角度調整金具
【課題】使用用途の自由度が大きい角度調整金具角度調整金具に関する。
【解決手段】非円形の貫通孔23を有する略円盤形状のギア部材を回転自在として保持したケース部3を備える第1部材1と、ギア部材の貫通孔23に挿入離脱自在に挿入される嵌入軸部20が突設された第2部材2と、を備え、ケース部3に形成されるくさび形窓部5と、くさび形窓部5内にて移動可能に配設されかつ一面側がギア部材に噛合可能な歯面とされ他面側がくさび形窓部5のくさび面に当接する当接面とされて歯面がギア部材に噛合しかつ当接面がくさび面に当接しギア部材がケース部3に対して一方向へ揺動するのを抑制する浮動くさび部材6と、を具備している。
【解決手段】非円形の貫通孔23を有する略円盤形状のギア部材を回転自在として保持したケース部3を備える第1部材1と、ギア部材の貫通孔23に挿入離脱自在に挿入される嵌入軸部20が突設された第2部材2と、を備え、ケース部3に形成されるくさび形窓部5と、くさび形窓部5内にて移動可能に配設されかつ一面側がギア部材に噛合可能な歯面とされ他面側がくさび形窓部5のくさび面に当接する当接面とされて歯面がギア部材に噛合しかつ当接面がくさび面に当接しギア部材がケース部3に対して一方向へ揺動するのを抑制する浮動くさび部材6と、を具備している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具類等に使用されて、傾動する背部等の傾斜角度を調整自在として枢支するための角度調整金具に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、かつて、この種の角度調整金具に関して多くの発明を提案してきた。例えば、図17の組立図と図18の分解図に示す(特許文献1参照)ように、ケース部33を形成する第1アーム31の円弧状ギア部34を有する第2アーム32を備え、ケース部33の2枚の平行な板片部37,37にくさび形窓部35,35を形成して、浮動くさび部材36を上記くさび形窓部35,35へ挿入して、かつ、ケース部33の2枚の平行な板片部37,37の間に第2アーム32のギア部34と2枚の平行な板片部38,38とを差込んで、細径ピン39を小孔部40,41に挿入して、軸心42廻りに揺動自在に、第1アーム31と第2アーム32を枢結して、角度調整金具43を構成していた。
【0003】
特に、ギア部34は細かい多数のギア歯48を有し、かつ、浮動くさび部材36にも細かいギア歯49を有し、相互に高寸法精度をもって確実に噛合されなければ、ギア歯48,49の使用時の接触面圧が過大となり、切損事故や早期摩耗の問題が生ずる虞れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3766669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の図17と図18に示したような角度調整金具では、以下のような問題点があった。
(i) 2個の独立した部品(第1部材1と第2部材2)を細径ピン39にて組立てて、初めてギア部34のギア歯48と、くさび部材36のギア歯49とが噛合する構成であって、組立てに伴って寸法誤差の集積が大きくなり、ギア歯48,49の使用時の接触面圧が大きくなって、早期摩耗やギア歯や切損事故を生ずることがある点。
(ii)小さな多数の部品をもって図18に示すように組立てねばならず、組立作業が難しいという点。
(iii)第1アーム31・第2アーム32には塑性加工にて短円管状に形成された円管部50,50を夫々有し、図17のように組立てて使用される用途は限定されている。即ち、例えば、座椅子ならば、それ専用となって、それ以外の用途には、円管部50の形状を板状素材から相違したものを必要とし、特に、円管部50を帯板型・アングル型・折曲アーム型等とするには、各々新たな設計及び作製を要する点。
(iv)さらに、第1アーム31と第2アーム32の揺動開始角度と揺動終了角度は一つに決定されており、各角度を変更することができない点。
(v)従って、揺動開始角度と揺動終了角度が相違する用途(ソファ、ベッド、椅子等の家具の種類や傾動使用条件等が異なる用途)に応じて、別々の設計と作製を必要とする点。
(vi)高精度を要する主要機能部品が、第1アーム31と第2アーム32に分離しているため、ピン39にて組立てた状態下での寸法精度がでにくく、組立ミスを発生し易いという点。
(vii) 細径ピン39に全荷重が掛り、この細径ピン39と小孔部41との早期摩耗や面圧潰を生じ易いという点。
本発明は、図17と図18に例示した従来の角度調整金具の上記問題点(i)〜(vii)を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明に係る角度調整金具は、非円形の貫通孔を有する略円盤形状のギア部材を回転自在として保持したケース部を備える第1部材と、上記ギア部材の上記貫通孔に挿入離脱自在に挿入される嵌入軸部が突設された第2部材と、を備え、上記ケース部に形成されるくさび形窓部と、該くさび形窓部内にて移動可能に配設されかつ一面側が上記ギア部材に噛合可能な歯面とされ他面側が上記くさび形窓部のくさび面に当接する当接面とされて上記歯面が該ギア部材に噛合しかつ上記当接面が上記くさび面に当接し上記ギア部材が上記ケース部に対して一方向へ揺動するのを抑制する浮動くさび部材と、を具備するものである。
【0007】
また、上記ギア部材は、摺接外周面を有する円形低突隆部が左右両側面から突出状に連設され、上記ケース部は、上記円形低突隆部の上記摺接外周面を摺動可能に嵌着する円形支持孔が貫設された一対の対面板部を備えたものである。
【0008】
上記第2部材の上記嵌入軸部は、上記第1部材の上記貫通孔に対して、左右いずれからでも挿入可能に構成されたものである。
【0009】
上記非円形の貫通孔を正多角形として、所定角度をもって、上記第1部材に対する上記第2部材の揺動開始角度及び揺動終了角度の各々を変更可能に構成したものである。
【0010】
上記ギア部材に於て、上記貫通孔の軸心点を中心とする凹凸ギア歯のギア半径に対し、上記摺接外周面の上記軸心点を中心とする半径を、60%〜80%に設定したものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、主要な機能部品が第1部材へ集められるので、噛合ギア歯が高精度寸法をもって正確に噛合し、早期摩耗や切損を生じないで、寿命が延びる。また、第1部材と第2部材の組立作業が著しく容易となる。第2部材はその嵌入軸部さえ同一寸法・形状であれば、円管型・帯板型・アングル型・折曲アーム型等自由に選定可能であって用途に対応自在であり、他方、第1部材もケース部内に全ての機能部品が収容可能であり、このケース部に、円管型・帯板型・アングル型・折曲アーム型等の(相手部材への)取着アーム部を固着すれば、同様に各種用途の対応自在である。
【0012】
また、第1部材と第2部材の揺動開始角度・揺動終了角度は、非円形の貫通孔に嵌入軸部の挿入角度を変更することで、容易に変更可能である。これによって、家具の種類や傾動使用条件等が異なる用途に対して、簡単に対応可能であり、製造コストの低減、及び、在庫管理の容易化、流通の簡略化を図り得る。
【0013】
