説明

複数方向の超音波スキャンを同期するための方法、システムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】複数方向の超音波スキャンを同期するだめの方法、システムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する。
【解決手段】複数方向の超音波スキャン(44、50)が同期される(46)。複数のウォブラアレイが連続的に使用される。動きに起因するアーチファクトを制限するため、連続的動作が同期される(46)。第1のウォブラアレイのスキャン中(44)、第2のウォブラアレイは移動しているかまたはアクティブである。第1のウォブラアレイがスキャンを全部または一部を完了すると、第2のウォブラアレイが移動の開始を待つことなくスキャンを開始する(50)。その代わりにまたはそれに加えて、第2のアレイの位置は第1のアレイまたは第1のアレイのスキャン終了と同期する。異なるスキャンからのデータはボリュームの重なりを表し、拡大された視野を形成するよう結合することができる(52)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数方向の超音波スキャンを同期するための方法、システムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の超音波スキャンは、単一のハンドヘルドのトランスデューサを用いて行われていた。トランスデューサは、FOV(フィールド・オブ・ビュー:視野)内の平面情報を得るが、FOVはトランスデューサの設計により制限される。このアプローチは、胎児画像診断などの多くの臨床用途に関して、対象の人体構造全体の視覚化を妨げている。代わりに、対象の人体構造全体を視覚化するために、通常は複数の独立した像が必要とされる。超音波検査士は、ハンドヘルドのトランスデューサを種々の位置に動かして、各位置でデータを個別に得る。各位置で得られたデータから別々の画像が生成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ボリューム情報はハンドヘルドのトランスデューサを用いて得られる。例えば、ウォブラトランスデューサは異なる平面での電子スキャンのアレイを機械的に移動する。しかし、FOVはやはりトランスデューサの設計により制限されているので、対象の人体構造全体を見ることができない場合がある。トランスデューサは他の領域をスキャンするために他の位置に配置される場合があるが、胎児の動きや領域内部については、別のスキャンから得た画像と比較することが困難な場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
はじめに、以下に示す好適な実施形態には、複数方向の超音波スキャンを同期するための方法、システムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体が含まれる。複数のウォブラアレイが連続的に使用される。動きに起因するアーチファクトを制限するため、連続動作が同期される。第1のウォブラアレイのスキャン中、第2のウォブラアレイは移動しているか、またはアクティブである。第1のウォブラアレイがスキャン全体またはスキャンの一部を完了すると、第2のウォブラアレイがウォブリング動作の開始を待つことなくスキャンを開始する。その代わりにまたはそれに加えて、第2のアレイの位置は第1のアレイまたは第1のアレイのスキャンの終了と同期する。異なるスキャンからのデータはボリュームの重なりを表し、拡大された視野を形成するために結合することができる。
【0005】
第1の態様においては、複数方向の超音波スキャンを同期するためのシステムが提供される。少なくとも第1のウォブラトランスデューサおよび第2のウォブラトランスデューサがフレームと接続される。フレームは第2のウォブラトランスデューサに相対的な第2のウォブラトランスデューサの独立した移動を可能にするよう構成されている。独立した移動は少なくとも第1の次元に沿った並進、少なくとも第2の次元の周りの回転、またはこれらの組み合わせである。これらの第1の次元および第2の次元は異なるかまたは同一である。超音波イメージングシステムは、患者の内部領域を第1のウォブラトランスデューサ、次いで、第2のウォブラトランスデューサを用いて連続的にスキャンするよう構成されている。連続スキャンが視野の重なりを有することによって第1のウォブラトランスデューサによりスキャンされる第1のボリュームは第2のウォブラトランスデューサによりスキャンされる第2のボリュームと重なる。超音波イメージングシステムは、第1のウォブラトランスデューサを用いたスキャンからのデータと、第2のウォブラトランスデューサを用いたスキャンからのデータと、第1のボリュームおよび第2のボリュームの相対位置とに応じた画像を生成する。プロセッサは、第2のウォブラトランスデューサのアレイを第1のウォブラトランスデューサのスキャンと同期させ、第1のウォブラトランスデューサから第2のウォブラトランスデューサにスキャンが移行するときには、第2のウォブラトランスデューサはスキャンする準備ができているよう構成されている。ディスプレイは画像を表示する。
【0006】
第2の態様においては、複数方向の超音波スキャンを同期するための方法が提供される。患者は第1の機械的に動かされるアレイを用いて音波スキャンされる。スキャンは第1の機械的に動かされるアレイの少なくとも第1の視野から構成される。第1の機械的に動かされるアレイを用いた音波スキャンの間、第2の機械的に動かされるアレイは、音波スキャンを行うことなくアクティブモードで作動される。第1の機械的に動かされるアレイを用いた音波スキャンが停止される。スキャンは停止されているが、機械的に動かされる第1のアレイが依然としてアクティブモードにある間に、第2の機械的に動かされるアレイを用いて患者は音波スキャンされる。第2の機械的に動かされるアレイを用いたスキャンはこの第2の機械的に動かされるアレイの少なくとも第2の視野から構成される。第2の視野は第1の視野とは異なるが重なっている。第1の機械的に動かされるアレイおよび第2の機械的に動かされるアレイの相対位置に応じて、第1の機械的に動かされるアレイを用いたスキャンからのデータと第2の機械的に動かされるアレイを用いたスキャンからのデータが結合される。その結合に応じて画像が生成される。
【0007】
第3の態様においては、コンピュータ読み取り可能な記録媒体には、複数方向の超音波スキャンを同期するために、プログラミングされたプロセッサによって実行される命令を表すデータが保存されている。記録媒体には、2つの異なるトランスデューサアレイを用いて連続的にスキャンを実施させる命令と、2つの異なるトランスデューサアレイのうちの第1のトランスデューサアレイの動作を、2つの異なるトランスデューサアレイのうちの第2のトランスデューサアレイのスキャン終了と同期させる命令と、2つの異なるトランスデューサアレイを用いた連続的なスキャンからのデータに応じて画像を生成する命令と、が記録されている。
【0008】
本発明は、特許請求の範囲に記載されている発明によって規定されるものであり、本項における何物も特許請求の範囲に記載の事項についての限定として取られるべきではない。本発明のさらなる態様および利点は好適な実施形態と関連させて以下において説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】複数方向の超音波スキャンを同期するための超音波システムの実施形態のブロック図を示す。
【図2】図1の超音波システムにかかるトランスデューサを保持するフレームの実施例を示す。
【図3】複数方向の方向超音波スキャンを同期するための方法の実施形態のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
構成要素および人体は縮尺通りに示したものではなく、本発明の原理を説明するために強調して示している。また、図面中、同様の参照番号は全体を通じて対応する部分を示す。
【0011】
複数の機械的なウォブラトランスデューサの同期により、より高速な取得が可能となる。広いFOVは、各トランスデューサからの空間エンコード情報を用いて構成することができる。つまり、視野の重なる複数のトランスデューサを用いて、視野が拡大されたボリュームまたは平面を合成する。
【0012】
合成された情報は、定量化および/またはイメージングに用いることができる。例えば、胎児イメージングに用いられる。胎児全体のスキャンが可能である。トランスデューサのアレイを用いて、他の大きな人体構造の超音波検査による視覚化が可能となる。トランスデューサのアレイは、個別に配置された、FOVの重なるトランスデューサから構成される。各トランスデューサをそのアレイ全体にわたり順にまたは同時にアドレスし、合成される広いFOVのボリュームを結合するようにしてもよい。各トランスデューサのジオメトリおよび配向性の知識を用いて、および/または、イメージング処理技術を用いて合成されたボリュームが得られる。
