説明

複数のポリヌクレオチドを用いた製品のラベル方法、ラベリングの同定方法、及び、ラベルされた製品

本発明は、製品をラベルする方法、ラベリングを同定する方法、及び、本発明の方法によってラベルされた製品に関する。本発明に使用されるラベリングは、一本鎖核酸に基づいている。本発明のラベリング方法は、複数の一本鎖ポリヌクレオチドを前記製品の上又は前記製品の中に添加するステップを含み、前記複数のポリヌクレオチドは:所定の長さ及び配列の一本鎖ポリヌクレオチドを含む少なくとも1つの標的ポリヌクレオチド、並びに、同一又は異なる所定の長さ、及び、同一又は異なる所定の配列を有したデコイポリヌクレオチドを含み、前記デコイポリヌクレオチドは、前記少なくとも1つの標的ポリヌクレオチドと同一又は異なる1又は複数の長さ、及び、前記少なくとも1つの標的ポリヌクレオチドの配列とは異なる配列を有し、前記1又は複数の標的ポリヌクレオチド及びデコイポリヌクレオチドのそれぞれは、前記複数のポリヌクレオチドのうちその他のポリヌクレオチドのいずれともハイブリッドを形成しない。本発明の方法によって、例えば、香水、化粧品、衛生品、食品、調味料、1又は複数の植物の抽出物、タバコ、飲料、布地、皮、薬品、粉末剤、ニス、インク、炭化水素、紙、ペンキ、並びに、化学製品及び化合物をラベルすることが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品をラベルする方法、ラベリングを同定する方法、及び、本発明の方法を介してラベルされた製品に関する。本発明に使用されるラベリングは、一本鎖の核酸に基づいている。
【0002】
本発明は、模倣品から真正品を区別することを可能にしている。本発明は、追跡及び同定できるように真正品をラベルすることを特に可能にしている。
【0003】
物、特に、高い付加価値がつけられた製品又は高級品の模倣若しくは違法な複製は、会社にとって深刻な財政的影響を生じるが、雇用及び食の安全という点から見ても、並びに、社会生活という点でさえも深刻な財政的影響を生じる。そのため、製造業者は、模倣品を突き止めて撲滅するために、彼等の製品に対する新たなラベリング及び認証技術を開発することによってこの悩みの種に挑むよう励んでいる。
【0004】
角括弧内の参照番号([X])は、実施例の終わりにある参考文献のリストを参照している。
【背景技術】
【0005】
真正品を検出及び同定するために通常使用される方法の一つは、単独で同定することができる化学物質又は化合物を前記製品に結合させることによる前記製品の「バルク」ラベリングである。
【0006】
この種のラベリングは、特定の性質を有していなければならない。ラベリングは製品の最終使用者に対して明白な方法で実行されなければならず、この製品の物理化学的性質を変えるべきではなく、製品の最終使用者に対して有害であるべきではない。また、実行する限り、製品と同時にそれ自体が偽造されないように、ラベリングは、検出不可能及び/又は偽造するのが不可能であるべきである。
【0007】
今日、特に、香水、美容クリーム等の、マーカーに対して厳しいと知られた非常に多数の化学物質に対して、又は、皮及び布等の物質に対して時間的に安定した信頼できる技術はない。また、模造者に対して本当の解読の難しさを示すラベリング技術も今日にはない。
【0008】
従って、従来技術におけるこれらの欠陥、欠点、及び障害を克服するためのラベリング及びラベル方法が本当に必要とされ、模倣品、特に高級品と効率的に戦うことが可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、特に、この必要性を満たして従来技術の問題を解決するラベリング液を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、特に、製品をラベルする方法に関し、当該方法は、前記製品の上か又は前記製品の中に複数の一本鎖ポリヌクレオチドを添加するステップを含み、前記複数のポリヌクレオチドは、
−所定の長さ及び配列の一本鎖ポリヌクレオチドを含んだ少なくとも1つの標的ポリヌクレオチド、並びに
−同一又は異なる所定の長さ、及び、同一又は異なる所定の配列を有したデコイポリヌクレオチドを含み、前記デコイポリヌクレオチドは、前記少なくとも1つの標的ポリヌクレオチドと同一又は異なる1又は複数の長さ、及び、前記少なくとも1つの標的ポリヌクレオチドの配列とは異なる配列を有し、
1又は複数の前記標的ポリヌクレオチド及びデコイポリヌクレオチドのそれぞれは、前記複数のポリヌクレオチドのうちその他のポリヌクレオチドのいずれともハイブリッドを形成しない。
【0011】
本発明の方法における特定の実施形態において、前記複数のポリヌクレオチドは、前記少なくとも1つの標的ポリヌクレオチドの性質及び配列を同定するために所定の長さ及び配列の一本鎖ポリヌクレオチドから構成された少なくとも1つの認識ポリヌクレオチドをさらに含み、各認識ポリヌクレオチドは、前記複数のポリヌクレオチドのうちその他のポリヌクレオチドのいずれともハイブリッドを形成しない。
【0012】
以下の詳述は、上記の方法等の本発明の方法に対して、及び、本発明の方法における特定の実施形態に対して考慮されるべきである。
【0013】
本発明のラベリングは、従って、本明細書に規定されたもの等、前記複数のポリヌクレオチドから構成される。これらのポリヌクレオチドは、一本鎖ポリヌクレオチドである。本明細書において、この複数のポリヌクレオチドは、「マーカー」とも呼ばれる。
【0014】
本発明は、本発明の方法によって得られるラベルされた製品、及び、この製品のラベリングを検出する方法にも関する。
【0015】
本発明は、特に、本発明の方法を実行するために使用されるマーカーの決定、これらのマーカーの製造、製品のラベリング、並びに、ラベルされた製品におけるマーカーを検出するための技術に関する。本発明は、真正品から模倣品を区別することを可能にし、流通経路及び認可されていない並行経路(parallel channel)の着服を発見することさえも可能にする。
【0016】
前記複数のポリヌクレオチドのうちのポリヌクレオチドは、いくつかの種類のものでありえ、リボヌクレオチドのポリマー、一本鎖リボ核酸(RNA)、デオキシリボヌクレオチド、一本鎖デオキシリボ核酸(DNA)、又は、これらの組合せであり得る。
【0017】
本発明において、「複数のポリヌクレオチド」は、標的ポリヌクレオチド及びデコイポリヌクレオチド、必要の際は認識ポリヌクレオチドのセットを意味している。好ましくは、本発明によると、いくつかの標的ポリヌクレオチド、いくつかのデコイポリヌクレオチド、及び、必要の際はいくつかの認識ポリヌクレオチドが使用される。例えば、この例に限定されることなく、1から100個、例えば1から50個、例えば5個から50個の標的ポリヌクレオチドを使用することができる。また、例えば、この例に限定されることなく、2から100個、例えば2から50個のデコイポリヌクレオチドを使用することができる。例えば、必要の際は、この例に限定されることなく、1から100個、例えば1から50個の認識ポリヌクレオチドを使用することができる。ポリヌクレオチドの数の選択は、本発明による必要とされたラベリングの複雑さ次第である。
【0018】
本発明において「標的ポリヌクレオチド」は、配列が決定され、且つ、本物であることを証明するために本発明による製品をラベルし、次に、この製品において特に発見されるよう意図した参照配列を構成するよう構築されたポリヌクレオチドを意味している。好ましくは、本発明によると、マーカーは、いくつかの同一又は異なる標的ポリヌクレオチド、好ましくは異なる標的ポリヌクレオチドを含む。標的ポリヌクレオチドは、1又は複数の標的ポリヌクレオチドとラベルされた製品とのリンクを確立する極秘の標的/製品データベースにおいて参照される。
【0019】
「極秘のデータベース」とは、(本明細書において、「本発明を実行する者」と呼ばれる)所与の製品に対する本発明によるラベリング製造業者のみ、及び/又は、前記製品の製造業者/創造者のみが利用することができるデータベースを意味しており、各製品又は製品ファミリーに対して、本発明に従って決定された特定のサインが割り当てられる対応ベースである。
【0020】
1又は複数の標的及びデコイポリヌクレオチドのみが製品のサインに対して使用される場合、このデータ又は対応ベースは、「標的/製品極秘ベース」又は「標的/製品ベース」と呼ぶことができる。このように、本発明に従って製品を認証することを望む場合、第一に、標的/製品ベースにおいて、前記製品に割り当てられた1又は複数の標的配列に対して調査を行い、次に、1又は複数の標的配列が前記製品において実際に存在するかどうか見るために、例えば、以下に記述される方法のうちの1つを使用することによって調査を行わなければならない。1又は複数の標的配列が実際に存在する場合、その製品は真正であると断言される。しかし、1又は複数の標的配列が実際に存在しない場合、その製品は、模倣であると断言される。当然ながら、これは、真正品全てが本発明に従ってラベルされる場合のみ機能する。対応ベースは、本発明のサインの製造業者によって、及び/又は、本発明によるサインのリストに基づき製造業者/創造者によって、例えば、各サインを決定される製品に対応させることにより構成することができる。この場合、認証は直接的である。
【0021】
本願において、「デコイポリヌクレオチド」は、配列が選択され、且つ、1又は複数の標的配列とは異なるよう構成されたポリヌクレオチドを意味している。デコイ配列は、本発明によるラベリングをごた混ぜにするが、製品を認証するために製品において調査されないよう意図される。デコイ配列は、本発明のサインを模造するよう試みる模倣の作業を複雑にするために存在する。実際、本発明を実行する者のみが、前記1又は複数の標的配列を知っている。模造することを顧慮した標的及びデコイ配列の混合物の中から前記1又は複数の標的配列を模造することを顧慮したこの場合に、1又は複数の特定の配列間での区別は、本発明に従って、デコイ配列が存在し、標的及びデコイ配列が短配列で一本鎖であり、互いにハイブリッドを形成しないということが不可能ではない場合にさらに困難にされる。デコイ配列が多い程、サインを完全に模造するのは困難であり、統計的に、1又は複数の標的ポリヌクレオチドの配列を無作為に決定するチャンスはより少ない。これらのデコイポリヌクレオチドの配列も、本発明を実施する者によって知られているが、これらのポリヌクレオチドは、製品に割り当てられることになるデータベースには含まれない。
【0022】
本願において、「認識ポリヌクレオチド」は、1又は複数の標的ポリヌクレオチドの同定を可能にする所定の配列及び長さのポリヌクレオチドを意味している。後者は、迅速な探索及び同定を促進する性質を有するか又はそのような濃度で存在して、第一の認証検査として役立つことができ、その欠如が模倣の第1のサインである。認識ポリヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチドの数、性質、配列、及び長さに関する情報を与えるよう意図された、1又は複数の標的ポリヌクレオチドを同定するための極秘のデータベース、又は「標的認識ベース」に使用されるコードを構築するように配列が選ばれ構築された1又は複数のポリヌクレオチドである。いくつかの認識ポリヌクレオチドがある場合、「認識ポリヌクレオチドのセット」と言うことが可能である。この場合、標的認識ベースにおいて、各認識ポリヌクレオチド又は認識ポリヌクレオチドのセットに対して、本発明に従い決定された標的ポリヌクレオチド又は標的ポリヌクレオチドのセットが割り当てられる。認識ポリヌクレオチドの配列は、本発明を実施する者によってのみ知られている。本発明のサインにおける1又は複数の認識ポリヌクレオチドの存在は任意であり、本発明の方法における特定の実施形態に対応する。1又は複数の認識ポリヌクレオチドが製品の本発明によるサインにおいて使用される場合、標的を同定するための極秘ベースは、本発明を実施する者によって作成される。このベースは、1又は複数の認識ポリヌクレオチドに基づき認証されることになる製品に存在する1又は複数の標的ポリヌクレオチドを同定することを可能にする。この場合、製品の認証は間接的である。実際、本発明によるサインを有するべきである製品を認証することを望む場合、以下に記述される本発明の方法のうちの1つに従って、1又は複数の認識ポリヌクレオチドを同定し、前記製品に割り当てられた1又は複数の標的配列を標的同定データベースにおいて探索し、次に、例えば、以下に記述される方法のうちの1つを使用することによって、1又は複数の標的配列が前記製品において実際に存在するかどうか探索する。1又は複数の標的配列が実際に存在する場合、製品は真正であると断言される。しかし、1又は複数の標的配列が存在していない場合、製品は模倣であると断言される。本発明のこの実施形態において、製品を認証する前にポリヌクレオチドを同定する2つのステップがあり、従って、あり得る模造者のタスクをより複雑にすることに留意されたい。当然ながら、これは、本発明に従って真正品がラベルされた場合のみ機能する。本発明によると、認識ポリヌクレオチドの配列は、どれが標的ポリヌクレオチドでどれがデコイポリヌクレオチドであるかを標的認識ベースに基づき本発明のユーザーが見つけることを可能にするコードを保有するサブシーケンスを含有することができる。従って、製品の認証工程の間、これらの認識ポリヌクレオチドは、認証されることになる製品から抽出されるか、又は、製品内若しくは製品上で直接同定される。例えば、この例に限定されることなく、認識ポリヌクレオチドの配列を読むことによって、又は、複数の推測上のコード化ポリヌクレオチドに存在する認識ポリヌクレオチドのアレイを同定することによって標的ポリヌクレオチドの同定を達成することができる等、認識ポリヌクレオチドの性質が検出されると、本発明のユーザーは、対応テーブル(標的ポリヌクレオチド認識ベース)を参照し、認証されることになる製品において理論上存在する標的ポリヌクレオチドの性質をそこから読み取る。このテーブルは、例えば、この例に限定されることなく、製品のラベリング中に作成され、ペア(「読まれた認識ポリヌクレオチドのコード」−「探し求められる標的ポリヌクレオチド」)で発生する、安全にされコンピュータで管理されたデータベースに保管することができる(機密性を保証することを可能にする)。このように、このテーブルに戻り参照した後、本発明のユーザーは、認証するために製品において存在しているはずである標的マーカーの正確な性質を推定することができる。標的ポリヌクレオチドは、このように抽出され、次に同定される。検出された標的ポリヌクレオチドが、テーブルにおいて読まれた理論上のコードに正確に一致する場合、その製品は認証される。他の標的ポリヌクレオチドが存在する場合、本発明のユーザーは、ラベルされた製品の混合を疑うことができる。検出された標的ポリヌクレオチドが予測されたものとは完全に異なる場合、模倣品の可能性がある。本発明によるサインにおいて使用された認識ポリヌクレオチドがない場合、標的/製品のデータベースのみが有用である。
【0023】
本発明において、複数のポリヌクレオチドのうちあるポリヌクレオチドは、例えば、以下に紹介されるアルゴリズム等を実施するソフトウェアを用いて、例えば当業者には知られた方法によって設計することができ、ラベリングを構成する複数のポリヌクレオチドの間で選択された所与のポリヌクレオチドに対して、この所与のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドのシーケンスによって、この複数のポリヌクレオチドのうち他のポリヌクレオチドが構成されないように、又は、これらのポリヌクレオチドのいかなる逆転された相補ポリヌクレオチドも構成されないようにされる。従って、製品の温度及び分子条件環境、並びに、温度及びポリヌクレオチド分子開発環境では、本発明のサインのポリヌクレオチド間で、例えば、核酸の二本鎖、例えば、DNAの二重らせん等の二本鎖の複合体も、又は、いかなるハイブリッドも形成することはできない。
【0024】
「二本鎖複合体の形成」は、前記の条件におけるものを含めた熱力学的に安定した相補ヌクレオチドの対形成を意味している。
【0025】
所与のポリヌクレオチドの「逆転された相補ポリヌクレオチド」は、既存又は理論上の新たなポリヌクレオチドを意味しており、前記所与のポリヌクレオチドの各ヌクレオチドは、デオキシリボ核酸のポリヌクレオチドの場合に例えばチミンに取って代わるアデニン、アデニンに取って代わるチミン、グアニンに取って代わるシトシン、又は、シトシンに取って代わるグアニン等、最初のポリヌクレオチドと対を形成することができる相補ヌクレオチドと交換される。
【0026】
「ハイブリダイゼーション」は、2つの相補的な一本鎖ポリヌクレオチドの非共有結合による対合を意味している。このハイブリダイゼーションは、完全であり得る、すなわち、配列は完全に相補的であり得るか、又は、不完全であり得る、すなわち、配列は完全には相補的ではないが、互いにハイブリッドを形成して二本鎖構造を形作るのに十分相補的であり得る。
【0027】
本発明において、「ノンハイブリダイゼーション」は、2つの一本鎖ポリヌクレオチドが相補的ではない、及び/又は、その相補性が二本鎖の形成に対して十分ではないために、そのポリヌクレオチドが非共有結合しないことによる非対合を意味している。
【0028】
関心のある製品又は物質に取り込まれることになる本発明のマーカーにおける複数のポリヌクレオチドが、直接又は間接的に製品を認証するためのデータベースに全て割り当てられるわけではないということを認める価値はある。従って、製品の認証中に捜し求められる標的ポリヌクレオチドを制限された数のみ使用し、それらを多数のデコイと同時に、必要に応じて、配列が標的ポリヌクレオチドの配列に一致しない多数の認識ポリヌクレオチドと同時に、製品に組み込むことが可能である。このように、1又は複数の標的ポリヌクレオチドは、多数のデコイポリヌクレオチドに「浸す」ことができ、サインを複製する目的で標的ポリヌクレオチドをデコードするという悪意のある試みの場合に、問題を非常に複雑化することができる。さらに、認識ポリヌクレオチドが使用される本発明における特定の実施形態によると、認識ポリヌクレオチドが保有するコードの読み取り及び解読のみが、標的ポリヌクレオチドとデコイポリヌクレオチドとの組合せの中で、どのポリヌクレオチドが実際にその標的ポリヌクレオチドに対応するかを告発することができ、排除によって、どのポリヌクレオチドが模造者を欺くよう意図された単なるデコイであるかを告発することができる。
【0029】
本発明のラベリング方法は、デオキシリボ核酸及び/又はリボ核酸であるマーカーによって達成することができる。前記複数のポリヌクレオチドのうちのあるポリヌクレオチドは、従って、一本鎖デオキシリボ核酸配列、一本鎖リボ核酸配列、又は、デオキシリボ核酸配列とリボ核酸配列との組合せであり得る。本発明によるマーカーは、従って、例えばDNAに存在する塩基:アデニン、グアニン、チミン、シトシン、又は、RNAに存在する塩基:アデニン、グアニン、ウラシル、シトシン等、「天然の塩基」と呼ばれ通用している塩基からなり得る(例えば、Molecular Cloning,Maniatis,Cold Spring−Harbor,2nd edition,pp C3−C14[1]を参照されたい)。本発明によるマーカーは、それほど頻繁ではない天然化合物、又は、前記の塩基に対して行われた例えば脱アミノ化等の修飾から生じる例えばジヒドロウリジン(DHU)、イノシン、又はプソイドウラシル等の「修飾塩基」と呼ばれる合成化合物も含むことができる。窒素塩基は、異なる原子質量の天然同位体及び/若しくは安定同位体から構成することができる、並びに/又は、ハイブリダイゼーション工程中に通常とは異なる水素結合を多く確立するために修飾することができる。