また、組立ミスも発生せず、高品質の角度調整金具が安価に得られる。さらに、回転揺動部の面圧を低下させ易く、それによって、早期摩耗や面圧潰を防止容易となり、大きな外力に耐えて、家具類等の傾動箇所に広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の角度調整金具の実施の一形態を示した全体斜視図である。
【図2】角度調整金具の全体分解斜視図である。
【図3】角度調整金具の要部分解斜視図である。
【図4】第1部材の分解斜視図である。
【図5】角度調整金具の要部拡大説明図である。
【図6】角度調整金具の使用状態を示した説明図であり、(a)は要部破断斜視説明図であり、(b)は要部破断Y矢視説明図である。
【図7】角度調整金具の作用説明のための図であり、(a)は要部破断図であり、(b)は要部拡大図である。
【図8】角度調整金具の作用説明のための図であり、(a)は要部破断図であり、(b)及び(c)は要部拡大図である。
【図9】角度調整金具の作用説明のための図であり、(a)は要部破断図であり、(b)は要部拡大図である。
【図10】角度調整金具の作用説明のための図であり、(a)は要部破断図であり、(b)は要部拡大図である。
【図11】角度調整金具の作用説明のための図であり、(a)は要部破断図であり、(b)は要部拡大図である。
【図12】角度調整金具の作用を説明する説明図である。
【図13】第1部材の他の例を示した斜視図である。
【図14】第2部材の他の例を示した斜視図である。
【図15】角度調整金具の角度調整を説明する説明図である。
【図16】角度調整金具の角度調整を説明する説明図である。
【図17】従来例を示す斜視図である。
【図18】従来例の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る角度調整金具Aは、ソファ、座椅子、ベッド、ヘッドレスト、フットレスト、上下揺動式扉等に使用され、上下に揺動(傾動)する部材を所定の角度範囲をもって、かつ、その傾斜角度を調整自在に保持するものである。例えば、図6に示すように、ソファSに適用され、座部S0に対して、バックレストS1を後方へ傾動自在として枢支するのに、本発明の角度調整金具Aが用いられる。
【0016】
図1〜図4に示す実施の一形態に於て、帯板状の第1取付部18を有する第1部材1と、帯板状の第2取付部19を有する第2部材2とを、備え、第1取付部18と第2取付部19には、複数の取付小孔が配設され、図6(b)に一点鎖線にて示したように、ビスやリベット等の固着具をこの取付小孔15に挿通して、バックレストS1と座部S0の各フレームに固着する。
【0017】
第1部材1は、一対の対面板部17,17を有するケース部3を有し、このケース部3に略円盤形状のギア部材4が回転自在に保持される。図4に示すように、対面板部17は略矩形片型であって、2個の固着用孔部16が貫設され、かつ、第1取付部18にも2個の固着用孔部16aが貫設され、カシメ部材14を串挿状に挿通して、カシメ加工にて、強固に第1取付部18を挾圧状として、平行な2枚の対面板部17,17と共に、一体構造として、第1取付部18の一部、及び、対面板部17,17をもってケース部3を形成する。(なお、図例では孔部16及び孔部16aは、各々3個ずつに見えるが、中間の孔部は、後述するカバーKの相互連結杆用の孔である。)
【0018】
そして、ケース部3を形成する対面板部17,17には、くさび形窓部5及び円形支持孔21が貫設されている。6は浮動くさび部材であって、左右一対の対面板部17,17の両外面間寸法と同等乃至僅かに大きな左右長さ寸法に設定され、浮動くさび部材6は、左右のくさび形窓部5,5を橋絡状として挿入され、くさび形窓部5内を移動可能に組立てられる。
【0019】
ギア部材4は、摺接外周面22を有する円形低突隆部24が左右両側面4a,4bから突出状として一体に形成(連設)されている。この円形低突隆部24が前記円形支持孔21に嵌着されるように、前記カシメ部材14の鋲着(カシメ加工)にて、組立てられる。つまり、一対の対面板部17,17の円形支持孔21にギア部材4の円形低突隆部24の摺接外周面22が、極めて小さな接触面圧をもって摺動可能として、嵌着(保持)される。このように、第1軸心C1廻りに回転自在としてギア部材4はケース部3内に保持される。
【0020】
ところで、第2部材2の一端には、側方へ突出状として、正六角柱形状等の多角柱状や星型柱状等の非円形の嵌入軸部20が一体に設けられている。この嵌入軸部20には、雌ネジ孔29が軸心に沿って形成されている。
【0021】
ギア部材4は、円周面の中心角度が180°未満の円弧状範囲にわたって小さな多数の凹凸ギア歯25が配設されている。また、ギア部材4には、前述した嵌入軸部20に対応した正六角孔状等の多角形や、星型等の非円形の貫通孔23が貫設されている。そして、この貫通孔23に対して軸心C1方向から、第2部材2の嵌入軸部20は、左右いずれからでも挿入自在である。
【0022】
図1〜図3に示すように、第2部材2をその長手方向の中心軸心廻りに180°反転させた場合に、全く面対称を成すような形状とすることによって、図6(a)(b)に例示したように、第2部材2及び第1部材1を、全く同一部品のままにて、共用可能となる利点がある。
【0023】
図4から図3に示すように、第1取付部18の一部と、ギア部材4を、一対の対面板部17,17にて挾持しつつ、カシメ部材14を孔部16,16a,16に挿通すると共に、カシメ加工にて、図3に示すように、ケース部3を形成すると同時に、回転自在にギア部材4を枢着(保持)し、さらに、後述の弾発部材13も同時に組立てる。その後、(又は、上記カシメ加工前に、)くさび部材6を左右のくさび形窓部5,5に挿入する。
【0024】
図2に示すように、ケース部3に嵌着されたギア部材4の円形低突隆部24の対面板部17の外面と、略同一平面を形成する。つまり、円形低突隆部24の高さ寸法は、対面板部17の肉厚寸法と略等しく設定しておく。図2に示したように、プラスチック又は薄い金属板製のカバーKを被覆して、次に、嵌入軸部20を、貫通孔23に挿入すると共に、抜け止め部材Bにて、抜け止めを行う。
【0025】
図5に示すように、ギア部材4は、貫通孔23の軸心点P1を中心とする円弧上に突設した押し返し突部10から、図中矢印N方向の同円弧上に、四半円(90°)を少し(10°〜30°)越える範囲(100°〜120°)に渡って、凹凸ギア歯25…を有している。凹凸ギア歯25…の形成される範囲の終端部には、軸心点P1を中心とする円弧上に突設した押し出し突部12を備えている。
軸心点P1を中心とする凹凸ギア歯25のギア半径Rgに対して、軸心点P1を中心とする摺接外周面22の半径R0を、60%〜80%の寸法に設定している。
ギア半径Rgに対して、半径R0を、60%より小さく設定した場合には、凹凸ギア歯25に対する軸としての円形低突隆部24が小径となるため、面圧が過大となって、早期摩耗を生じ、凹凸ギア歯の相互噛合の不良を生じて切損や異常摩耗を発生する虞れがある。
ギア半径Rgに対して、半径R0を、80%より大きく設定した場合、軸受としての対面板部17,17の残りの円環部の強度が低下し、不都合である。
【0026】
