触覚提示装置
【課題】パネルに表示された所定画像情報の位置を、ユ−ザが画面を見なくても容易に認識可能とし、かつ、パネル上での手指のなぞり動作により生じる触感を自然に提示する。
【解決手段】画像情報を表示する表示パネル1と、表示パネル1面上に設けられ、物体が接触した位置座標を検出するタッチパネル2と、タッチパネル2をX軸方向に励振する第1振動アクチュエータ7aと、タッチパネル2をY軸方向に励振する第2振動アクチュエータ7bと、表示パネル1の所定画像情報が表示された領域内において、物体がタッチパネル2に接触して移動している場合には第1振動アクチュエータ7a及び/又は第2振動アクチュエータ7bを駆動し、物体が停止している場合又は物体が接触していない場合には第1,2振動アクチュエータ7a,7bを停止する制御部とを備えた。
【解決手段】画像情報を表示する表示パネル1と、表示パネル1面上に設けられ、物体が接触した位置座標を検出するタッチパネル2と、タッチパネル2をX軸方向に励振する第1振動アクチュエータ7aと、タッチパネル2をY軸方向に励振する第2振動アクチュエータ7bと、表示パネル1の所定画像情報が表示された領域内において、物体がタッチパネル2に接触して移動している場合には第1振動アクチュエータ7a及び/又は第2振動アクチュエータ7bを駆動し、物体が停止している場合又は物体が接触していない場合には第1,2振動アクチュエータ7a,7bを停止する制御部とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、利用者(ユ−ザ)による表示画面の視認なしに、画面に表示された所定の画像情報の位置を識別可能とする触覚提示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の触覚提示装置として、パネルに対するユ−ザの手指等の接触を検知し、振動子等のアクチュエ−タによりパネルを振動させることによって、クリック感を提示するものがある(例えば特許文献1参照)。
また、パネル上に形成したストライプ状電極を固定子とし、この固定子上に薄膜移動子を配置し、固定子の電極と移動子との間に電圧を印加して静電吸引力を発生させるものもある(例えば特許文献2参照)。そして、この移動子にユーザの手指を当てて動かすことによって、手指に触感を提示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−26344号公報
【特許文献2】特開2003−248540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の触覚提示装置は、パネルとユ−ザが接触したことを検知した場合に、パネル自体を振動させてユ−ザに触覚提示するものである。例えば、パネル内に操作ボタン画像が表示される場合、操作ボタン画像が表示されたパネル上の位置にユ−ザが触れた際にパネルを振動させることで、ユ−ザに操作ボタンの押下感を知覚させることができる。しかしなから、パネルの振動方向が特定方向に限定されているので、パネル上の手指のなぞり動作に伴ってパネルを振動させる場合、手指のなぞり方向によっては触感が不自然となる課題があった。
【0005】
また、特許文献2記載の触覚提示装置では、固定子の電極と移動子との間の静電力により触感を生成するため、常に移動子を手指に付随して動かす必要があり、自然な触感提示ができないという課題があった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、パネルに表示された所定の画像情報の位置を、ユ−ザが画面を見なくても容易に認識することが可能であり、かつ、パネル上での手指のなぞり動作により生じる触感を自然に提示できる触覚提示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る触覚提示装置は、画像情報を表示する表示パネルと、表示パネル面上に設けられ、物体が接触した位置座標を検出するタッチパネルと、タッチパネルを接触面に水平な第1の方向に励振する第1振動アクチュエータと、タッチパネルを接触面に水平かつ第1の方向と直交する第2の方向に励振する第2振動アクチュエータと、表示パネルの所定画像情報が表示された領域内において、物体がタッチパネルに接触して移動している場合には第1振動アクチュエータ及び/又は第2振動アクチュエータを駆動し、物体が停止している場合又は物体が接触していない場合には第1,2振動アクチュエータを停止する制御部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、上記のように構成したので、パネルに表示された所定の画像情報の位置を、ユ−ザが画面を見なくても容易に認識することが可能であり、かつ、パネル上での手指のなぞり動作により生じる触感を自然に提示できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1に係る触覚提示装置の構成を示す要部平面図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る触覚提示装置の構成を示す要部側断面図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る触覚提示装置の構成を示す要部側面図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る触覚提示装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る触覚提示装置の動作を説明する図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る触覚提示装置の動作を説明する図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係る触覚提示装置の動作を説明する図である。
【図8】この発明の実施の形態2に係る触覚提示装置の動作を説明する図である。
【図9】この発明の実施の形態2に係る触覚提示装置の動作を説明する図である。
【図10】この発明の実施の形態3に係る触覚提示装置の動作を説明する図である。
【図11】この発明の実施の形態4に係る触覚提示装置の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る触覚提示装置の構成を示す要部平面図であり、図2は要部側断面図であり、図3は要部側面図である。
図1〜3に示すように、触覚提示装置には、文字や映像等の画像情報を表示する表示パネル1が設けられている。この表示パネル1の面上には、ユーザの手指20等の物体が接触した位置座標を検出するタッチパネル2が設けられている。そして、表示パネル1及びタッチパネル2はパネル支持部材3により一体的に保持されている。このパネル支持部材3は、弾性支持部材4により下部筐体5に柔軟に支持されている。なお、下部筐体5は、表示パネル1と略同型状の開口を有する上部筐体6とともに触覚提示装置の外形を構成する。なお、図1では、上部筐体6の図示を省略している。
【0011】
また、パネル支持部材3には、第1,2振動アクチュエータ7a,7bが固定されている。第1振動アクチュエータ7aは、パネル支持部材3をX軸方向に励振することでタッチパネル2をX軸方向(接触面に水平な第1の方向)に励振する。また、第2振動アクチュエータ7bは、パネル支持部材3をY軸方向に励振することでタッチパネル2をY軸方向(接触面に水平かつ第1の方向と直交する第2の方向)に励振する。
【0012】
図4はこの発明の実施の形態1に係る触覚提示装置のシステム構成を示すブロック図である。
触覚提示装置のシステムは、図4に示すように、表示パネル駆動部11、タッチパネル駆動部12、第1,2アクチュエータ駆動部13a,13b及び制御部14から構成されている。
【0013】
表示パネル駆動部11は、制御部14からの表示情報に従い、表示パネル1を駆動して文字や映像等の画像情報を表示するものである。
タッチパネル駆動部12は、タッチパネル2から得られる信号を処理して、タッチパネル2とユ−ザの手指20等の物体との接触点の位置座標(接触点座標)を制御部14に通知するものである。
【0014】
第1アクチュエータ駆動部13aは、制御部14からの制御信号に従い、第1振動アクチュエータ7aを駆動・停止するものである。
第2アクチュエータ駆動部13bは、制御部14からの制御信号に従い、第2振動アクチュエータ7bを駆動・停止するものである。
【0015】
制御部14は、触覚提示装置の各部を制御するものである。この制御部14は、表示パネル1の所定画像情報が表示された領域内において、物体がタッチパネル2に接触して移動している場合には第1振動アクチュエータ7a及び/又は第2振動アクチュエータ7bを駆動させ、物体が停止している場合又は物体が接触していない場合には第1,2振動アクチュエータ7a,7bを停止させる。
【0016】
次に、上記のように構成された触覚提示装置の動作について説明する。なお、本実施の形態では、表示パネル1に表示された操作ボタン画像1a等の画像情報の位置を、ユ−ザが表示パネル1を注視せずに手指20のなぞり動作のみで知覚する場合について説明する。
【0017】
図5は、ユ−ザが操作ボタン画像1aの位置を手指20のなぞり動作により知覚する場合における、触覚提示装置の動作を説明する図である。図5(a)は触覚提示装置をパネル面垂直方向から見た平面図であり、表示パネル1に操作ボタン画像1aが表示された状態を示している。そして、ユ−ザが表示パネル1を注視せずに操作ボタン画像1aの位置を探す場合、ユ−ザは手指20でタッチパネル2面に触れながらなぞり動作を行う。図5(a)〜(d)は、ユ−ザによるX軸方向での上記なぞり動作、及びそれに伴う触覚提示装置の動作を示す要部側断面図である。
