説明

複合機、表示方法、およびコンピュータプログラム

【課題】MFP(Multi Function Peripherals)のCPU(Central Processing Unit)などのリソースの負荷が従来よりも軽減されるように、画面の表示を行う。
【解決手段】MFPである画像形成装置1は、画面を、所定のフェーズの処理を実行していなければアニメーションの効果を適用して表示する。一方、この所定のフェーズの処理を実行していれば、アニメーションの効果を適用することなく、この画面を表示する。この所定のフェーズの処理の一例は、ADF(Auto Document Feeder)が用紙をスキャナへ送り出し始めてからスキャナがこの用紙から読み取った画像のデータを圧縮し終えるまでのフェーズである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合機およびそれにおける表示方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コピー、PCプリント、スキャン、ファックス、およびファイルサーバなどの様々な機能を備えた複合機が普及している。このような複合機は、「MFP(Multi Function Peripherals)」などと呼ばれる。
【0003】
また、近年、複合機に搭載するディスプレイは、解像度が従来よりも高くかつカラー画像の表示が可能であるものが用いられるようになった。
【0004】
複合機のこのような多機能化に伴い、様々な画面がディスプレイに表示されるようになった。そして、画面の遷移がユーザに分かりやすいように、アニメーションの効果を適用して画面を表示するようになった(特許文献3)。
【0005】
しかし、アニメーションの効果を適用して画面を表示すると、適用しない場合よりもリソースを多く使ってしまう。
【0006】
そこで、次のような情報処理装置などが提案されている。特許文献1に記載される情報処理装置は、駆動電源がACであるかDCであるかによってフレームレートを決定したり、CPU使用率またはバッテリー残量によってフレームレートを決定したりする。
【0007】
特許文献2に記載される画像形成装置は、バスの競合となる場合は、アニメーション表示画像をカラーからモノクロにかえ、データ数を低減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−278658号公報
【特許文献2】特開2008−143056号公報
【特許文献3】特開2008−283437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述の機能を実現する際には、データの受渡しが行われる。データの受渡しは、複合機の中の複数のハードウェアモジュール同士で行われることもあれば、複合機の中のハードウェアモジュールと他の装置との間で行われることもある。
【0010】
CPU(Central Processing Unit)に大きな負荷が掛かると、データの受渡しが滞ってしまい、データが失われてしまうおそれがある。
【0011】
本発明は、このような問題に鑑み、複合機のCPUなどのリソースの負荷を従来よりも軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一形態に係る複合機は、1つまたは複数の機能を有する複合機であって、画面を、前記1つまたは複数の機能のうちのいずれかの機能に係る所定のフェーズの処理を実行していなければアニメーションの効果を適用して表示し、当該所定のフェーズの処理を実行していれば当該効果を適用せずに表示する、画面表示手段、を有する。
【0013】
好ましくは、前記画面表示手段は、前記効果を適用して前記画面を表示している最中に前記所定のフェーズの処理が開始した場合は、当該効果を適用するのを中止して当該画面を表示する。
【0014】
または、前記1つまたは複数の機能は、用紙に記されている画像を読み取る読取機能、ファクシミリプロトコルによってデータを送信するファクシミリ送信機能、ファクシミリプロトコルによってデータを送信するファクシミリ受信機能、画像を用紙に印刷する印刷機能、およびTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)によって通信を行うネットワーク通信機能のうちの少なくとも1つである。
【0015】
または、スキャナと、ADF(Auto Document Feeder)とを、有し、前記所定のフェーズは、前記ADFが用紙を前記スキャナへ送り出し始めてから前記スキャナが当該用紙から読み取った画像のデータを圧縮し終えるまでのフェーズである。
【0016】
