説明

計時装置および計時方法、並びにプログラム

【課題】面倒な操作と高精度の発振子を必要とすることなく、現在時刻のズレを防止する。
【解決手段】時刻計時部31は、現在時刻を計る。経過時間カウンタ35は、時刻計時部31で計られている現在時刻の前回の補正から経過した時間である補正経過時間を計る。基準時間取得部36は、CDの音声が再生された場合、SUB-Qコードで示される基準時間を取得する。補正部37は、基準時間で示される所定の長さの期間である基準期間における時刻計時部31により計時される期間である単位経過時間と基準期間との差、および補正経過時間から、時刻計時部31で計られる現在時刻の進みまたは遅れを補正する。本発明は、カーオーディオ機器に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は計時装置および計時方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
カーオーディオ装置などに設けられている時計は、GPS(global positioning system)により時刻データを人工衛星から受信するカーナビゲーションシステムとは異なり、内部に実装されている水晶発振子の発振周波数を基準として、マイクロコンピュータにより周期を時間に変換して現在時刻を求めて、現在時刻を表示させる。この場合、現在時刻は、時間と分とで表示される。
【0003】
図5は、従来のカーオーディオ装置のうち、時刻を表示する機能の構成を示すブロック図である。水晶発振子100は、ある固定の発振周波数で発振する。水晶発振子100の2つの端子は、それぞれ、発振安定用のコンデンサ101−1およびコンデンサ101−2の一方の端子に接続されると共に、マイクロコンピュータ102に接続されている。コンデンサ101−1およびコンデンサ101−2の他方の端子は接地されている。
【0004】
マイクロコンピュータ102は、水晶発振子100から供給される固定の発振周波数の信号を分周して、時間に変換する。マイクロコンピュータ102は、得られた時間から現在時刻を求めて、現在時刻の時間および分を示すデータを表示ドライバ103に供給する。表示ドライバ103は、表示器104に現在時刻を表示させる。
【0005】
従来の時計回路には、人手による時刻補正の時間間隔を記憶する第1のレジスタと、時刻の計数動作中に遅れ進みを補正する周期を記憶する第2のレジスタと、経過時刻を計数する第1のカウンタと、パルスの挿入・除去を行う補正回路とを備え、第1のレジスタの記憶値を人手による時刻補正時の遅れ進みの時刻補正値で除算し、その結果を第2のレジスタに記憶させ、第1のカウンタの計数値と第2のレジスタの記憶値とが一致したとき、遅れの補正の場合には補正回路により1パルスを挿入し、進みの補正の場合には補正回路により1パルスを除去することによって時刻の補正を行うようにしているものもある。(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平2−170088号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、水晶発振子101やコンデンサ101−1および101−2の部品精度、カーオーディオ装置がユーザに使用される環境の温度により、基準となる固定の発振周波数にズレが発生することがある。
【0008】
この発振周波数のズレにより1度時刻をあわせても、表示される現在時刻に、1日間(24時間)で数秒、1月間で数分のズレ(遅れまたは進み)が生じることがある。ユーザは、表示されている時刻のズレを認識すると、正しい時刻に合わせるために、調整モードに移行させて、正確な時計の表示を参考にしながら時刻を合わせなければならない。
【0009】
このように、表示されている時刻にズレが生じるとユーザはいちいち面倒な操作を行って、時刻をあわせなければならない。また、現在時刻のズレが生じないように、高精度で高価格な水晶発振子101を使用する必要があった。
【0010】
そこで、本発明は、上記課題を解決すること、すなわち、面倒な操作と高精度の発振子を必要とすることなく、現在時刻のズレを防止できる計時装置および計時方法、並びにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の計時装置の一側面は、現在時刻を計る現在時刻計時手段と、現在時刻計時手段で計られている現在時刻の前回の補正から経過した時間である補正経過時間を計る経過時間計時手段と、再生単位からなるコンテンツデータによるコンテンツが再生された場合、コンテンツデータに含まれている再生時間であって、それぞれの再生単位時間である基準時間を取得する取得手段と、基準時間で示される所定の長さの期間である基準期間における現在時刻計時手段により計時される期間である単位経過時間と基準期間との差、および経過時間計時手段で計時された補正経過時間から、現在時刻計時手段で計られる現在時刻の進みまたは遅れを補正する補正手段とを有するものとされている。
