説明

複数供給オンボード電源を備えた電力インバータ

少なくとも1台のDC電源(3)からDC電力グリッド(4)に電気エネルギーを供給するためのインバータ(1)であって、DC電力グリッド(4)に接続可能なDC/ACコンバータ(5)と、DC/ACコンバータ(5)の上流に配置されて直流電気分離を与える少なくとも1台のDC/DCコンバータ(9)と、この少なくとも1台のDC/DCコンバータ(9)の入力でこの少なくとも1台のDC電源(3)に接続可能なDC電圧リンク(10)と、DC/DCコンバータ(9)によって第1のDC電圧リンク(10)から直流電気的に分離される少なくとも1個の更なるDC電圧リンク(6)と、電気エネルギーをインバータ(1)のコントローラおよび他の補助装置に供給するオンボード電圧レール(15)と、オンボード供給ユニット(14)と、を備えるインバータ(1)。オンボード供給ユニット(14)は、第1のDC電圧リンク(10)から、および少なくとも1個の更なるDC電圧リンク(6)からオンボード電圧レール(15)に電気エネルギーを供給するように構成されて適応される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、同時継続の(特許文献1)に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は、DC電源からAC電力グリッドに電気エネルギーを供給するための電力インバータに関する。より詳しくは、本発明は例えば調和された方法でインバータのインバータブリッジのスイッチを制御するコントローラと、電気エネルギーをこのコントローラに、同じく他の補助装置に供給するオンボード電源とを備える電力インバータに関する。
【0003】
DC電源は、特に光電発電機または風力発電所であることができる。AC電力グリッドは、公共電力グリッドまたはアイランドグリッドであることができる。AC電力グリッドの負荷の数は、重要でない。したがって、電力インバータは電源からの電気エネルギーを単一負荷に供給するために使用されることができる。
【背景技術】
【0004】
DC電源からAC電力グリッドに電気エネルギーを供給するための電力インバータにおいて、DC/DCコンバータを用いてAC電力グリッドをDC電源から直流電気的に分離することが公知である。この種のDC/DCコンバータは、インバータのDC/ACコンバータの上流に接続されて、例えば高周波トランスを用いてまたは直流電気分離コンデンサを備えた高周波AC電圧リンクを用いて、DC/DCコンバータとDC/ACコンバータとの間のDC電圧リンクからその入力でDC電圧リンクを直流電気的に分離する。例えばブーストまたはバックコンバータのような更なるコンバータ段が、DC/DCコンバータの入力でDC電源とDC電圧リンクとの間に設けられることができる。一般的に、DC/ACコンバータのインバータブリッジに供給するのと比較してDC/DCコンバータの高周波AC電圧リンクに供給するのにより小さなバッファ容量で十分であるので、直流電気的に分離するDC/DCコンバータの入力でのDC電圧リンクの容量は、直流電気的に分離するDC/DCコンバータとDC/ACコンバータとの間のDC電圧リンクの容量より小さい。インバータがスイッチを切られる時、しかしながら、DC/DCコンバータとDC/ACコンバータとの間のDC電圧リンクの大きな容量は保安理由のために制御された方法で定義された時間の間隔内に放電されるべきである。
【0005】
上記したインバータを含む電力インバータのオンボード電圧レールに供給するために、インバータのDC電圧リンク内に存在するDC電圧からフライバックコンバータ経由で必要な補助電圧を生成するオンボード供給ユニットを有することが、公知である。インバータを始動する前にさえ接続されたDC電源によってすでにロードされているDC電圧リンクからオンボード電圧レールに供給することが好まれる。オンボード電源に対する代替電源として、接続されたAC電力グリッドのAC電圧を使用することもまた公知である。
【0006】
(特許文献2)が、直列に接続される電力インバータのDC電圧リンクの2個の部分的容量に対する平衡回路を開示する。この平衡回路では、部分的容量での部分的電圧が、インバータのオンボード電圧レールに供給するオンボード供給ユニットとして使用される、フライバックコンバータの1本の一次巻線に供給するために各々使用される。
【0007】
