説明

触媒組成物

RhやPtの粒成長による活性低下を防ぎ、優れた触媒性能を長期にわたって実現することのできる触媒組成物を提供するために、触媒組成物を、一般式(1) A1−xA’1−(y+z)B’ (1)(式中、Aはアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、A’は希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、BはTi、Zr、Hfから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、B’は遷移元素(希土類元素、Ti、Zr、Hf、Rh、Ptを除く)、Alから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、NはRhおよび/またはPtの元素を示し、xは0≦x≦0.4の数値範囲の原子割合を示し、yは0≦y<0.5の数値範囲の原子割合を示し、zは0<z≦0.5の数値範囲の原子割合を示す。但し、NがPtのみを示す場合、xは0を示す。)で表されるペロブスカイト型複合酸化物を含むように調製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、気相や液相の反応触媒として用いられる触媒組成物に関する。
【背景技術】
現在まで、排ガス中に含まれる一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)および窒素酸化物(NOx)を同時に浄化できる三元触媒として、Pt(白金)やRh(ロジウム)などの貴金属が、高い触媒活性を示すことから、広く用いられている。
これら貴金属のうち、Rhは、NOxの還元に優れており、例えば、一般式ABOで表されるペロブスカイト型複合酸化物に、Rhを含浸担持させて、耐熱性の向上を図ることが知られている。
また、Ptは、低温からCOの酸化に優れる一方で、耐熱性が低いため、例えば、一般式ABOで表されるペロブスカイト型複合酸化物に、Ptを含浸担持させて、耐熱性の向上を図ることが知られている。
さらに、RhやPtをペロブスカイト型複合酸化物中に配位させれば、RhやPtを含浸担持させるよりも、より一層の耐熱性の向上および排ガス浄化性能の向上を図れることが知られている。
そのような、RhやPtが配位するペロブスカイト型複合酸化物として、例えば、La0.8Ba0.2Ni0.48Co0.50Rh0.02、La0.2Ba0.70.1Cu0.48Cr0.48Pt0.04、La0.9Ce0.1Co0.9Pt0.05Ru0.05(特開平8−217461号公報)、La0.4Sr0.6Co0.95Rh0.05、La0.4Sr0.6Co0.95Pt0.05(特開平5−76762号公報)などが提案されている。
また、近年、LaFe0.57Co0.38Pd0.05からなる特定組成のペロブスカイト型複合酸化物が、排ガスの酸化還元の変動に対応して、ペロブスカイト型の結晶構造に対してPdを可逆的に出入りさせて、このような自己再生により、粒成長を抑制して、長期にわたって、高い触媒活性を保持することが報告されている(Y.Nishihata et al.,Nature,Vol.418,No.6894,pp.164−167,11 July 2002(西畑他、「ネイチャー」誌、418巻、6894号、164−167頁、2002年7月11日))。
しかし、特開平8−217461号公報や特開平5−76762号公報に記載されるペロブスカイト型複合酸化物では、RhやPtを、上記した「ネイチャー」誌、418巻、6894号、164−167頁に記載されるPdのように、排ガスの酸化還元の変動に対応させて、効率的に、ペロブスカイト型の結晶構造に対して可逆的に出入りさせて、粒成長を防止することは困難である。
【発明の開示】
本発明の目的は、RhやPtの高い触媒活性を有効に利用しながら、長期使用時における、これらの粒成長による活性低下を防ぎ、優れた触媒性能を長期にわたって実現することのできる、触媒組成物を提供することにある。
本発明の触媒組成物は、下記一般式(1)
1−xA’1−(y+z)B’ (1)
(式中、Aはアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、A’は希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、BはTi、Zr、Hfから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、B’は遷移元素(希土類元素、Ti、Zr、Hf、Rh、Ptを除く)、Alから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、NはRh、Ptから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、xは0≦x≦0.4の数値範囲の原子割合を示し、yは0≦y<0.5の数値範囲の原子割合を示し、zは0<z≦0.5の数値範囲の原子割合を示す。但し、NがPtのみを示す場合、xは0を示す。)で表されるペロブスカイト型複合酸化物を含むことを特徴としている。
一般式(1)において、Aは、Ca、Sr、Baから選ばれる少なくとも1種の元素を示すことが好適であり、また、NがPtを示す場合、Aは、Caを示すことが好適である。
一般式(1)において、xが0であることが好適である。
一般式(1)において、Bは、Ti、Zrから選ばれる少なくとも1種の元素を示すことが好適であり、また、NがRhを示す場合、Bは、Tiを示すことが好適である。
一般式(1)において、yが0であることが好適である。
また、本発明の触媒組成物は、一般式(2)
AB1−z (2)
(式中、AはCa、Sr、Baから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、BはTi、Zrから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、NはRh、Ptから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、zは0<z≦0.5の数値範囲の原子割合を示す。)で表されるペロブスカイト型複合酸化物をも含んでいる。
また、本発明の触媒組成物は、一般式(3)
AB1−zRh (3)
(式中、AはCa、Sr、Baから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、BはTiを示し、zは0<z≦0.5の数値範囲の原子割合を示す。)で表されるペロブスカイト型複合酸化物をも含んでいる。
また、本発明の触媒組成物は、一般式(4)
AB1−zPt (4)
(式中、AはCa、Baから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、BはTi、Zrから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、zは0<z≦0.5の数値範囲の原子割合を示す。)で表されるペロブスカイト型複合酸化物をも含んでいる。
また、本発明の触媒組成物は、一般式(5)
A’1−(y+z)B’3+δ (5)
(式中、Aはアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、A’は希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、BはTi、Zr、Hfから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、B’は遷移元素(希土類元素、Ti、Zr、Hf、Rh、Ptを除く)、Alから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、NはRh、Ptから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、xは0≦x≦0.4の数値範囲の原子割合を示し、wはw>1−xの原子割合を示し、yは0≦y<0.5の数値範囲の原子割合を示し、zは0<z≦0.5の数値範囲の原子割合を示し、δは酸素過剰分を示す。但し、NがPtのみを示す場合、xは0を示す。)で表されるペロブスカイト型複合酸化物を含むことを特徴としている。
一般式(5)において、Aは、Ca、Sr、Baから選ばれる少なくとも1種の元素を示すことが好適であり、また、NがPtを示す場合、Aは、Caを示すことが好適である。
一般式(5)において、xが0であることが好適である。
一般式(5)において、Bは、Ti、Zrから選ばれる少なくとも1種の元素を示すことが好適であり、また、NがRhを示す場合、Bは、Tiを示すことが好適である。
一般式(5)において、yが0であることが好適である。
また、本発明の触媒組成物は、一般式(6)
1−z3+δ (6)
(式中、AはCa、Sr、Baから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、BはTi、Zrから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、NはRh、Ptから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、vは1<vの原子割合を示し、zは0<z≦0.5の数値範囲の原子割合を示し、δは酸素過剰分を示す。)で表されるペロブスカイト型複合酸化物をも含んでいる。
また、本発明の触媒組成物は、一般式(7)
1−zRh3+δ (7)
(式中、AはCa、Sr、Baから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、BはTiを示し、vは1<vの原子割合を示し、zは0<z≦0.5の数値範囲の原子割合を示し、δは酸素過剰分を示す。)で表されるペロブスカイト型複合酸化物をも含んでいる。
また、本発明の触媒組成物は、一般式(8)
1−zPt3+δ (8)
(式中、AはCa、Baから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、BはTi、Zrから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、vは1<vの原子割合を示し、zは0<z≦0.5の数値範囲の原子割合を示し、δは酸素過剰分を示す。)で表されるペロブスカイト型複合酸化物をも含んでいる。
また、本発明のペロブスカイト型複合酸化物の製造方法は、一般式(5)
A’1−(y+z)B’3+δ (5)
