説明

記録装置の排紙機構

【課題】記録装置の小型化、薄型化を図ることができるとともに、排出される記録用紙の湾曲状態の低減、防止を図る。
【解決手段】一対のローラ10、11によって記録用紙3を挟持して回転することにより記録用紙3を搬送する搬送部5と、排紙ローラ15を備えた排紙部13と、搬送部5および排紙部13の間に装着されたリボンカセット17におけるケース19の一面を介して排紙部13にいたる記録用紙3の搬送経路21と、搬送経路21を介してケース19の一面に対向して配置され、記録用紙3が両ローラ10、11の挟持から外れたときに、記録用紙3の端部を支持する用紙ガイド22とを有し、用紙ガイド22の搬送部5側の先端部分に、排紙部13によって搬送される記録用紙3を湾曲しない状態で支持する傾斜部23を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置の記録部において記録が行われた記録用紙を、記録装置の外部方向である排紙方向に搬送する記録装置の排紙機構に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばフォトプリンタ等の記録装置には、小型化、薄型化が求められているとともに、記録を完了して記録装置から排出される記録用紙が極力平坦な状態であることが望まれている。
【0003】
ここで、例えば特許文献1に記載の記録装置に用いられるインクリボンカセットは、リボン引き出し口近傍にインクリボン引き出し方向に突出して形成された突出部を有し、突出部の頂部からインクリボンの供給コアおよび巻取コアを収納する本体部の底面側には、テーパ状または湾曲状の壁部が形成されている。そして、このリボンカセットは、排紙時に前記壁部によって記録用紙を案内するようになっている。このように、リボンカセットを記録用紙搬送用のガイドとして機能させることによって、排紙機構の小型化、薄型化を図ることができるようになっている。
【0004】
また、例えば特許文献2に記載の記録装置は、記録媒体を1枚ずつ分離して給紙するピックアップローラと、このピックアップローラを記録媒体に対して接離可能に支持する支持部材とを有している。そして、この記録装置は、記録用紙の排紙時に、支持部材によってピックアップローラを記録用紙から離間して待避させることにより、記録用紙を湾曲させることなく搬送するようになっている(特許文献2の明細書における段落0035)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−150776号公報
【特許文献2】特開2004−75214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記特許文献1に記載のインクリボンカセットによれば、インクリボンカセットのケースに沿って記録用紙が搬送されるようになっており、記録用紙が大きく湾曲してしまうために記録用紙とインクリボンカセットとの摩擦が大きくなり、排紙できないおそれがあるという問題を有していた。
【0007】
また、前記特許文献2に記載の記録装置によれば、ピックアップローラを記録用紙から離間して待避させるために支持部材を設ける必要があり、記録装置の構造が複雑化するとともに、支持部材を配置するためのスペースも必要となり、小型化、薄型化が困難となってしまうという問題を有していた。
【0008】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、記録装置の小型化、薄型化を図ることができるとともに、排出される記録用紙の湾曲状態を低減、防止することにより排紙性能が向上した記録装置の排紙機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明に係る記録装置の排紙機構の特徴は、一対の搬送ローラを備え、前記両搬送ローラによって記録用紙を挟持して回転することにより前記記録用紙を搬送する搬送部と、回転により、前記記録用紙を排紙する排紙方向に搬送する排紙ローラを備えた排紙部と、前記搬送部および前記排紙部の間に装着され、インクリボンが収納されたリボンカセットと、前記搬送部から前記リボンカセットにおけるケースの一面を介して前記排紙部にいたる前記記録用紙の搬送経路と、前記搬送経路を介して前記ケースの一面に対向して配置され、前記記録用紙が前記両搬送ローラの挟持から外れたときに、前記記録用紙の端部を支持する用紙ガイドとを有し、前記用紙ガイドの前記搬送部側の先端部分に、前記排紙部によって搬送される前記記録用紙を湾曲しない状態で支持する傾斜部を設けた点にある。
