説明

記録用紙の製造方法

【課題】 複写機やプリンターで高湿時でも走行トラブルが発生しないPPC用紙、レーザープリンター用紙、オンデマンド用紙、軽印刷用紙などの記録用紙を高い生産性で製造できる記録用紙の製造方法を提供する。
【解決手段】 シェーキング強度を1,100±300の範囲で調節するワイヤーシェーキング装置を用いて、原料紙料が供給されたワイヤーを振動させて抄紙した後に、圧搾、乾燥、平滑化処理する記録用紙の製造方法であって、該記録用紙を、音速法によって測定される超音波伝播速度の縦方向と横方向の比率(縦目/横目)で得られる繊維配向強度について、全層での測定値が1.5〜1.9の範囲とし、かつ厚さ方向にフェルト面側とワイヤー面側に2分割後、各層それぞれ測定して得られる配向表裏比(フェルト面側の繊維配向強度/ワイヤー面側の繊維配向強度)が1.00±0.10の範囲とすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速抄紙機で抄紙される紙において、繊維配向を適切に調整することにより、複写機やプリンターでの走行性に優れた記録用紙の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機用コピー用紙(以下、PPC用紙と記載)、レーザープリンター用紙、オンデマンド用紙、軽印刷用紙などの印刷情報用紙の需要は、多岐にわたる情報の利用により増大する傾向にあり、これら印刷情報用紙はA3判やA4判といった小判サイズで使用されることが多く、複写機やプリンターでの走行性が重要視されている。その中で走行トラブルによる作業能率低下が問題となっている。
【0003】
走行トラブルは記録用紙のカール性や剛度に起因することがほとんどで、特に高湿時に発生しやすい。これは湿度が高くなることで記録用紙の吸湿による水分増加で白紙時のカールが大きくなったり、コピーやプリント時の加熱による記録用紙の水分低下によってカールが大きくなったりするためである。また剛度についても高湿時は低くなるため、紙送りがスムーズに行われず走行トラブルとなる。
【0004】
このような走行トラブルを改善するため、これまでコピーやプリント時の加熱による記録用紙の水分低下を少なくするために記録用紙の含有水分を低く抑えたり、記録用紙の吸湿を抑えるため防湿包装紙を用いたり、剛度を高めるため坪量や紙厚を大きくする対策が行われてきた。
【0005】
しかしながら記録用紙の含有水分を低く抑えると、包装紙開封直後のコピーやプリント時のカールは良くなるが、包装紙開封後の吸湿が大きくなる問題があり、剛度を高めるため坪量や紙厚を大きくするとコストが高くなる問題がある。
【0006】
近年古紙を配合した紙の需要が高まっており、古紙、すなわち古紙脱墨パルプを配合した紙では、古紙脱墨パルプを配合していない紙と比較して通常剛度が大きく低下する。さらに古紙脱墨パルプは通常の晒パルプと比較して吸湿性が大きく、古紙脱墨パルプを配合した紙ではカールコントロールが難しいという問題がある。
【特許文献1】特開2003−5421号公報
【特許文献2】特開2004−91930号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の如き事情から、本発明者等はPPC用紙やレーザープリンター用紙、オンデマンド用紙、軽印刷用紙などの記録用紙の走行性をさらに改善出来ないか鋭意検討、研究をいった。その結果、抄紙条件の検討により走行性が良好な記録用紙を得た。すなわち、複写機やプリンターで、高湿時でも走行トラブルが発生せず、走行性の良好な記録用紙を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)記録用紙の抄造時に、シェーキング強度を1,100±300の範囲で調節するワイヤーシェーキング装置を用いて、原料紙料が供給されたワイヤーを振動させて抄紙した後に、圧搾、乾燥、平滑化処理する記録用紙の製造方法であって、該記録用紙を、音速法によって測定される超音波伝播速度の縦方向と横方向の比率が(縦目/横目:以下、繊維配向強度と記載)、全層で1.5〜1.9の範囲とし、かつ厚さ方向にフェルト面側とワイヤー面側に2分割後、各層それぞれ測定して得られる繊維配向強度の表裏比(フェルト面側の繊維配向強度/ワイヤー面側の繊維配向強度:以下、配向表裏比と記載)を1.00±0.10の範囲にとすることを特徴とする記録用紙の製造方法。
