説明

記録ヘッド及び情報記録再生装置

【課題】光束を効率良く集光させて書き込みの信頼性を向上することができると共に、コンパクトでしかも薄型化を図ること。
【解決手段】スライダ20と、主磁極32及び補助磁極30を有し、スライダの先端面に固定された記録素子22と、一端側から他端側に向かう方向に直交する断面積が漸次減少するように絞り成形され、一端側から導入された光束Lを内部で集光させながら他端側に向けて伝播させてスポット光Rを生成すると共に、該スポット光を他端側から外部に向けて発するコア40と、該コアを内部に閉じ込めるクラッド41とを有するスポット光生成素子23と、スライダに対して平行に配置され、コア内に光束を導入させる光束導入手段4と、を備え、スポット光生成素子が、スライダの厚みよりも長く形成され、コアの断面積の減少率が所定値以下となるように長さが調整されている記録ヘッド2を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を集光したスポット光を利用して磁気記録媒体に各種の情報を記録する記録ヘッド及び該記録ヘッドを有する情報記録再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータ機器におけるハードディスク等の容量増加に伴い、単一記録面内における情報の記録密度が増加している。例えば、磁気ディスクの単位面積当たりの記録容量を多くするためには、面記録密度を高くする必要がある。ところが、記録密度が高くなるにつれて、記録媒体上で1ビット当たりの占める記録面積が小さくなっている。このビットサイズが小さくなると、1ビットの情報が持つエネルギーが、室温の熱エネルギーに近くなり、記録した情報が熱揺らぎ等のために反転したり、消えてしまったりする等の熱減磁の問題が生じてしまう。
【0003】
一般的に用いられてきた面内記録方式では、磁化の方向が記録媒体の面内方向に向くように磁気を記録する方式であるが、この方式では上述した熱減磁による記録情報の消失等が起こり易い。そこで、このような不具合を解消するために、記録媒体に対して垂直な方向に磁化信号を記録する垂直記録方式に移行しつつある。この方式は、記録媒体に対して、単磁極を近づける原理で磁気情報を記録する方式である。この方式によれば、記録磁界が記録膜に対してほぼ垂直な方向を向く。垂直な磁界で記録された情報は、記録膜面内においてN極とS極とがループを作り難いため、エネルギー的に安定を保ち易い。そのため、この垂直記録方式は、面内記録方式に対して熱減磁に強くなっている。
【0004】
しかしながら、近年の記録媒体は、より大量且つ高密度情報の記録再生を行いたい等のニーズを受けて、さらなる高密度化が求められている。そのため、隣り合う磁区同士の影響や、熱揺らぎを最小限に抑えるために、保磁力の強いものが記録媒体として採用され始めている。そのため、上述した垂直記録方式であっても、記録媒体に情報を記録することが困難になっていた。
【0005】
そこで、この不具合を解消するために、光を集光したスポット光、若しくは、近接場光を利用して磁区を局所的に加熱して一時的に保磁力を低下させ、その間に書き込みを行うハイブリッド磁気記録方式が提供されている。特に、近接場光を利用する場合には、従来の光学系において限界とされていた光の波長以下となる領域における光学情報を扱うことが可能となる。よって、従来の光情報記録再生装置等を超える記録ビットの高密度化を図ることができる。
【0006】
上述したハイブリッド磁気記録方式による記録ヘッドとしては、各種のものが提供されているが、その1つとして、近接場光を利用して加熱を行う近接場光ヘッドが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
この近接場光ヘッドは、主に主磁極と、補助磁極と、螺旋状の導体パターンが絶縁体の内部に形成されたコイル巻線と、照射されたレーザ光から近接場光を発生させる金属散乱体と、金属散乱体に向けてレーザ光を照射する平面レーザ光源と、照射されたレーザ光を集束させるレンズとを備えている。これら各構成品は、ビームの先端に固定されたスライダの側面に取り付けられている。
【0007】
主磁極は、一端側が記録媒体に対向した面となっており、他端側が補助磁極に接続されている。つまり、主磁極及び補助磁極は、1本の磁極(単磁極)を垂直方向に配置した単磁極型垂直ヘッドを構成している。また、コイル巻線は、主磁極と補助磁極との間を一部が通過するように補助磁極に固定されている。これら主磁極、補助磁極及びコイル巻線は、全体として電磁石を構成している。
主磁極の先端には、金等からなる上記金属散乱体が取り付けられている。また、金属散乱体から離間した位置に上記平面レーザ光源が配置されると共に、該平面レーザ光源と金属散乱体との間に上記レンズが配置されている。
上述した各構成品は、スライダの側面側から、補助磁極、コイル巻線、主磁極、金属散乱体、レンズ、平面レーザ光源の順に取り付けられている。
【0008】
このように構成された近接場光ヘッドを利用する場合には、近接場光を発生させると同時に記録磁界を印加することで、記録媒体に各種の情報を記録している。
即ち、平面レーザ光源からレーザ光を照射させる。このレーザ光は、レンズによって集光され、金属散乱体に照射される。すると金属散乱体は、内部の自由電子がレーザ光の電場によって一様に振動させられるのでプラズモンが励起されて先端部分に近接場光を発生させる。その結果、記録媒体の磁気記録層は、近接場光によって局所的に加熱され、一時的に保磁力が低下する。
また、上記レーザ光の照射と同時に、コイル巻線の導体パターンに駆動電流を供給することで、主磁極に近接する記録媒体の磁気記録層に対して記録磁界を局所的に印加する。これにより、保磁力が一時的に低下した磁気記録層に各種の情報を記録することができる。つまり、近接場光と磁場との協働により、記録媒体への記録を行うことができる。
【特許文献1】特開2004−158067号公報
【特許文献2】特開2005−4901号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した従来の近接場光ヘッドには、まだ以下の課題が残されていた。
即ち、情報の記録に不可欠な近接場光を発生させる際に、平面レーザ光源からレンズを介して金属散乱体にレーザ光を集光させながら照射させている。ところが、主磁極の先端に金属散乱体が取り付けられているので、平面レーザ光源からレーザ光の光軸を斜めにして照射せざるを得なかった。よって、レンズ位置をうまく位置調整したとしても、レーザ光を金属散乱体に効率良く集光させることが難しいものであった。特に、記録媒体への干渉を考慮しながらレンズを配置する必要があるので半円形状のレンズを使用しているが、このことも集光効率の低下を招く要因であった。
その結果、効率良く近接場光を発生させることができず、情報の書き込みを行うことができない場合があった。
【0010】
また、レンズを金属散乱体から離間した位置に配置する必要があるので、ヘッドのサイズが大きくなってしまい、コンパクトに構成することができなかった。しかも、レンズ位置と金属散乱体の位置とを考慮しながら平面レーザ光源を配置する必要があるので、容易に設置することができるものではなかった。
【0011】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、光束を効率良く集光させて書き込みの信頼性を向上することができると共に、コンパクトでしかも薄型化を図ることができる記録ヘッド、及び該記録ヘッドを有する情報記録再生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、前記課題を解決するために以下の手段を提供する。
