説明

記録装置、記録方法、再生装置、再生方法、記録媒体

【課題】新たなバージョンの記録媒体が旧バージョンのドライブにおいて誤動作が生じる可能性を解消する。
【解決手段】第2のバージョンの記録媒体には、エラー訂正符号化されたアドレス情報が、第2のバージョンの記録媒体に非対応の再生装置ではアドレス復号が不能となるように変形処理されて記録されるようにする。この第2のバージョンの記録媒体は、非対応の再生装置(例えば第1のバージョンの記録媒体のみに対応して製造された再生装置)では、アドレスデコードができないものとなる。つまり第2のバージョンの記録媒体に非対応の再生装置ではアドレスエラー訂正不能の状態とし、アクセス不能(記録再生が不能)とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク等の記録媒体、およびその記録媒体に対応する記録装置、記録方法、再生装置、再生方法に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開2003−123333号公報
【背景技術】
【0003】
デジタルデータを記録・再生する記録媒体として、例えばCD(Compact Disk),MD(Mini-Disk),DVD(Digital Versatile Disk)、ブルーレイディスク(Blu-ray Disc(登録商標))などの光ディスク(光磁気ディスクを含む)が知られている。
光ディスクとは、金属薄板をプラスチックで保護した円盤に、レーザ光を照射し、その反射光の変化で信号を読み取る記録メディアの総称である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、ブルーレイディスクに見られるような高密度記録により著しい大容量化が実現されている。
現行のブルーレイディスクとしては、記録層が1層又は2層のものが知られており、約25GB(Giga Byte)又は約50GBの記録容量が実現され、ビデオコンテンツやアプリケーションプログラムの記録に利用されている。
ここでブルーレイディスクフォーマットにおいて高密度記録や多層構造等により、更なる大容量化が検討されている。
【0005】
ところが、現行バージョンのブルーレイディスク(以下「Ver1.0ディスク」ともいう)に対応して各種スペックが決められ、既に市販されているディスクドライブ装置(以下「Ver1.0ドライブ」ともいう)との間で問題が生ずるおそれがある。
例えば3層以上の多層構造などとされる新たなバージョンのブルーレイディスク(以下「Ver2.0ディスク」ともいう)が、将来的に市販されるようになると、ユーザサイドではVer2.0ディスクをVer1.0ドライブに装填することも起こりえる。
基本的には同一のブルーレイディスクフォーマットであるため、Ver2.0ディスクをVer1.0ドライブで記録又は再生が絶対に不可能というわけではない。しかし、Ver2.0ディスクを、高密度化や多層化により実現すると、Ver1.0ドライブが備えた各種スペックでは不十分となることが想定される。
すると、Ver2.0ディスクをVer1.0ドライブで記録再生する場合において、記録エラーや再生エラーの発生頻度が高くなる恐れがある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑み、Ver2.0ディスクをVer1.0ドライブに装填しても、記録再生ができないようにするものである。つまり、中途半端に記録再生ができるよりは、Ver1.0ドライブに対するVer2.0ディスクの互換性が無いようにする。これによってユーザサイドでのブルーレイディスクシステムの使用性を逆に高める。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の記録装置は、共にアドレス情報をエラー訂正符号化するデータフォーマットであり、再生時に共通のエラー訂正処理が採用される同一種別の記録媒体としての第1のバージョンと第2のバージョンが存在する記録媒体種別における、上記第2のバージョンとしての記録媒体に対応する記録装置である。そして、上記第1のバージョンに対する場合と共通のエラー訂正符号化処理で、アドレス情報をエラー訂正符号化するエラー訂正符号化部と、上記エラー訂正符号化部で得られるエラー訂正符号化データを、上記第2のバージョンの記録媒体に非対応の再生装置ではアドレス復号が不能となるように変形するエラー訂正符号化データ変形部と、上記エラー訂正符号化データ変形部から得られるアドレス情報を記録媒体に記録する記録部とを備える。
また上記エラー訂正符号化データ変形部は、上記エラー訂正符号化データの一部をビット反転する。
また上記エラー訂正符号化データ変形部は、上記エラー訂正符号化データの一部として、上記第2のバージョンの記録媒体に非対応の再生装置での再生時においてシンボルエラー訂正能力を超えるシンボル数の各シンボルについて、ビット反転する。
また上記エラー訂正符号化データ変形部において上記エラー訂正符号化データをビット反転する位置は、上記第2のバージョンの記録媒体に非対応の再生装置での再生時においてビットエラーが発生しても、アドレス復号が不能となる位置であるとする。
また上記記録部は、アドレス情報を含む変調信号に応じて蛇行させたウォブリンググルーブとしてアドレス情報を記録媒体に記録する。
また上記記録部は、アドレス情報をメインデータ内アドレスとして記録媒体に記録する。
本発明の記録方法は、上記エラー訂正符号化部の処理に相当するエラー訂正符号化ステップと、上記エラー訂正符号化データ変形部の処理に相当するエラー訂正符号化データ変形ステップと、上記記録部の処理に相当する記録ステップを行う。
【0008】
本発明の再生装置は、共にアドレス情報をエラー訂正符号化するデータフォーマットであり、再生時に共通のエラー訂正処理が採用される同一種別の記録媒体としての第1のバージョンと第2のバージョンが存在する記録媒体種別における、上記第2のバージョンとしての記録媒体であり、アドレス情報が、上記第1のバージョンに対する場合と共通のエラー訂正符号化処理でアドレス情報がエラー訂正符号化され、さらにエラー訂正符号化データが、上記第2のバージョンの記録媒体に非対応の再生装置ではアドレス復号が不能となるように変形処理されて記録されている上記第2のバージョンの記録媒体に対応する再生装置である。
そして、上記第2のバージョンとしての記録媒体から情報の読み出しを行う読出部と、上記記録媒体から読み出されるアドレス情報のエラー訂正符号化データについて、上記変形処理に対応する復元処理を行い、上記変形処理前のエラー訂正符号化データを得るエラー訂正符号化データ復元部と、上記エラー訂正符号化データ復元部で復元処理されたエラー訂正符号化データについて、エラー訂正処理を行ってアドレス情報を復号するエラー訂正処理部とを備える。
また上記エラー訂正符号化データ復元部は、上記復元処理として、記録時の上記変形処理においてビット反転されたエラー訂正符号化データの一部をビット反転する。
本発明の再生方法は、上記読出部の処理に相当する読出ステップと、上記エラー訂正符号化データ復元部の処理に相当するエラー訂正符号化データ復元ステップと、上記エラー訂正処理部の処理に相当するエラー訂正処理ステップとを行う。
【0009】
本発明の記録媒体は、共にアドレス情報をエラー訂正符号化するデータフォーマットであり、再生時に共通のエラー訂正処理が採用される同一種別の記録媒体としての第1のバージョンと第2のバージョンが存在する記録媒体種別における、上記第2のバージョンとしての記録媒体であり、アドレス情報が、上記第1のバージョンに対する場合と共通のエラー訂正符号化処理でアドレス情報がエラー訂正符号化され、さらにエラー訂正符号化データが、上記第2のバージョンの記録媒体に非対応の再生装置ではアドレス復号が不能となるように変形処理されて記録されている記録媒体である。
【0010】
このような本発明では、第2のバージョンの記録媒体には、エラー訂正符号化されたアドレス情報が、第2のバージョンの記録媒体に非対応の再生装置ではアドレス復号が不能となるように変形処理されて記録されている。従って第2のバージョンの記録媒体は、非対応の再生装置(例えば第1のバージョンの記録媒体のみに対応して製造された再生装置)では、アドレスデコードができない。
つまり第1,第2のバージョンではエラー訂正符号化処理が共通であるが、エラー訂正符号化データが特定のビット反転等の変形処理によって、第2のバージョンの記録媒体に非対応の再生装置ではアドレスエラー訂正不能の状態に導かれ、アドレス復号不能となる。アドレス復号不能となることで、その非対応再生装置では、第2のバージョンの記録媒体が装填されてもアクセス不能(記録再生が不能)の状態とすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、本発明の記録媒体(第2のバージョンの記録媒体)は、共通のデータフォーマット、エラー訂正処理が採用される第1のバージョンの記録媒体のみに対応する従前の再生装置や記録装置では、アドレス復号不能の状態とし、記録再生不能とできる。これによって、同一種別の記録媒体でありながら、本発明の第2のバージョンの記録媒体のみについて従前の再生装置、記録装置であえて使用できないようにすることができ、不安定な動作状態が生ずることを回避できる。そのため、システム全体としての使用性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態のディスクのグルーブの説明図である。
【図2】実施の形態のディスクのエリア構造の説明図である。
【図3】実施の形態のメインデータのECC構造の説明図である。
【図4】実施の形態のプリレコーデッド情報のECC構造の説明図である。
【図5】実施の形態のフレーム構造の説明図である。
【図6】実施の形態のデータ内アドレスの説明図である。
【図7】実施の形態のデータ内アドレスのECC構造の説明図である。
【図8】実施の形態のBIS構造の説明図である。
【図9】実施の形態のデータ内アドレス記録再生の説明図である。
【図10】実施の形態のウォブルアドレスの説明図である。
【図11】実施の形態のRUBに対するアドレスブロックの説明図である。
【図12】実施の形態のADIP情報のECC構造の説明図である。
【図13】実施の形態のウォブルアドレス記録再生の説明図である。
【図14】実施の形態の反転シンボル位置の設定の説明図である。
【図15】実施の形態のディスクドライブ装置のブロック図である。
【図16】実施の形態のディスクを製造するマスタリング装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を次の順序で説明する。
[1.ディスク]
[2.データ内アドレスの記録再生]
[3.ウォブルアドレスの記録再生]
[4.ディスクドライブ装置]
[5.マスタリング装置]
【0014】
[1.ディスク]

まず実施の形態となるディスクにおける物理的な特性及びウォブリングトラックについて説明する。
