説明

触媒組成物

本発明は、カプロラクトンのホモポリマー又はコポリマーが、任意でコモノマーを用いて、重合触媒及び開始剤の存在下において、カプロラクトンを重合することにより製造される組成物、及びポリウレタンの製造に対する該組成物の使用を提供する。本発明はさらに、以下を含む、重合を含むカプロラクトンのホモポリマー又はコポリマーの製造方法も提供する:(i)少なくとも一つの、カプロラクトンモノマー及び任意でコモノマー;及び(a)ビスマスエチルヘキサノエート及びエチルヘキサン酸、(b)ビスマスエチルヘキサノエート及びビスマスネオデカノエート、又は(c)亜鉛ネオデカノエート及び酸化亜鉛。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、イソシアネートとポリマーのラクトン誘導体(ビスマス及び亜鉛触媒から選択される触媒の存在下で調製される)の反応を含む、ポリウレタンの製造方法に関する。
【0002】
(発明の背景)
ポリウレタンは、優れた機械的及び弾性特性、良好な固さ、高い耐摩耗性及び耐化学薬品性を有する、多様な用途のセグメント化された一群のポリマーである。
エラストマーに加えて、ポリウレタンは、フォーム(固くかつ柔軟性の)、接着剤、結合剤、コーティング及び塗料としても製造できる。それら独特の特性により、ポリウレタンは、自動車、家具、建造物及び履物工業において、座席、外装パネル、構造用発泡体、家具、電気設備用のハウジング、靴及びブーツの靴底並びに冷蔵庫の断熱材において、幅広い種類の用途が見出されている。
一般に、ポリウレタンブロックコポリマーは、低いガラス転移又は低い融点のソフトセグメント及び固いハードセグメントからなり、これはしばしばガラスのようなTg、又は室温より充分に高い結晶質の融点を有する。該ハードセグメントは、通常、鎖伸長剤であるジイソシアネート(芳香族又は脂肪族)及び低分子量ジオール又はジアミンの結合を含む。このポリオールのソフトセグメント及びハードセグメントの組み合わせは、一般に、(AB)nタイプのブロックコポリマーを形成する。該セグメントの構造、分子量、及びハードセグメントに対するソフトセグメントの割合を変化させることにより、広い範囲の物理的特性を得ることができる。
【0003】
ウレタン基は、アルコール及びイソシアネート基の間の反応により形成される。従って、ポリウレタンは、2以上のヒドロキシ基を有するアルコール(ジオール又はポリオール)及び2以上のイソシアネート基を含むイソシアネート(ジイソシアネート又はポリイソシアネート)の間の反応に起因する。
有機スズ化合物、特にジブチルスズジラウレートは、ポリウレタン反応に対する触媒として広く使用されている。有機スズ化合物は、スズ及び炭素原子の間で少なくとも一つの直接の結合を含む。近年において、その生物致死性特性に起因するトリブチルスズ(TBT)の使用に対する特別な関心を伴って、有機スズの毒性及び環境影響に公衆の多大な注目が集中している。1998年から、米国は、長さにおいて25メートルより短い水の容器において、有機スズ化合物を含む塗料の使用を禁止してきた。FDAは、食品に接触するプラスチックにおける有機スズを3%までに制限した(米国FDA21CFR178.2650 2000)。種々のプラスチックの有機スズ含量に関する関心に加えて、プラント職員が純粋なスズ含有添加剤を処理する場合、これら化合物のより高いレベルに労働者がさらされる問題も存在する。さらに、有機スズ残渣は、商品、例えばポリウレタン繊維から製造された衣料において検出され、従って、該商品のユーザーが被毒の危険性にさらされた。
【0004】
ポリウレタンの製造において使用する触媒として、有機スズ化合物の代替物を見つけることが望まれるであろう。
米国特許第5,159,012号は、ポリオール、イソシアネート、水及びビスマス触媒を含む反応混合物から、ポリウレタンエラストマーを製造する方法を開示する。
米国特許第5,587,448号は、少なくとも100のイソシアネートインデックス値を有し、かつこれらの触媒された反応混合物を有し、5及び60分の間のゲル化時間を有するポリウレタンの製造のための反応システムに関する。該反応システムは、以下を含む:(a)ポリイソシアネート成分を含む第一の部分;(b)以下を含む第二の部分:(i)ポリオール成分;(ii)ビスマス/亜鉛ポリウレタン触媒を含むポリウレタン触媒;及び(iii)モル過剰のポリウレタン触媒に対する錯化剤、ここで該錯化剤はメルカプタン化合物である。
【0005】
米国特許第4,804,691号は、オクタンスズ、亜鉛化合物、脂肪族3級アミン、ジブチルスズジアセテート又は1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンから選択される触媒を用いた、ポリウレタンの調製を開示する。
Gorna et al.(Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry,Vol.40,156−170(2002))は、ポリ(ε−カプロラクトンジオール)、ジイソシアネート及びある範囲の触媒システムを用いた、ポリ(ε−カプロラクトン)ウレタンの合成を記載した。これらは、オクタンスズ、ジブチルスズジラウレート、マグネシウム、マンガンおよび亜鉛を含む。
【0006】
(発明の概要)
本発明の第一の側面において、以下を含む組成物が提供される:
(i)カプロラクトンの少なくとも1つのホモポリマー又はカプロラクトンの少なくとも1つのコポリマー;及び
(ii)(a)ビスマスエチルヘキサノエート及びエチルヘキサン酸、(b)ビスマスエチルヘキサノエート及びビスマスネオデカノエート、又は(c)亜鉛ネオデカノエート及び酸化亜鉛を含む触媒。
本発明の第二の側面において、以下を含む組成物の重合を含む、カプロラクトンのホモポリマー又はカプロラクトンのコポリマーの製造方法を提供する:
(i)少なくとも1つのカプロラクトンモノマー及び任意でコモノマー;及び
