説明

計量包装システム

【課題】 計量機本体と包装機本体の両方を同等の動作速度で動作させることができる計量包装システムを提供する。
【解決手段】 被計量物を計量し、排出するための複数の個別動作を行う組合せ秤本体1と、組合せ秤本体1から排出される被計量物を包装するための複数の個別動作を行う包装機本体2Aと、を有するシステム本体3Aと、単一のマイクロコンピュータからなるシステム制御部30Aとを備え、システム制御部30Aは、組合せ秤本体1及び包装機本体2Aのそれぞれの個別動作が、設定されるシステム本体3Aの動作速度に応じて予め定められているタイムスケジュールにしたがって行われるように、組合せ秤本体1と包装機本体2Aとを制御するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被計量物を計量して包装する計量包装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
組合せ秤等の計量機によって計量された菓子類等の被計量物は、包装機によって袋詰めされるのが一般的である。このような計量包装システムでは、例えば、組合せ秤の下方に包装機が設置されており、組合せ秤により計量されて排出される被計量物が包装機にて包装される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来の計量包装システムでは、例えば組合せ秤で計量された被計量物が包装機へ供給され、包装機にて包装されて袋詰めされるという、組合せ秤と包装機との連係動作を可能にするため、組合せ秤と包装機のいずれか一方をスレーブ側、他方をマスター側の装置とし、組合せ秤と包装機間で相互に信号の授受を行うように構成されている。例えば、包装機では、所定のタイミングで組合せ秤に対して被計量物の排出を要求する排出要求信号を出力し、組合せ秤では、所定のタイミングで包装機に対して被計量物の排出を知らせる排出信号を出力するようにしている。これらの排出信号及び排出要求信号の授受は、組合せ秤及び包装機の各々の制御部の間で、例えばLANによる通信によって行われる。
【0004】
ここで、包装機をマスター側の装置とし、組合せ秤をスレーブ側の装置とする構成では、例えば、組合せ秤の動作速度(計量済み被計量物の1分間の排出回数)を110回/分、包装機の動作速度(1分間の包装回数)を100回/分というように、包装機を組合せ秤よりも遅い動作速度に設定する。この場合、組合せ秤では、包装機から排出要求信号が入力されるより前に、被計量物の排出準備が完了して待機状態になっており、包装機から入力される排出要求信号に応答して、即座に被計量物を排出するとともに包装機へ排出信号を出力する。包装機では、組合せ秤から入力される排出信号を確認して組合せ秤から排出された被計量物の包装動作を行う。
【0005】
このように、包装機をマスター側、組合せ秤をスレーブ側の装置とする構成では、包装機からの排出要求信号に基づいて組合せ秤の排出動作が開始される。この場合、組合せ秤において、包装機からの排出要求信号を認識するときのタイミングに揺らぎが生じる。ここで、例えば、組合せ秤と包装機とを同じ動作速度で動作させた場合には、包装機からの排出要求信号を認識したときのタイミングの揺らぎが大きいときに、組合せ秤の排出動作の開始が遅れて組合せ秤に待ち時間が発生する。さらに組合せ秤からの排出信号の出力タイミングが遅れるとともに、包装機においても排出信号を認識するときのタイミングに揺らぎが生じることにより、包装機の包装動作の開始が遅れて包装機にも待ち時間が発生する。したがって、両者に待ち時間が発生し、実質的な速度が大幅に低下するだけでなく、両者ともスムーズな動作ができないことになる。そこで、例えば組合せ秤に、予め最長の揺らぎ時間を予測し、それに基づいて包装機からの排出要求信号が認識されるべきタイミングを設定しておいた場合には、組合せ秤が排出要求信号を認識したときの揺らぎ時間が短いときに、組合せ秤の排出準備が完了していない場合が発生する。このような場合が発生することなく、また、少なくとも一方に、待ち時間が生じることなくスムーズな動作を行えるようにするために、マスター側の包装機を組合せ秤よりも遅い動作速度に設定している。これにより、マスター側の包装機では待ち時間が生じることなくスムーズな動作が可能になる。
【0006】
