複合粒子、コロイド結晶及びこれらの製造方法
【課題】π共役系高分子による発光の量子効率を更に高めること。更には、π共役系高分子を担持した粒子の規則性の高いコロイド結晶を容易に形成すること。
【解決手段】アルコキシシラン、界面活性剤、水及びアルコールを含む反応液中で、アルコキシシランの加水分解重縮合物及び前記界面活性剤を含む前駆体粒子を生成させる工程と、前駆体粒子中の界面活性剤のうち少なくとも一部をイオン性モノマーに置換する工程と、イオン性モノマーからπ共役系高分子を生成させて、加水分解重縮合物の多孔体及び該多孔体の細孔内に担持されたπ共役系高分子を有する複合粒子を得る工程と、を備える複合粒子の製造方法。
【解決手段】アルコキシシラン、界面活性剤、水及びアルコールを含む反応液中で、アルコキシシランの加水分解重縮合物及び前記界面活性剤を含む前駆体粒子を生成させる工程と、前駆体粒子中の界面活性剤のうち少なくとも一部をイオン性モノマーに置換する工程と、イオン性モノマーからπ共役系高分子を生成させて、加水分解重縮合物の多孔体及び該多孔体の細孔内に担持されたπ共役系高分子を有する複合粒子を得る工程と、を備える複合粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合粒子、コロイド結晶及びこれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリ(1,4−フェニレンビニレン)(PPV)が強い電界発光(エレクトロルミネッセンス、EL)を示すことが見出され、そのフラットパネルディスプレイなどへの将来的な応用が期待されている。PPVは、下記式で表わされる繰り返し単位から構成されるπ共役系高分子である。
【0003】
【化1】
【0004】
例えば、非特許文献1では、メソポーラスシリカの細孔をテトラブチルアンモニウム ヒドロキシドによって処理した後にPPVのモノマーをメソ細孔内に導入する工程を経て、細孔内にPPVを担持させる方法が報告されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「A PPV/MCM−41 Composite Material」、Chem.Mater.、2004年、第16巻、p.2180−2186
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
π共役系高分子の発光材料としての実用化のためには、発光の量子効率の更なる向上が求められる。また、π共役系高分子を担持した粒子によって形成されるコロイド結晶は、発光材料としての応用にあたって有用と考えられるが、従来、π共役系高分子を担持した粒子によって規則性の高いコロイド結晶を形成することは困難であった。
【0007】
そこで、本発明の主な目的は、π共役系高分子による発光の量子効率を更に高めること、更には、π共役系高分子を担持した粒子の規則性の高いコロイド結晶を容易に形成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一つの側面において、本発明はπ共役系高分子が担持された複合粒子及びその製造方法に関する。本発明に係る製造方法は、アルコキシシラン、界面活性剤、水及びアルコールを含む反応液中で、アルコキシシランの加水分解重縮合物及び界面活性剤を含む前駆体粒子を生成させる工程と、前駆体粒子中の界面活性剤のうち少なくとも一部をイオン性モノマーに置換する工程と、イオン性モノマーからπ共役系高分子を生成させて、加水分解重縮合物の多孔体及び該多孔体の細孔内に担持されたπ共役系高分子を含む複合粒子を得る工程とを備える。
【0009】
上記本発明に係る方法によれば、π共役系高分子による発光の量子効率を更に高めることが可能である。係る効果が奏される理由は必ずしも明らかでないが、界面活性剤との交換反応を利用することにより、π共役系高分子を確実に細孔内に導入できること、従来の方法のようにメソポーラスシリカ粒子をアルカリ成分によって処理する必要がないため、細孔の高い規則性が維持されること、さらには、細孔内に残存する界面活性剤の作用によってPPVがより孤立した状態になり易いこと、が考えられる。
【0010】
別の側面において、本発明はコロイド結晶の製造方法に関する。本発明に係る製造方法は、アルコキシシラン、界面活性剤、水及びアルコールを含む反応液中で、アルコキシシランの加水分解重縮合物及び界面活性剤を含む前駆体粒子を生成させる工程と、前駆体粒子中の界面活性剤のうち少なくとも一部をイオン性モノマーに置換する工程と、イオン性モノマーからπ共役系高分子を生成させて、加水分解重縮合物の多孔体及び該多孔体の細孔内に担持されたπ共役系高分子を含む複合粒子を得る工程と、複合粒子を含む分散液からコロイド結晶を形成させる工程と、を備える。
【0011】
上記本発明に係る方法によれば、π共役系高分子を担持した粒子の規則性の高いコロイド結晶を容易に形成することが可能である。π共役系高分子を担持した従来の粒子は、その表面を覆うπ共役系高分子の膜を有している場合が多かった。そのため、コロイド結晶作製のために用いられる粒子の分散液を安定して得ることが困難であった。一方、本発明にように界面活性剤との交換反応を利用してπ共役系高分子をシリカ系多孔体に担持させることにより、実質的に細孔内にのみπ共役系高分子が担持された、滑らかな表面を有する複合粒子を得ることができる。そのため、複合粒子の水等の分散媒への分散性が大きく改善され、分散液を用いたコロイド結晶を容易に形成させることが可能になった。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、π共役系高分子による発光の量子効率を更に高めること、更には、π共役系高分子を担持した粒子の規則性の高いコロイド結晶を容易に形成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】前駆体粒子のSEM写真である。
【図2】比較例1の複合粒子のSEM写真である。
【図3】実施例1の複合粒子のSEM写真である。
【図4】コロイド結晶の作製方法を示す模式図である。
【図5】実施例1の複合粒子から得たコロイド結晶のSEM写真である。
【図6】実施例1の複合粒子から得たコロイド結晶の発光スペクトルである。
【図7】実施例1の複合粒子から得たコロイド結晶の透過スペクトルである。
【図8】前駆体粒子のSEM写真である。
【図9】実施例2の複合粒子のSEM写真である。
【図10】実施例2の複合粒子から得たコロイド結晶のSEM写真である。
【図11】実施例2の複合粒子から得たコロイド結晶のSEM写真である。
【図12】実施例2の複合粒子から得たコロイド結晶の発光スペクトルである。
【図13】実施例2の複合粒子から得たコロイド結晶の透過スペクトルである。
【図14】実施例3の複合粒子から得たコロイド結晶の発光スペクトルである。
【図15】実施例3の複合粒子から得たコロイド結晶の透過スペクトルである。
【図16】実施例4の複合粒子の発光スペクトルである。
【図17】実施例5の複合粒子の発光スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0015】
