説明

見映えの良いチャンクゼリー食品組成物

穀類及び/又は澱粉を含有するが、濁っていて見映えの悪い外観を有していないチャンクゼリー食品組成物が開示される。濁りがなく質の高い組成物の外観は、非有意な量のアミロースを含有する穀類又は澱粉の使用を通じて実現される。チャンクゼリー食品組成物を調製する方法、チャンクゼリー食品組成物に関する情報を伝達する手段、及びチャンクゼリー食品組成物を含むパッケージも開示される。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001]本願は、2009年8月26日出願の米国特許仮出願第61/275184号の優先権を主張するものである。その出願の開示内容は、ここで参照されることにより本明細書に組み込まれる。
【発明の背景】
【0002】
発明の分野:
[0002]本発明は概して食品組成物に関し、特に、見映えの良いチャンクゼリー(chunks−in−jelly)食品組成物に関する。
【0003】
関連技術の説明:
[0003]チャンクゼリー食品組成物は、典型的には、k−カラギーナン、カロブ、グアー及びキサンタンをガム成分として用いて液体ゼリーを調製することにより製造される。該ゼリーは容器に入れ、肉又は肉類似物の熱いチャンクを該液体ゼリーと混合する。該チャンクゼリー混合物を容器に入れ、密封し、レトルト処理して、チャンクゼリー食品組成物を得る。
【0004】
[0004]チャンクゼリー食品組成物の多くは、食品組成物を得るために全て肉のチャンクを使用する。しかし、肉の入手し易さ及びコストと比べると、穀類は入手し易くコストが低いことから、穀類又は澱粉を肉と組み合わせて使用し、チャンクを製造することが望ましいことが多い。こうした理由から、穀類又は澱粉を成分として使用する肉類似物のチャンクが幾つかの用途のために調製されている。さらに、穀類/澱粉及び肉以外の他の成分のみから調製された肉類似物のチャンクが幾つかの用途のために使用されている。
【0005】
[0005]典型的な澱粉は、アミロペクチンを約75%、アミロースを約25%含有する。澱粉は、穀類又は他の植物内で、2種の異なる生化学的経路を使用して合成される。すなわち、1つの経路は分岐鎖多糖(アミロペクチン)を産生し、他方の経路は直鎖多糖(アミロース)を産生する。アミロペクチンは、α−D−(1−4)及びα−D−(1−6)グルコシド結合の分岐鎖であり、アミロースは、α−D−(1−4)結合したグルコース残基の直鎖である。しかし、一部の穀類/植物には、アミロース合成経路における酵素が欠乏している。こうした穀類/植物は、アミロペクチンは産生するが、アミロースは実質的に産生しない。これらの穀類は「モチ性」穀類(例えば、モチトウモロコシ、モチ小麦、モチ米)と呼ばれることがある。
【0006】
[0006]穀類又は澱粉を含有するチャンクが望ましいにもかかわらず、澱粉はチャンクゼリー食品組成物の見映えを悪くする、例えば組成物が濁るので、穀類若しくは澱粉、又は肉と穀類/澱粉との組合せを用いて調製されたチャンクは、該組成物中に使用されてこなかった。典型的には、こうした濁りは、ゼリー中の白色様の不完全部又は塊によって生じ、こうしたものによりゼリーの透明性が低下し、低品質品の外観を有する製品となる。
【0007】
[0007]したがって、濁っていて見映えの悪い外観ではなく高品質品の外観を有するが、穀類又は澱粉を含むチャンクを備える、新規のチャンクゼリー食品組成物への需要がある。
【発明の概要】
【0008】
[0008]本発明は、新規のチャンクゼリー食品組成物を提供することを目的とする。
【0009】
[0009]本発明はまた、見映えの良い新規のチャンクゼリー食品組成物を提供することを目的とする。
【0010】
[0010]本発明はまた、濁った外観を有していないチャンクゼリー食品組成物を提供することを目的とする。
【0011】
[0011]本発明はまた、見映えの良い及び/又は濁りのない外観を有するチャンクゼリー食品組成物を調製する方法を提供することを目的とする。
【0012】
[0012]こうした目的又は他の目的の少なくとも1つは、ゼリーと少なくとも1つのチャンクとを含み、該チャンクは、非有意な量のアミロースを含有する少なくとも1種の穀類又は澱粉を約5%〜約95%、少なくとも1種の肉、動物産物及び/又は他の成分を約5%〜約95%含む新規のチャンクゼリー食品組成物を調製することによって実現される。アミロース含有量が約5%未満であり、チャンクゼリー食品組成物の調製に有用な任意の穀類又は澱粉が、本発明において使用可能である。典型的には、穀粒又は穀粉が使用される。新規のチャンクゼリー食品組成物を含む様々なパッケージ、並びに食品組成物、その有益性及びその使用についての情報を伝達するための手段も提供される。