(特許文献3)が、DC電源からAC電力グリッドに電気エネルギーを供給するための電力インバータを開示する。ここで、充電器/放電器回路が、電力インバータのDC/ACコンバータの入力でのDC電圧リンクとアキュムレータとの間に配置されてDC電圧リンクからこのアキュムレータをロードして必要に応じてアキュムレータからDC電圧リンクをプリチャージする。更に、アキュムレータはこの既知のインバータのオンボード電源の2次電源として機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願第10155355.0号明細書、名称「Wechselrichter mit mehrfach versorgtem Bordnetz」、2010年3月3日出願
【特許文献2】欧州特許公開第1107438A2号明細書
【特許文献3】欧州特許公開第2058921A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
最適化されたオンボード電源を備える、DC電源からAC電力グリッドに電気エネルギーを供給するための電力インバータに対する必要性がなおある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、少なくとも1台のDC電源からAC電力グリッドに電気エネルギーを供給するための電力インバータに関し、このインバータが、AC電力グリッドに接続されるように構成されて適応されるDC/ACコンバータと、DC/ACコンバータの上流に配置されてその入力と出力との間に直流電気分離を与える少なくとも1台のDC/DCコンバータと、この少なくとも1台のDC/DCコンバータの入力に配置され、この少なくとも1台のDC電源に接続されるように構成されて適応される第1のDC電圧リンクと、DC/DCコンバータとDC/ACコンバータとの間に配置され、DC/DCコンバータによって第1のDC電圧リンクから直流電気的に分離される少なくとも1個の更なるDC電圧リンクと、コントローラと、電気エネルギーをコントローラに供給するように構成されて適応されるオンボード電圧レールと、電気エネルギーをオンボード電圧レールに供給するように構成されて適応されるオンボード供給ユニットとを備え、オンボード供給ユニットが、第1のDC電圧リンクから、および少なくとも1個の更なるDC電圧リンクから電気エネルギーを供給するように構成されて適応される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明は、以下の図面を参照してよりよく理解されることができ、そこにおいて重点が本発明の原理を明らかに例示することに置かれる。図において同様な参照番号が、いくつかの図の全体にわたって対応している部分を示す。
【0012】
【図1】電力インバータの第1の実施態様を例示する。
【図2】そのオンボード電源の更なる詳細を備えた図1に従う電力インバータを示す。
【図3】図1および2に従う電力インバータのオンボード電源の電圧コントローラの一例を示す。および
【図4】電力インバータの第2の実施態様を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の電力インバータにおいて、一方では、オンボード電圧レールは少なくとも1台のDC/DCコンバータの入力で第1のDC電圧リンクから、および他方では、第1のDC電圧リンクから直流電気的に分離される少なくとも1個の更なるDC電圧リンクから、オンボード供給ユニットによって電気エネルギーを供給される。この少なくとも1個の更なるDC電圧リンクは、DC/ACコンバータの入力でのDC電圧リンクであることができる。少なくとも1台のDC/DCコンバータの入力での第1のDC電圧リンクからの供給は、このDC電圧リンクがDC電源の増加する出力電圧を伴うDC電源によって直接ロードされ、およびしたがって、リンク電圧がインバータを起動する前にすでに利用可能である利点を有する。更に、このDC電圧リンクから取り出される電気エネルギーは、この少なくとも1台のDC/DCコンバータをまだ通過しておらず、それはDC電源からのオンボード電源の効率に関して有利である。