角度分解能をもって放射線を検出するための検出器アセンブリ及びこのアセンブリを動作させる方法
前面(3)と、後面(4)と、前面(3)と後面(4)との間の第1及び第2の検出器材料と、を有する少なくとも1つの検出器エレメント(2)を用いて、角度分解能をもって放射線を検出するための、検出器アセンブリ(1)であって、検出器エレメントの前面(3)と後面(4)との間の空間は、複数の第1の検出器材料の領域(6)と、少なくとも1つの第2の検出器材料の領域(5)とで満たされ、それぞれの領域は前面(3)を検出器エレメント(2)の後面(4)へと結びつけ、放射線の(γ)の検出器エレメント(2)への前面(3)を通しての入射は検出器材料を用いてコリメートされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角度分解能をもって放射線を検出するための検出器アセンブリ、この検出器アセンブリを動作させる方法、及びこの検出アセンブリの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
今日では、アルファ、ベータ及びガンマ線等の非常に様々な型の、又は電子、中性子、イオン又は原子核等の粒子の放射線が、材料標本の分析のために用いられている。この型の放射分析は、例えば隠された爆発物のような危険な物質の位置特定及び同定のために行われる。しかしながら、画像化方法と組み合わせて医療分野でも、放射測定においても、物質の構造分析の研究においても、この型の放射分析は行われる。この場合、入射方向を確かめることを可能にし、又は放射線源を検出することを可能にする放射線検出器が、特に必要とされる。
【0003】
今日の方法においては、実際の検出器材料の前のホール又はラメラコリメータによって、検出される入射放射線はコリメートされる(照準を合わせられる)。通常は、この型のホールコリメータは、例えば鉛、タングステン、鉄又は真鍮のような原子番号の大きい材料の、小さい直径の穴が複数備えられた板から形成される。この方法により、例えばガンマ線のみが対応するコリメータを通過し、続けて検出器に認識されることが可能となる。
【0004】
この場合は、穴の軸と平行に、又は小さい開き角(aperture angle)で入射するガンマ線のみが評価において用いられるために、特に高い放射エネルギーにおける検出器の低感度が欠点となる。それゆえ、コリメータホール間の壁厚は、常に検出される放射線の吸収長よりも大きくなければならない。特に200keVより大きいエネルギーを持つ光子に対しては、コリメータホール間に必要な壁厚は、穴の直径を超えうる。透過率、すなわちそれぞれの検出器の全表面積(前面)に対する全てのコリメータホールの断面積は、低くなるだろう。すると、吸収断面積は実際、コリメータの貫通可能な表面積を超える。検出される粒子又は放射線のエネルギーが大きいほど、透過性は好ましくなくなり、それぞれの検出器の応答可能性も低くなる。このことは特に、高いエネルギーのガンマ放射線に当てはまる。先述のコリメータに基づく検出器とともに、例えばコンプトンカメラ又はポジトロン断層法(PET)におけるポジトロンカメラのような、コリメーションを用いずに方向を検出する方法もまた知られている。
【0005】
コンプトンカメラの原理は、対応する検出器システム上での放射線の入射方向を検出するために、先述の機械的なコリメーションの代わりに、電子的なコリメーションが行われることである。コンプトンカメラに入射する放射光子は、まずコンプトン散乱が起こる第1の散乱検出器を通過する。もし、散乱検出器が粒状の方法(granular manner)で設定されているなら、相互作用の位置が検出されるだろう。離れた第2の吸収検出器で、散乱された光子は完全に止められ、位置とエネルギーとを記録することが可能となる。もし散乱検出器及び吸収検出器における2つの散乱が一致することが示されたなら、その光子を放出した放射線源の位置は、頂点を散乱検出器の位置とする円錐表面に再構成される。放射線源の位置は、断層撮影法における適切な再構成アルゴリズムによって、決定されうる。この原理は、光子エネルギーが30MeVまでのガンマ線源の測定のために、天体物理学において最初に使われた。
【0006】
欠点は、せいぜい1回のコンプトン相互作用しか散乱検出器中で起こらないように、散乱検出器が非常に薄い必要があるということである。このことは、検出器中での相互作用の確率を実質的に減らす。さらに、光子エネルギーの吸収検出器中での完全なエネルギーデポジット(energy deposition)が保証されなければならないが、実際の検出器システムでは常に、このことは入射光子のほんの一部でしか達成されない。このことは、コンプトンカメラの効率を落とす。
【0007】
例えばきれいにされた区域中の地雷、又は荷物若しくは積荷中に隠された爆発物等の爆発物を特定することは、方位分解能を用いる検出器の特別の応用領域である。
【0008】
爆発物は、概して高い濃度の窒素化合物を有する。これらの窒素蓄積物の認識は概して、有機化合物やプラスチックの材料、砂又は土のようなより軽い原子に取り囲まれた状況で行われる。これらのより軽い原子は、地雷の場合には土の一部であり、又は分析される容器の主成分を構成する。これらの材料は、主に炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)、フッ素(F)、ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)等の軽い元素を含む。これらの原子は、中性子励起(中性子による活性化)下で高エネルギーのガンマ量子又はガンマ線を放出する。従来から、例えば空港において、透過X線デバイスが荷物検査のために使われている。しかし、この方法では元素に特有のシグナルは検出されず、爆発性デバイスはX線画像の形に基づいてしか検出されない。
【0009】
例えば「Detection of buried landmines and hidden explosives using neutron, X-ray and gamma-ray probes」G. Nebbia and J. Gerl in europhysics news, July/August 2005, pages 119 ffにおいて、中性子を用いるX線後方散乱検出器及び方法が、地面中の地雷の発見のために提案されている。この事例では、例えば後方散乱された中性子又は中性子捕獲によるガンマ量子が、シンチレーションカウンタで測定される。これは概して、地面に接近して動かす必要のある大きな体積の検出器アセンブリを必要とする。これは、例えば中性子活性化によって生成されたガンマ源の、地面上の検出システムに対する方向を検出することを可能にはしない。
【0010】
さらなる困難は、例えば窒素又は他の特徴的な材料若しくは元素の組成の特徴であり、それぞれの材料サンプルの組成に関して予測し、測定された強度スペクトルからの、爆発物の存在を検出するためのそれぞれの放出ラインの特定にある。不利なことに、このことは高いエネルギー分解能でのエネルギー分解分光を要求する。このことは、高い技術的費用を伴い、関係する検出器の低い信頼性につながる。
【0011】
本発明の目的はそれゆえ、角度分解能をもって放射線が検出されることを可能にする、改善された検出器アセンブリを提供することにある。本発明のさらなる目的は、空間的に検出された放射線から、予め決められた材料の存在を決定することにある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、請求項1の特徴を持つ検出器アセンブリと、本発明に従う検出器アセンブリを用いて、角度分解能をもって放射線を検出するための、請求項25に従う方法によって達成される。
【0013】
本発明に従って、角度分解能をもって放射線を検出するための、前面と、後面と、前面と後面との間の第1及び第2の検出器材料と、を有する少なくとも1つの検出器エレメントを備える検出器アセンブリが提供される。前記検出器エレメントの前記前面と前記後面との間の空間は、複数の第1の検出器材料の連続領域と、少なくとも1つの第2の検出器材料の連続領域とで満たされ、それぞれの領域は前記前面を前記検出器エレメントの前記後面へと結びつけている。第1の検出器材料のそれぞれの領域が、少なくとも1つの第2の検出器材料の領域に接するように、領域は配置される。本発明に従って、エネルギーデポジットは少なくとも前記第1の検出器材料の前記領域において、前記放射線の前記検出器エレメントへの入射角の関数として起こる。
【0014】
以下では、検出器材料は検出器エレメントの第1の領域と第2の領域との少なくとも一方のそれぞれの幾何学的な形状を満たすどんな材料をも意味するものとして理解される。本発明の特定の実施形態においては、第1及び第2の(検出器)材料のそれぞれは、例えば特定の放射線に対する吸収特性又はシンチレータ特性のような、予め決定された物理的性質を持つ。これらの検出器材料の1つが、ガンマ量子によって叩かれた時に、例えばシンチレーレョン光のような信号を渡す活性な材料であることが好ましい。この場合、他方の検出器材料もまた活性な材料あっても、不活性な材料、即ち関連する放射線又は量子に対する吸収材料として働いてもよく、後者の場合には放射線が入射しても信号を生成しない。
【0015】
検出器エレメントの範囲を定める表面又は壁を通って検出器エレメントにやってきた光子は、検出器エレメント中に存在する全ての粒子又は材料と相互作用する。例えば高エネルギーガンマ量子のような光子はそして、全て、又は通常は一部の自身のエネルギーを放出し、中でもコンプトン効果を介して電子を生成する。光子のエネルギーを増加させると、これらの電子は光子のあらゆる進入深さで生成され、前面、すなわちそれぞれの入射光子の方向に放出される。これらの一次電子をそれぞれの検出器材料の電子とさらにまき散らすことで、エネルギーを検出器材料へと移転する。これらの散乱過程において、検出器エレメントへの光子の入射の元の(前)方向が主要であって、方向はそれぞれの一次光子の軌跡によって決定される。
【0016】
検出器エレメントの前面への正面からの入射の場合には、検出器エレメントの領域のうちのただ1つの中での二次散乱カスケードを介して、入射光子がそのエネルギーの大部分の全体をデポジットすることが可能である。様々な検出器材料の領域の配置は、それゆえ優先角を与える。検出器材料それ自身はこのように本発明に従う検出器エレメント内の前面を介して検出器材料中にやってくる光子をコリメートする。この場合、コリメートは領域の形状に依存する。入射角は例えば前面、領域の優先角、又は他の適切な区別のある方向に対して定義されることができる。
【0017】
本発明に従う検出器アセンブリの実施形態において、前記領域は前記第1の検出器材料と前記第2の検出器材料との層として構成される。このことは、第1の検出器材料と第2の検出器材料との互い違いの層を結果として生じ、優先平面が検出器エレメントの前面の方向の層の平面を介して定義されることを可能とする。検出器エレメントの前面を通って出る方向の優先平面はそして、検出器エレメントの優先方向を表す。以下では、(検出器アセンブリによって検出される)放射線、量子及び粒子との用語が、同義として用いられる。好ましくは、本発明は高エネルギーガンマ放射線の検出に適用される。
【0018】
もしガンマ量子の前進方向が、層の層状構造(lamination)から生じる検出器エレメントの優先方向と同じ平面にある(同一直線上にある)なら、即ち検出器の前面が放射線源を向いているなら、二次電子がそれぞれのプレート又は層平面の方向に放出される。これらの二次電子がそれぞれのプレートの上又は下側を叩く可能性はより低く、二次電子は検出器エレメントのそれぞれの領域から出て、もしかすると他の検出器材料に吸収されるかもしれない。このことは、1つのプレートまたは1つの領域の検出器材料において、二次電子がそのエネルギーの全体を放出するチャンス又は可能性が高いことを意味する。この場合、検出器材料によって生成された信号は、電子のエネルギーの全体に対応する。例えばこの結果、コンプトン分布によって特定されるスペクトル形が生じる。
【0019】
もしガンマ量子が層の面に対してある角度で、前面を介して入ってくるなら、デポジット過程は複数の領域又は層において入射方向に起こる。検出器材料の一個における二次電子によるエネルギーデポジットは、このように層の面に関する入射粒子の角度に強く依存する。従って、本発明に従う検出器アセンブリを用いて、領域の形によって特定される優先角と、検出器エレメントと放射線源との間の接続によって示される方向との間の、少なくとも1つの角を導くことが可能である。さらなる検出器エレメントを用いて、第2の角がさらに決定されてもよい。従って原理的には、放射線源の方向を決定するために検出器アセンブリの位置に基づいて、方位角(azimuth angle)と極角(polar angle)とを計算することが可能である。
【0020】
好適な実施形態においては、少なくとも前記第1の検出器材料の領域が、底面領域と高さとを持つ多面体又は円柱に構成され、前記底面領域は前記検出器エレメントの前記前面と前記後面とに接する。前記多面体は、好適には角柱として構成される。本実施形態においては、本発明に従う検出器アセンブリは放射線の検出のために優先平面のみを与えるのではなく、多面体又は円柱の前面方向の対称軸に対応する優先方向が定義されてもよい。
【0021】
好適には、前記第1の検出器材料は、光子によって通過された時に検出可能な信号を与える活性な検出材料、特にシンチレータ材料を備える。前記第2の検出器材料の前記領域は、好適には前記検出器エレメントを通過する放射線又は粒子に対する吸収効果を有する。それゆえ、第2の領域として純粋な吸収材料が用いられる。第2の検出材料は例えば、鉄、空気、鉛、アルミニウムのうちの少なくとも1つを備える。
【0022】
優先平面又は優先方向に関して境界角よりも大きい角度で検出器エレメントに到達する粒子は、一方ではシンチレーション検出材料中で、他方では吸収材料中で、例えば交互にエネルギーをデポジットし、シンチレーション検出材料中でデポジットした場合にはエネルギーを光として検出することが可能である。検出されるであろう特定のエネルギーの放射線又は粒子についてのエネルギーデポジットの全体は、このように優先平面又は優先方向に基づく入射角に強く依存する。
【0023】
本発明の拡張において、前記第2の検出器材料もまたシンチレータ材料を備える。この型の「インタリーブ検出器」は、第1の領域に活性な検出器材料を、また第2の領域に活性な検出器材料を持ち、これらを別々に読み取ることが可能である。検出器材料は、相互に他のそれぞれの領域に対する吸収材として働く。
【0024】
シンチレータ材料は、好適には第1の検出器材料と第2の検出器材料との少なくとも一方に対する活性な検出器材料として用いられる。もし双方の領域が、異なる、又は同じだが別々に読み取られることができるシンチレータ材料を備えるならば、2つの材料中でデポジットされたエネルギーの同時評価によって、向上した方向又は角度分解能が可能となる。
【0025】
本発明に従う検出器アセンブリの拡張において、前記検出器エレメントは少なくとも前記第1の検出器材料の前記領域に前記後面上で連結され、シンチレーション光を検出する、好適にはエネルギー分解能を持つ光測定手段を備える。前記光測定手段は、前記第1の検出器材料の全ての領域からのシンチレーション光の全体を検出することが好ましい。例えば光電子増倍管のような光測定手段、又は他の信号解析手段は、こうしてシンチレーション領域内でデポジットされたエネルギーを測定する。デポジットされたエネルギーの波高スペクトルが、このように確認されてもよい。デポジットされた高エネルギー及び低エネルギーに対する計数レートは、異なる振る舞いをし、又はガンマ量子の放射線の、検出器エレメントの優先方向に関する異なる方向について変化するために、検出器エレメントが段階を踏んで小さい角度ずつ回転された時、検出器エレメントに対する対応する放射線源の角又は方向が導かれることができる。
【0026】
他の実施形態において、前記第1の検出器材料と前記第2の検出器材料との少なくとも一方の前記領域のそれぞれは半導体検出器を構成し、電気信号を読み取ることを可能とする。もし領域が半導体検出器として構成されるなら、入射光子放射線は、高速な電気信号として評価されてもよい自由電荷単体を生成する。もし半導体検出器が用いられるならば、追加の光測定手段は必要とされない。
【0027】
好適には、前記検出器エレメントは少なくとも1つの回転軸周りに回転可能であり、前記回転軸は前記前面と前記後面との間の接続に実質的に垂直である。こうして、検出器エレメントを回転することによって、検出器エレメントの優先平面又は優先方向を直接に放射線源に向けることが可能である。もし、例えば、ガンマ線源と例えば検出器エレメントの重心とを結ぶ線に対して、検出器エレメントが上若しくは下に(極角に従って)、又は左若しくは右に(方位角に従って)回転されるならば、検出器材料の領域中での二次電子のエネルギーデポジットに対する条件は変化し、移動面は回転方向の延長となる。この場合、例えば異なる検出器材料の水平面の層における、即ち極角πの、層状構造が存在してもよい。
【0028】
検出器材料は、特にガンマ放射線の吸収がコンプトン効果によって支配されるエネルギー範囲において、ガンマ放射線に応答することが好ましい。500keVからおよそ10MeVまでのエネルギー範囲において、コンプトン効果は検出器材料を備える検出器上への放射線入射の支配的な相互作用である。最大のエネルギー転移は、ガンマ量子とコンプトン電子とが実質的に同じ方向へ逃げるような散乱において起こる。対応するガンマエネルギーは、とりわけ中性子での材料サンプルの活性化から生じる。この場合、解析される予定の材料は中性子を衝突させられ、ガンマ量子を放出する。
【0029】
本発明に従う検出器アセンブリの拡張において、それゆえ中性子源が材料サンプルに中性子を照射するために備えられる。
【0030】
前記中性子源は例えばアルファ放射線によって前記中性子を生成する。従来技術では、ベリリウム核がアルファ放射線を衝突させられ、炭素と中性子とに分解する。この結果、約14MeVまでに上る連続スペクトルの中性子が生じる。
【0031】
前記中性子源は、目標に放射される加速された陽子、重陽子、ヘリウムイオン、アルファ粒子、又は三重陽子によって前記中性子を生成することが好ましい。
【0032】
さらに好ましい実施形態においては、前記中性子源は圧電結晶を備える。パイロ電気特性を有する圧電材料によって、例えば重水素を含む目標に放射される重水素核の生成のために高電圧を生成することが可能となる。対応する核反応において、3He、中性子、電子及びガンマ放射線が生成される。適切な中性子源は非常に小さく作られることができ、これは例えば「パイロ電気結晶によって駆動される核融合の観察(Observation of nuclear fusion driven by a pyroelectric crystal)」 B. Narnajo et al.著 Nature誌, 434巻, 1115-1117頁 (2005年4月28日)に記載されている。
【0033】
前記中性子源によって中性子の生成がさらに制御されうることが好ましい。
【0034】
さらなる実施形態において、励起放射線源が備えられ、前記励起放射線源は前記材料サンプル中で核反応が起こされるように材料サンプルを照射する。小さいプロトン加速器が、例として考えられる。
【0035】
本発明の拡張において、検出器アセンブリは複数の検出器エレメントを備え、前記複数の検出器エレメントは材料サンプルの位置の周りに、複数の前記前面がお互いを隠さない角度を形成するように配置される。前面の間の角は、大きい範囲が探索される(拡散コリメート)なら、例えば180°よりも大きいように選択されてもよい。単一のオブジェクトが解析される(収束コリメート)のなら、角が180°よりも小さいように設定されることもまた考えられる。
【0036】
この場合、検出器エレメントの前面又は優先方向の、他に対して回転された位置のために、ガンマ量子の異なる入射角が同じ源から生じるために、検出器エレメントの回転は必要ない。例えば、検出器エレメントの面の優先方向が、断層撮影認識が可能なように材料サンプルの周りに位置していてもよい。断層撮影再構成方法の使用が、特に適切である。
【0037】
前記検出器エレメントの前記領域と前記光測定手段との少なくとも一方に連結され、信号を評価する評価手段がまた備えられることが好ましい。この場合、前記評価手段は前記検出器材料中でデポジットされたエネルギーの分布、又はエネルギースペクトルを検出することが好ましい。
【0038】
本発明に従って、本発明に従う検出器アセンブリを用いて、角度分解能をもって放射線を検出するための、以下の方法の工程を備える方法が提供される。
【0039】
(a)第1のエネルギー範囲において前記第1の検出材料中でデポジットされた前記エネルギーのスペクトルを記録する工程と、
【0040】
