説明

解錠システム及び車載装置

【課題】ロック機構を有する複数のドアを備える車両に対し、解錠時の利便性に優れた解錠システム及び車載装置の提供を目的とする。
【解決手段】無線通信機2又は車両のドアのドアハンドル部は、第1解錠ボタン20a及び第2解錠ボタンが20bが配設されている。第1解錠ボタン20aに対する操作を行った場合、車両の一のドアが解錠する。第2解錠ボタン20bに対する操作を行った場合、前記一のドアを含む複数のドアが解錠する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、ロック機構を有する複数のドアを備える車両と、該車両と通信可能な無線通信機とを備える解錠システム、及びロック機構を有する複数のドアを備えた車両に搭載される車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロック機構を有する複数のドアを備える車両に適用され、ドアに対する解錠/施錠を電子制御する様々な解錠システムが開発されている。
【0003】
このような解錠システムとして、携帯型の無線通信機を用いたシステムが実用化されている。このような解錠システムでは、例えば、カード状の無線通信機をポケットやバッグに入れて携帯している場合、キーを取り出して操作しなくても、ドアの解錠、エンジンの始動等の操作を行うことができる。
【0004】
また、無線通信機に対する1回目の操作で、運転席用のドアのみが解錠され、2回目の操作で全てのドアが解錠されるという2ステージ型のシステムも提案されている。
【0005】
さらに、特許文献1には、1回目の操作で、運転席用のドアのみが解錠された後、所定時間内に運転席の所定のスイッチを操作された場合に、全てのドアが解錠されるというシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−228271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、2ステージ型のシステムでは、二段階の操作を行わないと、全てのドアを解錠することができないという利便性に関する問題がある。
【0008】
また、特許文献1に開示されたシステムでは、所定時間内に所定の操作を行わないと、運転席以外のドアを解錠することができないという利便性に関する問題がある。
【0009】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、利便性に優れた解錠システム及び車載装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る解錠システムは、ロック機構を有する複数のドア及び無線通信手段を備える車両と、該車両の無線通信手段と通信可能な無線通信機とを備える解錠システムにおいて、前記無線通信機は、一のドアに対する解錠操作を受け付ける第1解錠手段と、前記一のドアを含む複数のドアに対する解錠操作を受け付ける、前記第1解錠手段と異なる第2解錠手段と、前記第1解錠手段又は第2解錠手段により受け付けた解錠操作に基づく解錠信号を送信する手段とを備え、前記ロック機構は、解錠信号に基づき一又は複数のドアを解錠する手段を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る解錠システムは、前記一のドアは、前記車両の運転席用のドアであることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る解錠システムは、前記無線通信機から最も近いドアを特定する特定手段を更に備え、前記一のドアは、前記特定手段が特定したドアであることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る解錠システムは、ロック機構を有する複数のドアを備える車両の解錠システムにおいて、前記複数のドアのうち、少なくとも一のドアは、車両外部から解錠操作を受け付ける第1解錠手段及び該第1解錠手段と異なる第2解錠手段が配設されており、前記第1解錠手段は、配設されているドアに対する解錠操作を受け付けるようにしてあり、前記第2解錠手段は、配設されているドアを含む複数のドアに対する解錠操作を受け付けるようにしてあり、受け付けた解錠操作に基づき一又は複数のドアを解錠する手段を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る車載装置は、ロック機構を有する複数のドアを備えた車両に搭