説明

角栓除去用化粧シートの使用方法および角栓除去用化粧キット

【課題】
皮膚からの角栓除去能力が優れた角栓の除去方法を提供することを課題とする。いいかえれば、角栓除去能力が効果的に発揮される角栓除去用化粧シートの使用方法を提供することを課題とする。
【解決手段】
角栓除去用化粧シートを皮膚に貼付する前に、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含有する化粧用液剤を塗布する、角栓除去用化粧シートの使用方法による。この方法によると、効果的に皮膚から角栓を除去しうる。化粧シートの使用の際に、化粧用液剤は拭い取るか、洗浄して軽く除去してもよいし、化粧用液剤を塗布した上に化粧シートを貼付してもよい。その後通常の方法に従い、化粧シートを剥離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小鼻などの毛穴の汚れである角栓を効果的に除去するための、角栓除去用化粧シートの使用方法に関する。具体的には、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含有する化粧用液剤を目的の部位に塗布し、放置し、その後角栓除去用化粧シートを貼付し、乾燥後に剥離して角栓を除去する角栓除去方法およびそれに用いる角栓除去用化粧キットに関する。
【背景技術】
【0002】
化粧シートの一例として、皮膚の角栓除去用化粧シートが知られている。この角栓除去用化粧シートは、不織布などからなる基材の片面に、湿潤粘着性組成物からなる皮膚貼付層を有するものが一般的である。化粧シートについて、種々の改良がなされており、皮膚面の密着性を考慮して、例えば基材に用いられる不織布が、異形断面繊維から構成されるものなどが開示されている(特許文献1)。このような、湿潤粘着性組成物からなる皮膚貼付層を有する角栓除去用化粧シートは、通常鼻部などの貼付部位を予め水で濡らした後に貼付されて用いられる。その後、この状態で約10〜15分間放置して水分を蒸発させた後、ゆっくりとシートを剥離除去する。このような一連の操作を経て、水で溶解若しくは湿潤した粘着性組成物が毛穴の角栓と接触し、その後の乾燥によって角栓と一体化することにより、毛穴中の角栓をシートの剥離とともに毛穴から除去できるものである。
【0003】
皮膚に痛みを与えることなく角栓等を除去することができる角栓除去剤として、塩生成基を有する高分子化合物と油剤とをパック剤の一成分として用いたシート状パックが開示されている(特許文献2)が、油剤を併用するため角栓除去能力が低下した。
これに対し、パックの角栓除去能力を低下させることなく、皮膚から剥離する際の痛みを緩和することができるパック化粧料が、開示されている(特許文献3)。このパック化粧料は、鎮痛剤、止痒剤、ポリオキシアルキレン鎖を有する非イオン系界面活性剤、アルキレングリコールもしくはポリアルキレングリコールのサリチル酸エステルおよび高級脂肪酸とアミノアルコールの縮合物よりなる群から選ばれた1種または2種以上の成分を含有している。しかしながら、このパック化粧料も未だ十分な角栓除去能力を有するものではなく、ユーザーの高いニーズに応えることができるものではなかった。
【特許文献1】特開2000−281531号公報
【特許文献2】特開平5−221843号公報
【特許文献3】特開平11−199435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、皮膚からの角栓除去効果が効果的に発揮される角栓除去用化粧シートの使用方法を提供することを課題とする。さらに、このような角栓除去方法に適切な角栓除去用化粧キットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、角栓除去用化粧シートを皮膚に貼付する前に、化粧シート貼付部位に予めポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含有する化粧用液剤を塗布しておくと、効果的に皮膚から角栓を除去しうることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち本発明は以下からなる。
1.角栓除去に際し、目的の部位に角栓除去用化粧シートを貼付する前に、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含有する化粧用液剤を目的の部位に塗布することを特徴とする角栓除去用化粧シートの使用方法。
2.目的の部位に角栓除去用化粧シートを貼付する前に、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含有する化粧用液剤を目的の部位に塗布し、5〜10分間放置することを特徴とする前項1に記載の使用方法。
3.前記化粧用液剤に含有される前記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを形成する脂肪酸が、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸から選択される少なくとも一種である前項1または2に記載の使用方法。
