説明

複数のメディアデバイスへのアクセスを統合する層を有するマルチメディアシステムのフレームワーク

【課題】マルチメディアシステムにおける複数のデバイスからメディアコンテンツを識別してアクセスする、より効果的なマルチメディアフレームワークおよびそれを実装したマルチメディアシステムを提供すること。
【解決手段】複数のマルチメディアソースからのマルチメディアファイル情報が一般にアクセスが可能なフォーマットに統合されているデータベースと、該マルチメディアと該データベースとにアクセスするように構成されたマルチメディアエンジンと、該マルチメディアエンジンと相互作用することにより、該データベースに格納された情報に基づいて該マルチメディアファイルにアクセスするためのグラフィカルインターフェースを提供するように構成されたヒューマンマシーンインターフェースとを備えているマルチメディアシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、2006年8月31日出願の米国仮特許出願第60/841,659号に対する優先権を主張し、本明細書中に参照として援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、マルチメディアの分野に関し、特に、多様なメディアセットを有する複数のメディアデバイスへのアクセスを統合する層を有するマルチメディアシステムフレームワークに関連する。
【背景技術】
【0003】
マルチメディアシステムは、マルチメディアコンテンツの再生のために複数のメディアプレーヤーを用い得る。そのようなプレーヤーは、符号化された音楽ファイルを再生するセキュアデジタル(SD)カードを有する携帯電話、符号化された音楽ファイルの格納および再生のためのソニーメモリースティック技術を用いるソニーのプレイステーションポータブルユニット、ビデオメディアファイル、メディアファイルの格納および再生のための内部ハードディスクドライブを使用するiPod(登録商標)デバイスおよびユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュメモリを使用するものを含む他のメディアプレーヤーを含む。メディアファイルは、様々な異なるフォーマットを用いてこれらのデバイスに符号化され得、該フォーマットは、MPEG layerIII(MP3)エンコーディング、Windows(登録商標) Media Audio(WMA)エンコーディング、Windows(登録商標) Media Videoエンコーディング、RealAudioエンコーディング、RealVideoエンコーディング、DVDビデオ、CDオーディオなどである。
【0004】
そのようなシステムにおいて、ユーザは、第1、にメディアファイルが再生されるべきデバイスを識別し、次いで再生のためのデバイス上の特定のメディアファイルを識別する。システムに幾つかの異なるプレーヤーが取り付けられており、それぞれが多数のメディアファイルを有するときには、ユーザが、所望のメディアファイルが格納されているデバイスの最新の状態を把握することは、非常に困難となる。特定のデバイスから所定のアイテムが再生されることを制限する音楽またはビデオのライセンス権は、所望のアイテムの位置検出および再生の問題をさらに複雑化する。物理的な位置に基づいてメディアを区分することは、現在の車両メディアシステムにおいて一般的となっているが、安全性のリスクをも生じさせ得、それは、エンドユーザが車を運転中に、様々なソースからメディアの位置を探そうとするときに起こり得る注意の散漫のせいである。
【0005】
車両に用いられるようなマルチメディアシステムは、各メディアデバイス内に含まれたメタデータを用いて、装着されたメディアデバイスのコンテンツをアドレスする。従って、コンテンツの再生は、メディアデバイスの選択およびデバイスから検索されたメタデータのブラウジングを含む。所望のコンテンツが、表示されたメタデータからユーザによって識別されると、それは、マルチメディアシステムを介して再生され得る。
【0006】
従って、エンドユーザがマルチメディアシステムに装着されたメディアデバイスの数を増やし、エンターテイメントサービスに加入し、かつ複数のストレージロケーションにアクセスを有するようになるにつれて、それらの全ては同様の機能のパフォーマンスを要求し得るが、ユーザの関与を少なくしたコンテンツの位置検出および再生が、ますます重要になる。従って、マルチメディアシステムにおける複数のデバイスからメディアコンテンツを識別してアクセスする、より効果的なマルチメディアフレームワークの開発が、該当の産業分野に必要である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
マルチメディアシステムが述べられており、該マルチメディアシステムは、マルチメディアエンジン、データベースおよびヒューマンマシーンインターフェースを備えている。マルチメディアエンジンは、1つ以上のマルチメディア出力デバイスの再生のために、複数のマルチメディアデータソースからマルチメディアファイルにアクセスするように構成され得る。データベースは、複数のマルチメディアデータソースに格納されたマルチメディアファイルに関連する情報を格納するように構成され得る。複数のマルチメディアデータソースからのマルチメディアファイル情報は、データベースにおいて一般にアクセス可能なフォーマットに統合され得る。ヒューマンマシーンインターフェースは、複数のマルチメディアデータソースからの対応するマルチメディアファイルの再生のために、データベースに格納された情報に対するグラフィカルインターフェースを提供するように構成され得る。
