説明

解体機

【課題】構造物の窓枠内に把持部材を容易に挿入することができるとともに把持装置を窓枠から取り出すための操作を極めて容易に行うことができる解体機を提供すること。
【解決手段】伸縮アーム12と、伸縮アーム12の先端部に対して回動可能に取り付けられた把持装置14と、伸縮アーム12を伸縮させるための伸縮シリンダ12cと、伸縮アーム12に対して把持装置14を回転させる回転アクチュエータ17とを備え、伸縮アーム12に対する把持装置14の回転位置を保持するための回転アクチュエータ17による保持力は、伸縮アーム12の縮小中に把持装置14、把持装置14に把持されている把持対象物O(図8参照)の少なくとも一方が建築物Cに接触することにより前記把持装置14が前記設置物から受ける伸縮シリンダ12cの縮小力に対する反力であって、回動軸R回りに把持装置14を回動させる方向に作用する反力よりも小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、解体機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ベースマシンと、このベースマシンに変位可能に取り付けられた作業アタッチメントを有する解体機が知られている(例えば、特許文献1に記載のパワーショベル)。
【0003】
特許文献1のパワーショベルは、そのベースマシンに対して起伏可能な第1のブームと、この第1のブームの先端部に対して回動可能に取り付けられた第2のブームと、この第2のブームの先端部に対して回動可能に取り付けられた把持装置と、前記第1のブーム、前記第2のブーム及び前記把持装置をそれぞれ起伏又は回動させる油圧シリンダとを備えている。
【0004】
特許文献1に記載のパワーショベルは、窓枠を有する構造物の解体、例えば、建築物の解体に用いられる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭57−80554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、構造物の解体作業の中には、建築物の解体に先立って当該建築物内に設置された物(例えば、書棚や机等)の取り出しを要する作業がある。具体的に、この作業では、建築物の窓枠を通して把持装置を建築物内に挿入し、取出対象物を把持した状態で、この取出対象物を前記窓枠を通して建築物の外側に取り出すことを要することがある。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のパワーショベルでは、ベースマシンに対する第1のブームの変位、第1のブームに対する第2のブームの変位、及び、第2ブームに対する把持装置の変位が全て円弧運動である。そのため、建築物の窓枠内に把持装置を挿入する動作を各ブームに行わせることは、極めて困難である。
【0008】
さらに、把持装置が窓枠内に挿入できた場合であっても、この把持装置(及びこれに把持された物)が窓枠から抜き出せる姿勢となるように第2のブームに対する把持装置の角度を調整しつつ、当該把持装置を窓枠から抜き出す必要があり、操作が非常に煩雑になるという問題もある。
【0009】
本発明の目的は、構造物の窓枠内に把持部材を容易に挿入することができるとともに把持装置を窓枠から取り出すための操作を極めて容易に行うことができる解体機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、解体機であって、ベースマシンと、前記ベースマシンに対して起伏可能に取り付けられた基端部を有する起伏部材と、前記起伏部材の先端部に対して回動可能に取り付けられるとともに、その長手方向に伸縮可能な伸縮アームと、前記伸縮アームの先端部に対して前記伸縮アームの伸縮方向と直交する回動軸回りに回動可能に取り付けられるとともに、所定の把持対象物を把持可能な把持装置と、前記伸縮アームを伸縮させるための伸縮アクチュエータと、前記伸縮アームに対して前記把持装置を回転させる回転アクチュエータとを備え、前記伸縮アームに対する前記把持装置の回転位置を保持するための前記回転アクチュエータによる保持力は、前記伸縮アームの縮小中に前記把持装置、前記把持装置に把持されている把持対象物の少なくとも一方が設置物に接触することにより前記把持装置が前記設置物から受ける前記伸縮アクチュエータの縮小力に対する反力であって、前記回動軸回りに前記把持装置を回動させる方向に作用する反力よりも小さい、解体機を提供する。
【0011】
本発明では、その長手方向に伸縮可能な伸縮アームを備えているとともに、伸縮アームの縮小中に把持装置、把持対象物の少なくとも一方が設置物に接触することにより把持装置が設置物から受ける伸縮アクチュエータの縮小力に対する反力であって、回動軸回りに把持装置を回動させる方向に作用する反力よりも把持装置の回転位置を保持するための保持力が小さい。伸縮アームを有することにより、伸縮アームの伸縮動作に応じて把持装置を直線的に移動させることができるため、把持装置を構造物の窓枠内に容易に挿入することができる。さらに、伸縮アームを縮小して把持装置を窓枠を通して抜き出す場合、把持対象物、把持装置の少なくとも一方が構造物に当接すると、把持装置は、伸縮アクチュエータの縮小力に対する反力を受ける。ここで、回転アクチュエータによる保持力は、前記把持装置が受ける反力(縮小力)であって回動軸回りに把持装置を回動させる方向に作用する反力よりも小さいため、回転アクチュエータが前記反力に負けて把持装置が窓枠から抜き出すのに適した姿勢に回転する。