【0018】
図5(a)に示すように、表示パネル駆動部11は、制御部14からの表示情報に従って、表示パネル1の任意位置に操作ボタン画像1aを表示する。また、ユ−ザの手指20がタッチパネル2上に触れている場合、タッチパネル駆動部12はその接触点座標を検出し、制御部14に通知する。
ここで、図5(b)に示すように、ユ−ザの手指20が表示パネル1左側の操作ボタン画像1a以外の領域に接触している場合、制御部14は領域外と判定する。そのため、制御部14は、第1,2振動アクチュエータ7a,7bの駆動によるタッチパネル2の励振を行わない。
【0019】
一方、ユ−ザの手指20が+x方向に移動して符号30で示す軌跡を進み、図5(c)に示すように操作ボタン画像1aに達すると、制御部14は領域内と判定する。そして、実施の形態1の制御部14では、第1アクチュエータ駆動部13a又は第2アクチュエータ駆動部13bに制御信号を送り、第1振動アクチュエータ7a又は第2振動アクチュエータ7bを駆動させる。ここで、手指20のなぞり動作による軌跡30が図5に示すとおりX軸に並行な場合、制御部14は、第1振動アクチュエータ7aを駆動させて、タッチパネル2をX軸方向に励振する。その後、ユ−ザの手指20が引続き操作ボタン画像1aの領域内で移動する場合には第1振動アクチュエータ7aの駆動を継続させる。
【0020】
一方、図5(d)の示すように、ユ−ザの手指20が操作ボタン画像1aの領域から逸脱すると、制御部14は領域外と判定する。そして、制御部14は、第1アクチュエータ駆動部13aに制御信号を送り、第1振動アクチュエータ7aの駆動を終了させる。これにより、タッチパネル2の励振が終了する。
【0021】
図5(e)は、図5(a)〜(d)に示したユ−ザの手指20の動きに伴うタッチパネル2の励振の様子を示すグラフである。図5(e)において、横軸はユ−ザの手指20のタッチパネル2上でのX軸方向の位置を示し、縦軸はタッチパネル2のX軸方向の振動による移動量を示している。
図5(e)に示すように、手指20が表示パネル1に表示された操作ボタン画像1aの領域内(領域左端x10から領域右端x20の区間)をなぞっている間は、タッチパネル2はX軸方向に励振されている。
【0022】
次に、ユ−ザの手指20が表示パネル1に表示された操作ボタン画像1aの領域内を移動する場合の詳細について図5,6を用いて説明する。
図6は、ユ−ザの手指20が操作ボタン画像1aの領域内をなぞっている間での、手指20の状態、及びそれに伴う触覚提示装置の動作を示すグラフである。図6(a)は手指20のX軸方向移動速度vを示し、図6(b)は第1振動アクチュエータ7aの励振に伴い生じるタッチパネル2のX軸方向移動量Δxを示している。図6(a),(b)において、横軸はいずれもユ−ザの手指20のタッチパネル2上でのX軸方向の位置を示している。
【0023】
図5(b)に示すように、ユ−ザの手指20が表示パネル1左側の操作ボタン画像1a以外の領域に接触し、X軸の矢印+x方向に速度v1で移動している場合には、制御部14は、第1振動アクチュエータ7aの駆動を行わない。そのため、図6(b)の領域左端x10より左側に示すように、タッチパネル2のX軸方向への振動による移動は生じない。したがって、ユ−ザの手指20には、手指20とタッチパネル2との間の摩擦による抵抗力N1が生じる。
【0024】
一方、図5(c)に示すように、ユ−ザの手指20が操作ボタン画像1aの領域左端x10に達すると、制御部14は、第1振動アクチュエータ7aを駆動させてタッチパネル2をX軸方向に励振する。そのため、図6(b)のx10〜x11に示すように、タッチパネル2はX軸方向に+x1〜−x1の振幅で往復移動する。タッチパネル2が手指20の移動方向と同じ方向に往復移動すると、タッチパネル2と手指20は相対的な静止と移動の繰り返しとなる。よって、タッチパネル2と手指20との間の摩擦は、静摩擦と動摩擦との繰り返しとなる。
ここで、静摩擦係数は動摩擦係数より大であるため、静摩擦と動摩擦との繰り返しにより発生する抵抗力N2は、動摩擦のみによる抵抗力N1に対して大きくなる。したがって、ユ−ザの手指20には、抵抗力Nの変化による触覚の変化が発生し、ユ−ザは触感の変化として知覚できる。
【0025】
次に、ユーザの手指20が操作ボタン画像1aの領域をなぞる場合に、その移動速度が変動する場合の動作について説明する。
図6(c)は図6(b)の横軸を時間tで表わしたものである。図6(d)はユ−ザの手指20がタッチパネル2から受ける抵抗力Nを示している。図6(d)において、横軸は、図6(a),(b)同様、ユ−ザの手指20のタッチパネル2上でのX軸方向の位置を示している。
【0026】
図6(a)に示すように、ユーザの手指20が操作ボタン画像1aの領域内の任意位置x11に達した後、手指20の+x方向への移動速度が速度v1から徐々に低下すると、図6(c)のt11〜t12に示すように、第1振動アクチュエータ7aの励振によるタッチパネル2のX軸方向への往復移動時間周期は徐々に長くなる。そのため、タッチパネル2と手指20の間に生じる静摩擦と動摩擦との繰り返しの頻度は少なくなり、図6(d)のx11〜x12に示すように、発生する抵抗力Nは徐々に減少する。
そして、図6(a)のx12に示すように、手指20の移動が停止すると、制御部14は、第1振動アクチュエータ7aの駆動を停止させてタッチパネル2のX軸方向への励振を終了する。そのため、図6(d)の位置x12に示すように、タッチパネル2と手指20との間の抵抗力Nは0となる。
【0027】
その後、図6(a)のx12〜x13に示すように、再度、手指20の移動が再開されると、制御部14は、第1振動アクチュエータ7aの駆動を再開させる。そして、タッチパネル2と手指20の間に生じる抵抗力Nは、上述の理由により、図6(d)のx12〜x13に示すように徐々に増加する。
そして、ユーザの手指20が操作ボタン画像1aの領域右端x20に達し、操作ボタン画像1aの領域から逸脱すると、制御部14は、第1振動アクチュエータ7aの駆動を停止させる。そのため、図6(b)のx20より右側に示すように、タッチパネル2のX軸方向への振動による移動は生じない。したがって、ユーザの手指20とタッチパネル2との間の摩擦による抵抗力NはN1となる。
以上のように、表示パネル1に表示された操作ボタン画像1aの領域内をユーザの手指20がなぞり動作を行った場合に、該領域内外で触覚が変化し、また該領域内で手指20bの動きが停止した際には抵抗力Nが0となる。よって、実際に凹凸のあるボタンを手指20でなぞった場合と類似した触感を得ることができる。
【0028】
上記の動作説明では、ユ−ザの手指20がX軸方向に移動する場合に、第1振動アクチュエータ7aの駆動によってタッチパネル2をX軸方向に励振する場合について説明した。次に、ユ−ザの手指20の移動方向成分がX軸、Y軸ともに生じる場合について、図7を用いて説明する。
上述したように、タッチパネル駆動部12により検知したタッチパネル2上の手指20の接触点座標は制御部14に通知される。ここで、図7に示すように、ユ−ザの手指20によるなぞり動作が操作ボタン画像1aの領域内であり、その軌跡30がX軸及びY軸に対して斜めである場合、制御部14は、X軸方向への移動速度成分ΔVxとY軸方向への移動速度成分ΔVyとを比較する。そして、制御部14は、移動速度成分が大きい方向にタッチパネル2を励振する振動アクチュエータ(第1振動アクチュエータ7a又は第2振動アクチュエータ7b)のみを駆動させる。
【0029】
例えば、図7において、手指20の移動速度成分のうち、Y軸方向への移動速度成分ΔVyがX軸方向への移動速度成分ΔVxより大きい場合、制御部14は、第2アクチュエータ駆動部13bのみに制御信号を送り、第2振動アクチュエータ7bのみを駆動させる。そして、タッチパネル2はY軸方向に励振され、ユ−ザの手指20に触感を付与する。
このように、移動速度成分が大きい方向のみにタッチパネル2を励振することによって、効率的に触感を知覚させることが可能となる。
【0030】
以上のように、この実施の形態1によれば、タッチパネル2上のユ−ザの手指20の接触点座標を検出して、XY軸方向のうち手指20の移動速度成分が大きい方向にタッチパネル2を励振し、タッチパネル2上をユ−ザの手指20が移動することにより生じる抵抗力Nを変化させるように構成したので、ユ−ザは表示パネル1を見なくても、触感により操作ボタン画像1a等の領域を知覚することができる。特に実施の形態1に係る構成では、操作ボタン画像1aの領域内をユ−ザの手指20がなぞった場合に該領域内外での触覚が変化し、また該領域内で手指20の動きが停止した際には抵抗力Nが0となるため、実際に凹凸のあるボタンを手指20でなぞった場合と類似した触感を得ることができる。
【0031】
なお、実施の形態1では、第1,2振動アクチュエータ7a,7bはタッチパネル2等を支持するパネル支持部材3に配設した場合について示したが、これに限るものではなく、例えば、固定子と可動子で構成されるアクチュエ−タを用い、パネル支持部材3と下部筐体5とに掛け渡して振動を発生する構成としてもよい。
【0032】
また、実施の形態1では、タッチパネル2等を支持するパネル支持部材3が、圧縮バネで構成される弾性支持部材4により下部筐体5に柔軟に支持される場合について示したが、弾性支持部材4の形状、材質はこれに限定する必要はなく、他の構成としてもよい。
【0033】
また、実施の形態1では、表示パネル1の任意位置に操作ボタン画像1aが1つ表示される場合の動作例について示したが、操作ボタン画像1a等の表示映像は複数個であってもよく、形状、個数を限定するものではない。
【0034】
実施の形態2.
