説明

角度測定装置

【課題】ねじ接続部を締め付けるための操作工具(50)の締め付け角度を測定するための角度測定装置(10)であって、該操作工具(50)に取り外し可能に固定される形式のものにおいて、従来技術の欠点を回避し、異なる操作工具に結合可能な次のような角度測定装置、すなわち、回転角度測定に外部の基準部を必要とせず、とりわけ基準アームを必要としない角度測定装置を提供することである。
【解決手段】回転角度を電子的に検出するための回転角度測定センサ(20)を有することを特徴とする角度測定装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ接続部を締め付けるための操作工具の締め付け角度を測定するための角度測定装置に関する。この角度測定装置は、操作工具に取り外し可能に固定されている。
【背景技術】
【0002】
締め付け角度を測定するための角度測定装置はとりわけ、ねじ山または雌ねじを角度制御によって締め付ける際に使用される。ここではたとえばトルクレンチによって、ねじ接続部は所定の取り付けトルクまで引き上げられる。この取り付けトルクに達することにより、ねじ接続部は取り付けられる。すなわち、たとえばねじ頭、雌ねじおよび接続すべき被加工品等であるすべての関与するエレメントが、すべての凹凸が加圧平坦化された後に平滑に相互に取り付けられる。次に別の締め付け工程が、予め設定された所定の回転角度だけさらに回転することによって行われる。こうすることにより、ねじ留めの最適なプリロード力が得られる。
【0003】
機械的な角度測定装置を操作工具に、簡単に取り外し可能に接続することが知られている。たとえばDE29622318U1に、角度測定ディスクと角度指針エレメントとを有する機械的な回転角度測定ディスクが開示されている。この角度測定ディスクは回転軸で操作工具にドッキングされているので、該操作工具の回転運動に追従する。角度指針エレメントは保持アームないしは基準アームを介して被加工品に固定的に固定されており、操作工具の回転運動時には初期位置に維持される。ユーザに対して、実施されている回転角度が、角度測定ディスク上に角度指針エレメントによって表示される。
【0004】
この公知の機械的な角度測定装置の欠点は、ねじ留め位置で直接使用しなければならず、こうするために十分な作業スペースが存在しなければならないことである。基準アームもねじ留めの近傍に取り付けなければならないか、または取り付けできるようにしなければならない。このことにより、公知の機械的な角度測定装置の使用領域は制限される。さらに、基準アームを取り付けることにより、ねじ留め時にユーザにかかる作業手間が大きくなってしまう。また、公知の機械的な角度測定装置では、測定された回転角度を自動的に記録することもできない。
【0005】
電子的な回転角度測定部が組み込まれた電動式トルクレンチも、たとえばDE29615123から公知である。このような電動式トルクレンチによって、トルクの測定も回転角度測定も行うことができるので、このような電動式トルクレンチは特に、雄ねじまたは雌ねじを回転角度制御によって締め付けるのに適している。しかし、このようなトルクレンチの角度測定装置はトルクレンチに固定的に取り付けられており、別の操作工具と一緒に使用できないという欠点を有する。
【特許文献1】DE29622318U1
【特許文献2】DE29615123
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって本発明の課題は、従来技術の欠点を回避し、異なる操作工具に結合可能な次のような角度測定装置、すなわち、回転角度測定に外部の基準部を必要とせず、とりわけ基準アームを必要としない角度測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では前記課題は、ねじ接続部を締め付けるための操作工具の締め付け角度を測定するための冒頭に述べた形式の角度測定装置において、回転角度を電子的に検出するための回転角度測定センサが設けられることによって解決される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、回転角度測定のために次のような回転角度測定センサ、すなわち、外部の基準部を使用せず、とりわけ基準アームを使用せずに、ユーザによって実施されている回転角度を測定する回転角度測定センサを使用するという原理に基づいている。回転角度測定センサは、測定の開始時点の操作工具の初期位置に対して、実施されている相対的な回転角度を検出する。
【0009】