本実施形態に係る複合粒子の製造方法は、アルコキシシラン、界面活性剤、水及びアルコールを含む反応液中でアルコキシシランを加水分解重縮合させて、アルコキシシランの加水分解重縮合物及び界面活性剤を含む前駆体粒子を生成させる工程と、前駆体粒子中の界面活性剤のうち少なくとも一部をイオン性モノマーに置換する工程と、イオン性モノマーからπ共役系高分子を生成させて、加水分解重縮合物の多孔体及び該多孔体の細孔内に担持されたπ共役系高分子を有する複合粒子を含む工程とを備える。
【0016】
アルコキシシラン及び界面活性剤を、水及びアルコールを含む混合溶媒中で混合すると、界面活性剤が多孔体のテンプレートとして機能し、細孔内に界面活性剤を取り込みながら、アルコキシシランの加水分解重縮合物の球状多孔体が生成する。アルコキシシランの加水分解重縮合物はケイ素酸化物を主成分として含む。すなわち、アルコキシシランの加水分解重縮合物(ケイ素酸化物)の多孔体及び該多孔体の細孔内に担持された界面活性剤から構成される球状の前駆体粒子が形成される。
【0017】
アルコキシシランは、ケイ素原子に結合したアルコキシ基を4個有するテトラアルコキシシラン、及びケイ素原子に結合したアルコキシ基を3個有するトリアルコキシシランのうち少なくとも一方を含む。これらアルコキシ基の種類は特に制限されないが、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基及びブトキシ基のようにアルコキシ基中の炭素原子の数が比較的少ないもの(炭素数1〜4程度のもの)が反応性の点から有利である。アルコキシ基はヒドロキシ基(−OH)で置換されていてもよい。トリアルコキシシラン中のケイ素原子には有機基、水酸基等が結合していてもよく、当該有機基はアミノ基及びメルカプト基等の置換基で置換されていてもよい。
【0018】
テトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン及びジメトキシジエトキシシランがある。トリアルコキシシランとしては、例えば、メトキシシラノール、トリエトキシシラノール、トリメトキシメチルシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン及びβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランがある。ヒドロキシアルコキシシランとしては、例えば、テトラキス(2−ヒドロキシエトキシ)シラン、テトラキス(3−ヒドロキシプロポキシ)シラン、テトラキス(2−ヒドロキシプロポキシ)シラン及びテトラキス(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)シランがある。これらアルコキシシランは、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。
【0019】
界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤が好ましく、アルキルアンモニウムハライドが特に好ましい。好ましいアルキルアンモニウムハライドは、テトラデシルトリメチルアンモニウムハライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムハライド、及びオクタデシルトリメチルアンモニウムハライドからなる群より選ばれる少なくとも1種である。アルキルアンモニウムハライドを構成するハロゲン原子の種類は特に制限されないが、入手の容易さの観点から塩素原子及び臭素原子が好ましい。界面活性剤は1種又は2種類以上を組み合わせて用いられる。ただし、その種類は生成する多孔体の孔の形状に大きな影響を与えるため、より均一な細孔を形成する球状多孔体を得るためには、界面活性剤として1種類のみを用いることが好ましい。
【0020】
前駆体粒子の生成に用いられる混合溶媒は、水及びアルコールを含む。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、エチレングリコール、グリセリン又はこれらの混合物が用いられる。
【0021】
上記混合溶媒に含まれるアルコールの量は、好ましくは20〜55容量%、より好ましくは35〜50容量%である。このような混合溶媒を使用することにより、実質的に単分散の球状の前駆体粒子を特に容易に生成させることができる。
【0022】
混合溶媒に含まれる界面活性剤の濃度は、アルコキシシラン、界面活性剤及びこの混合溶媒を含む反応液の全容量を基準として好ましくは0.003〜0.03mol/L、より好ましくは0.01〜0.02mol/Lである。アルコキシランの濃度は反応液の全容量を基準として好ましくは0.005〜0.03mol/L、より好ましくは、0.007〜0.012mol/Lである。これらの濃度範囲に設定することにより、より均一性の高い球状の前駆体粒子を得ることができる。
【0023】
アルコキシシラン、界面活性剤及び混合溶媒を含む反応液は、塩基性であることが好ましい。そのため、反応液は水酸化ナトリウム等の塩基性物質を更に含むことが好ましい。
【0024】
生成した前駆体粒子中の界面活性剤のうち少なくとも一部が、テンプレートイオン交換反応によってイオン性モノマーに置換される。例えば、イオン性モノマーの溶液に前駆体粒子を必要により加熱しながら接触させる方法によって、テンプレートイオン交換反応を進行させることができる。通常、テンプレートイオン交換反応後の前駆体粒子中に界面活性剤が残存する可能性が高い。
【0025】
イオン性モノマーとしては、重合を含む反応によりπ共役系高分子を生成するイオン性の化合物が用いられる。例えば、下記化学式(1)で表わされる、キシレン ビス(テトラヒドロチオフェニウム クロライド)及びその誘導体が好適である。下記式中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアルコキシ基を示す。式(1)において、例えば、R1及びR2が水素原子であってもよいし、R1がメトキシ基でR2がドデシロキシ基であってもよい。
【0026】
【化2】
【0027】
式(1)のイオン性モノマーから、下記化学式(2)で表されるポリ(1,4−フェニレンビニレン)(PPV)を生成させることができる。
【0028】
【化3】
【0029】
テンプレートイオン交換反応の後、細孔内に導入されたイオン性モノマーからπ共役系高分子を生成させることにより、シリカ系多孔体及び該シリカ系多孔体の細孔内に担持されたπ共役系高分子を有する複合粒子が形成される。加熱温度などの条件によっては、テンプレート交換反応が進行するのと同時に、導入されたイオン性モノマーからπ共役系高分子が生成する反応が進行することもある。複合粒子は界面活性剤を更に含む場合が多い。キシレン ビス(テトラヒドロチオフェニウム クロライド)は、細孔内での重合及びそれに続く脱離反応を経てPPVを生成する。キシレン ビス(テトラヒドロチオフェニウム クロライド)は、例えば、減圧雰囲気下で200〜225℃の加熱によりPPVを生成することができる。
【0030】
イオン性モノマーからPPV等のπ共役系高分子を生成させるための加熱時間を長くすることにより、より優れた発光特性を有する複合粒子を得ることができる。具体的には、加熱時間は好ましくは0.5時間以上、より好ましくは2時間以上である。加熱時間の上限は特に制限はないが、通常は50時間以下程度で十分である。
【0031】
