規則性メソ多孔性炭素およびその製造方法
本発明は、界面活性剤、炭素前駆体、水(場合により、酸と混合)および水非混和性油からできた規則性メソ多孔性炭素および規則性メソ多孔性炭素の製造方法に関する。また、本発明は、規則性メソ多孔性炭素を製造するのに用いる組成物を処方する方法に関する。さらに、本発明は、規則性メソ多孔性炭素を部分的に酸化することにより形成される活性炭に関する。
【発明の詳細な説明】
【先願米国出願の利益の主張】
【0001】
本出願は、米国特許仮出願第60/876,274号明細書(2006年12月21日出願)および第60/925,997号明細書(2007年4月24日出願)の利益を主張する。これらの文献の内容は、ここに参考文献として援用される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、界面活性剤/炭素前駆体−水/油系を用いることによる規則性メソ多孔性炭素の形成に関し、位相領域、メソ多孔性構造、メソ細孔サイズおよび得られるメソ多孔性炭素材料のマクロスケールモルホロジーについて制御および柔軟性を高めるものである。一実施形態において、規則性メソ多孔性炭素は、部分的に酸化されて、例えば、触媒を分散および安定化することのできる活性炭を形成する。
【背景技術】
【0003】
規則性メソ多孔性炭素の合成は、様々な用途に用いられるため、近年、かなりの調査対象となっている。例えば、規則性メソ多孔性炭素は、水/空気清浄、ガス分離、触媒作用、大きな疎水性分子の吸着、クロマトグラフ分離、容量脱イオン化、電子化学二重層キャパシタおよび水素貯蔵に関連する用途に用いることができる。
【0004】
規則性メソ多孔性炭素(組み込まれた3次元(3−D)規則/相互接続細孔構成を有する)は、2つの合成技術のいずれか1つを用いて作製することができる。第1の技術では、無機シリカテンプレートを準備し、シリカテンプレートを炭素前駆体で含浸し、含浸したシリカテンプレートを乾燥し、含浸したシリカテンプレートを架橋し、架橋したシリカテンプレートを炭化することにより、シリカテンプレートを溶解して、規則性メソ多孔性炭素を残して、規則性メソ多孔性炭素を作製する。例えば、シリカテンプレートは、MCM−48、SBA−15およびSBA−16等の異なる構造を有しており、それぞれ、CMK−1,6、CMK−3,7およびCMK−6,8と呼ばれる炭素レプリカを作製するのに用いることができる。得られる炭素構造は、親シリカテンプレートを通して予めプログラムされているにも関わらず、この合成技術は依然として時間がかかり、コストが高い。
【0005】
最近最も注目されている第2の合成技術には、有機テンプレートを含む有機−有機組成物の使用が含まれる。この合成技術の第1のやり方では、有機テンプレートを自己組織化し、有機テンプレートを炭素前駆体で含浸し、含浸した有機テンプレートを乾燥し、含浸した有機テンプレートを架橋し、架橋した有機テンプレートを炭化することにより、有機テンプレートを溶解して、規則性メソ多孔性炭素を残すことにより、規則性メソ多孔性炭素を作製する(注:有機テンプレートの自己組織化の含浸は、同時に実施されるため、一製造工程と考えられる)。この特定の技術では、無機テンプレートの使用が排除され、それ自体で、製造工程の数が減じる。合成技術の第2のやり方では、有機テンプレートおよび炭素前駆体を混合し、沈殿物が形成されるまで、水に富んだ環境においてそれらを反応することにより、規則性メソ多孔性炭素粉末を作製する。次に、架橋工程なしで、粉末を炭化し、有機テンプレートを溶解して、規則性メソ多孔性炭素を残す(注:炭素前駆体とのテンプレートの自己組織化により、沈殿物が形成される。これは粉末合成においてのみ用いることができる)。さらに、第2の合成技術のこれらのやり方は両方共、有機−有機系を用いるため、規則性メソ多孔性炭素内に形成される細孔の相配位を制御するのに関して、より柔軟である。規則性メソ多孔性炭素の製造のための第2の合成技術に関連する改善が、本発明の対象である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様において、本発明は、界面活性剤、水および炭素前駆体溶液および水非混和性油(および、場合により、水と混合される酸)から形成される規則性メソ多孔性炭素を提供する。一実施形態において、規則性メソ多孔性炭素は、(a)少なくとも所定量の溶媒と、所望量の界面活性剤、炭素前駆体、水および油を含有する溶液(任意:水は、例えば、鉱酸、HCl、HNO3、H2SO4、H3PO4等の酸を含有していてもよい)を混合する工程と、(b)溶液を乾燥する工程と、(c)溶液を架橋して、水を固定化して、予備炭化メソ構造相(自己組織化有機テンプレートを含む)を形成する工程と、(d)予備炭化メソ構造相を炭化して、規則性メソ多孔性炭素を形成する工程とを用いて製造される(自己組織化有機テンプレートを溶解して、規則性メソ多孔性炭素を形成する)。工程(a)において混合される所望量の界面活性剤、炭素前駆体、水(および、場合により酸)および油を決めるのを補助するために、(1)周知の界面活性剤/水/油平衡相図を選択する工程と、(2)界面活性剤/水/油平衡相図における水相ラベルを、炭素前駆体および水相ラベルに交換する工程と、(3)界面活性剤/炭素前駆体および水溶液/油平衡相図を指針として用いて、規則性メソ多孔性炭素を形成するのに用いるべき所望量の界面活性剤、炭素前駆体/水溶液(および、場合により、水と混合される酸)および油を推定する工程とを含む処方方法を用いることができる。
【0007】
他の態様において、本発明は、規則性メソ多孔性炭素を部分的に酸化することにより形成される活性炭を提供する。一実施形態において、活性炭は、(a)溶媒と所定量の非イオン性界面活性剤、水溶性炭素前駆体/H2O溶液および水非混和性油(任意:溶液は、カリウム化合物、例えば、水酸化カリウム、酢酸カリウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウムまたはその他ハロゲン化カリウムを含有していてもよい、または水は、酸、例えば、鉱酸、HCl、HNO3、H2SO4、H3PO4等の酸を含有していてもよい)を含有する溶液を混合し、(b)溶液を乾燥し、(c)水を固定化し、予め炭化されたメソ構造相を形成する溶液を架橋し、(d)予め炭化したメソ構造相を炭化して、自己組織化界面活性剤テンプレートをそこから除去して、規則性メソ多孔性炭素を形成し、(e)表面と、規則性メソ多孔性炭素の表面で開いたチャネル細孔内の内周端部の少なくとも一部とを部分的に酸化して、活性炭を形成する工程を用いることにより、製造することができる。
【0008】
本発明のさらなる態様は、一部分において、詳細な説明、図面および特許請求の範囲に規定されており、一部分において、詳細な説明から得られるか、または本発明の実施により分かる。前述の概要の説明および以下の詳細な説明の両方共に、あくまでも例示ならびに説明を目的とするものであり、開示された本発明を限定するものではない。
【0009】
添付の図面と共に、以下の詳細な説明を参照することにより、本発明をより完全に理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】本発明による規則性メソ多孔性炭素を製造する好ましい方法の工程を示すフローチャートである。
【図1B】本発明による規則性メソ多孔性炭素を形成するのに用いることのできる所望量の界面活性剤、炭素前駆体、水および油を決めるのに好ましい方法の工程を示すフローチャートである。
【図2A】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフ、画像および図である。
【図2B】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図2C】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図2D】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図3】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図4A】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図4B】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図5A】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図5B】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられる画像である。
【図6A】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられる画像である。
【図6B】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられる画像である。
【図7A】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられる画像である。
【図7B】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられる画像である。
【図7C】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられる画像である。
【図7D】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられる画像である。
【図7E】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられる画像である。
【図7F】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられる画像である。
【図7G】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられる画像である。
【図7H】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられる画像である。
【図8】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図9A】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図9B】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図9C】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図10A】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられる図である。
【図10B】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図11】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられる図である。
【図12A】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図12B】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図12C】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図12D】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図13A】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図13B】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図13C】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図14A】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられる画像である。
【図14B】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられる画像である。
【図15A】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図15B】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図16】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図17】本発明の他の実施形態により、活性炭を製造する(規則性メソ多孔性炭素を用いて)好ましい方法の工程を示すフローチャートである。
【図18A】本発明の他の実施形態により、図17に示す方法を用いて形成された活性炭を試験するために実施された実験結果を説明するのを支援するのに用いられるグラフである。
【図18B】本発明の他の実施形態により、図17に示す方法を用いて形成された活性炭を試験するために実施された実験結果を説明するのを支援するのに用いられるグラフである。
【図19A】本発明の他の実施形態により、図17に示す方法を用いて形成された活性炭を試験するために実施された実験結果を説明するのを支援するのに用いられるグラフである。
【図19B】本発明の他の実施形態により、図17に示す方法を用いて形成された活性炭を試験するために実施された実験結果を説明するのを支援するのに用いられるグラフである。
【図20】本発明の他の実施形態により、図17に示す方法を用いて形成された活性炭を試験するために実施された実験結果を説明するのを支援するのに用いられるグラフである。
【図21】本発明の他の実施形態により、図17に示す方法を用いて形成された活性炭を試験するために実施された実験結果を説明するのを支援するのに用いられる画像である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、界面活性剤、水および炭素前駆体溶液および水非混和性油から形成された規則性メソ多孔性炭素を含む(注:水成分は、例えば、鉱酸、HCl、HNO3、H2SO4、H3PO4等の酸を任意で含有していてもよい)。水非混和性油の添加によって、組成物が2相から3相系に膨張し、特定のメソ構造が安定した界面活性剤/水および炭素前駆体組成物の範囲も広がる。油相の添加によってまた、細孔容積および細孔直径等のメソ構造内の物理特性を調整するのにも役立つ。
【0012】
一実施形態において、規則性メソ多孔性炭素は、(a)少なくとも所定量の溶媒と、所望量の界面活性剤、炭素前駆体、水および油を含有する溶液を混合する工程(図1Aの工程102a)(任意:水は、例えば、鉱酸、HCl、HNO3、H2SO4、H3PO4等の酸を含有していてもよい)と、(b)溶液を乾燥する工程(図1Aの工程104a)と、(c)溶液を架橋して、水を固定化して、予備炭化メソ構造相(自己組織化有機テンプレートを含む)を形成する工程(図1Aの工程106a)と、(d)予備炭化メソ構造相を炭化して、規則性メソ多孔性炭素を形成する工程(自己組織化有機テンプレートを溶解して規則性メソ多孔性炭素を形成する)(図1Aの工程108a)とを含む製造方法100aを用いて製造される。この方法100aは、蒸発を誘導する濃度の界面活性剤/水および炭素前駆体/油相を用いて、例えば、薄膜、コーティング、自立膜または粉末を作製するのに用いることのできる規則性メソ構造を形成する。
【0013】
本発明の他の態様において、周知の界面活性剤/水/油三成分系平衡相図を用いて、所望の規則性メソ多孔性炭素を作製するのに混合できる界面活性剤/炭素前駆体−水/油の組成/処方を推定する補助とすることができることを見出した。このように、混合して、規則性メソ多孔性炭素を製造することのできる界面活性剤/炭素前駆体−水/油の処方/組成を決めるための方法100bに関する本発明の他の実施形態がある。処方方法100bには、(1)界面活性剤/水/油平衡相図を選択する工程(図1Bの工程102b)と、(2)界面活性剤/水/油平衡相図における水相ラベルを、炭素前駆体および水相ラベルに交換する工程(図1Bの工程104b)と、(3)界面活性剤/炭素前駆体および水溶液/油平衡相図を指針として用いて、規則性メソ多孔性炭素を形成するのに用いるべき所望量の界面活性剤、炭素前駆体/水溶液および油を推定する工程(図1Bの工程106b)とを含む。界面活性剤、炭素前駆体/水溶液および油のこの特定の処方は、製造方法100aの混合工程102aで用いるものである(図1A参照)。次に、詳細な記載により、方法100aおよび100bの個々の工程をさらに説明し、製造方法100aおよび処方方法100bの有用性を確認するために実施された、いくつかの実験をさらに説明する。
