説明

複数タイプの磁気共鳴映像を同時に生成する装置及びその方法

【課題】複数タイプの磁気共鳴映像を同時に生成する装置及びその方法を提供する。
【解決手段】磁場内でRF(radio frequency)コイルを利用し、複数タイプの原子核に対応する複数の周波数を有するパルスが一列に配置されたパルス列を有する電磁波信号を、磁場内に位置した対象体に印加し、このRFコイルから複数タイプの原子核に対応する磁気共鳴信号のデータを収集し、この磁気共鳴信号のデータを利用し、複数タイプの原子核に対応する複数タイプの磁気共鳴映像を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数タイプの磁気共鳴映像を同時に生成する装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
患者を診断するための多様な医療装備が使用中または開発中にある。患者診断過程での患者の便宜、患者診断結果の迅速性などにより、CT(computed tomography)装置、MRI(magnetic resonance imaging)装置のように、人体内部断面の様子を映像で示す医療装備の重要性が増している。特に、MRI装置は、他の映像医療装備に比べて、映像の品質が非常にすぐれているが、映像を検出する時間が長くかかり、それにより、映像にノイズが生じてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、複数タイプの磁気共鳴映像を同時に迅速に生成する装置及びその方法を提供するところにある。また、その方法を、コンピュータで実行させるためのプログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体を提供するところにある。本発明の少なくとも1つの実施形態がなそうとする技術的課題は、前記のような技術的課題に限定されるものではなく、他の技術的課題が存在しうる。これは、本実施形態が属する技術分野で当業者であるならば、以下の記載から明確に理解することができるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一側面による磁気共鳴映像生成装置は、複数タイプの原子核に対応する複数のパルスを含む電磁波信号を対象体に印加して生じる複数の磁気共鳴信号を受信するコイルを含み、前記コイルは、第1タイプの原子核に対応する周波数を有する少なくとも1つの第1パルスの生成時点と、前記少なくとも1つの第1パルスが前記対象体に印加されることによって生じる第1磁気共鳴信号の受信時点との間で、第2タイプの原子核に対応する周波数を有する少なくとも1つの第2パルスが、前記対象体に印加されることによって生じる第2磁気共鳴信号を受信する。
本発明の他の側面による磁気共鳴映像の生成方法は、第1タイプの原子核に対応する周波数を有する少なくとも1つの第1パルスを対象体に印加する段階、第2タイプの原子核に対応する周波数を有する少なくとも1つの第2パルスを前記対象体に印加する段階、前記第2パルスが、前記対象体に印加されることによって生じる第2磁気共鳴信号を受信する段階、及び前記第2磁気共鳴信号を受信した後、前記第1パルスが、前記対象体に印加されることによって生じる第1磁気共鳴信号を受信する段階を含むことができる。
本発明のさらに他の側面は、前記磁気共鳴映像の生成方法をコンピュータで実行させるためのプログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体を提供するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、複数タイプの磁気共鳴映像を同時に迅速に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の一実施形態による磁気共鳴映像装置の構成図である。
【図2】図1に図示されたRFコイルによって生成されるパルス列の一例である。
【図3】図1に図示されたRFコイルによって生成されるパルス列の他の例である。
【図4】図1に図示されたRFコイルによって生成されるパルス列のさらに他の例である。
【図5】図1に図示されたRFコイルによって生成されるパルス列のさらに他の例である。
【図6】図1に図示された信号収集部で、水素原子核から誘導される磁気共鳴信号を収集する一例を図示した図面である。
【図7】図1に図示された信号収集部で、ナトリウム原子核から誘導される磁気共鳴信号を収集する一例を図示した図面である。
【図8】図1に図示された映像生成部で、映像を生成する一例を図示した図面である。
【図9】本発明の一実施形態による磁気共鳴映像の生成方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0008】
図1は、本発明の一実施形態による磁気共鳴映像装置の構成図である。図1を参照すれば、本実施形態による磁気共鳴映像装置は、メイン磁石(main magnet)11、勾配磁気コイル(gradient coil)12、RFコイル(radio frequency coil)13、シールド(shield)14、テーブル15、第1信号生成部21、第2信号生成部22、信号収集部23、ユーザ・インターフェース31、制御部32、映像生成部33、第1ストレージ34、第2ストレージ35及び映像出力部36から構成される。メイン磁石11、勾配磁気コイル12、及びRFコイル13は、人体内のある原子核から磁気共鳴信号を誘導するための磁場を生成するための構成であり、磁石、コイルなどによって具現される。シールド14は、RFコイル13で生成された電磁波の外部放射を遮断する。シールド14内のテーブル15は、対象体、例えば、患者が置かれるところであり、制御部32の制御によって移動される。
【0009】
第1信号生成部21、第2信号生成部22及び信号収集部23は、制御部32の制御によって、勾配磁気コイル12及びRFコイル13に磁場を生成するための信号を伝送したり、あるいはRFコイル13に受信された信号を収集し、映像生成部13に提供するための構成であり、オシレータ(oscillator)、増幅器(amplifier)、変調器(modulator)、復調器(demodulator)、ADC(analog to digital converter)、DAC(digital to analog converter)などによって具現される。ユーザ・インターフェース31、制御部32、映像生成部33、第1ストレージ34、第2ストレージ35及び映像出力部36は、第1信号生成部21と第2信号生成部22とを制御したり、あるいは信号収集部23によって収集された信号を処理するための構成であり、コンピュータと、コンピュータの周辺機器とによって具現される。