【0008】
他のシステム、方法、特徴および本発明の利点は、以下の図面および詳細な記述の考察によって当業者に明らかになる。そのような全ての追加のシステム、方法、特徴および利点は、本記述内に含められ、本発明の範囲内であり、本明細書中の特許請求の範囲において保護されることが意図される。
【0009】
本発明は、さらに、以下の手段を提供する。
【0010】
(項目1)
マルチメディアシステムであって、
複数のマルチメディアデータソースに格納されたマルチメディアファイルに関連する情報を格納するデータベースであって、該複数のマルチメディアデータソースからの該マルチメディアファイル情報は、該データベースにおいて一般にアクセスが可能なフォーマットに統合されている、データベースと、
該マルチメディアファイルと該データベースとにアクセスするように構成されたマルチメディアエンジンと、
該マルチメディアエンジンと相互作用することにより、該データベースに格納された情報に基づいて該マルチメディアファイルにアクセスするためのグラフィカルインターフェースを提供するように構成された、ヒューマンマシーンインターフェースであって、該相互作用は、該複数のマルチメディアデータソースのうちの、該マルチメディアファイルを含むものからほぼ独立している、ヒューマンマシーンインターフェースと
を備えている、マルチメディアシステム。
【0011】
(項目2)
上記マルチメディアエンジンは、上記複数のマルチメディアデータソースに格納された上記マルチメディアファイルに関連する情報を、上記データベースに格納された上記情報に同期させるように構成された同期化ソフトウェアを備えている、項目1に記載のマルチメディアシステム。
【0012】
(項目3)
上記同期化ソフトウェアは、上記マルチメディアファイルに関連するメタデータ情報を、上記データベースに格納された上記情報に同期させるように構成されている、項目2に記載のマルチメディアシステム。
【0013】
(項目4)
上記同期化ソフトウェアは、上記マルチメディアファイルに関連するプレイリスト情報を、上記データベースに格納されたプレイリスト情報に同期させるように構成されている、項目2に記載のマルチメディアシステム。
【0014】
(項目5)
上記データベースは、上記マルチメディアエンジンによって識別された1つ以上の物理的なデバイスを記述する情報を含むメディアストア表を備えている、項目1に記載のマルチメディアシステム。
【0015】
(項目6)
上記データベースは、ファイルシステムのロケーションに対応する情報を含むスロット表を備え、該ファイルシステムのロケーションにおいて、メディアストアは、上記マルチメディアエンジンによって接続および除去され得る、項目1に記載のマルチメディアシステム。
【0016】
(項目7)
上記データベースは、メインの記録表と1つ以上のリンクした表とを備え、該メインの記録表は、個別のマルチメディアファイルに関連する情報を有するエントリを備えている、項目1に記載のマルチメディアシステム。
【0017】
(項目8)
上記メインの記録表における個別のエントリは、対応するマルチメディアファイルに対するメディアストア情報を含み、該メディアストア情報は、上記マルチメディアエンジンによって識別された1つ以上の物理的なデバイスを記述する情報を有するメディアストア表にリンクされている、項目7に記載のマルチメディアシステム。
【0018】
(項目9)
上記データベースは、ファイルシステムのロケーションに対応する情報を含むスロット表を含み、該ファイルシステムのロケーションにおいて、上記メディアストアは、上記マルチメディアエンジンによって接続および除去され得る、項目8に記載のマルチメディアシステム。
【0019】
(項目10)
マルチメディアシステムであって、
複数のマルチメディアデータソースに格納されたマルチメディアファイルに関連する情報を格納するデータベース手段であって、該複数のマルチメディアデータソースからの該マルチメディアファイル情報は、該データベース手段において一般にアクセスが可能なフォーマットに統合されている、データベース手段と、
該マルチメディアファイルと該データベースとにアクセスするためのマルチメディアエンジン手段と、
該マルチメディアエンジン手段と相互作用することにより、該データベース手段に格納された情報に基づいて該マルチメディアファイルにアクセスするためのグラフィカルインターフェースを提供するヒューマンマシーンインターフェースであって、該相互作用は、複数のマルチメディアデータソースのうちの、該マルチメディアファイルを含むものからほぼ独立している、ヒューマンマシーンインターフェースと
を備えている、マルチメディアシステム。
【0020】
(項目11)