【0013】
[0013]本発明のさらなる目的、特徴及び利点は当業者には明らかであろう。
【発明の詳細な説明】
【0014】
定義:
[0014]「非有意な量のアミロース」とは、チャンクゼリー食品組成物において、肉類似物のチャンクからゼリー中に移り、濁っていて見映えの悪い外観を生ずると思われる穀類又は澱粉中のアミロースの量よりも、穀類又は澱粉中のアミロースの量が少ないことを意味する。典型的には、「非有意な量のアミロース」を含有する穀類又は澱粉は、約5%未満のアミロースを含有する。
【0015】
[0015]「肉」という語は、真正の肉、肉副産物、又はこれらの組合せを意味する。「真正の肉」及び「肉副産物」は、新鮮な状態の又は適切な処理によって保存される、屠殺された動物全ての肉質部分、並びに動物の身体又は身体部分を加工することによって生じる全ての産物及び副産物を意味する。「肉」には、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類及び魚類を含む任意の動物の肉が包含されるものとする。
【0016】
[0016]「動物産物」とは、動物由来の産物を意味する。動物産物には上記の肉及び肉副産物が包含され、また、異なる形態に調製された産物(例えば、動物性乾燥タンパク質、血漿粉末、骨粉)が包含される(それらに限定されない)。
【0017】
[0017]「肉のチャンク」とは、肉のみから、或いは肉又は肉以外の他の成分を穀類又は澱粉と組み合わせて調製されたチャンクを意味する。後者を「肉類似物のチャンク」と呼ぶこともできる。肉のチャンク及び肉類似物のチャンクは肉以外の成分のみから調製することもでき、例えば、少なくとも1種の豆、穀類及び/又は澱粉のみから調製される。
【0018】
[0018]「食品組成物」とは、動物による摂取が意図される製品又は組成物を意味する。
【0019】
[0019]「動物」とは、人類、鳥類、ウシ科、イヌ科、ウマ科、ネコ科、ヤギ、オオカミ、ネズミ科、ヒツジ、又はブタの動物を含む、本発明の食品組成物の消費から恩恵を受けることができるか、又はそれを享受できる任意の動物を意味する。
【0020】
[0020]「コンパニオンアニマル」とは、ネコ、イヌ、ウサギ、モルモット、フェレット、ハムスター、マウス、スナネズミ、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ロバ、ブタなどの、飼育動物を意味する。
【0021】
[0021]本明細書において、パーセント値は、特に断らない限り、全て組成物の総重量に対する重量による。
【0022】
[0022]本明細書において、比率は、特に断らない限り、全て重量比(w/w)を基準とする。
【0023】
[0023]本明細書において、範囲内の1つ1つの値を列挙及び記載することを避けるため、範囲は簡略に記す。範囲の上限値、下限値又は端値として、必要に応じて範囲内の任意の適切な値を選択することができる。
【0024】
[0024]本明細書では、文脈上明らかに他の意味に解すべき場合でない限り、単語の単数形は複数を含み、逆もまた同様である。したがって、“a”、“an”及び“the”は一般にその語の複数形を含む。例えば、“a chunk”、“a method”又は“a food”は、その“chunk”、“method”又は“food”の複数を含む。同様に、「含む」(“include”、“including”)及び「又は」(“or”)は、文脈上明らかに他の意味に解すべき場合でない限り包含的に解釈されるべきである。同様に、「例」は、特に用語の列挙が後に続く場合は、例示的かつ説明的なものにすぎず、排他的又は網羅的なものとみなされるべきではない。
【0025】
[0025]「含む(comprising)」には、「から本質的になる」及び「からなる」により包含される実施形態が含まれるものとする。同じく、「から本質的になる」には、「からなる」によって包含される実施形態が含まれるものとする。
【0026】
[0026]ここに開示される方法、組成物及び他の提案は、本明細書に記載の特定の方法、手順及び試薬に限定されるものではない。なぜならば、当業者には理解されるように、それらは変わり得るものだからである。さらに、本明細書で使用される用語は、専ら特定の実施形態を記載するためのものであり、開示又は請求の範囲を限定するものではない。
【0027】
