延びている。次に樹脂は、この実施例では重合されることによって硬化される。
【0015】
次に、このように作られた組立体は、例えば圧力下又は真空下の射出樹脂浸透のような周知のトランスファー法によって樹脂含浸される。
【0016】
補剛材1の横断面は概ねI形であり、フランク2及び4の二つの隣接する中央部分6が補剛材のウェブ20を形成し、側方突出部10及び14が補剛材のフランジ22及び24を形成している。この周知のI形断面は、様々な機械的ストレスに直面して良好な強度、特に良好な曲げ強度を提供する梁であって、使用される材料の量を最小限に抑えることにより重量及び製造コストの制限を可能にする梁の形で補剛材を作ることを可能にする。
【0017】
本発明の補剛材1が良好な結合性を有することが観察されるだろう、というのも二つのフランク2及び4によって形成された二つの対称部分が、補強繊維を含む縫合線8及び12によって、それらの長さに沿って共に結合され、前記補強繊維は、それら自身が樹脂で含浸されるとともにウェブ20に垂直な方向に延びているためである。縫合のタイプは、この方向で繊維数をより多く又はより少なくするように構成されてよい。
【0018】
さらに、縫合線8及び12は、ウェブ20の縁、即ちフランジ22及び24の基部に沿って形成され、そこでは応力は大きく、また前記縫合線は、組立体に良好な剛性を与えるように上手く離隔された二つの線を占める。
【0019】
図3及び4は、補剛材の実施形態の変形例を示しており、前記補剛材は、図1のフランク2及び4に類似した二つのフランク2及び4であって二本の縫合線8及び12によって一体に組み立てられた二つのフランク2及び4から製造されている。
【0020】
折り曲げ工程の前に、フランク2及び4の各々の自由端16は、背中合わせに係合されているが、繊維プレートから同様に切り出された第1、第2、及び第3補強要素30、32、及び34によって覆われる自由端の外側面を有している。
【0021】
補強要素30、32、及び34は、形状が矩形であって、それらの三つの辺が自由端16の外形に合っている。第1補強要素30について、フランク2及び4の中央部分の方に向けられた第4の辺は、側方突出部10及び14の端とほぼ同一水準で終わっている。第2補強要素32の第4の辺及び第3補強要素34の第4の辺は、フランク2及び4の端に向かって増加する厚さの階段部分を形成するように連続的にずらされている。
【0022】
組立体を一体に保持する一方で前記平面に垂直な方向に補強繊維を加えるように、最大の第1補強要素30から始まる複数の縫合線38に沿って、支持フランク2及び4と二組の補強要素30、32、及び34は、それらの厚さを横切って共に縫合される。接続要素が補剛材1の端16に、例えば端16に穴をあけて、その結果生じた穴に金属の接続要素を嵌めることにより固定されてもよい。曲げモーメントが接続要素に作用した場合、曲げモーメントは、補強要素30、32、及び34の厚さの規則的な変化の結果として、補剛材のウェブ20に連続的に伝達される。一例として、接続要素は、補剛材の端に装着されて接続アームとして用いられるヒンジ式カバーであってよい。
【0023】
もちろん、補強要素の数は、獲得が望まれる剛性の関数として変えられてよい。どんな固定要素も補剛材に取り付けられる必要がなければ、補剛材の一方又は両方の自由端を省くことも可能である。
【0024】
図5及び6は、例えば格子を形成する補剛材要素を形成する目的の組立方法を示している。第1補剛材半加工品40aが、前述の方法によって作り出され、また共に縫合された二つのフランク2a及び4aを有している。側方突出部10a及び14aはまだ折り曲げられていない。
【0025】
ほぼ等しい幅の第2補剛材半加工品40bも作り出され、それは共に縫合された二つのフランク2b及び4bを同様に具備している。その側方突出部は同様にまだ折り曲げられていない。
【0026】
二つの補剛材半加工品40a及び40bは、平らな一方が平らな他方に長手方向で重ね合わされ、それらの中央部分は少なくとも部分的に重なり合っている。第2補剛材半加工品40bの自由端16bは第1補剛材半加工品40aの中央部分6aに配置される。第2補剛材半加工品40bの自由端16bを第1補剛材半加工品40aの中央部分6aに結合するために縫合線48が設けられる。重ね合わされるフランクの全てがまだ平坦であるという事実から、この工程は容易になされる。
【0027】