上記マルチメディアエンジン手段は、上記複数のマルチメディアデータソースに格納された上記マルチメディアファイルに関連する情報を、上記データベース手段に格納された上記情報に同期させるための同期化手段を備えている、項目10に記載のマルチメディアシステム。
【0021】
(項目12)
上記同期化手段は、上記マルチメディアファイルに関連するメタデータ情報を、上記データベース手段に格納された上記情報に同期させるように構成されている、項目11に記載のマルチメディアシステム。
【0022】
(項目13)
上記同期化手段は、上記マルチメディアファイルに関連するプレイリスト情報を、上記データベース手段に格納されたプレイリスト情報に同期させるように構成されている、項目11に記載のマルチメディアシステム。
【0023】
(項目14)
上記データベース手段は、上記マルチメディアエンジン手段によって識別された1つ以上のマルチメディアデバイスを記述する情報を格納するメディアストア表手段を備えている、項目10に記載のマルチメディアシステム。
【0024】
(項目15)
上記データベース手段は、ファイルシステムのロケーションに対応する情報を格納するスロット表手段を備え、該ファイルシステムのロケーションにおいて、メディアストアは、上記マルチメディアエンジン手段によって接続および除去され得る、項目10に記載のマルチメディアシステム。
【0025】
(項目16)
マルチメディアシステムを動作させる方法であって、該方法は、
複数のマルチメディアデータソースに格納されたマルチメディアファイルに関連する情報をデータベースに格納することであって、該複数のマルチメディアデータソースからの該マルチメディアファイル情報は、該マルチメディアファイルが格納される該複数のマルチメディアデータソースからほぼ独立した、一般にアクセス可能なフォーマットで統合される、ことと、
該データベースに格納された該情報に基づいて該マルチメディアファイルと相互作用することと
を備えている、方法。
【0026】
(項目17)
上記相互作用することは、グラフィカルユーザインターフェースを用いて上記マルチメディアファイルと相互作用することを含み、該グラフィカルユーザインターフェースは、複数のマルチメディアファイルに関連する情報を、どこに該複数のマルチメディアファイルが格納されているかを参照することなく同時に表すように構成されている、項目16に記載の方法。
【0027】
(項目18)
上記複数のマルチメディアデータソースに格納されている、上記マルチメディアファイルに関連する情報を上記データベース手段に格納されている上記情報に同期させることをさらに備えている、項目16に記載の方法。
【0028】
(項目19)
上記マルチメディアシステムに接続されている1つ以上のマルチメディアデバイスを記述する情報を有するメディアストア表を生成することをさらに備えている、項目16に記載の方法。
【0029】
(項目20)
ファイルシステムのロケーションに対応する情報を有するスロット表を生成することをさらに備え、該ファイルシステムのロケーションにおいて、メディアストアは、上記マルチメディアシステムによって接続および除去され得る、項目16に記載の方法。
【0030】
(摘要)
マルチメディアシステムが述べられており、該マルチメディアは、マルチメディアエンジン、データベースおよびヒューマンマシーンインターフェースを備えている。マルチメディアエンジンは、1つ以上のマルチメディア出力デバイスの再生のために、複数のマルチメディアデータソースからマルチメディアファイルにアクセスするように構成され得る。データベースは、複数のマルチメディアデータソースに格納されたマルチメディアファイルに関する情報を格納するように構成され得る。複数のマルチメディアデータソースからのマルチメディアファイル情報は、データベースにおいて一般にアクセス可能なフォーマットに構成され得る。ヒューマンマシーンインターフェースは、複数のマルチメディアデータソースからの対応するマルチメディアファイルの再生のために、データベースに格納された情報に対するグラフィカルインターフェースを提供するように構成され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明は、付随の図面および記述を参照して、より良く理解され得る。図の中の構成部分は、必ずしも原寸に比例するのではなく、本発明の本質を例示することに主眼が置かれる。さらには、図面において、同類の参照番号は、異なる図を通して、終始対応する部分を示す。
【0032】
図1は、複数のメディアデバイス上のファイルへの統合されたアクセスを有するマルチメディアシステム100を実装する一方法を例示する、ブロック図である。示されるように、システム100は、例えばシステム100における複数のメディアデバイスとさらなるソフトウェアインターフェースレベルまたはユーザとの間の高レベルの相互作用を提供する、メディア再生および選択レベル110を有し得る。メディア再生および選択レベル110は、複数のデバイスからのメディアファイルの選択を容易にし、1つ以上の再生ゾーン111に位置する出力デバイスを介する選択されたメディアファイルの再生を可能にする。
【0033】