実施の形態1では、ユ−ザの手指20によるタッチパネル2上のなぞり動作の軌跡30がX軸及びY軸に対して斜めとなる場合に、X軸方向への移動速度成分ΔVxとY軸方向への移動速度成分ΔVyを比較して、移動速度成分が大きい方向にのみタッチパネル2を励振する構成について示した。それに対して、実施の形態2では、第1振動アクチュエータ7aと第2振動アクチュエータ7bとを協調して駆動させることで触感を知覚させる構成について説明する。
【0035】
図8は、ユーザの手指20が操作ボタン画像1aの領域内をX軸及びY軸に対して斜めになぞる場合(+x方向、+y方向)での、触覚提示装置の動作を説明する図である。図8(a)は要部平面図であり、表示パネル1に操作ボタン画像1aが表示された状態を示している。図8(b)は、ユ−ザの手指20が操作ボタン画像1aの領域内をなぞっている間での、第1振動アクチュエータ7aの励振に伴い生じるタッチパネル2のX軸方向移動量Δxを示し、図8(c)は第2振動アクチュエータ7bの励振に伴い生じるタッチパネル2のY軸方向移動量Δyを示している。図8(b),(c)において、横軸はいずれもユ−ザの手指20のタッチパネル2上でのX軸方向の位置を示している。その他の構成、動作等は実施の形態1と同様であるのでその説明を省略する。
【0036】
ユ−ザの手指20によるタッチパネル2上のなぞり動作の軌跡30がX軸及びY軸に対して斜め(+x方向、+y方向)であり、操作ボタン画像1aの領域内を移動する場合、制御部14は、第1,2アクチュエータ駆動部13a,13b両方に制御信号を送り、第1,2振動アクチュエータ7a,7bを共に駆動させる。このとき、図8(b)に示す第1振動アクチュエータ7aによるタッチパネル2のX軸方向への振動と、図8(c)に示す第2振動アクチュエータ7bによるタッチパネル2のY軸方向への振動とが、同位相となるように駆動制御を行う。
【0037】
次に、ユ−ザの手指20のなぞり動作の軌跡30がX軸方向には+x方向、Y軸方向には−y方向である場合について説明する。図9は、ユ−ザの手指20が操作ボタン画像1aの領域内をX軸及びY軸に対して斜めになぞる場合(+x方向、−y方向)での、触覚提示装置の動作を説明する図である。図9(a)は要部平面図であり、表示パネル1に操作ボタン画像1aが表示された状態を示している。図9(b)は、ユ−ザの手指20が操作ボタン画像1aの領域内をなぞっている間での、第1振動アクチュエータ7aの励振に伴い生じるタッチパネル2のX軸方向移動量Δxを示し、図9(c)は第2振動アクチュエータ7bの励振に伴い生じるタッチパネル2のY軸方向移動量Δyを示している。図9(b),(c)において、横軸はいずれもユ−ザの手指20のタッチパネル2上でのX軸方向の位置を示している。
【0038】
ユ−ザの手指20によるタッチパネル2上のなぞり動作の軌跡30がX軸及びY軸に対して斜め(+x方向、−y方向)であり、操作ボタン画像1aの領域内を移動する場合、制御部14は、第1,2アクチュエータ駆動部13a,13b両方に制御信号を送り、第1,2振動アクチュエータ7a,7bを共に駆動させる。このとき、図9(b)に示す第1振動アクチュエータ7aによるタッチパネル2のX軸方向への振動と、図9(c)に示す第2振動アクチュエータ7bによるタッチパネル2のY軸方向への振動とが、逆位相となるように駆動制御を行う。
【0039】
また、同様に、ユ−ザの手指20のなぞり動作の軌跡30がX軸方向に−x方向、Y軸方向に−yである場合には、制御部14は、第1振動アクチュエータ7aと第2振動アクチュエータ7bとが同位相となるよう振動制御する。また、ユ−ザの手指20のなぞり動作の軌跡30がX軸方向に−x方向、Y軸方向に+yである場合には、制御部14は、第1振動アクチュエータ7aと第2振動アクチュエータ7bとが逆位相となるよう振動制御する。
【0040】
すなわち、手指20の移動方向の座標の符号がX軸方向及びY軸方向で同じ場合には第1振動アクチュエータ7aと第2振動アクチュエータ7bとを同位相に駆動制御し、符号が異なる場合には逆位相に駆動制御する。さらに、なぞり動作の軌跡30がX軸方向に並行でY軸方向への移動成分が0の場合には、第1振動アクチュエータ7aのみを駆動させてタッチパネル2をX軸方向に励振する。また同様に、なぞり動作の軌跡30がY軸方向に並行でX軸方向への移動成分が0の場合には、第2振動アクチュエータ7bのみを駆動させてタッチパネル2をY軸方向に励振する。
この結果、ユ−ザの手指20のなぞり動作の軌跡30と、タッチパネル2の往復振動方向は略一致するので、ユ−ザに自然な触感を知覚させることが可能となる。
【0041】
以上のように、この実施の形態2によれば、第1振動アクチュエータ7aと第2振動アクチュエータ7bとを協調して駆動することで触感を知覚させるように構成したので、実施の形態1と同様の効果を得られるとともに、ユーザにより自然な触感を知覚させることができる。
【0042】
実施の形態3.
