説明

観察装置及び観察方法

【課題】反射面を含む容器に保持された被観察物の測定に好適な観察装置を提供すること。
【解決手段】入射した光を参照光と測定光とに分岐する分岐手段9と、前記測定光を被観察物に第1の偏光状態で照射し、該被観察物を介した前記測定光を受光する観察光学系11と、前記参照光と前記被観察物を介した前記測定光とを合成する合成手段9と、前記被観察物を介した前記測定光のうち前記第1の偏光状態と所定の対応関係にある第2の偏光状態の光を減光させる減光手段14と、前記合成手段によって合成された前記参照光および前記測定光を検出する検出手段18と、前記参照光が、前記被観察物を介した前記測定光のうち前記第2の偏光状態と異なる第3の偏光状態の光と干渉可能な偏光状態となるように、前記参照光および前記測定光の少なくとも一方の偏光状態を制御する偏光制御手段2、13と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察装置及び観察方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非破壊断層計測技術の1つに光コヒーレンストモグラフィー(OCT)がある(非特許文献1等を参照)。OCTは、波長幅の広い光をプローブとして用いるので、その光に対して透明な被観察物の3次元構造を、非染色・非侵襲で観察することができる。よって、OCTは、生体内細胞などの観察に好適である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】E.A. Swanson, J.A. Izatt, M.R. Michael, D. Huang, C.P. Lin, J.S. Shuman, C.A. Puliafito, J.G. Fujimoto, 18 (21) 1864-1866, Optics Letters (1993)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
その一方で、培養細胞などをOCTで観察したいという要求もある。しかしながら、シャーレなどの培養容器で保持されている培養細胞に対して従来のOCTをそのまま適用すると、培養容器などからの強い正反射も検出してしまう。そのため、検出したい細胞の情報がノイズに埋もれ、適切に可視化できないという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、反射面を含む容器に保持された被観察物の測定に好適な観察装置及び観察方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の観察装置は、入射した光を参照光と測定光とに分岐する分岐手段と、前記測定光を被観察物に第1の偏光状態で照射し、該被観察物を介した前記測定光を受光する観察光学系と、前記参照光と前記被観察物を介した前記測定光とを合成する合成手段と、前記被観察物を介した前記測定光の光路に設けられ、前記被観察物を介した前記測定光のうち前記第1の偏光状態と所定の対応関係にある第2の偏光状態の光を減光させる減光手段と、前記合成手段によって合成された前記参照光および前記測定光を検出する検出手段と、前記被観察物に照射される前記測定光が前記第1の偏光状態となり、前記検出手段によって検出される前記参照光が、前記被観察物を介した前記測定光のうち前記第2の偏光状態と異なる第3の偏光状態の光と干渉可能な偏光状態となるように、前記参照光の光路および前記測定光の光路の少なくとも一方に配置され、前記参照光および前記測定光の少なくとも一方の偏光状態を制御する偏光制御手段と、を備える。
また、前記偏光制御手段が前記参照光の光路に挿入された第1モードと、前記測定光の光路に挿入された第2モードとの間で前記装置のモードを切り換える切換手段を備えていることが好ましい。
また、前記照明光学系は、前記分岐手段に入射する偏光状態を決定する偏光手段を備えていることが好ましい。
また、入射する光の偏光を同時に変化させるように前記偏光手段と前記減光手段とを同時に制御する制御手段を備えていることが好ましい。
また、前記偏光制御手段は、1/4波長板または1/2波長板であることが好ましい。
また、前記偏光制御手段は、前記被観察物に照明される測定光が円偏光であることが好ましい。
【0007】
