説明

視覚型ベレス針アセンブリ

【課題】外科的切開に用いられるベレス針の制御を提供すること。
【解決手段】組織の貫通および下にある解剖学的構造体を観察する視覚型ベレス針アセンブリであって、中空の内部および組織貫通用の遠位の先端部を有する本体部分を有している光伝導性のベレス針と、スタイレットであって、該スタイレットは、該べレス針の該本体部分の該中空の内部を通って位置決め可能であり、該スタイレットの中に組み込まれている画像伝送用構造体を含む本体部分を有している、スタイレットとを備えている、視覚型ベレス針アセンブリ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、2009年4月22日に出願された米国仮出願第61/171,610号の利益および該出願に対する優先権を主張するものであり、該出願の内容全体は、参考として本明細書中に援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、ベレス針(veress needle)に関する。特に、本開示は、外科的切開に用いられるベレス針の制御に関する。
【背景技術】
【0003】
様々な外科的処置の間、比較的非侵襲性の態様において身体内の領域にアクセスすることがしばしば望ましい。腹腔鏡下手術または内視鏡下手術においては、小さな切開が身体に形成され、様々な外科用器具類の通行を可能にする。しばしば、これらの切開は、ベレス針とも呼ばれる中空の鋭い針を用いて形成される。
【0004】
例えば、ヘルニア治療手術などの一部の特定の手術においては、小さな切開が、腹腔内の組織にアクセスするために、腹壁を通って作られる。一部のそのような手順は、手術用の空間を提供するために、腹腔のガス注入を必要としている。このことは、一般に、切開を通るカニューレの挿入によって遂行される。追加の切開が、追加のカニューレと外科用器具類とを収容するために、腹壁を通って作られ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しばしば、切開の形成に用いられる外科用器具は、切開のまわりの断裂または不均一な領域を結果としてもたらし、適切なガス注入に対する切開のまわりの密封を困難にしている。さらに、下にある解剖学的構造体への貫通および損傷を結果としてもたらす過剰挿入のリスクが存在している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(概要)
外科的切開の最先端技術を進歩させるために、本開示は、該切開と、下にある解剖学的構造体とを観察するための、ベレス針とともに使用する光学システムに関する。本開示はまた、体腔内の複数の方向を観察することが可能なベレス針および光学システムに関する。
【0007】
組織の貫通および下にある解剖学的構造体の観察において使用する視覚型ベレス針アセンブリが開示されている。該視覚型ベレス針アセンブリは、概して、中空の内部を有する本体部分を有している光伝導性のベレス針と、組織貫通用の遠位の先端部およびスタイレットとを含み、該スタイレットは、該針の該本体部分の該中空の内部を通って位置決め可能である。該スタイレットは、その中に組み込まれている画像伝送用構造体を含む本体部分と、レンズを有する遠位の先端部分とを有している。
【0008】
一実施形態においては、上記スタイレットの上記本体部分の上記画像伝送用構造体は、光ファイバから形成されている。企図される代替の実施形態においては、該スタイレットの該本体部分は、光チップ技術を組み込んでいる。
【0009】
特定の実施形態においては、上記レンズは、広角レンズである。代替の実施形態においては、該広角レンズは、魚眼レンズである。なおさらなる実施形態においては、該レンズは、指向性のレンズである。
【0010】
特定の実施形態においては、上記スタイレットの遠位の部分は、周囲の領域を観察するために柔軟である。該スタイレットの該遠位の部分は、上記ベレス針の上記中空の内部の中心線の軸に対して実質的に180°を関節運動することが可能である。
【0011】
特定の一実施形態においては、上記スタイレットの上記遠位の部分は、形状記憶材料を組み込むことにより、上記周囲の組織に対して上記レンズを配向させることに役立つ。該形状記憶材料は、上記ベレス針に対して該レンズが最大180°に配向されることを可能にする無応力の状態において概してJ字形を有している。
【0012】
