説明

複合構造の外皮を修復するための方法

複合材料は、2つの外皮(2,3)及び2つの外皮の間の内部コア(1)からなり、前記外皮のうちの一方の外皮(2)の一部(6)がカウンターフォーム(8)及び吸気からの圧力と共に置き換えられなければならない。修復は、コア(1)のセル内の空気を放出するために、対向する外皮(3)における通気口(14)を穿孔することによって達成される。コア(1)上の新しい部分(6)の接着結合を改善する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の外皮の間のセル状の内部コアを備え、修復しなければならない一方の外皮を含んでいる複合構造の外皮を修復するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような複合構造は、多くの装置、交通機関、地下鉄、船、及び航空機に見られる。例えば、船の船殻又外側の流線型の形状部、翼の前縁、航空機の補助翼及びレーダードームなどに見られる。
【0003】
構造の外皮は、しばしばその置換を強いる程度に損傷される。新しい外皮部分は、ドルーペ成形によって修復されるための位置で構造上に載置され、硬化するままにされる。非常に滑らかな修復された表面を保証するために、且つ新しい部分の縁部で本来の外皮のレベルにおける差異を有することなく、カウンターフォームは、本来の外皮との延長において新しい外皮をもたらすために、硬化する前に新しい外皮上に載置され、且つ押圧される。
【0004】
この予防措置にもかかわらず、新しい外皮部分と基礎をなすコアとの間の接着失敗の危険性が存在する。本発明の目的は、この危険性を排除し、コア上の外皮の接着結合の品質を提供することである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
接着失敗は、焼成中に外皮上にセットするコアの圧力の欠損から生じ、硬化を達成される場合に、それ自体がコアのセル内に入り込んだ空気の圧力によって引き起こされ、カウンターフォームの圧力が新しい外皮部分の縁部の下方から浮かび上がることを妨げる。通常の方法において、構造の修復されるべき部分はチャンバーを形成する真空バッグ内に包まれ、このチャンバーにおいて、真空は、過剰樹脂を吸い出し、且つこの空気を排気するように作用され、金型からの除去を容易にするが、吸気が十分な程度で達成されることはほとんどない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一般的な実施形態において、本発明は、2つの対向する外皮の間のセル状の内部コアを備えている複合材料構造を修復するための方法であって、前記外皮のうちの一方の外皮の一部を新しい部分に置き換えるステップと、新しい部分上及び新しい部分の周囲に剛性を有するカウンターフォームを載置するステップと、複合材料構造上にカウンターフォームを押圧するステップと、新しい部分を硬化するステップと、を備えている方法において、硬化するステップの前に、内部コアにちょうど至るまで前記外皮のうちの他方の外皮に穴をあけるためのステップと、内部コア内に含有された空気を排気するステップと、を備えることを特徴とする複合材料構造を修復するための方法に関する。より複雑であるがさらに一般的な実施形態において、本発明は、2つの対向する外皮の間のセル状の内部コアを備えている複合材料構造を修復するための方法であって、前記外皮のうち一方の外皮の一部を新しい部分に置き換えるステップと、新しい部分上及び新しい部分の周囲に剛性を有するカウンターフォームを載置するステップと、複合材料上にカウンターフォームを押圧するステップと、新しい部分を硬化するステップと、を備えている方法において、硬化するステップの前に、内部コアにちょうど至るまで、前記外皮のうちの他方の外皮に穴をあけるステップと、内部コア内に含有された空気を排気するステップと、次いで、必要な場合に、構造の密封を保証するように樹脂で穴を充填するステップと、を備えていることを特徴とする複合材料構造を修復するための方法に関する。
【0007】