また、組合せ秤をマスター側の装置とし、包装機をスレーブ側の装置とする構成では、例えば、組合せ秤の動作速度を100回/分、包装機の動作速度を110回/分というように、組合せ秤を包装機よりも遅い動作速度に設定する。この場合、包装機では、組合せ秤の排出準備が完了するより前に、排出要求信号を組合せ秤に出力して待機状態になっており、組合せ秤は、排出準備が完了すると、包装機からの排出要求信号が入力されていることを確認して被計量物を排出するとともに包装機へ排出信号を出力する。包装機では、組合せ秤から入力される排出信号に応答して組合せ秤から排出された被計量物の包装動作を行う。
【0007】
このように、組合せ秤をマスター側、包装機をスレーブ側の装置とする構成では、組合せ秤からの排出信号に基づいて包装機の包装動作が開始される。この場合、包装機において、組合せ秤からの排出信号を認識するときのタイミングに揺らぎが生じる。ここで、例えば、組合せ秤と包装機とを同じ動作速度で動作させた場合には、組合せ秤からの排出信号を認識したときのタイミングの揺らぎが大きいときに、包装機の包装動作の開始が遅れて包装機に待ち時間が発生する。さらに次の包装機からの排出要求信号の出力タイミングが遅れるとともに、組合せ秤においても排出要求信号を認識するときのタイミングに揺らぎが生じることにより、組合せ秤の排出動作の開始が遅れて組合せ秤にも待ち時間が発生する。したがって、両者に待ち時間が発生し、実質的な速度が大幅に低下するだけでなく、両者ともスムーズな動作ができないことになる。そこで、例えば包装機に、予め最長の揺らぎ時間を予測し、それに基づいて組合せ秤からの排出信号が認識されるべきタイミングを設定しておいた場合には、包装機が排出信号を認識したときの揺らぎ時間が短いときに、組合せ秤からの被計量物が包装機の袋に完全に収まっていないうちに包装機の包装動作が開始されて包装動作に支障が生じる場合が発生する。このような場合が発生することなく、また、少なくとも一方に、待ち時間が生じることなくスムーズな動作を行えるようにするために、マスター側の組合せ秤を包装機よりも遅い動作速度に設定している。これにより、マスター側の組合せ秤では待ち時間が生じることなくスムーズな動作が可能になる。
【0008】
上記の組合せ秤と包装機との間で授受される信号のタイミングの揺らぎは、組合せ秤及び包装機において、それぞれの信号を入出力し認識する制御部での内部処理や、ノイズ等によって生じる。
【特許文献1】特開昭61−7423号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のように組合せ秤等の計量機と包装機とを備えた計量包装システムでは、計量機及び包装機のそれぞれの制御部において、両方の間で授受される信号(排出信号、排出要求信号)を認識するタイミングに揺らぎが生じるため、計量機と包装機の両者を同じ速度で動作させることが困難であった。したがって、計量機と包装機とが同等の最高速度を有する構成であっても、マスター側の装置を、最高速度で動作させることができなかった。
【0010】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、計量機本体と包装機本体の両方を同等の動作速度で動作させることができる計量包装システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の計量包装システムは、被計量物を計量し、排出するための複数の個別動作を行う計量機本体と、前記計量機本体から排出される被計量物を包装するための複数の個別動作を行う包装機本体と、を有するシステム本体と、単一のマイクロコンピュータからなる制御装置とを備え、前記制御装置は、前記計量機本体及び前記包装機本体のそれぞれの前記個別動作が、設定される前記システム本体の動作速度に応じて予め定められているタイムスケジュールにしたがって行われるように、前記計量機本体と前記包装機本体とを制御するように構成されている。
【0012】
この構成によれば、単一のマイクロコンピュータからなる制御装置によって、計量機本体及び包装機本体のそれぞれの個別動作が、システム本体の動作速度に応じて予め定められているタイムスケジュールに基づいて制御されるため、それぞれの個別動作がシステム本体の動作速度に応じた一定の周期で繰り返し行われることになり、従来のように計量機及び包装機のそれぞれにおいて、両者の間で授受される信号(前述の排出信号、排出要求信号)を認識するタイミングに揺らぎが生じるという問題がないため、計量機本体と包装機本体とを同等の動作速度で動作させることができる。したがって、計量機本体及び包装機本体の各々の動作可能な最高速度が同じであれば、その最高速度をシステム本体の動作速度に設定することにより、計量機本体及び包装機本体を各々の最高速度で動作させることができ、高速動作が可能な計量包装システムを実現することができる。