【0012】
また、本発明の計時装置の一側面は、上述の構成に加えて、補正手段が、1秒間である基準期間と単位経過時間との差に、1秒を単位とする補正経過時間を乗算した結果である補正時間を、現在時刻計時手段により計時される現在時刻に加算することにより、現在時刻計時手段で計られる現在時刻の進みまたは遅れを補正するものとされている。
【0013】
さらに、本発明の計時装置の一側面は、上述の構成に加えて、取得手段が、単位経過時間より長い期間である計測期間において、再生時間データで示される基準時間を取得すると共に、現在時刻計時手段から、基準時間を取得した時点の現在時刻を取得し、補正手段が、計測期間において取得した基準時間と、現在時刻計時手段から取得した現在時刻とを用いて、現在時刻計時手段で計られる現在時刻の進みまたは遅れを補正するものとされている。
【0014】
さらにまた、本発明の計時装置の一側面は、上述の構成に加えて、取得手段が、SUB−Qコードである再生時間データで示されるコンテンツの再生の時間を基準時間として取得するものとされている。
【0015】
また、本発明の計時方法の一側面は、現在時刻計時手段で計られている現在時刻の前回の補正から経過した時間である補正経過時間を計る経過時間計時ステップと、再生単位からなるコンテンツデータによるコンテンツが再生された場合、コンテンツデータに含まれている再生時間であって、それぞれの再生単位時間である基準時間を取得する取得ステップと、基準時間で示される所定の長さの期間である基準期間における現在時刻計時手段により計時される期間である単位経過時間と基準期間との差、および経過時間計時ステップで計時された補正経過時間から、現在時刻計時手段で計られる現在時刻の進みまたは遅れを補正する補正ステップとを含むものとされている。
【0016】
さらに、本発明のプログラムの一側面は、現在時刻を計る現在時刻計時手段を具備する計時装置のコンピュータに、現在時刻計時手段で計られている現在時刻の前回の補正から経過した時間である補正経過時間を計る経過時間計時ステップと、再生単位からなるコンテンツデータによるコンテンツが再生された場合、コンテンツデータに含まれている再生時間であって、それぞれの再生単位時間である基準時間を取得する取得ステップと、基準時間で示される所定の長さの期間である基準期間における現在時刻計時手段により計時される期間である単位経過時間と基準期間との差、および経過時間計時ステップで計時された補正経過時間から、現在時刻計時手段で計られる現在時刻の進みまたは遅れを補正する補正ステップとを含む処理を行わせるものとされている。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一側面によれば、面倒な操作と高精度の発振子を必要とすることなく、現在時刻のズレを防止できる計時装置および計時方法、並びにプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態の計時装置について、図1〜図4を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、計時装置の構成を説明するブロック図である。オーディオ機器1は、車載用のCD(compact disc)プレーヤ、DVD(digital versatile disc)プレーヤ、またはMD(MiniDisc)プレーヤなどのいわゆるカーオーディオ機器である。オーディオ機器1は、装着されたCD、DVD、またはMDに記録されている、音声または映像などのコンテンツを再生する。また、オーディオ機器1は、現在時刻を計時し、現在時刻の時間、分、および秒を表示する。オーディオ機器1は、計時装置の一例である。オーディオ機器1は、水晶発振子11、コンデンサ12−1および12−2、マイクロコンピュータ13(以下、マイコン13と称する)、表示ドライバ14、表示器15、バス16、入力部17、ドライブ18、復号部19、並びに出力部20を具備する。水晶発振子11は、所定の発振周波数で発振する。水晶発振子11の2つの端子は、それぞれ、発振安定用のコンデンサ12−1および12−2の一方の端子に接続されると共に、マイコン13の所定の入力ポートに接続されている。コンデンサ12−1および12−2の他方の端子はそれぞれ接地されている。
【0020】
