複合構造物の界面検査方法及び界面検査装置
【課題】超音波探傷法を用いて複合構造物の鋼板とコンクリート界面との間に形成された空隙を効率よく検査することのできる複合構造物の界面検査方法を提供する。
【解決手段】橋梁の鋼桁上部と橋脚下部との間に設けられた厚鋼板と橋脚下部とを剛結する剛結部に打設されたコンクリートの界面に対し、厚鋼板上に配置した超音波探触子から超音波を発信し、厚鋼板底面からの反射波を受信して、その強度を測定する反射波強度測定工程(S2)と、測定された反射波の強度を予め設定された閾値と比較し、コンクリートの充填状態が十分であるか否かを判定する充填状態判定工程(S3)とを含む。
【解決手段】橋梁の鋼桁上部と橋脚下部との間に設けられた厚鋼板と橋脚下部とを剛結する剛結部に打設されたコンクリートの界面に対し、厚鋼板上に配置した超音波探触子から超音波を発信し、厚鋼板底面からの反射波を受信して、その強度を測定する反射波強度測定工程(S2)と、測定された反射波の強度を予め設定された閾値と比較し、コンクリートの充填状態が十分であるか否かを判定する充填状態判定工程(S3)とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合構造物の界面検査方法及び界面検査装置に係り、詳しくはコンクリートの充填状態を確認するための界面検査方法、及び界面検査方法を行う界面検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、高速道路橋梁等の複合構造物の構築方法として、鋼桁上部構造と橋脚下部構造とを剛結し、上下部一体構造とする工法が知られている。このような複合構造物は、長期間の利用に伴うコンクリート内部に設けられた補強部材の腐食や施工時のコンクリートの充填不足によりコンクリート内部に空隙がある場合等には、強度の低下を引き起こす。
このような複合構造物の腐食検査を、超音波探触子を用いて非破壊検査で行うことが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−14704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、図11に示すように、鋼桁上部101と橋脚下部102とを剛結する剛結部103は、剛結部上部に厚鋼板104を嵌合し、厚鋼板104に設けられた打設孔105からコンクリートを打設して形成される。厚鋼板104にはコンクリート中の空気を抜くための空気孔108が穿設されており、コンクリート中に含まれる空気が上昇して空気孔108から抜けていく。なお、コンクリートの打設後にモルタルを圧入する二段階打設を行う場合もある。
【0005】
しかし、このようなコンクリート中の空気が空気孔108から抜けずに厚鋼板104とコンクリート界面106との間で空隙109を形成することがある。このような空隙109は、リブなどの補強部材110とコンクリート界面106との間に生じることもあり、空隙109が数多く形成されてしまうと剛結部103の強度に影響するため好ましくない。しかしながら、コンクリート界面106に空隙が形成されているか否かを確認するには打設時に空気孔108に設置した管におけるコンクリートの充填状態を目視で行うしかなく、厚鋼板104の下のコンクリート界面106全体の空隙の有無を確認するのは困難であった。
【0006】
この点に関し、上記特許文献1に開示されている技術は、鋼板の上部に形成されているコンクリートと鋼板との間の腐食を検出するものであり、このような技術を剛結部の検査に適用しようとしても、厚鋼板104下部に打設されたコンクリート界面に生じる空隙を検出するのは非常に困難である。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、超音波探傷法を用いて複合構造物の鋼板とコンクリート界面との間に形成された空隙を効率よく検査することのできる複合構造物の界面検査方法及び界面検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するべく、請求項1の複合構造物の界面検査方法は、橋梁の鋼桁上部と橋脚下部との間に設けられた厚鋼板と橋脚下部とを剛結する剛結部に打設されたコンクリートの界面に対し、前記厚鋼板上に配置した超音波探触子から超音波を発信し、前記厚鋼板底面からの反射波を受信して、その強度を測定する反射波強度測定工程と、測定された反射波の強度を予め設定された閾値と比較し、コンクリートの充填状態が十分であるか否かを判定する充填状態判定工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】
請求項2の複合構造物の界面検査方法は、請求項1において、前記反射波強度測定工程では、前記厚鋼板底面からのN回目(Nは1以上)の反射波のうちいずれかの強度を測定することを特徴とする。
【0010】
請求項3の複合構造物の界面検査装置は、橋梁の桁上部に設けられた厚鋼板の上に配置され、超音波を発信すると共にその反射波を受信する超音波探触子と、前記厚鋼板と橋脚下部とを剛結する剛結部に打設されたコンクリートの界面に対し、前記超音波探触子から超音波を発信し、前記厚鋼板底面からの反射波を受信して、その強度を測定する反射波強度測定手段と、測定された反射波の強度を予め設定された閾値と比較し、コンクリートの充填状態が十分であるか否かを判定する充填状態判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項4の複合構造物の界面検査装置は、請求項3において、前記反射波強度測定手段では、前記厚鋼板底面からのN回目(Nは1以上)の反射波のうちいずれかの強度を測定することを特徴とする。
【0012】
請求項5の複合構造物の界面検査装置は、請求項3または4において、前記超音波は、周波数50kHz〜1MHzで設定されることを特徴とする。
【0013】
請求項6の複合構造物の界面検査装置は、請求項3乃至5のいずれかにおいて、前記超音波探触子を予め設定された距離で移動させる移動手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項7の複合構造物の界面検査装置は、請求項3乃至6のいずれかにおいて、前記充填状態判定手段でコンクリートの充填状態が不十分であると判定されると、警報を発する報知手段を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項8の複合構造物の界面検査装置は、請求項3乃至7のいずれかにおいて、前記充填状態判定手段でコンクリートの充填状態が不十分であると判定されると、前記超音波探触子が配置された厚鋼板上にマーキングするマーキング手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の複合構造物の界面検査方法によれば、剛結部の厚鋼板上部から超音波を入射させ、厚鋼板底面からの反射波の強度を測定し、その強度に基づいて厚鋼板下部にあるコンクリート界面の充填状態を判定する。
また、請求項3の複合構造物の界面検査装置によれば、剛結部の厚鋼板の上に配設した超音波探触子から超音波を送信して厚鋼板底面からの反射波の強度を測定し、その強度に基づいて厚鋼板下部にあるコンクリート界面の充填状態を判定する。
【0017】
これにより、コンクリート界面の充填状態を目視に依らず効率よく検査することができる。
また、コンクリート界面の充填状態を判定することで、施工の良し悪しをを容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る複合構造物の界面検査装置の概略構成図である。