一実施形態においては、上記ベレス針の上記組織貫通用先端部は、上記中空の本体部分に対して所定の角度で形成されていることにより、組織を通るスライシング(slicing)を容易にしている。
【0013】
さらなる実施形態においては、コネクタが、上記スタイレットの近位の端部に配置されていることにより、該コネクタは、該スタイレットを通過する光データを外部の画像処理用デバイスに伝える。
【0014】
一実施形態においては、上記光伝導性のベレス針は、近位の端部と、遠位の端部とを含んでいる。該近位の端部と該遠位の端部とは、該ベレス針の上記本体部分を通って該近位の端部から該遠位の端部までの光線の伝送を可能にする透光性の表面を各々が有している。上記視覚型ベレス針アセンブリは、該ベレス針の該近位の端部の近くに配置されている光源をさらに含み得る。該光源は、該近位の端部の該透光性の表面上に光線を放射するように構成され、かつ配置され、それによって、該光線は、該ベレス針の該本体部分を通過し、該遠位の端部の該透光性の表面で放射され得る。
【0015】
上記光伝導性のベレス針は、透光性の材料から作られ得る。該透光性の材料は、樹脂、プラスチックおよび酸化物から成る群から選択され得る。該プラスチックは、ポリカーボネートであり得、該酸化物は、ガラスとセラミックとから成る群のうちの1つである。
【0016】
例えば、本発明は、以下を提供する。
(項目1)
組織の貫通および下にある解剖学的構造体を観察する視覚型ベレス針アセンブリであって、
中空の内部および組織貫通用の遠位の先端部を有する本体部分を有している光伝導性のベレス針と、
スタイレットであって、該スタイレットは、該べレス針の該本体部分の該中空の内部を通って位置決め可能であり、該スタイレットの中に組み込まれている画像伝送用構造体を含む本体部分を有している、スタイレットと
を備えている、視覚型ベレス針アセンブリ。
(項目2)
上記スタイレットの上記本体部分の上記画像伝送用構造体は、光ファイバから形成されている、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の視覚型ベレス針アセンブリ。
(項目3)
上記スタイレットの遠位の先端部分においてレンズをさらに備えている、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の視覚型ベレス針アセンブリ。
(項目4)
上記レンズは、広角レンズである、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の視覚型ベレス針アセンブリ。
(項目5)
上記レンズは、指向性のレンズである、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の視覚型ベレス針アセンブリ。
(項目6)
上記スタイレットの遠位の部分は、柔軟である、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の視覚型ベレス針アセンブリ。
(項目7)
上記スタイレットの上記遠位の部分は、上記ベレス針の上記中空の内部の中心線の軸に対して実質的に180°を関節運動することが可能である、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の視覚型ベレス針アセンブリ。
(項目8)
上記スタイレットの上記遠位の部分は、形状記憶材料を組み込んでいる、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の視覚型ベレス針アセンブリ。
(項目9)
上記形状記憶材料は、無応力の状態において概してJ字形を有している、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の視覚型ベレス針アセンブリ。
(項目10)
上記ベレス針の上記組織貫通用先端部は、上記中空の本体部分に対して所定の角度で形成されている、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の視覚型ベレス針アセンブリ。
(項目11)
上記スタイレットの近位の端部に配置されているコネクタであって、該コネクタは、該スタイレットを通過する光データを外部の画像処理用デバイスに伝える、コネクタをさらに備えている、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の視覚型ベレス針アセンブリ。
(項目12)