本発明による角度測定装置は、操作ヘッドの近傍において操作工具に固定しなくてもよい。有利には、たとえばレバーアームまたはグリップで操作工具に固定する。さらに、基準アームを必要としない。それゆえ、本発明による角度測定装置は、ねじ留めの位置でスペース比率が制限されていても、多面的に使用することができる。さらに、ユーザに対して回転角度測定が容易にされ、より円滑に実施できるようになる。というのも、基準アームの面倒な取付が省略されるからである。さらに有利には、角度測定装置を異なる操作工具に結合することができる。ユーザが複数の操作工具によって回転角度測定を行うためには、本発明による1つの角度測定装置を使用すればよく、このことは低コストである。
【0010】
本発明による電子的な角度測定装置の1つの有利な構成では、回転角度測定センサは加速度センサとして構成される。加速度センサとしてはたとえば、圧電的に構成されたセンサが使用されるか、またはMEMS(Micro-Electro-Mechanical System)として構成されたセンサが使用される。加速度センサは、開始値に対して、行われている回転運動の相対的な加速度ないしは角度を非常に正確に、かつ外部の基準点を使用することなく測定する。さらに、加速度センサは小型の構成である。それゆえ本発明による回転測定装置は、非常に省スペースで構成することができ、外部の基準部なしで正確な回転角度測定を可能にする。
【0011】
回転角度測定センサは、本発明による角度測定装置の1つの有利な変形形態ではジャイロスコープとして構成されている。ジャイロスコープも、開始値に対する相対的な加速度ないしは回転角度を、外部の基準点なしで正確に測定するのに適している。これに相応して、ジャイロスコープを有する角度測定装置によっても、ねじ留めの際に行われている回転角度を基準なしで正確に検出することができる。
【0012】
本発明の目的に適った構成では、その時点で測定された角度を表示するために表示部が設けられる。ねじ留め工程中にはユーザに対して、適用されている回転角度が直接表示される。このことによってユーザは、所定の回転角度に達したときにちょうどねじ留め工程を終了することができる。さらに、このような表示部によって別の情報を表示することもでき、たとえば、記憶および/または設定された回転角度、本発明による角度測定装置の作動状態、または、ユーザによって選択すべき制御コマンドないしは制御問い合わせを表示することもできる。
【0013】
本発明の1つの実施形態では、操作工具の電圧供給部を使用するための接続部が設けられている。このことの利点は、角度測定装置における電圧供給部を操作工具の電圧供給部によってサポートできること、または角度測定装置における電圧供給部を省略できることである。操作工具による電圧供給はたとえば、角度測定装置および操作装置に設けられたコンタクトによって行われるか、または差込接続部によって行われるか、または誘導的に行われる。本発明による角度測定装置は、よりコンパクトかつ軽量に構成することができ、かつ、簡略化された構成によって製造コストを低減することができる。
【0014】
本発明の別の有利な実施形態では、マイクロプロセッサ制御される制御ユニットが設けられ、この制御ユニットは、とりわけ測定された回転角度データをデジタルで記憶するためのメモリを有する。測定された回転角度をデジタルで記憶することにより、ユーザに対して、マイクロプロセッサ制御される制御ユニットを使用して該回転角度を記録することが格段に容易にされる。測定された回転角度のプロトコルの作成または保管を、大幅に自動的に行うことができる。このことにより、測定された回転角度を手動で取り込むという、作業上面倒でありかつエラーが多い取り込みを回避することができる。さらに、ねじ留め工程が異なるごとに作業を容易化してエラーを回避するために、その時点で設定された回転角度をメモリに記憶して呼び出すこともできる。
【0015】
本発明による電子的な角度測定装置の1つの実施形態では、測定された回転角度データを外部の処理ユニットへ転送するための転送手段が設けられている。このことの利点は、このような適切な外部の処理容量と記憶容量と出力容量とを電子的な角度測定装置に使用できるようになることである。測定された回転角度データはたとえばPCに転送されてここで処理され、検査され、記憶される。このような外部の処理ユニットに接続されたプリンタによって回転角度データをプリントアウトすること、または、データネットワークを介して回転角度データを中央局へ転送することも、問題なく実施することができる。
【0016】