【0010】
メイン磁石11は、人体内部の原子核の磁気双極子モーメント(magnetic dipole moment)の方向を一定の方向に整列させるための静磁場(static magnetic field)を生成する。かような静磁場を生成するための磁石としては、永久磁石、常温電磁石、超伝導電磁石などがある。超伝導電磁石によって生成された磁場が強くて均一度にすぐれ、超伝導電磁石がメイン磁石11として主に利用されている。例えば、人体内部の水素原子が、メイン磁石11によって生成された静磁場内に置かれれば、水素原子核の磁気双極子モーメントの方向は、さらに低いエネルギー状態に行くために、この静磁場の方向に整列される。実際には、熱的平衡状態を維持するために、低いエネルギー状態にある原子核が高いエネルギー状態にある原子核より若干多い。ここで、互いに異なるエネルギー状態にある原子核間のエネルギー差は、メイン磁石11によって生成された磁場の強度に比例し、固有のラーマー周波数(Larmor frequency)を有する。例えば、メイン磁石11によって生成された磁場の強度が1テスラ(tesla)であるならば、この磁場での水素原子核のラーマー周波数は、42.58MHzであり、ナトリウム原子核のラーマー周波数は、11.27MHzである。
【0011】
勾配磁気コイル12は、メイン磁石11によって生成された静磁場内の基準位置から離れた距離に比例し、複数の方向、例えば、x方向、y方向、及びz方向それぞれに対し、一定の勾配(gradient)で変わる傾斜磁界を生成する。ここで、基準位置は、メイン磁石11によって生成された静磁場が存在する空間を、三次元座標系で表現するとき、この三次元座標系の原点になる。勾配磁気コイル12によって生成された傾斜磁界によって、RFコイル13に受信された磁気共鳴信号それぞれは、三次元空間での位置情報を有する。勾配磁気コイル12は、x方向に変わる傾斜磁界を生成するX勾配磁気コイル、y方向に変わる傾斜磁界を生成するY勾配磁気コイル、及びz方向に変わる傾斜磁界を生成するZ勾配磁気コイルから構成される。
【0012】
RFコイル13は、ある原子核を低いエネルギー状態から高いエネルギー状態に遷移させるために、この原子核の種類に対応するラジオ周波数を有する電磁波信号、すなわち、RF信号を生成して対象体に印加する。このように印加された電磁波信号によって、対象体内の原子核が励起(excitation)される。ここで、対象体は、一般的に人体の撮影部位を意味するが、人体ではない他の生体や物体でもよい。例えば、1テスラの静磁場内で、水素原子核のエネルギー状態を遷移させるために、RFコイル13は、42.58MHzの電磁波を生成することができる。また、1テスラの静磁場内で、ナトリウム原子核のエネルギー状態を遷移させるために、RFコイル13は、11.27MHzの電磁波を生成することができる。RFコイル13によって生成された電磁波信号が、ある原子核に加えられれば、この原子核は、低いエネルギー状態から高いエネルギー状態に遷移される。その後、RFコイル13によって生成された電磁波が消えれば、すなわち、この原子核に加えた電磁波が消えれば、この原子核は、高いエネルギー状態から低いエネルギー状態に遷移しつつ、同じラーマー周波数を有する電磁波を放射する。
【0013】
RFコイル13は、対象体内部の原子核から放射された電磁波信号を受信する。このように受信された電磁波信号を、自由誘導減衰(FID:free induction decay)信号という。この自由誘導減衰信号が、磁気共鳴映像を生成するために使われる磁気共鳴信号であって、対象体に印加された電磁波信号に対するエコー信号(echo signal)と呼ばれる。対象体への電磁波信号の印加時点、すなわち、電磁波信号の生成時点から対象体からの電磁波信号の受信時点までの区間の長さをエコー時間(TE:echo time)といい、人体への電磁波信号の印加が反復される区間の長さを反復時間(TR:repetition time)という。
【0014】
RFコイル13は、原子核の種類に対応するラジオ周波数を有する電磁波を生成する機能と、この原子核から放射された電磁波を受信する機能とを共に有する1つのコイルとして具現されもし、原子核の種類に対応するラジオ周波数を有する電磁波を生成する機能を有する伝送コイルと、この原子核から放射された電磁波を受信する機能を有する受信コイルとによって具現されもする。特に、図1に図示された実施形態で、RFコイル13の受信コイルは、1つのコイルでさまざまな周波数を受信することができる二重同調コイル(dual tuned coil)として具現されもし、多数の磁気共鳴信号を同時に受信することができる多チャネルコイル(multi-channel coil)としても具現され、二重同調された多チャネルコイルとして具現されもする。
【0015】
ユーザ・インターフェース31は、図1に図示された磁気共鳴映像装置のオペレータ(operator)からある命令を入力され、これを制御部32に出力する。ユーザ・インターフェース31は、コンピュータの一般的な入力装置であるキーボード、マウスなどによって具現される。映像出力部34は、映像生成部33によって生成された磁気共鳴映像を出力する。映像出力部34は、コンピュータの一般的な出力装置であるモニタなどによって具現される。制御部32は、ユーザ・インターフェース31から出力された命令によって、第1信号生成部21、第2信号生成部22、信号収集部23、映像生成部33などを制御する。映像生成部33は、信号収集部23によって収集され、第1ストレージ34と第2ストレージ35とに保存された磁気共鳴信号を利用して磁気共鳴映像を生成する。制御部32と映像生成部33は、磁気共鳴映像を生成するのに要求される多量のデータを迅速に処理することができる高性能のコンピュータで具現される。一方、磁気共鳴映像を生成するという用語は、磁気共鳴映像を復元する(reconstruct)という用語など多様な用語でもって表現されるということは、本実施形態が属する技術分野で当業者であるならば、理解することができるであろう。
【0016】