【0014】
特に、規則性メソ多孔性炭素を、1)非イオン性界面活性剤、2)水溶性炭素前駆体/H2O溶液および3)油(共力剤)の高濃度前駆体溶液から形成し、乾燥および架橋して、界面活性剤系自己組織体を形成し、炭素前駆体が、メソ構造相を安定化する(工程108、110および112)。形成されたメソ構造相を、炭化により、規則性メソ多孔性炭素へ変形し、界面活性剤系の自己組織化有機テンプレートを除去する(工程114)。前駆体溶液は、界面活性剤、炭素前駆体−水および油を含む3成分を有し、具体的な容積比は、周知の文書化された界面活性剤/水/油平衡相図に基づくのが好ましく、これは、本発明の一実施形態により、界面活性剤/炭素前駆体−水/油平衡相図とすべく改定されている。
【0015】
界面活性剤、炭素前駆体−水および油の容積比を決めるために、周知の文書化された界面活性剤/水/油平衡系相図を選択し、水相ラベルを、水溶性炭素前駆体/H2Oラベルと交換して、「新」界面活性剤/前駆体−水/油平衡相図を形成する(注1:リオトロピック液晶を非イオン性界面活性剤から作製することについての知識を用いて、界面活性剤/水/油平衡系相図を選択する補助とする)(注2:「新」界面活性剤/炭素前駆体−水/油平衡系相図相図自体は、炭素前駆体および純粋な水からの水溶液の異なる親水性のために完全に正確でなく、経験により、相境界を推定して、所望の規則性メソ多孔性炭素を得る)。次に、「新」界面活性剤/炭素前駆体+水/油平衡相図を、指針として用いて、所望の規則性メソ多孔性炭素を作製するのに用いる3成分の容積比を決める。「新」界面活性剤/炭素前駆体−水/油平衡相図を、指針として用いて、どのくらいの界面活性剤、炭素前駆体−水および油を、規則性メソ多孔性炭素を形成するのに用いるべきか決めることに関連する利点がいくつかある。これらの利点としては、(例えば、)(1)3D立方体(Im3m、Pm3m空間群)、2D六方形(P6mm)、3D六方形(P63/mmc)またはラメラ等の特別な相を選択できること、(2)界面活性剤位相領域の制御が向上すること、(3)細孔サイズの制御が向上すること、および(4)マクロスケールモルホロジーの制御が向上することが挙げられる。本発明をどのように実施するかの一例を次に述べる。
【0016】
図2A(従来技術)に、25℃でのPEOx−PPOy−PEOx(x=19、y=43)/H2O/p−キシレン三成分系についての周知の平衡相図を示す。この図には、異なるwt%の三成分PEOx−PPOy−PEOx(x=19、y=43)、H2Oおよびp−キシレンを用いることにより得られる様々な相が示されている(注:PEOx−PPOy−PEOxは、界面活性剤であり、p−キシレンは油である)。相境界は、実線で描かれており、I1、H1、V1、Lα、V2、H2およびI2は、通常の(水中油型)ミセル立方体、通常の六角形、通常のバイコンティニュアス立方体、ラメラ、逆(油中水型)バイコンティニュアス立方体、逆六角形および逆ミセル立方体リオトロピック液晶相をそれぞれ表し、L1およびL2は、それぞれ、水に富んだ(通常のミセル)および水の乏しい/油に富んだ(逆ミセル)溶液のことを指す。図に、規則性メソ多孔性炭素となる異なる相配向のいくつかを例示してある。
【0017】
図2B−2D(従来技術)に、3つの異なるPEOx−PPOy−PEOx(x=106、y=70、Pluronic(登録商標)F127としても知られている)/H2O/油三成分系についての周知の平衡相図を示す。これらの図から、油成分をp−キシレンから酢酸ブチル、ブタノールまで変える相配向で生じることが分かる。I1、H1、Lα、H2、L1およびL2は、通常の(水中油型)ミセル立方体、通常の六角形、ラメラ、逆六方形、水に富んだ(通常のミセル)および水の乏しい/油に富んだ(逆ミセル)溶液のことを指す。これらの相図および他の種類の相図は周知であり、文献から容易に得られる(例えば、P.Alexandridisら、「A Record Nine Different Phases(Four Cubic,Two Hexagonal,and One Lamellar Lyotropic Liquid Crystalline and Two Micellar Solutions)、Ternary Isothermal System of an Amphiphilic Block Copolymer and Selective Solvents(Water and Oil)」Langmuir 1998,14,2627−2638を参照のこと)。
【0018】
上述したとおり、本発明の規則性メソ多孔性炭素を合成するには、炭素前駆体系組成物を、周知の界面活性剤/水/油相図により処方できる。これを行うには、周知の界面活性剤/水/油相図の水相を、水溶性炭素前駆体/H2O溶液と交換する(注:水重量%は、炭素前駆体+水重量%に相当するものとして用いる。次に、「新」界面活性剤/炭素前駆体+水/油相図を用いて、(1)非イオン性界面活性剤、(2)水溶性炭素前駆体/H2O溶液および(3)油組成物の処方を補助する。
【0019】
図3に、本発明による異なる規則性メソ多孔性炭素を形成するのに用いた組成物を処方するために、様々な実験に用いた「新」平衡相図を示す。この例示の「新」界面活性剤/炭素前駆体+水/油相図において、界面活性剤は、PEOx−PPOy−PEOx(x=106、y=70、「Pluronic」F127としても知られている)であり、炭素前駆体は、フェノール樹脂であり、油はブタノールである(注:「新」界面活性剤/炭素前駆体+水/油相図は、図2Dに示す周知の界面活性剤/水/油平衡系相図に基づく)。点は、点1、2、7、9、13、15、16、18−19、20、21、22および25−26が、2D六角形相(H1)で試験した処方を表し、点3、4、10、11、12、14、23および27は、立方体相(I1)で試験した処方を表し、点5、6、22、24および28は、六角形とラメラ(H1とLα)間の相で試験した処方を表す。表1に、予測した相/配向(「新」界面活性剤/炭素前駆体+水/油平衡相図)および得られた規則性メソ多孔性炭素の実際の相/配向と共に、これらの特定の処方についての様々な詳細を示す。
【表1】
【0020】
これらの実験において、低角度X線回折(XRD)を、特定の初期形態として用いて、表1に示した特定の処方を用いて作製された構造の相を分析および確認した。XRDデータから、調べた全ての試料は、「新」相図により予測された相を示した。ただし、規則性を示さなかった試料番号24、25および13、2D六角形の規則性を示した試料番号28、立方体構造を示した試料番号5、6および22は除く。これらの結果によれば、必要な規則性メソ多孔性炭素構造について組成物を生成するのに「新」相図を指針として用いることができるが、予測した相配向を有する構造となる組成物を必ずしも与えない、ということが示唆されている。しかしながら、「新」相図により決めた組成を用いることにより、より系統だった制御されたやり方で、当該の領域/相配向を厳密に計画することができる。これらの試料組成物から選んだものを、詳細に試験した。走査電子顕微鏡写真(SEM)、細孔径分布(PVD)および透過型電子顕微鏡写真(TEM)を含む試験結果について次に述べる。
【0021】
図4Aおよび4Bは、それぞれ、試料番号2(六角形配列)および試料番号3(立方体配列)に関連したXRDデータを示す2つのグラフである。見て分かるとおり、試料番号2は、96Åで集中した良好に分解された(100)ピークを有しており、それぞれ1.7°および2.4°のツー・シータで、d(110)〜52およびd(210)〜37Åの2つの高次ピークがある。試料番号3は、91Åで良好に分解された(110)ピークを有しており、d(200)〜64.7およびd(210)〜53Åで2つの高次ピークがある。このデータは、図3に示す「新」相図を用いて予測されたものと一致している。
【0022】
図5Aおよび5Bに、それぞれ、試料番号6に関連するXRDグラフおよびTEM画像を示す。表1に示すとおり、試料番号6は、図3に示す「新」相図に基づく六角形とラメラ相間で予測された配列を有していた。しかしながら、試験試料番号6は、94Åで良好に分解された(110)ピークを有しており、d(200)〜68Åおよびd(210)〜55Åの2つの高次ピークがあり、立方体配列を示している。TEM画像によれば、試料番号6は立方体配列を示していなかったことが確認された。ここでも、規則性メソ多孔性炭素構造を作製する組成物を処方するのに「新」相図を指針として用いることができるが、予測した相配向を有する構造となる組成物を必ずしも与えない。
【0023】
図6Aおよび6Bは、それぞれ、試料番号2および試料番号6の例示のSEMを示す。見て分かるとおり、試料番号2のSEMは、細孔径4.5の良好に分解された2D六角形構造を示し、試料番号6のSEMは立方体配列を示した(試料番号6に関連した図5Aおよび5Bも参照のこと)。
【0024】
図7A−7Hは、試料番号2、7、20および8(900℃で処理した)に関連したTEM画像を示す。見て分かるとおり、試料番号2は、1−Dチャネル[(110)面](図7AのTEM参照)および[(001)面]に六角形構成の細孔構造を備えた、予測および試験した六角形配列を有していた(図7Bの断面TEM参照)。この格子面間隔(d−spacing)および細孔径は、それぞれ、〜91Åおよび〜45Åと推定され、試料番号2のXRDグラフに示された格子面間隔と良好に適合した(図4A参照)。試料番号7は、予測され試験された六角形配列を有していた(図7C−7DのTEM参照)。さらに、試料番号20は、予測した配列はラメラであったが、試験したところ六角形配列であった(図7E−7FのTEM参照)。最後に、試料番号8は、予測され試験された立方体配列を有していた(図7G−7HのTEM参照)。
【0025】
以下の記載は、試料番号1−28を作製し、試験するのに関連する材料および工程をより詳細に説明するものである。また、以下の記載は、規則性メソ多孔性炭素を後に部分的に酸化すると、例えば、触媒が分散および安定化する活性炭を形成する、本発明の特徴を説明するものである。
【0026】
材料
試料番号1−28を、界面活性剤(「Pluronic」F127)、炭素前駆体(フェノール樹脂)および油(ブタノール)により作製した。特に、用いた非イオン性界面活性剤は、x=106およびy=70(「Pluronic」F127)、x=127およびy=50(「Pluronic」F108)のBASF Inc.製PEOy−PPOx−PEOyトリブロックコポリマーであった。用いた炭素前駆体は、510D50フェノール樹脂(Georgia Pacific)であり、2つの異なる分子量(MW)種(GPCデータ、Mn〜2800、1060)であった(注:510D50フェノール樹脂はさらには精製しなかった)。炭素前駆体とH2Oの混合物は、架橋段階で、65%のフェノール樹脂および35%のH2Oを含有していた。用いた油/共力剤は、ブタノールとp−キシレンであった。
【0027】
合成
典型的な合成において、PEOy−PPOx−PEOyトリブロックコポリマー(例えば、3.7gの「Pluronic」F127(x=106、y=70)を、無水エタノール(エタノール20ml中18%F127)に添加し、F127トリブロックコポリマーが、エタノール中で部分的または完全に溶融するまで、熱を加えて攪拌した。次に、計算量の脱イオン水(1.4ml)を混合物に添加したところ、F127トリブロックコポリマーを完全に溶解した。数分間攪拌する際、フェノール樹脂(510D50フェノール樹脂3.0ml)を混合物に徐々に添加した後、激しく攪拌した。フェノール樹脂を添加すると、溶液が濁った。次に、ブタノール(1.5ml)を混合物に添加した後、攪拌した。最後に、計算量の1.6N HCl(0.6ml)を混合物に添加して、F127トリブロックコポリマーを完全に溶解し、ミセル形成を補助した。得られた溶液を、室温で20−30分間攪拌し、乾燥および架橋工程でるつぼに注いだ。
【0028】
乾燥および架橋:
F127トリブロックコポリマーの自己組織化の条件を最適化するために、5つの異なる処理条件(a−e)のうち1つを用いて空気中で乾燥を実施した。乾燥および架橋は、次のようにして乾燥を実施した。
【0029】
a)乾燥:試料番号1−5をデシケータに保持し、50℃−90℃まで、0.5℃/分で加熱し、90℃で5h浸漬してから、室温(RT)まで5℃/分で冷却した。架橋を行うために、試料番号1−5をデシケータに保持し、表2に示すサイクルを用いて加熱した。
【表2】
【0030】
b)乾燥:試料番号1−5をオーブンに保持し、50℃−90℃まで、0.5℃/分で加熱し、90℃で5h浸漬してから、RTまで5℃/分で冷却した。架橋:試料番号1−5をオーブン(デシケータなし)に保持し、表2に示すサイクルを用いて加熱した。
【0031】
c)乾燥:試料番号1−28をオーブンに90℃で12h保持した。架橋:試料番号1−28をオーブン(デシケータなし)に保持し、表2に示すサイクルを用いて加熱した。
【0032】
d)乾燥:試料番号1−28をフード(ふたなし)保持して12h乾燥した。架橋:試料番号1−28をオーブン(デシケータなし)に保持し、表2に示すサイクルを用いて加熱した。
【0033】
e)乾燥:試料番号1−5をフード(ふたを閉めて)保持して5日間乾燥した。架橋:試料番号1−5をオーブン(デシケータなし)に保持し、表2に示すサイクルを用いて加熱した。
【0034】
試料番号1−28の乾燥により、粘性の明るいオレンジ色の液体が得られ、架橋サイクルにより、暗いオレンジ−褐色の膜が形成された。架橋膜の厚さは〜1−2mm、直径は4−14cmであった。注:必要であれば、溶液番号1−28(および他の溶液)を、ディップコーティング、スピンコーティングまたは鋳造等により基材の上部にコーティングとして適用してから、それらを架橋して、ナノメートル〜1mmの厚さのフィルムを形成することができる。
【0035】
炭化:
得られた暗いオレンジ−褐色の膜を、400℃まで、温度1.7℃/分の傾斜で上げ、それらをその温度に3h浸漬して、炭化温度800°−900℃まで、温度を1℃/分の傾斜で上げ、その温度で3h浸漬することにより、窒素雰囲気中で炭化した(図8に、試料番号2のF127界面活性剤テンプレートが386℃で分解したのを示す)。この特定の炭化プロセスにより、光沢のある黒色炭素が得られた。図8に、試料番号2に関連する熱重量分析(TGA)、示差走査熱量測定(DSC)および示差熱分析(DTG)データも示す。
【0036】
炭素活性(任意):
500−1000℃の後炭化下での化学または物理、例えば、CO2ガスまたは蒸気の使用を含む炭素活性化工程を実施して、よりマイクロ細孔(<2nm)を規則性メソ多孔性炭素に導入することができ、メソ細孔(2−50nm)およびマクロ細孔(<2nm)の両方が形成された規則性メソ多孔性炭素が得られる(注:この工程は、活性炭に関してより詳細に述べてある)。
【0037】
乾燥工程の分析:
上述したとおり、試料番号1−28を、乾燥プロセスa−eにより蒸発した。図9A−9Cに、試料番号2についての細孔特性対異なる処理条件a−eのプロットを示す。実験データによれば、XRD格子面間隔およびBarrett−Joyner−Halenda(BJH)方法において、細孔サイズは、乾燥プロセスa−eから独立している(図9A参照)。実験データは、細孔径に関連していたが、BJH表面積およびBrunauer−Emmett−Teller(BET)表面積は、乾燥プロセスa−eからはやや独立を示していた(図9B−9C参照)。見て分かるとおり、乾燥プロセスc、dおよびeは、表面積および細孔容積を増大するという点では好ましいと思われるが、乾燥プロセスaおよびbはこれより低い値を与えると思われる。従って、乾燥プロセスcおよびdを用いて多くの試料を作製した。
【0038】
エタノール溶媒(必須ではない):
自己組織化プロセス(架橋プロセス)のための溶媒としてエタノールの使用を、異なる量のエタノール、例えば、エタノール20、5および0mlにより実験を行うことにより試験した。3つの全ての実験において、望ましい規則性メソ多孔性炭素を、試料番号2から得た。プロセス条件dは、界面活性剤の自己組織化のための特定の条件下でエタノールは必要なかったことを示していた。これは、有機溶媒(例えば、エタノール)が好ましい溶媒でない工業用途において有利である。
【0039】
油相:
