説明

計測情報伝送システム

【課題】発変電所に関する計測情報の異常の原因を速やかに通知する。
【解決手段】遠制装置3は、現地盤2から計測情報及び表示情報を取得するPI/O部31と、計測情報及び表示情報を編集し、計測情報及び状変情報として制御中継所DX4に送信する伝送制御部32とからなる。表示情報は、制御所システム6で表示すべき情報である。TM編集手段321は、計測情報のスケール変換等を行い、計測情報をTM出力手段322に出力し、計測情報に異常があれば、その旨を仮想SV処理手段323Aに通知する。仮想SV処理手段323Aは、計測情報の異常通知を受けて、仮想SV用メモリ上に状変情報を生成し、HDLC送信手段324に出力する。特に、一過性異常が通知された際には、表示状変情報を生成する。表示状変情報は、発変電所で故障が発生したことを示し、30ms間隔でサンプリングされ、200ms単位でまとめて送信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔監視制御装置から制御所の監視装置へ、発変電所に関する計測情報の一過性異常を通知するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ダム等を含む発変電所の電圧、電流、水位等の計測情報は、遠隔監視制御装置(以下、「遠制装置」という)から計測用データパケットにより制御所に伝送され、制御所において計測情報を監視している。
この計測情報は計測対象によって2秒又は30秒の周期で伝送されるが、その伝送値に何らかの原因で異常があった場合、その異常の種別に応じた状態変化情報(以下、「状変情報」という)が計測異常検出データパケットにより伝送される。そして、例えば、次に示すような計測異常種別コードが設けられている。なお、Hは16進数表現であることを示す。
(1)09H:子局エラー集約情報
(2)21H:高速( 2秒周期)計測情報異常
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−46659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
制御所では、状変情報を受信した場合、以下のような警報及び表示が行われ、監視・制御者(以下、「当直員」という)に警告される。
(1)09H:異常情報受信時に検出(異常な計測ワードは特定不可)
→「計測異常」のメッセージ表示及び警報鳴動
(2)21H:2秒周期での伝送受信時に検出
異常な計測ワードにフラグ(F1)が付加され特定可能
→計測情報の値が赤色表示及び警報鳴動
その状変情報が示す異常のうち、現地の計測回路へのサージノイズ混入等、再現性がほとんどない異常には、対応のしようがないが、潜在的な異常による定期的又は非定期的な瞬時故障には、監視や制御に支障を来たすおそれがあるため、現地における修理対応が求められる。
【0005】
当直員は、警報鳴動によって計測情報の異常を感知することとなるが、現地設備の故障等、一定時間以上継続する異常であれば、どの計測項目に異常が生じているかを特定できる。ところが、例えば、継続時間が2秒未満である一過性異常の場合には、異常種別コードが09Hの状変情報により、計測情報に異常が発生したことは送信できるものの、この一過性異常が21Hの状変情報の送信の間に生じた場合には、異常の詳細を状変情報で送信できないため、制御所でその詳細を知ることができない。
【0006】
なお、特許文献1には、遠隔監視制御装置において、機器制御装置から、無人化されたプラントの状況を示す状況信号を受信し、その状況に基づいてプラントの状態を診断し、異常事態が発見されたときに、保守員が携帯する携帯端末に警告を通知することが開示されている。
【0007】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、発変電所に関する計測情報の異常の原因を速やかに通知することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、計測情報伝送システムであって、発変電所に関する計測情報を取得する遠隔監視制御装置と、前記遠隔監視制御装置から前記計測情報を受信し、表示する監視装置と、を備え、前記遠隔監視制御装置が、前記取得した計測情報に異常があるか否か及び異常がある場合にその内容を判定する異常判定手段と、所定の時間間隔の各時点で、当該時点において、前記異常判定手段により異常があると判定されたか否か、及び、異常があると判定された場合にその異常内容を示す情報を前記監視装置に送信する異常情報送信手段と、前記発変電所における状態変化を示す状態変化情報を、前記所定の時間間隔より短い時間間隔で前記監視装置に送信する状態変化情報送信手段と、前記状態変化情報に、前記計測情報における異常の内容を示す計測異常データを設定する際のデータ形式を記憶する第1データ形式記憶手段と、前記異常判定手段により異常があると判定された場合に、前記データ形式に従って、前記状態変化情報送信手段により前記監視装置に送信される前記状態変化情報に前記計測異常データを設定する計測異常データ設定手段と、を備え、前記監視装置が、前記データ形式を記憶する第2データ形式記憶手段と、前記遠隔監視制御装置から前記状態変化情報を受信したときに、前記データ形式に従って、当該受信した状態変化情報に設定された前記計測異常データを表示する計測異常データ表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