図1に示される例示的なシステムにおいて、3つのメディアデバイスが、システム100に装着されている。第1のデバイス112は、システム100に装着されたCDプレーヤーにおけるオーディオCDから構成され得、システム100の1つ以上のゾーン111における出力デバイスを介する再生のために選択され得る、1つ以上のオーディオファイル120をも含み得る。第2のデバイス114は、システム100に装着されたDVDプレーヤーにおけるDVDディスクを部分的に含み得、システム100の1つ以上のゾーン111における出力デバイスを介する再生のために選択され得る、1つ以上のビデオファイルをも含み得る。第3のデバイス116は、システム100に装着されたMP3プレーヤーから構成され得、システム100の再生ゾーン111の出力デバイスを介する再生のために選択され得る1つ以上のオーディオ/ビデオファイル124を含み得る。
【0034】
デバイス112、114および116からのメディアファイル120、122および124に関連する情報は、統合されたファイルコンテンツの情報レベル118におけるレベル110によってアクセスのために統合される。メディア再生および選択レベル110によるこの情報へのアクセスは、対応するメディアファイルが位置付けられるメディアデバイスの事前知識なしに獲得され得る。メディアファイルは、メディア選択および再生レベル110において、例えばメディア名、メディアジャンル、アーティスト、プレイリスト名などによって、対応するファイルのロケーションに関係なく、再生のために選択され得る。例えば、ユーザは、「カントリー」のジャンルを有する全てのメディアファイルの再生を要求し得、メディア選択および再生レベル110は、ファイルが位置付けられるデバイスとは無関係の、統合されたファイルコンテンツの情報レベル118において識別された全てのメディアファイルの位置を検出し、再生するように進める。
【0035】
統合されたファイルコンテンツの情報レベル118は、あらゆる新たなデバイスを、それらがシステム100に装着される度に、動的に検出し得る。新たに加わったデバイスの識別において、対応するメディアファイルコンテンツに関連する情報は、識別され、例えばレベル118におけるファイルコンテンツ情報データベースに含まれ得る。
【0036】
実装の観点からは、統合されたファイルコンテンツの情報レベル118における情報を、複数の構成要素に分割することが可能であり、各情報は、1つ以上のデバイスに存在し得る。この例示的な実装において、メディア再生および選択レベル110は、これらの構成要素に格納された情報を、あたかも該情報は単一のデータベースに格納されているかのように、ナビゲートし得る。
【0037】
図2は、図1において示されるシステムを実装するために使用され得る詳細な構成要素を示す機能ブロック図である。例示的なシステム200は、ヒューマンマシーンインターフェース(HMI)モジュール210と相互作用し、かつ、複数の異なるマルチメディアデバイス220とMMEモジュール205との間にインターフェースを提供するIOメディアモジュール215と相互作用する、マルチメディアエンジン(MME)モジュール205を含み得る。HMIモジュール210は、多モードのユーザ入力を含み得るインターフェースを提供し、該ユーザ入力は、例えばボイス、タッチボタンおよびタッチスクリーンなどであり、ユーザによって使用されることにより、再生されるコンテンツを識別し、所定の再生動作を要求する。これらのユーザの相互作用の結果としてHMIモジュール210によって獲得された情報は、MMEモジュール205に渡される。MMEモジュール205は、例えばデータベース225に格納された、統合されたメディアファイル情報からメタデータを用いて、要求されたファイル名、ファイルタイプ、ジャンル、アーティストなどに対するメディアファイル情報を獲得する。データベース225は、HMIモジュール210のようなクライアントアプリケーションがアクセスするメディアファイルのためにメタデータを格納および検索するために、MMEモジュール205によって用いられる。クライアントアプリケーションは、この情報を用いて、ユーザにメディアファイルを表示するか、または所望の方法におけるメディアファイルの再生のためにアレンジする。データベース225は、複数のクライアントからの同時に発生する方法における、複数の接続をサポートし得る。データベース225における情報は、複数のファイルの間において分割され得る。各データベースのファイルは、より高いレベルのアプリケーションによるアクセスに影響を及ぼさない設定が可能な方法で、RAM、フラッシュまたはハードドライブに格納され得る。
【0038】
メディアファイルは、異なるフォーマットで異なる種類のデバイス上に存在し得るが、各ファイルに対するメタデータは、データベース225上の単一のフォーマットを用いて格納され得る。その結果として、システムに装着された異なる互換性のないデバイスからのメディアファイルコンテンツは、1つの制御可能でブラウズ可能なインターフェースの領域に導かれ得、それによってHMIモジュール210は、全てのMMEサポートされたメディアファイルの種類およびデバイスとともに用いられ得る。HMIデザイナーは、システム200における全てのメディアファイルにアクセスおよび再生するために、データベース225によって用いられるデータのフォーマットを理解しさえすればよい。さらに、データベース表およびデータベース225の識別子を用いることによって、HMIモジュール210は、多様なデバイスの種類およびメディアのフォーマットにもかかわらず、コンテンツを参照して、全てのサポートされるデバイスに対する包括的な「再生」、「一時停止」の種類のコマンドを発行するように設計され得る。
