説明

触媒担体および排ガス浄化用触媒

【課題】ロジウムの使用量を低減するとともに、ガス浄化性能を有効に発現させることができる触媒担体および排ガス浄化用触媒を提供すること。
【解決手段】触媒担体を、下記一般式(1)で示される不定比性スピネル型複合酸化物から形成する。また、そのような触媒担体に、ロジウムを担持させることにより、排ガス浄化用触媒を得る。このような触媒担体は、下記一般式(1)で示される不定比性スピネル型複合酸化物からなるため、ロジウムの使用量を低減しても、優れたガス浄化性能を発現させることができる。また、排ガス浄化用触媒は、上記の触媒担体、および、触媒担体に担持されるロジウムを備える触媒組成物を含むため、ロジウムの使用量を低減するとともに、ガス浄化性能を有効に発現させることができる。
MgO・xAl (1)
(式中、1<x≦9である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒担体および排ガス浄化用触媒に関し、詳しくは、触媒担体、および、その触媒担体が用いられる排ガス浄化用触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの内燃機関から排出される排気ガスには、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NO)、および一酸化炭素(CO)などが含まれており、これらを浄化するための排ガス浄化用触媒が知られている。
【0003】
排気ガス浄化用触媒は、例えば、貴金属が担持された触媒担体から形成されている。そのような触媒担体および触媒として、より具体的には、例えば、アルミナ、希土類元素酸化物、および、スピネル型化合物を含む多孔質層で基材を被覆してなる触媒担体、および、そのような触媒担体に、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウムなどを含有する触媒活性相を含浸させて得られる触媒が、提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1−297147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、このような触媒に含まれる白金、パラジウム、ロジウム、イリジウムなどの貴金属、とりわけ、ロジウムは高価であるところ、特許文献1に記載される触媒担体において、十分な排ガス浄化性能を発現させるためには、多くの貴金属(ロジウム)を必要とし、コスト面に劣るという不具合がある。
【0006】
本発明の目的は、ロジウムの使用量を低減するとともに、ガス浄化性能を有効に発現させることができる触媒担体および排ガス浄化用触媒を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の触媒担体は、下記一般式(1)で示される不定比性スピネル型複合酸化物からなることを特徴としている。
【0008】
MgO・xAl (1)
(式中、1<x≦9である。)
また、本発明の排ガス浄化用触媒は、上記の触媒担体と、前記触媒担体に担持されるロジウムとを備える触媒組成物を含むことを特徴としている。
【0009】
また、本発明の排ガス浄化用触媒は、排ガスの通過方向と直交する方向に順次積層される複数の層を備え、前記複数の層は、前記触媒組成物を含有するとともに、セリア系複合酸化物を含有しない第1層と、セリア系複合酸化物を含有するとともに、前記触媒組成物を含有しない第2層とを含むことが好適である。
【0010】
また、本発明の排ガス浄化用触媒では、排ガスの通過方向において、前記第1層が、前記第2層を部分的に被覆していることが好適である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の触媒担体は、上記一般式(1)で示される不定比性スピネル型複合酸化物からなるため、ロジウムの使用量を低減しても、優れたガス浄化性能を発現させることができる。
【0012】
また、本発明の排ガス浄化用触媒は、上記の触媒担体、および、触媒担体に担持されるロジウムを備える触媒組成物を含むため、ロジウムの使用量を低減するとともに、ガス浄化性能を有効に発現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の排ガス浄化用触媒の一実施形態を模式的に表わす概略図である。
【図2】実施例1〜6および比較例1におけるX線回折の結果を示す。
【図3】実施例1〜2および比較例1〜2の粒子の50%浄化温度測定試験の結果を示す。
【図4】実施例2〜6の粒子の50%浄化温度測定試験の結果を示す。
【図5】実施例1〜2および比較例1〜2の粒子の450℃浄化率測定試験の結果を示す。
【図6】実施例2〜6の粒子の450℃浄化率測定試験の結果を示す。
【図7】実施例1〜6および比較例1〜2の粒子の比表面積を示す。
【図8】実施例7〜11および比較例3〜5における排ガス浄化用触媒の性能評価を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の触媒担体は、下記一般式(1)で示される、不定比性(非化学量論組成、ノンストイキオメトリ)のスピネル型結晶相を有する複合酸化物(以下、不定比性スピネル型複合酸化物と称する。)からなる。
【0015】
MgO・xAl (1)
(式中、1<x≦9である。)
上記式(1)において、xは、1を超過し、9以下、好ましくは、1を超過し、6以下、より好ましくは、4以上、6以下である。
【0016】
なお、xが1であれば、上記式(1)に記載の複合酸化物は、定比性(化学量論組成、ストイキオメトリ)のスピネル型結晶相を有する複合酸化物として形成される。
【0017】
このような定比性の複合酸化物を触媒担体として用いると、ロジウムの使用量を相対的に低減することができず、ガス浄化性能を有効に発現させるために、相対的に多量のロジウムを要するという不具合がある。
【0018】
また、xが9を超過する場合には、全量がスピネル相を形成せず、一部にアルミナ相が現れ、その結果、耐熱性および触媒活性が低下するという不具合がある。
【0019】
これらに対して、xが1を超過し、9以下であれば、上記式(1)に記載の複合酸化物は、主な結晶相としてスピネル型結晶相を有するとともに、他の結晶相、例えば、マグネトプランバイト型結晶相、アルミナ型結晶相などを混合相などとして有する、不定比性スピネル型複合酸化物として形成される。
【0020】
このような複合酸化物(不定比性スピネル型複合酸化物)によれば、ロジウムの使用量を低減しても、優れたガス浄化性能を発現させることができる。
【0021】
そして、このような不定比性スピネル型複合酸化物は、例えば、共沈法、クエン酸錯体法、アルコキシド法などによって、製造することができる。
【0022】
共沈法では、例えば、上記した各元素(不定比性スピネル型複合酸化物を構成する元素)の塩を所定の化学量論比で含む混合塩水溶液を調製し、この混合塩水溶液に中和剤を加えて共沈させた後、得られた共沈物を乾燥後、熱処理する。
【0023】
各元素の塩としては、例えば、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、りん酸塩などの無機塩、例えば、酢酸塩、しゅう酸塩などの有機酸塩などが挙げられる。また、混合塩水溶液は、例えば、各元素の塩を、所定の化学量論比となるような割合で水に加えて、攪拌混合することにより調製することができる。
【0024】
その後、この混合塩水溶液に、中和剤を加えて共沈させる。中和剤としては、例えば、アンモニア、例えば、トリエチルアミン、ピリジンなどのアミン類などの有機塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウムなどの無機塩基が挙げられる。なお、中和剤は、その中和剤を加えた後の溶液のpHが6〜10程度となるように加える。
【0025】
そして、得られた共沈物を、必要により水洗し、例えば、真空乾燥や通風乾燥などにより乾燥させた後、例えば、500〜1200℃、好ましくは、600〜1000℃で、例えば、0.5〜10時間、好ましくは、0.5〜3時間熱処理することにより、不定比性スピネル型複合酸化物を得る。
【0026】
また、クエン酸錯体法では、例えば、クエン酸と上記した各元素(不定比性スピネル型複合酸化物を構成する元素)の塩とを、上記した各元素に対し化学量論比よりやや過剰のクエン酸水溶液を加えてクエン酸混合塩水溶液を調製し、このクエン酸混合塩水溶液を乾固させて、上記した各元素のクエン酸錯体を形成させた後、得られたクエン酸錯体を仮焼成後、熱処理する。
