説明

触媒または吸着剤の固体粒子を硫化または予備硫化する方法

本発明は、硫黄を、炭化水素または吸着剤転換用触媒の固体粒子の多孔に取り入れる方法に関する。この方法は、純粋の硫化水素または水素または窒素で薄められた硫化水素の存在外で実行される。その方法のプロセスは、前記粒子が硫黄混入ゾーンにおいて上昇または下降させられる。そのゾーンは、少なくとも1つの振動ヘリカルコイルを備えている。前記コイルは、基本的にはチューブの形をしかつ少なくとも2つの巻回部をもっている。それでもって、前記粒子は、前記コイルの通路上大部分で温度プロファイルに支配される。それによって、前記粒子は、その通路の少なくとも一部で少なくとも1つの流体と接触させられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱可能または加熱不可能な振動上昇型または下降型反応器中、純粋であるか、または水素または窒素中で希釈されている硫化水素の存在下で、触媒または吸着剤の粒子をオフサイト(off-site)で硫化または予備硫化する方法に関する。
【0002】
本発明はまた、炭化水素を変換するための触媒または吸着剤の固体粒子の多孔に硫黄を組み込む方法に関し、この際、前記方法をオフサイトで、純粋であるか、または水素もしくは窒素で希釈されている硫化水素の存在下で実施し、この方法では、少なくとも1つの振動らせんコイルを含む硫黄組み込み帯域で、前記粒子を上昇または下降させて、粒子を温度プロファイルに掛ける。
【0003】
有利には、コイルは、本質的に管の形状であるので、その管は、本質的に垂直で、少なくとも2つの巻回部を含み、前記粒子は、前記コイル中での経路の大部分にわたって温度プロファイルに掛けられ、前記粒子は、その経路の少なくとも一部分にわたって少なくとも1種の流体と接触する。
【0004】
通常、粒子を、粒子の運動方向にへと上昇または低下する温度プロファイルに掛ける。
【0005】
有利には、経路の終点で、粒子を冷却剤により冷却する。
【0006】
本発明による方法では、温度は有利には、20〜500℃、好ましくは20〜250℃である。
【0007】
方法の有利な実行は、金属のコバルト、モリブデン、ニッケルおよびタングステンの少なくともいずれか1種を含有する触媒または吸着剤の硫化または少なくとも銅、銀または金を含有する触媒または吸着剤の硫化である。
【0008】
有利な実施形態は、コイルを加熱せず、反応の発熱性が、粒子の加熱を実質的に可能にする実施形態である。
【0009】
本発明の実行を可能にする装置は、有利には、本質的に管の形状である金属コイルまたは扁平な形状の金属コイルを含む。
【背景技術】
【0010】
本発明は、硫化/予備硫化の原理に関する貴重な情報を提供している特許文献1に詳細には記載されている操作条件を用いる触媒または吸着剤の硫化または予備硫化に関する。
【0011】
触媒が新しい場合か、または触媒の再生が終了して、それを再使用する前に、炭化水素を精製および/または水素化変換するためのある種の触媒の組成に入っている金属の硫化(通常、「予備硫化」と称される)を開始することが往々にして望ましい。また同様に、ある種の分野では、金属を含有するある種の吸着剤の硫化/予備硫化を実施することが望ましい。
【0012】
この場合、上述の特許文献1に詳細に説明されている通り、精製反応において、例えば、使用前に硫黄含分を低下させるか、または他の特性を改善することが推奨され得る様々な石油留分を水素化処理または水素化脱硫または水素化分解する反応において、新しいか、または再生された触媒を使用するためには、これらの触媒を予備硫化することが望ましいことが想起されるであろう。触媒を予備硫化することが往々にして有利でもある改質、水素化、脱水素化の反応も挙げられる。
【0013】
このような反応(特には、水素化処理)を通常、水素の存在下、100〜400℃、例えば、5〜200バールの圧力、0.1〜10の体積流量(触媒1m当たりおよび1時間当たりの液体注入供給原料のmで表して)で実施するが、これらの操作条件はそれに限定されない。
【0014】
例えば、精製反応で使用される触媒は、基材、例えば、アルミナまたはアルミナ混合物(特許文献2)または少なくとも1種の金属もしくは半金属の酸化物をベースとする任意の他の適切な基材を含有してよく、この際、この、またはこれらの基材混合物は少なくとも部分的に非晶質形態または結晶形態(例えば、ゼオライト)であってよく、触媒はまた、周期表のIVB、VB、VIB、VIIB、VIIIB、IB、IIB族または周期表の他の族の少なくとも1種の活性金属0.1〜30%を含有してよい。
【0015】
新しくても、再生されていても、精製、水素化精製または石油化学で使用される触媒の金属は、酸化形態であることが最も多い。しかしながら、これらの触媒の金属は硫化されているか、または少なくとも部分的に硫化された形態でのみ活性または高性能であることが多いので、精製者または石油化学者は、その実行前に、触媒を硫化させることが必要である。
【0016】
したがって、先行技術では、使用前に、新しいか、または再生された触媒を通常、硫化または予備硫化に掛ける。この硫化/予備硫化により、触媒に、例えば、式(存在する金属に対して):MoS、WS、CoおよびNiの硫黄の量をベースに算出して、硫黄の化学量論的量の約50〜110%を包含させることができる。
【0017】