【0012】
したがって、本発明によれば、構造物の窓枠内に把持装置を容易に挿入することができるとともに把持装置を窓枠から取り出すための操作を極めて容易に行うことができる。
【0013】
前記解体機において、前記回転アクチュエータは、前記伸縮アーム、前記把持装置のうちの一方に固定された本体部と、前記伸縮アーム、前記把持装置のうちの他方に接続されるとともに前記本体部に対して回転可能な回転軸とを有することが好ましい。
【0014】
この態様では、本体部とこの本体部に対して回転可能な回転軸とを有する回転アクチュエータが採用されている。これにより、伸縮アームと把持装置との間に油圧シリンダ及びリンク機構を設ける場合と比較して、把持装置の回動機構の嵩を低くすることができる。したがって、この態様では、窓枠から抜き出す際に構造物に接触するおそれのある部分を減らすことにより、把持装置を窓枠を通してより抜き出し易くなる。
【0015】
前記解体機において、前記回転アクチュエータは、作動油の供給により作動し、前記回転アクチュエータに対する作動油の供給圧が予め設定されたリリーフ圧未満で閉鎖する一方、前記供給圧が前記リリーフ圧を超えると開放するリリーフ弁をさらに備え、前記回転アクチュエータによる保持力は、前記リリーフ圧により規定されていることが好ましい。
【0016】
この態様では、リリーフ弁に規定されるリリーフ圧により、前記回転アクチュエータによる把持装置の保持力を設定することができる。
【0017】
前記解体機において、前記伸縮アームは、前記起伏部材の先端部に対して回動可能に取り付けられた基端アーム体と、前記基端アーム体に対して伸縮可能に取り付けられているとともに前記把持装置を回動可能に保持する先端アーム体とを有し、前記回転アクチュエータは、把持装置をその先端側から前記伸縮アームの伸縮方向に沿って見た状態で、前記伸縮方向及び前記回動軸の軸線方向と直交する方向における前記先端アーム体の高さ寸法の範囲内にのみ設けられていることが好ましい。
【0018】
この態様では、把持装置をその先端側から前記伸縮アームの伸縮方向に沿って見た状態で、回転アクチュエータが先端アーム体の高さ寸法の範囲内にのみ設けられている。これにより、回転アクチュエータが把持装置の回動方向に向けて先端アーム体から突出するのを避けることができる。そのため、伸縮アームの縮小時に把持装置に先立って回転アクチュエータが設置物に接触するのを有効に抑制することができる。
【0019】
前記解体機において、前記起伏部材は、前記ベースマシンに対して起伏することにより前記伸縮アームの先端部が下に向けて傾斜した先下がり姿勢で前記伸縮アームが昇降可能となるように、前記伸縮アームを保持する平行リンク機構を有することが好ましい。
【0020】
この態様では、平行リンク機構により伸縮アームがその先端部を下向きに傾斜した先下がり姿勢で昇降可能である。そのため、伸縮アームを所望の高さ位置に昇降させた上で伸縮アームを伸張させることにより、窓枠から構造物の床面に向けて下向きに把持装置を進行させることができる。これにより、窓枠に挿入された把持装置により構造物の床面上に設置された把持対象物を容易に把持することが可能となる。
【0021】
前記解体機において、前記平行リンク機構は、互いに平行な状態で前記ベースマシンに対して起伏可能で、かつ、前記伸縮アームを回動可能に保持する一対のリンク部材と、前記一対のリンク部材と前記伸縮アームとの間に設けられ、前記先下がり姿勢と前記先下がり姿勢よりも前記伸縮アームの先端部を上げた上昇姿勢との間で前記一対のリンク部材に対し前記伸縮アームの先端部を昇降可能なアームシリンダとを備えていることが好ましい。
【0022】
この態様では、アームシリンダにより伸縮アームの先端部が先下がり姿勢と上昇姿勢との間で昇降可能である。そのため、伸縮アームを先下がり姿勢とした状態で把持装置を窓枠に挿入することにより、上述のように構造物の床面上に設置された把持対象物を容易に把持することができる。さらに、前記態様では、伸縮アームを上昇姿勢に変位させて当該伸縮アームを水平に近づけることができるので、上昇姿勢にある伸縮アームを縮小することにより、構造物の壁面(窓枠の開口)に対して垂直に近い姿勢で把持装置を窓枠から抜き出すことができる。したがって、前記態様では、構造物の床面上に設置された把持対象物に対する把持の容易化と、窓枠の開口面積を有効に活用することによる把持装置又は把持対象物の窓枠からの抜き出し易さとの両立を図ることができる。
【0023】
前記解体機において、前記把持装置は、前記把持対象物を把持するための一対の把持部材と、前記一対の把持部材を開閉動作させるための開閉シリンダと、前記伸縮アームに接続された基端部から前記一対の把持部材の先端部へ至る前記把持装置の長手方向に沿った軸回りの全周にわたり前記開閉シリンダの全体を包囲する包囲部材とを備えていることが好ましい。
【0024】
この態様では、把持装置の長手方向に沿った軸回りの全周にわたり開閉シリンダの全体が包囲されている。そのため、把持装置を窓枠内に挿入する際及び把持装置を窓枠を通して抜き出す際に開閉シリンダが構造物に接触するのを抑制することができる。
【0025】