【0027】
各元素の塩としては、上記と同様の塩が挙げられ、また、クエン酸混合塩水溶液は、例えば、上記と同様に混合塩水溶液を調製して、その混合塩水溶液に、クエン酸の水溶液を加えることにより、調製することができる。
【0028】
その後、このクエン酸混合塩水溶液を乾固させて、上記した各元素のクエン酸錯体を形成させる。乾固は、形成されるクエン酸錯体が分解しない温度、例えば、室温〜150℃程度で、水分を除去する。これによって、上記した各元素のクエン酸錯体を形成させることができる。その後、形成されたクエン酸錯体を仮焼成する。仮焼成は、例えば、真空または不活性雰囲気下において、例えば、250〜300℃、で、例えば、0.5〜3時間加熱する。
【0029】
そして、例えば、500〜1200℃、好ましくは、600〜1000℃で、例えば、0.5〜10時間、好ましくは、0.5〜3時間熱処理することにより、不定比性スピネル型複合酸化物を得る。
【0030】
また、アルコキシド法では、例えば、上記した各元素(不定比性スピネル型複合酸化物を構成する元素)のアルコキシドを、上記した化学量論比で含む混合アルコキシド溶液を調製し、この混合アルコキシド溶液に、水を加えて加水分解することにより、沈殿物を得る。
【0031】
各元素のアルコキシドとしては、例えば、各元素と、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシなどのアルコキシとから形成される(モノ、ジ、トリ)アルコラートや、下記一般式(2)で示される各元素の(モノ、ジ、トリ)アルコキシアルコラートなどが挙げられる。
【0032】
E[OCH(R)−(CH−OR (2)
(式中、Eは、各元素を示し、R1は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、R2は、炭素数1〜4のアルキル基を示し、mは、1〜3の整数、nは、2〜4の整数を示す。)
アルコキシアルコラートは、より具体的には、例えば、メトキシエチレート、メトキシプロピレート、メトキシブチレート、エトキシエチレート、エトキシプロピレート、プロポキシエチレート、ブトキシエチレートなどが挙げられる。
【0033】
そして、混合アルコキシド溶液は、例えば、各元素のアルコキシドを、上記した化学量論比となるように有機溶媒に加えて、攪拌混合することにより調製することができる。
【0034】
有機溶媒としては、各元素のアルコキシドを溶解できれば、特に制限されないが、例えば、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類などが挙げられる。好ましくは、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類が挙げられる。
【0035】
そして、得られた沈殿物を、蒸発乾固し、その後、例えば、真空乾燥や通風乾燥などにより乾燥させた後、例えば、500〜1200℃、好ましくは、600〜1000℃で、例えば、0.5〜10時間、好ましくは、0.5〜3時間熱処理することにより、不定比性スピネル型複合酸化物を得る。
【0036】
なお、このようにして得られた複合酸化物が、不定比性スピネル型複合酸化物である(すなわち、スピネル型結晶相と、スピネル型結晶相以外の結晶相とを有する)ことは、X線回折装置により同定することで確認することができる。
【0037】
また、このような触媒担体には、耐熱性の向上を図るため、添加剤、例えば、酸化ランタン(La)などを添加することができる。
【0038】
添加剤を添加する方法としては、特に制限されず、上記した共沈法、クエン酸錯体法、アルコキシド法などによる不定比性スピネル型複合酸化物の生成において、各元素の溶液を混合するときに、添加剤を構成する元素の溶液、より具体的には、例えば、添加剤として酸化ランタンを添加する場合には、ランタンの溶液を、混合すればよい。
【0039】
添加剤が添加される場合において、その添加量は、不定比性スピネル型複合酸化物と添加剤との総量100質量部に対して、添加剤が、例えば、10質量部以下、好ましくは、6質量部以下、通常、0.5質量部以上である。
【0040】
そして、触媒担体は、各種の触媒分野、例えば、水蒸気改質触媒、酸素還元電極触媒、排ガス浄化用触媒などの分野において、触媒を担持する担体として用いられる。より具体的には、例えば、排ガス浄化用触媒において用いられる場合には、触媒担体に、ロジウムが担持される。
【0041】
このような触媒担体は、上記一般式(1)で示される不定比性スピネル型複合酸化物からなるため、ロジウムの使用量を低減しても、優れたガス浄化性能(酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)および窒素酸化物(NO)の浄化性能)を発現させることができる。
【0042】
そして、本発明の排ガス浄化用触媒は、上記の触媒担体と、触媒担体に担持されるロジウムとを備える触媒組成物を含んでいる。
【0043】
ロジウムが担持された触媒担体は、下記式(3)で示される。
【0044】
Rh/MgO・xAl (3)
(式中、1<x≦9である。)
上記式(3)において、xは、上記式(1)と同意義である。
【0045】
触媒担体(不定比性スピネル型複合酸化物)に、ロジウムを担持させるには、特に制限されず、公知の方法を用いることができる。例えば、ロジウムを担持させるための処方および焼成条件において、ロジウムを含む塩の溶液を調製し、この含塩溶液を触媒担体(不定比性スピネル型複合酸化物)に含浸させた後、焼成する。
【0046】
含塩溶液としては、上記した例示の塩の溶液を用いてもよく、また実用的には、硝酸塩水溶液、ジニトロジアンミン硝酸溶液、塩化物水溶液などが挙げられる。
【0047】
より具体的には、ロジウム塩溶液として、例えば、硝酸ロジウム溶液、塩化ロジウム溶液などが挙げられる。
【0048】
そして、触媒担体(不定比性スピネル型複合酸化物)にロジウム塩溶液を含浸させた後は、例えば、50〜200℃で1〜48時間乾燥し、さらに、300〜1000℃で1〜12時間焼成する。
【0049】
また、触媒担体(不定比性スピネル型複合酸化物)にロジウムを担持させる他の方法として、例えば、上記した各元素(不定比性スピネル型複合酸化物を構成する元素)の塩の溶液や混合アルコキシド溶液を共沈あるいは加水分解するときに、ロジウム塩溶液を加えて、触媒担体(不定比性スピネル型複合酸化物)とともにロジウムを共沈させて、その後、焼成する方法が挙げられる。
【0050】
触媒組成物において、ロジウムの担持量は、その目的および用途により適宜決定されるが、例えば、触媒担体(不定比性スピネル型複合酸化物)とロジウムとの総量100質量部に対して、例えば、0.05〜5質量部、好ましくは、0.1〜1質量部である。
【0051】
ロジウムの担持量が、上記下限未満では、排気ガス(酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)および窒素酸化物(NO)など)を十分に浄化できない場合がある。
【0052】
また、ロジウムの担持量が、上記上限を超過すると、高温下、酸化還元変動下や長期使用時などにおいて、ロジウムが合体することによりロジウムの粒子サイズが大きくなり、ロジウムの有効表面積が減少することによって、触媒活性が低下する場合がある。さらに、ロジウムの使用量が増えることから、コストパフォーマンスが低下する場合がある。
【0053】
また、排ガス浄化用触媒の比表面積は、例えば、100m/g以上、好ましくは、120m/g以上、より好ましくは、140m/g以上、通常、200m/g以下である。
【0054】
比表面積が上記下限未満であると、ガス浄化性能(酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)および窒素酸化物(NO)の浄化性能)に劣る場合がある。
【0055】
図1は、本発明の排ガス浄化用触媒の一実施形態を模式的に表わす概略図である。
【0056】
この実施形態において、排ガス浄化用触媒1は、図1が参照されるように、触媒の2次担体5の上において、排ガスの通過方向と直交する方向に順次積層される複数の層からなるコート層4として形成される。
【0057】
2次担体5としては、特に限定されず、例えば、コージェライトなどからなるハニカム状のモノリス担体など、公知の担体が挙げられる。
【0058】
