説明

触媒組成物並びにその調製方法及び重合プロセスにおける使用

【課題】触媒組成物並びにその調製方法及びオレフィン重合プロセスにおける使用方法であり、嵩高い配位子メタロセン型触媒系及び/又は従来型の遷移金属触媒系、並びにカルボン酸金属塩からなる触媒組成物の調製方法を提供する。
【解決手段】嵩高い配位子メタロセン型触媒の担持型触媒系をカルボン酸金属塩と組み合わせ、接触させ、ブレンドし、オレフィン重合の気相又はスラリー相プロセスに用いる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の属する技術分野
本発明は、触媒組成物並びに前記触媒組成物の調製方法及びオレフィン重合プロセスにおけるその使用方法に関する。詳しくは、本発明は、嵩高い配位子メタロセン型触媒系及び/又は従来型の遷移金属触媒系、並びにカルボン酸金属塩からなる触媒組成物の調製方法に関する。
【0002】
先行技術
重合と触媒作用の進歩により、多種多様の優れた製品や用途で有用であり改良された物理的及び化学的諸特性を有する多くの新規ポリマーを製造する能力が得られた。新規触媒の開発に伴って、特定のポリマーを製造するための重合タイプ(溶液、スラリー、高圧又は気相)の選択が大幅に拡大された。また、重合技術の進歩によって、より高効率、高生産性及び経済的に向上したプロセスが得られた。これらの進歩の具体的説明としては嵩高い配位子メタロセン型触媒系を利用する技術の開発がある。ポリオレフィン産業でのこのような技術上の進歩にも拘らず、ありふれた諸課題ばかりでなく、プロセスの操作性に関連する新しい挑戦も存在する。例えば、気相又はスラリー相プロセスでは汚損(foul)及び/又はシート(sheet)への傾向が未だに挑戦目標として残っている。
【0003】
例えば、連続式スラリープロセスでは、伝熱表面として作用する反応器壁に付着した汚損は操作上多くの問題となることがある。重合過程で熱伝達が小さいとポリマー粒子が反応器壁に付着することがある。このようなポリマー粒子が反応器壁で重合を続けると、予定よりも早い反応器停止となることがある。また、反応器の条件によるが、ポリマーのなかには反応器に希薄ながら溶解していて、例えば金属製熱交換器の表面に堆積するのもあり得る。
【0004】
典型的な連続式気相プロセスでは、重合によりこのプロセスにおいて発生する熱を除去することを含めて、多くの理由から循環系が採用されている。連続式気相プロセスでの汚損、シーティング(sheeting)及び/又は静電気の発生によって、種々の反応器系の操作が非効率になることがある。例えば、循環系の冷却機構、プロセス制御に使用される温度プローブ、そして影響する場合、分配板(distributor plate)によって反応器を早めに停止することがある。
【0005】
プロセスの操作性の諸問題の特徴やその解決法は多くの当業者により明らかにされている。例えば、米国特許第4,792,592号、第4,803,251号、第4,855,370号、第5,391,657号は全て、例えば水、アルコール類、ケトン類、及び/又は無機化学添加剤を重合プロセスに導入することにより、そのプロセスでの静電気の発生を減らす技術を論じている;1997年4月24日に発行された国際公開第97/14721号は、反応器に不活性炭化水素を加えることによりシーティングを起こすことがある粉体の抑制を論じている;米国特許第5,627,243号は、流動床型気相反応器で使用するための新型の分配板を論じている;国際公開第96/08520号は、反応器に捕捉剤を導入しないことを論じている;米国特許第5,461,123号は、シーティングを減らすために音波を使用することを論じている;米国特許第5,066,736号及び欧州特許第A1-0549252号は、凝集を減らすために反応器に活性抑制剤を導入することを論じている;米国特許第5,610,244号は、汚損を防止してポリマー品質を改良するために流動床の反応器に補充用のモノマーを直接供給することに関する;米国特許第5,126,414号は、分配板の汚損を減らすため及びゲルを含まないポリマーを提供するためにオリゴマー除去装置を入れることを論じている;1991年10月23日に発行された欧州特許第A1-0453116号は、シーティングや凝集物の量を減らすために反応器に帯電防止剤を導入することを論じている;米国特許第4,012,574号は、汚損を減らすために、反応器に界面活性化合物であるペルフルオロカーボン基を添加することを論じている;米国特許第5,026,795号は、反応器の中の重合ゾーンに、液体担体を含む帯電防止剤を添加することを論じている;米国特許第5,410,002号は、汚損を減らすために、選択された帯電防止剤が直接反応器に加えられる従来のチーグラー・ナッタのチタン/マグネシウム担持型触媒系を使用することを論じている;米国特許第5,034,480号及び第5,034,481号は、超高分子量エチレンポリマーを作るために帯電防止剤を含む従来のチーグラー・ナッタのチタン触媒の反応生成物を論じている;米国特許第3,082,198号は、炭化水素液体媒体中でチタン/アルミニウム有機金属触媒を使ってエチレンを重合するプロセスにおいて、水の量によって決まる量のカルボン酸を導入することを論じている;そして米国特許第3,919,185号は、従来のチーグラー・ナッタ型、又はフィリップス型触媒及び少なくとも300の分子量を有する有機酸の多価金属塩を使い非極性炭化水素希釈剤を使ったスラリープロセスを記載している。
【0006】
例えば米国特許第4,532,311号及び第4,876,320号に記載されているように、クロム化合物を使って反応器壁を処理するような、重合装置を被覆すること;例えば1997年12月11日に発行された国際公開第97/46599号は、重合反応器の中の重合の乏しい(lean)ゾーンに非担持型の可溶性メタロセン型触媒系を供給すること、及びその反応器に汚損防止剤又は帯電防止剤を注入することを論じているように、プロセスに種々の薬剤を注入すること;特に、開始時に重合速度を制御すること;並びに反応器設計を再構成することを含めて、操作性を改良するその他のいろいろな既知の方法がある。
【0007】
プロセスの操作性を改良するために、当業者は、触媒系をいろいろな方法で調製することによって触媒系を改良することを論じてきた。例えば、当業界の方法には、触媒系の諸成分を特定の順序で組み合わせること;種々の触媒系成分の割合を操作すること;触媒系の諸成分を組み合わせた時に接触時間及び/又は温度を変更すること;或いは種々の化合物を触媒系に単純に加えることが挙げられる。これらの技術や或いはその他の組み合わせは文献で論じられている。当業界での具体的説明としては、嵩高い配位子メタロセン型触媒系、より具体的には汚損の傾向が少なく、よりよい操作性の担持型の嵩高い配位子メタロセン型触媒系を作るための調製手順及び方法である。これらの例には;1996年4月26日に発行された国際公開第96/11961号は、気相、スラリー相又は液相重合プロセスにおいて汚損とシーティングを減らすために帯電防止剤を担持型触媒系の成分として論じている;米国特許第5,283,278号は帯電防止剤の存在下でメタロセン触媒又は従来のチーグラー・ナッタ触媒の予備重合に関するものである;米国特許第5,332,706号及び第5,473,028号は、初期含浸による触媒の形成の特別な技術に関するものである;米国特許第5,427,991号及び第5,643,847号は、非配位アニオン活性化剤を担体に化学結合させることを記載している;米国特許第5,492,975号は、ポリマー結合型メタロセン型触媒系を論じている;米国特許第5,661,095号は、オレフィンと不飽和シランのコポリマーにメタロセン型触媒を担持することを論じている;1997年2月20日に発行された国際公開第97/06186号は、メタロセン型触媒自体を形成した後、無機及び有機不純物を除去することを教示している;1997年5月1日に発行された国際公開第97/15602号は、容易に担持できる金属錯体を論じている;1997年7月31日に発行された国際公開第97/27224号は、少なくとも1個の末端二重結合を有する不飽和有機化合物の存在下で担持型遷移金属化合物を生成することに関する;そして欧州特許第A2-811638号は、帯電防止剤を含む窒素の存在下での重合プロセスにおいて、メタロセン型触媒と活性化共触媒を使用することを論じている。
【0008】
このように考えられる全ての解決策は、汚損又はシーティングを多少とも減らすかもしれないが、採用するには高価なものもあるし、及び/又は、連続式プロセス、特に工業プロセス又は大規模プロセスを首尾よく操作するのに充分なレベルまで汚損及びシーティングを減らすことができないものもある。
【0009】
従って、向上した反応器の操作性での連続的に操作可能な重合プロセスを持ち、同時に新規で改良されたポリマーを製造することが好ましい。より安定な触媒生産性、汚損/シーティングは減少傾向にあること及び操作期間が延びる連続操作式重合プロセスを有することも極めて有用である。
【0010】
発明の要約
本発明は、新規でかつ改良された触媒組成物の製造方法及び重合プロセスにおけるその組成物の使用方法を提供する。この方法は、触媒系、好ましくは担持型触媒系をカルボン酸金属塩と組み合わせ、接触させ、ブレンドし、及び/又は混合する段階を含む。1つの実施態様では、この触媒系は従来型遷移金属触媒化合物を含む。最も好ましい実施態様では、この触媒系は嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物を含む。この触媒系とこのカルボン酸金属塩との組み合わせはあらゆるオレフィン重合プロセスで有用である。好ましい重合プロセスは、気相又はスラリー相プロセス、最も好ましくは気相プロセスである。
【0011】
1つの実施態様では、本発明は、オレフィン又はオレフィン類の重合に有用な触媒組成物の製造方法を提供することであって、この方法には、重合触媒と少なくとも1種のカルボン酸金属塩を組み合わせ、接触させ、ブレンドし及び/又は混合することを含む。ある実施態様では、重合触媒は、従来型遷移金属重合触媒、更に好ましくは担持型の従来型遷移金属重合触媒である。最も好ましい実施態様では、重合触媒は嵩高い配位子メタロセン型触媒、最も好ましくは担持型の嵩高い配位子メタロセン型触媒重合である。
【0012】
ある好ましい実施態様では、本発明は、触媒化合物、好ましくは従来型遷移金属触媒化合物、更に好ましくは嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物、活性化剤及び/又は共触媒、担体、並びにカルボン酸金属塩を含む触媒組成物に関する。
【0013】
本発明の最も好ましい方法では、カルボン酸金属塩は、担体を含む担持型触媒系又は重合触媒と、ブレンド、好ましくはドライブレンド、そして最も好ましくはタンブラーでのドライブレンド又は流動化される。この最も好ましい実施態様では、本重合触媒は、少なくとも1種の嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物、活性化剤及び担体を含む。
【0014】
さらにもう一つの実施態様では、本発明は、重合触媒とカルボン酸金属塩を含む触媒組成物の存在でオレフィン(類)を重合するプロセスに関するものであり、好ましくはその重合触媒は担体を含み、より好ましくはその重合触媒は従来型触媒化合物及び/又は嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物の1種以上の組み合わせを含む。
【0015】
本発明の触媒組成物の好ましい製造方法では、この方法は、嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物、活性化剤及び担体を組み合わせることにより担持型の嵩高い配位子メタロセン型触媒系を形成する段階、並びにその担持型の嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物をカルボン酸金属塩と接触させる段階を含む。最も好ましい実施態様では、担持型の嵩高い配位子メタロセン型触媒系とカルボン酸金属塩は実質的に乾いた状態か或いは乾燥された状態にある。
【0016】
1つの実施態様では、本発明は少なくとも1種のカルボン酸金属塩と、組み合わせ、接触し、ブレンドし又は混合された重合触媒の存在でオレフィン又はオレフィン類を重合するプロセスを提供する。
【0017】
発明の詳細な説明
緒言
本発明は、触媒組成物の製造方法、及び触媒組成物そのものに関する。また、本発明は、本発明の触媒組成物を使用して改良された操作性及び製品機能を有する重合プロセスにも関する。驚くべきことに、カルボン酸金属塩をある触媒系と組み合わせて使用すると、実質的に改良された重合プロセスとなることを発見した。特に驚いたのは、触媒系が担体に担持されることであり、更に驚いたのは、触媒系が嵩高い配位子メタロセン型触媒系を含むことであり、そして尚、更に驚いたのは嵩高い配位子メタロセン型触媒が極めて活性であること及び/又はコモノマーを実によく組み入れることである。
【0018】
いずれの理論にも束縛されるわけではないが、このような嵩高い配位子メタロセン型触媒は比較的シーティング及び/又は汚損しやすいと考えられる。極めて高活性の触媒は、成長中のポリマー粒子を局所的に過熱することがあると考えられる。このような極端な条件によって高レベルのシーティング及び/又は汚損となることが理論付けされている。嵩高い配位子メタロセン型触媒によって作られるポリマーは、極めて強靭なポリマーのシートを形成するとの仮説もある。従って、反応器中で生成する場合があるこれらのあらゆるシートを解体して除去することは困難である。
【0019】
更に、重合触媒とカルボン酸金属塩との改良された操作性を有する組み合わせを使った重合プロセスで分画(fractional)メルトインデックスと高密度のポリマーを作ることができることは殆ど予期していなかった。このような発見は、プロセスの操作性の観点から、このタイプのポリマーを作るのが難しいことはポリマー業界ではよく知られているという点で特に重要である。
【0020】
カルボン酸金属塩と組み合わせた下記の重合触媒を使用すると、加工操作性の大幅な改良、シーティングと汚損の大幅な減少、ポリマーの物理的諸特性には悪影響は及ぼすことのない、更に優れたポリマー粒子の形態性、及びより広範囲のポリマーを製造できる能力が得られる。
【0021】
触媒成分及び触媒系
従来型の遷移金属触媒化合物を含む全ての重合触媒は、本発明の重合プロセスで使用するのは好適である。しかしながら、嵩高い配位子及び/又は架橋型の嵩高い配位子メタロセン型触媒を使ったプロセスが特に好ましい。以下は本発明に有用な種々の重合触媒の非限定的考察である。
【0022】
従来型遷移金属触媒
従来型遷移金属触媒は、当分野では周知された従来のチーグラー・ナッタ触媒及びフィリップス型クロム触媒である。従来型遷移金属触媒の例は、米国特許第4,115,639号、第4,007,904号、第4,482,687号、第4,564,605号、第4,721,763号、第4,879,359号及び第4,960,741号で論じられており、これらを本明細書に援用する。本発明で使用し得る従来型遷移金属触媒化合物には、元素の周期表のIII族乃至VIII族、好ましくはIVB族乃至VIB族の遷移金属が挙げられる。
【0023】
従来型遷移金属触媒は次式で表すことができる;MR、式中、MはIIIB乃至VIII族、好ましくはIVB族、更に好ましくはチタンである;Rはハロゲン、又はヒドロカルビルオキシ基である;そしてxは金属Mの原子価である。Rの非限定例には、アルコキシ、フェノキシ、臭化物、塩化物及びフッ化物が挙げられる。Mがチタンである従来型遷移金属触媒の非限定例には、TiCl、TiBr、Ti(OCCl、Ti(OC)Cl、Ti(OCHCl、
Ti(OCCl、Ti(OCBr、TiCl1/3AlCl及びTi(OC1225)Clを含む。
【0024】
本発明で有用であるマグネシウム/チタン電子供与体錯体主成分の従来型遷移金属触媒化合物は、例えば米国特許第4,302,565号及び第4,302,566号に記載されており、これらの特許を本明細書に援用する。MgTiCl(酢酸エチル)4誘導体が特に好ましい。英国特許第2,105,355号(本明細書に援用する)はいろいろな従来型バナジウム触媒化合物を記載している。従来型バナジウム触媒化合物の非限定例には、VOCl、VOCl(OBu)(式中、Buはブチルである)及びVO(OC)のようなバナジルのトリハライド、アルコキシハライド類及びアルコキシド類;VCl及びVCl(OBu)のようなバナジルテトラハライド及びバナジウムアルコキシハライド;V(AcAc)及びVOCl(AcAc)(式中、(AcAc)はアセチルアセトネートである)のようなバナジウムやバナジルアセチルアセトネート類及びクロロアセチルアセトネート類が挙げられる。好ましい従来型バナジウム触媒化合物はVOCl、VCl及びVOClOR(式中、Rは炭化水素基、好ましくは、例えば、エチル、フェニル、イソプロピル、ブチル、プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、ターシャリ-ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ナフチル等のようなC−C10の脂肪族又は芳香族炭化水素基、並びにバナジウムアセチルアセトネート類である)である。