制御部32は、x方向、y方向、及びz方向それぞれに対して、一定の勾配で周波数が変わる交流信号を指示する制御信号を生成し、第2信号生成部22に出力する。第1信号生成部21は、制御部32から入力された制御信号によって、x方向、y方向、及びz方向それぞれに対して、一定の勾配で周波数が変わる交流信号を生成し、勾配磁気コイル12に出力する。勾配磁気コイル12は、第1信号生成部21から入力された交流信号によって、x方向、y方向、及びz方向それぞれに対して、一定の勾配で変わる傾斜磁界を生成する。また、制御部32は、あるパルス列を指示する制御信号を生成し、第2信号生成部22に出力する。第2信号生成部22は、制御部32から入力された制御信号によって、このパルス列を有する交流信号を生成し、RFコイル13に出力する。RFコイル13は、第2信号生成部22から入力された交流信号によって、このパルス列を有する電磁波信号を生成する。第1信号生成部21と第2信号生成部22は、制御部32から入力されたアナログ信号をデジタル形態に変化させるADC(analog digital converter)、ソース信号を生成するオシレータ、制御部32から入力された信号によって、このソース信号を変調する変調器、変調器によって変調された信号を増幅する増幅器などによって具現される。このように増幅された信号が、各コイルに送られる。
【0017】
信号収集部23は、RFコイル13を介して原子核に誘導された磁気共鳴信号を収集する。信号収集部23は、RFコイル13に受信された磁気共鳴信号を増幅する増幅器、増幅器によって増幅された磁気共鳴信号を復調する復調器、復調器によって復調されたアナログ信号をデジタル形態に変換するDAC(digital analog converter)などによって具現される。このようにデジタル形態に変化した磁気共鳴信号が、第1ストレージ34及び第2ストレージ35それぞれに分けて保存される。第1ストレージ34及び第2ストレージ35は、必ずしも物理的に分離されたストレージを意味するものではなく、互いに異なるタイプの磁気共鳴信号が分離されて保存される空間を意味する。例えば、第1ストレージ34及び第2ストレージ35は、ハードディスクの互いに異なる保存領域になってもよい。
【0018】
水素原子は、人体の70%以上を占める水分子の構成成分であるために、水素原子核から誘導される磁気共鳴信号の強度は、人体内の他のタイプの原子核から誘導される磁気共鳴信号の強度よりはるかに大きい。一般的に、磁気共鳴映像は、水素原子核から誘導される磁気共鳴信号を利用して生成される。水素原子核から誘導される磁気共鳴信号を利用して生成された磁気共鳴映像(以下、「1H磁気共鳴映像」とする)は、人体内の解剖学情報を提供する。一方、ナトリウム原子は、人体の構成成分のうち2番目に高い比率で存在するが、水素原子に比べて非常に低い比率で存在するために、ナトリウム原子核から誘導される磁気共鳴信号の強度は非常に小さく、信号対ノイズの比(SNR:signal to noise ratio)が低い。これにより、ナトリウム原子核から誘導される磁気共鳴信号を非常に長い時間の間反復して収集し、このように収集された磁気共鳴信号の平均を利用し、磁気共鳴映像(以下、「23Na磁気共鳴映像」とする)が生成される。23Na磁気共鳴映像は、人体内代謝情報を提供する。
【0019】
第2信号生成部22からRFコイル13に印加される交流によって、RFコイル13から電磁波が発せられ、信号収集部23の信号収集によって、RFコイル13に電磁波が受信されるために、RFコイル13でのあるパルスの生成時点と受信時点は、自由に調整される。一般的に、水素原子核の磁気共鳴信号のエコー時間は、ナトリウム原子核の磁気共鳴信号のエコー時間に比べてはるかに長い。かような点に着眼し、以下では、複数タイプの磁気共鳴映像を同時に生成するためのRFコイル13でのパルス列について説明する。
【0020】
制御部32は、複数タイプの原子核に対応する複数の周波数を有するパルスが一列に配置されたパルス列を指示する制御信号を生成し、第2信号生成部22に出力する。第2信号生成部22は、制御部32から入力された制御信号によって、複数タイプの原子核に対応する複数の周波数を有するパルスが一列に配置されたパルス列を有する交流信号を生成し、RFコイル13に出力する。RFコイル13は、第2信号生成部22から入力された交流信号によって、複数タイプの原子核に対応する複数の周波数を有するパルスが一列に配置されたパルス列を有する電磁波信号を生成する。RFコイル13によって生成された電磁波信号は、対象体に印加される。例えば、1H磁気共鳴映像と23Na磁気共鳴映像とを同時に生成するために、RFコイル13は、水素原子核に対応するパルスと、ナトリウム原子核に対応するパルスとが一列に配置されたパルス列を有する電磁波信号を生成することができる。
【0021】
さらに具体的に説明すれば、図1に図示された実施形態で、水素原子核の磁気共鳴信号と、ナトリウム原子核の磁気共鳴信号とをほぼ同時に収集するために、RFコイル13は、第1タイプの原子核に対応する周波数を有する少なくとも1つの第1パルスの生成時点と、この第1パルスが対象体に印加されることによって生じる第1エコー信号の受信時点との間で、第2タイプの原子核に対応する周波数を有する少なくとも1つの第2パルスを生成し、この第2パルスが対象体に印加されることによって生じる第2エコー信号を受信することができる。例えば、RFコイル13は、水素原子核に対応する周波数を有する少なくとも1つのパルスの生成時点と、このパルスが対象体に印加されることによって生じるエコー信号の受信時点との間で、ナトリウム原子核に対応する周波数を有する少なくとも1つのパルスを生成し、このパルスが対象体に印加されることによって生じるエコー信号を受信することができる。
【0022】
図2は、図1に図示されたRFコイル13によって生成されるパルス列の一例である。図2で、x軸の単位は、時間単位である秒(second)であり、y軸の単位は、電圧単位であるミリボルト(mV:milli-volt)である。水素原子核のラーマー周波数は、ナトリウム原子核のラーマー周波数より大きいために、水素原子核に対応する周波数を有する電磁波信号のパルス幅が、ナトリウム原子核に対応する周波数を有する電磁波信号のパルス幅より狭く図示されている。
【0023】
