説明

複数の平行に延びる光導体を有する帯状体の製造方法

複数の平行に延びる光導体(12)を有する光帯状体(11)を製造するために適する方法が提案される。この帯状体においては、光導体の表面が処理され、区域的に光導体の光学的減衰が高められるものである。発生せしめられた減衰を信頼性をもって調整できるようにするため、本発明によれば、好ましくは表面の処理中に(又はその後に)測定光が光導体(12)に入力され、帯状体の他端において出力された測定光がCCDカメラ(17)のようなセンサを用いて読み出される。そうして場合によって生じる製造欠陥は、まだ製造プロセス中に例えば光導体(12)の延長された処理期間によって修正され得る。本発明による方法によって例えば、自動車のバンパーに歩行者の衝突に対する識別センサとして使用される光帯状体を製造することができる。センサ帯状体の曲がりが光学的手段で決定されるべき他の適用例も同様に可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の平行に延びる光導体を有する帯状体を製造するための方法であって、光導体の表面が区域的に処理され、その処理された区域の光導体の光学的減衰が高められるようにする方法に関する。
【0002】
このような方法は例えば米国特許第5321257号明細書に見ることができる。その帯状体に使用される光導体の表面は例えばエンボス熱処理によって変えることができ、その際例えば3つの光導体を1つの帯状体に合体することができる。光導体の表面処理された区域が光導体の各断面に関して互いに異なる方向づけされている場合には、帯状体の曲がる場合その曲がりに依存して変化する光導体の減衰に基づいて、三次元空間における光導体の湾曲を突き止めることができる。そのため各光導体の表面処理された領域が用いられるが、それはこの領域において曲がりに依存する減衰の変化が特に強く現れるからである。光導体を通して送られる光信号の強度の変化を確定することができ、光導体の減衰変化に関して評価することができる。
【0003】
米国特許出願公開第2002/0057859 A1号明細書によれば、光導体がローラを介して任意のプロセスに導かれる方法が述べられている。そのプロセスにおいては光導体の機械的処理のための製造プロセスが対象とされ、あるいはまた例えば、光導体が使用場所に敷設されるプロセスが対象とされる。プロセスを光学的に監視し得るようにするため、光導体を展開する前にセンサ区域が光導体に挿入され、測定光が展開中の光導体中に送り込まれる。光導体のセンサ区域によって反射された光学的反応が、測定光を送り込まれた場所で再び読み出され、品質保証の関心を起こさせるメッセージに関して評価される。
【0004】
本発明の課題は、複数の平行に延びる光導体を有する帯状体を製造するための方法であって、製造された帯状体の比較的に一様な光学的作用を発生し得るような表面処理を簡単なやり方で実施し得る方法を提供することにある。
【0005】
この課題は冒頭に述べた方法において、光導体の表面処理の間測定過程が実施され、その測定過程には帯状体の空間的経路が少なくとも処理される区域においてあらかじめ与えられ、帯状体の一端において処理される光導体にそれぞれ同じ強度を持った測定光が入力され、帯状体の他端において出力された測定光が取り出され、その際、出力される測定光の強度に対し強度帯域が定義され、光導体の出力された測定光の強度が強度帯域の外側にある場合には測定光が強度帯域内に存在するまで処理が継続され、又は測定光の強度が強度帯域内に作り出されないときは処理が中止され帯状体が不適当なものとして排除される。方法の間に測定過程を実施することによって、製造プロセスの間に既に、表面の処理により得られる光導体における減衰の上昇を定量的に検査し得ることが保証される。これによって、製造不精密の場合に、新たな処理ステップによって減衰特性の適切な補正を行うことが可能になる。帯状体の経路が空間的にあらかじめ与えられていることは、減衰の光学的検査においては優先的な意味があり、それは光導体の減衰特性が光導体の曲がりに依存して強く変化するからである(この目的のため表面はすなわち区域的に処理される)。それに関して、減衰特性の光学的検査の間空間的経路を動かないように固定することによって再現性のある測定条件が作られる。帯状体が平らな基礎上に固定されると有利であり、その結果光学的検査の間帯状体は曲げなしにおかれる。それに代えて、帯状体が光学的検査の間ローラ上を案内されることもでき、その結果帯状体は検査の間一定の曲率半径で存在する。
【0006】
本発明による方法においては、したがって帯状体における光導体の表面処理の品質管理は製造と時間的に近接して有利に実施することができる。それに関して場合によって起こり得る欠陥は早期に識別することができ、場合によっては補正される。さらに粗悪品の選別が可能であり、その結果この場合には光導体の別の処理のための別のプロセスステップは行われず、それと結び付く製造費を節減することができる。
【0007】