(ii)(a)ビスマスエチルヘキサノエート及びエチルヘキサン酸、(b)ビスマスエチルヘキサノエート及びビスマスネオデカノエート、又は(c)亜鉛ネオデカノエート及び酸化亜鉛を含む触媒。
【0007】
本発明の第三の側面において、以下を含む組成物の重合を含む、ポリウレタンの製造方法が提供される:
(i)本発明の第二の側面に従った、カプロラクトンの少なくとも1つのホモポリマー又はカプロラクトンの少なくとも一つのコポリマー;
(ii)(a)ビスマスエチルヘキサノエート及びエチルヘキサン酸、(b)ビスマスエチルヘキサノエート及びビスマスネオデカノエート、又は(c)亜鉛ネオデカノエート及び酸化亜鉛を含む触媒;
(iii)イソシアネート;及び
(iv)鎖伸長剤又は硬化剤。
【0008】
一態様において、本発明に従うポリウレタンの製造方法は、2つの主な段階を好ましく含む。第一の段階は、ポリオールの形態にあるカプロラクトンのホモポリマー又はコポリマーの製造である。カプロラクトンのホモポリマー又はコポリマーは、本明細書において以後、“カプロラクトンポリオール”として言及する。このカプロラクトンポリオールは、続いて、以下でより詳細に説明するように、ポリウレタンの調製において使用されてもよい。
該カプロラクトンポリオールは、ホモポリマー、コポリマー又はこれらの混合物を好ましく含み、カプロラクトン、好ましくはε−カプロラクトンを含む組成物を重合することにより得られる。好ましくは、該カプロラクトンポリオールは、本明細書において以後エステル化反応として言及される方法により製造される。
第一の段階と合わせて又は第一の段階から分離して行われても良い第二の段階は、該カプロラクトンポリオールとイソシアネート、好ましくはジイソシアネートとを反応させ、ポリウレタンを形成させることを含む。好ましくは、該第二の段階は、第一の段階と分離して行われる。
本発明のポリウレタンの調製方法は、エラストマーポリウレタンを適切に製造する。
本発明のポリウレタンの調製方法は、ポリウレタンブロックコポリマーを適切に製造する。
【0009】
(発明の詳細な説明)
好ましくは、触媒(a)は、75から95質量%のビスマスエチルヘキサノエート、及び5から25質量%のエチルヘキサン酸を含む。好ましくは、触媒(a)は、約90質量%のビスマスエチルヘキサノエート、及び約10質量%のエチルヘキサン酸を含む。
好ましくは、触媒(b)は、5から45質量%のビスマスエチルヘキサノエート、40から70%のビスマスネオデカノエート、最大で16質量%のエチルヘキサン酸及び最大で30質量%のネオデカン酸を含む。好ましくは、触媒(b)は、5から20質量%のビスマスエチルヘキサノエート、40から55質量%のビスマスネオデカノエート、最大で16質量%のエチルヘキサン酸及び最大で30質量%のネオデカン酸を含む。
好ましくは、触媒(c)は、75から95質量%の亜鉛ネオデカノエート及び5から25質量%の酸化亜鉛を含む。好ましくは、触媒(c)は、約90質量%の亜鉛ネオデカノエート及び約10質量%の酸化亜鉛を含む。
本発明で使用する“触媒”は、自体で活性触媒種を含み、又はその場で活性触媒種を形成しても良い。
【0010】
エステル化反応
エステル化反応は、本明細書で述べるポリウレタン合成において使用できるカプロラクトンポリオールを好ましく製造する。
好ましくは、該カプロラクトンポリオールは、触媒及び任意でカプロラクトンとコポリマーを形成できる1以上のコモノマーの存在下において、カプロラクトン、好ましくはε−カプロラクトンを重合することにより得られる。
該カプロラクトンポリオールは、通常の重合反応及び触媒(a)、(b)又は(c)の添加により調製された本発明の組成物により製造されても良い。好ましくは、該カプロラクトンポリオールは、上記の(a)、(b)又は(c)を含む触媒を用いて製造される。
本発明の好ましい態様において、カプロラクトンポリオールの生成において使用した触媒残渣、又は第一の触媒と同一又は異なってもよい付加的な触媒は、続くポリウレタン合成において使用されても良い。好ましくは、同一の触媒が、カプロラクトンポリオールの形成及びポリウレタンの形成の両方において使用される。亜鉛ネオデカノエート/酸化亜鉛が、好ましいエステル化触媒である。
【0011】
同一の触媒が、カプロラクトンポリオールの形成及びポリウレタンの形成の両方に対して使用できると言う驚くべき発見がされた。カプロラクトンポリオールの製造において使用された上記触媒(a)、(b)又は(c)が、続くポリウレタンの製造において活性を保持する事が見出された。
該カプロラクトンポリオールは、少なくとも20wt%のカプロラクトン、好ましくは30から100wt%のカプロラクトン、より好ましくは50wt%より多いカプロラクトン、特には75wt%より多いカプロラクトンを含むことが好ましい。
カプロラクトンポリオールの製造方法において使用される重合可能な組成物は、少なくとも2wt%のカプロラクトンモノマー、好ましくは5から90wt%のカプロラクトンモノマー、より好ましくは10から75wt%のカプロラクトンモノマーを含むことが好ましい。
【0012】
カプロラクトンポリオールがコポリマーである場合、該コポリマーの製造方法において使用される重合可能な組成物は、少なくとも1wt%のコモノマー、好ましくは2から50wt%のコモノマー、より好ましくは5から75wt%のコモノマーを含む。コモノマーは、ジラクチド、ポリカーボネート、ポリテトラヒドロフラン、ブチロラクトン、バレロラクトン、メチルバレロラクトン及びアルキル置換されたカプロラクトンを適切に含む。
本発明の好ましい態様において、重合開始剤は、ε−カプロラクトンの開環重合において適用されても良い。該重合開始剤の例は、モノ−オール類、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール又はフェノール;ジオール類、例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール又は1,10−デカンジオール;トリオール類、例えばグリセリン又はトリメチロールプロパン;及びテトロール類、例えばペンタエリスリトール又はヘキソール類、例えばジペンタエリスリトールを含む。該開始剤は、単一で又は少なくとも2つの異なる開始剤の混合物として用いても良い。