【0025】
本発明で使用するのに好適な従来型クロム触媒化合物(しばしばフィリップス型触媒と呼ばれる)にはCrO、クロモセン、クロム酸シリル、塩化クロミル(CrOCl)、クロム-2-エチルヘキサノエート、クロムアセチルアセトネート(Cr(AcAc))等が挙げられる。非限定例は米国特許第2,285,721号、第3,242,099号及び第3,231,550号に開示されており、これらの特許を本明細書に援用する。
【0026】
本発明で使用するのに好適な、更にその他の従来型遷移金属触媒化合物及び触媒系は、米国特許第4,124,532号、第4,302,565号、第4,302,566号及び第5,763,723号並びに欧州特許第A2-0416815号及びA1-0420436号に開示されており、これらを本明細書に援用する。本発明の従来型遷移金属触媒は、一般式、M’M”X2tE(式中、M’はMg、Mn及び/又はCaである;tは0.5乃至2の数である;M”は遷移金属Ti、V及び/又はZrである;Xはハロゲン、好ましくはCl、Br、又はIである;Yは同じでも異なってもよく、ハロゲンであり、単独又は酸素、-NR、-OR、-SR、-COOR又は-OSOOR、(式中、Rはヒドロカルビル基、特にアルキル、アリール、シクロアルキル又はアリールアルキル基、アセチルアセトネートアニオンであり、M’の原子価状態を満足する量である)との組み合わせである;uは0.5乃至2の数である;Eは次の部類の化合物から選ばれる電子供与体化合物である:(a)有機カルボン酸のエステル;(b)アルコール類;(c)エーテル類;(d)アミン類;(e)カルボン酸のエステル;(f)ニトリル類;(g)ホスホルアミド類;(h)リン酸及び亜リン酸のエステル;並びに(j)オキシ塩化リンである)を有することもできる。上式を満足する錯体の非限定例には次が挙げられる:MgTiCl2CHCOOC、MgTiCl127CHCOOC、MgTiCl6COH、MgTiCl100CHOH、MgTiClテトラヒドロフラン、MgTiCl127CCN、MgTiCl126CCOOC、MgTiCl2CHCOOC、MgTiCl6CN、MgTiCl(OCH)2CHCOOC、MgTiClN(C3CHCOOC、MgTiBrCl2(CO、MnTiCl4COH、MgVCl127CHCOOC、MgZrCl4テトラヒドロフラン。その他の触媒には当業界で周知のAlClのようなカチオン触媒、並びにその他のコバルト及び鉄触媒を挙げることができる。
【0027】
一般的に、いくつかの従来型クロム触媒化合物を除いて、このような従来型遷移金属触媒化合物は1種以上の下記の従来型共触媒によって活性化される。
【0028】
従来型共触媒
前記の従来型遷移金属触媒化合物用の従来型共触媒化合物は、式:Mb−c(式中、Mは元素の周期表のIA、IIA、IIB、及びIIIA族の金属である;Mは元素の周期表IA族の金属である;vは0乃至1の数である;各Xは任意のハロゲンである;cは0乃至3の数である;各Rは一価の炭化水素基又は水素である;bは1から4までの数である;その場合、bからcを差し引くと少なくとも1である)により表すことができる。前記従来型遷移金属触媒用のその他の従来型有機金属共触媒化合物は、式:M(式中、Mはリチウム、ナトリウム、ベリリウム、バリウム、ホウ素、アルミニウム、亜鉛、カドミウム、及びガリウムのようなI、IIA、IIB又はIIIA族の金属である;kはMの原子価によって決まる1、2又は3に等しく、更にMの原子価はMが属する特定の族によって通常決まる;そして各Rは任意の一価の炭化水素基でもよい)を有する。
【0029】
前記従来型触媒化合物と共に有用なIA、IIA及びIIIA族の従来型有機金属共触媒化合物の非限定例には、メチルリチウム、ブチルリチウム、ジヘキシル水銀、ブチルマグネシウム、ジエチルカドミウム、ベンジルカリウム、ジエチル亜鉛、トリ-n-ブチルアルミニウム、ジイソブチルエチルホウ素、ジエチルカドミウム、ジ-n-ブチル亜鉛及びトリ-n-アミルホウ素、そして特にアルミニウムアルキル、例えばトリヘキシルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、及びトリイソブチルアルミニウムが挙げられる。その他の従来型共触媒化合物には、IIA族金属のモノ有機ハロゲン化合物及び水素化物、並びにIIIA族金属のモノ、又はジ有機ハロゲン化合物及び水素化物が挙げられる。このような従来型共触媒化合物の非限定例には、臭化ジイソブチルアルミニウム、二塩化イソブチルホウ素、塩化メチルマグネシウム、塩化エチルベリリウム、臭化エチルカルシウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化メチルカドミウム、水素化ジエチルホウ素、水素化ヘキシルベリリウム、水素化ジプロピルホウ素、水素化オクチルマグネシウム、水素化ブチル亜鉛、水素化ジクロロホウ素、水素化ジブロモアルミニウム及び水素化ブロモカドミウムを含む。従来型有機金属共触媒化合物は当業者には周知であり、これらの化合物の更に完全な記載は、米国特許第3,221,002号及び第5,093,415号に見受けられ、これらを本明細書に援用する。
【0030】
本特許の明細書及び添付の特許請求の範囲の目的にかんがみ、従来型遷移金属触媒化合物は、下記の嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物とは相容れない。本特許の明細書及び添付の特許請求の範囲の目的にかんがみ、「共触媒」という語は、従来型共触媒又は従来型有機金属共触媒化合物を指す。本発明のカルボン酸金属塩と組み合わせて使用する嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物及び触媒系を下記で説明する。
【0031】
嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物
一般的に、嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物は、シクロペンタジエニル型構造体、又はペンタジエン、シクロオクタテトラエンジイル及びイミドのようなその他の同様な官能性構造体を含む1種以上の嵩高い配位子を有する半分及び完全サンドイッチ状化合物を含む。典型的な嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物は、一般に、遷移金属原子とη−5結合できる1個以上の配位子、通常はシクロペンタジエニル誘導型配位子、又は元素の周期表の3乃至8族、好ましくは4、5若しくは6族、又はランタニド及びアクチニドから選択される遷移金属と組み合わせた部分を含むとして説明される。このような嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物及び触媒系の例は、例えば次の米国特許に記載されている;米国特許第4,530,914号、第4,871,705号、第4,937,299号、第5,017,714号、第5,055,438号、第5,096,867号、第5,120,867号、第5,124,418号、第5,198,401号、第5,210,352号、第5,229,478号、第5,264,405号、第5,278,264号、第5,278,119号、第5,304,614号、第5,324,800号、第5,347,025号、第5,350,723号、第5,384,299号、第5,391,790号、第5,391,789号、第5,399,636号、第5,408,017号、第5,491,207号、第5,455,366号、第5,534,473号、第5,539,124号、第5,554,775号、第5,621,126号、第5,684,098号、第5,693,730号、第5,698,634号、第5,710,297号、第5,712,354号、第5,714,427号、第5,714,555号、第5,728,641号、第5,728,839号、第5,753,577号、第5,767,209号、第5,770,753号及び第5,770,664号、これらを本明細書に援用する。また、欧州特許公報の開示内容、即ち、欧州特許第A-0591756号、第A-0520732号、第A-0420436号、第B1-0485822号、第B1-0485823号、第A2-0743324号、及び第B1-0518092号、並びに国際公開第91/04257号、第92/00333号、第93/08221号、第93/08199号、第94/01471号、第96/20233号、第97/155 82号、第97/199 59号、第97/46567号、第98/01455号、第98/06759号及び第98/011144号は、典型的に嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物及び触媒系を説明する目的で、本明細書に援用する。
【0032】
1つの実施態様では、本発明の嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物は、
式:LMQ (I)
(式中、Mは元素の周期表の金属であり、3乃至10族の金属、好ましくは4,5又は6族の遷移金属又はランタニド又はアクチニド系列の金属、更に好ましくはMは4族の遷移金属であり、尚、更に好ましくはジルコニウム、ハフニウム、又はチタンである)で表される。L及びLは、シクロペンタジエニル誘導型配位子若しくは置換シクロペンタジエニル誘導型配位子若しくはヘテロ原子置換若しくはヘテロ原子含有シクロペンタジエニル誘導型配位子、又はヒドロカルビル置換シクロペンタジエニル誘導型配位子、又はインデニル配位子、ベンジンデニル配位子、フルオレニル配位子、オクタヒドロフルオロレニル配位子、シクロオクタテトラエンジイル配位子、アゼニル配位子及びボラベンゼン配位子等であって、これらの水素化変形体を含む部分を含む、嵩高い配位子である。また、L及びLは、Mにη−5結合可能なあらゆるその他の配位子構造体が可能であり、例えばL及びLは1種以上のへテロ原子、例えば窒素、ケイ素、ホウ素、ゲルマニウム、及びリンを炭素原子と組み合わせて含み、環状構造体、例えばヘテロシクロペンタジエニル副(ancillary)配位子を生成することができる。更に、L及びLの各々は、アミド類、リン化物類、アルコキシド類、アリールオキシド類、イミド類、カルボライド類、ボロライド類、ポルフィリン類、フタロシアニン類、コリン類及びその他のポリアゾマクロサイクル類(polyazomacrocycles)を含む、その他のタイプの嵩高い配位子であるが、これらに限定されない。L及びLは、Mにπ結合する、同じでも異なってもよいタイプの嵩高い配位子である。
【0033】
及びLの各々は、置換基Rの組み合わせで置換されてもよい。置換基Rの非限定例には、水素、又は線状、分岐状のアルキル基若しくは環状アルキル、アルケニル、アルキニル若しくはアリール基、又は1から30個の炭素原子を有するこれらの組み合わせ、又は置換されることも可能な最高50個の非水素原子を有するその他の置換基を含む。アルキル置換基Rの非限定な例には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジル又はフェニル基、ハロゲン等が挙げられ、これらの全ての異性体、例えばターシャリーブチル、イソプロピル等が挙げられる。その他のヒドロカルビル基には、フロオロメチル、フルロエチル(fluroethyl)、ジフルロエチル、ヨードプロピル、ブロモヘキシル、クロロベンジル及びトリメチルシリル、トリメチルゲルミル、メチルジエチルシリル等を含めたヒドロカルビル置換オルガノメタロイド基;及びトリス(トリフルオロメチル)シリル、メチルビス(ジフルオロメチル)シリル、ブロモメチルジメチルゲルミル等を含ムハロカルビル置換オルガノメタロイド基;及び例えば、ジメチルホウ素を含めた二置換ホウ素基;及びジメチルアミン、ジメチルホスフィン、ジフェニルアミン、メチルフェニルホスフィンを含む二置換ピニコゲン基、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、フェノキシ、メチルスルフィド及びエチルスルフィドを含むカルコゲン基を含む。非水素置換基Rは、炭素、ケイ素、窒素、リン、酸素、スズ、ゲルマニウムの原子が挙げられ、そして、例えばブト-3-エニル(but-3-enyl)、2-ビニル若しくはヘキセン-1のようなビニル末端基配位子を含むオレフィン性不飽和置換基のようなオレフィンを含むが、これらに限定されない。また、少なくとも2個のR基、好ましくは2個の隣接R基が共有されて、炭素、窒素、酸素、リン、ケイ素、ゲルマニウム、ホウ素又はこれらの組み合わせから選択される、4から30個の炭素原子を有する環構造を形成する。また、1-ブタニルのようなR基は、金属Mと炭素シグマ結合を形成することができる。
【0034】
離脱基Qのようなその他の配位子は遷移金属と結合することができる。QはMとのシグマ結合を有する独立したモノアニオン性の不安定な配位子であってもよい。Qの非限定な例には、アミンのような弱塩基、ホスフィン、エーテル、カルボキシレート、ジエン、1から20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基、水素化物、又はハロゲン等、及びそれらの組み合わせが挙げられる。Q基のその他の例には、前述のRに対する置換基が挙げられ、そしてシクロヘキシル、ペプチル、トリル、トリフルロメチル(trifluromethyl)、テトラメチレン及びペンタメチレン、メチリデン、メチオキシ(methyoxy)、エチオキシ(ethyoxy)、プロポキシ、フェノキシ、ビス(N-メチルアニリド)、ジメチルアミド、ジメチルホスファイド基等が挙げられる。
【0035】
更に、本発明の嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物は、L及びLが架橋基Aによって互いに架橋される化合物である。これらの架橋型化合物は、架橋型の嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物として知られる。架橋基Aの非限定例には、少なくとも1個の14族原子の架橋基が挙げられ、例えば炭素、酸素、窒素、ケイ素、ゲルマニウム及びスズ、好ましくは炭素、ケイ素及びゲルマニウムであり、最も好ましくはケイ素であるがこれに限られない。架橋基Aのその他の非限定例には、ジメチルシリル、ジエチルシリル、メチルエチルシリル、トリフルオロメチルブチルシリル、ビス(トリフルオロメチル)シリル、ジ-n-ブチルシリル、シリルシクロブチル、ジ-i-プロピルシリル、ジシクロヘキシルシリル、ジフェニルシリル、シクロヘキシルフェニルシリル、t-ブチルシクロヘキシルシリル、ジ-t-ブチルフェニルシリル、ジ(p-トリル)シリル、ジメチルゲルミル(germyl)、ジエチルゲルミル、メチレン、ジメチルメチレン、ジフェニルメチレン、エチレン、1,2-ジメチルエチレン、1,2-ジフェニルエチレン、1,1,2,2-テトラメチレンエチレン、ジメチルメチレンジメチルシリル、メチレンジフェニルゲルミル、メチルアミン、フェニルアミン、シクロヘキシルアミン、メチルホスフィン、フェニルホスフィン、シクロヘキシルホスフィン等を含む。
【0036】
もう一つの実施態様では、本発明の嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物は、一般式:(C4−d)A(C4−d)MQg−2 (II)
(式中、Mは4、5、6族の遷移金属であり、(C4−d)は、Mに結合した非置換又は置換シクロペンタジエニル誘導型の嵩高い配位子であり、Rは、各々、同じでも異なってもよく、水素、又は50個までの非水素原子を含む置換基又は1から30個の炭素原子を有する置換若しくは非置換ヒドロカルビル又はそれらの組み合わせであるか、或いは2個以上の炭素原子が互いに結合して4乃至30個の炭素原子を有する置換若しくは非置換環又は環系の一部を形成し、Aは、炭素、ゲルマニウム、ケイ素、スズ、リン又は窒素原子の1個以上又は組み合わせ物を含有し、2個の(C4−d)環を架橋する基である;更に詳しくはAの非限定な例は、R’C、R’Si、R’SiR’Si、R’SiR’C、R’Ge、R’Ge、R’SiR’Ge、R’GeR’C、R’N、R’P、R’CR’N、R’CR’P、R’SiR’N、R’SiR’P、R’GeR’N、R’GeR’Pであり、式中、R’は独立して、水素化物、C1−30ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、ヒドロカルビル置換有機メタロイド、ハロカルビル置換有機メタロイド、二置換ホウ素、二置換ピニコゲン、置換カルコゲン、又はハロゲンである置換基であり;Qは、各々、同じでも異なっていてもよく、水素化物、1から30個の炭素原子を有する置換又は非置換、線状、環状又は分岐状のヒドロカルビル、ハロゲン、アルコキシド、アリールオキシド、アミド、ホスファイド若しくはその他の一価アニオン配位子又はそれらの組み合わせであり;また、2個のQは共にアルキリデン配位子又はシクロメタル化ヒドロカルビル配位子又はその他の二価アニオンキレート化配位子を形成でき、式中、gはMの形式酸化状態に相当する整数であり、dは0、1、2、3又は4から選択された置換の程度を表す整数であり、そしてxは0から1までの整数である)で表される。
【0037】