以上の方法から得られた複合粒子から、通常の方法により、高い結晶性を有するコロイド結晶を容易に形成させることができる。具体的には、例えば、複合粒子を水、アルコール等の分散媒に分散させた分散液を膜状の空間に充填し、充填された分散液から分散媒を除去する方法、または、熱対流を利用するヴァーティカル デポジション(vertical deposition)法によってコロイド結晶を形成することができる。ヴァーティカル デポジション法は、分散液中の複合粒子を熱対流によって分散液界面に移動させることにより、分散液界面にコロイド結晶を形成させる。いずれの方法の場合も、複合粒子が分散媒への高い分散性を有することが好ましい。
【実施例】
【0032】
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0033】
前駆体粒子の合成1
水3326gとメタノール4610gの混合溶媒に、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド(界面活性剤)38.3g及び1規定水酸化ナトリウム34.2gを添加し、室温で攪拌を行った。そこにテトラメトキシシランとメタノールの混合溶液(26.4g/30.0g)を加えて、更に攪拌を続けたところ、テトラメトキシシランが完全に溶解し、白色粉末が析出した。反応液を室温で更に8時間攪拌し、一晩放置した。その後、濾過によって取り出した粉末を脱イオン水によって3回洗浄し、乾燥して、19.22gの前駆体粒子を得た。得られた前駆体粒子は、SEM観察から、平均粒子径850nmの単分散球状粒子であることが確認された(図1)。
【0034】
比較例1
上記前駆体粒子を540℃で6時間焼成して、界面活性剤を除去して、シリカ系多孔体(メソポーラスシリカ)粒子を得た。このシリカ系多孔体粒子の粉末を真空下100℃で乾燥し、さらに窒素雰囲気下で1Mのテトラブチルアンモニウム溶液によって処理した。その後、キシレン ビス(テトラヒドロチオフェニウム クロライド)の脱水エタノール溶液(10〜20%w/w)に粉末を24時間浸漬した。浸漬後、余分なモノマーとアルカリ成分を除去するために、エタノール及び水で粉末を洗浄した。洗浄後の粉末を室温で真空乾燥し、さらに10−2Torrの雰囲気下、200℃で6時間熱処理して、PPVを細孔内に担持した複合粒子を得た。図2は得られた複合粒子のSEM写真である。粒子表面が薄いPPVの膜で覆われている様子が確認された。
【0035】
比較例2
上記前駆体粒子を550℃で6時間焼成し、界面活性剤を除去して、シリカ系多孔体(メソポーラスシリカ)粒子を得た。このシリカ系多孔体粒子の粉末を、キシレン ビス(テトラヒドロチオフェニウム クロライド)の脱水エタノール溶液(10〜20%w/w)中に分散させた。得られた分散液から、エバポレータを用いてエタノールを留去して白色粉末を得た。この白色粉末を、10−2Torrの雰囲気下、200℃で6時間加熱した。加熱後、粉末は白色のままであり、そこに光を照射しても全く発光しなかった。すなわち、ゲスト分子の溶液をメソポーラスシリカ粒子に接触させた後、溶媒を留去する方法では、目的とする細孔中にポリマーが取り込まれた複合粒子を得ることができなかった。
【0036】
実施例1
乾燥後の上記前駆体粒子をキシレン ビス(テトラヒドロチオフェニウム クロライド)のメタノール溶液(10〜20%w/w)中に投入し、60℃のオイルバスで4時間加熱して、前駆体粒子を構成するシリカ系多孔体のメソ細孔中の界面活性剤とPPVモノマーとを交換するテンプレート交換反応を行った。反応後の粉末から余分なモノマーをメタノールを用いた洗浄によって除去した。洗浄後の粉末を室温で真空乾燥し、さらに10−2Torrの雰囲気下、200〜225℃で6時間熱処理して、PPVを細孔内に担持した球状の複合粒子を得た。得られた複合粒子は黄色を呈した。図3は得られた複合粒子のSEM写真である。比較例1(図2)とは異なり、粒子表面はPPVの膜によって覆われることなく、非常に滑らかであることが確認された。
【0037】
発光の量子収率
比較例1及び実施例1で得た複合粒子をエタノールに分散した分散液を用いて、これら粒子による発光の量子収率を測定したところ、比較例1は0.53、実施例1は0.98であった。これら量子収率は励起光から蛍光への変換効率であり、この値が大きいほど変換効率が高く、エネルギーの無駄が少ないことを意味する。多孔体に担持されていないPPVの発光量子収率は通常0.15〜0.25程度であるのに比較して、比較例1による方法でシリカ系多孔体粒子の細孔内にPPVを担持させることにより量子収率が向上した。これは細孔内にPPV鎖が存在することにより、エネルギー移動や酸素によるPPV鎖の分解が阻害されることに起因すると考えられる。実施例1では、量子収率が更に向上して極めて高い値に達した。
【0038】
コロイド結晶の作製とそのキャラクタリゼーション
図4はコロイド結晶の作製方法を示す模式図である。硫酸処理によって清浄化した2枚のガラス板11を厚さ10μmの2本のスペーサー15を挟んで貼り合わせてガラスセル10を準備し、そこに分散導入管としてのキャピラリ21(φ4mm)を取り付けた。実施例1で得た複合粒子の1質量%水分散液20をガラスのサンプル瓶22内に調製し、分散液に超音波処理を施した。その後、分散液20をマグネチックスターラーの攪拌子25で攪拌しながら、ガラスセル10内に分散液20を導入した。実施例1の複合粒子の分散液は高い安定性を有しており、キャピラリ21を通じてガラスセル10中に分散液を連続的に導入することができた。導入後、スペーサー部分から水を蒸発させることにより、コロイド結晶が形成された。得られたコロイド結晶はPPV由来の薄い黄色を呈しており、結晶の規則性の指標となる構造色も観察された。図5は得られたコロイド結晶のSEM写真である。SEM写真から、コロイド結晶が規則性の高い細密充填構造を有していることが確認された。
【0039】
一方、比較例1の複合粒子を用いて同様の方法でコロイド結晶の作製を試みたところ、長時間の超音波処理を行っても安定な分散液を得ることができず、攪拌を止めると複合粒子が即座に沈殿するような状態であった。また、攪拌下であってもキャピラリ中で複合粒子が水から分離したために、ガラスセル中に複合粒子を導入することができなかった。
【0040】
図6及び図7はそれぞれ、実施例1の複合粒子から得たコロイド結晶の発光スペクトル及び透過スペクトルである。図6の発光スペクトルに示されるように、コロイド結晶は500nmを中心とするPPV由来の強い発光を示した。図6中、440nmのピークは励起光によるものである。図7の透過スペクトルに示されるように、1700nm付近に非常にシャープなdipが観測された。このdipの位置は、複合粒子の粒子径から予想される、コロイド結晶のブラッグ反射による波長と一致する。このことから、コロイド結晶の規則性が高いことが示唆された。
【0041】
前駆体粒子の合成2
水4126gとメタノール3810gの混合溶媒に、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド(界面活性剤)38.2g及び1規定水酸化ナトリウム34.2gを添加し、室温で攪拌を行った。そこにテトラメトキシシランとメタノールの混合溶液(26.4g/30.0g)を加えて、更に攪拌を続けたところ、テトラメトキシシランが完全に溶解し、白色粉末が析出した。反応液を室温で更に8時間攪拌し、一晩放置した。その後、濾過によって取り出した粉末を脱イオン水によって3回洗浄し、乾燥して、18.29gの前駆体粒子を得た。得られた前駆体粒子は、SEM観察から、平均粒子径480nmの単分散球状粒子であることが確認された(図8)。