マイコン13は、内蔵されているROM(read only memory)またはRAM(random access memory)に記憶されているプログラムを実行する。マイコン13は、水晶発振子11から供給される所定の発振周波数の信号を分周して、時間に変換する。マイコン13は、得られた時間から現在時刻を求めて、現在時刻の時間および分を示すデータを表示ドライバ14に供給する。表示ドライバ14は、専用のIC(integrated circuit)などからなり、表示器15に現在時刻を表示させるための信号を供給する。表示器15は、蛍光表示管、液晶表示装置、EL(electro luminescence)表示装置、またはLED(light emitting diode)表示装置などからなり、表示ドライバ14から供給された信号に基づいて、現在時刻の時間および分を表示する。
【0021】
また、マイコン13は、バス16を介して、ボタンやダイヤル、タッチパネルなどからなる入力部17、コンパクトディスク21(以下、CD21と称する)やDVD、またはMDを駆動して音声信号などの信号を読み取るドライブ18、CD21やDVD、またはMDから読み出された音声信号などの信号を復号する復号部19、および復号された音声信号を出力する出力部20に接続されている。マイコン13は、ユーザの操作に応じた入力部17からの信号を取得して、取得した信号に応じて、ドライブ18、復号部19、および出力部20を制御する。
【0022】
図2は、マイコン13がプログラムを実行することによって実現される機能の構成を示すブロック図である。すなわち、マイコン13のプログラムの実行により、時刻計時部31、修正部32、入力制御部33、再生制御部34、経過時間カウンタ35、基準時間取得部36、および補正部37が実現される。
【0023】
時刻計時部31は、水晶発振子11から供給される所定の発振周波数の信号を分周して、時間に変換し、得られた時間から現在時刻を求めて、現在時刻の時間および分を示すデータを表示ドライバ14に供給する。修正部32は、ユーザの操作に応じた入力部17からの信号を基に、時刻計時部31で計時する現在時刻を修正する。入力制御部33は、入力部17を制御し、ユーザの操作に応じた信号の取得を制御する。
【0024】
再生制御部34は、ドライブ18、復号部19、および出力部20を制御することで、ドライブ18に装着されているCD21やDVD、またはMDに記録されている音声信号などの信号の再生を制御する。
【0025】
経過時間カウンタ35は、時刻計時部31から供給される1秒を単位とする信号を基に、1秒を単位としてカウントアップするカウンタであり、時刻計時部31で計られている現在時刻の前回の補正(または修正)から経過した時間である補正経過時間を計る。基準時間取得部36は、ドライブ18に装着されているCD21に記録されている音声信号が再生された場合、CD21に記録されている音声信号に含まれているSUB-Qコードで示される音声の再生時間を基準時間として復号部19から取得する。すなわち、基準時間取得部36は、経過する時間毎に再生される再生単位からなるコンテンツデータによって、時間的に連続するコンテンツが再生された場合、コンテンツデータに含まれている再生時間データで示される時間であって、それぞれの再生単位の再生の時間である基準時間を取得する。
【0026】
補正部37は、SUB-Qコードで示される基準期間(例えば1秒間)における時刻計時部31により計時される期間である単位経過時間と基準期間との差、および経過時間カウンタ35で計時された補正経過時間から、時刻計時部31で計られる現在時刻の進みまたは遅れを補正する。言い換えれば、補正部37は、基準時間で示される所定の長さの期間である基準期間における時刻計時部31により計時される期間である単位経過時間と基準期間との差、および経過時間カウンタ35で計時された補正経過時間から、時刻計時部31で計られる現在時刻の進みまたは遅れを補正する。
【0027】
補正部37は、カウンタ制御部41、補正時間演算部42、および時刻補正部43を含む。カウンタ制御部41は、経過時間カウンタ35をリセットしたり、経過時間カウンタ35のカウントを開始させるなど、経過時間カウンタ35を制御する。補正時間演算部42は、SUB-Qコードで示される基準期間(例えば1秒間)における時刻計時部31により計時される期間である単位経過時間と基準期間との差を演算する。また、補正時間演算部42は、演算された差と経過時間カウンタ35で計時された補正経過時間とから、時刻計時部31で計られる現在時刻の進みまたは遅れを補正するための補正時間を演算する。
【0028】
時刻補正部43は、時刻計時部31で計られる現在時刻から、補正時間演算部42において求められた補正時間を加減することにより、時刻計時部31で計られる現在時刻の進みまたは遅れを補正する。
【0029】
図3は、時刻の修正の処理の一例を説明するフローチャートである。ステップS101において、ユーザが、入力部17に設けられている、時計調整モードへの移行を指示するボタンを押圧すると、入力制御部33は、押圧されたボタンに応じた信号を入力部17から取得し、取得した信号に応じた指示を時刻計時部31に供給する。ステップS201において、時刻計時部31は、入力制御部33からの指示に応じて、時計調整モードに移行する(時計調整モードに遷移する)。