また、照明光学系が照射する前記被観察物の照明位置を前記照明光学系の光軸に直交する面内で走査する走査手段を備えていることが好ましい。
【0008】
また、前記検出手段は、前記干渉光を分光する分光手段を有し、前記分光手段で分光した前記干渉光所定の波長領域での強度を検出するスペクトル検出器であることが好ましい。
【0009】
また、前記分岐手段は、前記参照光が前記測定光の5倍以上の光量となるように前記入射した光を分岐することが好ましい。
また、中心波長が800nmでコヒーレンス長が2μmである光源を備えていることが好ましい。
また、前記参照光の偏光状態と減光手段を透過する光の偏光方向とのずれが60°以内であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、反射面を含む容器に保持された被観察物の測定に好適な観察装置及び観察方法が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態のOCT装置の構成図である。
【図2】第1実施形態のOCT装置の効果を説明する図である。図2(A)は、培養容器10の全体の断面を示す模式図であり、図2(B)は、照射スポットの近傍を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態として反射型のOCT装置を説明する。
【0013】
図1は、第1実施形態のOCT装置の構成図である。図1に示すとおりOCT装置には、光源1、偏光子2、無偏光ビームスプリッタ9、1/4波長板13、平面ミラー(参照ミラー)15、光スキャナ20、対物レンズ11、培養容器10、検光子14、第2対物レンズ(集光レンズ)17、スペクトル検出器18、制御装置23、演算装置24などが配置される。
【0014】
培養容器10の内部には、培養液10aが保持されており、その培養液10aの中で生体細胞10bが培養されている。培養容器10はガラスなどで構成され、光源1から射出する照明光に対して均質な部材であることが好ましい。なお、培養容器10としては、シャーレ、フラスコ、ウェルプレート、マイクロプレートなど、様々なものが使用できる。また、培養容器10の代わりにスライドガラスを使用することもできる。以下では、シャーレ(ディッシュ)からなる培養容器10が使用されたとする。またここでは、測定光に対して培養液10aは透明とし、生体細胞10bは偏光の変化を伴って照明光を散乱する細胞とする。ここでは、生体細胞10bは対物レンズ11の焦点深度よりも小さく、測定によって三次元画像として生体細胞10bの分布が観察される例を示す。当然ながら、細胞10bは十分大きなものでもよく、細胞内部やコロニー内部の構造を測定しても良い。また、培養容器10のガラス面を反射面としたが、水面などの反射面に適用しても良い。
【0015】
以下、光源1が出射する光の時間コヒーレンスが短い場合について説明する。例えば、スーパールミネッセンスダイオード(SLD)、チタンサファイアレーザ、白色LEDなどが適用される。また、例えば、光源1の中心波長は800nmに設定され、光源1の光周波数スペクトルは半値全幅50nmのガウス型に設定される。なお、OCT装置の分解能は、光源1から射出された照明光のコヒーレント長に依存する。また、OCT装置のxy方向の分解能は、後述する集光点のサイズに依存し、その集光点のサイズは、対物レンズ11の性能に依存する。
【0016】
光源1から射出した照明光は、偏光していない光(無偏光)とする。この照明光は、偏光子2を通過することで、直線偏光となる。以下、偏光子2の透過軸は図1のy方向に設定されており、偏光子2を透過した照明光L0は、y方向に偏光した光であると仮定する。
【0017】
y方向の直線偏光である照明光L0は、無偏光ビームスプリッタ9へ入射し、参照ミラー15へ向かう参照光Lrと、培養容器10へ向かう測定光Lmとに分岐される。ビームスプリッタ9は無偏光なので、分割後の参照光Lr及び測定光Lmは、分割前の照明光L0と同じくy方向の直線偏光である。
【0018】
先ず、参照光Lrは、1/4波長板13を介して参照ミラー15へ正面から入射すると、参照ミラー15を反射して光路を折り返し、1/4波長板13を介して無偏光ビームスプリッタ9へ戻る。無偏光ビームスプリッタ9へ戻った参照光Lr’の偏光方向は、1/4波長板13を2回通過しているので、参照光Lrの偏光方向から90°だけ回転している。つまり、参照光Lr’はx方向の直線偏光である。