図3〜図5に示すように、くさび形窓部5は、第1軸心C1を中心側とした場合に中心方向に凹となるように形成され、矢印N方向に拡大するくさび形の孔である。くさび形窓部5は、対面板部17,17に夫々同一形状にて形成され、ケース部3を貫通している。くさび形窓部5の外方側には、くさび面8が形成されている。くさび面8は、第1軸心C1と偏心する第2軸心C2を中心とした円弧状に形成されている。さらに、くさび形窓部5は、矢印N方向側の端部に、浮動くさび部材6を収容して歯面7とギア部材4との噛合状態を解除して退避可能な退避空間部11を有している。くさび形窓部5は、内方側の円弧面26に、当たり用段付部28を有している。
【0027】
浮動くさび部材6は、一面側がギア部材4に噛合可能な凹凸ギアを有する歯面7とされ、他面側がくさび形窓部5のくさび面8に当接する当接面9とされている。歯面7には、当たり用段付部28に対して当接可能な誘導勾配面27が形成されている。浮動くさび部材6の当接面9は、くさび面8と略同一形状の円弧状として形成されている。
さらに、ケース部3は、浮動くさび部材6をギア部材4へ押し付ける方向に弾発付勢する弾発部材13を備える。弾発部材13は、帯状の鋼板材から成る板バネであり、その両端を第1取付部18に取着され、浮動くさび部材6の当接面9の中央部に当接している。浮動くさび部材6は、ギア部材4とくさび面8との間に生まれた空間に介在し、弾発部材13によって、ギア部材4へ押し付ける方向に弾発付勢されている。
【0028】
次に、上述した本発明の角度調整金具の使用方法(作用)について説明する。
図7〜図12は、角度調整金具Aの作用説明図である。第1部材1と第2部材2とは、図7の直線状態(揺動開始角度φ0=0°)から第1軸心C1廻りに揺動を開始する。第1部材1に対して第2部材2が徐々に矢印N方向に揺動(図8〜図9)する。図10に示すように、第1部材1と第2部材2とが、相互に略直角状態(揺動終了角度φ1=95°)になるまで揺動し、N方向への揺動は終了する。その後、図11に示すように、第2部材2が図中矢印R方向に揺動して、直線状態に復帰するまでを1周期として角度調整金具Aの動作を説明する。
【0029】
まず、図7に示すように、第1部材1と第2部材2とが、直線状となるように、第1部材1の貫通孔23に、嵌入軸部20を嵌入し、第2部材2を第1部材1に取り付ける(図7(a)参照)。この際、浮動くさび部材6は、その歯面7を押し出し突部12寄りの凹凸ギア歯25…に噛合すると共に、当接面9をくさび面8に当接し、ギア部材4を矢印R方向に回転するのを抑制する(図7(b)参照)。この状態を揺動開始状態とし、第1部材1と第2部材2が成す角度を揺動開始角度φ0とする。揺動開始状態では、第2部材2は、第1部材1に対して矢印N方向へ揺動する。
【0030】
次に、図8に示すように、第2部材2を矢印N方向へ起立させると、弾発部材13によりギア部材4へ押し付ける方向に弾発付勢される浮動くさび部材6の当接面9は、くさび面8から離れて、僅かな隙間dを生じる(図8(b)参照)。そして、さらに起立動作を続けると、図8(c)に示すように、浮動くさび部材6の誘導勾配面27が、くさび形窓部5の当たり用段付部28に当接して、浮動くさび部材6が隙間dの分だけギア部材4から離れて、歯面7が凹凸ギア歯25をカチカチと音をたて乗り越える。
この際、浮動くさび部材6は、歯面7を凹凸ギア歯25…に噛合すると共に、当接面9をくさび面8に当接して、第2部材2が矢印R方向に揺動するのを抑制する。よって、第2部材2を任意の傾斜角度にて維持する。ギア部材4は、円形低突隆部24を円形支持孔21に枢着して保持されるため、摺接外周面22を円形支持孔21に広く摺接して、第2部材2の姿勢を強固に維持する。
【0031】
図9に示すように、第2部材2を起立させていくと、浮動くさび部材6に押し返し突部10を当接し、かつ、誘導勾配面27が当たり用段付部28に当接する(図9(b)参照)。
【0032】
その後、図10に示すように、第2部材2を、さらに矢印N方向に揺動させると、弾発部材13の弾発力に逆らって、押し返し突部10にて押し返された浮動くさび部材6は、ギア部材4から離反し、当たり用段付部28を乗り越えて、退避空間部11に収容される。つまり、浮動くさび部材6が、ギア部材4から離反することにより、歯面7と凹凸ギア歯25…の噛合状態は解除される。また、浮動くさび部材6は、ギア部材4を係止して、矢印N方向への回転を抑止する。
この状態を揺動終了状態とし、第1部材1と第2部材2とが成す角度を揺動終了角度φ1とする。揺動終了状態では、第2部材2は、第1部材1に対して揺動終了角度φ1より矢印N方向へは揺動しない。
【0033】
従って、歯面7と凹凸ギア歯25…の噛合状態は解除され、第2部材2は、第1部材1に対して揺動開始角度φ0から揺動終了角度φ1の範囲内で自由揺動状態となる。そして、図11に示すように、第2部材2を矢印R方向に揺動し、第1部材1と第2部材2が直線状(揺動開始角度φ0)にすると、ギア部材4の押し出し突部12により誘導勾配面27を押圧し、浮動くさび部材6を退避空間部11から押し出して、歯面7とギア部材4の凹凸ギア歯25…とを、再び噛合状態に復帰させる。
【0034】
つまり、図12に示すように、揺動開始状態から第2部材2をR方向への揺動を阻止しつつ揺動単位角度αずつ矢印N方向に揺動し、任意の傾斜角度にて維持する。第1部材1に対する第2部材2の傾斜角度が、揺動終了状態の揺動終了角度φ1に達すると、第2部材2は、揺動開始角度φ0から揺動終了角度φ1の範囲内で自由揺動状態となる。その後、第1部材1と第2部材2とを直線状(揺動開始角度φ0)に戻すことにより、浮動くさび部材6とギア部材4とを噛合状態に復帰させて、再び揺動開始状態に戻る。
なお、本実施例では、揺動開始角度φ0=0°、揺動終了角度φ1=95°であり、歯面7が1つの凹凸ギア歯25を乗り越えて揺動する角度としての揺動単位角度αは5°程度に設定されているが、各々の値を、変更自由であり、これは一例にすぎない。
【0035】
また、第1取付部18及び第2取付部19を所望の形状に設定することが可能であり、例えば、図13に示すように、カバーK,Kを取付けたケース部3を備えた第1部材1は、第1取付部18を上述の実施の形態にて用いたものとは異なった形状のものとすることが可能である。第2部材2に関しても同様であり、図14に示すように、嵌入軸部20を突設する第2部材2は、第2取付部19を上述の実施の形態にて用いたものとは異なった形状のものとすることが可能である。
図13(a)〜(d)に示した第1部材1と、図14(a)〜(d)に示した第2部材2と、の組み合わせは自由に選択することが可能で、角度調整金具Aの使用用途や第1取付部18及び第2取付部19のソファ等への固定方法によって多様な形態を採用できる。
【0036】
図6に示すように、ソファSのバックレストS1の左右両側に角度調整金具Aを取着した場合には、左側の角度調整金具Aの第1部材1の貫通孔23に対しては、左側から第2部材2の嵌入軸部20を挿入して枢結し、右側の角度調整金具Aの第1部材1の貫通孔23に対しては、右側から第2部材2の嵌入軸部20を挿入して枢結する。つまり、第2部材2の嵌入軸部20は、第1部材1の貫通孔23に対して、左右いずれからでも挿入することが可能である。特に、図13(c)(d)と、図14(d)の組合せでは、左右の角度調整具Aは全く共通部品をもって使用できる。
【0037】