(式中、Aはアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、A’は希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、BはTi、Zr、Hfから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、B’は遷移元素(希土類元素、Ti、Zr、Hf、Rh、Ptを除く)、Alから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、NはRh、Ptから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、xは0≦x≦0.4の数値範囲の原子割合を示し、wはw>1−xの原子割合を示し、yは0≦y<0.5の数値範囲の原子割合を示し、zは0<z≦0.5の数値範囲の原子割合を示し、δは酸素過剰分を示す。但し、NがPtのみを示す場合、xは0を示す。)で表されるペロブスカイト型複合酸化物の各原子割合に基づいて、原料を処方することを特徴としている。
本発明の触媒組成物によれば、RhやPtが、ペロブスカイト型複合酸化物に対して、効率的に、酸化雰囲気下で固溶し、還元雰囲気下で析出する固溶析出(自己再生)を繰り返すので、これらを分散状態に保つことができる。そのため、長期にわたって、粒成長による活性低下を防いで、高い触媒活性を保持することができる。その結果、気相や液相の反応触媒として広く用いることができる。特に、優れた排ガス浄化性能を長期にわたって実現することができるので、例えば、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンなどの内燃機関や、ボイラなどから排出される排ガスを浄化するための排ガス浄化用触媒として、好適に用いることができる。
さらに、本発明のペロブスカイト型複合酸化物の製造方法では、Aサイトに配位される元素の原子割合が1を超えるように、原料を処方するので、RhやPtを高い固溶率で安定して固溶させることができる。そのため、RhやPtの固溶率の高いものを、安定して製造することができる。また、本発明のペロブスカイト型複合酸化物の製造方法では、たとえ、Aサイトの構成元素を含む原料を、製造途中でロスしても、Aサイトに配位される元素の原子割合が1を超えるように、原料が処方されるので、Aサイトの原子割合がBサイトの原子割合に対して小さくなることを、抑制することができる。そのため、RhやPtの固溶率の高いものを、安定して製造することができる。
そして、本発明のペロブスカイト型複合酸化物において、Aサイトに配位される元素の原子割合が1を超える場合には、RhやPtの固溶率が高く、しかも、安定した品質で提供することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例1の粉末のX線回折データである。
第2図は、実施例3の粉末のX線回折データである。
第3図は、実施例1の粉末(酸化処理後)をTEM観察した画像処理図である。
第4図は、実施例1の粉末(還元処理後)をTEM観察した画像処理図である。
第5図は、実施例1の粉末(再酸化処理後)をTEM観察した画像処理図である。
第6図は、実施例3の粉末(酸化処理後)をTEM観察した画像処理図である。
第7図は、実施例3の粉末(還元処理後)をTEM観察した画像処理図である。
第8図は、実施例3の粉末(再酸化処理後)をTEM観察した画像処理図である。
第9図は、実施例5の粉末(酸化処理後)をTEM観察した画像処理図である。
第10図は、実施例5の粉末(還元処理後)をTEM観察した画像処理図である。
第11図は、実施例5の粉末(再酸化処理後)をTEM観察した画像処理図である。
第12図は、実施例8の粉末(酸化処理後)をTEM観察した画像処理図である。
第13図は、実施例8の粉末(還元処理後)をTEM観察した画像処理図である。
第14図は、実施例8の粉末(再酸化処理後)をTEM観察した画像処理図である。
第15図は、実施例9の粉末(酸化処理後)をTEM観察した画像処理図である。
第16図は、実施例9の粉末(還元処理後)をTEM観察した画像処理図である。
第17図は、実施例9の粉末(再酸化処理後)をTEM観察した画像処理図である。
第18図は、実施例10の粉末(酸化処理後)をTEM観察した画像処理図である。
第19図は、実施例10の粉末(還元処理後)をTEM観察した画像処理図である。
第20図は、実施例10の粉末(再酸化処理後)をTEM観察した画像処理図である。
第21図は、実施例11の粉末(酸化処理後)をTEM観察した画像処理図である。
第22図は、実施例11の粉末(還元処理後)をTEM観察した画像処理図である。
第23図は、実施例11の粉末(再酸化処理後)をTEM観察した画像処理図である。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の触媒組成物は、下記一般式(1)で表されるペロブスカイト型複合酸化物を含んでいる。
1−xA’1−(y+z)B’ (1)
(式中、Aはアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、A’は希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、BはTi、Zr、Hfから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、B’は遷移元素(希土類元素、Ti、Zr、Hf、Rh、Ptを除く)、Alから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、NはRh、Ptから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、xは0≦x≦0.4の数値範囲の原子割合を示し、yは0≦y<0.5の数値範囲の原子割合を示し、zは0<z≦0.5の数値範囲の原子割合を示す。但し、NがPtのみを示す場合、xは0を示す。)
また、本発明の触媒組成物は、下記一般式(5)で表されるペロブスカイト型複合酸化物を含んでいる。
A’1−(y+z)B’3+δ (5)
(式中、Aはアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、A’は希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、BはTi、Zr、Hfから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、B’は遷移元素(希土類元素、Ti、Zr、Hf、Rh、Ptを除く)、Alから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、NはRh、Ptから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、xは0≦x≦0.4の数値範囲の原子割合を示し、wはw>1−xの原子割合を示し、yは0≦y<0.5の数値範囲の原子割合を示し、zは0<z≦0.5の数値範囲の原子割合を示し、δは酸素過剰分を示す。但し、NがPtのみを示す場合、xは0を示す。)
一般式(1)および(5)のペロブスカイト型複合酸化物は、一般式ABOのペロブスカイト型の結晶構造を有する複合酸化物である。すなわち、このペロブスカイト型複合酸化物において、Aサイトでは、Aで示されるアルカリ土類金属が必ず配位され、A’で示される希土類元素が任意的に配位される。但し、Bサイトにおいて、Nで示される貴金属として、Ptのみが配位される場合には、A’で示される希土類元素が配位されず、Aで示されるアルカリ土類金属のみが配位される。
また、Bサイトでは、Nで示されるRhおよびPtの少なくともいずれかの元素が必ず配位され、Bで示されるTi、Zr、Hfのいずれかの元素が必ず配位され、B’で示される遷移元素(希土類元素、Ti、Zr、Hf、Rh、Ptを除く)および/またはAlが任意的に配位される。
一般式(1)および(5)において、Aで示されるアルカリ土類金属としては、例えば、Be(ベリリウム)、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)、Ra(ラジウム)が挙げられる。好ましくは、Ca、Sr、Baが挙げられる。これらのアルカリ土類金属は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
また、一般式(1)および(5)において、Bサイトに、Nで示される貴金属として、Ptが配位されている場合には、Aで示される好ましいアルカリ土類金属として、Caが挙げられる。
また、一般式(1)および(5)において、A’で示される希土類元素は、例えば、Sc(スカンジウム)、Y(イットリウム)、La(ランタン)、Nd(ネオジム)、Pm(プロメチウム)、Gd(ガドリニウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、Lu(ルテチウム)などの3価以外に価数変動しない希土類元素、例えば、Ce(セリウム)、Pr(プラセオジム)、Tb(テルビウム)などの3価または4価に価数変動する希土類元素、例えば、Sm(サマリウム)、Eu(ユーロピウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)などの2価または3価に価数変動する希土類元素などが挙げられる。好ましくは、3価以外に価数変動しない希土類元素、さらに好ましくは、La、Nd、Yが挙げられる。これらの希土類元素は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
一般式(1)および(5)において、Aサイトでは、xが0≦x≦0.4の数値範囲の原子割合、好ましくは、0≦x≦0.05の数値範囲の原子割合を示す。すなわち、A’で示される希土類元素が、含まれていないか、0.4以下の原子割合、好ましくは、0.05以下の原子割合で含まれている。そのため、Aサイトでは、Aで示されるアルカリ土類金属が、0.6以上の原子割合、好ましくは、0.95以上の原子割合で含まれている。
また、一般式(1)および(5)において、Aサイトでは、さらに好ましくは、xが0、すなわち、A’で示される希土類元素が含まれておらず、Aで示されるアルカリ土類金属のみが含まれている。
また、一般式(5)においては、Aサイトでは、wがw>1−x、つまり、w+x>1であり、Aサイトに配位される元素の原子割合の合計(w+x)が1.00を超える。w+xが、1.00を超える場合には、RhやPtを、より高い固溶率で、より安定して固溶させることができる。なお、w+xは、好ましくは、1.00<w+x≦1.50、さらに好ましくは、1.00<w+x≦1.30である。w+xの数値範囲が、1.5を超えると、ペロブスカイト型複合酸化物以外の副生成物を生じる場合がある。
なお、一般式(1)および(5)において、Bサイトに、Nで示される貴金属として、Ptのみが配位される場合(すなわち、Bサイトに、Nで示される貴金属として、Rhのみが配位されているか、RhとPtとが配位されている場合以外)には、A’で示される希土類元素は配位されず、Aで示されるアルカリ土類金属のみが配位される。
一般式(1)および(5)において、Bで示される元素は、Ti(チタン)、Zr(ジルコニウム)、Hf(ハフニウム)のいずれかであり、好ましくは、Ti、Zrが挙げられる。これら、Ti、Zr、Hfは、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
