説明

触媒劣化診断装置

【課題】コスト増を抑制し、触媒がどの程度劣化しているかを判定できるようにした、触媒劣化診断装置を提供する。
【解決手段】エンジン10の排気通路19に設けられ、排気通路19を流通する排気中に含まれるNOxを還元し浄化する選択還元型触媒25と、選択還元型触媒25を流通する排気中に含まれるNOxに対するNO2の比であるNO2比率を取得するNO2比率取得手段33と、選択還元型触媒25の上流側及び下流側のNOxの量に基づいて、選択還元型触媒25により還元されて浄化されるNOxの割合であるNOx浄化率を取得するNOx浄化率取得手段34と、NO2比率取得手段33により取得した前記NO2比率とNOx浄化率取得手段34により取得した前記NOx浄化率と選択還元型触媒25の温度とに基づいて選択還元型触媒25の劣化度を判定する劣化判定手段35と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気浄化装置に用いられる触媒の劣化度を判定する触媒劣化診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関(以下、エンジンともいう)、中でもディーゼルエンジンの排気中には、大気汚染物質である窒素酸化物(以下、NOxという)等が含まれている。そこで、エンジンの排気通路に、NOxを浄化するための選択還元型触媒(Selective Catalytic Reduction、以下、SCRと略称する)を設置し、還元剤としての尿素水をSCRに流入する排気中に添加することにより、SCRにおいて排気中のNOxを還元して排気を浄化するようにした技術が知られている。
【0003】
SCRは、例えば、軸方向に互いに平行な微小な穴が複数連通したハニカム構造の担体に、触媒が担持されて構成されている。このSCRを用いた排気浄化装置では、排気中に尿素水を添加する尿素水添加装置としてのノズルがSCRの上流側に設けられる。ノズルから添加される尿素水は、排気管内やSCR上で排気熱によってアンモニアに分解され、NOxの還元剤として働く。SCRの近傍のアンモニアは、一旦SCRに吸着し、このアンモニアと排気中のNOxとの間の脱硝反応がSCRによって促進されることによりNOxが窒素に還元される。
【0004】
ところで、SCRは使用を続けることで、熱などの影響により徐々に劣化していく。このような経時劣化が進行すると、NOxを還元し排気を浄化する能力、すなわちNOx浄化率が低下する。適切にNOxを還元して排気を浄化できなくなると、大気中にNOxが放出されてしまい、環境に悪影響を与えかねない。
このような課題を解決するために、下記の特許文献1には、NOx選択還元触媒(SCR)の温度とNOx排出量とから、NOx選択還元触媒の劣化によりNOx浄化率が低下したか否かを判断することができる、内燃機関の異常検出装置が提案されている。この異常検出装置は、触媒温度に対するNOx浄化率の変化パターンにより、NOx浄化率の低下が、NOx選択還元触媒が劣化したことが原因なのか、或いは、尿素水の供給量又は質に異常が生じたことが原因なのかを判断するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−138626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の特許文献1に記載の異常検出装置は、予め定められた規定値を越えたか否かによってNOx選択還元触媒が劣化しているかを判断するものである。つまり、NOx選択還元触媒がどの程度劣化しているかは判定することができず、あとどの程度使用可能なのか、いつ頃交換が必要なのか等の情報までは得られない。
本発明はこのような課題に鑑み案出されたもので、触媒がどの程度劣化しているかを判定できるようにした、触媒劣化診断装置を提供することを目的とする。
【0007】
さらに、NOxセンサを用いて判定を行うことにより、コスト増を抑制した、触媒劣化診断装置を提供することも併せて目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の触媒劣化診断装置は、エンジンの排気通路に設けられ、前記排気通路を流通する排気中に含まれるNOxを還元し浄化する選択還元型触媒と、前記選択還元型触媒の下流側に設けられ、前記選択還元型触媒を通過した排気中に含まれるNOxの量である第一NOx値を検出する第一NOxセンサと、前記エンジンから排出された後の排気中に含まれるNOxの量であるエンジンアウトNOx値を取得するエンジンアウトNOx値取得手段と、前記選択還元型触媒を流通する排気中に含まれるNOxに対するNO2の比であるNO2比率を取得するNO2比率取得手段と、前記選択還元型触媒の上流側及び下流側のNOxの量に基づいて、前記選択還元型触媒により還元されて浄化されるNOxの割合であるNOx浄化率を取得するNOx浄化率取得手段と、前記NO2比率取得手段により取得した前記NO2比率と前記NOx浄化率取得手段により取得した前記NOx浄化率と前記選択還元型触媒の温度とに基づいて前記選択還元型触媒の劣化度を判定する劣化判定手段と、を備えることを特徴としている。