または、印刷エンジンと、給紙トレイと、前記給紙トレイから前記印刷エンジンへ用紙を搬送する用紙搬送装置と、前記用紙へ印刷する対象の画像のデータの伸張を行う伸張手段と、を有し、前記所定のフェーズは、前記用紙搬送装置が前記用紙を搬送し始めてから前記伸張手段が前記伸張を完了するまでのフェーズである。
【0017】
または、ファクシミリモデムを有し、前記所定のフェーズは、接続の確立の際に相手先とやり取りする第一の所定の信号を前記ファクシミリモデムが送信しまたは受信してから画像データの送受信の完了の際に当該相手先とやり取りする第二の所定の信号をファクシミリモデムが送信しまたは受信するまでのフェーズである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、複合機のCPUなどのリソースの負荷を従来よりも軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】画像形成装置を含むネットワークシステムの例を示す図である。
【図2】画像形成装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【図3】スキャンユニットおよび印刷ユニットの構成の例を示す図である。
【図4】操作パネルの構成の例を示す図である。
【図5】画像形成装置の機能的構成の例を示す図である。
【図6】画像形成装置の全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図7】スキャン処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図8】ADF制御処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図9】圧縮制御処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図10】プリント処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図11】印刷用紙供給制御処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図12】伸張処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図13】ファクシミリ送信処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図14】ファクシミリ受信処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図15】ファクシミリプロトコルに基づく通信のシーケンスの例を示す図である。
【図16】画面表示処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図17】コピージョブにおけるデータの処理およびやり取りの例を示す図である。
【図18】スキャンの際のデータのやり取りの例を示す図である。
【図19】印刷の際のデータのやり取りの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、画像形成装置1を含むネットワークシステムの例を示す図である。図2は、画像形成装置1のハードウェア構成の例を示す図である。図3は、スキャンユニット10eおよび印刷ユニット10fの構成の例を示す図である。図4は、操作パネル10hの構成の例を示す図である。図5は、画像形成装置1の機能的構成の例を示す図である。
【0021】
図1に示す画像形成装置1は、一般に複合機またはMFP(Multi Function Peripherals)などと呼ばれる装置であって、コピー、ネットワークプリンティング(PCプリント)、ファクシミリ、およびスキャナなどの機能を集約した装置である。
【0022】
画像形成装置1は、LAN(Local Area Network)、公衆回線、またはインターネットなどの通信回線を介してパーソナルコンピュータ4Aおよびファクシミリ(FAX)端末4Bなどの装置と画像データのやり取りを行うこととができる。
【0023】
画像形成装置1は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)10a、メインメモリDDR_DIMM(Double Data Rate Dual Inline Memory Module)10bをはじめとする種々のRAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)10c、ハードディスクドライブ10d、スキャンユニット10e、印刷ユニット10f、ネットワークインタフェース10g、操作パネル10h、ファクシミリモデム10i、入力画像処理ASIC(Application Specific Integrated Circuit)10j、システム制御ASIC10k、および出力画像処理ASIC10mなどのハードウェアモジュールによって構成される。そのほか、画像形成装置1には電源ユニット10nが設けられており、各ハードウェアモジュールへ電力を供給する。
