説明

記録装置及びその判定方法

【課題】
記録素子基板の状態判定の信頼性を向上させるようにした技術を提供する。
【解決手段】
記録装置は、熱エネルギーを利用してインクを吐出する記録素子を備えた複数の記録素子基板と、前記記録素子基板のそれぞれに設けられ、前記記録素子基板の温度を測定する複数の温度センサと、複数の前記温度センサのいずれか1つを選択する選択手段と、前記選択手段により選択された前記温度センサが設けられた前記記録素子基板の記録素子のみを駆動するように制御する制御手段と、前記選択手段により選択された前記温度センサで測定された測定温度に基づき、前記記録素子基板の異常の有無を判定する判定手段とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置及びその判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、温度センサやヒータ(記録素子)を有する基板(記録素子基板)が複数設けられた記録ヘッドを備えた記録装置が知られている。このような記録ヘッドを備えた記録装置においては、複数の基板それぞれに設けられた温度センサを用いて各基板の温度を選択的に検知し、複数の基板のそれぞれに備わるヒータを選択的に動作させて温度制御を行なう技術が知られている(特許文献1)。
【0003】
また、ヒータの駆動前後の温度変化に基づいて温度センサ及びヒータの双方が正常に動作しているか否かを判定し、少なくとも一方に異常があれば、記録処理を制限する技術が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−16230号公報
【特許文献2】特開平3−176155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、複数の基板それぞれに設けられた温度センサからの検出信号を選択的に取得する手法は知られている。しかし、基板(例えば、温度センサ、ヒータ及び駆動回路、選択回路等)の異常を判定する際に、例えば、複数の基板それぞれに設けられた温度センサの検出信号を選択する選択回路等に異常があった場合、見掛け上、正常であると誤った判定をしてしまう場合があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、記録素子基板の状態判定の信頼性を向上させるようにした技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一態様による記録装置は、熱エネルギーを利用してインクを吐出する記録素子を備えた複数の記録素子基板と、前記記録素子基板のそれぞれに設けられ、前記記録素子基板の温度を測定する複数の温度センサと、複数の前記温度センサのいずれか1つを選択する選択手段と、前記選択手段により選択された前記温度センサが設けられた前記記録素子基板の記録素子のみを駆動するように制御する制御手段と、前記選択手段により選択された前記温度センサで測定された測定温度に基づき、前記記録素子基板の異常の有無を判定する判定手段とを具備する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、記録素子基板の状態判定の信頼性を向上させられる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施の形態に係わる記録装置の構成の一例を示す図。
【図2】図1に示す記録ヘッド2の構成の一例を示す図。
【図3】図1に示す記録ヘッド2の構成の一例を示す図。
【図4】図1に示す記録ヘッド2の構成の一例を示す図。
【図5】図1に示す記録ヘッド2の構成の一例を示す図。
【図6】図1に示す記録ヘッド2の構成の一例を示す図。
【図7】図1に示す記録ヘッド2の構成の一例を示す図。
【図8】図1に示す記録ヘッド2の構成の一例を示す図。
【図9】記録装置本体側(制御部9)における機能的な構成の一例を示す図。
【図10】異常判定処理のタイミングチャートの一例を示す図(従来)。
【図11】異常判定処理のタイミングチャートの一例を示す図(従来)。
【図12】実施形態1に係わる異常判定処理のタイミングチャートの一例を示す図。
【図13】実施形態1に係わる記録装置1の処理の流れの一例を示すフローチャート。
【図14】異常判定処理のタイミングチャートの一例を示す図(従来)。
【図15】実施形態2に係わる記録装置1の処理の流れの一例を示すフローチャート。
【図16】実施形態2に係わる異常判定処理のタイミングチャートの一例を示す図。
【図17】実施形態3の概要を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。以下の説明においては、インクジェット記録方式を用いた記録装置を例に挙げて説明する。記録装置は、例えば、記録機能のみを有するシングルファンクションプリンタであってもよいし、また、例えば、記録機能、FAX機能、スキャナ機能等の複数の機能を有するマルチファンクションプリンタであってもよい。また、例えば、カラーフィルタ、電子デバイス、光学デバイス、微小構造物等を所定の記録方式で製造するための製造装置であってもよい。
【0011】
なお、以下の説明において、「記録」とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わない。更に人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かも問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン、構造物等を形成する、又は媒体の加工を行なう場合も表す。
