説明

解放可能なクリップ接続部を有するモジュール式創傷治療装置

局所陰圧療法を装置(200)の使用者に適用するための装置(200)を、異常な応力にさらされたときに前記装置(200)を保護するための方法とともに記載する。装置(200)は、デバイス(202)およびそれに解放可能に接続された廃棄物キャニスタ(204)を備え、デバイス(202)および廃棄物キャニスタ(204)は、クリップ手段(222)によって互いに接続され、前記クリップ手段(222)は、異常な応力が加えられると故障し、それによりデバイス(202)と廃棄物キャニスタ(204)の分離を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、創傷に局所陰圧(TNP)療法を適用するための装置および方法に関する。特に、しかし排他的にではなく、本発明は、装置の特徴部分、および通常動作条件外の条件下におかれた場合の損傷を防止しまたは最低限に抑えるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
創傷にTNP療法を適用するための装置およびその使用方法を、TNP療法の効果増大を意図する他の治療プロセスとともに提供することに関する、多くの従来技術が利用可能である。そのような従来技術の例として、以下に列挙され簡単に説明されるものが挙げられる。
【0003】
TNP療法は、組織浮腫の減少、血流および組織の肉芽化の促進、過剰な滲出液の除去により、創傷の閉鎖および治癒を支援し、また、細胞負荷したがって創傷への感染を、減少させることができる。さらにTNP療法は、創傷への外部障害をより起こしにくく、より迅速な治癒を促進する。
【0004】
本出願人らの同時係属中の国際特許出願である特許文献1には、創傷を吸引、灌流、および洗浄するための、装置、創傷ドレッシング、および方法が記載されている。非常に大まかに言って、この発明は、創傷を灌流および/または洗浄するための追加流体をさらに供給しながら創傷を吸引するための、局所陰圧(TNP)療法の適用による創傷の治療について説明しており、創傷滲出液および灌流液の両方を含むこの液は次いで、吸引手段によって抜き出され、その中の有益な物質を有害な物質から分離するための手段を通して循環させられる。創傷治癒に有益な物質は、創傷ドレッシングを通じて再循環させられ、創傷治癒に有害な物質は、廃棄物収集袋または容器へと処分される。
【0005】
本出願人らの同時係属中の国際特許出願である特許文献2には、創傷の吸引、灌流、および洗浄を用いて創傷を洗浄するための、装置、創傷ドレッシング、および方法が記載されている。同様に非常に大まかに言って、この文書に記載される発明は、創傷の吸引、灌流、および洗浄に関して特許文献1における装置と同様の装置を利用するが、創傷部位/ドレッシングに戻された有益な物質の温度を、たとえば創傷への最も有効な治療効果を有するための最適温度となるように制御するための加熱手段を提供するという重要な追加ステップをさらに含む。
【0006】
本出願人らの同時係属中の国際特許出願である特許文献3には、創傷の吸引、灌流、および/または洗浄のための、装置および方法が記載されている。同様に非常に大まかに言って、この文書は、本明細書で上述した2つの文書と同様の装置を記載するが、創傷治癒を促進するために創傷部位/ドレッシングに生理学的活性剤を供給および適用するための手段を提供する、さらなるステップもともに記載する。
【0007】
上記参照文献の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0008】
しかしながら、装置は複雑で、装置の操作および保守方法に関する専門知識を有する人を必要とし、また比較的重くかさばり、たとえば患者によって病院環境外に容易に動かされるようになされていないので、上記装置および方法は一般に、入院時の患者にのみ適用可能である。
【0009】
たとえば、継続的な入院を必要としない比較的重篤でない創傷を有するが、にもかかわらずTNP療法の長期的な適用が有益となる患者の中には、容易に携帯および保守可能なTNP療法用装置が利用可能であれば、家または職場で治療することができる者もいる。
【0010】
特許文献4は、ベルトまたはハーネスに留められる、患者が運ぶことができる携帯式TNP療法ユニットを記載している。このユニットは、機械的および電気的/電子的な機能および構成要素を有する装置を実施し、上記構成要素を内部に収容する全被覆ケーシングを備え、このケーシングはまた、廃棄物キャニスタも含む。たとえばユニットが落とされた場合、あるいは正常動作条件外の荷重または衝撃を受けた場合、そのすべての構成要素がそうした荷重または衝撃を受け、かつ、より高価な機械的および/または電子構成要素に重大な損傷が生じるおそれがある。記載された装置のさらなる欠点は、特に手先の不器用な人にとって、廃棄物キャニスタの取外しおよび交換が難しいことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第2004/037334号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2005/04670号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2005/105180号パンフレット
【特許文献4】独国特許GB-A-2307180
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述の問題を少なくとも部分的に軽減することが、本発明の一目的である。
【0013】
装置のより高価な部品を、通常動作状態外の状態下で使用されるときに損傷から保護することが、本発明の一目的である。
【0014】
廃棄物キャニスタがより容易にアクセス可能であり、より容易に新しいキャニスタに変えられまたは交換される装置を提供することが、本発明のさらなる目的である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の態様によれば、装置の使用者に局所陰圧療法を適用するための装置が提供され、この装置は、デバイスと、それに解放可能に接続される廃棄物キャニスタとを備え、デバイスと廃棄物キャニスタは、クリップ手段によって互いに接続される。
