説明

覆工エレメントの地山への貫入方法及び地盤切削装置

【課題】覆工エレメントを地山に貫入するに際し、軌道面や道路面に沈下等の悪影響を及ぼすことのない覆工エレメントの地山への貫入方法及び地山内部で可撓性切削具の交換を可能とした地盤切削装置を提供する。
【解決手段】長尺の覆工エレメントの先端部に刃口5を連結し、刃口5の前方の地山を掘削して覆工エレメントを発進側から到達側に向けて地山に貫入させる方法において、刃口5はその天板5aから所定長さ掘削方向前方に突出する刃先板12を有し、刃先板12の前方の地山をワイヤソー等の可撓性切削具13により溝状に切削しながら、覆工エレメントの地山への貫入によって、溝状切削部に刃先板12を貫入させ、該刃先板の下方の土砂を掘削する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、覆工エレメントの地山への貫入方法及び地盤切削装置に関し、さらに詳細には、鉄道線路や道路の下方に多数の鋼製覆工エレメントを用いて地下構造物を構築するに際し、その覆工エレメントを地山に貫入させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道線路や道路の下方に立体交差する地下構造物(トンネル)を構築する工法の1つとして、長尺の多数の鋼製覆工エレメントを地山に貫入させて覆工を行うJES(Jointed Element Structure )工法が知られている。
【0003】
この工法は、例えば線路下の地山に構造物の断面を区画するように、長尺の多数の覆工エレメント、具体的には断面矩形の基準覆工エレメント(通常は1つ)と断面コ字形の一般部覆工エレメントとを並列させて地山に順次貫入させ、エレメント内部にコンクリートを打設して覆工壁を構築した後、覆工壁内方の地山を掘削して、覆工壁を箱形ラーメン形式又は円形等の構造物とする工法である。なお、この工法では、隣接するエレメントどうしは、引張荷重の伝達に優れた特殊形状を有する継手(JES継手)により連結される。その連結は、後行エレメントの地山への貫入に伴って、先行エレメントの継手に後行エレメントの継手を嵌合させることによってなされる(例えば特許文献1,2,3参照)。
【0004】
各エレメントは地山への貫入の際に、その先端部に刃口が連結される。そして、その刃口に内蔵させた掘削機により、あるいは人力掘削により、刃口前方の地山を掘削し、この掘削に伴ってエレメントが地山に貫入される。
【0005】
しかしながら、上記工法が適用されるのは上述のように一般には線路下や道路下であり、土被りを浅くせざるを得ない。このため、刃口及び覆工エレメントの地山への貫入、敷設にともなって地盤変状をきたしやすく、夜間の列車が走行しない時間帯だけを利用して施工が行われているのが実状である。
【0006】
図10は、覆工エレメントの貫入にともなう刃口での従来の掘削方法を示している。同図(a)は一般的な掘削方法である。刃口100は前面が開放しているので、土砂による上載荷重Fを受けて切羽101が崩壊し、地盤の沈下、陥没等が生じるおそれがある。このような地盤変状のおそれに対し、従来、同図(b)に示すような対策が採られていた。すなわち、刃口100のスランテット(側面の勾配)102を小さくすることにより、切羽の崩壊に対しAの部分をカウンターウェイトとすることで対抗させていた。しかし、この場合、刃口内部での掘削が困難で、効率が悪い等の問題があった。
【0007】
特許文献4,5には、車両走行路の下方の地山にトンネルを構築するにあたり、地盤をワイヤーソーで切削しながら切削部に防護鋼板を挿入して該防護鋼板を地山に敷設する工法が開示されている。しかしながら、ワイヤソーの駆動装置は地山外部に設置されているため、ワイヤソーが切断した場合、その切断位置でワイヤソーを交換し、再挿入・接続して切削を再開することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−120372号公報
【特許文献2】特開2000−179282号公報
【特許文献3】特開2003−041881号公報
【特許文献4】特開2004−204624号公報
【特許文献5】特開2005−336865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は上記のような技術的背景に基づいてなされたものであって、次の目的を達成するものである。