【0013】
本発明において使用されるべきエステル化重合開始剤及びカプロラクトンのモル比率は、所望のカプロラクトンポリオールの重合比率に従って適切に選択でき、通常は1:1から1:5,000の範囲、好ましくは1:1から1:2,000の範囲内である。
カプロラクトンの開環重合は、不活性ガスの存在下又は減圧下で、エステル化触媒及び重合開始剤の存在の下で、カプロラクトンの重合反応により達成される。カプロラクトンの開環重合は、操作を容易とするため、窒素雰囲気下で好ましく達成される。
【0014】
該エステル化反応は、いかなる適切な溶媒中において行われて良い。該溶媒は、1以上の有機溶媒を含む。適切な有機溶媒は、脂肪族、脂環式及び芳香族炭化水素溶媒、例えばヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン、キシレン、ベンゼン及びトルエン;エーテルタイプの溶媒、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソール及びジメトキシベンゼン;ハロゲン化炭化水素溶媒、例えば塩化メチレン、クロロホルム及びクロロベンゼン;ケトンタイプ溶媒、例えばアセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン;アルコールタイプ溶媒、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール及びtert−ブチルアルコール;ニトリルタイプ溶媒、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル及びベンゾニトリル;エステルタイプ溶媒、例えば酢酸エチル及び酢酸ブチル;カーボネートタイプ溶媒、例えばエチレンカーボネート及びプロピレンカーボネート;及びこれらの混合物を含む。
【0015】
適切な溶媒は、芳香族炭化水素、脂肪族、脂環式炭化水素及びこれらの混合物から成る群より選択され、より好ましくはヘキサン、シクロヘキサン、トルエン及びキシレンから選択される。好ましくは、溶媒は実質的に無水である。
エステル化反応において使用される触媒の量は、モノマーの合計質量に基づいた質量により、0.05から2000ppm、好ましくは1から1000ppm(0.0001%から0.1%)でも良い。
【0016】
本明細書において使用するものとして、用語“カプロラクトン”は、置換されていないカプロラクトン及び置換されたカプロラクトンを含むことを意図する。用語“ε−カプロラクトン”は、置換されていないε−カプロラクトン及び置換されたε−カプロラクトンを含むことを意図する。置換されていないε−カプロラクトンが、特に好ましい。
本明細書において使用するものとして、用語“カプロラクトンポリオール”は、カプロラクトン、好ましくはε−カプロラクトンを含む組成物の重合により得られたホモポリマー及びコポリマーを含むことを意図する。特に、“カプロラクトンポリオール”は、ε−カプロラクトンを含む組成物のホモ−又はコ−ポリマー化により得ることができるポリマーを含むことを意図する。コ−ポリマー化は、カプロラクトン、特にε−カプロラクトンと、カプロラクトンではないコモノマー若しくは希釈剤と、又は異なるカプロラクトン、例えば置換された及び置換されていないカプロラクトンの混合物若しくは異なる置換基を有するカプロラクトンの混合物とのコ−ポリマー化を含んでも良い。
【0017】
本発明のカプロラクトンポリオールの製造において使用しても良い、好ましい置換されたε−カプロラクトンモノマーは、C1-12アルキルで置換されたε−カプロラクトン、C1-12アルケニルで置換されたε−カプロラクトン、C1-12アルキニルで置換されたε−カプロラクトン、C1-18シクロアルキルで置換されたε−カプロラクトン、C1-12アルコキシで置換されたε−カプロラクトン、C1-18アリールで置換されたε−カプロラクトン、C1-18アルカリールで置換されたε−カプロラクトン、C1-18アラルキルで置換されたε−カプロラクトン、C1-18アリールオキシで置換されたε−カプロラクトン及びこれらの混合物を含む。
本発明のカプロラクトンポリオールの製造において使用しても良い、好ましい置換されたε−カプロラクトンモノマーは、モノ−、ジ−又はトリ−置換されたモノマーを含む。例えば、好ましい置換されたε−カプロラクトンモノマーは、以下から成る群より選択される:モノメチルε−カプロラクトン、モノエチルε−カプロラクトン、モノプロピルε−カプロラクトン、モノメトキシε−カプロラクトン、モノエトキシε−カプロラクトン、モノプロポキシε−カプロラクトン、モノベンジルε−カプロラクトン、モノフェニルε−カプロラクトン、ジメチルε−カプロラクトン、ジエチルε−カプロラクトン、ジプロピルε−カプロラクトン、ジメトキシε−カプロラクトン、ジエトキシε−カプロラクトン、ジプロポキシε−カプロラクトン、ジベンジルε−カプロラクトン、ジフェニルε−カプロラクトン及びこれらの混合物。
【0018】
カプロラクトンのエステル化により製造されるカプロラクトンポリオールは、400から90000、好ましくは500から50000、より好ましくは540から5000の範囲における分子量を有する。
エステル化反応により製造されるカプロラクトンポリオールは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定された1から2の多分散性を有する。
該エステル化反応は、ε−カプロラクトンのホモポリマー化を好ましく含む。