前記解体機において、前記把持装置は、前記伸縮アームに接続された被接続部と、前記被接続部に対して前記把持装置の長手方向に沿った軸回りに回転可能に接続されるとともに前記一対の把持部材を有する把持部と、前記被接続部に対して前記把持部を回転駆動するための把持モータとを有し、前記包囲部材は、前記把持装置の長手方向に沿った軸回りの全周にわたり前記把持モータの全体を包囲することが好ましい。
【0026】
この態様では、把持装置の長手方向に沿った軸線回りの全周にわたり把持モータの全体が包囲されている。そのため、把持装置を窓枠内に挿入する際及び把持装置を窓枠を通して抜き出す際に把持モータが構造物に接触するのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、構造物の窓枠内に把持部材を容易に挿入することができるとともに把持装置を窓枠から取り出すための操作を極めて容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態に係る解体機の全体構成を示す左側面図であり、キャビンが降下した状態を示す。
【図2】図1に記載の解体機の左側面図であり、キャビンが上昇した状態を示す。
【図3】図1の解体機の伸縮アームの左側面断面図であり、縮小状態を示す。
【図4】図1の解体機の伸縮アームの左側面断面図であり、伸張状態を示す。
【図5】図1の解体機の把持装置の底面図である。
【図6】図5のVI―VI線断面図であり、各把持部材が開放した状態を示す。
【図7】図5のVI―VI線断面図であり、各把持部材が閉鎖した状態を示す。
【図8】図1の解体機の油圧系統の一部を示す回路図である。
【図9】図1の解体機の作業状態を示す概略図であり、把持装置を窓枠に挿入した状態を示す。
【図10】図1の解体機の作業状態を示す概略図であり、把持装置に把持された把持対象物が建築物の壁に当接した状態を示す。
【図11】図1の解体機の作業状態を示す概略図であり、伸縮アームの縮小力により把持装置が回動した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
【0030】
図1は、本発明の実施形態に係る解体機の全体構成を示す左側面図であり、キャビンが降下した状態を示す。図2は、図1に記載の解体機の左側面図であり、キャビンが上昇した状態を示す。
【0031】
図1及び図2を参照して、解体機1は、左右一対のクローラ2aを有する自走式の下部走行体2と、この下部走行体2上に旋回可能に設けられた上部旋回体3と、この上部旋回体3に対して起伏可能に取り付けられた作業アタッチメント6とを備えている。本実施形態に係る解体機1では、下部走行体2及び上部旋回体3がベースマシンを構成する。
【0032】
上部旋回体3は、前記下部走行体2上に旋回可能に取り付けられたアッパフレーム4と、このアッパフレーム4上に設けられた昇降式キャビン5と、この昇降式キャビン5の後ろで前記アッパフレーム4上に設けられたカウンタウェイト7とを備えている。前記アッパフレーム4上には、後述する作業アタッチメント6を取り付けるための左右一対の縦板4a(図9に一枚示す)が立設されている。
【0033】
昇降式キャビン5は、前記アッパフレーム4上に立設された支柱8と、この支柱8に対して昇降可能に取り付けられたスライダ9と、このスライダ9上に設けられたキャビン10と、前記支柱8に対してスライダ9を昇降させる図外の油圧シリンダとを備えている。この油圧シリンダの作動により、図1に示す下降位置と、図2に示す上昇位置との間で、キャビン10(スライダ9)は、支柱8に沿って昇降可能である。以下の説明では、キャビン10内にいるオペレータから見た前後及び左右方向を用いる。
【0034】
図9を参照して、作業アタッチメント6は、前記アッパフレーム4に対して起伏可能に取り付けられた基端部を有する平行リンク機構(起伏部材)11と、この平行リンク機構11の先端部に対して回動可能に取り付けられた伸縮アーム12と、この伸縮アーム12の先端部に対して回動可能に取り付けられた把持装置14と、前記アッパフレーム4に対して平行リンク機構11を起伏動作させる起伏シリンダ15と、前記伸縮アーム12に対して把持装置14を回動させる回転アクチュエータ17とを備えている。
【0035】
平行リンク機構11は、上部旋回体3に対して起伏することにより伸縮アーム12の先端部が下に向けて傾斜した先下がり姿勢(図1、図2、図9〜図11に示す姿勢)で伸縮アーム12が昇降可能となるように、伸縮アーム12を保持する。具体的に、平行リンク機構11は、前記アッパフレーム4の縦板4aに対して左右方向の軸J1回りに回動可能な基端部を有する第1リンク部材11aと、前記縦板4aに対して左右方向の軸J4回りに回動可能な基端部を有する第2リンク部材11bと、第1リンク部材11aの先端部と第2リンク部材11bの先端部とを連結する第3リンク部材11cと、前記第3リンク部材11cと伸縮アーム12との間に設けられたアームシリンダ16とを備えている。前記軸J1は、軸J4の後ろに位置する。
【0036】