また、一般式(1)および(5)において、Bサイトに、Nで示される貴金属として、Rhが配位されている場合には、Bで示される好ましい元素として、Tiが挙げられる。
また、一般式(1)および(5)において、B’で示される遷移元素は、希土類元素、Ti、Zr、Hf、Rh、Ptを除く遷移元素であって、例えば、周期律表(IUPAC、1990年)において、原子番号23(V)〜原子番号30(Zn)、原子番号41(Nb)〜原子番号48(Cd)、および、原子番号73(Ta)〜原子番号80(Hg)の各元素(但し、Rh、Ptを除く)が挙げられる。
B’で示される遷移元素は、より具体的には、Cr(クロム)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)などが挙げられる。これらの遷移元素は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
そのため、B’で示される遷移元素、Alは、好ましくは、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Alなどが挙げられる。
一般式(1)および(5)において、Bサイトでは、yは0≦y<0.5の数値範囲の原子割合、好ましくは、0≦y<0.3の数値範囲の原子割合を示す。すなわち、Bサイトでは、B’で示される遷移元素および/またはAlが、含まれていないか、0.5未満の原子割合、好ましくは、0.3未満の原子割合で含まれている。
また、Bサイトでは、zは0<z≦0.5の数値範囲の原子割合を示す。すなわち、Bサイトでは、Rhおよび/またはPtが、0.5以下の原子割合で含まれている。
そのため、Bサイトでは、Ti、Zr、Hfのいずれかの元素は、1−(y+z)の数値範囲の原子割合、すなわち、Bサイトにおいて、上記したB’で示される遷移元素および/またはAlと、Rhおよび/またはPtとの合計(y+z)の残余(1−(y+z))の原子割合で含まれている。
また、一般式(1)および(5)において、Bサイトでは、さらに好ましくは、yが0、すなわち、B’で示される遷移元素および/またはAlが含まれておらず、Bで示されるTi、Zr、Hfのいずれかの元素、および、Rhおよび/またはPtのみが含まれている。
また、Aサイトが2価のアルカリ土類金属、Bサイトが4価のTi、Zr、Hfのいずれかの元素、および、Rhおよび/またはPtである場合、2価のアルカリ土類金属と4価のTi、Zr、Hfのいずれかの元素の組み合わせにより、貴金属であるRhおよび/またはPtがより安定して固溶される。
なお、一般式(5)において、δは、酸素過剰分を示し、より具体的には、ペロブスカイト型複合酸化物の理論構成比、A:B:O=1:1:3に対して、Aサイトの構成元素を過剰にしたことにより生じる、酸素原子の過剰原子割合を示している。
上記のことから、一般式(1)で表されるペロブスカイト型複合酸化物として、好ましくは、下記一般式(2)で表されるペロブスカイト型複合酸化物が挙げられる。
AB1−z (2)
(式中、AはCa、Sr、Baから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、BはTi、Zrから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、NはRh、Ptから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、zは0<z≦0.5の数値範囲の原子割合を示す。)
とりわけ、Nで示される貴金属として、Rhのみが配位されている場合には、好ましくは、下記一般式(3)で表されるペロブスカイト型複合酸化物が挙げられる。
AB1−zRh (3)
(式中、AはCa、Sr、Baから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、BはTiを示し、zは0<z≦0.5の数値範囲の原子割合を示す。)
また、Nで示される貴金属として、Ptのみが配位されている場合には、好ましくは、下記一般式(4)で表されるペロブスカイト型複合酸化物が挙げられる。
AB1−zPt (4)
(式中、AはCa、Baから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、BはTi、Zrから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、zは0<z≦0.5の数値範囲の原子割合を示す。)
また、一般式(5)で表されるペロブスカイト型複合酸化物として、好ましくは、下記一般式(6)で表されるペロブスカイト型複合酸化物が挙げられる。
1−z3+σ (6)
(式中、AはCa、Sr、Baから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、BはTi、Zrから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、NはRh、Ptから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、vは1<vの原子割合を示し、zは0<z≦0.5の数値範囲の原子割合を示し、δは酸素過剰分を示す。)
とりわけ、Nで示される貴金属として、Rhのみが配位されている場合には、好ましくは、下記一般式(7)で表されるペロブスカイト型複合酸化物が挙げられる。
1−zRh3+σ (7)
(式中、AはCa、Sr、Baから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、BはTiを示し、vは1<vの原子割合を示し、zは0<z≦0.5の数値範囲の原子割合を示し、δは酸素過剰分を示す。)
また、Nで示される貴金属として、Ptのみが配位されている場合には、好ましくは、下記一般式(8)で表されるペロブスカイト型複合酸化物が挙げられる。
1−zPt3+σ (8)
(式中、AはCa、Baから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、BはTi、Zrから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、vは1<vの原子割合を示し、zは0<z≦0.5の数値範囲の原子割合を示し、δは酸素過剰分を示す。)
なお、上記式(6)、(7)および(8)において、vは、好ましくは、1.00<v≦1.50、さらに好ましくは、1.00<v≦1.30である。
そして、上記したペロブスカイト型複合酸化物は、特に制限されることなく、複合酸化物を調製するための適宜の方法、例えば、共沈法、クエン酸錯体法、アルコキシド法などによって、調製することができる。
共沈法では、例えば、上記した各元素の塩を所定の化学量論比で含む混合塩水溶液を調製し、この混合塩水溶液に中和剤を加えて共沈させた後、得られた共沈物を乾燥後、熱処理する。
各元素の塩としては、例えば、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、りん酸塩などの無機塩、例えば、酢酸塩、しゅう酸塩などの有機酸塩などが挙げられる。また、混合塩水溶液は、例えば、各元素の塩を、所定の化学量論比となるような割合で水に加えて、攪拌混合することにより調製することができる。
その後、この混合塩水溶液に、中和剤を加えて共沈させる。中和剤としては、例えば、アンモニア、例えば、トリエチルアミン、ピリジンなどのアミン類などの有機塩基、例えば、カセイソーダ、カセイカリ、炭酸カリ、炭酸アンモンなどの無機塩基が挙げられる。なお、中和剤は、その中和剤を加えた後の溶液のpHが、6〜10程度となるように加える。
そして、得られた共沈物を、必要により水洗し、例えば、真空乾燥や通風乾燥などにより乾燥させた後、例えば、約500〜1200℃、好ましくは、約600〜1000℃で熱処理することにより、ペロブスカイト型複合酸化物を製造することができる。
また、クエン酸錯体法では、例えば、クエン酸と上記した各元素の塩とを、上記した各元素に対し化学量論比よりやや過剰のクエン酸水溶液を加えてクエン酸混合塩水溶液を調製し、このクエン酸混合塩水溶液を乾固させて、上記した各元素のクエン酸錯体を形成させた後、得られたクエン酸錯体を仮焼成後、熱処理する。
各元素の塩としては、上記と同様の塩が挙げられ、また、クエン酸混合塩水溶液は、例えば、上記と同様に混合塩水溶液を調製して、その混合塩水溶液に、クエン酸の水溶液を加えることにより、調製することができる。
その後、このクエン酸混合塩水溶液を乾固させて、上記した各元素のクエン酸錯体を形成させる。乾固は、形成されるクエン酸錯体が分解しない温度、例えば、室温〜150℃程度で、水分を除去する。これによって、上記した各元素のクエン酸錯体を形成させることができる。
そして、形成されたクエン酸錯体を仮焼成後、熱処理する。仮焼成は、例えば、真空または不活性雰囲気下において250〜350℃で加熱すればよい。その後、例えば、約500〜1200℃、好ましくは、約600〜1000℃で熱処理することにより、ペロブスカイト型複合酸化物を製造することができる。
また、アルコキシド法では、例えば、Rh、Pt、さらには、その他の貴金属(Ru(ルテニウム)、Pd(パラジウム)、Ag(銀)、Os(オスミウム)、Ir(イリジウム)以下同様。)を除く上記した各元素のアルコキシドを、上記した化学量論比で含む混合アルコキシド溶液を調製し、この混合アルコキシド溶液に、Rh、Ptその他の貴金属の塩を含む水溶液を加えて加水分解により沈殿させた後、得られた沈殿物を乾燥後、熱処理する。
各元素のアルコキシドとしては、例えば、各元素と、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシなどのアルコキシとから形成されるアルコラートや、下記一般式(9)で示される各元素のアルコキシアルコラートなどが挙げられる。
E[OCH(R)−(CH−OR (9)
(式中、Eは、各元素を示し、Rは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基を示し、iは、1〜3の整数、jは、2〜4の整数を示す。)
アルコキシアルコラートは、より具体的には、例えば、メトキシエチレート、メトキシプロピレート、メトキシブチレート、エトキシエチレート、エトキシプロピレート、プロポキシエチレート、ブトキシエチレートなどが挙げられる。
そして、混合アルコキシド溶液は、例えば、各元素のアルコキシドを、上記した化学量論比となるように有機溶媒に加えて、攪拌混合することにより調製することができる。有機溶媒としては、各元素のアルコキシドを溶解できれば、特に制限されないが、例えば、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類などが挙げられる。好ましくは、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類が挙げられる。
