説明

言語習得用の学習玩具

【課題】すべての学習者に言葉の多様性とその言葉がつながる表現の面白さを提示する学習玩具を提供する。
【解決手段】複数の多面体に同音異義語や類義語をその各面に置く。正六面体の多面体1の周辺をポケット構造を持ったフィルムやシートからなる透明体2a・2bで覆い、透明体2aと透明体2bにカード3a・3b・3c・3d・3e・3fを挿入する。この複数のカード3a〜3fには漢字やその読み方、描画や写真、英単語などがそれぞれ記載されている。透明体2aで正六面体の周囲を覆うことにより4面を、さらに他の方向からもうひとつの透明体2bによって覆うことにより6面すべてを覆う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外国語学習者に同義語や同音異義語など同類とみなされるグループの文字ならびにそれに関連する絵や写真を多面体の表面に配置することで、目で見てその言葉の多様性を実感し、さらに手にとってそれらを組み合わせることで言葉の表現を楽しく好奇心をもって学習できるように作られたものである。
【背景技術】
【0002】
ブロックを用いた外国語習得用の遊戯具がある。直方体の前部一面にアルファベット文字を配置し、上部一面に読み取り用バーコードを配置したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−268525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の外国語習得用の遊戯具には同義語や同音異義語を多面体の上に、ひとつのまとまりのグループあるいはカテゴリー別に表示するということはなく多面体のもつ視覚効果の優位性と言語学的知識が関連づけて活かされることはなかったと言える。本発明の目的は外国の日本語学習者および日本の外国語学習者に言葉の多様性と個々の言葉が偶発的につながることによって生まれる言葉の表現というものの面白さを提示し、その学習に役立ててもらおうというものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、複数の多面体に同じ読み方で異なる意味を持つ言葉、すなわち同音異義語、あるいは似かよった意味を持つ言葉すなわち同義語を多面体の外部の透明体の各面に配置する。たとえば、日本語の漢字の学習の場合は、多面体が正六面体であるならば六面の内の一面には「読み」を、残り五面には同音意義の漢字をそれぞれ配置し、同じ発音でも様々な漢字があることと組み合わせの多様性があることを目で見て認識し、手にとって遊んで日本語を学ぶ者にとって最も困難な壁とされる漢字に慣れ親しんでゆけるように作られている。立方体の構成について関しては、その周囲に薄い透明体をもって、配置された文字ならびに描画の差し替え用の利便を図る工夫を凝らしているので後々さらに深く学習できる効果が期待できる。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、同じ読みの異なる漢字を1つの多面体を包む透明体の各面に配置したので一目で音の多義性が認識できる効果がある。
【0007】
本発明は、任意の言語の類義語を1つの多面体を包む透明体の各面に配置したので一目で言葉の多様性が認識できる効果がある。
【0008】
本発明は、描画や写真を1つの多面体を包む透明体の任意の面に配置できるので、
ことばの連想を容易にする効果がある。
【0009】
本発明は、上記の複数の多面体を重ね組み合わせることで、四字熟語や単語を学習者の自由な発想をもって遊び学ぶ効果が期待できる。
【0010】
本発明は、多面体の周囲に複数のポケット状の透明体を周回させているので、学習深度に応じて、表示内容を差し替えることで、学習者は自ら段階を上げてゆける効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施方法を示した斜視図である。
【図2】図1のA-A断面図
【図3】本発明の実施例を示す斜視図
【図4】本発明の他の実施例を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、木材と透明体を素材として利用して作成したもので、以下実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0013】
図1,図2そして図3は本発明の言語習得用の学習玩具の実施例を示す図であり、正六面体の多面体1の周辺をポケット構造を持ったフィルムやシートからなる透明体2a・2bで覆い、透明体2aと透明体2bにカード3a・3b・3c・3d・3e・3fを挿入する。この複数のカード3a 〜3fには図3に示すように漢字やその読み方、描画や写真、英単語などがそれぞれ記載されている。透明体2aで正六面体の周囲を覆うことにより4面を、さらに他の方向からもうひとつの透明体2bによって覆うことにより6面すべてを覆うことができる。これを補足して説明すると、図3に示すように、正六面体1の異なる2方向、互いに向かって90度の方向から透明体2aと2bを装着することで全ての面を余すことなくカバー出来る作りになっている。
次に、本発明の学習玩具の使用方法について述べる。図1の正面のカード3bには漢字が記載されており、学習者はその漢字を見て対応する読みを考える。その後、多面体1を回転させると漢字に対応する読みが記載されているカード3aを見て内容を確認することができる。
学習内容として図3のように英語などの外国語の学習も可能である。図3のカード3bには人物(例として源義経)の描画カードがあるが、そこから連想できるカード3a「すばやい」=カード3f「nim ble」のように「quick」「rapid」「lightning」など類義語をそれぞれの面に配置することができる。日本語ではどれも「すばやい」の意であるがニュアンスがそれぞれ異なることを学習者は認識する機会を得ることが出来る。また、カードや透明体の色を多面体ごとに変えることにより学習効果を高めることが出来る。
【実施例2】
【0014】
図4のように多面体の一部または全部あるいはカードに磁性体または磁石を設けることにより固定や保管を容易にすることが出来る。
多面体は実施例では正六面体を示しているが、正八面体以上にすればさらに多くの学習内容の提示が可能であると思われる。
また、正多面体の構造の効果として挙げられることは、例えば漢字の四字熟語を机の上で積み上げながら表示するときにそれら一個一個をバランスよく重ねられ、学習者の正面から目で確認しやすいということである。
【産業上の利用可能性】
【0015】
製品化にあたり、木材を使うことは利点がいくつかある。まず、プラスチック製品よりも環境にやさしい製品であるということ。次に、木の持つ独特の柔らかい雰囲気と飽きのこないシンプルさを持つということ。最後に、最も生産の設備と手間がかからないということである。
【符号の説明】
【0016】
1 多面体
2a・2b 透明体
3a〜3f カード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多面体と、その多面体の周囲の一部または全部を覆う透明体と、前記透明体の内部に差し替え可能に設けた複数のカードとを備え、前記カードのそれぞれに関連する学習情報を記載したことを特徴とする学習玩具。
【請求項2】
透明体はポケット構造を備えたことを特徴とする請求項1記載の学習玩具。
【請求項3】
正六面体の一面に日本語を表記したカードを配置し、他の面にその日本語に対応する英語の類義語のカードを配置した請求項1〜2のいずれか1項に記載の学習玩具。
【請求項4】
正六面体の一面に絵もしくは写真のカードを配置し、他の面にそれらの絵や写真から連想される英語のカードを配置した請求項1〜3のいずれか1項に記載の学習玩具。
【請求項5】
正六面体の一面に日本語のかなを表記したカードを配置し、他の面に同じ発音で意味の異なる複数の漢字のカードを配置した請求項1〜4のいずれか1項に記載の学習玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−16399(P2012−16399A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154098(P2010−154098)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(710006725)
【Fターム(参考)】