遠隔監視制御装置において、状態変化情報は、200ms周期により伝送される。この構成によれば、遠隔監視制御装置は、その状態変化情報のデータ形式及び伝送周期を利用して、計測情報の異常を示す情報を監視装置に送信する。これによれば、制御所に対して、計測値の異常情報を速やかに通知することができる。そして、一部追加したデータ形式に従って処理するので、既存システムの改変を抑制することができる。
【0010】
また、本発明の上記計測情報伝送システムにおいて、前記計測情報は、前記発変電所の各部位に関する計測値を示す計測ワードを含み、前記計測異常データは、前記計測ワードごとに、異常の有無を示す表示ワードと、前記計測ワードごとに、異常の有無が変化したか否かを示す変化ワードと、を含むこととしてもよい。
【0011】
この構成によれば、計測異常データには、各計測値を示す計測ワードに関して、異常があるか否かを示す表示ワードと、前回の通知から比べて、異常の有無が変化した否かを示す変化ワードとを有する。異常の有無が変化したということは、いずれかの計測ワードの異常が新たに発生したか、又は、異常から正常に復帰したことを意味する。これによれば、瞬時に発生又は復帰する計測値の異常があっても、制御所の監視装置において、変化ワードにより、異常になった、又は、正常に戻った計測項目を容易に特定でき、その計測項目に対応する表示ワードにより、最新の状態が異常か、正常かを容易に特定することができる。
【0012】
その他、本願が開示する課題及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、発変電所に関する計測情報の異常の原因を速やかに通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】計測情報伝送システム1の構成を示す図である。
【図2】遠制装置3の機能ブロックの構成を示す図である。
【図3】計測情報が異常な場合に伝送される情報を示す図である。
【図4】計測情報の異常が付加される表示状変情報を示す図であり、(a)は表示ワードのビット構成を示し、(b)は変化位置ワードのビット構成を示す。
【図5】計測情報の異常が復帰した場合に伝送される情報を示す図である。
【図6】計測情報の異常が復帰したことが付加される表示状変情報を示す図であり、(a)は表示ワードのビット構成を示し、(b)は変化位置ワードのビット構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を説明する。本発明の実施の形態に係る計測情報伝送システムは、遠制装置が、発変電所に関する計測情報を取得し、その計測情報の一過性異常を検出したときに、発変電所における故障を示す表示状変情報のデータ形式及び伝送周期(例えば、200ms)に則って、状変情報(状態変化情報)を作成し、制御所システムに送信し、一方、制御所システムは、遠制装置から状変情報を受信し、上記のデータ形式に従って状変情報を表示するものである。この場合、遠制装置及び制御所システムにおいて、表示状変情報の既存形式に計測情報の異常を表す新たな形式を追加したデータ形式を予め定義し、記憶しておく。これによれば、計測情報の一過性異常の原因を速やかに制御所システムに通知することができる。
【0016】
≪システムの構成と概要≫
図1は、計測情報伝送システム1の構成を示す図である。計測情報伝送システム1は、発変電所のある現地で計測された情報を制御所に伝送するシステムであり、現地盤2、遠制装置3、制御中継所DX4、制御所DX5及び制御所システム6を備える。各装置は、専用回線等を介して通信可能に接続される。
【0017】
現地盤2は、ダムを含む発変電所に設置される計測機器や主配電盤であり、電圧、電流、水位等を計測し、計測情報として遠制装置3に送信する。現地盤2と、遠制装置3との間には、データ伝送を中継する端子台が設けられる。遠制装置3は、現地盤2から計測情報を受信し、計測対象に応じて2秒又は30秒の周期により、計測情報を制御中継所DX4に送信するとともに、受信した計測情報に異常があるか否かを確認し、異常があれば、その異常に応じた状変情報(例えば、異常種別コードが21Hである、2秒周期の計測異常検出データパケット)を生成し、制御中継所DX4に送信する。なお、計測情報の正否確認には、数値に対する上下限チェックや、スケール変換後のオーバーフローチェック等がある。