また、コート層4において、複数の層は、例えば、上記した触媒組成物を含有するとともに、セリア系複合酸化物を含有しない第1層2と、セリア系複合酸化物を含有するとともに、上記した触媒組成物を含有しない第2層3とを含んでいる。
【0059】
このような層構成であれば、ロジウムの使用量を低減するとともに、ガス浄化性能を、より一層、有効に発現させることができる。
【0060】
第1層2に含有されず、かつ、第2層3に含有されるセリア系複合酸化物は、例えば、下記一般式(4)で表される。
【0061】
Ce1−(a+b)Zr2−c (4)
(式中、Lは、アルカリ土類金属および/または希土類元素(ただし、ランタノイドを除く。)を示し、aは、Zrの原子割合を示し、bは、Lの原子割合を示し、1−(a+b)は、Ceの原子割合を示し、cは、酸素欠陥量を示す。)
一般式(4)において、Lで示されるアルカリ土類金属としては、例えば、Be(ベリリウム)、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)、Ra(ラジウム)などが挙げられる。また、Lで示される希土類元素としては、例えば、Sc(スカンジウム)、Y(イットリウム)などが挙げられる。これらアルカリ土類金属および希土類元素は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
【0062】
また、aで示されるZrの原子割合は、0.2〜0.7の範囲であり、好ましくは、0.2〜0.5の範囲である。
【0063】
また、bで示されるLの原子割合は0〜0.2の範囲である(すなわち、Lは必須成分ではなく任意的に含まれる任意成分であり、含まれる場合には、0.2以下の原子割合である)。0.2を超えると、相分離や他の複合酸化物相を生成する場合がある。
【0064】
また、1−(a+b)で示されるCeの原子割合は、0.3〜0.8の範囲であり、好ましくは、0.3〜0.6の範囲である。
【0065】
さらに、cは酸素欠陥量を示し、これは、Ce、ZrおよびLの酸化物が通常形成するホタル石型の結晶格子において、その結晶格子にできる空孔の割合を意味する。
【0066】
このようなセリア系複合酸化物は、特に制限されることなく、例えば、特開2004−243305号の段落番号〔0090〕〜〔0102〕の記載に準拠して、複合酸化物を調製するための適宜の方法、例えば、共沈法、クエン酸錯体法、アルコキシド法などの製造方法によって、製造することができる。
【0067】
このようなセリア系複合酸化物は、上記した貴金属を担持するか、または、組成として含有することができる。
【0068】
貴金属が担持されたセリア系複合酸化物は、下記一般式(5)で示される。
【0069】
N/Ce1−(a+b)Zr2−c (5)
(式中、Lは、アルカリ土類金属および/または希土類元素(ただし、Ceを除く。)を示し、Nは、貴金属を示し、aは、Zrの原子割合を示し、bは、Lの原子割合を示し、1−(a+b)は、Ceの原子割合を示し、bは、酸素欠陥量を示す。)
また、上記式(5)において、Nで示される貴金属としては、例えば、Ru(ルテニウム)、Rh(ロジウム)、Pd(パラジウム)、Ag(銀)、Os(オスミウム)、Ir(イリジウム)、Pt(白金)などが挙げられる。
【0070】
これら貴金属は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0071】
貴金属として、好ましくは、Rh、Pd、Ptが挙げられる。
【0072】
このような、貴金属が担持されたセリア系複合酸化物は、例えば、上記の方法により製造された一般式(4)で示されるセリア系複合酸化物に、特開2004−243305号の段落番号〔0122〕、〔0125〕の記載に準拠して、貴金属を担持することによって、製造することができる。
【0073】
このようにして得られるセリア系複合酸化物の貴金属の担持量は、例えば、セリア系複合酸化物100質量部に対して、通常、0.01〜5質量部であり、好ましくは、0.02〜2質量部である。
【0074】
一方、貴金属が組成として含有されたセリア系複合酸化物は、下記一般式(6)で示される。
【0075】
Ce1−(d+e+f)Zr2−g (6)
(式中、Lは、アルカリ土類金属および/または希土類元素(ただし、Ceを除く。)を示し、Nは、貴金属を示し、dは、Zrの原子割合を示し、eは、Lの原子割合を示し、fは、Nの原子割合を示し、1−(d+e+f)は、Ceの原子割合を示し、gは、酸素欠陥量を示す。)
dで示されるZrの原子割合は、0.2〜0.7の範囲であり、好ましくは、0.2〜0.5の範囲である。
【0076】
また、eで示されるLの原子割合は0〜0.2の範囲である(すなわち、Lは必須成分ではなく任意的に含まれる任意成分であり、含まれる場合には、0.2以下の原子割合である)。0.2を超えると、相分離や他の複合酸化物相を生成する場合がある。
【0077】
また、fで示されるNの原子割合は、0.001〜0.3の範囲であり、好ましくは、0.001〜0.2の範囲である。
【0078】
また、1−(d+e+f)で示されるCeの原子割合は、0.3〜0.8の範囲であり、好ましくは、0.4〜0.6の範囲である。
【0079】
さらに、gは酸素欠陥量を示し、これは、Ce、Zr、LおよびNの酸化物が通常形成するホタル石型の結晶格子において、その結晶格子にできる空孔の割合を意味する。
【0080】
このような貴金属が組成として含有されたセリア系複合酸化物は、例えば、例えば、上記したように、特開2004−243305号の段落番号〔0090〕〜〔0102〕の記載に準拠して、製造することができる。
【0081】
なお、この貴金属が組成として含有されたセリア系複合酸化物に、さらに、上記のように貴金属を担持させることもできる。
【0082】
このようにして得られるセリア系複合酸化物の貴金属の含有量(担持された貴金属と、組成として含有された貴金属との合計量)は、例えば、セリア系複合酸化物100質量部に対して、通常、0.01〜5質量部であり、好ましくは、0.02〜2質量部である。
【0083】
また、コート層4では、第1層2が触媒組成物を含有するとともに、セリア系複合酸化物を含有せず、かつ、第2層3が、セリア系複合酸化物を含有するとともに、上記した触媒組成物を含有しなければよく、それら第1層2および第2層3は、いずれも、任意成分として、さらに、例えば、ジルコニア系複合酸化物、ペロブスカイト型複合酸化物、アルミナなどを含有することができる。
【0084】
ジルコニア系複合酸化物は、下記一般式(7)で示される。
【0085】
Zr1−(h+i)Ce2−j (7)
(式中、Rは、希土類元素(ただし、Ceを除く。)および/またはアルカリ土類金属を示し、hは、Ceの原子割合を示し、iは、Rの原子割合を示し、1−(h+i)は、Zrの原子割合を示し、jは、酸素欠陥量を示す。)
一般式(7)において、Rで示される希土類元素としては、一般式(4)で示した希土類元素が挙げられる(ただし、Ceを除く。)。また、Rで示されるアルカリ土類金属としては、一般式(4)で示したアルカリ土類金属が挙げられる。これら希土類元素およびアルカリ土類金属は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0086】
また、hで示されるCeの原子割合は、0.1〜0.65の範囲であり、好ましくは、0.1〜0.5の範囲である。
【0087】
また、iで示されるRの原子割合は0〜0.55の範囲である(すなわち、Rは必須成分ではなく任意的に含まれる任意成分であり、含まれる場合には、0.55以下の原子割合である)。0.55を超えると、相分離や他の複合酸化物相を生成する場合がある。
【0088】
また、1−(h+i)で示されるZrの原子割合は、0.35〜0.9の範囲であり、好ましくは、0.5〜0.9の範囲である。
【0089】
さらに、jは酸素欠陥量を示し、これは、Zr、CeおよびRの酸化物が通常形成するホタル石型の結晶格子において、その結晶格子にできる空孔の割合を意味する。
【0090】
このようなジルコニア系複合酸化物は、特に制限されることなく、上記したセリア系複合酸化物の製造方法と同様の製造方法によって、製造することができる。
【0091】
このようなジルコニア系複合酸化物は、貴金属を担持するか、または、組成として含有することができる。
【0092】
貴金属が担持されたジルコニア系複合酸化物は、下記一般式(8)で示される。
【0093】
N/Zr1−(h+i)Ce2−j (8)