【0009】
前記NO2比率取得手段は、前記第一NOxセンサにより検出される前記第一NOx値と前記エンジンアウトNOx値取得手段により取得される前記エンジンアウトNOx値とに基づいて前記NO2比率を取得することが好ましい。
或いは、前記エンジンの前記排気通路であって、前記エンジンの下流側で前記選択還元型触媒の上流側に設けられた酸化触媒と、前記酸化触媒の下流側で前記選択還元型触媒の上流側に設けられ、前記選択還元型触媒に流入する排気中に含まれるNOxの量である第二NOx値を検出する第二NOxセンサと、をさらに備え、前記NO2比率取得手段は、前記第二NOxセンサにより検出される前記第二NOx値と前記エンジンアウトNOx値取得手段により取得される前記エンジンアウトNOx値とに基づいて前記NO2比率を取得することが好ましい。
【0010】
また、前記エンジンアウトNOx値取得手段は、予め設定した前記エンジンの回転数と前記エンジンの負荷と前記エンジンアウトNOx値との対応関係を示すマップにより、前記エンジンアウトNOx値を取得することが好ましい。
また、前記酸化触媒の上流側に設けられ、前記エンジンから排出された後の前記排気中に含まれる前記エンジンアウトNOx値を検出するエンジンアウトNOxセンサをさらに備え、前記エンジンアウトNOx値取得手段は、前記エンジンアウトNOxセンサにより前記エンジンアウトNOx値を取得することが好ましい。
【0011】
また、前記劣化判定手段による判定の結果を報知する報知手段をさらに備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の触媒劣化診断装置によれば、選択還元型触媒の下流側に設けられた第一NOxセンサにより選択還元型触媒の劣化度を判定することができるため、簡素な構成で触媒がどの程度劣化しているかの判定が可能であり、触媒劣化による排気の悪化を事前に抑制するだけでなく、触媒の劣化度の状態に応じた制御もでき、常にクリーンな排気を保つことができる。
【0013】
また、選択還元型触媒の下流側に設けられた第一NOxセンサによりNO2比率を取得する場合、コスト増を抑制し、簡素な構成で劣化判定を実施することができる。
また、酸化触媒の下流側で選択還元型触媒の上流側に設けられた第二NOxセンサによりNO2比率を取得する場合、選択還元型触媒によって浄化されるNOxの影響を考慮する必要がなく、容易にNO2比率を取得することができる。
【0014】
また、エンジンアウトNOx値をマップから取得する場合、コスト増を抑制し、簡素な構成で劣化判定を実施することができる。
また、エンジンアウトNOx値をセンサにより検出する場合、NOx浄化率及びNO2比率をより正確に取得することができ、判定精度を向上させることができる。
また、選択還元型触媒の劣化度を、例えばドライバに報知する手段を設ける場合、ドライバに対して、メンテナンスや選択還元型触媒の交換を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第一及び第二実施形態にかかる触媒劣化診断装置が適用された排気浄化装置を示す模式的な全体構成図である。
【図2】本発明の第一及び第二実施形態にかかる触媒劣化診断装置で用いる内燃機関の運転状態と排気中に含まれるNOxの量との関係を示すマップ(エンジンアウトNOxマップ)である。
【図3】本発明の第一及び第二実施形態にかかる触媒劣化診断装置で用いるNOxセンサの特性を示すマップ(NOxセンサ特性マップ)である。
【図4】本発明の第一及び第二実施形態にかかる触媒劣化診断装置で用いるNO2比率と触媒温度とNOx浄化率との関係を示すマップ(劣化判定マップ)であり、図4(a)は劣化度が小さいもの、図4(b)は劣化度がほぼ中間のもの、図4(c)は劣化度が大きいものを示す。
【図5】本発明の第一実施形態にかかる触媒劣化診断装置による診断方法を示す制御フローである。
【図6】本発明の第二実施形態にかかる触媒劣化診断装置による診断方法を示す制御フローである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して開示の触媒劣化診断装置について説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。
【0017】
[1.第一実施形態]
[1−1.全体構成]
本実施形態にかかる触媒劣化診断装置について、図1〜図5を用いて説明する。本実施形態にかかる触媒劣化診断装置は、車両だけでなくエンジンを搭載した乗り物、例えば船舶等に適用することも可能であるが、ここでは、一般的な乗用車やトラック,バス等の車両に適用した例で説明する。
【0018】
図1に示すように、エンジン10は、ここでは直列6気筒機関のディーゼルエンジンとして構成されている。エンジン10の各気筒には燃料噴射弁11が設けられ、各燃料噴射弁11はコモンレール12から加圧燃料を供給され、開弁に伴って対応する気筒の筒内に燃料を噴射する。なお、エンジン10はガソリンエンジンでもよく、気筒数はこれに限定されない。また、図1では車両の前方側(フロント)にエンジン10が搭載され、車両の後方側(リヤ)へ向かって排気が流れるように構成されているが、車両への配置はこれに限定されない。