実施の形態1,2では、ユ−ザの手指20が操作ボタン画像1aの領域内をなぞる場合に、第1,2振動アクチュエータ7a,7bによるタッチパネル2の励振の振幅が手指20の移動速度に関わらず一定である構成について示した。それに対して、実施の形態3では、手指20の移動速度に応じて第1,2振動アクチュエータ7a,7bによるタッチパネル2の励振の振幅を変動させる構成について説明する。なお、以下では、手指20がX軸方向に並行な軌跡を描いて移動する場合について説明するが、Y軸方向に移動する場合や、X軸方向及びY軸方向に対して斜めに移動する場合についても同様である。
【0043】
図10は、ユ−ザの手指20が操作ボタン画像1aの領域内をなぞっている場合での、手指20の状態、及びそれに伴う触覚提示装置の動作を説明するグラフである。図10(a)は手指20のX軸方向移動速度vを示し、図10(b)は第1振動アクチュエータ7aの励振に伴い生じるタッチパネル2のX軸方向移動量Δxを示している。図10(a),(b)において、横軸はいずれもユ−ザの手指20のタッチパネル2上でのX軸方向の位置を示している。また、図10(c)は図10(b)の横軸を時間tで表わしたものである。図10(d)はユ−ザの手指20がタッチパネル2から受ける抵抗力Nを示している。図10(d)において、横軸は、図10(a),(b)同様、ユ−ザの手指20のタッチパネル2上でのX軸方向の位置を示している。その他の構成、動作等は実施の形態1,2と同様であるのでその説明を省略する。
【0044】
ユ−ザの手指20が操作ボタン画像1aの領域をなぞる場合、制御部14は手指20が領域内を移動中と判定する。そして、制御部14は、第1アクチュエータ駆動部13aに制御信号を送り、第1振動アクチュエータ7aを駆動させる。このとき、第1振動アクチュエータ7aの振動振幅を、手指20の移動速度に応じて変動制御する。すなわち、手指20の移動速度が高い場合は振動振幅を大きく、移動速度が低い場合は振動振幅を小さく制御する。
【0045】
ここで、図10(a)に示すように、ユ−ザの手指20が操作ボタン画像1aの領域内の任意位置x11に達した後、手指20の+x方向への移動速度が速度v1から徐々に低下する場合には、図10(b)のx11〜x12に示すように、第1振動アクチュエータ7aの振動振幅は徐々に低下する。この結果、図10(c)のt11〜t12に示すように、第1振動アクチュエータ7aの励振によるタッチパネル2のX軸方向への往復移動時間周期は徐々に長くなり、かつ往復移動の振幅も徐々に小さくなる。このため、タッチパネル2と手指20の間に生じる静摩擦と動摩擦との繰り返しの頻度は少なくなるとともに、タッチパネル2の振動自体が小さくなるので、発生する抵抗力Nを確実に小さくすることができる。
その他の動作に関しては上記実施の形態1,2と同様であるので省略する。
【0046】
以上のように、この実施の形態3によれば、表示パネル1に表示された操作ボタン画像1aの領域内をユ−ザの手指20がなぞり動作を行った場合に該領域内外での触覚を変化させ、手指20の移動速度に応じて触感(振動振幅)を変動させるように構成したので、実際に凹凸のあるボタンを手指20でなぞった場合と類似した触感を確実に得ることができる。
【0047】
実施の形態4.
実施の形態1,2では、ユ−ザの手指20が操作ボタン画像1aの領域内をなぞる場合に、第1,2振動アクチュエータ7a,7bによるタッチパネル2の励振の周期が手指20の移動速度に関わらず一定である構成について示した。また、実施の形態3では、手指20の移動速度に応じて第1,2振動アクチュエータ7a,7bによるタッチパネル2の励振の振幅を変動させる構成について示した。それに対して、実施の形態4では、手指20の移動速度に応じて第1,2振動アクチュエータ7a,7bによるタッチパネル2の励振の周期を変動させる構成について説明する。なお、以下では、手指20はX軸方向に並行な軌跡を描いて移動する状態を説明するが、Y軸方向に移動する場合や、X軸方向及びY軸方向に対して斜めに移動する場合についても同様である。
【0048】
図11は、ユ−ザの手指20が操作ボタン画像1aの領域内をなぞっている間での、手指20の状態、及びそれに伴う触覚提示装置の動作を説明するグラフである。図11(a)は手指20のX軸方向移動速度vを示し、図11(b)は第1振動アクチュエータ7aの励振に伴い生じるタッチパネル2のX軸方向移動量Δxを示している。図11(a),(b)において、横軸はいずれもユ−ザの手指20のタッチパネル2上でのX軸方向の位置を示している。また、図11(c)は図11(b)の横軸を時間tで表わしたものである。図11(d)はユ−ザの手指20がタッチパネル2から受ける抵抗力Nを示している。図11(d)において、横軸は図11(a),(b)同様、ユ−ザの手指20のタッチパネル2上でのX軸方向の位置を示している。その他の構成、動作等は実施の形態1−3と同様であるのでその説明を省略する。
【0049】
ユ−ザの手指20が操作ボタン画像1aの領域をなぞる場合、制御部14は手指20が領域内を移動中と判定する。そして、制御部14は、第1アクチュエータ駆動部13aに制御信号を送り、第1振動アクチュエータ7aを駆動させる。このとき、第1振動アクチュエータ7aの振動周期を、手指20の移動速度に応じて制御する。すなわち、手指20の移動速度が高い場合は振動周期を短く、移動速度が低い場合は振動周期を長く制御する。
【0050】
図11(a)に示すように、ユ−ザの手指20が操作ボタン画像1aの領域内の任意位置x11に達した後、手指20の+x方向への移動速度が速度v1から徐々に低下する場合には、図11(b)のx11〜x12に示すように、第1振動アクチュエータ7aの振動周期は徐々に拡大する。この結果、図10(c)のt11〜t12に示すように、第1振動アクチュエータ7aの励振によるタッチパネル2のX軸方向への往復移動時間周期は徐々に長くなる。このため、タッチパネル2と手指20の間に生じる静摩擦と動摩擦との繰り返しの頻度は少なくなる。
【0051】
ここに示す実施の形態4では、実施の形態1に示した、第1,2振動アクチュエ−タ7a,7bによるタッチパネル2の励振の周期が手指20の移動速度に関わらず一定の場合と比較して、手指20の移動速度低下によってタッチパネル2の振動周期が一層長くなるので、発生する抵抗力Nを確実に小さくすることができる。
その他の動作に関しては上記実施の形態1−3と同様であるので省略する。
【0052】
以上のように、この実施の形態4によれば、表示パネル1に表示された操作ボタン画像1aの領域内をユ−ザの手指20がなぞり動作を行った場合に該領域内外での触覚を変化させ、手指20の移動速度に応じて触感(振動周期)を変動させるように構成したので、実際に凹凸のあるボタンを手指20でなぞった場合と類似した触感を確実に得ることができる。
【0053】
なお、実施の形態3,4では、手指20の移動方向をX軸方向に限定した場合の動作について説明したが、手指20の移動方向成分がX軸、Y軸の双方に発生する場合は、実施の形態1,2に示すよう制御すればよく、同様の効果を奏する。
【0054】
また、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 表示パネル、1a 操作ボタン画像、2 タッチパネル、3 パネル支持部材、4 弾性支持部材、5 下部筐体、6 上部筐体、7a,7b 第1,2振動アクチュエータ、11 表示パネル駆動部、12 タッチパネル駆動部、13a,13b 第1,2アクチュエータ駆動部、14 制御部、20 手指、30 軌跡。
【技術分野】
【0001】
この発明は、利用者(ユ−ザ)による表示画面の視認なしに、画面に表示された所定の画像情報の位置を識別可能とする触覚提示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の触覚提示装置として、パネルに対するユ−ザの手指等の接触を検知し、振動子等のアクチュエ−タによりパネルを振動させることによって、クリック感を提示するものがある(例えば特許文献1参照)。
また、パネル上に形成したストライプ状電極を固定子とし、この固定子上に薄膜移動子を配置し、固定子の電極と移動子との間に電圧を印加して静電吸引力を発生させるものもある(例えば特許文献2参照)。そして、この移動子にユーザの手指を当てて動かすことによって、手指に触感を提示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−26344号公報