【0039】
MMEモジュール205は、様々なメディア上で利用可能であるメタデータのリアルタイムの同期化に対して用いられる同期化モジュール230を含み得る。例示的なシステム200におけるメタデータの同期化のために用いられる3つの構成要素があり、それらは、メディア格納シンクロナイザー(MSS)モジュール235、メタデータシンクロナイザー(MDS)モジュール240およびプレイリストシンクロナイザー(PLS)モジュール245である。これらの同期化モジュールの使用および実装の例示的な方法は、図3〜図6に示される。
【0040】
MSSモジュール235は、メタデータの同期化に対する必要性があるとき、例えばデバイスがシステムにプラグインされた後などには、いつでも用いられる。図3は、MSSモジュール235を実装するために用いられ得る、多くの相互関係のある動作を例示する、流れ図である。ブロック305において開始されるときに、MSSモジュール235は、ブロック310において示される動作を実行することによって、メディアファイル表に同期化されるべきファイルの詳細を記録する。同期化が必要であるプレイリストに関連する情報は、ブロック315で示される動作によってプレイリスト同期化表に記録される。実際のメタデータの同期化は、ブロック235においてあらゆる最終的な動作が実行される前に、ブロック320において表される動作において生じる。
【0041】
図4は、メディアファイル同期化表の中にデータを加えるために用いられ得る、多くの相互関係のある動作を例示する、流れ図である。ブロック405における動作の初期化において、同期化されるべきメディアの第1のファイルのファイル名および属性は、ブロック410において表された動作において獲得される。ファイル名および1つ以上のファイル属性、例えばファイル上のタイムスタンプおよびファイルの大きさは、データベース225に格納された情報と比較される。メディアに格納されたこれらの属性が、データベース225に格納されたものと異なる場合には、システムは、ブロック415において、メディアファイルのメタデータに対するメタデータは、同期化が必要であると仮定する。そうでない場合には、何も同期化は要求されない。メディアファイルのメタデータが、同期化が必要な場合には、ファイル名が、ブロック420においてメディアファイルの同期化表に加えられる。確認するファイルがさらに存在するかどうかが、ブロック425においてテストされる。確認するさらなるファイルが存在する場合には、次のファイルのファイル名および属性が、ブロック430において獲得され、制御がブロック415の動作状態に戻される。そうでない場合には、最後の動作がある場合には、ブロック435において実行される。
【0042】
図4に示される動作の実行の後に、メディアファイルの同期化表は、同期化が必要な全てのメディアファイルのリストを含んでいる。表の中におけるファイルの発生のシーケンスは、同期化に対する「幅優先」または「深さ優先」のアプローチが、システムデザイナーによって選択されることに依存する。「幅優先」の同期化は、メディア格納のルートディレクトリにおいて始まり、レベルごとに進行する。同期化の間に、所与のレベルにおけるノードは、第1に処理され、次いで次のレベルのノードが考慮される。このようにして、ツリーにおけるより深いディレクトリが検査される前に、同一の深さまたはレベルの全てのディレクトリが、同期化される。「深さ優先」の同期化は、その一方で、メディア格納のルートディレクトリにおいて始まり、ディレクトリ構造においてより深く行く前に、それが発見する第1のノードを横切り始め、サブノードを発見したときにそれを検査する。例えば、2つのサブディレクトリを有するルートディレクトリにおいて、同期化が必要な第1番目に発見されたサブディレクトリの全てのメンバーは、第2のディレクトリが検査される前に、第1番目にメディアファイルの同期化表に記録される。
【0043】
「幅優先」の同期化の間に、フォルダ/ファイルに優先順位をつけるために設備が提供される。そのような設備を用いることによって、「幅優先」の同期化が進行すると同時に、各レベルのフォルダ/ファイルは、ユーザに表示される。ユーザは、これらの任意のフォルダ/ファイルにクリックし得、または任意のフォルダの内部に行き、第1に同期化が必要な該内部の任意のアイテムをクリックし得る。そのような高い優先度のフォルダ/ファイルを識別すると、進行中の現在のフォルダ/ファイルの同期化は、強制排除され、より高い優先度のフォルダ/ファイルが、第1に同期化される。このより高い優先度のフォルダ/ファイルの同期化の完了で、強制排除されたフォルダ/ファイルの同期化が再開される。
【0044】
図4に記述されたものと同様の手順が、図3のブロック315において用いられるが、ここでは、プレイリストファイルは、メディアファイルとは対照的に、同期化のために再検討される。プレイリスト同期化表が、ブロック315において同期化された後は、該表は、同期化が必要な全てのプレイリストファイルのリストを含む。