この発明の目的は、覆工エレメントを地山に貫入するに際し、軌道面や道路面に沈下等の悪影響を及ぼすことのない覆工エレメントの地山への貫入方法を提供することにある。 この発明の別の目的は、ワイヤソー等の可撓性切削具による地盤切削装置を刃口に装備し、地山内部で可撓性切削具の交換を可能とした地盤切削装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は上記課題を達成するために、次のような手段を採用している。
すなわち、この発明は、長尺の覆工エレメントの先端部に刃口を連結し、前記刃口の前方の地山を掘削して前記覆工エレメントを発進側から到達側に向けて地山に貫入させる方法において、
前記刃口はその天板から所定長さ掘削方向前方に突出する刃先板を有し、
この刃先板の前方の地山をワイヤソー等の可撓性切削具により溝状に切削しながら、前記覆工エレメントの地山への貫入によって、前記溝状切削部に前記刃先板を貫入させ、該刃先板の下方の土砂を掘削することを特徴とする覆工エレメントの地山への貫入方法にある。
【0011】
より具体的には、前記刃口は、その両側上部に側方に張り出すように設けられた1対のプーリ支持ブラケットと、
刃口内部に設けられた駆動プーリと、
前記各プーリ支持ブラケットにそれぞれ設けられた複数の従動プーリであって、その先端プーリが前記刃先板の先端近くに配置された1対の従動プーリ群と、
前記駆動プーリに巻き掛けられて前記刃口からその両側方に引き出され、さらに前記1対の従動プーリ群の各プーリに巻き掛けられて、前記先端プーリ間で前記刃先板の前方を横切る無端状の前記可撓性切削具とを有し、
前記発進側と到達側との間の地山に1対のガイドパイプを設置し、
前記可撓性切削具により前記1対のガイドパイプを含む両者間の地山を切削しながら、前記刃口の地山への貫入にともなって前記1対のプーリ支持ブラケットを前記ガイドパイプ内に進入させることを特徴とする。前記刃先板は先端部が両側方端部から中央部にかけて突出長さが漸減する湾曲形状に形成されている。
【0012】
また、この発明は、覆工エレメントの先端部に連結される刃口であって、その天板に前方に所定長さ突出するように刃先板が設けられた刃口に装備される地盤切削装置であって、
刃口の両側上部に側方に張り出すように設けられた1対のプーリ支持ブラケットと、
刃口内部に設けられた駆動プーリと、
前記各プーリ支持ブラケットにそれぞれ設けられた複数の従動プーリであって、その先端プーリが前記刃先板の先端近くに配置された1対の従動プーリ群と、
前記駆動プーリに巻き掛けられて前記刃口からその両側方に引き出され、さらに前記1対の従動プーリ群の各プーリに巻き掛けられて、前記先端プーリ間で前記刃先板の前方を横切る無端状のワイヤソー等の可撓性切削具とを備えてなることを特徴とする地盤切削装置にある。
【0013】
上記地盤切削装置において、刃口内部に前記可撓性切削具の張力を調整するための張力調整手段が設けられている構成を採用することができる。また、刃口内部に前記可撓性切削具に作用する衝撃力の緩和手段が設けられている構成を採用することもできる。さらに、前記可撓性切削具の走行経路に、該切削具を案内するためのガイドが設けられている構成を採用することもできる。
【0014】
さらに、前記可撓性切削具の走行経路に、該切削具に付着した土砂を除去するための清掃手段が設けられている構成を採用することもできる。この場合、前記清掃手段は、前記可撓性切削具の戻り側にある前記先端プーリ近くに設けられ、該切削具に向けて開口するノズルと、このノズルに圧縮空気を送る圧縮空気供給装置とを備えて構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明方法によれば、刃口にその天板から所定長さ掘削方向前方に突出する刃先板を設け、この刃先板を地山に貫入させてその下方を掘削するので、刃先板の下方の土塊が抗力として上載荷重に抵抗するため切羽の崩壊が生じにくく、地盤の沈下、陥没の可能性を小さくすることができる。また、刃先板は、可撓性切削具によって地山を切削した溝状切削部に貫入されるので、刃口の貫入により上部地山に変状を与えることがない。
【0016】
この発明装置によれば、可撓性切削具を駆動させる駆動プーリを刃口に内蔵し、刃口のみにおいて可撓性切削具の循環走行路を形成したので、地山内部で可撓性切削具が切断した場合であっても、その交換が可能となる。
【0017】
また、可撓性切削具の張力調整手段を設けることにより、可撓性切削具に地山切削に適切な張力を与えることができる。さらに、可撓性切削具に作用する衝撃力を緩和する手段を設けることにより、可撓性切削具の切断を防止することができる。さらに、可撓性切削具の走行路にガイドを設けることにより、可撓性切削具が切断した場合、その交換を円滑に行うことができる。さらに、可撓性切削具の走行路に清掃手段を設けることにより、可撓性切削具は常時清浄な状態が保たれ、切削効率の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明による貫入方法を適用して構築された地下構造物の一例を示す正面図である。