この硫化(予備硫化)を、少なくとも1種の硫化剤により実施する。様々な硫化剤、例えば、好ましくは水素の存在下、場合によっては気体の炭化水素の存在下の硫化水素(HS)(特許文献2)または水素の存在下で分解してHSになり得る任意の他の生成物、硫化炭素CS、多硫化物(有機、特に、多硫化ブチル、オクチル、ノニルおよびドデシル)、硫化ジメチル(DMS)および二硫化ジメチル(DMDS)などの硫化物または二硫化物、硫黄の酸化化合物、ジメチルスルホキシド、スルホランなどを使用することができる。硫化(または予備硫化)を、温度段階により実施することができる(特許文献3)
硫化/予備硫化のある種の方法では、水素の存在は、少なくとも予備硫化の開始時には不要であることを特記する。したがって、本出願人の特許文献4は、水素の不在下で、必要な化学量論的レベルまたは非化学量論的レベルで少なくとも1種の硫化剤を新しいか、または再生された触媒の多孔にエクスサイチュ(ex-situ)で組み込むことを可能にする方法に関する。こうして、その開始時に、水素の存在下で触媒を活性化反応にオンサイト(on-site)(「インサイチュ」(in-situ))で掛けて、反応に対して活性な硫化物の形成を可能にする。
【0018】
遷移金属を含有する他のタイプの触媒または吸着剤は、使用前に硫黄を加えて、それらに最適な触媒特性または最適な吸着特性を付与することを必要とする。
【0019】
ガソリンを接触改質または選択水素化するための反応に関する特許文献5または2003年4月3日の特許文献6では、触媒の活性を弱めることが時には適切である。例えば、反応器が損傷を受けるほど進行することさえある、新しいか、または再生された触媒を始動する間の熱暴走を誘発し得るような点において、芳香族化合物を水素化するために非常に活性で、活性過ぎることさえあるニッケルを含有する触媒の場合が挙げられるであろう。したがって、これらの暴走を回避することができるようにする不活性化処理を開始することが必要である。これは通常、新しいか、または再生された触媒に存在するニッケルの最も有毒な活性部位の力を硫黄により不可逆的に減ずること〜なる。したがって、より詳細には、ニッケルベースの水素化触媒に関して初めにすべきことは、第1段階で、反応器中で金属酸化物を水素で還元し(「インサイチュ」)、次いで、上記の欠点に対処するために、第2段階で、触媒重量に対して0.1〜5重量%の硫黄と一般に決定される量の硫黄を導入することにより、触媒の活性をインサイチュで低減することである。
【0020】
ガソリンの接触改質に適用する場合、白金およびレニウムをベースとする触媒もまた、選択的に硫化して、レニウムの水素化分解(クラッキング)活性を低減すべきであり、これは、硫黄約0.05〜0.1重量%を設定することを可能にする硫化により実施する。
【0021】
吸着剤に関しては、例えば、特許文献7を参照することができ、これは、固体への吸着により天然ガスおよび/または液体中に存在する水銀を除去する方法を記載している。ある種の金属、特には金、銀および銅は、水銀と共にアマルガムを形成し、これらの金属のうちの一部を含有する吸着剤により水銀を抽出する可能性をもたらしていることが知られている。使用されている金属が硫化物の状態にある場合、これらの吸着剤物質は、非常に有効であることが判明している。
【0022】
吸着技術に関して、ガスまたは液体中に存在する水銀を除去するための吸着物質を記載している特許文献8が参照されるが、これらの新しい物質は、基材および硫化物の状態の銅を含む。同様に、特許文献9は、有機多硫化物で硫化されている銅ベースの吸着剤を記載している。また、水銀の吸着物質が、元素の硫黄を組み込まれることにより硫化されている銅(CuOまたはCuOの形態)もまた含有する特許文献10および特許文献11も参照される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】欧州特許出願公開第785022号明細書
【特許文献2】米国特許第4334982号明細書
【特許文献3】欧州特許第64429号明細書
【特許文献4】欧州特許第130850号明細書
【特許文献5】欧州特許第466568号明細書
【特許文献6】フランス特許出願第05470号明細書
【特許文献7】米国特許第4094777号明細書
【特許文献8】欧州特許第107582号明細書
【特許文献9】米国特許第4902662号明細書
【特許文献10】米国特許第5350728号明細書
【特許文献11】米国特許第5245106号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決した触媒または吸着剤の固体粒子を硫化または予備硫化する方法およびこれを実施するための装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
発明の概念
本発明では、2つの必須の方法を組み合わせて適用する:
(1)「オフサイト」(エクスサイチュ)硫化/予備硫化
(2) 本質的に垂直で、管の形状で、かつ振動する「上昇」または「下降」型硫化/予備硫化反応器の使用。
【0026】
第1のポイント(オフサイト)に関する先行技術
以前には、硫化/予備硫化は、インサイチュで、即ち、触媒または吸着剤が使用される精製反応帯域もしくは吸着帯域で、または反応器の直近で(「インサイチュ」と任意に記載される)、即ち、反応器の頂部で、またはこれらの反応器と多少は直接的に連絡している帯域で実施され、反応器自体またはこれらの反応器の付属部の操作条件により少なくとも部分的に強要される操作条件(温度、圧力などの)下での実行を必要とした。
【0027】
第2のポイントに関する先行技術
触媒または吸着剤の粒子を硫化/予備硫化する反応はまた、固定床で、または、例えば、WO98/06493号パンフレットに例示されている通りの圧縮床の形態もしくは運動床の形態またはその他に、ロータリーキルン中の粒子の回転床の形態(本出願人のフランス特許第2649623号明細書を参照されたい)の固体触媒または吸着剤粒子が動く帯域で実施された。