1つの実施態様では、嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物は、式(I)及び(II)の嵩高い配位子L、L、(C4−d)上のR置換基が、各々の嵩高い配位子上の同数か又は異なる数の置換基で置換される化合物である。
【0038】
好ましい実施態様では、嵩高い配位子メタロセン型触媒は式(II)で表され、その式中ではxは1である。
【0039】
本発明において有用なその他の嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物には、架橋型の、モノ-嵩高い配位子へテロ原子含有メタロセン型触媒化合物が挙げられる。これらのタイプの触媒及び触媒系は、例えば国際公開第92/00333号、第94/07928号、第91/04257号、第94/03506号、第96/00244号及び第97/15602号並びに米国特許第5,0575,475号、第5,096,867号、第5,055,438号、第5,198,401号、第5,227,440号及び第5,264,405号、並びに欧州特許第A-0420436号に記載されており、これらを本明細書に援用する。本発明において有用なその他の嵩高い配位子メタロセン型触媒は、米国特許第5,064,802号、第5,145,819号、第5,149,819号、第5,243,001号、第5,239,022号、第5,276,208号、第5,296,434号、第5,321,106号、第5,329,031号、第5,304,614号、第5,677,401号及び第5,723,398号、並びに国際公開第93/08221号、第93/08199号、第95/07140号、第98/11144号及び欧州特許公開公報第A-0578838号、第A-0638595号、第B-0513380号及び第A1-0816372号に記載されているものを含み、これらを本明細書に援用する。
【0040】
本発明の別の実施態様では、本発明で有用な架橋型、モノ嵩高い配位子へテロ原子含有メタロセン型触媒化合物は次式で表される:
【化1】

(式中、MはTi、Zr又はHfである;(C5−y−x)は0乃至5個の置換基Rで置換されるシクロペンタジエニル環又は環系であり、“x”は置換の程度を表す0、1、2、3、4又は5であり、各置換基Rは、独立して、C−C20ヒドロカルビル基、置換C−C20ヒドロカルビル基(式中、1個以上の水素原子はハロゲン原子によって置き換えられる)、C1−C20ヒドロカルビル置換メタロイド基(式中、メタロイドは元素の周期表の14族から選ばれる)、そしてハロゲン基又は(C5−y−x)は、2個の隣接するR基が共有されてC−C20環を形成して、インデニル、テトラヒドロインデニル、フルオレニル又はオクタヒドロフルオレニルのような飽和又は不飽和多環シクロペンタジエニル配位子となるシクロペンタジエニル環である;
【0041】
(JR’z−1−y)がヘテロ原子配位子であり、Jは元素の周期表の15族の配位数3の元素又は16族の配位数2の元素、好ましくは窒素、リン、酸素又は硫黄であって、窒素が好ましく、そして各R’は独立して、C−C20ヒドロカルビル基からなる群から選択される基で、この場合、1個以上の水素原子又はハロゲン原子で置き換えられ、yは0又は1であり、そして「z」は元素Jの配位数である;
【0042】
2個のQがアルキリデン、シクロメタル化ヒドロカルビル又はその他のいずれかの二価のアニオンキレート化配位子ならば、各Qは独立して、ハロゲン、水素化物、又は置換若しくは非置換C−C30ヒドロカルビル、アルコキシド、アリールオキシド、アミド又はホスファイドのような任意の一価アニオン配位子である;
【0043】
Aは、例えば、ジアルキル、アルキルアリール若しくはジアリールケイ素又はゲルマニウム基、アルキル若しくはアリールホスフィン又はアミン基、又はメチレン、エチレン等のようなヒドロカルビル基のような、15又は14族元素を含む共有結合架橋基であるが、これらに限定されない;
【0044】
L’はジエチルエーテル、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラヒドロフラン、ジメチルアニリン、アニリン、トリメチルホスフィン、n-ブチルアミン等のようなルイス塩基である;そしてwは0から3までの数である。更に、L’はR、R’又はQのいずれとも結合してもよく、そしてnは0、1、2又は3である)。
【0045】
別の実施態様では、嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物は、遷移金属の錯体、置換又は非置換π結合配位子、及び1個以上のヘテロアリル部分であり、例えば米国特許第5,527,752号及び第5,747,406号並びに欧州特許第B1-0735057号に記載されており、これらを本明細書に援用する。好ましくは、嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物、即ちモノシクロアルカジエニル触媒化合物は、次式のうちの1つの式で表すことができる:
【化2】

又は
【化3】

(式中、Mは4、5又は6族の遷移金属、好ましくはチタン、ジルコニウム又はハフニウムであり、最も好ましくはジルコニウム又はハフニウムである;Lは、Mに配位した置換又は非置換のπ結合配位子であり、好ましくはLはシクロアルカジエニルの嵩高い配位子、例えばシクロペンタジエニル、インデニル又はフルオレニルの嵩高い配位子、必要に応じて1から20個の炭素原子を有する1種以上のヒドロカルビル置換基である;各Qは独立して-O-、-NR-、-CR-及び-S-から成る群から選択され、好ましくは酸素である;YはC又はSのどちらかであり、好ましくは炭素である;Zは、-OR、-NR、-CR、-SR、-SiR、-PR、-H及び置換又は非置換アリール基からなる群から選択されるが、但し、Qが-NR-のとき、Zは-OR、-NR、-SR、-SiR、-PR及び-Hから成る群から選ばれ、好ましくはZは-OR、-CR及び-NRからなる群から選ばれる;nは1又は2で、好ましくは1である;nが2の場合Aは一価のアニオン基であるか、或いはnが1の場合Aは二価のアニオン基であり、好ましくはAは、カルバメート、カルボキシレート、又はQ、Y及びZの組み合わせ物によって表されるその他のヘテロアリル部分である;そして各Rは独立して、炭素、ケイ素、窒素、酸素、及び/又はリンを含む基であって、この場合、1個以上のR基はL置換基に結合していてよく、好ましくはRは1から20個の炭素原子を含む炭化水素基であり、最も好ましくはアルキル、シクロアルキル又はアリール基であり、1個以上がL置換基に結合することができ;そしてTは、必要に応じて炭素又はへテロ原子(類)、ゲルマニウム、ケイ素及びアルキルホスフィンで置換された1から10個の炭素原子を含むアルキレン及びアリーレン基から成る群から選ばれる架橋基である;そしてmは、2から7、好ましくは2から6、最も好ましくは2又は3である)。
【0046】
式(IV)及び(V)では、Q、Y及びZによって形成される支持置換基は、シクロペンタジエニルに類似の高度の分極率によって電子効果を発現する単一荷電多座配位子である。本発明の最も好ましい実施態様では、二置換カルバメート、及びカルボキシレートが使用される。このような嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物の非限定な例は、インデニルジルコニウムトリス(ジエチルカルバメート)、インデニルジルコニウムトリス(トリメチルアセテート)、インデニルジルコニウムトリス(p-トルエート)、インデニルジルコニウムトリス(ベンゾエート)、(1-メチルインデニル)ジルコニウムトリス(トリメチルアセテート)、(2-メチルインデニル)ジルコニウムトリス(ジエチルカルバメート)、(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムトリス(トリメチルアセテート)、シクロペンタジエニルトリス(トリメチルアセテート)、テトラヒドロインデニルジルコニウムトリス(トリメチルアセテート)、及び(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムトリス(ベンゾエート)を含む。好ましい例は、インデニルジルコニウムトリス(ジエチルカルバメート)、インデニルジルコニウムトリス(トリメチルアセテート)、及び(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムトリス(トリメチルアセテート)である。
【0047】
本発明のもう一つの実施態様では、嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物は、窒素含有の複素環式配位子錯体であり、ピリジン又はキノリン部分を含む二座配位子系遷移金属触媒としても知られ、例えば、国際公開第96/33202号、第99/01481号及び第98/42664号、並びに米国特許第5,637,660号に記載されており、これらを本明細書に援用する。
【0048】
1つの実施態様においては、ジョンソン(Johnson)等、“New Pd(II)-and Ni(II)-Based Catalysts for Polymerization of Ethylene and a-Olefines”、J.Am.Chem.Soc.、1995,117,6414-6415、及びジョンソン等、“Copolymerization of Ethylene and Propylene with Functionalized Vinyl Monomers by Palladium(II)Catalysts”、J.Am.Chem.Soc.、1996,118,267-268、の論文、並びに1996年8月1日に発行された国際公開第96/23010号(これらを本明細書に援用する)に記載されているNi2+及びPd2+の嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物錯体を、本発明のプロセスで使用するカルボン酸金属塩と組み合わせることができることは本発明の範囲内である。これらの錯体は、ジアルキルエーテル付加物か、或いは下記の本発明の従来型共触媒又は活性化剤によってカチオン状態に活性化し得る前述のジハライド錯体のアルキル化反応生成物のいずれかであり得る。
【0049】
嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物としては、国際公開第96/23010号及び第97/48735号、並びにギブソン(Gibson)等、Chem.Comm.,849-850頁(1998)(これらを本明細書に援用する)に開示されている8乃至10族の金属化合物に対するジイミン系の配位子が含まれる。
【0050】
その他の嵩高い配位子メタロセン型触媒は、本明細書に援用される欧州特許第A2-0816384号及び米国特許第5,851,945号に記載されている5族と6族のイミド錯体である。更に、嵩高い配位子メタロセン型触媒には、D.H.マッコンビル(D.H.McConville)等、Organometallics、1195,14,5478-5480に記載されている架橋型ビス(アリールアミド)4族化合物を含み、これを本明細書に援用する。その他の嵩高い配位子メタロセン型触媒は、米国特許第5,852,146号にビス(ヒドロキシ芳香族窒素配位子)として記載され、この特許を本明細書に援用する。1個以上の15族原子を含むその他のメタロセン型触媒には、国際公開第98/46651号に記載されている触媒が挙げられ、この特許を本明細書に援用する。尚、別のメタロセン型の嵩高い配位子メタロセン型触媒は、国際公開第99/20665号に記載されているような多核の嵩高い配位子メタロセン型触媒の触媒が挙げられ、この特許を本明細書に援用する。
【0051】
本発明の前述の嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物の嵩高い配位子は、追加の置換基又は置換基のタイプに関して非対称的に置換されてもよく、及び/又は嵩高い配位子上の追加の置換基の数に関しては不釣合いでもよく、即ち嵩高い配位子同志が異なることは幾つかの実施態様で考えられる。
【0052】
また、1つの実施態様では、本発明の嵩高い配位子メタロセン型触媒には、構造的又は光学的又は鏡像的異性体(メソ及びラセミ異性体)及びそれらの混合物も又含まれると思われる。もう一つの実施態様では、本発明の嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物は、キラル及び/又は架橋型の嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物であり得る。
【0053】
嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物用の活性化剤及び活性化方法
本発明の前述の嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物は、一般的にいろいろな方法で活性化されると、配位、挿入、及びオレフィン(類)を重合する空位の配位部位を有する触媒を生成する。
【0054】
本発明の明細書と添付の特許請求の範囲の目的にかんがみ、「活性化剤」という語は、前述したように、本発明の嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物のいずれも活性化できるあらゆる化合物又は成分又は方法であると定義される。例えば、非限定の活性化剤には、ルイス酸又は非配位イオン活性化剤又はイオン化活性化剤又はルイス塩基を含むいずれかのその他の化合物、アルミニウムアルキル、従来型共触媒(本明細書で既に説明済み)、並びに中性の嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物を触媒活性メタロセン型カチオンに転化し得るそれらの組み合わせを含み得る。活性化剤としてアルモキサン又は変性アルモキサンを使用すること、及び/又は中性若しくはイオン性イオン化活性化剤、例えば、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリスペルフルオロフェニルホウ素メタロイド前駆体又はトリスペルフルオロナフチルホウ素メタロイド前駆体、ポリハロゲン化ヘテロボランアニオン(国際公開第98/43983号)、又は中性の嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物をイオン化するそれらの組み合わせを使用することは本発明の範囲内である。
【0055】
1つの実施態様では、活性プロトンを含むことなく、嵩高い配位子メタロセン型触媒カチオンも非配位アニオンも生成し得るイオン化イオン化合物を使用する活性化方法も考えられ、欧州特許第A-0426637号、第A-0573403号及び米国特許第5,387,568号に記載されており、これらを本明細書に援用する。
【0056】
アルモキサン及び変性アルモキサンの種々の調製方法があり、その方法の非限定な例は、米国特許第4,665,208号、第4,952,540号、第5,091,352号、第5,206,199号、第5,204,419号、第4,874,734号、第4,924,018号、第4,908,463号、第4,968,827号、第5,308,815号、第5,329,032号、第5,248,801号、第5,235,081号、第5,157,137号、第5,103,031号、第5,391,793号、第5,391,529号、第5,693,838号、第5,731,253号、第5,731,451号、第5,744,656号、並びに欧州特許第A-0561476号、第B-0279586号、及び第A-0594218号、並びに国際公開第94/10180号に記載されており、これらを本明細書に援用する。
【0057】
イオン化化合物は、活性プロトンを含んでもよく、或いはイオン化化合物の残りのイオンと会合し得るが配位はしていないか若しくは緩やかにのみ配位しているカチオンを含んでてもよい。それらの化合物などは、欧州特許第A-0570982号、第A-0520732号、第A-0495375号、第A-500944号、第A-0277003号及び第A-0277004号、並びに米国特許第5,153,157号、第5,198,401号、第5,066,741号、第5,206,197号、第5,241,025号、第5,384,299号及び第5,502,124号及び1994年8月3日に出願された米国特許出願第08/285380号に記載されており、これらを本明細書に援用する。
【0058】
