説明

複合材料の配置方法およびシステム

コースをレイアップモールドへ与えるため、レイアップモールド上のプライ領域を規定するプライ境界が決定され、複合材料のテープはプライ境界に関して傾斜角でプライ領域上に与えられる。さらに、テープの前縁が突合せ切断され、前縁エッジとプライ境界は基本的に収斂する。さらに、後縁が生成される。後縁は突合せ切断され、後縁エッジとプライ境界は基本的に収斂する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複合材料アイテムの製造方法およびシステムに関し、特に本発明は複合物の自動積層用システムとその使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
複合アイテムは典型的に多数の層又はプライから製造される。これらのプライは通常、カーボンファイバ、種々の他のファイバ、金属薄膜または箔等のような種々の材料を含んでいる。さらに、プライは樹脂により(ファイバならば)予め含浸され、または(ホイルならば)被覆されることができ、しばしばロールまたはスプールから分配される。ロールの形態では、複合プライ材料は「テープ」と呼ばれ、裏打ち層を含んでも含まなくてもよい。この裏打ちは通常、樹脂被覆されたか予め含浸されたプライ材料(プレプレグ)がそれ自体に接着することを防止し、テープがツール又はレイアップに与えられるときにテープの処理を助ける。テープはプライを形成するために並んで置かれた多数のコースでツールに与えられる。このテープが広いほど、与えられる必要のあるコースは少なくなる。このようにして、広いテープの使用は通常、載置速度を増加し、複合アイテムの製造速度を上げる。しかしながらテープ幅の増加はテープ切断装置の寸法と複雑性を増加させる。
【0003】
通常の積層マシンでは、テープは配置されるプライのプロフィールを整合するために各プライの始めと最後で切断される。通常、コースの開始プロフィールは先に与えられたコースの最後のプロフィールと整合しない。それ故、通常の積層マシンは次のコースの始めに整合する新しいプロフィールを切断するためにツール又はマンドレルから離れるように動くことを必要とされる。この手順は時間と複合材料を浪費する。さらに切断装置は通常の積層マシンの信頼性が少ないコンポーネントである。
【0004】
したがって、ここで説明した欠点を少なくともある程度まで克服することができる複合アイテムを製造する方法およびシステムを提供することが望ましい。
【発明の開示】
【発明の要約】
【0005】
前述の要求は本発明により大いに満足され、幾つかの実施形態では積層された複合アイテムを製造するシステムと、このようなシステムを使用する方法が提供される。
【0006】
本発明の1実施形態はコースをレイアップモールドへ与える方法に関する。この方法では、レイアップモールド上のプライ領域を規定するプライ境界が決定され、複合材料のテープはプライ境界に関して傾斜角でプライ領域上に与えられる。さらに、テープの前縁が突合せ切断され、前縁エッジとプライ境界は基本的に収斂する。さらに、後縁が生成される。後縁は突合せ切断され、後縁エッジとプライ境界は基本的に収斂する。
【0007】
本発明の別の実施形態は複合アイテムに転移ゾーンを製造する方法に関する。転移ゾーンは第1のスキンゲージで開始し、第2のスキンゲージで終了する領域を規定する。転移ゾーンは第2の傾斜プライ境界からオフセットされた第1の傾斜プライ境界を含んでいる。この方法では、複合材料のテープの第1のセットが第1の傾斜プライ境界を横切って与えられる。テープの各第1のセットは突合せ切断されるそれぞれの端部を含み、テープの各第1のセットはそれぞれの中心線を含んでいる。テープの各第1のセットでは、それぞれの端部とそれぞれの中心線は基本的に第1の傾斜プライ境界で収斂する。さらに複合材料のテープの第2のセットは第2の傾斜プライ境界を横切って与えられる。テープの各第2のセットは突合せ切断されるそれぞれの端部を含み、テープの各第2のセットはそれぞれの中心線を含んでいる。テープの各第2のセットでは、それぞれの端部とそれぞれの中心線は基本的に第2の傾斜プライ境界で収斂する。テープの第2のセットのそれぞれの端部は小円鋸歯状のパターンを生成するためにテープの第1のセットのそれぞれの端部からオフセットされる。
【0008】