【0016】
クリップ手段は、以下でさらにより詳細に説明するように、通常動作状態外の応力が加えられると故障することが意図されており、その時その故障により、デバイスと廃棄物キャニスタの分離が可能になる。
【0017】
本発明は、一部においては、ほぼほとんどの環境において患者にTNP療法を提供するための、全体的な装置から構成される。装置は軽量であり、デバイスに収容された再充電可能なバッテリパックにより、主電源またはバッテリから給電することができる(以下「デバイス」という用語は、制御部、電力供給装置、電力供給装置充電、電子表示手段、創傷への吸引機能を開始および維持するための手段、ならびに同様の性質の何らかのさらなる必要機能を、すべて含むことができるユニットを意味するために使用する)。たとえば家の外の場合、装置は、バッテリ電力で長時間の動作を提供することができ、たとえば家の中では、装置を、患者により依然使用され動作させられたままで、充電ユニットによって主電源に接続することができる。
【0018】
本発明が一部である全体的な装置は、創傷を覆い、ドレッシングにより創傷上に形成された空洞への吸引導管の、少なくとも1つの開いた端部を封止するドレッシングと、創傷ドレッシングから、創傷滲出液/廃棄物物質を廃棄の前に収集および保持するための廃棄物物質キャニスタへと続く、少なくとも1つのそれを通る内腔を備える吸引管と、廃棄物キャニスタに関連付けられた、電力、制御、ならびに吸引開始および維持デバイスとを備える。
【0019】
創傷を覆うためのドレッシングは、TNP療法で通常用いられるいかなるタイプのドレッシングとすることもでき、非常におおまかに言って、封止された空洞または空間を創傷上に作り出すように創傷を覆い周りの健全な組織とともに封止するための、たとえばドレッシング業界で知られているような半透性、可撓性、自己接着性ドレープ材料を含むことができる。適切には、創傷床と被覆材料との間の空洞内に、創傷の領域上に均等な真空の分布を可能にするための多孔性障壁および支持部材が存在することがある。多孔性障壁および支持部材は、たとえばガーゼ、泡、膨張可能な嚢、または、生み出された真空レベル下の圧縮に耐える知られた創傷接触タイプの材料であり、創傷滲出液が、創傷領域を横断し、創傷を覆う可撓性被覆ドレープに対して封止された吸引導管へと移動することを可能にする。
【0020】
吸引導管は、たとえばそれを通る単一内腔を有し、たとえば露出した組織と適合可能なプラスチック材料で製作される、普通の可撓性管とすることができる。しかし吸引導管は、本発明に関する特異的な目的を達成するために、それを通る複数の内腔を有することもできる。創傷を覆う封止された空洞内にある管の部分は、予想されるより高レベルの陰圧範囲でも締め付けられずまたは遮断されずに、創傷滲出液の連続的な吸引および排出を可能にする構造を有することができる。
【0021】
本発明を実施する装置のための陰圧範囲は、約-50mmHgから-200mmHgの間になることがあることが予想される(これらの圧力は、通常の環境大気圧に対するものであり、したがって-200mmHgは、実際には約560mmHgであることに留意されたい)。適切には、圧力範囲は、約-75mmHgから-150mmHgの間とすることができる。あるいは、最高-75mmHg、最高-80mmHg、または-80mmHgを超える圧力範囲を用いることができる。また適切には、-75mmHgより低い圧力範囲を使用することもできる。あるいは、-100mmHg、または-150mmHgを超える圧力範囲を用いることができる。
【0022】
吸引導管は、ドレッシングから離れた遠位端を、入口ポートまたはコネクタにて廃棄物キャニスタに取り付けることができる。創傷/ドレッシングの吸引を開始および維持するための手段を含むデバイスは、ドレッシングと廃棄物キャニスタとの間に置くことができるが、本発明を実施する装置の好ましい一実施形態において、デバイスは、キャニスタを通して創傷/ドレッシングを吸引することができ、したがって廃棄物キャニスタを、好ましくは創傷/ドレッシングとデバイスとの間に置くことができる。
【0023】
吸引導管は、たとえば障害物に引っかかったときなどに不用意に外れることを防ぐために、廃棄物物質キャニスタ端部にて、好ましくは廃棄物キャニスタにボンド付けすることができる。
【0024】
キャニスタは、プラスチック材料の成形物、または複数の別個の成形物を備える複合ユニットとすることができる。キャニスタは、適切には、滲出液の充填程度を視覚的に判断するために、半透明または透明とすることができる。ただし、キャニスタおよび装置は、いくつかの実施形態において、差し迫るキャニスタ満タン状態の自動警告を提供することができ、また、キャニスタが満タン状態に到達したときに吸引を中止するための手段を提供することもできる。
【0025】
キャニスタは、液体およびそれからの臭気の排出を防止するための、また細菌の大気中への放出を防止するための、フィルタを備えることができる。そのようなフィルタは、複数のフィルタを直列で含むことができる。適当なフィルタの例は、細菌放出を防ぐためのキャニスタ封止の点から、たとえば孔サイズ0.2μmの、および液体放出を防ぐ点から1μmの、疎水性フィルタを含むことができる。
【0026】
適切にはフィルタは、通常使用で廃棄物キャニスタの上方部分に置くことができ、すなわち、装置が患者によって使用または運搬されるとき、フィルタは上方位置にあり、重力によって廃棄物キャニスタ内の滲出液体から隔離される。さらに、そのような向きにより、廃棄物キャニスタ出口または排出出口ポートは、滲出液面から離して保たれる。
【0027】
適切には、廃棄物キャニスタは、満タン、交換、および廃棄時のキャニスタの漏れを防ぐ追加予防手段として、たとえばISOLOYSEL(商標)など吸収性ゲルを充填することができる。廃棄物キャニスタの滲出液保存容積内のゲルマトリクスのさらなる利点は、はねなど液体の過剰な動きを妨げ、細菌成長を最低限に抑え、臭気を最低限に抑えることである。
【0028】