【0024】
スキャンユニット10eは、原稿の用紙に記されている写真、文字、絵、図表などの画像を読み取って画像データを生成する。スキャンユニット10eには、図3に示すように、ADF(Auto Document Feeder)10e1およびスキャナ10e2などが備わっている。スキャナ10e2として、例えば、CCD(Charge Coupled Device)が用いられる。
【0025】
操作パネル10hは、図4に示すように、タッチパネルディスプレイ10h1および複数のキーからなるキーボード10h2などによって構成される。
【0026】
タッチパネルディスプレイ10h1は、ユーザに対してメッセージまたは指示を与えるための画面、ユーザが処理の指令および条件を入力するための画面、およびCPU10aによる演算の結果を示す画面などを表示する。また、ユーザが指で触れた位置を検知し、検知結果を示す信号をCPU10aに送信する。
【0027】
ネットワークインタフェース10gは、LAN回線などの通信回線を介してパーソナルコンピュータ4Aなどの他の装置と通信を行うためのNIC(Network Interface Card)である。
【0028】
ファクシミリモデム10iは、固定電話網などの通信回線を介してファクシミリ端末4Bなどとの間でG3などのプロトコルで画像データをやり取りするための装置である。
【0029】
入力画像処理ASIC10jは、スキャンユニット10eによって読み取られた画像(入力画像)に対して画像処理を施す。システム制御ASIC10kは、画像形成装置1の全体的な制御のための処理を行う。出力画像処理ASIC10mは、印刷ユニット10fによって画像を印刷するための画像処理を行う。例えば、画像のラスタライズなどを行う。
【0030】
印刷ユニット10fは、出力画像処理ASIC10mによって処理された画像をコピー用紙などに印刷する。印刷ユニット10fには、図3に示すように、印刷エンジン10f1、複数の給紙トレイ10f2、および印刷用紙搬送装置10f3などが備わっている。
【0031】
印刷エンジン10f1として、例えばレーザプリンタが用いられる。給紙トレイ10f2には、印刷用の白紙が格納されている。以下、印刷用の白紙とスキャンまたはコピーの対象の原稿が記された用紙とを区別するために、前者を「印刷用紙」と記載し、後者を「原稿用紙」と記載する。
【0032】
印刷用紙搬送装置10f3は、給紙トレイ10f2に格納されている印刷用紙を1枚ずつ印刷エンジン10f1へ搬送する。搬送の経路には、センサ10f4が設けられている。センサ10f4は、いずれかの印刷用紙搬送装置10f3から印刷エンジン10f1へ搬送される印刷用紙を検知する。センサ10f4として、例えば赤外線センサが用いられる。
【0033】
EEPROM10cまたはハードディスクドライブ10dには、図5に示す電源制御部101、タイマ102、初期化処理部103、ジョブ制御部104、画面表示処理部105、アニメーションフラグ106、スキャン制御部121、プリント制御部122、ファクシミリ送信制御部123、およびファクシミリ受信制御部124などを実現するためのプログラムおよびデータがインストールされている。これらのプログラムおよびデータは、必要に応じてメインメモリDDR_DIMM10bなどのメモリにロードされ、CPU10aによってプログラムが実行される。なお、図5に示す一部または全部の機能をASICなどによって実現してもよい。
【0034】
電源制御部101は、画像形成装置1の各ハードウェアモジュールへ電力が適切に供給されるように電源ユニット10nを制御する。
【0035】
タイマ102は、ユーザが画像形成装置1を操作しない時間を計測する。そして、電源制御部101は、その時間が所定の長さを超えたら、一部のハードウェアモジュールへの電力の供給が止まるように電源ユニット10nを制御する。
【0036】
初期化処理部103は、ハードウェアモジュールへの電力の供給が再開しまたはリセットの指令をユーザが入力するなど、所定のイベントがあるごとに、種々の初期化の処理を行う。
【0037】
スキャン制御部121は、原稿用紙に記されている画像を読み取るようにスキャンユニット10eを制御し、所定の処理(例えば、BTC(Block Truncation Coding)圧縮の処理など)を行うように入力画像処理ASIC10jを制御する。
【0038】
プリント制御部122は、画像データに対して適宜、所定の処理(例えば、BTC伸張の処理など)を実行するように出力画像処理ASIC10mを制御し、ラスタライズされたデータに基づいて画像を印刷用紙に印刷するように印刷ユニット10fを制御する。