また、図6に示すように、ソファSのバックレストS1の左右両側に角度調整金具Aを取着した場合には、左側の角度調整金具Aの第1部材1の貫通孔23に対しては、左側から第2部材2の嵌入軸部20を挿入して枢結し、右側の角度調整金具Aの第1部材1の貫通孔23に対しては、右側から第2部材2の嵌入軸部20を挿入して枢結する。つまり、第2部材2の嵌入軸部20は、第1部材1の貫通孔23に対して、左右いずれからでも挿入することが可能である。特に図13(c)(d)と、図14(d)の組み合わせでは、左右の角度調整具Aは全く共通部分をもって使用できる。また、図13(a)(b)と、図14(a)(b)(c)の組み合わせについても、第1取付部18及び第2取付部19を左右に対応した対称形とする必要があるものの、第1部材1のケース部3内に集められた加工精度及び材質や熱処理等を最も必要とする製作が特に難しく高価な機能部品を共通してそのまま使用できる。
【0038】
次に、図15及び図16に示すように、揺動開始状態に於て、第1部材1に対して第2部材2を、所定角度θをもって、傾斜させた状態で取り付ける場合について説明する。なお、貫通孔23は、正六角孔であり、嵌入軸部20は、正六角柱形状であるため、ここでは、θ=60°として角度の変更が可能なものである。
図15に示すように、第1部材1に対して第2部材2が、矢印N方向に所定角度θ傾斜した状態で揺動を開始するように、揺動開始角度φ0を変更する。揺動開始角度φ0から揺動終了角度φ1までの可動域は、既述の動作の場合と同様である。よって、揺動終了角度φ1も所定角度θ分だけ矢印N方向に傾斜する。このようにして、第1部材1に対する第2部材2の揺動開始角度φ0及び揺動終了角度φ1を、所定角度θをもって変更する。
【0039】
また、図16に示すように、第1部材1に対して第2部材2を、さらに矢印N方向に所定角度θ傾斜させ、揺動開始角度φ0を変更すると、揺動終了角度φ1が矢印N方向にさらに所定角度θ傾斜する。つまり、揺動開始角度φ0及び揺動終了角度φ1は、所定角度θ毎に変更可能であり、第1部材1に対する第2部材2の揺動開始角度φ0及び揺動終了角度φ1を使用用途に応じて変更可能に構成されている。
【0040】
なお、本発明は、設計変更可能であって、例えば、貫通孔23及び嵌入軸部20の形状は、正六角形に限定されるものではなく、正三角形、正四角形、正八角形等の正多角形や、その他、十字形状や星型等の非円形とするも好ましい。
【0041】
以上のように、本発明は 非円形の貫通孔23を有する略円盤形状のギア部材4を回転自在として保持したケース部3を備える第1部材1と、ギア部材4の貫通孔23に挿入離脱自在に挿入される嵌入軸部20が突設された第2部材2と、を備え、ケース部3に形成されるくさび形窓部5と、くさび形窓部5内にて移動可能に配設されかつ一面側がギア部材4に噛合可能な歯面7とされ他面側がくさび形窓部5のくさび面8に当接する当接面9とされて歯面7がギア部材4に噛合しかつ当接面9がくさび面8に当接しギア部材4がケース部3に対して一方向へ揺動するのを抑制する浮動くさび部材6と、を具備するので、第1部材1の貫通孔23に第2部材2の嵌入軸部20を挿入するのみで、第1部材1と第2部材2との枢結を容易に行い得る。また、使用用途に応じて設計の変更が余儀なくされた場合に、加工精度及び材質や熱処理等を最も必要とする高価な機能部品を第1部材1のケース部3に集めることができるので、このケース部3のみを共用しつつ、容易に対応でき、製作を容易とし、品質を高く維持できる。また、第1部材1と第2部材2との揺動開始角度φ0及び揺動終了角度φ1の調整を簡単に行なうことができ、使用用途を拡大可能となる。
【0042】
また、ギア部材4は、摺接外周面22を有する円形低突隆部24が左右両側面4a,4bから突出状に連設され、ケース部3は、円形低突隆部24の摺接外周面22を摺動可能に嵌着する円形支持孔21が貫設された一対の対面板部17,17を備えているので、従来の図17と図18で述べた細径のピン39及び小孔部40の早期摩耗を防止でき、これに伴うギア歯の異常摩耗・切損を防止でき、耐久性に優れる。
【0043】
また、第2部材2の嵌入軸部20は、第1部材1の貫通孔23に対して、左右いずれからでも挿入可能に構成されているので、使用用途に応じて左右のアーム形状が異なる場合にも、多くの部品を共用することができる。
【0044】
また、非円形の貫通孔23を正多角形として、所定角度θをもって、第1部材1に対する第2部材2の揺動開始角度φ0及び揺動終了角度φ1の各々を変更可能に構成しているので、第1部材1と第2部材2とを着脱するのみで、揺動開始角度φ0及び揺動終了角度φ1の調整を簡単に行なうことができ、使用用途を制限されることなく利用できる。
【0045】
ギア部材4に於て、貫通孔23の軸心点P1を中心とする凹凸ギア歯25…のギア半径Rgに対し、摺接外周面22の軸心点P1を中心とする半径R0を、60%〜80%に設定しているので、摺接外周面22に対する面圧が低下し、摩耗が生じにくくなって、ギア部材4の軸ブレを防止し、凹凸ギア歯25と歯面7とを確実に噛合させることが可能となる。
【符号の説明】
【0046】
1 第1部材
2 第2部材
3 ケース部
4 ギア部材
4a 左側面
4b 右側面
5 くさび形窓部
6 浮動くさび部材
7 歯面
8 くさび面
9 当接面
17 対面板部
20 嵌入軸部
21 円形支持孔
22 摺接外周面
23 貫通孔
24 円形低突隆部
25 凹凸ギア歯
θ 所定角度
φ0 揺動開始角度
φ1 揺動終了角度
P1 軸心点
Rg ギア半径
R0 半径
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具類等に使用されて、傾動する背部等の傾斜角度を調整自在として枢支するための角度調整金具に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、かつて、この種の角度調整金具に関して多くの発明を提案してきた。例えば、図17の組立図と図18の分解図に示す(特許文献1参照)ように、ケース部33を形成する第1アーム31の円弧状ギア部34を有する第2アーム32を備え、ケース部33の2枚の平行な板片部37,37にくさび形窓部35,35を形成して、浮動くさび部材36を上記くさび形窓部35,35へ挿入して、かつ、ケース部33の2枚の平行な板片部37,37の間に第2アーム32のギア部34と2枚の平行な板片部38,38とを差込んで、細径ピン39を小孔部40,41に挿入して、軸心42廻りに揺動自在に、第1アーム31と第2アーム32を枢結して、角度調整金具43を構成していた。
【0003】
特に、ギア部34は細かい多数のギア歯48を有し、かつ、浮動くさび部材36にも細かいギア歯49を有し、相互に高寸法精度をもって確実に噛合されなければ、ギア歯48,49の使用時の接触面圧が過大となり、切損事故や早期摩耗の問題が生ずる虞れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3766669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の図17と図18に示したような角度調整金具では、以下のような問題点があった。
(i) 2個の独立した部品(第1部材1と第2部材2)を細径ピン39にて組立てて、初めてギア部34のギア歯48と、くさび部材36のギア歯49とが噛合する構成であって、組立てに伴って寸法誤差の集積が大きくなり、ギア歯48,49の使用時の接触面圧が大きくなって、早期摩耗やギア歯や切損事故を生ずることがある点。