【0030】
時計調整モードに移行すると、ステップS202において、時刻計時部31は、表示ドライバ14に供給する信号を、例えば、2秒の周期でオンとオフとを繰り返すように、断続的に変化させることにより、表示器15で表示される時計表示を点滅させる。このように、時計調整モードにおいて、時計表示は点滅する。
【0031】
ステップS102において、ユーザが、入力部17に設けられている時間調整ボタンを押圧して、時間の修正を指示すると、時計調整モードなので、入力制御部33は、時間調整ボタンに応じた信号を入力部17から取得し、取得した信号に応じた指示を修正部32に供給する。ステップS203において、修正部32は、時間の修正が指示されたか否かを判定し、時間の修正が指示されていないと判定された場合、手続きはステップS204に進み、いずれのボタンも操作されることなく、前回の指示から20秒が経過したか否かを判定する。ステップS204において、20秒が経過していないと判定された場合、手続きはステップS203に戻る。ステップS203において、時間の修正が指示されたと判定された場合、手続きはステップS205に進み、修正部32は、ユーザからの指示に応じて、時刻計時部31の示す現在時刻の時間を修正する。ステップS205の後、手続きは、ステップS206に進む。ステップS204において、20秒が経過したと判定された場合、手続きはステップS212に進む。
【0032】
ステップS103において、ユーザが、入力部17に設けられている分調整ボタンを押圧して、分の修正を指示すると、時計調整モードなので、入力制御部33は、分調整ボタンに応じた信号を入力部17から取得し、取得した信号に応じた指示を修正部32に供給する。ステップS206において、修正部32は、分の修正が指示されたか否かを判定し、分の修正が指示されていないと判定された場合、手続きはステップS207に進み、いずれのボタンも操作されることなく、前回の指示から20秒が経過したか否かを判定する。ステップS207において、20秒が経過していないと判定された場合、手続きはステップS206に戻る。ステップS206において、分の修正が指示されたと判定された場合、手続きはステップS208に進み、修正部32は、ユーザからの指示に応じて、時刻計時部31の示す現在時刻の分を修正する。ステップS208の後、手続きは、ステップS209に進む。ステップS207において、20秒が経過したと判定された場合、手続きはステップS212に進む。
【0033】
ステップS104において、ユーザが、入力部17に設けられている0秒調整ボタンを押圧して、秒の修正を指示すると、時計調整モードなので、入力制御部33は、0秒調整ボタンに応じた信号を入力部17から取得し、取得した信号に応じた指示を修正部32に供給する。ステップS209において、修正部32は、0秒への修正が指示されたか否かを判定し、0秒への修正が指示されていないと判定された場合、手続きはステップS210に進み、いずれのボタンも操作されることなく、前回の指示から20秒が経過したか否かを判定する。ステップS210において、20秒が経過していないと判定された場合、手続きはステップS209に戻る。ステップS209において、0秒への修正が指示されたと判定された場合、手続きはステップS211に進み、修正部32は、ユーザからの指示に応じて、時刻計時部31の示す現在時刻の秒を0秒に修正する。ステップS211の後、手続きは、ステップS212に進む。ステップS210において、20秒が経過したと判定された場合、手続きはステップS212に進む。
【0034】
ステップS212において、時刻計時部31は、表示ドライバ14に供給する信号を継続的にオンとすることにより、表示器15で表示される時計表示を継続的に点灯させる。ステップS213において、時刻計時部31は、時計調整モードを解除し、時刻表示モードに移行する(時刻表示モードに遷移する)。また、時刻計時部31は、時刻表示モードに移行したことを、補正部37に通知する。ステップS214において、補正部37のカウンタ制御部41は、時刻表示モードに移行したことの通知を受け取ると、経過時間カウンタ35をリセットすることで、経過時間カウンタ35のカウント値をクリアする。ステップS215において、補正部37のカウンタ制御部41は、1秒間を1カウントとする経過時間カウンタ35のカウントをスタートさせて、時刻の修正の処理は終了する。すなわち、経過時間カウンタ35は、時計調整モードから時刻表示モードに移行した時点からの経過時間を、1秒間を1カウントとしてカウントする。経過時間カウンタ35によるカウントは、図4のフローチャートを参照して説明する時刻の補正の処理が行われるまで継続させられる。
【0035】