【0030】
本発明における特定の実施形態によると、デオキシリボ核酸の配列は、その配列中に同じ割合の4つの天然又は修飾塩基、A、C、G、及びTを含むことができる。本発明における別の特定の実施形態によると、リボ核酸の配列は、その配列中に同じ割合の4つの天然又は修飾塩基、A、C、G、及びUを含むことができる。前記2つの実施形態を含めるか又は含めない本発明におけるさらに別の実施形態によると、ラベリングを構成するポリヌクレオチドのセットは、同じ数のヌクレオチド及び同じ分子量を有する。この本発明における特定の実施形態は、不可能でない場合、見込みのある模造者がポリマーを分離して同定するのをさらに困難にすることを有利に可能にする。例えばアガロースゲル若しくはポリアクリルアミド上での電気泳動、及び/又は、質量分析等の技術のおかげである、例えば、分子サイズ及び/又は分子量に従った分離及び同定は、後半の実施形態、特に最後の実施形態に従ってサイン上で実行するのが不可能である。
【0031】
例えば、本発明のラベリングにおいて、それぞれが4つの可能な塩基の間で選択される20ヌクレオチドの一本鎖ポリヌクレオチド(又はオリゴマー)は、420個の異なる配列、すなわち、約1.1×1012通りの組合せ、すなわち、1兆通りの組合せを実行することを可能にする。例えば本発明によるラベリングにおいてサイズ20の複数のポリヌクレオチド等、本発明による標的マーカーを無作為に抽出する可能性、及び、このマーカーが、標的/製品データベースにおける製品に割り当てられたものである可能性は、従って、ほとんどゼロである。さらに、本発明のラベリングは、所定の長さ及び配列を有するいくつかの標的分子、いくつかのデコイ、及び、必要であれば、いくつかの認識ポリヌクレオチドからなり、同時に、ラベリングの非常に高いセキュリティ及び際だった不可侵性を確実にする。
【0032】
使用されるポリヌクレオチドは、従って、その性質によって、例えば、本発明を実施する者によりその性質が規定されることになる4個の窒素塩基の向きづけられた組合せを含むことができる。本発明のマーカーの各ポリヌクレオチドにおける特異性の始まりにあり、ラベルされた製品に対する情報を保有することができるこの組合せは、必要性(マーカーが保有するコード複雑性、情報タイプ)だけでなく、これらのマーカーが示す物理化学的性質(ハイブリダイゼーション工程、分子量、断片のサイズ、窒素塩基における組成物)に応じて、コンピュータ化された様式において算出することができる。
【0033】
ラベルされることになる製品、及び、考慮されたラベリングの検出技術に従って、1又は複数の標的ポリヌクレオチドを使用することができる。本発明は、従って、かなりの数のサイン又はラベリングの変異形/選択肢を可能にする。無制限的な例によって、第1のセットの標的ヌクレオチドに対して以下の異なる形態に言及することができる:
−大きなサイズ、すなわち、例えば500から5000ヌクレオチド又は塩基を含めた、1又は複数の一本鎖標的ポリヌクレオチド;
−小さいサイズ、すなわち、例えば5から200ヌクレオチド又は塩基、例えば、5から50ヌクレオチド又は塩基を含めた、1又は複数の一本鎖標的ポリヌクレオチド;
−平均的なサイズ、すなわち、例えば201から499ヌクレオチド又は塩基を含めた、1又は複数の一本鎖標的ポリヌクレオチド;
−一定の末端配列及び可変の末端配列を有した、1又は複数の一本鎖標的ポリヌクレオチド;
−より大きなサイズのポリヌクレオチド内に挿入され(又は決定された)、従って、ポリヌクレオチドの大きな一部分を形成する1又は複数の一本鎖標的ポリヌクレオチド;
−1又は複数の一本鎖環状ポリヌクレオチド;又は、
−これらの異なる形態の組合せ。
【0034】
本発明によると、1つが環状ポリヌクレオチドであり、もう1つが直鎖状ポリヌクレオチドである少なくとも2つの標的ポリヌクレオチドを使用することができる。複数の標的環状若しくは直鎖状ポリヌクレオチド、又は、これらの混合物を、本発明を実施する者による選択されたラベリングの複雑性に従って使用することができる。
【0035】
本発明の特定の実施形態によると、一本鎖ポリヌクレオチドの一部又はセットが直鎖状である場合、前記一本鎖ポリヌクレオチドの一部又はセットは、1つのポリヌクレオチドから別のものまで可変の末端を含むことができ、及び、1つのポリヌクレオチドから別のものまで一定の末端を含むことができる。「一定の末端」は、2つの末端のうちの1つを含めたポリヌクレオチド配列の一部であり、所定及び一定の配列を示した、すなわち、本発明のマーカーの標的配列の一部に対して又は標的配列全てに対して同一であるポリヌクレオチド配列の一部を意味している。「可変の末端」は、前記配列の2つの末端のうちもう一方の末端を含み、本発明のマーカー中の1つの標的配列から別の標的配列まで可変である所定の配列を示したポリヌクレオチド配列の一部を意味している。これは、標的ポリヌクレオチドに対して特定の利点を示している。実際、真正品を同定するという目的に対してラベリングを検出又は解読するために、以下で説明されるように、解読のための頑丈な支持体を使用することができ、DNAマイクロアレイに対するものとして、支持体の上には、標的ポリヌクレオチドの可変の末端に相補的なポリヌクレオチドが固定される。例えばビオチン/ストレプトアビジンによって、一定の末端自体を、頑丈な支持体上の標的ポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションを強調するために使用することができる。この検出モードは、以下で説明される。
【0036】
標的ポリヌクレオチドの数及び性質は、そのサイズと組み合わせて、ラベリングの複雑性を規定することを可能にし、組合せの様式においては、可能な組合せの数を規定することを可能にする。可能な組合せの数は、これらのポリヌクレオチドのサイズと共に指数関数的な様式で増加する。全て同じサイズのポリヌクレオチドの中から1又は複数のポリヌクレオチドからなるサインを選択することによって、多数の組合せが考えられる。可能性のある全てのサインの中からアトランダムでサインを複製する確率は、ほぼゼロである。
【0037】
本発明によると、ラベリング情報は:
−標的/製品のデータベースにおいてそれぞれ製品に割り当てられた標的ポリヌクレオチドの配列、及び/又は
−標的/製品のデータベースにおいて製品に割り当てられた、標的ポリヌクレオチドの配列の1又は複数の組合せ
にあり得る。
【0038】
このように、所定の配列を有したいくつかの標的ポリヌクレオチドを使用することが可能である。例えば、全て異なる所定の配列を有した20個のポリヌクレオチド配列の一群又は「プール」を選択すること、及び、所与の製品のセットをラベルするように、例えば、各製品に対してこれら20個の配列の中から10個の配列の組合せを選択することも可能である。
【0039】
これらの標的配列には、デコイポリヌクレオチド配列が添加され、本発明によるマーカーを構成する。本発明によると、デコイポリヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチドとはハイブリッドを形成せず、その役割は、コピーするための本発明のラベリングの解読を模造者にとってより困難にすることである。これらのデコイポリヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチドに対して前述したように、直鎖状若しくは環状、又は、環状ポリヌクレオチドと直鎖状ポリヌクレオチドとの混合物下であり得る。マーカーに添加されるデコイポリヌクレオチドの数は、必要とされる混乱次第である。好ましくは、この数は、標的ポリヌクレオチドの数よりも多い。例はすでに挙げられている。デコイポリヌクレオチドは、互いに同じ又は異なる長さのものであり、好ましくは、本発明のマーカーに存在する1又は複数の標的配列と同じ長さのものであり、例えば、標的ポリヌクレオチドに対して前述したように、15から5000個の塩基、例えば15から200個、例えば20から200個、例えば201から499個、例えば500から5000個の塩基、又は、これらの長さの混合である。
【0040】
これらの標的及びデコイ配列に、認識ポリヌクレオチドを添加することができ、データベースによって、前述のようにデコイポリヌクレオチドから標的ポリヌクレオチドを区別することが可能になる。認識ポリヌクレオチドの数は、特に、必要とされるラベリングの複雑性次第である。認識ポリヌクレオチドは、環状又は直鎖状でありえ、互いに同じか又は異なる長さのもの、並びに、標的及びデコイポリヌクレオチドのものと同じ長さか又は異なる長さのものであり得る。標的ポリヌクレオチドに対して前述したように、5から5000個の塩基、例えば15から200個、例えば20から200個、例えば201から499個、例えば500から5000個の塩基、又は、これらの長さの混合である。
【0041】
このように、本発明のラベリングにおいて、前記複数のポリヌクレオチドのうちのあるポリヌクレオチドは、例えば、遊離な3’OH末端及び遊離なリン酸5’末端を有した、環状、直鎖状、又は、環状及び直鎖状のポリヌクレオチドの混合であり得る。好ましくは、本発明のラベリングのポリヌクレオチドの長さは、5から5000ヌクレオチド、例えば5から100ヌクレオチド、例えば5から50ヌクレオチド、例えば20から50ヌクレオチドである。
【0042】
本発明によると、前記複数のポリヌクレオチドのうちのあるポリヌクレオチドは、一本鎖ポリヌクレオチドである。実際、本発明の特徴の1つは、一本鎖の使用によって、本発明のラベリングの解読をより困難にすることが可能になるということである。
【0043】
本発明のラベリング方法は、従って、非常に重要な数のマーカーを製造することを可能にする。各マーカーは、1又は複数の標的ポリヌクレオチド、及び、必要に応じて認識ポリヌクレオチドから構成されるコードを含む。
【0044】
本発明のマーカーにおけるポリヌクレオチドの配列は、経験的に、又は、好ましくは特に速さの事項に対して、この目的のために作ることができる適切なソフトウェアによって作成することができる。後者の場合、コンピュータデザイン、又は、本発明のマーカーの“Design In Silico”である。
【0045】
本発明のマーカーにおける標的及びデコイポリヌクレオチド、並びに、必要に応じて認識ポリヌクレオチドの配列を決定するために、以下のアルゴリズムを使用することができる:
−(0)ラベリングにより生じるポリヌクレオチドのセットを含有するセットEの作成
−(1)第1のポリヌクレオチドpの無作為の作成であって、そのサイズ並びに数をユーザーによって規定することができ、pはすでにEには属していない
−(2)Smith and Waterman[2]のアルゴリズムに従った、一方は2つのポリヌクレオチドpの連鎖から生じるポリヌクレオチドと、もう一方はEのポリヌクレオチドのセットから選択された2つのポリヌクレオチド並びにその逆転された相補鎖の連鎖から生じる各ポリヌクレオチドとの間でのハイブリダイゼーションスコアの算出。
−(3)スコアのセットがユーザーによって与えられた閾値を超えない場合、Eにpを追加する。Eが必要とされたサイズのものでない限り、ステップ(1)に戻る。この閾値は、最小の整列スコアであり、その上で2つの配列は、互いにハイブリッドを形成するのに十分同じであると考慮される。
【0046】
標的及びデコイポリヌクレオチドの配列が決定されると、これらの標的及びデコイポリヌクレオチドは、いかなる現存の当業者に知られた方法によっても製造することができる。1又は複数のプロトコルは、製造されるポリヌクレオチドの性質に従って、及び、選択されたラベリングに従って使用することができる:環状及び/若しくは直鎖状の、例えば5個の塩基から5000個の塩基である可変のサイズを有した一本鎖リボ核酸並びに/又はデオキシリボ核酸の合成。本発明を実施することができる使用可能なプロトコルの例によって、環状一本鎖ポリヌクレオチドを合成することを可能にするもの[3]、又は、ポリヌクレオチドのインシリコ合成プロトコルに言及することができる。
【0047】
認識ポリヌクレオチドの配列がラベリングに必要とされる場合、そのそれぞれの配列は、認識ポリヌクレオチドが互いに、又は、標的ポリヌクレオチド若しくはデコイポリヌクレオチドとハイブリッドを形成しないように、経験的に、又は、前記のもの等のアルゴリズムを使用することによって決定することができる。
【0048】
本発明の方法によるリボ核酸若しくはデオキシリボ核酸のマーカーを使用した溶液又は化合物のラベリングは、必要とされたラベリングの複雑性に従って種々の方法で達成することができる。各標的ポリヌクレオチドは、その配列に固有の特定の情報を保有している。各標的ポリヌクレオチド又は標的ポリヌクレオチドの組合せは、独特の様式で使用することができる。
【0049】
第1の可能なコーディングレベルは、1又は複数の標的ポリヌクレオチドを使用することに存するものであり得る。ラベルされた製品のいくつかのバッチは、従って、規定されたサイズ及び所定の配列ではあるが互いに異なる配列の1又は複数のポリヌクレオチドによって追跡することができる。
【0050】
第2の可能なコーディングレベルは、標的ポリヌクレオチドの最初のプールにおいて選択された、いくつかの標的ポリヌクレオチドの使用である。従って、コードは、もはや標的ポリヌクレオチドの各配列からではなく、製品に存在する標的ポリヌクレオチドの組合せにある。従って、本発明によると、ラベルされた製品は、N個の異なるポリヌクレオチドの可能性の間で選択された、区間[0;N]に含まれているn個の標的ポリヌクレオチドによってラベルすることができる。
【0051】
全ての場合において、本発明のラベリングは、認識ポリヌクレオチドの使用に存する第3のレベルのコーディングによって完了することができ、従って、製品が真正品で本発明の方法でラベルされた場合に、製造者によって使用されやすい標的ポリヌクレオチドの中からどのマーカーが、並びに、異なる性質及び濃度のものであり得るマーカーが存在するかを標的認識データベースによって示す。
【0052】
本発明によると、製品のラベリング方法における各ステップは、特定のトレーサビリティの起因であり得る。このトレーサビリティは、1又は複数の極秘のデータベースにおける各ステップに特定の情報を導入することによって確実にすることができる。
【0053】
従って、本発明によると、マーカーの各バッチ又はマーカーの組合せは、例えば、英数字の識別名によって同定することができる。この識別名は、製品上に、又は、いかなる他の光学表記モード:例えばバーコード、Data Matrix等によっても、例えばマーカーのバッチの容器上に現れることができる。この識別名は、例えば、バッチを構成するマーカーのそれぞれの配列、各マーカーの量のそれぞれの割合、製造日等、マーカーのバッチの情報が保管されている第1のデータベースにおけるインデックスとしても役立ち得る。
【0054】
識別名によって追跡されるマーカーのバッチの各容器は、データベースにおいて、例えば依頼人の注文の参照に、及び、前記依頼人に対するこの容器の配達参照に関連づけることができる。依頼人からの受け取りの確認も、このデータベースに入れることができる。
【0055】
核酸は、ラベルされた製品の物理化学的性質由来のいずれをも変えない。さらに、核酸は、容器、すなわちラベルされた製品に対していかなる効果も有さない。最後に、核酸は、本発明者等によって実行された数多くのテストにおいて非常に安定であると証明した。この安定性は、以下の実施例において実証される。
【0056】
ノンイグゾースティブな様式で、本発明に含まれる一本鎖DNA及びRNAマーカーは、不法、悪用の複製(模倣)、闇市場での不法な取引の対象になりやすい、及び/又は、足跡をつけること(製品追跡)が必要な製品及び物質の非常に幅が広いパネルに含ませることができる。
【0057】
本発明の方法は、全液体、半液体、又は固体の工業生産物若しくは消費者製品のラベリングに適用される。以下のリストは限定的ではないが、例えば、香水、化粧品、衛生品、食品、調味料、植物エキス、タバコ、飲料、布地、皮、薬品、粉末剤、ニス、インク、ペンキ、化学製品及び化合物、並びに、より全般的に、模倣されやすい物品及び製品全てに言及することができる。
【0058】
本発明は、香水、オードパルファン、オードトワレ、エッセンシャルオイル、クリーム、マスク、ポマード等、高級品指向の産業及び化粧品産業由来の製品の全範囲に適用することができる。
【0059】
工業生産物及び消費者製品の分野において、本発明は、インク、樹脂、ヤニ、ペンキ、染料、添加剤、芳香剤、接着剤、粉末剤等の種々の物質を追跡するよう役立ち得る。
【0060】
食品工業分野においては、特に、リカー、スピリッツ、グラン・クリュ等、模倣又はいかさま行為(混合)の標的であり得る高級品に、又は、例えば安全性の理由から本物であることを保証するのが重要ないかなる製品にも、本発明を適用することができる。
【0061】
マーカーは、医薬品及び他の薬物をラベル並びに追跡するために薬品工業に使用することもできる。
【0062】
本発明は、病院環境において生物学的試料を追跡するために使用することもできる。例えば、生化学的な研究所における血液試料、解剖病理学的な研究所における腫瘍試料に対して、又は、生物源センターにおいて何年も保管及び追跡することができる直接認証されるヒト組織バンクを構成する目的でトレーサビリティプロトコルを実施すること等である。
【0063】
一般には、製品を、その製品の状態のために又は構成物質としてラベルすることができる。例えば、使用した及び前にラベルしたインクによって書類をラベルすることができる。
【0064】
本発明によると、本発明のマーカーを添加するステップは、ラベルされることになる製品に対して、本発明のマーカーを構成するポリヌクレオチドを添加することを可能にするいかなる適切な手段によっても達成することができる。ラベルされることになる製品及び物質は、そこにマーカーを取り込むことによって大量にラベルすることができ、その最終的な濃度が製品の表面にて調査及び提供される。マーカーは、その本質由来の物理化学的性質を有したリボ核酸又はデオキシリボ核酸のポリマーであり、負の電荷を持った親水性の分子である。ラベルされることになる製品の性質によって、マーカーは予め薄めるか又は直接製品に添加することができる。マーカーは、カプセルに包むこともでき、製品の表面に堆積させるか又は取り込むことさえもされる。
【0065】
この製品への本発明のマーカーの添加は、その製造の間に前記製品に、及び/又は、最終製品の中若しくは最終製品の上に(すなわち、表面上に)前記複数のポリヌクレオチドを添加することによって達成することができる。本発明は、従って、本発明によるラベリング方法によって得ることができるラベルされた製品にも関する。
【0066】
本発明によると、マーカーの添加がラベルされることになる製品の表面にて達成される場合、例えば前記マーカーを含む溶液に最終製品を漬けることによって、又は、そのような溶液を最終製品上で噴霧若しくは気化させることによって実行することができる。好ましくは、前記溶液は、エタノール、メタノール、若しくはジエチレングリコール等のプロトン性溶媒、又は、アセトン若しくはテトラヒドロフラン等の極性の非プロトン性溶媒である。この添加モードは、例えば、布地、皮、木材、紙、段ボール、タバコ、巻きタバコ、葉巻等その製造の後の固体の製品に適している。
【0067】