その後、この混合アルコキシド溶液を加水分解し、沈殿を生成させる。そして、混合アルコキシド溶液から有機溶媒を留去して、スラリー水溶液を調製し、このスラリー水溶液に、所定の化学量論比で、Rh、Ptその他の貴金属の塩を含む水溶液を加える。
Rh、Ptその他の貴金属の塩を含む水溶液としては、例えば、硝酸塩水溶液、塩化物水溶液、ヘキサアンミン塩化物水溶液、ジニトロジアンミン硝酸水溶液、ヘキサクロロ酸水和物、シアン化カリウム塩などが挙げられる。
そして、得られた水溶液を、例えば、真空乾燥や通風乾燥などにより水を留去し、乾燥させて前駆体を得た後、例えば、約500〜1200℃、好ましくは、約600〜1000℃で熱処理(焼成)することにより、ペロブスカイト型複合酸化物を製造することができる。
また、このようなアルコキシド法においては、例えば、上記した混合アルコキシド溶液に、Rh、Ptその他の貴金属の有機金属塩を含む溶液を混合して、均一混合溶液を調製し、これに水を加えて沈殿させた後、得られた沈殿物を乾燥後、熱処理することにより、調製することもできる。
Rh、Ptその他の貴金属の有機金属塩としては、例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩などから形成される上記貴金属のカルボン酸塩、例えば、下記一般式(10)で示されるβ−ジケトン化合物またはβ−ケトエステル化合物、および/または、下記一般式(11)で示されるβ−ジカルボン酸エステル化合物から形成される上記貴金属の金属キレート錯体が挙げられる。
COCHRCOR (10)
(式中、Rは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基またはアリール基、Rは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、アリール基または炭素数1〜4のアルキルオキシ基、Rは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
CH(COOR (11)
(式中、Rは、炭素数1〜6のアルキル基、Rは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
上記一般式(10)および上記一般式(11)中、R、RおよびRの炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、t−アミル、t−ヘキシルなどが挙げられる。また、RおよびRの炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチルなどが挙げられる。また、RおよびRの炭素数1〜6のフルオロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチルなどが挙げられる。また、RおよびRのアリール基としては、例えば、フェニルが挙げられる。また、Rの炭素数1〜4のアルキルオキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシなどが挙げられる。
β−ジケトン化合物は、より具体的には、例えば、2,4−ペンタンジオン、2,4−ヘキサンジオン、2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオン、1−フェニル−1,3−ブタンジオン、1−トリフルオロメチル−1,3−ブタンジオン、ヘキサフルオロアセチルアセトン、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン、ジピバロイルメタンなどが挙げられる。
また、β−ケトエステル化合物は、より具体的には、例えば、メチルアセトアセテート、エチルアセトアセテート、t−ブチルアセトアセテートなどが挙げられる。
また、β−ジカルボン酸エステル化合物は、より具体的には、例えば、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチルなどが挙げられる。
また、Rh、Pt、その他の貴金属の有機金属塩を含む溶液は、例えば、Rh、Pt、その他の貴金属の有機金属塩を、上記した化学量論比となるように有機溶媒に加えて、撹拌混合することにより調製することができる。有機溶媒としては、上記した有機溶媒が挙げられる。
その後、このようにして調製されたRh、Pt、その他の貴金属の有機金属塩を含む溶液を、上記した混合アルコキシド溶液に混合して、均一混合溶液を調製した後、これに水を加えて沈殿させる。そして、得られた沈殿物を、例えば、真空乾燥や通風乾燥などにより乾燥させた後、例えば、約400〜1000℃、好ましくは、約500〜850℃で熱処理することにより、ペロブスカイト型複合酸化物を製造することができる。
また、本発明のペロブスカイト型複合酸化物は、上記した、共沈法、クエン酸錯体法、アルコキシド法によって、Rh、Pt、その他の貴金属以外の元素から、上記の化学量論比で、まず、ペロブスカイト型複合酸化物を調製し、次いで、得られたペロブスカイト型複合酸化物に、上記の化学量論比で、Rh、Pt、その他の貴金属を固溶させることにより得ることもできる。
ペロブスカイト型複合酸化物に、Rh、Pt、その他の貴金属を固溶させるには、特に制限されず、公知の方法を用いることができる。例えば、Rh、Pt、その他の貴金属を含む塩の溶液を調製し、この含塩溶液をペロブスカイト型複合酸化物に含浸させた後、焼成する。
含塩溶液としては、上記した例示の塩の溶液を用いてもよく、また実用的には、硝酸塩水溶液、ジニトロジアンミン硝酸溶液、塩化物水溶液などが挙げられる。
より具体的には、例えば、ロジウム塩溶液として、例えば、硝酸ロジウム水溶液、塩化ロジウム溶液などが、白金塩水溶液として、例えば、ジニトロジアンミン白金硝酸溶液、塩化白金酸溶液、4価白金アンミン溶液などが挙げられる。また、ペロブスカイト型複合酸化物に貴金属を含浸させた後は、例えば、50〜200℃で1〜48時間乾燥し、さらに、350〜1000℃で1〜12時間焼成する。
また、本発明の触媒組成物には、このようにして得られるペロブスカイト型複合酸化物に、さらに、貴金属を担持させてもよい。貴金属を担持させることで、触媒活性のさらなる向上を図ることができる。
貴金属としては、上記したRhやPtの他、例えば、Ru、Pd、Ag、Os、Irなどが挙げられる。好ましくは、Rh、Pd、Ptが挙げられる。これらの貴金属は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
そして、ペロブスカイト型複合酸化物に貴金属を担持させるには、特に制限されず、公知の方法を用いることができる。例えば、貴金属を含む塩の溶液を調製し、この貴金属塩溶液を、上記により得られたペロブスカイト型複合酸化物に含浸させた後、焼成すればよい。ペロブスカイト型複合酸化物に対する貴金属の担持量は、例えば、ペロブスカイト型複合酸化物100重量部に対して、20重量部以下、好ましくは、0.2〜10重量部である。
貴金属塩溶液は、上記した例示の塩の溶液を用いてもよく、また実用的には、硝酸塩水溶液、ジニトロジアンミン硝酸溶液、塩化物水溶液などが用いられる。より具体的には、ロジウム塩溶液として、例えば、硝酸ロジウ厶溶液、塩化ロジウム溶液など、パラジウム塩溶液として、例えば、硝酸パラジウ厶溶液、塩化パラジウム溶液など、白金塩溶液として、例えば、ジニトロジアンミン白金硝酸溶液、塩化白金酸溶液、4価白金アンミン溶液などが挙げられる。
そして、ペロブスカイト型複合酸化物に貴金属塩溶液を含浸させた後、例えば、50〜200℃で1〜48時間乾燥し、さらに、500〜1200℃で1〜12時間焼成する。
このようにして得られるペロブスカイト型複合酸化物は、そのまま、触媒組成物として用いることもできるが、通常、触媒担体上に担持させるなど、公知の方法により、触媒組成物として調製される。
触媒担体としては、特に限定されず、例えば、コージェライトなどからなるハニカム状のモノリス担体など、公知の触媒担体が用いられる。
触媒担体上に担持させるには、例えば、まず、得られたペロブスカイト型複合酸化物に、水を加えてスラリーとした後、これを触媒担体上にコーティングし、乾燥させ、その後、約300〜800℃、好ましくは、約300〜600℃で熱処理する。
そして、このようにして得られる本発明の触媒組成物では、ペロブスカイト型複合酸化物の結晶構造中において、Rhおよび/またはPtが配位し、その配位したRhおよび/またはPtが、還元雰囲気下において、結晶構造から析出し、酸化雰囲気下において、結晶構造中に固溶する。
これによって、本発明の触媒組成物は、このような酸化雰囲気下での固溶および還元雰囲気下での析出を繰り返す自己再生機能によって、長期使用においても、Rhおよび/またはPtの粒成長が効果的に抑制され、これらの分散状態が保持される。その結果、Rhおよび/またはPtの使用量を大幅に低減しても、高い触媒活性を長期にわたって実現することができる。
そのため、本発明のペロブスカイト型複合酸化物の製造方法によれば、RhやPtを高い固溶率で安定して固溶させることができながら、そのようにRhやPtの固溶率の高いものを、安定して製造することができる。
また、たとえ、Aサイトの構成元素を含む原料を製造途中でロスしても、Aサイトに配位される元素の原子割合が1を超えるように、原料が処方されるので、Aサイトの原子割合がBサイトの原子割合に対して小さくなることを、抑制することができる。そのため、RhやPtの固溶率の高いものを安定して製造することができる。
そして、Aサイトに配位される元素の原子割合が1を超える場合には、ペロブスカイト型複合酸化物を、RhやPtの固溶率が高く、しかも、安定した品質で提供することができる。
そのため、本発明の触媒組成物は、気相や液相の反応触媒として広く用いることができる。特に、優れた排ガス浄化性能を長期にわたって実現することができるので、例えば、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンなどの内燃機関や、ボイラなどから排出される排ガスを浄化するための排ガス浄化用触媒として、好適に用いることができる。
【実施例】
以下に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例1]
(CaTi0.95Rh0.05の製造)
カルシウムイソプロポキシド 15.8g(0.100モル)
チタンイソプロポキシド 27.0g(0.095モル)
上記の成分を、500mL容量の丸底フラスコに加え、トルエン200mLを加えて攪拌溶解させることにより、混合アルコキシド溶液を調製した。この混合アルコキシド溶液に、脱イオン水を200mL滴下して加水分解した。そうすると、加水分解により白色の粘稠沈殿が生成した。この混合アルコキシド溶液からトルエンを留去し、スラリー水溶液とした後、このスラリー水溶液に硝酸ロジウム水溶液10.29g(Rh含量:5.00重量%0.005モル)を加え、室温下において1時間攪拌した。
次いで、水を減圧下において留去乾固して前駆体を得た。これを、大気中、電気炉にて、950℃、2時間熱処理(焼成)を行ない、CaTi0.95Rh0.05からなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物(Rh含有量:3.71重量%)の褐色粉末13.5gを得た。