[0027]特に断らない限り、本明細書で使用される全ての技術的・科学的用語、当技術分野の用語、及び頭字語は、本発明の分野又は当該用語が使用される分野の当業者が通常理解するのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様又は同等の全ての組成物、方法、製品又は他の手段若しくは材料は本発明の実施に際して使用することができるが、本明細書には、好ましい組成物、方法、製品又は他の手段若しくは材料が記載されている。
【0028】
[0028]本明細書で引用又は参照される全ての特許、特許出願、出版物、技術的及び/又は学術的論文及び他の文献は、ここで参照されることにより、法律で許容される範囲でその全体が本明細書に組み込まれる。これらの文献についての議論は、単にその主張内容を要約することを意図したものである。そのような特許、特許出願、出版物又は文献又はそれらの任意の一部が関連技術又は先行技術であることを認めるものではない。そのような特許、特許出願、出版物及び他の文献が関連技術又は先行技術であるとのいかなる主張に関しても、その正確性及び妥当性について異議を申し立てる権利は特に留保されている。
【0029】
発明:
[0029]一態様において、本発明は、見映えの良い新規のチャンクゼリー食品組成物を提供する。該組成物は、ゼリーと少なくとも1つのチャンクとを含み、該チャンクは、少なくとも1種の穀類及び澱粉を約5%〜約95%、少なくとも1種の肉、動物産物又は他の成分を約5%〜約95%含み、該穀類及び澱粉は非有意な量のアミロースを含有する。
【0030】
[0030]本発明は、穀類又は澱粉をチャンクの構成成分として含むチャンクゼリー食品組成物に見られる濁りの原因がアミロースであるとの発見に基づく。相当量のアミロースを有する穀類又は澱粉を含有するチャンクで調製されたチャンクゼリー食品組成物は、濁っていて見映えの悪い外観を有するが、非有意な量のアミロースを有する穀類又は澱粉を含有するチャンクで調製されたチャンクゼリー食品組成物は、濁っていて見映えの悪い外観を有していないと判定した。
【0031】
[0031]理論によって拘束されるものではないが、チャンクを調製するために使用される穀類又は澱粉中のアミロースがチャンクからゼリーに移り出て、それによってゼリーが透明ではなく濁って見えるようになるために、こうした濁りが生ずると考えられる。アミロースを低減する又はチャンクから除去することにより、こうした濁りを回避することができる。ほんのわずかなアミロースを用いて又はアミロースを用いずに調製されたチャンクゼリー組成物は高品質品の外観を有するが、それは基本的にゼリーが透明に見えるからである。要するに、チャンクゼリー食品組成物中に、あるとしてもごく少量のアミロースしか含有しない穀類又は澱粉を使用すると、アミロースを含有する穀類又は澱粉で調製したチャンクゼリー食品組成物の特徴である、濁りと見映えの悪さが防止される。
【0032】
[0032]本発明の組成物において有用な穀類又は澱粉は、非有意な量のアミロースを含有し、かつ、チャンクゼリー食品組成物を製造するのに有用なチャンクを調製するのに適した、いかなる穀類又は澱粉であってもよい。様々な実施形態において、本発明で使用する穀類又は澱粉は、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.25%又は0.1%に満たないアミロースを含有する。好ましい実施形態において、該穀類又は澱粉は、2%未満、好ましくは1%未満、最も好ましくは0.5%未満のアミロースを含有する。最終製品の有益な外観及び濁りのなさを実現するために、チャンクに澱粉が多いほどアミロースが少ない澱粉を含有すべきであり、一方、チャンクに澱粉が少ないほどアミロースが多い澱粉を利用できることが理解されよう。
【0033】
[0033]一般に、本発明で有用な穀類には、好ましくは小麦、トウモロコシ又は米由来の、アミロース含有量が低い任意の穀粒又は穀粉が含まれる。こうした穀類は、一般に「モチ性穀類」と呼ばれる。モチ性穀類は、アミロース含有量が約5%未満であることが好ましい。モチ性穀類には、遺伝子組換え源又は遺伝子非組換え源から入手できるものであれ、モチトウモロコシ、モチ米及びモチ小麦が含まれるが、それだけに限定されない。例えば、モチトウモロコシ及びモチ米は遺伝子非組換え源から得られようが、モチ小麦は遺伝子組換え種から得ることができよう。
【0034】
[0034]これらのモチ性穀類のいずれかからの澱粉、又はアミロース含有量が低い他の任意の穀類又は塊茎状の供給源(例えばジャガイモ又はタピオカ(キャッサバ))に由来する粒又は粉からの澱粉も使用することができる。アミロース含有量が低いこうした澱粉は一般に「モチ性澱粉」と呼ばれる。モチ性澱粉は、アミロース含有量が約5%未満であることが好ましい。
