説明

計測装置

【課題】 サーキット走行中に測定かつ記録された直前のラップタイムが、直前以前に記録されたベストラップや、ベストラップ時の区間タイムより速いか遅いかを、光、音、振動の知覚報知手段で運転者に報知することで、安全かつ効率的なタイムアタックができる計測装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 サーキットの路面に埋設されている磁気バーの磁気を検知して、サーキット走行のラップタイム及び区間タイムを計測して表示及び記録をする磁気式の計測装置、あるいは、サーキットの任意位置に設置された赤外線発信器から照射された赤外線を検知してラップタイムや区間タイムを計測して表示及び記録をする赤外線式の計測装置において、直前のラップタイムが、直前以前の計測かつ記録されたベストラップと比較して、速いか遅いかを、光、音、振動の何れかあるいは組み合わせた知覚報知手段を用いて運転者に報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータースポーツのための周回道路であるサーキットを、2輪自動車や4輪自動車(以下、「車両」という)などで走行する際の、ラップタイム(サーキット1周のタイム)や区間タイムを計測及び記録するための計測装置に関し、特に測定かつ記録された従前のベストラップ(最も速いタイムで走行したときのラップタイム)時の区間タイムより速いか遅いかを光、音、振動などの知覚でライダーやドライバー(以下「運転者」という)に報知する手段を有する計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に装着してサーキット走行のラップタイムや区間タイムなどを計測するための装置が知られている。このような計測装置は、図4のサーキットの説明図に示されるように、サーキットの路面(スタート/ゴール地点や区間で分けた数カ所)に埋設されている計測用磁気バーの磁気を、ホール素子からなる磁気センサで検知して、サーキット周回のラップタイムや区間タイムを計測して表示及び記録をする磁気式のもの、また、サーキットの任意位置に設置された計測用赤外線発信器から照射された赤外線を、計測装置に備えられた赤外線受光部で検知してラップタイムや区間タイムを計測して表示及び記録をする赤外線式のものが一般的に知られている。なお、図4において、サーキットのスタート/ゴール地点には、計測用磁気バー1あるいは計測用赤外線発信器1が備えられ、サーキット周回のラップタイムを計測する。中間地点には、計測用磁気バー2あるいは計測用赤外線発信器2、計測用磁気バー3あるいは計測用赤外線発信器3が備えられ、矢印で示す走行方向に対して、第1計測区間、第2計測区間、第3計測区間の区間タイムをそれぞれ計測する。
【0003】
以下、前記した従来の磁気式と赤外線式の計測装置のうち、磁気式の計測装置について説明する。現在、日本国内の多くのサーキットには、図4に示されるように、前記した磁気バーが埋設されている。このため、運転者が自己の車両に前記したような計測装置を取り付けることによって、全国各地の多くのサーキットでラップタイムや区間タイムを計測することが可能となっている。
【0004】
例えば、特開平8−122463号公報(特許文献1)に開示された計時システムは、特許文献1の図1に示されるように、サーキット周回路に埋設された磁石からなる磁気バーの磁気を感知して信号を発生する磁気センサ2と、磁気センサ2から発生される信号を受信し、信号を受信する度に計時の開始及び終了を制御する手段と共に計測された時間を記憶する手段を有する計時部1と、計時部1に記憶された時間を表示する表示部3とから構成されている。磁気センサ2と計時部1はケーブルによって接続され、計時部1と表示部3は一体に形成されている。
【0005】
磁気センサ2は、ホール素子22からなり車両の低面に機械的に取り付けられホール素子22から発生された信号はケーブル24を通って計時部1に送られる。計時部1及び表示部3は特許文献1の図3に示すように、計測され記憶された時間及びラップ数を表示する液晶表示部31と、電源のON/OFFを行う電源スイッチ32と、磁気センサからの信号を交互に有効/無効とするスタート/ストップスイッチ33と、各計測時間を順次呼び出すメモリーコールスイッチ34と、磁気センサ2からの信号を受信した場合に一定時間点滅するインジケータ35とを備えており、99回迄の計測時間を記憶可能となっている。
【0006】