本発明のそれらの態様は、他の態様と同様に、以下の図面と関連して記載される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1の構造は、内部コア1及び2つの対向する外皮2及び外皮3を備え、外皮2と外皮3との間のコア1は接着結合と共に挿入される。外皮2及び外皮3は、一般的に折り畳まれたポリマー層からなり、このポリマー層は連続的にドレープ成形され、次いで硬化される。内部コア1はセル状であり、しばしばハニカム構造からなり、この内部コア1のセルは2つの外皮のうちの一方の外皮2から他方の外皮3まで延在する。修復は外皮2に関し、外皮の損傷された部分は取り除かれ、新しい外皮部分6と置き換えられる。その構造は、外皮2の構造と同一である。代替方法として、コア1の基礎をなす部分もまた取り除かれ、新しいコア部分7と置き換えられる場合もある。依然として代替方法として、他方の外皮3の基礎をなす部分もまた、取り除かれ、他方の新しい外皮部分20と置き換えられる場合もある。それらの代替形態は、全て損傷の深さに全て依存しており、本発明の影響を受けず、同一の方法で適用されることができる。
【0009】
従来の成形用具は、通常プレート形状であるカウンターフォーム8を備え、新しい外皮部分6上に載置される。新しい外皮部分6上及び本来の外皮2の境界上における新しい外皮6の周囲に押圧されたカウンターフォーム8の下部面は、新しい外皮部分6は、修復後に外皮2に対して得られるように意図される外皮2に対応する形状及び表面品質を有する。カウンターフォーム8は外皮2上に押圧され、且つ新しい外皮部分6を備える。これは、真空バッグ9に構造の修復されるべき部分を閉じ込めることによって達成され、構造の各面上の真空バッグ9の通気孔10は、真空ポンプ11又は類似の装置に接続される。加熱カーペット12(Heating carpet)は、新しい外皮6の樹脂を充填されたポリマー層を焼成するために新しい真空バッグ9内に滑り入れられる。カウンターフォーム8の下部面は、加熱後金型の容易な除去を提供するために、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で多くの場合被膜され、剥離可能なシート13が新しい外皮部分6に接触するようにカウンターフォーム8の下に滑り入られる。最後に、包囲用織物19(environment fabrics)は、真空バッグ9の内部面と加熱カーペットとの間に置かれる。排気はそれらを通じて実行される。
【0010】
真空ポンプ11は、真空バッグ9内に含まれた空気を吸引するが、カウンターフォーム8の圧力は、空気が新しい外皮部分6の縁部の下に通じて流れることを防ぐ一方、外皮2の本来の部分との密封のための十分な固着を提供することを防ぐので、新しい外皮部分6の下の内部コア1のセル5内に含まれた空気のためにこれを適切に行うことができない。内部コア1と新しい外皮部分6との間の接着欠損は、硬直後に現れる場合がる。これは、本発明によれば、且つ図2に図示されるように、通気口14が新しい外皮6の下に、他方の外皮3を通じて形成される理由であり、それによって、直接的に、又は内部コア1と外皮3との間の裂け目を通じて、通気口14の下のセル及び通気口14の周囲のセルの効率的な排気を生み出す。新しい外皮部分6が内部コア1によく接着するので、新しい外皮部分6の接着結合は保証される。外皮2の自由表面は、適切な状態を有し、一般的に先行技術の方法の状態よりもより良い状態を有する。構造の態様を改善し、その無線電子(radio-electric)の透過性を保持する一方、後続の塗装フェーズ中にその適切な態様を再現するように外皮の可能なつまり(充填)を避け、航空機のレーダードームのための主要な利点を示す。さらに、修復は早くなる。
【0011】
代替実施形態は、図3に記載される。この構造は、例えば航空機の先端部のレーダードームに関し、このレーダードームは様々な周波数での適切な透過性のための二重サンドイッチ型の形態とされる。内部コア1は、中間皮17によって分離された2つのコア15及び16からなる内部層と置き換えられ、この中間皮17は、外皮2及び3の構成に類似の構成を有する。次いで、通気口14は、通気口18と置き換えられ、通気口18は、構造の内側に向かって方向付けられた外皮3を横断するだけではなく、通気口18が新しい外皮部分に面するコア15の他方の内部層の下に広がるまで、外皮3に面するコア16の内部層及び中間皮17を横断する。本発明は、さらに改良されないが、通気口18が通気口14として作用し、同様に通気口18は再び充填される。本明細書でも、他方の外皮又はコア層の新しい部分は、前述の第1の方法のように損傷されたより重要な部分と置き換えられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】標準の修復方法の概念図である。
【図2】本発明の代替実施形態を図示する図である。
【図3】本発明の代替実施形態を図示する図である。
【符号の説明】
【0013】
1 内部コア
2 外皮
3 外皮
5 セル