なお、この粉末は、X線回折の結果、CaTi0.95Rh0.05からなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物の単一結晶相を有していることが確認された。このX線回折のデータを図1に示す。
[実施例2]
(CaTi0.98Rh0.02の製造)
カルシウムイソプロポキシド 15.8g(0.100モル)
チタンイソプロポキシド 27.9g(0.098モル)
上記の成分を、500mL容量の丸底フラスコに加え、実施例1と同様に処理した後、硝酸ロジウム水溶液4.12g(Rh含量:5.00重量%0.002モル)を加え、室温下において1時間攪拌した。
次いで、水を減圧下において留去乾固して前駆体を得た。これを、大気中、電気炉にて、800℃、1時間熱処理(焼成)を行ない、CaTi0.98Rh0.02からなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物(Rh含有量:1.50重量%)の褐色粉末13.2gを得た。
なお、この粉末は、X線回折の結果、CaTi0.98Rh0.02からなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物の単一結晶相を有していることが確認された。
[実施例3]
(CaTi0.98Pt0.02の製造)
カルシウムイソプロポキシド 15.8g(0.100モル)
チタンイソプロポキシド 27.9g(0.098モル)
上記の成分を、500mL容量の丸底フラスコに加え、実施例1と同様に処理した後、ジニトロジアンミン白金硝酸水溶液8.48g(Pt含量:4.60重量% 0.002モル)を加え、室温下において1時間攪拌した。
次いで、水を減圧下において留去乾固して前駆体を得た。これを、大気中、電気炉にて、700℃、1時間熱処理(焼成)を行ない、CaTi0.98Pt0.02からなるPt含有ペロブスカイト型複合酸化物(Pt含有量:2.81重量%)の褐色粉末13.6gを得た。
なお、この粉末は、X線回折の結果、CaTi0.98Pt0.02からなるPt含有ペロブスカイト型複合酸化物の単一結晶相を有してぃることが確認された。このX線回折のデータを図2に示す。
[実施例4]
(CaTi0.98Rh0.01Pt0.01の製造)
カルシウムイソプロポキシド 15.8g(0.100モル)
チタンイソプロポキシド 27.9g(0.098モル)
上記の成分を、500mL容量の丸底フラスコに加え、実施例1と同様に処理した後、硝酸ロジウム水溶液2.06g(Rh含量:5.00重量%0.001モル)およびジニトロジアンミン白金硝酸水溶液4.24g(Pt含量:4.60重量% 0.001モル)を加え、室温下において1時間攪拌した。
次いで、水を減圧下において留去乾固して前駆体を得た。これを、大気中、電気炉にて、800℃、2時間熱処理(焼成)を行ない、CaTi0.98Rh0.01Pt0.01からなるRh−Pt含有ペロブスカイト型複合酸化物(Rh含有量:0.75重量%、Pt含有量:1.41重量%)の褐色粉末13.5gを得た。
なお、この粉末は、X線回折の結果、CaTi0.98Rh0.01Pt0.01からなるRh−Pt含有ペロブスカイト型複合酸化物の単一結晶相を有していることが確認された。
[実施例5]
(CaZr0.95Rh0.05の製造)
カルシウ厶イソプロポキシド 15.8g(0.100モル)
ジルコニウムイソプロポキシド 31.1g(0.095モル)
上記の成分を、500mL容量の丸底フラスコに加え、実施例1と同様に処理した後、硝酸ロジウム水溶液10.29g(Rh含量:5.00重量% 0.005モル)を加え、室温下において1時間攪拌した。
次いで、水を減圧下において留去乾固して前駆体を得た。これを、大気中、電気炉にて、1000℃、2時間熱処理(焼成)を行ない、CaZr0.95Rh0.05からなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物(Rh含有量:2.86重量%)の褐色粉末17.6gを得た。
なお、この粉末は、X線回折の結果、CaZr0.95Rh0.05からなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物の単一結晶相を有していることが確認された。
[実施例6]
(CaTi0.72Zr0.24Rh0.04の製造)
カルシウムイソプロポキシド 15.8g(0.100モル)
チタンイソプロポキシド 20.5g(0.072モル)
ジルコニウムイソプロポキシド 7.9g(0.024モル)
上記の成分を、500mL容量の丸底フラスコに加え、実施例1と同様に処理した後、硝酸ロジウム水溶液8.23g(Rh含量:5.00重量%0.004モル)を加え、室温下において1時間攪拌した。
次いで、水を減圧下において留去乾固して前駆体を得た。これを、大気中、電気炉にて、900℃、2時間熱処理(焼成)を行ない、CaTi0.72Zr0.24Rh0.04からなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物(Rh含有量:2.77重量%)の褐色粉末14.5gを得た。
なお、この粉末は、X線回折の結果、CaTi0.72Zr0.24Rh0.04からなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物の単一結晶相を有していることが確認された。
[実施例7]
(SrTi0.95Rh0.05の製造)
ストロンチウムイソプロポキシド 20.6g(0.100モル)
チタンイソプロポキシド 27.0g(0.095モル)
上記の成分を、500mL容量の丸底フラスコに加え、実施例1と同様に処理した後、硝酸ロジウム水溶液10.29g(Rh含量:5.00重量% 0.005モル)を加え、室温下において1時間攪拌した。
次いで、水を減圧下において留去乾固して前駆体を得た。これを、大気中、電気炉にて、800℃、1時間熱処理(焼成)を行ない、SrTi0.95Rh0.05からなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物(Rh含有量:2.76重量%)の褐色粉末18.0gを得た。
なお、この粉末は、X線回折の結果、SrTi0.95Rh0.05からなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物の単一結晶相を有していることが確認された。
[実施例8]
(BaTi0.95Pt0.05の製造)
バリウムイソプロポキシド 25.6g(0.100モル)
チタンイソプロポキシド 27.0g(0.095モル)
上記の成分を、500mL容量の丸底フラスコに加え、実施例1と同様に処理した後、ジニトロジアンミン白金硝酸水溶液21.21g(Pt含量:4.60重量% 0.005モル)を加え、室温下において1時間攪拌した。
次いで、水を減圧下において留去乾固して前駆体を得た。これを、大気中、電気炉にて、800℃、2時間熱処理(焼成)を行ない、BaTi0.95Pt0.05からなるPt含有ペロブスカイト型複合酸化物(Pt含有量:4.05重量%)、の褐色粉末18.6gを得た。
なお、この粉末は、X線回折の結果、BaTi0.95Pt0.05からなるPt含有ペロブスカイト型複合酸化物の単一結晶相を有していることが確認された。
[実施例9]
(BaTi0.95Rh0.05の製造)
バリウムイソプロポキシド 25.6g(0.100モル)
チタンイソプロポキシド 27.0g(0.095モル)
上記の成分を、500mL容量の丸底フラスコに加え、実施例1と同様に処理した後、硝酸ロジウム水溶液10.29g(Rh含量:5.00重量% 0.005モル)を加え、室温下において1時間攪拌した。
次いで、水を減圧下において留去乾固して前駆体を得た。これを、大気中、電気炉にて、1000℃、2時間熱処理(焼成)を行ない、BaTi0.95Rh0.05からなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物(Rh含有量:2.18重量%)の褐色粉末23.0gを得た。
なお、この粉末は、X線回折の結果、BaTi0.95Rh0.05からなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物の単一結晶相を有していることが確認された。
[実施例10]
(BaZr0.95Rh0.05の製造)
バリウムイソプロポキシド 25.6g(0.100モル)
ジルコニウムイソプロポキシド 31.1g(0.095モル)
上記の成分を、500mL容量の丸底フラスコに加え、実施例1と同様に処理した後、硝酸ロジウム水溶液10.29g(Rh含量:5.00重量% 0.005モル)を加え、室温下において1時間攪拌した。
次いで、水を減圧下において留去乾固して前駆体を得た。これを、大気中、電気炉にて、1000℃、2時間熱処理(焼成)を行ない、BaZr0.95Rh0.05からなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物(Rh含有量:1.86重量%)の褐色粉末27.3gを得た。
なお、この粉末は、X線回折の結果、BaZr0.95Rh0.05からなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物の単一結晶相を有していることが確認された。
[実施例11]
(CaZr0.95Pt0.05の製造)
カルシウムイソプロポキシド 15.8g(0.100モル)
ジルコニウムイソプロポキシド 31.1g(0.095モル)
上記の成分を、500mL容量の丸底フラスコに加え、実施例1と同様に処理した後、ジニトロジアンミン白金硝酸水溶液21.21g(Pt含量:4.60重量% 0.005モル)を加え、室温下において1時間攪拌した。
次いで、水を減圧下において留去乾固して前駆体を得た。これを、大気中、電気炉にて、1000℃、2時間熱処理(焼成)を行ない、CaZr0.95Pt0.05からなるPt含有ペロブスカイト型複合酸化物(Pt含有量:5.29重量%)の褐色粉末27.6gを得た。
なお、この粉末は、X線回折の結果、CaZr0.95Pt0.05からなるPt含有ペロブスカイト型複合酸化物の単一結晶相を有していることが確認された。
[実施例12]
(Ca0.95Mg0.05Ti0.98Rh0.02の製造)
カルシウムメトキシプロピレート 20.7g(0.095モル)
マグネシウムメトキシプロピレート 1.0g(0.005モル)
チタンメトキシプロピレート 39.6g(0.098モル)
上記の成分を、500mL容量の丸底フラスコに加え、実施例1と同様に処理した後、硝酸ロジウム水溶液4.12g(Rh含量:5.00重量% 0.002モル)を、加え、室温下において1時間攪拌した。