【図2】本発明に係る界面検査方法を示すフローチャートである。
【図3】(A)はコンクリート界面に空隙が形成されていない場合の超音波の減衰状態を表す図であり、(B)はコンクリート界面に空隙が形成されている場合の超音波の減衰状態を表す図である。
【図4】模擬空隙の大きさに対する超音波のエコー高さの変化を表すグラフである。
【図5】(A)は100kHzの周波数、振動子直径38mmで被検体の界面検査を行った結果を表すグラフ、(B)は100kHzの周波数、振動子直径90mmで被検体の界面検査を行った結果を表すグラフ、(C)は250kHzの周波数、振動子直径38mmで被検体の界面検査を行った結果を表すグラフ、(D)は500kHzの周波数、振動子直径40mmで被検体の界面検査を行った結果を表すグラフである。
【図6】1MHzの周波数で被検体の界面検査を行った結果を表すグラフである。
【図7】500kHzの周波数で被検体の界面検査を行った結果を表すグラフである。
【図8】実施形態の変形例に係る界面検査装置の概略構成図である。
【図9】実施形態の他の変形例に係る界面検査装置の概略構成図である。
【図10】実施形態のさらに他の変形例に係る界面検査装置の概略構成図である。
【図11】複合構造物の一例としての剛結部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る複合構造物の界面検査装置の概略構成図である。界面検査装置1は、例えば橋梁の桁上部に設けられた厚鋼板3と橋脚下部とを剛結する剛結部2に打設されたコンクリート4の界面の充填状態を検査するための装置である。
【0020】
図1に示すように、界面検査装置1は、パルサー5及びレシーバ6に接続された超音波探触子7、パルサー5及びレシーバ6に接続されるアナログ/ディジタル変換器(以下、A/D変換器という)8、及び演算装置9を備える。
【0021】
パルサー5は、演算装置9からの指令信号に基づく電気パルスを超音波探触子7に加えるものであり、レシーバ6は、超音波探触子7で受信した厚鋼板2底面からの反射波を電気信号に変換するものである。レシーバ6で変換された電気信号はA/D変換器8を介して演算装置9へ入力され、表示装置10でモニタ可能である。
【0022】
演算装置9は、演算部11と、ROM、RAM等を含んで構成されるメモリ12とを備えている。演算部11では超音波探触子7で受信した反射波の解析処理等を行い、解析処理した結果等がメモリ12に保存される。
【0023】
このように構成された界面検査装置1を用いて、剛結部2のコンクリート界面、即ち厚鋼板3の下に打設されたコンクリート4の界面4aの充填状態を検査する界面検査方法について説明する。図2にはコンクリート4の界面4aの界面検査方法のフローチャートを示しており、以下、同フローチャートに基づいて説明する。なお、以下に述べるステップS3以降の処理は演算部11で行われる。
【0024】
ステップS1では、被検体の剛結部と同じ仕様の厚鋼板3上に超音波探触子7を配設し、厚鋼板底面3aからのエコー高さを測定して、厚鋼板3の厚さに応じて被検体の超音波探傷に用いる探傷感度を演算装置9に設定する。本実施形態で検査対象とする剛結部2の厚鋼板3の厚さは、25〜100mmの範囲から選択される。
【0025】
ステップS2では、被検体の厚鋼板3上に超音波探触子7を配設して厚鋼板底面3aに向かって超音波を送信し、厚鋼板底面3aからのN回目の反射波のエコー高さを測定する。ここで反射回数Nは厚鋼板3の厚さに応じて選択され、界面検査装置1の感度調整によるノイズの影響などを考慮し、通常は1〜3回目の範囲から選択される。
【0026】
ここで、コンクリート界面4aに空隙が存在しない場合及び存在する場合における超音波の反射波の変化について説明する。図3(A)には、コンクリート界面4aに空隙が形成されていない健全部に対して超音波探傷を行った場合の超音波の減衰状態、図3(B)には、コンクリート界面4aに空隙CLが形成されている場合に超音波探傷を行った場合の超音波の減衰状態をそれぞれ示す。
【0027】
図3(A)に示すように、超音波探触子7から入射する超音波が厚鋼板底面3aで反射する位置に相当するコンクリート界面4aに空隙が形成されていない場合、超音波探触子7から厚鋼板3内に入射した超音波は厚鋼板底面3aで反射する際に、超音波の一部がコンクリート4内を伝搬する。このため、厚鋼板底面3aで超音波が反射する度に超音波は減衰する。ここで、超音波探触子7から超音波を送信した時のエコー高さをE0、厚鋼板底面3aからの1回目の反射波B1のエコー高さをE1、2回目の反射波B2のエコー高さをE2、3回目の反射波B3のエコー高さをE3とすると、エコー高さの関係はE0>E1>E2>E3となる。
【0028】
一方、図3(B)に示すように、超音波探触子7から入射する超音波が厚鋼板底面3aで反射する位置に相当するコンクリート界面4aに空隙CLが形成されている場合、超音波探触子7から入射した超音波は、厚鋼板底面3aで反射する際に減衰することなく反射する。即ち、超音波送信時の超音波のエコー高さに対して、1〜3回目の反射波B1〜B3のエコー高さは略等しい関係となる。
【0029】
従って、厚鋼板底面3aからの反射波のエコー高さを測定することによって、コンクリート界面4aに空隙が形成されているか否かを識別することができる。なお、1〜3回目の反射波B1〜B3のうち何れを測定するか、という点については厚鋼板3の厚さDによって決まる。例えば、厚鋼板3の厚さが約30mmであったとすると、反射波B1のエコー高さを測定すれば、健全部と空隙CLとを識別することができる。また、後述するように、厚鋼板3の厚さが75mmであったとすると、反射波B3のエコー高さを測定することで健全部と空隙CLとを識別することができる。
【0030】
一方、4回目以降の反射波は、超音波探触子7で受信できるものの電気信号が弱く、ノイズとの区別ができなくなる。また、4回目以降の反射波を精度よく受信するために探傷感度を上げるとノイズが増えてしまい、S/N比が悪くなるという問題がある。このような理由から、4回目以降の反射波を利用するのは好ましくない。
【0031】
次に、コンクリート界面4aに形成された空隙CLの大きさに対する厚鋼板底面3aの超音波のエコー高さの変化について、図4に基づいて説明する。図4は、各模擬空隙の大きさ(直径)に対する超音波のエコー高さの変化を表すグラフである。なお、図4はD=75mmの厚鋼板3を用いて、周波数250kHz、振動子直径38mmの超音波探触子7から厚鋼板3に入射された超音波強度を基準(0dB)として、入射された超音波強度に対する被検体から測定されたエコー高さの降下量をグラフに表したものである。なお、図4のグラフを表すべく測定する際に用いた被検体は、75mmの厚鋼板3裏面に各大きさの模擬空隙を形成し、コンクリートを打設したものである。
【0032】
図4に示すように、空隙が形成されていない場合、即ち健全部での反射波B1のエコー高さと、模擬空隙直径が100mmの場合の反射波B1のエコー高さとの差d1は約3dBであり、あまり顕著な差は得られなかった。一方、健全部での反射波B3のエコー高さと、模擬空隙直径が100mmの場合の反射波B3のエコー高さとの差d3は約10dBであった。従って、75mmの厚鋼板では、反射波B3のエコー高さを測定することで、健全部と空隙が形成されている場合とでのエコー高さに顕著な差が得られることが判った。
【0033】