油(ブタノール)は、F127 PEO−PPO−PEO界面活性剤系内のPPOブロック用の膨潤剤として作用する。従って、用いる油(ブタノール)の量は、形成されたミセルの膨潤を制御するのを補助することができ、また、得られる規則性メソ多孔性炭素の細孔サイズおよび細孔メソ構造の制御も補助する(図10A参照)。ブタノールの役割をよく理解するために、2つの異なる実験を行った。第1の実験において、ブタノールを、2D六角形構造を有する試料番号2から除去した(表1および3参照)。試料番号2からのブタノールの除去により、立方体相内にある試料番号11または12に関連した位置に組成が動く(図10B参照)。試料番号11−12の両組成において、F127界面活性剤対フェノール樹脂:水の重量比は同じに保った。表3に、これらの組成物の処方を示す。
【表3】
【0040】
ブタノールの役割は、第2の実験によっても確認された。第2の実験において、熱脱離−ガスクロマトグラフィー/質量分析法(TD−GC/MS)を用いて、乾燥プロセスcおよびdに関連する蒸発工程後のブタノールの存在を確かめた。ある組の試料番号2を、90℃で18h蒸発し、他の組の試料番号2をRTで18h蒸発した。次に、25℃で熱脱離した試料番号2およびオフガスの揮発性有機化合物(VOC)をGCMSにより分析して、各乾燥プロセスcおよびdでブタノール含量を求めた。ブタノールは、両組の試料番号2で検出された。90℃の組の試料番号2から放出されたブタノールのピーク面積(ピーク面積カウント815、154)は、室温の組の試料番号2から放出されたブタノール(ピーク面積カウント1、198、724)に比べ、僅かに小さかった。これは、蒸発工程を90℃およびRTで実施した後、ブタノールが存在していることを示唆している。各組の試料のブタノール量を表4に示す。
【表4】
【0041】
炭素前駆体(フェノール樹脂)対水比:
水重量%は、周知および「新」相図を用いると、炭素前駆体+水重量%と等価と考えられるため、炭素前駆体:水溶液間の異なる比を調べることに関係すると思われる。従って、炭素前駆体:水比約9:1、3:2、2:3および1:4を、特定の重量%で変えることにより、いくつかの異なる試料番号21−26および28を作製した。表5に、この特定の実験についての主要データを示す。
【表5】
【0042】
見て分かるとおり、2D六角形相からの試料番号21−22および25−26の処方組は、〜56−58%および52−53%でそれぞれ保持された樹脂+水wt%を有しており、その樹脂/水重量比は変化した。XRDデータによれば、3:2の比を用いると、試料番号21は、2D六角形相を保持するが、試料番号22について比を9:1に変更すると、相は立方体に変化することが分かる。さらに、XRDデータによれば、3:2の比を用いると、試料番号26は2D六角形相を保持するが、試料番号25について、比を1:4に変更すると、相は無秩序になったのが分かった。
【0043】
H2Oの役割:
水は、典型的に、PEO−PPO−PEO(例えば、「Pluroincs」F127)系内のPEOブロックと相互作用し、炭素前駆体を含有する相を膨潤する(図11参照)(注1:水は、界面活性剤の量の約0.2倍とすることのできる計算量の酸を含有していてもよい)(注2:酸はミセル形成を補助する)。従って、水が、界面活性剤テンプレートの自己組織化において重要な役割を果たす場合、架橋材料または得られる炭素の格子面間隔を変えなければならない。図12A−12Bに、フェノール樹脂:水比が1:4の試料番号1について、架橋後の格子面間隔および炭化後の格子面間隔を示すXRDデータをそれぞれ示す。図12C−12Dに、フェノール樹脂:水比が3:2の試料番号2について、架橋後の格子面間隔および炭化後の格子面間隔を示すXRDデータをそれぞれ示す。見て分かるとおり、XRDデータには、試料番号1および2について架橋段階か、炭化段階のいずれかの格子面間隔において大きな変化がないことが示されており、この段階での水の役割はあまり明白でないことが示唆されている。
【0044】
エージング
試料2について、溶液のエージングも調べた。得られたデータによれば、特定の処方が、t=0で特定の相配向を有していた場合には、その溶液のエージング(4週間まで)は構造に影響しなかった。
【0045】
炭素前駆体のエージング:
フェノール樹脂の貯蔵寿命および炭素前駆体溶液のエージングの影響も調べた。Georgia Pacific 510D50フェノール樹脂は、典型的に、4℃に保つと、6カ月の貯蔵寿命を有する。この実験において、同じ処方を有する5つの組成物A−Eを調製して、2D六角形相を形成した。ただし、4℃または−20℃のいずれかに保たれた、いくつかの組成物は、10カ月経過したフェノール樹脂(樹脂−古)を用い、いくつかの組成物は、3カ月経過したフェノール樹脂(樹脂−新)を用いた。新たな組成物は全て、図13Aに示すとおり、2D六角形のオーダーを有していた。このグラフにおいて、−20℃に保たれたD−Eフェノール樹脂による組成物は、貯蔵寿命にかかわらず、高次のピークを有していた。さらに、−20℃に保たれた新しいフェノール樹脂は、非常に集中したd(100)バンドを有していた。組成物A−Eを、2週間(図13B参照)および4週間(13C参照)エージングした後、架橋および炭化した。これらのグラフを比べると、ツー・シータが、+/−0.05度変化し、+/−8Å、d(100)に影響したが、半値全幅(FWHM)は最少の変化であり、このことは、これらの組成物のエージング(4週間まで)が、得られる構造に影響しなかったことを示していた。表6A−6Cは、それぞれ図13A−13Cに関連する凡例である。
【表6】
【0046】
代替組成物:
上述した組成物は全て、「Pluronic」F127(界面活性剤)、フェノール樹脂/H2O(炭素前駆体/H2O)およびブタノール(油)を含んでいた。代替組成物は、異なる材料で用いて、得られる規則性メソ多孔性炭素の構造を変えることができる。例えば、これらの代替組成物は、以下の任意の組み合わせを用いることができる。(1)非イオン性界面活性剤(例えば、x、y値の異なるPEOy−PPOx−PEOyトリブロックコポリマー、例えば、「Pluronic」P123x=20,y=70、F108x=127,y=50、F127x=106,y=70、F88x=104,y=39)、(2)水溶性炭素前駆体(例えば、フェノール樹脂、熱硬化性炭水化物、ポリビニルアルコール、レゾルシノール−ホルムアルデヒド、ペプチド両親媒性物質、脂質またはその他生物学的発生材料)、および(3)油(例えば、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタン、p−キシレン、メシチレン、ヘキサデカン、酢酸ブチル)。一例として、F108/フェノール樹脂/H2O/ブタノール系を用いて、それぞれ図14Aおよび14Bに示すSEMおよびTEM画像により見られるような立方体配列を合成した。
【0047】
細孔径および細孔容積分布(PVD):
窒素吸着/脱着等温線の測定を実施することにより、異なる乾燥条件a−eを用いて作製した試料番号2の多孔性構造を調べた。表7にこの特定の実験結果をまとめてある。
【表7】
【0048】
等温の吸着分岐を用いて、それをBJHおよびBbB−FHHモデルの両方に適合することにより、800℃で炭化した試料の細孔径を推定した(欄6、7および8参照)。BbB−FHHモデルから得られた細孔径は、図7A−7Bに示すTEMデータを用いることにより計算された細孔径と非常によく適合した。試料番号2に関連する吸着分岐等温について計算したBJHおよびBbB−FHHモデルを用いて得られた、窒素吸着および脱着等温線および細孔サイズ分布を図15Aおよび15Bに示す。
【0049】
図8に戻ると、TGAデータは、試料番号2のF127界面活性剤テンプレートは、400℃未満の温度で分解し、熱硬化性フェノール樹脂は炭素質細孔壁として残ったことが示されている。得られた規則性メソ多孔性炭素は、メソ細孔(直径2−50nm)とマイクロ細孔(直径<2nm)の両方を含む550−800m2/gの高BET表面積を有していた。フェノール樹脂の分解からのガスの生成のためにマイクロ細孔容積が400℃の後増大し得えること、異なる温度で作製された規則性メソ多孔性炭素の表面積を特定する実験を行った後に、この仮定が確認されたものと考えられた。また、マイクロ細孔容積の増大は、図16に示すグラフの吸着分岐を用いて得られた(BJHモデルにより)細孔サイズ分布から分かる。
【0050】
前述より、当然のことながら、本発明の一態様は、界面活性剤相と水+炭素前駆体相と共に油相を含む処方から規則性メソ多孔性炭素を形成する方法に関する。この方法は、界面活性剤相と水+炭素前駆体相のみを用いる方法に比べて、メソ構造相に近づき、物理特性(例えば、細孔容積、細孔径)を制御するのにより大きな能力を与える。製造方法100aには、(a)少なくとも所定量の溶媒と所望量の界面活性剤、炭素前駆体および水と油を含有する溶液を混合する工程と、(b)溶液を乾燥する工程と、(c)溶液を架橋して、水を固定化し、予備炭化したメソ構造相(自己組織化有機テンプレートを含む)を形成する工程と、(d)予備炭化メソ構造相を炭化して、規則性メソ多孔性炭素を形成する工程(自己組織化有機テンプレートを溶解して規則性メソ多孔性炭素を形成する)とを含む。この方法100aは、蒸発を誘導する濃度の界面活性剤/水および炭素前駆体/油相を用いて、規則性メソ構造を形成することができ、薄膜、コーティング、自立膜または粉末を作製するのに用いることができる。
【0051】
同様に当然のことながら、本発明の他の態様は、規則性メソ多孔性炭素の製造に用いることのできる組成物を処方する方法100bにも関する。この処方方法100bには、(1)界面活性剤/水/油平衡相図を選択する工程と、(2)界面活性剤/水/油平衡相図における水相ラベルを、炭素前駆体+水相ラベルに交換する工程と、(3)界面活性剤/炭素前駆体+水/油平衡相図を指針として用いて、どのくらいの界面活性剤、炭素前駆体/水および油を、所望の規則性メソ多孔性炭素を形成するのに用いるべきか推定する工程とを含む。界面活性剤、炭素前駆体/水溶液および油のこの特定の処方は、製造方法100aの混合工程102aにおいて用いるものである。さらに、本発明は、いくつかの他の特徴および利点を有しており、そのうちいくつかを以下に挙げる。
【0052】
・本発明により作製された規則性メソ多孔性炭素は、均一な細孔、メソ細孔径(2−50nm)、高表面積、大きな細孔容積および機械的強度を有している。これらの属性は、組成、溶媒、湿度、促進された架橋条件(水相を固定化するのに用いる)、pH、炭化条件等の様々なプロセス変数を調節することにより制御することができる。
【0053】
・規則性メソ多孔性炭素の形成に用いるのに好ましい組成物は、界面活性剤、炭素前駆体/H2Oおよび油(または共力剤)を含む。この特性の組成物をさらに操作すると、膨潤剤の添加により、かつ/または油の変更により異なる細孔径の炭素を得ることができる(注:規則性メソ多孔性炭素の粉末形態で細孔サイズを増大するのに必要な場合には、メシチレン(1,3,5−トリメチルベンゼン、TMB)等の有機種を用いることができる)。
【0054】
・上述した架橋条件は、予備炭化メソ構造相を安定化するための主要因である炭素前駆体の熱硬化を行うものである。しかしながら、予備炭化メソ構造相の安定化の補助に用いることもできる溶媒および湿度が他の変数である。
【0055】
・本明細書に記載した好ましい組成物は、吸着、分離、電気化学二重層キャパシタ、触媒作用、重金属封鎖等に関連した用途に用いることのできるモノリス、コーティングまたは粉末の形態を有する規則性メソ多孔性炭素の形成に用いることができる。
【0056】
・本明細書に記載した規則性メソ多孔性炭素の製造によって、無機テンプレートの使用が避けられ、構造形成を、より柔軟に制御でき、作製工程が減じ、無機テンプレートを製造するコストが減じ、無機テンプレートをエッチングするために強塩基(またはHF)を用いる必要性が排除される。これは望ましいことである。
【0057】
・本発明の製造プロセスでは、予備重合炭素前駆体を用いることができ、その結果、予備炭化構造を形成するための炭素前駆体の架橋/熱硬化中の収縮が少なくなる。
【0058】
・規則性メソ多孔性炭素の表面は、必要であれば、化学官能性とし、後炭化工程において、静電気を用いることにより帯電することができる。
【0059】
本発明のさらに他の態様において、規則性メソ多孔性炭素を部分的に酸化して、例えば、触媒を分散して安定化できる活性炭を形成することができる。また、この活性炭は、ガス状または溶解した種の効率的な吸着/吸収剤であり、ろ過用途に用いることができ、必要であれば、このろ過を、触媒の安定化と組み合わせて実施することができる。さらに、この活性炭は、800m2/gを超えるBrunauer−Emmett−Teller(BET)表面積を有し、<20Åおよび20−500Åのマイクロおよびメソ多孔性の組み合わせを有し、それぞれ、1−2wt%を超える濃度で、触媒の高分散を可能にする。本発明により、合成された規則性メソ多孔性炭素からの活性炭の作製の仕方について、詳細を図17−21に関して以下に説明する。
【0060】
図17を参照すると、本発明により、活性炭を製造する方法1700の様々な工程を示すフローチャートがある。方法1700には、(a)溶媒と所望量の非イオン性界面活性剤、水溶性炭素前駆体/H2O溶液および水非混和性油(共力剤)を含有する溶液混合する工程(工程1702)(任意:溶液は、例えば、水酸化カリウム、酢酸カリウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウムまたはその他ハロゲン化カリウム等カリウム化合物を含有していてもよい、または水は、例えば、鉱酸、HCl、HNO3、H2SO4、H3PO4等の酸を含有していてもよい)、(b)溶液を乾燥する工程(工程1704)と、(c)溶液を架橋して水を固定化し、予備炭化メソ構造相(自己組織化有機テンプレートを含む)を形成する工程(工程1706)と、(d)予備炭化メソ構造相を炭化して、規則性メソ多孔性炭素を形成する工程(この工程は、>700℃の温度で酸素に乏しい雰囲気で実施して、表面積を制御し、自己組織化有機テンプレートを溶解することができる)(工程1708)と、(e)表面と、規則性メソ多孔性炭素の表面で開いたチャネル/細孔内の内周端部の少なくとも一部とを部分的に酸化して、活性炭を形成する工程(規則性メソ多孔性炭素は、フィルムとすることができるか、または部分的に酸化しながら、基材上に担持することができる)(工程1710)。活性炭は、例えば、フィルタ、膜または触媒担持(触媒を分散し、安定化することのできる)をはじめとする様々な用途に用いることができる。
【0061】
活性炭(合成炭素源材料から作製された)は、従来の活性炭に比べ著しく改善されている。製造方法1700によって、活性種または触媒のイオン交換を可能とする細孔/チャネルの内周端部を含む活性部位を有する表面が無傷のチャネルの配列を備えた構造化炭素が得られるからである。また、製造方法1700には、自己組織化構造の使用が含まれ、活性炭に存在する多孔性および表面積を制御することが可能となる。これらの特徴を制御するには、周知の界面活性剤/水/油相図を選択し、その図を、所望の表面積および所望のサイズおよび形状の細孔を備えた活性炭を作製するのに必要とされる所望量の界面活性剤、炭素前駆体/水溶液および油を推定するために、指針として用いる「新」界面活性剤/炭素前駆体および水溶液/油平衡相図へと変換する(上述の処方方法100bを参照のこと)。
【0062】
図18−21を参照すると、本発明の一実施形態に従って、製造方法1700により作製した活性炭を試験するために実施された、いくつかの実験の結果を説明する補助に用いられる様々な図、グラフおよび画像がある。表8に、部分的に酸化して、例示の活性炭を形成した2つの規則性メソ多孔性炭素を製造するのに用いた2つの処方を示す(注:2つの処方は、表1について上述した試料番号2および5に対応している)。
【表8】
【0063】
以下の説明は、例示の活性炭を製造し試験するのに関連した材料および工程を詳細に説明するものである(注:この記載は、(部分酸化工程1710を除き)試料番号1−28について上述したものと非常に似ているが、活性炭の製造および試験の記載を補助するために繰り返しておく)。
【0064】
材料
試料番号2−5を、界面活性剤(「Pluronic」F127)、炭素前駆体(フェノール樹脂)および油(ブタノール)により作製した。特に、用いた非イオン性界面活性剤は、x=106およびy=70(「Pluronic」)F127)のBASF Inc.製PEOy−PPOx−PEOyトリブロックコポリマーであった。用いた炭素前駆体は、510D50フェノール樹脂(Georgia Pacific)であった。用いた油/共力剤は、ブタノールであった。
【0065】
合成(工程1702)