このように構成された特許文献1の発明は、電源スイッチ32により電源を投入し、スタート/ストップスイッチ33により磁気センサ2からの信号を有効とする。最初に磁気センサ2が磁気を感知するとインジケータ35が一定時間点滅し時間の計測を開始する。磁気センサ2が2回目に磁気を感知するとインジケータ35が同様に一定時間点滅すると共に、最初に磁気を感知してから経過した時間が計時部1により計測されて記憶され、液晶表示部31にはラップ数1と計時部1に記憶された最初に磁気を感知してから経過した時間とが表示される。磁気センサ2が3回目に磁気を感知するとインジケータ35が同様に一定時間点滅すると共に、計時部1により2回目に磁気を感知してから経過した時間が計時されて記憶され、液晶表示部31にはラップ数2と計時部1に記憶された2回目に磁気を感知してから経過した時間が表示される。このようにして計測したい数のラップタイムが順次計測されて記憶される。
【0007】
また、サーキット40の3カ所に磁気バー50〜52が設置されている場合においては、前記で説明した順序で操作することにより、磁気バー50と51間の区間走行タイム、磁気バー51と52間の区間走行タイム、磁気バー52と50間の区間走行タイムが各ストップウォッチにより夫々計測され表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】 特開平8−122463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、サーキット走行において、如何に安全かつ効率的にタイムアタック(タイムを競う行為)を行うかは極めて重要なことである。やみくもに他車よりも速く走行しようとする行為は、危険でもあり決して速いタイムを達成できるものではない。そのためには、安全かつ効率的にタイムアタックをするための一手段として、前記従来技術に記載した計測装置の装着は不可欠である。運転者は計測装置に表示かつ記録されたベストラップや区間タイムを確認して、自己が走行したライン、コーナーへの進入速度、アクセル・ブレーキタイミングなどの分析と試行錯誤を繰り返すことで、安全かつ効率的にタイムアタックが行えるようになる。また、同時に走行している他の運転者の記録を確認することも、自己の運転テクニックの優劣判断材料にもなる。
【0010】
しかしながら、従来の計測装置の場合では、記録されたベストラップやベスト区間タイムを走行後に確認して、そのときの走行状態を顧みて分析するが、走行中ではなく走行後のために、ベストラップを記録したときの走行状態をイメージすることができず、正確な分析がしづらいといった不都合があった。結果的に従来の計測装置は、単にラップタイムや区間タイムを走行後に確認するに過ぎないものであった。
【0011】
また、走行中に計測装置に表示されたラップタイムや区間タイムを視認することも可能であるが、サーキット走行において安全かつ効率的にタイムアタックするには極めて集中力が必要であり、計測装置に100分の1秒代まで表示されたラップタイムや区間タイムをその場で視認かつ認識することは極めて困難である。もし視認かつ認識したのであれば、危険でもありタイムに確実に悪影響を及ぼすものである。
【0012】
そこで本発明は、前記した問題を解消し、サーキット走行中に測定かつ記録された従前のベストラップ時の区間タイムより速いか遅いかを、光、音、振動の知覚で運転者に報知することで、安全かつ効率的なタイムアタックを行うことができる計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題は本発明の請求項1によれば、サーキットの路面に埋設されている磁気バーの磁気を検知して、サーキット走行のラップタイム及び区間タイムを計測して表示及び記録をする磁気式の計測装置、あるいは、サーキットの任意位置に設置された赤外線発信器から照射された赤外線を検知してラップタイムや区間タイムを計測して表示及び記録をする赤外線式の計測装置において、直前のラップタイムが、直前以前の計測かつ記録されたベストラップと比較して、速いか遅いかを、光、音、振動の何れかあるいは組み合わせた知覚報知手段を用いて運転者に報知するようにしたことで解決される。
【0014】
上記の課題は本発明の請求項2によれば、サーキットの路面に埋設されている磁気バーの磁気を検知して、サーキット走行のラップタイム及び区間タイムを計測して表示及び記録をする磁気式の計測装置、あるいは、サーキットの任意位置に設置された赤外線発信器から照射された赤外線を検知してラップタイムや区間タイムを計測して表示及び記録をする赤外線式の計測装置において、直前の区間タイムが、直前以前の計測かつ記録されたベスト区間タイムと比較して、速いか遅いかを、光、音、振動の何れかあるいは組み合わせた知覚報知手段を用いて運転者に報知するようにしたことで解決される。
【0015】