【0042】
実施例2
乾燥後の前駆体粒子を用いて、実施例1と同様の手順で、PPVを細孔内に担持した球状の複合粒子を得た。図9は得られた複合粒子のSEM写真である。実施例1と同様に、粒子表面を覆うPPVの膜は認められず、非常に滑らかな表面が確認された。
【0043】
発光の量子収率
実施例2で得た複合粒子による発光の量子収率を、複合粒子のエタノール分散液を用いて測定したところ0.92であり、実施例1と同様に非常に高い値であった。
【0044】
コロイド結晶の作製とそのキャラクタリゼーション
図4のガラスセルを用いた方法により、実施例2の複合粒子を用いて構造色を呈するコロイド結晶を得ることができた(図10)。さらに、実施例2の複合粒子を用いて、熱対流現象を利用する以下のvertical deposition法によってもコロイド結晶を形成させることができた(図11)。実施例1の複合粒子の場合、粒子自体の分散性は優れているものの、粒径が大きいために沈殿を生じ易く、無攪拌で行うvertical deposition法によるコロイド結晶の作製は困難であった。
(1)1質量%の濃度で粒子をエタノール中に分散させてエタノール分散液を調製し、これに超音波処理を施す。
(2)硫酸によって親水化処理したガラス板をエタノール分散液に浸漬し、無攪拌の状態で50℃に保持する。
(3)熱対流によって粒子を分散液界面(ガラス板表面)に移動させて、ガラス板表面にコロイド結晶を形成させる。
【0045】
コロイド結晶のSEMによる観察と、発光スペクトル及び透過スペクトルの測定を行った。図12及び図13はそれぞれ、ガラスセルの方法によって得たコロイド結晶の発光スペクトル及び透過スペクトルである。図12の発光スペクトルに示されるように、コロイド結晶は500nmを中心とするPPV由来の強い発光を示した。図12中、440nmのピークは励起光によるものである。図13の透過スペクトルに示されるように、960nm付近に非常にシャープなdipが観測された。このdipの位置は、複合粒子の粒子径から予想される、コロイド結晶のブラッグ反射による波長と一致する。このことから、コロイド結晶の規則性が高いことが示唆された。
【0046】
前駆体粒子の合成3
水873.2g、メタノール624g及びエタノール96gの混合溶媒に、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド(界面活性剤)7.04g及び1規定水酸化ナトリウム6.84gを添加し、室温で攪拌を行った。そこにシリカ源としてテトラメトキシシランと3−アミノプロピルトリメトキシシランの混合溶液(5.02g/0.31g)を加えて、更に攪拌を続けたところ、シリカ源が完全に溶解し、白色粉末が析出した。反応液を室温で更に8時間攪拌し、一晩放置した。その後、濾過によって取り出した粉末を脱イオン水によって3回洗浄し、乾燥して、3.11gの前駆体粒子を得た。得られた前駆体粒子は、SEM観察から、平均粒子径330nmの単分散球状粒子であることが確認された(図8)。
【0047】
実施例3
乾燥後の前駆体粒子を用いて、実施例1と同様の手順で、PPVを細孔内に担持した球状の複合粒子を得た。
【0048】
発光の量子収率
実施例2で得た複合粒子による発光の量子収率を、複合粒子のエタノール分散液を用いて測定したところ0.90であり、実施例1と同様に非常に高い値であった。
【0049】
コロイド結晶の作製とそのキャラクタリゼーション
実施例3の複合粒子を用いて、実施例2と同様のvertical deposition法によって非常に規則性の高い構造を有するコロイド結晶を得ることができた。図14及び図15はそれぞれ、得られたコロイド結晶の発光スペクトル及び透過スペクトルである。図14の発光スペクトルに示されるように、コロイド結晶は500nmを中心とするPPV由来の強い発光を示した。図14中、400nmのピークは励起光によるものである。図15の透過スペクトルに示されるように、610nm付近に非常にシャープなdipが観測された。このdipの位置は、複合粒子の粒子径から予想される、コロイド結晶のブラッグ反射による波長と一致する。このことから、コロイド結晶の規則性が高いことが示唆された。
【0050】
実施例4
「前駆体粒子の合成1」で合成した前駆体粒子をキシレン ビス(テトラヒドロチオフェニウム クロライド)のエタノール溶液(10〜20%w/w)中に投入し、80℃のオイルバスで6時間加熱した。加熱により前駆体粒子を構成するシリカ系多孔体のメソ細孔中の界面活性剤とPPVモノマーとを交換するテンプレート交換反応が進行し、それと同時にPPVモノマーの重合が進行して、黄色を呈する球状の複合粒子を得た。余剰のモノマーを洗浄により除去して、PPVを細孔内に担持した球状の複合粒子を得た。図16は得られた複合粒子の発光スペクトルである。
【0051】
実施例5
「前駆体粒子の合成2」で合成した前駆体粒子をキシレン ビス(テトラヒドロチオフェニウム クロライド)のエチレングリコール溶液(10〜20%w/w)中に投入し、100℃のオイルバスで6時間加熱した。加熱により前駆体粒子を構成するシリカ系多孔体のメソ細孔中の界面活性剤とPPVモノマーとを交換するテンプレート交換反応が進行し、それと同時にPPVモノマーの重合が進行して、黄色を呈する球状の複合粒子を得た。余剰のモノマーを洗浄により除去して、PPVを細孔内に担持した球状の複合粒子を得た。図17は得られた複合粒子の発光スペクトルである。
【符号の説明】
【0052】
10…ガラスセル、11…ガラス板、15…スペーサー、20…分散液、21…キャピラリ、22…サンプル瓶、25…攪拌子。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合粒子、コロイド結晶及びこれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリ(1,4−フェニレンビニレン)(PPV)が強い電界発光(エレクトロルミネッセンス、EL)を示すことが見出され、そのフラットパネルディスプレイなどへの将来的な応用が期待されている。PPVは、下記式で表わされる繰り返し単位から構成されるπ共役系高分子である。
【0003】
【化1】
【0004】
例えば、非特許文献1では、メソポーラスシリカの細孔をテトラブチルアンモニウム ヒドロキシドによって処理した後にPPVのモノマーをメソ細孔内に導入する工程を経て、細孔内にPPVを担持させる方法が報告されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「A PPV/MCM−41 Composite Material」、Chem.Mater.、2004年、第16巻、p.2180−2186
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
