説明

触媒、それの調製および使用

酸化鉄、アルカリ金属またはこの化合物および銀またはこの化合物を含む脱水素化触媒が記載されている。さらに、酸化鉄、アルカリ金属またはこの化合物および銀またはこの化合物の混合物を調製することおよび混合物をか焼することを含む脱水素化触媒を調製する方法が記載されている。脱水素化可能な炭化水素を脱水素化するための方法および脱水素化された炭化水素を重合させる方法も記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒、この触媒を調製する方法、および脱水素化可能な炭化水素の脱水素化の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
脱水素化触媒およびかかる触媒の調製は当技術分野において知られている。脱水素化可能な炭化水素の脱水素において、酸化鉄に基づく触媒が慣例的に使用されており、化合物の中でもとりわけ対応する脱水素された炭化水素をもたらす。この脱水素化可能な炭化水素の接触脱水素化の分野においては、改良された性能を示す脱水素化触媒を開発するための取組みが継続されている。
【0003】
EP1027928は、鉄塩溶液を噴霧焙焼することおよびBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Ti、Zr、Hf、V、Ta、Mo、W、Mn、Tc、Re、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Tl、Na、Cs、La、Li、Ge、Sn、Pb、Bi、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuからなる群から選択されるさらなる触媒成分を添加することによって作製された酸化鉄に基づく脱水素化触媒を開示している。これらの触媒は一般に1つ以上のカリウム化合物を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許公開第1027928号明細書
【発明の概要】
【0005】
(発明の要旨)
本発明は、酸化鉄、アルカリ金属またはこの化合物、および銀またはこの化合物を含む脱水素化触媒を提供する。
【0006】
好ましい一実施形態において、本発明は、銀またはこの化合物がFeとして計算される酸化鉄の1モル当たり少なくとも約0.01ミリモルの銀の量で存在する、酸化鉄、アルカリ金属またはこの化合物、および銀またはこの化合物を含む脱水素化触媒を提供する。
【0007】
もう1つの好ましい実施形態において本発明は、酸化鉄、アルカリ金属またはこの化合物、銀および銀フェライトを含む脱水素化触媒を提供する。
【0008】
もう1つの好ましい実施形態において本発明は、酸化鉄、カリウムまたはこの化合物、セリウムまたはこの化合物、カルシウムまたはこの化合物、モリブデンまたはこの化合物および銀を含む脱水素化触媒を提供する。
【0009】
本発明はさらに、銀またはこの化合物がFeとして計算される酸化鉄の1モル当たり少なくとも約0.01ミリモルの銀の量で存在する酸化鉄、アルカリ金属またはこの化合物および銀またはこの化合物を含む混合物を調製すること、ならびにこの混合物をか焼することを含む脱水素化触媒を調製する方法を提供する。
【0010】
本発明は、酸化鉄、カリウムまたはこの化合物、セリウムまたはこの化合物、カルシウムまたはこの化合物、モリブデンまたはこの化合物および銀の混合物を調製することならびにこの混合物をか焼することを含む脱水素化触媒を調製する方法を提供する。
【0011】
本発明はまた、脱水素化可能な炭化水素を含む供給原料を、酸化鉄、アルカリ金属またはこの化合物、および銀またはこの化合物を含み、その中に銀がFeとして計算される酸化鉄の1モル当たり少なくとも約0.01ミリモルの銀の量で存在する触媒と接触させることを含む脱水素可能な炭化水素を脱水素させる方法も提供する。
【0012】
本発明はさらに、脱水素化可能な炭化水素を含む供給原料を、酸化鉄、カリウムまたはこの化合物、セリウムまたはこの化合物、カルシウムまたはこの化合物、モリブデンまたはこの化合物および銀を含む触媒と接触させることを含む、脱水素化可能な炭化水素を脱水素化する方法を提供する。
【0013】
本発明はさらに、脱水素化された炭化水素を重合させて、脱水素化された炭化水素から誘導されたモノマー単位を含むポリマーまたはコポリマーを形成させることを含み、その中で脱水素化された炭化水素は上記の脱水素化可能な炭化水素の脱水素化の方法において調製された、ポリマーまたはコポリマーを製造するために脱水素化された炭化水素を使用する方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、改良された脱水素化触媒に対する要求を満たす触媒を提供する。この触媒は、酸化鉄、アルカリ金属またはその化合物、および銀またはこの化合物を含む。銀を含むこの触媒は、銀を含有していない類似の触媒より活性であるおよび/または選択的である。加えて、この触媒をエチルベンゼンのスチレンへの脱水素化において使用すると生成物流れ中にもたらされるα−メチルスチレンの量が低減され得る。