本発明のさらに別の実施形態は、レイアップモールド上にコースを与える方法を実行するための1組の命令を含むコンピュータソフトウェアが埋設されているコンピュータの読取可能な媒体に関する。この方法では、レイアップモールド上にプライ領域を規定するプライ境界が決定され、複合材料のテープはプライ境界に関して傾斜角でプライ領域に与えられる。さらに、テープの前縁は突合せ切断され、前縁とプライ境界は基本的に収斂する。さらに後縁が生成される。後縁は突合せ切断され、後縁とプライ境界は基本的に収斂する。
【0009】
本発明のさらに別の実施形態は、複合アイテム中に転移ゾーンを製造する方法を実行するための1組の命令を含むコンピュータソフトウェアが埋設されているコンピュータの読取可能な媒体に関する。転移ゾーンは第1のスキンゲージで開始し、第2のスキンゲージで終了する領域を規定する。転移ゾーンは第2の傾斜プライ境界からオフセットされた第1の傾斜プライ境界を含んでいる。この方法では、複合材料のテープの第1のセットが第1の傾斜プライ境界を横切って与えられる。テープの各第1のセットは突合せ切断されるそれぞれの端部を含み、テープの各第1のセットはそれぞれの中心線を含んでいる。テープの各第1のセットでは、それぞれの端部とそれぞれの中心線は基本的に第1の傾斜プライ境界で収斂する。さらに複合材料のテープの第2のセットは第2の傾斜プライ境界を横切って与えられる。テープの各第2のセットは突合せ切断されるそれぞれの端部を含んでおり、テープの各第2のセットはそれぞれの中心線を含んでいる。テープの各第2のセットでは、それぞれの端部とそれぞれの中心線は基本的に第2の傾斜プライ境界で収斂する。テープの第2のセットのそれぞれの端部は小円鋸歯状のパターンを生成するためにテープの第1のセットのそれぞれの端部からオフセットされる。
【0010】
本発明のさらに別の実施形態はコースをレイアップモールド上に与える装置に関する。その装置はレイアップモールド上にプライ領域を規定するプライ境界を決定するための手段と、プライ境界に関して傾斜角でプライ領域上に複合材料のテープを適用する手段とを含んでいる。テープの前縁は突合せ切断され、前縁とプライ境界は基本的に収斂する。さらに装置は後縁を生成する手段を含んでいる。後縁は突合せ切断され、後縁とプライ境界は基本的に収斂する。
【0011】
本発明のさらに別の実施形態は複合アイテムに転移ゾーンを製造する装置に関する。転移ゾーンは第1のスキンゲージで開始し、第2のスキンゲージで終了する領域を規定している。転移ゾーンは第2の傾斜プライ境界からオフセットされた第1の傾斜プライ境界を含んでいる。装置は、複合材料のテープの第1のセットを第1の傾斜プライ境界を横切って与える手段を含んでいる。テープの各第1のセットは突合せ切断されるそれぞれの端部を含み、テープの各第1のセットはそれぞれの中心線を含んでいる。テープの各第1のセットでは、それぞれの端部とそれぞれの中心線は基本的に第1の傾斜プライ境界で収斂する。さらに装置は複合材料のテープの第2のセットを第2の傾斜プライ境界を横切って与える手段を含んでいる。テープの各第2のセットは突合せ切断されるそれぞれの端部を含み、テープの各第2のセットはそれぞれの中心線を含んでいる。テープの各第2のセットでは、それぞれの端部とそれぞれの中心線は基本的に第2の傾斜プライ境界で収斂する。テープの第2のセットのそれぞれの端部は小円鋸歯状のパターンを生成するためにテープの第1のセットのそれぞれの端部からオフセットされる。
【0012】
したがって、ここでのその詳細な説明が良好に理解され、技術に対する本発明の貢献がより良好に認識されることができるように、本発明のある実施形態についてここで広く概要を説明する。勿論、以下説明し、特許請求の範囲の主題を形成する本発明の付加的な実施形態を説明する。
【0013】
これに関して、本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は構造の詳細および以下の説明で説明されるか図面に示されているコンポーネントの構成に対するその応用によって限定されないことが理解されよう。本発明は説明したものに加えて実施形態を可能にし、種々の方法で実施および実行することができる。また、ここで使用されている語句および用語は要約と同様に説明のためのものであり、発明の限定として考えられるべきではないことが理解されよう。
【0014】