(2)前記記録用紙は、抄紙速度600m/分以上で抄紙した後に、圧搾、乾燥、平滑化する工程を経て製造される記録用紙であって、横方向(以下Y目ともいう)クラーク剛度が14.5cm以上とする(1)記載の記録用紙の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
複写機やプリンターで、高湿時でも走行トラブルが発生せず、走行性に優れたPPC用紙、レーザープリンター用紙、オンデマンド用紙、軽印刷用紙などの記録用紙を得た。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
複写機やプリンターでの走行トラブルは、特に高湿時に発生しやすいものであるが、その原因は記録用紙の水分変動によるカールの悪化と剛度の低下が関係している。
【0011】
これらの問題を解決するため鋭意検討した結果、高速抄紙機による記録用紙の抄造時において、新型のワイヤーシェーキング装置を用い、シェーキング強度を1,100±300の範囲内とし、繊維配向をコントロールし、繊維配向強度を1.5〜1.9に調整し、かつ厚さ方向にフェルト面側とワイヤー面側に2分割後、測定して得られる配向表裏比が1.00±0.10になるよう調整すると、複写機やプリンターで走行性に優れた記録用紙が得られることを見出した。高速抄紙機において通常抄速とされる、600m/分〜1200m/分の領域内では、シェーキング強度が800未満であると、繊維配向をコントロールする効果が弱すぎて、繊維配向強度、配向表裏比を目標とする範囲に調整することが困難となる。逆にシェーキング強度を1400超に設定しても、繊維配向を整然とコントロールすることが難しくなり、ネジレカールを生じたり、カール特性に起因する複写機やプリンターでの走行性不安定化に繋がることがある。抄速600m/分以上の高速抄紙において、抄紙速度に見合ったシェーキング強度を与えずに、その結果、繊維配向強度が1.9を超えてしまうと、Y目剛度が小さくなってしまい、複写機やプリンターでの走行性で問題を起こすことがある。反対に過度のシェーキング強度を加えて、繊維配向強度を1.5未満に調整しても、却ってY目剛度の向上効果を最適化できずに、カール特性を向上できないだけでなく、ネジレカール等のカール特性の悪化に繋がることもある。配向表裏比が0.90未満であったり、1.10を超える場合は、記録用紙のカール特性が劣る結果となり、特に高湿時(23℃・80%RH)において、カール反りが酷く、走行性の問題が生じることがある。以下詳細について説明する。
【0012】
本発明では、PPC用紙、レーザープリンター用紙、オンデマンド用紙、軽印刷用紙などの記録用紙を、高速抄紙機で原紙を抄造した後、圧搾し、乾燥、平滑化処理する工程を経て製造するが、該抄紙機は、従来のワイヤーシェーキング装置とは異なり、振動数や振幅を自在に変更できる新型のワイヤーシェーキング装置(Duo−shake/フォイト社製など)を備え、シェーキング強度を1,100±300の範囲に調節することを特徴としている。
【0013】
ここでいうシェーキング強度とは、下記数式1で表されるシェーキングのエネルギーを表す指数であり、値が大きくなるほどシェーキングエネルギーが大きい。本発明で使用するシェーキング装置を使用し、ワイヤーシェーキングを行うと、抄紙機上でパルプ繊維が再分散され、地合が改善されるだけでなく、抄紙方向(以下、MD方向と記す)に配向されたパルプ繊維を、MD方向と直交する方向、すなわちCD方向へ、効果的、かつ整然とパルプ配列を進めることが出来る。このために、Y目剛度の向上効果が、従来のワイヤーシェーキング装置を使用した場合よりも大きく発現でき、複写機やプリンターで走行性に優れた記録用紙を得ることができる。高速抄紙機において、通常の抄紙速度とされる600m/分〜1200m/分の抄速領域では、シェーキング強度が800未満であると、繊維配向を充分にコントロールすることができず、繊維配向強度、配向表裏比を適正範囲内に調整することが困難となる。