該エステル化反応は、80℃より高い温度、好ましくは130−200℃で好ましく行われる。これら温度範囲は、ε−カプロラクトンの変色を防ぎ及び分解を防ぐ利点を有する。
【0019】
ポリウレタン合成反応
ポリウレタン、例えばポリウレタンエラストマーの製造のための種々の方法は、調製の媒体(例えばバルク、溶液、水)及び反応物質の添加順序(一段階の方法、カプロラクトンポリオール法)に従って分けることができる。1段階又は2段階バルク重合は、ポリウレタンの製造に関する主な工業的方法であり、それは環境に優しい溶媒フリーの合成方法だからである。溶液重合はポリウレタンの実験室的又は試験的な合成に関して広く用いられてきた。異なる合成方法は、比率及び収率の両者への影響を有する。例えば、ポリウレタンのバルク合成のあるタイプにおいて、反応物質の間の非相溶性が重合を不均一系に導き、又は該系を反応の比較的初期の段階で不均一にする。そのため、最終生成物の組成は、一の相から他の相への反応物質の拡散速度だけでなく、異なる官能基の間の反応速度によっても制御される。しかしながら、溶液法において、不均一の問題は、溶媒の選択により緩和することができ、それは非相溶性の反応物質が、同じ溶媒で溶解できるからであり、従ってそれらを単一の相にすることを助ける。
【0020】
好ましくは、ポリウレタンの合成は、20℃より高い温度、好ましくは50℃より高い温度、より好ましくは80℃より高い温度、さらに好ましくは90℃より高い温度、好ましくは250℃以下の温度で行われる。
好ましくは、本発明のポリウレタン合成反応は、塊状重合を利用する。本発明の好ましい塊状重合は、1段階又は2段階の方法を含んでもよい。
1段階の合成において、該反応は、上記のようなカプロラクトンポリオール、ジイソシアネート、及び任意で鎖伸長剤を、反応溶媒と共に混合することにより行う。好ましくは、該溶媒は、20℃より高く、好ましくは50℃より高く、より好ましくは80℃より高く、さらに好ましくは90℃より高く、好ましくは250℃以下で加熱される。
【0021】
好ましくは、本発明のポリウレタン合成反応の方法は、2段階の合成を含む。本方法において、該第1段階は、カプロラクトンポリオールと過剰なジイソシアネートを反応させて、ジイソシアネート末端の中間体であるオリゴマー、好ましくは1000から5000の分子量を有するオリゴマーを形成することである。形成された該オリゴマーは、好ましくは粘性の液体、又は低融点の固形物である。該第2段階は、ジオール又はジアミン鎖伸長剤とのさらなる反応により、このオリゴマーを最終的な高分子量のポリウレタンに転換することである。この段階は、鎖伸長として言及される。これらの両方の段階は、同一又は異なる触媒、好ましくは同一の触媒を用いて達成される。好ましくは、両方の段階は、亜鉛ネオデカノエート/酸化亜鉛の存在下において行われる。
【0022】
該2段階の方法により製造されたポリウレタンは、該1段階の方法により製造された対応するポリウレタンよりも規則的である傾向にある。これは、該2段階の方法が、上記カプロラクトンポリオールをジイソシアネートでキャップし、次いでこれらオリゴマーと鎖伸長剤化合物を結合するためである。従って、該ポリマー鎖は、1段階の方法におけるハードセグメントの無作為な分布において見られるような配列よりも、規則的な“ハード−ソフト−ハード”の配列を有し、従って、該ハードセグメントのサイズ分布は、1段階の方法におけるものよりも、より狭小となる傾向にあるためである。この構造の規則性は、ポリウレタンに対して所望の機械的特性を与えることができ、それは該ハードセグメントが、より容易に凝集又は結晶化して、物理的な架橋点を形成するためである。
【0023】
ポリウレタン合成反応用のイソシアネート試薬は、ポリウレタンを形成するために使用できるいずれのイソシアネートであって良い。好ましいイソシアネートは、1分子中に2以上のイソシアネート(NCO)基を有する脂肪族、脂環式、芳香族ポリイソシアネート及びこれら化合物の組み合わせ、さらにはこれらの誘導体を含む。該イソシアネートは、有機、修飾した有機、有機ポリイソシアネート末端のカプロラクトンポリオール、及びこれらの混合物であって良い。
【0024】
好ましいイソシアネートは、以下から成る群より選択される、置換された及び置換されていないイソシアネート及び異性体の混合物を含む:2,2’−、2,4’−及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(“MDI”);3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート(“TODI”);トルエンジイソシアネート(“TDI”);MDIのポリマー;修飾された液体4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート;ヘキサメチレン−ジイソシアネート(“HDI”);4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(“H12MDI”);イソホロンジイソシアネート(“IPDI”);パラ−フェニレンジイソシアネート(“PPDI”);メタ−フェニレンジイソシアネート(“MPDI”);テトラメチレンジイソシアネート;ドデカンジイソシアネート;オクタメチレンジイソシアネート;デカメチレンジイソシアネート;シクロブタン−1,3−ジイソシアネート;1,2−、1,3−及び1,4−シクロヘキサンジイソシアネート;2,4−及び2,6−メチルシクロヘキサンジイソシアネート;4,4’−及び2,4’−ジシクロヘキシルジイソシアネート;1,3,5−シクロヘキサントリイソシアネート;イソシアナトメチルシクロヘキサンイソシアネート;イソシアナトエチルシクロヘキサンイソシアネート;ビス(イソシアナトメチル)−シクロヘキサンジイソシアネート;4,4’−及び2,4’−ビス(イソシアナトメチル)ジシクロヘキサン;イソホロンジイソシアネート;2,4−及び2,6−ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート;1,2−、1,3−及び1,4−フェニレンジイソシアネート;トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート;2,4’−、4,4’−及び2,2−ビフェニルジイソシアネート;ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(“PMDI”);MDI及びPMDIの混合物;PMDI及びTDIの混合物;芳香族脂肪族イソシアネート、例えば1,2−、1,3−及び1,4−キシリレンジイソシアネート;メタ−テトラメチルキシレンジイソシアネート(“m−TMXDI”);パラ−テトラメチルキシレンジイソシアネート(“p−TMXDI”);並びに上記イソシアネート及びポリイソシアネートから誘導された修飾されたポリイソシアネート、2,2’−、2,4’−及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート並びにこれらの混合物。MDIが特に好ましい。
【0025】
上記のように、該ポリウレタン合成反応は、鎖伸長剤化合物の存在下において好ましく行われる。ポリウレタン鎖伸長剤は、2つの主なクラスに分類できる:芳香族ジオール及びジアミン、並びに対応する脂肪族ジオール及びジアミン。一般に、脂肪族ジオール又はジアミンで伸長されたポリウレタンは、芳香族で開始されるポリウレタンよりもより柔らかい材料を生成する。また、ジアミン鎖伸長剤は、ジオール鎖伸長剤よりもより反応性である。芳香族鎖伸長剤は、脂肪族鎖伸長剤よりもより低い反応性を有し、高い制御を必要とされる反応において有利である。
好ましい鎖伸長剤は、以下から成る群より選択される:アルカンジオール類、ジアルキレングリコール類、ポリアルキレンポリオール類、アルカノールアミン類、N−アルキルジアルカノールアミン類、(シクロ)脂肪族ジアミン類、N,N’−ジアルキル−置換されたジアミン類、芳香族ジアミン類及び架橋剤、例えば3価アルコール又は4価アルコール類、オリゴマーのポリアルキレンポリオール及びこれらの混合物。
【0026】
分枝状又は直鎖状、飽和又は不飽和のC2-12、好ましくはC2-6のアルカンジオール類が好ましい鎖伸長剤化合物である。例えば、好ましい鎖伸長剤化合物は、以下から成る群より選択される:エチレングリコール、プロパン−1,3−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、ブタン−1,2−ジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、オクタン−1,8−ジオール、デカン−1,10−ジオール及びこれらの混合物。代わりに、C4-8ジアルキレングリコール類、例えばジエチレングリコール及びジプロピレングリコール、加えてポリオキシアルキレングリコール類を、鎖伸長剤として使用しても良い。
2-12アルカノールアミン類、例えばエタノールアミン、2−アミノプロパノール及び3−アミノ−2,2−ジメチルプロパノールが、鎖伸長剤として好ましく使用される。
2-12N−アルキルジアルカノールアミン類、例えばN−メチル及びN−エチルジエタノールアミンが、鎖伸長剤として好ましく使用される。
2-15脂肪族及び脂環式ジアミン類、例えば1,2−エチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,4−ブチレンジアミン及び1,6−ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、1,4−シクロヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン及びこれらの混合物が、鎖伸長剤として好ましく使用される。
【0027】
アルキル基により芳香族基の位置で置換されても良いN,N’−ジアルキル−置換されかつ芳香族のジアミン類であって、N−アルキル基において1から20、好ましくは1から4の炭素原子を有するもの、例えばN,N’−ジエチル、N,N’−ジ−sec−ペンチル、N,N’−ジ−sec−ヘキシル、N,N’−ジ−sec−デシル及びN,N’−ジシクロヘキシル(p−又はm−)フェニレンジアミン;N,N’−ジメチル、N,N’−ジエチル、N,N’−ジイソプロピル、N,N’−ジ−sec−ブチル及びN,N’−ジシクロヘキシル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン;N,N’−ジ−sec−ブチルベンジジン、メチレンビス(4−アミノ−3−メチルベンゾエート)、2,4−クロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,4−及び2,6−トルエンジアミン及びこれらの混合物が、鎖伸長剤として好ましく使用される。
ジアルキレングリコール類、特にジエチレングリコールが、ウレタン合成反応に対する特に好ましい鎖伸長剤である。好ましくは、該ジアルキレングリコールが、カプロラクトンポリオールに対して過剰な化学量論的な割合で使用され、カプロラクトンポリオールがヒドロキシル末端であることを確実にする。
ポリウレタン合成は、エステル化反応と同じ触媒を好ましく使用する。亜鉛ネオデカノエート/酸化亜鉛が、好ましいポリウレタン触媒である。
【0028】
ポリウレタン合成反応において、付加的な触媒(a)、(b)又は(c)は、モノマー合計に基づいて、質量により0.05−2000ppm、好ましくは質量により1−1000ppm使用されても良い。触媒が既にカプロラクトンポリオール中に存在し、又はカプロラクトンポリオールと結び付いている場合には、付加的な触媒は必要とされなくても良い。触媒の質量との関係において、該“モノマー合計”は、イソシアネートモノマー及びカプロラクトンのポリオールの両者を含む。
【0029】