(b)少なくともある回転角だけ検出器エレメントを回転させ、それぞれの回転角に対して(a)の工程を実行する工程と、
【0041】
(c)前記第1のエネルギー範囲において、異なった回転角に対して記録されたエネルギーを比較する工程。
【0042】
前記第1の検出器材料中でデポジットされたエネルギーが、少なくとも第2のエネルギー範囲において様々な回転角に対して記録されることが好ましく、前記それぞれのエネルギー範囲において記録された前記エネルギーが様々な回転角について比較される。
【0043】
この場合、エネルギー範囲はまた、例えばそれぞれの検出器の検出器限界にまで届く低エネルギーと高エネルギーとを含む完全なスペクトルを意味する。
【0044】
検出器エレメントがある回転角だけ回転すると、様々なエネルギー範囲における計数レート及びデポジットされたエネルギーは変化する。これらの検出特性は、検出器エレメントの優先方向が放射線源に近づく方向に回転された又は遠ざかる方向に回転されたかに依存する。スペクトルのより高いエネルギー部分に対しては、スペクトル中のそれぞれの計数レート又は強度は、検出器又は検出器の優先方向が放射線源から遠ざかって移動する時に減少する。スペクトルの低エネルギー部分で記録される事象の数は、同時に増加する。
【0045】
前記第1のエネルギー範囲と前記第2エネルギー範囲との少なくとも一方の中でデポジットされたエネルギーが最大又は最小である、優先回転角が確認されることが好ましい。すると、前記検出器エレメントに対する放射線源の方向が、前記優先回転角に基づいて決定されうる。
【0046】
本発明は、本発明に従う検出器アセンブリを用いて角度分解能をもって放射線を検出するための、以下の方法の工程を備える代わりの方法をさらに提供する。
【0047】
(a)前記第1の検出器材料中でデポジットされた全エネルギーのスペクトルを記録する工程と、
【0048】
(b)第1のエネルギー範囲においてデポジットされた第1のエネルギーを決定する工程と、
【0049】
(c)第2のエネルギー範囲においてデポジットされた第2のエネルギーを決定する工程と、
【0050】
(d)前記第1のデポジットされたエネルギーを前記第2のデポジットされたエネルギーと比較する工程。
【0051】
優先方向に対する角度が増加するに従い、コンプトンエッジの高さは加減され、検出器材料中でデポジットされたエネルギーに対する対応するスペクトルにおいて、エッジはより低いデポジットされたエネルギーの方向へ変位する。この変位は本発明に従い、様々なエネルギー範囲においてデポジットされたエネルギーと比較することによって検出されてもよい。
【0052】
前記記録されたスペクトルにおいて、コンプトンエッジが前記第1のエネルギー範囲にあることが好ましい。このことは、検出器エレメントへの放射線の入射角度の変化によって引き起こされるコンプトンエッジの変位が容易に検出されることを可能とする。
【0053】
前記2つのエネルギー範囲間の距離は、前記検出器エレメントのエネルギー分解能の関数として選択されることが好ましい。
【0054】
前記スペクトルは、エネルギーが前記第1の検出器材料中でデポジットされる事象の、前記デポジットされたそれぞれのエネルギーの関数としての分布を測定することによって記録されることが有利である。
【0055】
本発明に従う方法の発展において、中性子で照射することによって材料サンプルを活性化する工程が、さらに備えられる。
【0056】
方向パラメータを、前記第1のデポジットされたエネルギーと前記第2のデポジットされたエネルギーとの比から決定するために、工程がさらに備えられることが好ましい。前記方向パラメータは様々な検出方向に対して決定されることが好ましく、それぞれの前記検出方向は実質的に前記検出器エレメントの前記前面に対して垂直である。前記放射線源の前記検出器エレメントに対する方向が、そして前記方向パラメータから決定される。
【0057】
本発明に従う方法の発展において、第3のエネルギー範囲においてデポジットされた第3のエネルギーを決定するための工程がさらに備えられる。
【0058】
この場合、前記エネルギー範囲は重複しないことが好ましい。
【0059】
本発明に従って、第1、第2及び第3の色パラメータが、3つのデポジットされたエネルギーに割り当てられることが好ましい。人間の色視覚と類似のように、デポジットされたエネルギーの強度は、このように少なくとも3つのエネルギー範囲、又は波長若しくは周波数範囲、に対して用いられる。第1のデポジットされたエネルギーは第1の色パラメータを決定し、第2のデポジットされたエネルギーは第2の色パラメータを決定し、第3のデポジットされたエネルギーは第3の色パラメータを決定する。
【0060】
本発明に従って、探索されている材料の前記材料サンプル中の存在に関する判断がそして、好適には色パラメータに依存して行われる。この場合、予め決定された色パラメータの組み合わせが、例えば探索されている材料に対して割り当てられる。
【0061】
中性子で活性化された時に、活性化された材料は概して、検出されるためには使用される検出器の高いエネルギー分解能を要求する、特徴的なスペクトルラインを放出する。本発明に従って、検出される既知の材料のガンマ線放出スペクトルが、3つのエネルギー範囲に分割され、対応する参照色パラメータが予め決定される。検出された組み合わせと、これらの予め決定された色パラメータとを比較することにより、本発明に従って決定された検出器エレメント中でデポジットされたエネルギーのスペクトルの色パラメータから、探索されている材料を特定することが可能になる。
【0062】
この場合、ボリュームが例えば3次元色パラメータ空間中で確立されてもよい。もし本発明に従って決定された、3つの色パラメータから形成されたベクトルがこの型のボリュームの中に入るなら、探索されている材料は認識されていると考えられることができる。
【0063】
本発明に従う方法の特に有利な拡張において、第1の領域及び第2の領域が、活性で別々に読取可能な検出器材料を備える、検出器エレメントが使用される。この場合、前記第1、第2及び第3のエネルギー範囲に対して決定された、前記第1の検出器材料中でデポジットされた前記エネルギーと前記第2の検出器材料中でデポジットされた前記エネルギーとが、加えられる。合計の信号はしたがって、異なったエネルギー範囲において最初には別々に読み取られた色パラメータに対する信号から構成される。このことは、色視覚と類似の材料分析が、より信頼性を持って実行されることを可能にする。なぜなら、データにおいて2以上のファクタの改善を達成することが可能だからである。第1の領域と第2の領域との別々に読み取られた信号は、方向分析のために同時に別々に用いられる。
【0064】
本発明はさらに、分析される材料サンプル中の爆発物の検出のため、又は地雷除去における、本発明に従う検出器アセンブリの使用法を提供する。荷物検査、積荷検査又は地雷除去において、爆発物のような窒素含有材料の検出のために用いることは、特に有利である。
【0065】
本発明のさらなる有利な構成及び拡張は、サブクレーム及び以下で記述される実施形態の主題である。
【0066】
以下において例として、好適な実施形態と実施例とを用い、図面を参照して、本発明がより詳細に記述される。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に従う検出器エレメントを示す。
【図2】本発明に従う検出器アセンブリの第1の実施形態を示す。
【図3a】コンプトン散乱のクライン−仁科プロットを示す。
【図3b】ガンマ強度スペクトルを示す。
【図4】検出器エレメントを通る放射線の軌跡の経路を示す。
【図5】検出器エレメント中で移動した距離とエネルギーデポジットとを示す。
【図6】本発明に従う記録された強度スペクトルの分割を示す。
【図7a】、
【図7b】、
【図7c】、
【図7d】、
【図7e】検出器エレメントの様々な幾何学的な実施形態を示す。
【図8】本発明に従う検出器アセンブリからの記録したスペクトルのシミュレーションを示す。
【図9】本発明に従う検出器アセンブリからの記録したスペクトルのシミュレーションを示す。
【図10】本発明に従う検出器アセンブリの第2の実施形態を示す。
【図11a】、
【図11b】、
【図11c】、
【図11d】、
【図11e】、
【図11f】中性子活性化によって生成されるガンマラインを示す。
【図12】本発明に従う材料分析のための強度スペクトルの分割を示す。
【図13】本発明に従う方法の工程のシーケンスを示す。
【図14】本発明に従う検出器アセンブリの第3の実施形態を示す。
【図15】本発明に従う検出器アセンブリの第4の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0068】
図面において、類似の又は機能的に同一の要素は、特に明記されない限り、同じ参照番号を与えられている。
【0069】
図1は、本発明に従う検出器エレメント2を持つ検出器アセンブリ1を示す。図1に従う実施形態では、立方形の検出器エレメント2は、前面3及び後面4を備える。この事例では、ガンマ線γは、大部分が前面3を通って、検出器エレメント2に到達する。
【0070】
それぞれが第1の検出器材料と第2の検出器材料である互い違いの層5及び6が、備えられる。これらの層5及び6は、前面3を後面4へとつなぐ。例えば、層5はコンプトン散乱された電子の吸収材料から製造され、層6はシンチレータ材料から製造されてもよい。
【0071】
シンチレータ材料によって引き起こされる光放出は、好適には検出器エレメントの後面4において測定される。測定された光の量から、又はシンチレータ材料を含む層6においてデポジットされたエネルギーから、検出器エレメントの優先方向又は優先平面に対する放射線γの入射方向を決定することが可能である。この事例では例えば層5及び6により形成される検出器エレメント2において、層の平面を横切る優先平面が特定される。
【0072】
図2は、拡大された検出器アセンブリ100を示す。層状の部分から構成される検出器エレメント2は、吸収及びシンチレーション検出材料の互い違いの層5及び6と、ガンマ放射線γの放射線源の方向に実質的に向けられた前面3とを含む。後面4には光電子増倍管7が連結され、層又は部分6からのシンチレーション光の全体を検出する。この事例では、光陰極8が検出器エレメント2の後面に接触している。
【0073】
評価手段9は光電子増倍管7からのおおよその信号を読みとり、検出器領域5のシンチレータ材料においてデポジットされたエネルギーのスペクトルを特に生成する。評価手段9は、例えば適切なインタフェースを介して光電子増倍管に接続され、検出した事象の波高分析を行うコンピュータとして実装されてもよい。処理の間、シンチレータ材料中でエネルギーがデポジットされる事象は数えられ、デポジットされたエネルギーの関数として記録される。本発明に従って、検出器エレメントのそれぞれのガンマ放射線源に対する優先方向の方向又は角度が、記録されたスペクトルの形から決定される。また、それぞれのガンマ線源の元素組成が決定され、又は、前面に対する放射線源の方向が、検出器エレメントのそれぞれの位置の関数として読み取り可能な信号における変化から決定されうるように、検出器エレメントが検出器要素が向けられることと回転させられることとの少なくとも一方をされる。
【0074】
図2は、検出器エレメントの優先方向又は優先平面と、ガンマ量子の前進運動との間の入射角αを示す。この角度はまた、高エネルギーガンマ量子が入射した時に、電子が脱出する方向の優先角度でもある。本発明によれば、検出される放射線は検出器材料それ自体の中でコリメートされる。検出器エレメント2に対する複雑なコリメータは必要とされない。
【0075】
中性子によって活性化された材料によって生成されるガンマ放射線を検出する時には、500keVを超えるガンマ量子のエネルギーを通常伴う。この型の光子を検出器材料中で検出する時、光子のエネルギーは概して完全には電子に転移されず、閾値エネルギーEγ=1022keVを超える時には、光子のエネルギーは電子陽電子対にも転移される。
【0076】
以下で、本発明に従う検出器エレメントの機能、又は検出器アセンブリの機能が、部分的なガンマエネルギーの転移が起こる、平均エネルギーが100keVと10MeVの間のコンプトン散乱によって説明される。Eγ<100keVの低いエネルギーにおいては、光電効果を介する完全なエネルギー転移が優勢であり、Eγ≫1MeVの高いエネルギーにおいては、対生成を介する完全なエネルギー転移が優勢である。低いガンマエネルギーにおいては、光子の方向に対して大きな外側角で生成された電子は放出される。光子エネルギーがそれぞれの反応閾値から高いほど、多くの電子、もしくは陽電子さえもが、前方角度に、すなわちガンマ光子の方向に固まって散乱される。光電効果、コンプトン効果、及び対生成のような全ての吸収プロセスの場合のように、検出される放射線のエネルギーが増加するほど、二次電子又は陽電子もまたますます前進方向へ散乱される。ガンマ光子によって生成された電子は、固体中で容易に、すなわち短い距離を介して、減速されうる。それゆえ、コリメーション又は対応する信号の方向感度のある読み取りが、より容易である。
【0077】
本発明に従って、方向選択は、図1及び2に示されるように、層厚が平均電子範囲よりも小さくなるように選択され、例えば層又は板として、薄片となるように形成された、様々な検出器領域のジオメトリーによって行われる。エネルギーの一部分のみが優勢なコンプトン散乱プロセスを介して検出器に転移されるために、典型的にはこの結果1−2cmの板厚となる。検出板は、1つの電子が2つの異なった板において信号を生じないように、他の検出版から離されるべきである。例えばそれぞれの板が、不活性の吸収層によって活性な検出器素材から離されることによって、このことが達成されてもよい。鉛又は鉄のような強力な吸収材を用いると、概して数ミリメートルの層厚で十分である。
【0078】
本発明に従う検出器アセンブリは、コンプトン効果が優勢である500keVと10MeVの間のエネルギー範囲について、特に好適である。しかしながら、たとえほんの少しのガンマラインがコンプトンエネルギー範囲を超えたとしても、この検出器アセンブリは適用されうる。例えば、特に、10.8MeVの窒素ラインは検出されることができる。以下で記述される物理学的なプロセス及び検出方法は、コンプトン効果を用いて詳細に説明されるが、他のエネルギー範囲での適用にもまた適している。コンプトン効果により、光子の入射角と、生成されたコンプトン散乱された電子の脱出方向との間の、固定された関係が生じる。光子からコンプトン電子へと転移されるエネルギーΔEは、散乱角に依存する。最大エネルギー転移ΔEmaxは、180°又はπでの散乱の結果である。コンプトン電子はその場合、エネルギーEmaxで、入射光子と同じ方向への移動を続ける。最大エネルギー転移は、次のようになる。
【数1】
式中、ε=Eγ/mec2であって、mec2=511keVは電子の静止質量に対応する。
【0079】
図3Aは、クライン−仁科プロットの一部として、散乱の角度依存性を示す。有効断面積dσ/dΩが、電子の散乱角νに対して、バーン単位でプロットされている。ガンマエネルギーが増加するにつれて、コンプトン電子はますます前進方向へと散乱される。このことは、対生成及び光電効果にも当てはまる。図3Aでは、ε=1、Eγ=0.5MeV、及びε=5、Eγ=2.5MeVである。ε=1の時でも、電子は既に前進方向へ強く散乱されている。
【0080】
コンプトン電子は、検出器材料のさらなる殻電子との衝突によってその運動エネルギーを失い、このことがイオン化につながる。二次電子とのさらなる衝突によっても、散乱の最初の前進方向は、モーメント保存のために、高いエネルギーにつながる。生成された電子は、このようにもとのガンマ量子の前進方向に脱出する確率が高い。このことにより、放出された電子の「前方カスケード」が生じる。結果として生じる二次電子は、そのエネルギーを材料にさらにデポジットし、シンチレータ検出器材料において光放出を引き起こす。これは、例えば光電子増倍管7によって記録される。生成され、評価手段9へと伝えられる、対応する電子信号は、検出器のシンチレータ材料でデポジットされるエネルギーに釣り合っている。対応する波高スペクトルは、その時コンプトンエッジと光ピークとを有する。
【0081】
図3は、例として、エネルギーEγのガンマ量子による散乱に対する電子のスペクトルを示す。コンプトン連続部(Compton continuum)CCは、最大転移エネルギーEmaxに至るまで得られ、最低エネルギーは散乱角θ=0°において得られる。また、コンプトンエッジCEを形成する最大エネルギーEmaxは、θ=πである前進方向への散乱によって得られる。光ピークPPがさらに示され、光ピークPPはコンプトンエッジCEからEc=Ey−Emaxの距離に生じる。
【0082】
本発明に従って、エネルギーデポジットは前面と後面との間の検出器のボリュームの全体では感知されず、シンチレータ材料を構成する特定の領域又は部分においてのみ感知される。このことは、エネルギーデポジットの方向依存的な変化が、コンプトン電子によって生じさせられ得ることを意味する。本発明によれば、それぞれのシンチレータ材料においてデポジットされたエネルギーと釣り合った光の量が、光検出器によって検出される。光電子増倍管7が、検出器エレメントのどちら側に配置されているかは、大きな違いを生まない。
【0083】
説明を簡単にするために、最大の散乱角、すなわち180°、を有するコンプトン電子のみが考察される。CSDAモデルに照らすと、これらのコンプトン電子は、そのエネルギーを、それぞれの入射ガンマ量子の方向に伸びる経路に沿って放出する。CSDAは、連続的減速仮定を意味する。検出器エレメントでのガンマ量子の入射角及び位置に従って、異なったエネルギーデポジットがシンチレータ材料中で生じる。
【0084】
図4は、本発明に従う検出エレメント2を通る、起こり得る軌跡を示し、図5はそれぞれのシンチレータ材料中での軌跡の残る経路長SSZと、それぞれのガンマ量子のエネルギーデポジットとを示す。
【0085】
図4において、それぞれの相互作用点W、すなわちそれぞれの180°コンプトン散乱の位置が、塗りつぶされた丸で示される。一点鎖線及び波線は、接近する光子を示す。塗りつぶされた矢を持つ矢印は、シンチレータ材料中でのコンプトン電子のエネルギーデポジットを示し、中の空いた矢を持つ矢印は、検出器領域5の、吸収材又は非シンチレータ材料中でのエネルギーデポジットを示す。
【0086】
正面から、すなわち検出器材料層5、6の面に平行に入射する場合、そして軌跡T1で示されるようにガンマ量子がシンチレータ検出器材料の領域6に入る場合、検出器エレメントの1つの部分又は1つの層においてエネルギーの全体がデポジットされる。シンチレータ材料の領域におけるそれぞれのエネルギーデポジットEdepは、図5により詳細に示される。
【0087】
図5はまず、図4に示される軌跡T1からT6に対する、シンチレータ材料中での残る経路長SSZを示す。図5はさらに、シンチレータ材料中でのエネルギーデポジットEdepの対数表現を、経路長SSZの関数として示す。
【0088】
もし検出器領域の長さLがRCSDA、すなわちそれぞれの材料中での放射線の範囲よりも大きいなら、シンチレータ材料中での最大のエネルギーデポジットは、検出器エレメントに対する軌跡T1に沿った正面からの入射に対して起こる。電子エネルギーの全体が、そうしてシンチレータ検出器材料を伴う検出器領域の1つの中でデポジットされる。このことは、コンプトン電子の全てのエネルギーに当てはまる。
【0089】
図5に従って、軌跡T1の全範囲にわたるシンチレータ材料中でエネルギーはデポジットされ、このエネルギーは例えば付属の光電子増倍管7によって測定される。
【0090】
入射角αが増加するにつれて、全てのエネルギーのコンプトン電子が、エネルギーの一部をシンチレータ材料中ではなく、吸収材層5の1つの中でデポジットする可能性が増加する。このことは、それぞれの電子エネルギースペクトルについて、それぞれの活性な検出器層の中での完全なエネルギーデポジットの確率を下げる。
【0091】
例えば軌跡T4については、エネルギーデポジットはまずシンチレータ材料中で起こり、次に吸収材料又は非シンチレータ材料中で起こり、さらにもう一度シンチレータ材料中で起こる。シンチレータ中での残る軌跡長は、それゆえ軌跡T1と比べ、相当に小さくなる。
【0092】
シンチレータ材料中でのエネルギーデポジットのグラフもまた、明白に段々を示しており、この段々は吸収材料中でのエネルギーデポジットによって引き起こされる。シンチレータ材料又は吸収材料の領域の厚みdSZ及びdnszが小さいほど、対応するシンチレータ材料部分中での不完全なエネルギーデポジットの確率が高くなる。
【0093】
もしシンチレータ材料中でのコンプトン電子の範囲RCSDAが、領域の幅dSZよりも大きいなら、この角度からは最大エネルギーEmaxは単一のシンチレータ部分においてもはやデポジットされないような、臨界角αgrが生じる。
(式2) Edep(α≧αgr)<Edep,max.