【0013】
重なる領域をスキャンするトランスデューサのアレイにより、スペックルを低減することができる。合成ボリューム内の所定サブボリュームがいくつかの個別のトランスデューサの視野に含まれる場合もあるが、各トランスデューサはこのサブボリュームを異なる配向性から調べることができる。そのようにしてボリュームを調べるためのビームに付随するスペックルパターンおよび減衰はトランスデューサ間で異なる。いくつかのトランスデューサからの所定サブボリューム情報を合成することにより、コントラストと空間解像度の両方を向上させることができる。
【0014】
トランスデューサが使用するスキャン方向が異なることにより、影のアーチファクトを低減することができる。影は、反射性の表面構造またはより浅い場所の構造に基づいて深い場所の構造が暗くなる場所で生じる。或るトランスデューサは、そのトランスデューサの視野内のサブボリュームを十分に視覚化できない。配向性が異なる他のトランスデューサであれば同じ場所の構造をより効率的に視覚化することができる。
【0015】
複数のトランスデューサのスキャンを同期することにより、動きにかかわらず、複数の像を取得することができる。動きはアーチファクトをもたらすか、または、異なるスキャン(例えば、異なる配向性または位置のトランスデューサ)からのデータのアライメントを困難にする。サブボリュームの高品質の位置決めは、各トランスデューサの位置および配向性についての正確な空間情報無しには難しい場合がある。相対的な空間位置は、トランスデューサに設けられたセンサ、位置決めデバイス(例えばロボット)に設けられたセンサ、および/または、データ相関を用いて求められる。相対位置を求めるためのデータ相関は、動きによりスキャンされている組織が変わる場所では難しい場合がある。同期により連続するスキャン間の時間を低減させ、動きアーチファクトを低減させることができる。
【0016】
各トランスデューサのビームが進む異なる音波経路は、減衰レベル、位相収差、および、画像に影響を及ぼす他のパラメータを変化させる場合がある。この変化を考慮するため、合成されるボリュームの重なり領域への各トランスデューサの寄与を重み付けしてもよい。
【0017】
トランスデューサは物理的に大きく、重いことがある。ロボット、支持アーム、ベルトまたは他の機構を用いて、ユーザによるトランスデューサの位置決めまたは保持を支援することができる。
【0018】
複数のボリュームトランスデューサは、超音波イメージングシステムを用いて、逐次的または同時に駆動制御される。複数アレイでの同時的なスキャンを区別する周波数分離や他のコーディングを避けるために、逐次的なスキャンを用いることができる。もしくは、周波数分離または他のコーディングによりデータ送信が区別される。
【0019】
図1に、複数方向の超音波スキャンを同期するためのシステム10を示す。システム10は、複数のトランスデューサ12、16と、位置決めデバイス14と、超音波イメージングシステム18と、プロセッサ20と、メモリ22と、ディスプレイ24とを備えている。付加的な構成要素または別の構成要素を備えることもできるが、構成要素はより少なくてもよい。例えば、システム10は位置決めデバイス14を備えていなくてもよい。別の例では、システム10はユーザインタフェースを備えている。1つの実施形態では、システム10は医学診断用の超音波イメージングシステムである。他の実施形態では、プロセッサ20および/またはメモリ22は、超音波イメージングシステム18とは異なるか、または別個のワークステーションもしくはコンピュータの一部である。ワークステーションは超音波イメージングシステム18に隣接して、または、遠隔に配置されている。
【0020】
トランスデューサ12、16はそれぞれ単一素子のトランスデューサ、リニアアレイ、カーブドリニアアレイ、フェーズドアレイ、1.5次元アレイ、2次元アレイ、放射状アレイ、管状アレイ、多次元アレイ、他の既知のアレイまたは将来開発されうるアレイから構成される。該素子は、圧電性または容量性の材料または構造である。トランスデューサ12は、患者の体外での使用に適合されており、例えば、ハンドヘルドのハウジングまたは外部構造にマウントするためのハウジングを備えている。2つのトランスデューサ12、16が示されているが、3つ、または4つ以上のトランスデューサ12、16を設けてもよい。各トランスデューサ12、16は、同一構造でも異なる構造でもよく、例えば、一方がリニアアレイであり、他方がカーブドリニアアレイであってもよい。トランスデューサは、同一または異なるサイズのFOVをスキャンするように構成されていてもよい。各トランスデューサの画像パラメータ(周波数、深さなど)もまた、他のトランスデューサと同じか、あるいは、異なっていてもよい。
【0021】
ある実施形態では、1つまたは複数のトランスデューサ、例えば、全てのトランスデューサ12、16は、ウォブラアレイである。ウォブラアレイはそれぞれトランスデューサ素子のアレイを含む。該素子のアレイは、領域のスキャン、例えば平面の電子スキャンに用いられる。ベルト、ギア、プーリ、カムおよび/または他の構造がアレイと接続されている。電気モータなどのモータが構造を駆動してアレイを動かす。アレイは、平面または曲面に沿って並進し、および/または、回転する。モータの作動および/または構造により、アレイは、プローブハウジング内で2つの境界の間を前後に動くことができる(つまり、アレイはウォブリング、すなわち左右に揺れるように移動する)。境界は機械的または電気的に決定されてもよい。
【0022】
各トランスデューサ12、16は、患者の体内領域をスキャンするため、電気信号を音響的なエネルギに変換する。スキャンされる体内領域は、トランスデューサアレイの種類と、患者に対するトランスデューサ12の相対位置とに応じて表される。例えば、ウォブラリニアトランスデューサアレイは、体内の、長方形または正方形の複数の平面領域をスキャンすることができる。別の例として、ウォブラカーブドリニアアレイは、体内の複数のパイ形状の領域をスキャンすることができる。体内の他の幾何領域または幾何形状に適合したスキャンを行うために、例えばVector(R)スキャンを用いることができる。
【0023】
アレイの移動により、平面は距離を置いて隔てられる。それらの平面は患者のボリュームを表す。アレイを、例えば、回転、揺動および/または並進により動かして異なる平面をスキャンしてもよい。または、ボリュームは電子式ステアリングのみでスキャンされる(例えば、二次元アレイを用いたボリュームスキャン)。
【0024】
ウォブラアレイはアレイの位置を求め、対応するスキャン平面位置を提供するよう構成されたセンサをそれぞれ含んでよい。各平面スキャンの位置は、測定されるかまたは既知である。例えば、エンコーダまたは他のセンサはその動きの範囲内でアレイの位置を求め、所定のスキャン平面の位置を求める。また、位置を求めるために、モータの消費電流または他のフィードバックが用いられる。同一アレイで取得されたスキャン平面の位置を求めるため、データの脱相関または他の技術を用いることができる。また別の例では、各スキャン平面が取得される。それらの平面は設定された相対位置で取得される。他の実施形態では、動きの範囲にわたるアレイまたはモータの速度が既知であるか、または求められる。各スキャンの位置を求めるために、速度プロファイル、スキャン数、およびスキャンタイミングを用いてもよい。
【0025】
オプションとして、トランスデューサ12、16は位置決めデバイス14を備えている。位置決めデバイス14は超音波トランスデューサ12、16の内部または表面に設けられる。例えば、位置決めデバイス14は、トランスデューサ12、16のハウジングの表面上に、または、ハウジングの内部に設けられるか、ハウジングの一部として形成される。信号またはデータは、トランスデューサ12、16のケーブルにより有線で、または、無線で位置決めデバイス14との間で送受信される。
【0026】
位置決めデバイス14はセンサまたはセンサ対象である。例えば、位置決めデバイス14は、磁気位置センサのコイルを備えている。3本の直交するコイルが設けられる。リモートトランスミッタコイルを介して連続的な伝送を行い、各センサコイルの信号を測定することにより、センサコイルの位置と配向性が決定される。コイルはセンサ外部の別のデバイスにより生成された磁界を感知する。代替的に、磁界は位置決めデバイス14により生成され、位置決めデバイス14から離れたコイルがトランスミッタの位置情報を感知する。
【0027】