本発明に係る記録ヘッドは、光束を集光して生成したスポット光により一定方向に回転する磁気記録媒体を加熱すると共に、磁気記録媒体に対して垂直方向の記録磁界を与えることで磁化反転を生じさせ、情報を記録させる記録ヘッドであって、前記磁気記録媒体の表面に対向配置されたスライダと、前記記録磁界を発生させる主磁極及び補助磁極を有し、前記スライダの先端面側に補助磁極が位置した状態で両磁極がスライダの長手方向に並ぶようにスライダの先端面に固定された記録素子と、一端側から他端側に向かう方向に直交する断面積が漸次減少するように絞り成形され、一端側から導入された前記光束を内部で集光させながら他端側に向けて伝播させて前記スポット光を生成すると共に、該スポット光を他端側から外部に向けて発するコアと、該コアの前記他端側を少なくとも外部に露出させた状態でコアに密着してコアを内部に閉じ込めるクラッドとを有し、前記他端側を前記磁気記録媒体側に向けた状態で前記主磁極に隣接して固定されて、前記スポット光を主磁極の近傍に発生させるスポット光生成素子と、前記スライダに対して平行に配置され、前記一端側から前記コア内に前記光束を導入させる光束導入手段と、を備え、前記スポット光生成素子が、前記スライダの厚みよりも長く形成され、前記コアの断面積の減少率が所定値以下となるように長さが調整されていることを特徴とするものである。
【0013】
この発明に係る記録ヘッドにおいては、スポット光と記録磁界とを協働させたハイブリッド磁気記録方式により、回転する磁気記録媒体に対して情報の記録を行うことができる。まず、スライダは、磁気記録媒体の表面に対向した状態で配置されている。そして、このスライダの先端面に主磁極及び補助磁極を有する記録素子が固定されている。この際、スライダの先端面側に補助磁極が位置し、該補助磁極に隣接して主磁極が配置されている。更に、主磁極に隣接してスポット光生成素子が固定されている。つまり、スライダの先端面には、スライダ側から順に補助磁極、主磁極、スポット光生成素子が配置されている。またスポット光生成素子は、スポット光が発生する他端側が磁気記録媒体側に向けた状態で固定されている。そして、磁気記録媒体から離間した位置に配置されたスポット光生成素子の一端側に光束導入手段から光束が導入される。
【0014】
ここで記録を行う場合には、光束導入手段から光束をスポット光生成素子のコア内に導入する。この際、スライダに対して平行な方向に光束を導入する。すると、導入された光束は、磁気記録媒体側に位置する他端側に向かって、コアの内部で反射を繰り返しながら伝播する。このときコアは、一端側から他端側に向かう長手方向に直交する断面積が漸次減少するように絞り成形されているので、光束は徐々に集光されながら伝播する。
そのため、光束はコアの他端側に達した時点で、絞りこまれてスポットサイズが小さくなる。つまりコアは、導入された光束のスポットサイズを小さいサイズに絞りこむことができる。これにより、スポット光を生成することができ、他端側から外部に発することができる。特に、コアにはクラッドが密着しているので、伝播している光束が途中でコアの外部に漏れることがない。よって、導入された光束を無駄にすることなく効率良くスポット光にすることができる。
【0015】
すると磁気記録媒体は、このスポット光によって局所的に加熱されて一時的に保磁力が低下する。特にコアは、主磁極に隣接しており該主磁極の近傍にスポット光を発生させるので、主磁極にできるだけ近い位置で磁気記録媒体の保磁力を低下させることができる。
一方、上述した光束の導入と同時に、記録素子を作動させて主磁極と補助磁極との間に記録磁界を発生させる。これにより、スポット光によって保磁力が低下した磁気記録媒体の局所的な位置に対してピンポイントで記録磁界を発生させることができる。なお、この記録磁界は、記録する情報に応じて向きが変化する。そして、磁気記録媒体は、記録磁界を受けると該記録磁界の方向に応じて磁化の方向が垂直方向に変化する。その結果、情報の記録を行うことができる。
【0016】
つまり、スポット光と記録磁界とを協働させたハイブリッド磁気記録方式により情報の記録を行うことができる。また、垂直磁気記録方式であるので、熱揺らぎの現象を受け難く、書き込みの信頼性が高い安定した記録を行うことができる。しかも、記録磁界が局所的に作用する位置に加熱温度のピーク位置を入れることができるので、磁気記録媒体の所定の位置の保磁力を低下させることができる。従って、確実に記録を行うことができると共に、高密度記録化を図ることが出来る。
【0017】
また、スポット光生成素子により、スライダの上面側から磁気記録媒体に向かう他端側に向けて略一直線の光軸に沿って光束を集光させながらスポット光を生成できるので、従来のように光軸が斜めになることがなく、また位置調整が困難であったレンズが不要である。従って、光束を効率良く集光してスポット光を生成することができ、磁気記録媒体を効率良く加熱することができる。よって、書き込みの信頼性を向上することができる。
【0018】
特に、スポット光生成素子は、スライダの厚みよりも長く形成されており、漸次絞り成形されているコアの断面積の減少率が所定値以下となるように長さが調整されている。そのため、光束のスポットサイズを急激に小さくするのではなく、ゆっくりとなだらかに小さくすることができる。ところで、光束のスポットサイズを急激に小さくした場合には、光伝播効率が悪くなり、導入された光束を全てスポット光に変換することが難しい。しかしながら、上述したようにスポットサイズをゆっくりと小さくするので、光束を無駄にすることなく徐々に絞り込んでスポット光にすることができる。従って、スポット光の生成効率を高めることができ、磁気記録媒体を効率良く加熱することができる。
【0019】
また、コア及びクラッドでスポット光生成素子を構成できるので、構成の容易化を図ることができる。更には、スライダの先端面に、記録素子、スポット光生成素子を順に配置しているので、各構成品がスライダの厚み方向に重なることを極力防止している。しかも、スポット光生成素子を長く設計したとしても、これに影響されずにスライダの厚みをできるだけ薄くできるので、コンパクトな設計で薄型化を図ることができる。そのため、スライダを磁気記録媒体上から浮上させた場合には、低浮上を実現することが可能である。
【0020】
上述したように、本発明に係る記録ヘッドによれば、光束を効率良く集光させてスポット光を生成することができ、書き込みの信頼性を向上することができる。また、コンパクト化及び薄型化を図ることができる。
【0021】
また、本発明に係る記録ヘッドは、上記本発明の記録ヘッドにおいて、前記クラッドが、前記コアの一端側を外部に露出させた状態で形成されていることを特徴とするものである。
【0022】
この発明に係る記録ヘッドにおいては、クラッドがコアの一端側を外部に露出させた状態で形成されているので、クラッドを介さずに直接コアに光束を導入することができる。そのため、損失をできるだけ抑えた状態で光束を導入することができる。その結果、さらに効率良くスポット光を生成することができ、磁気記録媒体をさらに効率良く加熱することができる。
【0023】
また、本発明に係る記録ヘッドは、上記本発明の記録ヘッドにおいて、前記スポット光生成素子には、前記スポット光から近接場光を発生させて該近接場光を前記他端側から外部に発する近接場光発生素子が設けられていることを特徴とするものである。
【0024】
この発明に係る記録ヘッドにおいては、スポット光生成素子に近接場光発生素子が設けられているので、光束を集光してスポット光にした後、さらにスポットサイズを小さくして近接場光とすることができる。従って、磁気記録媒体をさらに微小な領域で加熱することができ、さらなる高密度記録化を図ることができる。
【0025】
また、本発明に係る記録ヘッドは、上記本発明の記録ヘッドにおいて、前記記録媒体から漏れ出た磁界の大きさに応じた電気信号を出力する再生素子を備えていることを特徴とするものである。
【0026】
この発明に係る記録ヘッドにおいては、再生素子が、磁気記録媒体から漏れ出た磁界の大きさに応じた電気信号を出力する。そのため、情報の記録だけでなく、再生素子から出力された電気信号に基づいて磁気記録媒体に記録されている情報の再生を行うことができる。