【0010】
この本発明に係る記録装置の排紙機構によれば、記録用紙が搬送部における両搬送ローラの挟持から外れると、記録用紙の排紙方向における後端部分が用紙ガイドの傾斜部によって湾曲しない状態で支持されることとなるので、記録用紙を排紙ローラによって極力平坦な状態で搬送し、排出することができる。また、本発明に係る記録装置の排紙機構は、例えば、従来の特許文献2に記載のプリンタのように、記録用紙が湾曲しない状態で搬送するために、ピックアップローラを記録用紙から離間して待避させるための支持部材等の他の部品を設けることなく、記録用紙を極力平坦な状態で搬送することができる。
【0011】
本発明に係る記録装置の排紙機構の他の特徴は、前記排紙部における前記搬送経路を介して前記排紙ローラに対向する側であって、前記搬送経路上において前記排紙ローラの対向位置からずれた位置に、前記記録用紙を案内する排紙ガイドを設け、前記傾斜部を、前記排紙ローラおよび前記排紙ガイドによって案内された前記記録用紙を湾曲しない状態で支持する形状に形成する点にある。これにより、記録用紙が排紙ローラおよび排紙ガイドに強い力によって挟持されることがないので、排紙機構は、記録用紙に負荷をかけずに記録用紙上の画像の記録の品質を低下させることなく、記録用紙を案内することができる。
【0012】
本発明に係る記録装置の排紙機構の他の特徴は、前記搬送部が、前記記録用紙を前記排紙方向に搬送するとともに、前記排紙方向と逆方向の給紙方向に前記記録用紙を搬送する機能を備えた点にある。これにより、本発明に係る記録装置の排紙機構は、複数色のインクを順次転写してカラー画像の記録を行う記録装置に用いることができる。このような記録装置に用いられた排紙機構は、記録用紙の後端部分を傾斜部によって支持することにより、記録用紙が湾曲してしまうことを低減、防止して、排紙機能の向上を図ることができる。
【0013】
本発明に係る記録装置の排紙機構の他の特徴は、前記排紙ローラは、前記記録用紙を前記排紙方向に搬送するとともに、用紙トレイに収納された前記記録用紙を、前記給紙方向に搬送し、前記用紙ガイドを介して前記搬送部に供給する給紙機能を備えており、前記傾斜部における前記搬送部側の先端縁の仮想延長線が、前記両搬送ローラのうち、前記搬送経路に対して前記用紙ガイドの配置位置と同じ側に配置された一方の搬送ローラの前記用紙ガイドに対向する外周面のうち、前記一方の搬送ローラの鉛直方向の中間部よりも上側に当接する点にある。これにより、排紙機構は、排紙ローラによって記録用紙を用紙ガイドを介して搬送部に供給する際、例えば、前記記録用紙の給紙方向における先端部分が下方向に湾曲してしまっているような場合に、この記録用紙の先端部分が一方の搬送ローラの回転によって、一方の搬送ローラの下側に巻き込まれてしまうことを防止することができ、排紙機能の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上述べたように、本発明に係る記録装置の排紙機構によれば、構造を複雑化することなく小型化、薄型化を図ることができるとともに、記録装置から排出される記録用紙の湾曲状態を低減、防止することにより安定した排紙が可能となり排紙性能を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る記録装置の排紙機構における搬送部による記録用紙の搬送時の一実施形態を示す縦断面側面図
【図2】図1に記載の記録装置の排紙機構における排紙部による記録用紙の搬送時の一実施形態を示す縦断面側面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る記録装置の排紙機構の一実施形態を図1および図2を参照して説明する。
【0017】
図1および図2に示すように、本実施形態に係る記録装置1の排紙機構2は、記録用紙3を搬送する搬送部5を有しており、本実施形態において、搬送部5は、記録装置1における記録を行う記録部6の近傍に配置されている。
【0018】
記録部6は、プラテン7と、このプラテン7に対向して配置され、プラテン7に対して接離可能に設けられた記録ヘッド8とを有している。記録部6は、加熱された記録ヘッド8を記録用紙3および図示しないインクリボンを介してプラテン7に圧接することにより、インクリボンのインクを記録用紙3に転写して文字や図形等の所望の画像を記録するようになっている。本実施形態においては、記録装置1として、複数色のインクを順次転写することにより、文字や図形等のカラー画像を記録する記録装置1を用いて説明する。このような記録装置1は、記録用紙3を記録装置1の外部に排出する排紙方向に搬送された記録用紙3が、再度、記録部6に記録用紙3を供給する給紙方向に搬送されるようになっている。