続くステップS3では、上記ステップS2で測定されたエコー高さが予めメモリ11等に設定された閾値未満であるか否かを判定する。図4に示すように、空隙の大きさと厚鋼板底面3aからのエコー高さとは相関関係にあり、N回目の反射波でのエコー高さを測定することで、空隙CLの大きさを推定することができる。従って、予めメモリ12等に設定された閾値を用いて判定を行う。詳しくは、N回目の反射波におけるコンクリート界面4aの充填状態が不十分であるとするエコー高さを閾値として予め設定しておき、その閾値を用いて判定を行う。当該判定結果が真(Yes)の場合にはステップS4に進み、偽(No)の場合にはステップS5へ進む。
【0034】
ステップS4では、測定されたエコー高さが閾値未満であったので、コンクリート界面4aに存在する空隙は許容範囲内であり、コンクリート界面4aの充填状態は十分であると判定して本フローチャートを終了する。
【0035】
一方、ステップS5では、測定されたエコー高さが閾値以上であったので、コンクリート界面4aに存在する空隙は許容範囲を超えており、コンクリート界面4aの充填状態は充填不足であると判定して本フローチャートを終了する。
上述したステップS1〜S5までの界面検査方法を厚鋼板3上の複数箇所で行い、剛結部2全体のコンクリート界面4aの充填状態を検査する。
【0036】
ところで、本実施形態で用いる複合構造物である剛結部2には、コンクリート4中に鉄筋が埋設されており、厚鋼板裏面3aからコンクリート中に伝搬した超音波がその鉄筋に反射し、反射した超音波のエコー高さが厚鋼板底面3aからの反射波のエコー高さに影響を与えることが懸念される。そこで、コンクリート4中にある鉄筋からの反射波の影響について以下に説明する。
【0037】
コンクリート界面4aからの深さが30mm程度のところにある鉄筋からの反射波が、厚鋼板底面3aからのN回目の反射波に対する影響が大きいと思われる。そこで、コンクリート界面4aから30mmの深さにあるコンクリート4中の鉄筋(φ12mm)からのエコー高さをBc、厚鋼板3に入射させた超音波のエコー高さをUとすると、鉄筋からのエコー高さBcは、
Bc=0.027U (1)
で表される。
【0038】
一方、厚鋼板底面3aからの1〜3回目の反射波のうち、エコー高さが最も小さくなる3回目のエコー高さBnは、
Bn=0.22U (2)
で表される。
【0039】
このように、式(1)から、コンクリート4中に埋設された鉄筋からのエコー高さBcは、厚鋼板底面3aからの3回目のエコー高さBnの約0.1倍であり、本発明で測定するN回目のエコー高さに対する影響としてはほとんど無く、無視できる程度の大きさであることが判る。
【0040】
次に、厚鋼板底面3aからの3回目の反射波B3と略等しい位置に出現する、コンクリート4中にある何らかの反射体からの反射波の影響について以下に説明する。例えばコンクリート界面4aから深さ約108mmのコンクリート4中に鉄筋(φ12mm)が存在すると、超音波探触子7から入射された超音波がコンクリート4中を伝搬して鉄筋で反射し、厚鋼板底面3aからの3回目の反射波B3が出現する位置と略等しい位置に鉄筋からの反射波が出現する。
【0041】
ここで、深さ約108mmのところにある鉄筋からの反射波のエコー高さをBdとすると、
Bd=0.0007U (3)
で表される。
【0042】
式(2)に示された3回目の反射波B3におけるエコー高さBnと比較すると、エコー高さBdは厚鋼板底面3aからの3回目のエコー高さBnの約0.003倍であった。従って、3回目の反射波B3と略等しい位置に出現するコンクリート4中の鉄筋からの反射波がある場合でも、十分無視できる大きさであることが判る。
このように、コンクリート中に埋設される鉄筋等の反射体からの反射波については十分無視できることが判る。
【0043】
次に、鋼板底面3aからの3回目の反射波B3について、上述した界面検査方法に適した周波数を調査するために、模擬空隙を設けた被検体を用いてコンクリート4の界面検査を行った。結果のグラフを図5〜7にそれぞれ示す。図5(A)〜(D)は、超音波探触子7の周波数及び振動子直径をそれぞれ変えてコンクリート界面4aの界面検査を行った結果を表すグラフである。図6は、周波数を1MHzとして模擬空隙を形成した被検体のエコー高さを測定したグラフ、図7は、周波数を500kHzとして模擬空隙を形成した被検体のエコー高さを測定したグラフである。なお、図6、7の測定では、超音波探触子7として振動子直径が25.4mmのものを使用した。また、図5〜7で用いた厚鋼板3の厚さDは75mmである。
【0044】
図5〜7に記載したCASE1の鋼板上向き打設の被検体とは、図3に示すような厚鋼板3の下にコンクリートを打設して作製された被検体を表している。また、CASE2の鋼板下向き打設の被検体とは、コンクリート界面4aに模擬空隙以外の空隙が形成されないよう、厚鋼板3を下方に置き、その上にコンクリートを打設した被検体のことを表している。このように、実際に作製される剛結部2と同様の方法で作製された被検体であるCASE1、及び理想的な被検体であるCASE2に対してコンクリート界面4aの界面検査を行った。
【0045】
図5(A)に示すように、周波数100kHzでは、空隙CLが形成されていない健全部と直径が50mmの模擬空隙とでのエコー高さの差は、CASE1、CASE2共に約5dB程度となる。図5(B)に示すように、同じ周波数で超音波探触子7の振動子径を90mmにすると、健全部と直径50mmの模擬空隙とでのエコー高さの差は約6dBとなる。図5(C)では周波数を250kHz、図5(D)では周波数を500kHzにして界面検査を行うと、周波数を上げていくにつれて健全部と直径50mmの模擬空隙との差が大きくなり、CASE1、CASE2共にエコー高さの差異が明らかに見られるようになる。
【0046】
図6のグラフに示すように、超音波探触子7の振動子直径を25.4mmとし、周波数を1MHzにすると、CASE1の被検体で健全部と直径50mmの模擬空隙とのエコー高さの差が約7.5dBとなった。一方、図7のグラフに示すように、周波数を500kHzにすると、健全部と直径50mmの模擬空隙とのエコー高さの差は約7dBとなった。
【0047】
以上から、本実施形態の界面検査方法及び界面検査装置1で利用する周波数は、厚鋼板3の厚さDに応じて50kHz〜1MHzの範囲から選択されるのが好ましい。また、超音波探触子7の振動子直径は、厚鋼板3の厚さDに応じて適宜選択される。さらにまた、超音波探触子7として、対象とするコンクリート界面4aの未充填の大きさを検出可能な超音波のビームをもつ収束探触子を用いてもよい。
【0048】
このように、本実施形態では、剛結部2を構成する厚鋼板3の上に超音波探触子7を配設し、超音波を送信して厚鋼板底面3aからのN回目の反射波のエコー高さを測定し、測定したエコー高さに基づいてコンクリート4の充填状態を判定する。
これにより、コンクリート界面4aの充填状態を目視に頼らず効率よく検査することができる。
また、コンクリート界面4aの充填状態を把握することで、施工の良し悪しを容易に把握することができる。
【0049】
<界面検査装置の変形例>
上記実施形態の変形例について以下に説明する。この変形例では、界面検査装置1に厚鋼板3上を移動するための移動手段を備えた点が異なっており、その他の構成については共通しているので説明を省略する。
【0050】