図2を参照すれば、水素原子核に対応する周波数を有する電磁波信号のエコー時間TE1Hの間に、ナトリウム原子核に対応する周波数を有する電磁波信号のエコー時間TE23Naが含まれている。図2に図示された例で、RFコイル13は、第1タイプの原子核、すなわち、水素原子核に対応する周波数を有する1つの第1パルスの生成時点と、この第1パルスが対象体に印加されることによって生じる第1エコー信号の受信時点との間で、第2タイプの原子核、すなわち、ナトリウム原子核に対応する周波数を有する1つの第2パルスを生成し、この第2パルスが対象体に印加されることによって生じる第2エコー信号を受信することができる。このように、RFコイル13は、水素原子核に対応する周波数を有する電磁波信号のエコー時間TE1Hの間に、ナトリウム原子核に対応する周波数を有する電磁波信号のエコー時間TE23Naが含まれるパルス列を有する電磁波信号を生成することにより、水素原子核から誘導される磁気共鳴信号と、ナトリウム原子核から誘導される磁気共鳴信号とをほぼ同時に受信する。
【0024】
図3は、図1に図示されたRFコイル13によって生成されるパルス列の他の例である。図3を参照すれば、水素原子核に対応する周波数を有する電磁波信号の1つのエコー時間TE1Hの間に、ナトリウム原子核に対応する周波数を有する電磁波信号の2個のエコー時間TE23Naが含まれている。図3に図示された例で、RFコイル13は、第1タイプの原子核、すなわち、水素原子核に対応する周波数を有する1つの第1パルスの生成時点と、この第1パルスが対象体に印加されることによって生じる第1エコー信号の受信時点との間で、第2タイプの原子核、すなわち、ナトリウム原子核に対応する周波数を有する複数個の第2パルスを生成し、この第2パルスが対象体に印加されることによって生じる該第2パルスそれぞれの第2エコー信号を受信することができる。
【0025】
水素原子核に比べて、ナトリウム原子核から誘導される磁気共鳴信号の強度が非常に小さいために、ナトリウム原子核から誘導される磁気共鳴信号は、できる限り反復して測定されることが望ましい。図3に図示された例で、RFコイル13は、水素原子核に対応する周波数を有する電磁波信号の1つのエコー時間TE1Hの間に、ナトリウム原子核に対応する周波数を有する電磁波信号の2個のエコー時間TE23Naが含まれるパルス列を有する電磁波信号を生成することにより、水素原子核から誘導される磁気共鳴信号を1回受信する間に、ナトリウム原子核から誘導される磁気共鳴信号を2回受信することになる。図3には、1つのエコー時間TE1Hの間に、2個のエコー時間TE23Naが含まれていると図示されているが、図1に図示された実施形態が属する技術分野で当業者であるならば、1つのエコー時間TE1Hの間に、2個以外に他の個数のエコー時間TE23Naが含まれてもよいということを理解することができるであろう。
【0026】
図2及び図3に図示された例で、RFコイル13によって生成されるパルスは、メイン磁石11によって生成された静磁場儀方向に対して、90°の方向を有するパルスである。例えば、メイン磁石11によって生成された静磁場の方向がz軸であるならば、この静磁場の方向に整列されたある原子核に90°の方向を有するパルスが加えられれば、原子核の縦軸磁気化は、xy平面に平行した方向に整列される。かような90°の方向を有するパルスが、ある原子核に加えられることにより、この原子核から生じる磁気共鳴信号を利用し、磁気共鳴映像を生成する方式を、勾配磁気エコー映像法(gradient echo imaging)という。勾配磁気エコー映像法は単純であるが、これによって収集された磁気共鳴信号の強度は多少弱いために、スピンエコー映像法(spin echo imaging)が一般的に使われる。スピンエコー映像法は、ある原子核に90°の方向を有するパルス(以下、「90°パルス」とする)を加えた後、180°の方向を有するパルスをさらに加え、この原子核から生じる磁気共鳴信号を利用して磁気共鳴映像を生成する。以下、スピンエコー映像法で、複数タイプの磁気共鳴映像を同時に生成するためのRFコイル13でのパルス列について説明する。
【0027】
図4は、図1に図示されたRFコイル13によって生成されるパルス列のさらに他の例である。図4を参照すれば、水素原子核に対応する周波数を有する電磁波信号の1つのエコー時間TE1Hの間に、ナトリウム原子核に対応する周波数を有する90°パルスと180°パルスとの1つのエコー時間TE23Naが含まれている。図4に図示された例で、RFコイル13は、第1タイプの原子核、すなわち、水素原子核に対応する周波数を有する第1パルスの生成時点と、この第1パルスが対象体に印加されることによって生じる第1エコー信号の受信時点との間で、第2タイプの原子核、すなわち、ナトリウム原子核に対応する周波数を有する複数個の第2パルス、すなわち、90°パルスと180°パルスとを生成し、この第2パルスが対象体に印加されることによって生じる第2エコー信号を受信することができる。
【0028】
水素原子核に比べて、ナトリウム原子核から誘導される磁気共鳴信号の強度がはるかに小さいために、できる限りナトリウム原子核から誘導される磁気共鳴信号の強度がさらに大きく検出されるようにすることが望ましい。図4に図示された例で、RFコイル13は、水素原子核に対応する周波数を有する電磁波信号の1つのエコー時間TE1Hの間に、ナトリウム原子核に対応する周波数を有する90°パルスと180°パルスとの1つのエコー時間TE23Naが含まれるパルス列を有する電磁波信号を生成することにより、水素原子核から誘導される磁気共鳴信号は、勾配磁気エコー映像法で収集され、ナトリウム原子核から誘導される磁気共鳴信号は、スピンエコー映像法で収集される。
【0029】
図5は、図1に図示されたRFコイル13によって生成されるパルス列のさらに他の例である。図5を参照すれば、水素原子核に対応する周波数を有する90°パルスと180°パルスとの間に、ナトリウム原子核に対応する周波数を有する90°パルスと180°パルスとのエコー時間TE23Naが含まれている。図5に図示された例で、RFコイル13は、第1タイプの原子核、すなわち、水素原子核に対応する周波数を有する複数個の第1パルス、すなわち、90°パルスと180°パルスとのうちいずれか1つのパルスの生成時点と、他の1つのパルスの生成時点との間で、第2タイプの原子核、すなわち、ナトリウム原子核に対応する周波数を有する複数個の第2パルス、すなわち、90°パルスと180°パルスとを生成し、この複数個の第2パルスが対象体に印加されることによって生じる第2エコー信号を受信することができる。
【0030】