【0094】
もしシンチレータ領域及び非シンチレータ領域の幅dSZ、dnszがそれぞれの範囲よりも小さいなら、複数のシンチレータ部分中でエネルギーがデポジットされる確率は、入射角αが増加するにつれて増大する。k=2,3,4…のシンチレータ領域におけるエネルギーデポジットは、少なくとも距離Snsz≧k・dnsz/sinαが以前に非シンチレータ材料中でカバーされていることを必要とする。それぞれのデポジットされた電子のエネルギーは、こうして二次電子によって通過されたシンチレータ部分又は領域の数とともに減少する。この角度からはk=2,3,4等のシンチレータ部分中でのエネルギーデポジットが起きるような臨界角が、それゆえ決定されてもよい。
【0095】
もしコンプトンエッジのガンマ量子だけでなく、コンプトン電子の全てのスペクトルのディレクション放出が考慮されるなら、図3Aに示されるように全てのコンプトン電子の強い前進方向への散乱が引き起こされ、モーメント保存則に従ってより穏和なガンマエネルギーでさえ発見される。このことは、検出器エレメントを放射線源に対して完全に又は正確に一直線にすることにより、低いエネルギーの電子であってもそのエネルギーを目標材料又はシンチレータ材料中で完全にデポジットすることができることを意味する。もし検出器エレメントが放射線源に対してある角度で回転させられたならば、たくさんの低エネルギー電子が吸収材料の中に入り、検出器信号に寄与することなくエネルギーを失うだろう。全体として、検出器スペクトルにおいて高いエネルギー信号が失われ、全体のスペクトルがより低いエネルギーへとシフトすることを、このことは意味する。
【0096】
二次電子がこのように斜めに第1及び第2の部分の層又は板を通過するために、このことは、例えばSSZ=dSZ/sinαの、層当たりの最大経路長に帰着する。電子は板長のどの点においても生成しうるために、電子がエネルギーを放出する経路は限定され、電子はそれぞれの検出器材料中でその一部のエネルギーのみを放出するかもしれないことを、このことは意味する。残るエネルギーは、隣り合った吸収材料中で放出される。このように、デポジットされたエネルギーの全体のスペクトルは、低いエネルギーへとシフトする。
【0097】
移動可能な検出器、又は互いに異なった角度で配置される複数の検出器で、異なった入射角でのこの型のエネルギースペクトルを記録することで、検出器エレメントの優先方向又は前面がガンマ線源に対して正面に向けられた時に、高エネルギー部分が最大であるスペクトルを生成する。
【0098】
入射放射線を使用される検出器エレメントの優先方向に対して一直線にすることは、二次電子によって検出器中でデポジットされるエネルギーのスペクトルを記録することによって行われてもよい。この目的で、検出器エレメントの様々な回転角βについて、スペクトルが記録され分析される。処理において、それぞれの回転角で記録されたスペクトルは、複数のエネルギー範囲に分割され、その範囲でデポジットされたそれぞれのエネルギーが測定される。これらのエネルギーは、以下で記述されるように、強度についての積分であると考えられてもよく、又は対応する強度ヒストグラムのインディビジュアルチャネル数がまた使われてもよい。ガンマ量子の検出器エレメントに対する正面からの入射では、散乱された二次電子さえもがガンマ方向に移動し、1つだけの検出器層にエネルギーをデポジットするために、スペクトルの高エネルギー部分は最も大きくなる。最も単純な場合には、例えばコンプトンエッジの近くの、より高いエネルギー範囲とより低いエネルギー範囲との2つのエネルギー範囲が、高エネルギー部分を推定するには十分である。
【0099】
検出器エレメントはこうして、高エネルギー成分が最大となるような回転角で回転され、関連するスペクトルの低エネルギー部分は通常の回転角と比べて最低になる。こうして、優先方向、又は図1、2、若しくは4に示されるように検出器が層にされる方法で構成されている場合の前面は、放射線源の方向を示す。
【0100】
本発明に従って検出器エレメントに対する放射線の入射方向を決定するために、本発明に従う検出器に対する代わりの可能な方法では、適切な方向パラメータrが決定され、方向パラメータrは記録されたスペクトルの二つの積分の比に依存する。
(式3) r=I1/I2
ここで、I1は例えばコンプトンエッジ近傍での積分を示し、I2はコンプトンエッジCCから十分な距離にあるコンプトン連続部中の低エネルギー領域にわたる積分を示す。この場合積分I1はそれゆえ低エネルギー範囲をカバーし、積分I2は高エネルギー範囲をカバーする。図6は、積分
【数2】
についての考えられる積分範囲を示す。この積分において、積分範囲Ea及びEbはコンプトンエッジがあると想定されるエネルギー範囲をカバーし、積分範囲Ec及びEdは、前に記したように、コンプトン連続部中で範囲を定める。
【0101】
この場合の積分範囲Ea、Eb、Ec、Edの選択は、好適には検出器のエネルギー分解能R(E)=ΔE/Eに依存する。この場合のΔEは、モノエネルギー光子によって形成される光ピークの半値幅に対応する。エネルギー依存分解能R(E)=ΔE/Eとして、次のことが間隔の距離、すなわちEaとEbとの間の距離に対して当てはまる。
(式5) Ea−Ed>R(Ea)・Ea and Ea−Ed>R(Ed)・Ed
【0102】
それぞれの入射角は、方向パラメータrから決定されてもよい。検出される放射線の正面からの入射、又は小さい入射角αでの入射に対しては、積分I1が優勢であり、一方入射角αが増加するにつれて方向パラメータrは減少する。検出器エレメントの向きを変え、又は回転することによって、方向パラメータrに対する最大値が得られるだろう。そして、検出器エレメントの優先平面に対する対応する放射線源の方向が、決定されるだろう。図1、2及び4により示されるシンチレータ材料と非シンチレータ材料とが層になった構成では、層と平行な優先平面が得られる。
【0103】
本発明に従う、層でできている2つの検出器エレメントの組み合わせにおいて、検出器エレメントの優先平面はもう一つと垂直に据え付けられ、方位分解能は2つの検出器エレメントの優先平面を交差させることによって達成される。図7は、シンチレータ検出器材料と非シンチレータ検出材料との領域の、可能な代わりの構成の例を示している。この図において陰のある領域はシンチレータ材料又は活性な検出器材料の領域を示す。
【0104】
例えば図7bは、互いに垂直に向けられた2つの検出器エレメント2を示す。もちろん、シンチレータ及び非シンチレータ検出器材料の領域を、多面体として構成することも可能である。例えば、図7aは実質的に正方形の底面と、吸収材料又は非シンチレータ材料5と、シンチレータ材料6とが格子状に配置された部分とを持つ、多面体のブロックを示す。図7d及び図7eは検出器エレメントを示し、図7dでは底面が六角形の多面体から同様に構成されており、図7eでは底面が三角形の多面体から同様に構成されている。図7cに示されるように、対称軸が平行となるように構成され、非シンチレータ材料によって取り囲まれた、シンチレータ材料の円筒状領域の配置もまた考えられる。図7では、優先方向はそれぞれの場合においてベクトル
【数3】
で表されている。
【0105】
シンチレータ材料、及び吸収材又は非シンチレータ材料の領域の代わりに、半導体検出器として働く半導体材料もまた、シンチレータ材料のために使われてもよい。それぞれのデポジットされたエネルギーを特定する信号は、そのときはそのそれぞれの活性な領域から直接読み取られてもよい。
【0106】
本発明に従う検出器アセンブリの、同様に変更された構成においては、第1及び第2の領域が活性な検出器材料を構成し、2つの領域がそれぞれ別々に読み取られることが可能である。このとき、第1の領域の材料は第2の領域の材料に対しての吸収材として働き、逆もまた同じである。この場合は2つのインタリーブされた検出器エレメントとして考えられることもでき、2つの検出器エレメントの活性な層(活性な検出器材料の領域)が互いに入り込み、歯のように互いにかみ合っている。この場合層厚は、2つの材料について同じでも異なっていてもよい。化学的に同じ、又は異なった材料組成もまた可能である。
【0107】
図8及び9は、層状に構成された本発明に従う検出器エレメントについての、異なった層厚dSZ、dnsz及びガンマ放射線の入射角αに対する、出願人によるシミュレーション結果を示す。この場合、光子エネルギーが4MeVであるモノエネルギー光子ビームが仮定される。シミュレーションされた検出器エレメントは、実質的に図1に示される実施形態に対応し、有機シンチレータであるポリビニルトルエンの、寸法が44×44mm2である正方形の板の積み重ねが、それぞれの場合においてシンチレータ材料を構成する領域として仮定され、鉄が吸収材料として考えられる。
【0108】
図8はシンチレータ材料の部分について厚みdSZ=9.5mmであって、鉄板について厚みdFE=1.6mmである、6つの板の対について、それぞれのシンチレータ材料中でデポジットされたエネルギーのスペクトルを示す。図9は、dSZ=2.4mmであってdFE=0.4mmである24の板の対から組み立てられる検出器エレメントに対するスペクトルを示す。本発明に従う検出器エレメントは、それゆえ約67×44×44mm3という小さい体積しか持たず、よって操作が容易であり、多数の使用法がある。
【0109】
ρSZ=1.032g/cm3の厚みと、C10H11の化学量論的な組成が、シンチレータ材料であるポリビニルトルエンについて仮定される。ρFE=7.874g/cm3の厚みが、鉄について仮定される。検出器エレメントのエネルギー分解能は、R=0として考えられる。図8及び9は、検出器エレメント中での事象のヒストグラム又は分布であって、合計106個の光子であることを明記する。この事例では、検出器エレメントのそれぞれの断面は、均等に放射線を照射される。
【0110】
図8の構成、すなわち6つの板の対の構成においては、入射角α=0°及びα=30°において、コンプトンエッジCEが明確に認識されることが可能である。入射αが増加するのに従い、スペクトル中の高エネルギー事象の割合は減少する。記録されたスペクトルの形のより大きい方向依存性が、24の板の対の構成である図9で見られる。24の板の対、従ってまた比較的小さい板厚では、この角度からスペクトルの形が実質的に変わるような角度である臨界角αgrが、図8に従う構成よりも小さい。約3MeVで起こるピークは、対生成のダブル・エスケープ・ピークに対応し、ガンマエネルギーから1.022MeV下で起こる。
【0111】
方向分解能を用いたガンマ放射線の検出と並んで、本発明は、分析される材料サンプル中の特定の元素を認識することをさらに可能にする。例えば地雷除去のための爆発物の検出は、この場合における特定の応用分野である。
【0112】
方向分解能を有する検出器アセンブリのさらなる実施形態はそれゆえ、例えば地面の特定の範囲である材料サンプルに中性子を衝突させるための中性子源を提供する。衝突させられた素材はこうして活性化され、特徴的なガンマ線を放出する。
【0113】
図10は、本発明に係る対応する検出器アセンブリ200を示す。中性子源が備えられ、好適には一直線に中性子nを放出し、材料サンプル12はこの中性子を照射される。中性子が捕獲された時には、これとともにガンマ量子が放出され、回転可能なように構成された本発明に従う検出器エレメント2によって検出されるように、それぞれの材料サンプルにおいて核反応が起こる。前に説明されたように、活性な検出器材料でデポジットされたエネルギーの全体を測定し、測定したエネルギーを評価手段9へと送る光電子増倍管7が、この目的のために備えられる。回転し、方向パラメータrを決定することによって、ガンマ源すなわち材料サンプル12の位置が、方位分解能をもって決定されるかもしれない。
【0114】
地球の表面の素材は、水素、炭素、窒素、酸素、マグネシウム、ケイ素、アルミニウムのような軽い元素を多く含む。二酸化ケイ素、珪砂、及びアルミニウムマグネシウムシリケートは、特に多く存在する。中性子のエネルギーが増加すると、これらの元素の中性子吸収断面積は減少する。4MeV以下の中性子は、特によく捕獲される。例えば、熱中性子の吸収断面積は、炭素については3.3mb、酸素については<0.2mb、窒素については80mb、マグネシウムについては63mb、ケイ素については130mb、アルミニウムについては230mbである。特に窒素、マグネシウム、ケイ素及びアルミニウム元素においては、中性子捕獲は4.5〜10MeVの間のエネルギー獲得につながる。これらの励起状態は、1以上の中間状態を経由して、ガンマ線を放出しながら基底状態に戻る。窒素のみが、角運動量j=3/2から1/2、10MeVから10%の確率での、直接遷移を有する。通常は、対応するガンマスペクトルにおいて、2.5から7.5MeVの間のエネルギーで、3から5の主なラインが得られる。
【0115】
図11は、窒素、マグネシウム、ケイ素、アルミニウム及び炭素の、中性子反応又は中性子活性化の後のガンマ線の典型的な放射量(図11aからe)と、対応する元素又は材料サンプルの混合物となる典型的な放射量(図11f)とを示す。この事例においては、放射量は捕獲された100の中性子あたりのガンマ量子数を与える。特に、爆発物の認識にとって重要な中性子は、4つの目立って大きいラインを5から6.5MeVの間に有し、10.8MeVに10%の励起を有する。
【0116】
高分解能の分光法が、結果として得られたガンマスペクトルのそれぞれのラインを分解するために通常試され、こうして窒素貯蔵物の存在を確かめる。しかしながら、対応する検出器の高エネルギー分解能は、異なる元素のラインを区別することが可能であるためには、非常に低い応答可能性と、非常に高い装置の費用とに関連する。図11fに示されるように、これらの元素のラインは互いに非常に近い。
【0117】
本発明によれば、極めて高分解能のガンマ分光は行われないが、最初にそれぞれの検出器エレメント上に入射した放射線の方向を解明するために、図9に示されるようなスペクトルが記録される。それぞれのガンマラインは、本発明に従う検出器エレメントにおいて広いコンプトン分布を生成するが、その分布は図8及び9から分かるようにコンプトンエッジから低いエネルギーまで広がる。探索されている材料、例えば窒素を、中性子で活性化された材料サンプル中に検出するために、記録されたスペクトルを少なくとも3つの部分に分割し、全体の強度をこれらの3つの範囲に亘るそれぞれの場合において決定し、それぞれの強度に対して色パラメータを決定することが、本発明に従って提供される。
【0118】
本発明に従って、色の視覚と似た認識方法が、材料サンプル中の特定の元素を検出するために用いられる。図12は例として、記録された強度スペクトル、すなわち記録された活性な検出器材料中、すなわちシンチレータ材料中でデポジットされたエネルギーの分布を示す。この事例では、CEは最大エネルギーデポジットEmaxについてのコンプトンエッジを示す。デポジットされたエネルギーは、最初に第1のエネルギー範囲、例えば0とE1との間で検出される。
【0119】
0とE1の間での強度dN/dEの積分がまた計算され、第1の色パラメータF1がこうして決定される。第2のエネルギー範囲E1からE2の間でデポジットされたエネルギーが計算される。すなわち、第2の色パラメータF2を決定するために、E1とE2との間での積分が計算される。最後に、本発明に従って、対応する積分を計算し、色パラメータF3を導出するために、E2とE3との間で積分が行われる。例えば、エネルギー範囲は1MeVから3MeVの間、3MeVから5MeVの間、及び5MeVより上であってもよい。
【0120】
特徴的なスペクトルが、従って色パラメータF1、F2及びF3の特徴的な組み合わせが、例えば図11に示されるそれぞれの元素について得られる。色視覚と同じように、色の印象を伴う全体の色信号が、3つのエネルギー又は周波数範囲から得られ、これは実質的に人の色視覚における3原色である赤、緑、及び青に対応する。本発明に従って、(F1,F2,F3)の組み合わせによって、色の印象は測定されたスペクトルから決定される。
【0121】
座標F1、F2、F3によって張られるこの型の三次元色空間においては、検出されたそれぞれの元素に対して、色空間においてベクトル、又は少なくともボリュームを割り当てることが原理的に可能である。もし、未知の材料サンプルのスペクトルに対して測定された又は計算された色パラメータ(F1,F2,F3)の組み合わせが、この型のボリューム中に現れるならば、探索されている元素が認識される。このように、本発明に従う検出器のいくらか低いエネルギー分配能にもかかわらず、スペクトルの色分析を十分に高い計数レートで行うことができ、例えば中性子で活性化された材料サンプルの材料がこのように認識されるだろう。
【0122】
本発明はその結果、方向情報に加えて「色情報」が決定されることを可能にする。「色情報」は、分析される材料の元素分析に用いられる。本発明に従う層状の検出器エレメントの実施形態では、色シフトが得られ、正面からではないガンマ照射の場合には小さい信号につながる。このことは、窒素検出の場合には特に有利である。高エネルギー部分が窒素のラインについては優勢であるために、検出器の優先方向が探索されているオブジェクト、又は材料サンプルを指している時、測定されたスペクトル中で窒素のシグナルは残りの元素から特にはっきりと目立つ。
【0123】
地雷を検出するための本発明に従う方法及び検出器アセンブリの使用は、図13に示される、次の方法の工程を伴う。第1の工程S1において、分析される材料、例えば地面の一領域は、中性子源を用いて中性子を照射され、このことは材料中での核反応につながる。工程S2において、分析される地面の領域に対する検出器アセンブリの優先方向を設定された角度として、シンチレータ材料中でデポジットされたエネルギーが記録され、方向パラメータが決定される。このことは、複数の変えられた入射角α又は回転角に、検出器エレメントを回転することによって達成される(工程S21)。最大の方向パラメータrは概して、優先軸又は検出器エレメントの方向が放射線源の方を向いていることを示す。方向は最初にはこのように認識される(工程S3)。代わりに、工程S2及びS21において、スペクトルのそれぞれの高エネルギー成分又は低エネルギー成分が、様々な回転角で検出される。関連するスペクトルの高エネルギー成分が、他の回転角で記録されたスペクトルに基づき、最大を示す優先回転角は、検出器エレメントに関する放射線源の方向を与える。
【0124】
続けて、色分析が工程S4で行われる。すなわち、少なくとも3つのエネルギー範囲が選択され、そこに表される検出器エレメントのシンチレータ材料中でデポジットされたエネルギーが、色パラメータF1、F2、F3として計算される。これら3つの得られた色パラメータF1、F2、F3から、窒素含有材料、特に爆発物の存在が、例えば既知の色パラメータの組み合わせと比較することにより認識されることができる。
【0125】
同じ方法の工程の順序が、荷物又は積荷の分析において提供される。
【0126】
重水素−三重水素生成器又は放射性のシステムは、考えられる中性子源である。中性子生成器は、実質的に14.4MeVのエネルギーの中性子の等方性の分布を生成する、t(d,n)4Heの反応を用いる。しかしながら、重陽子を加速するためには、比較的大きな生成器を必要とする、300kVの電圧が必要とされる。
【0127】
小型の、比較的低いソース強度の中性子源として選ばれるものには、半減期2.6年で中性子エネルギー数MeVの252Cfのような中性子放出源が含まれる。アメリシウム及びベリリウムの放射量を増加させるために、粉末状に混合されたアメリシウム−ベリリウム試料を用いることも可能である。この形の試料もまた、一様で等方性の中性子の流れの分布を与える。しかしながら、この型の中性子源を輸送する時には、重い吸収材が遮蔽のために必要とされる。
【0128】