【0028】
これらの様々な実施を下記で説明する。
【0029】
欧州特許第0612561号明細書は、ジュール効果により加熱される本発明で使用されるコイルを含む装置を記載している。
【0030】
本発明
したがって本発明は、加熱されるか、または加熱されない上昇型または下降型の本質的に管状で垂直な振動反応器中、純粋であるか、または水素もしくは窒素中で希釈された硫化/予備硫化剤としての硫化水素の存在下で、触媒または吸着剤の粒子をオフサイトで硫化または予備硫化する方法に関する。
【0031】
第1のポイント(オフサイト)に関する本発明
先行技術では、このような硫化または予備硫化をインサイチュまたはエクスサイチュ(オフサイト)で実施する。現在、触媒の再生は、一般に、工業用プランから離れた触媒再生の専門家の所で、したがってオフサイトで徐々に行われている。しかしながら、すぐに使用できる製品を精製者に返還するために、オフサイト硫化を考えることも合理的であると思われる。このことは、本出願人の欧州特許第130850号明細書または有機多硫化物タイプの硫化物化合物を触媒物質に組み込む米国特許第4530917号明細書(欧州特許第181254号明細書または米国特許第4719195号明細書も参照されたい)に記載の方法を可能にしたものである。触媒を精製所に、または任意の他のプラントに送達して、そこで予備調節して、活性化させる。精製者または任意の他のユーザーは、含有される金属上で硫黄が反応するように水素の存在下で、この触媒を活性化させ(詳細には、水素化処理のために)、次いで、処理される供給原料の注入により炭化水素を精製または保存するための反応を開始するだけでよい。
【0032】
本出願人の欧州特許第707890号明細書では、硫化剤は、水素での処理および酸化不活性化を伴う元素の硫黄もしくはHSまたは上記で挙げられた有機多硫化物のいずれかであり、この際、これらの2つの段階(水素での処理および不活性化)を一緒に実施することができる。本出願人の欧州特許第785022号明細書では、運動床中、硫黄および水素を含有する化合物の存在下で、上記の予備硫化を実施する。本出願人の技術では、触媒の予備硫化を、「エクスサイチュ」で行う。
【0033】
本発明の第1の態様は、触媒または吸着剤の硫化/予備硫化を「オフサイト」で、即ち、石油供給原料の変換または水素化変換の処理のために触媒が使用される所とは別の所で実施する態様である。この特別な形態により、多くの利点が得られる。それというのも特に、ユニットに添加される触媒は既に必要量の硫黄を含有するが、しかしまた、既にさらに活性化されていて、活性な触媒として使用する準備が既にできているためである。この特別な形態により、開始方法がかなり簡略化するので、精製所において、ユーザーの触媒ユニット当たりの貴重な時間が増加する。
【0034】
オフサイト硫化はまた、他の種類の決定的な利点も有し得る。一部の場合には、触媒または吸着剤を含有する反応器中ではこれを実施することができないであろうために、オフサイトでしか実施することができない。実際に、これらの硫化反応は、触媒反応または吸着反応を実施する反応器中では生じさせることができない操作条件、詳細には例えば温度条件を必要とすることがある。
【0035】
例えば、水銀の除去に関して上述した米国特許第5350728号明細書中で指摘された非常に特殊な条件を特記することができる。吸着物質に銅、続いて銀を組み込み、次いで、これをか焼する。続いて、有機溶液中で希釈されているか、またはそこに懸濁している硫黄粉末を使用して、金属(銅はCuOまたはCuOの形態、銀は..)の硫化を開始し、次いで、150℃で乾燥させる。これらは、水銀吸着反応器で実施するには困難であろう操作条件である。
【0036】
第2のポイントに関する本発明(振動帯域の使用)
本発明の他の態様は、この硫化を好ましくは、運動中の触媒で、硫黄組み込み帯域で行う態様である。したがって、触媒が運動していて、固定床中にはない間に、活性化反応が生じる。
【0037】
実際に、固定床で起こり得る問題は、触媒が必要な化学量論に対して不十分な量の硫黄に遭遇している帯域を作る作用を有する優先経路の存在である。また、固定床で起こり得る別の問題は、発熱硫化反応により形成される熱量を排出するのが比較的困難であることである。触媒の連続的な混合は、これら2つの目的に対して有利である。したがって手順を、運動している触媒床で行う。
【0038】
先行技術では、例えば、重力により固体が管または環にそって徐々に落下する下降型の床または高速ガス流により固体が上昇する流動床または運動床または他に、触媒がベルト炉もしくはロータリーキルン中で循環する床を使用することができる。床は場合によって、膨張床または沸騰床であってもよい。
【0039】
これらの触媒または吸着剤は、例えば、周期表のIVB、VB、VIB、VIIB、VIIIB、IB、IIB族のものなどの硫化することができる金属を含有する。
【0040】
硫化/予備硫化方法における先行技術の運動性反応器の詳細な説明
このように、本発明では、予備硫化または硫化方法を、エクスサイチュ(オフサイト)で実施し、その際、このオフサイト態様を、触媒または吸着剤の粒子の上昇または下降運動の技術と組み合わせる(下記を参照されたい)。
【0041】
先行技術では、以前は固定床で実施されることが多かったこの硫化または予備硫化を、今や代わりに、WO98/06493号パンフレットに示されている通りの固定床を使用するよりも有効である運動床で実施する。例えば、この特許WO98/06493号パンフレットでは、流動床タイプの硫化/予備硫化帯域を、格子により支持される膨張床と共に使用する。触媒をこの帯域に導入し、流動ガスを注入して、触媒の粒子床の膨張を生じさせる。