また、図5を参照すれば、水素原子核に対応する周波数を有する180°パルスと、水素原子核から誘導されるエコー時間との間に、ナトリウム原子核に対応する周波数を有する90°パルスと180°パルスとのエコー時間TE23Naが含まれている。図5に図示された例で、RFコイル13は、第1タイプの原子核、すなわち、水素原子核に対応する周波数を有する複数個の第1パルス、すなわち、90°パルスと180°パルスとのうち、180°パルスの生成時点と、90°パルスと180°パルスとが対象体に印加されることによって生じる第1エコー信号の受信時点との間で、第2タイプの原子核、すなわち、ナトリウム原子核に対応する周波数を有する複数個の第3パルス、すなわち、90°パルスと180°パルスとを生成し、複数個の第3パルスが対象体に印加されることによって生じる第3エコー信号を受信することができる。
【0031】
図5に図示された例は、水素原子核及びナトリウム原子核いずれに対してもスピンエコー方式を利用して磁気共鳴信号を収集する場合である。スピンエコー映像法で、180°パルスは、90°パルスの生成時点とエコー信号の受信時点との中間時点で生成される。従って、水素原子核に対する90°パルスの生成時点と、180°パルスの生成時点との間に、ナトリウム原子核に対する90°パルスと180°パルスとのエコー時間TE23Naが挿入され、水素原子核に対する180°パルスの生成時点と、エコー信号の受信時点との間に、他のエコー時間TE23Naが挿入される。図5に図示された例で、RFコイル13は、かようなパルス列を有する電磁波信号を生成することにより、水素原子核から誘導される磁気共鳴信号、及びナトリウム原子核から誘導される磁気共鳴信号がいずれもスピンエコー映像法で収集されると同時に、水素原子核から誘導される磁気共鳴信号が1回受信される間に、ナトリウム原子核から誘導される磁気共鳴信号は、2回受信される。
【0032】
前述のように、ナトリウム原子は、人体の構成成分のうち、2番目に高い比率で存在するが、水素原子に比べてはるかに低い比率で存在するために、ナトリウム原子核から誘導される磁気共鳴信号を反復して収集する必要がある。例えば、信号収集部23は水素原子核に対応する磁気共鳴信号を反復して収集する間に、ナトリウム原子核に対応する磁気共鳴信号を複数回収集することができる。さらに具体的に説明すれば、信号収集部23は、水素原子核に対応する磁気共鳴信号を、対象体の撮影空間の全体に対して均一に1回収集する間に、ナトリウム原子核に対応する磁気共鳴信号を、対象体の撮影空間に対して部分的に複数回収集することができる。
【0033】
図6は、図1に図示された信号収集部23で、水素原子核から誘導される磁気共鳴信号を収集する一例を図示した図面である。信号収集部23で信号が収集される様子について、さらに簡略に説明するために、対象体の撮影空間を二次元k空間(k space)であると仮定する。一般的に、磁気共鳴映像分野で、k空間とは、対象体の撮影空間をフーリエ変換(Fourier transform)した周波数空間を意味する。第1信号生成部21が、制御部32の制御信号によって、x方向、y方向、及びz方向それぞれに対して、一定の勾配で周波数が変わる交流信号を勾配磁気コイル12に出力すれば、勾配磁気コイル12は、x方向、y方向及びz方向それぞれに対して、一定の勾配で変わる傾斜磁界を生成する。この傾斜磁界によって、対象体の撮影空間内の原子核の位相は、互いに異なることになる。信号収集部23は、x方向、y方向及びz方向それぞれに対して、一定の勾配で周波数が変わる交流信号の応答として、対象体の撮影空間内の原子核の位相が互いに異なる磁気共鳴信号を収集する。このように収集された磁気共鳴信号は、k空間を構成する。
【0034】
図6を参照すれば、第1信号生成部21は、制御部32の制御信号によって、y方向には、最初のサンプリング周波数で固定されており、x方向には、原点から離れた距離によって、一定の勾配で周波数が変化する交流電流を、勾配磁気コイル12に出力する。勾配磁気コイル12は、この交流電流によって、x方向に対して一定の勾配で変わる傾斜磁界を生成する。これにより、信号収集部23は、k空間のy軸上のあるサンプリング地点(sampling point)で、x方向への磁気共鳴信号を一定のサンプリング間隔で収集する。次に、第1信号生成部21は、制御部32の制御信号によって、y方向の周波数は、次のサンプリング周波数に変更され、x方向には、原点から離れた距離によって、一定の勾配で周波数が変化する交流電流を、勾配磁気コイル12に出力する。y軸上のサンプリング地点は、x軸上のサンプリング地点と同様に、一定の勾配で周波数が変化する。勾配磁気コイル12は、この交流電流によって、x方向に対して一定の勾配で変わる傾斜磁界を生成する。これにより、信号収集部23は、k空間のy軸上の他のサンプリング地点で、x方向への磁気共鳴信号を一定のサンプリング間隔で収集する。かような過程が、k空間上のy軸のあらゆるサンプリング地点で反復されることによって、磁気共鳴信号が、k空間全体に対して均一に1回収集される。
【0035】
図7は、図1に図示された信号収集部23で、ナトリウム原子核から誘導される磁気共鳴信号を収集する一例を図示した図面である。図7を参照すれば、第1信号生成部21は、制御部32の制御信号によって、y方向には、最初のサンプリング周波数に固定されており、x方向には、原点から離れた距離によって、一定の勾配で周波数が変化する交流電流を勾配磁気コイル12に出力する。勾配磁気コイル12は、この交流電流によって、x方向に対して一定の勾配で変わる傾斜磁界を生成する。これにより、信号収集部23は、k空間上のy軸のあるサンプリング地点で、x方向への磁気共鳴信号を一定のサンプリング間隔で収集する。次に、第1信号生成部21は、制御部32の制御信号によって、y方向の周波数は、次のサンプリング周波数をスキップし、3番目のサンプリング周波数に変更され、x方向には、原点から離れた距離によって、一定の勾配で周波数が変化する交流電流を、勾配磁気コイル12に出力する。勾配磁気コイル12は、この交流電流によって、x方向に対して一定の勾配で変わる傾斜磁界を生成する。これにより、信号収集部23は、k空間のy軸上の3番目のサンプリング地点で、x方向への磁気共鳴信号を、一定のサンプリング間隔で収集する。かような過程がk空間上のy軸の奇数番目のサンプリング地点で2回反復されることによって、磁気共鳴信号がk空間全体に対して、部分的に2回収集する。
【0036】