載される車載装置において、ドアに対する解錠操作を受け付ける第1解錠手段及び該第1解錠手段と異なる第2解錠手段を備える無線通信機から、受け付けた解錠操作に基づき送信される解錠信号を取得する取得手段と、該取得手段が取得した解錠信号が、前記第1解錠手段が受け付けた解錠操作に基づく信号か、前記第2解錠手段が受け付けた解錠操作に基づく信号かを判定する判定手段と、該判定手段が、前記第1解錠手段が受け付けた解錠操作に基づく信号であると判定した場合に、一のドアを解錠する手段と、前記判定手段が、前記第2解錠手段が受け付けた解錠操作に基づく信号であると判定した場合に、前記一のドアを含む複数のドアを解錠する手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明では、第1解錠手段に対する一回の解錠操作、又は第2解錠手段に対する一回の解錠操作で、一又は複数のドアを選択的に解錠することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、第1解錠手段に対する一回の解錠操作、又は第2解錠手段に対する一回の解錠操作で、一又は複数のドアを選択的に解錠することができるため、解錠時の利便性を高めることが可能である等、優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の解錠システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の解錠システムにおける無線通信機の一部を示す外観図である。
【図3】本発明の解錠システムにおける無線通信機の構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明の解錠システムにおける車載装置の構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明の解錠システムにおけるドアの一部を示す外観図である。
【図6】本発明の解錠システムにて実行される解錠/施錠処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の解錠システムにおける無線通信機の一部を示す外観図である。
【図8】本発明の解錠システムにおけるドアの一部を示す外観図である。
【図9】本発明の解錠システムにおけるドアの一部を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0019】
図1は、本発明の解錠システムの構成例を示すブロック図である。図中1は、車両であり、車両1は、運転席用ドア10の他、助手席用ドア10、後部座席用ドア10、トランクルーム用ドア10等の複数のドア10,10,…が配設されている。また、車両1が備える機構との通信が可能な携帯型の無線通信機2を、例えばイグニッションキーとして備えている。
【0020】
各ドア10,10,…には、開閉の可否を制御するロック機構11が設けられており、ロック機構11によりアンロック状態(開状態)のドア10は、開けることが可能であるが、ロック状態(閉状態)のドア10は、開けることができないように制御されている。なお、各ドア10,10,…の開閉状態は、ドア開閉センサ12,12,…により検出される。
【0021】
また、各ドア10,10,…には、ロック機構11に対する操作を受け付けるスイッチ手段13,13,…が配設されている。スイッチ手段13,13,…は、押下操作を受け付ける押しボタンスイッチ、人体の接近による静電容量の変化を検出するタッチセンサスイッチ、イグニッションキーによる操作を受け付ける機械式スイッチ等の機構を有する。
【0022】
さらに、車両1は、上述した各種機構と電気的に接続されているECU(Electronic Control Unit )を用いた車載装置14が配設されている。なお、車載装置14には、無線通信手段15が接続されており、無線通信手段15を介して無線通信機2と無線通信を行う。なお、図1では、便宜上、一の無線通信手段15のみを記載しているが、車両1の異なる位置に複数の無線通信手段15を配設するようにしても良く、複数の無線通信手段15により、車両1に対する無線通信機2の相対的な位置を検出するようにしても良い。
【0023】