PEOy−PPOx−PEOyトリブロックコポリマー(例えば、3.7gの「Pluronic」F127(x=106、y=70)を、無水エタノール(エタノール20ml中18%F127)に添加し、F127トリブロックコポリマーが、エタノール中で部分的に溶融するまで、熱を加えて攪拌した。次に、計算量の脱イオン水(1.4ml)を混合物に添加したところ、F127トリブロックコポリマーが溶解した。数分間攪拌した後、フェノール樹脂(510D50フェノール樹脂3.0ml)を混合物に徐々に添加した後、激しく攪拌した。フェノール樹脂を添加すると、溶液が濁った。次に、ブタノール(1.5ml)を混合物に添加した後、攪拌した。最後に、計算量の1.6N HCl(0.6ml)を混合物に添加して、F127トリブロックコポリマーを完全に溶解した。得られた溶液を、室温で20−30分間攪拌し、乾燥および架橋工程でるつぼに注いだ。
【0066】
乾燥および架橋:(工程1704および1706)
F127トリブロックコポリマーの自己組織化の条件を最適化するのを補助するために、設計された処理条件を用いて乾燥および架橋を実施した。特に、乾燥は、試料番号2−5をデシケータに入れ、50℃から90℃まで、0.5℃/分で加熱し、90℃で5h浸漬してから、それらを室温(RT)まで5℃/分で冷却した。その後、試料番号2および5をデシケータに入れ、上述の表2について記載した加熱サイクルに従って加熱することにより架橋した。
【0067】
試料番号2および5の乾燥により、粘性の明るいオレンジ色の液体が形成され、架橋により、暗いオレンジ−褐色の膜が形成された。架橋膜の厚さは〜1−2mm、直径は4−14cmであった。注:必要であれば、溶液番号2および5(および他の溶液)を、ディップコーティング、スピンコーティングまたは鋳造等により基材の上部にコーティングとして適用してから、それらを架橋して、ナノメートル〜1mmの範囲の厚さのフィルムを形成することができる。
【0068】
炭化(工程1708):
得られた暗いオレンジ−褐色の膜を、400℃に達するまで、温度1.7℃/分の傾斜で上げ、それらを400℃で3h保持して、界面活性剤を除去した後、800°の温度まで、温度を再び1℃/分の傾斜で上げ、その温度で3h浸漬することにより、窒素雰囲気中で炭化した。この特定の炭化プロセスにより、光沢のある黒色炭素が得られた。図4Aに、製造プロセス1700のこの特定の点での試料番号2の光沢のある黒色の規則性メソ多孔性炭素に関連した低角X線回折(XRD)グラフを示す。見て分かるとおり、試料番号2は、96Åで集中した良好に分解された(100)ピークを有しており、それぞれ1.7°および2.4°のツー・シータで、d(110)〜52Åおよびd(210)〜37Åの2つの高次ピークがある。このデータは、図3の「新」界面活性剤/炭素前駆体−水/油平衡相図を用いて予測されたものと一致している。
【0069】
部分酸化(工程1710):
試料番号2および5の炭化膜(規則性メソ多孔性炭素)を、5Mの濃硝酸に分散し、部分的に酸化して、活性炭を形成した。この部分酸化工程1710の結果、活性炭の表面pHが≧7ph〜<4phまで減少した。これにより、正味の負の電荷が表面およびチャネル/細孔の内周端部に生成され、これは、活性炭の表面で開いて、塩基溶液中、カチオン種、例えば、Pt(NH3)42+を交換するのに特に好適である。試料番号2に関連するいくつかの活性炭を詳細に試験し、低角X線回折(XRD)グラフ、広角XRDグラフおよび透過電子顕微鏡(TEM)を含む結果について、図18−21により、次に述べる。
【0070】
図18A−18Bを参照すると、2つのPt−交換活性炭(試料番号2)を試験した後に得られた2つの低角(0.5−5°)XRDグラフが示されている。特に、図18Aに、Ptを交換するのに用いる前、濃HNO3で30分レドックス活性化を行った第1の活性炭(試料番号2)から得られた低角XRDデータを示す。そして、図18Bに、Ptを交換するのに用いる前、濃HNO3で60分レドックス活性化を行った第2の活性炭(試料番号2)から得られた低角XRDデータを示す。Pt交換および低角でのバックグラウンドが極めて高いため、最も集中した(100)ピークしか図18Aおよび18Bにおいては見られない(非活性規則性メソ多孔性炭素(試料番号2)が、2D六角形構造(p6m空間群)を有するように見える図4Aと比べる。(100)、(110)および(210)反射とされた1:√3:√7の格子面間隔のためである)。
【0071】
図19A−19Bを参照すると、2つのPt−交換活性炭(試料番号2)を試験した後に得られた2つの広角(5−70°)XRDグラフが示されている。特に、図19Aに、Pt(Pt2+溶液濃度は、0.1−0.05Mであった)を交換するのに用いる前、濃HNO3で30分レドックス活性化を行った第1の活性炭(試料番号2)から得られた広角XRDデータを示す。そして、図19Bに、Pt(Pt2+溶液濃度は、0.05Mであった)を交換するのに用いる前、濃HNO3で60分レドックス活性化を行った第2の活性炭(試料番号2)から得られた広角XRDデータを示す。これらのグラフにおける垂直線は、対応のツー・シータ値(Å)およびミラー指数(hkl)に対応するPt/ピークバンドを示している。
【0072】
図20を参照すると、炭素自己組織化構造が、硝酸中でレドックス活性化を行った後のイオン交換プロセスに与え得る影響を示すグラフがある。グラフは、六角形チャネル構造(2D−六角形、直径4nmのチャネル)を有する活性炭2002が、立方体構造または無秩序な活性炭2006を有する活性炭2004(試料番号5)より、活性化およびイオン交換され易かったことを示している。また、グラフには、数時間のレドックス活性化後、2D−六角形活性炭2002(試料番号2)は、立方体構造炭素2004(試料番号5)より、2倍より多い量のPt、無秩序な活性炭2006により交換されたPtの量の30倍より多くのものを交換したことが示されている。図21は、レドックス活性(6%H2/N2フォーミングガス中、60℃/時の傾斜で、500℃まで上げ、この温度に3時間保持する)のTEMおよびPt交換活性炭2002(試料番号2)である。TEMによれば、Pt結晶子(直径〜2−4Åのダークスポット)が活性炭2002中六角形のチャネルに沿って並んでいること(注:Pt交換部位は、チャネル長に並行または並行に見え、交換されたPtイオンはこの次元に沿って並んでいること)が示されている。
【0073】
他の部分酸化(工程1710):
部分酸化工程1710はまた、硝酸とは異なる酸化剤を含有するレドックス溶液による化学プロセスを用いて実施することもできる。例えば、部分酸化工程1710は、過酸化水素、過酸化物含有化合物、酸化ハロゲン化化合物、鉱酸および/またはリン酸を含有するレドックス溶液による化学プロセスを用いて実施することができる。また、温度制御されたアルカリ溶液、例えば、NaOHを、部分酸化工程1710中、用いると、規則性メソ多孔性炭素の活性化ばかりでなく、規則性メソ多孔性炭素の表面積を増大するのにも役立つ。あるいは、部分酸化工程1710は、不活性雰囲気中、蒸気、二酸化炭素、酸素、あるいはこれらおよび/または他のガス状種による熱プロセスを用いることにより実施することができる。いずれの場合も、部分酸化工程1710を実施して、表面積に影響を与え、マイクロ細孔(<2nm)を導入する、かつ/または得られる活性炭のメソ細孔(2−50nm)のサイズを制御することができる。
【0074】
代替初期組成物
非イオン性界面活性剤、水溶性炭素前駆体/H2O溶液および水非混和性油(共力剤)の初期の組成物は、カリウム化合物(表8の注2参照)をさらに含むことができる。カリウム化合物の添加は、マイクロおよびまたはメソ多孔性を増大し、かつ、炭化後、炭素表面のイン・サイチュの活性となる(すなわち、部分酸化工程1710を実施する必要がない)ため、有利である。カリウム化合物としては、例えば、水酸化カリウム、酢酸カリウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウムまたはその他ハロゲン化カリウムを挙げることができる。
【0075】
カリウム化合物は、1%を超える、好ましくは2%から50%、より好ましくは2%−25%のレベルで炭素前駆体に存在できる。さらに、カリウム化合物の比率は、水相に含めなければならず、処理工程1704および1706中、界面活性剤の組織化を妨げないよう、カリウム化合物の濃度は十分に希釈すべきである。生成物が、工程1708で炭化された後、典型的には、温水で洗浄して、残渣のカリウム化合物を除去する。洗浄水のpHが中性になるまで、洗浄を続ける。このプロセスによって、得られる活性炭の多孔性が得られ、高表面積の活性炭を作製するための追加の活性化/部分酸化工程1710の必要性が排除される。
【0076】
イオン交換および触媒
上述したとおり、本発明の活性炭は、塩基溶液中、カチオン種、例えば、Pt(NH3)42+を交換するのに特に好適である(図18−21参照)。新たな活性炭は、以下をはじめとする多くのやり方(例えば)で触媒作用をおよぼすことにも着目する。
【0077】
1.金属触媒を、カチオンイオン交換を用いて、新たな活性炭に導入することができる。金属触媒は、アルカリ、アルカリ土類、遷移および/または貴金属とすることができる。より好ましいのは、Pt、Pd、Rh、Ag、Au、Fe、Re、Sn、Nb、V、Zn、Pb、Ge、As、Se、Co、Cr、Ni、Mn、Cu、Li、Mg、Ba、Mo、Ru、Os、Ir、Ca、Yまたはこれらの組み合わせ等の触媒金属である。実際、新たな活性炭の構造によって、これらの金属のより高重量パーセントのイオン交換が可能となり、結果として、従来の活性炭に比べると、小触媒ナノ粒子の極めて高い分散が得られる。
【0078】
2.新たな活性炭は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、貴金属または遷移金属をはじめとする触媒前駆体のイオン交換を用いることにより、触媒作用をおよぼすことができる。
【0079】
3.新たな活性炭は、塩化白金酸アンモニウム(例えば)を用いると、化学吸着により触媒作用をおよぼすことができる。
【0080】
4.新たな活性炭は、前駆体の溶解度、表面電荷および表面電荷密度に影響する塩基および酸等のpH制御剤を用いることにより、触媒作用をおよぼすことができる。
【0081】
5.新たな活性炭は、硝酸テトラアミン白金(II)を用いることにより、触媒作用をおよぼすことができる。
【0082】
6.新たな活性炭は、アニオン交換を用いることにより触媒作用をおよぼして、S、P、リン酸塩、硫酸塩、ホウ酸塩およびその他アニオンを表面に形成することができる。
【0083】
7.新たな活性炭は、カチオンまたはアニオン遷移金属またはその他塩を制御された、適合するpHで用いることにより触媒作用をおよぼして、イオン交換化学吸着をして、S、P、リン酸塩、硫酸塩およびホウ酸塩を表面に形成することができる。
【0084】
代替処理工程
以下は、本発明に従って、規則性メソ多孔性炭素または活性炭を作製するのに実施することのできるいくつかの異なる例示の処理工程の一覧である。
【0085】
1.規則性炭素架橋樹脂前駆体を、高温>30℃で、>15分にわたって、不活性ガス中および/またはS、N、Cまたはその他ガスを含有する活性ガスで処理すると、>600m2/gの高表面積の部分酸化メソ多孔性炭素を与えることができる。
【0086】
2.規則性炭素架橋樹脂前駆体を、高温>30℃で、>15分にわたって、窒素中で処理すると、メソ多孔性炭素を与えることができる。
【0087】
3.規則性メソ多孔性炭素を、高温>30℃で、>15分にわたって、酸化または部分酸化雰囲気中で直接処理すると、高表面積メソ多孔性炭素を与えることができる。
【0088】
4.メソ多孔性炭素は、酸化剤、例えば、鉱酸、HCl、HNO3、H2SO4またはその他酸、例えば、CH3COOH、または塩基、例えば、NH4OH、フェニルアミン、またはその他元素により、<110℃で、>15分化学的に活性化することができる。
【0089】
本発明の多数の実施形態を、添付の図面に図示し、上述の詳細な説明に記載してきたが、本発明は開示された実施形態に限定されず、以下の特許請求の範囲により規定および定義される本発明の精神から逸脱することなく、数多くの再構成、修正および代替が可能である。
【先願米国出願の利益の主張】
【0001】
本出願は、米国特許仮出願第60/876,274号明細書(2006年12月21日出願)および第60/925,997号明細書(2007年4月24日出願)の利益を主張する。これらの文献の内容は、ここに参考文献として援用される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、界面活性剤/炭素前駆体−水/油系を用いることによる規則性メソ多孔性炭素の形成に関し、位相領域、メソ多孔性構造、メソ細孔サイズおよび得られるメソ多孔性炭素材料のマクロスケールモルホロジーについて制御および柔軟性を高めるものである。一実施形態において、規則性メソ多孔性炭素は、部分的に酸化されて、例えば、触媒を分散および安定化することのできる活性炭を形成する。
【背景技術】
【0003】
規則性メソ多孔性炭素の合成は、様々な用途に用いられるため、近年、かなりの調査対象となっている。例えば、規則性メソ多孔性炭素は、水/空気清浄、ガス分離、触媒作用、大きな疎水性分子の吸着、クロマトグラフ分離、容量脱イオン化、電子化学二重層キャパシタおよび水素貯蔵に関連する用途に用いることができる。
【0004】
規則性メソ多孔性炭素(組み込まれた3次元(3−D)規則/相互接続細孔構成を有する)は、2つの合成技術のいずれか1つを用いて作製することができる。第1の技術では、無機シリカテンプレートを準備し、シリカテンプレートを炭素前駆体で含浸し、含浸したシリカテンプレートを乾燥し、含浸したシリカテンプレートを架橋し、架橋したシリカテンプレートを炭化することにより、シリカテンプレートを溶解して、規則性メソ多孔性炭素を残して、規則性メソ多孔性炭素を作製する。例えば、シリカテンプレートは、MCM−48、SBA−15およびSBA−16等の異なる構造を有しており、それぞれ、CMK−1,6、CMK−3,7およびCMK−6,8と呼ばれる炭素レプリカを作製するのに用いることができる。得られる炭素構造は、親シリカテンプレートを通して予めプログラムされているにも関わらず、この合成技術は依然として時間がかかり、コストが高い。
【0005】
最近最も注目されている第2の合成技術には、有機テンプレートを含む有機−有機組成物の使用が含まれる。この合成技術の第1のやり方では、有機テンプレートを自己組織化し、有機テンプレートを炭素前駆体で含浸し、含浸した有機テンプレートを乾燥し、含浸した有機テンプレートを架橋し、架橋した有機テンプレートを炭化することにより、有機テンプレートを溶解して、規則性メソ多孔性炭素を残すことにより、規則性メソ多孔性炭素を作製する(注:有機テンプレートの自己組織化の含浸は、同時に実施されるため、一製造工程と考えられる)。この特定の技術では、無機テンプレートの使用が排除され、それ自体で、製造工程の数が減じる。合成技術の第2のやり方では、有機テンプレートおよび炭素前駆体を混合し、沈殿物が形成されるまで、水に富んだ環境においてそれらを反応することにより、規則性メソ多孔性炭素粉末を作製する。次に、架橋工程なしで、粉末を炭化し、有機テンプレートを溶解して、規則性メソ多孔性炭素を残す(注:炭素前駆体とのテンプレートの自己組織化により、沈殿物が形成される。これは粉末合成においてのみ用いることができる)。さらに、第2の合成技術のこれらのやり方は両方共、有機−有機系を用いるため、規則性メソ多孔性炭素内に形成される細孔の相配位を制御するのに関して、より柔軟である。規則性メソ多孔性炭素の製造のための第2の合成技術に関連する改善が、本発明の対象である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様において、本発明は、界面活性剤、水および炭素前駆体溶液および水非混和性油(および、場合により、水と混合される酸)から形成される規則性メソ多孔性炭素を提供する。一実施形態において、規則性メソ多孔性炭素は、(a)少なくとも所定量の溶媒と、所望量の界面活性剤、炭素前駆体、水および油を含有する溶液(任意:水は、例えば、鉱酸、HCl、HNO3、H2SO4、H3PO4等の酸を含有していてもよい)を混合する工程と、(b)溶液を乾燥する工程と、(c)溶液を架橋して、水を固定化して、予備炭化メソ構造相(自己組織化有機テンプレートを含む)を形成する工程と、(d)予備炭化メソ構造相を炭化して、規則性メソ多孔性炭素を形成する工程とを用いて製造される(自己組織化有機テンプレートを溶解して、規則性メソ多孔性炭素を形成する)。工程(a)において混合される所望量の界面活性剤、炭素前駆体、水(および、場合により酸)および油を決めるのを補助するために、(1)周知の界面活性剤/水/油平衡相図を選択する工程と、(2)界面活性剤/水/油平衡相図における水相ラベルを、炭素前駆体および水相ラベルに交換する工程と、(3)界面活性剤/炭素前駆体および水溶液/油平衡相図を指針として用いて、規則性メソ多孔性炭素を形成するのに用いるべき所望量の界面活性剤、炭素前駆体/水溶液(および、場合により、水と混合される酸)および油を推定する工程とを含む処方方法を用いることができる。