前記添加は、前記マーカーと製品を構成する化合物又は構成要素を混ぜ合わせることによって、製品の製造中に実行することもできる。この複数のポリヌクレオチドの導入は、前記製品の構成要素上又は前記製品の構成要素内で達成することができる。この種の添加は、マーカーを取り入れることができるその製造が液体又は半液体相を介するいかなる製品又は物質にも適している。例えば、化粧品又は医薬品の複合的なラベリングに対する場合であり得る。
【0068】
本発明の特定の実施形態によると、前記複数のポリヌクレオチドを脂質ベクターにおいて被包するステップは、添加ステップに先立ち実行することができる。この被包ステップは、好ましい環境においてポリヌクレオチドを維持すること、又は、その将来の抽出を容易にすることを可能にする。例えば、被包製品として、ジオレオキシルオキシ−プロピル−トリメチルアンモニウムブロマイド(DOTMA)及びジオレオイルフォスファチジルエタノールアミン(DOPE)、又は、ポリプレックスと呼ばれる、ポリリジン、プロタミン、若しくは、ポリエチレンイミン(PEI)等の分子とのポリヌクレオチドの複合体等、陽イオンの脂質ベクターを含む群から選択された製品を使用することができる。例えば、その目的を達するために、Bioch.Biophy.Acta 1280:1.[5],J.Biol.Chem.269:2550[6]又はAAPS PharmSci.2001;3(3):E21[7]に記載された技術を使用することができる。
【0069】
本発明の別の実施形態によると、前記複数のポリヌクレオチドを脂質ベクター又は他のものにおいて被包及び/又は保護するステップは、添加のステップに先立ち達成することができる。このステップは、安定性をさらに確実にする、及び/又は、その回収を容易にする。
【0070】
本発明において、「保護」は、特に、環境からのいかなる物理化学的攻撃由来の本発明におけるポリヌクレオチドの保護を意味しており、例えば、カーボンナノチューブにおいてチャージされたこれらのポリマーにおいて本発明のサイン(香水、食物)が存在する。
【0071】
選択された添加モードが何であれ、本発明のマーカーは、マイクロモルからフェムトモルまでに及ぶ非常に小さい濃度でのラベリングのために製品に添加されることが好ましい。既存の又は結果として生じる検討された検出技術及びマーカーのサイズに従って、これらのマーカーは、可変の最終濃度に添加され、第1セットの各標的ポリヌクレオチドのそれぞれの濃度は異なることができ、さらに、コーディングサブセットを構成する。本発明によると、前記製品における添加後の複数のポリヌクレオチドの濃度は、それだけに限らないが、10−6モルから10−18モル/dmであり得る。このボリュームあたりの量は、液体又は固体のボリュームに対して示されている。液体に対して、このボリュームあたりの量は、ボリュームの単位による製品と混ぜ合わされたマーカーの量に一致する。固体に対しては、ボリュームの単位による製品と混ぜ合わされたか、又は、製品の表面に堆積されたマーカーの量に一致する。製品の表面までいくと、この量は表面の単位、すなわち10−6モルから10−18モル/dmによって規定することもできる。これらの濃度は、より濃縮された溶液を希釈することによって得ることができる。この溶液は、上記のもの等であり得る。
【0072】
本発明は、本発明のラベリング方法によって得ることができる製品のラベリングを検出する方法にも関し、前記方法は、少なくとも1つの標的ポリヌクレオチドを特異的に検出することを可能にする複数のポリヌクレオチドを分析するステップを含む。
【0073】
さらに、本発明は、本発明のマーカーを検出するいくつかの方法を提供する。前記検出は、例えばポータブルシステムによって、例えば本発明のマーカーの標的ポリヌクレオチドを検出するために特別に設計されたDNAマイクロアレイによって研究所の外又は研究所内で達成することができる。
【0074】
本発明によると、分析ステップは、例えば免疫検出によって実行することができる。本発明によると、前記分析ステップは、例えば、コード化ポリヌクレオチドを配列決定するステップを含むことができる。本発明によると、前記分析ステップは、例えば、特に標的ポリヌクレオチドがリボ核酸である場合の、デオキシリボ核酸へのリボ核酸の逆転写を含むことができる。本発明によると、前記分析ステップは、特定のハイブリダイゼーションに結びつけられる比色検出、発光検出、又は、蛍光検出を含むことができる。言い換えると、前記分析ステップは、標的ポリヌクレオチドを検出する特定の手段を使用することができる。
【0075】
本発明によると、使用される分析技術は、マーカーの物理化学的性質、コード、及び特異性を実施することができ、例えば、およそ、サンドイッチアッセイ技術、DNAマイクロアレイを使用した検出技術、又は、当業者が知るポリヌクレオチドの存在を検出する及び/又はそれらを同定することを可能にするいかなる他の技術でもあり得る。
【0076】
本発明の特定の実施形態において、標的及びデコイポリヌクレオチドは、小さいサイズのポリヌクレオチド、すなわち、8から30ヌクレオチド/ヌクレオシド、及び、一本鎖であり得る。この実施形態によると、好都合に、その性質が与えられたこれらのポリヌクレオチドは、増幅されて、重合連鎖反応(「PCR」、ポリメラーゼ連鎖反応)等の指数増幅技術によって検出されることになる鋳型鎖として使用することができない。従って、PCR増幅による検出は不可能である。この実施形態において、ポリヌクレオチドの検出は、ハイブリダイゼーション工程及び増幅なしの直接検出によって実行することができ、使用されたサインを知るユーザーによってのみ達成可能である。さらに、ラベルされた製品に存在する複数のポリヌクレオチドを抽出、増幅、及び複製することを試みるであろう模造者は阻止される。さらに、且つ、好都合に、ハイブリダイゼーションのステップ及びこのハイブリダイゼーションを検出するステップのみを含む検出方法は、はるかにより速く実行することができる。重合連鎖反応は何時間か必要とするが、単純なポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションは、検出されることになるポリヌクレオチドに検出が特異的である限りほぼ即座に行われる。
【0077】
本発明によると、使用される分析技術は、マーカーの物理化学的性質、コード、及び特異性に基づき、標的ポリヌクレオチドの指数又は線形増幅を含むことができ、いかなる他の技術も、マーカーの存在を検出するために使用することができる。言い換えると、分析ステップは、標的ポリヌクレオチドの線形拡張ステップを含むことができる。
【0078】
本発明の方法は、分析ステップの前に以下のステップ:
(a)製品のサンプルを取って調べるステップ;及び
(b)前記サンプルの複数のポリヌクレオチドを抽出するステップ;
をさらに含むことができる。
【0079】
ここで、本発明の方法は、製品のサンプルを取って調べることによって本発明のラベリングの検出を実施することを可能にする手段に存する。
【0080】
抽出された後、マーカーの存在を上記のように分析することができる。
【0081】
本発明によると、抽出ステップ(b)は、サンプルからポリヌクレオチドを抽出するために、当業者が知るいかなる技術によっても達成することができる。ポリヌクレオチドは、ラベルされた製品の性質に応じたプロトコルによって抽出することができる。リボ核酸又はデオキシリボ核酸を抽出するための、既存の又は結果として生じるいかなるタイプの技術も、大部分のラベルされた製品からポリヌクレオチドを抽出するために使用することができる。例えば、フェノールクロロホルム抽出であり得る。本発明において使用に適した抽出技術は、例えば、Molecular Cloning,Maniatis,Cold Spring−harbor,2nd edition,ppE3 to E4[8]に記載されている。
【0082】
ラベルされた製品を分析する方法は、従って、これらの製品からポリヌクレオチドを抽出するステップ、認識ポリヌクレオチドによって保有されたコードを検出するステップ、標的ポリヌクレオチドを認識するためにデータベースを参考にするステップ、従って、標的ポリヌクレオチドによって保有されたコードを解読するステップ、次に、この情報を利用して、デコイポリヌクレオチドを含んだ複数の標的ポリヌクレオチドの中から標的ポリヌクレオチドを見つけるステップ、次に、(ラベリングの検出の場合)ラベルされた製品の特徴である標的ポリヌクレオチドの存在を検出するステップに存することができるか、又は、前記情報を利用して、(標的ポリヌクレオチドが無い場合に、又は、標的/製品データベースに従っていないラベリング)製品は模倣品であるという結論を下す。
【0083】
本発明の特定の実施形態によると、分析のステップに特異的な検出は、例えば以下の連続するステップ:
(i)複数のポリヌクレオチドを固体の支持体と接触させるステップであって、前記支持体上にはプローブ配列が固定され、これらのプローブ配列は、製品のラベリングの複数のポリヌクレオチドのうち前記少なくとも1つの標的ポリヌクレオチドの前記末端の1つに相補的であり、支持体上に固定された相補的なプローブ配列とのハイブリダイゼーションによって標的ポリヌクレオチドが支持体上に固定されるのを可能にするステップ;
(ii)ステップ(i)によってハイブリッドを形成しないポリヌクレオチドを除去するステップ;及び
(iii)標的ポリヌクレオチドの支持体上での存在を検出するステップ;
を含むことができる。
【0084】
本発明において、ステップ(iii)にて実行される検出は、適応された特定の手段によって達成することができ、例えば、蛍光分子を使用した検出、発光分子を使用した検出、反応生成物を着色することができる酵素を使用した検出、触媒された反応が発熱性である酵素を使用した検出、触媒された反応が光を放出する酵素を使用した検出、又は、例えば抗体、酵素等の標的ポリヌクレオチドに特異的なタンパク質を使用した検出に関する場合がある。
【0085】
特定の実施形態によると、特定の検出は、ステップ(i)と(ii)の間に、少なくとも1又は複数のポリヌクレオチドの特定の捕獲システムによって複数のポリヌクレオチドを支持体上で捕獲するステップをさらに含むことができ、システム上で、製品のラベリングにおける前記複数のポリヌクレオチドのうちの前記少なくとも1つの標的ポリヌクレオチドは固定される。
【0086】
本発明によるラベリングが認識ポリヌクレオチドを含む場合、この特定の実施形態の方法は、ステップ(i)の前に、これらの認識ポリヌクレオチドを同定するステップ(x)、及び、同定された認識ポリヌクレオチドに従って固体の支持体を選択するステップ(y)をさらに含むことができ、固体の支持体は、認識ポリヌクレオチドのおかげで、同定される標的配列に相補的なプローブ配列を含むように選択される。
【0087】
この検出の方法は、好都合に、一定の末端及び可変の末端を有した標的ポリヌクレオチドを含む本発明によるマーカーを用いて使用することができる。これらの標的ポリヌクレオチドは、すでに規定されている。本発明によると、プローブ配列と呼ばれる、標的ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドは、当業者が知るいかなる手段によっても固体の支持体上に固定することができる。本発明における支持体上でのこれらの検出技術及び使用に適した支持体のタイプは、例えば、Molecular Cloning,Maniatis, Cold Spring−Harbor,2nd edition,pp9.47−9.57[9]に記載されている。例えば、支持体上でのプローブ配列の固定は、ビオチン/ストレプトアビジン結合の手段によって実行することができ、前記プローブは、ビオチン分子に結合され、前記支持体はストレプトアビジン分子を示す。例えば、プローブ配列の固定は、固体の支持体を形成するチャージされたナイロン膜への共有結合の形成によって達成することもできる。本発明において使用に適したこれらの技術は、例えば、刊行物[10]、[11]、及び[12]に記載されたものである。言い換えると、標的ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドは、探求された1又は複数の標的ポリヌクレオチドに特異的な捕獲システムの例である。
【0088】
本発明によると、ハイブリダイゼーションによって支持体上でプローブ配列に固定された標的ポリヌクレオチドは、当業者が知るいかなる適切な手段によっても検出することができる。前記適切な手段は、例えば、ラベリング剤によってマークされ、標的ポリヌクレオチドのうちもう一方の末端に相補的なポリヌクレオチドによる検出でありえ、ラベリング剤は、蛍光色素、金コロイド粒子、及び酵素を含めた群から選択することができる。
【0089】
固体の支持体上でのこの検出モードは、本発明のマーカーにおける容易で再生可能な即座の検出を可能にし、本発明において好都合に使用することができる。
【0090】
本発明の検出方法は、標的ポリヌクレオチドを分析するステップの結果を、標的ポリヌクレオチドを同定することを可能にするデータベースの内容と比較するステップをさらに含むことができ、標的ポリヌクレオチドの分析は、前記製品を同定及び認証することを可能にし、前記製品の起源を決定することも可能にすることができる。言い換えると、コーディングポリヌクレオチドによって保有されるコードのデータベース及び解読は、オリジナルの製品から模倣品を同定することを可能にする。
【0091】
使用される分析の技術を使用してラベルされた製品に含有された標的ポリヌクレオチドを見つけることによって、この製品に付属する情報を見つけることができる。検査される製品に存在するべきである標的ポリヌクレオチドの欠如は、製品の模倣の可能性を示す。本発明によるいくつか異なるマーカー又は同じ製品における認識ポリヌクレオチドの検出によって、異常な初期の混合の結果であることを示すことができる。
【0092】
ラベルされることになる製品の製造ステップの間、本発明によるマーカーの製造会社のユーザーは、例えばこのマーカーのバッチを使用してラベルされた再生バッチに付属する参照を、マーカーのバッチの容器における識別名に関連づけることができる。この関連づけは、例えば、以前のデータベースと同じか又は別のデータベースにおいて実行することができる。このデータベースに入れられ、生産バッチに付属する情報は、このユーザーにて実行された情報システムに応じて、このバッチを明白に追跡することを可能にするのに十分であることが好ましい。
【0093】
模倣品であると疑われた製品サンプルが分析される場合、同定されたポリヌクレオチド配列の検出は、マーカーの生成及び送達の間にデータベースに入れられた情報と比較することができる。
【0094】
模倣は、例えば、マーカーが同定されない場合に特徴づけられる。模倣は、部分的に暴かれ、正確な組成物がデータベースの取り調べによって得られたマーカーのバッチ内の少なくとも1つのマーカーがない場合に強調することもできる。模倣は、マーカーのバッチ内に現れるべきであるマーカーの完全性が存在するが、検査される物品が、ちょうど暴かれたマーカーのバッチの注文を受けた製造者からではない場合に依然として特徴づけることができる。
【0095】
流通経路又は並行市場の着服の場合に、製品は真正であり、暴かれたマーカーのバッチは検査される製品の製造者に送られたマーカーのバッチに実際に一致する。本発明の方法によって、要求に応じて製造者のデータベースからマーカーのバッチの識別名におけるマーカーを得ることが可能になる。そのトレーサビリティシステムが許す限り、この識別名は、製造者がその顧客のものに対するラベルされた生産バッチの理論的な割当てを類似であると疑われた製品のサンプルを取って調べている間に気づいた現実の割当てと比較するのを好都合に可能にする。製品の理論的な割当てが現実の割当てに一致しない場合に、流通経路の着服の可能性がある。
【0096】
他の利点は、例証によって与えられた付随の図面によって例示される以下の実施例を読んだ後、当業者に対してさらに明らかになり得る。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】NbBpu10lの切断部位を表している。
【図2】マイクロアレイ上でのプローブの扱いを表している。
【図3】Cy5の放出及び吸収スペクトルを表している。
【図4】支持体上で本発明によるマーカーを検出する方法を表している。マーカーM1及びM2は、混合物に存在している。そのようなマーカーは、マイクロアレイ上に固定されたプローブと普遍的なプローブとの間に「橋」を確立する。信号(Cy5の蛍光)が従って検知される。
【図5】NanoChip workstation(登録商標)(Nanogen Inc.)を用いたマーカーの検出を示している。
【図6】結合されたラベリングの原理を示している。
【図7】PCRによるコーディングマーカーの第1のラベリングの検出を表している。
【図8】本発明によるラベリングの検出、及び、本発明によるラベルされた製品の認証の図を表している。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0098】
本発明の方法によるラベリングの製造及び製品のラベリング
この実施例において、使用される標的及びデコイポリヌクレオチドは、28ヌクレオチドのサイズの一本鎖デオキシリボ核酸配列である。コード化ポリヌクレオチドは、4.3キロベース(kb)のサイズの環状化されたDNA配列である。
【0099】
ラベルされた製品は、香りで満たされた溶液:J‘Adore perfume(登録商標、Christian Dior perfumes)である。
【0100】
3種類のラベリングが得られ、認証方法中の3つの可能な仮説のケース、製品が認証される例、並びに、製品が認証されない2つの例を説明している。
【0101】
I.A 標的マーカー及びデコイポリヌクレオチドの設計
1.a.1原理
10個の一本鎖デオキシリボ核酸のポリヌクレオチドが以下の方法で生成される:10個の5’ヌクレオチドは全て同一であり、ユーザーによって規定される。ほぼGCAACTCCAG配列である。18の3’ヌクレオチドが次に、以下のパラメータ:18ヌクレオチドに等しい語の長さ、5個のGヌクレオチド、5個のCヌクレオチド、4個のAヌクレオチド、及び、4個のTヌクレオチドを使用することによって、「本発明の説明」において示されたアルゴリズムを使用して生成される。
【0102】
新たなポリヌクレオチドのそれぞれは、次に、この決定された数の塩基のそれぞれを含有するように無作為に生成される。この新たなポリヌクレオチドとすでに実証されたポリヌクレオチドのセット、並びに、このセットにおけるポリヌクレオチド2×2のそれぞれの連鎖から生じるポリヌクレオチドのセットとのアライメントスコアが、ほぼ第1のポリヌクレオチドである場合にこのステップを生じる必要はないけれども、以下のパラメータ:
ATのスコア:1の一致
GCのスコア:1.5の一致
不一致のペナルティ:−3
ギャップのペナルティ:−2
を用いたSmith and Watermanのアルゴリズムに従って計算される。
【0103】
最小の選択スコアは3であり、それは、新たなポリヌクレオチドがセットからのポリヌクレオチドと、又は、3を超えるスコアを用いてセットからの2つのポリヌクレオチドの連鎖と整列されられることを意味し、それは決定されている。さもなければ、新たなポリヌクレオチドは認可され、次に、ポリヌクレオチドのセットに追加される。このステップは、10個のポリヌクレオチドが得られるまで繰り返される。
【0104】
表1は、これらのマーカーのリストを示している。
【0105】
【表1】