【図2】覆工エレメントの貫入施工の状態を示す断面図である。
【図3】この発明による方法の実施形態を示す断面図である。
【図4】この発明による地盤切削装置の実施形態を示す平面図である。
【図5】同上のものの断面図である。
【図6】ワイヤソーのガイド及び清掃手段を示す平面図である。
【図7】同上のものの側面図である。
【図8】図6の線A〜線C矢視断面図である。
【図9】図6の線C〜線F矢視断面図である。
【図10】従来の施工例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。図1は、この発明の貫入方法により多数の覆工エレメントを地山に貫入させ、それによって箱形に構築された地下構造物50の一例を示している。使用する覆工エレメントは断面が矩形の基準覆工エレメント1と、断面がコ字形の一般部覆工エレメント2である。最初に基準覆工エレメント1が地山に貫入され、次いでその両側に一般部エレメント2が順次貫入される。基準覆工エレメント1とその両側に隣接する一般部覆工エレメント2、また互いに隣接する一般部覆工エレメントどうしは、後行エレメントの地山への貫入の際に互いに嵌合される継手3を介して連結される。なお、符合54は閉合エレメントを示す。
【0020】
地山に変状を与えやすいのは、土被りが小さい上床版51のエレメントの貫入施工時であり、この実施形態では、この上床版51のエレメントを構成する基準覆工エレメント1及び一般部覆工エレメント2(隅角部覆工エレメント2’を含む)の貫入施工時にこの発明が適用される。
【0021】
この発明が適用される上床版51の基準覆工エレメント1及びその両側に連設される一般部覆工エレメント2は、高さは従来と同様すなわち側壁部52及び下床板53のエレメントと同様であるが( 800mm 程度)、幅は拡幅されている( 2200mm 程度)。これは、後述するように、刃口での掘削が機械掘削ではなく人力によるからである。
【0022】
図2は、覆工エレメントの貫入施工の状態を示す断面図である。覆工エレメント1,2の先端部には中間エレメント4を介して刃口5が連結される。地山には牽引ワイヤー6が予め設置される。牽引ワイヤー6のうち上部の2本は後述するガイドパイプ7に挿入される。牽引ワイヤー6の一端は刃口5に連結され、他端は到達側10に設置された牽引ジャッキ11に連結される。この牽引ジャッキ11により刃口5が牽引され、覆工エレメント1,2が発進側8から到達側に向けて地山に貫入される。
【0023】
図3は、刃口5の側面図である。刃口5は天板5a、底板5b及び1対の側板5cを有する断面矩形の掘削先導体である(図4,図5も併せて参照)。側板5cの先端には従来と同様のスランテット5dが設けられているが、その勾配の大きさは図10(a)に示したのと同程度であり、同図(b)のように小さくはしてない。この発明によれば、刃口5は天板5aから掘削方向に所定長さ前方に突出する刃先板12を有している。刃先板12は、貫入抵抗を小さくするために。その先端部が両側方端部から中央部にかけて突出長さが漸減する湾曲形状に形成されている(図4参照)。
【0024】
刃先板12の前方にはワイヤソー13が配置され(ワイヤソー13の詳細及びその駆動装置については後述)ている。この発明工法では、このワイヤソー13により刃先板13の前方の地山を溝状に切削しながら、覆工エレメント1,2の地山への貫入によって、刃先板13を溝状切削部に貫入させる。そして、刃先板12の下方の土砂を掘削する。掘削は人力による。
【0025】
このような工法によれば、図10(a)に示した刃口100と同じようなスランテット5dとした場合であっても、刃先板12の下方の土塊が抗力Nとして上載荷重Fに抵抗するため切羽の崩壊が生じにくく、地盤の沈下、陥没の可能性を小さくすることができる。また、刃先板12は、ワイヤソー13によって地山を切削した溝状切削部に貫入されるので、刃先板12の貫入により上部地山に変状を与えることがない。さらに、刃先板12の下方の掘削量を調整することにより、前方への圧力を調整し、先行隆起も生じさせることがない。
【0026】
図4,図5はワイヤソー13による地盤切削装置を示し、図4は平面図、図5は断面図である。地盤切削装置は刃口5に装備されている。刃口5には天板5aから両側方に張り出す1対のプーリ支持ブラケット14a,14bが設けられている。これらの支持ブラケット14a,14bには複数の従動プーリ15,16,17,18からなる従動プーリ群が設けられている。従動プーリ15はプーリ軸が傾斜したプーリであり、支持ブラケット14a,14bに傾斜して設けられた補助ブラケット19に支持されている。