その他の活性化剤には、トリス(2,2’,2”-ノナフルオロビフェニル)フルオロアルミネートのような国際公開第98/07515号に記載されている活性化剤が挙げられ、この公報を本明細書に援用する。例えば、アルモキサンとイオン化活性化剤を組み合わせた活性化剤の組み合わせ物も本発明によって対象とされていて、例えば、欧州特許第B-10573120号、国際公開第94/07928号、及び第95/14044号並びに米国特許第5,153,157号及び第5,453,410号を参照されたい。これらを本明細書に援用する。国際公開第98/09996号(本明細書に援用する)は、嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物を、水和物を含めて過塩素酸塩、過ヨウ素酸塩及びヨウ素酸塩で活性化することを記載している。国際公開第98/30602号及び第98/30603号(本明細書に援用する)は、嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物用の活性化剤としてリチウム(2,2’-ビスフェニルジメチルシリケート)・4THFの使用方法を開示している。国際公開第99/18135号(本明細書に援用する)は、有機ホウ素アルミニウム活性化剤の使用方法を開示している。欧州特許第B1-0781299号(本明細書に援用する)は、非配位の相溶性イオンと組み合わせたシリリウム(silylium)塩を使用することを記載している。また、放射線(欧州特許第B1-0615981号(本明細書に援用する)を参照されたい)、電気化学的酸化等を使用するような活性化方法も、中性の嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物又は前駆体をオレフィンを重合でき、嵩高い配位子のメタロセン型カチオンにすることを目的とする活性化方法としても考慮されている。嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物を活性化するその他の活性化剤又は方法は、例えば、米国特許第5,849,852号、第5,859,653号及び第5,869,723号並びに国際公開第98/32775号に記載されており、これらを本明細書に援用する。
【0059】
混合触媒
前記の1種以上の活性化剤又は活性化方法を用いて、前記の嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物を式(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)によって表される1種以上の触媒化合物と組み合わせ得ることも本発明の範囲内である。
【0060】
さらに、その他の触媒を本発明の嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物と組み合わせ得ることも本発明によって考慮される。例えば、米国特許第4,937,299号、第4,935,474号、第5,281,679号、第5,359,015号、第5,470,811号及び第5,719,241号を参照されたい。これらを本明細書に援用する。
【0061】
本発明のもう一つの実施態様では、1種以上の嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物又は触媒系は1種以上の従来型触媒化合物又は触媒系と組み合わせて使用できる。混合触媒と触媒系の非限定な例は、米国特許第4,159,965号、第4,325,837号、第4,701,432号、第5,124,418号、第5,077,255号、第5,183,867号、第5,391,660号、第5,395,810号、第5,691,264号、第5,723,399号及び第5,767,031号並びに1996年8月1日に発行された国際公開第96/23010号ぴに記載されており、これらを本明細書に援用する。
【0062】
さらに、2種以上の従来型遷移金属触媒を、1種以上の従来型触媒と組み合わせることができることも考慮される。混合型従来型遷移金属触媒の非限定な例は、例えば米国特許第4,154,701号、第4,210,559号、第4,263,422号、第4,672,096号、第4,918,038号、第5,198,400号、第5,237,025号、第5,408,015号及び第5,420,090号に記載されており、これらを本明細書に援用する。
【0063】
担持方法
前記の嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物及び触媒系並びに従来型遷移金属触媒化合物及び触媒系は、当技術分野で周知の、又は下記のような担持方法の1つを使って、1種以上の担体物質、又は担体と組み合わせることができる。好ましい実施態様では、本発明の方法は、担持された形の重合触媒を使用する。例えば、最も好ましい実施態様では、嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物又は触媒系は、例えば担体、又は担体に付着、接触、又は内部への組み入れ、吸着又は吸収のような担持された形である。
【0064】
「支持体」又は「担体」という語は、互換性があり、あらゆる多孔質又は非多孔質担体物質、好ましくは多孔質担体物質、例えばタルク、無機酸化物及び無機塩化物である。その他の担体は、ポリスチレンのような樹脂質担体物質、ポリスチレンジビニルベンゼンポリオレフィン又は高分子化合物のような官能化型若しくは架橋型有機担体、又はあらゆるその他の有機若しくは無機担体物質等、又はそれらの混合物を含む。
【0065】
好ましい担体は、2、3、4、5、13又は14族の金属酸化物を含む無機酸化物である。好ましい担体は、シリカ、アルミナ、シリカ-アルミナ、塩化マグネシウム、及びそれらの混合物を含む。その他の有用な担体には、マグネシア、チタニア、ジルコニア、モンモリロナイト等が挙げられる。また、これらの担体物質の組み合わせ、例えばシリカ-クロム、及びシリカ-チタニアを使用し得る。
【0066】
担体、最も好ましくは無機酸化物は、約10から約700m/gの範囲の表面積、約0.1から約4.0cc/gの範囲の細孔容積、及び約10から約500μmの範囲の平均粒径を有する。より好ましくは担体の表面積は約50から約500m/g、細孔容積は約0.5から約3.5cc/g、及び平均粒径は約20から約200μmである。最も好ましくは、担体の表面積は約100から約400m/gの範囲であり、細孔容積は約0.8から約3.0cc/gであり、そして平均粒径は約20から約100μmである。本発明の担体の平均粒径は、一般的に、約10Åから1000Å、好ましくは50Å乃至約500Å、そして最も好ましくは75Å乃至約350Åの範囲にある。
【0067】
本発明の嵩高い配位子メタロセン型触媒系を支持する例は、米国特許第4,701,432号、第4,808,561号、第4,912,075号、第4,925,821号、第4,937,217号、第5,008,228号、第5,238,892号、第5,240,894号、第5,332,706号、第5,346,925号、第5,422,325号、第5,466,649号、第5,466,766号、第5,468,702号、第5,529,965号、第5,554,704号、第5,629,253号、第5,639,835号、第5,625,015号、第5,643,847号、第5,665,665号、第5,698,487号、第5,714,424号、第5,723,400号、第5,723,402号、第5,731,261号、第5,759,940号、第5,767,032号及び第5,770,664号並びに1994年7月7日に出願された米国特許出願第271,598号及び1997年1月23日に出願された米国特許出願第788,736号並びに国際公開第95/32995号、第95/14044号、第96/06187号及び第97/02297号に記載されており、これらを本明細書に援用する。
【0068】
本発明の従来型触媒系を支持する例は、米国特許第4,894,424号、第4,376,062号、第4,395,359号、第4,379,759号、第4,405,495号、第4,540758号及び第5,096,869号に記載されており、これらを本明細書に援用する。
【0069】
本発明の嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物は、活性化剤と一緒に同じ担体又は別の担体に付着されてもよく、又は活性化剤は担持型でない形で使用してもよく、あるいは本発明の担持型の嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物とは別の担体に付着されてもよく、又はそれらのいずれの組み合わせでもよいと考えられる。
【0070】
当業界には、本発明の重合触媒化合物又は触媒系を支持するその他のいろいろな方法がある。例えば、本発明の嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物は、米国特許第5,473,202号及び第5,770,755号に記載されているようなポリマー結合型配位子を含むことができ(これらを本明細書に援用する)、本発明の嵩高い配位子メタロセン型触媒系は、米国特許第5,648,310号(本明細書に援用する)に記載されているように噴霧乾燥することができ、本発明の嵩高い配位子メタロセン型触媒系と一緒に使用される担体は、欧州特許第A-0802203号(本明細書に援用する)に記載されているように官能基化されているか、又は、少なくとも1個の置換基又は離脱基は、米国特許第5,688,880号(本明細書に援用する)に記載されているように選択される。
【0071】
好ましい実施態様では、本発明は、国際公開第96/11960号(本明細書に援用される)に記載されているように担持型触媒系の調製で使用される表面改質剤を含む担持型の嵩高い配位子メタロセン型触媒系を提供する。
【0072】
本発明の担持型の嵩高い配位子メタロセン型触媒系を作る好ましい方法は下記で説明されており、1994年6月24日に出願された米国特許出願第265,533号、並びに両方とも1996年1月4日に発行された国際公開第96/00245号及び国際公開第96/00243号に見受けられ、これらを本明細書に援用する。このような好ましい方法では、嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物は、液体中でスラリー化されるとメタロセン溶液を形成し、活性化剤と液体を含む別の溶液が形成される。この液体は、本発明の嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物及び/又は活性化剤と一緒に溶液等を形成し得るいずれの相溶性溶媒でもその他の液体でもよい。最も好ましい実施態様では、この液体は、環状脂肪族又は芳香族炭化水素であって、最も好ましくはトルエンである。嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物溶液と活性化剤溶液とを一緒に混合して多孔質担体に加えるか、或いは嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物溶液と活性化剤溶液の全量、又は嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物と活性化剤との溶液の全量が多孔質担体の細孔容積の5倍未満、更に好ましくは4倍未満、尚、更に好ましくは3倍未満であるように、多孔質担体をこの溶液に加え、好ましい範囲は1.1倍から3.5倍の範囲であり、最も好ましくは1.2乃至3倍の範囲内である。
【0073】
多孔質担体の全細孔容積を測定する手順は当業界では周知である。このような手順の1つの詳細は、Experimental Methods in Catalytic Research(Academic Press 1968)の1巻で考察されている(具体的には67−96頁を参照されたい)。この好ましい手順は、窒素吸収する伝統的なBET装置を使用することを含む。当技術分野で周知であるもう一つの方法は、イネス(Innes)著のTotal Porosity and Particle Density of Fluid Catalysts By Liquid Titration, 28巻、第3号、Analytical Chemistry 332−334頁(1956年3月)に記載されている。
【0074】
活性化剤成分の金属と嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物の金属のモル比は、0.3:1乃至2000:1の間、好ましくは20:1乃至800:1、そして最も好ましくは50:1乃至500:1の範囲内である。活性化剤が、アニオンテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素を主成分とするようなイオン化活性化剤の場合、活性化剤成分の金属とこの触媒の金属成分のモル比は0.3:1乃至3:1の範囲内が好ましい。
【0075】
本発明のある実施態様では、オレフィン又はオレフィン類、好ましくはC乃至C30オレフィン又はオレフィン類、又はα−オレフィン又はオレフィン類、好ましくはエチレン若しくはプロピレン又はそれらの組み合わせを、主重合に先立って、本発明の嵩高い配位子メタロセン型触媒系及び/又は従来型遷移金属触媒の存在で予備重合させる。この予備重合は、高圧での気相、溶液又はスラリー相の中で回分式でも連続的式でも実施することができる。この予備重合は、いずれのオレフィンモノマー若しくは組み合わせを用いて及び/又は水素のようないずれの分子量調整剤の存在でも実施できる。予備重合手順の例に関しては、米国特許第4,748,221号、第4,789,359号、第4,923,833号、第4,921,825号、第5,283,278号及び第5,705,578号並びに欧州特許第B-0279863号及び国際公開第97/44371号を参照されたい。これらを本明細書に援用する。本発明の明細書及び添付の特許請求の範囲の目的にかんがみた予備重合触媒系は担持型触媒系である。
【0076】
カルボン酸金属塩
カルボン酸金属塩は、ポリオレフィンとともに使用する添加剤として、例えばフィルム加工助剤として当技術分野では周知である。この種の後反応器(post reactor)の加工添加剤は、乳化剤、帯電防止剤及び防曇剤、安定剤、発砲助剤、潤滑助剤、離型剤、成核剤、並びにスリップ及び粘着防止剤等として広く使用されている。従って、これらの後反応器剤、又は助剤は、重合触媒と並んで有用であり、重合プロセスの操作性を改良することは全く予期していなかった。
【0077】
本発明の明細書及び添付の特許請求の範囲の目的にかんがみ、「カルボン酸金属塩」という語は、元素の周期表の金属部分を有するあらゆるモノ若しくはジ若しくはトリカルボン酸塩である。非限定な例には、飽和、不飽和、脂肪族、芳香族、若しくは飽和環状カルボン酸塩が挙げられ、その場合、カルボン酸塩配位子は好ましくは2から24個の炭素原子、例えばアセテート、プロピオネート、ブチレート、バレレート(valerate)、ピバレート、カプロエート、イソブチルアセテート、t-ブチル-アセテート、カプリレート、ヘプタネート、ペラルゴネート、ウンデカノエート、オレエート、オクトエート、パルミテート、ミリステート、マルガレート、ステアレート、アラキエート、及びテルコサノエート(tercosanoate)がある。金属部分の非限定な例には、Al、Mg、Ca、Sr、Sn、Ti、V、Ba、Zn、Cd、Hg、Mn、Fe、Co、Ni、Pd、Li及びNaから成る群から選択される、元素の周期表の金属を含む。
【0078】
1つの実施態様では、カルボン酸金属塩は、一般式:MQ(OOCR)
(式中、Mは、1から16族並びにランタニド及びアクチニド系列の金属、好ましくは1乃至7族及び13乃至16族、更に好ましくは3乃至7族及び13乃至16族、尚、更に好ましくは2族乃至7族及び13乃至16族、尚、更に好ましくは2族と13族、そして最も好ましくは13族の金属である;Qは、ハロゲン、水素、ヒドロキシ又は水酸化物、アルキル、アルコキシ、アリールオキシ、シロキシ、シランスルホネート基又はシロキサンである;Rは、2乃至100個の炭素原子、好ましくは4乃至50個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である;そしてxは0から3までの整数であり、yは1から4までの整数であり、そしてxとyの和はこの金属の原子価に等しい。前記式の好ましい実施態様、特に、Mが13族の金属である場合、yは1から3、好ましくは1乃至2の整数である)で表される。
【0079】
前記式のRの非限定な例は、アルキル、アリール、芳香族、脂肪族、環状、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基を含む2乃至100個の炭素原子を有するヒドロカルビル基を含む。本発明の実施態様では、Rは、8個以上の炭素原子、好ましくは12個以上の炭素原子、そして更に好ましくは17個以上の炭素原子を有するヒドロカルビル基である。別の実施態様では、Rは17から90個の炭素原子、好ましくは17乃至72個の炭素原子、そして最も好ましくは17から54個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である。
【0080】
前記式のQの非限定な例は、1から30個の炭素原子を有する、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニル、アリールアルキル、アリールアルケニル又はアルキルアリール、アルキルシラン、アリールシラン、アルキルアミン、アリールアミン、アルキルホスファイド、アルコキシドのような基を含む1種以上の同じか又は異なる炭化水素を含む。前記基を含む炭化水素は、線状、分岐状、又は置換されていてもよい。また、ある実施態様では、Qはハライド、スルフェート、又はホスフェートのような無機基である。
【0081】