最初の5つのポリヌクレオチド(プライマー1からプライマー5)は、標的ポリヌクレオチドとして考慮される。最後の5つ(プライマー6からプライマー10)は、デコイポリヌクレオチドとして考慮される。これらのマーカーは、次に、香水において10−12モル/dmの最終濃度に、コード化マーカーと同時に注入される。
【0106】
1.a.2 材料
−合成ポリヌクレオチド(Eurofins MWG GmbH)、100ピコモル/μL。
−HO脱イオン、ヌクレアーゼフリー。
【0107】
1.a.3 方法
10個のポリヌクレオチドは、脱イオンしたヌクレアーゼフリーの水において希釈された3つのプレラベリング溶液中で、1つのマーカーあたり10−9モル/リットルのマーカーという最終濃度(すなわち、全マーカー5.10−9モル/L)で混ぜ合わされる。溶液ごとに、各マーカーが2度1/100にてヌクレアーゼフリーの水において(P10ピペットを使用して1μL、P100ピペットを使用して99μLにおいて)予め希釈され、すなわち、1/10000の中間希釈溶液が得られる。次に、10μLの各中間希釈溶液が1.5mLのチューブ(Eppendorf登録商標)に添加され、次に、混合液が、(P100ピペットを使用して)50μLの水を添加することによって100μLにて完成される。表2は、3つのプレラベリング溶液(A、B、C)を示しており、それぞれが、10個の可能な標的又はデコイの中から選択された5個の標的ポリヌクレオチドの組合せを含有している。
【0108】
【表2】