【0019】
エンジン10の吸気側には吸気マニホールド13が装着され、吸気マニホールド13に接続された吸気通路14には、上流側よりエアクリーナ15,ターボチャージャ16のコンプレッサ16a及びインタークーラ17が設けられている。また、エンジン10の排気側には排気マニホールド18が装着され、排気マニホールド18には、コンプレッサ16aと同軸上に連結されたターボチャージャ16のタービン16bが接続されている。タービン16bには排気通路19が接続され、排気通路19は車両の後方に向けて延設されている。この排気通路19の途中に、排気浄化装置20が設けられている。
【0020】
[1−2.排気浄化装置の構成]
排気浄化装置20は、排気上流側に設けられた上流側排気浄化装置21と、上流側排気浄化装置21の排気下流側に設けられた下流側排気浄化装置22と、上流側排気浄化装置21及び下流側排気浄化装置22の間に設けられた尿素水添加ノズル28とを有している。なお、上流側排気浄化装置21及び下流側排気浄化装置22はそれぞれ筒状のケーシング内に、その軸方向に触媒等が配設されて排気が流れるよう構成されており、上流側排気浄化装置21及び下流側排気浄化装置22は、排気が直線状に流れるように設置されている。
【0021】
上流側排気浄化装置21は、上流側に配置される前段酸化触媒(Diesel Oxidation Catalyst、以下、DOCと略称する)23と、下流側に配置されるパティキュレートフィルタ(Diesel Particulate Filter、以下、DPFと略称する)24とを内蔵する。なお、以下、上流側排気浄化装置21をDPF装置21という。
このDPF装置21は、排気中に含まれる粒子状物質(Particulate Matter、以下、PMと略称する)を捕集する機能と、捕集したPMを連続的に酸化させて除去する機能とを併せ持つ。なお、PMとは、炭素からなる黒煙(すす)の周囲に燃え残った燃料や潤滑油の成分,硫黄化合物等が付着した粒子状の物質である。
【0022】
DOC23は、排気中の成分に対する酸化能を持った酸化触媒であり、金属,セラミックス等からなるハニカム状の担体に触媒物質を担持したものである。DOC23によって酸化される排気中の成分には、NOや未燃燃料中の炭化水素等及び一酸化炭素が挙げられる。例えば、NOがDOC23で酸化されるとNO2が生成される。
DPF24は、PMを捕集する多孔質フィルタ(例えば、セラミックフィルタ)である。DPF24の内部は、多孔質の壁体によって排気の流通方向に沿って複数に分割されている。この壁体には、PMの微粒子に見合った大きさの多数の細孔が形成される。排気が壁体の近傍や内部を通過する際に壁体内,壁体表面にPMが捕集され、排気が濾過される。このようなDPF24の再生制御は、後述するコントローラ30によって制御される。再生制御によってDPF24に捕集されたPMが除去され、DPF24が再生浄化される。
【0023】
下流側排気浄化装置22は、上流側に配置される選択還元型触媒(Selective Catalytic Reduction、以下、SCRと略称する)25と、その下流側に配置される後段酸化触媒(Clean Up Catalyst、以下、CUCと略称する)26とを内蔵する。なお、以下、下流側排気浄化装置22をSCR装置22という。
SCR25は、尿素添加型の窒素酸化物選択還元型触媒であり、上流側から供給される尿素水をアンモニアに加水分解するとともにアンモニアを吸着する機能を持ち、さらに吸着したアンモニアを還元剤として排気中のNOxをN2へと還元するものである。なお、アンモニアを吸着する機能はSCR25に必須の機能ではなく、触媒の種類は任意であり、例えばゼオライト系,バナジウム系等の触媒を用いることが考えられる。
【0024】
CUC26は、SCR25での還元反応における余剰分のアンモニアを除去するための酸化触媒である。
DPF装置21とSCR装置22との間に設けられた尿素水添加ノズル28は、添加装置27により、尿素水タンク29内に貯留されている還元剤としての尿素水をSCR25に向かう排気中に噴射し添加する。この尿素水の添加量や添加のタイミングは、後述する尿素水添加制御手段31により制御される。
【0025】
[1−3.コントローラ]
コントローラ(ECU,Engine (electronic) Control Unit)30は、エンジン制御や排気浄化制御等にかかる各種演算処理を実行するCPU、その制御に必要なプログラムやデータの記憶されたROM、CPUの演算結果等が一時的に記憶されるRAM、外部との間で信号を入出力するための入出力ポート等を備えて構成されている。
【0026】
エンジン10のクランクシャフト(図示せず)の近傍には、エンジン回転数を検出する図示しないエンジン回転数センサが設けられ、車両の任意の位置には、運転者によるアクセルペダルの操作量(アクセル開度)を検出する図示しないアクセル開度センサが設けられている。