図6で見られるように、次に第2補剛材半加工品40bは、この実施例では、縫合された端16bと第2補剛材半加工品40bの残りの部分との間の境界を定める折り曲げ線Lに沿って第1補剛材半加工品40aに対して直角に折り曲げられる。その後、フランジ22a及び22bを形成するように、各補剛材半加工品の側方突出部10a、14a、10b、及び14bが順々に前述したように折り曲げられる。これは、二つの相互接続された補剛材によって構成された補剛材格子を提供する。
【0028】
補剛材40a及び40bの各々の中央部分6a及び6bの幅を等しく選択することによって、二つの補剛材のフランジ22a及び22bは共通平面内に延在する。加えて、第2補剛材半加工品40bを折り曲げ線Lに沿って折り曲げることにより、一方の補剛材から他方の補剛材に延びるフランジ22a及び22bの連続性が獲得される。
【0029】
本発明の特定な様相では、繊維プレートから切り出された補強細片52a及び52bであって、補剛材のフランジ22a及び22b上に取り付く補強細片52a及び52bを加えることによって補剛材は補強される。図6に示される実施例では、補強細片52aは第1補剛材40aのフランジ22aを覆う一方で、補強細片52bは第2補剛材40bのフランジ22bを覆う。補強細片は、図8においても見ることができる縫合線54によってフランジ22a及び22b上に縫合される。この点で、補強細片52a及び52bが、補剛材40aと40bとの間の接合部で重なり合い、そのことによってこの接続を補強することに貢献していることが観察されるだろう。
【0030】
図7は、繊維プレートから切り出されて例えばジグ又は型内で整形されたパネル60を補剛するための網目状格子の形をした補剛材要素を形成するように、前述の技術を使用して組み立てられた複数の補剛材62及び68を示している。このように作られた補剛材の格子は前記パネルの上に配置されて、前記パネルに接触するフランジがそれに縫合される。
【0031】
図8は、補剛材格子の補剛材62の一つがパネル60にどのように取り付けられるかを示している。縫合線64が補剛材の底フランジ24をパネル60に結合する。補剛材格子を作り出している全ての補剛材の全てのフランジが、もちろんパネル60に縫合される。
【0032】
同一の材料をパネル60及び補剛材62及び68に使用することにより、組立体は全面的に均一であることが保証され、同様の材料を用いて作られる接続部を有している。
【0033】
図9は、他のタイプの補強細片72を示しており、前記補強細片72は、十字形であって、第1補剛材62の頂部フランジと第1補剛材62の両側から延びて整列されている二つの補剛材68の頂部フランジとを同時に覆っている。縫合線66が十字形細片72と補剛材62および68のフランジとを共に接続する。この補強は、図7に示される網目状格子における交叉点を補強するのに特に適している。
【0034】
このように作り出された、補剛材格子とパネルとによって構成された組立体は、次に例えば周知のトランスファー法によって樹脂で含浸され、その後に重合される。
【0035】
これは、損傷に順応するその能力を著しく高める縫合線を備える補剛パネルを作り出す。縫合線は、例えばパネルと補剛格子との間の界面における樹脂層間剥離を引き起こす衝撃の場合に、補剛材の分解又はパネルからの分離を防止する。
【0036】
通常は、縫合線は、特にタフト縫合を利用して、様々な異なる縫合を使用して実施されてよい。縫合線の数は、接続部の特定の補強程度を達成するように構成されてよい。フランク及び補強細片を作り出している繊維と同じタイプの繊維を用いることが好適である。
【0037】
さらに、補剛材の機械的強度を周知の様態で高めるように、補剛材のための補強繊維の方向は、補剛材が受けるストレスの方向の関数のような補剛方向を特別扱いするようにされてよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの補剛材要素を作るための方法であって、
ほぼ同一の二つの細長いフランク(2、4)にして、中央部分(6)の両側に二つの側方突出部(10、14)を各々が有する二つの細長いフランク(2、4)を繊維プレートから切り出す段階と、
前記二つのフランク(2、4)を重ね合わせて、前記側方突出部と前記中央部分との間の境界を表す二本の平行線(8、12)に沿って前記二つのフランク(2、4)を縫合する段階と、