【0015】
この脱水素化触媒は、酸化鉄に基づく触媒である。加えて、この鉄はカリウムフェライトの形態でまたは銀を含めて他の触媒成分のいずれとの化合物としても存在し得る。この触媒は、Feとして計算される酸化鉄を10−90重量%含む。この触媒は、好ましくは40−85重量%の酸化鉄を含み、より好ましくは60−80重量%の酸化鉄を含む。
【0016】
この酸化鉄は、当業者に知られている任意の方法によって形成され得るまたは処理され得る。加えて、この触媒は1つ以上の種類の酸化鉄を含み得る。この酸化鉄は、米国特許出願公開第2003/0144566号に記載されているように、ハロゲン化鉄を熱分解して酸化鉄を形成することによって形成されてもよく、この酸化鉄は本明細書において以後、再生酸化鉄と呼ぶ。再生酸化鉄は、酸化鉄中の残留ハロゲン化物含有量を最大で2000ppmまで、好ましくは最大で1500ppmまで低減するために場合によって処理されてもよい。この酸化鉄は、6族金属または加水分解可能な金属塩化物の存在下における塩化鉄の噴霧焙焼によって形成されてもよい。この代替法においては、酸化鉄は沈殿法によって形成されてもよい。酸化鉄は、触媒中での使用の前に、US5668075およびUS5962757に記載されている方法により、再構成剤の存在下で加熱することによって再構成されてもよい。酸化鉄は、これの触媒中での使用の前にUS5401485に記載されている通りに処理され、洗浄されまたは熱調整されてもよい。酸化鉄は赤、黄、または黒酸化鉄であり得る。黄酸化鉄は、通常Fe・HOまたはα−FeOOHと表現される水和された酸化鉄である。黄酸化鉄が加えられるときは、Feとして計算される触媒中の合計酸化鉄の少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%が黄酸化鉄であればよく、最大で合計酸化鉄の50%が黄酸化鉄であってもよい。赤酸化鉄の1つの例は、ペンニマン(Penniman)法によって製造された黄酸化鉄のか焼によって製造され得る。触媒中に存在し得る酸化鉄を提供する化合物は、針鉄鉱、赤鉄鉱、磁鉄鉱,磁赤鉄鉱および鱗鉄鉱である。
【0017】
この触媒はまた、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムおよびフランシウムを含むアルカリ金属の群から選択されるアルカリ金属も含み、好ましくはカリウムである。これらの金属の1種以上が使用され得る。アルカリ金属はアルカリ金属の化合物として触媒中に存在し得る。アルカリ金属は一般に、Feとして計算される酸化鉄の1モル当たり少なくとも0.2モル、好ましくは少なくとも0.25モル、より好ましくは少なくとも0.45モル、最も好ましくは少なくとも0.55モルの合計量で存在する。アルカリ金属は一般に、酸化鉄1モル当たり最大で5モル、好ましくは最大で1モルの量で存在する。アルカリ金属化合物は水酸化物;炭酸塩;重炭酸塩;カルボン酸塩、例えばギ酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩およびクエン酸塩;硝酸塩および酸化物を含み得る。好ましいアルカリ金属化合物は炭酸カリウムである。
【0018】
触媒はまた、銀の任意の化合物として存在し得る銀、例えば酸化銀および銀フェライトも含み、またはそれは金属銀としても存在し得る。銀は銀フェライト、炭酸銀、硝酸銀、酸化銀、クロム酸銀、シュウ酸銀、銀粉、銀のナノ粒子、または金属銀として加えられ得る。加えて、銀化合物は、触媒形成の間に銀フェライトまたは他の銀化合物に転化し得る。銀は一般に、Feとして計算される酸化鉄の1モル当たり少なくとも0.5ミリモル、好ましくは少なくとも1ミリモル、より好ましくは少なくとも2.5ミリモル、最も好ましくは少なくとも10ミリモルの合計量で存在する。銀は一般に、酸化鉄の1モル当たり最大で1モル、好ましくは最大で0.5モルの合計量で存在する。
【0019】
この触媒はさらにランタニドを含み得る。ランタニドは、57−66を包括する範囲内にある原子番号のランタニドの群から選択される。ランタニドは好ましくはセリウムである。ランタニドは、ランタニドの化合物として存在し得る。ランタニドは一般に、Feとして計算される酸化鉄の1モル当たり少なくとも0.02モル、好ましくは少なくとも0.05モル、より好ましくは少なくとも0.06モルの合計量で存在する。ランタニドは一般に、酸化鉄の1モル当たり最大で0.2モル、好ましくは最大で0.15モル、より好ましくは最大で0.14モルの合計量で存在する。ランタニド化合物は、水酸化物;炭酸塩;重炭酸塩;カルボン酸塩、例えば、ギ酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩およびクエン酸塩;硝酸塩および酸化物を含み得る。好ましいランタニド化合物は炭酸セリウムである。
【0020】
この触媒はさらにアルカリ土類金属またはこの化合物を含み得る。アルカリ土類金属はカルシウムまたはマグネシウムであってよく、好ましくはカルシウムである。アルカリ土類金属化合物は一般に、Feとして計算される酸化鉄の1モル当たり少なくとも0.01モル、好ましくは少なくとも0.02モルの量で存在する。アルカリ土類金属化合物は一般に、酸化鉄の1モル当たり最大で1モル、好ましくは最大で0.2モルの量で存在する。