SCR装置22には、SCR25の上流側に排気温度を検出する温度センサ42が設けられており、SCR25に流入する排気の温度を検出する。この排気温度は、SCR25の触媒温度とみなして利用する。また、SCR装置22の下流側の排気通路19には、NOxセンサ(第一NOxセンサ)41が設けられており、DPF装置21及びSCR装置22を通過した後の排気中に含まれるNOxの量(例えば、NOx濃度,質量,モル濃度等)に対応する第一NOx値を常時検出する。
【0027】
NOxセンサ41による検出は、例えば1秒間に10回のように、一定周期で連続して行われ、この検出結果をある期間(例えば20〜30秒)積算し、積算されたNOx値を第一NOx値とする。これは、NOxセンサ41による検出結果のばらつきの影響を抑制し、判定精度を高めるためである。ただし、上記の検出方法は一例に過ぎず、周期や期間は適宜設定可能である。
【0028】
コントローラ30は、NOxセンサ41,温度センサ42,エンジン回転数センサ,アクセル開度センサ等のセンサ類や、エンジン10の各気筒の燃料噴射弁11や添加装置27等のデバイス類に接続されている。そして、各種センサによる検出結果はコントローラ30に送信され、これらの検出結果に基づいて、燃料噴射弁11や添加装置27等のデバイス類を駆動制御する。
【0029】
コントローラ30は、SCR25に向かう排気中に還元剤として添加する尿素水の量を制御する尿素水添加制御手段31としての機能要素と、エンジン10から排出された後の排気中に含まれるNOxの量であるエンジンアウトNOx値を取得するエンジンアウトNOx値取得手段32としての機能要素と、DPF装置21及びSCR装置22を通過した後の排気中に含まれるNOxの量に対するNO2の比率を取得するNO2比率取得手段33としての機能要素と、SCR25において排気中に含まれるNOxがどの程度還元され浄化されたかを表すNOx浄化率を取得するNOx浄化率取得手段34としての機能要素と、SCR25の劣化度を判定する劣化判定手段35としての機能要素とを有している。
【0030】
尿素水添加制御手段31は、尿素水添加ノズル28によりSCR25に向かう排気中に添加する還元剤としての尿素水の量や添加のタイミングを制御する。通常走行時は、SCR25においてNOxを還元し排気を浄化するために、適宜尿素水を添加するが、本触媒劣化診断装置では、特に、SCR25の劣化を判定するために一時的に尿素水の添加を停止させたり、再度添加を開始したりする制御を行う。
【0031】
エンジンアウトNOx値取得手段32は、エンジン10から排出された後でDPF装置21に流入する前の排気中に含まれるNOxの量に対応するエンジンアウトNOx値を取得する。ここで取得されるエンジンアウトNOx値の次元は前述の第一NOx値と同次元であるとする。
本実施形態では、図2に示すように、エンジン回転数センサにより検出されるエンジン回転数と、アクセル開度センサにより検出されるアクセル開度から求まるエンジン負荷(トルク)と、エンジンアウトNOx値との対応関係が記述されたマップ(以下、エンジンアウトNOxマップという)が予めコントローラ30に記憶されており、エンジン10の運転状態に応じてエンジンアウトNOx値が推定される。例えば、エンジン回転数が高回転でトルクが大きい場合は、エンジンアウトNOx値は大きな値となり、多くのNOxがエンジン10から排出されていることとなる。
【0032】
エンジンアウトNOx値取得手段32によるエンジンアウトNOx値の推定は、例えば1秒間に10回のように、NOxセンサ41による検出と同周期でエンジンアウトNOxマップより連続して推定され、これらをNOxセンサ41と同期間(例えば20〜30秒)積算し、積算されたNOx値をエンジンアウトNOx値とする。これは、上記のNOxセンサ41による検出結果のばらつきの影響を抑制し、判定精度を高めることと同様の目的によるものであるが、上記の検出方法は一例に過ぎず、周期や期間は適宜設定可能である。また、エンジンアウトNOx値は予め定められたマップから推定する方法に限られず、例えば予め定められた数式等により演算してもよい。
【0033】
NO2比率取得手段33は、SCR装置22の下流側に設けられたNOxセンサ41により、DPF装置21及びSCR装置22を通過した後の排気中に含まれるNOxの量(第一NOx値)に対するNO2の量の比率(以下、NO2比率という)を取得する。NO2比率の取得には、図3に示すNOxセンサの特性を示すマップ(以下、NOxセンサ特性マップという)が用いられ、エンジンアウトNOxマップにより取得されたエンジンアウトNOx値に対する、NOxセンサ41により取得された第一NOx値の比率から、NO2比率を取得する。NOxセンサ特性マップは、排気中のNO2がNOxセンサの出力に与える影響を調査した結果得られたマップであり、NO2比率が高くなるほどNOxセンサの出力値は低下する。
【0034】
ここで、本実施形態では、NOxセンサ41がSCR装置22の下流側に設けられているため、このNOxセンサ特性マップを用いるためには、以下の条件を要する。
〔条件A〕尿素水添加ノズル28による尿素水の添加を停止していること。
〔条件B〕SCR25にアンモニアが吸着していないこと。