【0013】
また、前記計量機本体は、それぞれ供給される被計量物を一時保持して排出するための複数のホッパを有し、前記制御装置は、前記ホッパに供給されている被計量物の重量を組合せた合計である組合せ重量値が所定重量範囲内である前記ホッパの組合せを求める組合せ処理を行い、それにより求められた組合せの前記ホッパの被計量物を前記包装機本体へ排出させるように前記計量機本体を制御するように構成されていてもよい。
【0014】
この場合、組合せ秤と包装機とからなる高速動作が可能な計量包装システムを実現することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以上に説明した構成を有し、計量機本体と包装機本体の両方を同等の動作速度で動作させることができる計量包装システムを提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0017】
(第1の構成例)
図1は、本発明の実施の形態の第1の構成例の計量包装システムの概略構成図である。
【0018】
この第1の構成例の計量包装システムは、組合せ秤本体1及び包装機本体2Aからなるシステム本体3Aと、システム本体3A(組合せ秤本体1及び包装機本体2A)の動作を制御するシステム制御部30Aと、操作入力部31Aとを備えている。
【0019】
組合せ秤本体1は、装置上部の中央に、外部の供給装置から供給される被計量物を振動によって放射状に分散させる円錐形の分散フィーダ11が設けられている。分散フィーダ11の周囲には、分散フィーダ11から送られてきた被計量物を振動によって各供給ホッパ13に送りこむためのリニアフィーダ12が設けられている。リニアフィーダ12の下方には、複数の供給ホッパ13、計量ホッパ14がそれぞれ対応して設けられ、円状に配置されている。供給ホッパ13はリニアフィーダ12から送りこまれた被計量物を受け取り、その下方に配置された計量ホッパ14が空になるとゲートを開いて計量ホッパ14へ被計量物を投入する。計量ホッパ14にはロードセル等の重量センサ15が取り付けられており、この重量センサ15により計量ホッパ14内の被計量物の重量が計測される。各重量センサ15の計測値はシステム制御部30Aへ出力される。円状に列設された計量ホッパ14の下方には、略逆円錐台形状の集合シュート16が配設され、計量ホッパ14から排出された被計量物は集合シュート16上を滑り落ち、集合シュート16の下部の排出口に設けられた集合ホッパ17によって一時保持された後、集合ホッパ17から排出される。
【0020】
図2は、包装機本体2Aの一例の概略構成を示す斜視図である。
【0021】
包装機本体2Aには、間欠的に回転する回転テーブル20が備えられているとともに、回転テーブル20の側面に設けられたグリッパ21により袋が把持されて、回転テーブル20が矢印aの方向に間欠的に回転し、それぞれの停止位置ST1〜ST5において、それぞれの所定の処理を行うための装置が備えられている。
【0022】
例えば、予め製造されストックされている袋が、袋移送装置(図示せず)により、回転テーブル20の停止位置ST1の側面に移送され、グリッパ21により袋Pの両縁部が把持される。そして、回転テーブル20が、順次間欠的に回転することにより、袋Pは、停止位置ST1から、停止位置ST2、停止位置ST3、停止位置ST4、停止位置ST5へと順に移送される。各停止位置において、所定の処理が行われる。停止位置ST2においては吸盤装置22により袋口が開かれ、停止位置ST3においては袋口へ投入ファネル23が挿入され、組合せ秤本体1から投入ファネル23を介して被計量物が袋Pに充填される。また、停止位置ST4においてはシールヒータ24により袋口がシールされ、次の停止位置ST5においてグリッパ21が開かれて袋Pはコンベア25上へ排出される。
【0023】
図1は、停止位置ST3における包装機本体2Aと組合せ秤本体1との構成が示されており、投入ファネル23は、上昇及び下降できるように、上下可動装置(図示せず)に取り付けられている。図1では、投入ファネル23が上昇して停止しているときの状態が示されている。この停止位置ST3では、投入ファネル23が下降して袋Pの上部の口に挿入され、その状態で組合せ秤本体1の集合ホッパ17のゲートを開き、被計量物が投入ファネル23を介して袋Pに投入される。そして、投入ファネル23が上昇した後で、回転テーブル20が間欠的に回転することにより、被計量物が充填されている袋Pは後の停止位置ST4へ移送され、前の停止位置ST2から次の袋Pが投入ファネル23の下方へ移送される。