上記光伝導性のベレス針は、近位の端部と遠位の端部とを含み、該近位の端部と該遠位の端部とは、該ベレス針の上記本体部分を通って該近位の端部から該遠位の端部までの光線の伝送を可能にする透光性の表面を各々が有している、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の視覚型ベレス針アセンブリ。
(項目13)
上記ベレス針の上記近位の端部の近くに配置されている光源をさらに備え、該光源は、該近位の端部の上記透光性の表面上に光線を放射するように構成され、かつ配置され、それによって、該光線は、該ベレス針の上記本体部分を通過し、上記遠位の端部の上記透光性の表面で放射される、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の視覚型ベレス針アセンブリ。
(項目14)
上記ベレス針は、透光性の材料から作られている、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の視覚型ベレス針アセンブリ。
(項目15)
上記透光性の材料は、樹脂、プラスチックおよび酸化物から成る群のうちの1つである、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の視覚型ベレス針アセンブリ。
(項目16)
上記プラスチックは、ポリカーボネートであり、上記酸化物は、ガラスとセラミックとから成る群のうちの1つである、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の視覚型ベレス針アセンブリ。
【0017】
(摘要)
視覚型ベレス針アセンブリが提供され、該視覚型ベレス針アセンブリは、中空の内部を有し、組織を穿刺する光伝導性のベレス針と、該ベレス針の該中空の内部を通って挿入可能な光学的スタイレットとを含んでいる。該ベレス針は、光線が近位の端部から遠位の端部まで通過することを可能にする透光性の材料で構成されていることにより、切開および手術部位の領域を照明する。該光学的スタイレットは、該手術部位の画像を取得する遠位の端部のレンズと、光データを追加の観察用デバイスに伝送する近位の端部のコネクタとを含んでいる。該スタイレットの該遠位の端部は、柔軟であり、該中空のベレス針に対して該レンズを配向させる構造体を組み込んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
ここに開示される視覚型ベレス針アセンブリの様々な実施形態が、図面を参照して本明細書中に開示されている。
【図1】図1は、組織を通って挿入されているベレス針およびスタイレットを含む視覚型ベレス針アセンブリの一実施形態を部分的に断面で示した側面図である。
【図1A】図1Aは、図1のベレス針およびスタイレットの断面図である。
【図2】図2は、図1の視覚型ベレス針アセンブリの平面図である。
【図3】図3は、図1の視覚型ベレス針アセンブリの側面図である。
【図4】図4は、ベレス針とともに使用するスタイレットの代替の先端部構成の側面図である。
【図5】図5は、関節運動メカニズムを組み込んでいるスタイレットの関節運動メカニズムを断面で示した側面図である。
【図6】図6は、関節運動した体勢における図5のスタイレットを断面で示した側面図である。
【図7】図7は、組織を通って挿入されている、バルブアセンブリを有する図1のベレス針アセンブリを部分的に断面で示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ここに開示される視覚型ベレス針アセンブリの実施形態は、同様な参照番号がいくつかの図の各々における同一の要素または対応する要素を示している図面を参照してここで詳細に記載される。当該分野で一般的であるように、用語「近位」は、ユーザまたはオペレータ、すなわち外科医または医師により近い部分または構成要素を表しており、一方で、用語「遠位」は、よりユーザから離れている部分または構成要素を表している。
【0020】