【0035】
[0035]チャンクゼリー食品組成物は、上述の通り、非有意な量のアミロースを含有する少なくとも1種の穀類又は澱粉から少なくとも一部が構成されるチャンクを含有する。様々な実施形態において、本発明で有用なチャンクは、非有意な量のアミロースを含有する穀類又は澱粉を約5%〜約95%含有することができる。詳細には、該チャンクは、非有意な量のアミロースを含有する少なくとも1種の穀類又は澱粉を、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又は95%含有することができる。別の見方をすれば、本発明で有用なチャンクは、非有意な量のアミロースを含有する少なくとも1種の穀類又は澱粉を、約95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%又は5%まで含有することができる。
【0036】
[0036]本発明のチャンクは、非有意な量のアミロースを含有する少なくとも1種の穀類又は澱粉に加えて、チャンクゼリー食品組成物に適した当業者に公知の他の任意の成分を含有することができ、それには、例えば肉、肉副産物、動物性乾燥タンパク質、血漿粉末、植物性タンパク質、タンパク質抽出物、油脂などの、タンパク質源及び脂質源が含まれる。
【0037】
[0037]チャンクは、かかる組成物において有用であることが当業者に公知である、少なくとも1種の追加成分も含有することができる。こうしたものには、当業者に公知である、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、核酸、充填剤、食味増強剤(palatability enhancer)、結合剤、香味料、安定剤、乳化剤、甘味料、着色料、緩衝剤、食塩、コーティング、調味料、保存料などが含まれる。補助的ミネラルの非限定的な例には、カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、鉄、塩化物、ホウ素、銅、亜鉛、マグネシウム、マンガン、ヨウ素、セレンなどが含まれる。補助的ビタミンの非限定的な例には、以下の様々な塩、エステル又は他の誘導体を含む、ビタミンA、ビタミンB群のいずれか、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE及びビタミンKが含まれる。追加の栄養補助食品には、例えば、任意の形態のナイアシン、パントテン酸、イヌリン、葉酸、ビオチン、アミノ酸、及びそれらの塩及び誘導体も含まれてもよい。安定剤には、組成物の保存期間を長くする傾向がある物質、例えば保存料、相乗剤、捕捉剤、包装用ガス、乳化剤、増粘剤、ゲル化剤、湿潤剤などが含まれる。乳化剤及び/又は増粘剤の例には、ゼラチン、セルロースエーテル、澱粉、澱粉エステル、澱粉エーテル及び変性澱粉が含まれる。こうした成分及びその量の選択は当業者には公知である。各追加成分の具体的な量は、様々な要因、例えば組成物に含まれる成分;動物の種;動物の年齢、体重、全身健康状態、性別及び食餌;動物の摂取率;食品組成物を動物に投与する目的などに応じて決まるであろう。したがって、構成成分及び成分量は幅広く変動する可能性があり、本明細書に記載する好ましい比率から逸脱することもあり得る。
【0038】
[0038]様々な実施形態において、本発明で有用なチャンクは、少なくとも1種の肉、動物産物及び/又は上述の他の成分を5〜約95%、非有意な量のアミロースを含有する少なくとも1種の穀類又は澱粉を約5%〜95%含有する。より具体的には、本発明で有用なチャンクは、非有意な量のアミロースを含有する少なくとも1種の穀類又は澱粉を約10%〜50%含有する。他の実施形態において、本発明のチャンクは、非有意な量のアミロースを含有する少なくとも1種の穀類又は澱粉を約10%〜25%含有する。特定の実施形態において、本発明で有用なチャンクは、非有意な量のアミロースを含有する少なくとも1種の穀類又は澱粉を約15%〜20%含有する。これらの各実施形態において、該チャンクの残部は、肉、動物産物、脂肪、及び/又は上述の代替及び追加の構成成分を含む。
【0039】
[0039]他の実施形態において、チャンクゼリー食品組成物は、米国飼料検査官協会(AAFCO)が定めた規格に従って、「完全かつバランスのとれた」栄養をコンパニオンアニマルなどの動物に提供するように調製される。他の実施形態において、該食品組成物は、コンパニオンアニマル用食品組成物(例えばイヌ又はネコ用食品組成物)として調製される。様々な実施形態において、該動物はコンパニオンアニマルであり、好ましくはイヌ又はネコであり、最も好ましくはネコである。