4.ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含有する角栓除去用の化粧用液剤、および角栓除去用化粧シートを含む角栓除去用化粧キット。
【発明の効果】
【0007】
本発明の目的の部位に角栓除去用化粧シート(以下、単に「化粧シート」という場合もある。)を貼付する前に、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含有する化粧用液剤を目的の部位に塗布して角栓除去操作を行うと、より効果的に角栓を除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の角栓除去用化粧シートの使用方法において、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含有する化粧用液剤を塗布した後、化粧シートを目的の部位に貼付するまでの間、5〜10分間放置する。化粧用液剤の塗布時間が5分未満では、使用者の個体差による効果のバラツキが大きく、顕著な効果を発揮しないおそれがある。また、化粧用液剤の塗布時間が5分を超えると、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの角栓除去効果に著しい有意差がなくなる。ここにおいて、目的の部位とは、角栓の除去を所望する部位であれば良く、特に限定されるものではないが、例えば鼻部などの部位が挙げられる。
【0009】
また、化粧用液剤を塗布し、その後化粧シートを貼付する前に、ティッシュペーパーのようなもので化粧用液剤を拭い取ってもよいし、水等で軽く洗い流してもよい。
【0010】
化粧シートを目的の部位に貼付するに際し、化粧シートの皮膚貼付表面もしくは貼付部位を水でぬらして、通常の使用方法に従うことができる。例えば、化粧シートを貼付した状態で約10〜15分間放置して水分を蒸発させた後、ゆっくりとシートを剥離除去することができる。このような一連の操作を経て、水で溶解、若しくは湿潤した粘着性組成物が毛穴の角栓と接触し、その後の乾燥によって角栓と一体化することにより、毛穴中の角栓をシートの剥離とともに毛穴から除去できる。
【0011】
本発明の化粧シートの使用方法に際し、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含有する化粧用液剤は、自体公知のものを使用することができる。また、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含有する角栓除去用の化粧用液剤、および角栓除去用化粧シートを含む角栓除去用化粧キットとして構成されたものを用いて、本発明の化粧シートの使用方法を実施することもできる。したがって、本発明は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含有する角栓除去用の化粧用液剤、および角栓除去用化粧シートを含む角栓除去用化粧キットにも及ぶ。
【0012】
本発明の化粧シートの使用方法に際し、使用する角栓除去用の化粧用液剤および角栓除去用化粧シートについて、以下詳細に説明する。
【0013】
化粧用液剤に含有されるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビットの高級脂肪酸エステルよりなる非イオン界面活性剤であり、水の中に油を乳化せしめる水中油滴型(O/W型)であることが好ましい。また、界面活性剤分子中の親水基と親油基との相関関係を示す数値としてHLB (Hydrophile Lipophile Balance) があるが、このHLBが12以上であることが好ましく、さらに上限は20以下とすることが好ましく、14〜17であることがさらに好ましく、特に15〜17であることが好ましい。本発明に用いられるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、人体の頭皮や毛穴に付着したコレステロール、老廃物等の皮脂成分との相溶性が高い。
【0014】
本発明に用いられるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルにおける脂肪酸としては、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等から選ばれる少なくとも一種が好ましいものとして挙げられる。また、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、親水性部分を形成するエチレンオキサイド(EO)の付加モル数が、例えば4〜20モルであることが好ましい。
【0015】