次に、図4のフローチャートを参照して、時刻の補正の処理を説明する。ここでは、仮に、図3のフローチャートを参照して説明した時刻の修正の処理の実行から、1月間(30日間)経過し、時刻計時部31の示す現在時刻が、実時間(物理的に正しい時刻)から40秒だけ進んでいるものとして説明する。すなわち、実時間として2,592,000秒間経過し、実時間から40秒だけ進んでいるので、経過時間カウンタ35のカウント値は、2,592,040(60秒×60分×24時間×30日+40秒)である。経過時間カウンタ35は、時刻計時部31の1秒間を基準として、カウントするので、そのカウント値が実時間より40秒進んでいるということは、時刻計時部31は、物理的に正しい0.9999846秒を1秒間として計時していることになる。
【0036】
ステップS131において、ユーザが、ドライブ18にCD21を挿入すると、ドライブ18が、CD21が挿入されたことをバス16を介してマイコン13に通知するので、ステップS231において、再生制御部34は、CD21の再生を開始させる。すなわち、再生制御部34は、ドライブ18に、CD21の駆動を開始させて、CD21に記録されている音声信号の読み取りを開始させる。ドライブ18は、読み取った音声信号を復号部19に供給する。また、再生制御部34は、復号部19に音声信号の復号を開始させる。復号部19は、CD21に記録されている音声信号に含まれているSUB-Qコードを基準として、音声信号を復号する。復号部19は、復号された音声信号を出力部20に供給する。再生制御部34は、出力部20に、復号部19から供給された、復号された音声信号の出力を開始させる。ここで、SUB-Qコードは、CD21のセクタ毎に存在する8ビットの領域のうち、フレーム単位についての情報を示すQサブチャンネルの72ビットのDATAをいう。CD、DVD、またはMDには、SUB-Qコードまたはこれに相当するデータが記録されているので、音楽が再生されると記録されている時間データが表示される。SUB-Qコードの読み出しは、環境温度等に影響されないDSP(digital signal processor)によるデジタルサーボで常に一定条件となる。
【0037】
ステップS232において、マイコン13、すなわち基準時間取得部36は、復号部19からのSUB-Qコード内の時間(秒)データの取得を開始し、およびこれに対応する時刻のデータの時刻計時部31からの取得を開始する。言い換えれば、基準時間取得部36は、復号部19からのSUB-Qコードで示される時間の取得を開始し、および時刻計時部31からの、これに対応する時刻の取得を開始する。
【0038】
ステップS233において、マイコン13、すなわち補正部37は、他のソースが選択されたか否かを判定する。ステップS233において、他のソースが選択されていないと判定された場合、ステップS234に進み、マイコン13、すなわち補正部37は、早送りや巻き戻し動作状態ではなく通常再生で1分間以上経過したか否かを判定する。ステップS234において、通常再生で1分間以上経過していないと判定された場合、手続きはステップS233に戻り、他のソースが選択されたか否かの判定の処理を繰り返す。
【0039】
ステップS234において、通常再生で1分間以上経過したと判定された場合、手続きはステップS235に進み、マイコン13、すなわち基準時間取得部36は、再生されたSUB-Qコードで示される時間が1分間経過したときの時刻計時部31で計時される時刻を取得する。ステップS236において、マイコン13、すなわち補正部37の補正時間演算部42は、SUB-Qコードで示される1秒間に対する、時刻計時部31で計時される時間を演算し、その結果を単位経過時間として記憶する。ステップS237において、マイコン13、すなわち補正部37の補正時間演算部42は、1秒間と単位経過時間との差を演算して、その差を基準補正時間として記憶する。
【0040】
ステップS238において、マイコン13、すなわち補正部37の補正時間演算部42は、経過時間カウンタ35のカウント値と基準補正時間とを乗算し、その積を補正時間として記憶する。ステップS239において、マイコン13、すなわち補正部37の時刻補正部43は、時刻計時部31の時刻を、補正時間で補正する。
【0041】