1つの実施態様では、更に好ましくはカルボン酸金属塩は、モノ、ジ及びトリステアリン酸アルミニウム、オクタン酸、オレイン酸及びシクロヘキシル酪酸アルミニウムのようなカルボン酸アルミニウムである。尚、更に好ましい実施態様では、カルボン酸金属塩は、(CH(CH16COO)Al、即ちトリ-ステアリン酸アルミニウム(好ましくは、沸点115℃)、(CH(CH2)16COO)AlOH、即ちジ-ステアリン酸アルミニウム(好ましくは、沸点145℃)、及びCH(CH16COOAl(OH)、即ちモノ-ステアリン酸アルミニウム(好ましくは、沸点155℃)である。
【0082】
例えば、非限定の市販のカルボン酸金属塩には、ウィットコ・ステアリン酸アルミニウム(Witco Aluminum Stearate)♯18、ウィットコ・ステアリン酸アルミニウム♯22、ウィットコ・ステアリン酸アルミニウム♯132、及びウィットコ・ステアリン酸アルミニウムEA食品グレードが挙げられ、これらは全て米国テネシー州メンフィス(Memphis)のウィットコ社(Witco Corporation)から購入できる。
【0083】
1つの実施態様では、カルボン酸金属塩は、約30℃から約250℃、更に好ましくは約37℃から約220℃、尚、更に好ましくは約50℃から約200℃、そして最も好ましくは約100℃から約200℃までの融点を有する。最も好ましい実施態様では、カルボン酸金属塩は約135℃から約165℃の範囲の融点を有するステアリン酸アルミニウムである。
【0084】
別の好ましい実施態様では、カルボン酸金属塩は、反応器の重合温度より高い融点を有する。
【0085】
カルボン酸金属塩のその他の例には、ステアリン酸チタン、ステアリン酸スズ、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸ホウ素及びステアリン酸ストロンチウムが挙げられる。
【0086】
1つの実施態様でのカルボン酸金属塩は、脂肪アミン、例えば、ケマミン(Kemamine)AS 990/2亜鉛添加剤、すなわちエトキシル化ステアリルアミンとステアリン酸亜鉛とのブレンド、又はケマミンAS 990/3、すなわちエトキシル化ステアリルアミン、ステアリン酸亜鉛及びオクタデシル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメートとのブレンドのような帯電防止剤と組み合わせることができる。これらの両方のブレンドは、米国テネシー州メンフィスのウィットコ社から購入できる。
【0087】
触媒組成物の調製方法
触媒組成物の製造方法は、一般に、触媒系又は重合触媒と、カルボン酸金属塩との組み合わせ、接触、ブレンド及び/又は混合を含む。
【0088】
本発明の方法の1つの実施態様では、従来型の遷移金属触媒及び/又は嵩高い配位子メタロセン型触媒は、少なくとも1種のカルボン酸金属塩と、組み合わせ、接触、ブレンド及び/又は混合される。最も好ましい実施態様では、従来型の遷移金属触媒及び/又は嵩高い配位子メタロセン型触媒は担体に担持される。
【0089】
別の実施態様では、本発明の方法の諸段階は、重合触媒の形成、好ましくは担持型重合触媒の形成、及びその重合触媒を少なくとも1種のカルボン酸金属塩と接触させることを含む。好ましい方法では、本重合触媒は、触媒化合物、活性化剤又は共触媒及び担体を含み、好ましくは重合触媒は担持型の嵩高い配位子メタロセン型触媒である。
【0090】
使用される触媒系とカルボン酸金属塩によるが、温度と圧力のある条件は、例えば触媒系の活性の損失を防ぐために必要であることを当業者は理解している。
【0091】
本発明の方法の1つの実施態様では、周囲温度と圧力のもとでカルボン酸金属塩を触媒系と、好ましくは担持型触媒系と、最も好ましくは担持型の嵩高い配位子メタロセン型触媒系と接触させる。好ましくはこの重合触媒とカルボン酸金属塩を組み合わせるための接触温度は、0℃から約100℃の範囲、更に好ましくは15℃から約75℃の範囲、最も好ましくはほぼ周囲温度と圧力においてである。
【0092】
好ましい実施態様では、重合触媒とカルボン酸金属塩の接触は、窒素のような不活性ガスの雰囲気のもとで実施される。しかしながら、重合触媒とカルボン酸金属塩の組み合わせはオレフィン(類)、溶媒、水素等の存在で実施できると考えられる。
【0093】
1つの実施態様では、カルボン酸金属塩は重合触媒の調製過程の任意の段階で加えることができる。
【0094】
本発明の方法の1つの実施態様では、重合触媒とカルボン酸金属塩は、液体の存在で組み合わせることができ、例えばその液体は鉱油、トルエン、ヘキサン、イソブタン、又はそれらの混合物が可能である。更に好ましい方法では、カルボン酸金属塩は、液体の中で好ましくはスラリーの中で形成された重合触媒と組み合わせられるか、あるいは液体の中に入れられた後、再スラリー化された実質的に乾いた又は乾燥された重合触媒と組み合わされる。
【0095】
ある実施態様では、カルボン酸金属塩と重合触媒の接触時間は、1種以上の条件、温度と圧力、混合装置のタイプ、組み合わせ対象の諸成分の量、そして重合触媒/カルボン酸金属塩組み合わせを反応器へ導入する場合の機構によっても変動することがある。
【0096】
好ましくは、重合触媒、好ましくは嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物及び担体を、約1秒から約24時間、好ましくは約1分から約12時間、更に好ましくは約10分から約10時間、そして最も好ましくは約30分から約8時間の間、カルボン酸金属塩と接触させる。
【0097】
ある実施態様では、カルボン酸金属塩の重量と触媒化合物の遷移金属の重量の比は、約0.01から約1000の範囲内、好ましくは1から約100の範囲内、更に好ましくは約2から約50の範囲内、そして最も好ましくは4から約20の範囲内である。1つの実施態様では、カルボン酸金属塩の重量と触媒化合物の重量の比は、約2から約20の範囲内、更に好ましくは約2から約12の範囲内、そして最も好ましくは4から約10の範囲内である。
【0098】
本発明の方法のもう一つの実施態様では、重合触媒の総重量を基準としたカルボン酸金属塩の重量%は、約0.5重量%から約500重量%の範囲内、好ましくは1重量%から約25重量%の範囲内、更に好ましくは約2重量%から約12重量%の範囲内、そして最も好ましくは約2重量%から約10重量%の範囲内である。別の実施態様では、重合触媒の総重量を基準としたカルボン酸金属塩の重量%は、1重量%から約50重量%の範囲内、好ましくは2重量%から約30重量%の範囲内、そして最も好ましくは約2重量%から約20重量%の範囲内である。
【0099】
1つの実施態様では、本発明のプロセスが0.910g/cc超の密度を有するポリマー生成物を製造する場合、重合触媒の総重量を基準としたカルボン酸金属塩の総重量%は、1重量%超である。更に別の実施態様では、本発明のプロセスが0.910g/cc未満の密度を有するポリマー生成物を製造する場合、重合触媒の総重量を基準としたカルボン酸金属塩の総重量%は3重量%超である。重合触媒が担体を含む場合、重合触媒の総重量は担体の重量を含む。
【0100】
重合触媒の中に存在する活性化剤の金属、例えば総アルミニウム含量又は遊離アルミニウム含量(アルモキサン中のアルキルアルミニウムの含量)を多くすればする程、カルボン酸金属塩がそれだけ多く必要となると考えられる。重合触媒成分、すなわち遊離アルミニウムの量又は含有率をうまく調整することによりカルボン酸金属塩の含量を調節する手段を提供することができる。
【0101】
本発明の方法において使用すると考えられる混合技術及び装置は公知である。混合技術には、あらゆる機械的混合手段、例えば、振とう、攪拌、タンブリング及びローリングが挙げられる。考えられるもう一つの技術は、例えば循環ガスによって混合が可能となる流動床反応器容器の中で流動化を利用することが含まれる。最も好ましい実施態様では、固体重合触媒と固体カルボン酸金属塩を組み合わせるための混合装置の非限定例には、リボンブレンダー、スタテックミキサー、ダブルコーンブレンダー、ドラムタンブラー、ドラムローラ、脱水機、流動床、らせん型ミキサー、コニカルスクリューミキサーが挙げられる。
【0102】
本発明の方法の1つの実施態様では、担持型の従来型遷移金属触媒、好ましくは担持型の嵩高い配位子メタロセン型触媒は、前記の担持型の触媒の大部分がカルボン酸金属塩と本質的に混合される及び/又は実質的に接触するような時間、カルボン酸金属塩とタンブリングされる。
【0103】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の触媒系は、担体に担持され、好ましくは担持型触媒系が実質的に乾燥され、予備形成され、実質的に乾いた及び/又は流動性がよい。本発明の特に好ましい方法では、この予備形成された担持型触媒系は、少なくとも1種のカルボン酸金属塩と接触させる。カルボン酸金属塩は溶液の中でも、スラリー状態でも又は乾燥状態でもよく、好ましくはカルボン酸金属塩は実質的に乾いた又は乾燥された状態にある。最も好ましい実施態様では、カルボン酸金属塩は、担持型触媒系、好ましくは担持型の嵩高い配位子メタロセン型触媒系と、窒素雰囲気の下でロータリミキサー中、最も好ましくはこのミキサーはタンブラーミキサーであるが、ミキサー中で、或いは流動床式混合プロセスにおいて接触させるが、この場合、重合触媒とカルボン酸金属塩は固体状態、すなわちこれら両方とも実質的に乾いた状態又は乾燥された状態にある。
【0104】
本発明の方法のある実施態様では、従来型遷移金属触媒化合物、好ましくは嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物は、担体と接触させると担持型触媒化合物を生成する。この方法では、活性化剤又は触媒化合物用の共触媒を別の担体と接触させると担持型活性化剤又は担持型共触媒を生成する。本発明のこのような特定の実施態様で考えられることは、その場合、カルボン酸金属塩は、担持型触媒化合物又は担持型活性化剤又は共触媒と、任意の順序で混合されるか、別々に混合されるか、同時に混合されるか又は担持型触媒のただ1種と混合されるか、又は好ましくは別の担持型触媒及び活性化剤又は共触媒と混合する前に担持型活性化剤と混合される。
【0105】
本発明の重合触媒/カルボン酸金属塩の組み合わせを使用する結果として、反応器への総合的な触媒の流れを改良することが必要であり得る。触媒の流れは、カルボン酸金属塩を含まない触媒と同じ程度に良好でないという事実にもかかわらず、本発明の触媒/カルボン酸塩の組み合わせの流動性は問題にはならない。触媒の流れを改良する必要がある場合、ビン・バイブレーター(bin vibrator)、又は触媒フィーダーブラシ、及びフィーダー圧力式排出機等を使用することは当業者には周知である。
【0106】
別の実施態様では、重合触媒/カルボン酸金属塩は、鉱油のような液体と接触させて、スラリー状態で重合プロセスへ導入することができる。このような特定の実施態様では、重合触媒は担持型重合触媒であることが好ましい。
【0107】
重合プロセスのなかには、比較的微細な粒径の担体物質が好まれるのもある。しかし、このようなプロセスの操作性は更に興味を引く。本発明の重合触媒とカルボン酸金属塩の組み合わせを使用すると、比較的微細な粒径の担体物質を成功裡に使用できることを発見した。例えば、シリカの平均粒径は約10μmから80μmである。この粒径のシリカ物質は、例えば、平均粒径35乃至40μmのクロスフィールド(Crossfield)ES−70を、英国ウォリントン(Warrinton)のクロスフィールド社(Crossfield Limited)から購入できる。いかなる理論にも拘束されないが、より微細な平均粒径の担体を使用すると細粒物を多く生成し、そして比較的被覆を起こしやすい担持型触媒となると従来から考えられている。カルボン酸金属塩と重合触媒を一緒に使用すると、重合過程で比較的良好な粒子成長が起こることも考えられる。このような良好な粒子の形態学では、細粒物は少なくなり、シーティングが発生する傾向は減ると考えられる。従って、カルボン酸金属塩を使用すると、より微細な担体物質を使用することができる。
【0108】
1つの実施態様では、本発明の方法によって非担持型重合触媒とカルボン酸金属塩を反応器へ共注入(coinjection)することができる。1つの実施態様では、重合触媒を非担持型状態で、好ましくは米国特許第5,317,036号、及び第5,693,727号並びに欧州特許第0593083-A号に記載されているような液体状態で使用する。これらを本明細書に援用する。国際公開第97/46599号(本明細書に援用する)に記載の注入方法を使って、液体状態の重合触媒をカルボン酸金属塩と一緒に反応器へ供給することができる。
【0109】
カルボン酸金属塩と非担持型の嵩高い配位子メタロセン型触媒系の組み合わせを使用する場合、活性化剤成分の金属と嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物の金属のモル比は、0.3:1乃至10,000:1、好ましくは100:1乃至5000:1、そして最も好ましくは500:1乃至2000:1の範囲内である。
【0110】
重合プロセス
本発明の前述の触媒及び触媒系は、あらゆる重合プロセスで使用するのに適する。重合プロセスには、溶液、気相、スラリー相状態及び高圧プロセス又はこれらの組み合わせが挙げられる。特に好ましくは、少なくとも1種がエチレン又はプロピレンである1種以上のオレフィンの気相又はスラリー相重合である。
【0111】
1つの実施態様において、本発明のプロセスは、2から30個の炭素原子、好ましくは2乃至12個の炭素原子、そして更に好ましくは2乃至8個の炭素原子を有する1種以上のオレフィンモノマーの、溶液、スラリー相又は気相重合に関する。本発明は、エチレン、プロピレン、ブテン-1、ペンテン-1、4-メチル-ペンテン-1、ヘキセン-1、オクテン-1及びデセン-1の2種類以上のオレフィンモノマーの重合に実によく適している。
【0112】
本発明のプロセスで有用なその他のモノマーには、エチレン性不飽和モノマー、4乃至18個の炭素原子を有するジオレフィン、共役又は非共役ジエン、ポリエン、ビニルモノマー及び環状オレフィンが挙げられる。本発明で有用な非限定モノマーには、ノルボルネン、ノルボナジエン、イソブチレン、ビニルベンゾシクロブタン、スチレン、アルキル置換スチレン、エチリデンノルボルネン、イソプレン、ジシクロペンタジエン及びシクロペンテンを挙げることができる。
【0113】
本発明のプロセスの最も好ましい実施態様では、エチレンのコポリマーが製造され、その場合、エチレンと共に4から15個の炭素原子、好ましくは4から12個の炭素原子、そして最も好ましくは4から8個の炭素原子を有する少なくとも1種のα−オレフィンを含むコモノマーが気相プロセスで重合される。
【0114】
本発明のプロセスのもう一つの実施態様では、エチレン又はプロピレンを少なくとも2種類の別のコモノマーと、必要に応じてそのうちの1種はジエンがであり得る、と重合させると、ターポリマーが生成する。
【0115】
1つの実施態様では、本発明は、ある1つのプロセス、詳しくはプロピレン単独、又はエチレンを含めた1種以上の別のモノマーと、及び4から12個の炭素原子を有するオレフィンと重合するための気相又はスラリー相プロセスに関する。ポリプロピレンポリマーは、米国特許第5,296,434号及び第5,278,264号(両方とも本明細書に援用する)に記載されているように、特殊な架橋型の嵩高い配位子メタロセン型触媒を使って製造することができる。
【0116】
一般的に、気相重合プロセスでは、反応器系の循環系の一部では、循環気体流れ、さもなければ再循環流又は流動媒体が、反応器の中で重合熱によって加熱される連続式サイクルが採用される。この熱は、反応器の外側にある冷却装置によって循環物の別の一部の中の循環組成物から取り除かれる。一般に、ポリマーを作る流動床プロセスでは、1種以上のモノマーを含むガス流は、反応条件のもとで触媒の存在で流動床を通って連続的に循環される。このガス流は流動床から抜き出されて反応器へ再循環される。同時に、ポリマー生成物は反応器から抜き出された後、重合しているモノマーの代わりに新鮮なモノマーが加えられる。(米国特許第4,543,399号、第4,588,790号、第5,028,670号、第5,317,036号、第5,352,749号、第5,405,922号、第5,436,304号、第5,453,471号、第5,462,999号、第5,616,661号及び第5,668,228号を参照されたい。これらを本明細書に援用する)。
【0117】
気相プロセスでの反応器圧力は、約100psig(690kPa)から約500psig(3448kPa)、好ましくは約200psig(1379kPa)から約400psig(2759kPa)の範囲内、更に好ましくは約250psig(1724kPa)から約350psig(2414kPa)の範囲内で変えることができる。
【0118】
気相プロセスでの反応器温度は、約30℃から約120℃、好ましくは約60℃から約115℃、更に好ましくは約70℃から110℃の範囲内、そして最も好ましくは約70℃から95℃の範囲内で変えることができる。
【0119】
本発明のプロセスによって考慮されるその他の気相プロセスには、米国特許第5,627,242号、第5,665,818号及び第5,677,375号並びに欧州特許第A-0794200号、第A-0802202号、第A2-0891990号及び第B1-634421号に記載されているプロセスが挙げられ、これらを本明細書に援用する。