この理由のために、地雷を探索している時の移動可能な使用のためには、スイッチを切られることができる中性子源が使われることができ、241Amのようなα線源とベリリウムターゲットとが隔離されている。箔のように大きい面積を持つように形成されたα線源の場合には、ベリリウムターゲットは短い距離離れて存在する。ベリリウムターゲットにぶつかるα粒子は衝突に際して、主に前進方向に、2.5MeV周辺の幅広い中性子スペクトルを生成する。α線エミッタとベリリウムターゲットとの間の距離を増加させることによって、又は吸収材を導入することによって、中性子の生成を中止することが可能である。このことは、高価な中性子遮蔽なしに、安全に運ぶことを可能にする。
【0129】
本発明に従う検出器アセンブリはまた、断層撮影の応用例にも用いられることができる。図14は、本発明に従う複数の検出器エレメント2が備えられ、材料サンプル12の周りに配置された、本発明に従う検出器アセンブリ300を示す。材料サンプル12は例えば、局在化した量のガンマ線放出材料を含む、1つの荷物又は積荷であればよい。ガンマ放射線源13のようなガンマ線放出材料は、例えば爆発物のカプセルを中性子で活性化することにより生成されるだろう。
【0130】
関連する光電子増倍管7のそれぞれの検出器エレメントは、それぞれ評価信号AS1〜AS6を電子評価手段9へと提供する。本発明に従う方法に従って得られた様々な方向データから、ガンマ放射線源13の位置が正確に決定されるだろう。評価手段9に連結された表示デバイス14は、例えば材料サンプル12に含まれているガンマ線源の画像を提供してもよい。
【0131】
検出器エレメント2のそれぞれの優先角度と放射線源13との間の、少なくとも1つの角度を示す方向データを評価する時には、従来からの画像化方法に従って、画像が生成され表示されてもよい。本発明に従う方法及び検出器アセンブリは、このように材料分析における優れた使用法に使われることができる。
【0132】
図15は、複数の検出器エレメント2が、回転角と等しい角度βだけそれぞれが回転されるように配置されている、検出器アセンブリの第4の実施形態を示す。それぞれの検出器エレメント2は、それぞれの光電子増倍管7を介して、活性な検出器材料中のコンプトン電子のスペクトルを記録する。ガンマ線源12に基づいて、点線によって示される検出器エレメントの優先方向に対する、それぞれの入射角α1、α2、α3がそれぞれの検出器エレメント2に対して得られる。予め決定されたエネルギー範囲において、異なった角度βで記録された検出器材料中でデポジットされたエネルギーを比較することにより、最大の高エネルギー強度が得られる方向が決定されるだろう。例えば、第1の低エネルギー範囲においてデポジットされたエネルギーが3つの検出器エレメントにおいて測定され、それぞれが比較される。第2の、より高いエネルギー範囲におけるデポジットされたエネルギーの同様の比較は、次に行われる。ガンマ放射線源はすると、記録されたスペクトル中で高エネルギー部分が低エネルギー方向へと最小量だけシフトされている検出器エレメントの、優先方向にあるものと仮定される。
【0133】
本発明はこのように、方向依存的な高エネルギー光子の検出を可能にし、コリメーションはそれぞれの検出器材料中で行われる。不活性の吸収材層を避けることにより、コリメーションホールによる外部でのコリメーションによるよりも、より高い効率が達成される。活性検出器材料による実際の検出器の前面に、入射ガンマ量子のためのコリメータを構築することは、このように必要とされない。本発明に従えば、検出器アセンブリの伝達を低下させる、どんな種類のコリメータも、検出器エレメントには与えられない。固定されたコリメータは特定のエネルギー範囲に対してのみ最適化されうるが、一方本発明に従う構成は柔軟に最適化されうる。従来からの入射ガンマ量子のコリメーションの代わりに、例えば対生成との少なくとも一方によって検出器材料中で生成された電子が、検出器内でコリメートされる。入射光子によって生成された電子はそれゆえより容易に、すなわちより短い距離で、それぞれの検出器材料(固体)中で減速されることもできる。同時測定が必要とされないために、より簡単な情報処理もまた可能である。特に窒素含有爆発物の励起のための中性子源と組み合わせて、例えば地雷の検出又は荷物及び積荷の分析が可能である。
【0134】
本発明に従う、色分析と類似の方法による材料サンプルの元素組成の決定も、簡単なやり方で可能である。
【0135】
検出器エレメントは、単純な標準化されたコンポーネントを用いて製造されうる。特に外部のコリメーション手段を有さない検出器エレメントの、小さな実施形態は、可搬な手段として用いることを可能にし、画像化応用例において検出空間が本発明に従う検出器エレメントに備えられることを可能にする。
【0136】
本発明が好適な実施形態によって詳細に説明されたが、これらに限定されるものではなく、多くの方法によって修正されてもよい。特に、詳細に記述された層の構成は変更されてもよい。検出器エレメントの優先方向に対して異なった角度で入射するガンマ放射線の軌跡において、複数の検出器材料を貫通することが必要である。この優先方向は、活性な検出器材料と吸収する検出器材料との、異なった検出器領域のそれぞれのジオメトリーによって得られる。図1及び7に示されるジオメトリーの他の修正が、この場合もちろん可能である。また活性検出器材料を読み取るためには、例として挙げると光測定手段又は光電子増倍管以外の、他のデバイスも考えられる。
【0137】
詳細な説明中で特定されたエネルギー範囲は、コンプトン電子の軌跡及びエネルギーデポジットを根本的に変えることなく、変更されてもよい。当然、述べられた地雷検出及び荷物の取り締まり又は断層撮影への応用の例の他に、本発明は多くの方法で用いることができる。
【符号の説明】
【0138】
1 検出器アセンブリ
2 検出器エレメント
3 前面
4 後面
5 第1の領域
6 第2の領域
7 光電子増倍管
8 光陰極
9 評価手段
10 表示手段
11 中性子源
12 材料サンプル
12 ガンマ放射線源
14 表示手段
AS1−AS6 評価信号
γ ガンマ放射線
S1−S4,S21 方法の工程
CE コンプトンエッジ
F1,F2,F3 色パラメータ
α 入射角
【数4】
方向ベクトル
PP 光ピーク
SSZ シンチレータ中の経路長
SNZ 吸収材中の経路長
T1−T6 軌跡
RCSDA 連続的減速仮定に従う範囲
dNSZ,dSZ 厚さ
αgr 臨界角
【技術分野】
【0001】
本発明は、角度分解能をもって放射線を検出するための検出器アセンブリ、この検出器アセンブリを動作させる方法、及びこの検出アセンブリの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
今日では、アルファ、ベータ及びガンマ線等の非常に様々な型の、又は電子、中性子、イオン又は原子核等の粒子の放射線が、材料標本の分析のために用いられている。この型の放射分析は、例えば隠された爆発物のような危険な物質の位置特定及び同定のために行われる。しかしながら、画像化方法と組み合わせて医療分野でも、放射測定においても、物質の構造分析の研究においても、この型の放射分析は行われる。この場合、入射方向を確かめることを可能にし、又は放射線源を検出することを可能にする放射線検出器が、特に必要とされる。
【0003】
今日の方法においては、実際の検出器材料の前のホール又はラメラコリメータによって、検出される入射放射線はコリメートされる(照準を合わせられる)。通常は、この型のホールコリメータは、例えば鉛、タングステン、鉄又は真鍮のような原子番号の大きい材料の、小さい直径の穴が複数備えられた板から形成される。この方法により、例えばガンマ線のみが対応するコリメータを通過し、続けて検出器に認識されることが可能となる。
【0004】
この場合は、穴の軸と平行に、又は小さい開き角(aperture angle)で入射するガンマ線のみが評価において用いられるために、特に高い放射エネルギーにおける検出器の低感度が欠点となる。それゆえ、コリメータホール間の壁厚は、常に検出される放射線の吸収長よりも大きくなければならない。特に200keVより大きいエネルギーを持つ光子に対しては、コリメータホール間に必要な壁厚は、穴の直径を超えうる。透過率、すなわちそれぞれの検出器の全表面積(前面)に対する全てのコリメータホールの断面積は、低くなるだろう。すると、吸収断面積は実際、コリメータの貫通可能な表面積を超える。検出される粒子又は放射線のエネルギーが大きいほど、透過性は好ましくなくなり、それぞれの検出器の応答可能性も低くなる。このことは特に、高いエネルギーのガンマ放射線に当てはまる。先述のコリメータに基づく検出器とともに、例えばコンプトンカメラ又はポジトロン断層法(PET)におけるポジトロンカメラのような、コリメーションを用いずに方向を検出する方法もまた知られている。
【0005】
コンプトンカメラの原理は、対応する検出器システム上での放射線の入射方向を検出するために、先述の機械的なコリメーションの代わりに、電子的なコリメーションが行われることである。コンプトンカメラに入射する放射光子は、まずコンプトン散乱が起こる第1の散乱検出器を通過する。もし、散乱検出器が粒状の方法(granular manner)で設定されているなら、相互作用の位置が検出されるだろう。離れた第2の吸収検出器で、散乱された光子は完全に止められ、位置とエネルギーとを記録することが可能となる。もし散乱検出器及び吸収検出器における2つの散乱が一致することが示されたなら、その光子を放出した放射線源の位置は、頂点を散乱検出器の位置とする円錐表面に再構成される。放射線源の位置は、断層撮影法における適切な再構成アルゴリズムによって、決定されうる。この原理は、光子エネルギーが30MeVまでのガンマ線源の測定のために、天体物理学において最初に使われた。
【0006】
欠点は、せいぜい1回のコンプトン相互作用しか散乱検出器中で起こらないように、散乱検出器が非常に薄い必要があるということである。このことは、検出器中での相互作用の確率を実質的に減らす。さらに、光子エネルギーの吸収検出器中での完全なエネルギーデポジット(energy deposition)が保証されなければならないが、実際の検出器システムでは常に、このことは入射光子のほんの一部でしか達成されない。このことは、コンプトンカメラの効率を落とす。
【0007】
例えばきれいにされた区域中の地雷、又は荷物若しくは積荷中に隠された爆発物等の爆発物を特定することは、方位分解能を用いる検出器の特別の応用領域である。
【0008】
爆発物は、概して高い濃度の窒素化合物を有する。これらの窒素蓄積物の認識は概して、有機化合物やプラスチックの材料、砂又は土のようなより軽い原子に取り囲まれた状況で行われる。これらのより軽い原子は、地雷の場合には土の一部であり、又は分析される容器の主成分を構成する。これらの材料は、主に炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)、フッ素(F)、ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)等の軽い元素を含む。これらの原子は、中性子励起(中性子による活性化)下で高エネルギーのガンマ量子又はガンマ線を放出する。従来から、例えば空港において、透過X線デバイスが荷物検査のために使われている。しかし、この方法では元素に特有のシグナルは検出されず、爆発性デバイスはX線画像の形に基づいてしか検出されない。
【0009】
例えば「Detection of buried landmines and hidden explosives using neutron, X-ray and gamma-ray probes」G. Nebbia and J. Gerl in europhysics news, July/August 2005, pages 119 ffにおいて、中性子を用いるX線後方散乱検出器及び方法が、地面中の地雷の発見のために提案されている。この事例では、例えば後方散乱された中性子又は中性子捕獲によるガンマ量子が、シンチレーションカウンタで測定される。これは概して、地面に接近して動かす必要のある大きな体積の検出器アセンブリを必要とする。これは、例えば中性子活性化によって生成されたガンマ源の、地面上の検出システムに対する方向を検出することを可能にはしない。
【0010】
さらなる困難は、例えば窒素又は他の特徴的な材料若しくは元素の組成の特徴であり、それぞれの材料サンプルの組成に関して予測し、測定された強度スペクトルからの、爆発物の存在を検出するためのそれぞれの放出ラインの特定にある。不利なことに、このことは高いエネルギー分解能でのエネルギー分解分光を要求する。このことは、高い技術的費用を伴い、関係する検出器の低い信頼性につながる。
【0011】
本発明の目的はそれゆえ、角度分解能をもって放射線が検出されることを可能にする、改善された検出器アセンブリを提供することにある。本発明のさらなる目的は、空間的に検出された放射線から、予め決められた材料の存在を決定することにある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、請求項1の特徴を持つ検出器アセンブリと、本発明に従う検出器アセンブリを用いて、角度分解能をもって放射線を検出するための、請求項25に従う方法によって達成される。
【0013】
本発明に従って、角度分解能をもって放射線を検出するための、前面と、後面と、前面と後面との間の第1及び第2の検出器材料と、を有する少なくとも1つの検出器エレメントを備える検出器アセンブリが提供される。前記検出器エレメントの前記前面と前記後面との間の空間は、複数の第1の検出器材料の連続領域と、少なくとも1つの第2の検出器材料の連続領域とで満たされ、それぞれの領域は前記前面を前記検出器エレメントの前記後面へと結びつけている。第1の検出器材料のそれぞれの領域が、少なくとも1つの第2の検出器材料の領域に接するように、領域は配置される。本発明に従って、エネルギーデポジットは少なくとも前記第1の検出器材料の前記領域において、前記放射線の前記検出器エレメントへの入射角の関数として起こる。
【0014】
以下では、検出器材料は検出器エレメントの第1の領域と第2の領域との少なくとも一方のそれぞれの幾何学的な形状を満たすどんな材料をも意味するものとして理解される。本発明の特定の実施形態においては、第1及び第2の(検出器)材料のそれぞれは、例えば特定の放射線に対する吸収特性又はシンチレータ特性のような、予め決定された物理的性質を持つ。これらの検出器材料の1つが、ガンマ量子によって叩かれた時に、例えばシンチレーレョン光のような信号を渡す活性な材料であることが好ましい。この場合、他方の検出器材料もまた活性な材料あっても、不活性な材料、即ち関連する放射線又は量子に対する吸収材料として働いてもよく、後者の場合には放射線が入射しても信号を生成しない。
【0015】
検出器エレメントの範囲を定める表面又は壁を通って検出器エレメントにやってきた光子は、検出器エレメント中に存在する全ての粒子又は材料と相互作用する。例えば高エネルギーガンマ量子のような光子はそして、全て、又は通常は一部の自身のエネルギーを放出し、中でもコンプトン効果を介して電子を生成する。光子のエネルギーを増加させると、これらの電子は光子のあらゆる進入深さで生成され、前面、すなわちそれぞれの入射光子の方向に放出される。これらの一次電子をそれぞれの検出器材料の電子とさらにまき散らすことで、エネルギーを検出器材料へと移転する。これらの散乱過程において、検出器エレメントへの光子の入射の元の(前)方向が主要であって、方向はそれぞれの一次光子の軌跡によって決定される。
【0016】
検出器エレメントの前面への正面からの入射の場合には、検出器エレメントの領域のうちのただ1つの中での二次散乱カスケードを介して、入射光子がそのエネルギーの大部分の全体をデポジットすることが可能である。様々な検出器材料の領域の配置は、それゆえ優先角を与える。検出器材料それ自身はこのように本発明に従う検出器エレメント内の前面を介して検出器材料中にやってくる光子をコリメートする。この場合、コリメートは領域の形状に依存する。入射角は例えば前面、領域の優先角、又は他の適切な区別のある方向に対して定義されることができる。
【0017】
本発明に従う検出器アセンブリの実施形態において、前記領域は前記第1の検出器材料と前記第2の検出器材料との層として構成される。このことは、第1の検出器材料と第2の検出器材料との互い違いの層を結果として生じ、優先平面が検出器エレメントの前面の方向の層の平面を介して定義されることを可能とする。検出器エレメントの前面を通って出る方向の優先平面はそして、検出器エレメントの優先方向を表す。以下では、(検出器アセンブリによって検出される)放射線、量子及び粒子との用語が、同義として用いられる。好ましくは、本発明は高エネルギーガンマ放射線の検出に適用される。
【0018】
もしガンマ量子の前進方向が、層の層状構造(lamination)から生じる検出器エレメントの優先方向と同じ平面にある(同一直線上にある)なら、即ち検出器の前面が放射線源を向いているなら、二次電子がそれぞれのプレート又は層平面の方向に放出される。これらの二次電子がそれぞれのプレートの上又は下側を叩く可能性はより低く、二次電子は検出器エレメントのそれぞれの領域から出て、もしかすると他の検出器材料に吸収されるかもしれない。このことは、1つのプレートまたは1つの領域の検出器材料において、二次電子がそのエネルギーの全体を放出するチャンス又は可能性が高いことを意味する。この場合、検出器材料によって生成された信号は、電子のエネルギーの全体に対応する。例えばこの結果、コンプトン分布によって特定されるスペクトル形が生じる。
【0019】
もしガンマ量子が層の面に対してある角度で、前面を介して入ってくるなら、デポジット過程は複数の領域又は層において入射方向に起こる。検出器材料の一個における二次電子によるエネルギーデポジットは、このように層の面に関する入射粒子の角度に強く依存する。従って、本発明に従う検出器アセンブリを用いて、領域の形によって特定される優先角と、検出器エレメントと放射線源との間の接続によって示される方向との間の、少なくとも1つの角を導くことが可能である。さらなる検出器エレメントを用いて、第2の角がさらに決定されてもよい。従って原理的には、放射線源の方向を決定するために検出器アセンブリの位置に基づいて、方位角(azimuth angle)と極角(polar angle)とを計算することが可能である。
【0020】
好適な実施形態においては、少なくとも前記第1の検出器材料の領域が、底面領域と高さとを持つ多面体又は円柱に構成され、前記底面領域は前記検出器エレメントの前記前面と前記後面とに接する。前記多面体は、好適には角柱として構成される。本実施形態においては、本発明に従う検出器アセンブリは放射線の検出のために優先平面のみを与えるのではなく、多面体又は円柱の前面方向の対称軸に対応する優先方向が定義されてもよい。
【0021】
好適には、前記第1の検出器材料は、光子によって通過された時に検出可能な信号を与える活性な検出材料、特にシンチレータ材料を備える。前記第2の検出器材料の前記領域は、好適には前記検出器エレメントを通過する放射線又は粒子に対する吸収効果を有する。それゆえ、第2の領域として純粋な吸収材料が用いられる。第2の検出材料は例えば、鉄、空気、鉛、アルミニウムのうちの少なくとも1つを備える。
【0022】
優先平面又は優先方向に関して境界角よりも大きい角度で検出器エレメントに到達する粒子は、一方ではシンチレーション検出材料中で、他方では吸収材料中で、例えば交互にエネルギーをデポジットし、シンチレーション検出材料中でデポジットした場合にはエネルギーを光として検出することが可能である。検出されるであろう特定のエネルギーの放射線又は粒子についてのエネルギーデポジットの全体は、このように優先平面又は優先方向に基づく入射角に強く依存する。
【0023】
本発明の拡張において、前記第2の検出器材料もまたシンチレータ材料を備える。この型の「インタリーブ検出器」は、第1の領域に活性な検出器材料を、また第2の領域に活性な検出器材料を持ち、これらを別々に読み取ることが可能である。検出器材料は、相互に他のそれぞれの領域に対する吸収材として働く。
【0024】