π共役系高分子の発光材料としての実用化のためには、発光の量子効率の更なる向上が求められる。また、π共役系高分子を担持した粒子によって形成されるコロイド結晶は、発光材料としての応用にあたって有用と考えられるが、従来、π共役系高分子を担持した粒子によって規則性の高いコロイド結晶を形成することは困難であった。
【0007】
そこで、本発明の主な目的は、π共役系高分子による発光の量子効率を更に高めること、更には、π共役系高分子を担持した粒子の規則性の高いコロイド結晶を容易に形成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一つの側面において、本発明はπ共役系高分子が担持された複合粒子及びその製造方法に関する。本発明に係る製造方法は、アルコキシシラン、界面活性剤、水及びアルコールを含む反応液中で、アルコキシシランの加水分解重縮合物及び界面活性剤を含む前駆体粒子を生成させる工程と、前駆体粒子中の界面活性剤のうち少なくとも一部をイオン性モノマーに置換する工程と、イオン性モノマーからπ共役系高分子を生成させて、加水分解重縮合物の多孔体及び該多孔体の細孔内に担持されたπ共役系高分子を含む複合粒子を得る工程とを備える。
【0009】
上記本発明に係る方法によれば、π共役系高分子による発光の量子効率を更に高めることが可能である。係る効果が奏される理由は必ずしも明らかでないが、界面活性剤との交換反応を利用することにより、π共役系高分子を確実に細孔内に導入できること、従来の方法のようにメソポーラスシリカ粒子をアルカリ成分によって処理する必要がないため、細孔の高い規則性が維持されること、さらには、細孔内に残存する界面活性剤の作用によってPPVがより孤立した状態になり易いこと、が考えられる。
【0010】
別の側面において、本発明はコロイド結晶の製造方法に関する。本発明に係る製造方法は、アルコキシシラン、界面活性剤、水及びアルコールを含む反応液中で、アルコキシシランの加水分解重縮合物及び界面活性剤を含む前駆体粒子を生成させる工程と、前駆体粒子中の界面活性剤のうち少なくとも一部をイオン性モノマーに置換する工程と、イオン性モノマーからπ共役系高分子を生成させて、加水分解重縮合物の多孔体及び該多孔体の細孔内に担持されたπ共役系高分子を含む複合粒子を得る工程と、複合粒子を含む分散液からコロイド結晶を形成させる工程と、を備える。
【0011】
上記本発明に係る方法によれば、π共役系高分子を担持した粒子の規則性の高いコロイド結晶を容易に形成することが可能である。π共役系高分子を担持した従来の粒子は、その表面を覆うπ共役系高分子の膜を有している場合が多かった。そのため、コロイド結晶作製のために用いられる粒子の分散液を安定して得ることが困難であった。一方、本発明にように界面活性剤との交換反応を利用してπ共役系高分子をシリカ系多孔体に担持させることにより、実質的に細孔内にのみπ共役系高分子が担持された、滑らかな表面を有する複合粒子を得ることができる。そのため、複合粒子の水等の分散媒への分散性が大きく改善され、分散液を用いたコロイド結晶を容易に形成させることが可能になった。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、π共役系高分子による発光の量子効率を更に高めること、更には、π共役系高分子を担持した粒子の規則性の高いコロイド結晶を容易に形成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】前駆体粒子のSEM写真である。
【図2】比較例1の複合粒子のSEM写真である。
【図3】実施例1の複合粒子のSEM写真である。
【図4】コロイド結晶の作製方法を示す模式図である。
【図5】実施例1の複合粒子から得たコロイド結晶のSEM写真である。
【図6】実施例1の複合粒子から得たコロイド結晶の発光スペクトルである。
【図7】実施例1の複合粒子から得たコロイド結晶の透過スペクトルである。
【図8】前駆体粒子のSEM写真である。
【図9】実施例2の複合粒子のSEM写真である。
【図10】実施例2の複合粒子から得たコロイド結晶のSEM写真である。
【図11】実施例2の複合粒子から得たコロイド結晶のSEM写真である。
【図12】実施例2の複合粒子から得たコロイド結晶の発光スペクトルである。
【図13】実施例2の複合粒子から得たコロイド結晶の透過スペクトルである。
【図14】実施例3の複合粒子から得たコロイド結晶の発光スペクトルである。
【図15】実施例3の複合粒子から得たコロイド結晶の透過スペクトルである。
【図16】実施例4の複合粒子の発光スペクトルである。
【図17】実施例5の複合粒子の発光スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0015】
本実施形態に係る複合粒子の製造方法は、アルコキシシラン、界面活性剤、水及びアルコールを含む反応液中でアルコキシシランを加水分解重縮合させて、アルコキシシランの加水分解重縮合物及び界面活性剤を含む前駆体粒子を生成させる工程と、前駆体粒子中の界面活性剤のうち少なくとも一部をイオン性モノマーに置換する工程と、イオン性モノマーからπ共役系高分子を生成させて、加水分解重縮合物の多孔体及び該多孔体の細孔内に担持されたπ共役系高分子を有する複合粒子を含む工程とを備える。
【0016】
アルコキシシラン及び界面活性剤を、水及びアルコールを含む混合溶媒中で混合すると、界面活性剤が多孔体のテンプレートとして機能し、細孔内に界面活性剤を取り込みながら、アルコキシシランの加水分解重縮合物の球状多孔体が生成する。アルコキシシランの加水分解重縮合物はケイ素酸化物を主成分として含む。すなわち、アルコキシシランの加水分解重縮合物(ケイ素酸化物)の多孔体及び該多孔体の細孔内に担持された界面活性剤から構成される球状の前駆体粒子が形成される。
【0017】
アルコキシシランは、ケイ素原子に結合したアルコキシ基を4個有するテトラアルコキシシラン、及びケイ素原子に結合したアルコキシ基を3個有するトリアルコキシシランのうち少なくとも一方を含む。これらアルコキシ基の種類は特に制限されないが、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基及びブトキシ基のようにアルコキシ基中の炭素原子の数が比較的少ないもの(炭素数1〜4程度のもの)が反応性の点から有利である。アルコキシ基はヒドロキシ基(−OH)で置換されていてもよい。トリアルコキシシラン中のケイ素原子には有機基、水酸基等が結合していてもよく、当該有機基はアミノ基及びメルカプト基等の置換基で置換されていてもよい。
【0018】
テトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン及びジメトキシジエトキシシランがある。トリアルコキシシランとしては、例えば、メトキシシラノール、トリエトキシシラノール、トリメトキシメチルシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン及びβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランがある。ヒドロキシアルコキシシランとしては、例えば、テトラキス(2−ヒドロキシエトキシ)シラン、テトラキス(3−ヒドロキシプロポキシ)シラン、テトラキス(2−ヒドロキシプロポキシ)シラン及びテトラキス(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)シランがある。これらアルコキシシランは、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。