上記〔条件A〕及び〔条件B〕が必要なのは、上記〔条件A〕及び〔条件B〕のいずれか一方でも満たさない場合、SCR装置22においてNOxの還元が行われてしまい、エンジンアウトNOx値と第一NOx値との値が異なってしまうため、NOxセンサの特性からNO2比率を取得することができなくなるからである。
【0035】
NOx浄化率取得手段34は、SCR25により還元されて浄化されるNOxの割合であるNOx浄化率を、エンジンアウトNOx値と第一NOx値とから下記の式(1)によって取得する。
【0036】
【数1】

ここで、NOxはエンジンアウトNOx値を、NOx1は第一NOx値を表す。
【0037】
劣化判定手段35は、NO2比率取得手段33により取得したNO2比率と、NOx浄化率取得手段34により取得したNOx浄化率と、温度センサ42により検出したSCR25の温度とに基づいて、SCR25の劣化度を判定する。
図4(a)〜図4(c)は、NO2比率とNOx浄化率と触媒温度との対応関係を示すマップ(以下、劣化判定マップという)であり、図4(a)は劣化度が小さくほぼ新品の状態(以下、劣化度小という)、図4(c)は使用可能な状態ではあるが、劣化度が大きい状態(以下、劣化度大という)、図4(b)は図4(a)と図4(c)にそれぞれ示す劣化度のほぼ中間の状態(以下、劣化度中という)を示す。なお、ここでは劣化度小,中,大の3つのマップを示しているが、劣化判定マップはこれだけに限られず、コントローラ30内のROMに劣化度をより細分化したマップを予め記憶していてもよく、例えば細分化した劣化判定マップの間を直線補間するようにしてもよい。
【0038】
ここで、SCR25が新品であるとは、触媒温度,NO2比率及び尿素水濃度がある条件の場合に、所望のNOx浄化率を得られる状態をいい、この状態を劣化度0とし、劣化度の基準とする。そして、基準である新品の状態で浄化できるNOxの量に対して、NOx浄化率の減少に応じて劣化度を小,中,大とする。
本触媒劣化診断装置では、還元剤としての尿素水は適正濃度のものを添加するものとすると、図4(a)〜図4(c)に示すように、SCR25の劣化度は、NO2比率と触媒温度とNOx浄化率の3つのパラメータにより判定することができる。
【0039】
劣化判定手段35は、例えばSCR25の触媒温度がZ[℃]で、NO2比率取得手段33により取得されたNO2比率がXで、NOx浄化率取得手段34により取得されたNOx浄化率がYであると、SCR25の劣化度は、図4(b)の劣化度中と判定する。
また、車両には、図1に示すように、ドライバにSCR25の劣化度を知らせるための表示パネル(報知手段)43やアラーム(報知手段)44が備えられている。劣化判定手段35によりSCR25の劣化度が判定されると、SCR25の劣化度を表示パネル43に表示したり、SCR25の劣化度が大きいと判定され交換が必要であれば、表示パネル43やアラーム44によりドライバにSCR25の交換を促したりして、ドライバに判定結果を知らせる。
【0040】
[1−4.作用,効果]
本実施形態にかかる触媒劣化診断装置は上述のように構成されているので、SCR25の劣化度の判定は、図5のフローチャートに従って実施することができる。下記の各ステップは、コンピュータのハードウェアに割り当てられた各機能(手段)が、ソフトウェア(コンピュータプログラム)によって動作することによって実施される。なお、NOxセンサ41によるNOx値の検出は常時行っている。
【0041】
図5に示すように、まず、ステップS10において、フラグF=0であるか否かを判定する。スタート時ではフラグF=0であるため、最初はYESルートとなりステップS20へ進み、フラグF=1の場合は、ステップS100へ進む。ステップS20において、尿素水添加制御手段31により尿素水の添加が停止されているか否かを判定し、添加を停止していればステップS30へ進み、尿素水を未だ添加している場合はリターンする。
【0042】
次に、SCR25に吸着しているアンモニアが消費したか否かを判定する(ステップS30)。この判定は、例えば、NOxセンサ41により検出される第一NOx値が所定値まで上昇したら消費完了と判定するようにしてもよく、また、尿素水の添加を停止してから所定時間経過したら消費完了と判定するようにしてもよい。いずれの場合にしても、尿素水の添加を停止すれば、SCR25に吸着していたアンモニアによりNOxの浄化が継続して行われるが、所定時間が経てば、吸着アンモニアが全てNOxの還元に用いられるため、吸着アンモニアは全て消費する。なお、ステップS20及びステップS30は、上記した〔条件A〕及び〔条件B〕を満たしているかを判定している。
【0043】
ステップS30において、吸着アンモニアが消費したと判定されれば、ステップS40に進み、NOxセンサ41によって第一NOx値を検出する(ステップS40)。一方、ステップS30において、吸着アンモニアが未だ消費していない場合はリターンする。第一NOx値は、上述したように積算した値である。