【0024】
また、システム制御部30Aは、1つのCPUと、このCPUの動作プログラム及び動作パラメータ等が記憶されているROM及びRAMのメモリ、タイマ等を備えたマイクロコンピュータからなり、CPUがROMに記憶されている動作プログラムを実行することにより、組合せ秤本体1及び包装機本体2Aからなるシステム本体3Aの全体の動作の制御を行うとともに、組合せ秤本体1における組合せ演算を行う。
【0025】
組合せ演算では、それぞれの重量センサ15により計測される被計量物の重量値に基づいて、複数の計量ホッパ14の中から、被計量物の重量値の合計が、予め定められた所定重量範囲(目標重量に対する許容範囲)内である計量ホッパ14の組合せ(排出組合せ)を1つ求める。所定重量範囲内にある組合せが複数存在する場合には、組合せ重量の目標値である目標重量との差の絶対値が最も小さい計量ホッパ14の組合せを1つ求めて排出組合せに決める。
【0026】
操作入力部31Aは、例えばタッチスクリーン式のディスプレイ画面を備え、計量包装システムの操作およびその動作パラメータの設定等を行うための入力手段である。また、計量包装システムの動作状況(例えば、動作速度、物品の重量値、集計データ等)をディスプレイ画面に表示できるようになっている。
【0027】
操作者が操作入力部31Aからこの計量包装システムの動作速度(システム本体3Aの動作速度)を入力することにより、システム制御部30Aに動作速度が設定される。システム制御部30Aでは、例えば、異なる動作速度に応じて異なる動作パラメータが記憶されており、CPUが設定された動作速度に応じた動作パラメータを用いて動作プログラムを実行することにより、設定された動作速度に応じたタイムスケジュールにしたがってシステム本体3Aの各部分の動作が行われる。このタイムスケジュールには、システム制御部30Aにより行われる組合せ演算も含まれる。
【0028】
図3は、この第1の構成例の計量包装システムの動作の一例を示すタイミングチャートである。これは、例えば、計量包装システムの動作速度が最高速度に設定された場合のタイムスケジュールに基づいた各部分の動作期間が示されている。
【0029】
図3において、袋開期間は、停止位置ST2において、吸盤装置22が袋口を開くために動作する期間である。投入ファネル下降期間は、停止位置ST3において、投入ファネル23の下部が袋Pの上部の口に挿入されるように投入ファネル23を下降させる期間であり、投入ファネル上昇期間は、投入ファネル23を下降前の元の位置に戻すために投入ファネル23を上昇させる期間である。袋移動期間は、袋Pを次の停止位置に移動させるために回転テーブル20を間欠回転させる期間である。集合ホッパ開期間は、集合ホッパ17から被計量物を排出させるために集合ホッパ17のゲートを開いている期間であり、計量ホッパ開期間は、排出組合せに選択されている計量ホッパ14から被計量物を排出させるために計量ホッパ14のゲートを開いている期間である。供給及び安定期間は、空の計量ホッパ14へ被計量物を供給するために供給ホッパ13のゲートを開いて被計量物の供給を始めてから重量センサ15による計測値が安定するまでに要する期間であり、この期間中の期間Taは供給ホッパ13のゲートを開いている期間である。組合せ期間は、前述の組合せ演算を行う期間である。これらの各期間の長さ及び各期間の開始タイミングは、システム制御部30Aが設定された動作速度に基づいて動作プログラムを実行することにより一意的に決まる。これにより、それぞれの期間で行われるシステム本体3Aの各々の動作は、動作速度に応じた一定の周期で繰り返される。この一定の周期は、設定される動作速度に応じて異なり、組合せ秤本体1の動作サイクルTwでもあり、包装機本体2Aの動作サイクルTpでもある(Tw=Tp)。
【0030】
例えば、時刻t2〜t3の組合せ期間において、排出組合せに選択された計量ホッパ14は、時刻t3〜t4の計量ホッパ開期間にゲートが開かれて被計量物が排出される。被計量物が排出された計量ホッパ14には、時刻t4から始まる期間Taの間に、供給ホッパ13から被計量物が供給される。そして、時刻t4〜t7の供給及び安定期間の直後に計測された計量ホッパ14の被計量物の重量値が、次の組合せ期間(時刻t7〜t8の期間)で行われる組合せ演算に用いられる。