第1リンク部材11aの先端部は、左右方向の軸J2回りに回動可能に第3リンク部材11c及び伸縮アーム12に連結されている。第2リンク部材11bの先端部は、左右方向の軸J5回りに回動可能に第3リンク部材11cに連結されている。第3リンク部材11cは、第1リンク部材11aと第2リンク部材11bとが平行な状態で、第1リンク部材11aの先端部と第2リンク部材11bの先端部とを連結する。つまり、前記軸J2は、軸J5の後ろに位置する。そのため、第1リンク部材11aと第2リンク部材11bとは、互いに平行な状態でアッパフレーム4に対して起伏可能である。また、起伏シリンダ15のヘッド側端部は、前記軸J4回りに回動可能に縦板4aに対して軸支されているとともに、起伏シリンダ15のロッド側端部は、左右方向の軸J3回りに回動可能に前記第1リンク部材11aの途中部に連結されている。したがって、起伏シリンダ15の伸縮動作に応じて、第1リンク部材11a及び第2リンク部材11bは、互いに平行な状態で起伏する。
【0037】
前記アームシリンダ16は、図9に示す先下がり姿勢とこの先下がり姿勢よりも伸縮アーム12の先端部を上げた上昇姿勢(図示せず)との間で各リンク部材11a〜11cに対して伸縮アーム12の先端部を昇降可能である。具体的に、アームシリンダ16のヘッド側端部は、左右方向の軸J6回りに回動可能に第3リンク部材11cに連結されているとともに、アームシリンダ16のロッド側端部は、左右方向の軸J7回りに回動可能に伸縮アーム12の途中部に連結されている。そして、前記軸J7は、前記軸J2よりも前に位置する。そのため、アームシリンダ16が伸縮することにより、伸縮アーム12が平行リンク機構11に対して軸J2回りに回動する。
【0038】
以下、図3及び図4を参照して、伸縮アーム12について説明する。
【0039】
伸縮アーム12は、その長手方向に伸縮可能なテレスコーピック型のアームである。具体的に、伸縮アーム12は、先端が開口する筒状の基端アーム体12aと、この基端アーム体12aに対して伸縮可能な先端アーム体12bと、基端アーム体12aに対して先端アーム体12bを伸縮動作させる伸縮シリンダ12cとを備えている。基端アーム体12aは、前記リンク機構11の先端部に対して回動可能に取り付けられている。先端アーム体12bの基端部は、先端側から基端アーム体12a内に摺動可能に挿入されている。一方、先端アーム体12bの先端部は、後述する把持装置14を回動可能に保持する。伸縮シリンダ12cは、取付軸J8によって基端アーム体12aに固定されたシリンダ12dと、取付軸J9によって先端アーム体12bに固定されたロッド12eとを備えている。したがって、伸縮シリンダ12cの伸縮に応じて基端アーム体12aに対して先端アーム体12bが進退することにより、伸縮アーム12が伸縮する。
【0040】
次に、図5〜図7を参照して、把持装置14について説明する。
【0041】
把持装置14は、前記伸縮アーム12(先端アーム体12b)の先端部に対して回動可能に取り付けられるとともに、把持対象物O(図9参照)を把持可能である。具体的に、把持装置14は、伸縮アーム12に接続された被接続部18と、この被接続部18に対して回転可能に設けられた把持部19とを備えている。
【0042】
被接続部18は、基板21と、この基板21に取り付けられた把持モータ22と、前記基板21から基端側に延びる基部筒部23と、前記基板21の先端側に設けられた内歯歯車24と、この内歯歯車24を回転可能に保持する旋回ベアリング25と、後述する一対の把持部材30、31を開閉動作させるための開閉シリンダ26とを備えている。
【0043】
基板21は、略円形の板部材である。基板21には、その中心位置を含む範囲で基板21を貫通する貫通孔21aと、この貫通孔21aに隣接する位置で基板21を貫通する貫通孔21bとが形成されている。把持モータ22は、基板21の基端側に固定されたモータ本体22aと、このモータ本体22aから先端側に突出する出力ギヤ22bとを備えている。出力ギヤ22bは、貫通孔21bを通じて基板21の先端側に延びるとともに後述する内歯歯車24に噛合する。基部筒部23は、基板21の周縁部から基端側に延びる筒部本体23aと、この筒部本体23aから基端側に延びるとともに前記伸縮アーム12に取り付けられる取付部23bとを備えている。筒部本体23aは、取付部23bから後述する一対の把持部材30、31の先端部へ至る把持装置14の長手方向(図5〜図7の左右方向)に沿った軸回りの全周にわたり設けられている。内歯歯車24は、前記把持モータ22の出力ギヤ22bが噛合可能な内歯を内周に有する円環状の部材である。旋回ベアリング25は、内歯歯車24の外周に設けられた円環状の旋回ベアリング外輪25aと、この旋回ベアリング外輪25aの内周に設けられたボール25bとを備えている。旋回ベアリング外輪25aは、基板21の周縁部にボルトB1によって固定されている。ボール25bは、内歯歯車24の外周面に形成された溝及び旋回ベアリング外輪25aの内周面に形成された溝に回転可能に係合する。これにより、内歯歯車24は、旋回ベアリング25に対して把持装置14の長手方向に沿った軸回りに回転可能に保持される。開閉シリンダ26は、貫通孔21aに挿通した状態で筒部本体23aに固定されている。具体的に、開閉シリンダ26は、シリンダ26aと、このシリンダ26aに対して伸縮可能なロッド26bとを備えている。ロッド26bの基端部は、取付軸J10によって筒部本体23aに固定されている。
【0044】
把持部19は、基板27と、把持対象物O(図9参照)を把持するための第1把持部材30及び第2把持部材31と、これら把持部材30、31と前記開閉シリンダ26との間に設けられた第1把持リンク28及び第2把持リンク29と、前記基板27から先端側に延びる先端筒部32とを備えている。
【0045】