【0019】
搬送部5は、一対の搬送ローラ10、11として、回転可能に支持された駆動ローラ10と、駆動ローラ10に圧接するように回転自在に支持された圧接ローラ11とを有しており、本実施形態において、駆動ローラ10および圧接ローラ11は、図1、図2において上下方向(鉛直方向)に並列して配置されている。駆動ローラ10は、図示しない駆動装置によって正逆の両方向に回転駆動可能とされており、圧接ローラ11は、駆動ローラ10の回転駆動に従動して回転するようになっている。そして、搬送部5は、駆動ローラ10および圧接ローラ11によって記録用紙3を挟持し、駆動ローラ10の回転駆動によって記録用紙3を排紙方向および給紙方向に搬送するようになっている。
【0020】
搬送部5の排紙方向の下流側には、記録用紙3を排紙方向に搬送する排紙ローラ15を有する排紙部13が設けられており、排紙ローラ15は、図示しない駆動装置によって一方向に回転駆動可能とされている。また、排紙部13における排紙ローラ15の下方には、記録用紙3を収納する用紙トレイ25が配設されており、用紙トレイ25のトレイプレート26は、用紙トレイ25に収納された記録用紙3が排紙ローラ15に圧接する位置と圧接しない位置とに上下方向に移動可能に設けられている。そして、排紙機構2は、用紙トレイ25に収納された記録用紙3が排紙ローラ15に圧接しない位置にトレイプレート26を移動させた状態で、排紙ローラ15を回転駆動することにより、搬送部3によって排紙方向に搬送された記録用紙3をさらに排紙方向に搬送するようになっている。また、排紙機構2は、用紙トレイ25に収納された記録用紙3が排紙ローラ15に圧接する位置にトレイプレート26を移動させた状態で、排紙ローラ15を回転駆動することにより、この記録用紙3を給紙方向に搬送して搬送部5に供給するようになっている。このように、本実施形態において排紙ローラ15は、記録用紙3を排紙方向に搬送するとともに、用紙トレイ25に収納された記録用紙3を給紙方向に搬送して搬送部5に供給する給紙機能を備えている。
【0021】
また、搬送部5および排紙部13の間には、インクリボンが収納されたリボンカセット17が装着されるようになっており、本実施形態においては、リボンカセット17のうちインクリボンの巻取コア18が収納された部分が、搬送部5および排紙部13の間に装着されるようになっている。
【0022】
そして、搬送部5からリボンカセット17のケース19の一面を介して排紙部13にいたる部分が、記録用紙3の搬送経路21とされている。本実施形態において、搬送経路21は、図1に示すように、記録用紙3が搬送部5において駆動ローラ10および圧接ローラ11によって挟持されている状態では、搬送部5からリボンカセット17のケース19の一面までがほぼ水平であり、その後、リボンカセット17のケース19の一面から排紙部13に向かって徐々に上昇し、排紙ローラ15の上側を通ることとなる。また、搬送経路21は、図2に示すように、記録用紙3が駆動ローラ10および圧接ローラ11の挟持から外れた状態では、搬送部5側からリボンカセット17のケース19の一面を介し排紙部13に向かって徐々に上昇して、排紙ローラ15の上側を通ることとなる。さらに、搬送経路21は、用紙トレイ25に収納された記録用紙3が排紙ローラ15によって給紙方向に搬送される際には、排紙ローラ15の下側からリボンカセット17のケース19の一面を介して駆動ローラ10および圧接ローラ11の間に至ることとなる。
【0023】
搬送経路21を介してリボンカセット17のケース19の一面に対向する位置には、記録用紙3が駆動ローラ10および圧接ローラ11の挟持から外れたときに、記録用紙3を支持する記録用紙3を支持する用紙ガイド22が配設されている。また、用紙トレイ25に収納された記録用紙3が排紙ローラ15によって給紙方向に搬送されて搬送部5に供給される際には、記録用紙3は、排紙ローラ15の下側から用紙ガイド22とリボンカセット17のケース19との間を通って搬送部5に供給されるようになっており、用紙ガイド22は、記録用紙3を搬送部5に案内するようになっている。
【0024】