【特許文献2】特開2003−248540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の触覚提示装置は、パネルとユ−ザが接触したことを検知した場合に、パネル自体を振動させてユ−ザに触覚提示するものである。例えば、パネル内に操作ボタン画像が表示される場合、操作ボタン画像が表示されたパネル上の位置にユ−ザが触れた際にパネルを振動させることで、ユ−ザに操作ボタンの押下感を知覚させることができる。しかしなから、パネルの振動方向が特定方向に限定されているので、パネル上の手指のなぞり動作に伴ってパネルを振動させる場合、手指のなぞり方向によっては触感が不自然となる課題があった。
【0005】
また、特許文献2記載の触覚提示装置では、固定子の電極と移動子との間の静電力により触感を生成するため、常に移動子を手指に付随して動かす必要があり、自然な触感提示ができないという課題があった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、パネルに表示された所定の画像情報の位置を、ユ−ザが画面を見なくても容易に認識することが可能であり、かつ、パネル上での手指のなぞり動作により生じる触感を自然に提示できる触覚提示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る触覚提示装置は、画像情報を表示する表示パネルと、表示パネル面上に設けられ、物体が接触した位置座標を検出するタッチパネルと、タッチパネルを接触面に水平な第1の方向に励振する第1振動アクチュエータと、タッチパネルを接触面に水平かつ第1の方向と直交する第2の方向に励振する第2振動アクチュエータと、表示パネルの所定画像情報が表示された領域内において、物体がタッチパネルに接触して移動している場合には第1振動アクチュエータ及び/又は第2振動アクチュエータを駆動し、物体が停止している場合又は物体が接触していない場合には第1,2振動アクチュエータを停止する制御部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、上記のように構成したので、パネルに表示された所定の画像情報の位置を、ユ−ザが画面を見なくても容易に認識することが可能であり、かつ、パネル上での手指のなぞり動作により生じる触感を自然に提示できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1に係る触覚提示装置の構成を示す要部平面図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る触覚提示装置の構成を示す要部側断面図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る触覚提示装置の構成を示す要部側面図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る触覚提示装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る触覚提示装置の動作を説明する図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る触覚提示装置の動作を説明する図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係る触覚提示装置の動作を説明する図である。
【図8】この発明の実施の形態2に係る触覚提示装置の動作を説明する図である。
【図9】この発明の実施の形態2に係る触覚提示装置の動作を説明する図である。
【図10】この発明の実施の形態3に係る触覚提示装置の動作を説明する図である。
【図11】この発明の実施の形態4に係る触覚提示装置の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る触覚提示装置の構成を示す要部平面図であり、図2は要部側断面図であり、図3は要部側面図である。
図1〜3に示すように、触覚提示装置には、文字や映像等の画像情報を表示する表示パネル1が設けられている。この表示パネル1の面上には、ユーザの手指20等の物体が接触した位置座標を検出するタッチパネル2が設けられている。そして、表示パネル1及びタッチパネル2はパネル支持部材3により一体的に保持されている。このパネル支持部材3は、弾性支持部材4により下部筐体5に柔軟に支持されている。なお、下部筐体5は、表示パネル1と略同型状の開口を有する上部筐体6とともに触覚提示装置の外形を構成する。なお、図1では、上部筐体6の図示を省略している。
【0011】
また、パネル支持部材3には、第1,2振動アクチュエータ7a,7bが固定されている。第1振動アクチュエータ7aは、パネル支持部材3をX軸方向に励振することでタッチパネル2をX軸方向(接触面に水平な第1の方向)に励振する。また、第2振動アクチュエータ7bは、パネル支持部材3をY軸方向に励振することでタッチパネル2をY軸方向(接触面に水平かつ第1の方向と直交する第2の方向)に励振する。
【0012】
図4はこの発明の実施の形態1に係る触覚提示装置のシステム構成を示すブロック図である。
触覚提示装置のシステムは、図4に示すように、表示パネル駆動部11、タッチパネル駆動部12、第1,2アクチュエータ駆動部13a,13b及び制御部14から構成されている。
【0013】
表示パネル駆動部11は、制御部14からの表示情報に従い、表示パネル1を駆動して文字や映像等の画像情報を表示するものである。
タッチパネル駆動部12は、タッチパネル2から得られる信号を処理して、タッチパネル2とユ−ザの手指20等の物体との接触点の位置座標(接触点座標)を制御部14に通知するものである。
【0014】
第1アクチュエータ駆動部13aは、制御部14からの制御信号に従い、第1振動アクチュエータ7aを駆動・停止するものである。
第2アクチュエータ駆動部13bは、制御部14からの制御信号に従い、第2振動アクチュエータ7bを駆動・停止するものである。
【0015】
制御部14は、触覚提示装置の各部を制御するものである。この制御部14は、表示パネル1の所定画像情報が表示された領域内において、物体がタッチパネル2に接触して移動している場合には第1振動アクチュエータ7a及び/又は第2振動アクチュエータ7bを駆動させ、物体が停止している場合又は物体が接触していない場合には第1,2振動アクチュエータ7a,7bを停止させる。
【0016】
次に、上記のように構成された触覚提示装置の動作について説明する。なお、本実施の形態では、表示パネル1に表示された操作ボタン画像1a等の画像情報の位置を、ユ−ザが表示パネル1を注視せずに手指20のなぞり動作のみで知覚する場合について説明する。
【0017】
図5は、ユ−ザが操作ボタン画像1aの位置を手指20のなぞり動作により知覚する場合における、触覚提示装置の動作を説明する図である。図5(a)は触覚提示装置をパネル面垂直方向から見た平面図であり、表示パネル1に操作ボタン画像1aが表示された状態を示している。そして、ユ−ザが表示パネル1を注視せずに操作ボタン画像1aの位置を探す場合、ユ−ザは手指20でタッチパネル2面に触れながらなぞり動作を行う。図5(a)〜(d)は、ユ−ザによるX軸方向での上記なぞり動作、及びそれに伴う触覚提示装置の動作を示す要部側断面図である。
【0018】
図5(a)に示すように、表示パネル駆動部11は、制御部14からの表示情報に従って、表示パネル1の任意位置に操作ボタン画像1aを表示する。また、ユ−ザの手指20がタッチパネル2上に触れている場合、タッチパネル駆動部12はその接触点座標を検出し、制御部14に通知する。
ここで、図5(b)に示すように、ユ−ザの手指20が表示パネル1左側の操作ボタン画像1a以外の領域に接触している場合、制御部14は領域外と判定する。そのため、制御部14は、第1,2振動アクチュエータ7a,7bの駆動によるタッチパネル2の励振を行わない。
【0019】
一方、ユ−ザの手指20が+x方向に移動して符号30で示す軌跡を進み、図5(c)に示すように操作ボタン画像1aに達すると、制御部14は領域内と判定する。そして、実施の形態1の制御部14では、第1アクチュエータ駆動部13a又は第2アクチュエータ駆動部13bに制御信号を送り、第1振動アクチュエータ7a又は第2振動アクチュエータ7bを駆動させる。ここで、手指20のなぞり動作による軌跡30が図5に示すとおりX軸に並行な場合、制御部14は、第1振動アクチュエータ7aを駆動させて、タッチパネル2をX軸方向に励振する。その後、ユ−ザの手指20が引続き操作ボタン画像1aの領域内で移動する場合には第1振動アクチュエータ7aの駆動を継続させる。