逆に、シェーキング強度を過度に加えても、カール特性が良くならない。その理由は必ずしも定かでないが、600m/分〜1200m/分の高速抄速領域では、シェーキング強度を1400超とし、記録用紙の全層での繊維配向強度を1.5未満に抑えたとしても、紙の表層(フェルト側)、中層、裏層(ワイヤー側)等の各層において、繊維を整然と配列させることができなくなる。つまりはパルプ繊維の配列が不均一となってしまい、各層の軸方向に差を生じる結果となってしまい、ネジレカールを生じる等、カール特性の悪化に繋がるものと推定される。さらには、縦目方向(以下、T目ともいう)剛度が低下するほどに、Y目剛度を高めることができず、剛度対策としても有効に寄与できない。因みに、シェーキング強度の上限は、機械的な観点からのみ、一義的に決まるものでなく、主として抄速などの製造条件や、ブレストロール重量などの設備面で制約されるものである。なお、通常の高速抄紙機では、シェーキング強度6000程度が、上限と考えられている。

数式1 I = f × s / V
I: シェーキング強度
f: 振動周波数 (回/分)
s: 振幅 (mm)
V: 抄造速度 (m/分)
【0014】
また、本発明者等はシェーキング条件を種々検討した結果、同一のシェーキング強度のときでも振幅を大きくするほうが振動周波数を大きくするよりも適しており、振幅を10mm以上、好ましくは15mm以上、より好ましくは20mm以上に調節すると繊維配向強度、配向表裏比を同時に適正範囲に調整することが可能で、カール防止にに優れることを見出した。
【0015】
振動周波数については設備能力によってシェーキング強度の上限が決まっており、振幅を決めるとおのずと振動周波数の最大値も決まるものであるが、100〜400回/分の範囲で調節されるのが望ましい。
【0016】
繊維配向強度や配向表裏比を調整する方法としては、シェーキング装置だけでなく、紙料のワイヤーへの流出速度とワイヤー速度の比(J/W比=ジェット/ワイヤー比とも称す)やヘッドボックスL/b値などがあり、これらを抄紙機の最適条件に調節することで得られるものであるが、従来のワイヤーシェーキング装置では、抄紙速度600m/分以上での高速抄造時において、本発明が課題とする複写機やプリンターでの走行性に優れた記録用紙を得るのに限界があった。
【0017】
本発明に係る原紙を形成するセルロース繊維原料としては、例えば、クラフトパルプ(KP)、サルファイトパルプ(SP)、ソーダパルプ(AP)等の化学パルプ、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプ、あるいは、楮、三椏、麻、ケナフ等を原料とする非木材パルプ、古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい。
【0018】
本発明の原紙には、填料として必要に応じて、一般に紙に用いられる各種の填料、例えばカオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、タルク、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、無定形シリケート、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト等の鉱物質顔料や、スチレン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂並びにそれらの微小中空粒子等の有機系填料を添加してもよい。
【0019】
本発明の原紙の内添サイズとしては、ロジンエマルジョン等のロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸系サイズ剤、無水ステアリン酸系サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、ワックス系サイズ剤、あるいはカチオン性合成サイズ剤等がある。
【0020】
また、表面サイズ剤としては、例えば各種の澱粉、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、アクリル酸エステル、ラテックスやα−オレフィン無水マレイン酸共重合体、スチレンアクリル系共重合体、あるいは高級脂肪酸系等の合成サイズ剤やカチオン性合成サイズ剤等が例示できる。