このようにして、当業者はこの説明が基礎としている概念が本発明のいくつかの目的を行うための他の構造、方法、システムの設計の基礎として容易に使用されることができることを認識するであろう。それ故、特許請求の範囲は本発明の技術的範囲を逸脱しない限りでこのような等価構造を含むと考えられることが重要である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は幾つかの実施形態において複合アイテムを製造するためにプライを配置するシステムと、このシステムの使用方法を提供する。種々の実施形態では、システムは例えば自動化されたファイバ配置(AFP)マシン、平面テープ積層マシン(FTLM)、数値制御(NC)の外形テープ積層マシン(CTLM)、マルチヘッドテープ積層マシン(MHTLM)等のような自動化された積層装置を含んでいる。この積層装置は、マンドレル、レイアップモールド又はツール上に複合材料のプライを配置するために1以上の分配ヘッドを含んでいる。さらに積層装置は複合材料を切断するための切断装置を含んでいる。
【0016】
本発明を図面を参照して説明し、類似の参照符合は全体を通して類似の部分を指している。図1は本発明の1実施形態によるマルチヘッドテープ積層マシン(MHTLM)10のブロック図である。図1に示されているように、MHTLM10は位置付け装置14A-14Nのそれぞれのセットにより位置付けられる配置ヘッド12A-12Nのセットを含んでいる。配置ヘッド12A-12Nは基板18上に複合材料を配置16A-16Nするように構成されている。基板18はマンドレル20または他のこのような形態および/またはツールの表面を含んでいる。さらに、基板18はマンドレル20上に任意の先に与えられた複合材料、粘着剤等を含んでいる。マンドレル20は回転されるか、その他の方法で駆動装置22により位置付けられる。駆動装置22および/または位置付け装置14A-14Nは制御装置24により制御される。制御装置24は複合アイテムを製造するためのコンピュータが読取可能な命令を含んでいるファイル26にアクセスする。
【0017】
図2は本発明の1実施形態によるマルチヘッドテープ積層マシン(MHTLM)10の斜視図である。図2に示されているように、MHTLM10は基板18に関して配置ヘッド12A-12Nを位置付けるためのフレーム30を含んでいる。フレーム30と基板18は相互に関して方向AとBで移動するように構成されている。さらに各配置ヘッド12A-12Dは相互および/またはフレーム30に関して1以上の自由軸を独立して有することができる。例えば各配置ヘッド12A-12Dは約5、6個等の軸について独立して動くことができる。このようにして配置ヘッド12A-12Nの幾つか又は全ては基板18上にそれぞれの条帯又はテープ32を配置するように構成される。テープ32は複合アイテム34を製造するための任意の適切な材料を含んでいる。適切な材料の例は金属ホイル、薄膜、ファイバ等を含んでいる。これらの材料は樹脂で被覆されるか含浸されてもよい。特別な例では、テープ32は熱硬化性樹脂(プレプレグ)で予め含浸されているカーボンファイバを含んでいる。別の例では、テープ32は樹脂で被覆されているチタニウムホイルを含んでいる。複合アイテム34はテープ32で製造されることができる任意の適切なアイテム又は部品を含んでいる。特別な例は航空機の翼および胴体コンポーネントを含んでいる。
【0018】
図3は図1に示されている本発明の実施形態により使用するのに適したプライ38の概略図である。図3に示されているように、プライ38はプライ38のエッジを規定するプライ境界40を含んでいる。プライ38はプライ境界40の線に関して約45゜で配向されている複数のコース42を含んでいることに注意する。プライ38はさらに隣接するコース42間に配置されている複数のコースインターフェース44を含んでいる。コース42は通常、前縁46と後縁48を含んでいる。45゜が図3に示されているが、コース42はプライ37または基板18に関して任意の適切な角度で配向されることができる。例えばコース42は0゜、90゜、+/−45゜等で配向されることができる。0゜と90゜で配向されるとき、テープ32の前縁46と後縁48はプライ境界40と基本的に一致するように位置されることができる。このように、0゜と90゜のコースの配向は比較的簡単であり、したがってここではさらに説明しない。1実施形態では、任意の傾斜角または0゜と90゜以外の方向で、前縁46と後縁48の一方又は両者の幾つかの位置が図3に示されているようにプライ境界40を越えて延在することができる。