DC/DCコンバータとDC/ACコンバータとの間の少なくとも1個の更なるDC電圧リンクからの電気エネルギーによるオンボード電圧レールの代替供給は、他方では、たとえ、例えばDC電源の完全故障に起因してどんな電気エネルギーも接続されたDC電源によって転送されないのでDC/DCコンバータの入力でのリンク電圧が故障するとしても、それがなおオンボード電圧レールの供給を可能にする利点を有する。更に、DC/DCコンバータとDC/ACコンバータとの間のDC電圧リンクから電気エネルギーをオンボード電圧レールに供給することは、たとえ隣接するDC/DCおよびDC/ACコンバータがスイッチを切られるとしても、この更なるリンクを放電させることに結びつく。対応して、永続的な電力損失を生成する追加的な放電装置、特に放電抵抗器が回避されることができる。これは、電力インバータの総合効率を向上する。
【0014】
電力インバータのオンボード供給ユニットが、オンボード電圧レールに一次的に供給することができ、DC/DCコンバータの入力で第1のDC電圧リンクから、および少なくとも1個の更なるDC電圧リンクから二次的にだけ、必要な補助電圧を生成することができる。オンボード電圧レールに供給する際のこの序列は、第1のDC電圧リンクがインバータを始動する前にDC電源によってすでにロードされているとみなす。更に、使用はDC/DCコンバータによって回避された電力変換に起因する第1のDC電圧リンクからのより高い効率のオンボード電源からなされる。加えて、許容できる労力で常に一定速度で遂行されるとは限らない、DC/DCコンバータとDC/ACコンバータとの間の更なるDC電圧リンクからエネルギーを引き出すことが、好ましくは一定に保たれるこのDC電圧リンク内のリンク電圧にノイズを重畳する。この電気エネルギーがDC/DCコンバータの入力で第1のDC電圧リンクから利用可能でない時、電気エネルギーがこの更なるDC電圧リンクからだけ取り出されるならば、このノイズは最小値に低下する。通常動作では、しかしながら、通常動作でDC/DCコンバータとDC/ACコンバータとの間の更なるDC電圧リンク内のリンク電圧が乱されないように、この状況は生じない。
【0015】
第1のDC電圧リンクからオンボード電圧レールに供給する優越性は、例えば、その閉ループがオンボード電圧レールに存在するオンボード供給電圧を制御する、オンボード供給ユニットのコントローラを用いて実現されることができる。この電圧コントローラは、オンボード供給電圧の実効値と基準値との間の差異に基づいて第1のDC電圧リンクからおよび更なるDC電圧リンクからオンボード電圧レールに供給される供給電力を異なって定義することができる。例えば、異なる変数がオンボード電圧レールへのオンボード供給ユニットの2つの異なる供給電力に対して効果的であることができる。オンボード供給電圧の実効値が基準値より下に低下する時、それが最初にDC/DCコンバータの入力で第1のDC電圧リンクからだけ要求される供給電力を増大するような方法で、電圧コントローラが特に調節されることができる。オンボード供給電圧の実効値と基準値との間の差異がそれにもかかわらず残るならば、電圧コントローラはさらにDC/DCコンバータとDC/ACコンバータとの間の更なるDC電圧リンクから電力を要求する。
【0016】
オンボード供給電圧それ自体に対する電圧コントローラは、オンボード供給電圧が存在するまで、DC/DCコンバータの入力で第1のDC電圧リンクから電気エネルギーを最初に供給されることができる。その後、オンボード供給ユニットの電圧コントローラがオンボード供給電圧によって電気エネルギーを供給されることができる。
【0017】
DC/DCコンバータの入力での第1のDC電圧リンクの容量がDC/DCコンバータとDC/ACコンバータとの間の更なるDC電圧リンクの容量より非常に小さいならば、上記したそのオンボード電源に起因する電力インバータの全ての利点は特に重要である。DC/DCコンバータとDC/ACコンバータとの間の更なるDC電圧リンクの大きい容量を有するための本来の理由は、DC/ACコンバータの入力でのリンク電圧を、単相DC/ACコンバータの低周波電力脈動によってさえ、一定に保つためである。DC/DCコンバータとDC/ACコンバータとの間のDC電圧リンクから電気エネルギーをオンボード電圧レールにまた供給することによって、少なからぬ追加的な量の電気エネルギーがこの更なるDC電圧リンクの高い容量に起因してオンボード供給ユニットに利用可能である。同時に、更なるDC電圧リンクからオンボード電圧レールに供給することが、定義された期間内で更なるDC電圧リンクの容量をしっかりと放電させるために大きな寸法でなければならない放電装置を置換する。単相DC/ACコンバータによって、DC/DCコンバータの入力での第1のDC電圧リンクの容量は、ほとんど常にDC/DCコンバータとDC/ACコンバータとの間の更なるDC電圧リンクの容量の50%未満である。ここで記載されている電力インバータでは、それは多くの場合更なるDC電圧リンクの容量の25%未満である。しばしば、DC/DCコンバータの入力での第1のDC電圧リンクの容量は、DC/DCコンバータとDC/ACコンバータとの間の更なるDC電圧リンクの容量の10%未満か、または5%未満でさえある。