廃棄物キャニスタはまた、デバイスユニットから取り外されるとき、また吸引導管が創傷部位/ドレッシングから取り外されるときの両方に、その漏れを防止するための適当な手段を備えることができる。
【0029】
キャニスタは、満タンまたは他の点で耐用年数を終えたキャニスタを、廃棄物流体を収容したままで単に廃棄することができるように、使用者によって(工具またはキャニスタへの損傷を伴わずに)空にされることを妨げるための適当な手段を有することができる。
【0030】
デバイスおよび廃棄物キャニスタは、デバイスユニットを廃棄物キャニスタに接続するための、互いに相補的な手段を有することができ、それにより、デバイスユニット内の吸引手段は、創傷部位/ドレッシングからデバイス上の排出ポートへと連続的な吸引通路が存在するように、廃棄物キャニスタ上の排出ポートに自動的に接続される。
【0031】
適切には、装置を通る流体通路からの排出ポートは、不快な臭気が大気中に放出されることを妨げるためのフィルタ手段を備える。
【0032】
大まかに言って、デバイスユニットは、吸引ポンプと、吸引ポンプによって加えられた圧力を監視するための手段と、吸引ポンプを通って流れる流体の流れを監視するための流量計と、たとえば圧力監視手段および流量計などセンサからの信号に応答して、吸引ポンプを制御し、また搭載バッテリパックおよびその充電に関して電力管理システムも制御する制御システムと、最後に、使用者インタフェースシステムとを備え、それによりたとえば圧力レベル設定値などデバイスの様々な機能を(装置の停止および開始を含む)、使用者が調整することができる。デバイスユニットは、上記特徴部分をすべて、単一の統一ケーシング内に収容することができる。
【0033】
デバイスユニットが、内在機器コストの大部分をその中に含むという事実を鑑みると、理想的には、デバイスユニットは、衝撃に耐え、他の患者による再利用を可能にするための洗浄を許容することもできるであろう。
【0034】
本発明において、「通常」動作状態とは、患者または使用者が装置を着けた状態で座り、歩き、または走り、眠り、かつ装置上に転がり、たとえばベッドまたはカーペットの床など柔らかい面上に装置を誤って落とすなどの使用を含む。装置は、たとえばベッドの枠にぶら下げられまたは固定されているときに、悪影響を受けず、かつ吸引導管または電力リード線にかかる約40Nおよび好ましくは約20Nを超えないひっぱり力に耐えることができることが意図されている。
【0035】
本発明において、異常または通常動作状態外とみなされる状態には、装置を地面に落とすこと、たとえば障害物中に立ち入るときまたは転んだときなどに、患者に着用されているときの衝撃、あるいは、吸引導管または電力リード線が誤って引っ張られてデバイスがテーブルまたはベッドから落とされるときを含むことができる。基本的に本発明は、装置が異常な応力または衝撃にさらされるときに、クリップ手段の故障によってデバイスと廃棄物キャニスタが分離することを可能にする。クリップ手段に関する「故障」という用語は、通常接続状態でデバイスおよび廃棄物キャニスタと互いに結合するクリップ手段自体の上、デバイス上、および/または廃棄物キャニスタ上に存在することができる係合特徴部分が、破損を伴わずに非係合状態になること、またはクリップ手段自体がその特徴部分の破損を受けることを意味するものとする。
【0036】
デバイスと廃棄物キャニスタの分離が、廃棄物キャニスタではなくデバイスからクリップ手段が何らかの形で外れることによって生じることは、重要である。すなわち、デバイスには損傷が生じず、クリップ部材の破損が生じると、使用者は、破損したクリップ部材を比較的より繊細なデバイスユニットから取り外す必要性に直面しない。外れる際に、廃棄物キャニスタへのなんらかの損傷は、使用者が新しい廃棄物キャニスタを嵌めることによって、単純に修正される。
【0037】
たとえば、装置が硬い面に落とされたとき、クリップ手段は、上記で定義されたように故障し、デバイスユニットと廃棄物キャニスタの分離を可能にし、デバイスユニットがその動作を損なうなどかなりの損傷を受けることから保護する。本発明は、事実上この衝撃吸収手段である。
【0038】
一般に、クリップ手段は、それが故障するまでに最高約100Nの力に耐えることができ、したがって、デバイスと廃棄物キャニスタを分離させる傾向がある方向の、約100Nより大きい力または荷重は、デバイスと廃棄物キャニスタをともに保持するクリップ手段の故障を招くおそれがある。デバイスと廃棄物キャニスタを分離させる傾向がある力は、必ずしも互いに反対方向ではないが、たとえば、廃棄物キャニスタに横方向に加えられる力は、廃棄物キャニスタをデバイスユニットに対して横向きに打つ傾向があるなど、別の方向となることがあることが指摘される。
【0039】
本発明の好ましい実施形態において、剛性だが弾性を有する材料で製作されるクリップの形のクリップ手段はまず、廃棄物キャニスタに取り付けられ、その上で、それらは廃棄物キャニスタ上の位置軸によってもたらされる軸の周りで弧状に回転することができる。クリップは、廃棄物キャニスタに解放可能に取り付けることができ、実際、消費者が交換できるアイテムとすることができ、このアイテムは、その故障時に、廃棄物キャニスタをデバイスに迅速に再び取り付けることができるように、容易に交換することができる。したがって、デバイスが損傷から保護されるだけでなく、廃棄物キャニスタ自体もまた保護される。
【0040】
本発明の一実施形態において、クリップは、POM(ポリオキシメチレン)アセタールポリマーで成形することができるが、適当な弾性を有するいかなる適当なプラスチック材料を用いることもできる。プラスチック材料は容易に形成されるので、特にそれらについて述べるが、適当な金属アイテムもまた、要求を満たす。
【0041】
本発明の好ましい一実施形態において、廃棄物キャニスタに取り付けられるクリップの端部部分は、廃棄物キャニスタ上の軸部分上に締り嵌めをもたらすように、変形可能なC字形凹部を備えることができる。クリップ端部の中間の内向きに曲げられる面上に、弾性変形可能なフィンガ特徴部分が存在することがあり、このフィンガ特徴部分は、デバイスと廃棄物キャニスタを機能的係合で互いに接続するように、デバイスユニット上の1つまたは複数の共動特徴部分と係合する。廃棄物キャニスタは、満タンになると処分できるアイテムであるので、クリップをデバイスから取り外し、廃棄物キャニスタを処分して新しいキャニスタを設置することができる。