図1を参照すると、例えば、腹壁AWなどの組織を通って切開Iを作り出すときに使用する視覚型ベレス針アセンブリ10が開示されている。視覚型ベレス針アセンブリ10は、外科医が、腹壁AWを視覚型ベレス針12が通過するときに視覚型ベレス針12を観察することと、患者の身体内の手術部位、例えば、腹腔ACを観察することとを可能にする。視覚型ベレス針アセンブリ10は、概して、光伝導性のベレス針12と、針12を通って挿入可能な光学的インサートまたはスタイレット14とを含んでいる。コネクタ16が、スタイレット14の近位の端部18で提供されることにより、スタイレット14を様々な観察用機器、光学的または電気的な変換機器あるいは記録機器(例えば、カメラ、観察用スクリーン、コンピュータ型データ解析用デバイス、記録機器など)に接続する。光伝導性のベレス針12は、ガラス、セラミック、ポリカーボネートまたは他の適切な実質的に透明もしくは透光性の樹脂/プラスチック、酸化物、あるいは同様な適切な材料から作られる。図1に例示されているように、光源50は、コネクタ16内に含まれている観察用機器、光学的または電気的な変換機器あるいは記録機器の少なくとも一部分としてコネクタ16の内部に提供されている。スタイレット14の遠位の端部または先端部20は、本明細書の以下でさらに詳細に記載される観察用デバイスから形成されている。
【0021】
ここで図1〜図3を参照すると、ベレス針12は、概して、スタイレット14受け取り用の開放性の近位の端部24を有する中空の本体部分22を含んでいる。図1Aに例示されているように、近位の端部24において、同心状に円形で透光性の表面12aが、ベレス針12中に形成されている。本体部分22の開放性の遠位の端部26は、鋭利な組織貫通用先端部28によって形成されている。先端部28が、本体部分22に対して角度αで形成されることにより、腹壁AW(図3)を通るスライシングを容易にしている。図1、図1Aおよび図2〜図7に例示されている視覚型ベレス針アセンブリ10の例示的な実施形態においては、先端部28が本体部分22に対して角度αで形成されているので、楕円形で透光性の表面12bが、ベレス針12中に遠位の端部26で形成される。光源50から放射された光線Lの伝送を強化するために、光源50は、円形の螢光管に類似する円形または管状の形態で構成され、光源50からベレス針12の表面12a上に放射された光線Lの強度を最大化するように配置され得る。光源50から放射された光線Lは、表面12aを通過し、ベレス針12の本体部分22を通り、次いで遠位の端部26で楕円形の表面12bから放射されることにより、切開Iと、下にある腹腔AC内の解剖学的構造体とを照明する。
【0022】
従って、光伝導性のベレス針12は、近位の端部24と、遠位の端部26とを含んでいる。近位の端部24と遠位の端部26とは、透光性の表面12aと透光性の表面12bとをそれぞれ有し、透光性の表面12aと12bとは、光線Lが近位の端部24からベレス針12の本体部分22を通って遠位の端部26まで伝送されることを可能にしている。光源50は、ベレス針12の近位の端部24の近くに配置され得る。光源50は、光線Lを近位の端部24の透光性の表面12a上に放射するように構成され、かつ配置され、それによって、光線Lがベレス針12の本体部分22を通過し、遠位の端部26の透光性の表面12bで放射され得る。
【0023】
上記のように、スタイレット14は、外科医が、腹壁AWを通ってベレス針12が切開Iを形成するときにベレス針12を観察することと、下にある解剖学的構造体(図示されていない)を含む腹腔ACを観察することとを可能にするために提供されて、視覚型ベレス針12の挿入の間、それらの構造体が損傷することを防止する。本明細書の以下でさらに詳細に記載されるように、スタイレット14の遠位の部分30は、柔軟であるかまたは関節運動することにより、切開I、周囲の組織または腹壁AWを通る追加のデバイスの挿入を観察し得る(図1)。
【0024】
一実施形態において、スタイレット14は、本体部分32を含み、本体部分32は、画像および光を伝える光ファイバ材料を含んでいるかまたは光ファイバ材料から実質的に構築されている。スタイレット14の近位の端部18が、コネクタ16に接続されて、本体部分32を通って伝送されたデータをデバイスに渡すことにより、外科医が、手術部位を観察することを可能にしている。本実施形態においては、本体部分32が光ファイバから形成されているが、一方で、光データを取得し、伝送する他の手段もまた企図されることは注目されるべきである。例えば、具体的には示されていないが、光チップ技術を含む光学システムが提供され得る。
【0025】
先端部20は、光学画像を取得するレンズ34を含んでいる。本実施形態においては、レンズ34は、観察される領域を最大化する広角タイプまたは魚眼タイプのレンズである。広角レンズ34の使用はまた、近位に後の切開Iに向かって観察できることに役立つ。
【0026】