【0021】
この触媒はさらに、6族金属またはこの化合物を含み得る。6族金属は、モリブデンまたはタングステンであってよく、好ましくはモリブデンである。6族金属は一般に、好ましくはFeとして計算される酸化鉄の1モル当たり少なくとも少なくとも0.01モル、好ましくは0.02モルの量で存在する。6属金属は一般に、酸化鉄の1モル当たり最大で0.5モル、好ましくは最大で0.1モルの量で存在する。
【0022】
酸化鉄と組み合わせられ得るさらなる触媒成分は、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mn、Tc、Re、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、P、As、Sb、Bi、S、SeおよびTeからなる群から選択される金属およびこれらの化合物を含む。これらの成分は、当業者に知られている任意の方法によって加えられ得る。これらのさらなる成分は水酸化物;炭酸水素塩;炭酸塩;カルボン酸塩、例えば、ギ酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩およびクエン酸塩;硝酸塩;および酸化物を含み得る。パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、銅およびクロムは好ましいさらなる触媒成分である。
【0023】
この触媒は、当業者に知られている任意の方法によって調製され得る。例えば、酸化鉄、アルカリ金属またはこの化合物、銀またはこの化合物および任意のさらなる触媒成分を含むペーストが形成され得る。これらの触媒成分の混合物は、混練され得るおよび/もしくは混和され得る、またはこれらの成分の均一なまたは不均一な溶液は酸化鉄に含浸され得る。それぞれの成分の十分な量は、調製される触媒の組成から計算され得る。適用可能な方法の例は、参照により本明細書に組み入れられるUS5668075、US5962757、US5689023、US5171914、US5190906、US6191065およびEP1027928において見出され得る。
【0024】
触媒の形成においては、酸化鉄、アルカリ金属またはこの化合物、銀またはこの化合物および任意のさらなる触媒成分を含む混合物は、任意の適当な形態、例えば錠剤、球、丸薬、サドル、三葉、捻られた三葉、四葉、環、星型、中空および中空でない円筒、および米国特許出願公開第2005/0232853号に記載されている非対称に分葉した粒子のペレットに成形され得る。適当な量の水、例えば混合物の重量に対して計算されて30重量%までの水、通常は2−20重量%の水はペレットへの成形を容易にし得る。水を加えた場合は、水はか焼の前に少なくとも部分的に除去されてもよい。適当な成形法は、ペレット化、押出成形およびプレスである。ペレット化、押出成形またはプレスの代わりに、混合物はスプレーまたはスプレー乾燥されて触媒を形成してもよい。所望とあれば、スプレー乾燥はペレット化およびか焼を含むように拡張されてもよい。
【0025】
例えば飽和または不飽和の脂肪酸(パルミチン酸、ステアリン酸またはオレイン酸など)もしくはこれの塩、多糖由来の酸もしくはこれの塩、またはグラファイト、デンプンもしくはセルロースなどの触媒を成形するおよび/または押出成形する方法に対する補助として働くさらなる化合物は、混合物と組み合わせられ得る。脂肪酸または多糖由来の酸の任意の塩、例えばアンモニウム塩または本明細書において前述された任意の金属の塩が適用され得る。脂肪酸は、これの分子構造中に(すべてを含めて)6−30個の炭素原子を、好ましくは(すべてを含めて)10−25個の炭素原子を含む。脂肪酸または多糖由来の酸が使用される場合は、触媒中に適用された金属塩と結合して脂肪酸または多糖由来の酸の塩を形成し得る。さらなる化合物の適当な量は、例えば混合物の重量に対して1重量%まで、特に0.001−0.5重量%である。
【0026】
形成後、触媒混合物は乾燥されおよびか焼され得る。乾燥は一般に、触媒を約30℃−約500℃、好ましくは100℃−300℃の温度で加熱することを含む。乾燥時間は一般に、約2分間−5時間、好ましくは約5分間−約1時間である。か焼は一般に、通常不活性な雰囲気中、例えば窒素もしくはヘリウム雰囲気中においてまたは酸化性の雰囲気中、例えば酸素含有気体、空気、酸素富化空気もしくは酸素/不活性気体混合物中において触媒を加熱することを含む。か焼温度は、通常少なくとも約600℃、好ましくは少なくとも700℃、より好ましくは少なくとも825℃、最も好ましくは少なくとも880℃である。か焼温度は、通常最高で約1600℃、好ましくは最高で約1300℃である。か焼の持続時間は通常5分間−12時間、より通常には10分間−6時間である。
【0027】
本発明によって形成される触媒は、幅広い範囲の物理的性質を示す。通常は細孔容積、細孔直径中央値および表面積に関する触媒の表面構造は、幅広い限界の範囲内で選択され得る。触媒の表面構造は、か焼の温度および時間の選択によっておよび押出成形助剤の適用によって影響される。