位置決めデバイス14は、プローブまたはトランスデューサ12、16の位置、例えば空間または他のトランスミッタに相対的な位置を求める。位置決めデバイス14は、異なるトランスデューサ12、16によって取得されたスキャンボリュームまたはスキャン平面の相対位置を示す。
【0028】
別のタイプの位置決めデバイス14を用いてもよい。例えば、重力センサは地球の中心に対するトランスデューサ12、16の配向を示す。他の例では、位置決めデバイス14は加速度計またはジャイロスコープである。トランスデューサ12、16のパターン、光トランスミッタまたはハウジングである位置決めデバイス14などの光学センサを用いてもよい。カメラはトランスデューサ12、16を撮像する。プロセッサ20は、位置決めデバイス14の視野内の位置、歪みおよび/またはサイズに基づいて、配向性および/または位置を求める。
【0029】
基準に対する配向を感知するために、1自由度、2自由度または3自由度の他の方位センサを用いてもよい。他の実施形態では、位置センサまたは方位センサは、6自由度までの位置上方および配向情報を提供する。6自由度の位置情報をもたらす磁気ポジションセンサの例としては、Ascension社製Flock of Birds(R)、および、Biosense Webster社製のポジションセンシングカテーテルが挙げられる。
【0030】
別の実施形態では、位置決めデバイス14は、光ファイバポジションセンサ、例えば、Measurand,Inc社製Shapetape(R)である。光ファイバポジションセンサの一方の端部または部分の、他方の端部または部分に対する配向および/または位置は、光ファイバのストランド内の光を測定することにより求められる。光ファイバポジションセンサの一端または他の部分は、既知の位置に隣接して保持される。光ファイバポジションセンサの屈曲、ねじれおよび回転は、例えば、トランスデューサ12、16が音響窓に隣接して配置された後に測定される。トランスデューサ12、16の異なる音響窓での相対位置を求めることができる。
【0031】
トランスデューサ12、16を位置決めおよび/または保持に関してユーザを支援するため、図2に示すようにフレーム30を設けてもよい。フレーム30は、プーリ、ベルトまたはユーザがトランスデューサ12、16を保持するのに必要とされる荷重を能動的または受動的に減らすための他の機構から構成されている。1つの実施形態では、フレーム30はショック機構、モータ、リミッタ、ポンプまたはその他の機構を備えている。フレーム30は移動を阻止することができるか、フレーム30をロックまたはアンロックすることができる。もしくは、フレーム30により移動を容易にすることができる。
【0032】
1つの実施形態では、フレーム30は、1つまたは複数の支持アーム32を備えている。支持アーム32は、いかなる形状またはサイズであってもよく、例えば、金属製またはプラスチック製のチューブ、梁またはプレートである。支持アーム32は直接または間接にトランスデューサ12、16に接続されている。1つの実施例では、支持アーム32は、例えば、Siemens Medical Solutions USA,Inc.社製の自動乳房超音波検査用スキャナACUSON S2000(R)などのロボットまたはロボット支援システムの一部である。トランスデューサ12、16は、イメージングの間に操作者がトランスデューサ12、16のいずれの部分も保持する必要がないように、同一または異なる支持アーム32に取り付けられている。支持アーム32は、患者28に相対的なトランスデューサ12、16の位置の広範な変化を支持するよう間接を形成しており、また伸縮可能、収縮可能、屈曲可能、回転可能、または、他の形式で可動であるよう構成されている。図2に示す実施形態では、支持アーム32はリフトまたは可動な柱状部材により支持されている。天井、床または壁に取り付けられて使用してもよい。図2の例では、患者28の胎児の経腹腔的なスキャンに適した、4つの機械的なウォブラトランスデューサ12、16を示す。
【0033】
フレーム30はウォブラトランスデューサ12、16が互いに相対的に独立して移動できるように構成されている。機械的連結により、少なくとも1つのトランスデューサ12、16は別のトランスデューサ12、16に相対的に移動することができる。その独立性は並進および/または回転の1自由度、2自由度または3自由度として与えられる。例えば、一方のトランスデューサ12は、他方のトランスデューサ16の回転を必要とすることなく、2つの軸の周りを制限付きでまたは制限なく回転移動することができる。異なるトランスデューサ12、16は、同一次元または異なる次元で並進および/または回転することができる。
【0034】
動きの独立性は、支持アーム32に少なくとも1つの個別の連接部を備えることにより得られる。例えば、各トランスデューサ12、16は、フレーム30および/または支持アーム32と、個別のジョイントまたはアームにより接続されている。異なるグループのトランスデューサ12、16を、別のグループのトランスデューサ12、16用の支持アーム32とは異なる、共有の支持アーム32に接続してもよい。1つの実施形態では、4つまたは他の数のトランスデューサ12、16が共通のプレートまたは他の支持アーム32に接続されている。患者28の上へのトランスデューサ12、16の配置を容易にするため、例えば、妊娠している患者の腹部の周囲にトランスデューサ12、16を配置するため、連接部の相対位置はトランスデューサ12、16から離されている。
【0035】
各トランスデューサ12、16は、互いの相対位置をカスタマイズできるように、手動または自動で操作することができる。ハンドルおよび/またはハウジングを用いてユーザは手動でトランスデューサ12、16を動かすことができる。支持アーム32、連接部、継手またはフレーム30により、手動による位置調整を防ぐことができるか、位置調整を支援しまたは自由に行わせることができる。例えば、トランスデューサ12、16は支持アーム32に対してロックおよびアンロックすることができ、これにより、アンロック時には自由な動きが可能となり、ロック時には所定の大きさを超える力が加わるまでは動きが妨げられる。ユーザのガイドにより、および/または、センサフィードバックに基づいて、モータまたはポンプによる自動的な移動が可能となる。
【0036】
トランスデューサ12、16の空間位置および/または配向性は、ロボットポジションセンサまたは可動方向への並進および/または回転を検出するためのセンサなどの位置決めデバイス14を用いて求められる。相対位置、絶対位置、および/または位置変化を用いることができる。これに代えてまたはこれに加えて、スキャンデータが相対位置を求めるために相関される。空間位置および/または配向性を求めるため、互いに相対的なトランスデューサ12、16の動きについてどのように制限してもよい。
【0037】
支持アーム32は患者に隣接した位置にトランスデューサ12、16が配置されるよう動くことができる。例えば、抵抗機構、モータ、または、その両方を用いて、トランスデューサ12、16は患者の腹部に隣接するよう配置される。その後、支持アーム32はその位置にロックまたは維持される。例えば、ショック機構または他の抵抗機構は重力の一部に対抗することができ、また他の方向への動きはロックされる。トランスデューサ12、16を離す必要があるときには、支持アーム32は残存する重力に逆らって持ち上げられる。スキャンの間、残存する重力はトランスデューサ12、16を患者に対して維持する。支持アーム32によりトランスデューサ12、16が患者の所望領域の付近に位置決めされると、トランスデューサ12、16を所望の音響窓に移動させることができる。
【0038】
再び図1を参照する。超音波イメージングシステム18は医学診断用の超音波システムである。例えば、超音波イメージングシステム18は、送信ビーム整形器、受信ビーム整形器、検出器(例えば、Bモードおよび/またはドップラ)、スキャンコンバータ、ディスプレイ24または他のディスプレイを備える。超音波イメージングシステム18は、例えば、1つまたは複数の取り外し可能なコネクタを介してトランスデューサ12、16に接続される。送信信号は生成後、選択されたトランスデューサ12、16に送られる。マルチプレクサまたはコネクタ端子の選択により、任意の時間でのスキャンに用いられるべきトランスデューサ12、16を選択する。選択されたトランスデューサ12、16から応答する電気信号が受信され、超音波イメージングシステム18により処理される。超音波イメージングシステム18により、トランスデューサ12、16を用いた患者の体内領域のスキャンが行われ、スキャンに応じた領域を表すデータが生成される。データとはビーム整形器のチャネルデータ、ビーム整形されたデータ、検出データ、スキャン変換データおよび/または画像データである。またデータは、領域の体内構造、例えば、心臓、肝臓、胎児、筋肉、組織、血液または他の体内構造を表す。