本発明によれば、測定ステップが光導体の表面の処理の間に行われることが予定されている。その際、製造欠陥をその発生の間に突き止め、それに関して早期の可能な時点に有利に補正を行うことが可能である。特にまた、光導体の表面処理の間に隣接する光導体の場合によって起こり得る損傷を確認することが可能であり、それはこの場合ちょうど処理されない光導体の減衰も上昇するであろうからである。欠陥のある構成部分はこの場合分離することができる。
【0008】
本発明の実施形態によれば、帯状体は処理前に製品特有の長さに切られる。ここでは光学的検査によって、光導体における場合によってあり得る材料欠陥を識別するため、製品特有の長さを持った帯状体における処理されない光導体の減衰特性を既に確定する可能性が存在する。光導体の続く表面処理においては既に述べたやり方で行うことができる。
【0009】
本発明の他の実施形態によれば、帯状体は表面処理のため一端でローラからほどかれ、その際ローラ上にある帯状体の他端は測定光の入力又は出力のため自由に接近することができる。このことは例えば、ローラ上にある帯状体端がローラの中心の空間内へ導入され、この空間にはまた測定光の入力のための光学的送出器ないし測定光の出力のための光学的受量器が収納されていることによって達成される。帯状体の製造においては、光導体は貯蔵ロールからはずすことができ、その際帯状体における処理されない光導体は、表面処理によって提供された区域に比べわずかな光学的減衰を有する。それ故、表面処理に基づく減衰特性の変化は、帯状体を製品特有の長さに切ることが帯状体中に存在する光導体の表面処理後初めて行われる場合も確定することができる。
【0010】
上述のうち最後の方法の変形において、ローラ上にある帯状体の光学的検査の測定結果の精度を改善するため、受け取られた測定光の評価の際、ローラ上にある帯状体の長さに依存する補正率が考慮されることを有利に行うことができる。補正率はローラ上にある帯状体の減衰度を考慮することができ、それ故ローラ上でまだ自由に処分できる長さに依存する。この補正率に関して測定結果が修正され、そのことは測定結果が、まだローラ上に存在する帯状体に依存することなく、長さを切るべき製品特有の構成部分の製造の際互いに直接比較可能であるという利点を持つ。
【0011】
本発明による方法の特に有利な実施形態によれば、光導体の光学的端面が測定ステップの前に加工されることが予定されている。これによって、帯状体の端部における伝送品質を改善することができる。さらに、帯状体に対する測定結果を互いに有利に比較することができ、それは光導体の端部における異なる高さの損失に基づく測定値のばらつきが減少されるからである。光学的端面の伝送特性の改善はさらに一般に、帯状体が使用のため設けられている場合の利益となる。その際例えば、歩行者保護システムにおいて自動車のバンパーへ組み込まれるような、光学的センサ帯状体を対象とすることができる。
【0012】
最後に、測定光を受け入れるため、すべての光導体の測定光を同時に写し取るのに十分な大きさのセンサ面を使用するのが有利である。このセンサ面は例えばCCDセンサ又は比較可能な光学的面センサであってよく、そのセンサは好ましくはディジタルカメラの部分として仕上げられるのが有利である。センサ面を使用することによって、光導体から出力される測定光が同時にまたそれとともに直接比較可能に取り出され得ることが保証される。特に、センサ上に発生せしめられる測定画像を適切に評価することによって、測定光の強度分布を描くことができる。
【0013】
本発明のその他の詳細は以下図面に基づいて説明される。個々の図において同じ又は対応する意味を持った図面要素には同符号が付され、個々の図の間の違いが生じるかぎりにおいてのみ繰返し説明される。
【0014】
図1によれば帯状体11は部分的に開けられて示され、帯状体は計画された利用に関して既に長さが切られ、4つの光導体12を含み、それらは帯状体11の材料中に埋め込まれている。帯状体は支持体13中にあり、それによってその流れ方が確定されている。支持体13は、帯状体11がそのために設けられた溝にぴったり合い、それにより曲げられることなくおかれるように形成されている。光導体12の表面処理はそれぞれ区域14において図示されないレーザによって行われ、レーザは光導体12の表面を変え、区域14における光導体の減衰そのものないし光導体の曲がりの減衰依存度が高められる。その際、帯状体11の材料はレーザによって貫通され、性質に応じて破壊され、その結果帯状体の損傷が続いて充填剤(図示せず)によって密封されなければならない。
【0015】
表面処理中(又はその後)に、光源15、例えば発光ダイオード又はレーザダイオード、を用いて、屈折光学系16を介して測定光が光導体12に入力され、帯状体の対向する端部から出力する光がCCDカメラ17を用いて読み出される。測定光はその際それぞれ光導体の伝送を改善するため研磨された端面18(出力側のもののみが認められる)を通り抜ける。図示の端面18とCCDカメラ17との間にはさらにフィルタ(図示せず)を設けることができ、このフィルタは測定光を望ましくない光成分(例えば周囲光)から分離する。
【0016】