【0019】
図4は図1に示されている本発明の実施形態により使用するのに適したプライ38の詳細図である。図4に示されているように、テープ32は中心線50を含んでいる。1実施形態では、テープ32は中心線50、プライ境界40、前縁46または後縁48が基本的に収斂するか交差するようにプライ38上に位置付けられる。このように、テープ32の一部又はコーナーはプライ境界40の一方の側面に延在し、オーバーフィル52とアンダーフィル54を生じる。テープ32が45゜でプライ境界40に与えられる特別な例では、テープ32は幅(W)56を含み、オーバーフィル52は次式により説明されることができる高さ(h)58を含んでいる。
h=W/(2・21/2) 式1
前述の式1を使用して、3インチ(7.62cm)の幅56であるならば、高さ58は約1.06インチ(2.69cm)に等しい。同様に、アンダーフィル54の高さ60は基本的に高さ58に等しい。通常、任意の傾斜角で、高さ58と60は次式により説明されることができる。
h=W(SINθ)/n 式2
ここでθはプライ境界40と前縁または後縁46/48との間の(ラジアンによる)入射角であり、n≧1である。これに関して、配置ヘッド12A-12Nのテープ切断機構にしたがって、前縁46および後縁48は中心線50に関して約80゜から約100゜で切断されることができる。特に、前縁46および後縁48は中心線50に関して約85゜から約95゜で切断されることができる。この90゜からの分散と、切断が行われるときにテープ32が移動する速度は切断アセンブリの設計に関連される。さらに1以上であるnに関して、前縁46および/または後縁48はプライ境界40に沿った任意の適当な位置に配置されることができる。特定の応用にしたがって、nは特別な値に設定されることができる。しかしながら、他の応用ではn(即ち前縁46/後縁48がプライ境界40とオーバーラップする量)はプライからプライで、または与えられたプライ内で変化する可能性がある。特別な例では、n=2が約50%のオーバーラップで生じる。この例では、前縁46/後縁48、プライ境界40、中心線50は全て基本的に収斂する。
【0020】
図5は図1に示されている本発明の実施形態により使用するのに適したプライ配置方式の概要66を示している。プライ配置の概要66は転移ゾーン68に沿って複数のプライ38A-38Nを配置するために使用されることができる。転移ゾーン68は第1の厚さまたは「スキンゲージ」を有する複合アイテム34の第1の領域70と第2のスキンゲージを有する複合アイテム34の第2の領域72との間のインターフェースを規定する。第1の領域70と第2の領域72との間のスキンゲージの差はプライ38A-38Nの数を変更することにより実現される。即ち複合アイテム34上に比較的強力又は厚い領域を生成するために、比較的多数のプライ38A-38Nが基板18に与えられる。プライ38A-38Nは転移ゾーン68を横切って隔てられているそれぞれのプライ境界40A-Nを含んでいる。さらにプライ38A-38Nは図5に示されているようにずらされており、それによって前縁と後縁46/48および/またはインターフェース44は一致しない。この小円鋸歯状部または間隔および、ずれは転移ゾーン68を容易にするか平滑にする。このようにして、構造的に正常で、表面的に魅力があり、および/または航空力学的に好ましい転移は迅速および効率的に生成されることができる。
【0021】
プライ境界40が実質的なトリム外(例えばその後の処理で切断される領域外)である応用では、1つのプライ38が複合アイテム34の他のプライ38と相互作用することに問題はない。しかしながら多くのプライ38が短い距離内で終端される転移ゾーン68または他のプライ傾斜領域では、複合アイテム34の厚さを通じての小円鋸歯状部の相互作用は比較的より重要である。プライ傾斜は典型的に20:1の比で胴体構造で生じる。したがってプライの厚さ0.0074インチ(0.188mm)であるならば、プライ境界40A-40Nは0.0074*20=0.148インチ(3.76mm)離れて位置されることができる。
【0022】