【0019】
界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤が好ましく、アルキルアンモニウムハライドが特に好ましい。好ましいアルキルアンモニウムハライドは、テトラデシルトリメチルアンモニウムハライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムハライド、及びオクタデシルトリメチルアンモニウムハライドからなる群より選ばれる少なくとも1種である。アルキルアンモニウムハライドを構成するハロゲン原子の種類は特に制限されないが、入手の容易さの観点から塩素原子及び臭素原子が好ましい。界面活性剤は1種又は2種類以上を組み合わせて用いられる。ただし、その種類は生成する多孔体の孔の形状に大きな影響を与えるため、より均一な細孔を形成する球状多孔体を得るためには、界面活性剤として1種類のみを用いることが好ましい。
【0020】
前駆体粒子の生成に用いられる混合溶媒は、水及びアルコールを含む。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、エチレングリコール、グリセリン又はこれらの混合物が用いられる。
【0021】
上記混合溶媒に含まれるアルコールの量は、好ましくは20〜55容量%、より好ましくは35〜50容量%である。このような混合溶媒を使用することにより、実質的に単分散の球状の前駆体粒子を特に容易に生成させることができる。
【0022】
混合溶媒に含まれる界面活性剤の濃度は、アルコキシシラン、界面活性剤及びこの混合溶媒を含む反応液の全容量を基準として好ましくは0.003〜0.03mol/L、より好ましくは0.01〜0.02mol/Lである。アルコキシランの濃度は反応液の全容量を基準として好ましくは0.005〜0.03mol/L、より好ましくは、0.007〜0.012mol/Lである。これらの濃度範囲に設定することにより、より均一性の高い球状の前駆体粒子を得ることができる。
【0023】
アルコキシシラン、界面活性剤及び混合溶媒を含む反応液は、塩基性であることが好ましい。そのため、反応液は水酸化ナトリウム等の塩基性物質を更に含むことが好ましい。
【0024】
生成した前駆体粒子中の界面活性剤のうち少なくとも一部が、テンプレートイオン交換反応によってイオン性モノマーに置換される。例えば、イオン性モノマーの溶液に前駆体粒子を必要により加熱しながら接触させる方法によって、テンプレートイオン交換反応を進行させることができる。通常、テンプレートイオン交換反応後の前駆体粒子中に界面活性剤が残存する可能性が高い。
【0025】
イオン性モノマーとしては、重合を含む反応によりπ共役系高分子を生成するイオン性の化合物が用いられる。例えば、下記化学式(1)で表わされる、キシレン ビス(テトラヒドロチオフェニウム クロライド)及びその誘導体が好適である。下記式中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアルコキシ基を示す。式(1)において、例えば、R1及びR2が水素原子であってもよいし、R1がメトキシ基でR2がドデシロキシ基であってもよい。
【0026】
【化2】
【0027】
式(1)のイオン性モノマーから、下記化学式(2)で表されるポリ(1,4−フェニレンビニレン)(PPV)を生成させることができる。
【0028】
【化3】
【0029】
テンプレートイオン交換反応の後、細孔内に導入されたイオン性モノマーからπ共役系高分子を生成させることにより、シリカ系多孔体及び該シリカ系多孔体の細孔内に担持されたπ共役系高分子を有する複合粒子が形成される。加熱温度などの条件によっては、テンプレート交換反応が進行するのと同時に、導入されたイオン性モノマーからπ共役系高分子が生成する反応が進行することもある。複合粒子は界面活性剤を更に含む場合が多い。キシレン ビス(テトラヒドロチオフェニウム クロライド)は、細孔内での重合及びそれに続く脱離反応を経てPPVを生成する。キシレン ビス(テトラヒドロチオフェニウム クロライド)は、例えば、減圧雰囲気下で200〜225℃の加熱によりPPVを生成することができる。
【0030】
イオン性モノマーからPPV等のπ共役系高分子を生成させるための加熱時間を長くすることにより、より優れた発光特性を有する複合粒子を得ることができる。具体的には、加熱時間は好ましくは0.5時間以上、より好ましくは2時間以上である。加熱時間の上限は特に制限はないが、通常は50時間以下程度で十分である。
【0031】
以上の方法から得られた複合粒子から、通常の方法により、高い結晶性を有するコロイド結晶を容易に形成させることができる。具体的には、例えば、複合粒子を水、アルコール等の分散媒に分散させた分散液を膜状の空間に充填し、充填された分散液から分散媒を除去する方法、または、熱対流を利用するヴァーティカル デポジション(vertical deposition)法によってコロイド結晶を形成することができる。ヴァーティカル デポジション法は、分散液中の複合粒子を熱対流によって分散液界面に移動させることにより、分散液界面にコロイド結晶を形成させる。いずれの方法の場合も、複合粒子が分散媒への高い分散性を有することが好ましい。
【実施例】
【0032】
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0033】
前駆体粒子の合成1
水3326gとメタノール4610gの混合溶媒に、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド(界面活性剤)38.3g及び1規定水酸化ナトリウム34.2gを添加し、室温で攪拌を行った。そこにテトラメトキシシランとメタノールの混合溶液(26.4g/30.0g)を加えて、更に攪拌を続けたところ、テトラメトキシシランが完全に溶解し、白色粉末が析出した。反応液を室温で更に8時間攪拌し、一晩放置した。その後、濾過によって取り出した粉末を脱イオン水によって3回洗浄し、乾燥して、19.22gの前駆体粒子を得た。得られた前駆体粒子は、SEM観察から、平均粒子径850nmの単分散球状粒子であることが確認された(図1)。
【0034】
比較例1
上記前駆体粒子を540℃で6時間焼成して、界面活性剤を除去して、シリカ系多孔体(メソポーラスシリカ)粒子を得た。このシリカ系多孔体粒子の粉末を真空下100℃で乾燥し、さらに窒素雰囲気下で1Mのテトラブチルアンモニウム溶液によって処理した。その後、キシレン ビス(テトラヒドロチオフェニウム クロライド)の脱水エタノール溶液(10〜20%w/w)に粉末を24時間浸漬した。浸漬後、余分なモノマーとアルカリ成分を除去するために、エタノール及び水で粉末を洗浄した。洗浄後の粉末を室温で真空乾燥し、さらに10−2Torrの雰囲気下、200℃で6時間熱処理して、PPVを細孔内に担持した複合粒子を得た。図2は得られた複合粒子のSEM写真である。粒子表面が薄いPPVの膜で覆われている様子が確認された。
【0035】
比較例2