用紙ガイド22における搬送部5側の先端部分には、排紙部13によって排出される記録用紙3の排紙方向における後端部分を湾曲しない状態で支持する傾斜部23が設けられている。本実施形態においては、図2に示すように、記録用紙3が駆動ローラ10および圧接ローラ11の挟持を外れた状態において、搬送部5側からリボンカセット17のケース19の一面を介して排紙部13に向かって上昇する搬送経路21によって搬送される記録用紙3が湾曲しない状態となるように、傾斜部23は搬送部5に向かって下降する角度に形成されている。
【0025】
また、本実施形態においては、駆動ローラ10および圧接ローラ11のうちの駆動ローラ10が、搬送経路21に対して用紙ガイド22の配置位置と同じ側に配置されている。そして、傾斜部23における搬送部5側の先端縁の仮想延長線Lは、駆動ローラ10における用紙ガイド22に対向する外周面のうち、駆動ローラ10の鉛直方向における中間部よりも上側に当接するようになっている。なお、本実施形態においては、駆動ローラ10および圧接ローラ11が鉛直方向に並列配置されているが、本発明はこれに限定されるものではない。このように、駆動ローラ10および圧接ローラ11が正確に鉛直方向に並列配置されていない場合であっても、用紙ガイド22における傾斜部23の仮想延長線Lは、搬送経路21に対して用紙ガイド25の配置位置と同じ側に配置された一方の搬送ローラの鉛直方向の中間部よりも上側に当接するようになっていればよい。また、本実施形態においては、排紙ローラ15の回転駆動によって、用紙トレイ25に収納された記録用紙3を用紙ガイド22を介して搬送部5に供給するようになっているが、本発明はこれに限定されず、例えば、排紙ローラ15とは異なる搬送手段によって、用紙トレイ25に収納された記録用紙3を搬送部5に供給してもよく、また、記録用紙3を用紙ガイド22を介さないで搬送部5に供給するものであってもよい。
【0026】
排紙部13は、搬送経路21を介して排紙ローラ15に対向する側であって、搬送経路21上において排紙ローラ15の対向位置から排紙方向における下流側にずれた位置に配設された排紙ガイド20を有しており、この排紙ガイド20は、記録用紙3に接触して、排紙部13の排紙方向に配設された用紙トレイ25の上部に記録用紙3が載置されるように、記録用紙3を案内するようになっている。排紙ガイド20は、回転自在に支持されたローラによって構成されており、記録用紙3の搬送に従動して回転するとともに、搬送経路21に対して接離可能に設けられている。
【0027】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0028】
本実施形態に係る記録装置1の排紙機構2は、まず、用紙トレイ25に収納された記録用紙3が排紙ローラ15に圧接する位置に用紙トレイ25のトレイプレート26を移動させて、排紙ローラ15を所定の一方向(図1および図2においては反時計まわり方向)に回転駆動することにより、用紙トレイ25に収納された記録用紙3を給紙方向に搬送して用紙ガイド22を介して搬送部5に供給する。さらに、排紙機構2は、駆動ローラを所定の他方向(図1および図2においては時計回り方向)に回転駆動させる。このとき、記録用紙3の給紙方向における先端部は、傾斜部23の先端縁の仮想延長線Lが駆動ローラ10における用紙ガイド22に対向する外周面のうち駆動ローラ10の鉛直方向における中間部よりも上側に当接するように設けられた用紙ガイド22に案内されて、駆動ローラ10の鉛直方向における中間部よりも上側に接触し、他方向に回転する駆動ローラ10に案内されて、搬送部5における駆動ローラ10と圧接ローラ11との圧接位置に到達する。
【0029】
次に、排紙機構2は、排紙ローラ15によって給紙方向に搬送された記録用紙3が搬送部5における駆動ローラ10と圧接ローラ11との圧接位置に到達すると、駆動ローラ10および圧接ローラ11によって記録用紙3を挟持し、駆動ローラの所定の他方向の回転駆動によって、記録用紙3を給紙方向に搬送して記録部6に位置させる。そして、排紙機構2は、記録用紙3が記録部6における所定の位置に搬送されると、駆動ローラ10を所定の一方向(図1および図2においては反時計回り方向)に回転駆動させることにより、搬送部5によって記録用紙3を排紙方向に搬送する。また、排紙機構2は、用紙トレイ25に収納された記録用紙3が排紙ローラ15に圧接しない位置に用紙トレイ25のトレイプレート26を移動させて、排紙ローラ15を所定の一方向に回転駆動させることにより、排紙部3に搬送された記録用紙3を搬送部5とともにさらに排紙方向に搬送する。
【0030】