図5に示されている特定の実施形態では、転移ゾーン68は4つの+/−45゜プライ38A-38D(2つの+45゜と2つの−45゜)を含んでいる。明瞭にする目的で転移ゾーン68内に位置されることができる0゜および/または90゜プライは示されていない。しかしながらプライからプライの典型的なプライ配向シーケンスは45゜/90゜/−45゜/0゜である。存在するならば、プライ38A-38D間に位置されているこれら又は他のプライはそれぞれプライ境界40A-40Dの間に入るプライ境界を有する。特定の例では、0゜プライがプライ38Aとプライ38Bとの間に配置されるならば、0゜プライはプライ境界40Aと40Bとの間の距離の約1/2に配置されるプライ境界を含むことができる。90゜プライがプライ38Bと38Cとの間に配置されるならば、その90゜プライはプライ境界40Bと40Cとの間の距離の約1/2のプライ境界を含むことができる。プライ境界40A-40Nの間隔はプライ傾斜比により決定される。航空宇宙応用の典型的な傾斜比は約20:1等を含んでいる。しかしながら、本発明の種々の実施形態は任意の適切な傾斜比を含んでいる。
【0023】
本発明の実施形態の利点は、比較的簡単にされた切断によって、通常のテープ配置装置と比較するときヘッドの複雑性が減少されることができることである。切断を簡単にすることによって、複合レイアップマシンの生産性を劇的に増加するためにヘッドの信頼性および単一のマシンで多数のヘッドを使用する能力を増加できる。対照的に、通常のテープ配置マシンの転送ヘッドは多数のヘッドを一時に使用には十分の信頼性はない。
【0024】
種々の実施形態の付加的な利点は、比較的広いテープが使用されることである。通常のファイバ配置マシンにより使用されるテープと比較するとき、比較的広いテープの使用はより頑丈な機構、改良されたヘッドの信頼性、単一のマシンにより配置されることができる材料の全体の幅の増加を生じ、マシンの生産性と信頼性を劇的に改良する。
【0025】
さらに別の種々の実施形態の利点は、前縁および後縁46/48が基本的に同じであることである。通常のプライ配置装置では、後縁をプライ境界に正確に一致するように切断した後、配置ヘッドは次のコースの始めに一致する前縁プロフィールを切断するために配置領域外に移動しなければならない。通常のプライ配置装置のこのプロセスは時間と材料を浪費する。本発明の実施形態は基本的に同じである前縁および後縁46/48を有するために、この時間消費動作を省略し、これらの高価な材料を浪費しない。
【0026】
本発明の種々の実施形態のさらに別の利点は、既存の複合アイテムが既存の製造命令に対してほとんど又は全く変更がなく本発明の実施形態により製造されることができることである。特に、内部モールド線(“IML”)ツーリングおよび/または半硬化外部モールド線(“OML”)ツーリングまたは787胴体コンポーネントで使用されるような当てシートにより製造される部分は本発明の実施形態により製造されることができる。IMLツール表面はOMLが平滑の条帯であることができるようにプライの厚さ変化に整合するように刻まれる。これらおよび他の例では、複合材料の不適切な位置は許容可能な限度を超えたOML表面変化を生じる。したがって本発明の実施形態は通常のファイバ配置マシン用に設計されたプライ境界に対する任意の実質的な変更なく、ファイバ配置プロセスを直接的に置換するとき許容可能なOML表面および積層品質を生成するために材料またはプライの配置の十分な制御を行う。
【0027】
図6は本発明の1実施形態によるテープコースを配置する方法80のフロー図である。この方法60の開始前に、種々の準備が行われることができる。開始前の準備の例は、複合アイテム34の設計と、複合アイテム34に対応するファイル26の生成と、複合アイテム34に対応するマンドレル20の生成と、テープ32のような製造材料の獲得等のうちの1以上を含む可能性がある。図6に示されているように、方法80はMHTLM10のようなシステムを提供するのに応答して開始される。
【0028】
ステップ84で、テープ32は基板20に供給される。例えばファイル26はプライ境界40A-40Nを決定するためにアクセスされる。これらのプライ境界40A-40Nに基づいて、駆動装置22および/または位置付け装置14A-14Nは配置12A-12Nを位置付けるために制御装置24により制御される。その後、配置ヘッド12A-12Nはテープ32を配置又は供給するように制御される。
【0029】