【0042】
運動床の他のタイプは、フランス特許第2649623号明細書に記載されており、触媒粒子の硫化/予備硫化のためにも使用される。この場合、これは、「Louisville」ロータリーキルンと称される装置である。ウォームねじにより触媒をこの炉に導入し、環の内壁に位置している熱蒸気管と接触させる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】振動している上昇タイプの反応器の側面図である。
【図2】熱電対を有するチューブ状螺旋コイルの横断面図である。
【図3】熱電対を有する扁平状螺旋コイルの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明による硫化/予備硫化帯域の詳細な説明
本発明は、本質的に管の形状の少なくとも1つの金属製振動らせんコイル中で触媒または吸着剤の粉末化粒子を上昇または下降させ、それらを、その経路の大部分にわたって温度プロファイルに掛け、かつそれらを、その経路の少なくとも一部分にわたって少なくとも1種の流体と接触させることからなる方法において、触媒または吸着剤の粉末化粒子を硫化または予備硫化することに関する。
【0045】
コイルは、本質的に管の形状であるか、閉鎖されたトラフまたは上下2枚のプレートなどの扁平な形状である。
【0046】
対照的に、硫化反応の発熱性は、粒子を加熱することを本質的に可能にする。また、本発明の有利な実施形態では、本発明による装置は加熱されない。対照してみると、これを、反応の進行により生じる熱を分散させるように、絶縁材料により多少とも断熱することができる。粒子の温度は、生じた熱量の結果であり、それ自体が、反応性固体およびガスの流速に左右され、熱量は外部へと交換される。
【0047】
フランス特許第2780316号明細書は、コイルの巻回部が浸かっている冷却剤との間接的な接触により、または固体粒子の循環方向に対して並流もしくは逆流でコイル内部を循環している少なくとも1種のガスとの直接的な接触により、熱交換が生じる振動らせんコイルを含む装置を記載している。この場合、本発明はまた、この種の装置を用いて、本質的に管の形状である少なくとも1つの振動らせんコイル内を上昇する触媒および/または吸着剤固体粒子の処理を実施することを可能にするが、その際、前記粒子を、その経路の大部分にわたって温度プロファイル(加熱または冷却)に掛け、前記粒子を、その経路の少なくとも一部分にわたって少なくとも1種の流体と接触させる。触媒または吸着剤の固体粒子の場合、前記流体は好ましくは、反応性のガスである。しかしながらまた、固体の触媒または吸着剤粒子を下方へ運動させることにより、この種の装置を使用することも可能である。
【0048】
上方へ運動させる場合、触媒または吸着剤の固体粒子の上方への上昇を伴う振動らせんコイルは図1で示される。例えば、2個の不平衡モーター(1)により振動するドラムに、コイルは巻かれている。固体粒子の投入をホース(2)によりコイルの底部で実施し、その排出は、ホース(3)を介して頂部で行う。反応ガスの投入はホース(4)を介して行い、排出はホース(5)を介して行う。管に沿って散在させた熱電対により、製品(6)の温度を正確に監視することができる。
【0049】
本発明による方法は、少なくとも1個のコイルを含む少なくとも1つの振動らせん運搬装置に触媒または吸着剤粒子を送り、次いで、それらをその経路の少なくとも一部分で、好ましくはその経路の大部分(半分より長く)で、温度プロファイルに掛け、その経路の少なくとも一部分で、少なくとも1種の流体(硫黄含有化合物を含むガス)と接触させることからなる。流体を、振動らせん運搬装置の少なくとも1つのポイントで導入し、また、少なくとも1つのポイントで抜き出す。また、複数の注入および引き抜きポイントが存在するのも有利であり得る。例えば、各コイルに、注入および引き抜きポイントを設けることも可能である。図1は、4本の導入ホースおよび4本の引き抜きホースを備えた中間例を示している。
【0050】
この配置により、製造の成功に重要な条件である温度を厳密に監視することができる。図示によると、図1は、9個の熱電対が設置されていることを示し、図2および3は、コイル上でのこれらの熱電対の位置を示している。熱電対の数は制限的ではない。図2は、熱電対を備えた管状らせんコイルの断面であり、図3は、熱電対を備えた扁平トラフを伴うらせんコイルの断面である。
【0051】
温度は通常、20〜1000℃、有利には、20〜500℃、好ましくは20〜250℃であり、先行技術の硫化方法の温度条件を適用することができる。
【0052】
本発明では、好ましくは粒子の運動方向へと上昇または低下する異なる温度の帯域に通過させることにより、粒子をその経路で温度プロファイルに掛ける。実施例は、特にジュール効果により加熱される振動らせんコイルを用いる方法により認められるこの実施形態を説明している。
【0053】
また、最終冷却帯域(粒子が流れる方向で)を配置することが有利である。
【0054】
粒子の前進速度は、0.05〜0.5m/秒、好ましくは0.1〜0.4m/秒、または他にも0.1〜0.3m/秒である。1時間当たりの粒子の質量流量は一般に、1kg/時〜50t/時、好ましくは5kg/時〜10t/時、より好ましくは10〜1000kg/時である。
【0055】
硫黄含有化合物は、HSであり、これは、純粋であっても、HまたはNにより希釈されていてもよい。
【0056】
