説明

触媒

【課題】本発明による触媒は、公知の空時収率を達成するのに必要とされる触媒中の貴金属割合が減少されうるという利点を提供する。
【解決手段】チタン、鉄、ランタン、セリウム、イットリウムおよび/またはモリブデンもしくはそれらの酸化物で変性されている、担体上に触媒活性成分としてパラジウム、金およびアルカリ金属酢酸塩を含有する触媒によって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒、該触媒の製造法ならびに酢酸ビニルモノマーを製造するための該触媒の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
金、パラジウムおよびアルカリ金属化合物を含有する担持触媒は、酢酸ビニルの製造のために用いられる。このために、エテン、酢酸および分子状酸素もしくは空気が気相中で、場合により不活性ガスの添加下で、100〜250℃の温度および通例のまたは高められた圧力にて該担持触媒の使用下で反応させられる。
【0003】
酢酸ビニルモノマーの製造法は、DE1668088、EP−A0464633、EP−A0519435、EP−A0634208、EP−A0723810、EP−A0634209、EP−A0632214、EP−A0654301、EP−A0723810、US4,048,096、US5,185,308およびUS5,371,277から公知である。これらの文献は、担持触媒の製造法も記載する。実施態様に応じて、担体断面にわたって貴金属の均一な分布を有し、かつ多少とも際立ったシェルプロフィールを有する担持触媒が製造される。
【0004】
DE−B2100778、US4,902,823、US5,250,487、US5,292,931、US5,808,136、EP0807615、EP0916402、EP0997192A1、EP1323469A2およびEP0987058から、触媒担体として熱分解法二酸化ケイ素をベースとする成形体を酢酸ビニルモノマーの製造に際して使用することが公知である。
【0005】
EP−A0464633は、少なくとも1つの貫通路を有する触媒担体をベースとする、酢酸ビニルモノマーを製造するための担持触媒を記載する。殊に、少なくとも95%のパラジウム、金および/またはそれらの化合物が、表面〜該担体の表面から0.5mmまで下方の範囲内で存在する中空円筒体が言及される。
【0006】
これらの特許明細書は、金、パラジウムおよびアルカリ金属化合物を含有する担持触媒の製造法も開示する。実施態様に応じて、担体断面にわたって貴金属の均一な分布を有し、かつ多少とも際立ったシェルプロフィールを有する触媒が得られる。
【0007】
通例、これらの触媒は、塩基性溶液および金塩およびパラジウム塩を含有する溶液で担体を含浸させることによって得られ、その際、含浸は、同時にまたは連続して、中間乾燥を伴ってまたは伴わないで行われる。引き続き、担体は、場合により存在する塩化物成分の除去のために洗浄される。洗浄前または洗浄後、担体上に沈殿させられた不溶性の貴金属化合物が還元されるそのようにして得られた触媒前駆体は乾燥させられ、かつ該触媒の活性化のために、アルカリ金属酢酸塩、または反応条件下で酢酸ビニルモノマーの製造に際して完全にまたは部分的にアルカリ金属酢酸塩に変化するアルカリ金属化合物で含浸させられる。有利なアルカリ金属化合物は、カリウム化合物、殊に酢酸カリウムである。
【0008】
触媒の還元は、水相中または気相中で行われうる。水相中での還元のために、例えばホルムアルデヒドまたはヒドラジンが適している。気相中での還元は、水素もしくはフォーミングガス(N 95体積%+H 5体積%)またはエテンで実施されうる。EP0634209によれば、40〜260℃の、有利には70〜200℃の温度で水素による還元が行われる。しかしながら、触媒は頻繁に、アルカリ金属酢酸塩による活性化後に初めて製造反応器中で直接エテンで還元させられる。
【0009】
製造プロセスにおいて、触媒はまずゆっくりと反応物で負荷される。この開始段階中に触媒の活性が高まり、かつ通例、数日または数週間後にその最終的な水準に達する。
【0010】
文献EP0431478は、担体上にパラジウムおよび金を含有する触媒を用いることによる、エチレン、酢酸および酸素からの気相中での酢酸ビニルの製造法を記載する。担体はSiO/Al混合物から成り、その際、担体粒子は、バインダーとしてのC〜C20カルボン酸のLi−、Mg−、Al−、Zn−またはMn塩を使って圧縮される。
【0011】
文献EP0723810A1は、二酸化ケイ素、アルミノケイ酸塩または酸化アルミニウムからの担体上に触媒活性成分としてパラジウム、金およびアルカリ金属酢酸塩を含有する、酢酸ビニルモノマーを製造するための担持触媒を記載し、その際、該担体は付加的に、周期系のIA族、IIA族、IIIA族およびIVB族からの少なくとも1つの元素を含有する。
【特許文献1】DE1668088
【特許文献2】EP−A0464633
【特許文献3】EP−A0519435
【特許文献4】EP−A0634208
【特許文献5】EP−A0723810
【特許文献6】EP−A0634209
【特許文献7】EP−A0632214
【特許文献8】EP−A0654301
【特許文献9】EP−A0723810
【特許文献10】US4,048,096
【特許文献11】US5,185,308
【特許文献12】US5,371,277
【特許文献13】DE−B2100778