図4をここで参照すると、スタイレット14の遠位の先端部20上に提供された代替のレンズ構成が開示されている。先端部20は、概して平坦なレンズ36によって形成されている。レンズ36は、手術部位の特定の領域を分離し、その画像を最大化するために、比較的狭い方向、概して単一の方向を観察するために提供されている。レンズ36は、スタイレット14の本体部分32に対して、およびベレス針12の長手方向の中心線A−Aに対して角度βで形成されている。スタイレット14の遠位の部分30を関節運動させ、かつ/または回転させることによって、レンズ36が、観察される特定の領域に向けられ得る。
【0027】
ここで図5および図6を参照すると、本明細書において上記のように、スタイレットの遠位の部分30が、柔軟であることにより、レンズ34またはレンズ36を特定の所望の方向に配向する。例えば、ケーブル、スプリング、リンク、空気式、液圧式などの様々なメカニズムが、関節運動を遂行するために企図される。本実施形態においては、機構が、本体部分32とスタイレット14の遠位の部分30とを通って少なくとも部分的に延びる形状記憶材料38を組み込むことによって提供されている。形状記憶材料38は、無応力の状態においてフック状またはJ字形に形成されている。
【0028】
図1および図5を参照すると、スタイレット14の遠位の部分30が、ベレス針12の中空の本体部分22内に引っ込められるときに、形状記憶材料38、従って、遠位の部分30が、比較的まっすぐな形態に拘束される。図1および図6に示されているように、スタイレットの遠位の部分30が、ベレス針12の組織貫通用先端部28を越えて前進させられるときには、形状記憶材料38は、もはや拘束されることがなく、無応力の、概してJ字形の形態に戻る。形状記憶材料38が遠位の部分30内に埋め込まれているので、無応力の形態への形状記憶材料38の戻りが、それとともに柔軟な遠位の部分を移動させる。従って、ベレス針12の先端部28を越える遠位の部分30の前進の程度に依存して、ベレス針12に対する遠位の部分30上のレンズ34の角度または配向が制御されている。具体的には示されていないが、ベレス針12内のスタイレット14の回転もまた、レンズ34を向けることに役立つ。従って、関節運動および回転の能力の組み合わせは、腹腔AC内の領域全体を外科医が観察することを可能にする。
【0029】
特定の実施形態において、ベレス針12に対する遠位の部分30の所定の量の前進が、ベレス針12の中心線の軸A−Aに対して略または実質的に0度(0°)から略または実質的に180度(180°)までレンズ34が配向される結果をもたらすことにより、腹壁AWの切開Iまたは他の領域が観察され、腹壁AWを通る追加的な器具類の挿入が観察される(図1〜図4および図7を参照されたい)。
【0030】
最後に、図7を参照すると、一旦、スタイレット14が、腹壁AWを通る視覚型ベレス針12の通行を観察するために用いられてしまうと、上記されたように、腹腔AC内の領域を観察するために配向され、利用され得る。一旦、視覚化が完了すると、スタイレット14は、ベレス針12の中空の本体部分22内から取り外され得る。ベレス針12が切開Iを通って適所に残され、注入用ガスまたは他の手術用外科器具類が通行する導管として用いられ得る。例えば、バルブ42を有するカニューレ本体部40が、本体部分22の近位の端部24に付着されることにより、注入用ガスを腹腔AC内に提供し得る。あるいは、ベレス針12は、注入管が組織に貫通することが不可能な注入管を有するカニューレシステムのためのガイドとして作用し得る。この例において、ベレス針12は、適所に残されるか、または後で取り外され得る。
【0031】
従って、視覚型ベレス針アセンブリ10は、組織に貫通し、視覚型ベレス針12が組織を通過するときには、貫通を視覚化する手段を提供する。さらに、下にある解剖学的構造体が、貫通の間に識別され、観察されることにより、そのような構造体への損傷のリスクが回避されるかまたは低減され得る。さらに、追加の組織貫通用トロカールの貫通が観察され、追加の貫通部位が位置を定められ得る。
【0032】
様々な修正が本明細書中に開示されている実施形態になされ得ることは理解されるであろう。例えば、上記されたように、他の光学システム(例えば、光チップ技術、流体視覚化システムなど)が、スタイレットの中に組み込むために企図される。さらに、開示されている視覚型ベレス針は、赤外線または熱または放射物の検出能力を含む他の検出システムを組み込み得る。さらに、他のレンズ形状、例えば、望遠レンズまたはズームレンズまたはマクロレンズなどがまた企図される。従って、上記の説明は、限定としてではなく、単に特定の実施形態の例示と解釈されるべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲の内で他の修正に想到し得る。