本例の光ディスクは、ブルーレイディスクの範疇に属するものとする。実施の形態のブルーレイディスクは、現行のブルーレイディスクと同じく、アドレス情報をエラー訂正符号化するデータフォーマットを採用し、再生時に現行のブルーレイディスクに対するものと共通のエラー訂正処理が採用される。
なお以下では、先に述べたように現行のブルーレイディスクを「Ver1.0ディスク」、実施の形態のディスクに相当するブルーレイディスクを「Ver2.0ディスク」と呼ぶこととする。
また、従前のブルーレイディスクの記録装置、再生装置を「Ver1.0ドライブ」と呼ぶ。これに対応して、本実施の形態の記録装置/再生装置、即ちVer2.0ディスクに対応するディスクドライブ装置については「Ver2.0ドライブ」と呼ぶ場合もある。
【0015】
まず、ブルーレイディスクの基本的な物理構造やデータ構造について述べる。
ブルーレイディスクとしては、BD−ROMとして知られている再生専用タイプのものと、ユーザーデータが記録可能なタイプがある。
再生専用タイプのものは、いわゆるエンボスピット列により情報記録が行われる。
記録可能タイプのものは、色素膜変化記録方式、相変化記録方式が利用されることで、データが記録可能とされる。
色素膜変化記録方式はライトワンス記録方式とも呼ばれ、一度だけデータ記録が可能で書換不能であるためデータ保存用途などに好適とされる。一方、相変化記録方式は、データの書換が可能であり音楽、映像、ゲーム、アプリケーションプログラム等の各種コンテンツデータの記録を始めとして各種用途に利用される。
【0016】
ブルーレイディスクのディスクサイズは、直径が120mmとされる。また、ディスク厚は1.2mmとなる。即ちこれらの点では外形的に見ればCD(Compact Disc)方式のディスクや、DVD(Digital Versatile Disc)方式のディスクと同様となる。
記録/再生のためのレーザ波長は405nmとされ、いわゆる青色レーザが用いられるものとなる。光学系のNAは0.85とされる。
エンボスピット列によって形成されるトラックや、色素変化マーク、相変化マーク(フェイズチェンジマーク)が記録されるグルーブトラックのトラックピッチは0.32μm、線密度0.12μmとされる。そしてユーザーデータ容量としては1層あたりで約23〜25GBを実現している。
【0017】
色素膜変化記録方式、相変化記録方式などの記録可能なディスクに対してデータを記録するには、データトラックに対するトラッキングを行うための案内手段が必要になる。このために、プリグルーブとして予め溝(グルーブ)を形成し、そのグルーブもしくはランド(グルーブとグルーブに挟まれる断面台地状の部位)をデータトラックとすることが行われている。
またデータトラック上の所定の位置にデータを記録することができるようにアドレス情報を記録する必要もあるが、このアドレス情報は、グルーブをウォブリング(蛇行)させることで記録される。
【0018】
図1(a)に模式的に示すように、ディスク100上は、最内周側から最外周側までグルーブGVがスパイラル状に形成される。なお再生専用タイプの場合は、グルーブは形成されないが、このようにスパイラル状にエンボスピット列によるトラックが形成されることになる。
また、ディスクはCLV(線速度一定)方式で回転駆動されてデータの記録再生が行われるものとしているが、グルーブGVについてもCLVとされる。従って、トラック1周回のグルーブのウォブリング波数はディスク外周側に行くほど多くなる。
【0019】
このようなグルーブGVは、図1(b)に示すようにウォブリング(蛇行)されて形成されることにより物理アドレスが表現される。つまりグルーブGVの左右の側壁は、アドレス等に基づいて生成された信号に対応して蛇行している。
グルーブGVとその隣のグルーブGVの間はランドLとされ、上述のようにデータの記録はグルーブGVに行われる。つまりグルーブGVがデータトラックとなる。なお、ランドLをデータトラックとしてデータの記録をランドLに行うようにすることや、グルーブGVとランドLの両方をデータトラックとして用いることも考えられる。
【0020】
このようにデータを記録するトラックがプリグループとして予め形成され、かつプリグループの側壁がアドレス情報に対応してウォブリングされていることで、記録時や再生時に、反射光情報として得られるウォブリング情報からアドレスを読み取ることができる。例えばアドレスを示すピットデータ等を予めトラック上に形成しておかなくても、所望の位置にアクセスしてデータを記録再生することができる。
なお、このようなウォブリングされたグルーブにより表現されるアドレス情報は、ATIP(Absolute Time In Pregroove)又はADIP(Adress In Pregroove)と呼ばれる。
【0021】
図2は、ディスク全体のレイアウト(領域構成)を示す。なお、図2は記録可能型のディスクの場合の例である。
ディスク上の領域としては、内周側からリードインゾーン、データゾーン、リードアウトゾーンが配される。
また、記録・再生に関する領域構成としてみれば。リードインゾーンの内周側がPBゾーン(再生専用領域)、リードインゾーンの外周側からリードアウトゾーンまでがRWゾーン(記録再生領域)とされる。
【0022】
リードインゾーンは、半径24mmより内側に位置する。そして半径22.3〜23.1mmがプリレコーデッドデータゾーンとされる。
プリレコーデッドデータゾーンは、あらかじめコピープロテクションにつかう情報等(プリレコーデッド情報)を、ディスク上にスパイラル状に形成されたグルーブをウォブリングすることによって記録してある。これは書換不能な再生専用の情報であり、つまりプリレコーデッドデータゾーンが上記PBゾーン(再生専用領域)となる。
【0023】
プリレコーデッドデータゾーンにおいてプリレコーデッド情報として例えばコピープロテクション情報が記録されるが、このコピープロテクション情報を用いて、例えば次のようなことが行われる。
本例にかかる光ディスクシステムでは、登録されたドライブ装置メーカー、ディスクメーカーがビジネスを行うことができ、その登録されたことを示す、メディアキー、あるいは、ドライブキーを有している。
ハックされた場合、そのドライブキー或いはメディアキーがコピープロテクション情報として記録される。このメディアキー、ドライブキーを有した、メディア或いはドライブは、この情報により、記録再生をすることをできなくすることができる。
【0024】
リードインゾーンにおいて半径23.1〜24mmにはテストライトエリア及びディフェクトマネジメントエリアが設けられる。
テストライトエリアは記録/再生時のレーザパワー等、フェーズチェンジマークの記録再生条件を設定する際の試し書きなどにつかわれる。
ディフェクトマネジメントエリアはディスク上のディフェクト情報を管理する情報を記録再生する。
【0025】
半径24.0〜58.0mmがデータゾーンとされる。データゾーンは、実際にユーザーデータがフェイズチェンジマークにより記録再生される領域である。
半径58.0〜58.5mmはリードアウトゾーンとされる。リードアウトゾーンは、リードインゾーンと同様のディフェクトマネジメントエリアが設けられたり、また、シークの際、オーバーランしてもよいようにバッファエリアとしてつかわれる。
半径23.1mm、つまりテストライトエリアから、リードアウトゾーンまでが、フェイズチェンジマークが記録再生されるRWゾーン(記録再生領域)とされる。
【0026】
以上は記録可能タイプのディスクの例であるが、再生専用タイプの場合も、リードインゾーン、データゾーン、リードアウトゾーンが配されることは同様である。但しテストライトエリア、ディフェクトマネジメントエリアは設けられず、またディスクの全範囲がエンボスピットによる再生専用領域となる。
【0027】
続いて、主たるデータとして相変化マークやエンボスピット列等で記録されるデータ及びADIP情報としてトラックウォブリングにより記録されるデータのECC構造について図3,図4,図5により説明する。
なお、トラック上に相変化マーク、色素変化マーク、或いはエンボスピット列により記録される情報を「メインデータ」と呼び、またトラックウォブリングにより記録されるデータを「ウォブルデータ」と呼んで区別する。
【0028】
まず図3には、メインデータ(ユーザーデータ)についてのECCフォーマットを示している。
ECC(エラー訂正コード)としては、メインデータ64KB(=1セクターの2048バイト×32セクター)に対するLDC(long distance code)と、BIS(Burst indicator subcode)の2つがある。
【0029】
図3(a)に示すメインデータ64KBについては、図3(b)のようにECCエンコードされる。即ちメインデータは1セクタ2048Bについて4BのEDC(error detection code)を付加し、32セクタに対し、LDCを符号化する。LDCはRS(248,216,33)、符号長248、データ216、ディスタンス33のRS(reed solomon)コードである。304の符号語がある。
【0030】
一方、BISは、図3(c)に示す720B(Byte)のデータに対して、図3(d)のようにECCエンコードされる。即ちRS(62,30,33)、符号長62、データ30、ディスタンス33のRS(reed solomon)コードである。24の符号語がある。
【0031】
図5(a)にメインデータについてのフレーム構造を示している。
上記LDCのデータと、BISは図示するフレーム構造を構成する。即ち1フレームにつき、データ(38B)、BIS(1B)、データ(38B)、BIS(1B)、データ(38B)が配されて155Bの構造となる。つまり1フレームは38B×4の152Bのデータと、38BごとにBISが1B挿入されて構成される。
フレームシンクFS(フレーム同期信号)は、1フレーム155Bの先頭に配される。1つのブロックには496のフレームがある。
LDCデータは、0,2,・・・の偶数番目の符号語が、0,2,・・・の偶数番目のフレームに位置し、1,3,・・・の奇数番目の符号語が、1,3,・・・の奇数番目のフレームに位置する。
【0032】
BISはLDCの符号より訂正能力が非常に優れた符号をもちいており、ほぼ、すべて訂正される。つまり符号長62に対してディスタンスが33という符号を用いている。
このため、エラーが検出されたBISのシンボルは次のように使うことができる。
ECCのデコードの際、BISを先にデコードする。図5(a)のフレーム構造において隣接したBISあるいはフレームシンクFSの2つがエラーの場合、両者のあいだにはさまれたデータ38Bはバーストエラーとみなされる。このデータ38Bにはそれぞれエラーポインタが付加される。LDCではこのエラーポインタをつかって、ポインターイレージャ訂正をおこなう。
これによりLDCだけの訂正より、訂正能力を上げることができる。
BISにはアドレス情報等が含まれている。このアドレス情報は、ROMタイプディスク等で、ウォブリンググルーブによるアドレス情報がない場合等につかわれる。もちろん記録可能ディスクにおける再生時のアドレス取得にも使用できる。