転送手段は本発明の1つの実施形態では、有利には無線接続部および/または赤外線接続部および/またはケーブル接続部として構成される。ケーブル接続部は周辺影響に対して非常に耐性であり、データの確実かつ省エネルギーの伝送を保証する。それに対して赤外線接続または無線接続では、ユーザの動きの自由度が制限されることがない。このことは、本発明による角度測定装置の使用者による扱いやすさを改善し、事故防止をサポートする。作業環境と適用例とに応じて、ユーザは無線接続または赤外線接続またはケーブル接続を選択することができる。
【0017】
本発明の有利な実施形態では、操作工具のマイクロプロセッサ制御される制御ユニットとのインタフェース、とりわけ無線インタフェースを有するデータ制御バスが設けられている。このようなデータ制御バスによって、角度測定装置と操作工具との間でデータ信号および制御信号の交換が可能になる。とりわけ本発明による角度測定装置は、操作工具を介して制御可能であり、さらに処理するために回転角度データを操作工具へ伝送するか、または外部の処理ユニットへ伝送することができる。このことによってユーザに対し、角度測定装置の使用が簡単になる。
【0018】
本発明による電子的な角度測定装置の別の有利な実施形態では操作工具および/または角度測定装置は、測定に対する開始信号および/または終了信号を該角度測定装置に伝送するためのトリガ装置を有する。このようなトリガ装置によって、角度測定装置による回転角度測定は自動的に開始または終了される。こうするためにはたとえば、取り付けトルクに達したときに操作工具は電子的な信号を角度測定装置へ伝送し、これに応答して、角度測定装置は回転角度の測定を開始する。トルクレンチのトルク解除時には、たとえば音響センサ等によるトルク解除の衝撃の検出、または、たとえば加速度センサによるトルク解除の急激な動きの検出も可能である。トリガされた回転角度測定過程によってとりわけ、ユーザに対して、回転角度制御されるねじ留めが容易化され、かつより迅速に行えるようになる。トリガのための外部の信号が存在しない場合には、このようなトリガ信号を生成するために特別なスイッチを設けることができる。このスイッチは、回転角度の測定を開始ないしは終了するために手動操作される。
【0019】
本発明の1つの有利な実施形態では、操作工具はトルク解除装置を有する。このトルク解除装置では角度が設定される。この角度に達した場合に操作工具はトルク解除し、たとえばねじをさらに締め付けることはできなくなる。また場合によっては、もはやねじをさらに締め付けてはならないことを使用者に対して知らせるための信号も生成することができる。
【0020】
有利にはトリガ装置が、トルク解除装置によって処理される信号を生成する。こうするためにトリガ装置は、予め設定された角度に達すると直ちに、トルク解除装置に対して信号を供給する。そのときに、トルク解除装置は操作工具をトルク解除する。
【0021】
従属請求項と、関連の説明を有する図面とに、別の実施形態および利点が記載されている。
【実施例】
【0022】
本発明の実施例を以下で、関連の図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
図1中、10によって電子的な角度測定装置が示されている。この角度測定装置は、電動式トルクレンチ50に簡単かつ迅速に取り外し可能に固定されている。電動式トルクレンチ50はここではたとえば、ねじ接続部を締め付けるための操作工具のために図示されている。しかし角度測定装置10は、別の操作工具でも使用することができ、たとえば、機械的に測定を行うかまたはトルク解除するトルクレンチ、ラチェットまたはスパナでも使用することができる。
【0024】
電動式トルクレンチ50は、差込工具を連結するための4角形連結部54を有するレンチヘッド52と、グリップ58を有するレバーアーム56とを含む。レバーアーム56によってユーザは、レンチヘッド52と差込工具とを介してトルクをねじ留めエレメントに加えることができる。測定されたトルクを制御および処理するためにトルクレンチ50は、マイクロプロセッサ制御される制御ユニット60を有する。この制御ユニット60は電圧供給部62によって電圧を供給され、外部の装置とデータを無線で交換するために送受信手段64を使用する。択一的または付加的に、データを外部の装置へ有線伝送するための接続エレメント66が設けられており、たとえば差込コンタクトが設けられている。さらに電動式トルクレンチ50は、たとえば測定されたトルクを表示するための表示部68を有し、また、所定のトルクに達したときに電子的信号または音響的信号または光学的信号または感知可能な信号を生成するためのトリガ装置70も有する。電圧接続エレメント72によって、外部の装置から電動式トルクレンチの電圧供給部62を通って電圧供給を行うことができる。