(式中、Rは、アルカリ土類金属および/または希土類元素(ただし、Ceを除く。)を示し、Nは、貴金属を示し、hは、Ceの原子割合を示し、iは、Rの原子割合を示し、1−(h+i)は、Zrの原子割合を示し、jは、酸素欠陥量を示す。)
このような、貴金属が担持されたジルコニア系複合酸化物は、例えば、上記の方法により製造された一般式(7)で示されるジルコニア系複合酸化物に、上記したセリア系複合酸化物の担持方法と同様の方法によって貴金属を担持することによって、製造することができる。
【0094】
このようにして得られるジルコニア系複合酸化物の貴金属の担持量は、例えば、ジルコニア系複合酸化物100質量部に対して、通常、0.01〜5質量部であり、好ましくは、0.02〜2質量部である。
【0095】
一方、貴金属が組成として含有されたジルコニア系複合酸化物は、下記一般式(9)で示される。
【0096】
Zr1−(k+l+m)Ce2−n (9)
(式中、Rは、アルカリ土類金属および/または希土類元素(ただし、Ceを除く。)を示し、Nは、貴金属を示し、kは、Ceの原子割合を示し、lは、Rの原子割合を示し、mは、Nの原子割合を示し、1−(k+l+m)は、Zrの原子割合を示し、cは、酸素欠陥量を示す。)
kで示されるCeの原子割合は、0.1〜0.65の範囲であり、好ましくは、0.1〜0.5の範囲である。
【0097】
また、lで示されるRの原子割合は0〜0.55の範囲である(すなわち、Rは必須成分ではなく任意的に含まれる任意成分であり、含まれる場合には、0.55以下の原子割合である)。0.55を超えると、相分離や他の複合酸化物相を生成する場合がある。
また、mで示されるNの原子割合は、0.001〜0.3の範囲であり、好ましくは、0.001〜0.2の範囲である。
【0098】
また、1−(k+l+m)で示されるZrの原子割合は、0.35〜0.9の範囲であり、好ましくは、0.5〜0.9の範囲である。
【0099】
さらに、nは酸素欠陥量を示し、これは、Zr、CeおよびRの酸化物が通常形成するホタル石型の結晶格子において、その結晶格子にできる空孔の割合を意味する。
【0100】
このような貴金属が組成として含有されたジルコニア系複合酸化物は、例えば、上記した貴金属が組成として含有されたセリア系複合酸化物の製造方法と同様の製造方法によって、製造することができる。
【0101】
なお、この貴金属が組成として含有されたジルコニア系複合酸化物に、さらに、上記のように貴金属を担持させることもできる。
【0102】
このようにして得られるジルコニア系複合酸化物の貴金属の含有量(担持された貴金属と、組成として含有された貴金属との合計量)は、例えば、ジルコニア系複合酸化物100質量部に対して、通常、0.01〜5質量部であり、好ましくは、0.02〜2質量部である。
【0103】
また、本発明において、一般式(4)〜(6)で示されるセリア系複合酸化物のCeの原子割合が、一般式(7)〜(9)で示されるジルコニア系複合酸化物のCeの原子割合と重複する場合は、本発明においては、その重複するジルコニア系複合酸化物は、セリア系複合酸化物に属するものとする。
【0104】
ペロブスカイト型複合酸化物は、下記一般式(10)で示される。
【0105】
ABO (10)
(式中、Aは、希土類元素およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Bは、貴金属を除く遷移元素およびAlから選ばれる少なくとも1種の元素を示す。)
一般式(10)において、Aで示される希土類元素としては、一般式(4)で示した希土類元素およびCeが挙げられる。また、Aで示されるアルカリ土類金属としては、一般式(4)で示したアルカリ土類金属が挙げられる。
【0106】
一般式(10)において、Bで示される貴金属を除く遷移元素およびAlとしては、例えば、周期律表(IUPAC、1990年)において、原子番号21(Sc)〜原子番号30(Zn)、原子番号39(Y)〜原子番号48(Cd)、および、原子番号57(La)〜原子番号80(Hg)の各元素(ただし、貴金属(原子番号44〜47および76〜78)を除く)、Alが挙げられ、好ましくは、Ti(チタン)、Cr(クロム)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、Zn(亜鉛)およびAl(アルミニウム)が挙げられる。これらは、単独使用または2種以上併用することができる。
【0107】
このようなペロブスカイト型複合酸化物は、特に制限されることなく、例えば、特開2004−243305号の段落番号〔0039〕〜〔0059〕の記載に準拠して、複合酸化物を調製するための適宜の方法、例えば、共沈法、クエン酸錯体法、アルコキシド法などの製造方法によって、製造することができる。
【0108】
また、ペロブスカイト型複合酸化物は、貴金属を担持するか、または、組成として含有することができる。
【0109】
貴金属が担持されたペロブスカイト型複合酸化物は、下記一般式(11)で示される。
【0110】
N/ABO (11)
(式中、Aは、希土類元素およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Bは、貴金属を除く遷移元素およびAlから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Nは、貴金属を示す。)
このような貴金属が担持されたペロブスカイト型複合酸化物は、例えば、上記の方法により製造された一般式(10)で示されるペロブスカイト型複合酸化物に、特開2004−243305号の段落番号〔0063〕の記載に準拠して、貴金属を担持することによって、製造することができる。
【0111】
このようにして得られるペロブスカイト型複合酸化物の貴金属の担持量は、例えば、ペロブスカイト型複合酸化物100質量部に対して、通常、20質量部以下であり、好ましくは、0.2〜5質量部である。
【0112】
一方、貴金属が組成として含有されたペロブスカイト型複合酸化物は、下記一般式(12)で示される。
【0113】
ABNO (12)
(式中、Aは、希土類元素およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Bは、貴金属を除く遷移元素およびAlから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Nは、貴金属を示す。)
このような貴金属が組成として含有されたペロブスカイト型複合酸化物は、例えば、上記したように、特開2004−243305号の段落番号〔0039〕〜〔0059〕の記載に準拠して、製造することができる。
【0114】
このようにして得られるペロブスカイト型複合酸化物の貴金属の含有量は、例えば、ペロブスカイト型複合酸化物100質量部に対して、通常、20質量部以下であり、好ましくは、0.2〜5質量部である。
【0115】
なお、この貴金属が組成として含有されたペロブスカイト型複合酸化物に、さらに、上記のように貴金属を担持させることもできる。
【0116】
アルミナとしては、例えば、αアルミナ、θアルミナ、γアルミナなどが挙げられ、好ましくは、θアルミナが挙げられる。
【0117】
αアルミナは、結晶相としてα相を有し、例えば、AKP−53(商品名、高純度アルミナ、住友化学社製)などが挙げられる。このようなαアルミナは、例えば、アルコキシド法、ゾルゲル法、共沈法などの方法によって得ることができる。
【0118】
θアルミナは、結晶相としてθ相を有し、αアルミナに遷移するまでの中間(遷移)アルミナの一種であって、例えば、SPHERALITE 531P(商品名、γアルミナ、プロキャタリゼ社製)などが挙げられる。このようなθアルミナは、例えば、市販の活性アルミナ(γアルミナ)を、大気中にて、900〜1100℃で、1〜10時間熱処理することによって得ることができる。
【0119】
γアルミナは、結晶相としてγ相を有し、特に限定されず、例えば、排ガス浄化用触媒などに用いられている公知のものが挙げられる。
【0120】
また、これらのアルミナにLaおよび/またはBaが含まれるアルミナを用いることもできる。Laおよび/またはBaを含むアルミナは、特開2004−243305号の段落番号〔0073〕の記載に準拠して、製造することができる。
【0121】
また、これらのアルミナには、貴金属を担持することができる。貴金属が担持されたアルミナは、例えば、上記したアルミナに、特開2004−243305号の段落番号〔0122〕、〔0126〕の記載に準拠して、貴金属を担持することによって、製造することができる。
【0122】