基板27は、前記把持モータ22の駆動に応じて被接続部18に対して回転可能である。具体的に、基板27は、ボルトB2によって内歯歯車24に固定されている。また、基板27には、前記基板21の貫通孔21aと重なる位置で基板27を貫通する貫通孔27aが形成されている。この貫通孔27aには、前記開閉シリンダ26が挿通する。
【0046】
各把持部材30、31の途中部は、先端筒部32に固定された軸J15回り回動可能に軸支されている。軸J15回りに各把持部材30、31が回動することにより、当該各把持部材30、31の先端部が開閉する。各把持リンク28、29は、それぞれ開閉シリンダ26の推進力を各把持部材30、31の回転力に変換する。具体的に、第1把持リンク28の先端部は、第1把持部材30の基端部に対して軸J12回りで回動可能に連結されている。また、第2把持リンク29の先端部は、第2把持部材31の基端部に対して軸J14回りで回動可能に連結されている。一方、両把持リンク28、29の基端部は、軸J11回りで回動可能に開閉シリンダ26のシリンダ26aに連結されている。軸J11、J12、J14、J15は、それぞれ平行する。したがって、開閉シリンダ26が縮小すると、図6に示すように両把持リンク28、29が基端側に引っ張られて両把持部材30、31の先端部が開く。一方、開閉シリンダ26が伸張すると、図7に示すように、両把持リンク28、29が先端側に押されて両把持部材30、31の先端部が閉じる。なお、本実施形態では、上述のように開閉シリンダ26のシリンダ26aが軸J15によって把持部19に固定されているとともに、ロッド26bが軸J10によって被接続部18に固定されている。そのため、被接続部18に対して把持部19が回転すると、把持装置14の長手方向に沿った軸回りにシリンダ26aとロッド26bとが互いに回転する。
【0047】
先端筒部32は、基板27の縁部から先端側に延びる。また、先端筒部32は、把持装置14の長手方向に沿った軸回りの全周にわたり設けられている。本実施形態では、前記基板21、基部筒部23、内歯歯車24、旋回ベアリング25、基板27、及び先端筒部32が包囲部材を構成する。つまり、この包囲部材は、把持装置の長手方向に沿った軸回りの全周にわたり開閉シリンダ26の全体及び把持モータ22の全体を包囲する。
【0048】
回転アクチュエータ17は、前記伸縮アーム12の先端部に対して前記把持装置14を前記伸縮アーム12の伸縮方向Dと直交する回動軸R(図5参照)回りに回動可能に保持する。具体的に、回転アクチュエータ17は、図5に示すように、前記伸縮アーム12(先端アーム体12b)の先端部に固定された本体部17aと、この本体部17aから左右両側に突出して前記把持装置14の取付部23bにそれぞれ固定された回転軸17b、17bとを備えている。回転軸17b、17bは、それぞれ回転軸17b、17bの中心軸(回動軸R)回りに本体部17aに対して回動可能である。また、回転アクチュエータ17は、把持装置14をその先端側から伸縮方向Dに沿って見た状態で、伸縮アーム12の伸縮方向D及び前記回動軸Rの軸線方向と直交する方向における先端アーム体12bの高さ寸法H(図1参照)の範囲内にのみ設けられている。したがって、伸縮アーム12の縮小の過程において回転アクチュエータ17が周囲の設置物(例えば、窓枠C1:図9参照)に接触するのを抑制することができる。
【0049】
そして、以下説明するように、伸縮アーム12に対する把持装置14の回転位置を保持するための回転アクチュエータ17の保持力は、前記伸縮アーム12の縮小中に把持装置14、把持装置14に把持されている把持対象物O(図8参照)の少なくとも一方が設置物(例えば、窓枠C1)に接触することにより前記把持装置14が前記設置物から受ける前記伸縮シリンダ12cの縮小力に対する反力であって、前記回動軸R回りに把持装置14を回動させる方向に作用する反力よりも小さく設定されている。
【0050】
以下、図8を参照して、図1の解体機の油圧系統について説明する。
【0051】
前記解体機1は、前記キャビン10に設けられた操作レバー33と、前記アッパフレーム4上に設けられたコントロールバルブ34、メインポンプP1、パイロットポンプP2、タンクT1、T2とを備えている。
【0052】
操作レバー33は、オペレータからの操作に応じて、パイロットポンプP2からの作動油をコントロールバルブ34(後述するスプール35)に供給する。具体的に、操作レバー33は、パイロットポンプP2及びタンクT2に接続されたパイロット弁と、このパイロット弁を操作するためのレバーとを有する。
【0053】
コントロールバルブ34は、前記回転アクチュエータ17に対する作動油の給排を制御する。具体的に、コントロールバルブ34は、回転アクチュエータ17とメインポンプP1及びタンクT1との間の油路を切り換えるスプール35と、このスプール35と前記回転アクチュエータ17との間に設けられた第1リリーフ弁36及び第2リリーフ弁37と、前記スプール35とメインポンプP1との間に設けられたメインリリーフ弁38と、チェック弁Ch1〜Ch3とを備えている。
【0054】