【0042】
クリップ表面はまた、使用者がデバイスと廃棄物キャニスタを互いに係合させることを支援するための、いわゆる把持ストリップを備えることができる。
【0043】
クリップは、1つのデザインが装置の両側に嵌る普遍的なものとすることができ、または左右で異なることができる。
【0044】
本発明の第2の態様によれば、使用者に局所陰圧を加えるための装置を保護する方法が提供され、この装置は、デバイスと、解放可能に互いに接続された廃棄物キャニスタとを備え、この方法は、デバイスと廃棄物キャニスタを互いに接続するためのクリップ手段を提供するステップと、クリップ手段が故障したときにデバイスと廃棄物キャニスタの分離を可能にするために、前記クリップ手段、前記装置、および前記廃棄物キャニスタのうちの少なくとも2つの上に、特徴部分を提供するステップとを含む。
【0045】
言及される特徴部分は、クリップ手段の破損によって故障することが意図されている点とすることができる。そのような特徴部分は、クリップ部材上の、またはたとえば成形された破砕線による、1つまたは複数の、断面の小さくされた部分とすることができる。
【0046】
圧力耐性に関しては、吸引手段は、少なくとも-200mmHgの最大圧力降下を創傷部位/ドレッシングに加えることができる。装置は、システム内への空気の小さい漏れがあり、滲出液流量が大きい場合にも、所定の陰圧を維持することができる。
【0047】
圧力制御システムは、過度の患者の不快感を生じないように、最低圧力がたとえば-200mmHgを超えることを妨げることができる。要求される圧力は、問題となっている創傷の要求および臨床医の助言に応じて、たとえば-50、-75、-100、-125、-150、-175mmHgなど多くの慎重なレベルに、使用者が設定することができる。すなわち使用時の適当な圧力範囲は、例として、-25mmHgから-80mmHg、または-50から-76mmHg、または-50から-75mmHgとすることができる。制御システムはまた、有利には、漏れおよび滲出速度が期待または通常レベル内にあると仮定すると、設定された圧力を、装置が動作する時間の95%は設定値の+/-10mmHgの許容範囲内に維持することができる。
【0048】
適切には制御システムは、たとえば、システム内への空気のひどい漏れにより圧力が設定値から大きく外れている、システム内への比較的小さい漏れにより吸引ポンプの負荷が高すぎる、たとえば廃棄物キャニスタの詰まりまたは廃棄物キャニスタ満タンにより創傷部位とポンプの間の圧力差が大き過ぎるなど、様々な異常状態が当てはまるときに、光るライト、ブザー、またはその他何らかの適当な手段などの警告手段を、作動させることができる。
【0049】
本発明の装置は、たとえば肩ストラップまたはハーネスなど、運搬ケースおよび適当な支持手段を備えることができる。運搬ケースは、互いに接合されたデバイスと廃棄物キャニスタを備える装置の形状と、共形になるようにすることができる。特に、運搬ケースは、装置を運搬ケースから完全に取り出さずに廃棄物キャニスタの交換を可能にするための、底部が開くフラップを備えることができる。
【0050】
運搬ケースは、装置により適用される療法を変えるために使用者がキーパッドにアクセスすることを可能にするための、取外し可能なフラップによって覆われた開口を備えることができる。
【0051】
本発明をより完全に理解することができるように、ここで添付の図面を参照しながらいくつかの例を例示としてのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】装置およびそれを構成する装置特徴部分の全体図を示す全体的な概略ブロック図である。
【図2】図1と同様の全体的な概略ブロック図およびその内部の流体通路を示す図である。
【図3】装置の様々な電力消費/発生特徴部分のための電力路を示す、図1と同様であるがデバイスユニットのみの全体的な概略ブロック図である。
【図4】装置の様々な機能および構成要素を制御するための制御システムデータ経路を示す、図3と同様のデバイスユニットの全体的な概略ブロック図である。
【図5】装置の斜視図である。
【図6】図5の装置の組立てられたデバイスユニットを示す斜視図である。
【図7】図6のデバイスユニットを示す分解図である。
【図8】装置の廃棄物キャニスタとデバイスユニットとの間のインタフェースを通る部分断面側面図である。
【図9】図5から図8の装置の廃棄物キャニスタを通る断面図である。
【図10】本発明による一実施形態を有する、ケーシング特徴部分および廃棄物キャニスタ部品を示す分解図である。
【図11A】図10に示す実施形態の左方クリップの内部表面を示す斜視図である。
【図11B】図10に示す実施形態の右方クリップの外部表面を示す斜視図である。
【図12】図11の折れやすいクリップのうちの1つの詳細を示す拡大図である。
【図13】接続クリップが係合されようとしている、装置ケーシングと廃棄物キャニスタの接合部分を通る詳細断面図である。
【図14】装置ケーシングおよび廃棄物キャニスタの図13と同じ部分を通るが、接続クリップが接続された、異なる視点からの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
ここで図1から図4の図面を参照するが、これらの図において、同一または同様の特徴部分は共通の参照番号で示される。
【0054】
図1は、携帯式局所陰圧(TNP)システムの装置10を示す全体的な概略図を示す。本発明の実施形態は、概して、そのようなTNPシステムにおいて使用するのに適用できることが理解されるであろう。簡単に言うと、陰圧創傷療法は、組織浮腫の減少、血流および肉芽組織形成の促進、過剰な滲出液の除去により、多くの形の「治癒が困難な」創傷の閉鎖および治癒を支援し、かつ細菌負荷(したがって感染)を低減することができる。さらにこの療法は、創傷への障害をより起こしにくく、より迅速な治癒を導く。TNPシステムは、以下でさらに詳細に説明されるが、要約すれば、キャニスタおよび装置を備える携帯可能な本体を備え、この装置は、少なくとも1年の耐用期間内に長期間の継続的療法を提供することができる。システムは、ある長さの管機構によって患者に接続され、管機構の一端部が、患者上の創傷ドレッシングに動作可能に固定される。