本方法は、Co、Mo、Niおよび/またはWを含有する触媒または吸着剤の硫化に、さらに、Cu、AgまたはAuを含有する触媒または吸着剤に特に良く適合する。
【0057】
さて、下方運動の場合、原理は本質的に、上方運動の場合と同様である。本発明による方法では、振動らせん運搬装置中での触媒粒子の通過は、上方または下方モードで行うことができる。したがって、これらの触媒粒子を上昇または下降させるように触媒粒子に施与される力の結果が算出される振動駆動らせん運搬装置により、方法を実行する。
【0058】
前記触媒または吸着剤の処理は、連続的または間欠的に実施することができる。
【0059】
下記の操作条件により、この記載を完了することができるが、この際、これらの指示は、非限定的な例として提供されている。
【0060】
らせん運搬装置または場合によって、運搬装置は、それらが直列で、または並列で、幾つかが存在する場合、少なくとも1個のコイルを含み、触媒粒子の下降または上昇に必要な振動をもたらすように設計されている系が設置されている中空ドラムに巻かれている。コイル中を動く粒子に付与される加速は、垂直成分および水平成分を含む。水平成分の向きに応じて、粒子は上昇または落下し、粒子の変位速度は、振動の水平成分と相関している。
【0061】
らせん運搬装置を、ジュール効果によりコイルの一定の巻回部を例えば、20〜1000℃の温度に加熱することにより特徴付けることができる(使用される温度は実際に、硫化/予備硫化反応に必要な条件に左右される)。直接的な結果に関して、ジュール効果は、コイル内部での熱の発生を有する。したがってこれにより、冷却剤による間接的な加熱またはコイル中に循環している反応性もしくは非反応性のガスによる直接的な加熱よりも、コイル内の温度の制御に関して、より大きな柔軟性を得ることができる。
【0062】
対照的に、本発明による硫化方法の一部の場合には、低温を維持することが有利であることがある。しかしながら、通常の硫化反応の高い発熱性を考慮すると、断熱反応器または外部交換から十分には絶縁されていない反応器において低温を維持することは困難であることが判明し得る。この特殊な場合には、高い熱交換特性を付与するその体積に比して大きな外部金属表面積を考慮すると、らせん運搬装置が有利であり得る。
【0063】
管が上下2枚のプレートなどの扁平な形状または閉鎖トラフ形状を有する場合に、このことは特に当てはまり、その際、扁平な下位形状が、粒子と壁との大きな接触面積には、したがって、良好な熱交換には好ましい。
【0064】
加熱らせん運搬装置の場合、本発明による方法の特定の実行は、経路の終点での、即ち、コイルの上方または下方末端(上昇運動であるか、または下降運動であるかによる)での固体粒子の冷却を含み得る。前記末端を冷却剤と間接的に接触させることにより、この冷却を実施する。前記流体は、水であってよい。ジュール効果によりコイルの少なくとも1つの巻回部を加熱することとは独立に、または独立せずに、前記粒子の経路の少なくとも一部分にわたっての固体粒子と少なくとも1種の流体との接触を、前記粒子の経路に沿って連続して複数回行うことができる。前記流体は、固体粒子の循環に対して並流もしくは逆流で循環する。
【0065】
本発明の特定の実行による方法は、本質的に円形形状である管からなる少なくとも1つの振動らせんコイルの使用を含む。図2および図3は、断面で示されているこの種類の管を図示しており、加えて電熱対の可能な位置を示している。例えば金属製の前記コイルは、少なくとも2つの巻回部を含み、例えば、本質的に垂直な軸にらせんに沿って金属管を整形することにより得ることができる。中心のドラムにより、コイルにより形成されているらせんを曲がらないようにし、それを支持することができる。
【0066】
ジュール効果による加熱を備えた振動らせん運搬装置の場合、付属系により、中心ドラムから電気的にコイルを絶縁する。トランスがコイルに低圧電流を供給して、ジュール効果により、管の金属材料を例えば20〜1000℃の温度に直接加熱することを可能にする(既に示したとおり、温度および他の操作条件は、硫化/予備硫化反応の操作条件により決定される)。通常、このような加熱系の実行は、コイルに沿って多数の電気的タップポイントを必要とする。安全性の理由で、所望の、通常は低い出力、例えば、50V未満が放出される電圧で、十分である。
【0067】
本発明の特定の実行による方法は、図3に示されている通りの扁平な形状または閉鎖トラフである管からなる少なくとも1つの振動らせんコイルの使用を含む。
【0068】
本発明の特定の実行による方法は、冷却剤の循環を含む系を備えたらせん運搬装置を含む。コイルの全部または後者の単に一部分が、冷却剤と接触していればよい。所望の製品品質を得るために最大温度の制約を受ける発熱反応の場合には、温度を監視するために固体触媒または吸着剤粒子を冷却するように、この流体を設計することができる。この流体は、水であるか、または0℃未満の温度に達し得る水溶液または慣用的に使用される任意の他の冷却剤であってよい。また、所望の製品品質を得るための特定の温度条件で反応を実施するために、固体の触媒または吸着剤粒子を加熱するように、この流体を設計することができる。一部の場合には、この系は、電気加熱が好ましいことがある。冷却剤は、蒸気であっても、または慣用的に使用される任意の他の加熱流体であってもよい。
【0069】
任意の適切なレベルに、例えば、ドラムの底部または頂部に設置されているか、またはコイル周囲の他の所に位置する少なくとも1つの系により、振動を生じさせることができる。使用することができる系には、次の系が判明している。不平衡モーター、電磁振動(パルスの生成を伴って、変動サイクルにより励起される)および不平衡励起。好ましくは、中心ドラムに対する支持として使用されるテーブルにより振動を生じさせ、その際、前記テーブルを2個の不平衡モーターにより作動させる。