硬化剤がポリウレタン反応において使用される場合、それは通常の有機ジアミン又はポリオール物質から適切に選択される。適切な物質は、低融点の固形物又は液体である。特に好ましい硬化剤は、140℃より低い融点を有するジアミン類、ポリオール類又はこれらのブレンドである。これらジアミン類又はポリオール類は、ポリウレタンに対する硬化剤として、工業において通常に使用される。硬化剤の選択は、一般的に反応性のニーズ、特定の用途に対する特性のニーズ、処理条件のニーズ、及び所望のポットライフに基づく。公知の触媒が、該硬化剤と共に使用できる。
好ましい硬化剤は、脂肪族ジオール類、例えば1,4−ブタンジオール(BDO)、ハイドロキノン−ビス−ヒドロキシエチルエーテル(HQEE)、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、脂肪族トリオール類、例えばトリメチロールプロパン及び脂肪族テトロール類、例えば通常の製品QUADROL(登録商標)(BASF社)から選択できる。適切な芳香族ジアミン類は、例えば、4,4’−メチレンジアニリン(MDA)、2,2’,5−トリクロロ−4,4’−メチレンジアミン、ナフタレン−1,5−ジアミン、オルト、メタ及びパラ−フェニレンジアミン、トルエン−2,4−ジアミン、ジクロロベンジジン、及びジフェニルエーテル−4,4’−ジアミン、これらの誘導体及び混合物を含む。
【0030】
最も好ましい物質の代表は、脂肪族ジオール類、例えばHQEE、BDO及びCHDM、及びジアミン類、例えば4,4’−メチレン−ビス(3−クロロアニリン)(MBCA)、4,4’−メチレン−ビス(3−クロロ2,6−ジエチルアニリン)(MCDEA)、ジエチルトルエンジアミン(DETDA)、ターシャリーブチルトルエンジアミン(TBTDA)、ジメチルチオ−トルエンジアミン(ETHACURE(登録商標)300、Albemarle社製)、1,2−ビス(2−アミノフェニルチオ)エタン(CYANACURE(登録商標)American Cyanamid Company製)、メチレンジアニリン(MDA)、及びメチレンジアニリン−塩化ナトリウム複合体(CAYTUR(登録商標)21及びCAYTUR(登録商標)31、Crompton社製)である。
添加剤は、本発明のポリウレタン合成反応において使用される組成物及びそれにより得ることができる生成物に含まれても良い。該添加剤は、顔料、安定剤及び他の添加剤を含んでも良い。
該顔料は特に制限されず、及び公知の有機顔料及び/又は無機顔料を使用できる。適切な有機顔料は、例えば不溶性アゾ顔料、溶解性アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料及びキナクリドン顔料である。無機顔料は、例えばクロメート、フェロシアニド化合物、金属酸化物、硫化セレン化合物、金属塩(例えば、サルフェート、シリケート、カーボネート、ホスフェート)、金属粉末及びカーボンブラックを含む。
【0031】
該安定剤は、特に制限されず、及び公知の抗酸化剤及び/又は紫外線吸収剤を用いても良い。適切な抗酸化剤は、ヒンダードフェノール類、例えば2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール及びブチルヒドロキシルアニソール;ビスフェノール類、例えば2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール);及びリン化合物類、例えばトリフェニルホスファイト及びジフェニルイソデシルホスファイトを含む。好ましい紫外線吸収剤は、ベンゾフェノン類、例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン及び2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン;ベンゾトリアゾール類、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール;サリシレート類、例えばフェニルサリシレート;及びヒンダードアミン類、例えばビス(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケートである。
本発明の方法又は生成物において取り込まれても良い他の添加剤は、ブロッキング防止剤、離型剤、熱抵抗安定化剤及び難燃剤等を含む。
【0032】
本明細書において使用するものとして、用語“アルキル”は、炭素骨格中又は炭素骨格上において任意で1以上のヘテロ原子で置換された、示された数の炭素原子を有する、直鎖状又は分枝状の、飽和した1価の炭化水素基を意味する。好ましい基は、該骨格中においてヘテロ原子で置換されていない。好ましい基は、骨格上においてヘテロ原子で置換されない。該骨格が1以上のヘテロ原子で置換される場合、置換は好ましくは骨格上におけるのものである。該骨格が1以上のヘテロ原子で置換されている場合、ヘテロ原子置換基は、酸素、硫黄及びハロゲンから選択される。該骨格が1以上のヘテロ原子で置換されている場合、好ましくは、1、2、3又は4つのヘテロ原子置換基、好ましくは酸素及び/又はハロゲンが存在する。
【0033】
本明細書において使用するものとして、用語“アルケニル”は、任意で炭素骨格中又は炭素骨格上で1以上のヘテロ原子で置換された、炭素−炭素二重結合という顕著な特徴及び示された数の炭素原子を有する、直鎖状又は分枝状の1価の不飽和炭化水素基を意味する。好ましい基は、骨格中においてヘテロ原子で置換されていない。好ましい基は、骨格上においてヘテロ原子で置換されていない。該骨格が1以上のヘテロ原子で置換される場合、置換基は好ましくは骨格上にある。該骨格が1以上のヘテロ原子で置換される場合、ヘテロ原子置換基は、酸素、硫黄及びハロゲンから選択される。該骨格が1以上のヘテロ原子で置換される場合、好ましくは1、2、3又は4つのヘテロ原子置換基、好ましくは酸素及び/又はハロゲンが存在する。
【0034】