次に、エンジンアウトNOx値を取得するために、エンジン回転数及びエンジン負荷を検出し、これらに基づいて図2のエンジンアウトNOxマップからエンジンアウトNOx値を取得する(ステップS50)。そして、第一NOx値及びエンジンアウトNOx値に基づき、図3のNOxセンサ特性マップを用いてNO2比率を取得する(ステップS60)。
【0044】
NO2比率を取得した後、NOx浄化率を取得するために、尿素水添加制御手段31により再びSCR25に向かう排気中に還元剤としての尿素水を添加し(ステップS70)、タイマーを開始する(ステップS80)。そして、フラグF=1とし(ステップS90)、タイマーにより時間をカウントし、下記の式(2)のように積算していく(ステップS100)。
n←tn-1+t ・・・(2)
【0045】
ここで、添字nは現時点の制御周期を示し、n−1は前回の制御周期を示す。ステップS110において、積算された時間tnが所定時間t0を越えたか否かを判定し、所定時間t0を越えていなければリターンし、ステップS10からステップS100へ進み、繰り返す。この所定時間t0は、尿素水がSCR25に向かう排気中に添加されることによりNOxが浄化され、NOxセンサ41により検出されるNOx値が安定するまでの時間であり、実験等によって予め取得可能である。なお、尿素水を再添加してから第一NOx値を再検出する条件は、図5に示すように時間に基づいて判断する方法に限られず、例えば、NOxセンサ41により検出される第一NOx値が減少し、一定値で安定したところで第一NOx値を再検出するようにしてもよい。
【0046】
ステップS110において、積算された時間tnが所定時間t0を越えたと判定されたら、その時点の第一NOx値を再び検出する(ステップS120)。そして、タイマーを0リセットして停止させ(ステップS130)、フラグFを0リセットし(ステップS140)、エンジンの運転状態から再びエンジンアウトNOx値を取得する(ステップS150)。
【0047】
次に、ステップS120において取得した第一NOx値と、ステップS150において取得したエンジンアウトNOx値とから、NOx浄化率を算出して取得する(ステップS160)。また、温度センサ42からSCR25の温度を検出し(ステップS170)、NO2比率とNOx浄化率と触媒温度とから、SCR25の劣化度を判定する(ステップS180)。そして、判定結果を表示パネル43に表示したり、劣化度が高く交換が必要な場合等は表示パネル43に加え、アラーム44を鳴らしたりして、ドライバに報知する(ステップS190)。
【0048】
したがって、本触媒劣化診断装置によれば、SCR装置22の下流側に設けられたNOxセンサ41とエンジンアウトNOxマップとからそれぞれ取得した第一NOx値及びエンジンアウトNOx値に基づいてNO2比率とNOx浄化率とを取得し、取得したNO2比率及びNOx浄化率と触媒温度とによりSCR25の劣化度を判定することができるため、簡素な構成で触媒がどの程度劣化しているか判定できる。これにより、触媒劣化による排気の悪化を事前に抑制するだけでなく、触媒の劣化度の状態に応じた制御もでき、常にクリーンな排気を保つことができる。
【0049】
また、SCR装置22の下流側に設けられたNOxセンサ41によりNO2比率とNOx浄化率とを取得するため、コスト増を抑制し、簡素な構成で劣化判定を実施することができる。また、表示パネル43及びアラーム44により、SCR25の劣化度を乗員に報知することで、メンテナンスやSCR25の交換を促すことができる。
[1−5.変形例]
上記実施形態では、エンジンアウトNOx値取得手段32は、図2に示すエンジンアウトNOxマップからエンジンアウトNOx値を取得したが、エンジンアウトNOx値の取得方法はこれに限られず、例えば、図1中に二点鎖線で示すように、エンジン10の排気通路19であって、DPF装置21の上流側にエンジンアウトNOx値を検出するNOxセンサ(以下、エンジンアウトNOxセンサという)61を設けてもよい。
この場合は、NOx浄化率及びNO2比率をより正確に取得することができるため、SCR25の劣化度の判定精度を向上させることができる。
【0050】
[2.第二実施形態]
[2−1.構成]
次に、本発明の第二実施形態にかかる触媒劣化診断装置について、図6も加えて説明する。本実施形態の触媒劣化診断装置は、尿素水添加制御手段31及びNO2比率取得手段33に関連する部分を除いて第一実施形態のものと同様に構成されているため、第一実施形態のものと対応する要素については、第一実施形態の説明と同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0051】
本触媒劣化診断装置は、図1中に一点鎖線で示すように、DPF24の下流側であってSCR25の上流側にNOxセンサ(以下、第二NOxセンサという)51が設けられ、SCR25に流入する排気中に含まれるNOxの量である第二NOx値を検出する。つまり、本実施形態では、SCR25の上流側と下流側の両方のNOx値を検出することができる構成となっている。なお、ここで検出される第二NOx値の次元は、前述の第一NOx値と同次元であるとする。
【0052】