次いで、水を減圧下において留去乾固して前駆体を得た。これを、大気中、電気炉にて、800℃、2時間熱処理(焼成)を行ない、Ca0.95Mg0.05Ti0.98Rh0.02からなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物(Rh含有量:1.51重量%)の褐色粉末13.3gを得た。
なお、この粉末は、X線回折の結果、Ca0.95Mg0.05Ti0.98Rh0.02からなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物の単一結晶相を有していることが確認された。
[実施例13]
(SrTi0.67Al0.28Rh0.05の製造)
ストロンチウムイソプロポキシド 20.6g(0.100モル)
チタンイソプロポキシド 19.0g(0.067モル)
アルミニウムイソプロポキシド 5.7g(0.028モル)
上記の成分を、500mL容量の丸底フラスコに加え、実施例1と同様に処理した後、硝酸ロジウム水溶液10.29g(Rh含量:5.00重量% 0.005モル)を加え、室温下において1時間攪拌した。
次いで、水を減圧下において留去乾固して前駆体を得た。これを、大気中、電気炉にて、800℃、2時間熱処理(焼成)を行ない、SrTi0.67Al0.28Rh0.05からなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物(Rh含有量:2.85重量%)の褐色粉末17.5gを得た。
なお、この粉末は、X線回折の結果、SrTi0.67Al0.28Rh0.05からなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物の単一結晶相を有していることが確認された。
[実施例14]
(Sr0.95La0.05Zr0.57Ti0.38Rh0.05の製造)
ストロンチウムイソプロポキシド 19.6g(0.095モル)
ランタンイソプロポキシド 1.6g(0.005モル)
ジルコニウムイソプロポキシド 18.7g(0.057モル)
チタンイソプロポキシド 10.8g(0.038モル)
上記の成分を、500mL容量の丸底フラスコに加え、実施例1と同様に処理した後、硝酸ロジウム水溶液10.29g(Rh含量:5.00重量% 0.005モル)を加え、室温下において1時間攪拌した。
次いで、水を減圧下において留去乾固して前駆体を得た。これを、大気中、電気炉にて、800℃、2時間熱処理(焼成)を行ない、Sr0.95La0.05Zr0.57Ti0.38Rh0.05からなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物(Rh含有量:2.41重量%)の褐色粉末20.9.gを得た。
なお、この粉末は、X線回折の結果、Sr0.95La0.05Zr0.57Ti0.38Rh0.05からなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物の単一結晶相を有していることが確認された。
[実施例15]
(SrZr0.76Fe0.20Rh0.03Ru0.01の製造)
ストロンチウムメトキシプロピレート 26.6g(0.100モル)
ジルコニウムメトキシプロピレート 34.0g(0.076モル)
鉄メトキシプロピレート 6.5g(0.020モル)
上記の成分を、500mL容量の丸底フラスコに加え、実施例1と同様に処理した後、硝酸ロジウム水溶液6.17g(Rh含量:5.00重量% 0.003モル)および硝酸ルテニウム水溶液2.11g(Ru含量:4.80重量% 0.001モル)を加え、室温下において1時間攪拌した。
次いで、水を減圧下において留去乾固して前駆体を得た。これを、大気中、電気炉にて、800℃、2時間熱処理(焼成)を行ない、SrZr0.76Fe0.20Rh0.03Ru0.01からなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物(Rh含有量:1.40重量%、Ru含有量:0.46重量%)の褐色粉末21.1gを得た。
なお、この粉末は、X線回折の結果、SrZr0.76Fe0.20Rh0.03Ru0.01からなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物の単一結晶相を有していることが確認された。
[実施例16]
(BaZr0.76Fe0.19Rh0.05の製造)
バリウムメトキシプロピレート 31.6g(0.100モル)
ジルコニウムメトキシプロピレート 34.0g(0.076モル)
鉄メトキシプロピレート 6.1g(0.019モル)
上記の成分を、500mL容量の丸底フラスコに加え、実施例1と同様に処理した後、硝酸ロジウム水溶液10.29g(Rh含量:5.00重量% 0.005モル)を加え、室温下において1時間攪拌した。
次いで、水を減圧下において留去乾固して前駆体を得た。これを、大気中、電気炉にて、1000℃、2時間熱処理(焼成)を行ない、BaZr0.76Fe0.19Rh0.05からなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物(Rh含有量:1.90重量%)の褐色粉末26.0gを得た。
なお、この粉末は、X線回折の結果、BaZr0.76Fe0.19Rh0.05からなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物の単一結晶相を有していることが確認された。
[実施例17]
(CaTi0.99Rh0.01の製造)
硝酸カルシウム四水和物 23.6g(0.100モル)
塩化チタン水溶液(Ti分10.1質量%) 47.0g(0.099モル)
上記の成分を、500mL容量の丸底フラスコに加え、脱イオン水200mLに攪拌溶解して混合塩水溶液を調製した。次いで、別途調製した10重量%カセイソーダ溶液200.0g(NaOHとして0.50モルに相当)を、室温下、混合塩水溶液に滴下して共沈物を得た。この共沈物を2時間攪拌混合後、濾過して、脱イオン水で十分に水洗した。
そして、得られた、共沈物を500mL容量の丸底フラスコに加え、硝酸ロジウム水溶液2.06g(Rh含量:5.00重量% 0.001モル)および脱イオン水100mLを加えて、室温下において攪拌した。
次いで、水を減圧下において留去乾固して前駆体を得た。これを、大気中、電気炉にて、800℃、2時間熱処理(焼成)を行ない、CaTi0.99Rh0.01からなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物(Rh含有量:0.75重量%)の褐色粉末13.4gを得た。
なお、この粉末は、X線回折の結果、CaTi0.99Rh0.01からなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物の単一結晶相を有していることが確認された。
[実施例18]
(BaZr0.90Rh0.10の製造)
硝酸バリウム 26.1g(0.100モル)
硝酸オキシジルコニウム二水和物 24.1g(0.090モル)
上記の成分を、500mL容量の丸底フラスコに加え、脱イオン水200mLに攪拌溶解して混合塩水溶液を調製した。次いで、別途調製した10重量%カセイソーダ溶液192.0g(NaOHとして0.48モルに相当)を、室温下、混合塩水溶液に滴下して共沈物を得た。この共沈物を2時間攪拌混合後、濾過して、脱イオン水で十分に水洗した。
そして、得られた共沈物を500mL容量の丸底フラスコに加え、硝酸ロジウム水溶液20.58g(Rh含量:5.00重量% 0.010モル)および脱イオン水100mLを加えて、室温下において攪拌した。
次いで、水を減圧下において留去乾固して前駆体を得た。これを、大気中、電気炉にて、800℃、2時間熱処理(焼成)を行ない、BaZr0.90Rh0.10からなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物(Rh含有量:3.71重量%)の褐色粉末27.1gを得た。
なお、この粉末は、X線回折の結果、BaZr0.90Rh0.10からなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物の単一結晶相を有していることが確認された。
[実施例19]
(Ca1.02Ti0.95Rh0.053+δの製造)
カルシウムイソプロポキシド 37.1g(0.102モル)
チタンイソプロポキシド 27.0g(0.095モル)
上記の成分を、500mL容量の丸底フラスコに加え、実施例1と同様に処理した後、硝酸ロジウム水溶液10.29g(Rh含量:5.00重量% 0.005モル)を加え、室温下において1時間攪拌した。
次いで、水を減圧下において留去乾固して前駆体を得た。これを、大気中、電気炉にて、800℃、2時間熱処理(焼成)を行ない、Ca1.02Ti0.95Rh0.053+δからなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物(Rh含有量:3.69重量%)の褐色粉末13.4gを得た。
なお、この粉末は、X線回折の結果、Ca1.02Ti0.95Rh0.053+δからなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物の単一結晶相を有していることが確認された。
[実施例20]
(Ca1.05Ti0.98Pt0.023+δの製造)
カルシウ厶イソプロポキシド 38.2g(0.105モル)
チタンイソプロポキシド 27.9g(0.098モル)
上記の成分を、500mL容量の丸底フラスコに加え、実施例1と同様に処理した後、ジニトロジアンミン白金硝酸水溶液8.48g(Pt含量:4.60重量% 0.002モル)を加え、室温下において1時間攪拌した。
次いで、水を減圧下において留去乾固して前駆体を得た。これを、大気中、電気炉にて、700℃、1時間熱処理(焼成)を行ない、Ca1.05Ti0.98Pt0.023+δからなるPt含有ペロブスカイト型複合酸化物(Pt含有量:2.77重量%)の褐色粉末13.8gを得た。
なお、この粉末は、X線回折の結果、Ca1.05Ti0.98Pt0.023+δからなるPt含有ペロブスカイト型複合酸化物の単一結晶相を有していることが確認された。
[実施例21]
(Sr1.1Ti0.99Pt0.013+δの製造)
ストロンチウムイソプロポキシド 22.6g(0.110モル)
チタンイソプロポキシド 28.1g(0.099モル)
上記の成分を、500mL容量の丸底フラスコに加え、実施例1と同様に処理した後、ジニトロジアンミン白金硝酸水溶液4.24g(Pt含量:4.60重量% 0.001モル)を加え、室温下において1時間攪拌した。
次いで、水を減圧下において留去乾固して前駆体を得た。これを、大気中、電気炉にて、800℃、1時間熱処理(焼成)を行ない、Sr1.1Ti0.99Pt0.013+δからなるPt含有ペロブスカイト型複合酸化物(Pt含有量:1.01重量%)の褐色粉末18.1gを得た。
なお、この粉末は、X線回折の結果、Sr1.1Ti0.99Pt0.013+δからなるPt含有ペロブスカイト型複合酸化物の単一結晶相を有していることが確認された。
[実施例22]
(Ba1.02Ti0.99Rh0.013+δの製造)