【0025】
電子的な角度測定装置10は、角度測定装置10をトルクレンチ50に簡単に取り外し可能に固定するために固定手段12を有する。この固定は有利には、レンチヘッド52とグリップ58との間のレバーアーム56で行われる。また、角度測定装置10をレンチヘッド52、グリップ58、またはレバーアーム56のグリップ58側の端部に固定することもできる。
【0026】
電圧供給のために角度測定装置10は、バッテリーまたは蓄電池14を有し、かつ/または、電圧ケーブル18のための電圧接続エレメント16を有する。この電圧接続エレメント16によって、電圧ケーブル18および電圧接続エレメント72を介してトルクレンチ50の電圧供給部62からの角度測定装置10の電圧供給を調整することができる。この電圧接続エレメント16は、たとえば差込接続部として構成される。択一的に、角度測定装置10がトルクレンチ50に固定される際トルクレンチ50の電圧供給部62との間に接続を形成するコンタクトも考えられる。電圧供給のために外部の電源網を電圧接続エレメント16に接続することもできる。択一的または付加的に、電圧供給部をソーラーセルによって実現するか、または誘導的に実現することもできる。
【0027】
回転角度測定センサとして、角度測定装置10は加速度センサ20を有する。この加速度センサはたとえば、圧電センサとして構成されるか、またはMEMS(Micro-Electro-Mechanical System)として構成されるか、またはジャイロスコープとして構成される。加速度センサ20を使用して、ユーザによって実施されている回転角度が外部の基準部なしで、とりわけ基準アームなしで求められる。この過程は、角度測定装置10にあるマイクロプロセッサ制御される制御ユニット22によってサポートすることができる。制御ユニット22はさらに、角度測定装置10を制御するためにも使用され、測定された回転角度をデジタルメモリ24に記憶する。こうするためには、角度測定装置10にパラレルまたはシリアルのデータ制御バス26が組み込まれている。
【0028】
測定された回転角度は転送手段28によって、外部の装置またはトルクレンチ50へ転送される。この転送手段28によってさらに、角度測定装置10と外部の装置ないしはトルクレンチ50との間で別のデータまたは制御信号を交換することもできる。こうするためには、転送手段28はたとえば無線接続部または赤外線接続部を形成する。択一的に、接続エレメント30および電気的線路または光学的線路を介する有線接続も使用される。この接続エレメント30は、たとえば差込接続部として構成される。トルクレンチ50との接続部を形成するために角度測定装置10に、該角度測定装置10がトルクレンチ50に固定される際に該トルクレンチの相応のコンタクトと接続されるコンタクトを設けることもできる。
【0029】
ここに記載された実施例では転送手段28を使用して、データ制御バス26とトルクレンチ50の制御ユニット60との間に、データ、アドレスおよび制御信号を交換するためのインタフェース32が実現される。このようなインタフェースは、別の装置との間にも形成することができる。
【0030】
図2は、図1の実施例の平面図である。したがって、同一の構成部分は同一の参照記号によって示されている。角度測定装置10およびトルクレンチ50の他の構成部分を以下で、図2を参照して説明する。
【0031】
角度測定装置10はさらに、測定または記憶または設定された回転角度を表示するための表示部34も有する。別の情報も表示部34によってユーザに対して表示され、たとえば、角度測定装置10の作動状態、またはユーザによって選択すべき制御コマンドないしは制御問い合わせも、表示部34によって表示される。所定の回転角度に達したとき、制御ユニットは外部の装置またはトルクレンチ50に対して電子的信号を生成する。所定の回転角度に達した場合、図中にない適切な手段によって、付加的な光学的信号または音響的信号または感知可能な信号をユーザに対して生成することもできる。
【0032】
角度測定装置10に設けられた操作ユニット36を使用して、ユーザはたとえば回転角度等のデータを設定し、角度測定装置10を手動で制御する。この角度測定装置10の手動制御では、ユーザは操作ユニット36によって、たとえば角度測定装置をスイッチオンまたはスイッチオフすること、キーを押すことによって回転角度測定を開始または終了すること、測定された回転角度をメモリ24に記憶すること、また転送手段28によって、たとえばトルクレンチ50等の別の装置に転送すること等ができる。
【0033】