【0027】
また、本発明に係る記録ヘッドは、上記本発明の記録ヘッドにおいて、前記再生素子が、前記スライダと前記記録素子との間に設けられていることを特徴とするものである。
【0028】
この発明に係る記録ヘッドにおいては、スライダと記録素子との間に再生素子が設けられているので、スライダの先端面側から順に再生素子、記録素子、スポット光生成素子が並んだ状態になる。そのため、磁気記録媒体の表面に対向配置されるスライダが、先端面を磁気記録媒体に向けた状態で斜めになったとしても、記録素子及びスポット光生成素子をできるだけ磁気記録媒体に近づけることができる。従って、磁気記録媒体に対してスポット光及び記録磁界をより効率良く作用させることができ、高密度な記録を行うことができる。
【0029】
また、本発明に係る記録ヘッドは、上記本発明の記録ヘッドにおいて、前記再生素子が、前記クラッドに埋め込まれた状態で取り付けられていることを特徴とするものである。
【0030】
この発明に係る記録ヘッドにおいては、再生素子がコアを内部に閉じ込めているクラッドに埋め込まれているので、再生素子の厚みをクラッドで吸収することができる。そのため、磁気記録媒体の表面に対向配置されるスライダが、先端面を磁気記録媒体側に向けた状態で斜めになったとしても、記録素子及びスポット光生成素子をできるだけ磁気記録媒体に近づけることができる。従って、磁気記録媒体に対してスポット光及び記録磁界をより効率良く作用させることができ、高密度な記録を行うことができる。
【0031】
また、本発明に係る記録ヘッドは、上記本発明の記録ヘッドと、前記磁気記録媒体の表面に平行な方向に移動可能とされ、該磁気記録媒体の表面に平行で且つ互いに直交する2軸回りに回動自在な状態で、前記記録ヘッドを先端側で支持するビームと、前記光束導入手段に対して前記光束を入射させる光源と、前記ビームの基端側を支持すると共に、該ビームを前記磁気記録媒体の表面に平行な方向に向けて移動させるアクチュエータと、前記磁気記録媒体を前記一定方向に回転させる回転駆動部と、前記記録素子及び前記光源の作動を制御する制御部と、を備えていることを特徴とするものである。
【0032】
この発明に係る情報記録再生装置においては、回転駆動部により磁気記録媒体を一定方向に回転させた後、アクチュエータによりビームを移動させて記録ヘッドをスキャンさせる。そして、記録ヘッドを磁気記録媒体上の所望する位置に配置させる。この際、記録ヘッドは、磁気記録媒体の表面に平行で且つ互いに直交する2軸回りに回動自在な状態、即ち、2軸を中心として捻れることができるようにビームに支持されている。よって、磁気記録媒体にうねりが生じたとしても、うねりに起因する風圧変化又は直接伝わってくるうねりの変化を捩じりによって吸収でき、記録ヘッドの姿勢を安定にすることができる。
【0033】
その後、制御部は記録素子及び光源を作動させる。これにより記録ヘッドは、スポット光と記録磁界とを協働させて、磁気記録媒体に情報を記録することができる。特に、上述した記録ヘッドを備えているので、書き込みの信頼性が高く、高密度記録化に対応することができ、高品質化を図ることができる。また、同時にコンパクト化及び薄型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係る記録ヘッドによれば、光束を効率良く集光させてスポット光を生成することができ、書き込みの信頼性を向上することができる。また、コンパクト化及び薄型化を図ることができる。
また、本発明に係る情報記録再生装置によれば、上述した記録ヘッドを備えているので、書き込みの信頼性が高く、高密度記録化に対応することができ、高品質化を図ることができる。また、同時にコンパクト化及び薄型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る第1実施形態を、図1から図11を参照して説明する。なお、本実施形態の情報記録再生装置1は、垂直記録層d2を有するディスク(磁気記録媒体)Dに対して、垂直記録方式で書き込みを行う装置である。また、本実施形態では、ディスクDが回転する空気の流れを利用して記録ヘッド2を浮かせた空気浮上タイプを例に挙げて説明する。
【0036】
本実施形態の情報記録再生装置1は、図1に示すように、記録ヘッド2と、ディスク面(磁気記録媒体の表面)D1に平行なXY方向に移動可能とされ、ディスク面D1に平行で且つ互いに直交する2軸(X軸、Y軸)回りに回動自在な状態で記録ヘッド2を先端側で支持するビーム3と、光導波路(光束導入手段)4の基端側から該光導波路4に対して光束Lを入射させる光信号コントローラ(光源)5と、ビーム3の基端側を支持すると共に、該ビーム3をディスク面D1に平行なXY方向に向けてスキャン移動させるアクチュエータ6と、ディスクDを一定方向に回転させるスピンドルモータ(回転駆動部)7と、情報に応じて変調した電流を後述するコイル33に対して供給すると共に光信号コントローラ5の作動を制御する制御部8と、これら各構成品を内部に収容するハウジング9とを備えている。
【0037】
ハウジング9は、アルミニウム等の金属材料により、上面視四角形状に形成されていると共に、内側に各構成品を収容する凹部9aが形成されている。また、このハウジング9には、凹部9aの開口を塞ぐように図示しない蓋が着脱可能に固定されるようになっている。凹部9aの略中心には、上記スピンドルモータ7が取り付けられており、該スピンドルモータ7に中心孔を嵌め込むことでディスクDが着脱自在に固定される。凹部9aの隅角部には、上記アクチュエータ6が取り付けられている。このアクチュエータ6には、軸受10を介してキャリッジ11が取り付けられており、該キャリッジ11の先端にビーム3が取り付けられている。そして、キャリッジ11及びビーム3は、アクチュエータ6の駆動によって共に上記XY方向に移動可能とされている。
【0038】
なお、キャリッジ11及びビーム3は、ディスクDの回転停止時にアクチュエータ6の駆動によって、ディスクD上から退避するようになっている。また、記録ヘッド2とビーム3とで、サスペンション12を構成している。また、光信号コントローラ5は、アクチュエータ6に隣接するように凹部9a内に取り付けられている。そして、このアクチュエータ6に隣接して、上記制御部8が取り付けられている。
【0039】
上記記録ヘッド2は、光束Lを集光して生成したスポット光Rにより回転するディスクDを加熱すると共に、ディスクDに対して垂直方向の記録磁界を与えることで磁化反転を生じさせ、情報を記録させるものである。
この記録ヘッド2は、図2から図4に示すように、ディスク面D1から所定距離Hだけ浮上した状態でディスクDに対向配置され、ディスク面D1に対向する対向面20aを有するスライダ20と、該スライダ20の先端面(以降、流入端側の側面と表現する)に固定された再生素子21と、該再生素子21に隣接して固定された記録素子22と、該記録素子22に隣接して固定されたスポットサイズ変換器(スポット光生成素子)23と、該スポットサイズ変換器23の後述するコア40内に光信号コントローラ5からの光束Lを導入する光導波路4と、を備えている。
【0040】
上記スライダ20は、石英ガラス等の光透過性材料や、AlTiC(アルチック)等のセラミック等によって直方体状に形成されている。このスライダ20は、対向面20aをディスクD側にした状態で、ジンバル部24を介してビーム3の先端にぶら下がるように支持されている。このジンバル部24は、X軸回り及びY軸回りにのみ変位するように動きが規制された部品である。これによりスライダ20は、上述したようにディスク面D1に平行で且つ互いに直交する2軸(X軸、Y軸)回りに回動自在とされている。
【0041】
ここで、ジンバル部24の詳細な構成について、図5から図7を参照して説明する。