本触媒劣化診断装置におけるNO2比率取得手段33は、SCR25の上流側に設けられた第二NOxセンサ51により、SCR25に流入する前の排気中に含まれるNOxの量(第二NOx値)に対するNO2の量の比率を取得する。NO2比率の取得には、上記第一実施形態と同様、図3に示すNOxセンサ特性マップが用いられ、エンジンアウトNOxマップにより取得されたエンジンアウトNOx値に対する第二NOx値の比率からNO2比率を取得する。つまり、本実施形態では、SCR25の影響を受けずにNO2比率を取得することができるため、尿素水添加制御手段31は、特に制御を行う必要がなく、また、上述した〔条件A〕及び〔条件B〕を満たす必要もない。
【0053】
NOx浄化率取得手段34は、上記第一実施形態と同様、エンジンアウトNOx値と第一NOx値とから上記した式(1)により算出して取得し、SCR25の温度も、上記第一実施形態と同様、温度センサ42により検出する。すなわち、SCR25の劣化判定に用いる3つのパラメータのうち、本実施形態ではNO2比率の取得のみ上記第一実施形態と異なる。
【0054】
[2−2.作用,効果]
本実施形態にかかる触媒劣化診断装置は上述のように構成されているので、SCR25の劣化度の判定は、図6のフローチャートに従って実施することができる。
図6に示すように、ステップT10において、NOxセンサ41により第一NOx値を検出し、ステップT20において、第二NOxセンサ51により第二NOx値を検出し、ステップT30において、エンジンアウトNOxマップからエンジンアウトNOx値を取得する。また、温度センサ42により、SCR25の温度を検出する(ステップT40)。
【0055】
次に、取得した第二NOx値及びエンジンアウトNOx値から、図3に示すNOxセンサ特性マップを用いてNO2比率を取得する(ステップT50)。また、取得した第一NOx値及びエンジンアウトNOx値から、上記した式(1)を用いてNOx浄化率を取得する(ステップT60)。そして、これら取得したNO2比率,NOx浄化率及び触媒温度から、図4に示す劣化判定マップを用いてSCR25の劣化度を判定し(ステップT70)、判定結果を表示パネル43に表示したり、劣化度が高く交換が必要な場合等は表示パネル43に加え、アラーム44を鳴らしたりして、ドライバに報知する(ステップT80)。
【0056】
したがって、本触媒劣化診断装置によれば、SCR25の上流側及び下流側に設けられた2つのNOxセンサ41,51とエンジンアウトNOxマップとから、NOx浄化率及びNO2比率を取得し、取得したNO2比率及びNOx浄化率と、温度センサ42により検出した触媒温度とによりSCR25の劣化度を判定することができるため、触媒がどの程度劣化しているかを精度良く判定することができる。これにより、触媒劣化による排気の悪化を事前に抑制するだけでなく、触媒の劣化度の状態に応じた制御もでき、常にクリーンな排気を保つことができる。
【0057】
また、SCR25の上流側の第二NOxセンサ51によりNO2比率を取得するため、SCR25にアンモニアが吸着していてもよく、SCR25に向かう排気中に尿素水を添加していても劣化判定をすることができる。つまり、SCR25の影響を考慮する必要がないため、上述した〔条件A〕及び〔条件B〕を満たす必要もない、尿素水の添加制御を行う必要もなく、劣化判定の制御をよりシンプルにすることができ、判定条件が緩和される。
また、表示パネル43及びアラーム44により、SCR25の劣化度を乗員に報知することで、メンテナンスやSCR25の交換を促すことができる。
【0058】
[2−3.変形例]
上記第二実施形態では、エンジンアウトNOx値取得手段32は、図2に示すエンジンアウトNOxマップからエンジンアウトNOx値を取得したが、エンジンアウトNOx値の取得方法はこれに限られず、例えば、図1中に二点鎖線で示すように、エンジン10の排気通路19であって、DPF装置21の上流側にエンジンアウトNOx値を検出するNOxセンサ(以下、エンジンアウトNOxセンサという)61を設けてもよい。
この場合は、NOx浄化率及びNO2比率をより正確に取得することができるため、SCR25の劣化度の判定精度をさらに向上させることができる。
【0059】
[3.その他]
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
【0060】
上記実施形態では、エンジンアウトNOx値取得手段32は、エンジンアウトNOxマップ及びエンジンアウトNOxセンサ61のいずれか一方によりエンジンアウトNOx値を取得しているが、マップ及びセンサの両方を用いてエンジンアウトNOx値を取得するようにしてもよい。例えば、どちらか一方で他方の取得結果を検算するように構成してもよく、それぞれの検出結果を平均化してもよい。マップ及びセンサの両方を用いることにより、より正確なエンジンアウトNOx値を取得することが可能となる。
【0061】
また、本触媒劣化診断装置は、DPF装置21を備えない車両等にも適用可能である。