ステップ86で、1以上の配置ヘッド12A-12Nが最終点又はプライ境界40A-40Nに接近しているか否かを決定する。例えばファイル26はアクセスされ、配置ヘッド12A-12Nの現在位置はプライ境界40A-40Nと比較されることができる。1以上の配置ヘッド12A-12Nが最終点又はプライ境界40A-40Nに接近しているという決定に応答して、テープ32はステップ88で切断されることができる。そうでなければ、配置ヘッド12A-12Nはステップ84でテープ32を配置し続けるように制御されることができる。
【0030】
ステップ88で、テープ32が切断される。例えば制御装置24はプライ境界40A-40Nの接近に応答してテープ32を切断するために配置ヘッド12A-12Nを制御できる。本発明の種々の実施形態では、切断は突合せ切断である。即ち切断はテープ32の中心線50に対してほぼ垂直である。1実施形態では、切断はテープ32が基板18上に配置されるとき切断または後縁48がプライ境界40A-40Nと一致するように時間を調節されることができる。
【0031】
ステップ90でレイアップが完成されたことが決定される。例えばファイル26はさらに任意の命令が存在するかまたはファイルの端部(“EOF”)識別子が到達されたかを決定するためにアクセスされる。レイアップが完成されたことが決定されたならば、複合アイテム34はステップ170で硬化される。レイアップが完成されていないことが決定されたならば、テープはステップ84で与えられることができる。
【0032】
ステップ92で、複合アイテム34が硬化される。例えば複合アイテムが配置されるのはテープ32で樹脂を硬化するための加熱および/または加圧環境である。
【0033】
ステップ90に続いて、MHTLM10は再度方法80を開始するように制御されるまでアイドル又は停止することができる。
【0034】
本発明の多くの特徴および利点は詳細な説明から明白であり、したがって特許請求の範囲により本発明の技術的範囲内に入る本発明の全てのこのような特徴および利点をカバーすることを目的としている。さらに、多数の変形および変化が当業者に容易に行われるので、本発明を説明し記載された正確な構造および動作に限定することは望ましくなく、本発明の技術的範囲に入る全ての適切な変形および等価物が使用される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の1実施形態によって使用するのに適したテープ積層マシンのブロック図。
【図2】本発明の1実施形態によって使用するのに適したテープ積層マシンの斜視図。
【図3】図1に示されている本発明の実施形態によって使用するのに適したプライの図。
【図4】図1に示されている本発明の実施形態によって使用するのに適したプライの詳細図。
【図5】図1に示されている本発明の実施形態によって使用するのに適したプライ配置の概要図。
【図6】本発明の1実施形態によるテープコースを配置する方法のフロー図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レイアップモールド上のプライ領域を規定するプライ境界を決定し、
複合材料のテープをプライ境界に関して傾斜角でプライ領域上に供給し、テープの前縁が突合せ切断され、前縁エッジとプライ境界は基本的に収斂し、
後縁を生成するステップを含んでおり、後縁は突合せ切断され、後縁エッジとプライ境界は基本的に収斂しているコースをレイアップモールド上へ供給する方法。
【請求項2】
さらに、オーバーフィルを生成するステップを含み、オーバーフィルの高さは次式、
オーバーフィルの高さ=W(SINθ)/n
により決定され、ここでWはテープの幅であり、θはプライ境界と前縁との間のラジアンによる入射角であり、n≧1である請求項1記載の方法。
【請求項3】
さらに、プライ境界に関して45゜でテープを供給するステップを含み、オーバーフィルの高さは、次式、
オーバーフィルの高さ=W/(2・21/2
により決定され、ここでWはテープの幅である請求項2記載の方法。
【請求項4】
さらに、アンダーフィルを生成するステップを含み、アンダーフィルの高さはオーバーフィルの高さにほぼ等しい請求項3記載の方法。
【請求項5】
さらに、プライ境界に関して90゜でテープを供給するステップを含み、前縁は基本的にプライ境界と一致する請求項1記載の方法。
【請求項6】
転移ゾーンは第1のスキンゲージで開始し第2のスキンゲージが終了する領域を規定し、転移ゾーンは第2の傾斜プライ境界からオフセットされた第1の傾斜プライ境界を含んでいる複合アイテムに転移ゾーンを製造する方法において、