なお、図5は、スライダ20を上向きにした状態でビーム3の先端をスライダ20側から見た斜視図である。図6は、スライダ20を上向きにした状態でビーム3の先端をビーム3側から見た斜視図である。図7は、スライダ20を上向きにした状態におけるビーム3先端の断面図である。
【0042】
図5から図7に示すように、ビーム3の先端の下面側には、外形が四角形状に形成されたシート状のジンバル板25が取り付けられている。このジンバル板25は、ステンレス等の金属材料により形成されており、中間付近から先端にかけて下方側に僅かながら反るように形成されている。そして、この反りが加わった先端側がビーム3に接触しないように、基端側から中間付近にかけてビーム3に固定されている。
また、浮いた状態のビーム3の先端側には、周囲がコ形形状に刳り貫かれたパッド部25aが形成されており、該パッド部25aのみがビーム3の下面と平行になるように角度調整されている。そして、このパッド部25a上に記録ヘッド2が載置固定されている。つまり、記録ヘッド2は、パッド部25aを介してビーム3の先端にぶら下がった状態となっている。
【0043】
また、ビーム3の先端には、パッド部25a及び記録ヘッド2の略中心に向かって突出する突起部26が形成されている。この突起部26の先端は、丸みを帯びた状態となっている。そして、突起部26は、記録ヘッド2がディスクDから受ける風圧によりビーム3側に浮上したときに、パッド部25aの表面に点接触するようになっている。この浮上する力は、突起部26からビーム3に伝わって、該ビーム3を撓ませるように作用する。
また、ディスクDのうねり等により、記録ヘッド2に風圧が加わったときに、記録ヘッド2及びパッド部25aは、突起部26を中心として上述したX軸、Y軸回りに捩れるようになっている。これにより、ディスクDのうねりに起因する風圧を吸収でき、浮上時における記録ヘッド2の姿勢が安定するようになっている。
即ち、これら突起部26、パッド部25aを有するジンバル板25は、上述したジンバル部24として機能する。なお、図5から図7以外の各図においては、このジンバル部24を簡略化して図示している。
【0044】
スライダ20の対向面20aには、図2から図4に示すように、回転するディスクDによって生じた空気流の粘性から、浮上するための圧力を発生させる凸条部20bが形成されている。本実施形態では、レール状に並ぶように、長手方向に沿って延びた凸条部20bを2つ形成している場合を例にしている。但し、この場合に限定されるものではなく、スライダ20をディスク面D1から離そうとする正圧とスライダ20をディスク面D1に引き付けようとする負圧とを調整して、スライダ20を最適な状態で浮上させるように設計されていれば、どのような凹凸形状でも構わない。なお、この凸条部20bの表面はABS(Air Bearing Surface)とされている。
【0045】
スライダ20は、この2つの凸条部20bによってディスク面D1から浮上する力を受けている。また、ビーム3は、ディスク面D1に垂直なZ方向に撓むようになっており、スライダ20の浮上力を吸収している。つまり、スライダ20は、浮上した際にビーム3によってディスク面D1側に押さえ付けられる力を受けている。よってスライダ20は、この両者の力のバランスによって、上述したようにディスク面D1から所定距離H離間した状態で浮上するようになっている。しかもスライダ20は、ジンバル部24によってX軸回り及びY軸回りに回動するようになっているので、常に姿勢が安定した状態で浮上するようになっている。
なお、ディスクDの回転に伴って生じる空気流は、スライダ20の流入端側(ビーム3の基端側)から流入した後、ABSに沿って流れ、スライダ20の流出端側(ビーム3の先端側)から抜けている。
【0046】
上記再生素子21は、ディスクDの垂直記録層d2から漏れ出ている磁界の大きさに応じて電気抵抗が変換する磁気抵抗効果膜である。この再生素子21には、図示しないリード膜等を介して制御部8からバイアス電流が供給されている。これにより制御部8は、ディスクDから漏れ出た磁界の変化を電圧の変化として検出することでき、この電圧の変化から信号の再生を行うことができるようになっている。
【0047】
上記記録素子22は、図4に示すように、再生素子21に隣接して固定された補助磁極30と、磁気回路31を介して補助磁極30に接続され、ディスクDに対して垂直な記録磁界を補助磁極30との間で発生させる主磁極32と、磁気回路31を中心として該磁気回路31の周囲を螺旋状に巻回するコイル33とを備えている。つまり、再生素子21を間に挟んでスライダ20の流出端側から順に、補助磁極30、磁気回路31、コイル33、主磁極32が配置されている。
【0048】
両磁極30、32及び磁気回路31は、磁束密度が高い高飽和磁束密度(Bs)材料(例えば、CoNiFe合金、CoFe合金等)により形成されている。また、コイル33は、ショートしないように、隣り合うコイル線間、磁気回路31との間、両磁極30、32との間に隙間が空くように配置されており、この状態で絶縁体34によってモールドされている。そして、コイル33は、情報に応じて変調された電流が制御部8から供給されるようになっている。即ち、磁気回路31及びコイル33は、全体として電磁石を構成している。なお、主磁極32及び補助磁極30は、ディスクDに対向する端面がスライダ20のABSと面一となるように設計されている。
【0049】
上記スポットサイズ変換器23は、一端側から導入された光束Lからスポット光Rを生成すると共に、該スポット光Rを他端側から外部に発する素子であって、図4から図10に示すように、コア40とクラッド41とから構成されている。この際、スポットサイズ変換器23は、全体として略板状で、図8に示すようにスライダ20の厚みT1よりも全長T2が長くなるように形成されている。
このように構成されたスポットサイズ変換器23は、一端側がスライダ20の上方側に向くと共に、他端側がディスクD側に向いた状態で主磁極32に隣接して固定されており、該主磁極32の近傍にスポット光Rを発生させている。
【0050】
なお、図8は、スライダ20及びスポットサイズ変換器23をスライダ20の流出端の側面側から見た斜視図である。図9は、コア40とスライダ20との関係を図4に示す矢印A方向から見た図である。また、図10は、図4に示すスポットサイズ変換器23をディスクD側から見た図である。
【0051】
上記コア40は、一端側から他端側に向かう方向に長手方向(Z方向)に直交する断面積が漸次減少するように絞り成形され、一端側から導入された光束Lを内部で集光させながら他端側に向けて伝播させてスポット光Rを生成するものであって、反射面40aと光束集光部40bとで形成された多面体状の素子である。
反射面40aは、一端側から光導波路4によって導入された光束Lを導入方向とは異なる方向に(例えば、光束Lの向きが略90度変わるように)反射させている。光束集光部40bは、一端側から他端側に向かう長手方向(Z方向)に直交する断面積が漸次減少するように絞り成形された部分であり、反射面40aによって反射された光束Lを集光させながら他端側に向けて伝播させている。つまり光束集光部40bは、導入された光束Lのスポットサイズを小さいサイズに絞ることができるようになっている。
【0052】
なお、本実施形態では、光束集光部40bが3つの側面を有するように形成されており、そのうちの1つの側面が主磁極32に対向するように配置されるようになっている。よって光束集光部40bは、図10に示すように、他端側で外部に露出する端面40cが三角形状に形成された面となっている。なお、端面40c上で確保できる最大直線長さL1が、約1μmとなるサイズに設計されている。これにより、光束Lのスポットサイズを最大直線長さL1と同程度の大きさ、即ち、直径を約1μm程度に絞ることができ、このサイズのスポット光Rとして端面40cから外部に発することができる。またこの端面40cは、スライダ20のABSと面一となるように設計されている。