ここで、1色のインクの転写が終了した後、記録部6において他の1色のインクの転写を行う場合には、駆動ローラ10を前記他方向に回転駆動させることにより、記録用紙3が記録部6に位置するように、記録用紙3を給紙方向に搬送する。このとき、排紙機構2は、排紙ローラ15の前記一方向への回転駆動を停止して、記録用紙3の給紙方向への搬送に従動して回転することにより、記録用紙3の給紙方向への搬送をガイドする給紙ガイドとして機能する。そして、排紙機構2は、記録部6における記録動作が再度開始すると、前述のように、駆動ローラ10の所定の一方向の回転駆動によって、搬送部5によって記録用紙3を排紙方向に搬送する。これとともに、排紙機構2は、記録用紙3が排紙部13に到達すると、排紙ローラ15の所定の一方向への回転駆動によって搬送部5とともに排紙部13により記録用紙3を排紙方向に搬送しながら、排紙ガイド20によって記録用紙3を用紙トレイ25の上方に案内する。
【0031】
さらに、全ての色のインクの転写が終了し、搬送部5によって排紙方向に搬送された記録用紙3が、図2に示すように、駆動ローラ10および圧接ローラ11による挟持から外れると、記録用紙3の排紙方向における後端部分は、用紙ガイド22に支持されることとなる。このとき、記録用紙3は、湾曲しない状態で支持する用紙ガイド22の傾斜部23によって支持されるので、排紙機構2は、排紙ローラ15によって記録用紙3を排紙方向に搬送する際に、記録用紙3を極力平坦状に搬送することが可能となる。
【0032】
このように、本実施形態に係る記録装置1の排紙機構2によれば、記録用紙3が駆動ローラ10および圧接ローラ11の挟持から外れると、記録用紙3の後端部分が用紙ガイド22の傾斜部23によって湾曲しない状態で支持されることとなるので、記録用紙3を排紙ローラ15によって極力平坦な状態で搬送し、用紙トレイ25の上部に排出することができる。また、本実施形態に係る記録装置1の排紙機構2は、例えば従来の特許文献2に記載のプリンタのように、記録用紙3を極力平坦な状態で搬送するために、ピックアップローラを記録用紙3から離間して待避させるための支持部材等の他の部品を設けることなく、記録用紙3を平坦な状態で搬送することができる。
【0033】
したがって、本実施形態に係る記録装置1の排紙機構2は、構造を複雑化することなく小型化、薄型化を図ることができるとともに、用紙トレイ25の上部に排出される記録用紙3の湾曲状態を低減、防止することができる。
【0034】
また、排紙機構2は、搬送部5が、記録用紙3を排紙方向に搬送するとともに、給紙方向に搬送する機能を備えることにより、複数色のインクを順次転写してカラー画像の記録を行う記録装置1に用いることができる。このような記録装置1に用いられた排紙機構2は、記録用紙3の後端部分を傾斜部23によって支持することにより、記録用紙3が湾曲してしまうことを低減、防止して、排紙機能の向上を図ることができる。なお、本発明に係る記録装置1の排紙機構2は、搬送部5が、供給機能を有さず排紙機能のみを有し、排紙ローラ15が給紙ガイド機能を有さないものであっても、本実施形態と同様に、記録用紙3が湾曲状になってしまうことを低減、防止することができる。
【0035】
さらに、排紙部13における搬送経路21を介して排紙ローラ15に対向する側であって、搬送経路21上において排紙ローラ15の対向位置からずれた位置に排紙ガイドを設けることにより、記録用紙3は排紙ローラ15および排紙ガイド20に強い力で挟持されることがないので、排紙機構2は、記録用紙3に負荷をかけることなく記録用紙3を案内することができる。これにより、排紙機構2は、記録用紙3上の画像の記録の品質を低下させることなく、記録用紙3を案内することができる。また、排紙ガイド20を記録用紙3の搬送に従動して回転するローラによって構成することにより、搬送される記録用紙3に負荷をかけることなく記録用紙3を用紙トレイ25の上方に案内することができる。さらに、排紙機構2は、排紙ガイド20を搬送経路21に対して接離可能に設けることにより、排紙ガイド20が記録用紙3に接触することによって、記録用紙3上の画像にすじ等の不具合が発生してしまうおそれがある場合には、排紙方向を搬送経路21に対して離間する方向に移動してガイドすることができ、これにより、記録用紙3への負荷を低減することができる。
【0036】