図2は、本発明の解錠システムにおける無線通信機2の一部を示す外観図である。無線通信機2には、運転席用ドア10に対する解錠又は施錠操作を受け付ける押しボタン等の形態によりスイッチ手段20,20,…が配設されている。更に、詳細には、スイッチ手段20,20,…として、第1解錠ボタン20a及び運転席用ドア10を含む全てのドア10,10,…を解錠する第2解錠ボタン20b、更に全てのドア10,10,…を施錠する施錠ボタン20cが配設されている。第1解錠ボタン20a及び第2解錠ボタン20b並びに施錠ボタン20cは、運転者等の人の操作を受け付け、後述するように該当するドア10のロック機構11に対する解錠動作又は施錠動作を行う。
【0024】
図3は、本発明の解錠システムにおける無線通信機2の構成例を示すブロック図である。無線通信機2は、スイッチ手段20,20,…として機能する第1解錠ボタン20a及び第2解錠ボタン20b並びに施錠ボタン20cを備えている。また、無線通信機2は、これらのスイッチ手段20,20,…の他、装置全体を制御する制御手段21、制御に関する各種情報を記録する記録手段22、及び車両1に搭載された車載装置14等の機構と通信する通信手段23を備えている。そして、無線通信機2は、スイッチ手段20に対する操作を受け付けた場合、操作に基づく解錠信号、施錠信号等の操作信号を車載装置14へ送信する。なお、図3に示すブロック図は、無線通信機2が備える機能を概念的に示したものであり、実装時には、各種ハードウェア及びソフトウェアを用いてこれらの機構が実現される。記録手段22に記録されている情報としては、例えば、自らを識別するID等の認証情報の他、各種プログラム、データ等の情報が挙げられる。
【0025】
図4は、本発明の解錠システムにおける車載装置14の構成例を示すブロック図である。車載装置14は、装置全体を制御する制御手段140、制御に関する各種情報を記録する記録手段141、及び車両1内に設置された各種機構と通信する通信手段142を備えている。車載装置14は、制御手段140の制御により、記録手段141に記録されている各種プログラム及びデータ等の記録内容に基づく各種処理を実行し、通信手段142により各種機構との通信に基づいて、各種機構に対する制御を実施する。なお、図4に示すブロック図は、車載装置14が備える機能を概念的に示したものであり、実装時には、各種ハードウェア及びソフトウェアを用いてこれらの機能が実現される。
【0026】
図5は、本発明の解錠システムにおけるドア10の一部を示す外観図である。図5は、運転席用ドア10のドアハンドル部の外観を示している。ドアハンドル部には、スイッチ手段13,13として、運転席用ドア10を解錠する第1解錠ボタン13a及び運転席用ドア10を含む全てのドアを解錠する第2解錠ボタン13bが配設されている。第1解錠ボタン13a及び第2解錠ボタン13bは、運転者等の人の操作を受け付け、後述するように該当するドア10のロック機構11に対する解錠動作を行う。
【0027】
次に本発明の解錠システムにおいて実行される処理について説明する。図6は、本発明の解錠システムにて実行される解錠/施錠処理の一例を示すフローチャートである。車載装置14は、記録手段141の記録内容及び通信手段142を介した通信内容に基づいて、制御手段140の制御により、以下の処理を実行する。制御手段140は、車両1の全てのドア10,10,…がロック状態であるか否かを判定する(ステップS1)。ステップS1の判定は、ロック機構11との通信に基づいて、ロック状態であるかアンロック状態であるかを判定する。
【0028】
ステップS1にて、ロック状態であると判定した場合(ステップS1:YES)、制御手段140は、第1解錠ボタン20a又は第1解錠ボタン13aに基づく操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS2)。第1解錠ボタン20aに基づく操作とは、無線通信機2に配設されている第1解錠ボタン20aに対する押下等の操作を示す。そして、第1解錠ボタン20aに対する操作を受け付けた場合、無線通信機2から操作信号が送信されることにより、車載装置14は操作を受け付けたことを検出することができる。第1解錠ボタン13aに基づく操作とは、運転席用ドア10のドアハンドル部に配設された第1解錠ボタン13aに対する押下等の操作を示す。そして、第1解錠ボタン13aに対する操作を受け付けた場合、操作に基づく操作信号により、車載装置14は、操作を受け付けたことを検出することができる。
【0029】