【0021】
紙料中には、必要に応じて、各種のアニオン性、ノニオン性、カチオン性あるいは両性の歩留向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤等の各種抄紙用内添助剤、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙用内添助剤を適宜添加できる。抄紙pH条件についても、特に限定されるものでなく、酸性、アルカリ性抄紙のいずれであってもよい。
【0022】
本発明では、新型のワイヤーシェーキング装置(Duo−shake/フォイト社製など)を備えた長網式抄紙機やオントップフォーマーなどの抄紙機を用い、原紙坪量30〜200g/m2 程度の原紙が製造され、通常、オンマシンの状態で表面サイジングが施される。
【0023】
なお、表面サイズ剤を原紙の表面にサイジングする方法については特に限定されるものではなく、例えばツーロールまたはロッドメタリング式のサイズプレス、ゲートロール、ビルブレード、ショートドウェルコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、ブレードコーターやスプレー等の各種装置を適宜使用できる。
【実施例】
【0024】
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」及び「%」は特に断らない限り、「質量部」及び「質量%」のことである。
【0025】
〔実施例1〕
パルプとして、広葉樹晒クラフトパルプ100%(CSF=460ml)を用い、このパルプにアルケニル無水コハク酸系サイズ剤0.04%(ファイブラン81K/荒川化学工業製)、硫酸バンド0.5%、填料として炭酸カルシウム10%を添加してパルプスラリーを調製し、オントップフォーマーを用いて中性抄紙により抄速900m/分で原紙を抄造した。なお、このときの条件としてはJ/W比を0.998とし、ワイヤーシェーキングを振幅25mm、振動周波数199回/分(シェーキング強度1,100)に設定した。他方、このときの原紙にオンマシン仕様の2ロールサイズプレス装置で表面サイズ処理を行った。即ち、酸化澱粉2%およびスチレン・メタクリル酸共重合体系表面サイズ剤(ポリマロンNP−25/荒川化学工業製)0.10%、芒硝0.3%よりなるサイズプレス液を固形分で1.0g/m2となるように塗布し、カレンダー処理して坪量64g/m2 の紙を得た。
【0026】
〔実施例2〕
抄速600m/分とし、ワイヤーシェーキング条件を振動周波数151回/分(シェーキング強度950)とした以外は実施例1と同様の方法で紙を得た。
【0027】
〔実施例3〕
抄速600m/分とし、ワイヤーシェーキング条件を振幅15mm、振動周波数195回/分(シェーキング強度950)とした以外は実施例1と同様の方法で紙を得た。
【0028】
〔実施例4〕
抄速800m/分とし、ワイヤーシェーキング条件を振動周波数160回/分(シェーキング強度800)とした以外は実施例1と同様の方法で紙を得た。
【0029】
〔実施例5〕
抄速710m/分とした以外は実施例1と同様の方法で紙を得た。
【0030】
〔実施例6〕
J/W比を0.980とした以外は実施例1と同様の方法で紙を得た。
【0031】
〔実施例7〕
J/W比を1.020とした以外は実施例1と同様の方法で紙を得た。
【0032】
〔実施例8〕
パルプとして、広葉樹晒クラフトパルプ30%(CSF=460ml)、古紙脱墨パルプ70%(CSF=220ml)を用いた以外は実施例1と同様の方法で紙を得た。
【0033】
〔実施例9〕
抄速500m/分とし、ワイヤーシェーキング条件を振動周波数126回/分(シェーキング強度800)とした以外は実施例1と同様の方法で紙を得た。
【0034】
〔比較例1〕
ワイヤーシェーキングを行わなかった以外は実施例1と同様の方法で紙を得た。
【0035】
〔比較例2〕