【0039】
ファクシミリ送信制御部123は、スキャンユニット10eによって読み取られた画像の画像データをG3またはG4などのファクシミリプロトコルで相手先へ送信するようにファクシミリモデム10iを制御する。
【0040】
ファクシミリ受信制御部124は、相手先からの画像データをファクシミリプロトコルで受信するようにファクシミリモデム10iを制御する。
【0041】
ジョブ制御部104は、スキャンジョブ、プリントジョブ、コピージョブ、ファクシミリ送信ジョブ、およびファクシミリ受信ジョブなどのジョブが実行されるように、スキャン制御部121、プリント制御部122、ファクシミリ送信制御部123、およびファクシミリ受信制御部124などを制御する。
【0042】
「スキャンジョブ」は、原稿用紙に記されている画像を読み取ってその画像を再現するための電子ファイルを生成するジョブである。ジョブ制御部104は、主にスキャン制御部121に処理を行わせることによってスキャンジョブを実行する。
【0043】
「PCプリントジョブ」は、パーソナルコンピュータ4Aから受信した画像データに基づいて画像を印刷用紙に印刷するジョブである。ジョブ制御部104は、主にプリント制御部122に処理を行わせることによってPCプリントジョブを実行する。
【0044】
「コピージョブ」は、原稿用紙に記されている画像を読み取って印刷用紙に複写するジョブである。ジョブ制御部104は、主にスキャン制御部121およびプリント制御部122に処理を行わせることによってコピージョブを実行する。
【0045】
「ファクシミリ送信ジョブ」は、原稿用紙に記されている画像を読み取ってその画像を再現するための画像データをファクシミリプロトコルで相手先へ送信するジョブである。ジョブ制御部104は、主にスキャン制御部121およびファクシミリ送信制御部123に処理を行わせることによってファクシミリ送信ジョブを実行する。
【0046】
「ファクシミリ受信ジョブ」は、相手先からファクシミリプロトコルで画像データを受信し画像を印刷用紙に印刷するジョブである。ジョブ制御部104は、主にファクシミリ受信制御部124およびプリント制御部122に処理を行わせることによってスキャンジョブを実行する。
【0047】
画面表示処理部105は、CPU10aなどによる演算の結果またはユーザの操作に応じて種々の画面をタッチパネルディスプレイ10h1に表示させる。アニメーションの効果を適用して画面を表示させることがある。アニメーションの手法として、例えばスライドイン、ブラインド、およびズームインなど、様々な手法が用いられる。
【0048】
「スライドイン」は、右から左へ徐々にスライドしながらタッチパネルディスプレイ10h1に出現するように画面を表示する手法である。「ブラインド」は、画素が少しずつ出現するようにつまり徐々に滲み出てくるように画面を表示する手法である。「ズームイン」は、徐々に大きくなるように画面を表示する手法である。
【0049】
アニメーションフラグ106は、アニメーションの効果を適用して画面を表示させるか否かを示すフラグである。画面表示処理部105は、アニメーションフラグ106がオンである場合は、アニメーションの効果を適用して画面を表示させるが、オフである場合は、アニメーションの効果を適用せずに画面を表示させる。
【0050】
図6は、画像形成装置1の全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。図7は、スキャン処理の流れの例を説明するフローチャートである。図8は、ADF制御処理の流れの例を説明するフローチャートである。図9は、圧縮制御処理の流れの例を説明するフローチャートである。図10は、プリント処理の流れの例を説明するフローチャートである。図11は、印刷用紙供給制御処理の流れの例を説明するフローチャートである。図12は、伸張処理の流れの例を説明するフローチャートである。図13は、ファクシミリ送信処理の流れの例を説明するフローチャートである。図14は、ファクシミリ受信処理の流れの例を説明するフローチャートである。図15は、ファクシミリプロトコルに基づく通信のシーケンスの例を示す図である。図16は、画面表示処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【0051】
次に、図5に示す各部の処理内容の詳細を、図6のフローチャートなどを参照しながら説明する。
【0052】
ユーザが電源スイッチをオンにしたり、スリープモードであるときにユーザが操作パネル10hを操作したり、スリープモードであるときに画像データがファクシミリ端末4Bなどから送信されてくるなど、所定の状態で所定のイベントが起きると、電源制御部101は、各ハードウェアモジュールに電力を供給するように電源ユニット10nを制御する(#201)。