図8は、界面検査装置1の変形例の概略を示す概略構成図である。界面検査装置1aは、厚鋼板3上を移動可能な移動手段20と、移動手段20を制御する制御部21aとを備えている。移動手段20は、例えば車輪としてもよい。図示しないが、制御部21aは演算装置9内に備えられているようにしてもよい。
【0051】
制御部21aは、メモリ11等に予め設定された間隔で、厚鋼板3上の次の測定点まで界面検査装置1aを移動させるように移動手段20を制御する。また、制御部21aは超音波探触子7を上下動させて厚鋼板3表面に当接させたり離間させたりするように制御してもよい。例えば、制御部21aは、界面検査装置1aを移動させる前に超音波探触子7を厚鋼板3表面から離間させるように制御し、次の測定点まで移動したら超音波探触子7を厚鋼板3表面に当接させるように制御するようにしてもよい。
【0052】
このように、制御部21aによって移動手段20を制御し、界面検査装置1aを所定の測定点まで自動で移動させるので、コンクリート界面4aの界面検査をより簡易に行うことができる。
【0053】
<界面検査装置の他の変形例>
上記変形例の他の変形例について以下に説明する。この変形例では、界面検査装置1aにさらに報知手段を備えた点が異なっており、その他の構成については共通しているので説明を省略する。
【0054】
図9は、界面検査装置1の他の変形例を示す概略構成図である。界面検査装置1bは、制御部21bとスピーカー(報知手段)22とを備える。制御部21bは、上記変形例と同様に移動手段20の移動を制御すると共に、界面検査装置1bで検査をしている検査担当者に報知するようにスピーカー22を制御する。
【0055】
詳しくは、上記ステップS3で、超音波探触子7で測定された厚鋼板底面3aからのN回目の反射波のエコー高さが閾値以上、即ち上述したステップS5の充填不足と演算部11で判定されると、充填不足を知らせる信号が演算部11から制御部21bへ通知される。その信号が通知されると、制御部21bは周囲の検査担当者に対して報知するようスピーカー22を制御し、スピーカー22から報知される。
【0056】
このように、演算部11で厚鋼板底面3aからのN回目の反射波のエコー高さが閾値以上と判定されると、演算部11からの信号に基づき、周囲の検査担当者に対して報知するよう制御部21bでスピーカー22を制御する。これにより、厚鋼板3の測定点において、コンクリート界面4aに許容範囲以上の空隙CLが存在する場合に、その存在を周囲の検査担当者が容易に把握することができる。
【0057】
<界面検査装置のさらに他の変形例>
上記変形例のさらに他の変形例について以下に説明する。この変形例では、界面検査装置1aに、さらにマーキング手段を備えた点が異なっており、その他の構成については共通しているので説明を省略する。
【0058】
図10は、界面検査装置1のさらに他の変形例を示す概略構成図である。界面検査装置1cは、制御部21cとマーキング手段23とを備えている。制御部21cは、上記変形例と同様に移動手段20の移動を制御すると共に、マーキング手段23を用いて厚鋼板3表面にマーキングをするように制御する。
【0059】
詳しくは、上記ステップS3で、超音波探触子7で測定された厚鋼板底面3aからのN回目の反射波のエコー高さが閾値以上、即ちステップS5の充填不足と演算部11で判定されると、充填不足であるという信号が演算部11から制御部21bへ通知される。その信号が制御部21cへ通知されると、制御部21cは充填不足が検出されたコンクリート界面4aに対応する厚鋼板3表面にマーキングするようにマーキング手段23を制御する。
【0060】
このように、演算部11で厚鋼板底面3aからのN回目の反射波のエコー高さが閾値以上と判定されると、演算部11からの信号に基づいて厚鋼板3表面にマーキングするように制御部21cがマーキング手段23を制御する。これにより、コンクリート界面4aに許容範囲以上の空隙CLが形成されている箇所を容易に把握することができる。また、剛結部2にさらにコンクリートを打設した後に、コンクリート界面4aの充填状態を再検査する場合に、測定箇所を容易に把握することができる。
【0061】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記各変形例の界面検査装置1a〜1cは、組み合わせて用いてもよいし、上記他の変形例の報知手段や上記その他の変形例のマーキング手段を上記実施形態に適用するようにしてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、メモリ11等に予め閾値を設定しているが、予め被検体等で空隙CLの大きさとエコー高さとの相関関係を求め、その関係から閾値を設定することにより、コンクリート界面4aの界面状態をより適切に判定することができる。
また、上記他の変形例では、界面検査装置1bに報知手段としてスピーカー22を設けたが、電球やLED等の発光体を用いた発光部(例えば、警告ランプ等)を備えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1、1a、1b、1c 界面検査装置
2 剛結部
3 厚鋼板
3a 厚鋼板底面
4 コンクリート
4a コンクリート界面
7 超音波探触子
9 演算装置
11 演算部
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合構造物の界面検査方法及び界面検査装置に係り、詳しくはコンクリートの充填状態を確認するための界面検査方法、及び界面検査方法を行う界面検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、高速道路橋梁等の複合構造物の構築方法として、鋼桁上部構造と橋脚下部構造とを剛結し、上下部一体構造とする工法が知られている。このような複合構造物は、長期間の利用に伴うコンクリート内部に設けられた補強部材の腐食や施工時のコンクリートの充填不足によりコンクリート内部に空隙がある場合等には、強度の低下を引き起こす。
このような複合構造物の腐食検査を、超音波探触子を用いて非破壊検査で行うことが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−14704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、図11に示すように、鋼桁上部101と橋脚下部102とを剛結する剛結部103は、剛結部上部に厚鋼板104を嵌合し、厚鋼板104に設けられた打設孔105からコンクリートを打設して形成される。厚鋼板104にはコンクリート中の空気を抜くための空気孔108が穿設されており、コンクリート中に含まれる空気が上昇して空気孔108から抜けていく。なお、コンクリートの打設後にモルタルを圧入する二段階打設を行う場合もある。
【0005】
しかし、このようなコンクリート中の空気が空気孔108から抜けずに厚鋼板104とコンクリート界面106との間で空隙109を形成することがある。このような空隙109は、リブなどの補強部材110とコンクリート界面106との間に生じることもあり、空隙109が数多く形成されてしまうと剛結部103の強度に影響するため好ましくない。しかしながら、コンクリート界面106に空隙が形成されているか否かを確認するには打設時に空気孔108に設置した管におけるコンクリートの充填状態を目視で行うしかなく、厚鋼板104の下のコンクリート界面106全体の空隙の有無を確認するのは困難であった。
【0006】