【0028】
適当には、触媒の細孔容積は少なくとも0.01ml/g、より適当には少なくとも0.05ml/gである。適当には、触媒の細孔容積は最大で0.5、好ましくは最大で0.4ml/g、より好ましくは最大で0.3ml/g、最も好ましくは最大で0.2ml/gである。適当には、触媒の細孔直径の中央値は少なくとも500Å、特に少なくとも1000Åである。適当には、触媒の細孔直径の中央値は最大で20000Å、特に最大で15000Åである。好ましい一実施形態において、細孔直径の中央値は2000−10000Åである。本明細書において使用される細孔容積および細孔直径の中央値は、ASTM D4282−92による水銀の浸入によって、Micromeretics Autopore 9420型を使用して6000psia(4.2×10Pa)の絶対圧力に対して測定される;(接触角130°、0.473N/mの表面張力を有する水銀)。本明細書において使用される細孔直径の中央値は、水銀侵入容積の50%が到達される細孔直径と定義される。
【0029】
触媒の表面積は、好ましくは0.01−20m/g、より好ましくは0.1−10m/gの範囲内である。
【0030】
触媒の破砕強度は、適当には少なくとも10N/mm、より適当にはこれは20−100N/mmの範囲内、例えば約55または60N/mmである。
【0031】
もう1つの態様において、本発明は、脱水素化可能な炭化水素およびスチームを本発明によって作製された酸化鉄に基づく触媒と接触させることによって対応する脱水素化された炭化水素を製造する、脱水素化可能な炭化水素の脱水素化のための方法を提供する。
【0032】
脱水素化法によって形成された脱水素化された炭化水素は、次の一般式を有する化合物である:
C=CH
式中の、RおよびRは、独立にアルキル基、アルケニル基もしくはフェニル基または水素原子を表す。
【0033】
脱水素化可能な炭化水素は、次の一般式を有する化合物である:
HC−CH
式中の、RおよびRは、独立にアルキル基、アルケニル基もしくはフェニル基または水素原子を表す。
【0034】
適当なフェニル基は、置換基として1つ以上のメチル基を有し得る。適当なアルキル基は一般に、1分子当たりに2−20個の炭素原子を有し、好ましくはn−ブタンおよび2−メチルブタンの場合のように3−8個の炭素原子を有する。適当なアルキル置換基はプロピル(−CH−CH−CH)、2−プロピル(すなわち、1−メチルエチル、−CH(−CH)、ブチル(−CH−CH−CH−CH)、2−メチル−プロピル(−CH−CH(−CH)、およびヘキシル(−CH−CH−CH−CH−CH−CH)、特にエチル(−CH−CH)である。適当なアルケニル基は一般に、1分子当たりに約4−約20個の炭素原子を有し、好ましくは1分子当たりに4−8個の炭素原子を有する。
【0035】
脱水素化可能な炭化水素は、アルキル置換されたベンゼンでよいが、アルキル置換されたナフタレン、アントラセンまたはピリジンなどの他の芳香族化合物も同様に適用され得る。適当な脱水素化可能な炭化水素の例は、ブチル−ベンゼン、ヘキシルベンゼン、(2−メチルプロピル)ベンゼン、(1−メチルエチル)ベンゼン(すなわち、クメン)、1−エチル−2−メチル−ベンゼン、1,4−ジエチルベンゼン、エチルベンゼン、1−ブテン、2−メチルブタンおよび3−メチル−1−ブテンである。本方法を用いてn−ブタンを1−ブテンを経て1,3−ブタジエンにおよび2−メチルブタンをターシャリーアミレンを経てイソプレンに転化させることが可能である。
【0036】
この方法によって製造され得る脱水素化された炭化水素の例は、ブタジエン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、イソプレンおよびスチレンである。
【0037】
この脱水素化法はしばしば気相法であり、この反応においては反応物質を含む気体の供給原料が固体触媒と接触させられる。触媒は触媒粒子の流動床の形態でまたは充填床の形態で存在し得る。この方法はバッチ法としてまたは連続法として行われ得る。水素は脱水素化法のもう1つの製品であり、この場合の脱水素化は非酸化的脱水素化であり得る。この脱水素化法を行うための適用可能な方法の例は、参照により本明細書に組み入れられるUS5689023、US5171914、US5190906、US6191065およびEP1027928において見出され得る。
【0038】
供給原料のさらなる成分として水を適用することが有利であり、水はスチームの形態であってもよい。水の存在は、脱水素化法を行う間の触媒へのコークスの沈積速度を低減する。通常は、供給原料中の脱水素化可能な炭化水素に対する水のモル比は1−50、より通常には3−30、例えば5−10の範囲内である。
【0039】
脱水素化法は、通常500−700℃、より通常には550−650℃の範囲内、例えば600℃または630℃の温度で行われる。一実施形態において、脱水素化法は等温的に行われる。他の実施形態においては、脱水素化法は断熱的な態様で行われ、この場合は言及される温度は反応器入口温度であり、脱水素化が進行するにつれて温度は一般的に最大150℃で、より一般的には10−120℃低下し得る。絶対圧力は通常10−300kPa、より通常には20−200kPaの範囲内、例えば50kPa、または120kPaである。