上記前駆体粒子を550℃で6時間焼成し、界面活性剤を除去して、シリカ系多孔体(メソポーラスシリカ)粒子を得た。このシリカ系多孔体粒子の粉末を、キシレン ビス(テトラヒドロチオフェニウム クロライド)の脱水エタノール溶液(10〜20%w/w)中に分散させた。得られた分散液から、エバポレータを用いてエタノールを留去して白色粉末を得た。この白色粉末を、10−2Torrの雰囲気下、200℃で6時間加熱した。加熱後、粉末は白色のままであり、そこに光を照射しても全く発光しなかった。すなわち、ゲスト分子の溶液をメソポーラスシリカ粒子に接触させた後、溶媒を留去する方法では、目的とする細孔中にポリマーが取り込まれた複合粒子を得ることができなかった。
【0036】
実施例1
乾燥後の上記前駆体粒子をキシレン ビス(テトラヒドロチオフェニウム クロライド)のメタノール溶液(10〜20%w/w)中に投入し、60℃のオイルバスで4時間加熱して、前駆体粒子を構成するシリカ系多孔体のメソ細孔中の界面活性剤とPPVモノマーとを交換するテンプレート交換反応を行った。反応後の粉末から余分なモノマーをメタノールを用いた洗浄によって除去した。洗浄後の粉末を室温で真空乾燥し、さらに10−2Torrの雰囲気下、200〜225℃で6時間熱処理して、PPVを細孔内に担持した球状の複合粒子を得た。得られた複合粒子は黄色を呈した。図3は得られた複合粒子のSEM写真である。比較例1(図2)とは異なり、粒子表面はPPVの膜によって覆われることなく、非常に滑らかであることが確認された。
【0037】
発光の量子収率
比較例1及び実施例1で得た複合粒子をエタノールに分散した分散液を用いて、これら粒子による発光の量子収率を測定したところ、比較例1は0.53、実施例1は0.98であった。これら量子収率は励起光から蛍光への変換効率であり、この値が大きいほど変換効率が高く、エネルギーの無駄が少ないことを意味する。多孔体に担持されていないPPVの発光量子収率は通常0.15〜0.25程度であるのに比較して、比較例1による方法でシリカ系多孔体粒子の細孔内にPPVを担持させることにより量子収率が向上した。これは細孔内にPPV鎖が存在することにより、エネルギー移動や酸素によるPPV鎖の分解が阻害されることに起因すると考えられる。実施例1では、量子収率が更に向上して極めて高い値に達した。
【0038】
コロイド結晶の作製とそのキャラクタリゼーション
図4はコロイド結晶の作製方法を示す模式図である。硫酸処理によって清浄化した2枚のガラス板11を厚さ10μmの2本のスペーサー15を挟んで貼り合わせてガラスセル10を準備し、そこに分散導入管としてのキャピラリ21(φ4mm)を取り付けた。実施例1で得た複合粒子の1質量%水分散液20をガラスのサンプル瓶22内に調製し、分散液に超音波処理を施した。その後、分散液20をマグネチックスターラーの攪拌子25で攪拌しながら、ガラスセル10内に分散液20を導入した。実施例1の複合粒子の分散液は高い安定性を有しており、キャピラリ21を通じてガラスセル10中に分散液を連続的に導入することができた。導入後、スペーサー部分から水を蒸発させることにより、コロイド結晶が形成された。得られたコロイド結晶はPPV由来の薄い黄色を呈しており、結晶の規則性の指標となる構造色も観察された。図5は得られたコロイド結晶のSEM写真である。SEM写真から、コロイド結晶が規則性の高い細密充填構造を有していることが確認された。
【0039】
一方、比較例1の複合粒子を用いて同様の方法でコロイド結晶の作製を試みたところ、長時間の超音波処理を行っても安定な分散液を得ることができず、攪拌を止めると複合粒子が即座に沈殿するような状態であった。また、攪拌下であってもキャピラリ中で複合粒子が水から分離したために、ガラスセル中に複合粒子を導入することができなかった。
【0040】
図6及び図7はそれぞれ、実施例1の複合粒子から得たコロイド結晶の発光スペクトル及び透過スペクトルである。図6の発光スペクトルに示されるように、コロイド結晶は500nmを中心とするPPV由来の強い発光を示した。図6中、440nmのピークは励起光によるものである。図7の透過スペクトルに示されるように、1700nm付近に非常にシャープなdipが観測された。このdipの位置は、複合粒子の粒子径から予想される、コロイド結晶のブラッグ反射による波長と一致する。このことから、コロイド結晶の規則性が高いことが示唆された。
【0041】
前駆体粒子の合成2
水4126gとメタノール3810gの混合溶媒に、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド(界面活性剤)38.2g及び1規定水酸化ナトリウム34.2gを添加し、室温で攪拌を行った。そこにテトラメトキシシランとメタノールの混合溶液(26.4g/30.0g)を加えて、更に攪拌を続けたところ、テトラメトキシシランが完全に溶解し、白色粉末が析出した。反応液を室温で更に8時間攪拌し、一晩放置した。その後、濾過によって取り出した粉末を脱イオン水によって3回洗浄し、乾燥して、18.29gの前駆体粒子を得た。得られた前駆体粒子は、SEM観察から、平均粒子径480nmの単分散球状粒子であることが確認された(図8)。
【0042】
実施例2
乾燥後の前駆体粒子を用いて、実施例1と同様の手順で、PPVを細孔内に担持した球状の複合粒子を得た。図9は得られた複合粒子のSEM写真である。実施例1と同様に、粒子表面を覆うPPVの膜は認められず、非常に滑らかな表面が確認された。
【0043】
発光の量子収率
実施例2で得た複合粒子による発光の量子収率を、複合粒子のエタノール分散液を用いて測定したところ0.92であり、実施例1と同様に非常に高い値であった。
【0044】
コロイド結晶の作製とそのキャラクタリゼーション
図4のガラスセルを用いた方法により、実施例2の複合粒子を用いて構造色を呈するコロイド結晶を得ることができた(図10)。さらに、実施例2の複合粒子を用いて、熱対流現象を利用する以下のvertical deposition法によってもコロイド結晶を形成させることができた(図11)。実施例1の複合粒子の場合、粒子自体の分散性は優れているものの、粒径が大きいために沈殿を生じ易く、無攪拌で行うvertical deposition法によるコロイド結晶の作製は困難であった。
(1)1質量%の濃度で粒子をエタノール中に分散させてエタノール分散液を調製し、これに超音波処理を施す。
(2)硫酸によって親水化処理したガラス板をエタノール分散液に浸漬し、無攪拌の状態で50℃に保持する。
(3)熱対流によって粒子を分散液界面(ガラス板表面)に移動させて、ガラス板表面にコロイド結晶を形成させる。
【0045】
コロイド結晶のSEMによる観察と、発光スペクトル及び透過スペクトルの測定を行った。図12及び図13はそれぞれ、ガラスセルの方法によって得たコロイド結晶の発光スペクトル及び透過スペクトルである。図12の発光スペクトルに示されるように、コロイド結晶は500nmを中心とするPPV由来の強い発光を示した。図12中、440nmのピークは励起光によるものである。図13の透過スペクトルに示されるように、960nm付近に非常にシャープなdipが観測された。このdipの位置は、複合粒子の粒子径から予想される、コロイド結晶のブラッグ反射による波長と一致する。このことから、コロイド結晶の規則性が高いことが示唆された。
【0046】
前駆体粒子の合成3