【0033】
なお、最小記録単位となるRUB(recording unit block:記録再生クラスタ)は、図5(a)に示したメインデータのECCブロックの496フレームに、その前後に2フレームのPLL等のためのリンクエリアを付加した498フレームで構成される。
【0034】
次に図4にウォブルデータについてのECCフォーマットを示す。
この場合ECCには、データ4KB(1セクタ2048B×2セクタ)に対するLDC(long distance code)とBIS(Burst indicator subcode)の2つがある。
【0035】
図4(a)に示すウォブルデータとしてのデータ4KBについては、図4(b)のようにECCエンコードされる。即ちデータは1セクタ2048Bについて4BのEDC(error detection code)を付加し、2セクタに対し、LDCを符号化する。LDCはRS(248,216,33)、符号長248、データ216、ディスタンス33のRS(reed solomon)コードである。19の符号語がある。
【0036】
一方、BISは、図4(c)に示す120Bのデータに対して、図4(d)のようにECCエンコードされる。即ちRS(62,30,33)、符号長62、データ30、ディスタンス33のRS(reed solomon)コードである。4つの符号語がある。
【0037】
図5(b)にウォブルデータについてのフレーム構造を示している。
上記LDCのデータと、BISは図示するフレーム構造を構成する。即ち1フレームにつき、フレームシンクFS(1B)、データ(10B)、BIS(1B)、データ(9B)が配されて21Bの構造となる。つまり1フレームは19Bのデータと、BISが1B挿入されて構成される。
フレームシンクFS(フレーム同期信号)は、1フレームの先頭に配される。1つのブロックには248のフレームがある。
【0038】
この場合もBISはLDCの符号より訂正能力が非常に優れた符号をもちいており、ほぼ、すべて訂正される。このため、エラーが検出されたBISのシンボルは次のように使うことができる。
ECCのデコードの際、BISを先にデコードする。隣接したBIS或いはフレームシンクFSの2つがエラーの場合、両者のあいだにはさまれたデータ10B、あるいは9Bはバーストエラーとみなされる。このデータ10B、あるいは9Bにはそれぞれエラーポインタが付加される。LDCではこのエラーポインタをつかって、ポインターイレージャ訂正をおこなう。
これによりLDCだけの訂正より、訂正能力をあげることができる。
【0039】
図5,図6からわかるように、フェイズチェンジマークによるデータとプリレコーデッド情報は、ECCフォーマットとしては、同一の符号及び構造が採用される。
これは、プリレコーデッド情報のECCデコード処理は、フェイズチェンジマークによるデータ再生時のECCデコード処理を行う回路系で実行でき、ディスクドライブ装置としてはハードウエア構成の効率化を図ることができることを意味する。
【0040】
[2.データ内アドレスの記録再生]

本例のディスク(Ver2.0ディスク)におけるデータ内アドレスの記録再生について説明する。データ内アドレスとは、図3,図5(a)で述べたメインデータのECCブロック構造においてBISに含まれるアドレス情報のことである。
【0041】
図6(a)(b)は、Ver1.0ディスクと、Ver2.0ディスク(本実施の形態のディスク)におけるアドレスユニットナンバ(AUN)構造を示している。
まず図6(a)のように、Ver1.0ディスクは、4シンボル(1シンボル=8ビット)のAUNとしてAUN0〜AUN3で形成される。この4シンボルを、ビットA0〜A31で示している。
A0〜A4の5ビットは、クラスタ内ナンバである。クラスタは、データの記録単位である1つのRUB(recording unit block:記録再生クラスタ)を構成する単位である。
A5〜A23の19ビットは、クラスタアドレスとなる。
A24〜A26の3ビットはレイヤーナンバ(記録層のナンバ)となる。
A27〜A31はリザーブとされている。
【0042】
これに対しVer2.0ディスクの場合は、AUN構造は図6(b)のようになる。
4シンボルのAUN0〜AUN3としてのビットA0〜A31において、A0〜A4の5ビットは、クラスタ内ナンバである。
A5〜A24の20ビットは、クラスタアドレスとなる。
A25〜A27の3ビットはレイヤーナンバとなる。
A28〜A31はリザーブとされている。
つまり、大容量化によって総クラスタ数が増えることに対応し、クラスタアドレスのビット数を20ビットにしている。
【0043】
このようなアドレス情報のエラー訂正符号化(ECCエンコード)は、図7のアドレスユニット単位で行われる。
図7(a)では、それぞれ9バイトのアドレスユニットAU0〜AU15を示している。
アドレスユニットAU0は、アドレスフィールドAF0,0〜AF8,0で構成される。
アドレスユニットAU1は、アドレスフィールドAF0,1〜AF8,1で構成される。
同様にしてアドレスユニットAU15までがそれぞれ9バイトで構成される。
1つのアドレスフィールドAFは1バイト(1シンボル)である。
【0044】
この9バイトのアドレスユニット単位でECCエンコードが行われる。アドレスユニットAUは、図6に示したAUNとパリティを含む。
例えばアドレスユニットAU0を例に採ると、図7(b)のようになる。
アドレスユニットAU0のアドレスフィールドAF0,0、AF1,0、AF2,0、AF3,0については、アドレスユニットナンバAUN3,AUN2,AUN1,AUN0が、それぞれ割り当てられる。
アドレスフィールドAF4,0はフラグビットとされる。
アドレスフィールドAF5,0〜AF8,0には、パリティ(Parity3〜Parity0)が割り当てられる。
このアドレスユニット単位のECCエンコードによるエラー訂正は、9シンボル内に4シンボルのパリティを持つことで、2シンボル以内の誤りを訂正できる能力を持つことになる。
即ちアドレスユニットとして形成されるエラー訂正符号化データは、RS(9,5,5)、符号長9、データ5、ディスタンス5のRSコードである。
【0045】
図8に、メインデータブロック内のアドレスユニットの配置を示す。このメインデータブロックは図5(a)に示したものである。
496フレームのメインデータブロックにおいて、31フレーム単位でアドレスユニットがBISを用いて配置される。
1フレームにつきBISは3バイトあり、31フレームでは、BISは93バイトとなるが、そのうちの先頭の9バイトでアドレスユニットが配置される。残りのBISバイトにはコントロールデータ等が配置される。
図示のように、アドレスユニットAU0を構成するアドレスフィールドAF0,0〜AF8,0は、最初の31フレームにおいてBISの9バイトに配置される。
またアドレスユニットAU1を構成するアドレスフィールドAF0,1〜AF8,1は、2番目の31フレームにおけるBISの9バイトに配置される。
以降、同様にアドレスユニットAU2〜AU15が、同様に各31フレーム内のBISに配置される。
【0046】
上述したようにBISはエラー訂正能力は高いものであるが、アドレスユニットのエラー訂正については、アドレスユニット単位で行われる。これは迅速性が要求されるアドレスデコードに関しては、図3(d)のBISブロックを用いた訂正では間に合わないためである。
そのためアドレス情報の訂正能力はアドレスユニットAUの訂正能力に依存するものとなり、上述のように2シンボル以内の訂正が可能とされる。
換言すれば、3シンボル以上のエラーは訂正できないものとなる。さらに言えば、3シンボル以上のエラーを敢えて生じさせると、アドレスが復号できないことになる。
【0047】
本実施の形態では、Ver2.0ディスクは、Ver1.0ドライブにおいて記録再生ができないようにする。記録再生ができないようにするには、Ver1.0ドライブにおいてアドレスデコードができないようにすればよい。アドレス情報が復号できなければ、記録再生のためのアクセスができないためである。
そこで上記のようなアドレスユニットAUとしてECCエンコードされるアドレス情報の記録再生に関して次のような処理を行う。
【0048】
本例のVer2.0ディスクに対して情報を記録する際、まずアドレス情報のエラー訂正符号化については、Ver1.0ディスクと共通のエラー訂正符号化を行う。つまり図7に示したアドレスユニットAU単位のエラー訂正符号化である。
但し、そのままアドレス情報を図8のメインデータブロックのBISに割り当てていくのではなく、9シンボル(9個のアドレスフィールド)のアドレスユニットAUの一部を変形する。具体的には所定のシンボルにおいて全部又は一部のビットを反転させる。その上で、一部ビット反転されたエラー訂正符号化データ(アドレスユニット)を、図8のようにBISに割り当て、メインデータブロックを形成して記録する。
【0049】
一方、Ver2.0ディスクに対応するVer2.0ドライブ(本実施の形態の再生装置)では、上記の変形処理に対応するため、ビット反転による変形処理に対する復元処理を行う。例えば反転されたビット位置に対してさらにビット反転を行うことで、元のアドレスフィールドを復元する。そしてその復元されたアドレスフィールドによって構成されるアドレスユニットAU単位でのエラー訂正デコードを行うものである。
【0050】
図9に、本例のVer2.0ディスクに対する記録と、そのVer2.0ディスクに対して再生を行う場合のアドレス処理の流れを示す。
処理S1〜S6は、Ver2.0ディスクへのデータ記録までの流れを示している。
【0051】
処理S1として、記録すべきアドレスユニットナンバ(AUN0〜AUN3)及びフラグデータを発生させる。
処理S2として、ECCエンコードを行う。即ち処理S1で発生させたAUN0〜AUN3及びフラグデータの5シンボルに対して、4シンボルのパリティ(Parity0〜Parity3)を生成する。即ちアドレスユニットAUを形成するための9シンボルを得る。
処理S3として、シンボルの変形処理を行う。
ここでは、9シンボルのうちAUN0,AUN1,Parity3,Parity2の4シンボルについてビット反転処理を行うものとする。なおシンボルのビット反転とは、シンボルを形成する8ビット全てを反転させてもよいし、所定の一部ビットのみを反転させるものでもよい。
一方、AUN2,AUN3,フラグビット,Parity1,Parity0の5シンボルについては反転処理は行わない。
【0052】
処理S3としてアドレスフィールド形成を行う。
即ち反転処理されたAUN0,AUN1,Parity3,Parity2と、反転処理されていないAUN2,AUN3,フラグビット,Parity1,Parity0を、図7(b)のようにアドレスフィールドAF0〜AF8に割り当て、図7(a)のようにアドレスユニットAUを形成していく。
【0053】