【0018】
電力インバータの実際の実施態様において、オンボード供給ユニットはDC/DCコンバータの入力での第1のDC電圧リンクから供給されるフライバックコンバータおよびDC/DCコンバータとDC/ACコンバータとの間の更なるDC電圧リンクから供給される更なるフライバックコンバータを備えることができる。あるいは、単一トランスを備えた単一フライバックコンバータが設けられることができ、それがDC/DCコンバータの入力での第1のDC電圧リンクからおよびDC/DCコンバータとDC/ACコンバータとの間の更なる電圧リンクから供給される。各フライバックコンバータは、電圧モードでまたは、通常通りフライバックコンバータを有するスイッチング電源によって、電流モード制御方式で動作することができる。
【0019】
オンボード供給ユニットの2本の分岐を組み合わせるために、オンボード供給ユニットは一般に互いに関して電気的に分離される2本の一次巻線を備えるトランスを有することができ、その内の1本が、DC/DCコンバータの入力で第1のDC電圧リンクから供給され、および、もう1本がDC/DCコンバータとDC/ACコンバータとの間の更なるDC電圧リンクから供給される。互いに関して分離される一次巻線は、オンボード電圧レールがそれから供給される2個のDC電圧リンクの直流電気分離を要求しない。2つのリンク電圧が一般に異なるように、DC/DCコンバータがこれらの2個のDC電圧リンク間の直流電気分離に加えて変圧を与えるならば、オンボード供給ユニットのトランスの一次巻線は、DC/DCコンバータの変圧比に対して50%から200%、特に70%から140%に対応する巻線比を備えることができる。換言すれば、巻線比はDC/DCコンバータの変圧比に実質的に等しくあるべきである。
【0020】
電流が第1のおよび更なるDC電圧リンクから両一次巻線に同時に供給されるならば、オンボード供給ユニットのトランスの両一次巻線に供給される電流の同期化は役立つ。このために、一次巻線がそれを経由して電流を供給される全てのスイッチが、同期されることができる。全てのこれらのスイッチがオンボード供給電圧用の単一電圧コントローラによって制御されるならば、それは電圧コントローラから少なくとも1台の光結合器経由で2本の直流電気的に分離された一次巻線の少なくとも1本に少なくとも1つの制御信号を伝送するDC/DCコンバータの両側上の2個のDC電圧リンクの直流電気分離に関して好ましい。
【0021】
たとえ何のDC電源も接続されていなくても、または、例えば、DC電源としての光電発電機が夜により長い期間の間電気エネルギーを供給しなくても、電力インバータのコントローラを起動することが可能にするために、オンボード供給ユニットがまた、DC/ACコンバータに接続されるAC電力グリッドから電気エネルギーをオンボード電圧レールに供給することができる。ここで、2個のDC電圧リンクからの供給電力に対して電圧コントローラにセットされるより、オンボード供給電圧に対するより小さな基準値が、AC電力グリッドからの供給電力に対して電圧コントローラにセットされることができる。したがって、オンボード電圧レールがDC電圧リンクから供給される限り、オンボード電圧レールへの何の供給電力もAC電力グリッドから要求されない。
【0022】
オンボード電圧レールは、加えて、インバータの任意の追加的なリンクから電気エネルギーを供給されることができる。オンボード電源の種々の電源に関して、電気エネルギーの一次生成に関する電気エネルギーの最も低い消費に対応するその供給源(複数源)を備えた最上位で始まる序列を有することは、しかしながら役立つ。
【0023】