シンチレータ材料は、好適には第1の検出器材料と第2の検出器材料との少なくとも一方に対する活性な検出器材料として用いられる。もし双方の領域が、異なる、又は同じだが別々に読み取られることができるシンチレータ材料を備えるならば、2つの材料中でデポジットされたエネルギーの同時評価によって、向上した方向又は角度分解能が可能となる。
【0025】
本発明に従う検出器アセンブリの拡張において、前記検出器エレメントは少なくとも前記第1の検出器材料の前記領域に前記後面上で連結され、シンチレーション光を検出する、好適にはエネルギー分解能を持つ光測定手段を備える。前記光測定手段は、前記第1の検出器材料の全ての領域からのシンチレーション光の全体を検出することが好ましい。例えば光電子増倍管のような光測定手段、又は他の信号解析手段は、こうしてシンチレーション領域内でデポジットされたエネルギーを測定する。デポジットされたエネルギーの波高スペクトルが、このように確認されてもよい。デポジットされた高エネルギー及び低エネルギーに対する計数レートは、異なる振る舞いをし、又はガンマ量子の放射線の、検出器エレメントの優先方向に関する異なる方向について変化するために、検出器エレメントが段階を踏んで小さい角度ずつ回転された時、検出器エレメントに対する対応する放射線源の角又は方向が導かれることができる。
【0026】
他の実施形態において、前記第1の検出器材料と前記第2の検出器材料との少なくとも一方の前記領域のそれぞれは半導体検出器を構成し、電気信号を読み取ることを可能とする。もし領域が半導体検出器として構成されるなら、入射光子放射線は、高速な電気信号として評価されてもよい自由電荷単体を生成する。もし半導体検出器が用いられるならば、追加の光測定手段は必要とされない。
【0027】
好適には、前記検出器エレメントは少なくとも1つの回転軸周りに回転可能であり、前記回転軸は前記前面と前記後面との間の接続に実質的に垂直である。こうして、検出器エレメントを回転することによって、検出器エレメントの優先平面又は優先方向を直接に放射線源に向けることが可能である。もし、例えば、ガンマ線源と例えば検出器エレメントの重心とを結ぶ線に対して、検出器エレメントが上若しくは下に(極角に従って)、又は左若しくは右に(方位角に従って)回転されるならば、検出器材料の領域中での二次電子のエネルギーデポジットに対する条件は変化し、移動面は回転方向の延長となる。この場合、例えば異なる検出器材料の水平面の層における、即ち極角πの、層状構造が存在してもよい。
【0028】
検出器材料は、特にガンマ放射線の吸収がコンプトン効果によって支配されるエネルギー範囲において、ガンマ放射線に応答することが好ましい。500keVからおよそ10MeVまでのエネルギー範囲において、コンプトン効果は検出器材料を備える検出器上への放射線入射の支配的な相互作用である。最大のエネルギー転移は、ガンマ量子とコンプトン電子とが実質的に同じ方向へ逃げるような散乱において起こる。対応するガンマエネルギーは、とりわけ中性子での材料サンプルの活性化から生じる。この場合、解析される予定の材料は中性子を衝突させられ、ガンマ量子を放出する。
【0029】
本発明に従う検出器アセンブリの拡張において、それゆえ中性子源が材料サンプルに中性子を照射するために備えられる。
【0030】
前記中性子源は例えばアルファ放射線によって前記中性子を生成する。従来技術では、ベリリウム核がアルファ放射線を衝突させられ、炭素と中性子とに分解する。この結果、約14MeVまでに上る連続スペクトルの中性子が生じる。
【0031】
前記中性子源は、目標に放射される加速された陽子、重陽子、ヘリウムイオン、アルファ粒子、又は三重陽子によって前記中性子を生成することが好ましい。
【0032】
さらに好ましい実施形態においては、前記中性子源は圧電結晶を備える。パイロ電気特性を有する圧電材料によって、例えば重水素を含む目標に放射される重水素核の生成のために高電圧を生成することが可能となる。対応する核反応において、3He、中性子、電子及びガンマ放射線が生成される。適切な中性子源は非常に小さく作られることができ、これは例えば「パイロ電気結晶によって駆動される核融合の観察(Observation of nuclear fusion driven by a pyroelectric crystal)」 B. Narnajo et al.著 Nature誌, 434巻, 1115-1117頁 (2005年4月28日)に記載されている。
【0033】
前記中性子源によって中性子の生成がさらに制御されうることが好ましい。
【0034】
さらなる実施形態において、励起放射線源が備えられ、前記励起放射線源は前記材料サンプル中で核反応が起こされるように材料サンプルを照射する。小さいプロトン加速器が、例として考えられる。
【0035】
本発明の拡張において、検出器アセンブリは複数の検出器エレメントを備え、前記複数の検出器エレメントは材料サンプルの位置の周りに、複数の前記前面がお互いを隠さない角度を形成するように配置される。前面の間の角は、大きい範囲が探索される(拡散コリメート)なら、例えば180°よりも大きいように選択されてもよい。単一のオブジェクトが解析される(収束コリメート)のなら、角が180°よりも小さいように設定されることもまた考えられる。
【0036】
この場合、検出器エレメントの前面又は優先方向の、他に対して回転された位置のために、ガンマ量子の異なる入射角が同じ源から生じるために、検出器エレメントの回転は必要ない。例えば、検出器エレメントの面の優先方向が、断層撮影認識が可能なように材料サンプルの周りに位置していてもよい。断層撮影再構成方法の使用が、特に適切である。
【0037】
前記検出器エレメントの前記領域と前記光測定手段との少なくとも一方に連結され、信号を評価する評価手段がまた備えられることが好ましい。この場合、前記評価手段は前記検出器材料中でデポジットされたエネルギーの分布、又はエネルギースペクトルを検出することが好ましい。
【0038】
本発明に従って、本発明に従う検出器アセンブリを用いて、角度分解能をもって放射線を検出するための、以下の方法の工程を備える方法が提供される。
【0039】
(a)第1のエネルギー範囲において前記第1の検出材料中でデポジットされた前記エネルギーのスペクトルを記録する工程と、
【0040】
(b)少なくともある回転角だけ検出器エレメントを回転させ、それぞれの回転角に対して(a)の工程を実行する工程と、
【0041】
(c)前記第1のエネルギー範囲において、異なった回転角に対して記録されたエネルギーを比較する工程。
【0042】
前記第1の検出器材料中でデポジットされたエネルギーが、少なくとも第2のエネルギー範囲において様々な回転角に対して記録されることが好ましく、前記それぞれのエネルギー範囲において記録された前記エネルギーが様々な回転角について比較される。
【0043】
この場合、エネルギー範囲はまた、例えばそれぞれの検出器の検出器限界にまで届く低エネルギーと高エネルギーとを含む完全なスペクトルを意味する。
【0044】
検出器エレメントがある回転角だけ回転すると、様々なエネルギー範囲における計数レート及びデポジットされたエネルギーは変化する。これらの検出特性は、検出器エレメントの優先方向が放射線源に近づく方向に回転された又は遠ざかる方向に回転されたかに依存する。スペクトルのより高いエネルギー部分に対しては、スペクトル中のそれぞれの計数レート又は強度は、検出器又は検出器の優先方向が放射線源から遠ざかって移動する時に減少する。スペクトルの低エネルギー部分で記録される事象の数は、同時に増加する。
【0045】
前記第1のエネルギー範囲と前記第2エネルギー範囲との少なくとも一方の中でデポジットされたエネルギーが最大又は最小である、優先回転角が確認されることが好ましい。すると、前記検出器エレメントに対する放射線源の方向が、前記優先回転角に基づいて決定されうる。
【0046】
本発明は、本発明に従う検出器アセンブリを用いて角度分解能をもって放射線を検出するための、以下の方法の工程を備える代わりの方法をさらに提供する。
【0047】
(a)前記第1の検出器材料中でデポジットされた全エネルギーのスペクトルを記録する工程と、
【0048】
(b)第1のエネルギー範囲においてデポジットされた第1のエネルギーを決定する工程と、
【0049】
(c)第2のエネルギー範囲においてデポジットされた第2のエネルギーを決定する工程と、
【0050】
(d)前記第1のデポジットされたエネルギーを前記第2のデポジットされたエネルギーと比較する工程。
【0051】
優先方向に対する角度が増加するに従い、コンプトンエッジの高さは加減され、検出器材料中でデポジットされたエネルギーに対する対応するスペクトルにおいて、エッジはより低いデポジットされたエネルギーの方向へ変位する。この変位は本発明に従い、様々なエネルギー範囲においてデポジットされたエネルギーと比較することによって検出されてもよい。
【0052】
前記記録されたスペクトルにおいて、コンプトンエッジが前記第1のエネルギー範囲にあることが好ましい。このことは、検出器エレメントへの放射線の入射角度の変化によって引き起こされるコンプトンエッジの変位が容易に検出されることを可能とする。
【0053】
前記2つのエネルギー範囲間の距離は、前記検出器エレメントのエネルギー分解能の関数として選択されることが好ましい。
【0054】
前記スペクトルは、エネルギーが前記第1の検出器材料中でデポジットされる事象の、前記デポジットされたそれぞれのエネルギーの関数としての分布を測定することによって記録されることが有利である。
【0055】
本発明に従う方法の発展において、中性子で照射することによって材料サンプルを活性化する工程が、さらに備えられる。
【0056】
方向パラメータを、前記第1のデポジットされたエネルギーと前記第2のデポジットされたエネルギーとの比から決定するために、工程がさらに備えられることが好ましい。前記方向パラメータは様々な検出方向に対して決定されることが好ましく、それぞれの前記検出方向は実質的に前記検出器エレメントの前記前面に対して垂直である。前記放射線源の前記検出器エレメントに対する方向が、そして前記方向パラメータから決定される。
【0057】
本発明に従う方法の発展において、第3のエネルギー範囲においてデポジットされた第3のエネルギーを決定するための工程がさらに備えられる。
【0058】
この場合、前記エネルギー範囲は重複しないことが好ましい。
【0059】
本発明に従って、第1、第2及び第3の色パラメータが、3つのデポジットされたエネルギーに割り当てられることが好ましい。人間の色視覚と類似のように、デポジットされたエネルギーの強度は、このように少なくとも3つのエネルギー範囲、又は波長若しくは周波数範囲、に対して用いられる。第1のデポジットされたエネルギーは第1の色パラメータを決定し、第2のデポジットされたエネルギーは第2の色パラメータを決定し、第3のデポジットされたエネルギーは第3の色パラメータを決定する。
【0060】
本発明に従って、探索されている材料の前記材料サンプル中の存在に関する判断がそして、好適には色パラメータに依存して行われる。この場合、予め決定された色パラメータの組み合わせが、例えば探索されている材料に対して割り当てられる。
【0061】
中性子で活性化された時に、活性化された材料は概して、検出されるためには使用される検出器の高いエネルギー分解能を要求する、特徴的なスペクトルラインを放出する。本発明に従って、検出される既知の材料のガンマ線放出スペクトルが、3つのエネルギー範囲に分割され、対応する参照色パラメータが予め決定される。検出された組み合わせと、これらの予め決定された色パラメータとを比較することにより、本発明に従って決定された検出器エレメント中でデポジットされたエネルギーのスペクトルの色パラメータから、探索されている材料を特定することが可能になる。
【0062】
この場合、ボリュームが例えば3次元色パラメータ空間中で確立されてもよい。もし本発明に従って決定された、3つの色パラメータから形成されたベクトルがこの型のボリュームの中に入るなら、探索されている材料は認識されていると考えられることができる。
【0063】
本発明に従う方法の特に有利な拡張において、第1の領域及び第2の領域が、活性で別々に読取可能な検出器材料を備える、検出器エレメントが使用される。この場合、前記第1、第2及び第3のエネルギー範囲に対して決定された、前記第1の検出器材料中でデポジットされた前記エネルギーと前記第2の検出器材料中でデポジットされた前記エネルギーとが、加えられる。合計の信号はしたがって、異なったエネルギー範囲において最初には別々に読み取られた色パラメータに対する信号から構成される。このことは、色視覚と類似の材料分析が、より信頼性を持って実行されることを可能にする。なぜなら、データにおいて2以上のファクタの改善を達成することが可能だからである。第1の領域と第2の領域との別々に読み取られた信号は、方向分析のために同時に別々に用いられる。
【0064】
本発明はさらに、分析される材料サンプル中の爆発物の検出のため、又は地雷除去における、本発明に従う検出器アセンブリの使用法を提供する。荷物検査、積荷検査又は地雷除去において、爆発物のような窒素含有材料の検出のために用いることは、特に有利である。
【0065】
本発明のさらなる有利な構成及び拡張は、サブクレーム及び以下で記述される実施形態の主題である。
【0066】
以下において例として、好適な実施形態と実施例とを用い、図面を参照して、本発明がより詳細に記述される。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に従う検出器エレメントを示す。
【図2】本発明に従う検出器アセンブリの第1の実施形態を示す。
【図3a】コンプトン散乱のクライン−仁科プロットを示す。
【図3b】ガンマ強度スペクトルを示す。
【図4】検出器エレメントを通る放射線の軌跡の経路を示す。
【図5】検出器エレメント中で移動した距離とエネルギーデポジットとを示す。
【図6】本発明に従う記録された強度スペクトルの分割を示す。
【図7a】、
【図7b】、
【図7c】、
【図7d】、
【図7e】検出器エレメントの様々な幾何学的な実施形態を示す。
【図8】本発明に従う検出器アセンブリからの記録したスペクトルのシミュレーションを示す。
【図9】本発明に従う検出器アセンブリからの記録したスペクトルのシミュレーションを示す。
【図10】本発明に従う検出器アセンブリの第2の実施形態を示す。
【図11a】、
【図11b】、
【図11c】、
【図11d】、
【図11e】、
【図11f】中性子活性化によって生成されるガンマラインを示す。
【図12】本発明に従う材料分析のための強度スペクトルの分割を示す。
【図13】本発明に従う方法の工程のシーケンスを示す。
【図14】本発明に従う検出器アセンブリの第3の実施形態を示す。
【図15】本発明に従う検出器アセンブリの第4の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0068】
図面において、類似の又は機能的に同一の要素は、特に明記されない限り、同じ参照番号を与えられている。
【0069】
図1は、本発明に従う検出器エレメント2を持つ検出器アセンブリ1を示す。図1に従う実施形態では、立方形の検出器エレメント2は、前面3及び後面4を備える。この事例では、ガンマ線γは、大部分が前面3を通って、検出器エレメント2に到達する。
【0070】
それぞれが第1の検出器材料と第2の検出器材料である互い違いの層5及び6が、備えられる。これらの層5及び6は、前面3を後面4へとつなぐ。例えば、層5はコンプトン散乱された電子の吸収材料から製造され、層6はシンチレータ材料から製造されてもよい。
【0071】
シンチレータ材料によって引き起こされる光放出は、好適には検出器エレメントの後面4において測定される。測定された光の量から、又はシンチレータ材料を含む層6においてデポジットされたエネルギーから、検出器エレメントの優先方向又は優先平面に対する放射線γの入射方向を決定することが可能である。この事例では例えば層5及び6により形成される検出器エレメント2において、層の平面を横切る優先平面が特定される。
【0072】
図2は、拡大された検出器アセンブリ100を示す。層状の部分から構成される検出器エレメント2は、吸収及びシンチレーション検出材料の互い違いの層5及び6と、ガンマ放射線γの放射線源の方向に実質的に向けられた前面3とを含む。後面4には光電子増倍管7が連結され、層又は部分6からのシンチレーション光の全体を検出する。この事例では、光陰極8が検出器エレメント2の後面に接触している。
【0073】
評価手段9は光電子増倍管7からのおおよその信号を読みとり、検出器領域5のシンチレータ材料においてデポジットされたエネルギーのスペクトルを特に生成する。評価手段9は、例えば適切なインタフェースを介して光電子増倍管に接続され、検出した事象の波高分析を行うコンピュータとして実装されてもよい。処理の間、シンチレータ材料中でエネルギーがデポジットされる事象は数えられ、デポジットされたエネルギーの関数として記録される。本発明に従って、検出器エレメントのそれぞれのガンマ放射線源に対する優先方向の方向又は角度が、記録されたスペクトルの形から決定される。また、それぞれのガンマ線源の元素組成が決定され、又は、前面に対する放射線源の方向が、検出器エレメントのそれぞれの位置の関数として読み取り可能な信号における変化から決定されうるように、検出器エレメントが検出器要素が向けられることと回転させられることとの少なくとも一方をされる。
【0074】
図2は、検出器エレメントの優先方向又は優先平面と、ガンマ量子の前進運動との間の入射角αを示す。この角度はまた、高エネルギーガンマ量子が入射した時に、電子が脱出する方向の優先角度でもある。本発明によれば、検出される放射線は検出器材料それ自体の中でコリメートされる。検出器エレメント2に対する複雑なコリメータは必要とされない。
【0075】
中性子によって活性化された材料によって生成されるガンマ放射線を検出する時には、500keVを超えるガンマ量子のエネルギーを通常伴う。この型の光子を検出器材料中で検出する時、光子のエネルギーは概して完全には電子に転移されず、閾値エネルギーEγ=1022keVを超える時には、光子のエネルギーは電子陽電子対にも転移される。
【0076】
以下で、本発明に従う検出器エレメントの機能、又は検出器アセンブリの機能が、部分的なガンマエネルギーの転移が起こる、平均エネルギーが100keVと10MeVの間のコンプトン散乱によって説明される。Eγ<100keVの低いエネルギーにおいては、光電効果を介する完全なエネルギー転移が優勢であり、Eγ≫1MeVの高いエネルギーにおいては、対生成を介する完全なエネルギー転移が優勢である。低いガンマエネルギーにおいては、光子の方向に対して大きな外側角で生成された電子は放出される。光子エネルギーがそれぞれの反応閾値から高いほど、多くの電子、もしくは陽電子さえもが、前方角度に、すなわちガンマ光子の方向に固まって散乱される。光電効果、コンプトン効果、及び対生成のような全ての吸収プロセスの場合のように、検出される放射線のエネルギーが増加するほど、二次電子又は陽電子もまたますます前進方向へ散乱される。ガンマ光子によって生成された電子は、固体中で容易に、すなわち短い距離を介して、減速されうる。それゆえ、コリメーション又は対応する信号の方向感度のある読み取りが、より容易である。
【0077】
本発明に従って、方向選択は、図1及び2に示されるように、層厚が平均電子範囲よりも小さくなるように選択され、例えば層又は板として、薄片となるように形成された、様々な検出器領域のジオメトリーによって行われる。エネルギーの一部分のみが優勢なコンプトン散乱プロセスを介して検出器に転移されるために、典型的にはこの結果1−2cmの板厚となる。検出板は、1つの電子が2つの異なった板において信号を生じないように、他の検出版から離されるべきである。例えばそれぞれの板が、不活性の吸収層によって活性な検出器素材から離されることによって、このことが達成されてもよい。鉛又は鉄のような強力な吸収材を用いると、概して数ミリメートルの層厚で十分である。
【0078】