【0040】
所望であれば、1基、2基またはそれ以上、例えば3基または4基の反応器が適用され得る。反応器は直列または並列で運転され得る。それらは互いに独立して運転されることもあり互いに独立しては運転されないこともあり、それぞれの反応器は同じ条件下で運転されることもあり異なる条件下で運転されることもある。
【0041】
脱水素化法を充填床反応器を使用する気相法として運転するときは、LHSVは好ましくは0.01−10h−1、より好ましくは0.1−2h−1の範囲内である。本明細書で使用する「LHSV」という用語は、標準状態(すなわち、0℃および絶対圧力1bar)で測定された炭化水素供給原料液の体積流量を、触媒床の体積または2つ以上の触媒床がある場合は触媒床の合計体積で割ったものと定義される液空間速度(Liquid Hourly Space Velocity)を意味する。
【0042】
脱水素化法の条件は、脱水素化可能な炭化水素の転化率が20−100モル%、好ましくは30−80モル%、より好ましくは35−75モル%の範囲内であるように選択すればよい。
【0043】
触媒の活性(T70)は、所与の運転条件下においてある脱水素化法における脱水素化可能な炭化水素の転化率が70モル%である温度と定義される。より活性の高い触媒は、より活性の低い触媒より低いT70を有する。対応する選択率(S70)は、転化率が70モル%である温度における所望の製品への選択率と定義される。
【0044】
脱水素化された炭化水素は、任意の知られている手段によって脱水素化法の生成物から取り出され得る。例えば、脱水素化法は分別蒸留または反応蒸留を含むことができる。望ましいならば、脱水素化法は水素化ステップを含むことができ、そこで生成物の少なくとも一部分が水素化され、それによって脱水素化の間に形成されたどの副生成物でも少なくとも一部分が脱水素化された炭化水素に転化される。水素化される生成物の部分は副生成物中に富化された生成物の部分であり得る。かかる水素化は当技術分野において知られている。例えば、参照により本明細書に組み入れられるUS5504268、US5156816およびUS4822936から知られている方法は本発明に容易に適用することができる。
【0045】
脱水素化法の1つの好ましい実施形態は、スチレンを形成させるためのエチルベンゼンの非酸化的脱水素化である。この実施形態は一般に、エチルベンゼンおよびスチームを含む供給原料を、触媒を収容している反応ゾーンへ約500℃−約700℃の温度で供給することを含む。スチームは一般に、約7−約15のスチーム対炭化水素のモル比で供給原料中に存在する。代替法においてこの方法は、約1−約7、好ましくは約2−約6のより低いスチーム対炭化水素のモル比で行われ得る。この方法は通常スチレンに加えて少量の副生成物、例えばフェニルアセチレンおよびα−メチルスチレンを生成する。α−メチルスチレンは、スチレンが後で重合させられるときにこれが連鎖停止剤として作用するので、望まれない副生成物である。
【0046】
脱水素化法のもう1つの好ましい実施形態は、スチレンを形成させるためのエチルベンゼンの酸化的脱水素化である。この実施形態は一般に、エチルベンゼンおよび酸化剤、例えば酸素、ヨウ化物、イオウ、二酸化イオウまたは二酸化炭素を、触媒を収容している反応ゾーンへ約500℃−約800℃の温度で供給することを含む。酸化的脱水素化反応は発熱性であるので、反応はより低い温度および/またはより低いスチーム対オイル比において行われ得る。
【0047】
脱水素化法のもう1つの好ましい実施形態は、イソプレンを形成させるためのイソアミレンの脱水素化である。この実施形態は一般に、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテンおよび3−メチル−1−ブテンを含む混合イソアミレン供給原料を、触媒を収容している反応ゾーンへ約525℃−約675℃の温度で供給することを含む。この方法は通常、大気圧で行われる。スチームは一般に、約13.5−約31のスチーム対炭化水素のモル比で供給原料中に加えられる。
【0048】
脱水素化法のもう1つの好ましい実施形態は、ブタジエンを形成させるためのブテンの脱水素化である。この実施形態は一般に、1−ブテンおよび2−ブテン(シスおよび/またはトランス異性体)を含む混合ブチレン供給原料を、触媒を収容している反応ゾーンへ約500℃−約700℃の温度で供給することを含む。
【0049】
これらの脱水素化法の大部分の吸熱性の故に、転化率および選択性を維持するために必要な温度を維持するために、追加の熱入力が望ましいことが多い。この熱は、反応ゾーンの前に、2つ以上の反応ゾーンがある場合は複数の反応ゾーンの間にまたは直接反応ゾーンに加えられ得る。
【0050】
適当な加熱方法の好ましい一実施形態は、従来の熱交換器の使用である。工程流れは、最初のまたは任意の後続の反応器に入る前に加熱されるとよい。好ましい熱源は、スチームおよび他の加熱されたプロセス流体を含む。