【0007】
他の態様において、本発明は、規則性メソ多孔性炭素を部分的に酸化することにより形成される活性炭を提供する。一実施形態において、活性炭は、(a)溶媒と所定量の非イオン性界面活性剤、水溶性炭素前駆体/H2O溶液および水非混和性油(任意:溶液は、カリウム化合物、例えば、水酸化カリウム、酢酸カリウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウムまたはその他ハロゲン化カリウムを含有していてもよい、または水は、酸、例えば、鉱酸、HCl、HNO3、H2SO4、H3PO4等の酸を含有していてもよい)を含有する溶液を混合し、(b)溶液を乾燥し、(c)水を固定化し、予め炭化されたメソ構造相を形成する溶液を架橋し、(d)予め炭化したメソ構造相を炭化して、自己組織化界面活性剤テンプレートをそこから除去して、規則性メソ多孔性炭素を形成し、(e)表面と、規則性メソ多孔性炭素の表面で開いたチャネル細孔内の内周端部の少なくとも一部とを部分的に酸化して、活性炭を形成する工程を用いることにより、製造することができる。
【0008】
本発明のさらなる態様は、一部分において、詳細な説明、図面および特許請求の範囲に規定されており、一部分において、詳細な説明から得られるか、または本発明の実施により分かる。前述の概要の説明および以下の詳細な説明の両方共に、あくまでも例示ならびに説明を目的とするものであり、開示された本発明を限定するものではない。
【0009】
添付の図面と共に、以下の詳細な説明を参照することにより、本発明をより完全に理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】本発明による規則性メソ多孔性炭素を製造する好ましい方法の工程を示すフローチャートである。
【図1B】本発明による規則性メソ多孔性炭素を形成するのに用いることのできる所望量の界面活性剤、炭素前駆体、水および油を決めるのに好ましい方法の工程を示すフローチャートである。
【図2A】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフ、画像および図である。
【図2B】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図2C】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図2D】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図3】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図4A】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図4B】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図5A】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図5B】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられる画像である。
【図6A】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられる画像である。
【図6B】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられる画像である。
【図7A】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられる画像である。
【図7B】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられる画像である。
【図7C】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられる画像である。
【図7D】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられる画像である。
【図7E】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられる画像である。
【図7F】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられる画像である。
【図7G】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられる画像である。
【図7H】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられる画像である。
【図8】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図9A】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図9B】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図9C】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図10A】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられる図である。
【図10B】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図11】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられる図である。
【図12A】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図12B】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図12C】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図12D】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図13A】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図13B】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図13C】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図14A】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられる画像である。
【図14B】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられる画像である。
【図15A】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図15B】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図16】本発明により、図1A−1Bに示す方法を用いて形成された規則性メソ多孔性炭素を試験するために実施された実験の結果を説明する補助として用いられるグラフである。
【図17】本発明の他の実施形態により、活性炭を製造する(規則性メソ多孔性炭素を用いて)好ましい方法の工程を示すフローチャートである。
【図18A】本発明の他の実施形態により、図17に示す方法を用いて形成された活性炭を試験するために実施された実験結果を説明するのを支援するのに用いられるグラフである。
【図18B】本発明の他の実施形態により、図17に示す方法を用いて形成された活性炭を試験するために実施された実験結果を説明するのを支援するのに用いられるグラフである。
【図19A】本発明の他の実施形態により、図17に示す方法を用いて形成された活性炭を試験するために実施された実験結果を説明するのを支援するのに用いられるグラフである。
【図19B】本発明の他の実施形態により、図17に示す方法を用いて形成された活性炭を試験するために実施された実験結果を説明するのを支援するのに用いられるグラフである。
【図20】本発明の他の実施形態により、図17に示す方法を用いて形成された活性炭を試験するために実施された実験結果を説明するのを支援するのに用いられるグラフである。
【図21】本発明の他の実施形態により、図17に示す方法を用いて形成された活性炭を試験するために実施された実験結果を説明するのを支援するのに用いられる画像である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、界面活性剤、水および炭素前駆体溶液および水非混和性油から形成された規則性メソ多孔性炭素を含む(注:水成分は、例えば、鉱酸、HCl、HNO3、H2SO4、H3PO4等の酸を任意で含有していてもよい)。水非混和性油の添加によって、組成物が2相から3相系に膨張し、特定のメソ構造が安定した界面活性剤/水および炭素前駆体組成物の範囲も広がる。油相の添加によってまた、細孔容積および細孔直径等のメソ構造内の物理特性を調整するのにも役立つ。
【0012】
一実施形態において、規則性メソ多孔性炭素は、(a)少なくとも所定量の溶媒と、所望量の界面活性剤、炭素前駆体、水および油を含有する溶液を混合する工程(図1Aの工程102a)(任意:水は、例えば、鉱酸、HCl、HNO3、H2SO4、H3PO4等の酸を含有していてもよい)と、(b)溶液を乾燥する工程(図1Aの工程104a)と、(c)溶液を架橋して、水を固定化して、予備炭化メソ構造相(自己組織化有機テンプレートを含む)を形成する工程(図1Aの工程106a)と、(d)予備炭化メソ構造相を炭化して、規則性メソ多孔性炭素を形成する工程(自己組織化有機テンプレートを溶解して規則性メソ多孔性炭素を形成する)(図1Aの工程108a)とを含む製造方法100aを用いて製造される。この方法100aは、蒸発を誘導する濃度の界面活性剤/水および炭素前駆体/油相を用いて、例えば、薄膜、コーティング、自立膜または粉末を作製するのに用いることのできる規則性メソ構造を形成する。
【0013】
本発明の他の態様において、周知の界面活性剤/水/油三成分系平衡相図を用いて、所望の規則性メソ多孔性炭素を作製するのに混合できる界面活性剤/炭素前駆体−水/油の組成/処方を推定する補助とすることができることを見出した。このように、混合して、規則性メソ多孔性炭素を製造することのできる界面活性剤/炭素前駆体−水/油の処方/組成を決めるための方法100bに関する本発明の他の実施形態がある。処方方法100bには、(1)界面活性剤/水/油平衡相図を選択する工程(図1Bの工程102b)と、(2)界面活性剤/水/油平衡相図における水相ラベルを、炭素前駆体および水相ラベルに交換する工程(図1Bの工程104b)と、(3)界面活性剤/炭素前駆体および水溶液/油平衡相図を指針として用いて、規則性メソ多孔性炭素を形成するのに用いるべき所望量の界面活性剤、炭素前駆体/水溶液および油を推定する工程(図1Bの工程106b)とを含む。界面活性剤、炭素前駆体/水溶液および油のこの特定の処方は、製造方法100aの混合工程102aで用いるものである(図1A参照)。次に、詳細な記載により、方法100aおよび100bの個々の工程をさらに説明し、製造方法100aおよび処方方法100bの有用性を確認するために実施された、いくつかの実験をさらに説明する。
【0014】
特に、規則性メソ多孔性炭素を、1)非イオン性界面活性剤、2)水溶性炭素前駆体/H2O溶液および3)油(共力剤)の高濃度前駆体溶液から形成し、乾燥および架橋して、界面活性剤系自己組織体を形成し、炭素前駆体が、メソ構造相を安定化する(工程108、110および112)。形成されたメソ構造相を、炭化により、規則性メソ多孔性炭素へ変形し、界面活性剤系の自己組織化有機テンプレートを除去する(工程114)。前駆体溶液は、界面活性剤、炭素前駆体−水および油を含む3成分を有し、具体的な容積比は、周知の文書化された界面活性剤/水/油平衡相図に基づくのが好ましく、これは、本発明の一実施形態により、界面活性剤/炭素前駆体−水/油平衡相図とすべく改定されている。
【0015】
界面活性剤、炭素前駆体−水および油の容積比を決めるために、周知の文書化された界面活性剤/水/油平衡系相図を選択し、水相ラベルを、水溶性炭素前駆体/H2Oラベルと交換して、「新」界面活性剤/前駆体−水/油平衡相図を形成する(注1:リオトロピック液晶を非イオン性界面活性剤から作製することについての知識を用いて、界面活性剤/水/油平衡系相図を選択する補助とする)(注2:「新」界面活性剤/炭素前駆体−水/油平衡系相図相図自体は、炭素前駆体および純粋な水からの水溶液の異なる親水性のために完全に正確でなく、経験により、相境界を推定して、所望の規則性メソ多孔性炭素を得る)。次に、「新」界面活性剤/炭素前駆体+水/油平衡相図を、指針として用いて、所望の規則性メソ多孔性炭素を作製するのに用いる3成分の容積比を決める。「新」界面活性剤/炭素前駆体−水/油平衡相図を、指針として用いて、どのくらいの界面活性剤、炭素前駆体−水および油を、規則性メソ多孔性炭素を形成するのに用いるべきか決めることに関連する利点がいくつかある。これらの利点としては、(例えば、)(1)3D立方体(Im3m、Pm3m空間群)、2D六方形(P6mm)、3D六方形(P63/mmc)またはラメラ等の特別な相を選択できること、(2)界面活性剤位相領域の制御が向上すること、(3)細孔サイズの制御が向上すること、および(4)マクロスケールモルホロジーの制御が向上することが挙げられる。本発明をどのように実施するかの一例を次に述べる。
【0016】
図2A(従来技術)に、25℃でのPEOx−PPOy−PEOx(x=19、y=43)/H2O/p−キシレン三成分系についての周知の平衡相図を示す。この図には、異なるwt%の三成分PEOx−PPOy−PEOx(x=19、y=43)、H2Oおよびp−キシレンを用いることにより得られる様々な相が示されている(注:PEOx−PPOy−PEOxは、界面活性剤であり、p−キシレンは油である)。相境界は、実線で描かれており、I1、H1、V1、Lα、V2、H2およびI2は、通常の(水中油型)ミセル立方体、通常の六角形、通常のバイコンティニュアス立方体、ラメラ、逆(油中水型)バイコンティニュアス立方体、逆六角形および逆ミセル立方体リオトロピック液晶相をそれぞれ表し、L1およびL2は、それぞれ、水に富んだ(通常のミセル)および水の乏しい/油に富んだ(逆ミセル)溶液のことを指す。図に、規則性メソ多孔性炭素となる異なる相配向のいくつかを例示してある。
【0017】
図2B−2D(従来技術)に、3つの異なるPEOx−PPOy−PEOx(x=106、y=70、Pluronic(登録商標)F127としても知られている)/H2O/油三成分系についての周知の平衡相図を示す。これらの図から、油成分をp−キシレンから酢酸ブチル、ブタノールまで変える相配向で生じることが分かる。I1、H1、Lα、H2、L1およびL2は、通常の(水中油型)ミセル立方体、通常の六角形、ラメラ、逆六方形、水に富んだ(通常のミセル)および水の乏しい/油に富んだ(逆ミセル)溶液のことを指す。これらの相図および他の種類の相図は周知であり、文献から容易に得られる(例えば、P.Alexandridisら、「A Record Nine Different Phases(Four Cubic,Two Hexagonal,and One Lamellar Lyotropic Liquid Crystalline and Two Micellar Solutions)、Ternary Isothermal System of an Amphiphilic Block Copolymer and Selective Solvents(Water and Oil)」Langmuir 1998,14,2627−2638を参照のこと)。
【0018】
上述したとおり、本発明の規則性メソ多孔性炭素を合成するには、炭素前駆体系組成物を、周知の界面活性剤/水/油相図により処方できる。これを行うには、周知の界面活性剤/水/油相図の水相を、水溶性炭素前駆体/H2O溶液と交換する(注:水重量%は、炭素前駆体+水重量%に相当するものとして用いる。次に、「新」界面活性剤/炭素前駆体+水/油相図を用いて、(1)非イオン性界面活性剤、(2)水溶性炭素前駆体/H2O溶液および(3)油組成物の処方を補助する。