本発明に従う検出器アセンブリは、コンプトン効果が優勢である500keVと10MeVの間のエネルギー範囲について、特に好適である。しかしながら、たとえほんの少しのガンマラインがコンプトンエネルギー範囲を超えたとしても、この検出器アセンブリは適用されうる。例えば、特に、10.8MeVの窒素ラインは検出されることができる。以下で記述される物理学的なプロセス及び検出方法は、コンプトン効果を用いて詳細に説明されるが、他のエネルギー範囲での適用にもまた適している。コンプトン効果により、光子の入射角と、生成されたコンプトン散乱された電子の脱出方向との間の、固定された関係が生じる。光子からコンプトン電子へと転移されるエネルギーΔEは、散乱角に依存する。最大エネルギー転移ΔEmaxは、180°又はπでの散乱の結果である。コンプトン電子はその場合、エネルギーEmaxで、入射光子と同じ方向への移動を続ける。最大エネルギー転移は、次のようになる。
【数1】
式中、ε=Eγ/mec2であって、mec2=511keVは電子の静止質量に対応する。
【0079】
図3Aは、クライン−仁科プロットの一部として、散乱の角度依存性を示す。有効断面積dσ/dΩが、電子の散乱角νに対して、バーン単位でプロットされている。ガンマエネルギーが増加するにつれて、コンプトン電子はますます前進方向へと散乱される。このことは、対生成及び光電効果にも当てはまる。図3Aでは、ε=1、Eγ=0.5MeV、及びε=5、Eγ=2.5MeVである。ε=1の時でも、電子は既に前進方向へ強く散乱されている。
【0080】
コンプトン電子は、検出器材料のさらなる殻電子との衝突によってその運動エネルギーを失い、このことがイオン化につながる。二次電子とのさらなる衝突によっても、散乱の最初の前進方向は、モーメント保存のために、高いエネルギーにつながる。生成された電子は、このようにもとのガンマ量子の前進方向に脱出する確率が高い。このことにより、放出された電子の「前方カスケード」が生じる。結果として生じる二次電子は、そのエネルギーを材料にさらにデポジットし、シンチレータ検出器材料において光放出を引き起こす。これは、例えば光電子増倍管7によって記録される。生成され、評価手段9へと伝えられる、対応する電子信号は、検出器のシンチレータ材料でデポジットされるエネルギーに釣り合っている。対応する波高スペクトルは、その時コンプトンエッジと光ピークとを有する。
【0081】
図3は、例として、エネルギーEγのガンマ量子による散乱に対する電子のスペクトルを示す。コンプトン連続部(Compton continuum)CCは、最大転移エネルギーEmaxに至るまで得られ、最低エネルギーは散乱角θ=0°において得られる。また、コンプトンエッジCEを形成する最大エネルギーEmaxは、θ=πである前進方向への散乱によって得られる。光ピークPPがさらに示され、光ピークPPはコンプトンエッジCEからEc=Ey−Emaxの距離に生じる。
【0082】
本発明に従って、エネルギーデポジットは前面と後面との間の検出器のボリュームの全体では感知されず、シンチレータ材料を構成する特定の領域又は部分においてのみ感知される。このことは、エネルギーデポジットの方向依存的な変化が、コンプトン電子によって生じさせられ得ることを意味する。本発明によれば、それぞれのシンチレータ材料においてデポジットされたエネルギーと釣り合った光の量が、光検出器によって検出される。光電子増倍管7が、検出器エレメントのどちら側に配置されているかは、大きな違いを生まない。
【0083】
説明を簡単にするために、最大の散乱角、すなわち180°、を有するコンプトン電子のみが考察される。CSDAモデルに照らすと、これらのコンプトン電子は、そのエネルギーを、それぞれの入射ガンマ量子の方向に伸びる経路に沿って放出する。CSDAは、連続的減速仮定を意味する。検出器エレメントでのガンマ量子の入射角及び位置に従って、異なったエネルギーデポジットがシンチレータ材料中で生じる。
【0084】
図4は、本発明に従う検出エレメント2を通る、起こり得る軌跡を示し、図5はそれぞれのシンチレータ材料中での軌跡の残る経路長SSZと、それぞれのガンマ量子のエネルギーデポジットとを示す。
【0085】
図4において、それぞれの相互作用点W、すなわちそれぞれの180°コンプトン散乱の位置が、塗りつぶされた丸で示される。一点鎖線及び波線は、接近する光子を示す。塗りつぶされた矢を持つ矢印は、シンチレータ材料中でのコンプトン電子のエネルギーデポジットを示し、中の空いた矢を持つ矢印は、検出器領域5の、吸収材又は非シンチレータ材料中でのエネルギーデポジットを示す。
【0086】
正面から、すなわち検出器材料層5、6の面に平行に入射する場合、そして軌跡T1で示されるようにガンマ量子がシンチレータ検出器材料の領域6に入る場合、検出器エレメントの1つの部分又は1つの層においてエネルギーの全体がデポジットされる。シンチレータ材料の領域におけるそれぞれのエネルギーデポジットEdepは、図5により詳細に示される。
【0087】
図5はまず、図4に示される軌跡T1からT6に対する、シンチレータ材料中での残る経路長SSZを示す。図5はさらに、シンチレータ材料中でのエネルギーデポジットEdepの対数表現を、経路長SSZの関数として示す。
【0088】
もし検出器領域の長さLがRCSDA、すなわちそれぞれの材料中での放射線の範囲よりも大きいなら、シンチレータ材料中での最大のエネルギーデポジットは、検出器エレメントに対する軌跡T1に沿った正面からの入射に対して起こる。電子エネルギーの全体が、そうしてシンチレータ検出器材料を伴う検出器領域の1つの中でデポジットされる。このことは、コンプトン電子の全てのエネルギーに当てはまる。
【0089】
図5に従って、軌跡T1の全範囲にわたるシンチレータ材料中でエネルギーはデポジットされ、このエネルギーは例えば付属の光電子増倍管7によって測定される。
【0090】
入射角αが増加するにつれて、全てのエネルギーのコンプトン電子が、エネルギーの一部をシンチレータ材料中ではなく、吸収材層5の1つの中でデポジットする可能性が増加する。このことは、それぞれの電子エネルギースペクトルについて、それぞれの活性な検出器層の中での完全なエネルギーデポジットの確率を下げる。
【0091】
例えば軌跡T4については、エネルギーデポジットはまずシンチレータ材料中で起こり、次に吸収材料又は非シンチレータ材料中で起こり、さらにもう一度シンチレータ材料中で起こる。シンチレータ中での残る軌跡長は、それゆえ軌跡T1と比べ、相当に小さくなる。
【0092】
シンチレータ材料中でのエネルギーデポジットのグラフもまた、明白に段々を示しており、この段々は吸収材料中でのエネルギーデポジットによって引き起こされる。シンチレータ材料又は吸収材料の領域の厚みdSZ及びdnszが小さいほど、対応するシンチレータ材料部分中での不完全なエネルギーデポジットの確率が高くなる。
【0093】
もしシンチレータ材料中でのコンプトン電子の範囲RCSDAが、領域の幅dSZよりも大きいなら、この角度からは最大エネルギーEmaxは単一のシンチレータ部分においてもはやデポジットされないような、臨界角αgrが生じる。
(式2) Edep(α≧αgr)<Edep,max.
【0094】
もしシンチレータ領域及び非シンチレータ領域の幅dSZ、dnszがそれぞれの範囲よりも小さいなら、複数のシンチレータ部分中でエネルギーがデポジットされる確率は、入射角αが増加するにつれて増大する。k=2,3,4…のシンチレータ領域におけるエネルギーデポジットは、少なくとも距離Snsz≧k・dnsz/sinαが以前に非シンチレータ材料中でカバーされていることを必要とする。それぞれのデポジットされた電子のエネルギーは、こうして二次電子によって通過されたシンチレータ部分又は領域の数とともに減少する。この角度からはk=2,3,4等のシンチレータ部分中でのエネルギーデポジットが起きるような臨界角が、それゆえ決定されてもよい。
【0095】
もしコンプトンエッジのガンマ量子だけでなく、コンプトン電子の全てのスペクトルのディレクション放出が考慮されるなら、図3Aに示されるように全てのコンプトン電子の強い前進方向への散乱が引き起こされ、モーメント保存則に従ってより穏和なガンマエネルギーでさえ発見される。このことは、検出器エレメントを放射線源に対して完全に又は正確に一直線にすることにより、低いエネルギーの電子であってもそのエネルギーを目標材料又はシンチレータ材料中で完全にデポジットすることができることを意味する。もし検出器エレメントが放射線源に対してある角度で回転させられたならば、たくさんの低エネルギー電子が吸収材料の中に入り、検出器信号に寄与することなくエネルギーを失うだろう。全体として、検出器スペクトルにおいて高いエネルギー信号が失われ、全体のスペクトルがより低いエネルギーへとシフトすることを、このことは意味する。
【0096】
二次電子がこのように斜めに第1及び第2の部分の層又は板を通過するために、このことは、例えばSSZ=dSZ/sinαの、層当たりの最大経路長に帰着する。電子は板長のどの点においても生成しうるために、電子がエネルギーを放出する経路は限定され、電子はそれぞれの検出器材料中でその一部のエネルギーのみを放出するかもしれないことを、このことは意味する。残るエネルギーは、隣り合った吸収材料中で放出される。このように、デポジットされたエネルギーの全体のスペクトルは、低いエネルギーへとシフトする。
【0097】
移動可能な検出器、又は互いに異なった角度で配置される複数の検出器で、異なった入射角でのこの型のエネルギースペクトルを記録することで、検出器エレメントの優先方向又は前面がガンマ線源に対して正面に向けられた時に、高エネルギー部分が最大であるスペクトルを生成する。
【0098】
入射放射線を使用される検出器エレメントの優先方向に対して一直線にすることは、二次電子によって検出器中でデポジットされるエネルギーのスペクトルを記録することによって行われてもよい。この目的で、検出器エレメントの様々な回転角βについて、スペクトルが記録され分析される。処理において、それぞれの回転角で記録されたスペクトルは、複数のエネルギー範囲に分割され、その範囲でデポジットされたそれぞれのエネルギーが測定される。これらのエネルギーは、以下で記述されるように、強度についての積分であると考えられてもよく、又は対応する強度ヒストグラムのインディビジュアルチャネル数がまた使われてもよい。ガンマ量子の検出器エレメントに対する正面からの入射では、散乱された二次電子さえもがガンマ方向に移動し、1つだけの検出器層にエネルギーをデポジットするために、スペクトルの高エネルギー部分は最も大きくなる。最も単純な場合には、例えばコンプトンエッジの近くの、より高いエネルギー範囲とより低いエネルギー範囲との2つのエネルギー範囲が、高エネルギー部分を推定するには十分である。
【0099】
検出器エレメントはこうして、高エネルギー成分が最大となるような回転角で回転され、関連するスペクトルの低エネルギー部分は通常の回転角と比べて最低になる。こうして、優先方向、又は図1、2、若しくは4に示されるように検出器が層にされる方法で構成されている場合の前面は、放射線源の方向を示す。
【0100】
本発明に従って検出器エレメントに対する放射線の入射方向を決定するために、本発明に従う検出器に対する代わりの可能な方法では、適切な方向パラメータrが決定され、方向パラメータrは記録されたスペクトルの二つの積分の比に依存する。
(式3) r=I1/I2
ここで、I1は例えばコンプトンエッジ近傍での積分を示し、I2はコンプトンエッジCCから十分な距離にあるコンプトン連続部中の低エネルギー領域にわたる積分を示す。この場合積分I1はそれゆえ低エネルギー範囲をカバーし、積分I2は高エネルギー範囲をカバーする。図6は、積分
【数2】
についての考えられる積分範囲を示す。この積分において、積分範囲Ea及びEbはコンプトンエッジがあると想定されるエネルギー範囲をカバーし、積分範囲Ec及びEdは、前に記したように、コンプトン連続部中で範囲を定める。
【0101】
この場合の積分範囲Ea、Eb、Ec、Edの選択は、好適には検出器のエネルギー分解能R(E)=ΔE/Eに依存する。この場合のΔEは、モノエネルギー光子によって形成される光ピークの半値幅に対応する。エネルギー依存分解能R(E)=ΔE/Eとして、次のことが間隔の距離、すなわちEaとEbとの間の距離に対して当てはまる。
(式5) Ea−Ed>R(Ea)・Ea and Ea−Ed>R(Ed)・Ed
【0102】
それぞれの入射角は、方向パラメータrから決定されてもよい。検出される放射線の正面からの入射、又は小さい入射角αでの入射に対しては、積分I1が優勢であり、一方入射角αが増加するにつれて方向パラメータrは減少する。検出器エレメントの向きを変え、又は回転することによって、方向パラメータrに対する最大値が得られるだろう。そして、検出器エレメントの優先平面に対する対応する放射線源の方向が、決定されるだろう。図1、2及び4により示されるシンチレータ材料と非シンチレータ材料とが層になった構成では、層と平行な優先平面が得られる。
【0103】
本発明に従う、層でできている2つの検出器エレメントの組み合わせにおいて、検出器エレメントの優先平面はもう一つと垂直に据え付けられ、方位分解能は2つの検出器エレメントの優先平面を交差させることによって達成される。図7は、シンチレータ検出器材料と非シンチレータ検出材料との領域の、可能な代わりの構成の例を示している。この図において陰のある領域はシンチレータ材料又は活性な検出器材料の領域を示す。
【0104】
例えば図7bは、互いに垂直に向けられた2つの検出器エレメント2を示す。もちろん、シンチレータ及び非シンチレータ検出器材料の領域を、多面体として構成することも可能である。例えば、図7aは実質的に正方形の底面と、吸収材料又は非シンチレータ材料5と、シンチレータ材料6とが格子状に配置された部分とを持つ、多面体のブロックを示す。図7d及び図7eは検出器エレメントを示し、図7dでは底面が六角形の多面体から同様に構成されており、図7eでは底面が三角形の多面体から同様に構成されている。図7cに示されるように、対称軸が平行となるように構成され、非シンチレータ材料によって取り囲まれた、シンチレータ材料の円筒状領域の配置もまた考えられる。図7では、優先方向はそれぞれの場合においてベクトル
【数3】
で表されている。
【0105】
シンチレータ材料、及び吸収材又は非シンチレータ材料の領域の代わりに、半導体検出器として働く半導体材料もまた、シンチレータ材料のために使われてもよい。それぞれのデポジットされたエネルギーを特定する信号は、そのときはそのそれぞれの活性な領域から直接読み取られてもよい。
【0106】
本発明に従う検出器アセンブリの、同様に変更された構成においては、第1及び第2の領域が活性な検出器材料を構成し、2つの領域がそれぞれ別々に読み取られることが可能である。このとき、第1の領域の材料は第2の領域の材料に対しての吸収材として働き、逆もまた同じである。この場合は2つのインタリーブされた検出器エレメントとして考えられることもでき、2つの検出器エレメントの活性な層(活性な検出器材料の領域)が互いに入り込み、歯のように互いにかみ合っている。この場合層厚は、2つの材料について同じでも異なっていてもよい。化学的に同じ、又は異なった材料組成もまた可能である。
【0107】
図8及び9は、層状に構成された本発明に従う検出器エレメントについての、異なった層厚dSZ、dnsz及びガンマ放射線の入射角αに対する、出願人によるシミュレーション結果を示す。この場合、光子エネルギーが4MeVであるモノエネルギー光子ビームが仮定される。シミュレーションされた検出器エレメントは、実質的に図1に示される実施形態に対応し、有機シンチレータであるポリビニルトルエンの、寸法が44×44mm2である正方形の板の積み重ねが、それぞれの場合においてシンチレータ材料を構成する領域として仮定され、鉄が吸収材料として考えられる。
【0108】
図8はシンチレータ材料の部分について厚みdSZ=9.5mmであって、鉄板について厚みdFE=1.6mmである、6つの板の対について、それぞれのシンチレータ材料中でデポジットされたエネルギーのスペクトルを示す。図9は、dSZ=2.4mmであってdFE=0.4mmである24の板の対から組み立てられる検出器エレメントに対するスペクトルを示す。本発明に従う検出器エレメントは、それゆえ約67×44×44mm3という小さい体積しか持たず、よって操作が容易であり、多数の使用法がある。
【0109】
ρSZ=1.032g/cm3の厚みと、C10H11の化学量論的な組成が、シンチレータ材料であるポリビニルトルエンについて仮定される。ρFE=7.874g/cm3の厚みが、鉄について仮定される。検出器エレメントのエネルギー分解能は、R=0として考えられる。図8及び9は、検出器エレメント中での事象のヒストグラム又は分布であって、合計106個の光子であることを明記する。この事例では、検出器エレメントのそれぞれの断面は、均等に放射線を照射される。
【0110】
図8の構成、すなわち6つの板の対の構成においては、入射角α=0°及びα=30°において、コンプトンエッジCEが明確に認識されることが可能である。入射αが増加するのに従い、スペクトル中の高エネルギー事象の割合は減少する。記録されたスペクトルの形のより大きい方向依存性が、24の板の対の構成である図9で見られる。24の板の対、従ってまた比較的小さい板厚では、この角度からスペクトルの形が実質的に変わるような角度である臨界角αgrが、図8に従う構成よりも小さい。約3MeVで起こるピークは、対生成のダブル・エスケープ・ピークに対応し、ガンマエネルギーから1.022MeV下で起こる。
【0111】
方向分解能を用いたガンマ放射線の検出と並んで、本発明は、分析される材料サンプル中の特定の元素を認識することをさらに可能にする。例えば地雷除去のための爆発物の検出は、この場合における特定の応用分野である。
【0112】
方向分解能を有する検出器アセンブリのさらなる実施形態はそれゆえ、例えば地面の特定の範囲である材料サンプルに中性子を衝突させるための中性子源を提供する。衝突させられた素材はこうして活性化され、特徴的なガンマ線を放出する。
【0113】
図10は、本発明に係る対応する検出器アセンブリ200を示す。中性子源が備えられ、好適には一直線に中性子nを放出し、材料サンプル12はこの中性子を照射される。中性子が捕獲された時には、これとともにガンマ量子が放出され、回転可能なように構成された本発明に従う検出器エレメント2によって検出されるように、それぞれの材料サンプルにおいて核反応が起こる。前に説明されたように、活性な検出器材料でデポジットされたエネルギーの全体を測定し、測定したエネルギーを評価手段9へと送る光電子増倍管7が、この目的のために備えられる。回転し、方向パラメータrを決定することによって、ガンマ源すなわち材料サンプル12の位置が、方位分解能をもって決定されるかもしれない。
【0114】
地球の表面の素材は、水素、炭素、窒素、酸素、マグネシウム、ケイ素、アルミニウムのような軽い元素を多く含む。二酸化ケイ素、珪砂、及びアルミニウムマグネシウムシリケートは、特に多く存在する。中性子のエネルギーが増加すると、これらの元素の中性子吸収断面積は減少する。4MeV以下の中性子は、特によく捕獲される。例えば、熱中性子の吸収断面積は、炭素については3.3mb、酸素については<0.2mb、窒素については80mb、マグネシウムについては63mb、ケイ素については130mb、アルミニウムについては230mbである。特に窒素、マグネシウム、ケイ素及びアルミニウム元素においては、中性子捕獲は4.5〜10MeVの間のエネルギー獲得につながる。これらの励起状態は、1以上の中間状態を経由して、ガンマ線を放出しながら基底状態に戻る。窒素のみが、角運動量j=3/2から1/2、10MeVから10%の確率での、直接遷移を有する。通常は、対応するガンマスペクトルにおいて、2.5から7.5MeVの間のエネルギーで、3から5の主なラインが得られる。
【0115】