また、上記実施形態では、NO2比率は、第一NOx値又は第二NOx値と、エンジンアウトNOx値とに基づいて、図3のNOxセンサ特性マップから取得する手段を説明したが、NO2比率の取得方法はこれに限定されない。例えば、NOのみの量を検出するNOセンサと、NO及びNO2の量をともに検出するNOxセンサとを用いてNO2比率を推定,算出してもよい。または、NO2分析計を用いてNO2比率を把握する構成としてもよい。排気中のNO2比率を把握することで、上記した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0062】
10 エンジン
19 排気通路
20 排気浄化装置
21 DPF装置(上流側排気浄化装置)
22 SCR装置(下流側排気浄化装置)
23 前段酸化触媒(DOC)
24 ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF,パティキュレートフィルタ)
25 選択還元型触媒(SCR)
26 後段酸化触媒(CUC)
27 添加装置
28 尿素水添加ノズル
29 尿素水タンク
30 コントローラ(ECU)
31 尿素水添加制御手段
32 エンジンアウトNOx値取得手段
33 NO2比率取得手段
34 NOx浄化率取得手段
35 劣化判定手段
41 NOxセンサ(第一NOxセンサ)
42 温度センサ
43 表示パネル(報知手段)
44 アラーム(報知手段)
51 NOxセンサ(第二NOxセンサ)
61 エンジンアウトNOxセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの排気通路に設けられ、前記排気通路を流通する排気中に含まれるNOxを還元し浄化する選択還元型触媒と、
前記選択還元型触媒の下流側に設けられ、前記選択還元型触媒を通過した排気中に含まれるNOxの量である第一NOx値を検出する第一NOxセンサと、
前記エンジンから排出された後の排気中に含まれるNOxの量であるエンジンアウトNOx値を取得するエンジンアウトNOx値取得手段と、
前記選択還元型触媒を流通する排気中に含まれるNOxに対するNO2の比であるNO2比率を取得するNO2比率取得手段と、
前記選択還元型触媒の上流側及び下流側のNOxの量に基づいて、前記選択還元型触媒により還元されて浄化されるNOxの割合であるNOx浄化率を取得するNOx浄化率取得手段と、
前記NO2比率取得手段により取得した前記NO2比率と前記NOx浄化率取得手段により取得した前記NOx浄化率と前記選択還元型触媒の温度とに基づいて前記選択還元型触媒の劣化度を判定する劣化判定手段と、を備える
ことを特徴とする、触媒劣化診断装置。
【請求項2】
前記NO2比率取得手段は、前記第一NOxセンサにより検出される前記第一NOx値と前記エンジンアウトNOx値取得手段により取得される前記エンジンアウトNOx値とに基づいて前記NO2比率を取得する
ことを特徴とする、請求項1記載の触媒劣化診断装置。
【請求項3】
前記エンジンの前記排気通路であって、前記エンジンの下流側で前記選択還元型触媒の上流側に設けられた酸化触媒と、
前記酸化触媒の下流側で前記選択還元型触媒の上流側に設けられ、前記選択還元型触媒に流入する排気中に含まれるNOxの量である第二NOx値を検出する第二NOxセンサと、をさらに備え、
前記NO2比率取得手段は、前記第二NOxセンサにより検出される前記第二NOx値と前記エンジンアウトNOx値取得手段により取得される前記エンジンアウトNOx値とに基づいて前記NO2比率を取得する
ことを特徴とする、請求項1記載の触媒劣化診断装置。
【請求項4】
前記エンジンアウトNOx値取得手段は、予め設定した前記エンジンの回転数と前記エンジンの負荷と前記エンジンアウトNOx値との対応関係を示すマップにより、前記エンジンアウトNOx値を取得する
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の触媒劣化診断装置。
【請求項5】
前記酸化触媒の上流側に設けられ、前記エンジンから排出された後の前記排気中に含まれる前記エンジンアウトNOx値を検出するエンジンアウトNOxセンサをさらに備え、
前記エンジンアウトNOx値取得手段は、前記エンジンアウトNOxセンサにより前記エンジンアウトNOx値を取得する
ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の触媒劣化診断装置。
【請求項6】
前記劣化判定手段による判定の結果を報知する報知手段をさらに備える
ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の触媒劣化診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−36857(P2012−36857A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178837(P2010−178837)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(303002158)三菱ふそうトラック・バス株式会社 (1,037)
【Fターム(参考)】