【0053】
また、光束集光部40bは、図4及び図8に示すように、主磁極32側に向けて漸次絞り成形されている。これにより、主磁極32側に端面40cが位置するようになっており、主磁極32の近傍に上記サイズのスポット光Rを発生させることができるようになっている。なお、本発明でいう「近傍」とは、端面40cから発生するスポット光Rの直径と同程度の距離、或いは、それ以下の距離だけ、主磁極32から離間した範囲内の領域をいう。よって、本実施形態の場合は、主磁極32と光束集光部40bの端面40cとの距離が、スポット光Rの直径(最大直線長さL1)と同程度である1μm、或いは、それ以下の距離になるように設計されている。
【0054】
ところで、上述したようにスポットサイズ変換器23は、スライダ20の厚みT1よりも長く形成されているが、詳細には、コア40の断面積の減少率が所定値以下となるように長さが調整されている。そのため、コア40の内部で集光される光束Lは、急激にスポットサイズが小さくなるのではなく、ゆっくりとなだらかに絞り込まれてスポットサイズが小さくなるように設計されている。
【0055】
上記クラッド41は、コア40よりも屈折率が低い材料で形成されており、コア40の他端側の端面40cを外部に露出させた状態でコア40の側面に密着して、該コア40を内部に閉じ込めている。このように密着しているので、コア40とクラッド41との間に隙間が生じないようになっている。また、本実施形態のクラッド41は、コア40の反射面40aについても外部に露出させるように形成されている。
【0056】
なお、クラッド41及びコア40として使用される材料の組み合わせの一例を記載すると、例えば、石英(SiO2)でコア40を形成し、フッ素をドープした石英でクラッド41を形成する組み合わせが考えられる。この場合には、光束Lの波長が400nmのときに、コア40の屈折率が1.47となり、クラッド41の屈折率が1.47未満となるので好ましい組み合わせである。また、ゲルマニウムをドープした石英でコア40を形成し、石英(SiO2)でクラッド41を形成する組み合わせも考えられる。この場合には、光束Lの波長が400nmのときに、コア40の屈折率が1.47より大きくなり、クラッド41の屈折率が1.47となるのでやはり好ましい組み合わせである。
特に、コア40とクラッド41との屈折率差が大きいほど、コア40内に光束Lを閉じ込める力が大きくなるので、コア40に酸化タンタル(Ta25:波長が550nmのときに屈折率が2.16)を用い、クラッド41に石英等を用いて、両者の屈折率差を大きくすることがより好ましい。また、赤外領域の光束Lを利用する場合には、赤外光に対して透明な材料であるシリコン(Si:屈折率が約4)でコア40を形成することも有効である。
【0057】
上記光導波路4は、図4に示すように、コア4aとクラッド4bとからなる導波路であり、コア4a内を光束Lが伝播するようになっている。この光導波路4は、図2、図4から図7に示すように、ビーム3に固定された状態で該ビーム3の先端側まで導かれた後、途中でビーム3から離間してスライダ20に対して平行に配置された状態となっている。この際、光導波路4の先端は、スポットサイズ変換器23の一端側に接続された状態となっており、クラッド41を通して光束Lをコア40内に導入している。なお、光導波路4の基端側は、ビーム3及びキャリッジ11等を介して光信号コントローラ5に引き出された後、該光信号コントローラ5に接続されている。
なお、図9に示すように、光導波路4からコア40内に導入された光束Lが反射面40aの略中心に入射するように、スポットサイズ変換器23及び光導波路4の位置関係が調整されている。
【0058】
なお、本実施形態のディスクDは、少なくとも、ディスク面D1に垂直な方向に磁化容易軸を有する垂直記録層d2と、高透磁率材料からなる軟磁性層d3との2層で構成される垂直2層膜ディスクを使用する。このようなディスクDとしては、例えば、図2に示すように、基板d1上に、軟磁性層d3と、中間層d4と、垂直記録層d2と、保護層d5と、潤滑層d6とを順に成膜したものを使用する。
基板d1としては、例えば、アルミ基板やガラス基板等である。軟磁性層d3は、高透磁率層である。中間層d4は、垂直記録層d2の結晶制御層である。垂直記録層d2は、垂直異方性磁性層となっており、例えばCoCrPt系合金が使用される。保護層d5は、垂直記録層d2を保護するためのもので、例えばDLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)膜が使用される。潤滑層d6は、例えば、フッ素系の液体潤滑材が使用される。
【0059】
次に、このように構成された情報記録再生装置1により、ディスクDに各種の情報を記録再生する場合について以下に説明する。
まず、スピンドルモータ7を駆動させてディスクDを一定方向に回転させる。次いで、アクチュエータ6を作動させて、キャリッジ11を介してビーム3をXY方向にスキャンさせる。これにより、図1に示すように、ディスクD上の所望する位置に記録ヘッド2を位置させることができる。この際、記録ヘッド2は、スライダ20の対向面20aに形成された2つの凸条部20bによって浮上する力を受けると共に、ビーム3等によってディスクD側に所定の力で押さえ付けられる。記録ヘッド2は、この両者の力のバランスによって、図2に示すようにディスクD上から所定距離H離間した位置に浮上する。
【0060】
また、記録ヘッド2は、ディスクDのうねりに起因して発生する風圧を受けたとしても、ビーム3によってZ方向の変位が吸収されると共に、ジンバル部24によってXY軸回りに変位することができるようになっているので、うねりに起因する風圧を吸収することができる。そのため、記録ヘッド2を安定した状態で浮上させることができる。
なお、うねりに起因する風圧を吸収する際に、スライダ20の姿勢が変動したとしても、光導波路4は撓むので、該光導波路4が突っ張る等してスライダ20の姿勢変動を妨げる恐れはない。
【0061】
ここで、情報の記録を行う場合、制御部8は光信号コントローラ5を作動させると共に、情報に応じて変調した電流をコイル33に供給して記録素子22を作動させる。
まず、光信号コントローラ5は、制御部8からの指示を受けて光束Lを光導波路4の基端側から入射させる。入射した光束Lは、光導波路4のコア4a内を先端側に向かって進み、図4に示すように、スポットサイズ変換器23の一端側からクラッド41を通してコア40内に導入される。この際光束Lは、スライダ20に対して平行な方向でコア40内に導入される。すると、導入された光束Lは、反射面40aで反射されて向きが略90度変わる。即ち、導入方向とは異なる方向に向きが変化する。そして、向きが変わった光束Lは、ディスクD側に位置する他端側に向かって光束集光部40bの内部で反射を繰り返しながら伝播する。
【0062】
この際、光束集光部40bは、一端側から他端側に向かう長手方向に直交する断面積が漸次減少するように絞り成形されている。そのため、光束Lはこの光束集光部40bを通過する際に、徐々に集光されながらコア40の内部を伝播していく。そのため光束Lは、コア40の他端側に達した時点で絞り込まれてスポットサイズが小さくなる。つまり光束集光部40bは、導入された光束Lのスポットサイズを、直径が約1μm程度の小さいサイズに絞り込むことができる。これにより、スポット光Rを生成することができ、他端側の端面40cから外部に発することができる。
特に、コア40の側面にはクラッド41が密着しているので、伝播している光束Lが途中でコア40の外部に漏れることはない。よって、導入された光束Lを無駄にすることなく効率良くスポット光Rにすることができる。
【0063】