【0039】
別の実施形態では、超音波イメージングシステム18は、超音波データを処理するワークステーションまたはコンピュータである。超音波データは、トランスデューサ12、16に接続された超音波イメージングシステム18を用いて、または、統合されたトランスデューサ12、16および超音波イメージングシステム18を用いて取得される。処理における任意レベルのデータ(例えば、RFデータ(例えば、I/Qデータ)、ビーム整形されたデータ、検出データ、および/またはスキャン変換データ)が出力され、保存される。例えば、データはデータ保存システムに出力されるか、または、隣接したまたは遠隔のワークステーションにネットワークを介して出力される。超音波イメージングシステム18により、データは分析、診断および/または表示のためにさらに処理される。
【0040】
マルチプレクサまたは他の構造およびプログラミングを用いて、超音波イメージングシステム18は、異なるトランスデューサ12、16を用いて患者の体内領域を連続的にスキャンするように構成されている。信号は所定時間に一方のトランスデューサ12、16との間で送受信される。例えば、一方のトランスデューサ12は1つのボリュームのスキャンに用いられる。他方のトランスデューサ16はこのとき別のボリュームのスキャンに用いられる。送受信信号はスキャンに用いたトランスデューサ12、16の種類に適するようビーム整形される。または、複数のトランスデューサ12、16を選択し、同時にスキャンしてもよい。
【0041】
これらの連続的なスキャンは、視野の重なりを有する。トランスデューサ12、16の視野の重なりが少なくとも部分的に重なるよう、トランスデューサ12、16は配置され、スキャン形式は選択される。一方のトランスデューサ12によりスキャンされたボリュームは他方のトランスデューサ16によりスキャンされたボリュームと重なる。トランスデューサ12、16は超音波イメージングシステム18により逐次的にまたは任意の順序でアドレスされ、1つまたは複数のトランスデューサ12、16は所定時間にイメージングを行う。例えば、4つの機械的なウォブラトランスデューサ12、16の場合、全てのトランスデューサ12、16はその走査構成にわたって内部でウォブリングすることができるが、1度に1つのトランスデューサしかイメージングに用いられない。または、視野の重ならないスキャンおよび/または同時的なスキャンを用いてもよい。
【0042】
超音波イメージングシステム18はスキャンデータから画像を生成する。ビーム整形、検出、スキャン変換および/またはレンダリングを用いて各画像が生成される。個別のトランスデューサ12、16からのデータに対して別個の画像を生成してもよい。例えば、スキャンボリューム、サブボリューム、平面、拡張された視野平面または拡張された視野ボリュームを表すデータセットに事前検出または事後検出を組み入れることにより、データを結合してもよい。拡張された視野とは、1つの位置において単一のトランスデューサ12、16を用いた完全なスキャンにより得られる視野よりも大きいものである。
【0043】
1つの実施形態では、画像は3次元領域を表すデータのレンダリングとして生成される。データセットは複数のトランスデューサ12、16からのデータを結合することにより形成される。データセットは重なり領域または拡大された視野のみを表す。ボリュームデータが関与する全てのトランスデューサ12、16により個別に取得された後、合成ボリュームが組み立てられる。
【0044】
スキャンボリュームは立体的に整列される(位置決めされる)。1つの実施形態では、位置決めデバイス14はデータにより表される領域の整列に用いられる。位置決めデバイス14は各スキャン中のトランスデューサ12、16の位置を示す。絶対位置情報または相対位置情報が得られる。
【0045】
データに基づく位置決めのため、相互相関、絶対差の最小和または他の同様な関数を用いて、領域の相対的な並進および/または配向性が識別される。データの互いの最良のまたは十分な整合が求められる。整合に関連する並進および/または回転は、データにより表される領域の異なる位置または相対的な位置を示す。この整合により、異なる泉門についてのスキャンデータが立体的に整列される。
【0046】
整列情報についての複数のソースを用いることができる。例えば、データに基づく相対位置および配向性並びにセンサに基づく相対位置および配向性の両方が求められる。平均的な位置および配向が使用される。一方のソースを位置に関して用い、他方のソースを配向性に関して用いてもよい。また、一方のソースを優先ソースが正しいか確かめるために用いてもよい。
【0047】
1つの実施形態では、初期相対位置は、各トランスデューサ12、16に関連する位置決めデバイス14により評価される。データ相関性より、一層の正確性が得られる。初期位置は検索空間を限定するか、検索のための初期位置を提供するか、または最も強い相関性をより高速に求めるために用いられる。データセットは、互いに相対的に並進および/または回転され、最も強い類似性を持つ相対位置を識別する。
【0048】
配列後、データは結合される。異なるスキャンからのデータは立体的な整列に応じて合成される。複数のデータセットまたは異なるスキャンからのデータが同じ空間位置を示す場合、データは平均化されるよう結合される。異なるスキャン形式および/または異なる音響窓により、データは一般に同一の空間位置を表すが、正確には整列されない。1つまたは複数のスキャンからのデータは、別のスキャンに関連するグリッドまたは基準グリッドに変換またはフォーマットされる。例えば、異なるボリュームを表すデータは3次元基準グリッドに内挿される。変換後、複数のボリュームからのデータの値が結合される。あるいは、最近傍法、補間、または他のアプローチが結合されるデータを求めるために用いられる。
【0049】
スキャンされたボリュームは同一でない場合があるので、異なる空間位置が結合されるべき値の異なる数値と関連してもよい。例えば、一方の空間位置は1回のスキャンからの1つの値により表されてもよい。他方の空間位置は2つのトランスデューサ12、16によるスキャンからの2つの値により表されてもよい。他方の空間位置を3つの値、すなわち、3つのトランスデューサ12、16それぞれからの1つの値により表すことができる。正規化または平均化された組み合わせが用いられる。異なる空間位置についての異なる数値を結合することに由来する全てのアーチファクトを低減するため、フィルタリングを用いるようにしてもよい。
【0050】
値は平均化により結合される。最大値選択または最小値選択などの他の結合関数を用いてもよい。1つの実施形態において、重み付け平均が用いられる。値は平均化の前に重み付けされる。重み付けは予め定められているかまたは固定されている。単純平均に関して、重みは寄与量の数値に基づいて設定される。
【0051】
1つの実施形態において、重みは空間位置、データ品質またはこれらの組み合わせに応じて適合される。例えば、近いフィールド情報または中間のフィールド情報は、遠いフィールドデータまたは非常に近いフィールドデータよりもよい品質である場合がある。スキャンフィールド中央のデータはより大きいステアリング角度を伴うデータよりもよい品質である場合がある。よりよい品質のデータはより大きく重み付けされる。例えば、近いフィールドのデータは遠いフィールドのデータよりも大きく重み付けされる。ウォブラトランスデューサ12、16は、例えばアレイの移動速度のために、1つのアレイ配向性について別のものよりもよい品質の情報をもたらす場合がある。よりよい品質のデータはより大きく重み付けすることができる。
【0052】
データを処理して品質または品質ファクタを求めることができる。例えば、異なる空間位置に関連するノイズレベルが求められる。全体に均質な領域の標準偏差は、スキャンまたはスキャンの一部に関するノイズレベルを示すことがある。別の例として、高い周波数変動の速度はノイズレベルを表す。別の例では、時間利得補償または深さ利得補償のないリターンの大きさをしきい値レベルまたは傾きと比較して、深さに応じたノイズレベルを求めることができる。ノイズレベルをスキャンの異なる部分について求めてもよい。他の位置のノイズは補完される。所定値に関する品質はノイズレベルにより表される。
【0053】
重み付けにおけるいかなる分散または差分も用いることができる。重み付けは相対的であり、例えば、全ての重みを加えると1になる。値の間における品質の差が求められ、相対的な重み付けはその差に基づいて設定される。例えば、2つの値が同様の品質である場合には、同一の重み付けがなされる。2つの値が異なる品質である場合には、異なる重み付けがなされる。1つまたは複数の係数を用いて全体の品質を求めることができる。係数は重要性および信頼性に依存して異なって重み付けされる。