電力インバータは、また、DC電源とDC/DCコンバータの入力での第1のDC電圧リンクとの間に、例えば追加的な電圧リンクが関連づけられることができるブーストコンバータのような1段以上の更なるコンバータ段を有することができる。したがって、第1のDC電圧リンクが必ずしも直接DC電源に接続されるというわけではない。しかしながら、第1のDC電圧リンクが、DC電源から受動的に、すなわち更なるコンバータ段の有効動作の前に、充電可能であるならば、何の直流電気分離もDC電源とDC/DCコンバータの入力での第1のDC電圧リンクとの間に存在するべきでない。
【0024】
ここで、図面をより詳細に参照して、図1内に例示されるインバータ1が、DC電源3の一例としての光電発電機2からAC電力グリッド4に電気エネルギーを供給するのに役に立つ。AC電力グリッド4がここで単相であるように示される一方、インバータ1はまた、三相AC電力グリッドに供給するように構成されて適応されることができる。インバータ1はAC電力グリッド4に接続されるDC/ACコンバータ5を備え、それがAC電力グリッド4にAC電流を供給するためにDC電圧リンク6から電荷または電気エネルギーを取り出す。DC電圧リンク6は、グリッド周波数の二倍で変調されるDC/ACコンバータ5による電荷の引き出しにもかかわらずDC電圧リンク6のリンク電圧を一定に保つために1個以上のコンデンサによって与えられる大きな容量7を備える。ここで、容量7は例えば、1.5mFの電解コンデンサによって与えられる。DC電圧リンク6は、DC電圧リンク10からDC/DCコンバータ9経由で充電される。DC/DCコンバータ9は、AC電力グリッド4とDC電源3との間の直流電気分離のために設けられ、かつ例えば、このために高周波トランスを備え、その一次巻線がインバータブリッジ経由で、高周波で動作し、一方、その二次巻線から流れる電流が、(ここで記載されない)整流器ブリッジ経由で整流化される。DC/DCコンバータ9の所望の機能に対して、容量11は容量7より非常に小さく、ここで例えば55μFのフィルムコンデンサ12であって、DC電圧リンク10に十分である。更なるコンバータ段13が、DC電圧リンク10の上流に配置される。この更なるコンバータ段は、DC電圧リンク10とDC電源3との間に直流電気分離を与えない。その代わりに、例えばブーストコンバータであるが、これは例えば、光電発電機2の出力電圧が朝に増加するソラリゼーションによって増大する時その不活性状態でさえ、DC電源3から容量11を受動的に充電することを可能にする。
【0025】
インバータ1のオンボード供給ユニット14は電気エネルギーをオンボード電圧レール15に供給してオンボード供給電圧を生成し、それがオンボード電圧レール15によってインバータ1の補助装置に供給される。オンボード供給ユニット14は、DC電圧リンク10およびDC電圧リンク6の両方から電気エネルギーを取り出す。オンボード供給ユニット14は、オンボード電圧レール15に、主にかつできる限りDC電圧リンク10から電気エネルギーを供給する。DC電圧リンク10内のリンク電圧が不十分な場合だけ、オンボード供給ユニット14がDC電圧リンク6からオンボード電圧レール15に供給する。オンボード電圧レール15は特にインバータ1のコントローラ60に電気エネルギーを供給するのに役に立ち、コントローラは例えば(ここで記載されない)調和された方法でDC/ACコンバータ5のおよびDC/DCコンバータ9のインバータブリッジのスイッチを制御する。DC電圧リンク10から電気エネルギーをオンボード電圧レール15に供給することに起因して、DC電源3がDC電圧リンク10を充電するとすぐに、電気エネルギーがオンボード電圧レール15によって利用可能である。しかしながら、DC電圧リンク10がDC電源3と共に故障するならば、例えば、制御された方法でコントローラ60を遮断するために電解コンデンサ8内に蓄積される電荷の形で、より長い期間の間オンボード電圧レール15に供給するための十分な電気エネルギーがなおある。
【0026】