水873.2g、メタノール624g及びエタノール96gの混合溶媒に、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド(界面活性剤)7.04g及び1規定水酸化ナトリウム6.84gを添加し、室温で攪拌を行った。そこにシリカ源としてテトラメトキシシランと3−アミノプロピルトリメトキシシランの混合溶液(5.02g/0.31g)を加えて、更に攪拌を続けたところ、シリカ源が完全に溶解し、白色粉末が析出した。反応液を室温で更に8時間攪拌し、一晩放置した。その後、濾過によって取り出した粉末を脱イオン水によって3回洗浄し、乾燥して、3.11gの前駆体粒子を得た。得られた前駆体粒子は、SEM観察から、平均粒子径330nmの単分散球状粒子であることが確認された(図8)。
【0047】
実施例3
乾燥後の前駆体粒子を用いて、実施例1と同様の手順で、PPVを細孔内に担持した球状の複合粒子を得た。
【0048】
発光の量子収率
実施例2で得た複合粒子による発光の量子収率を、複合粒子のエタノール分散液を用いて測定したところ0.90であり、実施例1と同様に非常に高い値であった。
【0049】
コロイド結晶の作製とそのキャラクタリゼーション
実施例3の複合粒子を用いて、実施例2と同様のvertical deposition法によって非常に規則性の高い構造を有するコロイド結晶を得ることができた。図14及び図15はそれぞれ、得られたコロイド結晶の発光スペクトル及び透過スペクトルである。図14の発光スペクトルに示されるように、コロイド結晶は500nmを中心とするPPV由来の強い発光を示した。図14中、400nmのピークは励起光によるものである。図15の透過スペクトルに示されるように、610nm付近に非常にシャープなdipが観測された。このdipの位置は、複合粒子の粒子径から予想される、コロイド結晶のブラッグ反射による波長と一致する。このことから、コロイド結晶の規則性が高いことが示唆された。
【0050】
実施例4
「前駆体粒子の合成1」で合成した前駆体粒子をキシレン ビス(テトラヒドロチオフェニウム クロライド)のエタノール溶液(10〜20%w/w)中に投入し、80℃のオイルバスで6時間加熱した。加熱により前駆体粒子を構成するシリカ系多孔体のメソ細孔中の界面活性剤とPPVモノマーとを交換するテンプレート交換反応が進行し、それと同時にPPVモノマーの重合が進行して、黄色を呈する球状の複合粒子を得た。余剰のモノマーを洗浄により除去して、PPVを細孔内に担持した球状の複合粒子を得た。図16は得られた複合粒子の発光スペクトルである。
【0051】
実施例5
「前駆体粒子の合成2」で合成した前駆体粒子をキシレン ビス(テトラヒドロチオフェニウム クロライド)のエチレングリコール溶液(10〜20%w/w)中に投入し、100℃のオイルバスで6時間加熱した。加熱により前駆体粒子を構成するシリカ系多孔体のメソ細孔中の界面活性剤とPPVモノマーとを交換するテンプレート交換反応が進行し、それと同時にPPVモノマーの重合が進行して、黄色を呈する球状の複合粒子を得た。余剰のモノマーを洗浄により除去して、PPVを細孔内に担持した球状の複合粒子を得た。図17は得られた複合粒子の発光スペクトルである。
【符号の説明】
【0052】
10…ガラスセル、11…ガラス板、15…スペーサー、20…分散液、21…キャピラリ、22…サンプル瓶、25…攪拌子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコキシシラン、界面活性剤、水及びアルコールを含む反応液中で、前記アルコキシシランの加水分解重縮合物及び前記界面活性剤を含む前駆体粒子を生成させる工程と、
前記前駆体粒子中の前記界面活性剤のうち少なくとも一部をイオン性モノマーに置換する工程と、
前記イオン性モノマーからπ共役系高分子を生成させて、前記加水分解重縮合物の多孔体及び該多孔体の細孔内に担持された前記π共役系高分子を含む複合粒子を得る工程と、
を備える複合粒子の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法によって得ることのできる複合粒子。
【請求項3】
アルコキシシラン、界面活性剤、水及びアルコールを含む反応液中で、前記アルコキシシランの加水分解重縮合物及び前記界面活性剤を含む前駆体粒子を生成させる工程と、
前記前駆体粒子中の前記界面活性剤のうち少なくとも一部をイオン性モノマーに置換する工程と、
前記イオン性モノマーからπ共役系高分子を生成させて、前記加水分解重縮合物の多孔体及び該多孔体の細孔内に担持された前記π共役系高分子を含む複合粒子を得る工程と、
前記複合粒子を含む分散液から前記複合粒子のコロイド結晶を形成させる工程と、
を備えるコロイド結晶の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の製造方法によって得ることのできるコロイド結晶。
【請求項1】
アルコキシシラン、界面活性剤、水及びアルコールを含む反応液中で、前記アルコキシシランの加水分解重縮合物及び前記界面活性剤を含む前駆体粒子を生成させる工程と、
前記前駆体粒子中の前記界面活性剤のうち少なくとも一部をイオン性モノマーに置換する工程と、
前記イオン性モノマーからπ共役系高分子を生成させて、前記加水分解重縮合物の多孔体及び該多孔体の細孔内に担持された前記π共役系高分子を含む複合粒子を得る工程と、
を備える複合粒子の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法によって得ることのできる複合粒子。
【請求項3】
アルコキシシラン、界面活性剤、水及びアルコールを含む反応液中で、前記アルコキシシランの加水分解重縮合物及び前記界面活性剤を含む前駆体粒子を生成させる工程と、
前記前駆体粒子中の前記界面活性剤のうち少なくとも一部をイオン性モノマーに置換する工程と、
前記イオン性モノマーからπ共役系高分子を生成させて、前記加水分解重縮合物の多孔体及び該多孔体の細孔内に担持された前記π共役系高分子を含む複合粒子を得る工程と、
前記複合粒子を含む分散液から前記複合粒子のコロイド結晶を形成させる工程と、
を備えるコロイド結晶の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の製造方法によって得ることのできるコロイド結晶。
【図4】
【図6】
【図7】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図6】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
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【図5】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−46878(P2011−46878A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198659(P2009−198659)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】
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