図2は、帯状体11から出力された光の図1によるCCDカメラ17によって撮影された画像の評価を図解式に示すものである(場所の変数xに対する光の強度の分布)。光導体12により伝送される光の光強度を特徴づける4つの強度最大値19が認められる。これらの最大値は、特定の使用例に対し定義された強度帯域bにあり、その結果、強度最大値19が帯域bによって定義される強度範囲の外側にあるとき初めて光導体12の表面処理によって生ずる減衰特性の修正が必要になる。図2による表示は、図1に従うCCDカメラ17によって発生された画像がソフトウェア技術で評価されるとき得られる。
【0017】
図3においては、帯状体11の半製品が貯蔵ローラ20上に巻き付けられている。帯状体のローラ上にある端部21aはローラシリンダ上にはのっておらず、ローラのシリンダ状内部空間22に導入されている。ここには光源15も取り付けられ、その結果貯蔵ローラ20の角度位置に依存せず光導体(図示せず)への光の入力を行うことができる。
【0018】
本方法を実施するため、帯状体11は自由端21bによって貯蔵ロール20からほどかれ、製造ローラ23上に導かれる。レーザ24を用いて光導体は例えば区域14(図3に例として示される)において処理される。処理方法の経過は、光源15を用いて測定光が帯状体11内へ供給され、製造ローラ上に固定式に設けられたCCDカメラ17を用いて帯状体11から出力された光が捕えられることによって同時に検査される。要求される減衰特性が存在し製品特有固有の帯状体長さが得られた場合、製造された帯状体部分は適当な装置25を用いてその長さにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】帯状体が処理前に所定の長さに切られる本発明による方法の実施例を実行するための構成図である。
【図2】図1によるCCDカメラにより撮像された測定光の強度分布図の一例である。
【図3】帯状体がローラからほどかれる本発明による方法の別の実施例を実行するための構成図である。
【符号の説明】
【0020】
11 帯状体
12 光導体
13 支持体
14 区域
15 光源
16 屈折光学系
17 CCDカメラ
18 帯状体の端面
19 強度最大値
20 貯蔵ローラ
21a 帯状体の端部
21b 帯状体の自由端
22 内部空間
23 製造ローラ
24 レーザ
25 装置
b 強度帯域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の平行に延びる光導体(12)を有する帯状体(11)を製造するための方法であって、光導体の表面が区域的に処理され、その処理された区域(14)の光導体(12)の光学的減衰が高められるものにおいて、光導体の表面処理の間測定過程が実施され、その測定過程には帯状体(11)の空間的経路が少なくとも処理される区域においてあらかじめ与えられ、帯状体(11)の一端において処理される光導体(12)にそれぞれ同じ強度を持った測定光が入力され、帯状体の他端において出力された測定光が取り出され、その際、出力される測定光の強度に対し強度帯域(b)が定義され、光導体(12)の出力された測定光の強度が強度帯域(b)の外側にある場合には測定光が強度帯域(b)内に存在するまで処理が継続され、又は測定光の強度が強度帯域内に作り出されないときは処理が中止され帯状体(11)が不適当なものとして排除されることを特徴とする複数の平行に延びる光導体を有する帯状体の製造方法。
【請求項2】
帯状体(11)が処理前に製品特有の長さに切られることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
帯状体(11)が表面処理のため一端でもってローラ(20)からほどかれ、その際ローラ上にある帯状体の他端が測定光の入力又は出力のため自由に接近できることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
取り出された測定光の評価の際、ローラ(20)上に存在する帯状体の長さに依存する補正率(k(1))が考慮されることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
光導体(12)の光学的端面が測定ステップの前に加工されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
測定光を取り出すために、すべての光導体の測定光を同時に写し取るのに十分な大きさのセンサ面が使用されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−546008(P2008−546008A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512824(P2008−512824)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【国際出願番号】PCT/EP2006/062512
【国際公開番号】WO2006/125773
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】