【0120】
好ましい実施態様では、本発明で使用する反応器は有能であり、本発明のプロセスは、500ポンド/時(227Kg/時)超のポリマー乃至約200,000ポンド/時(90,900Kg/時)以上のポリマー、好ましくは1000ポンド/時(455Kg/時)超、更に好ましくは10,000ポンド/時(4540Kg/時)超、更に好ましくは25,000ポンド/時(11,300Kg/時)超、また更に好ましくは35,000ポンド/時(15,900Kg/時)超、更に好ましくは50,000ポンド/時(22,700Kg/時)超、及び最も好ましくは65,000ポンド/時(29,000Kg/時)超乃至100,000ポンド/時(45,000Kg/時)超のポリマーを製造する。
【0121】
スラリー重合プロセスは、一般に、約1から約50気圧以上の範囲の圧力及び0℃乃至約120℃の範囲の温度を使用する。スラリー重合では、エチレン及びコモノマー、更に触媒とともにしばしば水素が加えられる液体重合希釈媒体中で固体微粒子の懸濁物が作られる。希釈剤を含む懸濁物は、間歇的又は連続的に反応器から抜き出され、この反応器では揮発成分がポリマーから分離され、必要に応じて蒸留の後、反応器へ再循環される。重合媒体の中に使用される液体希釈剤は、一般的に、3から7個の炭素原子を有するアルカンである。使用される媒体は、重合条件のもとで液体でかつ比較的不活性であるべきである。プロパン媒体が使用されると、このプロセスは、反応希釈剤の臨界温度及び圧力を超えて運転しなければならない。ヘキサン又はイソブタン媒体が採用されるのが好ましい。
【0122】
本発明の好ましい重合技術は、ポリマーから溶液になる温度より低く温度が保たれる、粒子形状重合、又はスラリープロセスと呼ばれる。このような技術は当業界では周知であり、引用文献によって本明細書に完全に組み入れられている、例えば米国特許第3,248,179号に記載されている。その他のスラリープロセスには、ループ式反応器を採用しているプロセス、及び直列式、並列式又はそれらを組み合わせた複数の攪拌式反応器を利用するプロセスが挙げられる。スラリープロセスの非限定例には、連続式ループ又は攪拌式タンクプロセスが挙げられる。また、スラリープロセスのその他の例は、米国特許第4,613,484号に記載されており、本明細書に援用する。
【0123】
1つの実施態様においては、本発明のスラリープロセスで使用される反応器は有能であり、本発明のプロセスは、2000ポンド/時(907Kg/時)超のポリマー、更に好ましくは5000ポンド/時(2268Kg/時)超、そして最も好ましくは10,000ポンド/時(4540Kg/時)超のポリマーを製造する。別の実施態様では、本発明のプロセスで使用されるスラリー/反応器は、15,000ポンド/時(6804Kg/時)超のポリマー、好ましくは25,000ポンド/時(11,340Kg/時)超乃至100,000ポンド/時(45,500Kg/時)のポリマーを製造する。
【0124】
溶液プロセスの例は、米国特許第4,271,060号,第5,001,205号,第5,236,998号及び第5,589,555号に記載され、これらを本明細書に援用する。
【0125】
本発明の好ましいプロセスは、このプロセス、好ましくはスラリー又は気相プロセスが、嵩高い配位子メタロセン型触媒系の存在下で、トリエチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム及びトリ-n-ヘキシルアルミニウム、並びにジエチルアルミニウムクロライド、ジブチル亜鉛等のような捕捉剤が存在しなないか又は実質的に含まれずに操作されるプロセスである。このような好ましいプロセスは、国際公開第96/08520号、並びに米国特許第5,712,352号及び第5,763,543号に記載されており、本明細書に援用する。しかし、本発明の触媒系/カルボン酸金属塩組み合わせを使った重合プロセスは少量の捕捉剤で操作でき、その結果、プロセス操作性及び触媒機能に及ぼす影響は少ないか又は無くなることが見出された。従って、1つの実施態様では、本発明は、嵩高い配位子メタロセン型触媒系、カルボン酸金属塩及び捕捉剤の存在で反応器中のオレフィン(類)を重合するプロセスを提供する。
【0126】
1つの実施態様では、重合触媒/触媒組成物、重合触媒及びカルボン酸金属塩は、触媒g当たり1500g超のポリマー、好ましくは触媒g当たり2000g超のポリマー、更に好ましくは触媒g当たり2500g超のポリマー、そして最も好ましくはg当たり3000g超のポリマーの生産性を有する。
【0127】
1つの実施態様では、重合触媒及び/又は触媒組成物、重合触媒及びカルボン酸金属塩は、触媒g当たり2000g超のポリマー、好ましくは触媒g当たり3000g超のポリマー、更に好ましくは触媒g当たり4000g超のポリマー、そして最も好ましくはg当たり5000g超のポリマーの生産性を有する。
【0128】
1つの実施態様では、重合触媒及び/又は触媒組成物は、一般に、2未満、更に典型的には1未満の反応性比を有する。例えば気相プロセスにおけるガス組成物で測定される、反応器に入るコモノマーとモノマーのモル比を、生成するポリマー生成物中のコモノマーとモノマーのモル比で割ると、反応性比は定義される。好ましい実施態様では、反応性比は0.6未満、更に好ましくは0.4未満、そして最も好ましくは0.3未満である。最も好ましい実施態様では、モノマーはエチレンであり、コモノマーは3個以上の炭素原子を有するオレフィン、更に好ましくは4個以上の炭素原子を有するα−オレフィン、そして最も好ましくは、ブテン-1、4-メチル-ペンテン-1、ペンテン-1、ヘキセン-1及びオクテン-1からなる群から選択されるα−オレフィンである。
【0129】
もう一つの実施態様では、第1重合触媒から第2重合触媒へ移行する時、好ましくは第1及び第2重合触媒が嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物である場合、更に好ましくは第2重合触媒が架橋型の嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物である場合、その移行過程ではカルボン酸金属塩を架橋型の嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物と組み合わせて使用するのが好ましい。
【0130】
重合プロセス、具体的には気相プロセスを開始する時、操作性の問題が比較的起こりやすい。従って、本発明で、重合触媒とカルボン酸金属塩混合物を運転開始時に使用すると運転開始問題を軽減するか、又は解消すると考えられる。その上、反応器が安定状態で運転していると、カルボン酸金属塩を使用することなく同じ重合触媒又は別の重合触媒へ変更できることも考えられる。
【0131】
もう一つの実施態様では、中断しようとするすなわち中断する予定の重合プロセスの過程で、本発明の重合触媒/カルボン酸金属塩混合物を変更できる。操作性の問題が発生する場合には、重合触媒をこのように切り替えることが考えられる。操作性の問題の徴候は当技術分野では周知である。気相プロセスにおけるそのうちのいくつかには、反応器での温度の振れ、予想しない圧力変動、過剰な静電気の発生、又は異常に高い静電気の衝撃、チャンキング(chunking)、シーティング等が挙げられる。ある実施態様では、特に操作性の問題が発生すると、カルボン酸金属塩を直ちに反応器に加える場合がある。
【0132】
本発明のカルボン酸金属塩と組み合わせた重合触媒を使うと、分画したメルトインデックスと比較的高い密度のポリマーを作ることが比較的容易であることを発見した。1つの実施態様では、本発明は、カルボン酸金属塩と組み合わせた重合触媒が存在する反応器でオレフィン(類)を重合すると、約1dg/分未満のメルトインデックス及び0.920g/cc超の密度を有するポリマー生成物を製造するプロセスを提供し、更に好ましくはこのポリマー生成物は約0.75dg/分未満のメルトインデックス及び0.925g/cc超の密度を有する。好ましくは重合触媒は、嵩高い配位子メタロセン型触媒であり、更に好ましくは本プロセスは気相プロセスであり、重合触媒は担体を含む。
【0133】
本発明の重合触媒/カルボン酸金属塩の組み合わせを使用すると、1種以上の問題のあるグレードのポリマーへの切り替えが比較的簡単になると思われる。従って、1つの実施態様では、本発明は、定常状態条件では、好ましくは気相プロセス条件では、第1触媒組成物の存在でオレフィン(類)を重合して第1ポリマー生成物を製造するプロセスに関する。この第1ポリマー生成物は、0.87g/cc超、好ましくは0.900g/cc超、更に好ましくは0.910g/cc超の密度、及び1dg/分から約200dg/分の範囲、好ましくは1dg/分超から約100dg/分の範囲、更に好ましくは1dg/分超から約50dg/分の範囲、最も好ましくは1dg/分超から約20dg/分のメルトインデックスを有する。本発明のプロセス、更に第2触媒組成物に切り替えて、0.920g/cc超、好ましくは0.925g/cc超の密度、及び1dg/分未満、好ましくは0.75dg/分未満のメルトインデックスを有する第2ポリマー生成物を製造する段階を含む。この第2触媒組成物は、従来型の遷移金属触媒及び/又は嵩高い配位子メタロセン型触媒、及びカルボン酸金属塩の組み合わせを含む。25未満のI21/I(後記)を有する第1ポリマー生成物から、25超、好ましくは30超、そして最も好ましくは35超のI21/Iを有する第2ポリマー生成物へ切り替えこともこの特定の実施態様の範囲内である。
【0134】
なお、別の実施態様では、本発明のプロセスは、第1重合触媒/カルボン酸金属塩混合物を含む第1触媒組成物と、カルボン酸金属塩を含まない第2重合触媒の触媒組成物とを交互使用してプロセス全体の操作性を改良することを含む。更なる実施態様では、前述の第1と第2の触媒組成物を同時に、例えば反応器へ混合物として使用するか、又は別々に反応器へ注入することができる。これらのいずれの実施態様でも第1と第2の触媒組成物は同じでも異なってもよい。
【0135】
本発明のポリマー生成物
本発明のプロセスによって製造されるポリマーは、実に種々の製品及び最終用途で使用できる。本発明のプロセスによって製造されるポリマーには、線状低密度ポリエチレン、エラストマー、プラストマー、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリプロピレンコポリマーが挙げられる。
【0136】
ポリマー、典型的には、エチレン系ポリマーは、0.86g/ccから0.97g/ccの範囲、好ましくは0.88g/ccから0.965g/ccの範囲、更に好ましくは0.900g/ccから0.96g/ccの範囲、更に好ましくは0.905g/ccから0.95g/ccの範囲、更に尚好ましくは0.910g/ccから0.940g/ccの範囲、そして最も好ましくは0.915g/cc超、好ましくは0.920g/cc超、そして最も好ましくは0.925g/cc超の密度を有する。
【0137】
本発明のプロセスにより製造されるポリマーは、一般的にある分子量分布、すなわち1.5超乃至約15、特に2超乃至約10、より好ましくは約2.2超乃至約8未満、そして最も好ましくは2.5乃至8の数平均分子量に対する重量平均分子量(M/M)を有する。M/Mの比は当技術分野で周知のゲル浸透クロマトグラフィーで測定できる。
【0138】
また、本発明のポリマーは、典型的に、組成分布幅指数(Composition Distribution Breadth Index)(CDBI)で測定される組成分布が狭い。コポリマーのCDBIを決定する更なる詳細は当業者には周知である。例えば、1993年2月18日に発行された国際公開第93/03093号(本明細書に援用する)を参照されたい。
【0139】
1つの実施態様では、本発明の嵩高い配位子メタロセン型触媒によるポリマーは、一般に、50%超乃至99%の範囲、好ましくは55%乃至85%の範囲、そして更に好ましくは60%乃至80%の範囲、尚、更に好ましくは60%超、更に尚、好ましくは65%超のCDBIを有する。
【0140】
別の実施態様では、嵩高い配位子メタロセン型触媒を使って製造されるポリマーは、50%未満、更に好ましくは40%未満、そして最も好ましくは30%未満のCDBIを有する。
【0141】
1つの実施態様における本発明のポリマーは、ASTM−D−1238−Eで測定すると、0.01dg/分から1000dg/分、より好ましくは約0.01dg/分から約100dg/分、更に好ましくは約0.1dg/分から約50dg/分、そして最も好ましくは約0.1dg/分から約10dg/分の範囲のメルトインデックス(MI)又は(I)を有する。
【0142】
1つの実施態様における本発明のポリマーは、10から25未満、より好ましくは約15から25未満のメルトインデックス比(I21/I)(I21はASTM−D−1238−Fで測定される)を有する。
【0143】
好ましい実施態様における本発明のポリマーは、好ましくは25超、より好ましくは30超、更に好ましくは40超、更に、好ましくは50超、そして最も好ましくは65超のメルトインデックス比(I21/I)(I21はASTM−D−1238−Fで測定される)を有する。
【0144】
尚、別の実施態様では、プロピレン系ポリマーが本発明のプロセスで製造される。このポリマーは、アタクチックポリプロピレン、イソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレンを含む。その他のプロピレンポリマーは、プロピレンランダム、ブロック、又はインパクトコポリマーを含む。
【0145】
本発明のプロセスで製造されるポリマーは、フィルム、シート、及び繊維押出及び共押出成形ばかりでなく、ブロー成形、射出成形及びロータリー成形のような成形加工で有用である。フィルムは、食品接触及び非食品接触用途における、収縮フィルム、粘着フィルム、延伸フィルム、封止フィルム、配向フィルム、軽食包装用、重質袋、食品雑貨用袋、焼き物及び冷凍食品包装、医療品包装、工業用内張りフィルム、膜等として有用な、共押出又は積層によって形成されるブロー又は注型フィルムを含む。繊維は、フィルター、おむつ生地、医療用衣類、ジオテキスタイル等を製造するための織布又は不織布の形で使用するための溶融紡糸、溶液紡糸及び溶融ブロー繊維作業が挙げられる。押出物品には、医療用チューブ、ワイヤー及びケーブルの被覆物、ジオメンブレン(geomembrane)、及び池の内張りが挙げられる。成形物品には、ビン、タンク、大型中空物品、硬質食品容器及び玩具等の形をした単層又は複層構造物が挙げられる。
【0146】
実施例
本発明の代表的な利点を含めて、本発明を、よりよく理解するために次の実施例を説明する。
【0147】
ポリマーの諸特性は、次の試験方法によって決めた:
【0148】
密度はASTM−D−1238に準拠して測定する。
【0149】
下表の汚れ係数(Fouling Index)は触媒の操作性を示している。この数値が高ければ高いほど、汚損はそれだけ多く観察される。ゼロの汚れ係数は実質的に汚損がないか又は観察されないことを意味する。1の汚れ係数はわずかに汚損があることを表していて、その場合、イソブタンスラリー相の2リットルの重合反応器の攪拌機翼に極めて僅かの部分にポリマーのシーティングがある及び/又は反応器本体にシーティングは無い。2の汚れ係数は僅かより多い汚損を表していて、その場合、攪拌機翼にはポリマーの比較的重い、塗料で塗られたような被覆があり及び/又は反応器本体の壁には、反応器壁に1乃至2インチ(2.54乃至5.08cm)幅の帯状のある程度のシーティングがある。3の汚れ係数は、中程度の汚損と見なされ、その場合、攪拌機翼にはポリマーの比較的厚くてラテックス様の被覆が、そして反応器の中には幾つかの軟らかいチャンキングあり及び/又は反応器本体のシーティングのなかには反応器壁で2乃至3インチ(5.08乃至7.62cm)幅のものもある。4の汚れ係数は中程度の汚損よりも多いことを明白に示し、その場合、攪拌機はポリマーの厚いラテックス様の被覆、いくつかの比較的硬い塊及び/又は球状物を有し、及び/又は反応器本体の壁のシーティング帯は3から4インチ(7.62乃至10.2cm)幅である。
【0150】
後記の表の活性は、重合触媒グラム−時間当たりのポリエチレン(PE)のグラム数(gPE/g触媒・時間)単位で測定される。
【0151】
比較例1
触媒Aの調製
比較例1で使用した架橋型の嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物は、米国ルイジアナ州バトンルージュ(Baton Rouge)のアルバールマル社(Albermarle Corporation)から購入したジメチルシリル−ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド(MeSi(HInd)ZrCl)である。この(MeSi(HInd)ZrCl)触媒化合物を、約1.0重量%の水分と強熱残渣(LOI)を有する、600℃で脱水されたクロスフィールドES−70グレードシリカに担持した。LOIは、約1000℃の温度で約22時間加熱保持した担体物質の重量減量を決めることで測定した。このクロスフィールドES−70グレードシリカの平均粒径は40μmであり、英国ウォリントンのクロスフィールド社から購入できる。
【0152】