I.B コード化ポリヌクレオチドの設計
1.b.1 原理
コード化ポリヌクレオチドは、4.3キロベース(Kb)に等しい長さの一本鎖の環状核酸配列であり、例えば、プラスミドpBR322に基づき合成される。このポリヌクレオチドは、本発明のユーザーが知る連続したヌクレオチド(A、T、G、C)の特定の配列を含有し、ユーザーがその後、どの標的マーカーの組合せがラベルされた製品に理論上存在しているかを知ることを可能にする独特のコードを構成する。
【0109】
この実施例において、コーディング配列は、コード化配列が何であろうと一定のままである既知及び普遍的な配列からちょうど50塩基上流(5’側)に位置した20ヌクレオチドの部分であり、前記既知及び普遍的な配列は:5’−CTGTAAGCGGATGCC−3’(SEQ ID番号:11)である。ユーザーは、コーディングポリヌクレオチドのコーディング配列とラベルされた製品において期待される標的ポリヌクレオチドの組合せとをつなぐことを可能にする表連合性を有している。
【0110】
【表3】

プラスミドは、第一に、DNA分子の一本鎖を切断する制限酵素Nb.Bpu10lによって消化され、図1上に表された制限酵素部位:NbBpu10lの切断部位を認識する。そのポリヌクレオチドは、次に、エキソヌクレアーゼIIIによって二回目に消化され、Nb.Bpu10lによる切断された鎖の遊離の3’ヒドロキシル末端からヌクレオチドを解放して環状になり、Nb.Bpu10lによって消化されなかった鎖は、従って、残される。
【0111】
1.b.2 材料
−プラスミドpBR322、Invitrogen(登録商標)。
−NbBpu10l(20U)参照:Fermentas、#ER1681。
−×R10バッファー(バッファーNb.Bpu101)参照#BR5(Fermentas)。
−エキソヌクレアーゼIII(1200U)参照#ENO191(Fermentas)。
−エキソヌクレアーゼIIIに対する反応バッファー;参照#ENO191(Fermentas)。
−UltraPure Phenol(商標)Buffer−Saturated Phenol、Invitrogen。
−クロロホルム/アミルアルコール(24:1)。
−3M 酢酸ナトリウム。
−95%、75% 凍結エタノール。
−脱イオンしたヌクレアーゼフリーの水。
【0112】
1.b.3 方法
消化
1.5mLのチューブ(Eppendorf登録商標)に、プラスミド(5μg、すなわち20μL)、ピペットP100(Gilson Pipetman登録商標)を使用して10倍濃縮された反応バッファー(40μL)、ピペットP1000(Gilson Pipetman登録商標)を使用して水(399μL)、並びに、ピペットP10(Gilson Pipetman登録商標)を使用して酵素(1μL)を添加する。
【0113】
【表4】

VTX−400 vortex(Labo Moderne)を使用したボルテックスによって、次に、前記チューブを37℃で1時間インキュベートする。以下のプロトコルに従ってフェノール−クロロホルムを用いてDNAを抽出する。
−ピペットP200(Gilson Pipetman登録商標)を使用して、1/2ボリュームのフェノール(200μL)及び1/2ボリュームのクロロホルム(200μL)をチューブに添加し、次に、10秒間ボルテックスする。次に、(1.5mLチューブを有した遠心機“Centrifuge 5415 R”Eppendorf登録商標において)10000rcfで5分間遠心分離する。
−水相を新たな1.5mLチューブ(Eppendorf登録商標)に移し、1ボリューム(400μL)のクロロホルムを添加する。10000rcfで5分間ボルテックス及び遠心分離する。このステップを5回繰り返す。
−水相を新たな1.5mLチューブに移し、次に、1/10ボリュームの3M酢酸ナトリウム(P20を使用して40μL)、及び、2.5ボリューム(P1000を使用して1000μL)の凍結エタノールを添加する。混ぜ合わせた後、−20℃で1時間インキュベートする。
−10000rcfで10分間遠心分離する。上澄みを捨て、200μLの75°凍結エタノールでペレットを入念に洗浄する。次に、戸外においてペレットを乾かして、(ピペットP100を使用した)50μLの脱イオンしたヌクレアーゼフリーの水に戻す。
【0114】
エキソヌクレアーゼを用いた処理
50μLの抽出物を含有する1.5mLチューブ(Eppendorf)に、ピペットp100、p20、及びp200を使用して、表5に従って試薬を添加する。
【0115】
【表5】

−チューブを混ぜ合わせた後、30℃で10分間インキュベートする。70℃で10分間加熱することによって反応を止める。
−ステップ1.b.3で記述したようにフェノールクロロホルムを用いてDNAを抽出し、ステップ1.b.3で記述したようにそのDNAを沈殿させ、次に、ポリヌクレオチドを20μLの脱塩されたヌクレアーゼフリーの水に取り込む。
【0116】
20mLに取り込まれたマーカーは、Nanodrop spectophotometer(登録商標)を使用して適量に分けられる。次に、P10を使用して十分な量の脱塩されたヌクレアーゼフリーの水を添加することによって、濃度は10−9モル/Lに戻される。
【0117】
I.C.溶液のラベリング
3つの香りで満たされたJ’Adore(登録商標、Christian Dior perfumes)溶液が、従ってラベルされる。標的及びデコイポリヌクレオチドに対して10−12M、並びに、コーディングポリヌクレオチドに対して10−12Mという最終濃度で、ポリヌクレオチドが製品のだいたいにおいて注入される。
【0118】
第1の溶液は、標的ポリヌクレオチド1及び2、並びに、デコイポリヌクレオチド8、9、10及びコーディングポリヌクレオチドを含有したプレラベリング溶液Aでラベルされる。この溶液は、コーディングポリヌクレオチドが存在する正常なラベリングに一致し、及び/又は、現在の標的ポリヌクレオチドの組合せは、実際に、前記コーディングポリヌクレオチドによって保有される情報に一致する。
【0119】
第2の溶液は、標的ポリヌクレオチド3、4、5、並びに、デコイポリヌクレオチド6及び7並びにコーディングポリヌクレオチドを含有したプレラベリング溶液Bでラベルされる。この溶液は、非干渉性のラベリングに対する例として役立ち、コーディングポリヌクレオチドは存在するけれども、標的ポリヌクレオチドの組合せは、前記コーディングポリヌクレオチドが有する情報に一致しない。
【0120】
第3の溶液は、標的ポリヌクレオチド1、2、3、4、及び5を含有するがデコイポリヌクレオチドもコーディングポリヌクレオチドも含有しないプレラベリング溶液Cでラベルされる。この溶液も、非干渉性のラベリングに対する例として役立つ。一方でコーディングポリヌクレオチドを含まず、もう一方で、正常なラベリングの標的ポリヌクレオチド1及び2を有するけれども、他の予期しないポリヌクレオチドを含有する。
【0121】
ラベリングの後、溶液は、外気温又は4℃で貯蔵される。
【0122】
I.D ポリヌクレオチドの抽出
コーディング及び標的ポリヌクレオチドの同定を始める前に、ラベルされた製品(香水)を構成するアルコール媒体からマーカーを抽出することが勧められる。
【0123】
1.d.1 原理
マーカーがそのアルコール媒体(香水)から抽出され、次に、分子生物学的同定技術を使用する目的で水性媒体において回復させられる。抽出物は、従って、高収率を有していなければならない(理想的には100%の収率で最大数のマーカーを回収する)ことが好ましいが、検出技術を妨げ得る全ての「汚染」物質からマーカーを取り除かなければならないことも好ましい。
【0124】
1.d.2 材料
−フェノール:UltraPure(商標)Buffer−Saturated Phenol、Invitrogen。
−クロロホルム/アミルアルコール(24:1)。
−3M 酢酸ナトリウム。
−95% 凍結エタノール(Carlo Erba Rectapur)、75%。
−脱イオンしたヌクレアーゼフリーの水。
【0125】
1.d.3 方法
使用される技術は、フェノール−クロロホルム抽出の技術である。例えば、マーカーが、500μLのラベルされた香水から抽出される。
−2mLチューブ(Eppendorf登録商標)中500μLのラベルされた香水に、ピペットP1000(Gilson Pipetman登録商標)を使用して1/2ボリュームすなわち250μLのフェノール、次に、P1000(Gilson Pipetman登録商標)を使用して1/2ボリュームすなわち250μLのクロロホルム、さらに、P1000(Gilson Pipetman登録商標)を使用して1/2ボリュームすなわち250μLの水を添加し、次に、10秒間ボルテックスする。10000rcfで5分間(“Centrifuge 5415 R”遠心分離機Eppendorf登録商標において)遠心分離する。
−新たな2mLチューブ(Eppendorf登録商標)に水相を移し、1ボリュームのクロロホルムを添加する。10000rcfで5分間ボルテックス及び遠心分離する。このステップを5回繰り返す。
−新たなチューブに(上記の)水相を移し、次に、1/10ボリュームの3M酢酸ナトリウム(すなわち、ピペットP100を使用して50μL)、及び、2.5ボリュームの凍結エタノールを(すなわち、P1000を使用して2回に分けて)添加する。混ぜ合わせた後、−20℃で1時間インキュベートする。
−10000rcfで10分間遠心分離する。上澄みを捨て、200μLの75%凍結エタノールでペレットを入念に洗浄する。次に、ペレットを乾かして、ピペットP20を使用して20μLのヌクレアーゼフリーの脱イオン水に取り込む。
【0126】
I.E コーディングポリヌクレオチドの検出
1.e.1 原理
標的ポリヌクレオチドに付属する、コーディングポリヌクレオチドによって保有される情報は、第一に(配列決定技術によって)これらの核酸配列で解読され、次に、1.b.1の表連合性を参照することによって、製品の認証情報を保有する標的ポリヌクレオチドの正確な性質を本発明のユーザーが知るのを可能にする。
【0127】
1.e.2 材料
−普遍的なセンスプライマー(Eurofins MWG GmbH)、100ピコモル/μL。
−5’−GGCATCCGCTTACAG−3’(SEQ ID番号:13)。
−Big Dye(登録商標)Terminator V3.1(Applied Biosystems)。
−鋳型:抽出されたポリヌクレオチドの溶液。
−脱イオンしたヌクレアーゼフリーのHO。
【0128】
1.e.3 方法
表6に要約されたプロトコルに従って、配列決定反応が、200μLのチューブ(Eppendorf登録商標)中の抽出されたマーカーの溶液に基づき実行される。
【0129】
【表6】

反応は、次に、装置GeneAmp PCR System 9700(Applied Biosystems)上で開始され、一方、以下のサイクルを守る。
【0130】
【表7】

カラムベースの精製(Qiagen登録商標)の後、反応は、次に、16キャピラリーシークエンサーAB13100(Applied Biosystems)において配列決定される。結果の分析は、従って、本発明のユーザーが関心のあるヌクレオチド配列を解読すること、及び、解読された配列とラベルされた製品に理論上存在する標的ポリヌクレオチドとの相関を実行することを可能にする。
【0131】
I.F 標的ヌクレオチドの検出
1.f.1 原理
支持体(又はDNAマイクロアレイ)は、標的ポリヌクレオチドの存在を検出するために使用される。この支持体は、共有結合的に固定されるいくつかのプローブとマーカー3’可変領域の正確な逆補体(reverse complement)とのバッテリーを示す。付随の図2は、チップ上のプローブの位置を表している。
【0132】
推測上のマーカーを含有する抽出された溶液がこの支持体と接触させられる場合、本発明のマーカーは、チップ上のその逆補体とハイブリッドを形成する。洗浄後、支持体が、次にフルオロフォア(Cy5)に結合されたプローブ(ポリヌクレオチド)を含有する溶液に接触される場合、その配列はマーカーの5’の普遍的な領域の正確な逆補体である。
【0133】
付随の図3は、Cy5の放出(667nm)及び励起(650nm)スペクトルを表している。
【0134】
これらのプローブは、プローブ自体をそこに固定し、後に検出される。その存在によって、最初の溶液中の対応する標的ポリヌクレオチドの存在を検出することが可能になる。付随の図4は、マーカーの検出原理を表している。
【0135】
1.f.2 材料
−20塩基のアームで拡張されビオチン化されたマーカーの特定の領域5’の逆補体プローブ(Eurofins MWG GmbH)。
【0136】
【表8】

−3’においてフルオロフォア(Cy5)に結合される、マーカー5’の普遍的な領域のポリヌクレオチド逆補体;(Eurofins MWG GmbH):
−UnivFluo5’CTGGAGTTGC−(CY5)3’(SEQ ID番号:24)。
−抽出されたマーカーの溶液。
−プローブの可変領域の補体でスポットされたNanogen automation(商標)に対するチップ及びカートリッジ(NanoChip(登録商標)Electronic Microarray、100−Site NanoChip(登録商標)Cartridge)。
−NanoChip workstation(登録商標)Molecular biology Workstation(NanoChip(登録商標)Reader、NanoChip(登録商標)Loader)。
−L−ヒスチジン(Invitrogen、参照:0955061IX)。
−マルチスクリーン濾過システム(Millipore(登録商標))。
−高塩度バッファー(リン酸ナトリウム500mM、塩化ナトリウム500mM、Nanogen(登録商標))。
−低塩度バッファー(リン酸ナトリウム50mM、Nanogen(登録商標))。
−NaOH 0.1M。
【0137】
1.f.3 方法
カートリッジの調製
マーカーの特定の領域に相補的なプローブは、(Millipore(登録商標)による)マルチスクリーン濾過システムによって精製され、次に、60μLのバッファーL−ヒスチジン50mMに取り込まれ、次に、カートリッジに移される。前記プローブのそれぞれは、次に、120秒の間にカートリッジ上の特定の部位に向けられる(ワークステーションによって処理されるプロトコル)。5’におけるビオチンは、支持体のストレプトアビジン上で固定される。
【0138】
【表9】