【0031】
また、時刻t3〜t4の期間に計量ホッパ14から排出された被計量物は集合シュート16を滑り落ちて時刻t8までの間、集合ホッパ17に貯留される。そして、時刻t8〜t9の集合ホッパ開期間に、集合ホッパ17から被計量物が排出され、投入ファネル23を介して袋Pに投入される。
【0032】
一方、時刻t1〜t3の袋開期間において、停止位置ST2で袋口が開かれた袋Pは、時刻t5〜t6の袋移動期間に回転テーブル20が間欠回転して停止位置ST3へ移送される。そして、時刻t6〜t8の投入ファネル下降期間に投入ファネル23が袋口に挿入され、前述した時刻t8〜t9の集合ホッパ開期間に、集合ホッパ17から被計量物が投入される。その後、時刻t9〜t10の投入ファネル上昇期間に投入ファネル23が上昇して袋Pから抜き出され、時刻t10〜t11の袋移動期間に次の停止位置ST4へ移送される。そして、図3には示していないが、停止位置ST4において、所定の期間、シールヒータ24により袋口がシールされた後、次の袋移動期間に停止位置ST5へ移送される。この停止位置ST5において、所定のタイミングでグリッパ21が開かれ、袋Pはコンベア25上へ排出される。
【0033】
(第2の構成例)
図4は、本発明の実施の形態の第2の構成例の計量包装システムの概略構成図である。
【0034】
この第2の構成例の計量包装システムは、組合せ秤本体1及び包装機本体2Bからなるシステム本体3Bと、システム本体3B(組合せ秤本体1及び包装機本体2B)の動作を制御するシステム制御部30Bと、操作入力部31Bとを備えている。
【0035】
組合せ秤本体1は、図1の構成と同様であり、その説明を省略する。
【0036】
包装機本体2Bでは、袋を製造しながら、この袋に組合せ秤本体1から排出される被計量物を充填して包装する。この包装機本体2Bでは、包材のロール(図示せず)から引き出されたシート状の包材46が、フォーマ42によってチューブ41に巻かれて筒状に成形され、プルダウンベルト機43により吸着されて下方に送られながら、縦シール機44により筒状の包材46の重ねられた縦の縁のシール(縦シール)が行われる。そして、チューブ41の下方に配置される横シール機(一対のシールジョー)45により先行する袋の上端と後続の袋の下端とにまたがって横方向のシール(横シール)が行われる。この横シールが行われることにより、先行する袋は、前回での横シールにより下端が封止されているので上下がシールされた完全な袋となる。横シールが行われた後、計量された被計量物がチューブ41を通って袋46aに充填される。以降、上記の動作が繰り返される。
【0037】
また、システム制御部30Bは、1つのCPUと、このCPUの動作プログラム及び動作パラメータ等が記憶されているROM及びRAMのメモリ、タイマ等を備えたマイクロコンピュータからなり、CPUがROMに記憶されている動作プログラムを実行することにより、組合せ秤本体1及び包装機本体2Bからなるシステム本体3Bの全体の動作の制御を行うとともに、組合せ秤本体1における組合せ演算を行う。この組合せ演算は、第1の構成例の場合と同様であり、排出組合せを1つ求める。
【0038】
操作入力部31Bは、例えばタッチスクリーン式のディスプレイ画面を備え、計量包装システムの操作およびその動作パラメータの設定等を行うための入力手段である。また、計量包装システムの動作状況(例えば、動作速度、物品の重量値、集計データ等)をディスプレイ画面に表示できるようになっている。
【0039】
操作者が操作入力部31Bからこの計量包装システムの動作速度(システム本体3Bの動作速度)を入力することにより、システム制御部30Bに動作速度が設定される。システム制御部30Bでは、例えば、異なる動作速度に応じて異なる動作パラメータが記憶されており、CPUが設定された動作速度に応じた動作パラメータを用いて動作プログラムを実行することにより、設定された動作速度に応じたタイムスケジュールにしたがってシステム本体3Bの各部分の動作が行われる。このタイムスケジュールには、システム制御部30Bにより行われる組合せ演算も含まれる。
【0040】
図5は、この第2の構成例の計量包装システムの動作の一例を示すタイミングチャートである。これは、例えば、計量包装システムの動作速度が最高速度に設定された場合のタイムスケジュールに基づいた各部分の動作期間が示されている。