図11は、窒素、マグネシウム、ケイ素、アルミニウム及び炭素の、中性子反応又は中性子活性化の後のガンマ線の典型的な放射量(図11aからe)と、対応する元素又は材料サンプルの混合物となる典型的な放射量(図11f)とを示す。この事例においては、放射量は捕獲された100の中性子あたりのガンマ量子数を与える。特に、爆発物の認識にとって重要な中性子は、4つの目立って大きいラインを5から6.5MeVの間に有し、10.8MeVに10%の励起を有する。
【0116】
高分解能の分光法が、結果として得られたガンマスペクトルのそれぞれのラインを分解するために通常試され、こうして窒素貯蔵物の存在を確かめる。しかしながら、対応する検出器の高エネルギー分解能は、異なる元素のラインを区別することが可能であるためには、非常に低い応答可能性と、非常に高い装置の費用とに関連する。図11fに示されるように、これらの元素のラインは互いに非常に近い。
【0117】
本発明によれば、極めて高分解能のガンマ分光は行われないが、最初にそれぞれの検出器エレメント上に入射した放射線の方向を解明するために、図9に示されるようなスペクトルが記録される。それぞれのガンマラインは、本発明に従う検出器エレメントにおいて広いコンプトン分布を生成するが、その分布は図8及び9から分かるようにコンプトンエッジから低いエネルギーまで広がる。探索されている材料、例えば窒素を、中性子で活性化された材料サンプル中に検出するために、記録されたスペクトルを少なくとも3つの部分に分割し、全体の強度をこれらの3つの範囲に亘るそれぞれの場合において決定し、それぞれの強度に対して色パラメータを決定することが、本発明に従って提供される。
【0118】
本発明に従って、色の視覚と似た認識方法が、材料サンプル中の特定の元素を検出するために用いられる。図12は例として、記録された強度スペクトル、すなわち記録された活性な検出器材料中、すなわちシンチレータ材料中でデポジットされたエネルギーの分布を示す。この事例では、CEは最大エネルギーデポジットEmaxについてのコンプトンエッジを示す。デポジットされたエネルギーは、最初に第1のエネルギー範囲、例えば0とE1との間で検出される。
【0119】
0とE1の間での強度dN/dEの積分がまた計算され、第1の色パラメータF1がこうして決定される。第2のエネルギー範囲E1からE2の間でデポジットされたエネルギーが計算される。すなわち、第2の色パラメータF2を決定するために、E1とE2との間での積分が計算される。最後に、本発明に従って、対応する積分を計算し、色パラメータF3を導出するために、E2とE3との間で積分が行われる。例えば、エネルギー範囲は1MeVから3MeVの間、3MeVから5MeVの間、及び5MeVより上であってもよい。
【0120】
特徴的なスペクトルが、従って色パラメータF1、F2及びF3の特徴的な組み合わせが、例えば図11に示されるそれぞれの元素について得られる。色視覚と同じように、色の印象を伴う全体の色信号が、3つのエネルギー又は周波数範囲から得られ、これは実質的に人の色視覚における3原色である赤、緑、及び青に対応する。本発明に従って、(F1,F2,F3)の組み合わせによって、色の印象は測定されたスペクトルから決定される。
【0121】
座標F1、F2、F3によって張られるこの型の三次元色空間においては、検出されたそれぞれの元素に対して、色空間においてベクトル、又は少なくともボリュームを割り当てることが原理的に可能である。もし、未知の材料サンプルのスペクトルに対して測定された又は計算された色パラメータ(F1,F2,F3)の組み合わせが、この型のボリューム中に現れるならば、探索されている元素が認識される。このように、本発明に従う検出器のいくらか低いエネルギー分配能にもかかわらず、スペクトルの色分析を十分に高い計数レートで行うことができ、例えば中性子で活性化された材料サンプルの材料がこのように認識されるだろう。
【0122】
本発明はその結果、方向情報に加えて「色情報」が決定されることを可能にする。「色情報」は、分析される材料の元素分析に用いられる。本発明に従う層状の検出器エレメントの実施形態では、色シフトが得られ、正面からではないガンマ照射の場合には小さい信号につながる。このことは、窒素検出の場合には特に有利である。高エネルギー部分が窒素のラインについては優勢であるために、検出器の優先方向が探索されているオブジェクト、又は材料サンプルを指している時、測定されたスペクトル中で窒素のシグナルは残りの元素から特にはっきりと目立つ。
【0123】
地雷を検出するための本発明に従う方法及び検出器アセンブリの使用は、図13に示される、次の方法の工程を伴う。第1の工程S1において、分析される材料、例えば地面の一領域は、中性子源を用いて中性子を照射され、このことは材料中での核反応につながる。工程S2において、分析される地面の領域に対する検出器アセンブリの優先方向を設定された角度として、シンチレータ材料中でデポジットされたエネルギーが記録され、方向パラメータが決定される。このことは、複数の変えられた入射角α又は回転角に、検出器エレメントを回転することによって達成される(工程S21)。最大の方向パラメータrは概して、優先軸又は検出器エレメントの方向が放射線源の方を向いていることを示す。方向は最初にはこのように認識される(工程S3)。代わりに、工程S2及びS21において、スペクトルのそれぞれの高エネルギー成分又は低エネルギー成分が、様々な回転角で検出される。関連するスペクトルの高エネルギー成分が、他の回転角で記録されたスペクトルに基づき、最大を示す優先回転角は、検出器エレメントに関する放射線源の方向を与える。
【0124】
続けて、色分析が工程S4で行われる。すなわち、少なくとも3つのエネルギー範囲が選択され、そこに表される検出器エレメントのシンチレータ材料中でデポジットされたエネルギーが、色パラメータF1、F2、F3として計算される。これら3つの得られた色パラメータF1、F2、F3から、窒素含有材料、特に爆発物の存在が、例えば既知の色パラメータの組み合わせと比較することにより認識されることができる。
【0125】
同じ方法の工程の順序が、荷物又は積荷の分析において提供される。
【0126】
重水素−三重水素生成器又は放射性のシステムは、考えられる中性子源である。中性子生成器は、実質的に14.4MeVのエネルギーの中性子の等方性の分布を生成する、t(d,n)4Heの反応を用いる。しかしながら、重陽子を加速するためには、比較的大きな生成器を必要とする、300kVの電圧が必要とされる。
【0127】
小型の、比較的低いソース強度の中性子源として選ばれるものには、半減期2.6年で中性子エネルギー数MeVの252Cfのような中性子放出源が含まれる。アメリシウム及びベリリウムの放射量を増加させるために、粉末状に混合されたアメリシウム−ベリリウム試料を用いることも可能である。この形の試料もまた、一様で等方性の中性子の流れの分布を与える。しかしながら、この型の中性子源を輸送する時には、重い吸収材が遮蔽のために必要とされる。
【0128】
この理由のために、地雷を探索している時の移動可能な使用のためには、スイッチを切られることができる中性子源が使われることができ、241Amのようなα線源とベリリウムターゲットとが隔離されている。箔のように大きい面積を持つように形成されたα線源の場合には、ベリリウムターゲットは短い距離離れて存在する。ベリリウムターゲットにぶつかるα粒子は衝突に際して、主に前進方向に、2.5MeV周辺の幅広い中性子スペクトルを生成する。α線エミッタとベリリウムターゲットとの間の距離を増加させることによって、又は吸収材を導入することによって、中性子の生成を中止することが可能である。このことは、高価な中性子遮蔽なしに、安全に運ぶことを可能にする。
【0129】
本発明に従う検出器アセンブリはまた、断層撮影の応用例にも用いられることができる。図14は、本発明に従う複数の検出器エレメント2が備えられ、材料サンプル12の周りに配置された、本発明に従う検出器アセンブリ300を示す。材料サンプル12は例えば、局在化した量のガンマ線放出材料を含む、1つの荷物又は積荷であればよい。ガンマ放射線源13のようなガンマ線放出材料は、例えば爆発物のカプセルを中性子で活性化することにより生成されるだろう。
【0130】
関連する光電子増倍管7のそれぞれの検出器エレメントは、それぞれ評価信号AS1〜AS6を電子評価手段9へと提供する。本発明に従う方法に従って得られた様々な方向データから、ガンマ放射線源13の位置が正確に決定されるだろう。評価手段9に連結された表示デバイス14は、例えば材料サンプル12に含まれているガンマ線源の画像を提供してもよい。
【0131】
検出器エレメント2のそれぞれの優先角度と放射線源13との間の、少なくとも1つの角度を示す方向データを評価する時には、従来からの画像化方法に従って、画像が生成され表示されてもよい。本発明に従う方法及び検出器アセンブリは、このように材料分析における優れた使用法に使われることができる。
【0132】
図15は、複数の検出器エレメント2が、回転角と等しい角度βだけそれぞれが回転されるように配置されている、検出器アセンブリの第4の実施形態を示す。それぞれの検出器エレメント2は、それぞれの光電子増倍管7を介して、活性な検出器材料中のコンプトン電子のスペクトルを記録する。ガンマ線源12に基づいて、点線によって示される検出器エレメントの優先方向に対する、それぞれの入射角α1、α2、α3がそれぞれの検出器エレメント2に対して得られる。予め決定されたエネルギー範囲において、異なった角度βで記録された検出器材料中でデポジットされたエネルギーを比較することにより、最大の高エネルギー強度が得られる方向が決定されるだろう。例えば、第1の低エネルギー範囲においてデポジットされたエネルギーが3つの検出器エレメントにおいて測定され、それぞれが比較される。第2の、より高いエネルギー範囲におけるデポジットされたエネルギーの同様の比較は、次に行われる。ガンマ放射線源はすると、記録されたスペクトル中で高エネルギー部分が低エネルギー方向へと最小量だけシフトされている検出器エレメントの、優先方向にあるものと仮定される。
【0133】
本発明はこのように、方向依存的な高エネルギー光子の検出を可能にし、コリメーションはそれぞれの検出器材料中で行われる。不活性の吸収材層を避けることにより、コリメーションホールによる外部でのコリメーションによるよりも、より高い効率が達成される。活性検出器材料による実際の検出器の前面に、入射ガンマ量子のためのコリメータを構築することは、このように必要とされない。本発明に従えば、検出器アセンブリの伝達を低下させる、どんな種類のコリメータも、検出器エレメントには与えられない。固定されたコリメータは特定のエネルギー範囲に対してのみ最適化されうるが、一方本発明に従う構成は柔軟に最適化されうる。従来からの入射ガンマ量子のコリメーションの代わりに、例えば対生成との少なくとも一方によって検出器材料中で生成された電子が、検出器内でコリメートされる。入射光子によって生成された電子はそれゆえより容易に、すなわちより短い距離で、それぞれの検出器材料(固体)中で減速されることもできる。同時測定が必要とされないために、より簡単な情報処理もまた可能である。特に窒素含有爆発物の励起のための中性子源と組み合わせて、例えば地雷の検出又は荷物及び積荷の分析が可能である。
【0134】
本発明に従う、色分析と類似の方法による材料サンプルの元素組成の決定も、簡単なやり方で可能である。
【0135】
検出器エレメントは、単純な標準化されたコンポーネントを用いて製造されうる。特に外部のコリメーション手段を有さない検出器エレメントの、小さな実施形態は、可搬な手段として用いることを可能にし、画像化応用例において検出空間が本発明に従う検出器エレメントに備えられることを可能にする。
【0136】
本発明が好適な実施形態によって詳細に説明されたが、これらに限定されるものではなく、多くの方法によって修正されてもよい。特に、詳細に記述された層の構成は変更されてもよい。検出器エレメントの優先方向に対して異なった角度で入射するガンマ放射線の軌跡において、複数の検出器材料を貫通することが必要である。この優先方向は、活性な検出器材料と吸収する検出器材料との、異なった検出器領域のそれぞれのジオメトリーによって得られる。図1及び7に示されるジオメトリーの他の修正が、この場合もちろん可能である。また活性検出器材料を読み取るためには、例として挙げると光測定手段又は光電子増倍管以外の、他のデバイスも考えられる。
【0137】
詳細な説明中で特定されたエネルギー範囲は、コンプトン電子の軌跡及びエネルギーデポジットを根本的に変えることなく、変更されてもよい。当然、述べられた地雷検出及び荷物の取り締まり又は断層撮影への応用の例の他に、本発明は多くの方法で用いることができる。
【符号の説明】
【0138】
1 検出器アセンブリ
2 検出器エレメント
3 前面
4 後面
5 第1の領域
6 第2の領域
7 光電子増倍管
8 光陰極
9 評価手段
10 表示手段
11 中性子源
12 材料サンプル
12 ガンマ放射線源
14 表示手段
AS1−AS6 評価信号
γ ガンマ放射線
S1−S4,S21 方法の工程
CE コンプトンエッジ
F1,F2,F3 色パラメータ
α 入射角
【数4】
方向ベクトル
PP 光ピーク
SSZ シンチレータ中の経路長
SNZ 吸収材中の経路長
T1−T6 軌跡
RCSDA 連続的減速仮定に従う範囲
dNSZ,dSZ 厚さ
αgr 臨界角
【特許請求の範囲】
【請求項1】
角度分解能をもって放射線を検出するための、前面(3)と後面(4)とを有する少なくとも1つの検出器エレメント(2)を備える検出器アセンブリ(1)であって、
(a)前記検出器エレメント(2)の前記前面(3)と前記後面(4)との間の空間は、複数の第1の検出器材料の領域(6)と、少なくとも1つの第2の検出器材料の領域(5)とで満たされ、それぞれの領域は前記前面(3)を前記検出器エレメント(2)の前記後面(4)へと結びつけ、
(b)エネルギーデポジットは少なくとも前記第1の検出器材料の前記領域(6)において、前記放射線の前記検出器エレメント(2)への入射角(α)の関数として起こることを特徴とする、検出器アセンブリ(1)。
【請求項2】
前記領域(5,6)が前記第1の検出器材料と前記第2の検出器材料との層として構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の検出器アセンブリ(1)。
【請求項3】
互い違いの層(5,6)が、それぞれの層厚(dSZ,dnsz)で、前記第1の検出器材料と前記第2の検出器材料とから構成されていることを特徴とする、請求項2に記載の検出器アセンブリ(1)。
【請求項4】
少なくとも前記第1の検出器材料の領域が、底面領域と高さとを持つ多面体又は円柱に構成され、前記底面領域は前記検出器エレメントの前記前面と前記後面とに接することを特徴とする、請求項1乃至3の少なくとも何れか1項に記載の検出器アセンブリ(1)。
【請求項5】
前記多面体は角柱として構成されることを特徴とする、請求項4に記載の検出器アセンブリ(1)。
【請求項6】
前記第1の検出器材料は活性な検出材料、特にシンチレータ材料を備えることを特徴とする、請求項1乃至5の少なくとも何れか1項に記載の検出器アセンブリ(1)。
【請求項7】
前記第2の検出器材料の前記領域(5)は、前記検出器エレメントを通過する放射線又は粒子に対する吸収効果を有することを特徴とする、請求項1乃至6の少なくとも何れか1項に記載の検出器アセンブリ(1)。
【請求項8】
前記第2の検出器エレメントは、鉄、空気、鉛、アルミニウムのうちの少なくとも1つを備えることを特徴とする、請求項7に記載の検出器アセンブリ(1)。
【請求項9】
前記第2の検出器材料は、シンチレータ材料を備えることを特徴とする、請求項1乃至8の少なくとも何れか1項に記載の検出器アセンブリ(1)。
【請求項10】
前記第1の検出器材料と前記第2の検出器材料との少なくとも一方は、有機材料、特に有機シンチレータ材料を備えることを特徴とする、請求項1乃至9の少なくとも何れか1項に記載の検出器アセンブリ(1)。
【請求項11】
前記検出器エレメント(2)は、少なくとも前記第1の検出器材料の前記領域(6)に前記後面上で連結され、シンチレーション光を検出する、光測定手段(8,7)を備えることを特徴とする、請求項1乃至10の少なくとも何れか1項に記載の検出器アセンブリ(100)。
【請求項12】
前記光測定手段(7,8)は、前記第1の検出器材料の全ての領域(6)からのシンチレーション光の全体を検出することを特徴とする、請求項10に記載の検出器アセンブリ(100)。
【請求項13】
前記第1の検出器材料と前記第2の検出器材料との少なくとも一方の前記領域(5,6)のそれぞれは、電気信号が読み取られることができる半導体検出器を構成することを特徴とする、請求項1乃至12の少なくとも何れか1項に記載の検出器アセンブリ(1)。
【請求項14】
前記検出器エレメント(2)は、少なくとも1つの回転軸周りに回転可能なように構成されており、前記回転軸は前記前面(3)と前記後面(4)との間の接続に実質的に垂直であることを特徴とする、請求項1乃至13の少なくとも何れか1項に記載の検出器アセンブリ(100,200)。
【請求項15】
前記検出器材料は、特にコンプトン散乱のエネルギー範囲と、より高いエネルギーとの少なくとも一方において、ガンマ放射線に応答することを特徴とする、請求項1乃至15の少なくとも何れか1項に記載の検出器アセンブリ(1,100,200,300)。
【請求項16】
中性子源(11)が、材料サンプル(12)に中性子を照射するために備えられることを特徴とする、請求項1乃至15の少なくとも何れか1項に記載の検出器アセンブリ(200,300)。
【請求項17】
前記中性子源(11)は、アルファ放射線によって前記中性子を生成することを特徴とする、請求項16に記載の検出器アセンブリ(200,300)。
【請求項18】
前記中性子源(11)は、目標に放射される加速された陽子、重陽子、ヘリウムイオン、アルファ粒子、又は三重陽子によって前記中性子を生成することを特徴とする、請求項16又は17に記載の検出器アセンブリ(200,300)。
【請求項19】
前記中性子源(11)は、圧電結晶を備えることを特徴とする、請求項16に記載の検出器アセンブリ(200,300)。
【請求項20】
前記中性子源(11)による中性子の生成が制御されうることを特徴とする、請求項16乃至19の少なくとも何れか1項に記載の検出器アセンブリ(200,300)。
【請求項21】
励起放射線源が備えられ、前記励起放射線源は前記材料サンプル(12)中で核励起が起こされるように材料サンプル(12)を照射することを特徴とする、請求項1乃至20の少なくとも何れか1項に記載の検出器アセンブリ。
【請求項22】
複数の検出器エレメント(2)が備えられ、前記複数の検出器エレメント(2)は材料サンプル(12)の位置の周りに、複数の前記前面(3)が互いを隠さない角度を形成するように配置されることを特徴とする、請求項1乃至21の少なくとも何れか1項に記載の検出器アセンブリ(300)。
【請求項23】
評価手段(9)が備えられ、前記評価手段(9)は前記領域(5,6)と前記光測定手段(7)との少なくとも一方に連結され、信号を評価することを特徴とする、請求項1乃至22の少なくとも何れか1項に記載の検出器アセンブリ(100,200,300)。
【請求項24】
前記評価手段(9)は前記検出器材料中でデポジットされたエネルギーの分布を検出することを特徴とする、請求項23に記載の検出器アセンブリ(100,200,300)。
【請求項25】
請求項1乃至24の何れか1項に記載の検出器アセンブリ(1,100,200,300)を用いて、角度分解能をもって放射線を検出するための方法であって、
(a)第1のエネルギー範囲において前記第1の検出材料中でデポジットされた前記エネルギーのスペクトルを記録する工程と、
(b)少なくともある回転角(β)だけ検出器エレメント(2)を回転させ、それぞれの回転角(β)に対して(a)の工程を実行する工程と、
(c)前記第1のエネルギー範囲において、異なった回転角(β)で記録されたエネルギーを比較する工程と、を備えることを特徴とする方法。
【請求項26】