【0053】
さらに、初期化処理部103は、必要な初期化の処理を行い(#202)、タイマ102は、計時を開始する(#203)。特に、本実施形態では、初期化の処理として、アニメーションフラグ106をオンにリセットする処理が行われる。
【0054】
なお、タイマ102は、ユーザによる操作パネル10hの操作もなく処理も行っていない間(つまり、アイドリングの状態の間)、計時を続けるが、操作が行われたり処理が開始されたりすると、リセットされる。そして、操作も処理も終わった後、ゼロから計時をスタートする。
【0055】
ユーザは、操作パネル10hを操作することによって、種々の画面をタッチパネルディスプレイ10h1に表示させ、見ることができる。また、操作パネル10hまたはパーソナルコンピュータ4Aを操作することによって、ジョブの実行の指令を画像形成装置1に対して与えることができる。そのほか、画像形成装置1は、相手先から着呼があり所定の信号を受信することによって、ファクシミリ受信ジョブが与えられる。
【0056】
ジョブ制御部104および画面表示処理部105は、操作パネル10hの操作または与えられたジョブの種類に応じて、適宜、次のような処理を行う。
【0057】
画面表示処理部105は、ユーザによる操作パネル10hの操作またはCPU10aによる処理の結果などに応じて、適宜、画面をタッチパネルディスプレイ10h1に表示させる(#204でYes、#205)。
【0058】
また、ジョブ制御部104は、与えられたジョブの種類などに応じて、スキャン制御部121、プリント制御部122、ファクシミリ送信制御部123、およびファクシミリ受信制御部124に実行させる処理を決定し、これらの各部に、決定した処理を実行させる(#206〜#213)。ジョブの種類ごとの、スキャン制御部121ないしファクシミリ受信制御部124の要否は、前に説明した通りである。
【0059】
画面表示処理部105による画面の表示の処理と、ジョブ制御部104などによるジョブの実行とは、マルチタスクの機能によって並行して実行することができる。また、ステップ#207のスキャン処理、ステップ#209のプリント処理、ステップ#211のファクシミリ送信処理、およびステップ#213のファクシミリ受信処理の実行の順番は、ジョブの種類によって異なる。例えば、ファクシミリ受信ジョブの場合は、先にファクシミリ受信処理が実行され、次にプリント処理が実行される。
【0060】
ここで、ステップ#205、#207、#209、#211、#213の各処理の詳細を、図7〜図16を参照しながら説明する。
【0061】
スキャン処理(#207)は、例えば図7に示すフェーズを経て実行される。スキャン制御部121は、セットされた原稿用紙をスキャナ10e2へ送り出すようにADF10e1を制御する(#301)。ADF10e1の制御の詳細の一例は、図8に示す通りである。
【0062】
すなわち、スキャン制御部121は、ADF10e1に原稿用紙がセットされていることおよびスキャナ10e2へ原稿用紙を送ることが可能であることを検知するなどの初期の所定の処理を実行する(図8の#311)。原稿用紙を送ることが可能になったら(#312でYes)、スキャン制御部121は、原稿用紙を1枚、スキャナ10e2に送り出すようにADF10e1を制御する(#313)。そして、アニメーションフラグ106をオフに切り換える(#314)。
【0063】
図7に戻って、スキャン制御部121は、ADF10e1からスキャナ10e2へ原稿用紙が送られてきたら(#302でYes)、この原稿用紙に記されている画像を読み取るようにスキャナ10e2を制御する(#303)。さらに、読み取られた画像のデータつまりローデータ(Raw Data)を圧縮するように入力画像処理ASIC10jを制御する(#304)。圧縮の処理の詳細の一例は、図9に示す通りである。
【0064】
すなわち、スキャン制御部121は、読み取られた画像のデータを、所定の本数のラインごとにBTC圧縮するように入力画像処理ASIC10jを制御する(#321)。そして、その原稿用紙の読取面の一番下までBTC圧縮が完了したら(#322でYes)、アニメーションフラグ106をオンにリセットする(#323)。
【0065】
図7に戻って、スキャン制御部121は、圧縮されたデータを、ジョブの種類に応じて所定のハードウェアモジュールへ出力する(#305)。
【0066】
そして、スキャン制御部121は、未だ原稿用紙がADF10e1に残っていれば(#306でYes)、残りの原稿用紙についても1枚ずつまたは1面ずつ、ステップ#301〜#305の処理を実行する。
【0067】