すると、ディスクDは、このスポット光Rによって局所的に加熱されて一時的に保磁力が低下する。特に、コア40は、主磁極32に隣接しており該主磁極32の近傍に、即ち、主磁極32からスポット光Rの直径と同程度の距離だけ離間した範囲内にスポット光Rを発生させるので、主磁極32にできるだけ近い位置でディスクDの保磁力を低下させることができる。
【0064】
一方、制御部8によってコイル33に電流が供給されると、電磁石の原理により電流磁界が磁気回路31内に磁界を発生させるので、主磁極32と補助磁極30との間にディスクDに対して垂直方向の記録磁界を発生させることができる。すると、主磁極32側から発生した磁束が、ディスクDの垂直記録層d2を真直ぐ通り抜けて軟磁性層d3に達する。これによって、垂直記録層d2の磁化をディスク面D1に対して垂直に向けた状態で記録を行うことができる。また、軟磁性層d3に達した磁束は、該軟磁性層d3を経由して補助磁極30に戻る。この際、補助磁極30に戻るときには磁化の方向に影響を与えることはない。これは、ディスク面D1に対向する補助磁極30の面積が、主磁極32よりも大きいので磁束密度が大きく磁化を反転させるほどの力が生じないためである。つまり、主磁極32側でのみ記録を行うことができる。
【0065】
その結果、スポット光Rと両磁極30、32で発生した記録磁界とを協働させたハイブリッド磁気記録方式により情報の記録を行うことができる。しかも垂直記録方式で記録を行うので、熱揺らぎ現象等の影響を受け難く、安定した記録を行うことができる。よって、書き込みの信頼性を高めることができる。しかも、記録磁界が局所的に作用する位置に加熱温度のピーク位置を入れることができるので、ディスクDの所定の位置の保磁力を低下させることができる。従って、確実に記録を行うことができ、信頼性の向上化を図ることができると共に高密度記録化を図ることができる。
【0066】
次に、ディスクDに記録された情報を再生する場合には、スポットサイズ変換器23に隣接して固定されている再生素子21が、ディスクDの垂直記録層d2から漏れ出ている磁界を受けて、その大きさに応じて電気抵抗が変化する。よって、再生素子21の電圧が変化する。これにより制御部8は、ディスクDから漏れ出た磁界の変化を電圧の変化として検出することができる。そして制御部8は、この電圧の変化から信号の再生を行うことで、情報の再生を行うことができる。
【0067】
上述したように、本実施形態のスポットサイズ変換器23によれば、スライダ20の上面側からディスクDに向かう他端側の端面40cに向けて略一直線の光軸に沿って集光しながらスポット光Rを生成できるので、従来のように光軸が斜めになることがなく、また位置調整が困難であったレンズが不要である。従って、光束Lを効率良く集光してスポット光Rを生成することができ、ディスクDを効率良く加熱することができる。よって、書き込みの信頼性を向上することができる。
【0068】
特に、スポットサイズ変換器23は、スライダ20の厚みT1よりも全長T2が長く形成されており、スライダ20の厚みに囚われず、漸次絞り成形されているコア40の断面積の減少率が所定値以下となるように長さが調整されている。そのため、光束Lのスポットサイズを急激に小さくするのではなく、ゆっくりとなだらかに小さくすることができる。ところで、光束Lのスポットサイズを急激に小さくした場合には、光伝播効率が悪くなり、導入された光束Lを全てスポット光Rに変換することが難しい。しかしながら、上述したようにスポットサイズをゆっくりと小さくするので、光束Lを無駄にすることなく徐々に絞り込んでスポット光Rにすることができる。従って、スポット光Rの生成効率を高めることができ、ディスクDを効率良く加熱することができる。
【0069】
また、コア40及びクラッド41でスポットサイズ変換器23を構成できるので、構成の容易化を図ることができる。更には、スライダ20の流出端側の側面に、再生素子21、記録素子22、スポットサイズ変換器23を順に配置しているので、各構成品がスライダ20の厚み方向に重なることを防止している。しかも、スポットサイズ変換器23を長く設計したとしても、これに影響されずにスライダ20の厚みをできるだけ薄くできるので、コンパクトな設計で薄型化を図ることができる。そのため、スライダ20の低浮上を実現することができる。
【0070】
また、本実施形態の記録ヘッド2は、再生素子21がスライダ20と記録素子22との間に設けられている。そのため、スポットサイズ変換器23及び記録素子22は、スライダ20の流出端側に近づいた状態となっている。ここで、浮上時のスライダ20の姿勢についてより詳細に説明すると、図11に示すように、スライダ20はディスク面D1に対して水平ではなく、僅かに傾いている。具体的には、流出端側がディスクDに接近した状態で、ディスク面D1とスライダ20のABSとのなす角度θが微小角度(例えば、1°〜5°程度)を保つように傾いている。そのため、スライダ20の流出端から流入端に向かうにつれて、ディスク面D1との距離Hが徐々に離間してしまう。つまり、スライダ20の流出端側が、最もディスク面D1に接近した状態となっている。
【0071】
しかしながら、スポットサイズ変換器23及び記録素子22は、スライダ20の流出端側により近づいているので、両者をディスク面D1により近づけることができる。そのため、ディスクDに対してスポット光R及び記録磁界を確実に作用させることができる。この点においても、高密度記録化を図ることができる。
【0072】
また、本実施形態の情報記録再生装置1によれば、上述した記録ヘッド2を備えているので、書き込みの信頼性が高く、高密度記録化に対応することができ、高品質化を図ることができる。また、同時にコンパクト化及び薄型化を図ることができる。
【0073】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態を、図12から図17を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、光束Lを集光させてスポット光Rを生成し、該スポット光RによりディスクDを加熱したが、第2実施形態の記録ヘッド2は、スポット光Rからさらに近接場光R1を発生させ、該近接場光R1によりディスクDを加熱する点である。
【0074】
即ち、本実施形態の記録ヘッド50は、図12及び図13に示すように、近接場光発生素子51が設けられたスポットサイズ変換器(スポット光生成素子)52を備えている。なお、図13は、コア40とスライダ20との関係を図12に示す矢印B方向から見た図である。
近接場光発生素子51は、図14に示すように、コア40の端面40c上に形成された遮光膜53と、該遮光膜53の略中心に形成された微小開口54とから構成されている。この微小開口54は、例えば、直径数十nm〜数百nmの円形状の開口である。
【0075】
このように構成されたスポットサイズ変換器52によれば、光束Lを集光してスポット光Rにした後、さらにスポットサイズを小さくして近接場光R1とすることができる。つまり、光束集光部40bによって集光された光束Lは、微小開口54を通過した後に外部に出てくる。この際、微小開口54を通過することでさらにスポットサイズが小さくなるので、近接場光R1となる。よってこの場合には、微小開口54と同程度のスポットサイズとなった近接場光R1が発生する。
従って、この近接場光R1によりディスクDをさらに微小な領域で加熱することができ、さらなる高密度記録化を図ることができる。なお、この場合には、主磁極32と光束集光部40bの端面40cとの距離を、近接場光R1の直径と同程度である数十nm〜数百nmの距離に設計すれば良い。こうすることで、近接場光R1で加熱する範囲内に記録磁界を確実に入れることができる。
【0076】
なお、本実施形態では、微小開口54を円形状としたが、この形状に限定されるものではない。例えば、図15に示すように、三角形状の微小開口54としても構わない。この場合であっても、近接場光R1を発生することができる。特にこの場合には、図中に示す矢印L2方向に光束Lの偏光成分が向くように調整した後に、光束Lを光導波路4内に導入することが好ましい。こうすることで、近接場光R1を偏光方向に直交する部分である微小開口54の一辺付近(図中に示す領域S)に集中的に局在化させることができる。従って、さらなる高密度記録化を図ることができる。