【0041】
図5において、袋送り期間は、プルダウンベルト機43により筒状の包材46が下方に送られながら、縦シール機44により縦シールが行われる期間である。横シール期間は、横シール機45により横シールが行われる期間である。集合ホッパ開期間、計量ホッパ開期間、供給及び安定期間、及び、組合せ期間は、図3の場合と同様の期間である。これらの各期間の長さ及び各期間の開始タイミングは、システム制御部30Bが設定された動作速度に基づいて動作プログラムを実行することにより一意的に決まる。これにより、それぞれの期間で行われるシステム本体3Bの各々の動作は、動作速度に応じた一定の周期で繰り返される。この一定の周期は、設定される動作速度に応じて異なり、組合せ秤本体1の動作サイクルTwでもあり、包装機本体2Bの動作サイクルTpでもある(Tw=Tp)。なお、図5に示された時刻t1、t2、・・・は、図3に示された時刻t1、t2、・・・とは異なる。
【0042】
例えば、時刻t2〜t3の組合せ期間において、排出組合せに選択された計量ホッパ14は、時刻t3〜t4の計量ホッパ開期間にゲートが開かれて被計量物が排出される。被計量物が排出された計量ホッパ14には、時刻t4から始まる期間Taの間に、供給ホッパ13から被計量物が供給される。そして、時刻t4〜t6の供給及び安定期間の直後に計測された計量ホッパ14の被計量物の重量値が、次の組合せ期間(時刻t6〜t7の期間)で行われる組合せ演算に用いられる。
【0043】
また、時刻t3〜t4の期間に計量ホッパ14から排出された被計量物は集合シュート16を滑り落ちて時刻t7までの間、集合ホッパ17に貯留される。そして、時刻t7〜t8の集合ホッパ開期間に、集合ホッパ17から被計量物が排出され、チューブ41を介して袋46a(下端が横シールされた筒状の包材46)に投入される。
【0044】
一方、時刻t4〜t5の袋送り期間において、プルダウンベルト機43により筒状の包材46が下方に送られながら、縦シール機44により縦シールが行われ、時刻t5〜t7の横シール期間に横シール機45により横シールが行われることにより、筒状の袋46aが形成される。前述した時刻t7〜t8の集合ホッパ開期間に、集合ホッパ17から被計量物が排出され、袋46aに投入される。この被計量物が投入された袋46aは、時刻t8〜t9の袋送り期間に下方に送られて、時刻t9〜t11の横シール期間に袋上端の横シールが行われる。
【0045】
本実施の形態では、第1、第2の構成例のように、単一のマイクロコンピュータからなるシステム制御部30A,30Bによって、組合せ秤本体1及び包装機本体2A,2Bのそれぞれの個別動作が、設定されるシステム本体3A,3Bの動作速度に応じて予め定められているタイムスケジュールに基づいて制御されるため、それぞれの個別動作がシステム本体3A,3Bの動作速度に応じた一定の周期で繰り返し行われることになり、従来のように計量機及び包装機のそれぞれにおいて、両者の間で授受される信号(前述の排出信号、排出要求信号)を認識するタイミングに揺らぎが生じるという問題がないため、組合せ秤本体1と包装機本体2A,2Bとを同等の動作速度で動作させることができる。したがって、組合せ秤本体1及び包装機本体2A,2Bの各々の動作可能な最高速度が同じであれば、その最高速度をシステム本体3A,3Bの動作速度に設定することにより、組合せ秤本体1及び包装機本体2A,2Bを各々の最高速度で動作させることができ、高速動作が可能な計量包装システムを実現することができる。
【0046】
なお、上記の実施の形態における組合せ秤本体1の構成については、種々変更が可能である。以下に、その一例を挙げる。
【0047】
例えば、組合せ秤本体1は、集合シュート16の下部の排出口の集合ホッパ17が設けられていない構成でもよい。この場合、排出組合せに選択されている計量ホッパ14から排出された被計量物は集合シュート16上を滑り落ちて直接包装機本体2A,2Bへ投入されるように構成される。
【0048】
また、組合せ秤本体1は、図1、図4の例では、組合せ演算の対象となるホッパ(組合せ用ホッパ)として計量ホッパ14のみを有する構成であるが、合計重量値が所定重量範囲内である被計量物が排出されるように構成されてあればよく、組合せ演算の対象となるホッパの構成としては種々変更が可能である。一例を挙げれば、それぞれの計量ホッパ14に対応して計量ホッパ14の下方に、それぞれ対応する計量ホッパ14から計量済みの被計量物が投入されるメモリホッパを配設し、計量ホッパ14は、対応するメモリホッパと集合シュート16とへ選択的に被計量物を排出可能な構成にしてもよい。この場合、組合せ秤制御部10は、各々の計量ホッパ14に投入されている被計量物の重量値と各々のメモリホッパに投入されている被計量物の重量値とに基づいて組合せ演算を行うことにより、被計量物の重量値の合計が所定重量範囲内になる組合せの計量ホッパ14及び/又はメモリホッパを選択すればよい。