映像生成部33は、信号収集部23によって収集された磁気共鳴信号のデータを利用し、複数タイプの原子核に対応する複数タイプの磁気共鳴映像を同時に生成する。例えば、映像生成部33は、信号収集部23によって収集された磁気共鳴信号のデータを利用し、1H磁気共鳴映像と23Na磁気共鳴映像とを同時に生成することができる。さらに詳細に説明すれば、映像生成部33は、第1ストレージ34に保存された磁気共鳴信号を利用し、1H磁気共鳴映像を生成すると同時に、第2ストレージ35に保存された磁気共鳴信号を利用し、23Na磁気共鳴映像を生成する。第1ストレージ34に保存された磁気共鳴信号は、水素原子核から誘導された磁気共鳴信号であり、第2ストレージ35に保存された磁気共鳴信号は、ナトリウム原子核から誘導された磁気共鳴信号である。
【0037】
第2ストレージ35に保存された磁気共鳴信号は、対象体の撮影空間に対して部分的に複数回収集された磁気共鳴信号であるために、映像生成部33は、このように複数回収集された磁気共鳴信号の平均から、対象体の撮影空間、すなわち、k空間に存在する磁気共鳴信号のうち一部を決定する。次に、映像生成部33は、k空間に存在する磁気共鳴信号のうち、収集されていない磁気共鳴信号を、このように決定された磁気共鳴信号に基づいて推定し、信号収集部23によって収集された磁気共鳴信号と、このように推定された磁気共鳴信号とを利用し、23Na磁気共鳴映像を生成する。さらに詳細に説明すれば、映像生成部33は、ナトリウム原子核に対応する磁気共鳴信号のうち、収集されていない磁気共鳴信号に対して、信号収集部23によって収集された磁気共鳴信号に基づいて、対象体の撮影空間、すなわち、k空間での磁気共鳴信号の位置と、磁気共鳴信号の値との関係を示す関数を計算し、この関数に信号収集部23によって収集されていない磁気共鳴信号の位置値を順序通り代入することにより、信号収集部23によって収集されていない磁気共鳴信号の値を推定することができる。このように、k空間に磁気共鳴信号をいずれも充填させず、一部だけ充填させた後、k空間の空き空間の磁気共鳴信号を復元するアルゴリズムとしては、CS(compressed sensing)、GS(generalized series)、HGS(higher-order generalized series)などがある。このアルゴリズムは、主に高速で磁気共鳴映像を生成するために使われる。
【0038】
また、多チャネルコイルを利用し、ナトリウム原子核から誘導される磁気共鳴信号を反復して収集することもできる。多チャネルコイルとは、メイン磁石11によって生成された静磁場内、すなわち、対象体の撮影空間内で互いに異なる位置に設置された受信コイルをいう。このように、受信コイルが互いに異なる位置に設置されているために、磁気共鳴信号が、対象体のいずれの位置から放射されたかということによって、受信コイルそれぞれの磁気共鳴信号に対する感度が変わる。一般的に、ある受信コイルにさらに近い方向に位置した原子核から誘導された磁気共鳴信号の強度がさらに大きい。従って、かような特性を利用し、受信コイルそれぞれの位置によって受信された磁気共鳴信号の加重値(weight)を異ならせることにより、受信コイルを介して対象体の互いに異なる部位の磁気共鳴信号を同時に獲得し、この磁気共鳴信号を利用して生成された部分映像を組み合わせることにより、全体磁気共鳴映像を迅速に生成することができる。これを並列磁気共鳴映像法(parallel magnetic resonance imaging)という。
【0039】
RFコイル13がナトリウム原子核に対応する周波数を有する多チャネルコイルを含む場合、信号収集部23は、対象体の撮影空間で互いに異なる位置に設置された受信コイルそれぞれを介して、ナトリウム原子核に対応する磁気共鳴信号を同時に収集することができる。映像生成部33は、信号収集部23によって収集された磁気共鳴信号の位置情報に基づいて、多チャネルコイルの各チャネル、すなわち、各受信コイルによる互いに異なる加重値を付与し、このように加重値が付与された磁気共鳴信号を利用し、対象体の互いに異なる部位に係わる磁気共鳴映像を同時に生成し、この磁気共鳴映像を組み合わせることにより、全体磁気共鳴映像を生成する。
【0040】
図8は、図1に図示された映像生成部33で映像を生成する一例を図示した図面である。図8に図示された例で、RFコイル13の多チャネルコイルは、メイン磁石11によって生成された静磁場、すなわち、人体の脳の撮影空間の上側に位置した受信コイルと、この撮影空間の下側に位置した受信コイルとから構成される。図8を参照すれば、映像生成部33は、多チャネルコイルに受信された磁気共鳴信号のうち、人体の脳の撮影空間の上側に位置した原子核から誘導された磁気共鳴信号を利用し、人体の脳の上側部位に係わる磁気共鳴映像を生成し、人体の脳の撮影空間の下側に位置した原子核から誘導された磁気共鳴信号を利用し、人体の脳の下側部位に係わる磁気共鳴映像を生成する。次に、映像生成部33は、人体の脳の上側部位に係わる磁気共鳴映像と、人体の脳の下側部位に係わる磁気共鳴映像とを組み合わせることにより、人体の脳全体に係わる磁気共鳴映像を生成する。
【0041】
また、映像生成部33は、前記のような方式を組み合わせ、さらに迅速に高品質の1H磁気共鳴映像と、高品質の23Na磁気共鳴映像とを同時に生成することができる。例えば、信号収集部23は、水素原子核に対応する磁気共鳴信号を1回収集する間に、対象体の撮影空間で互いに異なる位置に設置された受信コイルそれぞれを介して、ナトリウム原子核に対応する磁気共鳴信号を部分的に同時に複数回収集することができる。映像生成部33は、このように複数回収集されたナトリウム原子核に対応する磁気共鳴信号から、ナトリウム原子核に対応する磁気共鳴信号のうち一部を決定し、ナトリウム原子核に対応する磁気共鳴信号のうち、収集されていない残りの磁気共鳴信号を、このように決定された磁気共鳴信号に基づいて推定し、このように決定された磁気共鳴信号と、推定された磁気共鳴信号とを利用し、対象体の互いに異なる部位に係わる磁気共鳴映像を同時に生成して組み合わせることにより、23Na磁気共鳴映像を生成することができる。
【0042】
次に、映像生成部33は、前記のように生成された23Na磁気共鳴映像を、カラースケールに変換し、かような変換されたカラースケールの23Na磁気共鳴映像と、グレースケールの1H磁気共鳴映像とを重畳させることができる。このように重畳された合成磁気共鳴映像は、人体内解剖学情報と代謝情報とを同時に提供することができる。すなわち、合成磁気共鳴映像のグレースケール部分は、人体内解剖学情報を提供し、カラースケール部分は、人体内代謝情報を提供する。一般的に、図1に図示された磁気共鳴映像によって生成された磁気共鳴映像は、グレースケールの白黒映像である。これにより、1H磁気共鳴映像と23Na磁気共鳴映像とが区別されるように、23Na磁気共鳴映像のグレースケールは、カラースケール、例えば、真っ赤な色系統のカラースケールに変換される。