上記の課題は本発明の請求項3によれば、サーキットの路面に埋設されている磁気バーの磁気を検知して、サーキット走行のラップタイム及び区間タイムを計測して表示及び記録をする磁気式の計測装置、あるいは、サーキットの任意位置に設置された赤外線発信器から照射された赤外線を検知してラップタイムや区間タイムを計測して表示及び記録をする赤外線式の計測装置において、直前の区間タイムが、直前以前の計測かつ記録されたベストラップ時の区間タイムと比較して、速いか遅いかを、光、音、振動の何れかあるいは組み合わせた知覚報知手段を用いて運転者に報知するようにしたことで解決される。
【0016】
上記の課題は本発明の請求項4によれば、サーキットの路面に埋設されている磁気バーの磁気を検知して、サーキット走行のラップタイム及び区間タイムを計測して表示及び記録をする磁気式の計測装置、あるいは、サーキットの任意位置に設置された赤外線発信器から照射された赤外線を検知してラップタイムや区間タイムを計測して表示及び記録をする赤外線式の計測装置において、基準となるラップタイム値を入力し、直前のラップタイムが、該基準となるラップタイム値と比較して、速いか遅いかを、光、音、振動の何れかあるいは組み合わせた知覚報知手段を用いて運転者に報知するようにしたことで解決される。
【0017】
上記の課題は本発明の請求項5によれば、サーキットの路面に埋設されている磁気バーの磁気を検知して、サーキット走行のラップタイム及び区間タイムを計測して表示及び記録をする磁気式の計測装置、あるいは、サーキットの任意位置に設置された赤外線発信器から照射された赤外線を検知してラップタイムや区間タイムを計測して表示及び記録をする赤外線式の計測装置において、基準となる区間タイム値を入力し、直前の区間タイムが、該基準となる区間タイム値と比較して、速いか遅いかを、光、音、振動の何れかあるいは組み合わせた知覚報知手段を用いて運転者に報知するようにしたことで解決される。
【0018】
上記の課題は本発明の請求項6によれば、サーキットの路面に埋設されている磁気バーの磁気を検知して、サーキット走行のラップタイム及び区間タイムを計測して表示及び記録をする磁気式の計測装置、あるいは、サーキットの任意位置に設置された赤外線発信器から照射された赤外線を検知してラップタイムや区間タイムを計測して表示及び記録をする赤外線式の計測装置において、直前のラップタイムと、直前以前の計測かつ記録されたベストラップとを比較して、その差を音声報知手段を用いて運転者に報知するようにしたことで解決される。
【0019】
上記の課題は本発明の請求項7によれば、サーキットの路面に埋設されている磁気バーの磁気を検知して、サーキット走行のラップタイム及び区間タイムを計測して表示及び記録をする磁気式の計測装置、あるいは、サーキットの任意位置に設置された赤外線発信器から照射された赤外線を検知してラップタイムや区間タイムを計測して表示及び記録をする赤外線式の計測装置において、直前の区間タイムと、直前以前の計測かつ記録されたベスト区間タイムとを比較して、その差を音声報知手段を用いて運転者に報知するようにしたことで解決される。
【0020】
上記の課題は本発明の請求項8によれば、サーキットの路面に埋設されている磁気バーの磁気を検知して、サーキット走行のラップタイム及び区間タイムを計測して表示及び記録をする磁気式の計測装置、あるいは、サーキットの任意位置に設置された赤外線発信器から照射された赤外線を検知してラップタイムや区間タイムを計測して表示及び記録をする赤外線式の計測装置において、直前の区間タイムと、直前以前の計測かつ記録されたベストラップ時の区間タイムとを比較して、その差を音声報知手段を用いて運転者に報知するようにしたことで解決される。
【0021】
上記の課題は本発明の請求項9によれば、サーキットの路面に埋設されている磁気バーの磁気を検知して、サーキット走行のラップタイム及び区間タイムを計測して表示及び記録をする磁気式の計測装置、あるいは、サーキットの任意位置に設置された赤外線発信器から照射された赤外線を検知してラップタイムや区間タイムを計測して表示及び記録をする赤外線式の計測装置において、入力された基準となるラップタイム値と、直前のラップタイムとを、該基準となるラップタイム値と比較して、その差を音声報知手段を用いて運転者に報知するようにしたことで解決される。
【0022】
上記の課題は本発明の請求項10によれば、サーキットの路面に埋設されている磁気バーの磁気を検知して、サーキット走行のラップタイム及び区間タイムを計測して表示及び記録をする磁気式の計測装置、あるいは、サーキットの任意位置に設置された赤外線発信器から照射された赤外線を検知してラップタイムや区間タイムを計測して表示及び記録をする赤外線式の計測装置において、入力された基準となる区間タイム値と、直前の区間タイムとを、該基準となる区間タイム値と比較して、その差を音声報知手段を用いて運転者に報知するようにしたことで解決される。
【発明の効果】
【0023】