この点に関し、上記特許文献1に開示されている技術は、鋼板の上部に形成されているコンクリートと鋼板との間の腐食を検出するものであり、このような技術を剛結部の検査に適用しようとしても、厚鋼板104下部に打設されたコンクリート界面に生じる空隙を検出するのは非常に困難である。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、超音波探傷法を用いて複合構造物の鋼板とコンクリート界面との間に形成された空隙を効率よく検査することのできる複合構造物の界面検査方法及び界面検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するべく、請求項1の複合構造物の界面検査方法は、橋梁の鋼桁上部と橋脚下部との間に設けられた厚鋼板と橋脚下部とを剛結する剛結部に打設されたコンクリートの界面に対し、前記厚鋼板上に配置した超音波探触子から超音波を発信し、前記厚鋼板底面からの反射波を受信して、その強度を測定する反射波強度測定工程と、測定された反射波の強度を予め設定された閾値と比較し、コンクリートの充填状態が十分であるか否かを判定する充填状態判定工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】
請求項2の複合構造物の界面検査方法は、請求項1において、前記反射波強度測定工程では、前記厚鋼板底面からのN回目(Nは1以上)の反射波のうちいずれかの強度を測定することを特徴とする。
【0010】
請求項3の複合構造物の界面検査装置は、橋梁の桁上部に設けられた厚鋼板の上に配置され、超音波を発信すると共にその反射波を受信する超音波探触子と、前記厚鋼板と橋脚下部とを剛結する剛結部に打設されたコンクリートの界面に対し、前記超音波探触子から超音波を発信し、前記厚鋼板底面からの反射波を受信して、その強度を測定する反射波強度測定手段と、測定された反射波の強度を予め設定された閾値と比較し、コンクリートの充填状態が十分であるか否かを判定する充填状態判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項4の複合構造物の界面検査装置は、請求項3において、前記反射波強度測定手段では、前記厚鋼板底面からのN回目(Nは1以上)の反射波のうちいずれかの強度を測定することを特徴とする。
【0012】
請求項5の複合構造物の界面検査装置は、請求項3または4において、前記超音波は、周波数50kHz〜1MHzで設定されることを特徴とする。
【0013】
請求項6の複合構造物の界面検査装置は、請求項3乃至5のいずれかにおいて、前記超音波探触子を予め設定された距離で移動させる移動手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項7の複合構造物の界面検査装置は、請求項3乃至6のいずれかにおいて、前記充填状態判定手段でコンクリートの充填状態が不十分であると判定されると、警報を発する報知手段を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項8の複合構造物の界面検査装置は、請求項3乃至7のいずれかにおいて、前記充填状態判定手段でコンクリートの充填状態が不十分であると判定されると、前記超音波探触子が配置された厚鋼板上にマーキングするマーキング手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の複合構造物の界面検査方法によれば、剛結部の厚鋼板上部から超音波を入射させ、厚鋼板底面からの反射波の強度を測定し、その強度に基づいて厚鋼板下部にあるコンクリート界面の充填状態を判定する。
また、請求項3の複合構造物の界面検査装置によれば、剛結部の厚鋼板の上に配設した超音波探触子から超音波を送信して厚鋼板底面からの反射波の強度を測定し、その強度に基づいて厚鋼板下部にあるコンクリート界面の充填状態を判定する。
【0017】
これにより、コンクリート界面の充填状態を目視に依らず効率よく検査することができる。
また、コンクリート界面の充填状態を判定することで、施工の良し悪しをを容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る複合構造物の界面検査装置の概略構成図である。
【図2】本発明に係る界面検査方法を示すフローチャートである。
【図3】(A)はコンクリート界面に空隙が形成されていない場合の超音波の減衰状態を表す図であり、(B)はコンクリート界面に空隙が形成されている場合の超音波の減衰状態を表す図である。
【図4】模擬空隙の大きさに対する超音波のエコー高さの変化を表すグラフである。
【図5】(A)は100kHzの周波数、振動子直径38mmで被検体の界面検査を行った結果を表すグラフ、(B)は100kHzの周波数、振動子直径90mmで被検体の界面検査を行った結果を表すグラフ、(C)は250kHzの周波数、振動子直径38mmで被検体の界面検査を行った結果を表すグラフ、(D)は500kHzの周波数、振動子直径40mmで被検体の界面検査を行った結果を表すグラフである。
【図6】1MHzの周波数で被検体の界面検査を行った結果を表すグラフである。
【図7】500kHzの周波数で被検体の界面検査を行った結果を表すグラフである。
【図8】実施形態の変形例に係る界面検査装置の概略構成図である。
【図9】実施形態の他の変形例に係る界面検査装置の概略構成図である。
【図10】実施形態のさらに他の変形例に係る界面検査装置の概略構成図である。
【図11】複合構造物の一例としての剛結部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る複合構造物の界面検査装置の概略構成図である。界面検査装置1は、例えば橋梁の桁上部に設けられた厚鋼板3と橋脚下部とを剛結する剛結部2に打設されたコンクリート4の界面の充填状態を検査するための装置である。
【0020】
図1に示すように、界面検査装置1は、パルサー5及びレシーバ6に接続された超音波探触子7、パルサー5及びレシーバ6に接続されるアナログ/ディジタル変換器(以下、A/D変換器という)8、及び演算装置9を備える。
【0021】
パルサー5は、演算装置9からの指令信号に基づく電気パルスを超音波探触子7に加えるものであり、レシーバ6は、超音波探触子7で受信した厚鋼板2底面からの反射波を電気信号に変換するものである。レシーバ6で変換された電気信号はA/D変換器8を介して演算装置9へ入力され、表示装置10でモニタ可能である。
【0022】
演算装置9は、演算部11と、ROM、RAM等を含んで構成されるメモリ12とを備えている。演算部11では超音波探触子7で受信した反射波の解析処理等を行い、解析処理した結果等がメモリ12に保存される。
【0023】
このように構成された界面検査装置1を用いて、剛結部2のコンクリート界面、即ち厚鋼板3の下に打設されたコンクリート4の界面4aの充填状態を検査する界面検査方法について説明する。図2にはコンクリート4の界面4aの界面検査方法のフローチャートを示しており、以下、同フローチャートに基づいて説明する。なお、以下に述べるステップS3以降の処理は演算部11で行われる。
【0024】
ステップS1では、被検体の剛結部と同じ仕様の厚鋼板3上に超音波探触子7を配設し、厚鋼板底面3aからのエコー高さを測定して、厚鋼板3の厚さに応じて被検体の超音波探傷に用いる探傷感度を演算装置9に設定する。本実施形態で検査対象とする剛結部2の厚鋼板3の厚さは、25〜100mmの範囲から選択される。
【0025】