(ii)小さな多数の部品をもって図18に示すように組立てねばならず、組立作業が難しいという点。
(iii)第1アーム31・第2アーム32には塑性加工にて短円管状に形成された円管部50,50を夫々有し、図17のように組立てて使用される用途は限定されている。即ち、例えば、座椅子ならば、それ専用となって、それ以外の用途には、円管部50の形状を板状素材から相違したものを必要とし、特に、円管部50を帯板型・アングル型・折曲アーム型等とするには、各々新たな設計及び作製を要する点。
(iv)さらに、第1アーム31と第2アーム32の揺動開始角度と揺動終了角度は一つに決定されており、各角度を変更することができない点。
(v)従って、揺動開始角度と揺動終了角度が相違する用途(ソファ、ベッド、椅子等の家具の種類や傾動使用条件等が異なる用途)に応じて、別々の設計と作製を必要とする点。
(vi)高精度を要する主要機能部品が、第1アーム31と第2アーム32に分離しているため、ピン39にて組立てた状態下での寸法精度がでにくく、組立ミスを発生し易いという点。
(vii) 細径ピン39に全荷重が掛り、この細径ピン39と小孔部41との早期摩耗や面圧潰を生じ易いという点。
本発明は、図17と図18に例示した従来の角度調整金具の上記問題点(i)〜(vii)を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明に係る角度調整金具は、非円形の貫通孔を有する略円盤形状のギア部材を回転自在として保持したケース部を備える第1部材と、上記ギア部材の上記貫通孔に挿入離脱自在に挿入される嵌入軸部が突設された第2部材と、を備え、上記ケース部に形成されるくさび形窓部と、該くさび形窓部内にて移動可能に配設されかつ一面側が上記ギア部材に噛合可能な歯面とされ他面側が上記くさび形窓部のくさび面に当接する当接面とされて上記歯面が該ギア部材に噛合しかつ上記当接面が上記くさび面に当接し上記ギア部材が上記ケース部に対して一方向へ揺動するのを抑制する浮動くさび部材と、を具備するものである。
【0007】
また、上記ギア部材は、摺接外周面を有する円形低突隆部が左右両側面から突出状に連設され、上記ケース部は、上記円形低突隆部の上記摺接外周面を摺動可能に嵌着する円形支持孔が貫設された一対の対面板部を備えたものである。
【0008】
上記第2部材の上記嵌入軸部は、上記第1部材の上記貫通孔に対して、左右いずれからでも挿入可能に構成されたものである。
【0009】
上記非円形の貫通孔を正多角形として、所定角度をもって、上記第1部材に対する上記第2部材の揺動開始角度及び揺動終了角度の各々を変更可能に構成したものである。
【0010】
上記ギア部材に於て、上記貫通孔の軸心点を中心とする凹凸ギア歯のギア半径に対し、上記摺接外周面の上記軸心点を中心とする半径を、60%〜80%に設定したものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、主要な機能部品が第1部材へ集められるので、噛合ギア歯が高精度寸法をもって正確に噛合し、早期摩耗や切損を生じないで、寿命が延びる。また、第1部材と第2部材の組立作業が著しく容易となる。第2部材はその嵌入軸部さえ同一寸法・形状であれば、円管型・帯板型・アングル型・折曲アーム型等自由に選定可能であって用途に対応自在であり、他方、第1部材もケース部内に全ての機能部品が収容可能であり、このケース部に、円管型・帯板型・アングル型・折曲アーム型等の(相手部材への)取着アーム部を固着すれば、同様に各種用途の対応自在である。
【0012】
また、第1部材と第2部材の揺動開始角度・揺動終了角度は、非円形の貫通孔に嵌入軸部の挿入角度を変更することで、容易に変更可能である。これによって、家具の種類や傾動使用条件等が異なる用途に対して、簡単に対応可能であり、製造コストの低減、及び、在庫管理の容易化、流通の簡略化を図り得る。
【0013】
また、組立ミスも発生せず、高品質の角度調整金具が安価に得られる。さらに、回転揺動部の面圧を低下させ易く、それによって、早期摩耗や面圧潰を防止容易となり、大きな外力に耐えて、家具類等の傾動箇所に広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の角度調整金具の実施の一形態を示した全体斜視図である。
【図2】角度調整金具の全体分解斜視図である。
【図3】角度調整金具の要部分解斜視図である。
【図4】第1部材の分解斜視図である。
【図5】角度調整金具の要部拡大説明図である。
【図6】角度調整金具の使用状態を示した説明図であり、(a)は要部破断斜視説明図であり、(b)は要部破断Y矢視説明図である。
【図7】角度調整金具の作用説明のための図であり、(a)は要部破断図であり、(b)は要部拡大図である。
【図8】角度調整金具の作用説明のための図であり、(a)は要部破断図であり、(b)及び(c)は要部拡大図である。
【図9】角度調整金具の作用説明のための図であり、(a)は要部破断図であり、(b)は要部拡大図である。
【図10】角度調整金具の作用説明のための図であり、(a)は要部破断図であり、(b)は要部拡大図である。
【図11】角度調整金具の作用説明のための図であり、(a)は要部破断図であり、(b)は要部拡大図である。
【図12】角度調整金具の作用を説明する説明図である。
【図13】第1部材の他の例を示した斜視図である。
【図14】第2部材の他の例を示した斜視図である。
【図15】角度調整金具の角度調整を説明する説明図である。
【図16】角度調整金具の角度調整を説明する説明図である。
【図17】従来例を示す斜視図である。
【図18】従来例の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る角度調整金具Aは、ソファ、座椅子、ベッド、ヘッドレスト、フットレスト、上下揺動式扉等に使用され、上下に揺動(傾動)する部材を所定の角度範囲をもって、かつ、その傾斜角度を調整自在に保持するものである。例えば、図6に示すように、ソファSに適用され、座部S0に対して、バックレストS1を後方へ傾動自在として枢支するのに、本発明の角度調整金具Aが用いられる。
【0016】
図1〜図4に示す実施の一形態に於て、帯板状の第1取付部18を有する第1部材1と、帯板状の第2取付部19を有する第2部材2とを、備え、第1取付部18と第2取付部19には、複数の取付小孔が配設され、図6(b)に一点鎖線にて示したように、ビスやリベット等の固着具をこの取付小孔15に挿通して、バックレストS1と座部S0の各フレームに固着する。
【0017】
第1部材1は、一対の対面板部17,17を有するケース部3を有し、このケース部3に略円盤形状のギア部材4が回転自在に保持される。図4に示すように、対面板部17は略矩形片型であって、2個の固着用孔部16が貫設され、かつ、第1取付部18にも2個の固着用孔部16aが貫設され、カシメ部材14を串挿状に挿通して、カシメ加工にて、強固に第1取付部18を挾圧状として、平行な2枚の対面板部17,17と共に、一体構造として、第1取付部18の一部、及び、対面板部17,17をもってケース部3を形成する。(なお、図例では孔部16及び孔部16aは、各々3個ずつに見えるが、中間の孔部は、後述するカバーKの相互連結杆用の孔である。)