本発明の請求項1によれば、サーキットの路面に埋設されている磁気バーの磁気を検知して、サーキット走行のラップタイム及び区間タイムを計測して表示及び記録をする磁気式の計測装置、あるいは、サーキットの任意位置に設置された赤外線発信器から照射された赤外線を検知してラップタイムや区間タイムを計測して表示及び記録をする赤外線式の計測装置において、直前のラップタイムが、直前以前の計測かつ記録されたベストラップと比較して、速いか遅いかを、光、音、振動の何れかあるいは組み合わせた知覚報知手段を用いて運転者に報知することを特徴としたので、走行中に、直前のラップタイムがそれ以前に記録されたベストラップよりも速かったか遅かったかを、敢えて計測値表示部を目視することなく知ることができ、走行リズムやペースを崩さずに、ベストなタイムを記録した走行イメージを保持しつつ、安全かつ効率的なタイムアタックができる計測装置を提供することが可能となった。
【0024】
本発明の請求項2によれば、直前の区間タイムが、直前以前の計測及び記録されたベスト区間タイムと比較して、速いか遅いかを、光、音、振動の何れかあるいは組み合わせた知覚報知手段を用いて運転者に報知することを特徴としたので、走行中に、直前の区間タイムがそれ以前に記録されたベスト区間タイムよりも速かったか遅かったかを、敢えて計測値表示部を目視することなく知ることができ、走行リズムやペースを崩さずに、ベストなタイムを記録した走行イメージを保持しつつ、安全かつ効率的なタイムアタックができる計測装置を提供することが可能となった。
【0025】
本発明の請求項3によれば、直前の区間タイムが、直前以前の計測及び記録されたベストラップ時の区間タイムと比較して、速いか遅いかを、光、音、振動の何れかあるいは組み合わせた知覚報知手段を用いて運転者に報知することを特徴としたので、走行中に、直前の区間タイムがそれ以前に記録されたベストラップ時の区間タイムよりも速かったか遅かったかを、敢えて計測値表示部を目視することなく知ることができ、走行リズムやペースを崩さずに、ベストなタイムを記録した走行イメージを保持しつつ、安全かつ効率的なタイムアタックができる計測装置を提供することが可能となった。
【0026】
本発明の請求項4によれば、基準となるラップタイム値を入力し、直前のラップタイムが、該基準となるラップタイム値と比較して、速いか遅いかを、光、音、振動の何れかあるいは組み合わせた知覚報知手段を用いて運転者に報知することを特徴としたので、走行中に、直前のラップタイムが基準となるラップタイム値よりも速かったか遅かったかを、敢えて計測値表示部を目視することなく知ることができ、走行リズムやペースを崩さずに、ベストなタイムを記録した走行イメージを保持しつつ、安全かつ効率的なタイムアタックができる計測装置を提供することが可能となった。
【0027】
本発明の請求項5によれば、基準となる区間タイム値を入力し、直前の区間タイムが、該基準となる区間タイム値と比較して、速いか遅いかを、光、音、振動の何れかあるいは組み合わせた知覚報知手段を用いて運転者に報知することを特徴としたので、走行中に、直前の区間タイムが基準となる区間タイム値よりも速かったか遅かったかを、敢えて計測値表示部を目視することなく知ることができ、走行リズムやペースを崩さずに、ベストなタイムを記録した走行イメージを保持しつつ、安全かつ効率的なタイムアタックができる計測装置を提供することが可能となった。
【0028】
本発明の請求項6によれば、直前のラップタイムと、直前以前の計測及び記録されたベストラップとを比較して、その差を音声報知手段を用いて運転者に報知することを特徴としたので、走行中に、直前のラップタイムとベストラップとのタイム差を、敢えて計測値表示部を目視することなく音声で具体的に知ることができ、走行リズムやペースを崩さずに、ベストなタイムを記録した走行イメージを保持しつつ、安全かつ効率的なタイムアタックができる計測装置を提供することが可能となった。
【0029】
本発明の請求項7によれば、直前の区間タイムと、直前以前の計測及び記録されたベスト区間タイムとを比較して、その差を音声報知手段を用いて運転者に報知することを特徴としたので、走行中に、直前の区間タイムとベスト区間タイムとのタイム差を、敢えて計測値表示部を目視することなく音声で具体的に知ることができ、走行リズムやペースを崩さずに、ベストなタイムを記録した走行イメージを保持しつつ、安全かつ効率的なタイムアタックができる計測装置を提供することが可能となった。
【0030】
本発明の請求項8によれば、直前の区間タイムと、直前以前の計測及び記録されたベストラップ時の区間タイムとを比較して、その差を音声報知手段を用いて運転者に報知することを特徴としたので、走行中に、直前の区間タイムとベストラップ時の区間タイムとのタイム差を、敢えて計測値表示部を目視することなく音声で具体的に知ることができ、走行リズムやペースを崩さずに、ベストなタイムを記録した走行イメージを保持しつつ、安全かつ効率的なタイムアタックができる計測装置を提供することが可能となった。