すなわち、より具体的には、CD21から取得した1秒間(周期)と水晶発振子11で生成された1秒間(周期)とが比較され、差分が算出されることで、現在までマイコン13(時刻計時部31)が計時していた1秒間の周期が何秒速いか、遅いかを知ることができる。例えば、1月間(30日間)経過し、実時間から40秒だけ進んでいる場合、CD21から取得した1秒間(周期)と、物理的に正しい0.9999846秒である、水晶発振子11で生成された1秒間(周期)とを比較することによって、マイコン13(時刻計時部31)が物理的に正しい1秒より0.0000154秒早く計時していたことを知ることができる。これから、時刻計時部31が示している現在時刻を、この早く計時していた時間と経過時間カウンタ35で示される経過時間との積(0.0000154×2,592,040=39.92秒)だけ遅らせれば、時刻計時部31が正確な現在時刻を示すようになることがわかる。そこで、例えば、この場合、補正部37の補正時間演算部42は、時刻計時部31の時刻を39.92秒遅らせることで、2,592,040秒−39.92秒=2,592,000.08秒とし、ほぼ正確に補正する。以上は、時刻計時部31で示される現在時刻が進んでいる場合の例であるが、時刻計時部31で示される現在時刻が遅れている場合も同様に何秒遅れているかを認識して、時刻計時部31で示される現在時刻を進ませて、時刻計時部31で示される現在時刻を正確に補正することができる。
【0042】
ステップS240において、マイコン13、すなわち補正部37のカウンタ制御部41は、経過時間カウンタ35をリセットすることで、経過時間カウンタ35のカウント値をクリアする。ステップS241において、マイコン13、すなわち補正部37のカウンタ制御部41は、1秒間を1カウントとする経過時間カウンタ35のカウントをスタートさせて、時刻の補正の処理は終了する。
【0043】
一方、ステップS233において、他のソースが選択されたと判定された場合、手続きはステップS242に進み、マイコン13は、取得したSUB-Qコードで示される時間をクリアする。ステップS243において、マイコン13は、ソースとしてCD21が選択されたか否かを判定し、ソースとしてCD21が選択されるまで、判定の処理を繰り返す。ステップS243において、ソースとしてCD21が選択されたと判定された場合、手続きは、ステップS231に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0044】
時刻の補正の処理は、CD21、DVD、またはMDのいずれかが再生された場合に、毎回実行される。
【0045】
このように、CD21、DVD、またはMDのいずれかが再生されると時刻計時部31の現在時刻が補正されるので、時刻計時部31で示される現在時刻に遅れや進みが発生することがない。図3のフローチャートを参照して説明した時刻の修正の処理を1度実行することにより、カーオーディオ機器を普通に使用していれば、すなわち、CD、DVD、またはMDのいずれかを適宜再生すれば、時刻計時部31が正確な現在時刻を示すようになる。また、水晶発振子11、およびコンデンサ12−1および12−2に、高精度で高価な部品を採用する必要がなくなる。
【0046】
以上のように、時計の時刻調整の煩わしさを解消することができる。SUB-Qコードまたはこれに相当するデータ(例えば、PTS(presentation time stamp)またはDTS(decoding time stamp)など)が記録されている媒体であれば、これを利用して時刻を補正することができる。
【0047】
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0048】
コンピュータ(マイコン13)が実行するプログラムは、例えば、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)等)、光磁気ディスク、もしくは半導体メモリなどよりなるパッケージメディアであるリムーバブルメディアに記録して、あるいは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供される。
【0049】
そして、プログラムは、リムーバブルメディアをドライブ18に装着することにより、バス16を介して、マイコン13に内蔵されているROMまたはRAMなどからなる記憶部に記憶することで、マイコン13にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、図示せぬ通信部で受信し、記憶部に記憶することで、マイコン13にインストールすることができる。その他、プログラムは、記憶部にあらかじめ記憶しておくことで、マイコン13にあらかじめインストールしておくことができる。
【0050】
なお、オーディオ機器1は、カーオーディオ機器であると説明したが、据え置き式のオーディオ機器または携帯用のオーディオ機器など、音声または映像のコンテンツを再生する機能を有する機器に設けることができる。
【0051】
また、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0052】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】オーディオ機器1の構成を説明するブロック図である。