【0019】
図3に、本発明による異なる規則性メソ多孔性炭素を形成するのに用いた組成物を処方するために、様々な実験に用いた「新」平衡相図を示す。この例示の「新」界面活性剤/炭素前駆体+水/油相図において、界面活性剤は、PEOx−PPOy−PEOx(x=106、y=70、「Pluronic」F127としても知られている)であり、炭素前駆体は、フェノール樹脂であり、油はブタノールである(注:「新」界面活性剤/炭素前駆体+水/油相図は、図2Dに示す周知の界面活性剤/水/油平衡系相図に基づく)。点は、点1、2、7、9、13、15、16、18−19、20、21、22および25−26が、2D六角形相(H1)で試験した処方を表し、点3、4、10、11、12、14、23および27は、立方体相(I1)で試験した処方を表し、点5、6、22、24および28は、六角形とラメラ(H1とLα)間の相で試験した処方を表す。表1に、予測した相/配向(「新」界面活性剤/炭素前駆体+水/油平衡相図)および得られた規則性メソ多孔性炭素の実際の相/配向と共に、これらの特定の処方についての様々な詳細を示す。
【表1】
【0020】
これらの実験において、低角度X線回折(XRD)を、特定の初期形態として用いて、表1に示した特定の処方を用いて作製された構造の相を分析および確認した。XRDデータから、調べた全ての試料は、「新」相図により予測された相を示した。ただし、規則性を示さなかった試料番号24、25および13、2D六角形の規則性を示した試料番号28、立方体構造を示した試料番号5、6および22は除く。これらの結果によれば、必要な規則性メソ多孔性炭素構造について組成物を生成するのに「新」相図を指針として用いることができるが、予測した相配向を有する構造となる組成物を必ずしも与えない、ということが示唆されている。しかしながら、「新」相図により決めた組成を用いることにより、より系統だった制御されたやり方で、当該の領域/相配向を厳密に計画することができる。これらの試料組成物から選んだものを、詳細に試験した。走査電子顕微鏡写真(SEM)、細孔径分布(PVD)および透過型電子顕微鏡写真(TEM)を含む試験結果について次に述べる。
【0021】
図4Aおよび4Bは、それぞれ、試料番号2(六角形配列)および試料番号3(立方体配列)に関連したXRDデータを示す2つのグラフである。見て分かるとおり、試料番号2は、96Åで集中した良好に分解された(100)ピークを有しており、それぞれ1.7°および2.4°のツー・シータで、d(110)〜52およびd(210)〜37Åの2つの高次ピークがある。試料番号3は、91Åで良好に分解された(110)ピークを有しており、d(200)〜64.7およびd(210)〜53Åで2つの高次ピークがある。このデータは、図3に示す「新」相図を用いて予測されたものと一致している。
【0022】
図5Aおよび5Bに、それぞれ、試料番号6に関連するXRDグラフおよびTEM画像を示す。表1に示すとおり、試料番号6は、図3に示す「新」相図に基づく六角形とラメラ相間で予測された配列を有していた。しかしながら、試験試料番号6は、94Åで良好に分解された(110)ピークを有しており、d(200)〜68Åおよびd(210)〜55Åの2つの高次ピークがあり、立方体配列を示している。TEM画像によれば、試料番号6は立方体配列を示していなかったことが確認された。ここでも、規則性メソ多孔性炭素構造を作製する組成物を処方するのに「新」相図を指針として用いることができるが、予測した相配向を有する構造となる組成物を必ずしも与えない。
【0023】
図6Aおよび6Bは、それぞれ、試料番号2および試料番号6の例示のSEMを示す。見て分かるとおり、試料番号2のSEMは、細孔径4.5の良好に分解された2D六角形構造を示し、試料番号6のSEMは立方体配列を示した(試料番号6に関連した図5Aおよび5Bも参照のこと)。
【0024】
図7A−7Hは、試料番号2、7、20および8(900℃で処理した)に関連したTEM画像を示す。見て分かるとおり、試料番号2は、1−Dチャネル[(110)面](図7AのTEM参照)および[(001)面]に六角形構成の細孔構造を備えた、予測および試験した六角形配列を有していた(図7Bの断面TEM参照)。この格子面間隔(d−spacing)および細孔径は、それぞれ、〜91Åおよび〜45Åと推定され、試料番号2のXRDグラフに示された格子面間隔と良好に適合した(図4A参照)。試料番号7は、予測され試験された六角形配列を有していた(図7C−7DのTEM参照)。さらに、試料番号20は、予測した配列はラメラであったが、試験したところ六角形配列であった(図7E−7FのTEM参照)。最後に、試料番号8は、予測され試験された立方体配列を有していた(図7G−7HのTEM参照)。
【0025】
以下の記載は、試料番号1−28を作製し、試験するのに関連する材料および工程をより詳細に説明するものである。また、以下の記載は、規則性メソ多孔性炭素を後に部分的に酸化すると、例えば、触媒が分散および安定化する活性炭を形成する、本発明の特徴を説明するものである。
【0026】
材料
試料番号1−28を、界面活性剤(「Pluronic」F127)、炭素前駆体(フェノール樹脂)および油(ブタノール)により作製した。特に、用いた非イオン性界面活性剤は、x=106およびy=70(「Pluronic」F127)、x=127およびy=50(「Pluronic」F108)のBASF Inc.製PEOy−PPOx−PEOyトリブロックコポリマーであった。用いた炭素前駆体は、510D50フェノール樹脂(Georgia Pacific)であり、2つの異なる分子量(MW)種(GPCデータ、Mn〜2800、1060)であった(注:510D50フェノール樹脂はさらには精製しなかった)。炭素前駆体とH2Oの混合物は、架橋段階で、65%のフェノール樹脂および35%のH2Oを含有していた。用いた油/共力剤は、ブタノールとp−キシレンであった。
【0027】
合成
典型的な合成において、PEOy−PPOx−PEOyトリブロックコポリマー(例えば、3.7gの「Pluronic」F127(x=106、y=70)を、無水エタノール(エタノール20ml中18%F127)に添加し、F127トリブロックコポリマーが、エタノール中で部分的または完全に溶融するまで、熱を加えて攪拌した。次に、計算量の脱イオン水(1.4ml)を混合物に添加したところ、F127トリブロックコポリマーを完全に溶解した。数分間攪拌する際、フェノール樹脂(510D50フェノール樹脂3.0ml)を混合物に徐々に添加した後、激しく攪拌した。フェノール樹脂を添加すると、溶液が濁った。次に、ブタノール(1.5ml)を混合物に添加した後、攪拌した。最後に、計算量の1.6N HCl(0.6ml)を混合物に添加して、F127トリブロックコポリマーを完全に溶解し、ミセル形成を補助した。得られた溶液を、室温で20−30分間攪拌し、乾燥および架橋工程でるつぼに注いだ。
【0028】
乾燥および架橋:
F127トリブロックコポリマーの自己組織化の条件を最適化するために、5つの異なる処理条件(a−e)のうち1つを用いて空気中で乾燥を実施した。乾燥および架橋は、次のようにして乾燥を実施した。
【0029】
a)乾燥:試料番号1−5をデシケータに保持し、50℃−90℃まで、0.5℃/分で加熱し、90℃で5h浸漬してから、室温(RT)まで5℃/分で冷却した。架橋を行うために、試料番号1−5をデシケータに保持し、表2に示すサイクルを用いて加熱した。
【表2】
【0030】
b)乾燥:試料番号1−5をオーブンに保持し、50℃−90℃まで、0.5℃/分で加熱し、90℃で5h浸漬してから、RTまで5℃/分で冷却した。架橋:試料番号1−5をオーブン(デシケータなし)に保持し、表2に示すサイクルを用いて加熱した。
【0031】
c)乾燥:試料番号1−28をオーブンに90℃で12h保持した。架橋:試料番号1−28をオーブン(デシケータなし)に保持し、表2に示すサイクルを用いて加熱した。
【0032】
d)乾燥:試料番号1−28をフード(ふたなし)保持して12h乾燥した。架橋:試料番号1−28をオーブン(デシケータなし)に保持し、表2に示すサイクルを用いて加熱した。
【0033】
e)乾燥:試料番号1−5をフード(ふたを閉めて)保持して5日間乾燥した。架橋:試料番号1−5をオーブン(デシケータなし)に保持し、表2に示すサイクルを用いて加熱した。
【0034】
試料番号1−28の乾燥により、粘性の明るいオレンジ色の液体が得られ、架橋サイクルにより、暗いオレンジ−褐色の膜が形成された。架橋膜の厚さは〜1−2mm、直径は4−14cmであった。注:必要であれば、溶液番号1−28(および他の溶液)を、ディップコーティング、スピンコーティングまたは鋳造等により基材の上部にコーティングとして適用してから、それらを架橋して、ナノメートル〜1mmの厚さのフィルムを形成することができる。
【0035】
炭化:
得られた暗いオレンジ−褐色の膜を、400℃まで、温度1.7℃/分の傾斜で上げ、それらをその温度に3h浸漬して、炭化温度800°−900℃まで、温度を1℃/分の傾斜で上げ、その温度で3h浸漬することにより、窒素雰囲気中で炭化した(図8に、試料番号2のF127界面活性剤テンプレートが386℃で分解したのを示す)。この特定の炭化プロセスにより、光沢のある黒色炭素が得られた。図8に、試料番号2に関連する熱重量分析(TGA)、示差走査熱量測定(DSC)および示差熱分析(DTG)データも示す。
【0036】
炭素活性(任意):
500−1000℃の後炭化下での化学または物理、例えば、CO2ガスまたは蒸気の使用を含む炭素活性化工程を実施して、よりマイクロ細孔(<2nm)を規則性メソ多孔性炭素に導入することができ、メソ細孔(2−50nm)およびマクロ細孔(<2nm)の両方が形成された規則性メソ多孔性炭素が得られる(注:この工程は、活性炭に関してより詳細に述べてある)。
【0037】
乾燥工程の分析:
上述したとおり、試料番号1−28を、乾燥プロセスa−eにより蒸発した。図9A−9Cに、試料番号2についての細孔特性対異なる処理条件a−eのプロットを示す。実験データによれば、XRD格子面間隔およびBarrett−Joyner−Halenda(BJH)方法において、細孔サイズは、乾燥プロセスa−eから独立している(図9A参照)。実験データは、細孔径に関連していたが、BJH表面積およびBrunauer−Emmett−Teller(BET)表面積は、乾燥プロセスa−eからはやや独立を示していた(図9B−9C参照)。見て分かるとおり、乾燥プロセスc、dおよびeは、表面積および細孔容積を増大するという点では好ましいと思われるが、乾燥プロセスaおよびbはこれより低い値を与えると思われる。従って、乾燥プロセスcおよびdを用いて多くの試料を作製した。
【0038】
エタノール溶媒(必須ではない):
自己組織化プロセス(架橋プロセス)のための溶媒としてエタノールの使用を、異なる量のエタノール、例えば、エタノール20、5および0mlにより実験を行うことにより試験した。3つの全ての実験において、望ましい規則性メソ多孔性炭素を、試料番号2から得た。プロセス条件dは、界面活性剤の自己組織化のための特定の条件下でエタノールは必要なかったことを示していた。これは、有機溶媒(例えば、エタノール)が好ましい溶媒でない工業用途において有利である。
【0039】
油相:
油(ブタノール)は、F127 PEO−PPO−PEO界面活性剤系内のPPOブロック用の膨潤剤として作用する。従って、用いる油(ブタノール)の量は、形成されたミセルの膨潤を制御するのを補助することができ、また、得られる規則性メソ多孔性炭素の細孔サイズおよび細孔メソ構造の制御も補助する(図10A参照)。ブタノールの役割をよく理解するために、2つの異なる実験を行った。第1の実験において、ブタノールを、2D六角形構造を有する試料番号2から除去した(表1および3参照)。試料番号2からのブタノールの除去により、立方体相内にある試料番号11または12に関連した位置に組成が動く(図10B参照)。試料番号11−12の両組成において、F127界面活性剤対フェノール樹脂:水の重量比は同じに保った。表3に、これらの組成物の処方を示す。
【表3】
【0040】
ブタノールの役割は、第2の実験によっても確認された。第2の実験において、熱脱離−ガスクロマトグラフィー/質量分析法(TD−GC/MS)を用いて、乾燥プロセスcおよびdに関連する蒸発工程後のブタノールの存在を確かめた。ある組の試料番号2を、90℃で18h蒸発し、他の組の試料番号2をRTで18h蒸発した。次に、25℃で熱脱離した試料番号2およびオフガスの揮発性有機化合物(VOC)をGCMSにより分析して、各乾燥プロセスcおよびdでブタノール含量を求めた。ブタノールは、両組の試料番号2で検出された。90℃の組の試料番号2から放出されたブタノールのピーク面積(ピーク面積カウント815、154)は、室温の組の試料番号2から放出されたブタノール(ピーク面積カウント1、198、724)に比べ、僅かに小さかった。これは、蒸発工程を90℃およびRTで実施した後、ブタノールが存在していることを示唆している。各組の試料のブタノール量を表4に示す。
【表4】
【0041】
炭素前駆体(フェノール樹脂)対水比:
水重量%は、周知および「新」相図を用いると、炭素前駆体+水重量%と等価と考えられるため、炭素前駆体:水溶液間の異なる比を調べることに関係すると思われる。従って、炭素前駆体:水比約9:1、3:2、2:3および1:4を、特定の重量%で変えることにより、いくつかの異なる試料番号21−26および28を作製した。表5に、この特定の実験についての主要データを示す。
【表5】
【0042】
見て分かるとおり、2D六角形相からの試料番号21−22および25−26の処方組は、〜56−58%および52−53%でそれぞれ保持された樹脂+水wt%を有しており、その樹脂/水重量比は変化した。XRDデータによれば、3:2の比を用いると、試料番号21は、2D六角形相を保持するが、試料番号22について比を9:1に変更すると、相は立方体に変化することが分かる。さらに、XRDデータによれば、3:2の比を用いると、試料番号26は2D六角形相を保持するが、試料番号25について、比を1:4に変更すると、相は無秩序になったのが分かった。
【0043】
H2Oの役割:
水は、典型的に、PEO−PPO−PEO(例えば、「Pluroincs」F127)系内のPEOブロックと相互作用し、炭素前駆体を含有する相を膨潤する(図11参照)(注1:水は、界面活性剤の量の約0.2倍とすることのできる計算量の酸を含有していてもよい)(注2:酸はミセル形成を補助する)。従って、水が、界面活性剤テンプレートの自己組織化において重要な役割を果たす場合、架橋材料または得られる炭素の格子面間隔を変えなければならない。図12A−12Bに、フェノール樹脂:水比が1:4の試料番号1について、架橋後の格子面間隔および炭化後の格子面間隔を示すXRDデータをそれぞれ示す。図12C−12Dに、フェノール樹脂:水比が3:2の試料番号2について、架橋後の格子面間隔および炭化後の格子面間隔を示すXRDデータをそれぞれ示す。見て分かるとおり、XRDデータには、試料番号1および2について架橋段階か、炭化段階のいずれかの格子面間隔において大きな変化がないことが示されており、この段階での水の役割はあまり明白でないことが示唆されている。
【0044】
エージング
試料2について、溶液のエージングも調べた。得られたデータによれば、特定の処方が、t=0で特定の相配向を有していた場合には、その溶液のエージング(4週間まで)は構造に影響しなかった。
【0045】
炭素前駆体のエージング:
フェノール樹脂の貯蔵寿命および炭素前駆体溶液のエージングの影響も調べた。Georgia Pacific 510D50フェノール樹脂は、典型的に、4℃に保つと、6カ月の貯蔵寿命を有する。この実験において、同じ処方を有する5つの組成物A−Eを調製して、2D六角形相を形成した。ただし、4℃または−20℃のいずれかに保たれた、いくつかの組成物は、10カ月経過したフェノール樹脂(樹脂−古)を用い、いくつかの組成物は、3カ月経過したフェノール樹脂(樹脂−新)を用いた。新たな組成物は全て、図13Aに示すとおり、2D六角形のオーダーを有していた。このグラフにおいて、−20℃に保たれたD−Eフェノール樹脂による組成物は、貯蔵寿命にかかわらず、高次のピークを有していた。さらに、−20℃に保たれた新しいフェノール樹脂は、非常に集中したd(100)バンドを有していた。組成物A−Eを、2週間(図13B参照)および4週間(13C参照)エージングした後、架橋および炭化した。これらのグラフを比べると、ツー・シータが、+/−0.05度変化し、+/−8Å、d(100)に影響したが、半値全幅(FWHM)は最少の変化であり、このことは、これらの組成物のエージング(4週間まで)が、得られる構造に影響しなかったことを示していた。表6A−6Cは、それぞれ図13A−13Cに関連する凡例である。