【0019】
一方、測定光Lmは、光スキャナ20を介して対物レンズ11へ入射すると、対物レンズ11の集光作用を受け、培養容器10内部の測定位置に向かって集光する。なお、培養容器10と対物レンズ11とのz方向の相対位置は、対物レンズ11の焦点面が、測定対象となる生体細胞10bの存在領域に掛かるよう予め調整されている。
【0020】
培養容器10のうち測定光Lmの照射領域(以下、「照射スポット」と称す。)では、生体細胞10bによって様々な角度に散乱された散乱光が発生する可能性がある。以下、照射スポットから対物レンズ11の側へ向かった散乱光のうち、対物レンズ11によって捉えられた光を「測定光Lm’」と称す。この測定光Lm’は、対物レンズ11から測定光Lmの光路を逆向きに辿り、光スキャナ20を介して無偏光ビームスプリッタ9へ入射する。この測定光Lm’には、培養容器10へ向かった測定光Lmと同じ方向に振動する成分(y方向の偏光成分)だけでなく、測定光Lmとは異なる方向に振動する成分(x方向の偏光成分)も含まれる(詳細は後述する。)。
【0021】
無偏光ビームスプリッタ9へ入射した測定光Lm’は、無偏光ビームスプリッタ9へ戻った参照光Lr’と合成され、集光レンズ17の側へ向かう。集光レンズ17の側へ向かった参照光Lr’及び測定光Lm’は、検光子14へ入射する。
【0022】
ここで、検光子14の透過軸の方向は、前述した偏光子2の透過軸に対してクロスニコルの関係と仮定する。つまり、偏光子2の透過軸はy方向の偏光成分を透過する方向としたので、検光子14の透過軸の方向は入射光のx方向の偏光成分を透過し、y方向の偏光成分をカットする方向に設定されている。なお、検光子14は培養容器10で反射した反射光をカットする方向に設定されていればよく、偏光子2の透過軸と直交した方向に透過軸を設定しなくてもよい。
【0023】
したがって、検光子14を透過できるのは、x方向の偏光成分を持つ参照光Lr’と、測定光Lm’のx方向の偏光成分である。以下、検光子14を透過した測定光Lm’のx方向の偏光成分を、「測定光Lm”」と称す。
【0024】
ここで、参照光の光路の光路長と測定光の光路の光路長との差が照明光のコヒーレント長以下の場合、参照光と測定光が干渉する。よって、検光子14を透過した参照光Lr’と検光子14を透過した測定光Lm”とは、互いに干渉することが可能である。以下、これらの参照光Lr’と測定光Lm”とを纏めて「干渉光」と称す。この干渉光は、集光レンズ17へ入射すると、集光しながらスペクトル検出器18へ入射する。
【0025】
スペクトル検出器18には、干渉光の集光点にスリット開口を配したスリット板18aと、スリット板18aを通過した干渉光を平行光に変換するコリメートミラー18bと、平行光となった干渉光を複数の波長成分に分離する反射型回折格子18cと、それらの波長成分を互いにずれた位置へ集光させる集光ミラー18dと、互いにずれた位置に集光する各波長成分の強度を個別に検出するラインセンサ18eとが備えられる。この構成により、スペクトル検出器18は、干渉光の波長成分毎の強度信号(すなわちスペクトル信号)を生成する。このスペクトル信号は、制御装置23へ送出される。
【0026】
ここで、前述した光スキャナ20が駆動されると、前述した集光点が対物レンズ11の視野内を移動するので、培養容器10上の照射スポットがxy方向に移動する。ちなみに、光スキャナ20を固定した場合は、照射スポット内の測定となる。つまり、z方向にほぼ1次元の測定となり、照明スポットを光スキャナ20で走査することで三次元画像となる。
【0027】
よって、制御装置23は、光スキャナ20を駆動することにより照射スポットで培養容器10上をxy方向にかけて二次元走査し、照射スポットが各xy位置にあるときにラインセンサ18eを駆動してスペクトル信号を取り込むことにより、各xy位置のスペクトル信号を取得する。これらのスペクトル信号は、演算装置24へ送出される。
【0028】
演算装置24は、各xy位置のスペクトル信号を個別にフーリエ変換することにより、各xy位置のz方向の構造情報(z方向の細胞分布)を取得する。これによって、xyz方向の細胞分布が既知となる。演算装置24は、既知となった細胞分布を不図示のモニタに表示する。
【0029】