複合材料のテープの第1のセットを第1の傾斜プライ境界を横切って供給し、テープの各第1のセットは突合せ切断されるそれぞれの端部を含み、テープの各第1のセットはそれぞれの中心線を含んでおり、テープの各第1のセットに対しては、それぞれの端部とそれぞれの中心線は基本的に第1の傾斜プライ境界で収斂し、
複合材料のテープの第2のセットを第2の傾斜プライ境界を横切って供給するステップを含み、テープの各第2のセットは突合せ切断されるそれぞれの端部を含み、テープの各第2のセットはそれぞれの中心線を含んでおり、テープの各第2のセットでは、それぞれの端部とそれぞれの中心線は基本的に第2の傾斜プライ境界で収斂し、テープの第2のセットのそれぞれの端部は小円鋸歯状のパターンを生成するためにテープの第1のセットのそれぞれの端部からオフセットされている方法。
【請求項7】
さらに、複合材料のテープの第3のセットをテープの第1のセットとテープの第2のセットとの間に0゜プライ境界を横切って供給するステップを含み、0゜プライ境界は第1の傾斜プライ境界と第2の傾斜プライ境界の間に配置されている請求項6記載の方法。
【請求項8】
さらに、複合材料のテープの第4のセットをテープの第1のセットとテープの第2のセットとの間に90゜プライ境界を横切って供給するステップを含み、90゜プライ境界は第1の傾斜プライ境界と第2の傾斜プライ境界の間に配置され、90゜プライ境界は0゜プライ境界、第1の傾斜プライ境界、第2の傾斜プライ境界からオフセットされている請求項7記載の方法。
【請求項9】
レイアップモールド上にコースを与える方法を実行するための1組の命令を含むコンピュータソフトウェアが埋設されているコンピュータが読取可能な媒体において、
レイアップモールド上にプライ領域を規定するプライ境界を決定し、
複合材料のテープをプライ境界に関して傾斜角でプライ領域に供給し、テープの前縁は突合せ切断され、前縁とプライ境界は基本的に収斂し、
後縁を生成する各ステップを含み、後縁は突合せ切断され、後縁とプライ境界は基本的に収斂するコンピュータが読取可能な媒体。
【請求項10】
さらに、オーバーフィルを生成するステップを含み、オーバーフィルの高さは次式、
オーバーフィルの高さ=W(SINθ)/n
により決定され、ここでWはテープの幅であり、θはプライ境界と前縁との間のラジアンによる入射角であり、n≧1である請求項9記載の媒体。
【請求項11】
さらに、プライ境界に関して45゜でテープを供給するステップを含み、オーバーフィルの高さは次式、
オーバーフィルの高さ=W/(2・21/2
により決定され、ここでWはテープの幅である請求項10記載の媒体。
【請求項12】
さらに、アンダーフィルを生成するステップを含み、アンダーフィルの高さはオーバーフィルの高さにほぼ等しい請求項11記載の媒体。
【請求項13】
さらに、プライ境界に関して90゜でテープを供給するステップを含み、前縁は基本的にプライ境界と一致する請求項9記載の媒体。
【請求項14】
複合アイテムにおいて転移ゾーンを製造する方法を実行するための1組の命令を含んでいるコンピュータソフトウェアが埋設されているコンピュータの読取可能な媒体において、転移ゾーンは第1のスキンゲージで開始し第2のスキンゲージで終了する領域を規定し、転移ゾーンは第2の傾斜プライ境界からオフセットされた第1の傾斜プライ境界を含んでおり、この方法は、
複合材料のテープの第1のセットを第1の傾斜プライ境界を横切って供給し、テープの各第1のセットは突合せ切断されるそれぞれの端部を含み、テープの各第1のセットはそれぞれの中心線を含んでおり、テープの各第1のセットに対しては、それぞれの端部とそれぞれの中心線は基本的に第1の傾斜プライ境界で収斂し、
複合材料のテープの第2のセットを第2の傾斜プライ境界を横切って供給するステップを含み、テープの各第2のセットは突合せ切断されるそれぞれの端部を含み、テープの各第2のセットはそれぞれの中心線を含んでおり、テープの各第2のセットに対しては、それぞれの端部とそれぞれの中心線は基本的に第2の傾斜プライ境界で収斂し、テープの第2のセットのそれぞれの端部は小円鋸歯状のパターンを生成するためにテープの第1のセットのそれぞれの端部からオフセットされているコンピュータが読取可能な媒体。
【請求項15】