処理S4として記録データ(変調データ)を形成するエンコードが行われる。ブルーレイディスクの場合、変調方式としてRLL(1,7)PP変調方式(RLL;Run Length Limited、PP:Parity preserve/Prohibit rmtr(repeated minimum transition runlength))が用いられる。
図7のアドレスユニットAU0〜AU15とされたアドレス情報は、図8のようなメインデータブロック内に配置される。そして該メインデータブロックを構成するデータストリームがRLL(1,7)PP変調される。
そして処理S6として、変調データに応じたレーザ発光が行われ,ディスク(Ver2.0ディスク)に対してデータ記録が行われる。
【0054】
以上の処理S1〜S6が、本実施の形態のVer2.0ドライブ(記録装置)で行われる。
例えばディスクが記録可能タイプであれば、Ver2.0ドライブとしての記録装置における記録時に、以上のアドレスに関する処理が行われる。
また再生専用タイプのディスクを想定する場合は、以上のアドレスに関する処理が、ディスク原盤のマスタリング工程(後述)において行われることになる。その場合、後述するマスタリング装置が、本実施の形態のVer2.0ドライブとしての記録装置となる。
【0055】
処理S7〜S11は、以上の記録が行われたVer2.0ディスクを、Ver2.0ドライブ(本実施の形態の記録再生装置)で再生する場合のアドレス処理を示している。
Ver2.0ディスクから読み出された情報については、処理S7として復調が行われる。即ちRLL(1,7)PP変調データの復調である。
これによりアドレス情報に関しては、図7(a)のアドレスユニットAU0〜AU15を構成する各アドレスフィールドのデータが得られる。
【0056】
但し、記録時の処理S3の変形処理により、所定のアドレスフィールドのデータはビット反転処理が施されている。
そこで処理S8として復元処理を行う。
ここでは、アドレスユニットAUを構成する9シンボルのうちAUN0,AUN1,Parity3,Parity2の4シンボルについてビット反転処理を行う。つまり処理S3で反転されたビットを、再度反転させて元のシンボル値を復元する。
一方、AUN2,AUN3,フラグビット,Parity1,Parity0の5シンボルについては処理S3で反転されていないため、ここでもビット反転処理は行わない。
この復元処理により、元のアドレスフィールドのデータが得られる。
【0057】
処理S9でこの復元処理されたアドレスフィールドのデータとして、AUN0〜AUN3、フラグデータ、Parity0〜Parity3を得る。即ちアドレスユニットAUとしての9シンボルを得る。
処理S10で、アドレスユニットAUに対してエラー訂正デコードを行う。この場合、処理S8の復元によって、処理S2のECCエンコード時のアドレスユニットが復元されたものについてエラー訂正デコードが行われることになる。従って正常のエラー訂正デコードが行われ、処理S11として、アドレス情報(AUN0〜AUN3)が正しく復号されることになる。
【0058】
このようにVer2.0ドライブによっては、Ver2.0ディスクの再生時においてデータ内アドレスを適正に読み出すことができる。従って、データ内アドレスを用いて通常に再生アクセスや記録アクセスを行うことができ、適正な再生動作、記録動作が可能となる。
【0059】
一方、処理S7→S12〜S14は、上記のアドレス記録が行われたVer2.0ディスクを、Ver1.0ドライブ(従前の再生装置)で再生する場合のアドレス処理を示している。
Ver2.0ディスクから読み出された情報については、処理S7として復調が行われる。即ちRLL(1,7)PP変調データの復調である。
【0060】
これによりアドレス情報に関しては、処理S12として、図7(a)のアドレスユニットAU0〜AU15を構成する各アドレスフィールドのデータが得られる。
但し、記録時の処理S3の変形処理により、所定のアドレスフィールドのデータ(AUN0,AUN1,Parity3,Parity2に相当するアドレスフィールド)はビット反転処理が施されている。
この反転処理された各アドレスフィールドのデータが、そのまま次の処理S13のエラー訂正デコードに供される。
各アドレスユニットAUに対してエラー訂正デコードを行う際、アドレスユニットAUを構成するアドレスフィールドの一部のデータは、ECCエンコード(処理S2)時とは異なった値となっている。アドレスユニットAU0で言えば、AUN0,AUN1,Parity3,Parity2に相当するアドレスフィールドAF2,0、AF3,0、AF5,0、AF6,0はビット反転による変形処理がされたシンボル値となっている。
アドレスユニットAUは、上述のとおり2シンボル以下の誤り訂正能力を持つところ、この場合、4シンボルの誤りが発生した状態となっていることになる。
従ってエラー訂正結果は「DF」(Decord Failure:エラー訂正失敗)となる。
つまり処理S14として、アドレス情報(AUN0〜AUN3)は正しく復号できない。
【0061】
このようにVer1.0ドライブによっては、Ver2.0ディスクの再生時においてデータ内アドレスを適正に読み出すことができない。従って、通常に再生アクセス、記録アクセスを行うことができず、エラー処理として再生動作、記録動作は開始されない。
換言すれば、Ver2.0ディスクを、Ver1.0ドライブで記録再生不能とすることができる。
再生専用タイプのVer2.0ディスクの場合は、グルーブが存在しないため、以上のようにデータ内アドレスを読出不能とすることで、Ver1.0ドライブによる再生を不能とできる。
記録可能タイプのVer2.0ディスクの場合は、データ内アドレスが読出不能であっても、ウォブルアドレスについて読み出せると記録再生が可能となってしまう。そのため次に述べるように、ウォブルアドレスについてもVer1.0ドライブでは読み出せないようにするものである。
【0062】
なお、以上の図9の例では、処理S3としての変形処理で、アドレスユニットAUを構成する9シンボルの内で4シンボルについてビット反転をおこなった。本例の場合、アドレスユニットAUの訂正能力は、3シンボルエラー以上で訂正不能となるため、処理S3では少なくとも3シンボル以上、ビット反転処理を行えばよい。
また、例えば4シンボルをビット反転する場合において、その処理対象は、AUN0,AUN1,Parity3,Parity2に限られるものではない。但し、この例のように、アドレス情報で2シンボル、パリティで2シンボルとして偏りを無くしてビット反転させることが好適と考えられる。
もちろん4シンボルを反転処理する場合、アドレスで4シンボルを反転処理させる例や、フラグビットのシンボルを反転処理対象とする例なども考えられる。
【0063】
またアドレス情報については下位シンボルをビット反転対象としていることも適切と考えられる。これは、アドレスをECCデコードしないドライブも存在し、そのようなドライブにおいてアドレスがインクリメントしないようになるため、エラーとできるためである。
もちろんアドレス情報の上位シンボルAUN2,AUN3を反転対象に加える例も考えられる。
【0064】
[3.ウォブルアドレスの記録再生]

次に本例のディスク(Ver2.0ディスク)におけるウォブルアドレスの記録再生について説明する。
【0065】
図10(a)(b)は、Ver1.0ディスクと、Ver2.0ディスク(本実施の形態のディスク)におけるウォブルアドレス構造を示している。
まず図10(a)のように、Ver1.0ディスクは、ウォブルアドレスはビットA0〜A23で示す24ビットで構成される。なお、ウォブルアドレスは4ビットを1シンボルとして扱うが、4ビットシンボルを以下、ニブル(Nibble)と呼ぶ。24ビットのウォブルアドレスは6ニブルとなる。
A0、A1の2ビットは、クラスタ内ナンバである。
A2〜A20の19ビットは、クラスタアドレスとなる。
A21〜A23の3ビットはレイヤーナンバとなる。
【0066】
これに対しVer2.0ディスクの場合は、ウォブルアドレス構造は図10(b)のようになる。
6ニブルのビットA0〜A23において、A0,A1の2ビットは、クラスタ内ナンバである。
A2〜A21の21ビットは、クラスタアドレスとなる。大容量化によって総クラスタ数が増えることに対応し、クラスタアドレスのビット数を20ビットにしている。
A22〜A23の2ビットはレイヤーナンバとなる。
【0067】
本例の場合、データの記録単位である1つのRUB(recording unit block:記録再生クラスタ)に対しては、ADIPアドレスとして3つのアドレスが入るものとされる。
図11にその様子を示す。RUB(記録再生クラスタ)は、図5(a)に示したデータのECCブロックの496フレームに、その前後に2フレームのPLL等のためのリンクエリアを付加した498フレームとして記録再生の単位である。
そして図11(a)のように1つのRUBに相当する区間において、ADIPとしては3つのアドレスブロックが含まれることになる。
1つのアドレスブロックは83ビットから形成される。
【0068】
図11(b)に1つのアドレスブロックの構成を示している。83ビットのアドレスブロックは、8ビットのシンクパート(同期信号パート)と、75ビットのデータパートからなる。
シンクパートの8ビットでは、モノトーンビット(1ビット)とシンクビット(1ビット)によるシンクブロックが4単位形成される。
データパートの75ビットでは、モノトーンビット(1ビット)とADIPビット(4ビット)によるADIPブロックが15単位形成される。
モノトーンビット、シンクビット、及びADIPビットは、それぞれ56ウォブル期間のウォブルで形成される。これらのビットの先頭にはビットシンクの為のMSK(minimam shift keying)マークが配される。
そしてモノトーンビットはMSKマークに続いて、キャリア周波数によるウォブルが連続して形成される。シンクビット及びADIPビットは、MSKマークに続いて、MSK変調波形及びSTW(saw tooth wobble)変調波形によるウォブルを有して形成される。
アドレス情報としては、データパートのADIPビット(4ビット)×15の60ビットを用いて記録される。
【0069】
この60ビットで形成されるアドレスフォーマット(エラー訂正ブロック構造)は図12のようになる。アドレスデータとしてのECC単位は、このように合計60ビットの単位とされ、図示するようにNibble0〜Nibble14の15ニブル(1ニブル=4ビット)で構成される。このエラー訂正ブロック構造はデータが9ニブル(=36ビット)あり、これに対してパリティが6ニブル(=24ビット)付加される。
【0070】
9ニブル(36ビット)のデータにおいては、Nibble0〜Nibble5の6ニブル(24ビット)がADIPアドレス情報、つまり図10に示した24ビットのウォブルアドレスに用いられる。
Nibble6〜Nibble8の3ニブル(12ビット)が記録再生レーザパワー等の記録条件を記録したdisc ID等、AUXデータに用いられる。