【0055】
より具体的には、装置は、図1に示すように、吸引導管12を備え、吸引導管12は、動作可能に、かつ一端部にてその外部表面を封止するように、ドレッシング14に取り付けられる。ドレッシング14については、本発明の装置を用いたTNP療法によって治療されるべき創傷上およびその周りに封止された空洞を作り出すように、ドレッシングの当業者に良く知られた材料を用い知られたやり方で形成されるということ以外、本明細書ではさらに説明しない。吸引導管は、ドレッシング14と廃棄物キャニスタ22との間のその長さの中間にある、コネクタ部分18、20を備える直列コネクタ16を有する。コネクタ部分20とキャニスタ22との間の吸引導管は、異なる参照番号24で示されるが、導管部分12および24を通り廃棄物キャニスタに至る流体通路は、連続している。コネクタ部分18、20は、液密であるが切離し可能なやり方で導管部分12、24を接合する。廃棄物キャニスタ22は、フィルタ26を備え、フィルタ26は、液体および細菌が出口ポート28を通って廃棄物キャニスタから漏れ出ることを防ぐ。フィルタは、すべての液体および細菌が廃棄物キャニスタ22の内部廃棄物収集容積に閉じ込められるように、lμmの疎水性液体フィルタおよび0.2μmの細菌フィルタを含むことができる。廃棄物キャニスタ22の出口ポート28は、互いに封止し合うコネクタ部分34、36によってデバイスユニット32の入口/吸入ポート30と対合し、コネクタ部分34、36は、廃棄物キャニスタ22がデバイスユニット32に取り付けられるとき、自動的に互いに係合および封止し合い、廃棄物キャニスタ22およびデバイスユニット32は、キャッチアセンブリ38、40によって互いに保持される。デバイスユニット32は、互いに動作可能に接続された、吸引ポンプ44、吸引圧力モニタ46、および吸引流量計48を備える。吸引通路は、出口ポート28の出口側の流体が気体である場合、吸引された流体を、消音器システム50および最終フィルタ52とを通して運ぶ。この最終フィルタは、排出ポート54を通してデバイス32から排出される気体とともに臭気が漏れ出ないことを保証する、活性炭母材を有する。フィルタ52の材料はまた、騒音低減材料としても働き、消音器システム50の効果を高める。デバイス32はまた、装置に給電するためのバッテ
リパック56を収容し、このバッテリパックはまた、制御システム60にも給電する。この制御システム60は、キーパッド(図示せず)を介して制御される使用者インタフェースシステム62を制御し、かつ、センサ46、48からの信号を介して吸引ポンプ44を制御する。バッテリパック56からの電力と、バッテリパック56の再充電と、吸引ポンプ44およびその他の電気的に動作させられる構成要素の電力要求とを制御する、電力管理システム66も設けられる。装置の使用者またはデバイス自体が都合の良い電源電力ソケットに隣接するとき、電源74に接続されたSELV電力供給装置72からの電力入力ジャック70を受容するために、電気コネクタ68が設けられている。
【0056】
図2は、図1と同様の概略図を示すが、流体通路をより詳細に示す。創傷滲出液は、創傷部位/ドレッシング14から、導管12、2つのコネクタ部分18、20、および導管24を通じて、廃棄物キャニスタ22内へと吸引される。廃棄物キャニスタ22は、およそ500mlの比較的大きい容積80を備え、その中に創傷からの滲出液が、吸引システムによって入口ポート82にて引き込まれる。キャニスタ容積80内に引き込まれた流体84は、半透性接着封止ドレープ(図示せず)を通してドレッシング14内に引き込まれた空気と、創傷滲出液の形の液体86との混合物である。キャニスタ内の容積80はまた、低圧下にあり、吸引された流体の気体要素88は、フィルタ26および廃棄物キャニスタ排出出口ポート28を通して、細菌を含まない気体としてキャニスタ容積80から排出される。廃棄物キャニスタの出口ポート28から最終排出ポート54までにおいては、流体は気体のみである。
【0057】
図3は、装置のデバイス部分、および本発明を実施する装置のデバイス内の電力経路のみを示す概略図を示す。電力は、使用者が自宅外またはたとえば職場にいるときは主にバッテリパック56によって供給されるが、外部主電源74により給電される充電ユニット72によって供給することもでき、充電ユニット72は、ソケット68によってデバイス32に接続されているとき、デバイスを動作させることと、バッテリパック56を再充電することの両方を行うことができる。TNPシステムの電力を制御することができるように、電力管理システム66が含まれている。TNPシステムは、再充電可能なバッテリ駆動システムであるが、さらなる図を参照しながら以下でより完全に説明するように、主電源の電気により直接動かすことができる。電源に接続されない場合、バッテリは、通常状態で約8時間使用するのに十分な蓄電電荷を有する。再充電までの間の関連寿命が異なるバッテリを利用することができることを理解されたい。たとえば、8時間未満または8時間より長時間給電するバッテリを、使用することができる。主電源に接続される場合、デバイスは、主電源電力を流し、同時に、携帯使用により消耗している場合バッテリを同時に再充電する。バッテリ再充電の正確な速度は、TNPシステムの負荷によって決まる。たとえば、創傷が非常に大きい場合、または著しい漏れがある場合、バッテリ再充電は、創傷が小さく良好に封止されている場合よりも長くかかる。
【0058】