前記の担持型の嵩高い配位子メタロセン型触媒を作る際、第1段階では、前駆体溶液の生成を含む。噴霧(sparging)乾燥した460ポンド(209kg)のトルエンを攪拌機付きの反応器に加えた後、トルエン中30重量%のメチルアルミノキサン(MAO)(米国ルイジアナ州バトンルージュのアルバールマル社から購入できる)1060ポンド(482kg)を加える。ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド触媒化合物の2重量%トルエン溶液947ポンド(430kg)と、追加のトルエン600ポンド(272kg)を反応器に導入する。次にこの前駆体溶液を80°F乃至100°F(26.7℃乃至37.8℃)で1時間攪拌する。
【0153】
前記前駆体溶液を攪拌している間に600℃で脱水したクロスフィールドシリカ担体を前記前駆体溶液にゆっくりと加えた後、この混合物を80°F乃至100°F(26.7℃乃至37.8℃)で30分間攪拌する。この混合物の30分間攪拌が終わると、米国テネシー州メンフィスのウィットコ社製のケマミンAS-990として購入できるAS-990(N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)オクタデシルアミン((C1837N(CHCHOH)))の10重量%トルエン溶液240ポンド(109kg)を、追加のトルエンすすぎ液110ポンド(50kg)と一緒に加えて175°F(79℃)に加熱しながらこの反応器内容物を30分間混合する。30分の後、真空にしてこの重合触媒混合物を175°F(79℃)で約15分間乾燥すると流動性のよい粉末となる。最終の重合触媒重量は1200ポンド(544kg)であり、0.35重量%のZrと12.0重量%のAlであった。
【0154】
実施例1
触媒Bの調製
比較例1で説明したように調製した重合触媒、即ち触媒Aの1kgの試料を不活性雰囲気下で秤量して3リットルのガラスフラスコに入れた。米国テネシー州メンフィスのウィットコ社から購入できるウィットコ・ステアリン酸アルミニウム♯22(AlSt♯22)(CH(CH16COO)AlOH 40gを、85℃の真空のもとで乾燥した後、このフラスコに加え、この内容物を室温で20分間タンブリング/混合した。このステアリン酸アルミニウムは触媒粒子全体に均一に分散しているようであった。
【0155】
実施例2
触媒Cの調製
比較例1で説明したように調製した重合触媒、即ち触媒Aの1kgの試料を不活性雰囲気下で秤量して3リットルのガラスフラスコに入れた。米国テネシー州メンフィスのウィットコ社から購入できるウィットコ・ステアリン酸アルミニウム♯22(AlSt♯22)(CH(CH16COO)AlOH 20gを85℃の真空下で乾燥させ、このフラスコに加えた後、この内容物を室温で20分間タンブリング/混合した。このステアリン酸アルミニウムは触媒粒子全体に均一に分散しているようであった。
【0156】
実施例3
触媒Dの調製
比較例1で説明したように調製した重合触媒、即ち触媒Aの1kgの試料を不活性雰囲気のもとで秤量して3リットルのガラスフラスコに入れた。米国テネシー州メンフィスのウィットコ社から購入できるウィットコ・ステアリン酸アルミニウム♯22(AlSt♯2)(CH(CH16COO)AlOH 10gを85℃の真空下で乾燥させ、このフラスコに加えた後、この内容物を室温で20分間タンブリング/混合した。このステアリン酸アルミニウムは触媒粒子全体に均一に分散しているようであった。
【0157】
触媒Aから触媒Dまでを使った重合プロセス
窒素パージ下で2リットルのオートクレーブ反応器に、トリエチルアルミニウム(TEAL)0.16ミリモルを装入したのに続いて、ヘキセン−1のコモノマー20ccとイソブテン希釈剤800ccを装入した。反応器の内容物を80℃に加熱した後、前記の担持型重合触媒の各々、即ち触媒A、B、C及びD、の100mg、を各々別々に次のように重合させた:各重合触媒をエチレンと並行して反応器に装入して反応器の圧力全体を325psig(2240kPa)まで上げた。反応器温度を85℃に保ち、40分間重合を進行させた。40分の後、反応器を冷却してエチレンを排気させた後、ポリマーを乾燥して秤量するとポリマー生成物を得た。下記の表1は、収量活性データばかりでなく、ステアリン酸アルミニウムを含まない触媒Aと、各々が種々の濃度のステアリン酸アルミニウムを含む触媒BからDまでを使って観察した汚損特性(fouling characteristics)を示している。
【0158】
【表1】

【0159】
表1は触媒活性及び操作性に及ぼすステアリン酸アルミニウムの種々の濃度の影響を示している。
【0160】
比較例2
触媒Eの調製
2ガロン(7.57リットル)の反応器の中にまずトルエン2.0リットル、次いでトルエンに溶解した30重量%のメチルアルモキサン溶液1060g(米国ルイジアナ州バトンルージュのアルバールマル社から購入できる)を入れたのに続いて、トルエンの10%溶液としてビス(1,3-メチル-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド23.1gを入れた。この混合物を室温で60分間攪拌した後、シリカ850g(米国メリーランド州ボルチモア(Baltimore)のW.R.グレース社(W.R.Grace)のデビソン・ケミカル・デビジョン(Davison Chemical Division)から購入できる、600℃で脱水されたデビソン948)をゆっくりと攪拌しながらこの液体に加えた。約10分間、攪拌速度を上げて液体へのシリカの分散を確実にした後、適量のトルエンを加えて液体のスラリーをコンシステンシシー4cc/gのシリカを含む固形物に仕上げた。120rpmで15分間混合を続けた後、ケマミンAS-990(市販品、米国テネシー州メンフィスのウィットコ社)6gを100ccのトルエンに溶解させて15分間溶解させ加えながら攪拌した。次に、乾燥は175°F(79.4℃)で真空及び数回の窒素パージにより開始した。担体、シリカを含む重合触媒は流動性がよいと思われた時、冷却し、そして窒素でパージされた容器へ取り出した。乾燥によるある程度の損失によって収量約1kgの乾燥した重合触媒を得た。
【0161】
実施例4
触媒Fの調製
比較例2の記載通りに調製した重合触媒の試料、即ち触媒E、を担持型重合触媒の全重量を基準にして2重量%に等しいウィットコ・ステアリン酸アルミニウム♯22(AlSt♯22)(米国テネシー州メンフィスのウィットコ社から購入できる)の量とドライブレンドした。このAlSt♯22を真空炉で85℃で12時間乾燥した。次に、窒素下で重合触媒をAlSt♯22とドライブレンドした。表2は、これらの実施例におけるカルボン酸金属塩、即ちステアリン酸アルミニウムを重合触媒に加えた効果を示している。これらの実施例を見ると、カルボン酸金属塩は生成したポリマーの分子量特性に実質的に影響を及ぼさないことがわかる。
【0162】
触媒Aから触媒Dまでについて前述したのと同じプロセスを使った、触媒EとFの重合ランの結果を下記の表2に示している。
【0163】
【表2】

【0164】
比較例3
触媒Gの調製
2ガロン(7.57リットル)反応器の中に、トルエンに溶解した30重量%のメチルアルモキサン(MAO)、即ち活性化剤の溶液(PMAO、アクゾ・ノベル社(Akzo Nobel)(米国テキサス州ラ・ポート(La Porte))から購入できる変性MAO)を入れたのに続いてトルエン1.5リットルを入れた。トルエンの8%溶液としたビス(1,3-メチル-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、即ち嵩高い配位子メタロセン型触媒化合物17.3gを、攪拌しながらこの反応器に加えた後、この混合物を室温で60分間攪拌すると触媒溶液が生成した。反応器の内容物をフラスコに移した後、600℃で脱水されたシリカ850g(英国ウォリントンのクロスフィールド社から購入できる)をこの反応器へ入れた。次に、フラスコに入っている触媒溶液をゆっくりと攪拌しながら、反応器に入っているシリカ担体へゆっくりと加えた。追加のトルエン(350cc)を加え、スラリーの濃度を確認した後、この混合物を更に20分間攪拌した。トルエン10%の溶液としたケマミンAS-990(ウィットコ社(米国テネシー州メンフィス)から購入できる)6gを加えた後、室温で30分間攪拌を続けた。次に、温度を68℃(155°F)に上げた後、重合触媒を乾燥するために真空にした。この重合触媒は流動性がよいと思われるまでゆっくりと攪拌しながら乾燥を約6時間続けた。次に、この重合触媒をフラスコへ取り出してN雰囲気下で貯蔵した。乾燥工程でのある程度の損失によって収量は1006gであった。重合触媒の分析値は次の通りであった;Zr=0.30重量%、Al=11.8重量%。
【0165】
実施例5及び6
実施例5及び6では、比較例3に記載したように調製した重合触媒、即ち触媒G、を触媒含有量を基準にして4重量%及び8重量%のウィットコ・ステアリン酸アルミニウム♯22(AlSt♯22)(米国テネシー州メンフィスのウィットコ社から購入できる)と共注入(coinjection)して重合反応器へ注入した。触媒AからDまでの場合に既述したのと同じプロセスで触媒G、H及びIを使った重合ランの結果を表3に示している。
【0166】
【表3】

【0167】
表3は、高活性の比較的汚損しやすい触媒を用いてもステアリン酸アルミニウムは有効であることを示している。更に、ステアリン酸アルミニウムはポリマー生成物の諸特性を実質的に変化しないことを示している。
【0168】
実施例7から実施例11まで
実施例7及び8は、前記の比較例3での同じ触媒、即ち触媒Gと、実施例7ではカルボン酸金属塩としてステアリン酸カルシウム(CaSt)(触媒J)と、一方、実施例8ではステアリン酸亜鉛(ZnSt)(触媒K)と一緒に使用する。CaSt及びZnStは、米国ニュージャーシー州フィリップスベリー(Phillipsbury)のマルリンクロッド社(Mallinkrodt)から購入できる。実施例7及び8の触媒組成物を試験するために使用した重合プロセスは、触媒AからDまでの場合に前述のように使用したのと同じである。
【0169】
実施例9から実施例11までは比較例1と同じ触媒、即ち触媒Aと、カルボン酸金属塩としてのモノステアリン酸アルミニウム(実施例9、触媒L)、ジステアリン酸アルミニウム(実施例10、触媒M)、及びトリステアリン酸アルミニウム(実施例11、触媒N)と一緒に使用する。本明細書で後ほど説明する実施例12から15まで使用した重合プロセスを使って実施例9から11までの触媒組成物、即ち触媒L、M及びNを試験した。下記の表4はこれらの結果を示している。
【0170】
【表4】

【0171】
実施例7及び8は、異なるカルボン酸金属塩の使用を示している。具体的には実施例7及び8では、ステアリン酸塩の金属、即ちCa及び亜鉛は、汚損を減らすのに有効であることを示している。実施例9、10及び11は数種類のカルボン酸アルミニウム塩を示しており、特に異なる形のステアリン酸アルミニウムが有効であることを示している。表4のデータから、モノステアリン酸塩及びジステアリン酸塩が極めて有効であることがわかる。
【0172】
実施例12から15まで
実施例12から15までは、実施例1に記載したドライブレンド方法で、種々の型のカルボン酸金属塩と一緒に比較例1の触媒Aを使用した。カルボン酸金属塩の量及び種類は表5で説明している。各重合触媒/カルボン酸金属塩の組み合わせ、即ち触媒O、P、Q及びRに対しては後記の次の重合プロセスを使用した。
【0173】
実施例12から15までの重合プロセス
窒素パージ下で2リットルのオートクレーブ反応器に、トリエチルアルミニウム(TEAL)0.16ミリモルを入れ、引き続きヘキセン−1のコモノマー25ccとイソブタン希釈剤800ccを装入した。反応器の内容物を80℃まで加熱した後、前記の各々の担持型重合触媒/カルボン酸金属塩混合物100mg(触媒Aと、表5で報告するような特定の量のカルボン酸金属塩)を各々別々に次のように重合させた:各重合触媒/カルボン酸金属塩の組み合わせをエチレンと並行して反応器に入れて反応器の全圧を325psig(2240kPa)にした。反応器温度を85℃に保ち、40分間重合を進行させた。40分後に反応器を冷却してエチレンを排気させた後、ポリマーを乾燥した後、秤量してポリマー収量を得た。
【0174】
これらの結果を下表5に示している。特に関心があるのは、これらの実施例12、13、14及び15はカルボン酸金属塩、具体的にはカルボン酸アルミニウムに、嵩高いR基があることが好ましいことを示している。
【0175】
【表5】

【0176】
実施例16から18まで及び比較例4
実施例16、17及び18並びに比較例4は、流動床気相プロセスにおいてカルボン酸金属塩、具体的にはステアリン酸アルミニウムを、嵩高い配位子メタロセン型触媒系と組み合わせて使用すると、特に操作性に関して典型的に製造し難いグレードのポリマーを製造するのに有効であることを示している。従来から、反応器の操作性の観点から分画メルトインデックス及びより高密度のグレードを製造することは難しい。実施例16、17及び18並びに比較例4の重合で使用した重合触媒は、下記のプロセスにおいて使用されその結果は下記の表6に示されている。
【0177】
重合プロセス
次に、前述のA、B及びFは、内径16.5インチ(41.9cm)を有する公称寸法18インチ(約45.7cm)、スケージュール60の反応器からなる連続式の気相流動床型反応器で別々に試験した。この流動床はポリマー顆粒で構成されている。エチレンと水素に液体コモノマーを加えた気体状原料流を一緒に混合用T字型装置の中で混合した後、反応器床の下で循環気体ラインへ導入される。コモノマーとしてヘキセン−1を使用した。定められた組成目標値を維持するようにエチレン、水素及びコモノマーの各々の流量を制御した。エチレン濃度は、一定のエチレン分圧を維持するように制御した。水素は、水素とエチレンのモル比を一定に維持するように制御した。全ての気体濃度は、オンライン式ガスクロマトグラフィーで測定することにより循環気体流れの中では比較的一定の組成が確保された。表6に示した固体の担持型の嵩高い配位子メタロセン型触媒系は、1.5ポンド/時(0.68kg/時)の精製窒素を使って流動床へ直接注入した。成長中のポリマー粒子の反応床は、反応ゾーンを通って補給原料と循環気体の一定流量によって流動状態を維持した。1乃至3フィート/秒(30.5cm/秒乃至91.4cm/秒)の見掛けの気体速度を使ってこれを達成した。反応器は300psig(2069kPa)の全圧、85℃の反応器温度で運転して、2.25フィート/秒(68.6cm/秒)の見掛けの気体速度を使って顆粒の流動化を達成した。反応器温度を一定に維持するために循環ガスの温度は絶えず上げ下げして調整し、重合による発熱の僅かな速度の変化にも適応した。流動床は、微粒子生成物の生成速度に等しい速度で流動床の一部分を抜き出すことにより一定の高さを維持した。一連のバルブを経て生成物は半連続的に固定された容積のチャンバーに抜き出され、同時に反応器へも戻される。こうすることにより生成物を極めて効率よく抜き出すことができ、同時に大部分の未反応気体を反応器へ循環する。同伴の炭化水素を取り除くためにこの生成物をパージした後、少量の加湿窒素流で処理して極めて微量の残留触媒を失活させる。
【0178】
【表6】

【0179】
重合触媒と組み合わせたカルボン酸金属塩を使用することにより反応器の操作性は驚くほど改良される。表6は、多くの流動床ターンオーバー(BTO)で分画メルトインデックスポリマーを製造する際に何等問題なく操作する気相反応器を示している。具体的には、比較例4(ステアリン酸アルミニウムを含まない)におけるように、カルボン酸金属塩を含まない重合触媒を使うと、ほぼ1.5dg/分のメルトインデックスと0.9188g/ccの密度で、3回より少ない流動床ターンオーバーで汚損とシーティングによって反応器を停止したこと示している。本発明の実施態様では、本プロセスは4回超のターンオーバー、更に好ましくは5回超のターンオーバー、そして最も好ましくは6回超のターンオーバーの期間を操作している。床のターンオーバーは、反応器から抜き出されるポリマーの総重量がほぼ反応器の床重量に等しい回数である。
【0180】
樹脂の嵩密度を小さくすると、重合プロセス、特に気相流動床重合プロセスの操作性を改良できることは当業界では周知である。しかしながら、カルボン酸金属塩を重合触媒と組み合わせると、樹脂の嵩密度はさほど変化することなく、本発明のプロセスの操作性が驚くほど大幅に改良されることを表6で注目されたい。
【0181】
実施例19
従来型遷移金属触媒の調製
従来型遷移金属触媒は、概ね、マグネシウム化合物、例えばMgCl、チタン化合物、例えばTiCl・1/3AlCl、及び電子供与体、例えばテトラヒドロフラン(THF)の混合物から調製して、600℃で脱水したシリカに担持した。この調製手順の詳細な記載は、引用文献によって本明細書に組み入れられている米国特許第4,710,538号に見ることができる。使用した具体的触媒配合物は、TNHAL/THFモル比29及びDEAC/THFモル比26であり、この場合、TNHALはトリ-n-ヘキシルアルミニウムであり、DEACはジエチルアルミニウムクロライドである。
【0182】
従来型遷移金属触媒を使う重合プロセス