前記第1の検出器材料中でデポジットされたエネルギーが、少なくとも第2のエネルギー範囲において様々な回転角(β)で記録され、前記それぞれのエネルギー範囲において記録された前記エネルギーが様々な回転角について比較されることを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第1のエネルギー範囲は、前記第2のエネルギー範囲よりも高いエネルギーを含むことを特徴とする、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
請求項1乃至24の少なくとも何れか1項に従う検出器アセンブリ(1,100,200,300)を用いて角度分解能をもって放射線を検出するための方法であって、
(a)前記第1の検出器材料中でデポジットされた全エネルギーのスペクトルを記録する工程と、
(b)第1のエネルギー範囲においてデポジットされた第1のエネルギーを決定する工程と、
(c)第2のエネルギー範囲においてデポジットされた第2のエネルギーを決定する工程と、
(d)前記第1のデポジットされたエネルギーを前記第2のデポジットされたエネルギーと比較する工程と、を備えることを特徴とする方法。
【請求項29】
前記記録されたスペクトルにおいて、コンプトンエッジ(CE)が前記第1のエネルギー範囲にあることを特徴とする、請求項25乃至28の何れか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記2つのエネルギー範囲間の距離は、前記検出器エレメント(2)のエネルギー分解能(R(E))の関数として選択されることを特徴とする、請求項25乃至29の何れか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記スペクトルは、エネルギーが前記第1の検出器材料中でデポジットされる事象の、前記デポジットされたエネルギーの関数としての分布を測定することによって記録されることを特徴とする、請求項25乃至30の何れか1項に記載の方法。
【請求項32】
材料サンプルを活性化するために、材料サンプル(12)を中性子で照射する工程をさらに備えることを特徴とする、請求項25乃至31の何れか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記第1のエネルギー範囲と前記第2エネルギー範囲との少なくとも一方の中でデポジットされた前記エネルギーが最大又は最小である、優先回転角が確認されることを特徴とする、請求項25乃至27の何れか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記検出器エレメント(2)に対する放射線源の方向(
【数1】
)が、前記優先回転角の関数として決定されることを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
方向パラメータrが、前記第1のデポジットされたエネルギーと前記第2のデポジットされたエネルギーとの比から決定されることを特徴とする、請求項28乃至32の何れか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記方向パラメータrが様々な検出方向に対して決定され、それぞれの前記検出方向は実質的に前記検出器エレメント(2)の前記前面に対して垂直であることを特徴とする、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記検出器エレメントに対する前記放射線源の方向(
【数2】
)が、前記方向パラメータrから決定されることを特徴とする、請求項35又は36に記載の方法。
【請求項38】
第3のエネルギー範囲においてデポジットされた第3のエネルギーが決定されることを特徴とする、請求項25乃至37の何れか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記エネルギー範囲が重複しないことを特徴とする、請求項25乃至38の何れか1項に記載の方法。
【請求項40】
第1,第2及び第3の色パラメータ(F1,F2,F3)が、前記3つのデポジットされたエネルギーに割り当てられることを特徴とする、請求項38又は39に記載の方法。
【請求項41】
探索されている材料の前記材料サンプル(12)中の存在に関する判断が、前記色パラメータ(F1,F2,F3)に依存して行われることを特徴とする、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
少なくとも1つの予め決定された色パラメータ(F1,F2,F3)の組み合わせが、探索されている材料に割り当てられる事を特徴とする、請求項40又は41に記載の方法。
【請求項43】
第1の領域及び第2の領域が、活性で別々に読取可能な検出器材料を備える、検出器エレメントが使用され、前記第1、第2及び第3のエネルギー範囲に対して決定された、前記第1の検出器材料中でデポジットされた前記エネルギーと前記第2の検出器材料中でデポジットされた前記エネルギーとが、加えられることを特徴とする、請求項38乃至42の何れか1項に記載の方法。
【請求項44】
特に荷物検査、積荷検査、地雷除去のうちの少なくとも1つのための、分析される予定の材料サンプル(12)中、特に窒素含有材料中の爆発物の特定のための、請求項1乃至24の少なくとも何れか1項に従う検出器アセンブリ(1,100,200,300)の使用方法。
【請求項1】
角度分解能をもって放射線を検出するための、前面(3)と後面(4)とを有する少なくとも1つの検出器エレメント(2)を備える検出器アセンブリ(1)であって、
(a)前記検出器エレメント(2)の前記前面(3)と前記後面(4)との間の空間は、複数の第1の検出器材料の領域(6)と、少なくとも1つの第2の検出器材料の領域(5)とで満たされ、それぞれの領域は前記前面(3)を前記検出器エレメント(2)の前記後面(4)へと結びつけ、
(b)エネルギーデポジットは少なくとも前記第1の検出器材料の前記領域(6)において、前記放射線の前記検出器エレメント(2)への入射角(α)の関数として起こることを特徴とする、検出器アセンブリ(1)。
【請求項2】
前記領域(5,6)が前記第1の検出器材料と前記第2の検出器材料との層として構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の検出器アセンブリ(1)。
【請求項3】
互い違いの層(5,6)が、それぞれの層厚(dSZ,dnsz)で、前記第1の検出器材料と前記第2の検出器材料とから構成されていることを特徴とする、請求項2に記載の検出器アセンブリ(1)。
【請求項4】
少なくとも前記第1の検出器材料の領域が、底面領域と高さとを持つ多面体又は円柱に構成され、前記底面領域は前記検出器エレメントの前記前面と前記後面とに接することを特徴とする、請求項1乃至3の少なくとも何れか1項に記載の検出器アセンブリ(1)。
【請求項5】
前記多面体は角柱として構成されることを特徴とする、請求項4に記載の検出器アセンブリ(1)。
【請求項6】
前記第1の検出器材料は活性な検出材料、特にシンチレータ材料を備えることを特徴とする、請求項1乃至5の少なくとも何れか1項に記載の検出器アセンブリ(1)。
【請求項7】
前記第2の検出器材料の前記領域(5)は、前記検出器エレメントを通過する放射線又は粒子に対する吸収効果を有することを特徴とする、請求項1乃至6の少なくとも何れか1項に記載の検出器アセンブリ(1)。
【請求項8】
前記第2の検出器エレメントは、鉄、空気、鉛、アルミニウムのうちの少なくとも1つを備えることを特徴とする、請求項7に記載の検出器アセンブリ(1)。
【請求項9】
前記第2の検出器材料は、シンチレータ材料を備えることを特徴とする、請求項1乃至8の少なくとも何れか1項に記載の検出器アセンブリ(1)。
【請求項10】
前記第1の検出器材料と前記第2の検出器材料との少なくとも一方は、有機材料、特に有機シンチレータ材料を備えることを特徴とする、請求項1乃至9の少なくとも何れか1項に記載の検出器アセンブリ(1)。
【請求項11】
前記検出器エレメント(2)は、少なくとも前記第1の検出器材料の前記領域(6)に前記後面上で連結され、シンチレーション光を検出する、光測定手段(8,7)を備えることを特徴とする、請求項1乃至10の少なくとも何れか1項に記載の検出器アセンブリ(100)。
【請求項12】
前記光測定手段(7,8)は、前記第1の検出器材料の全ての領域(6)からのシンチレーション光の全体を検出することを特徴とする、請求項10に記載の検出器アセンブリ(100)。
【請求項13】
前記第1の検出器材料と前記第2の検出器材料との少なくとも一方の前記領域(5,6)のそれぞれは、電気信号が読み取られることができる半導体検出器を構成することを特徴とする、請求項1乃至12の少なくとも何れか1項に記載の検出器アセンブリ(1)。
【請求項14】
前記検出器エレメント(2)は、少なくとも1つの回転軸周りに回転可能なように構成されており、前記回転軸は前記前面(3)と前記後面(4)との間の接続に実質的に垂直であることを特徴とする、請求項1乃至13の少なくとも何れか1項に記載の検出器アセンブリ(100,200)。
【請求項15】
前記検出器材料は、特にコンプトン散乱のエネルギー範囲と、より高いエネルギーとの少なくとも一方において、ガンマ放射線に応答することを特徴とする、請求項1乃至15の少なくとも何れか1項に記載の検出器アセンブリ(1,100,200,300)。
【請求項16】
中性子源(11)が、材料サンプル(12)に中性子を照射するために備えられることを特徴とする、請求項1乃至15の少なくとも何れか1項に記載の検出器アセンブリ(200,300)。
【請求項17】
前記中性子源(11)は、アルファ放射線によって前記中性子を生成することを特徴とする、請求項16に記載の検出器アセンブリ(200,300)。
【請求項18】
前記中性子源(11)は、目標に放射される加速された陽子、重陽子、ヘリウムイオン、アルファ粒子、又は三重陽子によって前記中性子を生成することを特徴とする、請求項16又は17に記載の検出器アセンブリ(200,300)。
【請求項19】
前記中性子源(11)は、圧電結晶を備えることを特徴とする、請求項16に記載の検出器アセンブリ(200,300)。
【請求項20】
前記中性子源(11)による中性子の生成が制御されうることを特徴とする、請求項16乃至19の少なくとも何れか1項に記載の検出器アセンブリ(200,300)。
【請求項21】
励起放射線源が備えられ、前記励起放射線源は前記材料サンプル(12)中で核励起が起こされるように材料サンプル(12)を照射することを特徴とする、請求項1乃至20の少なくとも何れか1項に記載の検出器アセンブリ。
【請求項22】
複数の検出器エレメント(2)が備えられ、前記複数の検出器エレメント(2)は材料サンプル(12)の位置の周りに、複数の前記前面(3)が互いを隠さない角度を形成するように配置されることを特徴とする、請求項1乃至21の少なくとも何れか1項に記載の検出器アセンブリ(300)。
【請求項23】
評価手段(9)が備えられ、前記評価手段(9)は前記領域(5,6)と前記光測定手段(7)との少なくとも一方に連結され、信号を評価することを特徴とする、請求項1乃至22の少なくとも何れか1項に記載の検出器アセンブリ(100,200,300)。
【請求項24】
前記評価手段(9)は前記検出器材料中でデポジットされたエネルギーの分布を検出することを特徴とする、請求項23に記載の検出器アセンブリ(100,200,300)。
【請求項25】
請求項1乃至24の何れか1項に記載の検出器アセンブリ(1,100,200,300)を用いて、角度分解能をもって放射線を検出するための方法であって、
(a)第1のエネルギー範囲において前記第1の検出材料中でデポジットされた前記エネルギーのスペクトルを記録する工程と、
(b)少なくともある回転角(β)だけ検出器エレメント(2)を回転させ、それぞれの回転角(β)に対して(a)の工程を実行する工程と、
(c)前記第1のエネルギー範囲において、異なった回転角(β)で記録されたエネルギーを比較する工程と、を備えることを特徴とする方法。
【請求項26】
前記第1の検出器材料中でデポジットされたエネルギーが、少なくとも第2のエネルギー範囲において様々な回転角(β)で記録され、前記それぞれのエネルギー範囲において記録された前記エネルギーが様々な回転角について比較されることを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第1のエネルギー範囲は、前記第2のエネルギー範囲よりも高いエネルギーを含むことを特徴とする、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
請求項1乃至24の少なくとも何れか1項に従う検出器アセンブリ(1,100,200,300)を用いて角度分解能をもって放射線を検出するための方法であって、
(a)前記第1の検出器材料中でデポジットされた全エネルギーのスペクトルを記録する工程と、
(b)第1のエネルギー範囲においてデポジットされた第1のエネルギーを決定する工程と、
(c)第2のエネルギー範囲においてデポジットされた第2のエネルギーを決定する工程と、
(d)前記第1のデポジットされたエネルギーを前記第2のデポジットされたエネルギーと比較する工程と、を備えることを特徴とする方法。
【請求項29】
前記記録されたスペクトルにおいて、コンプトンエッジ(CE)が前記第1のエネルギー範囲にあることを特徴とする、請求項25乃至28の何れか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記2つのエネルギー範囲間の距離は、前記検出器エレメント(2)のエネルギー分解能(R(E))の関数として選択されることを特徴とする、請求項25乃至29の何れか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記スペクトルは、エネルギーが前記第1の検出器材料中でデポジットされる事象の、前記デポジットされたエネルギーの関数としての分布を測定することによって記録されることを特徴とする、請求項25乃至30の何れか1項に記載の方法。
【請求項32】
材料サンプルを活性化するために、材料サンプル(12)を中性子で照射する工程をさらに備えることを特徴とする、請求項25乃至31の何れか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記第1のエネルギー範囲と前記第2エネルギー範囲との少なくとも一方の中でデポジットされた前記エネルギーが最大又は最小である、優先回転角が確認されることを特徴とする、請求項25乃至27の何れか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記検出器エレメント(2)に対する放射線源の方向(
【数1】
)が、前記優先回転角の関数として決定されることを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
方向パラメータrが、前記第1のデポジットされたエネルギーと前記第2のデポジットされたエネルギーとの比から決定されることを特徴とする、請求項28乃至32の何れか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記方向パラメータrが様々な検出方向に対して決定され、それぞれの前記検出方向は実質的に前記検出器エレメント(2)の前記前面に対して垂直であることを特徴とする、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記検出器エレメントに対する前記放射線源の方向(
【数2】
)が、前記方向パラメータrから決定されることを特徴とする、請求項35又は36に記載の方法。
【請求項38】
第3のエネルギー範囲においてデポジットされた第3のエネルギーが決定されることを特徴とする、請求項25乃至37の何れか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記エネルギー範囲が重複しないことを特徴とする、請求項25乃至38の何れか1項に記載の方法。
【請求項40】
第1,第2及び第3の色パラメータ(F1,F2,F3)が、前記3つのデポジットされたエネルギーに割り当てられることを特徴とする、請求項38又は39に記載の方法。
【請求項41】
探索されている材料の前記材料サンプル(12)中の存在に関する判断が、前記色パラメータ(F1,F2,F3)に依存して行われることを特徴とする、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
少なくとも1つの予め決定された色パラメータ(F1,F2,F3)の組み合わせが、探索されている材料に割り当てられる事を特徴とする、請求項40又は41に記載の方法。
【請求項43】
第1の領域及び第2の領域が、活性で別々に読取可能な検出器材料を備える、検出器エレメントが使用され、前記第1、第2及び第3のエネルギー範囲に対して決定された、前記第1の検出器材料中でデポジットされた前記エネルギーと前記第2の検出器材料中でデポジットされた前記エネルギーとが、加えられることを特徴とする、請求項38乃至42の何れか1項に記載の方法。
【請求項44】
特に荷物検査、積荷検査、地雷除去のうちの少なくとも1つのための、分析される予定の材料サンプル(12)中、特に窒素含有材料中の爆発物の特定のための、請求項1乃至24の少なくとも何れか1項に従う検出器アセンブリ(1,100,200,300)の使用方法。
【図1】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図7e】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図11d】
【図11e】
【図11f】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図7e】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図11d】
【図11e】
【図11f】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2009−544027(P2009−544027A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519894(P2009−519894)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【国際出願番号】PCT/EP2007/056022
【国際公開番号】WO2008/009528
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(509255749)ジーエスアイ ヘルムホルツツェントゥルム フュア シュヴェリオーネンフォルシュング ゲーエムベーハー (7)
【氏名又は名称原語表記】GSI Helmholtzzentrum fur Schwerionenforschung GmbH
【住所又は居所原語表記】Planckstrasse 1 64291 Darmstadt GERMANY
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【国際出願番号】PCT/EP2007/056022
【国際公開番号】WO2008/009528
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(509255749)ジーエスアイ ヘルムホルツツェントゥルム フュア シュヴェリオーネンフォルシュング ゲーエムベーハー (7)
【氏名又は名称原語表記】GSI Helmholtzzentrum fur Schwerionenforschung GmbH
【住所又は居所原語表記】Planckstrasse 1 64291 Darmstadt GERMANY
【Fターム(参考)】
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