図4は、本発明を実施する装置のデバイス32部分、ならびに、吸引ポンプおよび装置のその他の特徴部分を制御するための制御システムにおいて用いられるデータ経路を示す。TNPシステムの主要な目的は、陰圧創傷療法を適用することである。これは、ポンプおよびポンプ制御システムを備える、圧力制御システムを介して行われる。ポンプは陰圧を加え、圧力制御システムは、ポンプヘッドにおける圧力に関するフィードバックを制御システムに与え、ポンプ制御部は、目標圧力とポンプヘッドにおける実際の圧力との間の差に基づいてポンプ速度を変える。ポンプ速度の精度を改善するために、したがって、創傷部位にて陰圧をより滑らかかつより正確に加えるために、ポンプは補助制御システムによって制御される。ポンプは時々、そのデューティサイクル中に、ポンプに加えられる電圧を切ることにより「惰性で」動かされる。回転するモータは、「逆起電力(backelectro-motiveforce)」またはBEMFを発生させる。このBEMFは、監視することができ、ポンプ速度の正確な測定を行うために利用することができる。こうして速度を、従来技術のポンプシステムでできるよりも正確に調整することができる。
【0059】
本発明の実施形態によれば、創傷部位における実際の圧力は測定されないが、実用的であれば大きいフィルタおよび孔の大きい管を使用することにより、(ポンプにて)測定される圧力と創傷圧力との差が最小限に抑えられる。ポンプヘッドにおける圧力が一定期間にわたり目標圧力(大気圧に近い)より大きいことを、圧力制御部が測定した場合、このデバイスは、警告を送信し、漏れなどの問題の可能性を使用者に警告するメッセージを表示する。
【0060】
圧力制御部の他に、別個の流量制御システムを設けることができる。流量計を、ポンプの後に配置することができ、流量計は、キャニスタが満タンまたは管が遮断されたときにそれを検出するために使用される。流量が一定の閾値より下に落ちた場合、デバイスは、警告を鳴らし、遮断またはキャニスタ満タンの可能性を使用者に警告するメッセージを表示する。
【0061】
次に、本発明を実施する装置200の好ましい実施形態の様々な図および断面図を示す、図5から図9を参照する。この好ましい実施形態は、平面ではほぼ楕円形であり、クリップ構成206によって互いに連結されたデバイスユニット202および廃棄物キャニスタ204を備える。デバイスユニット202は、適用中の創傷療法に関するフィードバックに基づく文章を表示する液晶ディスプレイ(LCD)208、および膜キーパッド210を有し、このLCDは、創傷(図示せず)に適用される療法を使用者が調整または設定することを可能にするために、キーパッドの膜を通して見ることができる。デバイスは、下方の、全体的に横断する面212を有し、その中央に、吸入/入口ポート216を形成する栓214があり、この吸入/入口ポート216に、吸引手段(以下で説明する)がデバイスユニット内で接続される。デバイスユニットの下方縁部は、部分的に削られた外縁オス対合面218を備え、このオス対合面は、廃棄物キャニスタ204(図8および図9参照)の上方縁部上で共動外縁メス形成物220に係合する。デバイス202の各側部上でキャニスタ204にヒンジ付けされたクリップ222は、係合フィンガ(図示せず)を有し、この係合フィンガは、デバイスユニットの本体内の凹部226内の形成物と共動する。図7から、デバイスユニットのケーシング230は、前方成形部232および後方成形部242、ならびに左方挿入部236および右方挿入部238を備える、概ね「貝殻」構造であることが分かる。ケーシング230の内側には、内部成形構造部材242に締結された中央シャシ240があり、このシャシは、電気回路および電気部品のための取付け台として働き、またバッテリパック(図示せず)および吸引ポンプユニット248を保持する。様々な管機構アイテム250、252、254が、ポンプユニット248および吸入/入口ポート216を、フィルタ290を通して最終気体排出部へと接続する。図8は、装置200の部分断面側面図を示す。この部分断面図は、デバイスユニット202と廃棄物キャニスタ204との間の接合部の周りであり、その断面図を図9に示す。これらの図は、廃棄物キャニスタ204の頂面262の周りの直立フランジ260によって画成されるメス部分220と共動する、デバイスユニット上のオス形成物の部分的に削られた縁部218を示す。廃棄物キャニスタがデバイスユニットと接合されるとき、「O」リングシール264をその周りに有する栓214は、廃棄物キャニスタ内の排出/出口ポート268の周りに形成された円筒管部分266と封止係合する。デバイスの栓214は、装置ケーシングに動かないように固定されているのではなく、ケーシング内を特徴付けるその位置内で「浮き」または動くことができ、デバイスユニットに廃棄物キャニスタを接続する際に円筒管部分266の孔との最良の封止部を形成するように、栓214およびシール264が動くことを可能にする。図9の廃棄物キャニスタ204は、使用者により着用されるときと同じように、直立の向きで示されている。したがって、いかなる滲出液270も、廃棄物受容部分272の内部容積の底部内にくる。吸引導管274は、導管274を通して創傷(図示せず)から吸引された流体を受けるための入口ポート280を画成する入口ポート栓278に、恒久的に固定される。0.2μmのフィルタを備えるフィルタ部材282、およびlμmのフィルタを備えるフィルタ部材284は、頂部閉鎖部材または隔壁288に隣接するフィルタ保持部材286によって設置され、これらフィルタ部材は、排出出口ポート268からポンプおよび吸引通路内を通り、ケーシング側部部片236内に排出管(図示せず)によってケーシング出口部材291に接続された排出およびフィルタユニット290へと、いかなる液体または細菌が引き出されることも防止する。側部部片236、238は、患者が使用するための運搬ストラップ(図示せず)を配置するための、支持ピン294を内部に有する凹部292を備える。側部部片230およびキャニスタ204はまた、キャニスタおよびデバイスが互いに接続されたときに相互の「ぐらつき」を示すことを防止する、特徴部分を備える。キャニスタ頂部閉鎖部材または隔壁288と直立フランジ260の内面300との間に延びるリブ(図示せず)は、キャニスタとデバイスが接続されるとき、デバイス側壁内の溝302内に配置される。ケーシング230はまた、上記図3および図4に関してその機能を簡単に説明した、すべての電気機器ならびに制御および電力管理特徴部分を収容する。側部部片238は、外部主電源により給電されるバッテリ充電器からの充電ジャック(いずれも図示せず)を受けるための、ソケット部材298を備える。