本明細書において使用するものとして、用語“アルキニル”は、任意で炭素骨格中又は炭素骨格上において1以上のヘテロ原子で置換された、炭素−炭素の三重結合という顕著な特徴及び示された数の炭素原子を有する、直鎖状又は分枝状の1価の不飽和炭化水素基を意味する。好ましい基は、骨格中においてヘテロ原子で置換されていない。好ましい基は、該骨格上においてヘテロ原子で置換されていない。該骨格が1以上のヘテロ原子で置換される場合、置換基は、好ましくは骨格上にある。該骨格が1以上のヘテロ原子で置換されている場合、ヘテロ原子置換基は、酸素、硫黄及びハロゲンから選択される。該骨格が1以上のヘテロ原子で置換される場合、好ましくは1、2、3又は4つのヘテロ原子置換基、好ましくは酸素及び/又はハロゲンが存在する。
【0035】
本明細書において使用するものとして、用語“シクロアルキル”は、任意で炭素骨格中又は炭素骨格上において1以上のヘテロ原子で置換された、示された数の炭素原子を有する、1価の単環飽和炭化水素基を意味する。好ましい基は、骨格中においてヘテロ原子で置換されていない。好ましい基は、骨格上においてヘテロ原子で置換されていない。該骨格が1以上のヘテロ原子で置換されている場合、置換基は好ましくは骨格上にある。該骨格が1以上のヘテロ原子で置換されている場合、ヘテロ原子置換基は酸素、硫黄及びハロゲンから選択される。該骨格が1以上のヘテロ原子で置換されている場合、好ましくは1、2、3又は4つのヘテロ原子置換基、好ましくは酸素及び/又はハロゲンが存在する。
【0036】
本明細書において使用するものとして、用語“アリール”は以下を意味する:任意に炭素骨格中又は炭素骨格上において1以上のヘテロ原子で置換された1又は2の環を有する、1価の不飽和芳香族炭素環基、例えばフェニル、ナフチル、インダニル又はビフェニル;任意で炭素骨格中又は炭素骨格上において1以上のヘテロ原子で置換された、1価の不飽和芳香族ヘテロ環基、例えばキノリル、ジヒドロイソキサゾリル、フラニル、イミダゾリル、ピリジル、フタリミド、チエニル、チオフェニル、ピロリル等。典型的なヘテロ環基は、以下を含む:ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、テトラヒドロフラニル、ピラニル、ピロニル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、チオナフチル、ベンゾフラニル、イソベンゾフリル、インドリル、オキシインドリル、イソインドリル、インダゾリル、インドリニル、7−アザインドリル、イソインダゾリル、ベンゾピラニル、クマリニル、イソクマリニル、キノリル、イソキノリル、ナフチリジニル、シンノリニル、キナゾリニル、ピリドピリジル、ベンゾオキサジニル、キノキサジニル、クロメニル、クロマニル、イソクロマニル及びカルボリニル。該アリール基が1より多い環を含む場合、該環は縮合され、又は二環式であっても良い。好ましい基は、骨格中においてヘテロ原子で置換されていない。好ましい基は、骨格上においてヘテロ原子で置換されていない。該骨格が1以上のヘテロ原子で置換されている場合、置換基は好ましくは骨格上にある。該骨格が1以上のヘテロ原子で置換されている場合、ヘテロ原子置換基は、酸素、硫黄及びハロゲンから選択される。該骨格が1以上のヘテロ原子で置換されている場合、好ましくは、1、2、3又は4つのヘテロ原子置換基、好ましくは酸素及び/又はハロゲンが存在する。
【0037】
本明細書で使用するものとして、用語“アルカリール”は、アルキル置換基を有するアリール基を意味する。結合はアリール基を介してである。該基は、示された数の炭素原子を有し、及び炭素骨格中又は炭素骨格上において1以上のヘテロ原子で置換されても良い。好ましい基は、該骨格中においてヘテロ原子で置換されていない。好ましい基は、該骨格上においてヘテロ原子で置換されていない。該骨格が1以上のヘテロ原子で置換される場合、置換基は好ましくは該骨格上にある。該骨格が、1以上のヘテロ原子で置換される場合、ヘテロ原子置換基は、酸素、硫黄及びハロゲンから選択される。該骨格が1以上のヘテロ原子で置換されている場合、好ましくは、1、2、3又は4つのヘテロ原子置換基、好ましくは酸素及び/又はハロゲンが存在する。
【0038】
本明細書で使用するものとして、用語“アラルキル”は、アリール置換基を有するアルキル基を意味する。結合はアルキル基を介してである。該基は、示された数の炭素原子を有し、及び炭素骨格中又は炭素骨格上において1以上のヘテロ原子で置換されても良い。好ましい基は、該骨格中においてヘテロ原子で置換されていない。好ましい基は、該骨格上においてヘテロ原子で置換されていない。該骨格が1以上のヘテロ原子で置換される場合、置換基は好ましくは該骨格上にある。該骨格が1以上のヘテロ原子で置換される場合、ヘテロ原子置換基は、酸素、硫黄及びハロゲンから選択される。該骨格が1以上のヘテロ原子で置換される場合、好ましくは、1、2、3又は4つのヘテロ原子置換基、好ましくは酸素及び/又はハロゲンが存在する。
【0039】
本明細書で使用するものとして、用語“置換された”は、有機化合物の許容される全ての置換基を含むことを意図する。広義の観点において、許容される置換基は、有機化合物の、非環式及び環式、分枝状及び非分枝状、炭素環及びヘテロ環、芳香族及び非芳香族の置換基を含む。該許容される置換基は、適切な有機化合物に対して、1以上であってもよく、及び同一又は異なってもよい。本発明の目的のために、ヘテロ原子、例えば窒素は、ヘテロ原子の結合価を満足する、水素置換基及び/又は本明細書で述べた有機化合物の許容されるいかなる置換基を有しても良い。本発明は、いかなる方法においても、有機化合物の許容される置換基により制限されることを意図しない。
【0040】
本明細書で使用するものとして、用語“ヘテロ原子”は、N、O、S、P、Si及びハロゲン(F、Cl、Br及びIを含む)を含む。
本明細書で使用するものとして、用語“エチルヘキサン酸”は、2−エチルヘキサン酸を意味する。