マーカーのハイブリダイゼーション
高塩度バッファー(75μL)で2度カートリッジをすすぐ。高塩度バッファー(s.a.t 100μL)中0.5μMという最終濃度で、5μLの抽出物(マーカー)並びに蛍光プローブを含有する混合液を調製する。カートリッジからこの混合液の75μLのサンプルを取り、次に、外気温で3分間インキュベートする。カートリッジを空にし、次に、75μLの高塩度バッファーで2度すすぐ。75μLの高塩度バッファーを施行の終わりに添加する。次に、Nanogen workstation(登録商標)の標準プロトコルを使用することによって装置の運転を開始する。再度使用することができるカートリッジを再利用する。
【0139】
I.G 結果の活用及び解釈
この第1の実施例における3つのラベルされた製品の分析(図5を参照)によって、製品認証ステップ中に、(特に)3つの可能な形態をシミュレートすることが可能になる。
【0140】
第1及び第2のラベルされた製品において、ユーザーはコーディングポリヌクレオチドの存在を検出することができた。このポリヌクレオチドの実際の存在によって、製品は真正である可能性が高いということが示される。第3の製品に関して、コーディングポリヌクレオチドの検出における完全な欠如によって、製品はラベルされていない、従って、認証されないことが示された。
【0141】
第1及び第2の製品に存在するコーディングポリヌクレオチドによって保有される情報を解読した後、コーディングポリヌクレオチドのコードが標的ポリヌクレオチド1及び2の存在に対応することを示した連合性の表をユーザーは参照する(デコイポリヌクレオチドが存在するかどうかは関係ない)。これらのポリヌクレオチドは、これら2つのポリヌクレオチドのみが第1のラベルされた溶液において正確に検出され、第1の溶液を認証することができる。第2の溶液に関して、標的ポリヌクレオチド3、4、及び5の予期されない存在は、製品を認証することを可能にしない。
【実施例2】
【0142】
本発明の方法に従った化粧品のラベリング
この実施例は、スキンクリーム注入され、実施例1で示された技術に従い検出される、いくつかの一本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドを使用したラベリングを例証している。
【0143】
II.A.クリームへのポリヌクレオチドの注入
2.a.1 原理
マーカーが、第一に、ヌクレアーゼフリーの蒸留水から調製され、次に、標的及びデコイマーカーに対して1dmのクリームのカプレット1つあたり10−12モルという最終濃度、並びに、コーディングマーカーに対して1dmのクリームあたり10−14モルという濃度で、クリームに取り込まれる。
【0144】
2.a.2 材料
−合成ポリヌクレオチド(Eurofins MWG GmbH)、100ピコモル/μL。
−環状一本鎖デオキシリボ核酸(コーディングマーカー)。
−HO脱イオン、ヌクレアーゼフリー。
−Thermal cream Fix 2(登録商標)、VICHY Laboratoires。
【0145】
2.a.3 方法
コーディング、標的、及びデコイポリヌクレオチドの予備の混合液が、ピペットP10(Gilson Pipetman登録商標)を使用して、1cmのTermal Fix cream(登録商標)のサンプルに注入され、標的及びデコイマーカーに対して1dmあたり10−12モルのマーカーという最終濃度、並びに、コーディングポリヌクレオチドに対して1dmあたり10−14モルという最終濃度を生じる。前記サンプルは、次に、その同定のため保管される。
【0146】
II.B.マーカーの抽出及び検出
ポリヌクレオチド抽出ステップを除いて、マーカーは、実施例1と同じ様式で検出される。
【0147】
2.b.1 抽出原理
マーカーは、エマルションを離散して水相を取り戻すことによって、クリームから抽出される。(80℃を超える)高温は、クリームを構成するエマルションを減らし、従って、水相と脂質相を分離するのに十分である。非常に極性のマーカーは水相に存在し、そこから抽出される。
【0148】
2.b.2 材料
−ラベルされたThermal Fix cream(登録商標)(Vichy)。
−加温ブロック又は水浴。
−H2O脱塩、ヌクレアーゼフリー。
【0149】
2.b.3 方法
ラベルされたクリームは、95℃の温度で15分間加熱され、次に、10000rcfで5分間遠心分離される。水相が取り戻され、マーカーを検出するために使用される。
【0150】
ポリヌクレオチドは、次に、実施例1に記述した方法に従って検出することができる。
【実施例3】
【0151】
本発明の方法に従ったスピリッツのラベリング
この実施例は、標的、コーディング、及びデコイポリヌクレオチドの混合液を使用したスピリッツのラベリング技術を例証している。第1のマーカーのタイプ(標的ポリヌクレオチド)は、20塩基のサイズの一本鎖デオキシリボ核酸20個のプールから構成される。第2のマーカーは、1000塩基のサイズの環状一本鎖核酸であり、その配列は、標的マーカーの探求指示を有する。従って、この配列によって、20個のマーカーの中からどの標的マーカーがスピリッツのコーディングに対して重要であり、他のマーカーがセミランダムに添加されたデコイであると知ることが可能になる。
【0152】
III.A.マーカーの設計及びラベリング
3.a.1 ラベリング技術の詳細な原理
20個の一本鎖デオキシリボ核酸マーカーが、本発明の説明に示されたアルゴリズムのおかげで生成される。これらのマーカーは互いに異なり、自己でハイブリッド形成せず、互いにハイブリッド形成する傾向はない。これらのマーカーは、標的ポリヌクレオチドを構成する。
【0153】
コーディングポリヌクレオチドは、1000塩基の環状デオキシリボ核酸である。この核酸の配列は、製品において探求するために、標的ポリヌクレオチドの組合せを含有したカセットを所与のポイントにて有する。
【0154】
付随の図6は、結合されたラベリングの原理を示しており、環状のコーディングマーカーは、一般的な情報の部位だけでなく、同様に混合液に存在する標的マーカーのうちどれがコード情報を保有しているか(その他は単にデコイであること)を知ることを可能にする部位を含有している。
【0155】
このように、コーディングマーカーによって設計された標的マーカーの組合せのみが、認証に対して重要であり、その他のマーカーは、単にデコイである。
【0156】
コーディングマーカーの配列は、従って、コーディングボックスを有し、その位置は隠されている。この配列の解読は、対応表におけるクロスチェックを介して、どのマーカーが標的マーカーのプールにおいて探し求められることになるのかをユーザーが知るのを可能にする。
【0157】
標的マーカーの組合せによって、1つの可能な製品に対して単一の可能な組合せがある一元の様式で製品を同定することが可能になる。コーディングマーカーにおいて、探し求められることになる標的マーカーの組合せに対するコーディングカセットから下流に、バッチ、製造年等の製品に付属する一般的な情報に対する第2のコード配列がある。
【0158】
これらのマーカーは、従って、マークするためにスピリッツに注入される。検出は、次に、2つのフェーズに発展する。第1のフェーズは、コーディングマーカーの特定の配列を検出することに存する。そこから引き出される第1の情報は以下のものである。
・製品認証。ひどい模倣の場合には、コーディングマーカーは存在しない。
・製品に対する情報:バッチN°、製造日等。
・より完全な検出に対して探し求められることになる独特の組合せの標的マーカー。
【0159】
この第1の認証が十分であると考慮されない場合、第2の認証が標的マーカーに対して実行される。この第2の認証によって、以下の情報に達することが可能になる。
・標的マーカーが無いか又は間違った組合せである場合のひどい模倣。
・コーディングマーカーによって提供される製品に加えて他のマーカーが検出された場合の混合物からの製品。
・データベースを調べることによる製品の正確な認証。
【0160】
3.a.2 材料
−合成ポリヌクレオチド(Eurofins MWG GmbH)、100ピコモル/μL(標的マーカー)。
−Moet et Chandon champagne(登録商標)、Brut Imperial。
−環状一本鎖デオキシリボ核酸(コーディングマーカー)。
−脱イオン化されたヌクレアーゼフリーの水。
【0161】
3.a.3 方法
α.標的マーカー
標的マーカーは、化学合成によって得られる20個の異なるポリヌクレオチドから構成される(Eurofins MWG GmbH)。この実施例は、5個の異なる製品のラベリングを用いて実行される。これら製品のそれぞれにおいて、20個のマーカーを使用することができる。
【0162】
【表10】

これら20個の標的マーカーに対して、10個のマーカーのみが実際に製品に注入される。これら10個のマーカーに対して、5つはデコイであり、5つは製品の効果的なラベリングを構成する。コーディングマーカーの配列のみが、どれがコーディングマーカーであり、どれがデコイであるかを見つけることを可能にする。さらに、製品1乃至4は、Moet et Chandon champagne,cuvee imperiale 2005(登録商標)のサンプルであり、製品番号5は、Moet et Chandon champagne,cuvee imperiale 2002(登録商標)のサンプルである。
【0163】
【表11】

表11は、5つの製品のラベリングを例証している。ダッシュは、マーカーが注入されていないことを示している。文字Lは、マーカーが注入されること、及び、ラベリングのサインとして役立っていることを示している。文字Dは、マーカーが注入されたがデコイとして役立っていることを意味している。このように、製品1及び2は、異なるデコイを含有しているけれども、同じマーカーを含有し、同じサインを有している。それどころか、製品3及び4は、同じデコイを有するが、マーカーは異なっており、従って、異なるサインを有している。製品5は、製品1と同じサインを有している。コーディングマーカーのみが、この2つの製品を区別する。
【0164】
ラベリング製品において10−7モル/Lの濃度で予め希釈された(10−4モル/Lの初期溶液1μLが999μLのラベリング製品において希釈され、次に、この中間溶液10μLが999μLのラベリング製品において希釈された)マーカーが、製品1乃至5のそれぞれにおいて10−9モル/Lという最終濃度を得るように、(ピペットP100を使用して)100μLの割合で注入され、その最終ボリュームは、例えば、10mLである。
製品は、従って、1リットルあたり10−8モルのマーカー、すなわち、10mLにおいて合計10−10モルのマーカーを含有する。
【0165】
β.コーディングマーカー
実施例1のプロトコルに従って合成されたコーディングマーカーは、合計1000塩基長の一本鎖デオキシリボ核酸である。その配列は以下である(SEQ ID番号:45)。
【0166】
【表12】

マーク1は、製品において探すために標的マーカーの組合せをコードする。マーク2は、キュヴェ、サンプルがどこから採取されたか等の一般的な情報をコードする。以下(表13)は、タイプ1のラベルのキャプションである。
【0167】
【表13】

【0168】
【表14】

このように、特定のコーディングマーカーが、5つの製品内に注入され、どれが情報に対するコーディング標的認証マーカーであるかを示し、本実施例においては、実施例1に記述した技術に従い10−11モル/Lという最終濃度でサンプルが採取されたビンテージを示している。コーディングマーカーは、以下の可変配列を含有している。
【0169】
【表15】

III.B.マーカーの抽出
検出は、2つのステップで実行される。第1のステップは、コーディングマーカーを検出することに存する。第2のマークのおかげで製品の第1の認証が可能になる。第1のマークの解読によって、次に、探し求める標的マーカーの組合せを知ることが可能になる。
【0170】
3.b.1 抽出原理
マーカーはその環境(ここではシャンパンワイン)から抽出され、次に、その後分子生物学的同定技術を使用することが可能になるということを目的として水性の環境において回復させられる。前記抽出は、好ましくは、高収率を有する(理想的には100%の収率で最大数のマーカーを回収する)べきであるが、検出技術を妨げ得るいかなる「汚染」物質からもマーカーを取り除くべきでもある。さらに、好ましくは、2つの種類のマーカーに対して能率的であるべきである。
【0171】
3.b.2 材料
−UltraPure Phenol(商標)Buffer−Saturated Phenol、Invitrogen。
−クロロホルム/アミルアルコール(24:1)。
−酢酸ナトリウム 3M。
−95%凍結エタノール(Carlo Erba Rectapur)、75%。
−UltraPure Glycogen、Invitrogen(商標)20μg/μモル。
−ヌクレアーゼフリーの脱イオン水。
【0172】
3.b.3 方法
使用される技術は、フェノールクロロホルムを用いた抽出の技術である。例えば、マーカーは、500μLの製品(シャンパン)に基づき抽出される。
−500μLのラベルされた製品を含有する2mLのチューブ(Eppendorf登録商標)に、ピペットP1000を使用して1/2ボリュームのフェノール(250μL)、1/2ボリュームのクロロホルム(250μL)を添加し、次に、10秒間ボルテックスする。10000rcfで5分間遠心分離する。
−新たな2mLのチューブ(Eppendorf登録商標)に水相を移し、1ボリューム(500μL)のクロロホルムを添加する。10000rcfで5分間ボルテックス及び遠心分離する。このステップを5回繰り返す。
−新たなチューブに水相を移し、次に、3μLのグリコーゲン、1/10ボリューム(50μL)の酢酸ナトリウム3M、及び、2.5ボリューム(1250μL)の凍結エタノールを添加する。混ぜ合わせた後、−20℃で1時間インキュベートする。
−10000rcfで10分間遠心分離する。上澄みを捨て、200μLの75%凍結エタノールでペレットを入念に洗浄する。次に、ペレットを乾かして、20μLのヌクレアーゼフリーの脱イオン水に取り込む。
【0173】
III.C.コーディングマーカーの検出
3.c.1 原理
コーディングマーカーは、連鎖重合技術によって検出される。2つのプライマーがこれを行うために必要とされる。第1のタイプのプライマーは、可変配列1の5’に位置する領域に相補的である。このプライマーは、標的マーカーの可変性に応じない(これらのマーカー全てに共通の部位を認識する)ため普遍的であると呼ばれる。第2のプライマーに関しては、可変部位2に相補的である。従って、可変配列のタイプと同じ数のプライマーの対(ここでは、2つの対)が利用される。
【0174】
付随の図7は、PCRによるコーディングマーカーの第1のラベリングの検出を表している。この図は、これら2つのタイプのプライマー、鋳型、並びに、それ自体が相補的であり、各第1のPCRサイクルの間に生成される鎖を要約している。
【0175】
可変配列2のタイプごとに、製品から抽出されるマーカーに対してポリメラーゼ連鎖反応が実行される。一対のプライマーに対するコーディングマーカーの特異的増幅によって、タイプ2の配列の存在が暴かれる。増幅の欠如によって、ラベルされていない製品、従って、おそらく模倣品が暴かれる。間違ったプライマーの対を用いた、又は、いくつかのプライマーの対を用いたマーカーの増幅によって、製品に関する策略(キュヴェ、混合物に対する策略)が暴かれる。
【0176】
3.c.2 材料
−Taqポリメラーゼ(Applied Biosystems)AmpliTaq Gold。
−10Buffer×PCR Buffer II(Applied Biosystems)。
−MgCl溶液(25mM)(Applied Biosystems)。
−普遍的なセンスプライマー(Eurofins MWG GmbH)、100ピコモル/μL。5’ACGTTGCAGCGAGCG3’(SEQ ID番号:56)。
−アンチセンスプライマー(可変配列V2を参照:アンチセンスプライマーはその逆補体である)(Eurofins MWG GmbH)、100ピコモル/μL。
−dNTP(2mM)。
−アガロースゲル(Agarose Electrophesis Grade、Invitrogen、参照:15510−027)。
−トリス・ホウ酸緩衝液EDTA(TBE)0.5×。
−エチジウムブロマイド。
【0177】
3.c.3 方法
200μLのチューブ(Eppendorf登録商標)に、ピペットP2、P10、及びP100を使用して、表16に従って試薬を添加する。
【0178】
【表16】

ポリメラーゼ連鎖反応は、従って、以下のサイクルを守ることによって、GeneAmp PCR System 9700装置(Applied Biosystems)上で開始される。
【0179】
【表17】