【0031】
本発明の請求項9によれば、入力された基準となるラップタイム値と、直前のラップタイムとを、該基準となるラップタイム値と比較して、その差を音声報知手段を用いて運転者に報知することを特徴としたので、走行中に、直前のラップタイムと入力された基準となるラップタイム値とのタイム差を、敢えて計測値表示部を目視することなく音声で具体的に知ることができ、走行リズムやペースを崩さずに、ベストなタイムを記録した走行イメージを保持しつつ、安全かつ効率的なタイムアタックができる計測装置を提供することが可能となった。
【0032】
本発明の請求項10によれば、入力された基準となる区間タイム値と、直前の区間タイムとを、該基準となる区間タイム値と比較して、その差を音声報知手段を用いて運転者に報知することを特徴としたので、走行中に、直前の区間タイムと入力された基準となる区間タイム値とのタイム差を、敢えて計測値表示部を目視することなく音声で具体的に知ることができ、走行リズムやペースを崩さずに、ベストなタイムを記録した走行イメージを保持しつつ、安全かつ効率的なタイムアタックができる計測装置を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の計測装置の第1ブロック図である。
【図2】本発明の計測装置の第2ブロック図である。
【図3】本発明の計測装置のメインユニットを示す図である。
【図4】サーキットの説明図である。
【発明を実施させるための形態】

【実施例1】
【0034】
本発明について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の実施例を示す第1ブロック図である。
【0035】
図1に示されるように、計測装置本体(1)(以下、本体(1)という)は、マイクロコンピュータ(2a)、EEPROM(2b)、操作部(2c)、計測値表示部(2d)からなるメインユニット(2)と、該メインユニット(2)にケーブルで接続された信号検知部(3)と報知部(4)から構成されている。また、本体(1)を駆動させるための電源は、車両から電源(DC12V)を供給するか、あるいは本体(1)に交換・充電可能な電池を内装して確保する。(図示せず)
【0036】
図3は、メインユニット(2)の一例を示したもので、記録の読み出しや設定のための操作部(2c)と、記録されたラップ数、ラップタイム、区間タイムを表示するための計測値表示部(2d)を表面に備えて、車両の、操作及び視認可能な適宜位置に取り付けて使用する。
【0037】
信号検知部(3)は、該メインユニット(2)にケーブルで接続されている。磁気式の計測装置の場合であれば、ホール素子などからなる磁気センサであり、図4に示されるように、サーキットの路面の各所に埋設された計測用磁気バーの磁気を信号として検知するために車両の底部に設置して用いる。また、赤外線式の計測装置であれば、赤外線センサであり、図4に示されるように、サーキットの壁面近傍などの任意位置から水平方向に発信される赤外線を検知しやすいように車両の側面に設置して用いる。
【0038】
報知部(4)は、該メインユニット(2)にケーブルで接続され、光、音、振動の何れかあるいは組み合わせた知覚報知手段であって、運転者がこの報知を最も認識しやすいに位置に設置して用いる。
【0039】
このように構成された本体(1)の基本的な動作を説明する。本体(1)を装着した車両が図4に示されるように、サーキットのラップタイムや区間計測用の磁気バー、赤外線発信器を通過すると、磁気信号あるいは赤外線信号を信号検知部(3)で検知する。検知信号は、マイクロコンピュータ(2a)に入力され、磁気信号あるいは赤外線信号を検知するたびに、計測開始と計測終了演算処理が行われ、ラップタイム、区間タイムを計測し、EEPROM(2b)に記録するとともに、計測値表示部(2d)に計測タイムの表示出力を行う。そして、マイクロコンピュータ(2a)にてEEPROM(2b)に記録された直前のラップタイムと直前以前のベストラップと比較演算して、速いか遅いかを、光、音、振動の何れかあるいは組み合わせた知覚報知手段を用いて運転者に報知するようにした。これにより、走行中であっても敢えて計測値表示部(2d)を目視することなく走行タイムの状態を知ることができる。
【0040】