【0018】
制御中継所DX4は、制御中継所に設置されたデータ集配信装置であり、遠制装置3から計測情報や状変情報を受信し、制御所DX5に送信する。制御所DX5は、制御所に設置されたデータ集配信装置であり、制御中継所DX4から計測情報や状変情報を受信し、制御所システム6に送信する。制御所システム6は、制御所に設置された、発変電所の監視システムであり、制御所DX5から計測情報や状変情報を受信し、ディスプレイに表示する。図1では、計測情報に含まれるダム水位である「10.8m」が表示された様子を示す。
【0019】
計測情報伝送システム1の特徴は、計測情報の異常を通知する際に、表示状変情報(14H)を利用することである。表示状変情報は、何も操作していないのにダムや発変電所で状態変化(故障)が発生したことを示し、30ms間隔でサンプリングされ、200ms単位でまとめて計測異常検出データパケットとして送信される。そこで、遠制装置3において、計測情報の異常を検出した時に、従来のように、計測情報を送信し、さらに子局エラー集約情報(09H)を送信するとともに、新たに、計測異常データを仮想SV用のメモリに書き込み、表示状変情報として(すなわち、14Hのデータ形式に整えて、200msの転送周期に従って)制御中継所DX4に伝送する機能を追加する。そのために、表示状変情報の未使用ワードに、計測異常データを書き込むワードを新たに定義し、そのデータ形式を記憶する。それに対して、制御所システム6では、既存のSV処理により200ms周期で計測情報の異常を検出することが可能となる。そのために、遠制装置3と同様に、新たに定義したデータ形式を記憶する。
【0020】
なお、状変情報には、上記の表示状変情報以外に、例えば、選択制御により意図的な状態変化が発生したことを示す応動状変情報がある。
【0021】
図2は、遠制装置3の機能ブロックの構成を示す図である。遠制装置3は、現地盤2から計測情報(TM:TeleMeter)及び表示情報(SV:Super Vision)を取得するPI/O部31と、取得した計測情報及び表示情報を編集し、計測情報及び状変情報として制御中継所DX4に送信する伝送制御部32とからなる。表示情報は、上位局である制御所システム6で表示すべき情報(表示項目)である。
【0022】
PI/O部31は、TM入力手段311、SV入力手段312及び状変検出手段313を備える。TM入力手段311は、現地盤2から計測情報を取得し、TM編集手段321に出力する。SV入力手段312は、現地盤2から表示情報を取得し、状変検出手段313に出力する。状変検出手段313は、SV入力手段312から表示情報を取得し、その表示情報を実SV処理手段323Bに出力する。なお、TM入力手段311及びSV入力手段312は、現地盤2との通信インタフェースにより実現され、状変検出手段313は、CPU(Central Processing Unit)のプログラム実行により実現される。
【0023】
伝送制御部32は、TM編集手段321、TM出力手段322、SV編集手段323及びHDLC送信手段324を備える。TM編集手段321は、TM入力手段311から計測情報を取得し、計測情報のスケール変換等の編集処理を行い、その処理を施した計測情報をTM出力手段322に出力する。そして、計測情報に異常があるか否かを判定し、異常があれば、その旨をTM出力手段322及び仮想SV処理手段323Aに通知する。計測情報の異常には、例えば、継続時間が2秒未満である瞬時エラーとして、BCD(Binary-Coded Decimal)コードエラー、外部からの異常入力、精度エラー、スケールオーバーフロー、電流値(4〜20mA)入力下限エラー等がある。例えば、BCDコードエラーとは、10進1桁の数値が本来0〜9のいずれかであるべきところ、誤って10〜15のいずれかになっていることを示す。TM出力手段322は、TM編集手段321から計測情報や異常通知を取得し、通信パケット(計測用データパケット又は計測異常検出データパケット)の形式にしてHDLC送信手段324に出力する。
【0024】
SV編集手段323は、表示情報を編集する機能を有し、仮想SV処理手段323Aと、実SV処理手段323Bとからなる。仮想SV処理手段323Aは、TM編集手段321から計測情報の異常通知を受けて、仮想SV用メモリ上に状変情報を生成し、計測異常検出データパケットの形式にしてHDLC送信手段324に出力する。特に、継続時間が2秒未満の一過性異常が通知された際には、異常種別コードが14Hの表示状変情報を生成する。なお、仮想SV処理手段323Aは、計測情報が正常であるために、直近の200ms以内にTM編集手段321から異常の通知を受信しなければ、正常な状態を示す表示状変情報を生成し、HDLC送信手段324に出力する。