前述の乾燥した流動性のよい触媒を、本発明の明細書で既述したような、内径16.5インチ(41.9cm)で、公称18インチ(45.7cm)、スケジュール60の反応器からなる連続式の気相流動床型反応器に注入した。既述したのと同じプロセスと条件を使用した。しかしながら、このプロセスでは、ヘキサンに溶解した5重量%のトリエチルアルミニウム(TEAL)、即ち従来型の共触媒、を絶えず反応器へ加えて、流動床でのTEAL濃度を約300ppmに維持した。また、前述のように調製した固体従来型遷移金属触媒を直接流動床へ注入した、表7の運転Aを参照されたい。
【0183】
ヘキサン中に溶解したカルボン酸金属塩、即ちウィットコ・ステアリン酸アルミニウム♯22(AlSt♯22)、溶液を調製した。重合プロセスの過程で表7のランAを参照されたい、この溶液を気相反応器へ圧送した。表7の運転Bの結果を参照されたい。物質収支による触媒の生産性は、ステアリン酸アルミニウムを加えた後でさえ実質的に同じ結果を得た。更に、このランを自発的に停止するまで、反応器の操作性は、安定を保ち、4回超の流動床ターンオーバーまで続いた。
【0184】
【表7】

【0185】
前記実施例は、特にカルボン酸金属塩が従来型触媒系と別々に導入される場合でも、カルボン酸金属塩を従来型遷移金属触媒系と一緒に使用すると、連続式の気相重合プロセスの操作性は低下することがないことを示す。しかし、いくつかの回分式重合スラリー運転では、従来型のチタン金属触媒とドライブレンドされたウィットコ・ステアリン酸アルミニウムEAグレードを使用すると、生産性が低下する結果となることが判明した。いかなる特定の理論に縛られることなく、生産性の低下は従来型共触媒、例えばトリエチルアルミニウムと反応し、その結果、回分式反応器の中の共触媒の活性を下げるステアリン酸アルミニウムに一部分起因しているかもしれないと考えられている。
【0186】
下記の実施例20及び21は、カルボン酸金属塩とドライブレンドした従来型クロム金属触媒の使用について説明している。
【0187】
実施例20
従来型クロム金属触媒の調製
フィリップス型触媒としても知られている従来型クロム金属触媒は、英国ウォリントンのクロスフィールド社から購入できるクロスフィールドEP510触媒(クロムアセチルアセトネートに由来する1重量%のチタンと0.5重量%のクロム)を使って調製した。このEP510触媒は、当技術分野で周知のように流動床カラムの中で70%の酸素と30%の窒素を用いて800℃で活性化した後、次の重合プロセスで使用した。
【0188】
比較例20A
エチレンの単独重合プロセス
捕捉剤として100μモルのトリエチルアルミニウム(ヘプタンに溶解した25重量%のTEAL溶液)を2.2リットルのオートクレーブ反応器へ加えて、この容器の中の微量の不純物を除去した。米国オクラホマ州バートルスビル(Bartlesville)のフィリップス・ベトロリウム社(Phillips Petroleum)から購入できる重合グレードのイソブタン800mlをこの反応器に加えた。この内容物を1000rpmで攪拌して反応器温度を周囲温度から93℃まで上げた後、反応器の全圧が375psig(2586kPag)になるまでエチレンをこの反応器に導入した。
【0189】
次に、実施例20で既に調製した活性化クロム触媒300mgを反応器へ入れた後、エチレン重合を約60分間行い、その時点で反応器から炭化水素を排気することによってこの反応を停止させた。この比較例20Aでは、前述のクロム触媒を単品(neat)(ステアリン酸アルミニウムを含まない)で使用すると、強く帯電した粘着性のポリマーとなった。反応器壁からこの粘着性ポリマーを取り除くには、帯電防止剤ケマミンAS−990のヘキサン溶液を使用しなければならなかった。集めた樹脂総量は約245グラムであった。
【0190】
実施例20B
この実施例では、重合に先立って、重合触媒は、ステアリン酸アルミニウム、すなわち、ウィットコ・ステアリン酸アルミニウムEAグレード15mgとドライブレンドした活性化型クロム触媒(実施例20で前述したように調製されている)300mgを含んでいた。次に、この重合触媒を、比較例20Aで前述したのと同じ重合条件のもとで反応器に装入した。約60分後、重合を停止させて反応器を点検した。生成した樹脂は粘着性がなく、このポリマーは反応器から容易に取り出すことができた。樹脂収量は133グラムであった。このランでは、カルボン酸金属塩、即ちステアリン酸アルミニウム化合物は、従来型遷移金属触媒系を用いて作られた樹脂での帯電を防止する、すなわちち中性化することが実証された。クロム触媒を使った気相エチレン重合における反応器シーティング現象はこの系での静電荷と関係があると一般に考えられる。
【0191】
実施例21
共重合プロセス
反応容器の中の微量の不純物を除去するために捕捉剤として50μモルのトリエチルアルミニウムを反応器に加えた。その後、精製したヘキセン−1のコモノマー50mlとイソブタン800mlをこの反応器に加えた。1000rpmの攪拌のもとで反応器温度を85℃まで上げた後、圧力が325psig(2586kPag)に達するまでエチレンをこの容器へ導入した。次に、重合触媒300mgを反応器へ装入した後、ある時間、この重合プロセスを続けた。その後、炭化水素を反応器から排気することにより反応を停止させた。次の諸実施例は全てこの重合プロセスを使って実施した。しかしながら、それらの実施例の中にはヘキセン−1の量と反応時間が異なるのがある。
【0192】
比較例21A
活性化型クロム触媒、すなわちち重合触媒、300mgを反応器へ装入した後、実施例21に前述した重合プロセスを約60分間続けた。この比較例21Aでは、このクロム触媒を単品で、すなわちステアリン酸アルミニウムを含まずに使用すると汚損が発生した。反応器壁、攪拌機及び内部の熱電対に多量のポリマーのシーティングが観察された。大半のポリマーは反応器の底部で塊になっていた。集めた粘着性樹脂の総量は53グラムであった。
【0193】
実施例21B
この実施例では、実施例20において以前に調製した活性化型クロム触媒300mgをステアリン酸アルミニウム、すなわちウィットコ・ステアリン酸アルミニウムEAグレード15mgとドライブレンドした。使用した重合プロセスは実施例21で前述した通りであった。50分後に炭化水素を排気することによりこの運転を停止した。反応器の汚損は、比較例21Aにおける汚損よりも大幅に少なかった。攪拌機、熱電対及び反応器壁で極く薄いポリマーのシーティングが見られた。集めた樹脂の総量は約110グラムであった。
【0194】
比較例21C
この比較例21Cは、35mlのヘキセン−1を使用することを除いて、実施例21に記載したのと同じ重合プロセスに従った。実施例21で前述した活性化型クロム触媒300mgは、ステアリン酸アルミニウムを使用することなく、単品で使用した。重合を50分間続けた後、反応器を排気して点検した。反応器の激しい汚損が観察された。1/4から3/4インチ(0.64乃至0.91cm)の範囲の厚さがあり約3インチ(7.62cm)幅のポリマーの輪が反応器の頂部に生成していた。反応器壁の底部にはポリマーのシーティングが見られた。集めた樹脂の総量は約139グラムであった。このポリマーは極めて硬く、ポリマーの密度は測定できなかった。
【0195】
実施例21D
本実施例21Dは、35mlのヘキセン−1を使用することを除いて、実施例21に記載したのと同じ重合プロセスに従った。比較例21Cで使用したのと同じ活性化型クロム触媒300mgを、ステアリン酸アルミニウム、すなわち、ウィットコ・ステアリン酸アルミニウムEAグレード15mgとドライブレンドした。50分間重合を続けた後、反応器を排気して点検した。攪拌機、熱電対及び反応器壁に極めて少量のポリマー皮膜が見られた。このポリマーの収量は139グラムであり、密度は0.9282g/ccであった。
【0196】
1つの実施態様では、本発明は、エチレン、及び3から20個の炭素原子を有する少なくとも1種のα−オレフィンを、従来型のクロム金属触媒とカルボン酸金属塩を含む重合触媒の存在で重合して、0.945g/cc未満から約0.910g/cc、好ましくは0.940g/cc未満、更に好ましくは0.93g/cc未満、尚、更に好ましくは0.928g/cc未満、そして最も好ましくは0.928g/cc未満の密度を有するポリマー生成物を製造するための連続式プロセスに関する。好ましい実施態様では、この連続式プロセスは200psig(1379kPa)から約400psig(2759kPa)の圧力と60℃超、好ましくは70℃、乃至約120℃までの温度で操作する気相プロセスであり、好ましくはこの気相プロセスは、液体と気体が、流動媒体を含む流動床反応器に導入され、そして凝縮物の濃度が、反応器に入る流動媒体の総重量基準で8重量%超、好ましくは10重量%超そして最も好ましくは12重量%超、最高50重量%である凝縮様式(condensed mode)でも操作される。凝縮様式プロセスの更に詳細は、米国特許第5,342,749号及び第5,436,304号を参照されたい。これら両方とも本明細書に援用される。
【0197】
本発明を特定の実施態様を参照して具体的に説明したが、普通の当業者は、本発明が本明細書で必ずしも具体的に説明されている訳でない変形を実施することに対して役立つと理解するだろう。例えば、カルボン酸金属塩は、本発明の触媒系と接触されること以外に反応器に添加できることが考えられる。本発明のプロセスは直列式反応器重合プロセスにおいても使用できると考えられる。例えば、カルボン酸金属塩を含まない担持型の嵩高い配位子メタロセン型触媒系が、ある反応器で使用され、そして一方、カルボン酸金属塩と接触された担持型で架橋型の嵩高い配位子メタロセン型触媒系が別の反応器で使用されるか、又はその逆もある。更に、カルボン酸金属塩の諸成分、即ちカルボン酸と金属化合物、例えば金属ヒドロキシル化合物が反応器又は重合触媒に加えられると、反応器のその場で形成するか又は触媒と一緒に形成するとさえ考えられる。カルボン酸金属塩は重合触媒、好ましくは担持型重合触媒とは別の担体に、別々に担持することができることも考えられる。従って、この理由から、本発明の範囲を決める添付の特許請求の範囲に限って参照されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床を有する反応器へ触媒組成物及び一種又は複数種のオレフィンモノマーを供給してポリマー生成物を製造することを特徴とする連続式気相重合プロセスであって、
当該触媒組成物は、一種又は複数種のオレフィンの重合に先立って、
式:LMQ
(式中、Mは4族遷移金属であり、L及びLは各々、非置換の、又は水素又は線状もしくは分岐状アルキル基又は1乃至30個の炭素原子を有するそれらの組み合わせで置換されたシクロペンタジエニル誘導型配位子又はインデニル配位子である;は、炭素、ケイ素、ゲルマニウム又はスズを有する、L及びLを架橋する基である;xは0又は1である;各Qは、同じか又は異なり、独立してアミン、ホスフィン、エーテル、カルボキシレート、ジエン又は1乃至20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基、水素化物、ハロゲン又はそれらの組み合わせである)
により表されるメタロセン型触媒化合物、担体、及びカルボン酸金属塩を含む担持型オレフィン重合用触媒を一種又は複数種のオレフィンと接触させることによって形成され、
前記カルボン酸金属塩が、式:MQ(OOCR)
(式中、Mは2族又は13族の金属元素である;Qはハロゲン、又はヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、シロキシ、シラン若しくはスルホネート基である;Rは4乃至50個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である;xは0乃至3の整数である;yは1乃至4の整数である;及びxとyの和は金属Mの原子価に等しい)で表される、
当該プロセス。
【請求項2】
前記担持型オレフィン重合用触媒が、無機担体を含む、請求項1に記載の連続式プロセス。
【請求項3】
(a)循環流を前記反応器へ導入する段階であって、前記循環流が1種以上のモノマーを含む、段階;
(b)メタロセン型触媒化合物及び担体をカルボン酸金属塩と接触させて触媒組成物を形成する段階;
(c)前記触媒組成物を前記反応器へ導入する段階;
(d)前記循環流を前記反応器から取り出す段階;
(e)前記循環流を冷却する段階;
(f)前記循環流を前記反応器へ再導入する段階;
(g)追加の一種又は複数種のモノマーを前記反応器へ導入して、重合したモノマーと置き換える段階;及び
(h)ポリマー生成物を前記反応器から取り出す段階;
の諸段階を含む、請求項1又は請求項2に記載の連続式プロセス。
【請求項4】
前記モノマーが、エチレン、及び4個以上の炭素原子を有する1種以上のα−オレフィンであり、及び、
前記反応器が、約200psig(1379kPa)から約400psig(2759kPa)の範囲の圧力、約70℃から約110℃の範囲の重合温度、1時間当たり10,000ポンド(4540Kg)超のポリマー生成物の製造速度、及び担持型重合触媒1g当たり1500g超のポリマー生成物の重合触媒生産性である、
請求項1乃至3のいずれか1請求項に記載の連続式プロセス。
【請求項5】
前記製造速度が1時間当たり25,000ポンド(11,340Kg/時)超のポリマー生成物であることを特徴とする、請求項4に記載の連続式プロセス。
【請求項6】
前記カルボン酸金属塩が、100℃乃至200℃の融点を有することを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1請求項に記載の連続式プロセス。
【請求項7】
前記カルボン酸金属塩が、モノステアリン酸アルミニウム、ジステアリン酸アルミニウム、及びトリステアリン酸アルミニウム又はそれらの組み合わせよりなる群から選択されるステアリン酸塩化合物であることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1請求項に記載の連続式プロセス。
【請求項8】
前記触媒組成物の全重量を基準にして、前記カルボン酸金属塩の重量%が、2重量%から12重量%の範囲にあることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1請求項に記載の連続式プロセス。
【請求項9】
前記触媒組成物の全重量を基準にして、前記カルボン酸金属塩の重量%が、0.5重量%超から12重量%未満の範囲にあることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1請求項に記載の連続式プロセス。
【請求項10】
前記カルボン酸金属塩が、前記反応器への導入に先立って、メタロセン型触媒化合物と接触することを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか1請求項に記載の連続式プロセス。
【請求項11】
前記触媒組成物が、乾燥した流動性のよいメタロセン型触媒化合物を固体状態の前記カルボン酸金属塩と接触させることを含む方法によって得られることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか1請求項に記載の連続式プロセス。
【請求項12】
前記混合時間が1分から12時間であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
式:LMQ
(式中、Mは4族遷移金属であり、L及びLは各々、非置換の、又は水素又は線状もしくは分岐状アルキル基又は1乃至30個の炭素原子を有するそれらの組み合わせで置換されたシクロペンタジエニル誘導型配位子又はインデニル配位子である;は、炭素、ケイ素、ゲルマニウム又はスズを有する、L及びLを架橋する基である;xは0又は1である;各Qは、同じか又は異なり、独立してアミン、ホスフィン、エーテル、カルボキシレート、ジエン又は1乃至20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基、水素化物、ハロゲン又はそれらの組み合わせである)
により表されるメタロセン型触媒化合物と共に
式:MQ(OOCR)
(式中、Mは2族又は13族の金属元素である;Qはハロゲン、又はヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、シロキシ、シラン若しくはスルホネート基である;Rは4乃至50個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である;xは0乃至3の整数である;yは1乃至4の整数である;及びxとyの和は金属Mの原子価に等しい)で表される、カルボン酸金属塩を使用して、連続式気相重合プロセスにおける汚損又はシーティングを減らすことを特徴とするカルボン酸金属塩の使用。

【公開番号】特開2007−291404(P2007−291404A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−153988(P2007−153988)
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【分割の表示】特願2000−559160(P2000−559160)の分割
【原出願日】平成11年6月23日(1999.6.23)
【出願人】(599168648)ユニベーション・テクノロジーズ・エルエルシー (70)
【Fターム(参考)】