メインユニット(2)からケーブルによって接続された報知部(4)は、光、音、振動の何れかあるいは組み合わせた知覚報知手段を備えており、光、音、振動を単独で用いても良いし、種々組み合わせて用いることも可能である。なお、光、音、振動の何れかあるいは組み合わせた知覚報知手段は、操作部(2c)よって適宜選択、組み合わせた設定を行うことができる。これにより、エンジン音、排気音、タイヤノイズ、風切り音などの騒音と同時に集中を強いられている状態の運転者であっても、本体(1)の計測値表示部(2d)を視認することなく、極めて容易かつ明確にラップタイムや区間タイムの走行タイム状態を知り得ることができるので、走行リズムやペースを崩さずに、ベストラップを記録したときの走行イメージを保持しつつ、安全かつ効率的なタイムアタックができる計測装置を提供することが可能となった。
【0041】
以下に、報知部(4)の光、音、振動の何れかあるいは組み合わせたパターンの一例を説明する。
【0042】
例えば、知覚報知手段のうち光を用いた場合は、報知部(4)を、赤と緑の超高輝度LEDで構成し、従前の記録されたベストラップやベスト区間タイムよりも速かったときは、緑で点灯や点滅し、遅かったときは、赤で点灯や点滅するといったように変化を付けることで、敢えて計測値表示部(2d)を目視することなく走行タイム状況を知ることができる。
【0043】
音を用いた場合は、報知部(4)を、小型の圧電スピーカで構成して、従前の記録されたベストラップやベスト区間タイムよりも速かったときは、「ピー、ピー、ピー」といった断続音、遅かったときは「ブー」の連続音とするといったように変化を付けることで、敢えて計測値表示部(2d)を目視することなく走行タイム状況を知ることができる。
【0044】
振動を用いた場合は、報知部(4)を、バイブレーションモータで構成して、身体にサージカルテープなどで固定する。従前の記録されたベストラップやベスト区間タイムよりも速かったときは、断続的なバイブレーション、遅かったときは連続的なバイブレーションとするように変化を付けることで、敢えて計測値表示部(2d)を目視することなく走行タイム状況を知ることができる。
【0045】
また、報知部(4)を、上述の光、音、振動の知覚報知手段を適宜組み合わせて用いることで、より確実に計測値表示部(2d)を目視することなく走行タイム状況を知ることができる。
【0046】
例えば、報知部(4)を、小型の圧電スピーカとバイブレーションモータで構成したり、超高輝度LEDと小型の圧電スピーカで構成したりすれば、音と振動、光と音といったように複数の異なる知覚報知手段で、より確実、かつ容易に計測値表示部(2d)を目視することなく走行タイム状況を知ることができるのである。
【0047】
なお、光、音、振動の知覚報知手段は、予め何れかの1つに限定して備えるようにしても良いし、操作部(2c)によって運転者の好みに応じて組み合わせて使用しても良い。また、報知部(4)は、メインユニット(2)とケーブルによって接続して備えるが、メインユニット(2)と一体に備えても良いし、その両者を同時に備えるようにしても良いことは言うまでもない。さらに、報知部(4)とメインユニット(2)とを接続するケーブルは、コネクターを用いて必要に応じて着脱可能とすれば使い勝手が向上し、報知部(4)とメインユニット(2)間を、赤外線や微弱電波を用いて通信するようにすれば、ワイヤレスとしてさらに使い勝手が向上する。
【実施例2】
【0048】
第2の実施例では、基本的に実施例1の説明と同一であるので、共通する部分は省略して要旨のみ説明する。第2実施例では、直前の区間タイムが、直前以前の計測かつ記録されたベスト区間タイムと比較して、速いか遅いかを、光、音、振動の何れかあるいは組み合わせた知覚報知手段を用いて報知部(4)によって運転者に報知するようにした。
【実施例3】
【0049】
第3の実施例では、基本的に実施例1の説明と同一であるので、共通する部分は省略して要旨のみ説明する。第3の実施例では、直前の区間タイムが、直前以前の計測かつ記録されたベストラップ時の区間タイムと比較して、速いか遅いかを、光、音、振動の何れかあるいは組み合わせた知覚報知手段を用いて報知部(4)によって運転者に報知するようにした。
【実施例4】
【0050】
第4の実施例では、基本的に実施例1の説明と同一であるので、共通する部分は省略して要旨のみ説明する。第4の実施例では、基準となるラップタイム値を入力し、直前のラップタイムが、該基準となるラップタイム値と比較して、速いか遅いかを、光、音、振動の何れかあるいは組み合わせた知覚報知手段を用いて報知部(4)によって運転者に報知するようにした。
【実施例5】
【0051】
第5の実施例では、基本的に実施例1の説明と同一であるので、共通する部分は省略して要旨のみ説明する。第5の実施例では、基準となる区間タイム値を入力し、直前の区間タイムが、該基準となる区間タイム値と比較して、速いか遅いかを、光、音、振動の何れかあるいは組み合わせた知覚報知手段を用いて報知部(4)によって運転者に報知するようにした。
【実施例6】
【0052】