スプール35は、前記操作レバー33から作動油が供給されることにより、中立位置Nから切換位置K1又は切換位置K2に切換可能である。また、スプール35は、操作レバー33の操作量に応じた量だけ操作される。中立位置Nでは、メインポンプP1からの作動油はタンクT1に回収され、回転アクチュエータ17は、作動しない。切換位置K1では、メインポンプP1からの作動油が回転アクチュエータ17の左側のポートに供給されるとともに、回転アクチュエータ17の右側のポートから導出された作動油は、タンクT1に回収される。一方、切換位置K2では、メインポンプP1からの作動油が回転アクチュエータ17の右側のポートに供給されるとともに、回転アクチュエータ17の左側のポートから導出された作動油は、タンクT1に回収される。
【0055】
第1リリーフ弁36及び第2リリーフ弁37は、回転アクチュエータ17による把持装置14の保持力を規定する。具体的に、各リリーフ弁36、37には、回転アクチュエータ17に対する作動油の供給圧が予め設定されたリリーフ圧未満で閉鎖し、前記供給圧が前記リリーフ圧を超えると開放する。そして、前記リリーフ圧は、図10に示すように前記伸縮アーム12の縮小中に把持装置14、把持対象物Oの少なくとも一方が設置物に接触することにより把持装置14が設置物から受ける伸縮シリンダ12cの縮小力に対する反力であって、回動軸R回りに把持装置14を回動させる方向に作用する反力よりも回転アクチュエータ17による前記把持装置14の保持力が小さくなるように設定されている。なお、図8では、一定のリリーフ圧を持つ各リリーフ弁36、37を図示しているが、リリーフ圧を可変のリリーフ弁を採用することにより、適宜リリーフ圧を調整することができる。
【0056】
メインリリーフ弁38は、上述した油圧回路と、この油圧回路と並列に設けられた上部旋回体3の旋回回路(図示せず)と、下部走行体2の走行回路(図示せず)とを含むベースマシンの油圧回路を保護する。具体的に、メインリリーフ弁38には、前記各リリーフ弁36、37のリリーフ圧よりも高く、かつ、前記ベースマシンの油圧回路を正常な状態に維持することができるリリーフ圧が設定されている。そして、前記ベースマシンの油圧回路内が前記リリーフ圧を超えると、メインリリーフ弁38が開放する。
【0057】
以下、図9〜図11を参照して、前記解体機1を用いた解体作業について説明する。具体的に、図9〜図11では、建築物Cの外部に配された解体機1を用いて、建築物Cの窓枠C1を通して当該建築物C内の把持対象物O(例えば、書棚や机等)を抜き出す作業を例に挙げる。
【0058】
まず、オペレータは、前記平行リンク機構11を起伏させることにより、伸縮アーム12の高さ位置を調整する。そして、伸縮アーム12を伸張させることにより、図9に示すように、把持装置14を建築物Cの窓枠C1内に挿入する。このように前記解体機1では、その長手方向に伸縮可能な伸縮アーム12を備えている。そのため、円弧運動をする作業アタッチメントを有する解体機と比較して、容易に把持装置14を窓枠C1内に挿入することができる。また、前記解体機1では、平行リンク機構11により伸縮アーム12が先下がり姿勢で保持されている。そのため、伸縮アーム12を伸張させることにより、窓枠C1を通して挿入された把持装置14を床面上に設置された把持対象物Oに向けて進行させることができる。そして、把持装置14により把持対象物Oを把持する。
【0059】
次いで、把持対象物Oを抜き出すために伸縮アーム12を縮小させる。この縮小の過程においては、図10に示すように、把持装置14、把持対象物Oの少なくとも一方が建築物Cの壁に接触する場合がある。ここで、上述のように伸縮アーム12に対する把持装置14の回転位置を保持するための回転アクチュエータ17による保持力は、伸縮アーム12の縮小中に把持装置14、把持対象物Oの少なくとも一方が設置物に接触することにより把持装置14が設置物から受ける伸縮シリンダ12cの縮小力に対する反力であって、回動軸R回りに把持装置14を回動させる方向に作用する反力よりも小さい。そのため、この状態からさらに伸縮アーム12を縮小させることにより、図11に示すように、回転アクチュエータ17は、建築物Cから受ける反力に応じて伸縮シリンダ12cに対して回転する。これにより、把持装置14及び把持対象物Oを窓枠C1から抜き出すのに適した角度に回転アクチュエータ17が自動的に回転する。そのため、さらに伸縮アーム12を縮小させることにより、把持対象物Oを建築物Cの外部に抜き出すことができる。
【0060】
以上説明したように、前記実施形態では、その長手方向に伸縮可能な伸縮アーム12を備えているとともに、伸縮アーム12の縮小中に把持装置14、把持対象物Oの少なくとも一方が設置物に接触することにより把持装置14が設置物から受ける伸縮シリンダ12cの縮小力に対する反力であって、回動軸R回りに把持装置を回動させる方向に作用する反力よりも把持装置14の回転位置を保持するための保持力が小さい。伸縮アーム12を有することにより、伸縮アーム12の伸縮動作に応じて把持装置14を直線的に移動させることができるため、把持装置14を構造物の窓枠C1内に容易に挿入することができる。さらに、伸縮アーム12を縮小して把持装置14を窓枠を通して抜き出す場合、把持対象物O、把持装置14の少なくとも一方が建築物Cに当接すると、把持装置14は、伸縮シリンダ12cの収縮力に対する反力を受ける。ここで、回転アクチュエータ17による保持力は、把持装置14が受ける反力(収縮力)であって回動軸R回りに把持装置14を回動させる方向に作用する反力よりも小さいため、回転アクチュエータ17が前記反力に負けて把持装置14が窓枠から抜き出すのに適した姿勢に回転する。
【0061】