図6のプリント処理(#209)は、例えば図10に示すフェーズを経て実行される。プリント制御部122は、ユーザが指定したサイズの印刷用紙を1枚、給紙トレイ10f2から印刷エンジン10f1へ搬送するように印刷用紙搬送装置10f3を制御する(#331)。印刷用紙搬送装置10f3の制御の詳細の一例は、図11に示す通りである。
【0068】
すなわち、プリント制御部122は、印刷エンジン10f1の状態を検知するなどの初期の所定の処理を実行する(図11の#341)。印刷用紙を送ることが可能になったら(#342でYes)、プリント制御部122は、ユーザが指定したサイズに対応する給紙トレイ10f2から印刷用紙を1枚、印刷エンジン10f1に送り出すように印刷用紙搬送装置10f3を制御し(#343)、アニメーションフラグ106をオフに切り換える(#344)。なお、用紙が送り出されたか否かは、センサ10f4によって検知すればよい。
【0069】
図10に戻って、プリント制御部122は、ジョブの種類に応じてパーソナルコンピュータ4A、スキャンユニット10e、またはファクシミリ端末4Bなどからの画像データの入力の処理および伸張の処理などを行うように、システム制御ASIC10kおよび出力画像処理ASIC10mなどを制御する(#332、#333)。
【0070】
特に、伸張の処理は、図12に示すように、アニメーションフラグ106の更新を伴う。図12において、出力画像処理ASIC10mは、画像データに対して伸張の処理を施すことによって、ラスタライズを行う(#351)。印刷用紙の1面の一番下に印刷すべき画像までラスタライズができたら(#352でYes)、プリント制御部122は、アニメーションフラグ106をオンに切り換える(#353)。
【0071】
図10に戻って、プリント制御部122は、画像を印刷用紙に印刷するように印刷エンジン10f1を制御する(#334)。
【0072】
そして、プリント制御部122は、未だ印刷していないページが残っていれば(#335でYes)、残りのページについても順次、ステップ#331〜#334の処理を実行する。
【0073】
図6のファクシミリ送信処理(#211)は、例えば図13に示すフェーズを経て実行される。一方、ファクシミリ受信処理(#213)は、例えば図14に示すフェーズを経て実行される。ここで、2台の画像形成装置1同士がファクシミリプロトコルで画像データをやり取りする場合を例に、ファクシミリ送信処理およびファクシミリ受信処理の手順について、説明する。以下、送信側の画像形成装置1を「画像形成装置1A」と記載し、受信側の画像形成装置1を「画像形成装置1B」と記載する。
【0074】
一般のファクシミリプロトコルによる画像データの送受信の手順は、図15に示す通りである。
【0075】
画像形成装置1Aのファクシミリ送信制御部123および画像形成装置1Bのファクシミリ受信制御部124は、一般のファクシミリプロトコルに従って接続を確立する(図13の#361、図14の#371)。
【0076】
画像形成装置1Aのファクシミリ送信制御部123は、画像形成装置1BからCFR信号を受信すると(#362でYes)、アニメーションフラグ106をオフに切り換える(#363)。そして、画像形成装置1Bへの画像データの送信を開始する(#364)。
【0077】
画像形成装置1Bのファクシミリ受信制御部124は、PIX信号を画像形成装置1Aから受信すると(#372でYes)、アニメーションフラグ106をオフに切り換える(#373)。そして、画像形成装置1Aからの画像データの受信を開始する(#374)。
【0078】
画像形成装置1Aのファクシミリ送信制御部123は、画像データの送信を終えてEOP(End Of Pages)信号を画像形成装置1Bへ送信すると(#365でYes)、アニメーションフラグ106をオンに切り換える(#366)。
【0079】
画像形成装置1Bのファクシミリ受信制御部124は、EOP信号を受信しMCF信号を送信すると(#375でYes)、アニメーションフラグ106をオンに切り換える(#376)。
【0080】
そして、画像形成装置1Aのファクシミリ送信制御部123および画像形成装置1Bのファクシミリ受信制御部124は、回線の切断の処理を行う(#367、#377)。
【0081】
図6のステップ#205の画面表示処理は、例えば図16に示すフェーズを経て手順で実行される。画面表示処理部105は、表示の対象の画面にアニメーションの効果が設定されていない場合は(図7の#381でNo)、アニメーションを適用することなく、その画面をタッチパネルディスプレイ10h1に表示させる(#383)。
【0082】
また、画面表示処理部105は、表示の対象の画面にアニメーションの効果が設定されていても(#381でYes)、アニメーションフラグ106がオフであれば(#382でNo)、アニメーションを適用することなく、その画面をタッチパネルディスプレイ10h1に表示させる(#383)。