このようにして得られたアルミナの貴金属の担持量(複数の貴金属が担持されている場合は、その合計量)は、例えば、アルミナ100質量部に対して、通常、0.01〜5質量部であり、好ましくは、0.02〜2質量部である。
【0123】
これら任意成分(ジルコニア系複合酸化物、ペロブスカイト型複合酸化物、アルミナ)の含有割合は、特に制限されず、必要および用途により、適宜設定される。
【0124】
そして、排ガス浄化用触媒を、2次担体5上にコート層4として形成するには、例えば、まず、2次担体5上に、第2層3を形成し、その後、2次担体5上において、第2層3を被覆するように、第1層2を形成する。
【0125】
第2層3を形成するには、例えば、まず、必須成分としてのセリア系複合酸化物(貴金属が担持および/または組成として含有されていてもよい)、および、任意成分としてのジルコニア系複合酸化物、ペロブスカイト型複合酸化物、アルミナ(いずれも、貴金属が担持および/または組成として含有されていてもよい)に、水、アルミナ、アルミナゾルなどを加えてスラリーとした後、これらを混合して、2次担体5上にコーティングし、50〜200℃で1〜48時間乾燥し、さらに、300〜600℃で1〜12時間焼成する。
【0126】
第2層3の2次担体5に対するコート量(総量)は、2次担体5の1Lに対して、例えば、20〜200g、好ましくは、30〜100gである。
【0127】
また、第2層3に任意成分が含有される場合には、2次担体5の1Lに対して、必須成分としてのセリア系複合酸化物(貴金属が担持および/または組成として含有されていてもよい)のコート量が、例えば、10〜200g、好ましくは、20〜100gであり、また、任意成分のコート量が、例えば、0〜150g、好ましくは、20〜100gである。
【0128】
また、第1層2を形成するには、例えば、まず、必須成分としての触媒組成物(ロジウム担持不定比性スピネル型複合酸化物)、および、任意成分としてのジルコニア系複合酸化物、ペロブスカイト型複合酸化物、アルミナ(いずれも、貴金属が担持および/または組成として含有されていてもよい)に、水、アルミナ、アルミナゾルなどを加えてスラリーとした後、これらを混合して、第2層3上にコーティングし、50〜200℃で1〜48時間乾燥し、さらに、300〜600℃で1〜12時間焼成する。
【0129】
第1層2の2次担体5に対するコート量(総量)は、2次担体5の1Lに対して、例えば、0〜120g、好ましくは、40〜100gである。
【0130】
また、第1層2に任意成分が含有される場合には、2次担体5の1Lに対して、必須成分としての触媒組成物のコート量が、例えば、0〜120g、好ましくは、20〜100gであり、また、任意成分のコート量が、例えば、0〜120g、好ましくは、20〜100gである。
【0131】
また、コート層4の形成においては、好ましくは、図1に示すように、排ガスの通過方向において、第1層2が、第2層3を部分的に被覆するように、より好ましくは、排ガスの流れ方向下流側において、第2層3を部分的に被覆するように、第1層2を形成する。
【0132】
具体的には、第2層3は、2次担体5における排ガス通過方向全体にわたって形成され、第1層2は、2次担体5における排ガスの通過方向上流側端部を除く領域に、第2担体3における排ガスの通過方向上流側端部を露出するように形成される。
【0133】
第1層2が、第2層3を部分的に被覆すれば、貴金属の使用量を低減するとともに、ガス浄化性能を、より一層、有効に発現させることができる。
【0134】
また、第1層2が、第2層3を部分的に被覆する場合において、第2層3の被覆率(第2層3の表面積に対する、第1層2の表面積の割合)は、例えば、30〜100%、好ましくは、50〜80%である。
【0135】
被覆率が上記範囲であれば、貴金属の使用量を低減するとともに、ガス浄化性能を、より一層、有効に発現させることができる。
【0136】
そして、このようにして得られる排ガス浄化用触媒は、上記の触媒担体、および、触媒担体に担持される貴金属を備える触媒組成物を含むため、貴金属の使用量を低減するとともに、ガス浄化性能を有効に発現させることができる。
【0137】
なお、図1では、コート層4は2層であるが、少なくとも第1層2および第2層3を含んでいれば、3層以上の層構造として形成することもできる。
【実施例】
【0138】
次に、本発明を製造例、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は下記の実施例によって限定されるものではない。
【0139】
実施例1
硝酸マグネシウム Mg(NO・6HO Mg換算で0.100モル
硝酸アルミニウム Al(NO・9HO Al換算で0.400モル
硝酸ランタン La(NO・6HO La換算で0.0046モル
上記の成分を、500mL容量の丸底フラスコに加え、脱イオン水100mLを加えて攪拌溶解させることにより、混合塩水溶液を調製した。
【0140】
次いで、炭酸ナトリウム25.0gを脱イオン水200gに溶解して調製したアルカリ性水溶液(中和剤)に、上記した混合水溶液を、徐々に滴下して共沈物を得た。この共沈物を水洗して、濾過した後、80℃で真空乾燥させた。次いで、800℃で、1時間熱処理して、複合酸化物の粒子を得た。
【0141】
次に、得られた粒子を、硝酸ロジウム水溶液に、上記粒子に対するロジウムの担持量が0.25質量%となる量で添加して分散させた。
【0142】
次いで、この分散液を吸引濾過した後、100℃で2時間大気乾燥させた。続いて、大気雰囲気、800℃で1時間焼成(2次焼成)することにより、Rdが担持された、不定比性複合酸化物の粉末(Rh/MgO・2Al(3質量%La含有))を得た(Rh含有量:0.25質量%)。
【0143】
なお、この粒子は、X線回折の結果、不定比性のスピネル型結晶構造を有していることが確認された。X線回折の結果を、図2に示す。
【0144】
実施例2
硝酸マグネシウム Mg(NO・6HO Mg換算で0.100モル
硝酸アルミニウム Al(NO・9HO Al換算で0.600モル
硝酸ランタン La(NO・6HO La換算で0.0066モル
上記の成分を、上記の量で用いた以外は、実施例1と同様にして、Rdが担持された、不定比性複合酸化物の粉末(Rh/MgO・3Al(3質量%La含有))を得た(Rh含有量:0.25質量%)。
【0145】
なお、この粒子は、X線回折の結果、不定比性のスピネル型結晶構造を有していることが確認された。X線回折の結果を、図2に示す。
【0146】
実施例3
硝酸マグネシウム Mg(NO・6HO Mg換算で0.100モル
硝酸アルミニウム Al(NO・9HO Al換算で0.900モル
硝酸ランタン La(NO・6HO La換算で0.0095モル
上記の成分を、上記の量で用いた以外は、実施例1と同様にして、Rdが担持された、不定比性複合酸化物の粉末(Rh/MgO・4.5Al(3質量%La含有))を得た(Rh含有量:0.25質量%)。
【0147】
なお、この粒子は、X線回折の結果、不定比性のスピネル型結晶構造を有していることが確認された。X線回折の結果を、図2に示す。
【0148】
実施例4
硝酸マグネシウム Mg(NO・6HO Mg換算で0.100モル
硝酸アルミニウム Al(NO・9HO Al換算で1.200モル
硝酸ランタン La(NO・6HO La換算で0.0124モル
上記の成分を、上記の量で用いた以外は、実施例1と同様にして、Rdが担持された、不定比性複合酸化物の粉末(Rh/MgO・6Al(3質量%La含有))を得た(Rh含有量:0.25質量%)。
【0149】
なお、この粒子は、X線回折の結果、不定比性のスピネル型結晶構造を有していることが確認された。X線回折の結果を、図2に示す。
【0150】
実施例5
硝酸マグネシウム Mg(NO・6HO Mg換算で0.100モル
硝酸アルミニウム Al(NO・9HO Al換算で1.500モル
硝酸ランタン La(NO・6HO La換算で0.0153モル
上記の成分を、上記の量で用いた以外は、実施例1と同様にして、Rdが担持された、不定比性複合酸化物の粉末(Rh/MgO・7.5Al(3質量%La含有))を得た(Rh含有量:0.25質量%)。
【0151】
なお、この粒子は、X線回折の結果、不定比性のスピネル型結晶構造を有していることが確認された。X線回折の結果を、図2に示す。
【0152】
実施例6
硝酸マグネシウム Mg(NO・6HO Mg換算で0.100モル
硝酸アルミニウム Al(NO・9HO Al換算で1.200モル