したがって、前記実施形態によれば、建築物Cの窓枠C1内に把持装置14を容易に挿入することができるとともに把持装置14を窓枠C1から取り出すための操作を極めて容易に行うことができる。
【0062】
前記実施形態では、本体部17aとこの本体部17aに対して回転可能な回転軸17bとを有する回転アクチュエータ17が採用されている。これにより、伸縮アーム12と把持装置14との間に油圧シリンダ及びリンク機構を設ける場合と比較して、把持装置14の回動機構の嵩を低くすることができる。したがって、前記実施形態では、窓枠C1から抜き出す際に建築物Cと接触するおそれのある部分を減らすことにより、把持装置14を窓枠C1を通してより抜き出し易くなる。
【0063】
前記実施形態では、回転アクチュエータ17による保持力が伸縮シリンダ12cによる伸縮アーム12の収縮力よりも小さくなるように各リリーフ弁36、37のリリーフ圧が設定されている。このように、前記実施形態では、各リリーフ弁36、37のリリーフ圧により把持装置14の保持力を設定することができる。
【0064】
前記実施形態では、把持装置14をその先端側から伸縮方向D(図1参照)に沿って見た状態で、回転アクチュエータ17が先端アーム体12bの高さ寸法H(図1参照)の範囲内にのみ設けられている。これにより、回転アクチュエータ17が把持装置14の回動方向(つまり、上下方向)に向けて先端アーム体12bから突出するのを避けることができる。そのため、伸縮アーム12の縮小時に把持装置14に先立って回転アクチュエータ14が建築物Cに接触するのを有効に抑制することができる。
【0065】
なお、回転アクチュエータ17は、把持装置14をその先端側から伸縮方向Dに沿って見た状態で、先端アーム体12bの高さ寸法Hだけでなく、先端アーム体12bの左右寸法の範囲内にのみ設けられていてもよい。さらに、回転アクチュエータ17は、把持装置14をその先端側から伸縮方向D(図1参照)に沿って見た状態で、伸縮方向Dと直交する平面による先端アーム体12bの断面の範囲内に配置されていることがより好ましい。これらの態様とすることにより、回転アクチュエータ14が建築物Cに接触するのをより有効に抑制することができる。
【0066】
前記実施形態では、平行リンク機構11により伸縮アーム12が先下がり姿勢で昇降可能である。そのため、伸縮アーム12を所望の高さ位置に昇降させた上で伸縮アーム12を伸張させることにより、窓枠C1から建築物Cの床面に向けて下向きに把持装置14を進行させることができる。これにより、窓枠C1に挿入された把持装置14により建築物Cの床面上に設置された把持対象物Oを容易に把持することができる。
【0067】
前記実施形態では、アームシリンダ16により伸縮アーム12の先端部が先下がり姿勢(図1参照)とこの先下がり姿勢よりも伸縮アーム12の先端部が上昇した上昇姿勢(図示せず)との間で昇降可能である。そのため、伸縮アーム12を先下がり姿勢とした状態で把持装置14を窓枠C1に挿入することにより、上述のように建築物Cの床面上に設定された把持対象物Oを容易に把持することができる。さらに、前記実施形態では、伸縮アーム12を上昇姿勢に変位させて当該伸縮アーム12を水平に近づけることができるので、上昇姿勢にある伸縮アーム12を縮小することにより、建築物Cの壁面(窓枠C1の開口)に対して垂直に近い姿勢で把持装置14を窓枠C1から抜き出すことができる。したがって、前記実施形態では、建築物Cの床面上に設定された把持対象物Oに対する把持の容易化と、窓枠C1の開口面積を有効に活用することによる把持装置14又は把持対象物Oの窓枠C1からの抜き出し易さとの両立を図ることができる。
【0068】
前記実施形態では、把持装置14の長手方向に沿った軸回りの全周にわたり開閉シリンダ26の全体及び把持モータ22の全体が包囲されている。そのため、把持装置14を窓枠C1内に挿入する際及び把持装置14を窓枠C1を通して抜き出す際に開閉シリンダ26及び把持モータ22が建築物Cに接触するのを抑制することができる。
【0069】
なお、前記実施形態では、回転アクチュエータ17の本体部17aが伸縮アーム12に固定されているとともに、回転部17bが把持装置14に固定された解体機1を説明したが、これに限定されない。具体的に、回転アクチュエータ17の本体部17aを把持装置14に固定するとともに、回転部17bを伸縮アーム12に固定してもよい。
【0070】
また、前記実施形態では、回転アクチュエータ17による把持装置14の保持力を各リリーフ弁36、37により調整する点について説明したが、これに限定されない。例えば、伸縮アーム12、把持装置14の一方に固定された本体部と、伸縮アーム12、把持装置14の他方に固定された回転部とを有する回転アクチュエータについて、次のように保持力を調整することができる。外力を受けて回転部に生じる回転モーメントが所定値を超えた場合に、回転部が本体部に対して回動するように回転部と本体部とを連結する連結機構(例えば、クラッチ)を用いる。このようにすれば、前記回転モーメントを調整することにより、回転アクチュエータの保持力を調整することができる。
【0071】
さらに、前記実施形態では、本体部17aと回転部17bとを有する回転アクチュエータ17を有する解体機1について説明したが、回転アクチュエータの構成はこれに限定されない。例えば、回転アクチュエータとしての油圧シリンダと、この油圧シリンダの推進力を把持装置14の回転力に変換するリンク機構とを備えた解体機とすることもできる。