本明細書において使用するものとして、用語“ビスマスエチルヘキサノエート”は、2−エチルヘキサン酸のビスマス塩を意味する。
本明細書において使用するものとして、用語“ネオデカン酸”は、2,2−ジメチルオクタン酸を意味する。
本明細書において使用するものとして、用語“ビスマスネオデカノエート”は、ネオデカン酸のビスマス塩を意味する。
【0041】
(例)
ポリオールの形成
【表1】

【0042】
方法:
0.02%より少ない合計水含量を有するモノマー及び鎖伸長剤を、スターラー、サーモメーター及び窒素注入口を備えた2Lフランジフラスコに充填した。次いで、これを120℃まで加熱し、次いで触媒を加熱前に反応が完了(取られた試料の一部におけるモノマーのGC解析により証明する)するまで添加した。
ポリウレタン形成
256.4gのCapaポリオールを、1Kgソリッドボトル中に秤量する。次いで、該試料を、オーブン又はイソマントル中で、出発温度よりも約10℃高い温度まで暖め、次いで被覆した缶(lagged can)に移し、次いで時々手動で攪拌しながら95℃まで冷却する。
次いで、94.8gのフレーク状のMDIを、Capaポリオールを含む1Kgソリッドボトルに急速に添加し、次いで該混合物を手動で攪拌する。ポリウレタンが形成されるに従って粘度が増加する。該混合物は、それが固化する(ゲル点)前に、型に流し込まれなければならない。次いで、該試料を硬化させる。
【0043】
残存モノマーのGC解析(較正カーブに基づく)。
【表2】

【0044】
結果:
酸価 0.55mgKOH
OHV(水酸基価) 53.15mgKOH
COHV(訂正したOHV) 53.7mgKOH
Mol.Wt. 2089.385
モノマー含量 0.54%
多分散性 1.233
OHVは、測定されるべきヒドロキシ末端ポリオールの公知の量を含む溶液の標準的な滴定から得られる。COHVは、訂正された又は最終的なOHVである。COHV=OHV+ポリオールの酸価。OHV及びCOHVは、mg水酸化カリウム/gにおいて通常に測定される。ポリオールの分子量は、以下のように計算される:
MW=(56100×1分子に対するOH基の数)/COHV。
その結果、二官能性のポリオールは56.1のCOHV、MW=2000を有する(及び逆に、56.1のCOHVを有する二官能性のポリオールは、2000のMWを有する)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプロラクトンのホモポリマー又はコポリマーが、任意でコモノマーを用いて、重合触媒及び開始剤の存在下において、カプロラクトンを重合することにより製造される、組成物。
【請求項2】
以下を含む組成物:
(i)カプロラクトンの少なくとも1つのホモポリマー又は少なくとも1つのコポリマー;及び
(ii)(a)ビスマスエチルヘキサノエート及びエチルヘキサン酸、(b)ビスマスエチルヘキサノエート及びビスマスネオデカノエート、又は(c)亜鉛ネオデカノエート及び酸化亜鉛を含む触媒。
【請求項3】
該触媒が、(a)75から95質量%のビスマスエチルヘキサノエート及び5から25質量%のエチルヘキサン酸、(b)5から45質量%のビスマスエチルヘキサノエート、40から70質量%のビスマスネオデカノエート、及び最大で16質量%のエチルヘキサン酸及び最大で30質量%のネオデカン酸、又は(c)75から95質量%の亜鉛ネオデカノエート及び5から25質量%の酸化亜鉛を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
該触媒が、(a)約90質量%のビスマスエチルヘキサノエート及び約10質量%のエチルヘキサン酸、(b)5から20質量%のビスマスエチルヘキサノエート、40から55質量%のビスマスネオデカノエート、最大で16質量%のエチルヘキサン酸及び最大で30質量%のネオデカン酸、又は(c)約90質量%の亜鉛ネオデカノエート及び約10質量%の酸化亜鉛を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
400から90000の平均分子量、及びゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定して少なくとも1かつ2より低い多分散性を有するカプロラクトンのホモポリマー又はコポリマーを含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載する組成物の、ポリウレタンの製造のための使用。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかに記載する組成物と、イソシアネート及び/又はポリイソシアネートとを反応させることを含む、ポリウレタンの製造方法。
【請求項8】
以下を含む組成物を重合させることを含むカプロラクトンのホモポリマー又はコポリマーの製造方法:
(i)少なくとも一つのカプロラクトンモノマー及び任意でコモノマー;及び
(ii)(a)ビスマスエチルヘキサノエート及びエチルヘキサン酸、(b)ビスマスエチルヘキサノエート及びビスマスネオデカノエート、又は(c)亜鉛ネオデカノエート及び酸化亜鉛を含む触媒。

【公表番号】特表2008−501057(P2008−501057A)
【公表日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513961(P2007−513961)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【国際出願番号】PCT/EP2005/052489
【国際公開番号】WO2005/118667
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(591001248)ソルヴェイ(ソシエテ アノニム) (252)
【Fターム(参考)】