【0045】
図5は、図3のブロック320において示されるタスクを実装するために実行され得る、多数の相互関係のある動作を例示する流れ図である。ブロック505において始まると、同期化されるべき第1のファイルに対するメタデータは、ブロック510においてメディアファイル同期化表から獲得される。メディアファイル同期化表から検索されたメタデータは、ブロック515においてデータベース225に格納される。同期化されるべきより多くのファイルが存在するかどうかは、ブロック520において表された動作において決定される。同期化されるべきより多くのファイルが存在する場合には、同期化されるべき次のファイルに対するメタデータは、ブロック525において、メディアファイル同期化表から獲得され、検索されたメタデータは、ブロック515においてデータベース225に格納される。これらの動作は、メディアファイル同期化表において識別された全てのメディアファイルが、データベース225に加えられるまで繰り返される。メディアファイル同期化表において識別された全てのメディアファイルが、データベース225において同期化されると、ブロック535において最終的な動作が実行される前に、プレイリスト同期化表において識別されたプレイリストの同期化が、ブロック530において起こる。
【0046】
図6は、図5のブロック530において示される、タスクを実装するために実行され得る多数の相互関係のある動作を例示する、流れ図である。ブロック605において始まり、同期化されるべき第1のプレイリストは、ブロック610においてプレイリスト同期化表から獲得される。現在のプレイリストを取り扱うように構成されたプレイリストシンクロナイザーは、ブロック615において識別される。プレイリストにおける各ファイルの詳細は、ブロック620における動作において、データベース225上のプレイリストデータ表に格納される。各ファイルに対して記録される情報は、ファイルid(fid)、プレイリストid(plid)、およびファイルが再生される順番を特定するオーダーid(oid)を含む。適切な記述が、次いでデータベース225におけるプレイリスト表に書き込まれ、ブロック625においてプレイリストに特定されたコンテンツを再生する。例えば、SQLを用いるシステムにおいて、「plid=%dであり、oidによるオーダーで、fidをプレイリストデータから選択せよ」というような記述が、用いられ得る。現在のプレイリストの処理が完了すると、ブロック630において確認が行われ、それによりデータベース225において同期化の必要があるさらなるプレイリストが、プレイリスト同期化表に存在するかどうかを決定する。さらなるプレイリストが同期化を必要とする場合には、処理される次のプレイリストは、ブロック635においてプレイリスト同期化表から獲得され、制御は、ブロック615において示される動作に戻る。そうでない場合には、最終的な動作が、ブロック640において実行される。
【0047】
データベース225の記録は、システムの必要条件に依存して多数の異なる構造を有し得る。そのようなデータベースの記録に用いられ得る一部のフィールドおよびその対応する意味は、図7の表に示される。データベース225におけるプレイリスト表と関連して用いられ得る例示的なフィールドは、図8に示される。
【0048】
データベース225は、メディアストア表をも含み得る。メディアストア表における各メディアストアは、エンジンが見たメディアを含む、1つの物理的なデバイスを記述する。これは、iPod、ハードドライブ、USBスティック、DVDビデオディスクなどであり得る。メディアストアは、それらが書き込まれたり取り除かれたりする度に見え隠れし、この表はその発生に従って更新される。ライブラリ表における全てのエントリは、メディアが位置する1つのメディアストアに属する。メディアストアは識別子によって独自に識別され、該識別子は、他の表にリンクするメディアストアに対するmsidを後に獲得するために用いられ得る。図9は、メディアストア表と関連して用いられ得る例示的なフィールドを示す。
【0049】
さらには、データベース225は、スロット表を含み得る。スロットは、メディアストアが接続および除去され得るファイルシステムのロケーションを定義するように用いられ得る。例えば、audiocdが、/fs/cd0のロケーションにおいてファイルシステムにおいて見つかり得る。それが、ネットワーク化されたaudiocdであった場合には、/net/remote_host/fs/cd0において発見され得る。MME205は、制限のない数のスロットをサポートするように設計され得る。図10は、スロット表と関連して用いられ得る例示的なフィールドを示す。
【0050】
ファイルに対応するメタデータは、ファイルを含むメディアで入手が可能であり得る。しかし、外部ソースが、メタデータをファイルに加えることも可能である。ファイルに対するメタデータは、音楽の種類および音楽をプロデュースしたグループに関連する情報を含み得る。様々な追加の種類のメタデータを組み込むことも可能である。例えば、メタデータは、ファイルに格納されたコンテンツの質についての情報を含み得る。この質の情報は、ユーザのために再生されるべきコンテンツの選択に、または該コンテンツに関連付けられた所定のライセンスまたは他の制限とともに用いられ得る。