図1内に記載される詳細に加えて、図2は電力インバータ1の以下の詳細を示す。オンボード供給ユニット14は、2個の入力フライバックコンバータ分岐16および21を備えたフライバックコンバータならびにトランス18を備える。フライバックコンバータ分岐16は、DC電圧リンク10からトランス18の一次巻線17に供給する。フライバックコンバータ分岐16は、その不可欠な構成部品として半導体スイッチ19およびダイオード20を備える。また、半導体スイッチ22およびダイオード23でできているフライバックコンバータ分岐21が、DC電圧リンク6からトランス18の更なる一次巻線24に供給するために設けられる。トランス18の2本の一次巻線17および24は、互いに関して電気的に分離される。また、互いに関して電気的に分離されるトランスの二次巻線25および26の各々が、それぞれ、整流器回路27および28経由でオンボード供給ユニット14のいくつかの出力回路33および34の1台に供給する。整流器回路27および28の各々は実質的に、それぞれダイオード29および30、ならびにそれぞれコンデンサ31および32から成る。種々の出力回路33および34が、オンボード電圧レール15経由で異なるかつ直流電気的に切り離されたオンボード供給電圧をインバータのコントローラに供給するのに役に立つ。半導体スイッチ19および22は、それぞれトランス18に、それぞれのDC電圧リンク10および6から電気エネルギーを供給するように制御される。電気エネルギーが同時に両DC電圧リンク10および6から供給されるならば、半導体スイッチ19および22の制御信号は同期されるべきであり、それらは常に同期されることができる。オンボード供給ユニット14の全ての出力回路33および34は、DC電圧リンク6および10の各々から常に同時に供給される。
【0027】
図3は、両半導体スイッチ19および22に対する制御信号35および36がどのように生成されることができるかについて説明する。コンパレータ38および39の1個の入力に印加される、のこぎり波状電圧37によって、制御信号35および36の周波数が与えられる。その基準値が電圧源41によって与えられるPI(比例/積分)コントローラ40からの制御信号が、コンパレータ38および39のそれぞれの残りの入力に印加される。ここで、制御信号はコンパレータ38の残りの入力に直接印加され、一方、ツェナーダイオード42がPIコントローラ40とコンパレータ39との間に接続され、抵抗器49経由でバイアスされる。基準値との比較のために必要なフィードバックが入力43によってPIコントローラに与えられ、それが、オンボード供給電圧が存在する図1および2に従うオンボード電圧レール15に接続される。PIコントローラのコア構成部品はオペアンプ44である。PIコントローラの特性は、コンデンサ45によってならびに抵抗器46および47によって定義される。抵抗器48は動作点を調節するのに役に立つ。それらの制御信号35および36が図3に従う共通回路によって生成されるとはいえ、図2に従う2台のフライバックコンバータ16および21を直流電気的に分離するように保つために、特にそれぞれの残りの半導体スイッチに接続される出力または図3に従う回路が存在していないフライバックコンバータ分岐内に、光結合器をこの共通回路の出力50および51の少なくとも1個内に配置することが好ましい。
【0028】
図3に従う回路がいわゆる電圧モードで制御信号35および36の発生を例示する一方、PIコントローラ40の出力信号がのこぎり波状電圧37と比較されず、比較がそれぞれのフライバックコンバータ分岐内に実際に流れる電流となされるという点で、変調されたパルス幅を備えたこの種の制御信号の発生はまた、通常の電流モードで実行されることができる。
【0029】
図4内に例示されるインバータ1の実施態様では、DC/ACコンバータ5の入力でのDC電圧リンク6が1台のDC/DCコンバータ9経由で充電されるだけでなく、また、DC/DCコンバータ9と並列に接続される第2のDC/DCコンバータ55経由でも充電される。第2のDC/DCコンバータ55の入力DC電圧リンク56は、第2のコンバータ段54経由で第2の光電発電機52の形の第2のDC電源53に接続される。第2のDC/DCコンバータ55は、DC電源53からのDC電圧リンク6の直流電気分離を与え、第2のコンバータ段54は与えない。ここで、オンボード供給ユニット14は主に小さな容量11および57を有する両DC電圧リンク10および56から電気エネルギーをオンボード電圧レール15に供給し、両DC電圧リンク10および56は、互いにかつ2台のDC/DCコンバータ9および55によってDC電圧リンク6から直流電気的に分離される。この直流電気分離は、オンボード供給ユニット14の領域に続く。それぞれDC電圧源3または53の領域内の故障に起因するDC電圧リンク10および56のうち1個のリンク電圧の故障は、したがって、より長い期間の後でさえオンボード供給ユニット14の故障に結びつかない。二次的に、オンボード供給ユニット14は2台のDC/DCコンバータ9および55とDC/ACコンバータ5との間に配置される大きな容量7を備えたDC電圧リンク6から電気エネルギーをオンボード電圧レール15に供給する。