【0077】
また、図16に示すように、三角状の突起55が微小な隙間を空けて対向するように微小開口54を形成しても構わない。こうすることで、微小な隙間に近接場光R1を集中的に局在化させることができるので、さらなる高密度記録化を図ることができる。
更には、図17に示すように、四角形状に形成された微小開口54内に、集光された光束Lを散乱させる微小散乱体56を形成しても構わない。この微小散乱体56は、例えば、微小開口54の略中心位置にくるように端面40c上に金属材料を蒸着や成膜等によって形成すれば良い。こうすることで、微小散乱体56付近に近接場光R1を集中的に局在化させることができるので、さらなる高密度記録化を図ることができる。なお、微小散乱体56は、近接場光発生素子51として機能する。
【0078】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態を、図18から図21を参照して説明する。なお、この第3実施形態においては、第2実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第3実施形態と第2実施形態との異なる点は、第2実施形態では、遮光膜53と微小開口54とで近接場光発生素子51を構成したが、第3実施形態の記録ヘッド60は、金属膜63を利用して近接場光発生素子61を構成する点である。
【0079】
即ち、本実施形態の記録ヘッド60は、図18から図21に示すように、コア40の他端側の近傍に傾斜面40dが形成され、該傾斜面40dによって他端側がさらに絞り成形されたスポットサイズ変換器(スポット光生成素子)62を備えている。これにより、コア40の内部を伝播してきた光束Lのスポットサイズをさらに絞って小さくすることができる。
なお、図19は、コア40とスライダ20との関係を図18に示す矢印C方向から見た図である。図20は、図18に示すコア40の他端側を拡大した図であり、図21は図20に示す矢印D方向から見た図である。
【0080】
上記傾斜面40dには、近接場光R1を発生させるための金属膜63が所定の膜厚で一面に亘って形成されている。このような金属膜63としては、例えば、金膜、銀膜やプラチナ膜等である。特に、金膜は、酸化に強く耐久性に優れているので好ましい。これら傾斜面40d及び金属膜63は、近接場光発生素子61として機能する。
【0081】
このように構成されたスポットサイズ変換器62によれば、コア40によってスポットサイズが小さくなった光束Lが、傾斜面40dによってさらに絞り成形された部分によってさらにスポットサイズが小さくなる。また、これと同時に、スポットサイズが小さくなった光束Lが傾斜面40d上に形成された金属膜63に入射する。すると金属膜63には、表面プラズモンが励起される。励起された表面プラズモンは、共鳴効果によって増強されながら金属膜63と傾斜面40dとの界面に沿いながら、コア40の他端側に向かって伝播する。そして、端面40cに達した時点で、光強度の強い近接場光R1となって外部に漏れ出す。従って、第2実施形態と同様に、この近接場光R1を利用してディスクDをさらに微小な領域で加熱することができ、さらなる高密度記録化を図ることができる。
特に、本実施形態では、傾斜面40dと金属膜63との界面に近接場光R1を局在化させることができるので、コア40の物理的な設計、例えば、コア40の端面40cのサイズ等に比較的影響を受けずに、光強度の強い近接場光R1を安定して発生させることができる。従って、書き込みの信頼性をより高めることができる。
【0082】
(第4実施形態)
次に、本発明に係る第4実施形態を、図22を参照して説明する。なお、この第4実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第4実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、光導波路4の先端がスポットサイズ変換器23に接続されていたが、第4実施形態の記録ヘッド70は、光導波路4の先端がスポットサイズ変換器23に対して非接触となっている点である。
【0083】
即ち、本実施形態の記録ヘッド70は、図22に示すように、光導波路4がビーム3の先端側まで固定された後、該ビーム3から離間してスライダ20に対して平行になるように配置されている。この際、光導波路4の先端側は、スポットサイズ変換器23に対して非接触状態で、コア40の反射面40aに対向するように配置されている。よって、本実施形態では、光導波路4から光束Lが一端空中を伝播した後、スポットサイズ変換器23に導入されるようになっている。
なお、光導波路4は、スライダ20がディスクDのうねりによって姿勢変動したとしても、スライダ20の姿勢変動を妨げないように、スライダ20から一定距離離間するように調整されている。
【0084】
このように構成された記録ヘッド70によれば、スポットサイズ変換器23と光導波路4とが離間しているので、光導波路4の影響を何ら受けることなくスライダ20を姿勢変動させることができる。そのため、スライダ20をより安定して浮上させることができ、記録再生の信頼性をさらに高めることができる。
【0085】
なお、スポットサイズ変換器23は、スライダ20の厚みT1よりも長く形成されているので、光束Lが導入される一端側のサイズを比較的大きく設計することが可能である。そのため、スライダ20の姿勢変動によってスポットサイズ変換器23が多少傾いたとしても、光導波路4からコア40の反射面40aに向けて常に安定して光束Lを導入することができる。つまり、光導波路4とスポットサイズ変換器23とが非接触状態であったとしても、光束Lの導入に影響を与えることはない。なお上記実施形態において、光導波路4とビーム3との間を接着剤等によって固定しても構わない。
【0086】
(第5実施形態)
次に、本発明に係る第5実施形態を、図23を参照して説明する。なお、この第5実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第5実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、スライダ20の流出端側の側面から順に、再生素子21、記録素子22、スポットサイズ変換器23が固定されていたが、第5実施形態の記録ヘッド80は、再生素子21がスポットサイズ変換器23のクラッド41に埋め込まれた状態で設けられている点である。
【0087】
即ち、本実施形態の記録ヘッド80の再生素子21は、図23に示すように、コア40を内部に閉じ込めているクラッド41の一部に埋め込まれている。そのため、再生素子21の厚みをクラッド41で吸収することができる。従って、スライダ20が傾いて浮上したとしても、第1実施形態の場合と同様に、スポットサイズ変換器23及び記録素子22をディスク面D1により近づけることができる。そのため、この場合であっても、ディスクDに対してスポットR及び記録磁界を作用させることができ、高密度な記録を行うことができる。
【0088】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0089】
例えば、上記各実施形態では、各記録ヘッドを浮上させた空気浮上タイプの情報記録再生装置1を例に挙げて説明したが、この場合に限られず、ディスク面D1に対向配置されていればディスクDとスライダ20とが接触していても構わない。つまり、本発明に係る記録ヘッドは、コンタクトスライダ20タイプのヘッドであっても構わない。この場合であっても、同様の作用効果を奏することができる。
【0090】