【0051】
本発明の様々な実施形態が記述されたが、当業者にとって、より多くの実施形態および実装が、本発明の範囲内で可能であることは明確である。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲およびその均等物を考慮することを除いては、限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は、複数のメディアデバイス上のファイルへの統合されたアクセスを有するマルチメディアシステムを実装する一方法を例示する、ブロック図である。
【図2】図2は、図1において示されるシステムを実装するために使用され得る詳細な構成要素を示す、機能ブロック図である。
【図3】図3は、図2において示されるMSSモジュールを実装するために用いられ得る、多くの相互関係のある動作を例示する、流れ図である。
【図4】図4は、メディアファイル同期化表の中にデータを加えるために用いられ得る、多くの相互関係のある動作を例示する、流れ図である。
【図5】図5は、図3において参照されるメタデータの同期化を実行するために実行され得る、多くの相互関係のある動作を例示する、流れ図である。
【図6】図6は、図5において参照されるプレイリストの同期化を実装するために実行され得る、多くの相互関係のある動作を例示する、流れ図である。
【図7】図7は、図2において示されるデータベースのメディアファイルレコードにおいて使用され得る例示的なフィールドを例示する、表である。
【図8】図8は、図2において示されるデータベースのプレイリストファイルレコードにおいて使用され得る例示的なフィールドを例示する、表である。
【図9】図9は、図2において示されるデータベースのメディアストア表において使用され得る例示的なフィールドを例示する、表である。
【図10】図10は、図2において示されるデータベースのスロット表において使用され得る例示的なフィールドを例示する、表である。
【符号の説明】
【0053】
100、200: マルチメディアシステム
235: メディア格納シンクロナイザー(MSS)モジュール
240: メタデータシンクロナイザー(MDS)モジュール
245: プレイリストシンクロナイザー(PLS)モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチメディアシステムであって、
複数のマルチメディアデータソースに格納されたマルチメディアファイルに関連する情報を格納するデータベースであって、該複数のマルチメディアデータソースからの該マルチメディアファイル情報は、該データベースにおいて一般にアクセスが可能なフォーマットに統合されている、データベースと、
該マルチメディアファイルと該データベースとにアクセスするように構成されたマルチメディアエンジンと、
該マルチメディアエンジンと相互作用することにより、該データベースに格納された情報に基づいて該マルチメディアファイルにアクセスするためのグラフィカルインターフェースを提供するように構成された、ヒューマンマシーンインターフェースであって、該相互作用は、該複数のマルチメディアデータソースのうちの、該マルチメディアファイルを含むものからほぼ独立している、ヒューマンマシーンインターフェースと
を備えている、マルチメディアシステム。
【請求項2】
前記マルチメディアエンジンは、前記複数のマルチメディアデータソースに格納された前記マルチメディアファイルに関連する情報を、前記データベースに格納された前記情報に同期させるように構成された同期化ソフトウェアを備えている、請求項1に記載のマルチメディアシステム。
【請求項3】
前記同期化ソフトウェアは、前記マルチメディアファイルに関連するメタデータ情報を、前記データベースに格納された前記情報に同期させるように構成されている、請求項2に記載のマルチメディアシステム。
【請求項4】
前記同期化ソフトウェアは、前記マルチメディアファイルに関連するプレイリスト情報を、前記データベースに格納されたプレイリスト情報に同期させるように構成されている、請求項2に記載のマルチメディアシステム。
【請求項5】
前記データベースは、前記マルチメディアエンジンによって識別された1つ以上の物理的なデバイスを記述する情報を含むメディアストア表を備えている、請求項1に記載のマルチメディアシステム。
【請求項6】
前記データベースは、ファイルシステムのロケーションに対応する情報を含むスロット表を備え、該ファイルシステムのロケーションにおいて、メディアストアは、前記マルチメディアエンジンによって接続および除去され得る、請求項1に記載のマルチメディアシステム。
【請求項7】
前記データベースは、メインの記録表と1つ以上のリンクした表とを備え、該メインの記録表は、個別のマルチメディアファイルに関連する情報を有するエントリを備えている、請求項1に記載のマルチメディアシステム。
【請求項8】
前記メインの記録表における個別のエントリは、対応するマルチメディアファイルに対するメディアストア情報を含み、該メディアストア情報は、前記マルチメディアエンジンによって識別された1つ以上の物理的なデバイスを記述する情報を有するメディアストア表にリンクされている、請求項7に記載のマルチメディアシステム。