バリウムイソプロポキシド 26.1g(0.102モル)
チタンイソプロポキシド 28.1g(0.099モル)
上記の成分を、500mL容量の丸底フラスコに加え、実施例1と同様に処理した後、硝酸ロジウム水溶液2.06g(Rh含量:5.00重量% 0.001モル)を加え、室温下において1時間攪拌した。
次いで、水を減圧下において留去乾固して前駆体を得た。これを、大気中、電気炉にて、1000℃、2時間熱処理(焼成)を行ない、Ba1.02Ti0.99Rh0.013+δからなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物(Rh含有量:0.44重量%)の褐色粉末22.7gを得た。
なお、この粉末は、X線回折の結果、Ba1.02Ti0.99Rh0.013+δからなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物の単一結晶相を有していることが確認された。
[実施例23]
(Ba1.25Ti0.95Pt0.053+δの製造)
硝酸バリウム 32.7g(0.125モル)
塩化チタン水溶液(Ti分10.1質量%) 45.1g(0.095モル)
上記の成分を、500mL容量の丸底フラスコに加え、脱イオン水200mLに攪拌溶解して混合塩水溶液を調製した。次いで、別途調製した10重量%カセイソーダ溶液200.0g(NaOHとして0.50モルに相当)を、室温下、混合塩水溶液に滴下して共沈物を得た。この共沈物を2時間攪拌混合後、濾過して、脱イオン水で十分に水洗した。
そして、得られた共沈物を500mL容量の丸底フラスコに加え、ジニトロジアンミン白金硝酸水溶液21.21g(Pt含量:4.60重量% 0.005モル)および脱イオン水100mLを加えて、室温下において攪拌した。
次いで、水を減圧下において留去乾固して前駆体を得た。これを、大気中、電気炉にて、800℃、2時間熱処理(焼成)を行ない、Ba1.25Ti0.95Pt0.053+δからなるPt含有ペロブスカイト型複合酸化物(Pt含有量:3.55重量%)の褐色粉末25.8gを得た。
なお、この粉末は、X線回折の結果、Ba1.25Ti0.95Pt0.053+δからなるPt含有ペロブスカイト型複合酸化物の単一結晶相を有していることが確認された。
[実施例24]
(Ca1.02Zr0.98Pt0.023+δの製造)
カルシウムイソプロポキシド 16.1g(0.102モル)
ジルコニウムイソプロポキシド 32.1g(0.098モル)
上記の成分を、500mL容量の丸底フラスコに加え、実施例1と同様に処理した後、ジニトロジアンミン白金硝酸水溶液8.48g(Pt含量:4.60重量% 0.002モル)を加え、室温下において1時間攪拌した。
次いで、水を減圧下において留去乾固して前駆体を得た。これを、大気中、電気炉にて、1000℃、2時間熱処理(焼成)を行ない、Ca1.02Zr0.98Pt0.023+δからなるPt含有ペロブスカイト型複合酸化物(Pt含有量:2.14重量%)の褐色粉末16.9gを得た。
なお、この粉末は、X線回折の結果、Ca1.02Zr0.98Pt0.023+δからなるPt含有ペロブスカイト型複合酸化物の単一結晶相を有していることが確認された。
[実施例25]
(Sr1.1Ti0.95Rh0.053+δの製造)
ストロンチウムイソプロポキシド 22.6g(0.110モル)
チタンイソプロポキシド 27.0g(0.095モル)
上記の成分を、500mL容量の丸底フラスコに加え、実施例1と同様に処理した後、硝酸ロジウム水溶液10.29g(Rh含量:5.00重量% 0.005モル)を加え、室温下において1時間攪拌した。
次いで、水を減圧下において留去乾固して前駆体を得た。これを、大気中、電気炉にて、800℃、1時間熱処理(焼成)を行ない、Sr1.1Ti0.95Rh0.053+δからなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物(Rh含有量:2.64重量%)の褐色粉末18.4gを得た。
なお、この粉末は、X絲回折の結果、Sr1.1Ti0.95Rh0.053+δからなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物の単一結晶相を有していることが確認された。
[実施例26]
(Ba1.2Zr0.97Rh0.033+δの製造)
硝酸バリウム 31.4g(0.120モル)
硝酸オキシジルコニウム二水和物 25.9g(0.097モル)
上記の成分を、500mL容量の丸底フラスコに加え、脱イオン水200mLに攪拌溶解して混合塩水溶液を調製した。次いで、別途調製した10重量%カセイソーダ溶液200.0g(NaOHとして0.50モルに相当)を、室温下、混合塩水溶液に滴下して共沈物を得た。この共沈物を2時間攪拌混合後、濾過して、脱イオン水で十分に水洗した。
そして、得られた共沈物を500mL容量の丸底フラスコに加え、ジニトロジアンミン白金硝酸水溶液21.21g(Pt含量:4.60重量% 0.005モル)および脱イオン水100mLを加えて、室温下において攪拌した。
次いで、水を減圧下において留去乾固して前駆体を得た。これを、大気中、電気炉にて、1000℃、2時間熱処理(焼成)を行ない、Ba1.2Zr0.97Rh0.033+δからなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物(Rh含有量:1.01重量%)の褐色粉末28.3gを得た。
なお、この粉末は、X線回折の結果、Ba1.2Zr0.97Rh0.033+δからなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物の単一結晶相を有していることが確認された。
[実施例27]
(Ca1.05Ti0.97Rh0.02Pt0.013+δの製造)
カルシウムイソプロポキシド 16.6g(0.105モル)
チタンイソプロポキシド 27.6g(0.097モル)
上記の成分を、500mL容量の丸底フラスコに加え、実施例1と同様に処理した後、硝酸ロジウム水溶液4.12g(Rh含量:5.00重量% 0.002モル)およびジニトロジアンミン白金硝酸水溶液4.24g(Pt含量:4.60重量% 0.001モル)を加え、室温下において1時間攪拌した。
次いで、水を減圧下において留去乾固して前駆体を得た。これを、大気中、電気炉にて、800℃、1時間熱処理(焼成)を行ない、Ca1.05Ti0.97Rh0.02Pt0.013+δからなるRh−Pt含有ペロブスカイト型複合酸化物(Rh含有量:1.46重量%、Pt含有量:1.39重量%)の褐色粉末13.4gを得た。
なお、この粉末は、X線回折の結果、Ca1.05Ti0.97Rh0.02Pt0.013+δからなるRh−Pt含有ペロブスカイト型複合酸化物の単一結晶相を有していることが確認された。
[実施例28]
(Ca1.1Zr0.95Rh0.053+δの製造)
カルシウムイソプロポキシド 17.4g(0.110モル)
ジルコニウムイソプロポキシド 31.1g(0.095モル)
上記の成分を、500mL容量の丸底フラスコに加え、実施例1と同様に処理した後、沈殿物を濾過して、脱イオン水で十分に水洗した後、60℃、24時間通風乾燥後、これを、大気中、電気炉にて、800℃、1時間熱処理(焼成)を行ない、CaZrOからなるペロブスカイト型複合酸化物の粉末を得た。
得られた粉末に、硝酸ロジウム水溶液10.29g(Rh含量:5.00重量% 0.005モル)を含浸させた後、60℃、24時間通風乾燥後、これを、大気中、電気炉にて、800℃、1時間熱処理(焼成)を行ない、Ca1.1Zr0.95Rh0.053+δからなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物(Rh含有量:2.80重量%)の褐色粉末16.9gを得た。
なお、この粉末は、X線回折の結果、Ca1.1Zr0.95Rh0.053+δからなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物の単一結晶相を有していることが確認された。
比較例1
(La0.95Sr0.05Al0.90Co0.05Pt0.05の製造)
ランタンイソプロポキシド 30.0g(0.095モル)
ストロンチウムイソプロポキシド 1.0g(0.005モル)
アルミニウムイソプロポキシド 18.4g(0.090モル)
コバルトイソプロポキシド 0.9g(0.005モル)
上記の成分を、500mL容量の丸底フラスコに加え、実施例1と同様に処理した後、ジニトロジアンミン白金硝酸水溶液21.21g(Pt含量:4.60重量% 0.005モル)を加え、室温下において1時間攪拌した。
次いで、水を減圧下において留去乾固して前駆体を得た。これを、大気中、電気炉にて、800℃、2時間熱処理(焼成)を行ない、La0.95Sr0.05Al0.90Co0.05Pt0.05からなるPt含有ペロブスカイト型複合酸化物(Pt含有量:4.41重量%)の褐色粉末21.8gを得た。
なお、この粉末は、X線回折の結果、La0.95Sr0.05Al0.90Co0.05Pt0.05からなるPt含有ペロブスカイト型複合酸化物の単一結晶相を有していることが確認された。
比較例2
(PrFe0.90Co0.05Rh0.05の製造)
プラセオジムメトキシプロピレート 40.8g(0.100モル)
鉄メトキシプロピレート 29.1g(0.090モル)
コバルトメトキシプロピレート 1.2g(0.005モル)
上記の成分を、500mL容量の丸底フラスコに加え、実施例1と同様に処理した後、硝酸ロジウム水溶液10.29g(Rh含量:5.00重量% 0.005モル)を加え、室温下において1時間攪拌した。
次いで、水を減圧下において留去乾固して前駆体を得た。これを、大気中、電気炉にて、800℃、2時間熱処理(焼成)を行ない、PrFe0.90Co0.05Rh0.05からなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物(Rh含有量:2.08重量%)の褐色粉末24.1gを得た。
なお、この粉末は、X線回折の結果、PrFe0.90Co0.05Rh0.05からなるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物の単一結晶相を有していることが確認された。
比較例3
市販のα−アルミナ(比表面積13.2m/g)20gに、硝酸ロジウム水溶液(Rh分4.48質量%)9.1g(Rh換算で0.41g)を含浸させた後、60℃にて24時間通風乾燥後、大気中、電気炉にて、500℃、1時間熱処理を行ない、Rhが担持されたα−アルミナ(Rh含有量:2.00重量%)の粉末を得た。
比較例4
市販のα−アルミナ(比表面積13.2m/g)20gに、ジニトロジアンミン白金硝酸溶液(Pt分8.50質量%)4.8g(Pt換算で0.41g)を含浸させた後、60℃にて24時間通風乾燥後、大気中、電気炉にて、500℃、1時間熱処理を行ない、Ptが担持されたα−アルミナ(Pt含有量:2.00重量%)の粉末を得た。
試験例1(物性試験)