【0049】
また、組合せ秤本体1では、組合せに用いられる組合せ用ホッパが円状に列設された構成としたが、この構成に限られない。例えば、組合せ用ホッパが楕円状、正方形、長方形等の多角形状、あるいは直線状に列設された構成であってもよい。また、集合シュートは、例えば上部の開口形状を組合せ用ホッパの列設形状に応じた形状とし、各組合せ用ホッパから排出される被計量物を集めて下部の排出口から排出できるように構成してあればよい。
【0050】
さらに、組合せ秤本体1に代えて、被計量物を計量し、包装機へ被計量物を投入する計量機本体であってもよい。
【0051】
また、包装機本体2A,2Bについても、第1、第2の構成例のものに限られるものではなく、組合せ秤等の計量機本体から投入される被計量物を包装する包装機本体であればよい。
【0052】
また、包装機本体が被計量物の投入口を複数有し、各々の投入口に投入される被計量物を各々包装するように構成されており、組合せ秤等の計量機本体が包装機本体の各々の投入口へ被計量物を投入するように構成されてあってもよい。また、この場合、包装機本体の複数の投入口に対応して、計量機本体に複数の排出口を有する構成とし、複数の各々の排出口から順番に被計量物が排出される構成であってもよいし、複数の排出口から同時に被計量物が排出される構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明にかかる計量包装システムは、被計量物の計量及び包装動作を高速で行う計量包装システム等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態の第1の構成例の計量包装システムの概略構成図である。
【図2】第1の構成例における包装機本体の一例の概略構成を示す斜視図である。
【図3】第1の構成例の計量包装システムの動作の一例を示すタイミングチャートである。
【図4】本発明の実施の形態の第2の構成例の計量包装システムの概略構成図である。
【図5】第2の構成例の計量包装システムの動作の一例を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0055】
1 組合せ秤本体
2A,2B 包装機本体
3A,3B システム本体
30A,30B システム制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被計量物を計量し、排出するための複数の個別動作を行う計量機本体と、前記計量機本体から排出される被計量物を包装するための複数の個別動作を行う包装機本体と、を有するシステム本体と、
単一のマイクロコンピュータからなる制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記計量機本体及び前記包装機本体のそれぞれの前記個別動作が、設定される前記システム本体の動作速度に応じて予め定められているタイムスケジュールにしたがって行われるように、前記計量機本体と前記包装機本体とを制御するように構成された計量包装システム。
【請求項2】
前記計量機本体は、それぞれ供給される被計量物を一時保持して排出するための複数のホッパを有し、
前記制御装置は、前記ホッパに供給されている被計量物の重量を組合せた合計である組合せ重量値が所定重量範囲内である前記ホッパの組合せを求める組合せ処理を行い、それにより求められた組合せの前記ホッパの被計量物を前記包装機本体へ排出させるように前記計量機本体を制御するように構成された請求項1に記載の計量包装システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−145167(P2008−145167A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−330405(P2006−330405)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(505260556)
【Fターム(参考)】