ステップS2では、被検体の厚鋼板3上に超音波探触子7を配設して厚鋼板底面3aに向かって超音波を送信し、厚鋼板底面3aからのN回目の反射波のエコー高さを測定する。ここで反射回数Nは厚鋼板3の厚さに応じて選択され、界面検査装置1の感度調整によるノイズの影響などを考慮し、通常は1〜3回目の範囲から選択される。
【0026】
ここで、コンクリート界面4aに空隙が存在しない場合及び存在する場合における超音波の反射波の変化について説明する。図3(A)には、コンクリート界面4aに空隙が形成されていない健全部に対して超音波探傷を行った場合の超音波の減衰状態、図3(B)には、コンクリート界面4aに空隙CLが形成されている場合に超音波探傷を行った場合の超音波の減衰状態をそれぞれ示す。
【0027】
図3(A)に示すように、超音波探触子7から入射する超音波が厚鋼板底面3aで反射する位置に相当するコンクリート界面4aに空隙が形成されていない場合、超音波探触子7から厚鋼板3内に入射した超音波は厚鋼板底面3aで反射する際に、超音波の一部がコンクリート4内を伝搬する。このため、厚鋼板底面3aで超音波が反射する度に超音波は減衰する。ここで、超音波探触子7から超音波を送信した時のエコー高さをE0、厚鋼板底面3aからの1回目の反射波B1のエコー高さをE1、2回目の反射波B2のエコー高さをE2、3回目の反射波B3のエコー高さをE3とすると、エコー高さの関係はE0>E1>E2>E3となる。
【0028】
一方、図3(B)に示すように、超音波探触子7から入射する超音波が厚鋼板底面3aで反射する位置に相当するコンクリート界面4aに空隙CLが形成されている場合、超音波探触子7から入射した超音波は、厚鋼板底面3aで反射する際に減衰することなく反射する。即ち、超音波送信時の超音波のエコー高さに対して、1〜3回目の反射波B1〜B3のエコー高さは略等しい関係となる。
【0029】
従って、厚鋼板底面3aからの反射波のエコー高さを測定することによって、コンクリート界面4aに空隙が形成されているか否かを識別することができる。なお、1〜3回目の反射波B1〜B3のうち何れを測定するか、という点については厚鋼板3の厚さDによって決まる。例えば、厚鋼板3の厚さが約30mmであったとすると、反射波B1のエコー高さを測定すれば、健全部と空隙CLとを識別することができる。また、後述するように、厚鋼板3の厚さが75mmであったとすると、反射波B3のエコー高さを測定することで健全部と空隙CLとを識別することができる。
【0030】
一方、4回目以降の反射波は、超音波探触子7で受信できるものの電気信号が弱く、ノイズとの区別ができなくなる。また、4回目以降の反射波を精度よく受信するために探傷感度を上げるとノイズが増えてしまい、S/N比が悪くなるという問題がある。このような理由から、4回目以降の反射波を利用するのは好ましくない。
【0031】
次に、コンクリート界面4aに形成された空隙CLの大きさに対する厚鋼板底面3aの超音波のエコー高さの変化について、図4に基づいて説明する。図4は、各模擬空隙の大きさ(直径)に対する超音波のエコー高さの変化を表すグラフである。なお、図4はD=75mmの厚鋼板3を用いて、周波数250kHz、振動子直径38mmの超音波探触子7から厚鋼板3に入射された超音波強度を基準(0dB)として、入射された超音波強度に対する被検体から測定されたエコー高さの降下量をグラフに表したものである。なお、図4のグラフを表すべく測定する際に用いた被検体は、75mmの厚鋼板3裏面に各大きさの模擬空隙を形成し、コンクリートを打設したものである。
【0032】
図4に示すように、空隙が形成されていない場合、即ち健全部での反射波B1のエコー高さと、模擬空隙直径が100mmの場合の反射波B1のエコー高さとの差d1は約3dBであり、あまり顕著な差は得られなかった。一方、健全部での反射波B3のエコー高さと、模擬空隙直径が100mmの場合の反射波B3のエコー高さとの差d3は約10dBであった。従って、75mmの厚鋼板では、反射波B3のエコー高さを測定することで、健全部と空隙が形成されている場合とでのエコー高さに顕著な差が得られることが判った。
【0033】
続くステップS3では、上記ステップS2で測定されたエコー高さが予めメモリ11等に設定された閾値未満であるか否かを判定する。図4に示すように、空隙の大きさと厚鋼板底面3aからのエコー高さとは相関関係にあり、N回目の反射波でのエコー高さを測定することで、空隙CLの大きさを推定することができる。従って、予めメモリ12等に設定された閾値を用いて判定を行う。詳しくは、N回目の反射波におけるコンクリート界面4aの充填状態が不十分であるとするエコー高さを閾値として予め設定しておき、その閾値を用いて判定を行う。当該判定結果が真(Yes)の場合にはステップS4に進み、偽(No)の場合にはステップS5へ進む。
【0034】
ステップS4では、測定されたエコー高さが閾値未満であったので、コンクリート界面4aに存在する空隙は許容範囲内であり、コンクリート界面4aの充填状態は十分であると判定して本フローチャートを終了する。
【0035】
一方、ステップS5では、測定されたエコー高さが閾値以上であったので、コンクリート界面4aに存在する空隙は許容範囲を超えており、コンクリート界面4aの充填状態は充填不足であると判定して本フローチャートを終了する。
上述したステップS1〜S5までの界面検査方法を厚鋼板3上の複数箇所で行い、剛結部2全体のコンクリート界面4aの充填状態を検査する。
【0036】
ところで、本実施形態で用いる複合構造物である剛結部2には、コンクリート4中に鉄筋が埋設されており、厚鋼板裏面3aからコンクリート中に伝搬した超音波がその鉄筋に反射し、反射した超音波のエコー高さが厚鋼板底面3aからの反射波のエコー高さに影響を与えることが懸念される。そこで、コンクリート4中にある鉄筋からの反射波の影響について以下に説明する。
【0037】
コンクリート界面4aからの深さが30mm程度のところにある鉄筋からの反射波が、厚鋼板底面3aからのN回目の反射波に対する影響が大きいと思われる。そこで、コンクリート界面4aから30mmの深さにあるコンクリート4中の鉄筋(φ12mm)からのエコー高さをBc、厚鋼板3に入射させた超音波のエコー高さをUとすると、鉄筋からのエコー高さBcは、
Bc=0.027U (1)
で表される。
【0038】
一方、厚鋼板底面3aからの1〜3回目の反射波のうち、エコー高さが最も小さくなる3回目のエコー高さBnは、
Bn=0.22U (2)
で表される。
【0039】
このように、式(1)から、コンクリート4中に埋設された鉄筋からのエコー高さBcは、厚鋼板底面3aからの3回目のエコー高さBnの約0.1倍であり、本発明で測定するN回目のエコー高さに対する影響としてはほとんど無く、無視できる程度の大きさであることが判る。
【0040】
次に、厚鋼板底面3aからの3回目の反射波B3と略等しい位置に出現する、コンクリート4中にある何らかの反射体からの反射波の影響について以下に説明する。例えばコンクリート界面4aから深さ約108mmのコンクリート4中に鉄筋(φ12mm)が存在すると、超音波探触子7から入射された超音波がコンクリート4中を伝搬して鉄筋で反射し、厚鋼板底面3aからの3回目の反射波B3が出現する位置と略等しい位置に鉄筋からの反射波が出現する。
【0041】
ここで、深さ約108mmのところにある鉄筋からの反射波のエコー高さをBdとすると、
Bd=0.0007U (3)
で表される。
【0042】