【0025】
実SV処理手段332Bは、状変検出手段313から表示情報を取得し、そのまま実SV用メモリ上に書き込んで状変情報とし、計測異常検出データパケットの形式にしてHDLC送信手段324に出力する。HDLC送信手段324は、TM出力手段322、仮想SV処理手段323A及び実SV処理手段323Bから計測用データパケット及び計測異常検出データパケットを取得し、HDLC(High-Level Data Link Control)の制御手順により制御中継所DX4に送信する。
【0026】
なお、TM編集手段321、TM出力手段322及びSV編集手段323は、CPUのプログラム実行により実現され、HDLC送信手段324は、HDLC通信インタフェースにより実現される。
【0027】
図3は、計測情報が異常な場合に伝送される情報を示す図である。遠制装置3は、現地盤3から取得した計測情報のうち、下1桁の数値が、BCDコードエラーにより14になっていることを検知する。そこで、遠制装置3は、本来の下1桁が8であると推定し、下1桁を8に修正した計測情報を制御中継所DX4に送信する。次に、BCD入力エラーが発生しているので、異常種別コードが09Hの子局エラー集約情報を制御中継所DX4に送信するとともに、異常種別コードが14Hの表示状変情報を制御中継所DX4に送信する。計測情報、子局エラー集約情報及び表示状変情報は、制御中継所DX4及び制御所DX5を経由して、制御所システム6に伝送される。
【0028】
制御所システム6は、計測情報により「●●ダム ダム水位10.8m」を表示し、子局エラー集約情報により「●●ダム 計測異常発生」を表示し、表示状変情報により「●●ダム ダム水位 計測異常発生」を表示する。そして、子局エラー集約情報及び表示状変情報により警報鳴動を実施する。
【0029】
図4は、計測情報の異常が付加される表示状変情報を示す図である。図4(a)は、表示ワードのビット構成を示す。表示ワードは、計測ワードの異常の有無を示し、16ビット(=1ワード)からなり、各ビットに各計測ワードを事前に割り当てる。計測ワードは、発変電所の各部位に関する計測値であり、計測情報のワードアドレスのうち、300W〜315Wが使用される。例えば、表示ワードの最下位ビット(右端のビット)は300Wの計測ワードが正常か異常かを示し、最上位ビット(左端のビット)は315Wが正常か異常かを示す。ここで、ダム水位の計測ワードが300Wであるとすれば、計測情報におけるダム水位の計測値に異常があったことにより、300Wの正否を示す最下位ビットに1が設定される。
【0030】
図4(b)は、変化位置ワードのビット構成を示す。変化位置ワードは、16ビット(2バイト=1ワード)からなり、各ビットが表示ワードの各ビットの変化(すなわち、正常→異常、又は、異常→正常の変化)の有無を示す。例えば、表示ワードの最下位ビットが、200msより前に0だった状態から直近の200ms以内に1に変化したことにより、変化位置ワードの最下位ビットに1が設定される。
【0031】
図5は、計測情報の異常が復帰した場合に伝送される情報を示す図である。遠制装置3は、現地盤3から取得した計測情報のうち、下1桁が0〜9のいずれかの数値であるべきところ、以前の異常値14が正常値7に変化していることを検知する。そこで、遠制装置3は、下1桁が7である数値を含む計測情報を制御中継所DX4に送信する。次に、BCD入力が正常化しているので、異常種別コードが09Hの子局エラー集約情報を制御中継所DX4に送信するとともに、異常種別コードが14Hの表示状変情報を制御中継所DX4に送信する。計測情報、子局エラー集約情報及び表示状変情報は、制御中継所DX4及び制御所DX5を経由して、制御所システム6に伝送される。制御所システム6は、計測情報により「●●ダム ダム水位10.7m」を表示し、子局エラー集約情報により「●●ダム 計測異常復帰」を表示し、表示状変情報により「●●ダム ダム水位 計測異常復帰」を表示する。そして、子局エラー集約情報及び表示状変情報により警報鳴動を実施する。
【0032】
図6は、計測情報の異常が復帰したことが付加される表示状変情報を示す図である。図6(a)は、表示ワードのビット構成を示す。ダム水位の計測ワードが300Wであるとすれば、計測情報におけるダム水位の数値が正常になったことから、300Wの正否を示すビットに0が設定される。図6(b)は、変化位置ワードのビット構成を示す。表示ワードの最下位ビットが1から0に変化したことから、変化位置ワードの最下位ビットに1が設定される。
【0033】