【符号の説明】
【0033】
10 視覚型ベレス針アセンブリ
12 視覚型ベレス針
12a 円形で透光性の表面
12b 楕円形で透光性の表面
14 光学的インサートまたはスタイレット
16 コネクタ
18 スタイレットの近位の端部
20 スタイレットの遠位の端部または先端部
22 中空の本体部分
24 本体部分の開放性の近位の端部
26 本体部分の開放性の遠位の端部
28 組織貫通用先端部
30 スタイレットの遠位の部分
32 スタイレットの本体部分
34 レンズ
36 平坦なレンズ
38 形状記憶材料
40 カニューレ本体部
42 バルブ
50 光源
AC 腹腔
AW 腹壁
I 切開
L 光線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織の貫通および下にある解剖学的構造体を観察する視覚型ベレス針アセンブリであって、
中空の内部および組織貫通用の遠位の先端部を有する本体部分を有している光伝導性のベレス針と、
スタイレットであって、該スタイレットは、該べレス針の該本体部分の該中空の内部を通って位置決め可能であり、該スタイレットの中に組み込まれている画像伝送用構造体を含む本体部分を有している、スタイレットと
を備えている、視覚型ベレス針アセンブリ。
【請求項2】
前記スタイレットの前記本体部分の前記画像伝送用構造体は、光ファイバから形成されている、請求項1に記載の視覚型ベレス針アセンブリ。
【請求項3】
前記スタイレットの遠位の先端部分においてレンズをさらに備えている、請求項1に記載の視覚型ベレス針アセンブリ。
【請求項4】
前記レンズは、広角レンズである、請求項3に記載の視覚型ベレス針アセンブリ。
【請求項5】
前記レンズは、指向性のレンズである、請求項1に記載の視覚型ベレス針アセンブリ。
【請求項6】
前記スタイレットの遠位の部分は、柔軟である、請求項1に記載の視覚型ベレス針アセンブリ。
【請求項7】
前記スタイレットの前記遠位の部分は、前記ベレス針の前記中空の内部の中心線の軸に対して実質的に180°を関節運動することが可能である、請求項6に記載の視覚型ベレス針アセンブリ。
【請求項8】
前記スタイレットの前記遠位の部分は、形状記憶材料を組み込んでいる、請求項6に記載の視覚型ベレス針アセンブリ。
【請求項9】
前記形状記憶材料は、無応力の状態において概してJ字形を有している、請求項7に記載の視覚型ベレス針アセンブリ。
【請求項10】
前記ベレス針の前記組織貫通用先端部は、前記中空の本体部分に対して所定の角度で形成されている、請求項1に記載の視覚型ベレス針アセンブリ。
【請求項11】
前記スタイレットの近位の端部に配置されているコネクタであって、該コネクタは、該スタイレットを通過する光データを外部の画像処理用デバイスに伝える、コネクタをさらに備えている、請求項1に記載の視覚型ベレス針アセンブリ。
【請求項12】
前記光伝導性のベレス針は、近位の端部と遠位の端部とを含み、該近位の端部と該遠位の端部とは、該ベレス針の前記本体部分を通って該近位の端部から該遠位の端部までの光線の伝送を可能にする透光性の表面を各々が有している、請求項1に記載の視覚型ベレス針アセンブリ。
【請求項13】
前記ベレス針の前記近位の端部の近くに配置されている光源をさらに備え、該光源は、該近位の端部の前記透光性の表面上に光線を放射するように構成され、かつ配置され、それによって、該光線は、該ベレス針の前記本体部分を通過し、前記遠位の端部の前記透光性の表面で放射される、請求項12に記載の視覚型ベレス針アセンブリ。
【請求項14】
前記ベレス針は、透光性の材料から作られている、請求項1に記載の視覚型ベレス針アセンブリ。
【請求項15】
前記透光性の材料は、樹脂、プラスチックおよび酸化物から成る群のうちの1つである、請求項14に記載の視覚型ベレス針アセンブリ。
【請求項16】
前記プラスチックは、ポリカーボネートであり、前記酸化物は、ガラスとセラミックとから成る群のうちの1つである、請求項15に記載の視覚型ベレス針アセンブリ。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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