【符号の説明】
【0072】
C 建築物(建造物の一例)
C1 窓枠
O 把持対象物
1 解体機
2 下部走行体(ベースマシンの一例)
3 上部旋回体(ベースマシンの一例)
6 作業アタッチメント
11 平行リンク機構
11a 第1リンク部材
11b 第2リンク部材
12 伸縮アーム
12c 伸縮シリンダ(伸縮アクチュエータ)
14 把持装置
16 アームシリンダ
17 回転アクチュエータ
17a 本体部
17b 回転軸
18 被接続部
19 把持部
21 基板(包囲部材の一部)
22 把持モータ
23 基部筒部(包囲部材の一部)
24 内歯歯車(包囲部材の一部)
25 旋回ベアリング(包囲部材の一部)
26 開閉シリンダ
27 基板(包囲部材の一部)
30、31 把持部材
32 先端筒部(包囲部材の一部)
36、37 リリーフ弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
解体機であって、
ベースマシンと、
前記ベースマシンに対して起伏可能に取り付けられた基端部を有する起伏部材と、
前記起伏部材の先端部に対して回動可能に取り付けられるとともに、その長手方向に伸縮可能な伸縮アームと、
前記伸縮アームの先端部に対して前記伸縮アームの伸縮方向と直交する回動軸回りに回動可能に取り付けられるとともに、所定の把持対象物を把持可能な把持装置と、
前記伸縮アームを伸縮させるための伸縮アクチュエータと、
前記伸縮アームに対して前記把持装置を回転させる回転アクチュエータとを備え、
前記伸縮アームに対する前記把持装置の回転位置を保持するための前記回転アクチュエータによる保持力は、前記伸縮アームの縮小中に前記把持装置、前記把持装置に把持されている把持対象物の少なくとも一方が設置物に接触することにより前記把持装置が前記設置物から受ける前記伸縮アクチュエータの縮小力に対する反力であって、前記回動軸回りに前記把持装置を回動させる方向に作用する反力よりも小さい、解体機。
【請求項2】
前記回転アクチュエータは、前記伸縮アーム、前記把持装置のうちの一方に固定された本体部と、前記伸縮アーム、前記把持装置のうちの他方に接続されるとともに前記本体部に対して回転可能な回転軸とを有する、請求項1に記載の解体機。
【請求項3】
前記回転アクチュエータは、作動油の供給により作動し、
前記回転アクチュエータに対する作動油の供給圧が予め設定されたリリーフ圧未満で閉鎖する一方、前記供給圧が前記リリーフ圧を超えると開放するリリーフ弁をさらに備え、
前記回転アクチュエータによる保持力は、前記リリーフ圧により規定されている、請求項1又は2に記載の解体機。
【請求項4】
前記伸縮アームは、前記起伏部材の先端部に対して回動可能に取り付けられた基端アーム体と、前記基端アーム体に対して伸縮可能に取り付けられているとともに前記把持装置を回動可能に保持する先端アーム体とを有し、
前記回転アクチュエータは、把持装置をその先端側から前記伸縮アームの伸縮方向に沿って見た状態で、前記伸縮方向及び前記回動軸の軸線方向と直交する方向における前記先端アーム体の高さ寸法の範囲内にのみ設けられている、請求項1〜3の何れか1項に記載の解体機。
【請求項5】
前記起伏部材は、前記ベースマシンに対して起伏することにより前記伸縮アームの先端部が下に向けて傾斜した先下がり姿勢で前記伸縮アームが昇降可能となるように、前記伸縮アームを保持する平行リンク機構を有する、請求項1〜4の何れか1項に記載の解体機。
【請求項6】
前記平行リンク機構は、互いに平行な状態で前記ベースマシンに対して起伏可能で、かつ、前記伸縮アームを回動可能に保持する一対のリンク部材と、前記一対のリンク部材と前記伸縮アームとの間に設けられ、前記先下がり姿勢と前記先下がり姿勢よりも前記伸縮アームの先端部を上げた上昇姿勢との間で前記一対のリンク部材に対し前記伸縮アームの先端部を昇降可能なアームシリンダとを備えている、請求項5に記載の解体機。
【請求項7】
前記把持装置は、前記把持対象物を把持するための一対の把持部材と、前記一対の把持部材を開閉動作させるための開閉シリンダと、前記伸縮アームに接続された基端部から前記一対の把持部材の先端部へ至る前記把持装置の長手方向に沿った軸回りの全周にわたり前記開閉シリンダの全体を包囲する包囲部材とを備えている、請求項1〜6の何れか1項に記載の解体機。
【請求項8】
前記把持装置は、前記伸縮アームに接続された被接続部と、前記被接続部に対して前記把持装置の長手方向に沿った軸回りに回転可能に接続されるとともに前記一対の把持部材を有する把持部と、前記被接続部に対して前記把持部を回転駆動するための把持モータとを有し、
前記包囲部材は、前記把持装置の長手方向に沿った軸回りの全周にわたり前記把持モータの全体を包囲する、請求項7に記載の解体機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−237100(P2012−237100A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105118(P2011−105118)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000246273)コベルコ建機株式会社 (644)
【Fターム(参考)】