式(2)に示された3回目の反射波B3におけるエコー高さBnと比較すると、エコー高さBdは厚鋼板底面3aからの3回目のエコー高さBnの約0.003倍であった。従って、3回目の反射波B3と略等しい位置に出現するコンクリート4中の鉄筋からの反射波がある場合でも、十分無視できる大きさであることが判る。
このように、コンクリート中に埋設される鉄筋等の反射体からの反射波については十分無視できることが判る。
【0043】
次に、鋼板底面3aからの3回目の反射波B3について、上述した界面検査方法に適した周波数を調査するために、模擬空隙を設けた被検体を用いてコンクリート4の界面検査を行った。結果のグラフを図5〜7にそれぞれ示す。図5(A)〜(D)は、超音波探触子7の周波数及び振動子直径をそれぞれ変えてコンクリート界面4aの界面検査を行った結果を表すグラフである。図6は、周波数を1MHzとして模擬空隙を形成した被検体のエコー高さを測定したグラフ、図7は、周波数を500kHzとして模擬空隙を形成した被検体のエコー高さを測定したグラフである。なお、図6、7の測定では、超音波探触子7として振動子直径が25.4mmのものを使用した。また、図5〜7で用いた厚鋼板3の厚さDは75mmである。
【0044】
図5〜7に記載したCASE1の鋼板上向き打設の被検体とは、図3に示すような厚鋼板3の下にコンクリートを打設して作製された被検体を表している。また、CASE2の鋼板下向き打設の被検体とは、コンクリート界面4aに模擬空隙以外の空隙が形成されないよう、厚鋼板3を下方に置き、その上にコンクリートを打設した被検体のことを表している。このように、実際に作製される剛結部2と同様の方法で作製された被検体であるCASE1、及び理想的な被検体であるCASE2に対してコンクリート界面4aの界面検査を行った。
【0045】
図5(A)に示すように、周波数100kHzでは、空隙CLが形成されていない健全部と直径が50mmの模擬空隙とでのエコー高さの差は、CASE1、CASE2共に約5dB程度となる。図5(B)に示すように、同じ周波数で超音波探触子7の振動子径を90mmにすると、健全部と直径50mmの模擬空隙とでのエコー高さの差は約6dBとなる。図5(C)では周波数を250kHz、図5(D)では周波数を500kHzにして界面検査を行うと、周波数を上げていくにつれて健全部と直径50mmの模擬空隙との差が大きくなり、CASE1、CASE2共にエコー高さの差異が明らかに見られるようになる。
【0046】
図6のグラフに示すように、超音波探触子7の振動子直径を25.4mmとし、周波数を1MHzにすると、CASE1の被検体で健全部と直径50mmの模擬空隙とのエコー高さの差が約7.5dBとなった。一方、図7のグラフに示すように、周波数を500kHzにすると、健全部と直径50mmの模擬空隙とのエコー高さの差は約7dBとなった。
【0047】
以上から、本実施形態の界面検査方法及び界面検査装置1で利用する周波数は、厚鋼板3の厚さDに応じて50kHz〜1MHzの範囲から選択されるのが好ましい。また、超音波探触子7の振動子直径は、厚鋼板3の厚さDに応じて適宜選択される。さらにまた、超音波探触子7として、対象とするコンクリート界面4aの未充填の大きさを検出可能な超音波のビームをもつ収束探触子を用いてもよい。
【0048】
このように、本実施形態では、剛結部2を構成する厚鋼板3の上に超音波探触子7を配設し、超音波を送信して厚鋼板底面3aからのN回目の反射波のエコー高さを測定し、測定したエコー高さに基づいてコンクリート4の充填状態を判定する。
これにより、コンクリート界面4aの充填状態を目視に頼らず効率よく検査することができる。
また、コンクリート界面4aの充填状態を把握することで、施工の良し悪しを容易に把握することができる。
【0049】
<界面検査装置の変形例>
上記実施形態の変形例について以下に説明する。この変形例では、界面検査装置1に厚鋼板3上を移動するための移動手段を備えた点が異なっており、その他の構成については共通しているので説明を省略する。
【0050】
図8は、界面検査装置1の変形例の概略を示す概略構成図である。界面検査装置1aは、厚鋼板3上を移動可能な移動手段20と、移動手段20を制御する制御部21aとを備えている。移動手段20は、例えば車輪としてもよい。図示しないが、制御部21aは演算装置9内に備えられているようにしてもよい。
【0051】
制御部21aは、メモリ11等に予め設定された間隔で、厚鋼板3上の次の測定点まで界面検査装置1aを移動させるように移動手段20を制御する。また、制御部21aは超音波探触子7を上下動させて厚鋼板3表面に当接させたり離間させたりするように制御してもよい。例えば、制御部21aは、界面検査装置1aを移動させる前に超音波探触子7を厚鋼板3表面から離間させるように制御し、次の測定点まで移動したら超音波探触子7を厚鋼板3表面に当接させるように制御するようにしてもよい。
【0052】
このように、制御部21aによって移動手段20を制御し、界面検査装置1aを所定の測定点まで自動で移動させるので、コンクリート界面4aの界面検査をより簡易に行うことができる。
【0053】
<界面検査装置の他の変形例>
上記変形例の他の変形例について以下に説明する。この変形例では、界面検査装置1aにさらに報知手段を備えた点が異なっており、その他の構成については共通しているので説明を省略する。
【0054】
図9は、界面検査装置1の他の変形例を示す概略構成図である。界面検査装置1bは、制御部21bとスピーカー(報知手段)22とを備える。制御部21bは、上記変形例と同様に移動手段20の移動を制御すると共に、界面検査装置1bで検査をしている検査担当者に報知するようにスピーカー22を制御する。
【0055】
詳しくは、上記ステップS3で、超音波探触子7で測定された厚鋼板底面3aからのN回目の反射波のエコー高さが閾値以上、即ち上述したステップS5の充填不足と演算部11で判定されると、充填不足を知らせる信号が演算部11から制御部21bへ通知される。その信号が通知されると、制御部21bは周囲の検査担当者に対して報知するようスピーカー22を制御し、スピーカー22から報知される。
【0056】
このように、演算部11で厚鋼板底面3aからのN回目の反射波のエコー高さが閾値以上と判定されると、演算部11からの信号に基づき、周囲の検査担当者に対して報知するよう制御部21bでスピーカー22を制御する。これにより、厚鋼板3の測定点において、コンクリート界面4aに許容範囲以上の空隙CLが存在する場合に、その存在を周囲の検査担当者が容易に把握することができる。
【0057】
<界面検査装置のさらに他の変形例>
上記変形例のさらに他の変形例について以下に説明する。この変形例では、界面検査装置1aに、さらにマーキング手段を備えた点が異なっており、その他の構成については共通しているので説明を省略する。
【0058】
図10は、界面検査装置1のさらに他の変形例を示す概略構成図である。界面検査装置1cは、制御部21cとマーキング手段23とを備えている。制御部21cは、上記変形例と同様に移動手段20の移動を制御すると共に、マーキング手段23を用いて厚鋼板3表面にマーキングをするように制御する。
【0059】
詳しくは、上記ステップS3で、超音波探触子7で測定された厚鋼板底面3aからのN回目の反射波のエコー高さが閾値以上、即ちステップS5の充填不足と演算部11で判定されると、充填不足であるという信号が演算部11から制御部21bへ通知される。その信号が制御部21cへ通知されると、制御部21cは充填不足が検出されたコンクリート界面4aに対応する厚鋼板3表面にマーキングするようにマーキング手段23を制御する。
【0060】