【0070】
常に例ではあるが、本発明による方法により変換される固体粒子は、10μm(マイクロメーター)〜10mm(ミリメーター)、さらには100μm〜5mmの粒径を有する。
【0071】
前記固体触媒または吸着剤粒子は好ましくは、球、押出物またはペレットである。
【0072】
本発明による装置は、下記を含み得る。
【0073】
(a)垂直軸にらせん状に巻かれていて少なくとも2つの巻回部を含む少なくとも1つのコイルおよび中心ドラムを備えた管。この管は、金属、好ましくは鋼製であってよい。前記コイルは、1〜200mの展開長さを有し、前記コイルにより形成されるらせんの高さは通常、0.1〜20mである。水平に対するコイルの傾きを測定するコイルの振り上がり角度は、1〜10°、好ましくは1〜5°、さらに好ましくは1〜4°である。コイルの断面は、コイルが管の場合には本質的に円形であってよい。前記管は通常、10〜300mmの直径(または対角線)を有するが、500mmの直径さえ有する。コイルが管である本発明による装置の場合、前記管の直径の選択は、1時間当たりの質量流量、固体粒子のコイル中での滞留時間および、本発明による好ましい振動系の場合には、不平衡モーターの出力を包含する系の様々な他のパラメーターに関係している。コイルの断面は、図2に示されている通り、むしろ円形の形状であるか、または図3に示されている通り、むしろ扁平であってよい。
【0074】
(b)上方運動の場合にはコイルの下部末端に、または下方運動の場合にはコイルの上部末端に開口部を有する、固体粒子を導入するための少なくとも1つの側面ホース。
【0075】
(c)上方運動の場合にはコイルの上部末端に、または下方運動の場合にはコイルの下部末端に開口部を有する、前記粒子を引き抜くための少なくとも1つの側面ホース。
【0076】
(d)流体がコイルの少なくとも1つの巻回部中を循環するような、少なくとも1種の反応性流体を導入するための少なくとも1つの側面ホースおよび流体反応生成物を引き抜くための側面ホース。この種のホースの数は好ましくは、2〜10本、さらにより好ましくは3〜5本である。流体は、固体粒子の循環方向に対して並流で、または逆流で循環する。流体流速(導入または放出される流体)は、運搬される固体粒子の種類に基づき選択する。主に小さい粒子では、その循環方向に応じて、粒子を加速するか、破壊するので、この流れを考慮することが必要である。詳細には、逆流で循環する流体流は、装置を詰まらせる危険を冒す。例えば、1.6mmに等しい粒径を有する砂粒子では、逆流で循環する気体反応性流速は、装置を適正に操作するために、2m/秒未満であるべきである。
【0077】
(e)無次元加速定数、加速の垂直成分と重力加速度との比が特に0〜4、好ましくは1.2〜3.5、さらに好ましくは1〜3であり、粒子の進行速度が例えば、0.05〜0.5m/秒、好ましくは0.1〜0.4m/秒、さらに好ましくは0.1〜0.3m/秒であり、1時間当たりの粒子の質量流量が例えば、1kg/時〜50トン/時、好ましくは5kg/時〜10トン/時であるように、ドラム−コイルユニットに振動を付与する手段。
【0078】
本発明による好ましい実行では、中心ドラムに対する支持として使用されていて、2個の不平衡モーターにより作動するテーブルにより、振動を生じさせる。この場合、所定のモーター勾配および振り上がり角度での無次元加速定数に比例する速度で、コイルの内側を運搬される固体粒子は前進する。無次元加速定数は、所定の系での不平衡の間隔およびその回転速度に左右される。1〜3.5、好ましくは1.2〜3.5または他には1〜3の前記定数の変動で、粒子の前進速度は典型的には、0.1〜0.3m/秒である。したがって、不平衡の間隔、モーターの傾きまたはモーターの回転速度に影響を及ぼすことにより、前記速度を容易に調節することができる。1時間当たりの粒子の体積流量に関しては、これは、無次元振動定数に左右されるが、また、コイルを形成する管の直径にも左右される。
【0079】
好ましくは、上方運動の場合、前記粒子を導入するための側面ホースは、コイルの下部末端に開口部を有し、前記粒子を引き出すための側面ホースは、コイルの上部末端に開口部を有し、下方運動の場合、前記固体粒子を導入するための側面ホースは、コイルの上部末端に開口部を有し、前記粒子を引き出すための側面ホースは、コイルの下部末端に開口部を有する。
【0080】
ロータリーキルンに対する本発明の技術の利点
発熱反応における温度のより良好な監視、熱量の排出のより大きな可能性。
【0081】
粒子外および粒子内拡散の改善を可能にする非常に良好な気固接触。
【0082】
短い滞留時間での硫化の可能性。滞留時間の完璧な監視。ピストン型固体の良好な流れ。
【0083】
ガス流速/固体流速比のより良好な局地的監視(任意の固体粒子で全てのポイントで)、したがって、より均一で、より特異的な硫化。
【0084】
低い損耗率、微細な粒子の作成。
【0085】
気相のHS量を低下させる、装置の一部での硫化の可能性。地方法が、認可を特異的に要求する前に、「即時t」(「at an instant t」)で工業用現場に存在するHSの最大量を10〜50kgに定めているので、このことは重要である。反応体積(または死空間)は、ロータリーキルンよりもかなり低い。
【0086】
この低い反応体積により、設備破壊の場合の脅威がより低い。
【0087】
動いている部分がなく、振動だけであり、したがって、接続の必要がなく、したがって、より限られた漏れの危険性。HSなどの危険なガスでは重要。