【0054】
寄与するスキャンに関する相対的な重み付けはエコー輝度に基づいて選択することができる。より高い輝度値に対して、より強い重み付けがなされる。重みを適合させるために、別のものも考慮することができる。位置決めを重み付けに用いることができる。より高い相関性が、より等しい重み付けが適当であることを示す場合がある。低い相関性が、1または複数のデータセット、例えば各アレイに最も近いデータについての、より強い重み付けを表す場合がある。所定位置について2つの寄与データが得られる場合、より近いアレイからのスキャンデータ値がより大きく重み付けされる。
【0055】
ディスプレイ24はCRT、LCD、プロジェクタ、プラズマディスプレイ、プリンタまたは2次元画像もしくは3次元画像を表示するための他のディスプレイである。ディスプレイ24は出力画像データに応じた超音波画像を表示する。例えば、直交平面を表す複数画像の多断面再構成(MPR)が表示される。別の例として、内部領域の複数の平行平面を表す超音波画像が表示される。その代わりにまたはそれに加えて、ボリュームまたは表面のレンダリングを用いることができる。
【0056】
合成ボリュームは定量化、イメージングおよび/またはアーカイビングに用いられる。合成ボリュームのデータはセグメント化されるか、あるいは、ボリューム値を求めるかまたは特定構造に関連する情報を分離するために境界検出が適用される。合成ボリュームを表すデータセットは画像データとして出力されてもよい。画像データは処理のいかなる段階でのデータ、例えば、検出の前または後のデータであってもよい。画像データは、表示用に特別にフォーマット化されたデータ、例えば、赤緑青(RGB)データであってもよい。画像データは任意のマッピング、例えば、グレースケールまたはカラーマッピングの前または後のものであってもよい。
【0057】
プロセッサ20は1つまたは複数の汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、コントローラ、アナログ回路、デジタル回路、サーバ、これらの組み合わせ、ネットワーク、または、トランスデューサ12、16を制御するための他のロジックデバイスおよび/または対応するスキャンである。単一のデバイスが用いられるが、並行分散処理または逐次分散処理を用いることができる。1つの実施形態では、プロセッサ20は超音波イメージングシステム18のシステムコントローラである。プロセッサ20は任意の位置決めデバイス14、トランスデューサ12、16および/または超音波イメージングシステム18から入力を受信する。
【0058】
プロセッサ20は1つまたは複数のウォブラトランスデューサ12、16のアレイを、別のウォブラトランスデューサ12、16のスキャンと同期させる。一方のトランスデューサ12がスキャンしている間、1つまたは複数の他方のトランスデューサ16はスキャン間の変化を低減するよう同期される。他方のトランスデューサ16は同一のまたは異なるトランスデューサ12、16に同期される。他のトランスデューサ16は、スキャン実行が現在スキャン中のトランスデューサ12から待機中のトランスデューサ16に移るときに、スキャンの準備ができているよう同期される。待機中のトランスデューサ16は以下のものと同期される。すなわち、現在スキャンしているトランスデューサ12、現在スキャンしているトランスデューサ12のアレイ位置、現在スキャンしているトランスデューサ12のスキャン終了時間、現在スキャンしているトランスデューサ12の最終スキャン平面位置、または、現在のスキャンまたはトランスデューサ12の他の態様に同期される。
【0059】
最適な画像取得速度になるよう、または、画像取得速度が増加するよう、待機中のトランスデューサ16は同期されている。例えば、第1のトランスデューサ12のイメージング中に(アクティブモード)、他の3つの第2のトランスデューサ16はスタンバイモードにある。第1のトランスデューサ12がそのFOVにわたるイメージング掃引を完了したとき、第1のトランスデューサ12はスタンバイモードに入り、第2のトランスデューサ16はアクティブになり、即時にまたはほぼ遅延無くイメージングを開始する。この同期により、次ぎのトランスデューサ16のアレイについて、所望の位置、所望の移動速度または所望のアクティブレベルが達成される。例えば、同期により、アレイは掃引範囲に相対的な本来の位置に置かれる。イメージング情報は所定時間で1つのトランスデューサからのみ得られるよう各トランスデューサは逐次的に処理され、他のトランスデューサは移行時間を短縮するようスタンバイモードにある。動きにより広い視野がスキャンされるが、アーチファクトはより少なくなる。
【0060】
同期はトランスデューサ12、16の制御により提供される。例えば、ウォブラが起動される。第1のウォブラトランスデューサ12から第2のウォブラトランスデューサ16にスキャン実行が移行する前に第2のウォブラトランスデューサ16がアクティブとされることにより、第2のウォブラトランスデューサ16のアレイは第1のウォブラトランスデューサ12のスキャンと同期される。所定時間において、各トランスデューサ12、16はアクティブモード、スタンバイモードまたは停止(デアクティブ)モードにある。アクティブモードでは、音響的なコンテンツがトランスデューサ12により送受信され、リアルタイムで超音波イメージングシステム18と通信するよう、トランスデューサ12はイメージングまたはスキャンを行う。スタンバイモードはトランスデューサ16が音響的なコンテンツを送受信していないが、即時にまたはほぼ遅延無くこれを行う準備ができているときに用いられる。機械的なウォブラトランスデューサ12、16の場合、アレイはすでに十分に機能する状態にあるか、ウォブリングしているが、音波パルスを送信していない。十分に機能するまでの時間は同期により短縮されるか、そのような時間はもはや必要ない。
【0061】
別の例として、同期はアレイ位置に基づいている。待機中のウォブラトランスデューサ16のアレイは、別のトランスデューサ12から待機中のトランスデューサ16へのスキャン実行の移行時の掃引における特定位置にあるよう配置される。例えば、アレイの移動は、スキャン開始時の掃引動作またはウォブリングの境界または中心にあるようタイミング設定される。別のアレイを用いたスキャンが完了した後に、アレイが所望の位置に移動するのを待つよりはむしろ、待機中のアレイが移行時の位置またはそれに近い位置にあるようにタイミング設定される。配置はアレイの移動速度および/またはアレイの移動開始時間を制御することにより達成される。
【0062】
1つまたは複数のトランスデューサ12、16は所定の状態については使用できない場合がある。その場合、これらのトランスデューサ12、16は停止されるか、またはスタンバイ状態にあり、使用されない。ノイズまたは不必要な振動を回避するため、停止モードが用いられる。停止されたトランスデューサ12、16の電機部品(例えばモータ)は起動されていないか、または、通電されていない。または、1つまたは複数のトランスデューサ12、16が現在のトランスデューサ12、16の前のスキャンシーケンスにおいて用いられるべきときに、停止のモードを用いてもよい。現在のトランスデューサ12、16の使用時間が終了すると、同期の一部としてトランスデューサ12、16は停止モードからスタンバイモードに移行する。
【0063】
メモリ22はテープ、磁気媒体、光学媒体、ハードドライブ、RAM、バッファまたは他のメモリである。メモリ22は異なるスキャンからのデータおよび/または合成ボリュームのデータを保存する。
【0064】
それに加えてまたはその代わりに、メモリ22は、処理命令が保存されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。プログラムされたプロセッサ20および/または超音波イメージングシステム18により実行可能な命令を表すデータが、複数方向の超音波スキャンを同期するために用意される。本明細書において言及する処理、方法および/または技術を実現するための命令はコンピュータ読み取り可能な記録媒体またはメモリ、例えば、キャッシュ、バッファ、RAM、リムーバブルメディア、ハードドライブまたは他のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に保存される。コンピュータ読み取り可能な記録媒体には、他の種類の揮発性および不揮発性の記録媒体が含まれる。図面中または本明細書中に記載される機能、動作またはタスクは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に保存された1つまたは複数の命令セットに応じて実行される。機能、動作またはタスクは、特定の種類の命令セット、記録媒体、プロセッサまたは処理ストラテジに依存せず、ソフトウェア、ハードウェア、集積回路、ファームウェア、マイクロコードなどにより、単独でまたは組み合わせで実行される。同様に、処理ストラテジはマルチ処理、マルチタスキング、並行処理などを含んでもよい。1つの実施形態において、命令はローカルシステムまたはリモートシステムによる読み込みのため、リムーバブルメディアデバイスに保存される。他の実施形態において、命令はコンピュータネットワークまたは電話線を介した送信のためにリモートに保存されてもよい。さらに別の実施形態では、命令は所定のコンピュータ、CPU、GPUまたはシステムに保存される。