ステップS2において、第1解錠ボタン20a又は第1解錠ボタン13aに基づく操作を受け付けていると判定した場合(ステップS2:YES)、制御手段140は、ID認証処理を実行し、認証の成否を判定する(ステップS3)。ステップS3では、例えば第1解錠ボタン20aの押下に基づく操作信号を受信した場合、操作信号の送信元の無線通信機2に記録されているIDが予め登録されているIDと合致しているか否かを判定することにより認証処理を実行する。操作信号には、例えば、ヘッダ情報として送信元の無線通信機2に記録されているIDが含まれており、このIDを、車載装置14の記録手段141に予め登録されているIDと照合することにより、認証処理を実行する。また、第1解錠ボタン13aの押下に基づく操作信号を受け付けた場合、通信可能な範囲に、予め登録されているIDが付与された無線通信機2が存在するか否かを、当該無線通信機2との通信結果に基づいて判定することにより、認証処理を実行する。なお、ステップS3の認証処理は適宜省略することも可能である。
【0030】
ステップS3において、認証成功と判定した場合(ステップS3:YES)、制御手段140は、運転席用ドア10を解錠する(ステップS4)。解錠された運転席用ドア10は、アンロック状態となる。
【0031】
ステップS4にて、運転席用ドア10を解錠後、制御手段140は、30秒等の所定期間の間に運転席用ドア10が開かれたか否かを判定する(ステップS5)。制御手段140は、運転席用ドア10の開閉状態を検出するドア開閉センサ12との通信により、ステップS5の判定を行う。即ち、運転者等の人物は、解錠操作後、30秒以内に運転席用ドア10を開く必要がある。
【0032】
ステップS5にて、所定期間内に運転席用ドア10が開かれたと判定した場合(ステップS5:YES)、制御手段140は、開かれた運転席用ドア10が閉じられたか否かを判定する(ステップS6)。制御手段140は、運転席用ドア10の開閉状態を検出するドア開閉センサ12との通信により、ステップS6の判定を行う。なお、ステップS6の処理は、運転席用ドア10が閉じられたと判定するまで繰り返し実行される。即ち、ステップS6で、運転席用ドア10が閉じられていないと判定した場合(ステップS6:NO)、制御手段140は、ステップS6の判定処理を再度実行する。
【0033】
ステップS3にて、認証失敗と判定した場合(ステップS3:NO)、ステップS5にて、所定期間の間に運転席用ドア10が開かれなかったと判定した場合(ステップS5:NO)、又はステップS6にて、運転席用ドアが閉じられたと判定した場合(ステップS6:YES)、制御手段140は、解錠/施錠処理を終了する。なお、解錠/施錠処理は、ループ処理となっているため、実質的には、ステップS1に戻り、以降の処理を繰り返すことになる。
【0034】
ステップS1及びS2〜S6として示すようにして、解錠操作に基づいて運転席用ドア10を解錠する処理が実行される。なお、ステップS1にてロック状態ではないと判定した場合には、後述するステップS12以降の施錠処理が実行される。ステップS2にて第1解錠ボタン20a及び第1解錠ボタン13aのいずれの操作も受け付けていないと判定した場合、後述するステップS7以降の全ドア解錠処理が実行される。
【0035】
ステップS2にて第1解錠ボタン20a及び第1解錠ボタン13aのいずれの操作も受け付けていないと判定した場合(ステップS2:NO)、全ドア解錠処理を実行する。即ち、制御手段140は、第2解錠ボタン20b又は第2解錠ボタン13bに基づく操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS7)。第2解錠ボタン20bに基づく操作とは、無線通信機2に配設されている第2解錠ボタン20bに対する押下等の操作を示す。そして、第2解錠ボタン20bに対する操作を受け付けた場合、無線通信機2から操作信号が送信されることにより、車載装置14は操作を受け付けたことを検出することができる。第2解錠ボタン13bに基づく操作とは、運転席用ドア10のドアハンドル部に配設された第2解錠ボタン13bに対する押下等の操作を示す。そして、第2解錠ボタン13bに対する操作を受け付けた場合、操作に基づく操作信号により、車載装置14は、操作を受け付けたことを検出することができる。
【0036】
ステップS7において、第2解錠ボタン20b又は第2解錠ボタン13bに基づく操作を受け付けていると判定した場合(ステップS7:YES)、制御手段140は、ID認証処理を実行し、認証の成否を判定する(ステップS8)。ステップS8における認証処理は、ステップS3における認証処理と実質的に同様である。
【0037】