【特許文献14】US4,902,823
【特許文献15】US5,250,487
【特許文献16】US5,292,931
【特許文献17】US5,808,136
【特許文献18】EP0807615
【特許文献19】EP0916402
【特許文献20】EP0997192A1
【特許文献21】EP1323469A2
【特許文献22】EP0987058
【特許文献23】EP−A0464633
【特許文献24】EP−A0634209
【特許文献25】EP0431478
【特許文献26】EP0723810A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、公知の空時収率を達成するのに必要とされる触媒中の貴金属割合が減少されうる触媒を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の対象は、担体上に触媒活性成分としてパラジウム、金およびアルカリ金属酢酸塩を含有する触媒において、該触媒が、チタン、鉄、ランタン、セリウム、イットリウムおよび/またはモリブデン、もしくはそれらの酸化物で変性されていることを特徴とする触媒である。
【0014】
有利には、担体材料は0.1〜10質量%の各々のドーピング成分を含有してよい。
【0015】
担体材料として、アルミノケイ酸塩、例えばSuedchemie社のKA−160、二酸化ケイ素、例えばAerolyst 3045(Degussa)または二酸化チタン、例えばAerolyst 7751(Degussa)が使用されうる。
【0016】
本発明のさらなる一対象は、該触媒の製造法において、担体を少なくとも1つのドーピング成分の塩で含浸させ、か焼し、引き続き触媒活性成分で含浸させるか、または該担体材料をドーピング成分の酸化物と混合し、成形し、引き続き触媒活性成分で含浸させることを特徴とする製造法である。
【0017】
本発明の一実施態様において、少なくとも1つのドーピング成分を触媒活性成分と同時に担体上に施与してもよい。
【0018】
本発明による触媒は、公知の空時収率を達成するのに必要とされる触媒中の貴金属割合が減少されうるという利点を有する。
【実施例】
【0019】
実施例
実施例の触媒Aからの担体材料は、酸化イットリウム4%および二酸化ケイ素(Degussa Aerolyst 3045)96%とから成る。活性成分は、パラジウム、金および酢酸カリウムである。
【0020】
比較例の触媒Bは、担体材料としてのアルミノケイ酸塩(Suedchemie KA−160)に施与された、活性成分のパラジウム、金および酢酸カリウムからのみ成る。
【0021】
活性成分のパラジウム、金および酢酸カリウムを、実施例の触媒Cのために、二酸化チタン4.5%、酸化鉄4.5%および二酸化ケイ素(Degussa Aerolyst 3045)91%を有する担体材料に施与した。
【0022】
実施例の触媒Dは、酸化セリウム0.3%、酸化鉄0.8%および酸化モリブデン0.01%で変性された二酸化チタン(Degussa Aerolyst 7751)に施与された活性成分から成る。
【0023】
実施例の触媒Eの担体材料は、酸化イットリウム1%、酸化鉄0.65%および二酸化ケイ素(Degussa Aerolyst 3045)98.35%とから成る。
【0024】
実施例の触媒Fの場合、担体材料として、酸化ランタン3.5%および酸化モリブデン6%を有する二酸化ケイ素を使用し、それを活性成分のパラジウム、金および酢酸カリウムでかつ同時にまた酸化鉄0.9%で含浸させた。
【0025】
実施例の触媒Gのために、酸化ランタン1.5%および二酸化チタン(Degussa Aerolyst 7751)98.5%からの担体材料を使用し、かつ活性成分で含浸させた。
【0026】
比較例の触媒Hは、担体材料としての酸化ホウ素1%および二酸化ケイ素99%ならびに活性成分のパラジウム、金および酢酸カリウムとから成る。
【0027】
以下の表は、酢酸ビニルモノマーの収率を触媒の活性に関する基準として、155℃、圧力7barおよび3000h−1のGHSVにて、1時間およびパラジウム1グラム当たりの酢酸ビニルモノマーをグラムで記録する。
【0028】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体上に触媒活性成分としてパラジウム、金およびアルカリ金属酢酸塩を含有する触媒において、該触媒が、チタン、鉄、ランタン、セリウム、イットリウムおよび/またはモリブデンもしくはそれらの酸化物で変性されていることを特徴とする触媒。
【請求項2】
請求項1記載の触媒の製造法において、担体を少なくとも1つのドーピング成分の塩で含浸させ、か焼し、引き続き触媒活性成分で含浸させるか、または該担体材料をドーピング成分の酸化物と混合し、成形し、引き続き触媒活性成分で含浸させることを特徴とする、請求項1記載の触媒の製造法。
【請求項3】
ドーピング成分を触媒活性成分と同時に担体に施与することを特徴とする、請求項2記載の方法。
【請求項4】
酢酸ビニルモノマーを製造するための請求項1記載の触媒の使用。

【公開番号】特開2009−90283(P2009−90283A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−256534(P2008−256534)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】