【0065】
図3は複数方向の超音波スキャンを同期するための方法を示す。図3の動作は、図1のシステム10または異なるシステム10により実現される。動作は図2に示すフレーム30を用いてまたは用いずに実現される。動作は示した順または異なる順に実行される。付加的な動作、異なる動作、または、より少ない動作を実行してもよい。例えば、動作40、42、52および/または54は用いない場合がある。別の例では、付加的な同期動作48を他のトランスデューサのために設けてもよい。各トランスデューサは、他のトランスデューサが動作48を実行している間、動作44および46を順に実行する。
【0066】
動作40において、複数のアレイが支持される。支持はベルト、ロボットまたは他の支持構造によりなされる。この支持により、直接的または間接的に、アレイの2つのプローブが共に接続される。また、支持は全てのアレイを移動させるために動かすこともできる。例えば、支持構造は超音波検査士によって用いられる。アレイも一緒にユーザにより患者の近くに配置される。ユーザはアレイプローブおよび/または支持構造に力を加える。ユーザは支持構造の位置を決定する。アレイは患者の近傍に、例えば、患者の腹部の上方または腹部上に位置決めされる。位置決めの間、支持構造は通常重力との平衡を維持する。ユーザはこの平衡または他の摩擦を上回る力を加える。代替的な実施形態では、モータまたはユーザではない他のソースにより加えられる力が支持構造を位置決めする。
【0067】
超音波トランスデューサの支持構造はロックされてもよい。ブレーキ、例えば、動きを妨げるよう配置された機械的なリミッタが用いられる。ユーザはスイッチをオンにする。これに応答して、コントローラはブレーキを起動させる。例えば、サーボモータまたはステッピングモータが表面に対してブレーキパッドを配置し、ギアロックを係止し、ジョイントモータを固定し、ピンを調整し、または、他の動作を実行して、フレーム30をロックする。または、ユーザは手動で1つまたは複数のブレーキをロックする。他の実施形態では、ロックは行われない。または、平衡が用いられる。重力に対する抵抗または他の動きにより、支持構造が効率的に定位置に保持される。
【0068】
1つの実施形態において、複数の異なるアレイは共通の支持アームに個別に支持される。プローブハウジングは共通の支持アームに個別に接続される。共通の支持アームは、プローブハウジングおよび対応するアレイが患者の近傍に、および/または、患者に接するように、患者の近傍には位置される。
【0069】
動作42において、1つまたは複数のアレイがさらに動かされる。アレイのプローブハウジングが動かされ、患者に隣接配置される。例えば、継手または延長部がアンロックされる。プローブは次いで並進および/または回転されて、患者の皮膚または皮膚上のジェルに接するアレイに関する音響窓を配置する。継手または延長部はロックされるか、または、その位置に維持される。処理は、使用されるべきであるが患者に対して適切に配置されていない任意のプローブハウジングに対して繰り返される。プローブハウジングの位置決めにより、アレイが、少なくとも一部、患者のスキャンのために配置する。
【0070】
アレイは互いに独立に位置決めされる。1つのプローブの位置は部分的に別のプローブの位置に依存する。例えば、プローブは同一のフレームまたは支持アームに接続され、一緒に移動することができる。プローブは少なくとも1自由度に沿って、少なくとも接続部により許容される範囲内で独立に可動である。プローブおよびアレイは、個別に可動であることによりまたは他が動かされないときに可動であることにより、他のプローブおよびアレイに対して独立である。独立な移動により、異なるサイズまたは形状の患者の所望の音響窓にアレイを配置することが可能となる。
【0071】
1つの実施形態では、妊娠した患者があおむけにベッドの上に横たわる。1つまたは複数のトランスデューサ12、16が患者の腹部と接触するよう、共通の支持アーム32のアレイが下ろされる。最適な重なりと胎児についての最大限に達成可能な合成ボリュームをカバーするため、各トランスデューサ12、16は独立して位置決めされる。
【0072】
動作44において、アレイの1つがスキャンに用いられる。ウォブラアレイに関して、アレイの動作は、アレイの機械的振動により開始される。信号の送受信が、移動しているアレイのスキャンのための電気的な操作に用いられる。どのような種類のスキャン、例えば、平面スキャンまたはボリュームスキャンを用いてもよい。平面スキャンのため、複数平面が逐次的にスキャンされる。トランスデューサは振動、回転、並進または他の方式で動かされて、同一の音響窓から異なる平面をスキャンする。例えば、垂直な平面がトランスデューサまたは開口の回転によりスキャンされる。または、単一の平面がスキャンされる。
【0073】
スキャンはBモード、カラーフローモード、組織調和モード、コントラストエージェントモード、あるいは、他の既知のまたは将来開発されうる超音波イメージングモードを用いることができる。モードの組み合わせ、例えば、Bモードによるスキャンのデータとドップラモードのスキャンによるデータとを組み合わせて用いることができる。任意の超音波スキャン方式、例えば、リニア方式、セクタ方式またはVector(R)を用いることができる。ビーム整形または他の処理を用いて、スキャン領域を表すデータが取得される。
【0074】
スキャンは視野から構成される。アレイが提供する範囲においておよび/または、送受信ビーム整形により規定されたように、患者は音響的にスキャンされる。ラテラル方向(仰角および方位角)および範囲はビーム整形により設定されており、また、アレイのサイズおよび形状により制限されている。ウォブラトランスデューサに関して、アレイの機械的な移動速度および/または該移動の物理的制限により、スキャンされたボリュームのサイズが制限される場合がある。アレイは掃引に沿って異なる位置でスキャンする。
【0075】
患者は異なるトランスデューサアレイを用いて逐次的にスキャンされる。各アレイは異なるボリュームをスキャンする。ボリュームは重なっても重ならなくともよい。スキャンは異なる音響窓で行われる。任意の複数の音響窓が用いられる。
【0076】
動作44において1つのアレイがスキャンしている間、動作46において1つまたは複数の他のアレイがスキャン中のアレイと同期される。スキャンタイミング、動作および/または現在スキャン中のアレイの位置に基づいて、動作、プローブ内でのアレイの移動、アレイの速度、アレイの位置または待機中のアレイの他の制御により、同期が行われる。他の動作も同期に用いることができる。例えば、バイアス電圧が待機中のCMUTアレイに印加される。
【0077】
1つの実施形態において、機械的に動かされる待機中のアレイはスタンバイモードで作動される。現在のアレイのスキャン中に、アレイは振動、回転、並進または他の方式で動かされる。例えば、待機中のアレイは待機中にウォブリングする。現在のアレイがスキャンしている全体の時間中に動作が行われるか、または、現在のアレイによるスキャンが停止する前の任意の時間に動作が開始される。
【0078】
待機中のアレイは音波スキャンすることなく作動される。例えば、次のまたは他の待機中のアレイはスキャンしていない間にウォブリングする。
【0079】
別の実施形態では、移動が同期される。待機中のアレイの移動は現在のアレイまたは現在のスキャンと同期される。例えば、待機中のアレイの移動は現在のアレイのスキャン時間の終了と同期される。待機中のアレイの開始位置は識別されている。開始位置は掃引の終了(例えば、並進またはウォブリングの最も遠い延長位置)、中心または他の位置であってもよい。待機中のアレイは、現在スキャン中のアレイがスキャンを停止するとき(すなわち、先行のスキャンの終了時)、開始位置にあるか、またはそこに近づくように作動される。待機中のアレイの速度を増加または減少させることにより、および/または、待機中のアレイを用いたスキャン開始の前に待機中のアレイの移動開始時間を選択することにより、同期を行うことができる。
【0080】