【0043】
図9は、本発明の一実施形態による磁気共鳴映像の生成方法のフローチャートである。
図9を参照すれば、本実施形態による磁気共鳴映像の生成方法は、次のような段階によって構成される。図9に図示された磁気共鳴映像の生成方法は、図1に図示された磁気共鳴映像装置で、時系列的に処理される段階によって構成される。従って、以下で省略された内容であっても、図1に図示された磁気共鳴映像装置について、以上で記述された内容は、図9に図示された磁気共鳴映像の生成方法にも適用される。
【0044】
91段階で、制御部32は、ユーザ・インターフェース31から入力されたユーザ命令によって、テーブル15の位置を制御することによって、対象体を、メイン磁石11によって生成されたり生成される静磁場の中心に位置させる。制御部32は、あらかじめ静磁場の中心として予想される所に対象体を位置させ、メイン磁石11を稼動させることもでき、メイン磁石11を稼動させた後、静磁場の中心に対象体を位置させることもできる。
【0045】
92段階で、制御部32は、ユーザ・インターフェース31から入力されたユーザ命令によって、図2から図5まで図示された、複数タイプの原子核に対応する複数の周波数を有するパルスが一列に配置された多様な形態のパルス列のうちいずれか一つを選択する。93段階で、制御部32は、第1信号生成部21と第2信号生成部22とを制御することによって、メイン磁石11及び勾配磁気コイル12によって生成された磁場内で、RFコイル13を利用し、92段階で選択されたパルス列を有する電磁波信号を、対象体に印加する。92段階は、図2から図5まで図示されたパルス列は、図1に図示された磁気共鳴映像装置のコンピュータ性能及びRFコイル13の性能によって、最適のパルス列を選択する段階であり、この過程なしに、常に1つのパルス列だけ生成されて印加されもする。
【0046】
94段階で、磁気映像生成部33は、信号収集部23を介して、RFコイル13に受信された複数タイプの原子核に対応する磁気共鳴信号のデータを収集する。例えば、94段階で、磁気映像生成部33は、信号収集部23を介して、水素原子核に対応する磁気共鳴信号と、ナトリウム原子核に対応する磁気共鳴信号とのデータを収集する。95段階で、磁気映像生成部33は、94段階で収集された磁気共鳴信号のデータを利用し、複数タイプの原子核に対応する複数タイプの磁気共鳴映像を同時に生成する。例えば、磁気映像生成部33は、94段階で収集された水素原子核に対応する磁気共鳴信号と、ナトリウム原子核に対応する磁気共鳴信号とのデータを利用し、1H磁気共鳴映像と23Na磁気共鳴映像とを同時に生成することができる。
【0047】
前記のような実施形態によれば、高品質の1H磁気共鳴映像と、高品質の23Na磁気共鳴映像とを同時に迅速に生成することができる。このように、短い時間の間、1H磁気共鳴映像と23Na磁気共鳴映像とを得ることによって、病院での患者回転率を高めることができるだけではなく、医師らの医療専門家は、高品質の1H磁気共鳴映像と、高品質の23Na磁気共鳴映像とを同時に使用して病変を診断できるために、さらに正確に病変を診断することができる。特に、医療専門家は、1H磁気共鳴映像が提供する解剖学情報と、23Na磁気共鳴映像が提供する代謝情報とを1回に見ることができるために、人体内の特定位置の代謝状態を正確に確認することができる。
【0048】
一方、前記のような磁気共鳴映像の生成方法は、コンピュータで実行できるプログラムで作成可能であり、コンピュータで読み取り可能な記録媒体を利用し、前記プログラムを動作させる汎用デジタルコンピュータで具現される。前記コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、マグネチック記録媒体(例えば、ROM(read only memory)、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光学的判読媒体(例えば、CD−ROM、DVD(digital versatile disk)など)のような記録媒体を含む。
【0049】
以上、本発明について、その望ましい実施形態を中心に説明した。本発明が属する技術分野で当業者であるならば、本発明が本発明の本質的な特性から外れない範囲で変形された形態で具現されるということを理解することができるであろう。従って、開示された実施形態は、限定的な観点ではなく、説明的な観点から考慮されねばならない。本発明の範囲は、前述の説明ではなくして特許請求の範囲に示されており、それと同等な範囲内にあるあらゆる差異点は、本発明に含まれたものであると解釈されねばならないのである。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の複数タイプの磁気共鳴映像を同時に生成する装置及びその方法は、例えば、MRI関連の技術分野に効果的に適用可能である。
【符号の説明】
【0051】
11 メイン磁石
12 勾配磁気コイル
13 RFコイル
14 シールド
15 テーブル
21 第1信号生成部
22 第2信号生成部
23 信号収集部
31 ユーザ・インターフェース
32 制御部
33 映像生成部
34 第1ストレージ
35 第2ストレージ
36 映像出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数タイプの原子核に対応する複数のパルスを含む電磁波信号を対象体に印加して生じる複数の磁気共鳴信号を受信するコイルを含み、
前記コイルは、第1タイプの原子核に対応する周波数を有する少なくとも1つの第1パルスの生成時点と、前記少なくとも1つの第1パルスが、前記対象体に印加されることによって生じる第1磁気共鳴信号の受信時点との間で、第2タイプの原子核に対応する周波数を有する少なくとも1つの第2パルスが、前記対象体に印加されることによって生じる第2磁気共鳴信号を受信し、
前記磁気共鳴信号から磁気共鳴映像を生成する映像生成部を含む磁気共鳴映像生成装置。
【請求項2】
前記コイルに受信された前記複数の磁気共鳴信号を収集する信号収集部と、
前記収集された磁気共鳴信号を利用し、前記複数タイプの原子核に対応する複数タイプの磁気共鳴映像を生成する映像生成部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴映像生成装置。