本発明において、化粧用液剤に含有される上記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの濃度は、1〜10w/v%、好ましくは1〜5w/v%の濃度で含有される。10w/v%より多ければ、目的部位に塗布、放置後に洗い流す際、充分に洗い流すことができず、その後の化粧シートの貼付による角栓除去効果が低下する可能性があり、1w/v%より低ければ充分な角栓除去効果が得られにくいからである。
【0016】
本発明に使用される角栓除去用化粧シートは、自体公知のもの、ピールオフ型のパック等に代表されるような角栓除去シート、にきびシート等を使用することができる。特に鼻部のように複雑に湾曲した肌にぴったりと貼付できる化粧シートが好適に使用される。例えば皮膚の角栓を除去する目的で既に市販されている化粧シートを使用することができるし、今後開発され、販売される角栓除去用化粧シートを使用することができる。特に、例えば特許文献1に開示されるような各種の水溶性高分子材料を主成分とする湿潤粘着性組成物を含む化粧シートが好適である。
【0017】
該化粧シートは、基材/皮膚貼付層/剥離シートの構成を有し、任意の形状に裁断されたものを使用することができる。例えば、剥離処理が施された剥離シートの剥離処理面に、湿潤粘着性組成物を水等に分散させた塗布液を塗布し、その上に基材を重ねて乾燥させることにより形成したものを使用することができる。
【0018】
ここで、基材としては、皮膚貼付層の乾燥速度の観点から透湿性のある透湿性基材を用いることが好ましい。その構造としては、織布、不織布、編布、紙等の繊維の集合体類、および、多孔性フィルム、透気性フィルム等のフィルム類などが例示される。これらのうち、貼付部位の曲面になじみやすい適度の伸縮性を有するものが特に好ましい。また、材料に関しては、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、セルロース等の、合成あるいは天然の有機高分子類が例示される。
【0019】
また、剥離シートは、使用時に剥がされるまで、皮膚貼付層を衛生面から、あるいは粘着力の面から保護することができる物であれば良く、例えば表面をポリマー処理した紙、フィルム、シート等を用いることができ、また、剥離性のあるフィルム等を用いることができる。
【0020】
皮膚貼付層の厚みは、10〜500μmであることが好ましく、50〜250μmであることがさらに好ましい。また、基材の厚みは10〜200μmであることが好ましい。該皮膚貼付層の材料として、湿潤粘着性組成物を使用することができる。該湿潤粘着性組成物に含有される水溶性高分子は、水または親水性媒体の存在により粘着性を発揮するものである。角栓除去に適した水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルピロリドンおよびビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましいものとして挙げられる。また、水溶性高分子の分子量が大き過ぎると、湿潤粘着性組成物を用いて形成された皮膚貼付層は、水または親水性媒体の存在によって粘着力が十分とならないことがあり、分子量が小さすぎると、皮膚貼付層の機械的強度が低下することがあって、貼付後、乾燥した化粧シートを貼付部位から剥離除去する際に皮膚貼付層の一部が残渣として残ることがある。したがって、これらの水溶性高分子は、重量平均分子量が5000〜500万であることが好ましく、特に、2万〜120万であることが好ましい。
【0021】
粘着性を発揮させるために用いた水等を蒸発させるための乾燥時間を短縮させ、かつ、剥離時の痛みをさらに和らげることを可能にするという観点からは、低分子量の水溶性高分子、すなわち重量平均分子量が70万未満、好ましくは5000〜30万の水溶性高分子と、高分子量の水溶性高分子、すなわち重量平均分子量が70万以上、好ましくは100万〜500万の水溶性高分子とを混合して使用することが、さらに好ましい。高分子量の水溶性高分子と低分子量の水溶性高分子とを混合して用いる場合、その配合割合は、用いる水溶性高分子の分子量や使用目的に応じて適宜決定されることが好ましいが、例えば、高分子量の水溶性高分子と低分子量の水溶性高分子との割合は、重量比で、おおよそ、5:95〜95:5であることが好ましく、さらに好ましくは20:80〜70:30である。角栓の除去効率、剥がす際の皮膚に与える痛みの軽減等の観点からは、低分子量の水溶性高分子の配合割合を多くすることが好ましい。本発明においては、例えば、重量平均分子量が120万のポリビニルピロリドンと重量平均分子量が45万のポリビニルピロリドンを重量比で30:70〜60:40の範囲内で併用することが好ましく、40:60〜50:50で併用することが、さらに好ましい。
【0022】