【0012】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、樹脂、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表す。
【0013】
更に、「インク」とは、上記「記録」の定義と同様広く解釈されるべきものである。従って、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成又は記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば、記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表す。
【0014】
(実施形態1)
図1は、本発明の一実施の形態に係わるインクジェット記録装置(以下、記録装置と呼ぶ)1の構成の一例を示す図である。
【0015】
記録装置1には、記録媒体の幅に相当する記録幅を持つ、いわゆる、フルラインタイプの記録ヘッド2が設けられる。記録ヘッド2は、各色(2Y,2M,2C,2Bk)に対応して複数設けられる。具体的には、イエローインクを吐出する記録ヘッド2Yと、マゼンタインクを吐出する記録ヘッド2Mと、シアンインクを吐出する記録ヘッド2Cと、ブラックインクを吐出する記録ヘッド2Bkとが設けられる。これら記録ヘッド各々は、図2に示すように、記録媒体Pの搬送方向(走査方向:X方向)と直交する方向(ノズル配列方向:Y方向)に延在して設けられる。
【0016】
各記録ヘッド2は、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインクをそれぞれ貯留する4つのインクタンク3Y、3M、3C、3Bk(以下、これらをまとめてインクタンク3と呼ぶ)に対して接続配管4を介して接続される。各インクタンク3は、それぞれ独立して着脱できる。
【0017】
記録ヘッド2は、搬送用ベルト5を挟んでプラテン6と対向する位置に設けられる。記録ヘッド2は、ヘッド移動部10によりプラテン6との対向方向に昇降させられる。なお、ヘッド移動部10は、制御部9によりその作動が制御される。
【0018】
また、記録ヘッド2には、インクを吐出するインク吐出口と、インクタンク3のインクが供給される共通液室と、この共通液室から各インク吐出口へとインクを導くインク流路(ノズル)とが設けられる。各ノズルには、例えば、発熱抵抗素子から構成される記録素子(以下、ヒータ呼ぶ場合もある)やヒータ駆動回路等が設けられる。
【0019】
すなわち、本実施形態に係わる記録ヘッド2は、熱エネルギーを利用してインクを吐出するインクジェット方式が採用されており、熱エネルギーを発生するために発熱抵抗素子が設けられる。これにより、発熱抵抗素子の熱エネルギーによりインクに膜沸騰を生じさせ、吐出口よりインクを吐出する。発熱抵抗素子は、各吐出口のそれぞれに対応して設けられ、記録信号に応じて対応する発熱抵抗素子に電圧のパルスを印加することによって対応する吐出口からインクが吐出される。
【0020】
ここで、ヒータは、ヘッドドライバ2aを介して制御部9に電気的に接続されており、制御部9から送られてくるオン/オフ信号(吐出/不吐出信号)に応じてヒータの駆動、停止が制御される。
【0021】
制御部9は、記録装置1における各種処理を統括制御する。制御部9は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROMやRAM等のメモリ等、ASIC(ApplicationSpecific Integrated Circuit)等で構成される。
【0022】
記録ヘッド2の側方には、記録ヘッド2の回復処理を行なうため、記録ヘッド2の配列間隔に対して半ピッチずらした状態でキャップ7が配置される。キャップ移動部8は、制御部9によってその作動が制御され、記録ヘッド2の直下にキャップ7を移動させ、インク吐出口から排出される廃インクをキャップ7に受けさせる。
【0023】
搬送用ベルト5は、記録媒体Pを搬送する役割を果たし、ベルト駆動モータ11に連結された駆動ローラに掛け渡される。搬送用ベルト5は、モータドライバ12によってその作動が切り替えられる。
【0024】
搬送用ベルト5の上流側には、帯電器13が設けられる。帯電器13は、搬送用ベルト5を帯電することにより、記録媒体Pを搬送用ベルト5に密着させる。帯電器13は、帯電器ドライバ13aによってその通電のオン/オフが切り換えられる。一対の給送ローラ14は、搬送用ベルト5上に記録媒体Pを供給する。給送用モータ15は、これら一対の給送ローラ14を駆動回転させる。給送用モータ15は、モータドライバ16によってその作動が制御される。
【0025】
以上が記録装置1の構成の一例についての説明である。なお、図1に示す記録装置1の構成は、あくまで一例であり、必ずしもこのような構成に限られない。例えば、図1の構成では、記録ヘッド2に対して記録媒体Pが搬送される構成であったが、記録ヘッド2と記録媒体Pとが相対的に移動する構成であれば良く、その構成は特に問わない。例えば、記録ヘッド2が記録媒体Pに対して移動する構成であっても良い。
【0026】
図2〜図8を用いて、図1に示す記録ヘッド2の構成の詳細について説明する。
【0027】
記録ヘッド2には、複数の記録素子基板H1100が千鳥状に配置されており、同一色による幅広の記録が可能に構成されている。本実施形態に係わる記録ヘッド2には、ノズル群の長さが1インチ+αの4つの記録素子基板H1100a、H1100b、H1100c、H1100dが千鳥状に配置されており、4インチ幅を記録可能に構成されている。ここでは、記録素子基板H1100の個数を4つとしたが、その数を増やすことで記録幅に合わせた記録ヘッドをスケーラブルに展開できる。
【0028】