【0030】
多くの変更および修正が、本発明の趣旨および原理から実質的に逸脱することなく本発明の好ましい実施態様になされることができる。全てのこの種の修正変更は、以下の請求の範囲によって定義される、本発明の範囲内で本願明細書に含まれることを意図される。
【符号の説明】
【0031】
1 インバータ
2 光電発電機
3 DC電源
4 AC電力グリッド
5 DC/ACコンバータ
6 DC電圧リンク
7 容量
8 電解コンデンサ
9 DC/DCコンバータ
10 DC電圧リンク
11 容量
12 フィルムコンデンサ
13 コンバータ段
14 オンボード供給ユニット
15 オンボード電圧レール
16 フライバックコンバータ分岐
17 一次巻線
18 トランス
19 半導体スイッチ
20 ダイオード
21 フライバックコンバータ分岐
22 半導体スイッチ
23 ダイオード
24 一次巻線
25 二次巻線
26 二次巻線
27 整流器回路
28 整流器回路
29 ダイオード
30 ダイオード
31 コンデンサ
32 コンデンサ
33 出力回路
34 出力回路
35 制御信号
36 制御信号
37 のこぎり波状電圧
38 コンパレータ
39 コンパレータ
40 PIコントローラ
41 電圧源
42 ツェナーダイオード
43 入力
44 オペアンプ
45 コンデンサ
46 抵抗器
47 抵抗器
48 抵抗器
49 抵抗器
50 出力
51 出力
52 光電発電機
53 DC電源
54 コンバータ段
55 DC/DCコンバータ
56 DC電圧リンク
57 容量
60 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1台のDC電源から電気エネルギーをAC電力グリッドに供給するための電力インバータであって、前記インバータが、
−前記AC電力グリッドに接続されるように構成されてかつ適応されるDC/ACコンバータと、
−前記DC/ACコンバータの上流に配置され、かつその入力と出力との間に直流電気分離を与える少なくとも1台のDC/DCコンバータと、
−前記少なくとも1台のDC/DCコンバータの前記入力に配置され、かつ、前記少なくとも1台のDC電源に接続されるように構成されてかつ適応される第1のDC電圧リンクと、
−前記DC/DCコンバータと前記DC/ACコンバータとの間に配置され、かつ前記DC/DCコンバータによって前記第1のDC電圧リンクから直流電気的に分離される少なくとも1個の更なるDC電圧リンクと、
−コントローラと、
−電気エネルギーを前記コントローラに供給するように構成されてかつ適応されるオンボード電圧レールと、
−前記オンボード電圧レールに前記電気エネルギーを供給するように構成されてかつ適応されるオンボード供給ユニットと、を備え、
−前記オンボード供給ユニットが、前記第1のDC電圧リンクからおよび前記少なくとも1個の更なるDC電圧リンクからの両方から前記電気エネルギーを供給するように構成されてかつ適応されることを特徴とするインバータ。
【請求項2】
前記第1のDC電圧リンクの容量が、前記少なくとも1個の更なるDC電圧リンクの容量より実質的に小さいことを特徴とする請求項1に記載のインバータ。
【請求項3】
前記第1のDC電圧リンクの前記容量が、前記少なくとも1個の更なるDC電圧リンクの前記容量の50%未満であることを特徴とする請求項2に記載のインバータ。
【請求項4】
前記第1のDC電圧リンクの前記容量が、前記少なくとも1個の更なるDC電圧リンクの前記容量の25%未満であることを特徴とする請求項3に記載のインバータ。
【請求項5】
前記第1のDC電圧リンクの前記容量が、前記少なくとも1個の更なるDC電圧リンクの前記容量の10%未満であることを特徴とする請求項4に記載のインバータ。
【請求項6】
前記第1のDC電圧リンクの前記容量が、前記少なくとも1個の更なるDC電圧リンクの前記容量の5%未満であることを特徴とする請求項5に記載のインバータ。
【請求項7】