【0088】
現在のいわゆる「プロセス強化」傾向により、低い空間要求、低い設置経費、僅かな維持。
【0089】
流動床に対する本発明の技術の利点
これらの発熱反応における温度のより良好な監視、気相だけでなく、金属壁を介してのより大きな熱量の排出可能性。
【0090】
ガス流速/固体流速比のより良好な局地的監視(任意の粒子で、いずれのポイントでも)、したがって、より均一、より特異的な硫化。
【0091】
滞留時間;ピストン型固体の流れのより良好な監視。
【0092】
相互および壁への粒子の衝撃により、流動床では、摩耗(微細な粒子の生成)が往々にして高い。これは、振動運搬装置では低い。
【0093】
Sを含有する危険な混合物の場合、流動床は高いガス流速を使用する。流動床では、ガスは、試薬と粒子を運動させる油圧担体との両方であるので、高い線速度と、したがって高い気体流速が必要。一般に、再循環を伴うガス回路が必要であり、このことが、危険なガスの場合には、設置を複雑にする。
【0094】
反応の化学量論にほぼ対応するガス量を、振動運搬装置は使用する。ガス流速は低く、経費および安全性に関して利点をもたらす。気体流出物をそのまま、設備〜出して処理することができる(例えば、焼却により)。
【0095】
設備の体積が低く、ガス流速が遅いので、設備破壊の場合に、より低いHSE危険性。
【0096】
現在のいわゆる「プロセス強化」傾向により、低い空間要求、低い設置経費。
【実施例1】
【0097】
コバルトおよびモリブデンを含有する触媒粒子の硫化
アルミナに担持されている酸化モリブデンMoO24重量%および酸化コバルトCoO4.5重量%〜なる石油留分を水素化処理するための触媒を、下記の条件下で、硫化水素および水素の混合物を使用して予備硫化する。
【0098】
反応器は、振動し加熱されるらせん運搬装置であり、これは、次の特性を有する。27コイルに巻かれている直径114mm、全長127mの管。触媒流速を80kg/時に調節する。これらの条件下で、振動管中での平均滞留時間は、35分である。ガスHSの流速は、20m/時であり、Hの流速は、80m/時である。この混合物を、管に沿っても分布している3つの帯域に注入する。電気加熱のための4つの独立した帯域により、上昇温度プロファイルを得ることができ、その平均値は、81、225、340、278℃である。
【0099】
最終生成物の硫黄含分は11.6%であり、これは、硫化コバルトCoおよび硫化モリブデンMoSの理論的化学量論に対して94%の硫化レベルに対応し、したがって、相対的に短い滞留時間にも関わらず、触媒が十分に硫化されたことを示している。
【実施例2】
【0100】
銅を含有する粒子の硫化
アルミナに担持されている酸化銅を含有する生成物(CuO含分:13.9重量%)を、硫化処理に掛ける。所望の反応は次の通りである。
【0101】
CuO+HS⇔CuS+H
これを、HS/N混合物下で実施することができる。これは非常に発熱性であり、この試験で加熱されないのが、装置の一部のみであるならば、実施例1と同じ振動らせん運搬装置中で実施する。
【0102】
生成物流速を、140kg/時に調節する。これらの条件下で、振動管中での平均滞留時間は、27分である。硫化水素HSガスの流速は、7.2m/時であり、窒素の流速は、18m/時である。この混合物を、管に沿っても分布している3つの帯域に注入する。平均温度プロファイルは次の通りである:85、138、154、159℃である。
【0103】
最終生成物は非常に均一な黒色を有する。その硫黄含分は、6.0重量%であり、CuSに対応する理論化学量論の105%であり、これは非常に満足である。相対的に高い生成物流速にも関わらず、生成物は、一方では、よく硫化されており、他方では、その温度は、良好な品質を可能にするために求められる温度に十分に限られていた。
【実施例3】
【0104】
加熱されないコイル中でのコバルトおよびモリブデンを含有する触媒粒子の硫化
500℃で測定して18.5重量%の燃焼損失を伴う、アルミナに担持されている酸化モリブデンMoO24重量%および酸化コバルトCoO4.5重量%〜なる石油留分を水素化処理するための触媒を、下記の条件下で、硫化水素および水素の混合物を使用して予備硫化する。
【0105】
反応器は、振動し加熱されないらせん運搬装置であり、これは、次の特性を有する:27コイルに巻かれている直径114mm、全長127mの管。触媒流速を250kg/時に調節する。これらの条件下で、振動管中での平均滞留時間は、35分である。HSのガス流速は、41m/時であり、Hの流速は、21.6m/時である。混合物を、管に沿っても分布している3つの帯域に注入する。最も熱い帯域での平均温度は、225℃である。この温度は、反応の発熱および触媒および反応性ガスの相対的に高い流速により達成される。
【0106】
最終生成物の硫黄含分は9.7%であり、これは、硫化コバルトCoおよび硫化モリブデンMoSの理論的化学量論に対して79%の硫化率に対応し、したがって、相対的に短い滞留時間にも関わらず、触媒が正確に硫化されていることを示している。
【0107】
少なくとも300℃が活性ラジカルを形成するためには必要であることが往々にして認められることが分かっているので、活性ラジカルの形成は、この温度レベルではおそらく完了しない。それにも関わらず、方法は、その利点を十分に、即ち、すぐに使用できる触媒を使用する利点を維持している。硫化物相の理論レベルの79%に相当するその硫黄量により、水素化処理の大部分の用途において、液体供給原料および水素下で、水素化処理を開始することができ、活性相は、使用し始めて数時間以内に自然に終了するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒または吸着剤の固体粒子の多孔に硫黄を組み込む方法であって、純粋であるか、または水素または窒素中で希釈されている硫化水素の存在下でオフサイトで実施し、少なくとも1つの振動らせんコイルを含む硫黄組み込み帯域で、前記粒子を上昇または下降させ、その際、前記粒子を温度プロファイルに掛ける方法。