【0027】
従動プーリ16はプーリ軸が水平向きの小径プーリであり、支持ブラケット14a,14bに設けられた補助ブラケット20(詳細は図6及び図7参照)に支持されている。従動プーリ17,18はプーリ軸が鉛直向きのプーリであり、補助ブラケット20に支持されている。従動プーリ18は先端プーリであり、刃先板12の先端近くに配置されている。
【0028】
図5に示すように、刃口5の内部には駆動プーリ21及び複数の従動プーリ22,23,24が配置されている。駆動プーリ21は図示しない駆動モータに連結され、駆動回転するプーリである。ワイヤソー13は無端状のものであり、刃口5内部で駆動プーリ21及び従動プーリ22,23,24に巻き掛けられ、天板5aに設けられた開口26を通して刃口5の側方に引き出されている。そして、ワイヤソー13は支持ブラケット14a,14bに設けられた従動プーリ群の各プーリ15,16,17,18に巻き掛けられ、そのうちの先端プーリ18,18間で刃先板12の前方を横切っている。
【0029】
刃口5の内部に配置される駆動プーリ21は、プーリ軸が鉛直方向に移動自在となって張力調整用のエアシリンダ27に連結され、このエアシリンダ27の作動により張力を可変とすることができる。また、従動プーリ22のプーリ軸は揺動ブラケット28に連結されるとともに、ショックアブソーバ29に連結されている。したがって、ワイヤソー13に急激な衝撃荷重が加わると揺動ブラケット28が揺動して、ショックアブソーバ29により衝撃力が緩和される。
【0030】
図6及び図7はワイヤソー13のガイド及び清掃手段を示している。図6は平面図、図7は側面図である。また、図8,図9の(a)〜(f)は、それぞれ図6の線A〜線F矢視断面を示す図である。刃口5外部におけるワイヤソー13の走行経路にはワイヤソー13を案内するためのガイド40が設けられている。ガイド40は補助ブラケット20に固定されている。
【0031】
ガイド40は各従動プーリ間における通路孔41を有する部分42と、各従動プーリの周囲におけるカバー状の部分43とからなっている。また、従動プーリ16と図4に示した従動プーリ15との間にもパイプで構成されたガイド44が設けられている。さらに、図示しないが従動プーリ16の周囲にもガイド40と同様のガイドが設けられている。このようなガイド40,44を設けることにより、ワイヤソー13が切断した場合、刃口5の内部から開口26を通して交換ワイヤソーを刃口5の外部に送り込み、ワイヤソーをその走行経路に沿って案内することができる。したがって、ワイヤソーの交換を刃口5の内部から容易に行うことができる。
【0032】
また、刃口5の外部におけるワイヤソー13の走行経路にはワイヤソーの清掃手段が設けられている。清掃手段はワイヤソー13の戻り側の走行経路に設けられている。清掃手段は先端プーリ18近くに配置される複数のノズル45を備え、これらのノズル45は通路孔41に、すなわち該通路孔41を通るワイヤソー13に向けて開口している。各ノズル45はヘッダ46に接続され、ヘッダ46は配管47を介して図示しないコンプレッサーに接続されている。これにより、各ノズル45からワイヤソー13に向けて圧縮空気を吹きかけ、ワイヤソー13に付着した土砂等を除去することができる。除去した土砂等は通路孔41の下部に設けられた排出口48からガイドパイプ内に落下する(図8(a)等参照)。
【0033】
1対のガイドパイプ7,7は覆工エレメントの地山への挿入施工前に、予め地山に設置される。駆動プーリ21を駆動させると、ワイヤソー13は各従動プーリに沿って循環走行する。このようにしてワイヤソー13を走行させた状態で刃口5を地山に貫入させると、先端プーリ18,18間のワイヤソー部分によりガイドパイプ7,7間の地山が溝状に切削される。この溝状の切削部に刃口5の刃先板12が貫入される。この発明にしたがい、刃先板12の下方の土砂を掘削するのは前述したとおりである。
【0034】
ワイヤソーによる地山切削により、ガイドパイプ7,7も切削されるので、ガイドパイプ7,7には長手方向に沿うスリット49が形成される。刃口5に設けられた1対の支持ブラケット14a,14bは、このスリット49に沿って移動可能であるので、刃口5の地山への貫入にともなって支持ブラケット14a,14bをガイドパイプ7,7内に進入させることができる。
【符号の説明】
【0035】
1,2 覆工エレメント
5 刃口