【0018】
そして、ケース部3を形成する対面板部17,17には、くさび形窓部5及び円形支持孔21が貫設されている。6は浮動くさび部材であって、左右一対の対面板部17,17の両外面間寸法と同等乃至僅かに大きな左右長さ寸法に設定され、浮動くさび部材6は、左右のくさび形窓部5,5を橋絡状として挿入され、くさび形窓部5内を移動可能に組立てられる。
【0019】
ギア部材4は、摺接外周面22を有する円形低突隆部24が左右両側面4a,4bから突出状として一体に形成(連設)されている。この円形低突隆部24が前記円形支持孔21に嵌着されるように、前記カシメ部材14の鋲着(カシメ加工)にて、組立てられる。つまり、一対の対面板部17,17の円形支持孔21にギア部材4の円形低突隆部24の摺接外周面22が、極めて小さな接触面圧をもって摺動可能として、嵌着(保持)される。このように、第1軸心C1廻りに回転自在としてギア部材4はケース部3内に保持される。
【0020】
ところで、第2部材2の一端には、側方へ突出状として、正六角柱形状等の多角柱状や星型柱状等の非円形の嵌入軸部20が一体に設けられている。この嵌入軸部20には、雌ネジ孔29が軸心に沿って形成されている。
【0021】
ギア部材4は、円周面の中心角度が180°未満の円弧状範囲にわたって小さな多数の凹凸ギア歯25が配設されている。また、ギア部材4には、前述した嵌入軸部20に対応した正六角孔状等の多角形や、星型等の非円形の貫通孔23が貫設されている。そして、この貫通孔23に対して軸心C1方向から、第2部材2の嵌入軸部20は、左右いずれからでも挿入自在である。
【0022】
図1〜図3に示すように、第2部材2をその長手方向の中心軸心廻りに180°反転させた場合に、全く面対称を成すような形状とすることによって、図6(a)(b)に例示したように、第2部材2及び第1部材1を、全く同一部品のままにて、共用可能となる利点がある。
【0023】
図4から図3に示すように、第1取付部18の一部と、ギア部材4を、一対の対面板部17,17にて挾持しつつ、カシメ部材14を孔部16,16a,16に挿通すると共に、カシメ加工にて、図3に示すように、ケース部3を形成すると同時に、回転自在にギア部材4を枢着(保持)し、さらに、後述の弾発部材13も同時に組立てる。その後、(又は、上記カシメ加工前に、)くさび部材6を左右のくさび形窓部5,5に挿入する。
【0024】
図2に示すように、ケース部3に嵌着されたギア部材4の円形低突隆部24の対面板部17の外面と、略同一平面を形成する。つまり、円形低突隆部24の高さ寸法は、対面板部17の肉厚寸法と略等しく設定しておく。図2に示したように、プラスチック又は薄い金属板製のカバーKを被覆して、次に、嵌入軸部20を、貫通孔23に挿入すると共に、抜け止め部材Bにて、抜け止めを行う。
【0025】
図5に示すように、ギア部材4は、貫通孔23の軸心点P1を中心とする円弧上に突設した押し返し突部10から、図中矢印N方向の同円弧上に、四半円(90°)を少し(10°〜30°)越える範囲(100°〜120°)に渡って、凹凸ギア歯25…を有している。凹凸ギア歯25…の形成される範囲の終端部には、軸心点P1を中心とする円弧上に突設した押し出し突部12を備えている。
軸心点P1を中心とする凹凸ギア歯25のギア半径Rgに対して、軸心点P1を中心とする摺接外周面22の半径R0を、60%〜80%の寸法に設定している。
ギア半径Rgに対して、半径R0を、60%より小さく設定した場合には、凹凸ギア歯25に対する軸としての円形低突隆部24が小径となるため、面圧が過大となって、早期摩耗を生じ、凹凸ギア歯の相互噛合の不良を生じて切損や異常摩耗を発生する虞れがある。
ギア半径Rgに対して、半径R0を、80%より大きく設定した場合、軸受としての対面板部17,17の残りの円環部の強度が低下し、不都合である。
【0026】
図3〜図5に示すように、くさび形窓部5は、第1軸心C1を中心側とした場合に中心方向に凹となるように形成され、矢印N方向に拡大するくさび形の孔である。くさび形窓部5は、対面板部17,17に夫々同一形状にて形成され、ケース部3を貫通している。くさび形窓部5の外方側には、くさび面8が形成されている。くさび面8は、第1軸心C1と偏心する第2軸心C2を中心とした円弧状に形成されている。さらに、くさび形窓部5は、矢印N方向側の端部に、浮動くさび部材6を収容して歯面7とギア部材4との噛合状態を解除して退避可能な退避空間部11を有している。くさび形窓部5は、内方側の円弧面26に、当たり用段付部28を有している。
【0027】
浮動くさび部材6は、一面側がギア部材4に噛合可能な凹凸ギアを有する歯面7とされ、他面側がくさび形窓部5のくさび面8に当接する当接面9とされている。歯面7には、当たり用段付部28に対して当接可能な誘導勾配面27が形成されている。浮動くさび部材6の当接面9は、くさび面8と略同一形状の円弧状として形成されている。
さらに、ケース部3は、浮動くさび部材6をギア部材4へ押し付ける方向に弾発付勢する弾発部材13を備える。弾発部材13は、帯状の鋼板材から成る板バネであり、その両端を第1取付部18に取着され、浮動くさび部材6の当接面9の中央部に当接している。浮動くさび部材6は、ギア部材4とくさび面8との間に生まれた空間に介在し、弾発部材13によって、ギア部材4へ押し付ける方向に弾発付勢されている。
【0028】
次に、上述した本発明の角度調整金具の使用方法(作用)について説明する。
図7〜図12は、角度調整金具Aの作用説明図である。第1部材1と第2部材2とは、図7の直線状態(揺動開始角度φ0=0°)から第1軸心C1廻りに揺動を開始する。第1部材1に対して第2部材2が徐々に矢印N方向に揺動(図8〜図9)する。図10に示すように、第1部材1と第2部材2とが、相互に略直角状態(揺動終了角度φ1=95°)になるまで揺動し、N方向への揺動は終了する。その後、図11に示すように、第2部材2が図中矢印R方向に揺動して、直線状態に復帰するまでを1周期として角度調整金具Aの動作を説明する。
【0029】
まず、図7に示すように、第1部材1と第2部材2とが、直線状となるように、第1部材1の貫通孔23に、嵌入軸部20を嵌入し、第2部材2を第1部材1に取り付ける(図7(a)参照)。この際、浮動くさび部材6は、その歯面7を押し出し突部12寄りの凹凸ギア歯25…に噛合すると共に、当接面9をくさび面8に当接し、ギア部材4を矢印R方向に回転するのを抑制する(図7(b)参照)。この状態を揺動開始状態とし、第1部材1と第2部材2が成す角度を揺動開始角度φ0とする。揺動開始状態では、第2部材2は、第1部材1に対して矢印N方向へ揺動する。
【0030】
次に、図8に示すように、第2部材2を矢印N方向へ起立させると、弾発部材13によりギア部材4へ押し付ける方向に弾発付勢される浮動くさび部材6の当接面9は、くさび面8から離れて、僅かな隙間dを生じる(図8(b)参照)。そして、さらに起立動作を続けると、図8(c)に示すように、浮動くさび部材6の誘導勾配面27が、くさび形窓部5の当たり用段付部28に当接して、浮動くさび部材6が隙間dの分だけギア部材4から離れて、歯面7が凹凸ギア歯25をカチカチと音をたて乗り越える。