【0020】
一方、図5(d)の示すように、ユ−ザの手指20が操作ボタン画像1aの領域から逸脱すると、制御部14は領域外と判定する。そして、制御部14は、第1アクチュエータ駆動部13aに制御信号を送り、第1振動アクチュエータ7aの駆動を終了させる。これにより、タッチパネル2の励振が終了する。
【0021】
図5(e)は、図5(a)〜(d)に示したユ−ザの手指20の動きに伴うタッチパネル2の励振の様子を示すグラフである。図5(e)において、横軸はユ−ザの手指20のタッチパネル2上でのX軸方向の位置を示し、縦軸はタッチパネル2のX軸方向の振動による移動量を示している。
図5(e)に示すように、手指20が表示パネル1に表示された操作ボタン画像1aの領域内(領域左端x10から領域右端x20の区間)をなぞっている間は、タッチパネル2はX軸方向に励振されている。
【0022】
次に、ユ−ザの手指20が表示パネル1に表示された操作ボタン画像1aの領域内を移動する場合の詳細について図5,6を用いて説明する。
図6は、ユ−ザの手指20が操作ボタン画像1aの領域内をなぞっている間での、手指20の状態、及びそれに伴う触覚提示装置の動作を示すグラフである。図6(a)は手指20のX軸方向移動速度vを示し、図6(b)は第1振動アクチュエータ7aの励振に伴い生じるタッチパネル2のX軸方向移動量Δxを示している。図6(a),(b)において、横軸はいずれもユ−ザの手指20のタッチパネル2上でのX軸方向の位置を示している。
【0023】
図5(b)に示すように、ユ−ザの手指20が表示パネル1左側の操作ボタン画像1a以外の領域に接触し、X軸の矢印+x方向に速度v1で移動している場合には、制御部14は、第1振動アクチュエータ7aの駆動を行わない。そのため、図6(b)の領域左端x10より左側に示すように、タッチパネル2のX軸方向への振動による移動は生じない。したがって、ユ−ザの手指20には、手指20とタッチパネル2との間の摩擦による抵抗力N1が生じる。
【0024】
一方、図5(c)に示すように、ユ−ザの手指20が操作ボタン画像1aの領域左端x10に達すると、制御部14は、第1振動アクチュエータ7aを駆動させてタッチパネル2をX軸方向に励振する。そのため、図6(b)のx10〜x11に示すように、タッチパネル2はX軸方向に+x1〜−x1の振幅で往復移動する。タッチパネル2が手指20の移動方向と同じ方向に往復移動すると、タッチパネル2と手指20は相対的な静止と移動の繰り返しとなる。よって、タッチパネル2と手指20との間の摩擦は、静摩擦と動摩擦との繰り返しとなる。
ここで、静摩擦係数は動摩擦係数より大であるため、静摩擦と動摩擦との繰り返しにより発生する抵抗力N2は、動摩擦のみによる抵抗力N1に対して大きくなる。したがって、ユ−ザの手指20には、抵抗力Nの変化による触覚の変化が発生し、ユ−ザは触感の変化として知覚できる。
【0025】
次に、ユーザの手指20が操作ボタン画像1aの領域をなぞる場合に、その移動速度が変動する場合の動作について説明する。
図6(c)は図6(b)の横軸を時間tで表わしたものである。図6(d)はユ−ザの手指20がタッチパネル2から受ける抵抗力Nを示している。図6(d)において、横軸は、図6(a),(b)同様、ユ−ザの手指20のタッチパネル2上でのX軸方向の位置を示している。
【0026】
図6(a)に示すように、ユーザの手指20が操作ボタン画像1aの領域内の任意位置x11に達した後、手指20の+x方向への移動速度が速度v1から徐々に低下すると、図6(c)のt11〜t12に示すように、第1振動アクチュエータ7aの励振によるタッチパネル2のX軸方向への往復移動時間周期は徐々に長くなる。そのため、タッチパネル2と手指20の間に生じる静摩擦と動摩擦との繰り返しの頻度は少なくなり、図6(d)のx11〜x12に示すように、発生する抵抗力Nは徐々に減少する。
そして、図6(a)のx12に示すように、手指20の移動が停止すると、制御部14は、第1振動アクチュエータ7aの駆動を停止させてタッチパネル2のX軸方向への励振を終了する。そのため、図6(d)の位置x12に示すように、タッチパネル2と手指20との間の抵抗力Nは0となる。
【0027】
その後、図6(a)のx12〜x13に示すように、再度、手指20の移動が再開されると、制御部14は、第1振動アクチュエータ7aの駆動を再開させる。そして、タッチパネル2と手指20の間に生じる抵抗力Nは、上述の理由により、図6(d)のx12〜x13に示すように徐々に増加する。
そして、ユーザの手指20が操作ボタン画像1aの領域右端x20に達し、操作ボタン画像1aの領域から逸脱すると、制御部14は、第1振動アクチュエータ7aの駆動を停止させる。そのため、図6(b)のx20より右側に示すように、タッチパネル2のX軸方向への振動による移動は生じない。したがって、ユーザの手指20とタッチパネル2との間の摩擦による抵抗力NはN1となる。
以上のように、表示パネル1に表示された操作ボタン画像1aの領域内をユーザの手指20がなぞり動作を行った場合に、該領域内外で触覚が変化し、また該領域内で手指20bの動きが停止した際には抵抗力Nが0となる。よって、実際に凹凸のあるボタンを手指20でなぞった場合と類似した触感を得ることができる。
【0028】
上記の動作説明では、ユ−ザの手指20がX軸方向に移動する場合に、第1振動アクチュエータ7aの駆動によってタッチパネル2をX軸方向に励振する場合について説明した。次に、ユ−ザの手指20の移動方向成分がX軸、Y軸ともに生じる場合について、図7を用いて説明する。
上述したように、タッチパネル駆動部12により検知したタッチパネル2上の手指20の接触点座標は制御部14に通知される。ここで、図7に示すように、ユ−ザの手指20によるなぞり動作が操作ボタン画像1aの領域内であり、その軌跡30がX軸及びY軸に対して斜めである場合、制御部14は、X軸方向への移動速度成分ΔVxとY軸方向への移動速度成分ΔVyとを比較する。そして、制御部14は、移動速度成分が大きい方向にタッチパネル2を励振する振動アクチュエータ(第1振動アクチュエータ7a又は第2振動アクチュエータ7b)のみを駆動させる。
【0029】
例えば、図7において、手指20の移動速度成分のうち、Y軸方向への移動速度成分ΔVyがX軸方向への移動速度成分ΔVxより大きい場合、制御部14は、第2アクチュエータ駆動部13bのみに制御信号を送り、第2振動アクチュエータ7bのみを駆動させる。そして、タッチパネル2はY軸方向に励振され、ユ−ザの手指20に触感を付与する。
このように、移動速度成分が大きい方向のみにタッチパネル2を励振することによって、効率的に触感を知覚させることが可能となる。
【0030】
以上のように、この実施の形態1によれば、タッチパネル2上のユ−ザの手指20の接触点座標を検出して、XY軸方向のうち手指20の移動速度成分が大きい方向にタッチパネル2を励振し、タッチパネル2上をユ−ザの手指20が移動することにより生じる抵抗力Nを変化させるように構成したので、ユ−ザは表示パネル1を見なくても、触感により操作ボタン画像1a等の領域を知覚することができる。特に実施の形態1に係る構成では、操作ボタン画像1aの領域内をユ−ザの手指20がなぞった場合に該領域内外での触覚が変化し、また該領域内で手指20の動きが停止した際には抵抗力Nが0となるため、実際に凹凸のあるボタンを手指20でなぞった場合と類似した触感を得ることができる。
【0031】
なお、実施の形態1では、第1,2振動アクチュエータ7a,7bはタッチパネル2等を支持するパネル支持部材3に配設した場合について示したが、これに限るものではなく、例えば、固定子と可動子で構成されるアクチュエ−タを用い、パネル支持部材3と下部筐体5とに掛け渡して振動を発生する構成としてもよい。
【0032】
また、実施の形態1では、タッチパネル2等を支持するパネル支持部材3が、圧縮バネで構成される弾性支持部材4により下部筐体5に柔軟に支持される場合について示したが、弾性支持部材4の形状、材質はこれに限定する必要はなく、他の構成としてもよい。
【0033】
また、実施の形態1では、表示パネル1の任意位置に操作ボタン画像1aが1つ表示される場合の動作例について示したが、操作ボタン画像1a等の表示映像は複数個であってもよく、形状、個数を限定するものではない。
【0034】
実施の形態2.