1)比表面積の測定
上記により得られた実施例1〜18および各比較例の粉末の比表面積を、BET法に従って測定した。その結果を表1に示す。
2)TEM(透過型電子顕微鏡)による観察
実施例1、3、5、8、9、10、11で得られた各粉末を、酸化処理(大気中、800℃で1時間熱処理)後、還元処理(10%Hを含有するNガス中、800℃で1時間熱処理)し、さらに、再酸化処理(大気中、800℃で1時間熱処理)した。還元処理後および再酸化処理後において、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いて、各粉末を観察した。その結果を図3〜23に示す。
図3〜23からわかるように、酸化処理後においては、各粉末ともに、RhまたはPtが、ペロブスカイト型の結晶構造中において固溶している状態が観察された。また、還元処理後においては、各粉末ともに、RhまたはPtが、ペロブスカイト型の結晶構造から析出している状態が観察された。さらに、再酸化処理後においては、各粉末ともに、RhまたはPtが、再びペロブスカイト型の結晶構造中において固溶している状態が観察された。
これらのことより、各粉末では、酸化雰囲気下での固溶および還元雰囲気下での析出を繰り返す自己再生機能を発現できることが確認された。
3)貴金属固溶量の測定
実施例1〜18および各比較例で得られた粉末を、酸化処理後および還元処理後のそれぞれにおいて、7重量%フッ酸水溶液(実施例8、実施例9、比較例1、比較例2は、5重量%塩酸水溶液)に溶解し、室温にて20時間放置後、各溶液を、0.1μmφのフィルターにより濾過した。濾液に溶解している貴金属量を、ICP(高周波誘導結合プラズマ)発光分析法により定量分析し、残渣における貴金属を、XRD(X線回折)−SEM(走査型電子顕微鏡)分析法により定性分析した。これらの結果から、酸化処理後および還元処理後における貴金属固溶量を算出した。また、酸化処理後における貴金属固溶量と還元処理後における貴金属固溶量との差から、貴金属の析出量を算出した。これらの結果を表1に示す。
なお、上記の方法においては、7重量%フッ酸水溶液への各粉末の溶解時において、フッ化物(フッ化カルシウムなど)の残渣が生成したが、ペロブスカイト型の結晶構造中に固溶していた貴金属は、溶解したため、溶液中の貴金属の濃度を測定することにより、ペロブスカイト型の結晶構造中に固溶している貴金属の比率を求めることができた。
試験例2(耐久試験)
1)酸化還元耐久試験
不活性雰囲気5分、酸化雰囲気10分、不活性雰囲気5分および還元雰囲気10分の計30分を1サイクルとし、このサイクルを20サイクル、合計10時間繰り返して、実施例1〜18および各比較例で得られた粉末を、酸化雰囲気と還元雰囲気とに交互に暴露した後、還元雰囲気のまま室温まで冷却した。
不活性雰囲気、酸化雰囲気および還元雰囲気は、ストイキ状態、リーン状態およびリッチ状態の混合気を燃焼させた場合に排出される排ガス雰囲気に、それぞれ相当する。
なお、各雰囲気は、高温水蒸気を含む表2に示した組成のガスを、300×10−3/hrの流量で供給することによって調製した。また、雰囲気温度は、約1000℃に維持した。
2)活性評価
4%NOおよび6%Hを含むガス(Heバランス)を、合計50mL/分流通させながら、上記の酸化還元耐久試験に供した各粉末40mgを、室温から400℃まで、3℃/分にて昇温した。この間に、質量分析計にて、NO(質量30)の信号を観測し、そのカウント数が室温に比べて30%減少した温度を、NO30%浄化温度とした。
3)再現性試験
実施例7、11および19〜28の操作を、それぞれ3回繰り返して、3回分の粉末を得、そのそれぞれについて、上記の試験例1の3)金属固溶量の測定に従って、酸化処理後における貴金属固溶量を算出した。これらの結果を表3に示す。



なお、上記の説明は、本発明の例示の実施形態および実施例として提供したが、これは単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。当該技術分野の当業者によって明らかな本発明の変形例は、後記の特許請求の範囲に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
本発明の触媒組成物は、気相や液相の反応触媒として広く用いることができ、特に、優れた排ガス浄化性能を長期にわたって実現することができるので、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンなどの内燃機関や、ボイラなどから排出される排ガスを浄化するための排ガス浄化用触媒として、好適に用いることができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
1−xA’1−(y+z)B’ (1)
(式中、Aはアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、A’は希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、BはTi、Zr、Hfから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、B’は遷移元素(希土類元素、Ti、Zr、Hf、Rh、Ptを除く)、Alから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、NはRh、Ptから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、xは0≦x≦0.4の数値範囲の原子割合を示し、yは0≦y<0.5の数値範囲の原子割合を示し、2は0<z≦0.5の数値範囲の原子割合を示す。但し、NがPtのみを示す場合、xは0を示す。)
で表されるペロブスカイト型複合酸化物を含むことを特徴とする、触媒組成物。
【請求項2】
一般式(1)において、Aは、Ca、Sr、Baから選ばれる少なくとも1種の元素を示すことを特徴とする、請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項3】
一般式(1)において、NがPtを示す場合、Aは、Caを示すことを特徴とする、請求項2に記載の触媒組成物。
【請求項4】
一般式(1)において、xが0であることを特徴とする、請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項5】
一般式(1)において、Bは、Ti、Zrから選ばれる少なくとも1種の元素を示すことを特徴とする、請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項6】
一般式(1)において、NがRhを示す場合、Bは、Tiを示すことを特徴とする、請求項5に記載の触媒組成物。
【請求項7】
一般式(1)において、yが0であることを特徴とする、請求項1に記
(式中、Aはアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、A’は希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、BはTi、Zr、Hfから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、B’は遷移元素(希土類元素、Ti、Zr、Hf、Rh、Ptを除く)、Alから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、NはRh、Ptから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、bは0≦b≦0.4の数値範囲の原子割合を示し、wはw>1−xの原子割合を示し、yは0≦y<0.5の数値範囲の原子割合を示し、zは0<z≦0.5の数値範囲の原子割合を示し、δは酸素過剰分を示す。但し、NがPtのみを示す場合、xは0を示す。)
で表されるペロブスカイト型複合酸化物を含むことを特徴とする、触媒組成物。
【請求項12】
一般式(5)において、Aは、Ca、Sr、Baから選ばれる少なくとも1種の元素を示すことを特徴とする、請求項11に記載の触媒組成物。
【請求項13】
一般式(5)において、NがPtを示す場合、Aは、Caを示すことを特徴とする、請求項12に記載の触媒組成物。
【請求項14】
一般式(5)において、xが0であることを特徴とする、請求項11に記載の触媒組成物。
【請求項15】
一般式(5)において、Bは、Ti、Zrから選ばれる少なくとも1種の元素を示すことを特徴とする、請求項11に記載の触媒組成物。
【請求項16】
一般式(5)において、NがRhを示す場合、Bは、Tiを示すことを特徴とする、請求項15に記載の触媒組成物。
【請求項17】
一般式(5)において、yが0であることを特徴とする、請求項11に記載の触媒組成物。
【請求項18】
一般式(6)
1−z3+δ (6)
(式中、AはCa、Sr、Baから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、BはTi、Zrから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、NはRh、Ptから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、vは1<vの原子割合を示し、zは0<z≦0.5の数値範囲の原子割合を示し、δは酸素過剰分を示す。)
で表されるペロブスカイト型複合酸化物を含むことを特徴とする、触媒組成物。
【請求項19】
一般式(7)
1−zRh3+δ (7)
(式中、AはCa、Sr、Baから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、BはTiを示し、vは1<vの原子割合を示し、zは0<z≦0.5の数値範囲の原子割合を示し、δは酸素過剰分を示す。)
で表されるペロブスカイト型複合酸化物を含むことを特徴とする、触媒組成物。
【請求項20】
一般式(8)
1−zPt3+δ (8)
(式中、AはCa、Baから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、BはTi、Zrから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、vは1<vの原子割合を示し、zは0<z≦0.5の数値範囲の原子割合を示し、δは酸素過剰分を示す。)
で表されるペロブスカイト型複合酸化物を含むことを特徴とする、触媒組成物。

【国際公開番号】WO2005/058490
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【発行日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516386(P2005−516386)
【国際出願番号】PCT/JP2004/019138
【国際出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】