【0040】
[0040]該チャンクは、製品を消費すると見込まれる動物に応じて、例えば動物の種類、年齢、健康状態、又は大きさに応じて、大きさが変わってもよい。例えば、イヌに適したチャンクの大きさは、長辺が典型的には10〜80ミリメートル(mm)の範囲であり、好ましくは20〜40mmである。ネコ用のチャンクの大きさは、長辺が典型的には3〜30mmであり、好ましくは8〜20mmである。
【0041】
[0041]他の態様において、本発明は、見映えの良い又は濁りのない外観を有するチャンクゼリー食品組成物を調製するための方法を提供する。該方法は、
a)少なくとも1種の穀類及び澱粉を含み、該穀類及び澱粉は非有意な量のアミロースを含有するチャンク混合物を調製するステップと、
b)該チャンク混合物を使用してチャンクを製造するステップと、
c)ゼリーを調製するステップと、
d)該チャンクと該ゼリーとを混合してチャンクゼリー食品組成物を製造するステップと、
を含む。場合により、該方法は、(1)該食品組成物を容器に充填するステップ、(2)該容器を密封するステップ、及び(3)該容器をレトルト処理するステップ、の少なくとも1つをさらに含む。
【0042】
[0042]該チャンクは、当業者に公知の任意の方法により調製することができる。本発明で有用なチャンクを製造する方法は、例えば、米国特許第5132137号、第5567466号、第4781939号、第6379738号、及び第7344745号に記載される。
【0043】
[0043]一実施形態において、チャンクは、凍結した肉及び/又は魚肉副生材料を挽き、次に、この挽いた肉/魚肉材料に、非有意な量のアミロースを含有する穀粉、並びに動物性乾燥タンパク質、ビタミンとミネラルの予混合物、着色料及び保存料を含有する粉末混合物を混合することによって調製する。得られた生地を、次にスチームオーブンのベルト上に押し出し、80〜90℃で加熱調理し、規定された及び様々な形状の、適切な大きさの小片に切断する(再成形チャンク)。
【0044】
[0044]該食品組成物において有用なゼリーは、チャンクゼリー食品組成物の調製に適したいかなるゼリーであってもよい。かかるゼリー組成物は当技術分野で公知である。該ゼリー調製物は、例えば、水を親水コロイド粉末、着色料、及び食塩に混合することによって調製することができる。該ゼリー組成物は、典型的には、カッパ−カラギーナン、カロブ、グアー、キサンタンなどのガムを含有する。本発明で有用なゼリー組成物及びその製造方法の例は、例えば、米国特許第7344745号及び米国特許出願公開第20080152774号に見出すことができる。
【0045】
[0045]該食品組成物のチャンク部分とゼリー部分とを組み合わせる方法も当技術分野で周知である。チャンクゼリー食品組成物を調製する当業者に公知の任意の適切な方法、例えば米国特許第4781939号、第5132137号、第5567466号、第6379738号、及び第7344745号に記載のものなどを使用することができる。好ましい一実施形態では、チャンクを熱いうちにゼリーの容器に加え、液体ゼリーと混合する。該チャンクゼリー混合物を、次に容器に移し、密封し、レトルト処理してチャンクゼリー食品組成物を製造する。
【0046】
[0046]チャンクゼリー食品組成物を調製するための、当業者に公知の任意の適切なチャンク対ゼリー比、例えば米国特許第5567466号及び第7344745号に記載のものなどを使用することができる。例えば、90:10、85:15、80:20、75:25、70:30、65:35、60:40、55:45、50:50、45:55、40:60、35:65、30:70、25:75、20:80、15:85、又は10:90のチャンク:ゼリー比を使用することができる。好ましくは、チャンク:ゼリー比は、65:35、60:40、55:45、50:50、45:55、40:60、又は35:65である。
【0047】
[0047]他の態様において、本発明は、本発明の方法を用いて調製されたチャンクゼリー食品組成物を提供する。
【0048】
[0048]他の態様において、本発明は、
(1)本発明のチャンクゼリー食品組成物の構成成分、及び結果として得られる見映えの良さ、
(2)ヒト及び動物用製品におけるチャンクゼリー食品組成物の様々な使用方法、
(3)本発明のチャンクゼリー食品組成物を動物に給餌するための説明、