図2は、第1実施形態のOCT装置の効果を説明する図である。図2(A)は、培養容器10の全体の断面を示す模式図であり、図2(B)は、照射スポットの近傍を拡大して示す図である。図2(B)において符号10cで示すのは培養液10aの表面であり、図2(B)に示す矢印線は培養容器10で反射する測定光を示している(但し、この矢印線は、測定光の振る舞いを説明するための矢印線であって、測定光の実際の進路を表している訳ではない。)。
【0030】
図2(B)に拡大して示すとおり、測定光Lmに応じて培養容器10から射出した測定光Lm’の中には、生体細胞10bの表面または内部における散乱光である測定光Lm’−1と、培養容器10の表面における反射光である不要な測定光Lm’−2とが存在する(他にも不要な測定光は発生しているが測定光Lm’−2を代表して説明する。)。
【0031】
培養容器10の屈折率と空気の屈折率との差が大きいと、不要な測定光Lm’−2の強度は必要な測定光Lm’−1の強度と比較して著しく高く、不要な測定光Lm’−2の強度は必要な測定光Lm’−1の強度の1000倍以上にも及ぶことがある。そのため、従来のOCT装置におけるスペクトル検出器の出力信号では、必要な測定光Lm’−1に相当する信号成分が、不要な測定光Lm’−2に相当するノイズ成分に埋もれてしまう。
【0032】
しかしながら、培養容器10で反射する光は、その反射の前後で偏光状態を乱さないのに対して、生体細胞10bで散乱する光は、生体細胞10bの表面形状等や内部の屈折率分布に起因した散乱を起こし、その散乱の前後で偏光状態を乱すことが知られている。そのため、不要な測定光Lm’−2には、照射光(測定光Lm)と同じ方向に振動する偏光成分(y方向の偏光成分)しか含まれていないのに対して、必要な測定光Lm’−1には、照射光(測定光Lm)とは異なる方向に振動する偏光成分(x方向の偏光成分)も発生している。
【0033】
そこで、本実施形態のOCT装置では、スペクトル検出器18の前段側に前述したとおり検光子14を配置することで、縦偏光成分を全て除去する。これによって、不要な測定光Lm’−2がスペクトル検出器18へ入射するのを防ぐ。
【0034】
したがって、本実施形態のOCT装置は、不要な測定光Lm’−2の影響を受けずに三細胞分布の情報を取得することができる。
【0035】
[第1実施形態の補足]
なお、第1実施形態のOCT装置では、偏光子2の透過軸と検光子14の透過軸とをクロスニコルの関係に設定したが、不要な測定光の強度が比較的弱い場合などには、クロスニコルの関係から多少ずれていたとしても構わない。スペクトル検出器18に対して不要な測定光が多少入射したとしても、その強度が十分に弱ければ、細胞分布を可視化することは十分に可能である。
【0036】
また、第1実施形態のOCT装置では、偏光子2、1/4波長板13、及び検光子14の3者を連動させ、それら3者を装置の光路に対して同時に挿脱する機構を備えてもよい。この機構によれば、ユーザは、偏光像を観察するモードと、無偏光像を観察するモードとをワンタッチで切り換えることができる。
【0037】
また、ビームスプリッタなどで参照光と測定光を合成するということは、参照光と測定光を重ね合わせるという意味を含む。また、所定の対応関係である被観察物に照射される偏光状態と検光子などで減光させる偏光状態とは、実質的に等しい場合もある。
【0038】
[実施形態の変形例]
また、第1実施形態のOCT装置では、偏光子2及び検光子14の2者を連動させ、それらの透過軸を等角度ずつ回転させる機構を備えてもよい。この機構によれば、ユーザは、観察する偏光像の偏光方向を切り換えることができる。
【0039】
また、第1実施形態のOCT装置は、参照アーム(位置B、ビームスプリッタと参照ミラーとの間)のみに1/4波長板を挿入しているが、参照アームと測定アーム(位置A又はA’、ビームスプリッタと培養容器10との間)との双方に対して1/4波長板を挿入可能とし、かつ、参照アームのみに1/4波長板が挿入された第1モードと、測定アームのみに1/4波長板が挿入された第2モードとの間でOCT装置のモードを切り換える機構を備えてもよい。
【0040】
ここで、第1モードと第2モードについてジョーンズ行列を用いて説明する。
【0041】
まず、位相差δを生じ進相軸の方位角がθであるような位相物体のジョーンズ行列は、以下の式となる。
【0042】
【数1】

【0043】