前記オンボード供給ユニットが、前記第1のDC電圧リンクから前記オンボード電圧レール内に前記電気エネルギーを一次的に供給してかつ前記少なくとも1個の更なるDC電圧リンクから前記オンボード電圧レール内に前記電気エネルギーを二次的に供給するように構成されてかつ適応されることを特徴とする請求項1に記載のインバータ。
【請求項8】
前記オンボード供給ユニットが、前記オンボード電圧レールに存在するオンボード供給電圧に対する電圧コントローラを備え、前記電圧コントローラが前記オンボード供給電圧の実効値と基準値との間の差異に従い前記第1のDC電力リンクからの前記オンボード供給ユニットの供給電力と前記少なくとも1個の更なるDC電力リンクからの前記オンボード供給ユニットの供給電力とを定義することを特徴とする請求項7に記載のインバータ。
【請求項9】
前記第1のDC電力リンクからの前記供給電力に対して、および前記少なくとも1個の更なるDC電力リンクからの前記供給電力に対して、異なる制御変数が前記電圧コントローラ内にセットされることを特徴とする請求項8に記載のインバータ。
【請求項10】
前記電圧コントローラそれ自体が、前記オンボード供給電圧が存在しない限り、および前記オンボード供給電圧によってその後、前記第1のDC電圧リンクから供給されるように構成されてかつ適応されることを特徴とする請求項8に記載のインバータ。
【請求項11】
前記オンボード供給ユニットが、前記第1のDC電圧リンクから供給されるフライバックコンバータと前記少なくとも1個の更なるDC電圧リンクから供給されるフライバックコンバータとを備えることを特徴とする請求項7に記載のインバータ。
【請求項12】
前記フライバックコンバータの各々が、電流モードで動作することを特徴とする請求項11に記載のインバータ。
【請求項13】
前記フライバックコンバータの各々が、電圧モードで動作することを特徴とする請求項11に記載のインバータ。
【請求項14】
前記オンボード供給ユニットが、前記第1のDC電圧リンクからおよび前記少なくとも1個の更なるDC電圧リンクからの両方から供給されるように構成されてかつ適応されるフライバックコンバータを備えることを特徴とする請求項7に記載のインバータ。
【請求項15】
前記フライバックコンバータが、電流モードで動作することを特徴とする請求項14に記載のインバータ。
【請求項16】
前記フライバックコンバータが、電圧モードで動作することを特徴とする請求項14に記載のインバータ。
【請求項17】
前記オンボード供給ユニットが、互いに関して電気的に分離される2本の一次巻線を備えるトランスを備え、前記一次巻線の1本が、前記第1のDC電圧リンクから電流を供給され、および前記一次巻線のもう1本が前記少なくとも1個の更なるDC電圧リンクから電流を供給されることを特徴とする請求項7に記載のインバータ。
【請求項18】
前記2本の一次巻線が、前記DC/DCコンバータの変圧比の70%から140%の範囲内にある巻線比を備えることを特徴とする請求項17に記載のインバータ。
【請求項19】
少なくとも1台の光結合器が、制御信号を伝送するために設けられ、少なくとも1個のスイッチ、それを通して電力が前記2個のDC電圧リンクの1個から前記直流電気的に分離された一次巻線の少なくとも1本に供給されることを特徴とする請求項17に記載のインバータ。
【請求項20】
前記オンボード供給ユニットが、前記インバータの少なくとも1個の追加的なリンクから前記オンボード電圧レールに前記電気エネルギーを加えて供給するように構成されてかつ適応されることを特徴とする請求項1に記載のインバータ。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図1】
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【公表番号】特表2013−521750(P2013−521750A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555431(P2012−555431)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際出願番号】PCT/EP2011/053219
【国際公開番号】WO2011/107555
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(504109698)エスエムエー ソーラー テクノロジー アーゲー (14)
【Fターム(参考)】