【表6】
【0046】
代替組成物:
上述した組成物は全て、「Pluronic」F127(界面活性剤)、フェノール樹脂/H2O(炭素前駆体/H2O)およびブタノール(油)を含んでいた。代替組成物は、異なる材料で用いて、得られる規則性メソ多孔性炭素の構造を変えることができる。例えば、これらの代替組成物は、以下の任意の組み合わせを用いることができる。(1)非イオン性界面活性剤(例えば、x、y値の異なるPEOy−PPOx−PEOyトリブロックコポリマー、例えば、「Pluronic」P123x=20,y=70、F108x=127,y=50、F127x=106,y=70、F88x=104,y=39)、(2)水溶性炭素前駆体(例えば、フェノール樹脂、熱硬化性炭水化物、ポリビニルアルコール、レゾルシノール−ホルムアルデヒド、ペプチド両親媒性物質、脂質またはその他生物学的発生材料)、および(3)油(例えば、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタン、p−キシレン、メシチレン、ヘキサデカン、酢酸ブチル)。一例として、F108/フェノール樹脂/H2O/ブタノール系を用いて、それぞれ図14Aおよび14Bに示すSEMおよびTEM画像により見られるような立方体配列を合成した。
【0047】
細孔径および細孔容積分布(PVD):
窒素吸着/脱着等温線の測定を実施することにより、異なる乾燥条件a−eを用いて作製した試料番号2の多孔性構造を調べた。表7にこの特定の実験結果をまとめてある。
【表7】
【0048】
等温の吸着分岐を用いて、それをBJHおよびBbB−FHHモデルの両方に適合することにより、800℃で炭化した試料の細孔径を推定した(欄6、7および8参照)。BbB−FHHモデルから得られた細孔径は、図7A−7Bに示すTEMデータを用いることにより計算された細孔径と非常によく適合した。試料番号2に関連する吸着分岐等温について計算したBJHおよびBbB−FHHモデルを用いて得られた、窒素吸着および脱着等温線および細孔サイズ分布を図15Aおよび15Bに示す。
【0049】
図8に戻ると、TGAデータは、試料番号2のF127界面活性剤テンプレートは、400℃未満の温度で分解し、熱硬化性フェノール樹脂は炭素質細孔壁として残ったことが示されている。得られた規則性メソ多孔性炭素は、メソ細孔(直径2−50nm)とマイクロ細孔(直径<2nm)の両方を含む550−800m2/gの高BET表面積を有していた。フェノール樹脂の分解からのガスの生成のためにマイクロ細孔容積が400℃の後増大し得えること、異なる温度で作製された規則性メソ多孔性炭素の表面積を特定する実験を行った後に、この仮定が確認されたものと考えられた。また、マイクロ細孔容積の増大は、図16に示すグラフの吸着分岐を用いて得られた(BJHモデルにより)細孔サイズ分布から分かる。
【0050】
前述より、当然のことながら、本発明の一態様は、界面活性剤相と水+炭素前駆体相と共に油相を含む処方から規則性メソ多孔性炭素を形成する方法に関する。この方法は、界面活性剤相と水+炭素前駆体相のみを用いる方法に比べて、メソ構造相に近づき、物理特性(例えば、細孔容積、細孔径)を制御するのにより大きな能力を与える。製造方法100aには、(a)少なくとも所定量の溶媒と所望量の界面活性剤、炭素前駆体および水と油を含有する溶液を混合する工程と、(b)溶液を乾燥する工程と、(c)溶液を架橋して、水を固定化し、予備炭化したメソ構造相(自己組織化有機テンプレートを含む)を形成する工程と、(d)予備炭化メソ構造相を炭化して、規則性メソ多孔性炭素を形成する工程(自己組織化有機テンプレートを溶解して規則性メソ多孔性炭素を形成する)とを含む。この方法100aは、蒸発を誘導する濃度の界面活性剤/水および炭素前駆体/油相を用いて、規則性メソ構造を形成することができ、薄膜、コーティング、自立膜または粉末を作製するのに用いることができる。
【0051】
同様に当然のことながら、本発明の他の態様は、規則性メソ多孔性炭素の製造に用いることのできる組成物を処方する方法100bにも関する。この処方方法100bには、(1)界面活性剤/水/油平衡相図を選択する工程と、(2)界面活性剤/水/油平衡相図における水相ラベルを、炭素前駆体+水相ラベルに交換する工程と、(3)界面活性剤/炭素前駆体+水/油平衡相図を指針として用いて、どのくらいの界面活性剤、炭素前駆体/水および油を、所望の規則性メソ多孔性炭素を形成するのに用いるべきか推定する工程とを含む。界面活性剤、炭素前駆体/水溶液および油のこの特定の処方は、製造方法100aの混合工程102aにおいて用いるものである。さらに、本発明は、いくつかの他の特徴および利点を有しており、そのうちいくつかを以下に挙げる。
【0052】
・本発明により作製された規則性メソ多孔性炭素は、均一な細孔、メソ細孔径(2−50nm)、高表面積、大きな細孔容積および機械的強度を有している。これらの属性は、組成、溶媒、湿度、促進された架橋条件(水相を固定化するのに用いる)、pH、炭化条件等の様々なプロセス変数を調節することにより制御することができる。
【0053】
・規則性メソ多孔性炭素の形成に用いるのに好ましい組成物は、界面活性剤、炭素前駆体/H2Oおよび油(または共力剤)を含む。この特性の組成物をさらに操作すると、膨潤剤の添加により、かつ/または油の変更により異なる細孔径の炭素を得ることができる(注:規則性メソ多孔性炭素の粉末形態で細孔サイズを増大するのに必要な場合には、メシチレン(1,3,5−トリメチルベンゼン、TMB)等の有機種を用いることができる)。
【0054】
・上述した架橋条件は、予備炭化メソ構造相を安定化するための主要因である炭素前駆体の熱硬化を行うものである。しかしながら、予備炭化メソ構造相の安定化の補助に用いることもできる溶媒および湿度が他の変数である。
【0055】
・本明細書に記載した好ましい組成物は、吸着、分離、電気化学二重層キャパシタ、触媒作用、重金属封鎖等に関連した用途に用いることのできるモノリス、コーティングまたは粉末の形態を有する規則性メソ多孔性炭素の形成に用いることができる。
【0056】
・本明細書に記載した規則性メソ多孔性炭素の製造によって、無機テンプレートの使用が避けられ、構造形成を、より柔軟に制御でき、作製工程が減じ、無機テンプレートを製造するコストが減じ、無機テンプレートをエッチングするために強塩基(またはHF)を用いる必要性が排除される。これは望ましいことである。
【0057】
・本発明の製造プロセスでは、予備重合炭素前駆体を用いることができ、その結果、予備炭化構造を形成するための炭素前駆体の架橋/熱硬化中の収縮が少なくなる。
【0058】
・規則性メソ多孔性炭素の表面は、必要であれば、化学官能性とし、後炭化工程において、静電気を用いることにより帯電することができる。
【0059】
本発明のさらに他の態様において、規則性メソ多孔性炭素を部分的に酸化して、例えば、触媒を分散して安定化できる活性炭を形成することができる。また、この活性炭は、ガス状または溶解した種の効率的な吸着/吸収剤であり、ろ過用途に用いることができ、必要であれば、このろ過を、触媒の安定化と組み合わせて実施することができる。さらに、この活性炭は、800m2/gを超えるBrunauer−Emmett−Teller(BET)表面積を有し、<20Åおよび20−500Åのマイクロおよびメソ多孔性の組み合わせを有し、それぞれ、1−2wt%を超える濃度で、触媒の高分散を可能にする。本発明により、合成された規則性メソ多孔性炭素からの活性炭の作製の仕方について、詳細を図17−21に関して以下に説明する。
【0060】
図17を参照すると、本発明により、活性炭を製造する方法1700の様々な工程を示すフローチャートがある。方法1700には、(a)溶媒と所望量の非イオン性界面活性剤、水溶性炭素前駆体/H2O溶液および水非混和性油(共力剤)を含有する溶液混合する工程(工程1702)(任意:溶液は、例えば、水酸化カリウム、酢酸カリウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウムまたはその他ハロゲン化カリウム等カリウム化合物を含有していてもよい、または水は、例えば、鉱酸、HCl、HNO3、H2SO4、H3PO4等の酸を含有していてもよい)、(b)溶液を乾燥する工程(工程1704)と、(c)溶液を架橋して水を固定化し、予備炭化メソ構造相(自己組織化有機テンプレートを含む)を形成する工程(工程1706)と、(d)予備炭化メソ構造相を炭化して、規則性メソ多孔性炭素を形成する工程(この工程は、>700℃の温度で酸素に乏しい雰囲気で実施して、表面積を制御し、自己組織化有機テンプレートを溶解することができる)(工程1708)と、(e)表面と、規則性メソ多孔性炭素の表面で開いたチャネル/細孔内の内周端部の少なくとも一部とを部分的に酸化して、活性炭を形成する工程(規則性メソ多孔性炭素は、フィルムとすることができるか、または部分的に酸化しながら、基材上に担持することができる)(工程1710)。活性炭は、例えば、フィルタ、膜または触媒担持(触媒を分散し、安定化することのできる)をはじめとする様々な用途に用いることができる。
【0061】
活性炭(合成炭素源材料から作製された)は、従来の活性炭に比べ著しく改善されている。製造方法1700によって、活性種または触媒のイオン交換を可能とする細孔/チャネルの内周端部を含む活性部位を有する表面が無傷のチャネルの配列を備えた構造化炭素が得られるからである。また、製造方法1700には、自己組織化構造の使用が含まれ、活性炭に存在する多孔性および表面積を制御することが可能となる。これらの特徴を制御するには、周知の界面活性剤/水/油相図を選択し、その図を、所望の表面積および所望のサイズおよび形状の細孔を備えた活性炭を作製するのに必要とされる所望量の界面活性剤、炭素前駆体/水溶液および油を推定するために、指針として用いる「新」界面活性剤/炭素前駆体および水溶液/油平衡相図へと変換する(上述の処方方法100bを参照のこと)。
【0062】
図18−21を参照すると、本発明の一実施形態に従って、製造方法1700により作製した活性炭を試験するために実施された、いくつかの実験の結果を説明する補助に用いられる様々な図、グラフおよび画像がある。表8に、部分的に酸化して、例示の活性炭を形成した2つの規則性メソ多孔性炭素を製造するのに用いた2つの処方を示す(注:2つの処方は、表1について上述した試料番号2および5に対応している)。
【表8】
【0063】
以下の説明は、例示の活性炭を製造し試験するのに関連した材料および工程を詳細に説明するものである(注:この記載は、(部分酸化工程1710を除き)試料番号1−28について上述したものと非常に似ているが、活性炭の製造および試験の記載を補助するために繰り返しておく)。
【0064】
材料
試料番号2−5を、界面活性剤(「Pluronic」F127)、炭素前駆体(フェノール樹脂)および油(ブタノール)により作製した。特に、用いた非イオン性界面活性剤は、x=106およびy=70(「Pluronic」)F127)のBASF Inc.製PEOy−PPOx−PEOyトリブロックコポリマーであった。用いた炭素前駆体は、510D50フェノール樹脂(Georgia Pacific)であった。用いた油/共力剤は、ブタノールであった。
【0065】
合成(工程1702)
PEOy−PPOx−PEOyトリブロックコポリマー(例えば、3.7gの「Pluronic」F127(x=106、y=70)を、無水エタノール(エタノール20ml中18%F127)に添加し、F127トリブロックコポリマーが、エタノール中で部分的に溶融するまで、熱を加えて攪拌した。次に、計算量の脱イオン水(1.4ml)を混合物に添加したところ、F127トリブロックコポリマーが溶解した。数分間攪拌した後、フェノール樹脂(510D50フェノール樹脂3.0ml)を混合物に徐々に添加した後、激しく攪拌した。フェノール樹脂を添加すると、溶液が濁った。次に、ブタノール(1.5ml)を混合物に添加した後、攪拌した。最後に、計算量の1.6N HCl(0.6ml)を混合物に添加して、F127トリブロックコポリマーを完全に溶解した。得られた溶液を、室温で20−30分間攪拌し、乾燥および架橋工程でるつぼに注いだ。
【0066】
乾燥および架橋:(工程1704および1706)
F127トリブロックコポリマーの自己組織化の条件を最適化するのを補助するために、設計された処理条件を用いて乾燥および架橋を実施した。特に、乾燥は、試料番号2−5をデシケータに入れ、50℃から90℃まで、0.5℃/分で加熱し、90℃で5h浸漬してから、それらを室温(RT)まで5℃/分で冷却した。その後、試料番号2および5をデシケータに入れ、上述の表2について記載した加熱サイクルに従って加熱することにより架橋した。
【0067】
試料番号2および5の乾燥により、粘性の明るいオレンジ色の液体が形成され、架橋により、暗いオレンジ−褐色の膜が形成された。架橋膜の厚さは〜1−2mm、直径は4−14cmであった。注:必要であれば、溶液番号2および5(および他の溶液)を、ディップコーティング、スピンコーティングまたは鋳造等により基材の上部にコーティングとして適用してから、それらを架橋して、ナノメートル〜1mmの範囲の厚さのフィルムを形成することができる。
【0068】
炭化(工程1708):
得られた暗いオレンジ−褐色の膜を、400℃に達するまで、温度1.7℃/分の傾斜で上げ、それらを400℃で3h保持して、界面活性剤を除去した後、800°の温度まで、温度を再び1℃/分の傾斜で上げ、その温度で3h浸漬することにより、窒素雰囲気中で炭化した。この特定の炭化プロセスにより、光沢のある黒色炭素が得られた。図4Aに、製造プロセス1700のこの特定の点での試料番号2の光沢のある黒色の規則性メソ多孔性炭素に関連した低角X線回折(XRD)グラフを示す。見て分かるとおり、試料番号2は、96Åで集中した良好に分解された(100)ピークを有しており、それぞれ1.7°および2.4°のツー・シータで、d(110)〜52Åおよびd(210)〜37Åの2つの高次ピークがある。このデータは、図3の「新」界面活性剤/炭素前駆体−水/油平衡相図を用いて予測されたものと一致している。
【0069】
部分酸化(工程1710):
試料番号2および5の炭化膜(規則性メソ多孔性炭素)を、5Mの濃硝酸に分散し、部分的に酸化して、活性炭を形成した。この部分酸化工程1710の結果、活性炭の表面pHが≧7ph〜<4phまで減少した。これにより、正味の負の電荷が表面およびチャネル/細孔の内周端部に生成され、これは、活性炭の表面で開いて、塩基溶液中、カチオン種、例えば、Pt(NH3)42+を交換するのに特に好適である。試料番号2に関連するいくつかの活性炭を詳細に試験し、低角X線回折(XRD)グラフ、広角XRDグラフおよび透過電子顕微鏡(TEM)を含む結果について、図18−21により、次に述べる。
【0070】
図18A−18Bを参照すると、2つのPt−交換活性炭(試料番号2)を試験した後に得られた2つの低角(0.5−5°)XRDグラフが示されている。特に、図18Aに、Ptを交換するのに用いる前、濃HNO3で30分レドックス活性化を行った第1の活性炭(試料番号2)から得られた低角XRDデータを示す。そして、図18Bに、Ptを交換するのに用いる前、濃HNO3で60分レドックス活性化を行った第2の活性炭(試料番号2)から得られた低角XRDデータを示す。Pt交換および低角でのバックグラウンドが極めて高いため、最も集中した(100)ピークしか図18Aおよび18Bにおいては見られない(非活性規則性メソ多孔性炭素(試料番号2)が、2D六角形構造(p6m空間群)を有するように見える図4Aと比べる。(100)、(110)および(210)反射とされた1:√3:√7の格子面間隔のためである)。
【0071】
図19A−19Bを参照すると、2つのPt−交換活性炭(試料番号2)を試験した後に得られた2つの広角(5−70°)XRDグラフが示されている。特に、図19Aに、Pt(Pt2+溶液濃度は、0.1−0.05Mであった)を交換するのに用いる前、濃HNO3で30分レドックス活性化を行った第1の活性炭(試料番号2)から得られた広角XRDデータを示す。そして、図19Bに、Pt(Pt2+溶液濃度は、0.05Mであった)を交換するのに用いる前、濃HNO3で60分レドックス活性化を行った第2の活性炭(試料番号2)から得られた広角XRDデータを示す。これらのグラフにおける垂直線は、対応のツー・シータ値(Å)およびミラー指数(hkl)に対応するPt/ピークバンドを示している。