ポリメラーゼ連鎖反応生成物は、従って、TBE0.5×において調製された0.5%アガロースゲル上に堆積され、バッファーTBE0.5×中を10V.cm−1まで移動するよう配置される。十分な移動時間の後、ゲルは、BETを含有する浴槽に配置され、すすがれた後に紫外線下で可視化される。全ての製品に対して、ストリップの欠如によって、マーカーが検出されなかったこと、又は、配列2は使用されたプライマーのタイプに対応しないことが暴かれる。(358bpのサイズの)ストリップは増幅に対応し、従って、コーディングマーカーの特異的配列の検出に対応する。
【0180】
全ての陽性検出に対して、アンプリコンが標的マーカーの可能な検出のために保管される。
【0181】
III.D 標的マーカーの検出
3.d.1 原理
より完全なラベリングの検出のために、標的マーカーは製品において探し求められる。コーディングマーカーを解読することによってのみ、標的マーカーを検出することができる。この検出は、ポリメラーゼ連鎖反応により先だって得られたアンプリコン上で実行される。第1のステップは、コーディングマーカー上、従って、アンプリコン上に含有される情報を解読することに存する。この情報(配列1)によって、相関表のおかげで、どの標的マーカーが製品に存在するかを知ることが可能になり、その存在はラベリング情報を保有している。これを知ることによって、全標的マーカーの検出が、DNAマイクロアレイを使用することによって達成される。この検出を暴いた後、ユーザーは、どの標的マーカーが製品に存在し、どの標的マーカーが製品に存在しないかを知ることが可能であり、これらの結果を、コーディングマーカー上で保有された情報を解読することによって理論上得られた結果に比較することができる。
【0182】
3.d.2 材料
−普遍的なセンスプライマー(Eurofins MWG GmbH)、100ピコモル/μL。5’ACGTTGCAGCGAGCG3’(SEQ ID番号:56)。
−Big Dye(登録商標)Terminator V3.1(Applied Biosystems)。
−鋳型:コーディングアンプリコンマーカー。
−ヌクレアーゼフリーの脱イオンしたHO。
【0183】
3.d.3 方法
表18に要約されたプロトコルに従って、200μLのチューブ(Eppendorf登録商標)において、配列決定反応が、アンプリコンのそれぞれに対して実行される。
【0184】
【表18】

反応は、次に、以下のサイクルを守ることによって、GeneAmp PCR System 9700装置(Applied Biosystems)上で開始される。
【0185】
【表19】

カラムベースの精製(Qiagen登録商標)の後、反応は、次に、16キャピラリーシークエンサーABl3100(Applied Biosystems)において配列決定される。
【0186】
可変配列1(又はラベル1)がこれらの配列の結果から抽出される。これらの配列は、以下の表(表20)を調べることによって、どの標的マーカーが混合液中に存在しなければならないかを見つけることを可能にする。
【0187】
【表20】

標的マーカーは、次に、実施例1に要約された技術に従って検出される。この検出によって、当然ながら、各製品に存在する約10個のマーカーが暴かれるが、関連する情報の引き出し方を知っているコーディングマーカーと比較することによる。
【実施例4】
【0188】
本発明の方法に従った医薬品のラベリング
この実施例は、本発明のラベリング方法に従った、数多くの医療製法に利用されるもの等、カプレットの形状である医薬品のマークの仕方を示している。実施例1のプロトコルが使用される。
【0189】
IV.A.カプセル内へのポリヌクレオチドの注入
4.a.1 原理
マーカーは、第一に、エタノール溶液(80%)に配置され、次に、カプレット製造工程の間に、標的及びデコイマーカーに対して400mgのカプレットあたり10−12モルという最終濃度、並びに、コーディングマーカーに対してカプレットあたり10−14モルという濃度で取り込まれる。この実施例に対して、カプレットはいかなる有効成分も含有しない。
【0190】
4.a.2 材料
−合成ポリヌクレオチド(Eurofins MWG GmbH)、100ピコモル/μL。
−環状一本鎖デオキシリボ核酸(コーディングマーカー)。
−ヌクレアーゼフリーの脱イオンされたHO。
−ベータラクトース、Sigma Aldrich(登録商標)#L3750−500G。
−コーンスターチ、Sigma Aldrich(登録商標)#S4180−500G。
−燐酸二水素カルシウム、Sigma Aldrich(登録商標)#307645。
−シュガーシロップ。
−ステアリン酸マグネシウム、Sigma Aldrich(登録商標)#26454−1KG。
【0191】
4.a.3 方法
a.マーカー溶液の調製
マーカーは、実施例1と同じ様式で調製される。
【0192】
しかし、予備の混合液は、カプレットにおけるポリヌクレオチドの取り込みに対して80%エタノール溶液で達成される。
【0193】
b.カプレットの調製
カプレットは、300gの顆粒から調製される。前記顆粒を構成する種々の粉末は、以下の処方に従って、第一に、重さが量られ、次に、混ぜ合わされる(“Lodigge”タイプバレルタイプの高速造粒機)。
−ベータラクトース:120g。
−コーンスターチ:60g。
−燐酸二水素カルシウム:120g。
【0194】
次に、湿潤液が、100gのシュガーシロップ及び750μLのマーカー溶液から調製される。次に、粗粒子状のセモリナの態様を有した湿性の塊を獲得するまでこの湿潤液を粉末の混合物に徐々に添加し、次に、(転動造粒機を使用して)前記混合物を顆粒状にして湿性の虫様の顆粒を得る。
【0195】
前記顆粒を、次に、4から6%の湿度測定が得られるまで60℃の温度で乾かし、次に、ふるいカラムにかけて微粒子を取り除く。1%のステアリン酸マグネシウムを使用した注油の後、前記顆粒は圧縮機内に詰め込まれ、次に、そこに押しつけて圧縮される。
【0196】
IV.B.マーカーの抽出及び検出
ポリヌクレオチドの抽出ステップを除いて、マーカーは、実施例1と同じ様式で検出される。
【0197】
4.b.1 抽出原理
マーカーは、カプレットを製粉し、次に、水相においてポリヌクレオチドを回復させることによって抽出される。
【0198】
4.b.2 材料
−ラベルされたカプレット。
−加温ブロック又は水浴。
−H2O脱塩、ヌクレアーゼフリー。
【0199】
4.b.3 方法
カプレットは、非常に細かな粉末を得るため等、乳鉢及び乳棒を使用して製粉される。この粉末は、次に、1.5mLのチューブ(Eppendorf登録商標)において1mLの蒸留水と混ぜ合わされる。70℃で15分間加熱した後、チューブは、5000rcfで5分間遠心分離されて、固体粒子を取り除く。ポリヌクレオチド認証ステップのために、水相が、次に、新たなチューブに取り込まれる。ポリヌクレオチドは、次に、実施例1に記述した方法に従って検出することができる。
【実施例5】
【0200】
本発明の方法に従った食品のラベリング
この実施例は、マークをした後に、ピザ生地等の食品からマーカーを抽出する方法を示している。マーカーは、新たな生地に調製中に注入され、その後、消費される準備が整った、調理されているか又はされていない最終製品において検出することができる。
【0201】
V.A 生地のラベリング
5.a.1 原理
マーカーは、脱塩された水において予め希釈される。標的、コーディング、及びデコイポリヌクレオチドの混合物が、実施例1に示されるように使用され、次に、このピザ生地レシピに組み込まれ、次に、調理される。
【0202】
5.a.2 材料
−合成ポリヌクレオチド(Eurofins MWG GmbH)、100ピコモル/μL。
−環状一本鎖デオキシリボ核酸(コーディングマーカー)。
−ヌクレアーゼフリーの脱イオンされたHO。
−ピザ生地用の材料:T45小麦粉“All−purpose wheat flour for tasty preparations”Francine(登録商標)、オリーブオイル“Extra virgin cold pressed olive oil”Carapelli(登録商標)、イースト“baker’s yeast for bread”Francine(登録商標)、砂糖“white castor sugar”Daddy(登録商標)、塩“essential white fine iodized salt”Cerebos(登録商標)。
【0203】
5.a.3 方法
実施例1で要約されているように、標的、コーディング、及びデコイマーカーの予備の溶液が添加されて調製され、ピペットP200(Gilson Pipetman登録商標)を使用して、マーカーにおいて1−10モル/キログラムの(各非デコイマーカーに対しては、すなわち2−9モル/キログラムのポリヌクレオチドの)最終濃度を得るのには十分な量で、その製造の間にピザ生地に添加される。以下の表(表21)は、828グラムの生のピザ生地を得るための種々の量の材料を示している。
【0204】
【表21】