(4)本発明のチャンクゼリー食品組成物又はその使用について質問がある場合に、消費者が使用する連絡先情報、
(5)本発明のチャンクゼリー食品組成物についての栄養情報
の少なくとも1つについての情報又は説明を伝達するための手段を提供する。有用な説明は給餌量及び給餌頻度を含むことができる。例えば、本発明を使用することの有益性について説明し、該食品組成物を動物に給餌するための承認された方法を伝達するために、該伝達手段は有用である。
【0049】
[0049]該手段は、該情報又は説明を含む物理的若しくは電子的な文書、デジタル記憶媒体、光学的記憶媒体、オーディオプレゼンテーション、オーディオビジュアル表示又はビジュアル表示の少なくとも1つを含む。好ましくは、該手段は、ウェブサイト表示、ビジュアル表示キオスク、パンフレット、製品ラベル、添付文書、広告、チラシ、公共放送、音声テープ、ビデオテープ、DVD、CD−ROM、コンピュータ可読チップ、コンピュータ可読カード、コンピュータ可読ディスク、USBデバイス、ファイヤーワイヤー(FireWire)デバイス、コンピュータメモリ、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0050】
[0050]他の態様において、本発明は、本発明のチャンクゼリー食品組成物と、パッケージに添付されたラベルと、を含むパッケージを提供し、該ラベルは、有益な性質(例えば、外観の向上、ゼリーの濁りの低下、及びチャンクの均等な分布)を有するチャンクゼリー食品組成物がパッケージ内に含まれることを示す単語、絵、図案、頭字語、キャッチフレーズ、語句、又は他の意匠、或いはそれらの組合せを有する。典型的には、かかる意匠は、パッケージ上に印刷された「外観の向上」及び「濁りの低下」という複数の単語、又は同等な表現を含む。該組成物を含有するのに適した任意のパッケージ又は包装材料、例えば、紙、プラスチック、箔、金属などから製造された袋、箱、瓶、缶、パウチなどが、本発明において有用である。好ましい一実施形態において、該パッケージは、ラベルに適するように、例えばヒト、イヌ科又はネコ科の動物などの特定の動物に適合させた本発明の食品組成物、好ましくはイヌ又はネコ用のコンパニオンアニマル用食品組成物を含む。好ましい一実施形態において、該パッケージは、本発明のチャンクゼリー食品組成物を含む、レトルト処理可能な缶、プラスチック容器又はパウチである。
【実施例】
【0051】
[0051]本発明は、さらに以下の実施例により具体的に説明される。ただし、これらの実施例は単に説明のために記載されたものであり、特に断らない限り、本発明の範囲を限定することを意図したものでないことは理解されよう。
【0052】
実施例1:
[0052]12mmのグリッドを有する粉砕機(cruncher)/破砕機(breaker)を通して凍結豚肉副産物85kgを挽いた。挽いた副産物に、水1kg、動物性乾燥タンパク質9kg、血漿粉末2kg、及びビタミン、ミネラルなどの他の成分3kgを含む粉末混合物15kgを十分に混合した。得られた組成物を5分間混合して、均一な混合物を製造した。次いで、この混合物を、トリゴナル(trigonal)(グリッド/ナイフ)乳化装置(3及び5mmのグリッド)で乳化して、生地を製造した。この生地を、角ダイスを通してスチームオーブンのベルト上に押し出し、約85℃で2分間加熱調理し、チャンクに切断し、長辺の平均の大きさが約0.5インチである再成形チャンクを製造した。該再成形チャンクは様々な形状及び大きさであった。
【0053】
[0053]水99kg、カッパ−カラギーナン0.4kg、カロブガム0.3kg、及び塩化ナトリウム500gを高剪断ミキサーで混合することによって、液体ゼリーを調製した。
【0054】
[0054]該再成形チャンク及び液体ゼリーを缶に充填し、次いでこの缶を密封し、130℃の温度で20分間加熱することによってレトルト処理した。チャンク:ゼリー比は40:60であり、つまり、各缶にチャンク16kg及びゼリー24kgを充填した。冷却すると、該液体ゼリーは、ゼリー全体に分散したチャンクと共に固化した。
【0055】
実施例2:
[0055]凍結豚肉副産物64.5kg、小麦粉(アミロペクチンとアミロースの比率が75:25)16.5kg、水15kg、及び血漿粉末1kgを使用して、実施例1の手順を繰り返した。実施例1からのレトルト処理した缶及び実施例2からのレトルト処理した缶を開け、濁り及び透明度について製品を観察した。その結果、(1)実施例1で小麦粉を用いずに調製した製品の方が、有意に濁りが少なく透明度が高く、高品質品の外観を有しており、(2)実施例2で小麦粉を用いて調製した製品の方が、有意に濁りが多く透明度が低く、低品質品の外観を有していたことが示された。