【0051】
適当な加熱方法のもう1つの好ましい実施形態は、参照により本明細書に組み込まれるUS7025940に記載されている無炎分散燃焼加熱装置の使用である。
【0052】
適当な加熱方法のもう1つの好ましい一実施形態は、接触または非接触酸化再加熱である。この種の加熱方法の実施形態は、参照により本明細書に組み込まれるUS4914249、US4812597およびUS4717779に記載されている。
【0053】
脱水素化法によって製造される脱水素化された炭化水素は、重合法および共重合法におけるモノマーとして使用され得る。例えば、得られるスチレンはポリスチレンおよびスチレン/ジエンゴムの製造において使用され得る。本発明によってより低コストの触媒を用いて実現される改良された触媒性能は、脱水素化された炭化水素の製造のためのより魅力的な方法に導き、したがって脱水素化された炭化水素を製造することおよび後続の脱水素化された炭化水素のモノマー単位を含むポリマーおよびコポリマーの製造における脱水素化された炭化水素の使用を含むより魅力的な方法に導く。適用可能な重合触媒、重合方法、ポリマーの加工方法および得られたポリマーの使用については、H.F.Marksら(編)、「Encyclopedia of Polymer Science and Engineering」、第2版、new York、16巻、1−246頁およびこの中で引用されている参考文献に言及しておく。
【0054】
以下の実施例は本発明を例示するために提示されているが、これらは本発明の範囲を限定するものと解釈してはならない。
【実施例】
【0055】
実施例1(比較例)
0.08重量%のClを含有し、3.2m/gの表面積を有する酸化鉄(Fe)(塩化鉄の熱分解によって製造された)900gおよび黄酸化鉄(FeOOH)100gを十分な炭酸カリウム、炭酸セリウム(Ce52重量%を含有する水和されたCe(CO)、三酸化モリブデン、および炭酸カルシウムと合わせて酸化鉄1モル当たり18mmolのMoおよび表1に示されている他の成分を有する触媒を得ることによって1つの触媒を調製した。水(乾燥混合物の重量に対して約10重量%)を加えてペーストを形成させ、このペーストを押出成型して直径3mmの円筒を形成し、次いでこれを長さ6mmに切断した。ペレットを空気中170℃で15分間乾燥し、続いて空気中約888℃で1時間か焼した。か焼後の触媒の組成を、Feとして計算される酸化鉄1モル当たりのミリモルとして表1に示す。
【0056】
触媒の100cmのサンプルを、連続操作用に設計された反応器中の等温試験条件下におけるエチルベンゼンからのスチレンの調製のために使用した。条件は次の通りであった:絶対圧力76kPa、スチーム対エチルベンゼンのモル比10、LHSV0.65h−1。この試験において、温度は当初の約5−10日間は595℃に保った。この後温度はエチルベンゼンの転化率70モル%が達成されるように(T70)調節した。選択された温度におけるスチレンへの選択率(S70)を測定した。
【0057】
実施例2−17
本発明によって触媒を調製した。実施例1において記載した成分を使用した。実施例の一部は表1の触媒組成に示す通りこれらの成分の異なる量を使用した。加えて、一部の触媒は異なる温度においてか焼したので、か焼温度を表1に示す。実施例2−17の触媒は、酸化銀の形態で異なる量で加えられた銀を含有していた。触媒は実施例1の触媒と同じ条件下で試験し、触媒の性能を表1に示す。
【0058】
【表1】

【0059】
実施例1−4から解るように、同じ成分を有して同じ温度でか焼されている触媒は、それが銀を含有している場合、より活性でありまたより選択的である。実施例5−12は、触媒のセリウムの量およびか焼温度を変えることの影響を示している。実施例13および14は、異なる温度でか焼された触媒を示しており、実施例13の触媒は740℃でか焼されており、実施例14の触媒は1035℃でか焼されている。実施例15−17は、触媒中のカルシウムおよびカリウムの量を変えることの触媒性能に対する影響を実証している。
【0060】
実施例18(比較例)および19
実施例18−19は、使用された酸化鉄が実施例1−17において使用されたものと同じではない場合に観察される触媒性能を実証している。実施例18において、触媒は沈殿された黄酸化鉄の熱処理によって作製された赤酸化鉄を使用して調製された。赤酸化鉄の表面積は5.1m/gであり、赤酸化鉄は10ppm未満の塩化物を含有していた。黄酸化鉄は硫酸鉄の酸化から作製された。次の成分:上記の酸化鉄1000g、十分な炭酸カリウム、炭酸セリウム(52重量%のCeを含有している水和されたCe(CO)、三酸化モリブデンおよび炭酸カルシウムを合わせて表2に示す組成を得た。水(乾燥混合物の重量に対して約10重量%)を加えてペーストを形成させ、このペーストを押出成型して直径3mmの円筒を形成し、次いでこれを長さ6mmに切断した。ペレットを空気中170℃で15分間乾燥し、続いて空気中の約875℃において1時間か焼した。実施例19の触媒は、表2に示した組成となるように酸化銀を加えた以外は実施例18と同様に調製した。実施例18および19の触媒の触媒性能は、温度を当初600℃に保った以外は実施例1−17の場合と同じ方法を使用して試験した。結果を表2に示す。