回転角度測定を選択的に、自動的に開始することもできる。こうするために、角度測定装置10はトリガ装置38を有する。このトリガ装置38は、たとえばトルクレンチ50からの電子的な開始信号を検出し、これに応答して回転角度測定を開始する。トルク解除を行うトルクレンチの場合、トルク解除の衝撃を検出するために、図中にない音響センサが設けられている。トルク解除の急激な動きの検出を加速度センサ20によって検出することもできる。トリガ装置38によって、トルク解除の衝撃またはトルク解除の急激な動きが検出された後に回転角度測定が開始される。
【0034】
角度測定装置10の個々の構成部分の動作および相互作用を以下で、たとえば回転角度制御されるねじ留め過程に基づいて詳細に説明する。この説明は、図1と図2とを同時に参照して行う。
【0035】
まず、ユーザは角度測定装置10を固定手段12によって、電動式トルクレンチ50のレバーアーム56に結合し、たとえば電圧ケーブル18が電圧接続エレメント16および72に接続されることによって角度測定装置10の電圧給電が確実に十分に行われるようにする。角度測定装置10はレンチヘッド52に固定しなくてもよく、また基準アームも必要としないので、ねじ留め場所の作業スペース比率が狭くても、角度測定装置10をトルクレンチ50とともに、多面的に使用することができる。さらにユーザに対して、回転角度制御によるねじ留め工程が容易化され、より迅速に実施可能になる。
【0036】
ユーザが操作ユニット36によって角度測定装置10をアクティベートした後、制御ユニット22は回転角度測定のために角度測定装置10を開始する。その際には制御ユニット22は、データ制御バス26および転送手段28によって、送受信手段64を介してトルクレンチの制御ユニット60との間に、たとえば無線をベースとするインタフェース32を形成する。このインタフェース32を介して、角度測定装置10とトルクレンチ50との間でデータ信号および制御信号が交換されるのが保証される。トルクレンチ50の方は、外部の処理ユニット74(図2を参照)に接続されている。こうするためには、送受信手段28によって外部の処理ユニット74との間に無線接続部が形成されるか、または、接続エレメント66およびデータ転送ケーブル76(図2を参照)によって有線接続部が形成される。
【0037】
ねじ留め工程の開始前に、回転角度ないしは締め付け角度を設定することができる。こうするためには、メモリ24に記憶されたかまたは転送手段28によってトルクレンチ50または外部の処理ユニット74から転送された回転角度を使用することができる。ユーザが操作ユニット36を介して回転角度を手動で入力することもできる。トルクレンチ50の場合には、所定のトルク、たとえば取り付けトルクにも相応のことが当てはまる。
【0038】
適切な差込工具によってトルクレンチ50が雄ねじまたは雌ねじに取り付けられた後、ユーザはねじ留めを開始する。取り付けトルクに達したことが、ユーザに対してトルクレンチ50によって示される。角度測定装置10はトリガ装置70によって、ユーザに対して形成された信号を検出するか、または、インタフェース32を介して相応の信号をトルクレンチ50から受信する。これに応答して角度測定装置10は、ユーザに対して回転角度測定の開始を表示し、後続の回転運動中には持続的に、各時点で測定された回転角度を表示部34に表示する。所定の回転角度に達した場合、角度測定装置10はユーザに対し、回転角度制御されるねじ留めの終了を示す。このことはたとえば、表示部34によって、たとえば付加的に設けられた光学的信号または音響的信号または感知可能な信号によって行われる。
【0039】
またトリガ装置の信号は、予め設定された角度でトルクレンチ50をトルク解除するためにも使用することができる。こうするために、トルクレンチ50はトルク解除装置78を有する。このトルク解除装置78は、たとえばねじを所定の角度を超えて締め付けられるのを阻止する機構を含む。
【0040】
次に、最後に測定された回転角度が記録のためにメモリ24に記憶され、かつ/または、インタフェース32を介してトルクレンチ50ないしは外部の処理ユニット74に転送される。外部の処理ユニット74によって、測定された回転角度、ないしは回転角度制御されるねじ留め全体を監視ないしは保管することができる。プロトコルをプリンタによってプリントアウトすることもできる。
【0041】
測定された回転角度のこのような大幅に自動的な検出を行うことにより、角度測定装置10はねじ留め工程の記録を格段に簡略化する。また、ユーザが基準アームを使用せずに本来のねじ留め工程を行うことも簡略化され、より円滑に実施可能にされる。角度測定装置10は多面的に、とりわけスペース比率が狭くても使用することができ、ユーザに対して、多くの異なるトルクレンチによって低コストで使用できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】操作工具に設けられた電子的な角度測定装置の1つの実施例の側面を概略的に示す原理図である。