上記の成分を、上記の量で用い、2次焼成における温度を1000℃とした以外は、実施例1と同様にして、Rdが担持された、不定比性複合酸化物の粉末(Rh/MgO・6Al(La不含)を得た(Rh含有量:0.25質量%)。
【0153】
なお、この粒子は、X線回折の結果、不定比性のスピネル型結晶構造を有していることが確認された。X線回折の結果を、図2に示す。
【0154】
比較例1
硝酸マグネシウム Mg(NO・6HO Mg換算で0.100モル
硝酸アルミニウム Al(NO・9HO Al換算で0.200モル
硝酸ランタン La(NO・6HO La換算で0.0027モル
上記の成分を、上記の量で用いた以外は、実施例1と同様にして、Rdが担持された、不定比性複合酸化物の粉末(Rh/MgO・Al(3質量%La含有))を得た(Rh含有量:0.25質量%)。
【0155】
なお、この粒子は、X線回折の結果、定比性のスピネル型結晶構造を有していることが確認された。X線回折の結果を、図2に示す。
【0156】
比較例2
θアルミナ5.00質量部に、硝酸ロジウム水溶液(ロジウム濃度0.974質量%)1.287質量部を含浸させ、乾燥させた後、電気炉にて、大気中において650℃で1時間熱処理(焼成)することにより、Rhが担持されたθアルミナ粉末(Rh含有量:0.25質量%)5.00質量部を得た。
【0157】
評価
試験例1
1)高温耐久処理(R/L 1050℃)
上記により得られた実施例1〜6および比較例1〜2の粉末を、次の条件で高温耐久処理した。
【0158】
この高温耐久処理では、雰囲気温度を1050℃に設定し、不活性雰囲気5分、酸化雰囲気10分、不活性雰囲気5分および還元雰囲気10分の計30分を1サイクルとし、このサイクルを40サイクル、合計20時間繰り返して、実施例1〜6および比較例1〜2で得られた粉末を、酸化雰囲気と還元雰囲気とに交互に暴露した後、還元雰囲気のまま室温まで冷却した。
【0159】
なお、不活性雰囲気、酸化雰囲気および還元雰囲気は、ストイキ状態、リーン状態およびリッチ状態の混合気を燃焼させた場合に排出される排ガス雰囲気に、それぞれ相当する。
【0160】
また、各雰囲気は、高温水蒸気を含む下記の組成のガスを、1L/minの流量で供給することによって調製した。また、雰囲気温度は、約1050℃に維持した。
不活性雰囲気ガス組成:8%CO、10%HO、BalanceN
酸化雰囲気ガス組成:1%O、8%CO、10%HO、BalanceN
還元雰囲気ガス組成:0.5%H、1.5%CO、8%CO、10%HO、BalanceN
2)50%浄化温度試験
耐久試験後の実施例1〜2および比較例1〜2の粒子(粉末)0.30gを、0.5〜1.0mmのサイズのペレットに成型して試験片を調製した。
【0161】
また、耐久試験後の実施例2〜6の粒子(粉末)を、0.22gを、0.5〜1.0mmのサイズのペレットに成型して試験片を調製した。
【0162】
表1に示す組成のモデルガスを用いて、このモデルガスの燃焼(空燃比A/F=14.5)によって排出される排気ガス(温度:400℃、流速:2.5L/min)を各試験片に供給し、排ガス中のHC、NOおよびCOが、50%浄化されるときの温度(50%浄化温度:℃)を測定した。
【0163】
その結果を、図3および図4に示す。
【0164】
【表1】

【0165】
(考察)
図3に示すように、ロジウムを不定比性スピネル型複合酸化物に担持させた実施例1および2の試験片は、ロジウムを定比性スピネル型複合酸化物に担持させた比較例1およびθアルミナに担持させた比較例2の試験片よりも、定温でHC、NOおよびCOを50%浄化でき、優れたガス浄化率を備えることがわかる。
【0166】
また、図4に示すように、実施例3〜6の試験片は、実施例2の試験片と同程度以上の浄化率を備えている。すなわち、実施例3〜6の試験片も、実施例2の試験片と同様、比較例1および2の試験片よりも、優れたガス浄化率を備えることがわかる。
3)450℃浄化率測定試験
耐久試験後の実施例1〜2および比較例1〜2の粒子(粉末)0.30gを、0.5〜1.0mmのサイズのペレットに成型して試験片を調製した。
【0167】
また、耐久試験後の実施例2〜6の粒子(粉末)を、0.22gを、0.5〜1.0mmのサイズのペレットに成型して試験片を調製した。
【0168】
上記の表1に示す組成のモデルガスを用いて、このモデルガスの燃焼(空燃比A/F=14.5)によって排出される排気ガス(温度:450℃、流速:2.5L/min)を各試験片に供給し、各試験片の、COおよびHCの浄化率を測定した。
【0169】
その結果を、図5および図6に示す。
(考察)
図5に示すように、ロジウムを不定比性スピネル型複合酸化物に担持させた実施例1および2の試験片は、ロジウムを定比性スピネル型複合酸化物に担持させた比較例1と同程度またはそれ以上のガス浄化率を備えることがわかる。
【0170】
さらに、ロジウムをθアルミナに担持させた比較例2の試験片よりも、優れたガス浄化率を備えることがわかる。
【0171】
また、図6に示すように、実施例3〜6の試験片は、実施例2の試験片と同程度以上の浄化率を備えている。すなわち、実施例3〜6の試験片も、実施例2の試験片と同様、比較例1の試験片と同程度以上、また、比較例2の試験片よりも優れたガス浄化率を備えることがわかる。
4)比表面積
実施例1〜5および比較例1〜2の粒子を、800℃で5時間耐久処理し、その耐久前後における実施例1〜5および比較例1〜2の粒子の比表面積を、BET法に従って、測定した。その結果を図7に示す。
【0172】
図3〜6、および、図7に示すように、耐久の前後において比表面積が100m/g以上である実施例1〜5では、比表面積が100m/g未満である比較例1〜2に比べ、優れたガス浄化率を実現できることが確認された。
<複層構成>
製造例1(Rh/MgO・2Alの製造1)
ロジウムの担持濃度が0.5質量%となる量で、粒子を硝酸ロジウム水溶液に添加して分散させた以外は、実施例1と同様にして、Rh(0.5質量%)/MgO・2Al(3質量%La含有)の粉末を得た。
【0173】
この粉末のRh担持量は、粉末40gに対して、Rh0.2gの割合(粉末28gに対して、Rh0.14g)の割合であった。
【0174】
製造例2(Rh/MgO・2Alの製造2)
ロジウムの担持濃度が0.35質量%となる量で、粒子を硝酸ロジウム水溶液に添加して分散させた以外は、実施例1と同様にして、Rh(0.35質量%)/MgO・2Al(3質量%La含有)の粉末を得た。
【0175】
この粉末のRh担持量は、粉末40gに対して、Rh0.14gの割合であった。
【0176】
製造例3(Pd/θ−Alの製造)
θアルミナに、硝酸パラジウム水溶液を含浸させ、乾燥後、電気炉にて、600℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Pd担持θアルミナ(Pd/θ−Al)粉末を得た。
【0177】
この粉末のPd担持量は、粉末50gに対して、Pd0.5gの割合であった。
【0178】
製造例4(Pd/Ce0.30Zr0.50La0.050.05Oxideの製造1)
セリウムメトキシプロピレート[Ce(OCH(CH)CHOCH]をCe換算で0.030molと、ジルコニウムメトキシプロピレート[Zr(OCH(CH)CHOCH]をZr換算で0.050molと、ランタンメトキシプロピレート[La(OCH(CH)CHOCH]をLa換算で0.005molと、イットリウムメトキシプロピレート[Y(OCH(CH)CHOCH]をY換算で0.005molと、トルエン200mLとを配合して、撹拌溶解することにより、混合アルコキシド溶液を調製した。さらに、この混合アルコキシド溶液に、脱イオン水80mLを滴下して、加水分解した。
【0179】
次いで、加水分解された溶液から、トルエンおよび脱イオン水を留去し、乾固させて、前駆体を得た。さらに、この前駆体を、60℃で24時間通風乾燥させた後、電気炉にて、450℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Ce0.30Zr0.50La0.050.05Oxideで示されるセリア系複合酸化物の粉末を得た。
【0180】
次いで、得られた粉末49gに、硝酸パラジウム水溶液(Pd換算で1g)を含浸させ、乾燥後、電気炉にて、800℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Pd担持Ce0.30Zr0.50La0.050.05Oxide(Pd(2.0質量%)/Ce0.30Zr0.50La0.050.05Oxide)の粉末を得た。