パルプとして、広葉樹晒クラフトパルプ30%(CSF=460ml)、古紙脱墨パルプ70%(CSF=220ml)を用い、ワイヤーシェーキングを行わなかった以外は実施例1と同様の方法で紙を得た。
【0036】
〔比較例3〕
抄速500m/分とし、ワイヤーシェーキング条件を振動周波数138回/分(シェーキング強度950)とした以外は実施例1と同様の方法で紙を得た。
【0037】
〔比較例4〕
J/W比を0.975とした以外は実施例1と同様の方法で紙を得た。
【0038】
〔比較例5〕
J/W比を1.025とした以外は実施例1と同様の方法で紙を得た。
【0039】
〔比較例6〕
抄速800m/分とし、ワイヤーシェーキング条件を振動周波数150回/分(シェーキング強度700)とした以外は実施例1と同様の方法で紙を得た。
【0040】
〔比較例7〕
抄速660m/分とした以外は実施例1と同様の方法で紙を得た。
【0041】

〔比較例8〕
ワイヤーシェーキングを行わず、J/W比を1.005とした以外は実施例1と同様の方法で紙を得た。
【0042】
〔比較例9〕
ワイヤーシェーキング条件を振幅10mm(シェーキング強度440)とした以外は実施例1と同様の方法で紙を得た。
【0043】
実施例1〜9および比較例1〜9で得られた紙について、以下のように評価して、その評価結果を表1,2に示した。
【0044】
〔剛度〕
剛度:JIS−P−8143によりY目のクラーク剛度を測定した。
【0045】
〔繊維配向強度:超音波伝播速度の縦方向と横方向の比率〕
野村商事製SST−3000(Sonic Sheet Tester)で紙の超音波伝播速度の縦方向と横方向の比率を測定した。
【0046】
〔配向表裏比〕
紙を厚さ方向にフェルト面側とワイヤー面側に2分割後、それぞれの繊維配向強度を測定して配向表裏比(フェルト面側の繊維配向強度)/(ワイヤー面側の繊維配向強度)を計算した。
【0047】
〔カール性〕
カール性は、(1)23℃・50%RH、(2)20℃・80%RHの2環境水準下で、下記の方法で評価した。白紙カールはA4サイズ10枚を束ねて、短辺側の片方をフラットにして上から吊り下げ、吊り下げられたもう片方の短辺側の2角について、フラット面からのズレ(大きいほう)を測定して評価した。コピー後カールとプリンター後カールは、A4サイズの紙を評価機に紙送り方向をY目として、50枚通した後の最後の10枚を束ねて、白紙カールと同様に測定して評価した(数値が大きい程カールが大きい)。
コピー評価機 富士ゼロックス社製複写機 DC750I
プリント評価機 キヤノン社製プリンター LASERSHOT LBP2710
【0048】
〔走行性〕
A4サイズの紙を評価機に紙送り方向をY目として、50枚連続してコピーまたはプリントし、走行性を評価した。
評価基準
〇:紙詰りもなく、走行性に問題がない。
△:紙詰りが1回発生し、走行性が少し悪い。
×:紙詰りが複数回発生し、走行性が悪い。
【0049】
【表1】

【0050】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シェーキング強度を1,100±300の範囲で調節するワイヤーシェーキング装置を用いて、原料紙料が供給されたワイヤーを振動させて抄紙した後に、圧搾、乾燥、平滑化処理する記録用紙の製造方法であって、該記録用紙を、音速法によって測定される超音波伝播速度の縦方向と横方向の比率(縦目/横目)で得られる繊維配向強度について、全層での測定値が1.5〜1.9の範囲とし、かつ厚さ方向にフェルト面側とワイヤー面側に2分割後、各層それぞれ測定して得られる配向表裏比(フェルト面側の繊維配向強度/ワイヤー面側の繊維配向強度)が1.00±0.10の範囲とすることを特徴とする記録用紙の製造方法。
【請求項2】
前記記録用紙は、抄紙速度600m/分以上で抄紙し、横方向クラーク剛度が14.5cm以上とする請求項1記載の記録用紙の製造方法。

【公開番号】特開2009−121004(P2009−121004A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−299348(P2007−299348)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】