第6の実施例について図面を参照して詳細に説明する。図2は本発明の実施例6を示す第2ブロック図である。図1と比較して、マイクロコンピュータ(2a)と報知部(4)との間に、音声合成ユニット(2e)を備えた。第6の実施例では、直前のラップタイムと、直前以前の計測かつ記録されたベストラップとを比較して、そのタイム差を音声報知手段を用いて報知部(4)によって運転者に具体的に報知するようにした。
【0053】
このように構成された本体(1)の基本的な動作は、本体(1)を装着した車両がサーキットを走行すると、磁気信号あるいは赤外線信号を信号検知部(3)で検知する。検知信号は、マイクロコンピュータ(2a)に入力され、磁気信号あるいは赤外線信号を検知するたびに計測開始と計測終了演算処理が行われ、ラップタイム、区間タイムを計測し、EEPROM(2b)に記録するとともに、計測値表示部(2d)に計測タイムの表示出力を行う。そして、マイクロコンピュータ(2a)にてEEPROM(2b)に記録された直前のラップタイムと、直前以前の計測かつ記録されたベストラップとを比較して、そのタイム差を音声合成ユニット(2e)に出力し、音声で具体的なタイム差を報知部(4)によって報知する。音声は、プラス何秒なのか、マイナス何秒なのかをアナウンスするので、走行中であっても敢えて計測値表示部(2d)を目視することなく走行タイムの状態をより具体的に知ることができる。もちろん、音声と光、音、振動の知覚報知手段を適宜組み合わせられるようにしても良いことは言うまでもないし、音声の言語を日本語、英語、フランス語、中国語など選択できるようにすればより幅広く使用することができる。
【実施例7】
【0054】
第7の実施例では、基本的に実施例6の説明と同一であるので、共通する部分は省略して要旨のみ説明する。第7の実施例では、直前の区間タイムと、直前以前の計測かつ記録されたベスト区間タイムとを比較して、その差を音声報知手段を用いて報知部(4)によって運転者に具体的に報知するようにした。
【実施例8】
【0055】
第8の実施例では、基本的に実施例6の説明と同一であるので、共通する部分は省略して要旨のみ説明する。第8の実施例では、直前の区間タイムと、直前以前の計測かつ記録されたベストラップ時の区間タイムとを比較して、その差を音声報知手段を用いて報知部(4)によって運転者に具体的に報知するようにした。
【実施例9】
【0056】
第9の実施例では、基本的に実施例6の説明と同一であるので、共通する部分は省略して要旨のみ説明する。第9の実施例では、入力された基準となるラップタイム値と、直前のラップタイムとを、該基準となるラップタイム値と比較して、その差を音声報知手段を用いて報知部(4)によって運転者に具体的に報知するようにした。
【実施例10】
【0057】
第10の実施例では、基本的に実施例6の説明と同一であるので、共通する部分は省略して要旨のみ説明する。第10の実施例では、入力された基準となる区間タイム値と、直前の区間タイムとを、該基準となる区間タイム値と比較して、その差を音声報知手段を用いて報知部(4)によって運転者に具体的に報知するようにした。
【符号の説明】
【0058】
1 計測装置本体
2 メインユニット
2a マイクロコンピュータ
2b EEPROM
2c 操作部
2d 計測値表示部
2e 音声合成ユニット
3 信号検知部
4 報知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーキットの路面に埋設されている磁気バーの磁気を検知して、サーキット走行のラップタイム及び区間タイムを計測して表示及び記録をする磁気式の計測装置、あるいは、サーキットの任意位置に設置された赤外線発信器から照射された赤外線を検知してラップタイムや区間タイムを計測して表示及び記録をする赤外線式の計測装置において、直前のラップタイムが、直前以前の計測かつ記録されたベストラップと比較して、速いか遅いかを、光、音、振動の何れかあるいは組み合わせた知覚報知手段を用いて運転者に報知することを特徴とする計測装置。
【請求項2】
サーキットの路面に埋設されている磁気バーの磁気を検知して、サーキット走行のラップタイム及び区間タイムを計測して表示及び記録をする磁気式の計測装置、あるいは、サーキットの任意位置に設置された赤外線発信器から照射された赤外線を検知してラップタイムや区間タイムを計測して表示及び記録をする赤外線式の計測装置において、直前の区間タイムが、直前以前の計測かつ記録されたベスト区間タイムと比較して、速いか遅いかを、光、音、振動の何れかあるいは組み合わせた知覚報知手段を用いて運転者に報知することを特徴とする計測装置。
【請求項3】
サーキットの路面に埋設されている磁気バーの磁気を検知して、サーキット走行のラップタイム及び区間タイムを計測して表示及び記録をする磁気式の計測装置、あるいは、サーキットの任意位置に設置された赤外線発信器から照射された赤外線を検知してラップタイムや区間タイムを計測して表示及び記録をする赤外線式の計測装置において、直前の区間タイムが、直前以前の計測かつ記録されたベストラップ時の区間タイムと比較して、速いか遅いかを、光、音、振動の何れかあるいは組み合わせた知覚報知手段を用いて運転者に報知することを特徴とする計測装置。