【0181】
この粉末のPd担持量は、粉末50gに対して、Pd1gの割合であった。
【0182】
製造例5(Pd/Ce0.30Zr0.50La0.050.05Oxideの製造2)
Ce0.30Zr0.50La0.050.05Oxideで示されるセリア系複合酸化物の粉末89gに、硝酸パラジウム水溶液(Pd換算で1g)を含浸させた以外は、製造例4と同様にして、Pd担持Ce0.30Zr0.50La0.050.05Oxide(Pd(1.1質量%)/Ce0.30Zr0.50La0.050.05Oxide)の粉末を得た。
【0183】
この粉末のPd担持量は、粉末90gに対して、Pd1gの割合であった。
【0184】
製造例6(Rh/θ−Alの製造)
θアルミナに、硝酸ロジウム水溶液を含浸させ、乾燥後、電気炉にて、600℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Rh担持θアルミナ(Rh/θ−Al)粉末を得た。
【0185】
この粉末のPd担持量は、粉末80gに対して、Pd0.2gの割合であった。
【0186】
製造例7(Rh/Zr0.8La0.05Nd0.10.05Oxideの製造)
ジルコニウムメトキシプロピレートをZr換算で0.08molと、ランタンメトキシプロピレート[La(OCH(CH)CHOCH]をLa換算で0.005molと、ネオジムメトキシプロピレート[Nd(OCH(CH)CHOCH]をNd換算で0.01molと、イットリウムメトキシプロピレート[Y(OCH(CH)CHOCH]をY換算で0.005molと、トルエン200mLとを配合して、撹拌溶解することにより、混合アルコキシド溶液を調製した。さらに、この混合アルコキシド溶液に、脱イオン水80mLを滴下して、加水分解した。
【0187】
次いで、加水分解された溶液から、トルエンおよび脱イオン水を留去し、乾固させて、前駆体を得た。さらに、この前駆体を、60℃で24時間通風乾燥させた後、電気炉にて、450℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Zr0.8La0.05Nd0.10.05Oxideで示される複合酸化物の粉末を得た。
【0188】
次いで、得られた粉末39.8gに、硝酸ロジウム水溶液(Rh換算で0.2g)を含浸させ、乾燥後、電気炉にて、800℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Rh担持Zr0.8La0.05Nd0.10.05Oxide(Rh/Zr0.8La0.05Nd0.10.05Oxide)の粉末を得た。
【0189】
この粉末のRh担持量は、粉末40gに対して、Rh0.2gの割合であった。
【0190】
製造例8(Rh/Zr0.84Ce0.13La0.01Nd0.02Oxideの製造)
ジルコニウムメトキシプロピレートをZr換算で0.084molと、セリウムメトキシプロピレートをCe換算で0.013molと、ランタンメトキシプロピレート[La(OCH(CH)CHOCH]をLa換算で0.001molと、ネオジムメトキシプロピレート[Nd(OCH(CH)CHOCH]をNd換算で0.002molと、トルエン200mLとを配合して、撹拌溶解することにより、混合アルコキシド溶液を調製した。さらに、この混合アルコキシド溶液に、脱イオン水80mLを滴下して、加水分解した。
【0191】
次いで、加水分解された溶液から、トルエンおよび脱イオン水を留去し、乾固させて、前駆体を得た。さらに、この前駆体を、60℃で24時間通風乾燥させた後、電気炉にて、450℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Zr0.84Ce0.13La0.01Nd0.02Oxideで示されるジルコニア系複合酸化物の粉末を得た。
【0192】
次いで、得られた粉末39.8gに、硝酸ロジウム水溶液(Rh換算で0.2g)を含浸させ、乾燥後、電気炉にて、800℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Rh担持Zr0.84Ce0.13La0.01Nd0.02Oxide(Rh/Zr0.84Ce0.13La0.01Nd0.02Oxide)の粉末を得た。
【0193】
この粉末のRh担持量は、粉末40gに対して、Rh0.2gの割合であった。
【0194】
実施例7
製造例3で得られたPd/θ−Al、製造例4で得られたPd/Ce0.30Zr0.50La0.050.05Oxideの粉末、および、BaSOを、ボールミルにて混合および粉砕し、これに蒸留水を加えてスラリーを調製した。このスラリーを、モノリス担体の各セルの内表面にコーティングして、乾燥させた後、600℃で3時間焼成することにより、内側層(図1の第2層3)を形成した。
【0195】
上記内側層は、モノリス担体1Lあたり、Pd/θ−Alを50g(Pd担持量0.5g)、Pd/Ce0.30Zr0.50La0.050.05Oxideを50g(Pt担持量1.0g)、および、BaSOを20g、それぞれ担持するように形成した。
【0196】
次いで、θ−Al、および、製造例1で得られたRh/MgO・2Alを、ボールミルにて混合および粉砕し、これに蒸留水を加えてスラリーを調製した。このスラリーを、上記モノリス担体の内側層の表面全体に、後述する試験における排ガスの通過方向と直交する方向にコーティングして、乾燥させた後、600℃で3時間焼成することにより、外側層(図1の第1層2)を形成した。
【0197】
上記外側層は、モノリス担体1Lあたり、θ−Alを40g、および、Rh/MgO・2Alを40g(Rh担持量0.2g)、それぞれ担持するように形成した。
【0198】
これにより、2層コートからなる排ガス浄化用触媒を得た。排ガス浄化用触媒全体でのRhおよびPdの担持量は、それぞれ、0.20g/L、および、1.50g/Lであった。
【0199】
実施例8
製造例4で得られたPd/Ce0.30Zr0.50La0.050.05Oxideに代えて、製造例5で得られたPd/Ce0.30Zr0.50La0.050.05Oxideを用いた以外は、実施例7と同様にして、内側層を形成した。
【0200】
上記内側層は、モノリス担体1Lあたり、Pd/θ−Alを50g(Pd担持量0.5g)、Pd/Ce0.30Zr0.50La0.050.05Oxideを90g(Pt担持量1.0g)、および、BaSOを20g、それぞれ担持するように形成した。
【0201】
次いで、θ−Alを配合しなかった以外は、実施例7と同様にして、外側層を形成した。
【0202】
上記外側層は、モノリス担体1Lあたり、Rh/MgO・2Alを40g(Rh担持量0.2g)担持するように形成した。
【0203】
これにより、2層コートからなる排ガス浄化用触媒を得た。排ガス浄化用触媒全体でのRhおよびPdの担持量は、それぞれ、0.20g/L、および、1.50g/Lであった。
【0204】
製造例9
実施例7と同様にして、内側層を形成した。
【0205】
上記内側層は、モノリス担体1Lあたり、Pd/θ−Alを50g(Pd担持量0.5g)、Pd/Ce0.30Zr0.50La0.050.05Oxideを50g(Pt担持量1.0g)、および、BaSOを20g、それぞれ担持するように形成した。
【0206】
次いで、製造例1で得られたRh/MgO・2Alに代えて、製造例2で得られたRh/MgO・2Alを用いた以外は、実施例7と同様にして、外側層を形成した。
【0207】
上記外側層は、モノリス担体1Lあたり、θアルミナを40g、および、Rh/MgO・2Alを40g(Rh担持量0.14g)、それぞれ担持するように形成した。
【0208】
これにより、2層コートからなる排ガス浄化用触媒を得た。排ガス浄化用触媒全体でのRhおよびPdの担持量は、それぞれ、0.14g/L、および、1.50g/Lであった。
【0209】
実施例10
製造例3で得られたPd/θ−Al、製造例4で得られたPd/Ce0.30Zr0.50La0.050.05Oxideの粉末、および、BaSOに加え、さらに、θ−Alを添加した以外は、実施例7と同様にして、内側層を形成した。
【0210】
上記内側層は、モノリス担体1Lあたり、Pd/θ−Alを50g(Pd担持量0.5g)、θ−Alを40g(貴金属無担持)、Pd/Ce0.30Zr0.50La0.050.05Oxideを50g(Pt担持量1.0g)、および、BaSOを20g、それぞれ担持するように形成した。
【0211】