Nibble9〜Nibble14の24ビットはパリティとされる。
エラー訂正方式としては4ビットを1ニブルとした、nibbleベースのリードソロモン符号RS(15,9,7)である。つまり、符号長15ニブル、データ9ニブル、パリティ6ニブルである。
【0071】
Nibble0〜Nibble5については、図12においてレイヤアドレス3ビット、RUBナンバ(クラスタアドレス)20ビット、アドレスナンバ(クラスタ内アドレス)2ビットを示しているが、これは図10(a)のVer1.0ディスクの場合である。
図10(b)のVer2.0ディスクの場合は、この24ビットが、レイヤアドレス2ビット、RUBナンバ(クラスタアドレス)21ビット、アドレスナンバ(クラスタ内アドレス)2ビットとなる。
【0072】
図13に、本例のVer2.0ディスクに対する記録と、そのVer2.0ディスクに対して再生を行う場合のアドレス処理の流れを示す。
処理S20〜S21は、Ver2.0ディスクへのウォブルアドレス記録までの流れを示している。なお、ここでいうウォブルアドレス記録とは、ディスク原盤に対するマスタリング工程において行われるウォブリンググルーブ形成の際のこととなる。従って、この場合の記録装置とはマスタリング装置となる。
【0073】
処理S20として、記録すべきアドレスデータを発生させる。つまり図10(b)のウォブルアドレスの24ビット(6ニブル)である。
処理S21として、ECCエンコードを行う。即ち処理S20で発生させた6ニブルのウォブルアドレスに対して、3ニブルのAUXデータ、6ニブルのパリティを生成する。即ち図12の構造のエラー訂正符号化データを得る。
【0074】
処理S22として、ニブルの変形処理を行う。
図12に示したようにエラー訂正符号化データは15ニブル(Nibble14〜Nibble0)となる。この15ニブルのうちの所定位置のニブルに対してビット反転処理を行う。なおニブルのビット反転とは、ニブルを形成する4ビット全てを反転させてもよいし、所定の一部ビットのみを反転させるものでもよい。
図13では、処理S22として「111100010000100」と図示している。
これは、「1」はビット反転処理を行うこと、「0」はビット反転処理を行わないことを示し、それを15個のニブルの各位置に対応して示している。
つまり「111100010000100」は15ニブル(Nibble14〜Nibble0)のそれぞれに対応して、ビット反転処理を行うか否かを表す。
この場合、「1」に対応するNibble14、Nibble13、Nibble12、Nibble11、Nibble7、Nibble2についてビット反転処理を行い、他のニブルについてはビット反転処理を行わないことを示す。
【0075】
処理S23としてディスクへの記録を行う。この場合、処理S22の後におけるADIP情報に基づいてマスタリング(ディスク原盤のカッティング)を行い、ディスク原盤へADIP情報の変調信号に基づいて蛇行されたウォブリンググルーブ形成(露光)を行う。
後述するが、その後、ディスク原盤の現像、スタンパの作成、スタンパを用いたディスクの製造が行われる。
製造されるディスクは、Ver2.0ディスクとしての記録可能型ディスクとなる。
【0076】
処理S24〜S26は、以上のようにウォブリンググルーブが形成されているVer2.0ディスクに対して、Ver2.0ドライブ(本実施の形態の記録再生装置)で記録又は再生する場合のアドレス処理を示している。
【0077】
Ver2.0ディスクのウォブリンググルーブから読み出された情報については、処理S24として復元処理を行う。
マスタリング時の処理22の変形処理により、ADIP情報の所定ニブルのデータはビット反転処理が施されているためである。
ここでも処理S27として「111100010000100」と図示している。
上記同様に「1」はビット反転処理を行うこと、「0」はビット反転処理を行わないことを示し、それを15個のニブルの各位置に対応して示している。従って、処理S22と同じく、「1」に対応するNibble14、Nibble13、Nibble12、Nibble11、Nibble7、Nibble2についてビット反転処理を行い、他のニブルについてはビット反転処理を行わない。
すると、マスタリング時に処理S21のECCエンコードにより得られた時点でのエラー訂正符号化データとして、図12に示すADIP情報が得られることになる。
【0078】
処理S25で、ADIP情報(図12の60ビット単位のエラー訂正符号化データ)に対してエラー訂正デコードを行う。この場合、処理S24の復元によって、処理S21のECCエンコード時のADIP情報が対象としてエラー訂正デコードが行われるため、ウォブルアドレスの情報(図10(b)のA0〜A23)が正しく復号されることになる。
【0079】
このようにVer2.0ドライブによっては、Ver2.0ディスクの記録又は再生時においてウォブルアドレスを適正に読み出すことができる。従って、ウォブルアドレスを用いて通常に再生アクセスや記録アクセスを行うことができ、適正な再生動作、記録動作が可能となる。
【0080】
一方、処理S27〜S29は、上記のようにウォブリンググルーブ形成が行われたVer2.0ディスクを、Ver1.0ドライブ(従前の記録再生装置)で記録再生する場合のアドレス処理を示している。
【0081】
Ver2.0ディスクのウォブリンググルーブから読み出された情報については、処理S27としてのビット反転処理が行われる。
但し、この処理は処理22の変形処理に対応した本例で言う「復元処理」ではなく、従前の記録再生装置で行われている処理である。
ウォブリンググルーブによるアドレス処理に関しては、マスタリング時及びウォブルアドレス読出時に、15ニブルのうち6ニブルを反転させる処理が行われている。
これは、例えばADIP情報が入力されないときなどとして、ECCデコード処理に入力されるADIP情報が全て「0」になると、誤ってエラー訂正OKとなる場合があり、これを回避するために行われているものである。
Ver1.0ディスクについては、図示のように15ニブルについて、「000000000111111」としての反転(Nibble5〜Nibble0の反転)が、マスタリング時及びウォブルアドレス読出時に行われている。
【0082】
Ver1.0ドライブでは、ADIP情報デコード時に、処理S27としてこのような反転処理が行われる。そして、この反転処理されたADIP情報について、処理S28としてECCデコード処理される。
ここでVer2.0ディスクは、処理S22による変形処理で「111100010000100」のビット反転処理が行われている。
すると、ECCデコードに供されるADIP情報は、処理S22の「111100010000100」の反転処理と、処理27の「000000000111111」の反転処理が加わることになり、「111100010111011」の状態となる。
つまり処理S21でのECCエンコード時のADIP情報に対して、Nibble14、Nibble13、Nibble12、Nibble11、Nibble7、Nibble5、Nibble4、Nibble3、Nibble1、Nibble0が反転された状態である。
このようなADIP情報に対しては、エラー訂正デコードできず、エラー訂正結果は「DF」(Decord Failure:エラー訂正失敗)となる。
つまり処理S29として、ウォブルアドレス(A0〜A23)は正しく復号できない。
【0083】
このようにVer1.0ドライブによっては、Ver2.0ディスクの記録/再生時においてウォブルアドレスを適正に読み出すことができない。従って、通常に再生アクセス、記録アクセスを行うことができず、エラー処理として再生動作、記録動作は開始されない。
換言すれば、Ver2.0ディスクを、Ver1.0ドライブで記録再生不能とすることができる。
【0084】
なお上述したように、Ver1.0ドライブによっては、Ver2.0ディスクのデータ内アドレスについても読み出せない。
記録可能タイプのディスクの場合、メインデータ記録済であれば、ウォブルアドレスが読み出せなくとも、データ内アドレスによってアドレス読出が可能であれば、再生可能となることもあり得るが、ウォブルアドレスもデータ内アドレスも読み出せないようにすることにより、Ver1.0ドライブによって、記録可能タイプのVer2.0ディスクに対する記録再生を、完全に不能とすることができる。
【0085】
ところで、処理S22の変形処理、処理S24の復元処理では、15ニブル(Nibble14〜Nibble0)のそれぞれに対して、「111100010000100」とする反転を行うものとした。
これは、Ver1.0ドライブにおいて、必ずエラー訂正失敗となるようにニブル反転位置を選んだものである。
【0086】
再生時には、データは常に正しく再生されるものではなく、そもそもそのためエラー訂正が行われる。
すると、変形処理として敢えてビット反転させても、復号エラーによってビット反転されていない状態になってしまうことがある。これは、復号エラーの生じ方によっては、変形処理させたにもかかわらず、Ver1.0ドライブにおいてエラー訂正OKとなる可能性があるということになる。ビット反転による変形が、復号エラーによって修正されてしまう部分が生ずることによる。
【0087】
このため復号エラーが生じたとしても、Ver1.0ドライブにおいて必ず復号エラーとなるような変形処理を適切に選定する必要がある。ウォブルアドレスの場合、ビット反転するニブルの位置が重要となる。
【0088】
図12で述べたようにADIP情報は、nibbleベースのRS(15,9,7)であって、シンボルが9ニブル、パリティが6ニブルであり、3ニブル訂正可能である。
すると、3ニブルの復号エラーが生じたとしても、その場合にVer1.0ドライブにおいてDF(エラー訂正失敗)とできればよい。
つまり15ニブルに対する反転位置パターンとして、そのようなパターンを見つければよいことになる。
【0089】
そこで反転位置の設定のため、15ニブルに対する反転パターンとして考え得る全てのパターンについて、全ての反転位置パターンでビット復号エラーが発生した場合、エラー訂正が失敗となるか否かを検証した。
【0090】
15ニブルの反転位置のそれぞれのうちで、1誤り(ビット復号エラー)が発生する場合は、誤り発生のパターンとしては15通りある。この1誤り発生の場合、15通りの全てにおいて、Ver1.0ドライブにおいてエラー訂正失敗とすることができる。
また2誤り発生は1575通りあるが、これも全てにおいて、エラー訂正失敗とすることができる。
ところが3誤り102375通りを検証すると、95717通りでエラー訂正失敗とできるが、残りの6658通りはエラー訂正OKとなる。つまり、エラー訂正失敗とできる確率が約95%に落ちてしまう。
また全誤り103965通りについては、97307通りがエラー訂正失敗となり、残りはエラー訂正OKとなってしまう。
【0091】
つまり3誤り以上が発生すると、確実にエラー訂正失敗とさせることが困難である。但し、通常はアドレスデコードでは、アドレス連続性検出が併用される。