さらに、複合材料のテープの第3のセットをテープの第1のセットとテープの第2のセットとの間に0゜プライ境界を横切って供給するステップを含み、0゜プライ境界は第1の傾斜プライ境界と第2の傾斜プライ境界の間に配置される請求項14記載の媒体。
【請求項16】
さらに、複合材料のテープの第4のセットをテープの第1のセットとテープの第2のセットとの間に90゜プライ境界を横切って供給するステップを含み、90゜プライ境界は第1の傾斜プライ境界と第2の傾斜プライ境界の間に配置され、90゜プライ境界は0゜プライ境界、第1の傾斜プライ境界、第2の傾斜プライ境界からオフセットされている請求項14記載の媒体。
【請求項17】
レイアップモールド上にコースを与えるための装置において、
レイアップモールド上にプライ領域を規定するプライ境界を決定する手段と、
複合材料のテープをプライ境界に関して傾斜角でプライ領域に供給し、テープの前縁は突合せ切断し、前縁とプライ境界は基本的に収斂する手段と、
後縁を生成する手段とを具備し、後縁は突合せ切断され、後縁とプライ境界は基本的に収斂する装置。
【請求項18】
さらに、オーバーフィルを生成するステップを含み、オーバーフィルの高さは次式、
オーバーフィルの高さ=W(SINθ)/n
により決定され、ここでWはテープの幅であり、θはプライ境界と前縁との間のラジアンによる入射角であり、n≧1である請求項17記載の装置。
【請求項19】
さらに、プライ境界に関して45゜でテープを供給するステップを含み、オーバーフィルの高さは、次式、
オーバーフィルの高さ=W/(2・21/2
により決定され、ここでWはテープの幅である請求項18記載の方法。
【請求項20】
さらに、アンダーフィルを生成し、そのアンダーフィルの高さはオーバーフィルの高さにほぼ等しい請求項19記載の装置。
【請求項21】
さらに、プライ境界に関して90゜でテープを供給するステップを含み、前縁は基本的にプライ境界と一致する請求項17記載の装置。
【請求項22】
複合アイテムにおいて転移ゾーンを製造する装置において、転移ゾーンは第1のスキンゲージで開始し第2のスキンゲージで終了する領域を規定し、転移ゾーンは第2の傾斜プライ境界からオフセットされた第1の傾斜プライ境界を含んでおり、
装置は、複合材料のテープの第1のセットを第1の傾斜プライ境界を横切って供給する手段を具備し、テープの各第1のセットは突合せ切断されるそれぞれの端部を含み、テープの各第1のセットはそれぞれの中心線を含んでおり、テープの各第1のセットに対しては、それぞれの端部とそれぞれの中心線は基本的に第1の傾斜プライ境界で収斂し、
装置はさらに、複合材料のテープの第2のセットを第2の傾斜プライ境界を横切って供給する手段を具備し、テープの各第2のセットは突合せ切断されるそれぞれの端部を含み、テープの各第2のセットはそれぞれの中心線を含んでおり、テープの各第2のセットに対しては、それぞれの端部とそれぞれの中心線は基本的に第2の傾斜プライ境界で収斂し、テープの第2のセットのそれぞれの端部は小円鋸歯状のパターンを生成するためにテープの第1のセットのそれぞれの端部からオフセットされる装置。
【請求項23】
さらに、複合材料のテープの第3のセットをテープの第1のセットとテープの第2のセットとの間に0゜プライ境界を横切って供給する手段を具備し、0゜プライ境界は第1の傾斜プライ境界と第2の傾斜プライ境界の間に配置される請求項22記載の装置。
【請求項24】
さらに、複合材料のテープの第4のセットをテープの第1のセットとテープの第2のセットとの間に90゜プライ境界を横切って供給する手段を具備し、90゜プライ境界は第1の傾斜プライ境界と第2の傾斜プライ境界の間に配置され、90゜プライ境界は0゜プライ境界、第1の傾斜プライ境界、第2の傾斜プライ境界からオフセットされている請求項23記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−526678(P2009−526678A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555328(P2008−555328)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/003939
【国際公開番号】WO2007/095301
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】