【0072】
図20を参照すると、炭素自己組織化構造が、硝酸中でレドックス活性化を行った後のイオン交換プロセスに与え得る影響を示すグラフがある。グラフは、六角形チャネル構造(2D−六角形、直径4nmのチャネル)を有する活性炭2002が、立方体構造または無秩序な活性炭2006を有する活性炭2004(試料番号5)より、活性化およびイオン交換され易かったことを示している。また、グラフには、数時間のレドックス活性化後、2D−六角形活性炭2002(試料番号2)は、立方体構造炭素2004(試料番号5)より、2倍より多い量のPt、無秩序な活性炭2006により交換されたPtの量の30倍より多くのものを交換したことが示されている。図21は、レドックス活性(6%H2/N2フォーミングガス中、60℃/時の傾斜で、500℃まで上げ、この温度に3時間保持する)のTEMおよびPt交換活性炭2002(試料番号2)である。TEMによれば、Pt結晶子(直径〜2−4Åのダークスポット)が活性炭2002中六角形のチャネルに沿って並んでいること(注:Pt交換部位は、チャネル長に並行または並行に見え、交換されたPtイオンはこの次元に沿って並んでいること)が示されている。
【0073】
他の部分酸化(工程1710):
部分酸化工程1710はまた、硝酸とは異なる酸化剤を含有するレドックス溶液による化学プロセスを用いて実施することもできる。例えば、部分酸化工程1710は、過酸化水素、過酸化物含有化合物、酸化ハロゲン化化合物、鉱酸および/またはリン酸を含有するレドックス溶液による化学プロセスを用いて実施することができる。また、温度制御されたアルカリ溶液、例えば、NaOHを、部分酸化工程1710中、用いると、規則性メソ多孔性炭素の活性化ばかりでなく、規則性メソ多孔性炭素の表面積を増大するのにも役立つ。あるいは、部分酸化工程1710は、不活性雰囲気中、蒸気、二酸化炭素、酸素、あるいはこれらおよび/または他のガス状種による熱プロセスを用いることにより実施することができる。いずれの場合も、部分酸化工程1710を実施して、表面積に影響を与え、マイクロ細孔(<2nm)を導入する、かつ/または得られる活性炭のメソ細孔(2−50nm)のサイズを制御することができる。
【0074】
代替初期組成物
非イオン性界面活性剤、水溶性炭素前駆体/H2O溶液および水非混和性油(共力剤)の初期の組成物は、カリウム化合物(表8の注2参照)をさらに含むことができる。カリウム化合物の添加は、マイクロおよびまたはメソ多孔性を増大し、かつ、炭化後、炭素表面のイン・サイチュの活性となる(すなわち、部分酸化工程1710を実施する必要がない)ため、有利である。カリウム化合物としては、例えば、水酸化カリウム、酢酸カリウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウムまたはその他ハロゲン化カリウムを挙げることができる。
【0075】
カリウム化合物は、1%を超える、好ましくは2%から50%、より好ましくは2%−25%のレベルで炭素前駆体に存在できる。さらに、カリウム化合物の比率は、水相に含めなければならず、処理工程1704および1706中、界面活性剤の組織化を妨げないよう、カリウム化合物の濃度は十分に希釈すべきである。生成物が、工程1708で炭化された後、典型的には、温水で洗浄して、残渣のカリウム化合物を除去する。洗浄水のpHが中性になるまで、洗浄を続ける。このプロセスによって、得られる活性炭の多孔性が得られ、高表面積の活性炭を作製するための追加の活性化/部分酸化工程1710の必要性が排除される。
【0076】
イオン交換および触媒
上述したとおり、本発明の活性炭は、塩基溶液中、カチオン種、例えば、Pt(NH3)42+を交換するのに特に好適である(図18−21参照)。新たな活性炭は、以下をはじめとする多くのやり方(例えば)で触媒作用をおよぼすことにも着目する。
【0077】
1.金属触媒を、カチオンイオン交換を用いて、新たな活性炭に導入することができる。金属触媒は、アルカリ、アルカリ土類、遷移および/または貴金属とすることができる。より好ましいのは、Pt、Pd、Rh、Ag、Au、Fe、Re、Sn、Nb、V、Zn、Pb、Ge、As、Se、Co、Cr、Ni、Mn、Cu、Li、Mg、Ba、Mo、Ru、Os、Ir、Ca、Yまたはこれらの組み合わせ等の触媒金属である。実際、新たな活性炭の構造によって、これらの金属のより高重量パーセントのイオン交換が可能となり、結果として、従来の活性炭に比べると、小触媒ナノ粒子の極めて高い分散が得られる。
【0078】
2.新たな活性炭は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、貴金属または遷移金属をはじめとする触媒前駆体のイオン交換を用いることにより、触媒作用をおよぼすことができる。
【0079】
3.新たな活性炭は、塩化白金酸アンモニウム(例えば)を用いると、化学吸着により触媒作用をおよぼすことができる。
【0080】
4.新たな活性炭は、前駆体の溶解度、表面電荷および表面電荷密度に影響する塩基および酸等のpH制御剤を用いることにより、触媒作用をおよぼすことができる。
【0081】
5.新たな活性炭は、硝酸テトラアミン白金(II)を用いることにより、触媒作用をおよぼすことができる。
【0082】
6.新たな活性炭は、アニオン交換を用いることにより触媒作用をおよぼして、S、P、リン酸塩、硫酸塩、ホウ酸塩およびその他アニオンを表面に形成することができる。
【0083】
7.新たな活性炭は、カチオンまたはアニオン遷移金属またはその他塩を制御された、適合するpHで用いることにより触媒作用をおよぼして、イオン交換化学吸着をして、S、P、リン酸塩、硫酸塩およびホウ酸塩を表面に形成することができる。
【0084】
代替処理工程
以下は、本発明に従って、規則性メソ多孔性炭素または活性炭を作製するのに実施することのできるいくつかの異なる例示の処理工程の一覧である。
【0085】
1.規則性炭素架橋樹脂前駆体を、高温>30℃で、>15分にわたって、不活性ガス中および/またはS、N、Cまたはその他ガスを含有する活性ガスで処理すると、>600m2/gの高表面積の部分酸化メソ多孔性炭素を与えることができる。
【0086】
2.規則性炭素架橋樹脂前駆体を、高温>30℃で、>15分にわたって、窒素中で処理すると、メソ多孔性炭素を与えることができる。
【0087】
3.規則性メソ多孔性炭素を、高温>30℃で、>15分にわたって、酸化または部分酸化雰囲気中で直接処理すると、高表面積メソ多孔性炭素を与えることができる。
【0088】
4.メソ多孔性炭素は、酸化剤、例えば、鉱酸、HCl、HNO3、H2SO4またはその他酸、例えば、CH3COOH、または塩基、例えば、NH4OH、フェニルアミン、またはその他元素により、<110℃で、>15分化学的に活性化することができる。
【0089】
本発明の多数の実施形態を、添付の図面に図示し、上述の詳細な説明に記載してきたが、本発明は開示された実施形態に限定されず、以下の特許請求の範囲により規定および定義される本発明の精神から逸脱することなく、数多くの再構成、修正および代替が可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
界面活性剤、炭素前駆体/水溶液および水非混和性油からできていることを特徴とする規則性メソ多孔性炭素。
【請求項2】
前記界面活性剤が、PEOy−PPOx−PEOyトリブロックコポリマーを含む非イオン性界面活性剤であることを特徴とする請求項1に記載の規則性メソ多孔性炭素。
【請求項3】
前記炭素前駆体が、フェノール樹脂、熱硬化性炭水化物、ポリビニルアルコール、レゾルシノール−ホルムアルデヒドペプチド両親媒性物質または脂質を含む水溶性炭素前駆体であることを特徴とする請求項1に記載の規則性メソ多孔性炭素。
【請求項4】
前記水が、所望量の酸を含有することを特徴とする請求項1に記載の規則性メソ多孔性炭素。
【請求項5】
前記水非混和性油が、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、p−キシレン、メシチレン、ヘキサデカン、酢酸ブチルまたはオクタンであることを特徴とする請求項1に記載の規則性メソ多孔性炭素。
【請求項6】
規則性メソ多孔性炭素を製造する方法であって、
溶媒と、所定量の界面活性剤、炭素前駆体/水溶液および油を含有する溶液を混合する工程と、
前記溶液を乾燥する工程と、
前記溶液を架橋して、前記水を固定化して、予備炭化メソ構造相を形成する工程と、
前記予備炭化メソ構造相を炭化して、自己組織化界面活性剤テンプレートをそこから除去して、規則性メソ多孔性炭素を形成する工程と
を含む方法。
【請求項7】
前記水が、所望量の酸を含有することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
界面活性剤/水/油平衡相図を選択する工程と、
前記界面活性剤/水/油平衡相図における水相ラベルを、炭素前駆体および水相ラベルに交換する工程と、
前記界面活性剤/炭素前駆体および水溶液/油平衡相図を指針として用いて、前記規則性メソ多孔性炭素を形成するのに用いるべき所定量の前記界面活性剤、前記炭素前駆体/水溶液および前記油を計算する工程と
をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
界面活性剤/炭素前駆体および水溶液/油平衡相図を用いて、所望の配向の前記規則性メソ多孔性炭素を選択する工程をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
表面と、前記規則性メソ多孔性炭素の前記表面で開いたチャネル内の内周端部の少なくとも一部とを部分的に酸化して、活性炭を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項11】
規則性メソ多孔性炭素を製造するのに用いる組成物を処方する方法であって、
界面活性剤/水/油平衡相図を選択する工程と、
前記界面活性剤/水/油平衡相図における水相ラベルを、炭素前駆体および水相ラベルに交換する工程と、
前記界面活性剤/炭素前駆体および水溶液/油平衡相図を指針として用いて、どのくらいの界面活性剤、炭素前駆体/水溶液および油を、規則性メソ多孔性炭素を形成するのに用いるべきか推定する工程と
を含む方法。
【請求項12】
前記界面活性剤/炭素前駆体および水溶液/油平衡相図を指針として用いて、前記得られる規則性メソ多孔性炭素の所望の相配向を選択する工程をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
部分酸化表面と、合成規則性メソ多孔性炭素の前記表面で開いたチャネル内の部分酸化内周端部とを含むことを特徴とする活性炭。
【請求項14】
前記表面と、前記合成規則性メソ多孔性炭素の前記表面で開いた前記チャネル内の前記部分酸化内周端部が、前記合成規則性メソ多孔性炭素を化学的処理することにより部分的に酸化されたことを特徴とする請求項13に記載の活性炭。
【請求項15】
前記化学処理が、過酸化水素、過酸化物含有化合物、酸化ハロゲン化合物、鉱酸、硝酸、リン酸および/またはアルカリ溶液を含む酸化剤を用いて実施されることを特徴とする請求項14に記載の活性炭。
【請求項1】
界面活性剤、炭素前駆体/水溶液および水非混和性油からできていることを特徴とする規則性メソ多孔性炭素。
【請求項2】
前記界面活性剤が、PEOy−PPOx−PEOyトリブロックコポリマーを含む非イオン性界面活性剤であることを特徴とする請求項1に記載の規則性メソ多孔性炭素。
【請求項3】
前記炭素前駆体が、フェノール樹脂、熱硬化性炭水化物、ポリビニルアルコール、レゾルシノール−ホルムアルデヒドペプチド両親媒性物質または脂質を含む水溶性炭素前駆体であることを特徴とする請求項1に記載の規則性メソ多孔性炭素。
【請求項4】
前記水が、所望量の酸を含有することを特徴とする請求項1に記載の規則性メソ多孔性炭素。
【請求項5】
前記水非混和性油が、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、p−キシレン、メシチレン、ヘキサデカン、酢酸ブチルまたはオクタンであることを特徴とする請求項1に記載の規則性メソ多孔性炭素。
【請求項6】
規則性メソ多孔性炭素を製造する方法であって、
溶媒と、所定量の界面活性剤、炭素前駆体/水溶液および油を含有する溶液を混合する工程と、
前記溶液を乾燥する工程と、
前記溶液を架橋して、前記水を固定化して、予備炭化メソ構造相を形成する工程と、
前記予備炭化メソ構造相を炭化して、自己組織化界面活性剤テンプレートをそこから除去して、規則性メソ多孔性炭素を形成する工程と
を含む方法。
【請求項7】
前記水が、所望量の酸を含有することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
界面活性剤/水/油平衡相図を選択する工程と、
前記界面活性剤/水/油平衡相図における水相ラベルを、炭素前駆体および水相ラベルに交換する工程と、
前記界面活性剤/炭素前駆体および水溶液/油平衡相図を指針として用いて、前記規則性メソ多孔性炭素を形成するのに用いるべき所定量の前記界面活性剤、前記炭素前駆体/水溶液および前記油を計算する工程と
をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
界面活性剤/炭素前駆体および水溶液/油平衡相図を用いて、所望の配向の前記規則性メソ多孔性炭素を選択する工程をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
表面と、前記規則性メソ多孔性炭素の前記表面で開いたチャネル内の内周端部の少なくとも一部とを部分的に酸化して、活性炭を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項11】
規則性メソ多孔性炭素を製造するのに用いる組成物を処方する方法であって、
界面活性剤/水/油平衡相図を選択する工程と、
前記界面活性剤/水/油平衡相図における水相ラベルを、炭素前駆体および水相ラベルに交換する工程と、
前記界面活性剤/炭素前駆体および水溶液/油平衡相図を指針として用いて、どのくらいの界面活性剤、炭素前駆体/水溶液および油を、規則性メソ多孔性炭素を形成するのに用いるべきか推定する工程と
を含む方法。
【請求項12】
前記界面活性剤/炭素前駆体および水溶液/油平衡相図を指針として用いて、前記得られる規則性メソ多孔性炭素の所望の相配向を選択する工程をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
部分酸化表面と、合成規則性メソ多孔性炭素の前記表面で開いたチャネル内の部分酸化内周端部とを含むことを特徴とする活性炭。
【請求項14】
前記表面と、前記合成規則性メソ多孔性炭素の前記表面で開いた前記チャネル内の前記部分酸化内周端部が、前記合成規則性メソ多孔性炭素を化学的処理することにより部分的に酸化されたことを特徴とする請求項13に記載の活性炭。
【請求項15】
前記化学処理が、過酸化水素、過酸化物含有化合物、酸化ハロゲン化合物、鉱酸、硝酸、リン酸および/またはアルカリ溶液を含む酸化剤を用いて実施されることを特徴とする請求項14に記載の活性炭。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図7G】
【図7H】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図19A】
【図19B】
【図20】
【図21】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図7G】
【図7H】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図19A】
【図19B】
【図20】
【図21】
【公表番号】特表2010−513215(P2010−513215A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542802(P2009−542802)
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【国際出願番号】PCT/US2007/025282
【国際公開番号】WO2008/088529
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【国際出願番号】PCT/US2007/025282
【国際公開番号】WO2008/088529
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]