この際、浮動くさび部材6は、歯面7を凹凸ギア歯25…に噛合すると共に、当接面9をくさび面8に当接して、第2部材2が矢印R方向に揺動するのを抑制する。よって、第2部材2を任意の傾斜角度にて維持する。ギア部材4は、円形低突隆部24を円形支持孔21に枢着して保持されるため、摺接外周面22を円形支持孔21に広く摺接して、第2部材2の姿勢を強固に維持する。
【0031】
図9に示すように、第2部材2を起立させていくと、浮動くさび部材6に押し返し突部10を当接し、かつ、誘導勾配面27が当たり用段付部28に当接する(図9(b)参照)。
【0032】
その後、図10に示すように、第2部材2を、さらに矢印N方向に揺動させると、弾発部材13の弾発力に逆らって、押し返し突部10にて押し返された浮動くさび部材6は、ギア部材4から離反し、当たり用段付部28を乗り越えて、退避空間部11に収容される。つまり、浮動くさび部材6が、ギア部材4から離反することにより、歯面7と凹凸ギア歯25…の噛合状態は解除される。また、浮動くさび部材6は、ギア部材4を係止して、矢印N方向への回転を抑止する。
この状態を揺動終了状態とし、第1部材1と第2部材2とが成す角度を揺動終了角度φ1とする。揺動終了状態では、第2部材2は、第1部材1に対して揺動終了角度φ1より矢印N方向へは揺動しない。
【0033】
従って、歯面7と凹凸ギア歯25…の噛合状態は解除され、第2部材2は、第1部材1に対して揺動開始角度φ0から揺動終了角度φ1の範囲内で自由揺動状態となる。そして、図11に示すように、第2部材2を矢印R方向に揺動し、第1部材1と第2部材2が直線状(揺動開始角度φ0)にすると、ギア部材4の押し出し突部12により誘導勾配面27を押圧し、浮動くさび部材6を退避空間部11から押し出して、歯面7とギア部材4の凹凸ギア歯25…とを、再び噛合状態に復帰させる。
【0034】
つまり、図12に示すように、揺動開始状態から第2部材2をR方向への揺動を阻止しつつ揺動単位角度αずつ矢印N方向に揺動し、任意の傾斜角度にて維持する。第1部材1に対する第2部材2の傾斜角度が、揺動終了状態の揺動終了角度φ1に達すると、第2部材2は、揺動開始角度φ0から揺動終了角度φ1の範囲内で自由揺動状態となる。その後、第1部材1と第2部材2とを直線状(揺動開始角度φ0)に戻すことにより、浮動くさび部材6とギア部材4とを噛合状態に復帰させて、再び揺動開始状態に戻る。
なお、本実施例では、揺動開始角度φ0=0°、揺動終了角度φ1=95°であり、歯面7が1つの凹凸ギア歯25を乗り越えて揺動する角度としての揺動単位角度αは5°程度に設定されているが、各々の値を、変更自由であり、これは一例にすぎない。
【0035】
また、第1取付部18及び第2取付部19を所望の形状に設定することが可能であり、例えば、図13に示すように、カバーK,Kを取付けたケース部3を備えた第1部材1は、第1取付部18を上述の実施の形態にて用いたものとは異なった形状のものとすることが可能である。第2部材2に関しても同様であり、図14に示すように、嵌入軸部20を突設する第2部材2は、第2取付部19を上述の実施の形態にて用いたものとは異なった形状のものとすることが可能である。
図13(a)〜(d)に示した第1部材1と、図14(a)〜(d)に示した第2部材2と、の組み合わせは自由に選択することが可能で、角度調整金具Aの使用用途や第1取付部18及び第2取付部19のソファ等への固定方法によって多様な形態を採用できる。
【0036】
図6に示すように、ソファSのバックレストS1の左右両側に角度調整金具Aを取着した場合には、左側の角度調整金具Aの第1部材1の貫通孔23に対しては、左側から第2部材2の嵌入軸部20を挿入して枢結し、右側の角度調整金具Aの第1部材1の貫通孔23に対しては、右側から第2部材2の嵌入軸部20を挿入して枢結する。つまり、第2部材2の嵌入軸部20は、第1部材1の貫通孔23に対して、左右いずれからでも挿入することが可能である。特に、図13(c)(d)と、図14(d)の組合せでは、左右の角度調整具Aは全く共通部品をもって使用できる。
【0037】
また、図6に示すように、ソファSのバックレストS1の左右両側に角度調整金具Aを取着した場合には、左側の角度調整金具Aの第1部材1の貫通孔23に対しては、左側から第2部材2の嵌入軸部20を挿入して枢結し、右側の角度調整金具Aの第1部材1の貫通孔23に対しては、右側から第2部材2の嵌入軸部20を挿入して枢結する。つまり、第2部材2の嵌入軸部20は、第1部材1の貫通孔23に対して、左右いずれからでも挿入することが可能である。特に図13(c)(d)と、図14(d)の組み合わせでは、左右の角度調整具Aは全く共通部分をもって使用できる。また、図13(a)(b)と、図14(a)(b)(c)の組み合わせについても、第1取付部18及び第2取付部19を左右に対応した対称形とする必要があるものの、第1部材1のケース部3内に集められた加工精度及び材質や熱処理等を最も必要とする製作が特に難しく高価な機能部品を共通してそのまま使用できる。
【0038】
次に、図15及び図16に示すように、揺動開始状態に於て、第1部材1に対して第2部材2を、所定角度θをもって、傾斜させた状態で取り付ける場合について説明する。なお、貫通孔23は、正六角孔であり、嵌入軸部20は、正六角柱形状であるため、ここでは、θ=60°として角度の変更が可能なものである。
図15に示すように、第1部材1に対して第2部材2が、矢印N方向に所定角度θ傾斜した状態で揺動を開始するように、揺動開始角度φ0を変更する。揺動開始角度φ0から揺動終了角度φ1までの可動域は、既述の動作の場合と同様である。よって、揺動終了角度φ1も所定角度θ分だけ矢印N方向に傾斜する。このようにして、第1部材1に対する第2部材2の揺動開始角度φ0及び揺動終了角度φ1を、所定角度θをもって変更する。
【0039】
また、図16に示すように、第1部材1に対して第2部材2を、さらに矢印N方向に所定角度θ傾斜させ、揺動開始角度φ0を変更すると、揺動終了角度φ1が矢印N方向にさらに所定角度θ傾斜する。つまり、揺動開始角度φ0及び揺動終了角度φ1は、所定角度θ毎に変更可能であり、第1部材1に対する第2部材2の揺動開始角度φ0及び揺動終了角度φ1を使用用途に応じて変更可能に構成されている。
【0040】
なお、本発明は、設計変更可能であって、例えば、貫通孔23及び嵌入軸部20の形状は、正六角形に限定されるものではなく、正三角形、正四角形、正八角形等の正多角形や、その他、十字形状や星型等の非円形とするも好ましい。
【0041】
以上のように、本発明は 非円形の貫通孔23を有する略円盤形状のギア部材4を回転自在として保持したケース部3を備える第1部材1と、ギア部材4の貫通孔23に挿入離脱自在に挿入される嵌入軸部20が突設された第2部材2と、を備え、ケース部3に形成されるくさび形窓部5と、くさび形窓部5内にて移動可能に配設されかつ一面側がギア部材4に噛合可能な歯面7とされ他面側がくさび形窓部5のくさび面8に当接する当接面9とされて歯面7がギア部材4に噛合しかつ当接面9がくさび面8に当接しギア部材4がケース部3に対して一方向へ揺動するのを抑制する浮動くさび部材6と、を具備するので、第1部材1の貫通孔23に第2部材2の嵌入軸部20を挿入するのみで、第1部材1と第2部材2との枢結を容易に行い得る。また、使用用途に応じて設計の変更が余儀なくされた場合に、加工精度及び材質や熱処理等を最も必要とする高価な機能部品を第1部材1のケース部3に集めることができるので、このケース部3のみを共用しつつ、容易に対応でき、製作を容易とし、品質を高く維持できる。また、第1部材1と第2部材2との揺動開始角度φ0及び揺動終了角度φ1の調整を簡単に行なうことができ、使用用途を拡大可能となる。