また、上記第1実施形態では、光導波路4がビーム3の上面側に固定されていた場合を例に挙げて説明したが、図24に示すように、ビーム3の下面側に固定されていても構わない。この場合であっても、同様の作用効果を奏することができる。但し、ビーム3の上面側に光導波路4を固定することで、スポットサイズ変換器23の全長L2をより長くできるので、光伝播効率をより高めることができ好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明に係る記録ヘッドを有する情報記録再生装置の第1実施形態を示す構成図である。
【図2】図1に示す記録ヘッドの拡大断面図である。
【図3】図2に示す記録ヘッドを、ディスク面側から見た図である。
【図4】図2に示す記録ヘッドの流出端側の側面を拡大した断面図であり、スポット光生成素子及び記録素子の構成を示すと共に、記録を行っている際のスポット光と記録磁界との関係を示した図である。
【図5】図4に示す記録ヘッドの取付状態を示す図であって、記録ヘッドのスライダを上向きにした状態で該記録ヘッドをスライダ側から見た斜視図である。
【図6】図4に示す記録ヘッドの取付状態を示す図であって、記録ヘッドのスライダを上向きにした状態で該記録ヘッドをビーム側から見た斜視図である。
【図7】図4に示す記録ヘッドの取付状態を示す図であって、記録ヘッドのスライダを上向きにした状態における断面図である。
【図8】図4に示す記録ヘッドの斜視図である。
【図9】図4に示すスポット光生成素子のコアとスライダとの関係を矢印A方向から見た図である。
【図10】図4に示すスポット光生成素子をディスク側から見た図である。
【図11】図2に示す記録ヘッドが傾いた状態でディスク上を浮上している状態を示す図である。
【図12】本発明に係る記録ヘッドの第2実施形態を示す図であって、近接場光を発生させる近接場光発生素子を備えたスポット光生成素子の構成を示すと共に、記録を行っている際の近接場光と記録磁界との関係を示した図である。
【図13】図12に示すスポット光生成素子のコアとスライダとの関係を矢印B方向から見た図である。
【図14】図12に示すスポット光生成素子をディスク側から見た図である。
【図15】図14に示す近接場光発生素子の変形例を示す図であって、三角形状に形成された微小開口を有する近接場光発生素子を示す図である。
【図16】図14に示す近接場光発生素子の変形例を示す図であって、微小な隙間を空けて三角状の突起が対向するように形成された微小開口を有する近接場光発生素子を示す図である。
【図17】図14に示す近接場光発生素子の変形例を示す図であって、金属散乱体が略中心に形成された微小開口を有する近接場光発生素子を示す図である。
【図18】本発明に係る記録ヘッドの第3実施形態を示す図であって、近接場光を発生させる近接場光発生素子を備えたスポット光生成素子の構成を示すと共に、記録を行っている際の近接場光と記録磁界との関係を示した図である。
【図19】図18に示すスポット光生成素子のコアとスライダとの関係を矢印C方向から見た図である。
【図20】図18に示すスポット光生成素子の他端側を拡大した断面図である。
【図21】図20に示すスポット光生成素子を矢印D方向から見た図である。
【図22】本発明に係る記録ヘッドの第4実施形態を示す図である。
【図23】本発明に係る記録ヘッドの第5実施形態を示す図である。
【図24】本発明に係る記録ヘッドの変形例を示す図であって、光導波路がビームの下面側に固定されている記録ヘッドの断面図である。
【符号の説明】
【0092】
D ディスク(磁気記録媒体)
D1 ディスク面(磁気記録媒体の表面)
L 光束
R スポット光
R1 近接場光
1 情報記録再生装置
2、50、60、70、80 記録ヘッド
3 ビーム
4 光導波路(光束導入手段)
5 光信号コントローラ(光源)
6 アクチュエータ
7 スピンドルモータ(回転駆動部)
8 制御部
20 スライダ
21 再生素子
22 記録素子
23、52、62 スポットサイズ変換器(スポット光生成素子)
30 補助磁極
32 主磁極
40 コア
41 クラッド
51、61 近接場光発生素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光束を集光して生成したスポット光により一定方向に回転する磁気記録媒体を加熱すると共に、磁気記録媒体に対して垂直方向の記録磁界を与えることで磁化反転を生じさせ、情報を記録させる記録ヘッドであって、
前記磁気記録媒体の表面に対向配置されたスライダと、
前記記録磁界を発生させる主磁極及び補助磁極を有し、前記スライダの先端面側に補助磁極が位置した状態で両磁極がスライダの長手方向に並ぶようにスライダの先端面に固定された記録素子と、
一端側から他端側に向かう方向に直交する断面積が漸次減少するように絞り成形され、一端側から導入された前記光束を内部で集光させながら他端側に向けて伝播させて前記スポット光を生成すると共に、該スポット光を他端側から外部に向けて発するコアと、該コアの前記他端側を少なくとも外部に露出させた状態でコアに密着してコアを内部に閉じ込めるクラッドとを有し、前記他端側を前記磁気記録媒体側に向けた状態で前記主磁極に隣接して固定されて、前記スポット光を主磁極の近傍に発生させるスポット光生成素子と、
前記スライダに対して平行に配置され、前記一端側から前記コア内に前記光束を導入させる光束導入手段と、を備え、
前記スポット光生成素子は、前記スライダの厚みよりも長く形成され、前記コアの断面積の減少率が所定値以下となるように長さが調整されていることを特徴とする記録ヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載の記録ヘッドにおいて、
前記クラッドは、前記コアの一端側を外部に露出させた状態で形成されていることを特徴とする記録ヘッド。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の記録ヘッドにおいて、
前記スポット光生成素子には、前記スポット光から近接場光を発生させて該近接場光を前記他端側から外部に発する近接場光発生素子が設けられていることを特徴とする記録ヘッド。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の記録ヘッドにおいて、
前記記録媒体から漏れ出た磁界の大きさに応じた電気信号を出力する再生素子を備えていることを特徴とする記録ヘッド。
【請求項5】
請求項4に記載の記録ヘッドにおいて、
前記再生素子は、前記スライダと前記記録素子との間に設けられていることを特徴とする記録ヘッド。
【請求項6】
請求項4に記載の記録ヘッドにおいて、
前記再生素子は、前記クラッドに埋め込まれた状態で取り付けられていることを特徴とする記録ヘッド。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の記録ヘッドと、
前記磁気記録媒体の表面に平行な方向に移動可能とされ、該磁気記録媒体の表面に平行で且つ互いに直交する2軸回りに回動自在な状態で、前記記録ヘッドを先端側で支持するビームと、
前記光束導入手段に対して前記光束を入射させる光源と、
前記ビームの基端側を支持すると共に、該ビームを前記磁気記録媒体の表面に平行な方向に向けて移動させるアクチュエータと、
前記磁気記録媒体を前記一定方向に回転させる回転駆動部と、
前記記録素子及び前記光源の作動を制御する制御部と、を備えていることを特徴とする情報記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2009−99212(P2009−99212A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−270387(P2007−270387)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】