生地は、次に、240℃の平均温度で15分間オーブンにおいて焼かれる。
【0205】
V.B マーカーの抽出
マーカーは、調理された生地の一部を脱塩された水に溶解することによって抽出され、1グラムの調理された生地は粉末に変えられ、次に、10mLの水に取り込まれる。全体を、次に、勢いよく混ぜ合わせた後、94℃で15分間加熱するように置かれる。10000rcfで5分間遠心分離した後、水相が回収され、マーカーの検出のために4℃で貯蔵される。これらのマーカーを実施例1に示された技術に従い検出した。
【実施例6】
【0206】
本発明の方法によるタバコのラベリング
この実施例は、タバコのマークの仕方を示している。タバコは、実施例1に示されたもの等のポリヌクレオチドを使用して、タバコの直接の吸収によってラベルされる。
【0207】
VI.A タバコのラベリング
6.a.1 原理
ラベリングは、“blondes”(Virgiia tobacco cigarettes)と呼ばれる紙巻きタバコのタバコに付属する。このサンプルに対しては、実施例1で記述したもの等の、標的ポリヌクレオチドとコーディングヌクレオチドとデコイポリヌクレオチドとの混合物が吸収される。
【0208】
6.a.2 材料
−合成ポリヌクレオチド(Eurofins MWG GmbH)、100ピコモル/μL。
−環状一本鎖デオキシリボ核酸(コーディングマーカー)。
−エタノール(変性エタノール無水、Sigma−Aldrich#676829)。
−ヌクレアーゼフリーの脱イオンされたHO。
−Marlboro cigarettes(登録商標)、Philip Morris Products Plc.。
【0209】
6.a.3 方法
タバコは、実施例1に記述された方法に従って調製したポリヌクレオチド溶液によってラベルされる。
【0210】
1グラムのタバコ・紙巻きタバコ抽出物が、例えば最終的に1グラムのタバコあたり10−12モルのマーカーを得るためにラベルされ、ピペットP200(Gilson Pipetman登録商標)を使用して十分な量のプレラベリング溶液が直接タバコ上に注入され、次に、37℃の温度で15分間全体が勢いよく混ぜ合わされる。
【0211】
このようにラベルされたタバコは、次に、16℃の温度及び70%の湿度測定で保管される。
【0212】
VI.B マーカーの抽出及び同定
マーカーは、ラベルしたタバコを脱塩された水の中に浸すことによって抽出され、1グラムのタバコが、10mLの脱イオンされた蒸留水の中に浸されるようにされ、次に、94℃で15分間加熱するようにされる。
【0213】
10000rcfで5分間遠心分離した後、水相が回収され、マーカーの検出のために4℃で貯蔵される。これらのマーカーは、実施例1に示された技術に従って検出することができる。
【実施例7】
【0214】
本発明の方法に従った炭化水素のラベリング
この実施例は、炭化水素(原油)のマークの仕方、及び、どの技術を使用してマーカーを抽出しラベリングを検出することができるかを示している。
【0215】
VII.A 炭化水素のラベリング
7.a.1 原理
この実施例では、極性の有機溶剤において先だって調製したポリヌクレオチドを使用して、原油のサンプルがラベルされる。ラベリングは、例えば実施例1で記述したように、標的ポリヌクレオチド、コーディングポリヌクレオチド、及び、デコイポリヌクレオチドからなる。
【0216】
7.a.2 材料
−合成ポリヌクレオチド(Eurofins MWG GmbH)、100ピコモル/μL。
−環状一本鎖デオキシリボ核酸(コーディングマーカー)。
−ヌクレアーゼフリーの脱イオンされたHO。
−ジメチルスルホキシド(DMSO)、Euromedex ref UD8050−A。
−原油(IFP)。
【0217】
7.a.3 方法
一本鎖の標的ポリヌクレオチド、コーディング、及び、デコイの溶液が、例えば実施例1で記述したように調製される。
【0218】
次に、原油にマーカーを入れる前に、第2の予備の混合物がDMSOにおいて得られる。
【0219】
マーカーの第2の予備の溶液が、次に、精密なピペット(Gilson Pipetman登録商標)を使用して、10−10モル/Lのマーカーという最終濃度を得るのに十分な量で原油に混ぜ合わされる。
【0220】
ラベルした原油は、次に、マーカーを同定する目的で外気温にて貯蔵される。
【0221】
VII.B マーカーの抽出及び検出
7.b.1 原理
マーカーは、その無極性の環境から抽出され、次に、同定技術を使用することを目的として、水性の環境において回復させられる。
【0222】
7.b.2 材料
−UltraPure phenol(商標)Buffer−Saturated Phenol、Invitrogen。
−クロロホルム/アミルアルコール(24:1)。
−3M 酢酸ナトリウム。
−95% 凍結エタノール(Carlo Erba Rectapur)、75%。
−ヌクレアーゼフリーの脱イオンした水。
−ヘキサン(Sigma、参照H9379−1L)。
【0223】
7.b.3 方法
使用される技術は、フェノールクロロホルム抽出の技術である。例えば、マーカーは、500μLの原油から抽出される。
−2ボリュームのヘキサンを添加する。
−1/2ボリュームのフェノール(250μL)、1/2ボリュームのクロロホルム(250μL)、及び、1/2ボリュームの水(250μL)を添加し、30秒間非常に勢いよく混ぜ合わせる。10000rcfで30分間遠心分離する。
−新たなチューブに水相を移し、1ボリュームのクロロホルムを添加する。非常に勢いよく混ぜ合わせ、10000rcfで20分間遠心分離する。このステップを5回繰り返す。
−新たなチューブに水相を移し、1/10ボリュームの3M酢酸ナトリウム、及び、2.5ボリュームの凍結エタノールを添加する。混ぜ合わせた後、−20℃で1時間インキュベートする。
−10000rcfで10分間遠心分離する。上澄みを捨て、200μLのヌクレアーゼフリーの脱イオン水でペレットを入念に洗浄する。
【0224】
これらのマーカーは、実施例1で示した技術に従って検出することができる。
【実施例8】
【0225】
本発明の方法に従った生鮮食品のラベリング
この実施例では、ポリヌクレオチドの混合物を使用して生鮮食品がラベルされる。製品は、酪農製品ヨーグルトである。
【0226】
VIII.ヨーグルトのラベリング
8.a.1 原理
マーカーは、脱塩された水において予め希釈される。ラベリングは、例えば実施例1で記述したように、標的ポリヌクレオチド、コーディングヌクレオチド、及び、デコイヌクレオチドからなる。
【0227】
8.a.2 材料
−合成ポリヌクレオチド(Eurofins MWG GmbH)、100ピコモル/μL。
−環状一本鎖デオキシリボ核酸(コーディングマーカー)。
−ヌクレアーゼフリーの脱イオンされたHO。
−Danone(登録商標)によるActivia yogurt(登録商標)。
【0228】
8.a.3 方法
標的、コーディング、及びデコイポリヌクレオチドの予備の溶液が、ピペットP10(Gilson Pipetman登録商標)を使用して、マーカーにおいて1−10モル/キログラムの(各非デコイマーカーに対しては、すなわち2−9モル/キログラムのポリヌクレオチドの)最終濃度を得るのには十分な量で、ひとかたまりになったヨーグルトに添加され、次に、2μLの予備の溶液が製品のかたまりに注入される。全体を、次に、無菌のへらを使用して均質化する。
【0229】
ラベルしたヨーグルトは、次に、マーカーの同定を待つ間4℃で貯蔵される。
【0230】
VIII.B マーカーの抽出
マーカーは、ヨーグルトの一部を脱塩された水に溶解することによって抽出され、1グラムのヨーグルトは、10mLの水に取り込まれる。全体を、次に、勢いよく混ぜ合わせた後、94℃で15分間加熱するように置かれる。10000rcfで5分間遠心分離した後、水相が回収され、マーカーの検出のために4℃で貯蔵される。これらのマーカーは、実施例1に示した技術に従って検出することができる。
【実施例9】
【0231】
本発明の方法に従った飲料のラベリング
実施例1に記述したもの等のポリヌクレオチドを使用して、ノンアルコールのソフトドリンクがラベルされる:Orangina(登録商標)、Schweppes International Limited。
【0232】
IX.A 飲料のラベリング
9.a.1 原理
標的、コーディング、及びデコイマーカーが、脱塩された水において予め希釈され、次に、直接ドリンク内に混ぜ込まれる。
【0233】
9.a.2 材料
−合成ポリヌクレオチド(Eurofins MWG GmbH)、100ピコモル/μL。
−環状一本鎖デオキシリボ核酸(コーディングマーカー)。
−ヌクレアーゼフリーの脱イオンされたHO。
−Orangina(登録商標)、Schweppes International Limited。
【0234】
9.a.3 方法
ドリンク内にマーカーを入れる前に、予備の混合物が脱イオン水において得られる。
【0235】
マーカーの予備の溶液が、マーカーにおいて1−10モル/Lの(各非デコイポリヌクレオチドに対しては、すなわち2−9モル/Lのポリヌクレオチドの)最終濃度を得るのには十分な量で、ドリンクに混ぜられる。
【0236】
ラベルしたドリンクは、次に、密封された容器において4℃で貯蔵される。
【0237】
IX.B マーカーの抽出
マーカーは、実施例1に示したフェノール−クロロホルム技術を使用して抽出される。
【0238】
これらのマーカーは、実施例1に示した技術に従って検出することができる。
【実施例10】
【0239】
本発明の方法に従った紙基材のラベリング
この実施例は、ラベルした後に紙基材からマーカーを抽出する方法を示している。マーカーは、紙によって直接吸収され、その後、ラベルされた紙を溶解することによって検出される。
【0240】
X.A 紙のラベリング
10.a.1 原理
実施例1で記述したもの等の標的、コーディング、及びデコイポリヌクレオチドが、脱塩された水において予め希釈される。このように、液滴が1枚の紙の表面上で吸収される。
【0241】
10.a.2 材料
−合成ポリヌクレオチド(Eurofins MWG GmbH)、100ピコモル/μL。
−環状一本鎖デオキシリボ核酸(コーディングマーカー)。
−脱イオンされたヌクレアーゼフリーのHO。
−濾紙“1 QUALITATIVE Filter Paper”、Whatman(登録商標)。
【0242】
10.a.3 方法
例えば実施例1で要約されたように予備の混合が、1枚の紙に堆積させる前に、脱イオン水において実行される。
【0243】
マーカーの予備の溶液が、従って、1E−12モルのマーカーが堆積されるように紙の上に堆積される。1μLの予備の溶液が、精密なピペットP10(Gilson Pipetman登録商標)を使用して堆積され、従って、5mm−直径の円盤を形成する。
【0244】
紙は、戸外において乾かされた後、マーカーを検出する目的で保管される。
【0245】
X.B マーカーの抽出
マーカーは、脱塩された水において紙の一部を溶解することによって抽出され:マーカーの円盤を含有した1cmの紙が、非常に小さな一片にカットされ、次に、10mLの水に沈められる。全体が、次に、94℃で15分間加熱するようにされる。
【0246】
紙のパルプは、非常に勢いよく混ぜられ、次に、ピペットを使用した吸引−放出によって均質化される。2000rcfで5分間遠心分離した後、水相は回収され、マーカーの検出のために4℃で貯蔵される。これらのマーカーは、実施例1で示した技術に従って検出することができる。
【実施例11】
【0247】
本発明の方法に従ったラベルされた製品に対する嗅覚及び老化試験
化粧品製造業者と共に、時間の経過に伴う安定性の試験及び老化試験を一緒に実行した。嗅覚試験は、本発明に従ったラベリングを実行することによって、標的、コーディング、及びデコイポリヌクレオチドの添加が香水の物理化学的性質並びに嗅覚性質を改変しないことをチェックするのを可能にした。これらの試験を、いくつかの香水に対して、及び、いくつかの条件に従って実行してきた。5℃で1ヶ月は参照として役割を果たし、50℃で1ヶ月並びに日中の光に曝露させての1ヶ月は、香水の促進老化をシミュレートした。
【0248】
老化の後、試験は、どんな老化方法であろうとも、ポリヌクレオチドを含有した溶液が、ポリヌクレオチドを含有していない溶液と同じ物理化学的性質及び嗅覚性質を維持していることを示した。さらに、ボトルごとに、マーカーを抽出し、次に、同定することに成功した。
【実施例12】
【0249】
本発明の方法に従ったラベルされた製品に対する嗅覚及び老化試験
付随の図8は、本発明によるラベリングの検出模式図、及び、本発明によるラベルした製品の認証を表している。
【0250】
この図において、
1−コーディングマーカーが同定されている。製品の認証における第1レベルはその存在に存する。製品がコーディングマーカーを含有しない場合、その製品は模倣品である。
2−デコイ及び標的マーカーが次に製品において同定される。この図では、製品を一連の20個の推測上の標的及びデコイポリヌクレオチドでラベルした。従って、製品は、このバッチから選択された1から20個のマーカーを含有している。当該方法のこのステップでは、標的及びデコイマーカーは区別されていない(ポリヌクレオチドが標的ポリヌクレオチドか又はデコイポリヌクレオチドかどうかを言うことは不可能である)。
3−第1のステップ中に検出したコーディングポリヌクレオチド(ここでは、ポリヌクレオチドA)の本質が、次に、ラベリング提供者に送られる。この情報のおかげで、ラベリング提供者は、データベースからラベリングの解読キーを取り戻し、従って、一連のデコイ及び標的ポリヌクレオチドからデコイポリヌクレオチドと標的ポリヌクレオチドとを区別することが可能になる。
4−解読キーを使用して、ユーザーは、標的ポリヌクレオチドのみを気にかける。ユーザーは、従って、1又は複数の標的ポリヌクレオチドの有無によって構成されるコードを解読することができる(この実施例では、コードは、−、−、+、及び−である)。
5−コードの解読は、従って、ユーザーが、安全なデータベースを使用して、同定コードが実際に関心のある製品に対応しているかどうかをチェックするのを可能にする。反対のケースにおいては、コードの解読は、混合物の違法な複製又は製品の着服に存する場合がある。
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【0251】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品をラベルする方法であって、
前記製品の上か又は前記製品の中に複数の一本鎖ポリヌクレオチドを添加するステップを含み、前記複数のポリヌクレオチドは、
所定の長さ及び配列の一本鎖ポリヌクレオチドから構成される少なくとも1つの標的ポリヌクレオチド、並びに
同一又は異なる所定の長さ、及び、同一又は異なる所定の配列を有したデコイポリヌクレオチドを含み、前記デコイポリヌクレオチドは、前記少なくとも1つの標的ポリヌクレオチドと同一又は異なる1又は複数の長さ、及び、前記少なくとも1つの標的ポリヌクレオチドの配列とは異なる配列を有し、
前記標的ポリヌクレオチド及びデコイポリヌクレオチドのそれぞれは、前記複数のポリヌクレオチドのうちその他のポリヌクレオチドのいずれともハイブリッドを形成せず、
前記複数のポリヌクレオチドのうちのポリヌクレオチドが、デオキシリボ核酸配列又はリボ核酸配列であり、それぞれ、同じ割合の4つの天然若しくは修飾型の塩基A、C、G、及びT、又は、A、C、G、及びUを含む、方法。
【請求項2】
前記複数のポリヌクレオチドが、前記少なくとも1つの標的ポリヌクレオチドの性質及び配列を同定するために所定の長さ及び配列の一本鎖ポリヌクレオチドから構成された少なくとも1つの認識ポリヌクレオチドをさらに含み、各認識ポリヌクレオチドは、前記複数のポリヌクレオチドのうちその他のポリヌクレオチドのいずれともハイブリッドを形成しない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のポリヌクレオチドのうちのポリヌクレオチドが、環状又は直鎖状である、請求項1に記載のラベリング方法。
【請求項4】
少なくとも2つの標的ポリヌクレオチドが使用され、1つは環状ポリヌクレオチドであり、もう一方は直鎖状のポリヌクレオチドである、請求項1に記載のラベリング方法。
【請求項5】
前記直鎖状のポリヌクレオチドが、1つのポリヌクレオチドから別のポリヌクレオチドまで可変の末端、及び、1つのポリヌクレオチドから別のポリヌクレオチドまで一定の末端を含む、請求項3又は4に記載のラベリング方法。
【請求項6】
前記複数のポリヌクレオチドのうちの前記少なくとも1つの標的ポリヌクレオチドが、5から50ヌクレオチドの長さを有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のラベリング方法。
【請求項7】
前記複数のポリヌクレオチドのうちのポリヌクレオチドが、5から5000ヌクレオチドの長さを有する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のラベリング方法。
【請求項8】
前記添加ステップが、前記複数のポリヌクレオチドを前記製品に、その製造中に、最終製品内又は最終製品上に添加することによって実行される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のラベリング方法。
【請求項9】
前記添加ステップが、前記複数のポリヌクレオチドを前記製品の表面に添加することによって実行される、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のラベリング方法。
【請求項10】
脂質ベクターにおける前記複数のポリヌクレオチドの被包ステップが、前記添加ステップに先立ち実行される、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のラベリング方法。
【請求項11】
前記複数のポリヌクレオチドの導入ステップが、前記製品の構成要素上又は構成要素内で実行される、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のラベリング方法。
【請求項12】
前記製品への添加後の前記複数のポリヌクレオチドの濃度が、10−6モル/dm3から10−18モル/dm3である、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のラベリング方法。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の方法によって入手可能なラベルされた製品。
【請求項14】
香水、化粧品、衛生品、食品、調味料、植物エキス、タバコ、飲料、布地、皮、薬品、粉末剤、ニス、インク、食品、炭化水素、紙、ペンキ、並びに、化学製品及び化合物を含む群から選択される、請求項13に記載のラベルされた製品。
【請求項15】
請求項13に記載の製品のラベリングを検出する方法であって、特に前記少なくとも1つの標的ポリヌクレオチドを検出することを可能にする前記複数のポリヌクレオチドの分析ステップを含み、以下の連続するステップ:
(i)前記複数のポリヌクレオチドを固体の支持体と接触させるステップであって、前記支持体上にはプローブ配列が固定され、これらのプローブ配列は、前記製品のラベリングの前記複数のポリヌクレオチドのうち前記少なくとも1つの標的ポリヌクレオチドの前記末端の1つに相補的であり、前記支持体上に固定された前記相補的なプローブ配列とのハイブリダイゼーションによって前記標的ポリヌクレオチドが前記支持体上に固定されるのを可能にするステップ;
(ii)ステップ(i)によってハイブリッドを形成しない前記ポリヌクレオチドを除去するステップ;
(iii)前記標的ポリヌクレオチドの前記支持体上での存在を検出するステップ;並びに
(iv)ステップ(iii)の結果をデータベースの内容と比較し、前記製品を同定及び認証することを可能にするステップ;
を含む方法。
【請求項16】
前記分析ステップの前に:
(a)前記製品のサンプルを取って調べるステップ;及び
(b)前記サンプルから前記複数のポリヌクレオチドを抽出するステップ;
をさらに含み、前記分析ステップは、前記サンプルから抽出された前記複数のポリヌクレオチド上で達成される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記分析ステップが、前記標的ポリヌクレオチドのポリメラーゼ連鎖反応を含む、請求項15又は16に記載の検出方法。
【請求項18】
前記分析ステップが免疫検出によって実行される、請求項15乃至17のいずれか一項に記載の検出方法。
【請求項19】
前記標的ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドが、ビオチン/ストレプトアビジン結合によって前記固体の支持体に固定される、請求項15に記載のラベリングを検出する方法。
【請求項20】
前記標的ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドが、前記固体の支持体を形成するチャージされていないナイロン膜への共有結合を形成することによって前記支持体に固定される、請求項15に記載のラベリングを検出する方法。
【請求項21】
前記支持体に固定された前記標的ポリヌクレオチドは、ラベリング剤によりラベルされて前記標的ポリヌクレオチドのうちもう一方の末端に相補的なポリヌクレオチドによって検出され、前記ラベリング剤は、蛍光色素、金コロイド粒子、及び酵素を含めた群から選択される、請求項15乃至20のいずれか一項に記載のラベリングを検出する方法。
【請求項22】
前記データベースによって、前記製品の起源を決定することが可能になる、請求項15に記載のラベリングを検出する方法。
【請求項23】
前記データベースによって、オリジナル製品の模倣品を同定することが可能になる、請求項15乃至22のいずれか一項に記載のラベリングを検出する方法。
【請求項24】
ステップ(b)で規定されたもの等の抽出が、フェノール−クロロホルム抽出である、請求項15乃至23のいずれか一項に記載のラベリングを検出する方法。
【請求項25】
分析ステップが、前記標的ポリヌクレオチドがリボ核酸である場合の、デオキシリボ核酸へのリボ核酸の逆転写を含む、請求項15乃至24のいずれか一項に記載の検出方法。
【請求項26】
前記分析ステップが、前記標的ポリヌクレオチドを配列決定するステップを含む、請求項15乃至24のいずれか一項に記載の検出方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−521620(P2011−521620A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504495(P2011−504495)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【国際出願番号】PCT/FR2009/000422
【国際公開番号】WO2009/136014
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(510272632)
【出願人】(510272654)
【Fターム(参考)】