ステップS8において、認証成功と判定した場合(ステップS8:YES)、制御手段140は、運転席用ドア10を含む全てのドア10,10,…を解錠する(ステップS9)。解錠された運転席用ドア10を含む全てのドア10,10,…は、アンロック状態となる。
【0038】
ステップS9にて、全てのドア10,10,…を解錠後、制御手段140は、30秒等の所定期間の間にいずれかのドア10が開かれたか否かを判定する(ステップS10)。制御手段140は、各ドア10,10,…の開閉状態を検出するドア開閉センサ12,12,…との通信により、ステップS10の判定を行う。
【0039】
ステップS10にて、所定期間内にいずれかのドア10が開かれたと判定した場合(ステップS10:YES)、制御手段140は、全てのドア10,10,…が閉じられたか否かを判定する(ステップS11)。制御手段140は、各ドア10,10,…の開閉状態を検出するドア開閉センサ12,12,…との通信により、ステップS11の判定を行う。なお、ステップS11の処理は、全てのドア10,10,…が閉じられたと判定するまで繰り返し実行される。即ち、ステップS11で、いずれかのドア10,10,…が閉じられていないと判定した場合(ステップS11:NO)、制御手段140は、ステップS11の判定処理を再度実行する。
【0040】
ステップS7にて、第2解錠ボタン20b及び第2解錠ボタン13bのいずれの操作も受け付けていないと判定した場合(ステップS7:NO)、ステップ8にて、認証失敗と判定した場合(ステップS8:NO)、ステップS10にて、所定期間の間にいずれのドア10,10,…も開かれなかったと判定した場合(ステップS10:NO)、又はステップS11にて、全てのドア10,10,…が閉じられたと判定した場合(ステップS11:YES)、制御手段140は、解錠/施錠処理を終了する。即ち、ステップS1に戻り、ループ処理として、以降の処理を繰り返す。
【0041】
ステップS7〜S11として示すようにして、解錠操作に基づいて運転席用ドア10を含む全てのドア10,10,…を解錠する処理が実行される。
【0042】
ステップS1にてロック状態ではないと判定した場合(ステップS1:NO)、施錠処理を実行する。即ち、制御手段140は、施錠ボタン20cに基づく操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS12)。施錠ボタン20cに基づく操作とは、無線通信機2に配設されている施錠ボタン20cに対する押下等の操作を示す。そして、施錠ボタン20cに対する操作を受け付けた場合、無線通信機2から操作信号が送信されることにより、車載装置14は操作を受け付けたことを検出することができる。
【0043】
ステップS12において、施錠ボタン20cに基づく操作を受け付けていると判定した場合(ステップS12:YES)、制御手段140は、全てのドア10,10,…を施錠する(ステップS13)。そして、制御手段140は、解錠/施錠処理を終了する。即ち、ステップS1に戻り、ループ処理として、以降の処理を繰り返す。
【0044】
ステップS12において、施錠ボタン20cに基づく操作を受け付けていないと判定した場合(ステップS12:NO)、制御手段140は、解錠/施錠処理を終了する。即ち、ステップS1に戻り、ループ処理として、以降の処理を繰り返す。
【0045】
ステップS11〜S12として示すように、全てのドア10,10,…に対する施錠処理が実行される。なお、車両1が走行を開始し、所定の速度以上に達した場合、イグニッションキーを用いた所定の操作を受け付けた場合等の所定の条件を満たした場合にも、割り込み処理として施錠処理が実行される。
【0046】
以上、図6を用いて示した解錠/施錠処理は、本願の無数にある形態の一例を示したに過ぎず、運転席用ドア10に対する解錠操作を受け付けた場合に、運転席用ドア10のみを解錠し、運転席用ドア10を含む全てのドア10,10,…に対する解錠操作を受け付けた場合に、全てのドア10,10,…を解錠する様々な処理に展開することが可能である。例えば、図6では、シーケンシャルな処理として、運転席用ドア解錠処理、全ドア解錠処理及び施錠処理を実行する形態を示したが、本発明はこれに限らず、夫々独立したパラレルな処理として実行するようにしても良い。また、常時起動するループ処理として、解錠/施錠処理を実行する形態を示したが、本発明はこれに限らず、例えば、無線通信機2からの操作信号の受信、又は各種操作を契機として起動する処理として実行するようにしても良い。さらに、安全、防犯等のセキュリティ面を強化する様々な処理を追加するようにしても良い。