動作48において、現在スキャン中のアレイはスキャンを完了する。現在のアレイのスキャン領域のサブ領域で完了する。例えば、現在のアレイは間隔を空けた100個の平面のスキャンが可能である。1つまたは複数の平面、しかし全てではない平面のスキャン後、スキャンは現在のアレイの次の順番まで停止される。同期のため、異なるアレイの間にフレームまたはフレームのグループを挿入することができる。1回または複数回の完全なスキャンで完了してもよい。例えば、現在のアレイは停止までに100個全ての平面を1回または複数回スキャンする。
【0081】
完了後、現在のアレイはスキャンを停止する。アレイのスキャンは音波の送受信動作により停止される。現在のアレイを、例えば、待機中のアレイまたは直前まで待機中であって今スキャンしているアレイに同期させて、小河かし続けることができる。全てのアレイによるスキャンは、例えば、リアルタイムのスキャンまたは進行中のスキャンに関して各アレイについて複数回繰り返されてもよい。または、現在のアレイはスキャンの終了後に停止される。現在のアレイは再度のスキャンを行う際に用いられてもよく、例えば、別のアレイとの同期が適当となったときスタンバイ状態になる。現在のアレイは所定の画像、イメージングセッションおよび/または患者に関して再度のスキャンに用いられなくともよい。
【0082】
動作50において、待機中の同期されたアレイは、先のアレイによるスキャンの停止に基づき、音波スキャンする。待機中のアレイは先のアレイまたは先のアレイによるスキャンに同期されている。つまり、先のアレイを用いたスキャンを停止してから、待機中のアレイを用いた音波スキャンを開始するまでの時間は、待機中のアレイが起動するまでの時間、または十分に機能するまでの時間よりも短い。待機中のアレイはスタンバイモードにあるため、アレイは既に移動しているか、既に所望の速度にあるか、所望の位置後角にあるか、その位置に近づいているか、あるいは、これらが組み合わさった状態にある。
【0083】
スキャンは動作44に関して上記で説明したように実行される。同じまたは異なるスキャン形式が用いられる。異なるアレイが用いられるので、スキャン領域または視野は異なる。スキャン領域は平面またはボリュームである。スキャン領域は、先のスキャンを行うアレイのスキャン領域および/または次のスキャンを行うアレイのスキャン領域とは全く別個の領域であるかまたはこれと重なる領域である。例えば、次のアレイによりスキャンされるボリュームは現在のアレイおよび/または先のアレイによりスキャンされるボリュームと重なる。各視野は他の全ての視野と重なってもよい。または、1つまたは複数の視野が他のいくつかの視野と重なるが全ての視野とは重ならない。
【0084】
動作46、48,50が繰り返されてもよい。これらの動作は3つ以上のアレイが存在する場合に繰り返してもよい。第2のアレイから第3のアレイに移行する際に、これらの動作が繰り返される。スキャンが同一のアレイにより繰り返される場合に、それらの動作を繰り返してもよい。例えば、スキャンは、第2のアレイから第1のアレイに再度移行する。第1のアレイは第2のアレイのスキャンまたは第2のアレイのアレイ位置と同期されている。
【0085】
動作52において、異なるスキャンからのデータが結合される。異なるアレイからの視野についてのデータは拡張された視野を表すデータセットに結合される。視野の相対位置はフィールドが重なるところのデータ相関により求められる。スキャンが重ならない場合、異なるアレイについて検出された位置が用いられる。アレイ位置とデータ相関の両方をデータの整列に用いてもよい。視野の相対位置が求められる。整列されたデータは平均化、重み付け平均化または他の関数により結合される。代替的な実施形態では、データが結合されない。個別の画像が形成され、結合される。他の実施形態では結合は行われない。その場合には、個別の画像および/または個別のデータセットからの定量化が用いられる。
【0086】
動作54において、画像が生成される。画像は結合されたデータセットから生成される。または、画像は異なるデータセットから形成された複数の画像を結合して生成される。例えば、拡大された視野の画像はトランスデューサを意図的に移動させることなく生成される。拡大された視野は単一アレイの能力を超えた全体の対象領域にわたって拡がり、例えば胎児全体まで拡がる。他の実施形態では、画像は拡大された視野ではないが、異なる視方向からの合成を含み、これによりスペックルおよび影の発生が低減される。
【0087】
画像は平面を表すデータからの2次元画像として生成される。任意の平面からの画像はボリューム、例えば、多断面再構成を表す合成データから生成することができる。または、1つまたは複数の2次元画像がスキャン平面に沿って生成される。画像を3次元領域のレンダリングとして生成することができる。表面レンダリングまたは投影レンダリングを用いることができる。レンダリングは合成ボリューム、サブボリューム、重なり領域、単一のスキャンボリュームまたは平面を表すデータから生成される。
【0088】
上記においては種々の実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明の範囲を逸脱することなく本発明を種々に変更または修正することができる。従って、上記の詳細な説明は例示的なものであって、限定を意図したものではない。また、特許請求の範囲の記載は、全ての均等物を含め、本発明の精神および範囲を定めることを意図していると理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数方向の超音波スキャンを同期するためのシステム(10)であって、
フレーム(30)と、
第1のウォブラトランスデューサ(12)および第2のウォブラトランスデューサ(16)と、
超音波イメージングシステム(18)と、
プロセッサ(20)と、
ディスプレイ(24)と、を備え、
少なくとも前記第1のウォブラトランスデューサ(12)および前記第2のウォブラトランスデューサ(16)は前記フレーム(30)に接続されており、前記フレーム(30)は前記第2のウォブラトランスデューサ(16)に相対的な前記第1のウォブラトランスデューサ(12)の独立した移動を実現し、該独立した移動は少なくとも第1の次元に沿った並進、少なくとも第2の次元の周りの回転または第1の次元に沿った並進と第2の次元の周りの回転との組み合わせであり、該第1の次元および該第2の次元は異なる次元であるかまたは同一の次元であり、
前記超音波イメージングシステム(18)は、患者の内部領域を前記第1のウォブラトランスデューサ(12)、次いで、前記第2のウォブラトランスデューサ(16)を用いて連続的なスキャンを行い、該連続的なスキャンが視野の重なりを有することによって前記第1のウォブラトランスデューサ(12)によりスキャンされる第1のボリュームのスキャンは前記第2のウォブラトランスデューサ(16)によりスキャンされる第2のボリュームのスキャンと重なり、さらに前記超音波イメージングシステム(18)は、前記第1のウォブラトランスデューサ(12)を用いたスキャンデータと、前記第2のウォブラトランスデューサ(16)を用いたスキャンデータと、前記第1のボリュームおよび前記第2のボリュームの相対位置とに応じた画像を生成し、
前記第1のウォブラトランスデューサ(12)から前記第2のウォブラトランスデューサ(16)にスキャンが移行するとき、前記第2のウォブラトランスデューサ(16)がスキャンする準備ができているように、前記プロセッサ(20)は前記第2のウォブラトランスデューサ(16)のアレイの動作を前記第1のウォブラトランスデューサ(12)のスキャンと同期させ、
前記ディスプレイ(24)は前記画像を表示する、
ことを特徴とするシステム(10)。
【請求項2】
第3のウォブラトランスデューサおよび第4のウォブラトランスデューサをさらに備えている、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項3】
前記フレーム(30)は、前記第1のウォブラトランスデューサ(12)および前記第2のウォブラトランスデューサ(16)に接続された支持アーム(32)を備えており、前記第1のウォブラトランスデューサ(12)は前記第2のウォブラトランスデューサ(16)とは別個の接続部により前記支持アーム(32)と接続されており、前記支持アーム(32)はスキャンの間、患者に対する相対位置に該支持アーム(32)を保持するための抵抗機構、モータ、または、抵抗機構とモータの両方を有する、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項4】
前記第1のウォブラトランスデューサ(12)および前記第2のウォブラトランスデューサ(16)はアレイ位置を求めるセンサ(14)をそれぞれ備えており、前記プロセッサ(20)は前記アレイ位置に応じて同期を行う、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項5】