【図2】マイコン13がプログラムを実行することによって実現される機能の構成を示すブロック図である。
【図3】時刻の修正の処理の一例を説明するフローチャートである。
【図4】時刻の補正の処理の一例を説明するフローチャートである。
【図5】従来のカーオーディオ装置のうち、時刻を表示する機能の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0054】
1…オーディオ機器、11…水晶発振子、13…マイクロコンピュータ、14…表示ドライバ、15…表示器、18…ドライブ、19…復号部、21…CD、31…時刻計時部、32…修正部、33…入力制御部、34…再生制御部、35…経過時間カウンタ、36…基準時間取得部、37…補正部、41…カウンタ制御部、42…補正時間演算部、43…時刻補正部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在時刻を計る現在時刻計時手段と、
上記現在時刻計時手段で計られている現在時刻の前回の補正から経過した時間である補正経過時間を計る経過時間計時手段と、
再生単位からなるコンテンツデータによるコンテンツが再生された場合、上記コンテンツデータに含まれている再生時間であって、それぞれの上記再生単位時間である基準時間を取得する取得手段と、
上記基準時間で示される所定の長さの期間である基準期間における上記現在時刻計時手段により計時される期間である単位経過時間と上記基準期間との差、および上記経過時間計時手段で計時された上記補正経過時間から、上記現在時刻計時手段で計られる現在時刻の進みまたは遅れを補正する補正手段と
を有することを特徴とする計時装置。
【請求項2】
請求項1に記載の計時装置において、
前記補正手段は、1秒間である前記基準期間と前記単位経過時間との差に、1秒を単位とする前記補正経過時間を乗算した結果である補正時間を、前記現在時刻計時手段により計時される現在時刻に加算することにより、前記現在時刻計時手段で計られる現在時刻の進みまたは遅れを補正する
ことを特徴とする計時装置。
【請求項3】
請求項2に記載の計時装置において、
前記取得手段は、前記単位経過時間より長い期間である計測期間において、前記再生時間データで示される前記基準時間を取得すると共に、前記現在時刻計時手段から、前記基準時間を取得した時点の現在時刻を取得し、
前記補正手段は、前記計測期間において取得した前記基準時間と、前記現在時刻計時手段から取得した現在時刻とを用いて、前記現在時刻計時手段で計られる現在時刻の進みまたは遅れを補正する
ことを特徴とする計時装置。
【請求項4】
請求項1に記載の計時装置において、
前記取得手段は、SUB−Qコードである前記再生時間データで示される前記コンテンツの再生の時間を前記基準時間として取得する
ことを特徴とする計時装置。
【請求項5】
現在時刻を計る現在時刻計時手段を具備する計時装置の計時方法において、
上記現在時刻計時手段で計られている現在時刻の前回の補正から経過した時間である補正経過時間を計る経過時間計時ステップと、
再生単位からなるコンテンツデータによるコンテンツが再生された場合、上記コンテンツデータに含まれている再生時間であって、それぞれの上記再生単位時間である基準時間を取得する取得ステップと、
上記基準時間で示される所定の長さの期間である基準期間における上記現在時刻計時手段により計時される期間である単位経過時間と上記基準期間との差、および上記経過時間計時ステップで計時された上記補正経過時間から、上記現在時刻計時手段で計られる現在時刻の進みまたは遅れを補正する補正ステップと
を含むことを特徴とする計時方法。
【請求項6】
現在時刻を計る現在時刻計時手段を具備する計時装置のコンピュータに、
上記現在時刻計時手段で計られている現在時刻の前回の補正から経過した時間である補正経過時間を計る経過時間計時ステップと、
再生単位からなるコンテンツデータによるコンテンツが再生された場合、上記コンテンツデータに含まれている再生時間であって、それぞれの上記再生単位時間である基準時間を取得する取得ステップと、
上記基準時間で示される所定の長さの期間である基準期間における上記現在時刻計時手段により計時される期間である単位経過時間と上記基準期間との差、および上記経過時間計時ステップで計時された上記補正経過時間から、上記現在時刻計時手段で計られる現在時刻の進みまたは遅れを補正する補正ステップと
を含む処理を行わせるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−133896(P2010−133896A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−312330(P2008−312330)
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】