例えば仮に、アドレス値として「00」→「01」→「02」・・・という連続性が判別されており、或るアドレス値がデコードされても、前後と連続性が無い場合はアドレスエラーとされる。例えば「00」→「01」→「85」のように非連続な値の場合、エラー訂正OKであっても、そのアドレス値「85」はエラーとされる。
結局、Ver1.0ドライブでも、アドレス連続性検出が併用されることが通常であるので、エラー訂正がOKとなっても、連続性検出結果でアドレスエラーとなればよい。
【0092】
すると、15ニブルについて反転位置としては、最もエラー訂正失敗となるパターンを選ぶことが適切となる。
結局、図14に示す(1)〜(16)の16パターンが、Ver1.0ドライブに対してエラー訂正失敗が最大になるパターンとして求められた。(「1」が反転を示す)
この16パターンは、このような反転が、ECCエンコードされた15ニブルのデータに与えられた状態で、Ver1.0ドライブのECCデコード処理に供されたとき、各種の復号エラー発生に対して、エラー訂正失敗が最大確率となるものである。
【0093】
上記図13で示した例は、(16)のパターン「111100010111011」を採用するものである。
上述のようにVer1.0ドライブでは処理S27として、「000000000111111」の反転が行われる。
従って、(16)のパターン「111100010111011」で反転された状態でECCデコード処理に供するには、「111100010111011」と「000000000111111」についてのEX−ORをとった、「111100010000100」の反転を、予め与えておけばよい。
つまり、この「111100010000100」で示される「1」の位置のニブルに対するビット反転処理を処理S22で行うことで、Ver1.0ドライブで、復号エラーがあったとしても、アドレスエラーによる記録再生不能の状態を確実に引き起こさせることができる。
【0094】
なお、図14の(1)〜(15)のパターンを用いても良い。即ち(1)〜(15)のうちのいずれかのパターンと、「000000000111111」のEX−ORをとったパターンを、処理S22のビット反転処理のパターンとしてもよい。
その場合もVer1.0ドライブでの記録再生不能の状態を確実に引き起こさせることができる。
【0095】
[4.ディスクドライブ装置]

本発明の記録装置、再生装置の実施の形態となるディスクドライブ装置(Ver2.0ドライブ)の構成を図15に示す。即ち実施の形態のVer2.0ディスクに対して、記録時に図9の処理S1〜S6を行い、また再生時に図9の処理S7〜S11、及び図13の処理S24〜S26の処理を行うディスクドライブ装置である。
【0096】
ディスク100(Ver2.0ディスク)は、図示しないターンテーブルに積載され、記録/再生動作時においてスピンドルモータ2によって一定線速度(CLV)で回転駆動される。
そしてディスク100が記録可能タイプのディスクである場合、光学ピックアップ1によってディスク100上のグルーブトラックのウォブリングとして埋め込まれたADIP情報の読み出しがおこなわれる。
また記録時には光学ピックアップによってトラックにメインデータがフェイズチェンジマークや色素変化マークとして記録され、再生時には光学ピックアップによって記録されたマーク(ユーザデータ及びデータ内アドレス等)の読出が行われる。
ディスク100が再生専用タイプのディスクである場合、光学ピックアップ1によってディスク100上のエンボスピット列によるトラックからユーザデータやデータ内アドレス等の読出が行われる。
【0097】
ピックアップ1内には、レーザ光源となるレーザダイオードや、反射光を検出するためのフォトディテクタ、レーザ光の出力端となる対物レンズ、レーザ光を対物レンズを介してディスク記録面に照射し、またその反射光をフォトディテクタに導く光学系(図示せず)が形成される。
レーザダイオードは、波長405nmのいわゆる青色レーザを出力する。また光学系によるNAは0.85である。
【0098】
ピックアップ1内において対物レンズは二軸機構によってトラッキング方向及びフォーカス方向に移動可能に保持されている。
またピックアップ1全体はスレッド機構3によりディスク半径方向に移動可能とされている。
またピックアップ1におけるレーザダイオードはレーザドライバ13からのドライブ信号(ドライブ電流)によってレーザ発光駆動される。
【0099】
ディスク100からの反射光情報はフォトディテクタによって検出され、受光光量に応じた電気信号とされてマトリクス回路4に供給される。
マトリクス回路4には、フォトディテクタとしての複数の受光素子からの出力電流に対応して電流電圧変換回路、マトリクス演算/増幅回路等を備え、マトリクス演算処理により必要な信号を生成する。
例えば再生データに相当する高周波信号(再生データ信号)、サーボ制御のためのフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号などを生成する。
さらに、グルーブのウォブリングに係る信号、即ちウォブリングを検出する信号としてプッシュプル信号を生成する。
【0100】
マトリクス回路4から出力される再生データ信号はリーダ/ライタ回路5へ、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号はサーボ回路11へ、プッシュプル信号はウォブル回路8へ、それぞれ供給される。
【0101】
リーダ/ライタ回路5は、再生データ信号に対して2値化処理、PLLによる再生クロック生成処理等を行い、ピックアップ1により読み出されたデータを再生して、変復調回路6に供給する。
変復調回路6は、再生時のデコーダとしての機能部位と、記録時のエンコーダとしての機能部位を備える。
再生時にはデコード処理として、再生クロックに基づいてRLL(1−7)PP変調に対する復調処理を行う。
またECCエンコーダ/デコーダ7は、記録時にエラー訂正コードを付加するECCエンコード処理と、再生時にエラー訂正を行うECCデコード処理を行う。
再生時には、変復調回路6で復調されたデータを内部メモリに取り込んで、エラー検出/訂正処理及びデインターリーブ等の処理を行い、再生データを得る。
ECCエンコーダ/デコーダ7で再生データにまでデコードされたデータは、システムコントローラ10の指示に基づいて、読み出され、AV(Audio-Visual)システム20に転送される。
またECCエンコーダ/デコーダ7でデコードされたデータ内アドレス(AUN0〜AUN3)はシステムコントローラ10に供給され、アクセス処理等に用いられる。
【0102】
グルーブのウォブリングに係る信号としてマトリクス回路4から出力されるプッシュプル信号は、ウォブル回路8において処理される。ADIP情報としてのプッシュプル信号は、ウォブル回路8においてMSK復調/STW復調され、ADIPアドレスを構成するデータストリームに復調されてアドレスデコーダ9に供給される。
アドレスデコーダ9は、供給されるデータについてのデコードを行い、ウォブルアドレスとしてのアドレス値を得て、システムコントローラ10に供給する。
またアドレスデコーダ9はウォブル回路8から供給されるウォブル信号を用いたPLL処理でクロックを生成し、例えば記録時のエンコードクロックとして各部に供給する。
【0103】
記録時には、AVシステム20から記録データが転送されてくるが、その記録データはECCエンコーダ/デコーダ7におけるメモリに送られてバッファリングされる。
この場合ECCエンコーダ/デコーダ7は、バファリングされた記録データのエンコード処理として、エラー訂正コード付加やインターリーブ、サブコード等の付加を行う。
またECCエンコードされたデータは、変復調回路6においてRLL(1−7)PP方式の変調が施され、リーダ/ライタ回路5に供給される。
記録時においてこれらのエンコード処理のための基準クロックとなるエンコードクロックは上述したようにウォブル信号から生成したクロックを用いる。
【0104】
エンコード処理により生成された記録データは、リーダ/ライタ回路5で記録補償処理として、記録層の特性、レーザー光のスポット形状、記録線速度等に対する最適記録パワーの微調整やレーザドライブパルス波形の調整などが行われた後、レーザドライブパルスとしてレーザードライバ13に送られる。
レーザドライバ13では供給されたレーザドライブパルスをピックアップ1内のレーザダイオードに与え、レーザ発光駆動を行う。これによりディスク100に記録データに応じたマークが形成されることになる。
【0105】
なお、レーザドライバ13は、いわゆるAPC回路(Auto Power Control)を備え、ピックアップ1内に設けられたレーザパワーのモニタ用ディテクタの出力によりレーザ出力パワーをモニターしながらレーザーの出力が温度などによらず一定になるように制御する。記録時及び再生時のレーザー出力の目標値はシステムコントローラ10から与えられ、記録時及び再生時にはそれぞれレーザ出力レベルが、その目標値になるように制御する。
【0106】
サーボ回路11は、マトリクス回路4からのフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号から、フォーカス、トラッキング、スレッドの各種サーボドライブ信号を生成しサーボ動作を実行させる。
即ちフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号に応じてフォーカスドライブ信号、トラッキングドライブ信号を生成し、ピックアップ1内の二軸機構のフォーカスコイル、トラッキングコイルを駆動することになる。これによってピックアップ1、マトリクス回路4、サーボ回路11、二軸機構によるトラッキングサーボループ及びフォーカスサーボループが形成される。
【0107】
またサーボ回路11は、システムコントローラ10からのトラックジャンプ指令に応じて、トラッキングサーボループをオフとし、ジャンプドライブ信号を出力することで、トラックジャンプ動作を実行させる。
【0108】
またサーボ回路11は、トラッキングエラー信号の低域成分として得られるスレッドエラー信号や、システムコントローラ10からのアクセス実行制御などに基づいてスレッドドライブ信号を生成し、スレッド機構3を駆動する。スレッド機構3には、図示しないが、ピックアップ1を保持するメインシャフト、スレッドモータ、伝達ギア等による機構を有し、スレッドドライブ信号に応じてスレッドモータを駆動することで、ピックアップ1の所要のスライド移動が行なわれる。
【0109】
スピンドルサーボ回路12はスピンドルモータ2をCLV回転させる制御を行う。
スピンドルサーボ回路12は、ウォブル信号に対するPLL処理で生成されるクロックを、現在のスピンドルモータ2の回転速度情報として得、これを所定のCLV基準速度情報と比較することで、スピンドルエラー信号を生成する。