なお、上記実施の形態では、図1に示す計測情報伝送システム1内の各装置を機能させるために、CPUで実行されるプログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録し、その記録したプログラムをコンピュータに読み込ませ、実行させることにより、本発明の実施の形態に係る計測情報伝送システム1が実現されるものとする。この場合、プログラムをインターネット等のネットワーク経由でコンピュータに提供してもよいし、プログラムが書き込まれた半導体チップ等をコンピュータに組み込んでもよい。
【0034】
以上説明した本発明の実施の形態によれば、発変電所に関する計測情報の一過性異常の原因を速やかに通知することができる。
【0035】
詳細には、遠制装置3は、短周期で伝送される表示状変情報を用いることにより、故障情報を素早く送信することができる。そして、遠制装置3において、瞬時に発生又は復帰する計測異常があっても、計測項目ごとに、正常か、異常かを示す表示ワードと、正常又は異常の状態が変化したことを示す変化位置ワードとを作成することにより、制御所システム6において、新たに異常になった、又は、正常に戻った計測値を容易に特定することができる。また、仮想SV処理を利用し、表示状変情報のデータ形式に合わせることにより、既存システムの改変を抑制することができる。
【0036】
以上によれば、計測異常が発生したときに、迅速に対応することができるので、計測情報伝送システム1の信頼度の向上及び電力の安定的な供給を図ることができる。
【0037】
≪その他の実施の形態≫
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記実施の形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。例えば、上記実施の形態では、遠制装置3において、計測情報の異常に関する情報を表示情報(SV)として制御所システム6に伝送する方法として、仮想SV処理を利用する例を説明したが、実SVとしてDI基板等のハードウェアを実装するようにしてもよい。そして、遠制装置3のメモリに計測異常に関するデータを蓄積しておいて、必要に応じて制御所システム6から取りに行くことが考えられる。
【符号の説明】
【0038】
1 計測情報伝送システム
2 現地盤
3 遠制装置(遠隔監視制御装置)
4 制御中継所DX
5 制御所DX
6 制御所システム(監視装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発変電所に関する計測情報を取得する遠隔監視制御装置と、
前記遠隔監視制御装置から前記計測情報を受信し、表示する監視装置と、
を備え、
前記遠隔監視制御装置は、
前記取得した計測情報に異常があるか否か及び異常がある場合にその内容を判定する異常判定手段と、
所定の時間間隔の各時点で、当該時点において、前記異常判定手段により異常があると判定されたか否か、及び、異常があると判定された場合にその異常内容を示す情報を前記監視装置に送信する異常情報送信手段と、
前記発変電所における状態変化を示す状態変化情報を、前記所定の時間間隔より短い時間間隔で前記監視装置に送信する状態変化情報送信手段と、
前記状態変化情報に、前記計測情報における異常の内容を示す計測異常データを設定する際のデータ形式を記憶する第1データ形式記憶手段と、
前記異常判定手段により異常があると判定された場合に、前記データ形式に従って、前記状態変化情報送信手段により前記監視装置に送信される前記状態変化情報に前記計測異常データを設定する計測異常データ設定手段と、
を備え、
前記監視装置は、
前記データ形式を記憶する第2データ形式記憶手段と、
前記遠隔監視制御装置から前記状態変化情報を受信したときに、前記データ形式に従って、当該受信した状態変化情報に設定された前記計測異常データを表示する計測異常データ表示手段と、
を備える
ことを特徴とする計測情報伝送システム。
【請求項2】
請求項1に記載の計測情報伝送システムであって、
前記計測情報は、前記発変電所の各部位に関する計測値を示す計測ワードを含み、
前記計測異常データは、
前記計測ワードごとに、異常の有無を示す表示ワードと、
前記計測ワードごとに、異常の有無が変化したか否かを示す変化ワードと、
を含む
ことを特徴とする計測情報伝送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−81292(P2013−81292A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219457(P2011−219457)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】