なお、本実施形態において排紙ガイド20はローラによって構成されているが、本発明に係る記録装置1の排紙機構2において、排紙ガイド20の構成は本実施形態に限定されるものではない。例えば、排紙ガイドとして、回動軸によって回動可能に軸支された支持部と、支持部の端部に連設され記録用紙3に接触する曲面部とを有し、支持部および曲面部が、回動軸を中心として記録用紙3の排紙方向および給紙方向に回動自在となる構成であってもよい。これにより、排紙ガイドは、搬送される記録用紙3に負荷をかけることなく記録用紙3を用紙トレイ25の上方に案内することができる。
【0037】
また、本実施形態においては、排紙ローラ15が、記録用紙3を排紙方向に搬送するとともに、用紙トレイ25に収納された記録用紙3を、給紙方向に搬送して用紙ガイド22を介して搬送部5に供給する給紙機能を備え、傾斜部23における搬送部5側の先端縁の仮想延長線Lを、駆動ローラ10の用紙ガイド22に対向する外周面のうち駆動ローラ10の鉛直方向の中間部よりも上側に当接させるようになっている。これにより、排紙機構2は、排紙ローラ15によって記録用紙3を用紙ガイド22を介して搬送部5に供給する際に、記録用紙3の給紙方向における先端部分が下方向に湾曲してしまっているような場合等に、この記録用紙3の先端部分が駆動ローラ10の回転によって、駆動ローラ10の下側に巻き込まれてしまうことを防止することができ、排紙機能2の向上を図ることができる。また、排紙ローラ15が、用紙トレイ25に収納された記録用紙3を搬送部5に供給する給紙機能を兼ね備えることにより、部品点数の低減を図ることができ、記録装置の小型化を図ることができる。
【0038】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 記録装置
2 排紙機構
3 記録用紙
5 搬送部
6 記録部
7 プラテン
8 記録ヘッド
10 搬送ローラ
11 圧接ローラ
13 排紙部
15 排紙ローラ
17 リボンカセット
18 巻取コア
19 ケース
20 排紙ガイド
21 搬送経路
22 用紙ガイド
23 傾斜部
25 用紙トレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のローラを備え、前記両ローラによって記録用紙を挟持して回転することにより前記記録用紙を搬送する搬送部と、
回転により、前記記録用紙を排紙方向に搬送する排紙ローラを備えた排紙部と、
前記搬送部および前記排紙部の間に装着され、インクリボンが収納されたリボンカセットと、
前記搬送部から前記リボンカセットにおけるケースの一面を介して前記排紙部にいたる前記記録用紙の搬送経路と、
前記搬送経路を介して前記ケースの一面に対向して配置され、前記記録用紙が前記両ローラの挟持から外れたときに、前記記録用紙の端部を支持する用紙ガイドとを有し、
前記用紙ガイドの前記搬送部側の先端部分に、前記排紙部によって搬送される前記記録用紙を湾曲しない状態で支持する傾斜部を設けたことを特徴とする記録装置の排紙機構。
【請求項2】
前記排紙部における前記搬送経路を介して前記排紙ローラに対向する側であって、前記搬送経路上において前記排紙ローラの対向位置からずれた位置に、前記記録用紙を案内する排紙ガイドを設け、
前記傾斜部を、前記排紙ローラおよび前記排紙ガイドによって案内された前記記録用紙を湾曲しない状態で支持する形状に形成することを特徴とする請求項1に記載の記録装置の排紙機構。
【請求項3】
前記搬送部は、前記記録用紙を前記排紙方向に搬送するとともに、前記排紙方向と逆方向の給紙方向に前記記録用紙を搬送する機能を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の記録装置の排紙機構。
【請求項4】
前記排紙ローラは、前記記録用紙を前記排紙方向に搬送するとともに、用紙トレイに収納された前記記録用紙を、前記給紙方向に搬送し、前記用紙ガイドを介して前記搬送部に供給する給紙機能を備えており、
前記傾斜部における前記搬送部側の先端縁の仮想延長線が、前記両搬送ローラのうち、前記搬送経路に対して前記用紙ガイドの配置位置と同じ側に配置された一方の搬送ローラの前記用紙ガイドに対向する外周面のうち、前記一方の搬送ローラの鉛直方向における中間部よりも上側に当接することを特徴とする請求項3に記載の記録装置の排紙機構。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−201070(P2012−201070A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69665(P2011−69665)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】