【図2】図1に相応する電子的な角度測定装置の1つの実施例を上から見た概略的な原理図である。
【符号の説明】
【0043】
10 角度測定装置
12 固定手段
14 蓄電池/バッテリー
16 電圧接続エレメント
18 電圧ケーブル
20 加速度センサ
22 制御ユニット
24 メモリ
26 データ制御バス
28 転送手段
30 接続エレメント
32 インタフェース
34 表示部
36 操作ユニット
38 トリガユニット
50 電動式トルクレンチ
52 レンチヘッド
54 4角形連結部
56 レバーアーム
58 グリップ
60 制御ユニット
62 電圧供給部
64 送受信手段
66 接続エレメント
68 表示部
70 トリガ装置
72 電圧接続エレメント
74 外部の処理ユニット
76 データ転送ケーブル
78 トルク解除装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ接続部を締め付けるための操作工具(50)の締め付け角度を測定するための角度測定装置(10)であって、該操作工具(50)に取り外し可能に固定される形式のものにおいて、
回転角度を電子的に検出するための回転角度測定センサ(20)を有することを特徴とする、角度測定装置。
【請求項2】
前記回転角度測定センサ(20)は加速度センサ(20)として構成されている、請求項1記載の角度測定装置。
【請求項3】
前記回転角度測定センサ(20)はジャイロスコープとして構成されている、請求項1または2記載の角度測定装置。
【請求項4】
その時点で測定された角度を表示するために表示部(34)が設けられている、請求項1から3までのいずれか1項記載の角度測定装置。
【請求項5】
前記操作工具(50)の電圧供給部(62)を使用するための接続部(18)が設けられている、請求項1から4までのいずれか1項記載の角度測定装置。
【請求項6】
たとえば測定された回転角度データをデジタルで記憶するためのメモリ(24)を有しマイクロプロセッサ制御される制御ユニット(22)が設けられている、請求項1から5までのいずれか1項記載の角度測定装置。
【請求項7】
測定された回転角度データを外部の処理ユニット(74)へ転送するための転送手段(28)が設けられている、請求項1から6までのいずれか1項記載の角度測定装置。
【請求項8】
前記転送手段(28)は無線接続部および/または赤外線接続部および/またはケーブル接続部として構成されている、請求項7記載の角度測定装置。
【請求項9】
前記操作工具(50)のマイクロプロセッサ制御される制御ユニット(60)に対するインタフェース(32)を備えたデータ制御バス(26)を有し、
該インタフェース(32)はたとえば無線インタフェースである、請求項1から8までのいずれか1項記載の角度測定装置。
【請求項10】
前記操作工具(50)および/または角度測定装置(10)は、測定に対する開始信号および/または終了信号を該角度測定装置(10)へ伝送するトリガ装置(38,70)を備えている、請求項1から9までのいずれか1項記載の角度測定装置。
【請求項11】
前記操作工具(50)は、所定の角度で該操作工具(50)をトルク解除するトルク解除装置(78)を備えている、請求項1から10までのいずれか1項記載の角度測定装置。
【請求項12】
前記トリガ装置(38,70)は、前記操作工具(50)をトルク解除するために前記トルク解除装置(78)に対して信号を生成する、請求項11記載の角度測定装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−203264(P2008−203264A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−40941(P2008−40941)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(593087949)エドゥアルト ヴィレ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (8)
【氏名又は名称原語表記】Eduard Wille GmbH&Co.KG 
【住所又は居所原語表記】Lindenallee 27, D−42349 Wuppertal, Germany
【Fターム(参考)】