【0083】
一方、表示の対象の画面にアニメーションの効果が設定されており(#381でYes)、かつ、アニメーションフラグ106がオンである場合は(#382でYes)、アニメーションを適用してその画面をタッチパネルディスプレイ10h1に表示させ始める(#384、#387)。例えば、上から下へのスライドインが設定されている場合は、タッチパネルディスプレイ10h1の上部から下部へ降りていくようにその画面を少しずつスライドさせながら、表示させる。
【0084】
しかし、表示を完了する前に、つまり、アニメーションの途中でアニメーションフラグ106がオフに遷移した場合は(#385No、#386でYes)、アニメーションを中断してスキップし(#388)、その画面の全部分を直ちに表示させる(#389)。
【0085】
例えば、スライドインで画面を徐々に表示させており、未だ画面の半分しかタッチパネルディスプレイ10h1に表れていないにも関わらず、アニメーションフラグ106がオフに変わった場合は、画面表示処理部105は、直ちにスライドインの効果の適用を中止し画面の全部分をタッチパネルディスプレイ10h1に表示させる。
【0086】
図17は、コピージョブにおけるデータの処理およびやり取りの例を示す図である。図18は、スキャンの際のデータのやり取りの例を示す図である。図19は、印刷の際のデータのやり取りの例を示す図である。
【0087】
本実施形態によると、好適なタイミングでCPU10aなどのリソースの負荷を軽減することができる。
【0088】
つまり、一般に、スキャナ10e2によって得られたデータは、図17に示すように、BTC圧縮されて所定のメモリ(例えば、圧縮バッファ)に格納され、さらに、JBIG圧縮されて所定のメモリ(例えば、符号メモリ)に格納される。従来は、CPU10aなどの負荷が小さいときは、図18(A)に示すように好適なタイミングで次々にJBIG圧縮される。ところが、負荷が大きいときは、図18(B)に示すように、圧縮バッファからデータを読み出しJBIG圧縮するのに、通常よりも時間が掛かってしまう。そうすると、圧縮バッファの容量によっては、JBIG圧縮を行う前のデータが、後から得られたデータによって上書きされてしまうことが、ある。
【0089】
また、一般に、符号メモリに格納されたデータは、印刷エンジン10f1で印刷を行う際に、所定のメモリ(例えば、伸張バッファ)に一旦送られ、伸張される。従来は、CPU10aなどの負荷が小さいときは、図19(A)に示すように好適なタイミングで次々に伸張される。ところが、負荷が大きいときは、図19(B)に示すように、伸張バッファからデータを読み出し伸張するのに、通常よりも時間が掛かってしまう。そうすると、伸張バッファの容量によっては、伸張を行う前のデータが、後から送られてきたデータによって上書きされてしまうことが、ある。
【0090】
しかし、本実施形態によると、所定のイベントが起こると、画面のアニメーションの効果の適用を直ちに中止するので、CPU10aなどの負荷を従来よりも効果的にかつ好適なタイミングで軽減することができる。
【0091】
本実施形態では、1台の画像形成装置1に1つのアニメーションフラグ106を設けた。そして、スキャン制御部121、プリント制御部122、ファクシミリ送信制御部123、およびファクシミリ受信制御部124が1つのアニメーションフラグ106を共用した。
【0092】
しかし、機能部ごとに1つずつアニメーションフラグ106を設けてもよい。各機能部は、自らのために設けられたアニメーションフラグ106のオン/オフを切り換える。そして、画面表示処理部105は、4つすべてのアニメーションフラグ106がオンであれば、画面をタッチパネルディスプレイ10h1に表示させる際にアニメーションの効果を適用する。または、所定の個数(例えば3つ)以上のアニメーションフラグ106がオンであれば、アニメーションの効果を適用してもよい。
【0093】
本実施形態では、他の装置(例えば、ファクシミリ端末4B)を相手にファクシミリプロトコルで通信を行う場合を例に説明したが、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)で通信を行う場合も、本発明を適用することができる。TCP/IPによる通信の場合も、例えば、接続を確立した際にアニメーションフラグ106をオフに切り換え、対象のデータの送受信を完了した際にオンに切り換えればよい。
【0094】
アニメーションフラグ106のオン/オフを切り換えるタイミングを、例えば、次のようにしてもよい。
【0095】
ファクシミリ送信制御部123は、TCF信号(図15参照)を送信したタイミングでアニメーションフラグ106をオフに切り換えてもよい。または、MCFを受信したタイミングまたはDCNを送信したタイミングでオンに切り換えてもよい。ファクシミリ受信制御部124は、CFRを送信したタイミングまたはEOPを受信したタイミングでオフに切り換えてもよい。または、DCNを受信したタイミングでオンに切り換えてもよい。