【0047】
また、前記実施の形態では、運転席用ドア10に対する解錠操作又は全てのドア10,10,…に対する解錠操作を受け付ける形態を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、全てのドア10,10,…ではなく、運転席用ドア10を含む複数のドア10,10,…を所定のドア群として設定し、運転席用ドア10に対する解錠操作又は所定のドア群に対する解錠操作を受け付けるようにしても良い。所定のドア群としては、運転席用ドア10を含む前部座席用ドア10,10であっても良く、また、運転席用ドア10を含む右側座席用ドア10,10であっても良い等、適宜設定することが可能である。
【0048】
さらに、特定の一のドアとして、運転席用ドア10ではなく、助手席用ドア10、トランクルーム用ドア10等のドアを設定し、特定のドア10に対する解錠操作又は特定のドア10を含む複数のドア10,10,…に対する解錠操作を受け付けるようにしても良い。
【0049】
また、一のドア10を固定するのではなく、動的に一のドアを特定し、変更するようにしても良い。例えば、車両1と無線通信機2との通信に基づいて、無線通信機2から最も近いドア10を特定する特定手段として、車載装置14を機能させる。車載装置14は、特定したドア10を、特定の一のドア10として動的に設定し、特定のドア10に対する解錠操作又は特定のドア10を含む複数のドア10,10,…に対する解錠操作を受け付けることになる。無線通信機2から最も近いドア10を特定する方法としては、通信信号の強弱の判定等の既存の様々な技術を用いることができる。
【0050】
さらに、ドアハンドル部に配設されたスイッチ手段13に対する操作を受け付けた場合に、当該スイッチ手段13が配設されたドア10を、特定の一のドア10として動的に設定するようにしても良い。車載装置14は、当該一のドア10を、特定の一のドア10として動的に設定する手段として機能し、特定のドア10に対する解錠操作又は特定のドア10を含む複数のドア10,10,…に対する解錠操作を受け付けることになる。
【0051】
そして、解錠操作に応じた一のドア10又は当該一のドアを含む複数のドア10,10,…に対する解錠処理が実施される。
【0052】
また、無線通信機2、ドアハンドル部等の機構のレイアウト及び機能については、図2及び図5に外観図として示した構成以外にも適宜設計することが可能である。図7は、本発明の解錠システムにおける無線通信機2の一部を示す外観図である。図7は、無線通信機2の他の例を示している。図7に示す無線通信機2は、スイッチ手段20,20,…として、解錠ボタン20d及び施錠ボタン20e並びに切替ボタン20fを備えている。図7に示す無線通信機2では、切替ボタン20fを押下する都度、解錠ボタン20dの機能が、第1解錠ボタン20a又は第2解錠ボタン20bへと切り替わる。なお、切替ボタン20fの突出状態、点灯処理等により、解錠ボタン20dがいずれの状態のボタンとして機能しているかを把握することができるようにしても良い。
【0053】
さらに、無線通信機2の機構のレイアウト及び機能の他の形態として、一のドア10に対する施錠操作に用いる第1施錠ボタンと、当該一のドア10を含む複数のドア10,10,…に対する施錠操作に用いる第2施錠ボタンとを夫々配設するような形態として構成するようにしても良い。
【0054】
図8は、本発明の解錠システムにおけるドア10の一部を示す外観図である。図8は、運転席用ドア10のドアハンドル部の外観を示している。図8は、運転席用ドア10の他の例を示している。ドアハンドル部には、イグニッションキーを挿入する挿入孔13cが設けられており、挿入孔13cにイグニッションキーを挿入して、左回り方向及び右回り方向へ所定の角度分揺動させることが可能である。
【0055】
図9は、本発明の解錠システムにおけるドア10の一部を示す外観図である。図9は、図8にて示したドアハンドル部に設けられた挿入孔13cにイグニッションキーを挿入した状態を示している。なお、説明の便宜上、挿入孔13cのみを描いている。図9における左側の図が、イグニッションキーを挿入した無操作の状態である。通常はこの位置となっている。
【0056】
図9における中央の図が、左回り方向へ揺動させる操作を行った状態を示しており、全てのドア10,10,…が施錠されている場合に当該操作を行ったとき、第1解錠ボタン13aを押下した場合と同様の操作を行ったことになる。即ち、特定の一のドア10、ここでは操作を行っているドアハンドル部に係るドア10に対する解錠操作を行った状態となる。なお、いずれかのドア10,10,…が解錠されている場合に当該操作を行った場合、全てのドア10,10,…に対する施錠操作を行った状態となる。