観察対象の細胞が複屈折性を有する場合、細胞に照射されて細胞の複屈折性による作用を受けた光をMs(δ,θ)と表すとする。OCT装置において反射(散乱)光である測定光は細胞が持つ複屈折の作用を往復で2回受け、Ms(2δ,θ)となる。
【0044】
ここで簡単のため、参照光と細胞に照射される測定光波は特定の偏光方向を持つ直線偏光の光とする。そして、その偏光方向から45°傾いた方向に1/4波長板の進相軸が配置されているとする。また、偏光子と検光子は互いに直行した偏光成分を持つ光を透過することとする。
【0045】
参照アームに1/4波長板を挿入した第1モードの場合、Ms(2δ,θ)の測定光と縦偏光または横偏光の参照光がビームスプリッタにて合成された干渉光となる。干渉光は検光子でMs(2δ,θ)のうちの(2,1)成分(y方向の偏光成分)または(1,2)成分(x方向の偏光成分)が透過する。そのため、下記の成分が検出される。
【0046】
【数2】

【0047】
測定アームに1/4波長板を挿入した第2モードの場合、測定光は1/4波長板の作用、細胞の複屈折性の作用、細胞の複屈折性の作用、1/4波長板の作用の順番で作用を受ける。一般に、ここでの1/4波長板の作用は以下の式で表される。
【0048】
【数3】

【0049】
上記の4回の作用を受けた測定光は、以下の式となる。
【0050】
【数4】

【0051】
検光子が横偏光を透過する場合は(1,1)成分、検光子が縦偏光を透過する場合は(2,2)成分が検出される。そのため、下記の成分が検出される。
【0052】
【数5】

【0053】
上記式より、第1モードで得られる情報と第2モードで得られる情報を比較することで値θが求められることがわかる。ここで、θは細胞の進相軸の角度である。
【0054】
上記のように、第1モードおよび第2モードの間の切り替えを行うだけで、細胞の進相軸を定量的に判定することができる。また、例えばこの進相軸分布は、方向性を有した細胞(例えば筋や健などの繊維)の姿勢分布を表す。
【0055】
また、第1実施形態のOCT装置は、培養容器10上を照射スポットで走査する方法として照射スポットの側を変位させる方法(ビームスキャン型)を採用したが、培養容器10の側を変位させる方法(ステージスキャン型)を採用してもよい。その場合は、光スキャナ20の代わりに、培養容器10をxy方向へ変位させる試料ステージを使用すればよい。
【0056】
なお、第1実施形態のOCT装置は、広帯域光源(白色光源)を使用して白色の干渉光を分光検出する方法(フーリエドメイン型)を採用したが、光源波長を走査して各波長の干渉光を時分割で検出する方法(波長スキャン型)を採用してもよい。
【0057】
因みに、波長スキャン型を採用した場合は、分光検出を行う必要が無いので、スペクトル検出器18の代わりに撮像素子を使用することで、培養容器10上のxy方向各位置の干渉光強度を一括に検出してもよい。
【0058】
また、第1実施形態のOCT装置は、広帯域光源(白色光源)を使用して干渉光を分光検出する方法(フーリエドメイン型)を採用したが、広帯域光源(白色光源)を使用し、かつ、測定光と参照光との光路長差を走査して白色の干渉光を走査位置毎に検出する方法(タイムドメイン型)を採用してもよい。
【0059】
因みに、タイムドメイン型を採用した場合は、分光検出を行う必要が無いので、スペクトル検出器18の代わりに撮像素子を使用することで、培養容器10上のxy方向各位置の干渉光強度を一括に検出してもよい。
【符号の説明】
【0060】
1…広帯域光源、2…偏光子、9…無偏光ビームスプリッタ、13…1/4波長板、15…参照ミラー、20…光スキャナ、11…対物レンズ、10…培養容器、14…検光子、17…第2対物レンズ(集光レンズ)、18…スペクトル検出器、23…制御装置、24…演算装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した光を参照光と測定光とに分岐する分岐手段と、
前記測定光を被観察物に第1の偏光状態で照射し、該被観察物を介した前記測定光を受光する観察光学系と、
前記参照光と前記被観察物を介した前記測定光とを合成する合成手段と、
前記被観察物を介した前記測定光の光路に設けられ、前記被観察物を介した前記測定光のうち前記第1の偏光状態と所定の対応関係にある第2の偏光状態の光を減光させる減光手段と、
前記合成手段によって合成された前記参照光および前記測定光を検出する検出手段と、