前記プロセッサ(20)は、前記第1のウォブラトランスデューサ(12)から前記第2のウォブラトランスデューサ(16)へのスキャン移行前に、前記第2のウォブラトランスデューサ(16)をアクティブにすることにより、前記第2のウォブラトランスデューサ(16)のアレイの動作を前記第1のウォブラトランスデューサ(12)のスキャンと同期させる、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項6】
前記プロセッサ(20)は、前記第1のウォブラトランスデューサ(12)から前記第2のウォブラトランスデューサ(16)へのスキャン移行時におけるアレイの掃引中に該アレイを特定の位置に配置することにより、前記第2のウォブラトランスデューサ(16)のアレイの動作を前記第1のウォブラトランスデューサ(12)のスキャンと同期させる、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項7】
前記特定の位置は前記掃引の境界の位置を含む、請求項6記載のシステム(10)。
【請求項8】
前記プロセッサ(20)は、前記アレイの速度を増加または減少させることにより、前記第2のウォブラトランスデューサ(16)のアレイの動作を前記第1のウォブラトランスデューサ(12)のスキャンと同期させる、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項9】
第3のウォブラトランスデューサをさらに備えており、前記画像が前記第1のウォブラトランスデューサ(12)および前記第2のウォブラトランスデューサ(16)からのデータに応じた画像であるが、前記第3のウォブラトランスデューサからのデータに応じた画像ではないとき、前記プロセッサ(20)は前記第3のウォブラトランスデューサをアクティブにしない、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項10】
前記画像は前記第1のボリュームおよび前記第2のボリュームを含む3次元領域のレンダリングから構成される、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項11】
複数方向の超音波スキャンを同期するための方法であって、
第1の機械的に動かされるアレイを用いて、該第1の機械的に動かされるアレイの少なくとも第1の視野にわたり、患者を音波スキャンするステップ(44)と、
前記第1の機械的に動かされるアレイを用いた音波スキャンの間、第2の機械的に動かされるアレイを、音波スキャンを行うことなくアクティブモードにおいて作動させるステップ(46)と、
前記第1の機械的に動かされるアレイを用いた音波スキャンを停止するステップ(48)と、
前記停止ステップ(48)の後に、依然として前記アクティブモードにある、前記第2の機械的に動かされるアレイを用いて、前記第2の機械的に動かされるアレイを用いたスキャンは前記第2の機械的に動かされるアレイの、前記第1の視野とは異なるが重なっている、少なくとも第2の視野にわたり、前記患者を音波スキャンするステップ(50)と、
前記第1の機械的に動かされるアレイおよび前記第2の機械的に動かされるアレイの相対位置に応じて、前記第1の機械的に動かされるアレイを用いたスキャンからのデータと前記第2の機械的に動かされるスキャンからのデータを結合するステップ(52)と、
前記結合ステップ(52)に応じて画像を生成するステップ(54)と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項12】
前記作動ステップ(46)は、スキャンしていない間に前記第2の機械的に動かされるアレイをウォブリングするステップを含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記作動ステップ(46)は、前記第2の機械的に動かされるアレイの開始位置を前記第1の機械的に動かされるアレイの移動を用いたスキャンの終了時間と同期させるステップを含む、請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記第2の機械的に動かされるアレイが前記終了時間において並進の最も遠い延長位置にあるよう、前記同期は前記第2の機械的に動かされるアレイを作動させるステップ(46)を含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記第1の機械的に動かされるアレイおよび前記第2の機械的に動かされるアレイを、該第1の機械的に動かされるアレイおよび該第2の機械的に動かされるアレイが患者の近傍に維持されるよう構成されている共通の支持アーム(32)に個別に支持させるステップ(40)と、
前記第1の機械的に動かされるアレイを前記第2の機械的に動かされるアレイに相対的に独立して動かし、前記第1の機械的に動かされるアレイおよび前記第2の機械的に動かされるアレイを患者の近傍に位置決めするステップ(42)と、
をさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項16】
前記第1の視野および前記第2の視野は第1のボリュームおよび第2のボリュームであり、前記第1のボリュームおよび前記第2のボリュームは重なり、前記画像生成ステップ(54)は該第1のボリュームおよび該第2のボリュームから構成される3次元領域をレンダリングするステップを含む、請求項11記載の方法。
【請求項17】
コンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
複数方向の超音波スキャンを同期するために、プログラミングされたプロセッサ(20)によって実行される命令を表すデータが保存されており、前記命令は、
2つの異なるトランスデューサアレイを用いて連続的にスキャンを実施させる命令(44、50)と、
前記2つの異なるトランスデューサアレイのうちの第1のトランスデューサアレイの動作を、前記2つの異なるトランスデューサアレイのうちの第2のトランスデューサアレイのスキャン終了時間と同期させる命令(46)と、
前記2つの異なるトランスデューサアレイを用いた連続的なスキャンからのデータに応じて画像を生成する命令(54)と、
を含むことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体(22)。
【請求項18】
前記動作を同期させる命令(46)は、スキャンしていない間に前記第1のトランスデューサアレイをウォブリングさせる命令を含む、請求項17記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体(22)。
【請求項19】
前記動作を同期させる命令(46)は、前記第1のトランスデューサの開始位置を前記第2のトランスデューサアレイのスキャン終了時間と同期させる命令を含む、請求項17記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体(22)。
【請求項20】
前記動作を同期させる命令(46)は、前記第1のトランスデューサが前記第2のトランスデューサアレイのスキャン終了時間における並進の最も遠い延長位置にあるよう、前記第1のトランスデューサを作動させる命令を含む、請求項19記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体(22)。
【請求項21】
前記2つの異なるトランスデューサアレイを用いたスキャンを挟んだフレームまたはフレームグループによって、前記動作を同期させる命令(46)を反復的に実行させる命令をさらに含む、請求項17記載にコンピュータ読み取り可能な記録媒体(22)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−110432(P2011−110432A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262743(P2010−262743)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(593063105)シーメンス メディカル ソリューションズ ユーエスエー インコーポレイテッド (156)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Medical Solutions USA,Inc.
【住所又は居所原語表記】51 Valley Stream Parkway,Malvern,PA 19355−1406,U.S.A.
【Fターム(参考)】