またデータ再生時においては、リーダ/ライタ回路5内のPLLによって生成される再生クロック(デコード処理の基準となるクロック)が、現在のスピンドルモータ2の回転速度情報となるため、これを所定のCLV基準速度情報と比較することでスピンドルエラー信号を生成することもできる。
そしてスピンドルサーボ回路12は、スピンドルエラー信号に応じて生成したスピンドルドライブ信号を出力し、スピンドルモータ2のCLV回転を実行させる。
またスピンドルサーボ回路12は、システムコントローラ10からのスピンドルキック/ブレーキ制御信号に応じてスピンドルドライブ信号を発生させ、スピンドルモータ2の起動、停止、加速、減速などの動作も実行させる。
【0110】
以上のようなサーボ系及び記録再生系の各種動作はマイクロコンピュータによって形成されたシステムコントローラ10により制御される。
システムコントローラ10は、AVシステム20からのコマンドに応じて各種処理を実行する。
【0111】
例えばAVシステム20から書込命令(ライトコマンド)が出されると、システムコントローラ10は、まず書き込むべきアドレスにピックアップ1を移動させる。そしてECCエンコーダ/デコーダ7、変復調回路6により、AVシステム20から転送されてきたデータ(例えばMPEG2などの各種方式のビデオデータや、オーディオデータ等)について上述したようにエンコード処理を実行させる。そして上記のようにリーダ/ライタ回路5からのレーザドライブパルスがレーザドライバ13に供給されることで、記録が実行される。
【0112】
また例えばAVシステム20から、ディスク100に記録されている或るデータ(MPEG2ビデオデータ等)の転送を求めるリードコマンドが供給された場合は、まず指示されたアドレスを目的としてシーク動作制御を行う。即ちサーボ回路11に指令を出し、シークコマンドにより指定されたアドレスをターゲットとするピックアップ1のアクセス動作を実行させる。
その後、その指示されたデータ区間のデータをAVシステム20に転送するために必要な動作制御を行う。即ちディスク100からのデータ読出を行い、リーダ/ライタ回路5、変復調回路6、ECCエンコーダ/デコーダ7におけるデコード/バファリング等を実行させ、要求されたデータを転送する。
【0113】
なお、これらのデータ記録再生時には、システムコントローラ10は、ウォブル回路8及びアドレスデコーダ9によって検出されるウォブルアドレスや、ECCエンコーダ/デコーダ7で得られるデータ内アドレスを用いてアクセスや記録再生動作の制御を行う。
【0114】
ここで、ECCエンコーダ/デコーダ7は、記録時には図9の処理S1〜S4を行うことになる。
即ちデータ内アドレスの記録のため、処理S1として、記録すべきアドレスユニットナンバ(AUN0〜AUN3)及びフラグデータを発生させる。そして処理S2としてECCエンコードを行い。AUN0〜AUN3及びフラグデータの5シンボルに対して、4シンボルのパリティ(Parity0〜Parity3)を生成する。
そして処理S3の変形処理としてAUN0,AUN1,Parity3,Parity2の4シンボルについてビット反転処理を行う。そして反転処理結果のシンボルでECCエンコードブロックとしてのアドレスフィールド形成を行う。
【0115】
このECCエンコードされたデータが変復調回路6に供給され、処理S5としてのRLL(1,7)PP変調される。そして処理S6として、RW回路5,レーザドライバ13による変調信号に基づいたレーザ発光駆動が行われ、データ記録が行われるものとなる。
【0116】
また再生時には、データ内アドレス再生のために、ECCエンコーダ/デコーダ7は、図9の処理S8〜S11を行うことになる。
ディスク100から読み出された情報は、上記のようにマトリクス回路4、RW回路5、変復調回路6によって復調される(処理S7)。
これによりアドレス情報に関しては、図7(a)のアドレスユニットAU0〜AU15を構成する各アドレスフィールドのデータが得られ、ECCエンコーダ/デコーダ7に供給される。
但し、記録時の処理S3の変形処理により、所定のアドレスフィールドのデータはビット反転処理が施されているため、ECCエンコーダ/デコーダ7は、処理S8としての復元処理を行う。例えばアドレスユニットAUを構成する9シンボルのうちAUN0,AUN1,Parity3,Parity2の4シンボルについてビット反転処理を行う。この復元処理により、元のアドレスフィールドのデータが得られる(処理S9)。
そしてECCエンコーダ/デコーダ7は処理S10としてのECCデコード処理を行う。これによってアドレス情報(AUN0〜AUN3)が復号され、CCエンコーダ/デコーダ7はアドレス情報をシステムコントローラ10に供給する。
【0117】
記録可能タイプのディスク100の記録再生時は、アドレスデコーダ9によって図13の処理S24〜S26が行われる。
ディスク100のウォブリンググルーブから読み出された情報について、アドレスデコーダ9は、処理S24として復元処理を行う。例えば図13に「111100010000100」として示した場合であればNibble14、Nibble13、Nibble12、Nibble11、Nibble7、Nibble2についてビット反転処理を行うことになる。
これにより、ECCエンコード時のADIP情報が得られる。その状態で処理S25としてのECCエンコードを行い、ウォブルアドレスを復号する(S26)。このウォブルアドレスをシステムコントローラ10に供給する。
【0118】
本例のディスクドライブ装置では、以上の処理を行うことで、Ver2.0ディスクに対しての記録又は再生時において、データ内アドレスやウォブルアドレスを適正に読み出すことができる。従って適正な再生動作、記録動作が可能となる。
【0119】
なお、この図15の構成例は、AVシステム20に接続されるディスクドライブ装置としたが、実施の形態のディスクドライブ装置としては例えばパーソナルコンピュータ等と接続されるものとしてもよい。
さらには他の機器に接続されない形態もあり得る。その場合は、操作部や表示部が設けられたり、データ入出力のインターフェース部位の構成が、図15とは異なるものとなる。つまり、ユーザーの操作に応じて記録や再生が行われるとともに、各種データの入出力のための端子部が形成されればよい。
もちろん構成例としては他にも多様に考えられ、例えば記録専用装置、再生専用装置としての例も考えられる。
【0120】
[5.マスタリング装置]

続いて、本発明の記録装置の実施の形態となるマスタリング装置を説明する。
ディスクの製造プロセスは、大別すると、いわゆる原盤工程(マスタリングプロセス)と、ディスク化工程(レプリケーションプロセス)に分けられる。原盤工程はディスク化工程で用いる金属原盤(スタンパー)を完成するまでのプロセスであり、ディスク化工程はスタンパーを用いて、その複製である光ディスクを大量生産するプロセスである。
【0121】
具体的には、原盤工程は、研磨した硝子基板にフォトレジストを塗布し、この感光膜にレーザビームによる露光によってピットやグルーブを形成する、いわゆるカッティングを行なう。
本例の場合、ディスクの最内周側のPBゾーン(図2参照)に相当する部分でプリレコーデッド情報に基づいたウォブリングによるグルーブのカッティングが行われる。またRWゾーンに相当する部分で、ADIPアドレスに基づいたウォブリングによるグルーブのカッティングが行われる。 記録するプリレコーデッド情報はプリマスタリングと呼ばれる準備工程で用意される。
【0122】
カッティングが終了すると、現像等の所定の処理を行なった後、例えば電鋳によって金属表面上への情報の転送を行ない、ディスクの複製を行なう際に必要なスタンパーを作成する。
次に、このスタンパーを用いて例えばインジェクション法等によって、樹脂基板上に情報を転写し、その上に反射膜を生成した後、必要なディスク形態に加工する等の処理を行なって、最終製品を完成する。これが本例のVer2.0ディスクとなる。
【0123】
マスタリング装置は、例えば図16に示すように、プリレコーデッド情報発生部71,アドレス発生部72、切換部73、カッティング部74、コントローラ70を備える。
プリレコーデッド情報発生部71は、プリマスタリング工程で用意されたプリレコーデッド情報を出力する。
アドレス発生部72は、絶対アドレスとしての値を順次出力する。
【0124】
カッティング部74は、無機レジスト等が塗布された硝子基板101にレーザービームを照射してカッティングを行なう光学部(82,83,84)を備える。また硝子基板101を回転駆動及びスライド移送する基板回転/移送部85を備える。また入力データを記録データに変換して光学部に供給する信号処理部81と、基板回転/移送部85の位置から、カッティング位置がPBゾーンとRWゾーンのいずれであるかを判別できるようにしたセンサ86を有する。
【0125】
上記光学部としては、レーザ光源82と、このレーザ光源82からの出射光を記録データに基づいて変調する変調部83と、変調部83からの変調ビームを集光して硝子基板101のフォトレジスト面に照射するカッティングヘッド部84が設けられている。
変調部83としてはレーザ光源82からの出射光をオン/オフする音響光学型の光変調器(AOM)と、さらにレーザ光源82からの出射光をウォブル生成信号に基づいて偏向する音響光学型の光偏向器(AOD)が設けられる。
【0126】
また、基板回転/移送部85は、硝子基板101を回転駆動する回転モータと、回転モータの回転速度を検出する検出部(FG)と、硝子基板101をその半径方向にスライドさせるためのスライドモータと、回転モータ、スライドモータの回転速度や、カッティングヘッド部84のトラッキング等を制御するサーボコントローラなどを有して構成される。
【0127】
信号処理部81は、例えば切換部73を介して供給されるプリレコーデッド情報やアドレス情報に対して、例えばエラー訂正符号等を付加して入力データを形成するフォーマティング処理や、フォーマティング処理データに所定の演算処理を施して変調信号を形成する変調信号生成処理を行う。
そして変調信号に基づいて変調部83の光変調器及び光偏向器を駆動する駆動処理も行う。
【0128】
カッティング部74では、カッティングの際、基板回転/移送部85が硝子基板101を一定線速度で回転駆動するとともに、硝子基板71を回転させたまま、所定のトラックピッチでらせん状のトラックが形成されていくようにスライドさせる。
同時に、レーザ光源82からの出射光は変調部83を介して、信号処理部81からの変調信号に基づく変調ビームとされてカッティングヘッド部84から硝子基板71のフォトレジスト面に照射されていき、その結果、フォトレジストがデータやグルーブに基づいて感光される。
【0129】
コントローラ70は、このようなカッティング部74のカッティング時の動作を実行制御するとともに、センサ86からの信号を監視しながらプリレコーデッド情報発生部71、アドレス発生部72、切換部73を制御する。
コントローラ70は、カッティング開始時には、カッティング部74に対してカッティングヘッド部84が最内周側からレーザ照射を開始するように、基板回転/移送部85のスライド位置を初期位置とさせる。そして硝子基板101のCLV回転駆動と、所定トラックピッチのグルーブを形成するためのスライド移送を開始させる。