該皮膚貼付層には、保湿成分を配合したものを使用することができる。本発明に用いられる保湿成分としては、水溶性高分子に対して相溶性を有し、溶解して可塑化効果を示す材料が使用される。例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、その他のポリエチレングリコール類、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、その他のポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、その他のポリグリセリン類、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール等のブチレングリコール類、ソルビトール、マンニトール等の糖アルコール類、ラノリン、レシチン、オリーブ油等のグリセライド類、などが例示される。これらは1種類のみを使用しても良いし、あるいは、2種類以上を併用してもよい。
【0023】
保湿成分の配合量が過大であると、形成された皮膚貼付層の湿潤して乾燥させた後の機械的強度が乏しくなり易く、過小であると、柔軟性が乏しくなって貼付部位に良好にフィットさせることが難しくなる傾向にある。したがって、保湿成分は、水溶性高分子100重量部に対して、1〜75重量部の範囲で配合したものを使用することが好ましく、5〜50重量部の範囲がさらに好ましい。
【0024】
化粧シートの皮膚貼付層には、さらに充填剤を含むことができる。充填剤としては、水溶性高分子に対して、また、必要に応じて保湿成分との混合物に対して、難溶性または不溶性の各種の無機充填剤または有機充填剤を用いることができ、特に無機充填剤を用いることが好ましい。無機充填剤としては、例えば、シリカ(特に無水珪酸)、アルミナ、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化チタン、タルク、クレー、カオリン、ガラス等の無機酸化物または複合酸化物類、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ハイドロキシアパタイト、セラミックス、カーボン、その他の無機化合物類、金属、合金等の金属類、などが例示される。有機充填剤としては、例えば、セルロース、シルク、ポリエステル、ポリオレフィン等の繊維形成性有機高分子類、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、スチレン、その他の有機高分子類、などが例示される。これらの充填剤は、1種類のみを使用してもよいし、あるいは2種類以上を併用してもよい。本発明に使用される充填剤は、通常、粉体状態が好ましく、その形状は特に限定されないが、均一な分散性が得られることを考慮すると球形であることが好ましい。また、その平均粒径は0.01〜50μmであることが好ましく、特に、0.1〜10μmであることが好ましい。
【0025】
化粧シートの皮膚貼付層である湿潤粘着性組成物に充填剤を含有させることによって、形成された皮膚貼付層が湿潤し、乾燥した後の機械的強度を向上させることができる。また、充填剤を含有させることで、貼付後、乾燥するのに要する乾燥所要時間を短縮させることができる。したがって、充填剤を含有させれば貼付層の厚みが厚くても、従来品のような長時間を要することはない。なお、乾燥所要時間が短くなる理由は、充填剤と、水溶性高分子および液状可塑剤との界面が、水分逸散の通路として機能するものと推察される。
【0026】
充填剤は、水溶性高分子100重量部に対して10〜200重量部の範囲内で使用することができ、25〜100重量部の範囲内で使用することが、さらに好ましい。充填剤の使用量が10〜200重量部の範囲内であれば、形成された皮膚貼付層の柔軟性が乏しくなって貼付部位に良好にフィットし難くなるようなことはなく、また、乾燥所要時間が長くなることもなく、かつ、皮膚貼付層を貼り付けて乾燥した後の機械的強度の改善効果が得られる。
【0027】
本発明に使用される化粧シートは、市販の化粧用液剤に含有されている成分を含んでもよいし、含んでいなくてもよい。化粧用液剤に含有される成分は、化粧用液剤に使用される一般的な成分を含有することができる。また、本発明の化粧用液剤に含有されるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含んでいてもよい。その他、香料、防腐剤、着色剤、アルコール、薬剤、紫外線吸収剤、あるいは、その他の化粧シートに通常使用される薬剤や添加剤を本発明の効果を阻害しない範囲内で含んでもよい。
【実施例】
【0028】
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。
【0029】
(実施例1)
水溶性高分子として重量平均分子量が120万のポリビニルピロリドンを58重量%、グリセリンを6重量%、無水珪酸34重量%、および、酸化チタン2重量%を用い、これらを適量の精製水を用いて攪拌、混合して塗布液を作製した。この塗布液を、片面にシリコーン処理が施されたポリエチレンフィルム(厚み50μm)の剥離処理面に、塗布量が110g/mで均一な厚さとなるように塗布して皮膚貼付層を形成し、この皮膚貼付層の上に、ポリエステル繊維からなるスパンレース不織布(坪量:40g/m)を重ね、105℃で3分間乾燥させて、3層構造の化粧シートを作製した。