【請求項3】
前記コイルは、前記第1磁気共鳴信号の受信時点後に、前記第2磁気共鳴信号を少なくとも1回さらに受信することを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴映像生成装置。
【請求項4】
前記コイルは、前記第1タイプの原子核に対応する周波数を有する1つの第1パルスの生成時点と、前記1つの第1パルスが、前記対象体に印加されることによって生じる第1磁気共鳴信号の受信時点との間で、前記第2タイプの原子核に対応する周波数を有する1つの第2パルスを生成し、前記1つの第2パルスが、前記対象体に印加されることによって生じる第2磁気共鳴信号を受信することを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴映像生成装置。
【請求項5】
前記コイルは、前記第1タイプの原子核に対応する周波数を有する1つの第1パルスの生成時点と、前記1つの第1パルスが、前記対象体に印加されることによって生じる第1磁気共鳴信号の受信時点との間で、前記第2タイプの原子核に対応する周波数を有する複数個の第2パルスを生成し、前記複数個の第2パルスが前記対象体に印加されることによって生じる前記第2パルスそれぞれの磁気共鳴信号を受信することを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴映像生成装置。
【請求項6】
前記コイルは、前記第1タイプの原子核に対応する周波数を有する1つの第1パルスの生成時点と、前記1つの第1パルスが、前記対象体に印加されることによって生じる第1磁気共鳴信号の受信時点との間で、前記第2タイプの原子核に対応する周波数を有する複数個の第2パルスを生成し、前記複数個の第2パルスが前記対象体に印加されることによって生じる第2磁気共鳴信号を受信することを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴映像生成装置。
【請求項7】
前記コイルは、前記第1タイプの原子核に対応する周波数を有する複数個の第1パルスのうちいずれか1つのパルスの生成時点と、他の1つのパルスの生成時点との間で、前記第2タイプの原子核に対応する周波数を有する複数個の第2パルスを生成し、前記複数個の第2パルスが、前記対象体に印加されることによって生じる第2磁気共鳴信号を受信することを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴映像生成装置。
【請求項8】
前記コイルは、前記他の1つのパルスの生成時点と、前記複数個の第1パルスが、前記対象体に印加されることによって生じる第1磁気共鳴信号の受信時点との間で、前記第2タイプの原子核に対応する周波数を有する複数個の第3パルスを生成し、前記複数個の第3パルスが、前記対象体に印加されることによって生じる第3磁気共鳴信号を受信することを特徴とする請求項7に記載の磁気共鳴映像生成装置。
【請求項9】
前記信号収集部は、前記磁気共鳴信号のうち、第1タイプの原子核に対応する磁気共鳴信号を1回収集する間に、第2タイプの原子核に対応する磁気共鳴信号を複数回収集することを特徴とする請求項2に記載の磁気共鳴映像生成装置。
【請求項10】
前記信号収集部は、前記コイルを介して、前記第1タイプの原子核に対応する磁気共鳴信号を、前記対象体の撮影空間の全体に対して均一に1回収集する間、前記第2タイプの原子核に対応する磁気共鳴信号を、前記撮影空間に対して部分的に複数回収集することを特徴とする請求項9に記載の磁気共鳴映像生成装置。
【請求項11】
前記映像生成部は、前記複数回収集された第2タイプの原子核に対応する磁気共鳴信号から、前記第2タイプの原子核に対応する磁気共鳴信号のうち一部を決定し、前記第2タイプの原子核に対応する磁気共鳴信号のうち、収集されていない残りの磁気共鳴信号を、前記決定された磁気共鳴信号に基づいて推定し、前記決定された磁気共鳴信号と、前記推定された磁気共鳴信号とを利用し、前記第2タイプの原子核に対応する磁気共鳴映像を生成することを特徴とする請求項10に記載の磁気共鳴映像生成装置。
【請求項12】
前記信号収集部は、前記対象体の撮影空間で互いに異なる位置に設置された前記コイルの受信コイルそれぞれを介して、前記第2タイプの原子核に対応する磁気共鳴信号を同時に収集し、
前記映像生成部は、前記収集された磁気共鳴信号を利用し、前記対象体の互いに異なる部位に係わる磁気共鳴映像を同時に生成して組み合わせることにより、前記第2タイプの原子核に対応する磁気共鳴映像を生成することを特徴とする請求項2に記載の磁気共鳴映像生成装置。
【請求項13】
前記信号収集部は、前記コイルを介して、前記第1タイプの原子核に対応する磁気共鳴信号を、前記対象体の撮影空間の全体に対して均一に1回収集する間、前記対象体の撮影空間で互いに異なる位置に設置された前記コイルの受信コイルそれぞれを介して、前記第2タイプの原子核に対応する磁気共鳴信号を、前記撮影空間に対して部分的に同時に複数回収集することを特徴とする請求項2に記載の磁気共鳴映像生成装置。
【請求項14】
第1タイプの原子核に対応する周波数を有する少なくとも1つの第1パルスを対象体に印加する段階と、
第2タイプの原子核に対応する周波数を有する少なくとも1つの第2パルスを前記対象体に印加する段階と、
前記第2パルスが、前記対象体に印加されることによって生じる第2磁気共鳴信号を受信する段階と、
前記第2磁気共鳴信号を受信した後、前記第1パルスが、前記対象体に印加されることによって生じる第1磁気共鳴信号を受信する段階と、を含む磁気共鳴映像の生成方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法をコンピュータで実行させるためのプログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−43087(P2013−43087A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−180919(P2012−180919)
【出願日】平成24年8月17日(2012.8.17)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung−ro,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】