【0057】
図9における右側の図が、右回り方向へ揺動させる操作を行った状態を示しており、全てのドア10,10,…が施錠されている場合に当該操作を行ったとき、第2解錠ボタン13bを押下した場合と同様の操作を行ったことになる。即ち、全てのドア10,10,…に対する解錠操作を行った状態となる。なお、いずれかのドア10,10,…が解錠されている場合に当該操作を行った場合、全てのドア10,10,…に対する施錠操作を行った状態となる。
【0058】
前記実施の形態として示した形態は、本願の無数に存在する実施例の一部に過ぎず、一のドアに対する解錠操作を受け付ける第1解錠手段と、前記一のドアを含む複数のドアに対する解錠操作を受け付ける、前記第1解錠手段と異なる第2解錠手段とを備える解錠システムの様々な形態に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 車輌
10 ドア
11 ロック機構
12 ドア開閉センサ
13 スイッチ手段
13a 第1解錠ボタン
13b 第2解錠ボタン
13c 挿入孔
14 車載装置
140 制御手段
141 記録手段
142 通信手段
15 無線通信手段
2 無線通信機
20 スイッチ手段
20a 第1解錠ボタン
20b 第2解錠ボタン
20c 施錠ボタン
20d 解錠ボタン
20e 施錠ボタン
20f 切替ボタン
21 制御手段
22 記録手段
23 通信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロック機構を有する複数のドア及び無線通信手段を備える車両と、該車両の無線通信手段と通信可能な無線通信機とを備える解錠システムにおいて、
前記無線通信機は、
一のドアに対する解錠操作を受け付ける第1解錠手段と、
前記一のドアを含む複数のドアに対する解錠操作を受け付ける、前記第1解錠手段と異なる第2解錠手段と、
前記第1解錠手段又は第2解錠手段により受け付けた解錠操作に基づく解錠信号を送信する手段と
を備え、
前記ロック機構は、
解錠信号に基づき一又は複数のドアを解錠する手段を備える
ことを特徴とする解錠システム。
【請求項2】
前記一のドアは、前記車両の運転席用のドアであることを特徴とする請求項1に記載の解錠システム。
【請求項3】
前記無線通信機から最も近いドアを特定する特定手段を更に備え、
前記一のドアは、前記特定手段が特定したドアである
ことを特徴とする請求項1に記載の解錠システム。
【請求項4】
ロック機構を有する複数のドアを備える車両の解錠システムにおいて、
前記複数のドアのうち、少なくとも一のドアは、車両外部から解錠操作を受け付ける第1解錠手段及び該第1解錠手段と異なる第2解錠手段が配設されており、
前記第1解錠手段は、配設されているドアに対する解錠操作を受け付けるようにしてあり、
前記第2解錠手段は、配設されているドアを含む複数のドアに対する解錠操作を受け付けるようにしてあり、
受け付けた解錠操作に基づき一又は複数のドアを解錠する手段を備える
ことを特徴とする解錠システム。
【請求項5】
ロック機構を有する複数のドアを備えた車両に搭載される車載装置において、
ドアに対する解錠操作を受け付ける第1解錠手段及び該第1解錠手段と異なる第2解錠手段を備える無線通信機から、受け付けた解錠操作に基づき送信される解錠信号を取得する取得手段と、
該取得手段が取得した解錠信号が、前記第1解錠手段が受け付けた解錠操作に基づく信号か、前記第2解錠手段が受け付けた解錠操作に基づく信号かを判定する判定手段と、
該判定手段が、前記第1解錠手段が受け付けた解錠操作に基づく信号であると判定した場合に、一のドアを解錠する手段と、
前記判定手段が、前記第2解錠手段が受け付けた解錠操作に基づく信号であると判定した場合に、前記一のドアを含む複数のドアを解錠する手段と
を備えることを特徴とする車載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−219440(P2012−219440A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83102(P2011−83102)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】