前記被観察物に照射される前記測定光が前記第1の偏光状態となり、前記検出手段によって検出される前記参照光が、前記被観察物を介した前記測定光のうち前記第2の偏光状態と異なる第3の偏光状態の光と干渉可能な偏光状態となるように、前記参照光の光路および前記測定光の光路の少なくとも一方に配置され、前記参照光および前記測定光の少なくとも一方の偏光状態を制御する偏光制御手段と、
を備えることを特徴とする観察装置。
【請求項2】
請求項1に記載の観察装置において、
前記偏光制御手段が前記参照光の光路に挿入された第1モードと、前記測定光の光路に挿入された第2モードとの間で前記装置のモードを切り換える切換手段を備えた
ことを特徴とする観察装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の観察装置において、
前記照明光学系は、前記分岐手段に入射する偏光状態を決定する偏光手段を備える
ことを特徴とする観察装置。
【請求項4】
請求項3に記載の観察装置において、
入射する光の偏光を同時に変化させるように前記偏光手段と前記減光手段とを同時に制御する制御手段を備えた
ことを特徴とする観察装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の観察装置において、
前記偏光制御手段は、1/4波長板または1/2波長板である
ことを特徴とする観察装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の観察装置において、
前記偏光制御手段は、前記被観察物に照明される測定光が円偏光である
ことを特徴とする観察装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の観察装置において、
照明光学系が照射する前記被観察物の照明位置を前記照明光学系の光軸に直交する面内で走査する走査手段を備えた
ことを特徴とする観察装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項7の何れか一項に記載の観察装置において、
前記検出手段は、
前記干渉光を分光する分光手段を有し、
前記分光手段で分光した前記干渉光所定の波長領域での強度を検出するスペクトル検出器である
ことを特徴とする観察装置。
【請求項9】
請求項1〜請求項8の何れか一項に記載の観察装置において、
前記分岐手段は、
前記参照光が前記測定光の5倍以上の光量となるように前記入射した光を分岐する
ことを特徴とする観察装置。
【請求項10】
請求項1〜請求項9の何れか一項に記載の観察装置において、
中心波長が800nmでコヒーレンス長が2μmである光源を備えた
ことを特徴とする観察装置。
【請求項11】
請求項1〜請求項10に記載の観察装置において、
前記参照光の偏光状態と減光手段を透過する光の偏光方向とのずれが60°以内である
ことを特徴とする観察装置。
【請求項12】
入射した光を参照光と測定光とに分岐し、
観察光学系で前記測定光を被観察物に第1の偏光状態で照射し、該被観察物を介した前記測定光を受光し、
合成手段で前記参照光と前記被観察物を介した前記測定光とを合成し、
減光手段で前記被観察物を介した前記測定光の光路に設けられ、前記被観察物を介した前記測定光のうち前記第1の偏光状態と所定の対応関係にある第2の偏光状態の光を減光し、
偏光制御手段で前記被観察物に照射される前記測定光が前記第1の偏光状態となり、前記検出手段によって検出される前記参照光が、前記被観察物を介した前記測定光のうち前記第2の偏光状態と異なる第3の偏光状態の光と干渉可能な偏光状態となるように、前記参照光の光路および前記測定光の光路の少なくとも一方に配置され、前記参照光および前記測定光の少なくとも一方の偏光状態を制御し、
検出手段で前記合成手段によって合成された前記参照光および前記測定光を検出する
ことを特徴とする観察方法。



【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−202774(P2012−202774A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66646(P2011−66646)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】