得られた化粧シートの含水率は、15〜20重量%であった。ただし含水率は、温度25℃、湿度70%の環境下で約1時間30分調湿した後の重量変化により算出した。
得られた化粧シートを、適当な大きさ(2.5cm×3.0cm)に裁断し、化粧シート試験片とした。化粧シート試験片は、シート中の水分の揮散を防ぐために、アルミニウムとポリエステルフィルムが積層された保存袋に密閉保存した。
【0030】
角栓除去用の化粧用液剤として、精製水にポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしてポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(エチレンオキサイド20モル付加物、HLB16.7)を1重量%含む溶液を調製した。
上記化粧シートおよび角栓除去用の化粧用液剤を用いて、以下に示す角栓除去試験を行った。
【0031】
(実施例2)
角栓除去用の化粧用液剤におけるポリオキシエチレンモノラウレート濃度を3重量%とした以外は、実施例1と同様にして角栓除去試験を行った。
【0032】
(実施例3)
角栓除去用の化粧用液剤におけるポリオキシエチレンモノラウレート濃度を5重量%とした以外は、実施例1と同様にして角栓除去試験を行った。
【0033】
(参考例)
角栓除去用の化粧用液剤を鼻部に塗布しない以外は、実施例1にて作製した化粧シートを用いて角栓除去試験を行った。
【0034】
(角栓除去試験)
上記のように調製した角栓除去用の化粧用液剤を、健常な成人ボランティアの鼻部に塗布し、所定時間(1分間、3分間、5分間、10分間)放置し、その後、化粧用液剤を水で洗い流したのち、鼻部がぬれている状態で、実施例にて作製した角栓除去用化粧シートを貼付した。
一人の鼻部の左側と右側に、別の角栓除去用化粧シートを貼付し、10〜15分間放置して水分を乾燥させたのちに化粧用シートを剥離し、皮膚貼付層表面に除去できた角栓数をカウントした。各試験におけるn数は6であった。
【0035】
(角栓除去性の評価方法)
各ボランティアに適用した角栓除去用化粧シートにて除去された角栓数をカウントし、実施例品にて除去された角栓数を参考例にて除去された角栓数で除して参考例にて使用した化粧シートと比較した角栓除去割合(A)を算出した。
角栓除去割合(A)を、A<0.8、0.8≦A<1.2、1.2≦A3の3ランクに区分し、各割合のボンティア数を表1〜表3に記載した。
【0036】
【表1】

【0037】
【表2】

【0038】
【表3】

【0039】
上記表1〜表3の結果から明らかなように、各実施例品は参考例と比べて角栓除去割合が大きいことが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上説明したように、本発明の角栓除去用化粧シートの使用方法によると、従来の方法に比べて、効果的に角栓が除去されることがわかった。これにより、より効果的に化粧シートを使用することができる。また、角栓除去用化粧シートと、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含む化粧用液剤とを化粧キットとすると、より簡便に角栓除去することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
角栓除去に際し、目的の部位に角栓除去用化粧シートを貼付する前に、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含有する化粧用液剤を目的の部位に塗布することを特徴とする角栓除去用化粧シートの使用方法。
【請求項2】
目的の部位に角栓除去用化粧シートを貼付する前に、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含有する化粧用液剤を目的の部位に塗布し、5〜10分間放置することを特徴とする請求項1に記載の使用方法。
【請求項3】
前記化粧用液剤に含有される前記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを形成する脂肪酸が、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸から選択される少なくとも一種である請求項1または2に記載の使用方法。
【請求項4】
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含有する角栓除去用の化粧用液剤、および角栓除去用化粧シートを含む角栓除去用化粧キット。

【公開番号】特開2007−55933(P2007−55933A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−242798(P2005−242798)
【出願日】平成17年8月24日(2005.8.24)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】