【0062】
次に図10から図14を参照しながら、本発明の好ましい一実施形態を示す。
【0063】
装置のすべての説明において、右および左は、デバイスが最上部にある状態で装置をLCDスクリーンに向かって見るときのように定義される。
【0064】
図10は、デバイス202のケーシング部品230、および廃棄物キャニスタ204の分解図を示し、ケーシング部品230は、デバイスの後方成形部234、左側成形部236、および右側成形部238を備え、廃棄物キャニスタ204は、廃棄物キャニスタ受容器部分272、および閉鎖隔壁288を備える。廃棄物キャニスタの廃棄物受容器部分272および閉鎖隔壁288は、互いに溶接されて、一体のキャニスタユニットを形成する。接続クリップ部材222が、廃棄物キャニスタ204をデバイス202に接続させるように設けられている。図11Aおよび図11Bは、左方および右方クリップ222をそれぞれ示している。それらのクリップは、右方と左方の違いはあるが、原則的に、互いに基本的に同じ構造特徴部分および機能を有する。図12は、C字形特徴部分400の拡大された部分を示しており、このC字形特徴部分400は、廃棄物キャニスタ隔壁288上の一体成形部として設けられた軸部材402上への締り嵌めによって、クリップ部材222を廃棄物キャニスタ204に接続する。クリップ部材222の軸402への取付けは、C特徴部分400が、その元のサイズを回復し軸402上への確実な把持をもたらす前に、軸402上に押し付けられてわずかに弾性変形することによる。クリップ部材222はまた、下向きに方向付けられたリップ部分406を有するフィンガ部分404を有し、このフィンガ部分は、弾性変形可能である。デバイス側部挿入部分236、238はそれぞれ、使用者の指(図示せず)を収容するための凹部408(図13および図14に最もよく見られる)を備える。廃棄物キャニスタが、取付けのためにデバイスの方に近づけられるとき、クリップ222は、軸402の周りで弧状に回転することができる。凹部408の下方部分に、フィンガ部分404およびリップ部分406に係合する、共動係合特徴部分410がある。係合特徴部分410は、傾斜した導入部分414を有する直立歯部分412を備え、この導入部分414は、リップ部分406と係合し、リップ部分406の後面416が歯412の後面418と係合する状態で、フィンガ部分404を係止位置にパチンと嵌る前に弾性変形させ、デバイス202と廃棄物キャニスタ204を互いに解放可能に接続する。クリップ部材222はまた、軟らかいプラスチック材料など、触感を有する表面被覆430をそれらの外側表面上に備え、この被覆は、廃棄物キャニスタをデバイスに組み付けるときに、直感的な感触を使用者に与える。
【0065】
たとえばキャニスタが満タンのときなど、通常使用中に廃棄物キャニスタがデバイスから取り外されるとき、使用者は指で、フィンガ部材404上方のクリップ部材222の後面420を把持し、外向き方向に引っ張る。リップ部分406および歯部分412の係合後面416、418は、外向きの力により2つの面416、418がフィンガ部分404を弾性変形させながら互いに対して摺動させられるように、いずれも傾斜しており、したがってクリップ部材222をデバイス202から離すことを可能にし、廃棄物キャニスタの取外しを可能にする。
【0066】
新しい廃棄物キャニスタは、上記で説明したように単純に取り付けられる。
【0067】
たとえば、装置をかなりの高さ、たとえばおそらくは1mから硬い表面上に落とすなど、装置が異常な動作状態にさらされた場合、装置が受ける衝撃荷重の方向によって、いくつかの可能性が生じることがある。まず、傾斜面416、418の弾性摺動がデバイスと廃棄物キャニスタを分離させることにより、またはC字形部分400を軸部分402から離すことによって、デバイス上の係合部分410とクリップ部材上の係合フィンガ404が、単純に離れることがある。あるいは、フィンガ部分404が、たとえばクリップ部材本体上など、その根元の隣でパチンと外れることがある。
【0068】
破損によりクリップ部材が故障した場合、破損したクリップのC字形部分400を軸部分402から離し、新しいクリップ部材をその場所に嵌め、廃棄物キャニスタを上記で説明したようにデバイスに再び組み付けることによって、一方または両方のクリップ部材を単純に交換することができる。
【0069】
本明細書の説明および添付の特許請求の範囲全体で、「備える(comprise)」および「収容する(contain)」、ならびにこれらの語の変化形、たとえば「comprising」「comprises」は、「含むがそれに限定されない」を意味し、その他の部分、追加、構成要素、整数、またはステップの除外を意図しない(かつ除外しない)。
【0070】
本明細書の説明および特許請求の範囲全体にわたり、文脈がそうでないと要求しない限り、単数形は複数形を包含する。特に不定冠詞が用いられる場合、本明細書は、文脈がそうでないと要求しない限り、単数と同様複数を企図するとして理解される。
【0071】
本発明の特定の態様、実施形態、実施例と関連して説明される、特徴部分、整数、特徴、化合物、化学的部分、または群は、本明細書に記載されるその他のいかなる態様、実施形態、または実施例にも、矛盾しない限り適用可能であると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0072】
10 局所陰圧(TNP)システムの装置
12 吸引導管
14 ドレッシング
16 コネクタ
18 コネクタ部分
18 コネクタ部分
22 廃棄物キャニスタ
24 吸引導管
26 フィルタ
28 出口ポート
30 入口/吸入ポート
32 デバイスユニット
34 コネクタ部分
38 キャッチアセンブリ
44 吸引ポンプ
46 吸引圧力モニタ、センサ
48 吸引流量計、センサ
50 消音器システム
52 フィルタ
54 排出ポート
56 バッテリパック
60 制御システム
62 インタフェースシステム
62 ユーザーインタフェースシステム
66 電力管理システム
68 電気コネクタ
70 電力入力ジャック
72 充電ユニット、SELV電源