【0056】
実施例3:
[0056]小麦粉(アミロペクチンとアミロースの比率が75:25であり、合計すると小麦粉中の澱粉の約67〜71%に相当する)16.5kgの代わりに、挽いた(100μm超の粒が1%未満)モチトウモロコシ(微量のアミロースしか含有しない)を使用したこと以外は、実施例2の手順を繰り返した。実施例2からのレトルト処理した缶及び実施例3からのレトルト処理した缶を開け、濁り及び透明度について製品を観察した。その結果、(1)小麦粉を用いず挽いたモチトウモロコシを用いて調製した製品の方が、有意に濁りが少なく透明度が高く、高品質品の外観を有しており、(2)小麦粉を用い、挽いたモチトウモロコシを用いず調製した製品の方が、有意に濁りが多く透明度が低く、低品質品の外観を有していたことが示された。これは、アミロースがほとんどない又はない製品の方が、濁りが少なく透明度が高いゼリー及び高品質品の外観を有することを示している。
【0057】
実施例4:
[0057]小麦粉16.5kgの代わりに、より良い熱安定性を得るために網状化された変性モチトウモロコシ(微量のアミロースしか含有しない)16.5kgを使用したこと以外は、実施例2の手順を繰り返した。実施例2からのレトルト処理した缶及び実施例4からのレトルト処理した缶を開け、濁り及び透明度について製品を観察した。その結果、(1)小麦粉を用いず変性モチトウモロコシを用いて調製した製品の方が、有意に濁りが少なく透明度が高く、高品質品の外観を有しており、(2)小麦粉を用い、変性モチトウモロコシを用いず調製した製品の方が、有意に濁りが多く透明度が低く、低品質品の外観を有していたことが示された。これは、アミロースがほとんどない又はない製品の方が、濁りが少なく透明度が高いゼリー及び高品質品の外観を有することを示している。
【0058】
[0058]本明細書では、本発明の代表的な好適な実施形態が開示されている。特定の用語が使用されているが、それらは単に一般的かつ説明的な意味で使用したものであり、限定を意図したものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲に記載の通りである。上述の教示内容に照らせば、本発明の多くの修正及び改変が可能であることは明らかである。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲内で、特に記載されている以外の形態でも実施可能であることが理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼリーと少なくとも1つのチャンクとを含むチャンクゼリー食品組成物であって、前記チャンクは、少なくとも1種の穀類及び澱粉を約5%〜約95%、少なくとも1種の肉、動物産物又は他の成分を約5%〜約95%含み、前記穀類及び澱粉は非有意な量のアミロースを含有する、食品組成物。
【請求項2】
前記チャンクは、非有意な量のアミロースを含有する少なくとも1種の穀類及び澱粉を少なくとも約15%含む、請求項1に記載の食品組成物。
【請求項3】
前記穀類又は澱粉は約5%未満のアミロースを含有する、請求項1に記載の食品組成物。
【請求項4】
前記穀類又は澱粉は約2%未満のアミロースを含有する、請求項1に記載の食品組成物。
【請求項5】
前記穀類又は澱粉は約1%未満のアミロースを含有する、請求項1に記載の食品組成物。
【請求項6】
前記穀類又は澱粉は約0.5%未満のアミロースを含有する、請求項1に記載の食品組成物。
【請求項7】
前記穀類又は澱粉は、モチトウモロコシ、モチ米及びモチ小麦から選択される、請求項1に記載の食品組成物。
【請求項8】
コンパニオンアニマルによる摂取用に調製された、請求項1に記載の食品組成物。
【請求項9】
前記コンパニオンアニマルがイヌ又はネコである、請求項8に記載の食品組成物。
【請求項10】
前記チャンクは、非有意な量のアミロースを含有する少なくとも1種の穀類及び澱粉を約15%〜約20%、肉、動物産物又は他の成分を約80%〜約85%含む、請求項8に記載の食品組成物。
【請求項11】
動物性乾燥タンパク質、血漿粉末、ビタミン、ミネラル、着色料及び保存料の少なくとも1種をさらに含む、請求項10に記載の食品組成物。
【請求項12】
「完全かつバランスのとれた」栄養を動物に与えるように調製された、請求項1に記載の食品組成物。
【請求項13】
チャンクゼリー食品組成物を調製するための方法であって、