【請求項2】
経路の末端で、前記粒子を冷却剤により冷却する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記粒子を、前記粒子の運動方向へと上昇するか、低下する温度プロファイルに掛ける、請求項1または2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記コイルを加熱しない、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記温度が20〜500℃、好ましくは20〜250℃である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
金属のコバルト、モリブデン、ニッケルおよびタングステンの少なくともいずれか1種を含有する触媒または吸着剤の硫化に適用される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも銅、銀または金を含有する触媒または吸着剤の硫化に適用される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記硫黄組み込み帯域が、管と、固体粒子を導入するための少なくとも1つの側面ホースと、前記粒子を引き抜くための少なくとも1つの側面ホースと、流体がコイルの少なくとも1つの巻回部中を循環するような、少なくとも1種の流体を導入するための少なくとも1つの側面ホースおよび少なくとも前記流体を引き抜くための側面ホースと、ドラム−コイルユニットに振動を付与する手段とを備えており、
(a)前記管は、少なくとも1つのコイルを有しており、前記コイルは、少なくとも2つの巻回部を備えており、前記巻回部は、垂直軸および中心ドラムにらせん状に巻かれており、前記管は、金属製、好ましくは鋼製よりなり、前記コイルは、200m未満の展開長さを有し、前記コイルにより形成されるらせんの高さは、20m未満であり、水平に対する前記コイルの傾きを測定する前記コイルの振り上がり角度が、1〜10°、好ましくは1〜5°であり、前記コイルの横断面は、前記コイルが管の場合には本質的に円形であり、その直径が10〜300mmであり、
(b)固体粒子を導入するための前記側面ホースは、上方運動の場合には前記コイルの下部末端に、または下方運動の場合には前記コイルの上部末端に開口部を有しており、
(c)前記粒子を引き抜くための前記側面ホースは、上方運動の場合には前記コイルの上部末端に、または下方運動の場合には前記コイルの下部末端に開口部を有しており、
(d)流体がコイルの少なくとも1つの巻回部中を循環するような、少なくとも1種の流体を導入するための前記側面ホースおよび少なくとも前記流体を引き抜くための側面ホースの数は、好ましくは、2〜10本であり、流体が、前記固体粒子の循環方向に対して並流で、または逆流で循環させられ、
(e)ドラム−コイルユニットに振動を付与する前記手段において、無次元加速定数、加速の垂直成分と重力加速度との比が特に0〜4であり、粒子の前進速度が例えば、0.05〜0.5m/秒であり、1時間当たりの固体粒子の質量流量が、1kg/時〜50トン/時であるようになされている、
請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法を実行するための装置。
【請求項9】
前記ドラム−コイルユニットに振動を付与する前記手段が、2個の不平衡モーターにより作動する振動テーブル〜なる、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
上方運動の場合、前記固体粒子を導入するための前記側面ホースが、前記コイルの下部末端に開口部を有し、前記粒子を引き出すための前記側面ホースが、前記コイルの上部末端に開口部を有し、下方運動の場合、前記固体粒子を導入するための前記側面ホースが、前記コイルの上部末端に開口部を有し、前記粒子を引き出すための前記側面ホースが、前記コイルの下部末端に開口部を有する、請求項8〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記コイルが金属であり、本質的に管の形状である、請求項8〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記コイルが金属であり、扁平な形状である、請求項8〜11のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−523586(P2011−523586A)
【公表日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508966(P2011−508966)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【国際出願番号】PCT/FR2008/000695
【国際公開番号】WO2009/138577
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(303059484)ウールカ エス アー (4)
【Fターム(参考)】