この状態で、プリレコーデッド情報発生部71からプリレコーデッド情報を出力させ、切換部73を介して信号処理部81に供給させる。また、レーザ光源82からのレーザ出力を開始させ、変調部83は信号処理部81からの変調信号、即ちプリレコーデッド情報のFMコード変調信号に基づいてレーザ光を変調させ、硝子基板101へのグルーブカッティングを実行させる。
これにより、PBゾーンに相当する領域にグルーブのカッティングが行われていく。
【0130】
その後、コントローラ70はセンサ86の信号から、カッティング動作がPBゾーンに相当する位置まで進んだことを検出したら、切換部73をアドレス発生部72側に切り換えると共に、アドレス発生部72からアドレス値を順次発生させるように指示する。
これによりアドレス発生部72からアドレス情報が切換部73を介して信号処理部81に供給される。そして、レーザ光源82からのレーザ光は変調部83において信号処理部81からの変調信号、即ちアドレス情報の変調信号に基づいて変調され、その変調レーザ光により硝子基板101へのグルーブカッティングが実行される。
これにより、RWゾーンに相当する領域に、ウォブルアドレスを含むグルーブのカッティングが行われていく。
コントローラ70はセンサ86の信号から、当該カッティング動作がリードアウトゾーンの終端に達したことを検出したら、カッティング動作を終了させる。
【0131】
このような動作により、硝子基板101上にPBゾーン及びRWゾーンとしてのウォブリンググルーブに対応する露光部が形成されていく。
その後、現像、電鋳等を行ないスタンパーが生成され、スタンパーを用いて上述のディスクが生産される。
【0132】
ここで、信号処理部81では、アドレス発生部72から順次供給されるアドレス情報に関して、図13の処理S21、S22を行うことになる。
図13の処理S20としてのアドレスデータ発生は、アドレス発生部72の処理となる。つまり図10(b)のウォブルアドレスの24ビット(6ニブル)をアドレス発生部72が出力する。
信号処理部81は、処理S21としてのECCエンコードを行う。即ち処理S20で発生させた6ニブルのウォブルアドレスに対して、3ニブルのAUXデータ、6ニブルのパリティを生成し、図12の構造のエラー訂正符号化データを得る。そして処理S22として、ニブルの変形処理を行う。即ち図13で「111100010000100」と図示したビット反転処理として、Nibble14、Nibble13、Nibble12、Nibble11、Nibble7、Nibble2についてビット反転処理を行う。
信号処理部81は、このように処理したADIP情報により変調信号を生成し、変調部83を制御することになる。
これによって図13で述べたウォブルアドレスに関する露光処理が行われる。
【0133】
なお、再生専用タイプのディスクを想定した場合のマスタリング装置は、ウォブリンググルーブではなく、ピット列の露光を行うものとなる。
その場合、アドレス情報及びユーザデータが上述した図3,図6〜図8の構造でエンコードされ、エンコードデータに応じてレーザ光源82からのレーザ光が変調されることになる。
そのようなマスタリング装置の場合は、図16のプリレコーデッド情報発生部71に代えてユーザデータ発生部を設ける。そしてユーザデータ及びアドレス発生部72からのアドレス情報(AUN)について、信号処理部81でECCエンコードを行う。この際に、図9の処理S2〜S5が行われることになる。
これによってVer2.0ディスクとしての再生専用ディスク製造のための原盤のピット列露光が行われる。その後、現像、スタンパ製造、基板作成、記録層やカバー層等の層形成が行われ、Ver2.0ディスクが製造される。
【0134】
以上、実施の形態のディスク及びそれに対応するディスクドライブ装置、マスタリング装置について説明してきたが、本発明はこれらの例に限定されるものではなく、要旨の範囲内で各種変形例が考えられるものである。
【符号の説明】
【0135】
1 ピックアップ、2 スピンドルモータ、3 スレッド機構、4 マトリクス回路、5 リーダ/ライタ回路、6 変復調回路、7 ECCエンコーダ/デコーダ、8 ウォブル回路、9 アドレスデコーダ、10 システムコントローラ、11 サーボ回路、12 スピンドルサーボ回路、13 レーザドライバ、20 AVシステム、70 コントローラ、71 プリレコーデッド情報発生部、72 アドレス発生部、73 切換部、74 カッティング部、100 ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共にアドレス情報をエラー訂正符号化するデータフォーマットであり、再生時に共通のエラー訂正処理が採用される同一種別の記録媒体としての第1のバージョンと第2のバージョンが存在する記録媒体種別における、上記第2のバージョンとしての記録媒体に対応する記録装置であって、
上記第1のバージョンに対する場合と共通のエラー訂正符号化処理で、アドレス情報をエラー訂正符号化するエラー訂正符号化部と、
上記エラー訂正符号化部で得られるエラー訂正符号化データを、上記第2のバージョンの記録媒体に非対応の再生装置ではアドレス復号が不能となるように変形するエラー訂正符号化データ変形部と、
上記エラー訂正符号化データ変形部から得られるアドレス情報を記録媒体に記録する記録部と、
を備えた記録装置。
【請求項2】
上記エラー訂正符号化データ変形部は、上記エラー訂正符号化データの一部をビット反転する請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
上記エラー訂正符号化データ変形部は、上記エラー訂正符号化データの一部として、上記第2のバージョンの記録媒体に非対応の再生装置での再生時においてシンボルエラー訂正能力を超えるシンボル数の各シンボルについて、ビット反転する請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
上記エラー訂正符号化データ変形部において上記エラー訂正符号化データをビット反転する位置は、上記第2のバージョンの記録媒体に非対応の再生装置での再生時において復号エラーが発生しても、アドレス復号が不能となる位置である請求項2に記載の記録装置。
【請求項5】
上記記録部は、アドレス情報を含む変調信号に応じて蛇行させたウォブリンググルーブとしてアドレス情報を記録媒体に記録する請求項1に記載の記録装置。
【請求項6】
上記記録部は、アドレス情報をメインデータ内アドレスとして記録媒体に記録する請求項1に記載の記録装置。
【請求項7】
共にアドレス情報をエラー訂正符号化するデータフォーマットであり、再生時に共通のエラー訂正処理が採用される同一種別の記録媒体としての第1のバージョンと第2のバージョンが存在する記録媒体種別における、上記第2のバージョンとしての記録媒体に対する記録方法であって、
上記第1のバージョンに対する場合と共通のエラー訂正符号化処理で、アドレス情報をエラー訂正符号化するエラー訂正符号化ステップと、
上記エラー訂正符号化ステップで得られるエラー訂正符号化データを、上記第2のバージョンの記録媒体に非対応の再生装置ではアドレス復号が不能となるように変形するエラー訂正符号化データ変形ステップと、
上記エラー訂正符号化データ変形ステップで得られるアドレス情報を記録媒体に記録する記録ステップと、
を行う記録方法。
【請求項8】
共にアドレス情報をエラー訂正符号化するデータフォーマットであり、再生時に共通のエラー訂正処理が採用される同一種別の記録媒体としての第1のバージョンと第2のバージョンが存在する記録媒体種別における、上記第2のバージョンとしての記録媒体であり、アドレス情報が、上記第1のバージョンに対する場合と共通のエラー訂正符号化処理でアドレス情報がエラー訂正符号化され、さらにエラー訂正符号化データが、上記第2のバージョンの記録媒体に非対応の再生装置ではアドレス復号が不能となるように変形処理されて記録されている上記第2のバージョンの記録媒体に対応する再生装置であって、
上記第2のバージョンとしての記録媒体から情報の読み出しを行う読出部と、
上記記録媒体から読み出されるアドレス情報のエラー訂正符号化データについて、上記変形処理に対応する復元処理を行い、上記変形処理前のエラー訂正符号化データを得るエラー訂正符号化データ復元部と、
上記エラー訂正符号化データ復元部で復元処理されたエラー訂正符号化データについて、エラー訂正処理を行ってアドレス情報を復号するエラー訂正処理部と、
を備えた再生装置。
【請求項9】
上記エラー訂正符号化データ復元部は、上記復元処理として、記録時の上記変形処理においてビット反転されたエラー訂正符号化データの一部をビット反転する請求項8に記載の再生装置。
【請求項10】
共にアドレス情報をエラー訂正符号化するデータフォーマットであり、再生時に共通のエラー訂正処理が採用される同一種別の記録媒体としての第1のバージョンと第2のバージョンが存在する記録媒体種別における、上記第2のバージョンとしての記録媒体であり、アドレス情報が、上記第1のバージョンに対する場合と共通のエラー訂正符号化処理でアドレス情報がエラー訂正符号化され、さらにエラー訂正符号化データが、上記第2のバージョンの記録媒体に非対応の再生装置ではアドレス復号が不能となるように変形処理されて記録されている上記第2のバージョンの記録媒体に対する再生方法であって、
上記第2のバージョンとしての記録媒体から情報の読み出しを行う読出ステップと、
上記記録媒体から読み出されるアドレス情報のエラー訂正符号化データについて、上記変形処理に対応する復元処理を行い、上記変形処理前のエラー訂正符号化データを得るエラー訂正符号化データ復元ステップと、
上記エラー訂正符号化データ復元ステップで復元処理されたエラー訂正符号化データについて、エラー訂正処理を行ってアドレス情報を復号するエラー訂正処理ステップと、
を行う再生方法。
【請求項11】
共にアドレス情報をエラー訂正符号化するデータフォーマットであり、再生時に共通のエラー訂正処理が採用される同一種別の記録媒体としての第1のバージョンと第2のバージョンが存在する記録媒体種別における、上記第2のバージョンとしての記録媒体であり、アドレス情報が、上記第1のバージョンに対する場合と共通のエラー訂正符号化処理でアドレス情報がエラー訂正符号化され、さらにエラー訂正符号化データが、上記第2のバージョンの記録媒体に非対応の再生装置ではアドレス復号が不能となるように変形処理されて記録されている記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−262713(P2010−262713A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114241(P2009−114241)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】