【0061】
実施例20(比較例)および21
実施例20−21は、熱分解によって作製された再生酸化鉄を実施例1−17の通りに、ただし触媒中におけるこれの使用の前に上記の通りに再構成して、使用したときに観察される触媒性能を実証する。実施例20において、再生酸化鉄1000gを十分な三酸化モリブデンと共に995℃においてか焼して、Feとして計算される酸化鉄1モル当たりモリブデン19.5ミリモルを含む酸化鉄組成物を再構成することによって混合物を調製した。再構成された酸化鉄組成物を十分な炭酸カリウム、炭酸セリウム(52重量%のCeを含有する水和されたCe(COとして)および炭酸カルシウムと合わせて、表2に示す組成物を得た。水(乾燥混合物の重量に対して約5重量%)を加えてペーストを形成させ、このペーストを押出成型して直径3mmの円筒を形成し、次いでこれを長さ6mmに切断した。ペレットを空気中170℃において15分間乾燥し、続いて空気中の約775℃において1時間か焼した。か焼後の触媒の組成は表2に示す。実施例21の触媒は、表2に示した組成となるように酸化銀を炭酸カリウム、炭酸セリウムおよび炭酸カルシウム加えた以外は実施例20と同様に調製した。実施例20および21の触媒は、温度を当初600℃に保った以外は実施例1−17の場合と同じ方法を使用して試験した。結果を表2に示す。
【0062】
【表2】

【0063】
実施例18−19から解るように、銀を有する非再生酸化鉄に基づく触媒は、銀を含まない類似の触媒より選択的である。実施例20−21から解るように、銀を有する再構成された酸化鉄に基づく触媒は銀を含まない類似の触媒より選択的である。
【0064】
実施例22(比較例)および23−27
触媒を、実施例1−17の方法によって調製した。成分は異なる量で使用し、か焼後の触媒組成を表3に示す。実施例22−27の触媒を上記の実施例と同じ方法によって試験した。生成物中のα−メチルスチレン(AMS)の量を測定し、脱水素化反応器からの凝縮させた生成物流れの重量に対する重量ppmとして表3に示す。α−メチルスチレンのレベルをT70温度におけるガスクロマトグラフによって試験した。実施例22は、同じ組成を有する3つの触媒についての結果の平均を表している。
【0065】
【表3】

【0066】
実施例22−27から解るように、銀を含有する脱水素化触媒は、エチルベンゼン脱水素化法において低減された量のαーメチルスチレン不純物の生成をもたらし得る。
【0067】
当業者は、特定の用途に対して最も有効な脱水素化触媒を得るための他の変数に加えて、上記で示された変数の多くを変えることができる。触媒の性質および性能に影響を及ぼすために、さらなる触媒成分を加えることもできる。触媒の性質および性能に影響を及ぼすために、乾燥の時間および温度、か焼の時間および温度および処理速度などの変数に関して触媒の製造方法は変更され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化鉄、アルカリ金属またはこの化合物および銀またはこの化合物を含み、銀またはこの化合物はFeとして計算される酸化鉄の1モル当たり少なくとも0.01ミリモルの銀の量で存在する、脱水素化触媒。
【請求項2】
銀またはこの化合物が、Feとして計算される酸化鉄の1モル当たり約0.25から約500ミリモルの銀の量で存在する、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
銀またはこの化合物が、Feとして計算される酸化鉄の1モル当たり約1から約300ミリモルの銀の量で存在する、請求項1から2のいずれかに記載の触媒。
【請求項4】
銀またはこの化合物が、Feとして計算される酸化鉄の1モル当たり約10から約100ミリモルの銀の量で存在する、請求項1から3のいずれかに記載の触媒。
【請求項5】
酸化鉄、アルカリ金属またはこの化合物、銀および銀フェライトを含む、脱水素化触媒。
【請求項6】
アルカリ金属またはこの化合物が、カリウムを含む、請求項1から5のいずれかに記載の触媒。
【請求項7】
触媒が、ランタニドまたはこの化合物をさらに含む、請求項1から6のいずれかに記載の触媒。
【請求項8】
ランタニドまたはこの化合物が、セリウムを含む、請求項7に記載の触媒。
【請求項9】
アルカリ土類金属またはこの化合物をさらに含む、請求項1から8のいずれかに記載の触媒。
【請求項10】
アルカリ土類金属またはこの化合物が、カルシウムを含む、請求項9に記載の触媒。
【請求項11】
6族金属またはこの化合物をさらに含む、請求項1から10のいずれかに記載の触媒。
【請求項12】
6族金属またはこの化合物が、モリブデンを含む、請求項11に記載の触媒。
【請求項13】
酸化鉄、カリウムまたはこの化合物、セリウムまたはこの化合物、カルシウムまたはこの化合物、モリブデンまたはこの化合物および銀を含む、脱水素化触媒。
【請求項14】