このように形成された組立体の両側で、フランジ(22、24)を形成するために、前記側方突出部(10、14)を前記縫合線に沿って折り曲げる段階と、を含む方法。
【請求項2】
前記フランクの前記中央部分(6)は、前記補剛材要素の少なくとも一つの自由端(16、18)を形成するために、前記側方突出部を越えて延びている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
繊維プレートから切り出された少なくとも一つの補強要素(30、32、34)が、前記自由端に縫合される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
複数の補強要素(30、32、34)が、前記自由端の両側に縫合される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
補剛材要素の製造方法であって、
ほぼ同一の二つの細長いフランク(2a、4a)にして、中央部分(6a)の両側に二つの側方突出部(10a、14a)を各々が有する二つの細長いフランク(2a、4a)を繊維プレートから切り出す段階と、
第1補剛材半加工品(40a)を得るために、前記二つのフランク(2a、4a)を重ね合わせて、前記側方突出部と前記中央部分との間の境界を表す二本の平行線(8a、12a)に沿って前記二つのフランク(2a、4a)を縫合する段階と、
ほぼ同一の二つの細長いフランク(2b、4b)にして、中央部分(6b)の両側に二つの側方突出部(10b、14b)を各々が有すると共に、少なくとも一つの自由端(16b)を有する二つの細長いフランク(2b、4b)を繊維プレートから切り出す段階と、
第2補剛材半加工品(40b)を得るために、前記二つのフランク(2b、4b)を重ね合わせて、前記側方突出部と前記中央部分との間の境界を表す二本の平行線(8b、12b)に沿って前記二つのフランク(2b、4b)を縫合する段階と、
第2補剛材半加工品(40b)の前記自由端(16b)が前記第1補剛材半加工品(40a)の前記中央部分(6a)に面するように、前記二つの補剛材半加工品を重ね合わせる段階と、
前記第2補剛材半加工品の前記自由端(16b)を前記第1補剛材半加工品の前記中央部分に縫合する段階と、
前記第2補剛材半加工品(40b)が前記第1補剛材半加工品(40a)に対して交叉して延びるように、前記第2補剛材半加工品(40b)を折り曲げる段階と、
前記側方突出部(10a、14a、10b、14b)がフランジ(22a、24a、22b、24b)を形成するように、前記側方突出部(10a、14a、10b、14b)を前記縫合線(8a、12a、8b、12b)に沿って直角に折り曲げる段階と、を含む補剛材要素の製造方法。
【請求項6】
繊維プレートから切り出された補強細片(52a、52b)が前記フランジ上に縫い合わされる、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記補強細片(52a、52b)が前記補剛材要素の接合部で交差している、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
繊維プレートから切り出された十字形補強材(72)が前記補剛材要素の接合部における前記フランジ上に縫い合わされている、請求項5に記載の製造方法。
【請求項9】
補剛パネルの製造方法であって、
繊維プレートからパネル(60)を切り出す段階と、
請求項1又は請求項5に記載された方法により補剛材要素を製造する段階と、
前記補剛材要素を前記パネル上に配置して、前記パネルに面している前記補剛材要素のフランジを前記パネルに縫合する段階と、を含む補剛パネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−521336(P2010−521336A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553178(P2009−553178)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【国際出願番号】PCT/FR2008/000300
【国際公開番号】WO2008/132319
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(597060689)メシエードウティ ソシエテ アノニム (8)
【Fターム(参考)】