【請求項4】
サーキットの路面に埋設されている磁気バーの磁気を検知して、サーキット走行のラップタイム及び区間タイムを計測して表示及び記録をする磁気式の計測装置、あるいは、サーキットの任意位置に設置された赤外線発信器から照射された赤外線を検知してラップタイムや区間タイムを計測して表示及び記録をする赤外線式の計測装置において、基準となるラップタイム値を入力し、直前のラップタイムが、該基準となるラップタイム値と比較して、速いか遅いかを、光、音、振動の何れかあるいは組み合わせた知覚報知手段を用いて運転者に報知することを特徴とする計測装置。
【請求項5】
サーキットの路面に埋設されている磁気バーの磁気を検知して、サーキット走行のラップタイム及び区間タイムを計測して表示及び記録をする磁気式の計測装置、あるいは、サーキットの任意位置に設置された赤外線発信器から照射された赤外線を検知してラップタイムや区間タイムを計測して表示及び記録をする赤外線式の計測装置において、基準となる区間タイム値を入力し、直前の区間タイムが、該基準となる区間タイム値と比較して、速いか遅いかを、光、音、振動の何れかあるいは組み合わせた知覚報知手段を用いて運転者に報知することを特徴とする計測装置。
【請求項6】
サーキットの路面に埋設されている磁気バーの磁気を検知して、サーキット走行のラップタイム及び区間タイムを計測して表示及び記録をする磁気式の計測装置、あるいは、サーキットの任意位置に設置された赤外線発信器から照射された赤外線を検知してラップタイムや区間タイムを計測して表示及び記録をする赤外線式の計測装置において、直前のラップタイムと、直前以前の計測かつ記録されたベストラップとを比較して、その差を音声報知手段を用いて運転者に報知することを特徴とする計測装置。
【請求項7】
サーキットの路面に埋設されている磁気バーの磁気を検知して、サーキット走行のラップタイム及び区間タイムを計測して表示及び記録をする磁気式の計測装置、あるいは、サーキットの任意位置に設置された赤外線発信器から照射された赤外線を検知してラップタイムや区間タイムを計測して表示及び記録をする赤外線式の計測装置において、直前の区間タイムと、直前以前の計測かつ記録されたベスト区間タイムとを比較して、その差を音声報知手段を用いて運転者に報知することを特徴とする計測装置。
【請求項8】
サーキットの路面に埋設されている磁気バーの磁気を検知して、サーキット走行のラップタイム及び区間タイムを計測して表示及び記録をする磁気式の計測装置、あるいは、サーキットの任意位置に設置された赤外線発信器から照射された赤外線を検知してラップタイムや区間タイムを計測して表示及び記録をする赤外線式の計測装置において、直前の区間タイムと、直前以前の計測かつ記録されたベストラップ時の区間タイムとを比較して、その差を音声報知手段を用いて運転者に報知することを特徴とする計測装置。
【請求項9】
サーキットの路面に埋設されている磁気バーの磁気を検知して、サーキット走行のラップタイム及び区間タイムを計測して表示及び記録をする磁気式の計測装置、あるいは、サーキットの任意位置に設置された赤外線発信器から照射された赤外線を検知してラップタイムや区間タイムを計測して表示及び記録をする赤外線式の計測装置において、入力された基準となるラップタイム値と、直前のラップタイムとを、該基準となるラップタイム値と比較して、その差を音声報知手段を用いて運転者に報知することで解決される。
【請求項10】
サーキットの路面に埋設されている磁気バーの磁気を検知して、サーキット走行のラップタイム及び区間タイムを計測して表示及び記録をする磁気式の計測装置、あるいは、サーキットの任意位置に設置された赤外線発信器から照射された赤外線を検知してラップタイムや区間タイムを計測して表示及び記録をする赤外線式の計測装置において、入力された基準となる区間タイム値と、直前の区間タイムとを、該基準となる区間タイム値と比較して、その差を音声報知手段を用いて運転者に報知するようにしたことを特徴とする計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−247861(P2011−247861A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130466(P2010−130466)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(507335919)株式会社クレバーライト (1)
【Fターム(参考)】