【請求項9】
前記データベースは、ファイルシステムのロケーションに対応する情報を含むスロット表を含み、該ファイルシステムのロケーションにおいて、前記メディアストアは、前記マルチメディアエンジンによって接続および除去され得る、請求項8に記載のマルチメディアシステム。
【請求項10】
マルチメディアシステムであって、
複数のマルチメディアデータソースに格納されたマルチメディアファイルに関連する情報を格納するデータベース手段であって、該複数のマルチメディアデータソースからの該マルチメディアファイル情報は、該データベース手段において一般にアクセスが可能なフォーマットに統合されている、データベース手段と、
該マルチメディアファイルと該データベースとにアクセスするためのマルチメディアエンジン手段と、
該マルチメディアエンジン手段と相互作用することにより、該データベース手段に格納された情報に基づいて該マルチメディアファイルにアクセスするためのグラフィカルインターフェースを提供するヒューマンマシーンインターフェースであって、該相互作用は、複数のマルチメディアデータソースのうちの、該マルチメディアファイルを含むものからほぼ独立している、ヒューマンマシーンインターフェースと
を備えている、マルチメディアシステム。
【請求項11】
前記マルチメディアエンジン手段は、前記複数のマルチメディアデータソースに格納された前記マルチメディアファイルに関連する情報を、前記データベース手段に格納された前記情報に同期させるための同期化手段を備えている、請求項10に記載のマルチメディアシステム。
【請求項12】
前記同期化手段は、前記マルチメディアファイルに関連するメタデータ情報を、前記データベース手段に格納された前記情報に同期させるように構成されている、請求項11に記載のマルチメディアシステム。
【請求項13】
前記同期化手段は、前記マルチメディアファイルに関連するプレイリスト情報を、前記データベース手段に格納されたプレイリスト情報に同期させるように構成されている、請求項11に記載のマルチメディアシステム。
【請求項14】
前記データベース手段は、前記マルチメディアエンジン手段によって識別された1つ以上のマルチメディアデバイスを記述する情報を格納するメディアストア表手段を備えている、請求項10に記載のマルチメディアシステム。
【請求項15】
前記データベース手段は、ファイルシステムのロケーションに対応する情報を格納するスロット表手段を備え、該ファイルシステムのロケーションにおいて、メディアストアは、前記マルチメディアエンジン手段によって接続および除去され得る、請求項10に記載のマルチメディアシステム。
【請求項16】
マルチメディアシステムを動作させる方法であって、該方法は、
複数のマルチメディアデータソースに格納されたマルチメディアファイルに関連する情報をデータベースに格納することであって、該複数のマルチメディアデータソースからの該マルチメディアファイル情報は、該マルチメディアファイルが格納される該複数のマルチメディアデータソースからほぼ独立した、一般にアクセス可能なフォーマットで統合される、ことと、
該データベースに格納された該情報に基づいて該マルチメディアファイルと相互作用することと
を備えている、方法。
【請求項17】
前記相互作用することは、グラフィカルユーザインターフェースを用いて前記マルチメディアファイルと相互作用することを含み、該グラフィカルユーザインターフェースは、複数のマルチメディアファイルに関連する情報を、どこに該複数のマルチメディアファイルが格納されているかを参照することなく同時に表すように構成されている、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記複数のマルチメディアデータソースに格納されている、前記マルチメディアファイルに関連する情報を前記データベース手段に格納されている前記情報に同期させることをさらに備えている、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記マルチメディアシステムに接続されている1つ以上のマルチメディアデバイスを記述する情報を有するメディアストア表を生成することをさらに備えている、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
ファイルシステムのロケーションに対応する情報を有するスロット表を生成することをさらに備え、該ファイルシステムのロケーションにおいて、メディアストアは、前記マルチメディアシステムによって接続および除去され得る、請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−54312(P2008−54312A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−213080(P2007−213080)
【出願日】平成19年8月17日(2007.8.17)
【出願人】(506179468)キューエヌエックス ソフトウェア システムズ ゲーエムベーハー アンド カンパニー ケーゲー (18)
【Fターム(参考)】