5a 天板
5c 側板
5d スランテット
6 牽引ワイヤー
7 ガイドパイプ
8 発進側
10 到達側
11 牽引ジャッキ
12 刃先板
12 刃先部
13 ワイヤソー
13 刃先板
14a,14b プーリ支持ブラケット
15,16,17,18 従動プーリ
18,18 先端プーリ
19,20 補助ブラケット
21 駆動プーリ
22,23,24 従動プーリ
26 開口
27 エアシリンダ
28 揺動ブラケット
29 ショックアブソーバ
40,44 ガイド
41 通路孔
45 ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の覆工エレメントの先端部に刃口を連結し、前記刃口の前方の地山を掘削して前記覆工エレメントを発進側から到達側に向けて地山に貫入させる方法において、
前記刃口はその天板から所定長さ掘削方向前方に突出する刃先板を有し、
この刃先板の前方の地山をワイヤソー等の可撓性切削具により溝状に切削しながら、前記覆工エレメントの地山への貫入によって、前記溝状切削部に前記刃先板を貫入させ、該刃先板の下方の土砂を掘削することを特徴とする覆工エレメントの地山への貫入方法。
【請求項2】
前記刃口は、その両側上部に側方に張り出すように設けられた1対のプーリ支持ブラケットと、
刃口内部に設けられた駆動プーリと、
前記各プーリ支持ブラケットにそれぞれ設けられた複数の従動プーリであって、その先端プーリが前記刃先板の先端近くに配置された1対の従動プーリ群と、
前記駆動プーリに巻き掛けられて前記刃口からその両側方に引き出され、さらに前記1対の従動プーリ群の各プーリに巻き掛けられて、前記先端プーリ間で前記刃先板の前方を横切る無端状の前記可撓性切削具とを有し、
前記発進側と到達側との間の地山に1対のガイドパイプを設置し、
前記可撓性切削具により前記1対のガイドパイプを含む両者間の地山を切削しながら、前記刃口の地山への貫入にともなって前記1対のプーリ支持ブラケットを前記ガイドパイプ内に進入させることを特徴とする請求項1記載の覆工エレメントの地山への貫入方法。
【請求項3】
前記刃先板は先端部が両側方端部から中央部にかけて突出長さが漸減する湾曲形状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の覆工エレメントの地山への貫入方法。
【請求項4】
覆工エレメントの先端部に連結される刃口であって、その天板に前方に所定長さ突出するように刃先板が設けられた刃口に装備される地盤切削装置であって、
刃口の両側上部に側方に張り出すように設けられた1対のプーリ支持ブラケットと、
刃口内部に設けられた駆動プーリと、
前記各プーリ支持ブラケットにそれぞれ設けられた複数の従動プーリであって、その先端プーリが前記刃先板の先端近くに配置された1対の従動プーリ群と、
前記駆動プーリに巻き掛けられて前記刃口からその両側方に引き出され、さらに前記1対の従動プーリ群の各プーリに巻き掛けられて、前記先端プーリ間で前記刃先板の前方を横切る無端状のワイヤソー等の可撓性切削具とを備えてなることを特徴とする地盤切削装置。
【請求項5】
刃口内部に前記可撓性切削具の張力を調整するための張力調整手段が設けられていることを特徴とする請求項4記載の地盤切削装置。
【請求項6】
刃口内部に前記可撓性切削具に作用する衝撃力の緩和手段が設けられていることを特徴とする請求項4又は5記載の地盤切削装置。
【請求項7】
前記可撓性切削具の走行経路に、該切削具を案内するためのガイドが設けられていることを特徴とする請求項4,5又は6記載の地盤切削装置。
【請求項8】
前記可撓性切削具の走行経路に、該切削具に付着した土砂を除去するための清掃手段が設けられていることを特徴とする請求項4〜7のいずれか1に記載の地盤切削装置。
【請求項9】
前記清掃手段は、前記可撓性切削具の戻り側にある前記先端プーリ近くに設けられ、該切削具に向けて開口するノズルと、このノズルに圧縮空気を送る圧縮空気供給装置とを備えてなることを特徴とする請求項8記載の地盤切削装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−174542(P2010−174542A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−19613(P2009−19613)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【出願人】(000216025)鉄建建設株式会社 (109)
【出願人】(391004768)日本ファステム株式会社 (9)
【Fターム(参考)】