6 新しい外皮部分
7 新しいコア部分
8 カウンターフォーム
9 真空バッグ
10 通気孔
11 真空ポンプ
12 加熱カーペット
13 剥離可能なシート
14 通気口
18 通気口
19 包囲用織物
20 他方の新しい外皮部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの対向する外皮(2,3)の間のセル状の内部コア(1)を備えている複合材料構造を修復するための方法であって、
前記外皮のうちの一方の外皮の一部を新しい部分(6)に置き換えるステップと、
前記新しい部分上及び前記新しい部分の周囲に剛性を有するカウンターフォーム(8)を載置するステップと、
前記複合材料構造上に前記カウンターフォームを押圧するステップと、
前記新しい部分を硬化するステップと、
からなる複合材料構造を修復するための方法において、
前記硬化するステップの前に、
前記内部コアにちょうど至るまで前記外皮のうちの他方の外皮(3)に穴をあけるためのステップ(14)と、
前記内部コア内に含有された空気を排気するためのステップと、を備えていることを特徴とする複合材料構造を修復するための方法。
【請求項2】
2つの対向する外皮(2,3)の間のセル状の内部コア及び該内部コアを2つの層(15,16)に分離する中間皮(17)を備えている複合材料構造を修復するための方法であって、
前記外皮のうちの一の外皮の一部を新しい部分(6)に置き換えるステップと、
前記新しい部分上及び前記新しい部分の周囲に剛性を有するカウンターフォーム(8)を載置するステップと、
前記複合構造上にカウンターフォームを押圧するステップと、
前記新しい部分を硬化するステップと、
からなる複合材料構造を修復するための方法において、
前記硬化するステップの前に、
前記内部コアの他方の層にちょうど至るまで、前記外皮の他方の外皮(3)、内部コアの2つの層のうちの一方の層(16)、及び中間皮(17)に穴をあけるためのステップ(18)と、
前記内部コアに含有された空気を排気するためのステップと、を備えていることを特徴とする複合材料構造を修復するための方法。
【請求項3】
前記内部コアは、2つの前記外皮(2,3;2,17;17,3)の間に延在するセルを有するハニカム構造であることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合材料構造を修復するための方法。
【請求項4】
前記カウンターフォームがポリテトラフルオロエチレンからなる前記新しい部分上に載置された表面を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合材料構造を修復するための方法。
【請求項5】
剥離可能なシート(13)が前記カウンターフォーム(8)と前記新しい部分(6)との間に載置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の複合材料構造を修復するための方法。
【請求項6】
穿孔(14,18)が再び樹脂で充填されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の複合材料構造を修復するための方法。
【請求項7】
前記カウンターフォーム(8)を載置するステップの前に、前記新しい部分(20)を置き換えるステップを備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の複合材料構造を修復するための方法。
【請求項8】
前記カウンターフォーム(8)を載置するステップの前に、前記内部コアの一部を新しい部分(7)に置き換えるステップをも備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の複合材料構造を修復するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−512571(P2009−512571A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532778(P2008−532778)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【国際出願番号】PCT/EP2006/066814
【国際公開番号】WO2007/036546
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(501446228)エアバス・フランス (93)
【Fターム(参考)】