a)少なくとも1種の穀類及び澱粉を含み、該穀類及び澱粉は非有意な量のアミロースを含有するチャンク混合物を調製するステップと、
b)該チャンク混合物を使用してチャンクを製造するステップと、
c)ゼリーを調製するステップと、
d)該チャンクと該ゼリーとを混合して、チャンクゼリー食品組成物を製造するステップと、
を含む方法。
【請求項14】
前記食品組成物を容器に充填するステップ、及び該容器を密封するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記容器をレトルト処理するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ステップa)のチャンク混合物は少なくとも1種の肉、動物産物又は他の成分を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
ステップa)のチャンク混合物は、少なくとも1種の肉、動物産物又は他の成分を約5%〜約95%、非有意な量のアミロースを含有する少なくとも1種の穀類及び澱粉を約5%〜約95%含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記食品組成物は、コンパニオンアニマルによる摂取用に調製されたものである、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記コンパニオンアニマルがイヌ又はネコである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項13に記載の方法により調製されたチャンクゼリー食品組成物。
【請求項21】
ゼリー及び少なくとも1つのチャンクを含むチャンクゼリー食品組成物についての情報又は使用説明を伝達するための手段であって、前記チャンクは、少なくとも1種の穀類及び澱粉を約5%〜約95%、肉、動物産物又は他の成分を約5%〜約95%含み、該穀類及び澱粉は非有意な量のアミロースを含有し、前記情報又は説明は、
a)該チャンクゼリー食品組成物の構成成分、及び結果として得られる見映えの良さ、
b)ヒト及び動物用製品において該チャンクゼリー食品組成物を使用する方法、
c)該チャンクゼリー食品組成物を動物に給餌するための説明、
d)該チャンクゼリー食品組成物又はその使用についての消費者の問い合わせのための連絡先情報、及び
e)該チャンクゼリー食品組成物についての栄養情報
の少なくとも1つに関しており、
該手段は、該情報又は説明を含む物理的若しくは電子的な文書、デジタル記憶媒体、光学的記憶媒体、オーディオプレゼンテーション、オーディオビジュアル表示又はビジュアル表示の少なくとも1つを含む、手段。
【請求項22】
ウェブサイト表示、ビジュアル表示キオスク、パンフレット、製品ラベル、添付文書、広告、チラシ、公共放送、音声テープ、ビデオテープ、DVD、CD−ROM、コンピュータ可読チップ、コンピュータ可読カード、コンピュータ可読ディスク、USBデバイス、ファイヤーワイヤーデバイス、コンピュータメモリ、及びこれらの任意の組合せから選択される、請求項21に記載の伝達手段。
【請求項23】
ゼリー及び少なくとも1つのチャンクを含むチャンクゼリー食品組成物を含むパッケージであって、該チャンクは、少なくとも1種の穀類及び澱粉を約5%〜約95%、少なくとも1種の肉、動物産物又は他の成分を約5%〜約95%含み、該穀類及び澱粉は非有意な量のアミロースを含有し、該パッケージは、該パッケージに添付されるラベルをさらに含み、該ラベルは、有益な性質を有するチャンクゼリー食品組成物が該パッケージ内に含まれることを示す単語、絵、図案、頭字語、キャッチフレーズ、語句、又は他の意匠、或いはそれらの組合せを有する、パッケージ。
【請求項24】
請求項14に記載の方法により調製されたチャンクゼリー食品組成物。
【請求項25】
請求項15に記載の方法により調製されたチャンクゼリー食品組成物。

【公表番号】特表2013−502926(P2013−502926A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526717(P2012−526717)
【出願日】平成22年8月21日(2010.8.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/002310
【国際公開番号】WO2011/028241
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】