このように、演算部11で厚鋼板底面3aからのN回目の反射波のエコー高さが閾値以上と判定されると、演算部11からの信号に基づいて厚鋼板3表面にマーキングするように制御部21cがマーキング手段23を制御する。これにより、コンクリート界面4aに許容範囲以上の空隙CLが形成されている箇所を容易に把握することができる。また、剛結部2にさらにコンクリートを打設した後に、コンクリート界面4aの充填状態を再検査する場合に、測定箇所を容易に把握することができる。
【0061】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記各変形例の界面検査装置1a〜1cは、組み合わせて用いてもよいし、上記他の変形例の報知手段や上記その他の変形例のマーキング手段を上記実施形態に適用するようにしてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、メモリ11等に予め閾値を設定しているが、予め被検体等で空隙CLの大きさとエコー高さとの相関関係を求め、その関係から閾値を設定することにより、コンクリート界面4aの界面状態をより適切に判定することができる。
また、上記他の変形例では、界面検査装置1bに報知手段としてスピーカー22を設けたが、電球やLED等の発光体を用いた発光部(例えば、警告ランプ等)を備えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1、1a、1b、1c 界面検査装置
2 剛結部
3 厚鋼板
3a 厚鋼板底面
4 コンクリート
4a コンクリート界面
7 超音波探触子
9 演算装置
11 演算部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋梁の鋼桁上部と橋脚下部との間に設けられた厚鋼板と橋脚下部とを剛結する剛結部に打設されたコンクリートの界面に対し、前記厚鋼板上に配置した超音波探触子から超音波を発信し、前記厚鋼板底面からの反射波を受信して、その強度を測定する反射波強度測定工程と、
測定された反射波の強度を予め設定された閾値と比較し、コンクリートの充填状態が十分であるか否かを判定する充填状態判定工程と、
を含むことを特徴とする複合構造物の界面検査方法。
【請求項2】
前記反射波強度測定工程では、前記厚鋼板底面からのN回目(Nは1以上)の反射波のうちいずれかの強度を測定することを特徴とする請求項1に記載の複合構造物の界面検査方法。
【請求項3】
橋梁の桁上部に設けられた厚鋼板の上に配置され、超音波を発信すると共にその反射波を受信する超音波探触子と、
前記厚鋼板と橋脚下部とを剛結する剛結部に打設されたコンクリートの界面に対し、前記超音波探触子から超音波を発信し、前記厚鋼板底面からの反射波を受信して、その強度を測定する反射波強度測定手段と、
測定された反射波の強度を予め設定された閾値と比較し、コンクリートの充填状態が十分であるか否かを判定する充填状態判定手段と、
を備えることを特徴とする複合構造物の界面検査装置。
【請求項4】
前記反射波強度測定手段では、前記厚鋼板底面からのN回目(Nは1以上)の反射波のうちいずれかの強度を測定することを特徴とする請求項3に記載の複合構造物の界面検査装置。
【請求項5】
前記超音波は、周波数50kHz〜1MHzで設定されることを特徴とする請求項3または4に記載の複合構造物の界面検査装置。
【請求項6】
前記超音波探触子を予め設定された距離で移動させる移動手段を備えたことを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の複合構造物の界面検査装置。
【請求項7】
前記充填状態判定手段でコンクリートの充填状態が不十分であると判定されると、その判定に基づいて報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項3乃至6のいずれかに記載の複合構造物の界面検査装置。
【請求項8】
前記充填状態判定手段でコンクリートの充填状態が不十分であると判定されると、前記超音波探触子が配置された厚鋼板上にマーキングするマーキング手段を備えることを特徴とする請求項3乃至7のいずれかに記載の複合構造物の界面検査装置。
【請求項1】
橋梁の鋼桁上部と橋脚下部との間に設けられた厚鋼板と橋脚下部とを剛結する剛結部に打設されたコンクリートの界面に対し、前記厚鋼板上に配置した超音波探触子から超音波を発信し、前記厚鋼板底面からの反射波を受信して、その強度を測定する反射波強度測定工程と、
測定された反射波の強度を予め設定された閾値と比較し、コンクリートの充填状態が十分であるか否かを判定する充填状態判定工程と、
を含むことを特徴とする複合構造物の界面検査方法。
【請求項2】
前記反射波強度測定工程では、前記厚鋼板底面からのN回目(Nは1以上)の反射波のうちいずれかの強度を測定することを特徴とする請求項1に記載の複合構造物の界面検査方法。
【請求項3】
橋梁の桁上部に設けられた厚鋼板の上に配置され、超音波を発信すると共にその反射波を受信する超音波探触子と、
前記厚鋼板と橋脚下部とを剛結する剛結部に打設されたコンクリートの界面に対し、前記超音波探触子から超音波を発信し、前記厚鋼板底面からの反射波を受信して、その強度を測定する反射波強度測定手段と、
測定された反射波の強度を予め設定された閾値と比較し、コンクリートの充填状態が十分であるか否かを判定する充填状態判定手段と、
を備えることを特徴とする複合構造物の界面検査装置。
【請求項4】
前記反射波強度測定手段では、前記厚鋼板底面からのN回目(Nは1以上)の反射波のうちいずれかの強度を測定することを特徴とする請求項3に記載の複合構造物の界面検査装置。
【請求項5】
前記超音波は、周波数50kHz〜1MHzで設定されることを特徴とする請求項3または4に記載の複合構造物の界面検査装置。
【請求項6】
前記超音波探触子を予め設定された距離で移動させる移動手段を備えたことを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の複合構造物の界面検査装置。
【請求項7】
前記充填状態判定手段でコンクリートの充填状態が不十分であると判定されると、その判定に基づいて報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項3乃至6のいずれかに記載の複合構造物の界面検査装置。
【請求項8】
前記充填状態判定手段でコンクリートの充填状態が不十分であると判定されると、前記超音波探触子が配置された厚鋼板上にマーキングするマーキング手段を備えることを特徴とする請求項3乃至7のいずれかに記載の複合構造物の界面検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−88304(P2013−88304A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229709(P2011−229709)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【出願人】(509338994)株式会社IHIインフラシステム (104)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【出願人】(509338994)株式会社IHIインフラシステム (104)
【Fターム(参考)】
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