実施の形態1では、ユ−ザの手指20によるタッチパネル2上のなぞり動作の軌跡30がX軸及びY軸に対して斜めとなる場合に、X軸方向への移動速度成分ΔVxとY軸方向への移動速度成分ΔVyを比較して、移動速度成分が大きい方向にのみタッチパネル2を励振する構成について示した。それに対して、実施の形態2では、第1振動アクチュエータ7aと第2振動アクチュエータ7bとを協調して駆動させることで触感を知覚させる構成について説明する。
【0035】
図8は、ユーザの手指20が操作ボタン画像1aの領域内をX軸及びY軸に対して斜めになぞる場合(+x方向、+y方向)での、触覚提示装置の動作を説明する図である。図8(a)は要部平面図であり、表示パネル1に操作ボタン画像1aが表示された状態を示している。図8(b)は、ユ−ザの手指20が操作ボタン画像1aの領域内をなぞっている間での、第1振動アクチュエータ7aの励振に伴い生じるタッチパネル2のX軸方向移動量Δxを示し、図8(c)は第2振動アクチュエータ7bの励振に伴い生じるタッチパネル2のY軸方向移動量Δyを示している。図8(b),(c)において、横軸はいずれもユ−ザの手指20のタッチパネル2上でのX軸方向の位置を示している。その他の構成、動作等は実施の形態1と同様であるのでその説明を省略する。
【0036】
ユ−ザの手指20によるタッチパネル2上のなぞり動作の軌跡30がX軸及びY軸に対して斜め(+x方向、+y方向)であり、操作ボタン画像1aの領域内を移動する場合、制御部14は、第1,2アクチュエータ駆動部13a,13b両方に制御信号を送り、第1,2振動アクチュエータ7a,7bを共に駆動させる。このとき、図8(b)に示す第1振動アクチュエータ7aによるタッチパネル2のX軸方向への振動と、図8(c)に示す第2振動アクチュエータ7bによるタッチパネル2のY軸方向への振動とが、同位相となるように駆動制御を行う。
【0037】
次に、ユ−ザの手指20のなぞり動作の軌跡30がX軸方向には+x方向、Y軸方向には−y方向である場合について説明する。図9は、ユ−ザの手指20が操作ボタン画像1aの領域内をX軸及びY軸に対して斜めになぞる場合(+x方向、−y方向)での、触覚提示装置の動作を説明する図である。図9(a)は要部平面図であり、表示パネル1に操作ボタン画像1aが表示された状態を示している。図9(b)は、ユ−ザの手指20が操作ボタン画像1aの領域内をなぞっている間での、第1振動アクチュエータ7aの励振に伴い生じるタッチパネル2のX軸方向移動量Δxを示し、図9(c)は第2振動アクチュエータ7bの励振に伴い生じるタッチパネル2のY軸方向移動量Δyを示している。図9(b),(c)において、横軸はいずれもユ−ザの手指20のタッチパネル2上でのX軸方向の位置を示している。
【0038】
ユ−ザの手指20によるタッチパネル2上のなぞり動作の軌跡30がX軸及びY軸に対して斜め(+x方向、−y方向)であり、操作ボタン画像1aの領域内を移動する場合、制御部14は、第1,2アクチュエータ駆動部13a,13b両方に制御信号を送り、第1,2振動アクチュエータ7a,7bを共に駆動させる。このとき、図9(b)に示す第1振動アクチュエータ7aによるタッチパネル2のX軸方向への振動と、図9(c)に示す第2振動アクチュエータ7bによるタッチパネル2のY軸方向への振動とが、逆位相となるように駆動制御を行う。
【0039】
また、同様に、ユ−ザの手指20のなぞり動作の軌跡30がX軸方向に−x方向、Y軸方向に−yである場合には、制御部14は、第1振動アクチュエータ7aと第2振動アクチュエータ7bとが同位相となるよう振動制御する。また、ユ−ザの手指20のなぞり動作の軌跡30がX軸方向に−x方向、Y軸方向に+yである場合には、制御部14は、第1振動アクチュエータ7aと第2振動アクチュエータ7bとが逆位相となるよう振動制御する。
【0040】
すなわち、手指20の移動方向の座標の符号がX軸方向及びY軸方向で同じ場合には第1振動アクチュエータ7aと第2振動アクチュエータ7bとを同位相に駆動制御し、符号が異なる場合には逆位相に駆動制御する。さらに、なぞり動作の軌跡30がX軸方向に並行でY軸方向への移動成分が0の場合には、第1振動アクチュエータ7aのみを駆動させてタッチパネル2をX軸方向に励振する。また同様に、なぞり動作の軌跡30がY軸方向に並行でX軸方向への移動成分が0の場合には、第2振動アクチュエータ7bのみを駆動させてタッチパネル2をY軸方向に励振する。
この結果、ユ−ザの手指20のなぞり動作の軌跡30と、タッチパネル2の往復振動方向は略一致するので、ユ−ザに自然な触感を知覚させることが可能となる。
【0041】
以上のように、この実施の形態2によれば、第1振動アクチュエータ7aと第2振動アクチュエータ7bとを協調して駆動することで触感を知覚させるように構成したので、実施の形態1と同様の効果を得られるとともに、ユーザにより自然な触感を知覚させることができる。
【0042】
実施の形態3.
実施の形態1,2では、ユ−ザの手指20が操作ボタン画像1aの領域内をなぞる場合に、第1,2振動アクチュエータ7a,7bによるタッチパネル2の励振の振幅が手指20の移動速度に関わらず一定である構成について示した。それに対して、実施の形態3では、手指20の移動速度に応じて第1,2振動アクチュエータ7a,7bによるタッチパネル2の励振の振幅を変動させる構成について説明する。なお、以下では、手指20がX軸方向に並行な軌跡を描いて移動する場合について説明するが、Y軸方向に移動する場合や、X軸方向及びY軸方向に対して斜めに移動する場合についても同様である。
【0043】
図10は、ユ−ザの手指20が操作ボタン画像1aの領域内をなぞっている場合での、手指20の状態、及びそれに伴う触覚提示装置の動作を説明するグラフである。図10(a)は手指20のX軸方向移動速度vを示し、図10(b)は第1振動アクチュエータ7aの励振に伴い生じるタッチパネル2のX軸方向移動量Δxを示している。図10(a),(b)において、横軸はいずれもユ−ザの手指20のタッチパネル2上でのX軸方向の位置を示している。また、図10(c)は図10(b)の横軸を時間tで表わしたものである。図10(d)はユ−ザの手指20がタッチパネル2から受ける抵抗力Nを示している。図10(d)において、横軸は、図10(a),(b)同様、ユ−ザの手指20のタッチパネル2上でのX軸方向の位置を示している。その他の構成、動作等は実施の形態1,2と同様であるのでその説明を省略する。
【0044】
ユ−ザの手指20が操作ボタン画像1aの領域をなぞる場合、制御部14は手指20が領域内を移動中と判定する。そして、制御部14は、第1アクチュエータ駆動部13aに制御信号を送り、第1振動アクチュエータ7aを駆動させる。このとき、第1振動アクチュエータ7aの振動振幅を、手指20の移動速度に応じて変動制御する。すなわち、手指20の移動速度が高い場合は振動振幅を大きく、移動速度が低い場合は振動振幅を小さく制御する。
【0045】
ここで、図10(a)に示すように、ユ−ザの手指20が操作ボタン画像1aの領域内の任意位置x11に達した後、手指20の+x方向への移動速度が速度v1から徐々に低下する場合には、図10(b)のx11〜x12に示すように、第1振動アクチュエータ7aの振動振幅は徐々に低下する。この結果、図10(c)のt11〜t12に示すように、第1振動アクチュエータ7aの励振によるタッチパネル2のX軸方向への往復移動時間周期は徐々に長くなり、かつ往復移動の振幅も徐々に小さくなる。このため、タッチパネル2と手指20の間に生じる静摩擦と動摩擦との繰り返しの頻度は少なくなるとともに、タッチパネル2の振動自体が小さくなるので、発生する抵抗力Nを確実に小さくすることができる。
その他の動作に関しては上記実施の形態1,2と同様であるので省略する。
【0046】
以上のように、この実施の形態3によれば、表示パネル1に表示された操作ボタン画像1aの領域内をユ−ザの手指20がなぞり動作を行った場合に該領域内外での触覚を変化させ、手指20の移動速度に応じて触感(振動振幅)を変動させるように構成したので、実際に凹凸のあるボタンを手指20でなぞった場合と類似した触感を確実に得ることができる。
【0047】
実施の形態4.