次いで、θ−Alを配合せず、かつ、製造例1で得られたRh/MgO・2Alに代えて、製造例2で得られたRh/MgO・2Alを用いた以外は、実施例7と同様にして、外側層を形成した。
【0212】
上記外側層は、モノリス担体1Lあたり、Rh/MgO・2Alを40g(Rh担持量0.14g)、それぞれ担持するように形成した。
【0213】
これにより、2層コートからなる排ガス浄化用触媒を得た。排ガス浄化用触媒全体でのRhおよびPdの担持量は、それぞれ、0.14g/L、および、1.50g/Lであった。
【0214】
実施例11
θ−Al、製造例1の中間生成物であるCe0.30Zr0.50La0.050.05Oxide(Pd無担持物)、および、BaSOを用いた以外は、実施例7と同様にして、内側層を形成した。
【0215】
上記内側層は、モノリス担体1Lあたり、θ−Alを50g(貴金属無担持)、Ce0.30Zr0.50La0.050.05Oxideを50g(貴金属無担持)、および、BaSOを20g、それぞれ担持するように形成した。
【0216】
次いで、θ−Al、および、製造例1で得られたRh/MgO・2Alを用いて、実施例7と同様にして、外側層を形成した。
【0217】
なお、実施例11では、実施例7と異なり、モノリス担体の内側層の表面を部分的に、具体的には、後述する試験における排ガスの流れ方向下流側において、内側層を部分的に被覆するように、外側層を形成した。
【0218】
上記外側層は、モノリス担体1Lあたり、θ−Alを28g、および、Rh/MgO・2Alを28g(Rh担持量0.14g)、それぞれ担持するように形成した。また、外側層の被覆率は、70%であった。
【0219】
実施例12
実施例7における外側層の形成と同様にして、内側層を形成した。
【0220】
すなわち、内側層は、モノリス担体1Lあたり、θ−Alを40g、および、Rh/MgO・2Alを40g(Rh担持量0.2g)、それぞれ担持するように形成した。
【0221】
次いで、実施例7における内側層と同様にして、外側層を形成した。
【0222】
すなわち、外側層は、モノリス担体1Lあたり、Pd/θ−Alを50g(Pd担持量0.5g)、Pd/Ce0.30Zr0.50La0.050.05Oxideを50g(Pt担持量1.0g)、および、BaSOを20g、それぞれ担持するように形成した。
【0223】
これにより、2層コートからなる排ガス浄化用触媒を得た。排ガス浄化用触媒全体でのRhおよびPdの担持量は、それぞれ、0.20g/L、および、1.50g/Lであった。
【0224】
比較例3
実施例7と同様にして、内側層を形成した。
【0225】
上記内側層は、モノリス担体1Lあたり、Pd/θ−Alを50g(Pd担持量0.5g)、Pd/Ce0.30Zr0.50La0.050.05Oxideを50g(Pt担持量1.0g)、および、BaSOを20g、それぞれ担持するように形成した。
【0226】
次いで、θ−Alおよび製造例1で得られたRh/MgO・2Alに代えて、製造例6で得られたRh/θ−Alを用いた以外は、実施例7と同様にして、外側層を形成した。
【0227】
上記外側層は、モノリス担体1Lあたり、Rh/θ−Alを80g(Rh担持量0.2g)担持するように形成した。
【0228】
これにより、2層コートからなる排ガス浄化用触媒を得た。排ガス浄化用触媒全体でのRhおよびPdの担持量は、それぞれ、0.20g/L、および、1.50g/Lであった。
【0229】
比較例4
実施例7と同様にして、内側層を形成した。
【0230】
上記内側層は、モノリス担体1Lあたり、Pd/θ−Alを50g(Pd担持量0.5g)、Pd/Ce0.30Zr0.50La0.050.05Oxideを50g(Pt担持量1.0g)、および、BaSOを20g、それぞれ担持するように形成した。
【0231】
次いで、製造例1で得られたRh/MgO・2Alに代えて、製造例7で得られたRh/Zr0.8La0.05Nd0.10.05Oxideを用いた以外は、実施例7と同様にして、外側層を形成した。
【0232】
上記外側層は、モノリス担体1Lあたり、θ−Alを40g、および、Rh/Zr0.8La0.05Nd0.10.05Oxideを40g(Rh担持量0.2g)、それぞれ担持するように形成した。
【0233】
これにより、2層コートからなる排ガス浄化用触媒を得た。排ガス浄化用触媒全体でのRhおよびPdの担持量は、それぞれ、0.20g/L、および、1.50g/Lであった。
【0234】
比較例5
実施例7と同様にして、内側層を形成した。
【0235】
上記内側層は、モノリス担体1Lあたり、Pd/θ−Alを50g(Pd担持量0.5g)、Pd/Ce0.30Zr0.50La0.050.05Oxideを50g(Pt担持量1.0g)、および、BaSOを20g、それぞれ担持するように形成した。
【0236】
次いで、製造例1で得られたRh/MgO・2Alに代えて、製造例8で得られたRh/Zr0.84Ce0.13La0.01Nd0.02Oxideを用いた以外は、実施例7と同様にして、外側層を形成した。
【0237】
上記外側層は、モノリス担体1Lあたり、θ−Alを40g、および、Rh/Zr0.84Ce0.13La0.01Nd0.02Oxideを40g(Rh担持量0.2g)、それぞれ担持するように形成した。
【0238】
これにより、2層コートからなる排ガス浄化用触媒を得た。排ガス浄化用触媒全体でのRhおよびPdの担持量は、それぞれ、0.20g/L、および、1.50g/Lであった。
【0239】
実施例7〜12および比較例3〜5における排ガス浄化用触媒の層構成を、表2および表3に示す。
【0240】
【表2】

【0241】
【表3】

【0242】
性能評価
実施例7〜12および比較例3〜5で得られた各排ガス浄化用触媒(モノリス状触媒)を排気管に取り付けた、直列3気筒、排気量0.660Lのガソリンエンジンを低慣性動力計(明電舎製)により、JC08モード試験手順に沿って運転し、排出されたNMHC(ノンメタン炭化水素)およびNOを排ガス分析装置(HORIBA社製)で測定し、その浄化率を算出した。結果を図8に示す。
(考察)
図8が参照されるように、Rh担持不定比性スピネル型複合酸化物を含有するとともに、セリア系複合酸化物を含有しない外側層と、セリア系複合酸化物を含有するとともに、Rh担持不定比性スピネル型複合酸化物を含有しない内側層とを含む、実施例7〜12の排ガス浄化用触媒は、上記層のうち、外側層が、Rh担持不定比性スピネル型複合酸化物を含有しない比較例3〜5の排ガス浄化用触媒に比べ、優れたガス浄化性能を備えることがわかる。
【0243】
また、実施例11のように、排ガスの流れ方向下流側において、モノリス担体の内側層の表面を部分的に被覆するように、外側層を形成した排ガス浄化用触媒では、貴金属の使用量を低減するとともに、ガス浄化性能をより一層有効に発現できることが確認された。
【符号の説明】
【0244】
1 排ガス浄化用触媒
2 第1層
3 第2層
4 コート層
5 2次担体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示される不定比性スピネル型複合酸化物からなることを特徴とする、触媒担体。
MgO・xAl (1)
(式中、1<x≦9である。)
【請求項2】
請求項1に記載の触媒担体と、前記触媒担体に担持されるロジウムとを備える触媒組成物を含むことを特徴とする、排ガス浄化用触媒。
【請求項3】
排ガスの通過方向と直交する方向に順次積層される複数の層を備え、
前記複数の層は、
前記触媒組成物を含有するとともに、セリア系複合酸化物を含有しない第1層と、
セリア系複合酸化物を含有するとともに、前記触媒組成物を含有しない第2層と
を含むことを特徴とする、請求項2に記載の排ガス浄化用触媒。
【請求項4】
排ガスの通過方向において、
前記第1層が、前記第2層を部分的に被覆していることを特徴とする、請求項2または3に記載の排ガス浄化用触媒。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−130895(P2012−130895A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287446(P2010−287446)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【出願人】(000104607)株式会社キャタラー (161)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】