触媒が、パラジウム、白金、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、チタンおよび銅からなる群から選択された金属をさらに含む、請求項1から13のいずれかに記載の触媒。
【請求項15】
酸化鉄が、ハロゲン化鉄の熱分解によって形成された再生酸化鉄を含む、請求項1から14のいずれかに記載の触媒。
【請求項16】
酸化鉄が、再構成剤の存在下に熱処理によって再構成される、請求項1から15のいずれかに記載の触媒。
【請求項17】
脱水素化触媒を調製する方法であって、酸化鉄、アルカリ金属またはこの化合物および銀またはこの化合物の混合物(銀またはこの化合物はFeとして計算される酸化鉄の1モル当たり少なくとも約0.01ミリモルの銀の量で存在する。)を調製することおよび混合物をか焼することを含む、方法。
【請求項18】
銀化合物が、酸化銀、クロム酸銀、銀フェライト、硝酸銀および炭酸銀からなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
脱水素化触媒を調製する方法であって、酸化鉄、カリウムまたはこの化合物、セリウムまたはこの化合物、カルシウムまたはこの化合物、モリブデンまたはこの化合物および銀の混合物を調製することおよび混合物をか焼することを含む、方法。
【請求項20】
アルカリ土類金属またはこの化合物を混合物に加えることをさらに含む、請求項17から18のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
6族金属またはこの化合物を混合物に加えることをさらに含む、請求項17から18のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
か焼が、約600℃から約1300℃の温度において行われる、請求項17から21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
か焼が、約750℃から約1200℃の温度において行われる、請求項17から21のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
か焼が、800℃より高い温度において行われる、請求項17から21のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
脱水素可能な炭化水素を脱水素化する方法であって、脱水素化可能な炭化水素を含む供給原料を、酸化鉄、アルカリ金属またはこの化合物および銀またはこの化合物を含む触媒(銀またはこの化合物はFeとして計算される酸化鉄の1モル当たり少なくとも約0.01ミリモルの銀の量で存在する。)と接触させることを含む、方法。
【請求項26】
触媒が、銀または銀フェライトを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
脱水素可能な炭化水素を脱水素化する方法であって、脱水素化可能な炭化水素を含む供給原料を、酸化鉄、カリウムまたはこの化合物、セリウムまたはこの化合物、カルシウムまたはこの化合物、モリブデンまたはこの化合物および銀を含む触媒と接触させることを含む、方法。
【請求項28】
脱水素可能な炭化水素が、エチルベンゼンを含む、請求項25から27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
供給原料が、スチームをさらに含む、請求項25から28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
スチームが、脱水素化可能な炭化水素の1モル当たり0.5から12モルのスチームのモル比率で供給原料中に存在する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
スチームが、脱水素化可能な炭化水素の1モル当たり1から6モルのスチームのモル比率で供給原料中に存在する、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
ポリマーまたはコポリマーを製造するために脱水素化された炭化水素を使用する方法であって、脱水素化された炭化水素を重合させて脱水素化された炭化水素から誘導されたモノマー単位を含むポリマーまたはコポリマーを形成することを含み、前記脱水素化された炭化水素は請求項25から31のいずれかに記載の脱水素化可能な炭化水素の脱水素化のための方法において調製されている、方法。

【公表番号】特表2010−525941(P2010−525941A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506648(P2010−506648)
【出願日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際出願番号】PCT/US2008/062278
【国際公開番号】WO2008/137583
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(590002105)シエル・インターナシヨナル・リサーチ・マートスハツペイ・ベー・ヴエー (301)
【Fターム(参考)】