【0096】
本実施形態では、スキャン制御部121およびプリント制御部122は、用紙の1つの面の単位でアニメーションフラグ106のオン/オフを切り換えたが、1つの書類の単位でアニメーションフラグ106のオン/オフを切り換えてもよい。この場合は、1番目の用紙の処理の際にアニメーションフラグ106をオフに切り換え、最後の用紙の処理が完了した際にオンに切り換えればよい。
【0097】
その他、画像形成装置1の全体または各部の構成、処理内容、処理順序などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0098】
1 画像形成装置(複合機)
105 画面表示処理部(画面表示手段)
10e2 スキャナ
10e1 ADF
10f1 印刷エンジン
10f2 給紙トレイ
10f3 印刷用紙搬送装置(用紙搬送装置)
10h1 タッチパネルディスプレイ(画面表示手段)
10i ファクシミリモデム
10m 出力画像処理ASIC(伸張手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の機能を有する複合機であって、
画面を、前記1つまたは複数の機能のうちのいずれかの機能に係る所定のフェーズの処理を実行していなければアニメーションの効果を適用して表示し、当該所定のフェーズの処理を実行していれば当該効果を適用せずに表示する、画面表示手段、
を有することを特徴とする複合機。
【請求項2】
前記画面表示手段は、前記効果を適用して前記画面を表示している最中に前記所定のフェーズの処理が開始した場合は、当該効果を適用するのを中止して当該画面を表示する、
請求項1に記載の複合機。
【請求項3】
前記1つまたは複数の機能は、用紙に記されている画像を読み取る読取機能、ファクシミリプロトコルによってデータを送信するファクシミリ送信機能、ファクシミリプロトコルによってデータを送信するファクシミリ受信機能、画像を用紙に印刷する印刷機能、およびTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)によって通信を行うネットワーク通信機能のうちの少なくとも1つである、
請求項1または請求項2に記載の複合機。
【請求項4】
スキャナと、
ADF(Auto Document Feeder)とを、有し、
前記所定のフェーズは、前記ADFが用紙を前記スキャナへ送り出し始めてから前記スキャナが当該用紙から読み取った画像のデータを圧縮し終えるまでのフェーズである、
請求項1または請求項2に記載の複合機。
【請求項5】
印刷エンジンと、
給紙トレイと、
前記給紙トレイから前記印刷エンジンへ用紙を搬送する用紙搬送装置と、
前記用紙へ印刷する対象の画像のデータの伸張を行う伸張手段と、
を有し、
前記所定のフェーズは、前記用紙搬送装置が前記用紙を搬送し始めてから前記伸張手段が前記伸張を完了するまでのフェーズである、
請求項1または請求項2に記載の複合機。
【請求項6】
ファクシミリモデムを有し、
前記所定のフェーズは、接続の確立の際に相手先とやり取りする第一の所定の信号を前記ファクシミリモデムが送信しまたは受信してから画像データの送受信の完了の際に当該相手先とやり取りする第二の所定の信号をファクシミリモデムが送信しまたは受信するまでのフェーズである、
請求項1または請求項2に記載の複合機。
【請求項7】
1つまたは複数の機能を有する複合機における画面の表示方法であって、
前記画面を、前記1つまたは複数の機能のうちのいずれかの機能に係る所定のフェーズの処理を実行していなければアニメーションの効果を適用して表示し、当該所定のフェーズの処理を実行していれば当該効果を適用せずに表示する、
ことを特徴とする表示方法。
【請求項8】
1つまたは複数の機能を有する複合機にコンピュータプログラムであって、
前記複合機に、
前記画面を、前記1つまたは複数の機能のうちのいずれかの機能に係る所定のフェーズの処理を実行していなければアニメーションの効果を適用して表示する処理を、実行させ、
前記画面を、前記所定のフェーズの処理を実行していれば前記効果を適用せずに表示する処理を、実行させる、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−114703(P2012−114703A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262402(P2010−262402)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】