実施の形態1,2では、ユ−ザの手指20が操作ボタン画像1aの領域内をなぞる場合に、第1,2振動アクチュエータ7a,7bによるタッチパネル2の励振の周期が手指20の移動速度に関わらず一定である構成について示した。また、実施の形態3では、手指20の移動速度に応じて第1,2振動アクチュエータ7a,7bによるタッチパネル2の励振の振幅を変動させる構成について示した。それに対して、実施の形態4では、手指20の移動速度に応じて第1,2振動アクチュエータ7a,7bによるタッチパネル2の励振の周期を変動させる構成について説明する。なお、以下では、手指20はX軸方向に並行な軌跡を描いて移動する状態を説明するが、Y軸方向に移動する場合や、X軸方向及びY軸方向に対して斜めに移動する場合についても同様である。
【0048】
図11は、ユ−ザの手指20が操作ボタン画像1aの領域内をなぞっている間での、手指20の状態、及びそれに伴う触覚提示装置の動作を説明するグラフである。図11(a)は手指20のX軸方向移動速度vを示し、図11(b)は第1振動アクチュエータ7aの励振に伴い生じるタッチパネル2のX軸方向移動量Δxを示している。図11(a),(b)において、横軸はいずれもユ−ザの手指20のタッチパネル2上でのX軸方向の位置を示している。また、図11(c)は図11(b)の横軸を時間tで表わしたものである。図11(d)はユ−ザの手指20がタッチパネル2から受ける抵抗力Nを示している。図11(d)において、横軸は図11(a),(b)同様、ユ−ザの手指20のタッチパネル2上でのX軸方向の位置を示している。その他の構成、動作等は実施の形態1−3と同様であるのでその説明を省略する。
【0049】
ユ−ザの手指20が操作ボタン画像1aの領域をなぞる場合、制御部14は手指20が領域内を移動中と判定する。そして、制御部14は、第1アクチュエータ駆動部13aに制御信号を送り、第1振動アクチュエータ7aを駆動させる。このとき、第1振動アクチュエータ7aの振動周期を、手指20の移動速度に応じて制御する。すなわち、手指20の移動速度が高い場合は振動周期を短く、移動速度が低い場合は振動周期を長く制御する。
【0050】
図11(a)に示すように、ユ−ザの手指20が操作ボタン画像1aの領域内の任意位置x11に達した後、手指20の+x方向への移動速度が速度v1から徐々に低下する場合には、図11(b)のx11〜x12に示すように、第1振動アクチュエータ7aの振動周期は徐々に拡大する。この結果、図10(c)のt11〜t12に示すように、第1振動アクチュエータ7aの励振によるタッチパネル2のX軸方向への往復移動時間周期は徐々に長くなる。このため、タッチパネル2と手指20の間に生じる静摩擦と動摩擦との繰り返しの頻度は少なくなる。
【0051】
ここに示す実施の形態4では、実施の形態1に示した、第1,2振動アクチュエ−タ7a,7bによるタッチパネル2の励振の周期が手指20の移動速度に関わらず一定の場合と比較して、手指20の移動速度低下によってタッチパネル2の振動周期が一層長くなるので、発生する抵抗力Nを確実に小さくすることができる。
その他の動作に関しては上記実施の形態1−3と同様であるので省略する。
【0052】
以上のように、この実施の形態4によれば、表示パネル1に表示された操作ボタン画像1aの領域内をユ−ザの手指20がなぞり動作を行った場合に該領域内外での触覚を変化させ、手指20の移動速度に応じて触感(振動周期)を変動させるように構成したので、実際に凹凸のあるボタンを手指20でなぞった場合と類似した触感を確実に得ることができる。
【0053】
なお、実施の形態3,4では、手指20の移動方向をX軸方向に限定した場合の動作について説明したが、手指20の移動方向成分がX軸、Y軸の双方に発生する場合は、実施の形態1,2に示すよう制御すればよく、同様の効果を奏する。
【0054】
また、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 表示パネル、1a 操作ボタン画像、2 タッチパネル、3 パネル支持部材、4 弾性支持部材、5 下部筐体、6 上部筐体、7a,7b 第1,2振動アクチュエータ、11 表示パネル駆動部、12 タッチパネル駆動部、13a,13b 第1,2アクチュエータ駆動部、14 制御部、20 手指、30 軌跡。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報を表示する表示パネルと、
前記表示パネル面上に設けられ、物体が接触した位置座標を検出するタッチパネルと、
前記タッチパネルを接触面に水平な第1の方向に励振する第1振動アクチュエータと、
前記タッチパネルを接触面に水平かつ前記第1の方向と直交する第2の方向に励振する第2振動アクチュエータと、
前記表示パネルの所定画像情報が表示された領域内において、物体が前記タッチパネルに接触して移動している場合には前記第1振動アクチュエータ及び/又は前記第2振動アクチュエータを駆動し、物体が停止している場合又は物体が接触していない場合には前記第1,2振動アクチュエータを停止する制御部と
を備えた触覚提示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記物体の第1の方向速度成分と第2の方向速度成分とを比較して、速度成分が大きい方向に前記タッチパネルを励振する前記振動アクチュエータを駆動する
ことを特徴とする請求項1記載の触覚提示装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記物体の第1の方向速度成分及び第2の方向速度成分の座標の符号が同じの場合には前記第1,2振動アクチュエータを同位相で駆動し、符号が異なる場合には前記第1,2振動アクチュエータを逆位相で駆動する
ことを特徴とする請求項1記載の触覚提示装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記物体の移動速度に応じて、駆動する前記第1振動アクチュエータ及び/又は前記第2振動アクチュエータの振動振幅を制御する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の触覚提示装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記物体の移動速度に応じて、駆動する前記第1振動アクチュエータ及び/又は前記第2振動アクチュエータの振動周期を制御する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の触覚提示装置。
【請求項1】
画像情報を表示する表示パネルと、
前記表示パネル面上に設けられ、物体が接触した位置座標を検出するタッチパネルと、
前記タッチパネルを接触面に水平な第1の方向に励振する第1振動アクチュエータと、
前記タッチパネルを接触面に水平かつ前記第1の方向と直交する第2の方向に励振する第2振動アクチュエータと、
前記表示パネルの所定画像情報が表示された領域内において、物体が前記タッチパネルに接触して移動している場合には前記第1振動アクチュエータ及び/又は前記第2振動アクチュエータを駆動し、物体が停止している場合又は物体が接触していない場合には前記第1,2振動アクチュエータを停止する制御部と
を備えた触覚提示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記物体の第1の方向速度成分と第2の方向速度成分とを比較して、速度成分が大きい方向に前記タッチパネルを励振する前記振動アクチュエータを駆動する
ことを特徴とする請求項1記載の触覚提示装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記物体の第1の方向速度成分及び第2の方向速度成分の座標の符号が同じの場合には前記第1,2振動アクチュエータを同位相で駆動し、符号が異なる場合には前記第1,2振動アクチュエータを逆位相で駆動する
ことを特徴とする請求項1記載の触覚提示装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記物体の移動速度に応じて、駆動する前記第1振動アクチュエータ及び/又は前記第2振動アクチュエータの振動振幅を制御する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の触覚提示装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記物体の移動速度に応じて、駆動する前記第1振動アクチュエータ及び/又は前記第2振動アクチュエータの振動周期を制御する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の触覚提示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−97438(P2013−97438A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237337(P2011−237337)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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