74 電源
80 キャニスタ容積
82 入口ポート
84 流体
86 液体
88 気体要素
200 装置
202 デバイスユニット
204 廃棄物キャニスタ
206 クリップ構成
208 液晶ディスプレイ(LCD)
210 膜キーパッド
214 栓
216 吸入/入口ポート
218 外縁オス対合面、部分的に削られた外縁
220 メス部分、外縁メス形体
222 クリップ、クリップ部材
226 凹部
230 ケーシング
232 前方成形部
234 後方成形部
236 左方挿入部、側部部片
238 右方挿入部、側部部片
240 中央シャシ
242 後方成形部、内部成形構造部材
248 吸引ポンプユニット
250 管機構アイテム
252 管機構アイテム
254 管機構アイテム
260 直立フランジ
262 頂面
264 「O」リングシール
266 円筒管部分
268 排出/出口ポート
270 滲出液
272 廃棄物受容部分
274 導管
278 入口ポート栓
280 入口ポート
282 フィルタ部材
284 フィルタ部材
286 フィルタ保持部材
288 頂部閉鎖部材または隔壁
290 フィルタユニット
291 ケーシング出口部材
292 凹部
294 支持ピン
298 ソケット部材
300 インタフェース
302 溝
400 C字形特徴部分
402 軸
404 フィンガ部分
406 リップ部分
408 凹部
410 共動係合特徴部分
412 直立歯部分
414 傾斜導入部分
416 後面
430 表面被覆

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置の使用者に局所陰圧療法を適用するための装置であって、デバイスと、それに解放可能に接続された廃棄物キャニスタとを備え、前記デバイスおよび前記廃棄物キャニスタが、クリップ手段によって互いに接続される装置。
【請求項2】
前記クリップ手段が、前記デバイスと前記廃棄物との間の接合部をつなぎ、取外し可能な特徴部分をそのデバイス端部およびそのキャニスタ端部に有するクリップ部材である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記キャニスタ端部にある前記取外し可能な特徴部分が、前記廃棄物キャニスタ上の軸部分上に係合可能な弾性変形可能なC字形凹部である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記デバイス端部にある前記取外し可能な特徴部分が、前記デバイス上の歯部分と係合する、前記クリップ部材上の内向きに回される弾性変形可能なフィンガ部分である、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記フィンガ部分および前記歯部分が、係合および取外しを支援するための共動傾斜面を有する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記クリップ部材が、異常応力が加えられた場合の破損によって故障する、請求項4または5に記載の装置。
【請求項7】
前記フィンガ部分が、異常応力が加えられた場合の破損によって故障する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記クリップ部材が、前記デバイスと前記廃棄物キャニスタを分離させようとする20Nの引張り力に耐えることができる、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記引張り力が約40Nである、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記引張り力が約100N未満である、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記クリップ手段の故障が、異常な力が加えられることによる、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
異常な力が、100Nを超える、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
局所陰圧を使用者に加えるための装置を保護する方法であって、前記装置が、デバイスと、ともに解放可能に接続された廃棄物キャニスタとを備え、前記方法が、前記デバイスと前記廃棄物キャニスタとを互いに接続するためのクリップ手段を提供するステップと、前記デバイスと前記廃棄物キャニスタの分離を可能にするために、前記クリップ手段、前記デバイス、および前記廃棄物キャニスタのうちの少なくとも2つの上に特徴部分を提供するステップとを含む方法。
【請求項14】
前記デバイスおよび前記廃棄物キャニスタが、異常な応力が加えられた場合に分離する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
添付の明細書および図面の図5から図14を参照しながら実質的に本明細書で説明するような、使用者に局所陰圧療法を適用するための装置。
【請求項16】
添付の明細書および図面の図5から図14を参照しながら実質的に本明細書で説明するような、使用者に局所陰圧を加えるための装置を保護する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2010−531700(P2010−531700A)
【公表日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−514139(P2010−514139)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【国際出願番号】PCT/GB2008/050508
【国際公開番号】WO2009/004368
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(391018787)スミス アンド ネフュー ピーエルシー (79)
【氏名又は名称原語表記】SMITH & NEPHEW PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】