【0042】
また、ギア部材4は、摺接外周面22を有する円形低突隆部24が左右両側面4a,4bから突出状に連設され、ケース部3は、円形低突隆部24の摺接外周面22を摺動可能に嵌着する円形支持孔21が貫設された一対の対面板部17,17を備えているので、従来の図17と図18で述べた細径のピン39及び小孔部40の早期摩耗を防止でき、これに伴うギア歯の異常摩耗・切損を防止でき、耐久性に優れる。
【0043】
また、第2部材2の嵌入軸部20は、第1部材1の貫通孔23に対して、左右いずれからでも挿入可能に構成されているので、使用用途に応じて左右のアーム形状が異なる場合にも、多くの部品を共用することができる。
【0044】
また、非円形の貫通孔23を正多角形として、所定角度θをもって、第1部材1に対する第2部材2の揺動開始角度φ0及び揺動終了角度φ1の各々を変更可能に構成しているので、第1部材1と第2部材2とを着脱するのみで、揺動開始角度φ0及び揺動終了角度φ1の調整を簡単に行なうことができ、使用用途を制限されることなく利用できる。
【0045】
ギア部材4に於て、貫通孔23の軸心点P1を中心とする凹凸ギア歯25…のギア半径Rgに対し、摺接外周面22の軸心点P1を中心とする半径R0を、60%〜80%に設定しているので、摺接外周面22に対する面圧が低下し、摩耗が生じにくくなって、ギア部材4の軸ブレを防止し、凹凸ギア歯25と歯面7とを確実に噛合させることが可能となる。
【符号の説明】
【0046】
1 第1部材
2 第2部材
3 ケース部
4 ギア部材
4a 左側面
4b 右側面
5 くさび形窓部
6 浮動くさび部材
7 歯面
8 くさび面
9 当接面
17 対面板部
20 嵌入軸部
21 円形支持孔
22 摺接外周面
23 貫通孔
24 円形低突隆部
25 凹凸ギア歯
θ 所定角度
φ0 揺動開始角度
φ1 揺動終了角度
P1 軸心点
Rg ギア半径
R0 半径
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非円形の貫通孔(23)を有する略円盤形状のギア部材(4)を回転自在として保持したケース部(3)を備える第1部材(1)と、上記ギア部材(4)の上記貫通孔(23)に挿入離脱自在に挿入される嵌入軸部(20)が突設された第2部材(2)と、を備え、
上記ケース部(3)に形成されるくさび形窓部(5)と、該くさび形窓部(5)内にて移動可能に配設されかつ一面側が上記ギア部材(4)に噛合可能な歯面(7)とされ他面側が上記くさび形窓部(5)のくさび面(8)に当接する当接面(9)とされて上記歯面(7)が該ギア部材(4)に噛合しかつ上記当接面(9)が上記くさび面(8)に当接し上記ギア部材(4)が上記ケース部(3)に対して一方向へ揺動するのを抑制する浮動くさび部材(6)と、を具備することを特徴とする角度調整金具。
【請求項2】
上記ギア部材(4)は、摺接外周面(22)を有する円形低突隆部(24)が左右両側面(4a)(4b)から突出状に連設され、
上記ケース部(3)は、上記円形低突隆部(24)の上記摺接外周面(22)を摺動可能に嵌着する円形支持孔(21)が貫設された一対の対面板部(17)(17)を備えた請求項1記載の角度調整金具。
【請求項3】
上記第2部材(2)の上記嵌入軸部(20)は、上記第1部材(1)の上記貫通孔(23)に対して、左右いずれからでも挿入可能に構成された請求項1又は2記載の角度調整金具。
【請求項4】
上記非円形の貫通孔(23)を正多角形として、所定角度(θ)をもって、上記第1部材(1)に対する上記第2部材(2)の揺動開始角度(φ0)及び揺動終了角度(φ1)の各々を変更可能に構成した請求項1,2又は3記載の角度調整金具。
【請求項5】
上記ギア部材(4)に於て、
上記貫通孔(23)の軸心点(P1)を中心とする凹凸ギア歯(25)…のギア半径(Rg)に対し、上記摺接外周面(22)の上記軸心点(P1)を中心とする半径(R0)を、60%〜80%に設定した請求項2,3又は4記載の角度調整金具。
【請求項1】
非円形の貫通孔(23)を有する略円盤形状のギア部材(4)を回転自在として保持したケース部(3)を備える第1部材(1)と、上記ギア部材(4)の上記貫通孔(23)に挿入離脱自在に挿入される嵌入軸部(20)が突設された第2部材(2)と、を備え、
上記ケース部(3)に形成されるくさび形窓部(5)と、該くさび形窓部(5)内にて移動可能に配設されかつ一面側が上記ギア部材(4)に噛合可能な歯面(7)とされ他面側が上記くさび形窓部(5)のくさび面(8)に当接する当接面(9)とされて上記歯面(7)が該ギア部材(4)に噛合しかつ上記当接面(9)が上記くさび面(8)に当接し上記ギア部材(4)が上記ケース部(3)に対して一方向へ揺動するのを抑制する浮動くさび部材(6)と、を具備することを特徴とする角度調整金具。
【請求項2】
上記ギア部材(4)は、摺接外周面(22)を有する円形低突隆部(24)が左右両側面(4a)(4b)から突出状に連設され、
上記ケース部(3)は、上記円形低突隆部(24)の上記摺接外周面(22)を摺動可能に嵌着する円形支持孔(21)が貫設された一対の対面板部(17)(17)を備えた請求項1記載の角度調整金具。
【請求項3】
上記第2部材(2)の上記嵌入軸部(20)は、上記第1部材(1)の上記貫通孔(23)に対して、左右いずれからでも挿入可能に構成された請求項1又は2記載の角度調整金具。
【請求項4】
上記非円形の貫通孔(23)を正多角形として、所定角度(θ)をもって、上記第1部材(1)に対する上記第2部材(2)の揺動開始角度(φ0)及び揺動終了角度(φ1)の各々を変更可能に構成した請求項1,2又は3記載の角度調整金具。
【請求項5】
上記ギア部材(4)に於て、
上記貫通孔(23)の軸心点(P1)を中心とする凹凸ギア歯(25)…のギア半径(Rg)に対し、上記摺接外周面(22)の上記軸心点(P1)を中心とする半径(R0)を、60%〜80%に設定した請求項2,3又は4記載の角度調整金具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−270858(P2010−270858A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−124333(P2009−124333)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【特許番号】特許第4418519号(P4418519)
【特許公報発行日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(503315654)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【特許番号】特許第4418519号(P4418519)
【特許公報発行日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(503315654)
【Fターム(参考)】
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