各記録素子基板H1100の吐出口群の端部には、Y方向に沿って重複する領域(L)が設けられており、各記録素子基板H1100による記録に隙間が生じることを防止している。例えば、ノズル群H1106a及びノズル群H1106bの間には、重複領域H1109a及びH1109bが設けられている。
【0029】
ここで、記録ヘッド2は、図3に示すように、記録素子ユニットH1001と、インク供給部材H1500とに大きく分けられる。なお、記録素子ユニットH1001には、上述した記録素子基板H1100が複数設けられている。
【0030】
インク供給部材H1500は、例えば、樹脂成形により形成され、共通液室H1501と、Z方向基準H1502とを具備している。Z方向基準H1502は、記録素子ユニットH1001を位置決め固定するとともに、記録ヘッド2のZ方向への基準となる。
【0031】
ここで、記録素子ユニットH1001とインク供給部材H1500との結合の仕方について説明する。まず、インク供給部材H1500の開口と記録素子ユニットH1001を封止剤により封止し、共通液室H1501を2室に分離し密閉する。そして、例えば、ビスH1900等を用いて、インク供給部材H1500のZ方向基準H1502に記録素子ユニットH1001のZ方向基準(不図示)を位置決め固定する。なお、上述した封止剤は、耐インク性を有するとともに常温で硬化し、且つ異種材料間の線膨張差に耐えられる柔軟性を持つことが望ましい。
【0032】
次に、図4を用いて、記録素子ユニットH1001について更に説明する。記録素子ユニットH1001は、記録素子基板H1100と、第1のプレートH1200と、電気配線基板H1300と、第2のプレートH1400と、フィルター部材H1600とを具備して構成される。
【0033】
電気配線基板H1300は、インクを吐出するための電気信号を記録素子基板H1100に印加する。電気配線基板H1300には、記録素子基板H1100を組み込むための開口が形成されている。電気配線基板H1300の裏面には、第2のプレートH1400が接着固定される。
【0034】
電気配線基板H1300には、記録素子基板H1100の電極(図5(a)に示すH1103)に対応する電極端子H1302と、記録装置本体から電気信号を受け取るための外部信号入力端子H1301とが設けられる。なお、記録素子ユニットH1001における外部信号入力端子H1301に対応するエリアは、例えば、図3に示すインク供給部材H1500の裏面に位置決め固定される。
【0035】
電気配線基板H1300は、記録素子基板H1100に電気的に接続されている。より具体的には、記録素子基板H1100の電極(図5(a)に示すH1103)と、電気配線基板H1300の電極端子H1302とがワイヤーボンディング技術により電気的に接続される。電気配線基板H1300の素材には、例えば、配線が二層構造のフレキシブル配線基板が使用され、その表層はポリイミドフィルムで覆われている。
【0036】
第1のプレートH1200は、例えば、厚さ0.5〜10mmのアルミナで形成される。なお、第1のプレートH1200の素材は、アルミナに限られない。第1のプレートH1200は、例えば、記録素子基板H1100の材料の線膨張率と同等の線膨張率を有し、且つ記録素子基板H1100材料の熱伝導率と同等若しくはそれを越える熱伝導率を有する材料で作られても良い。より具体的には、第1のプレートH1200の素材は、例えば、シリコン(Si)、窒化アルミニウム(AlN)、ジルコニア、窒化珪素(Si3N4)、炭化珪素(SiC)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)のうちいずれであっても良い。
【0037】
第1のプレートH1200には、記録素子基板H1100にインクを供給するためのインク供給口H1201が形成されている。記録素子基板H1100のインク供給口(図5(b)に示すH1101)が第1のプレートH1200のインク供給口H1201に対応する。また、記録素子基板H1100は、第1のプレートH1200に対して位置精度良く接着固定される。その接着剤は、例えば、粘度が低く、接触面に形成される接着層が薄く、且つ、硬化後、比較的高い硬度を有し、耐インク性のあるものが望ましい。例えば、エポキシ樹脂を主成分とした熱硬化接着剤、若しくは紫外線硬化併用型の熱硬化接着剤が挙げられる。なお、接着層の厚みは50μm以下が望ましい。
【0038】
第1のプレートH1200のインク供給口H1201には、インク中に混入された異物を取り除くため、フィルター部材H1600が接着固定される。また、第1のプレートH1200には、位置決め基準となるX方向基準H1204、Y方向基準H1205、Z方向基準H1206も設けられる。
【0039】
第2のプレートH1400は、例えば、厚さ0.5〜1mmのSUS板で形成される。なお、第2のプレートH1400の素材は、SUSに限られない。第2のプレートH1400は、例えば、耐インク性を有し、良好な平面性を有する材料で作られても良い。第2のプレートH1400は、第1のプレートH1200に接着固定された記録素子基板H1100を取り込む開口を有し、第1のプレートH1200に接着固定される。
【0040】
第2のプレートH1400の開口と、記録素子基板H1100の側面によって形成される溝との間には、封止剤が充填され、電気配線基板H1300の電気実装部が封止される。また、記録素子基板H1100の電極(図5(a)に示すH1103)も、封止剤で封止されており、電気接続部分がインクによる腐食や外的衝撃から保護される。
【0041】
次に、図5(a)及び図5(b)を用いて、記録素子基板H1100の構成の一例について説明する。図5(a)は、記録素子基板H1100の外観構成の一例を示し、図5(b)は、図5(a)に示すA−Aの断面の一例を示す。
【0042】
記録素子基板H1100には、例えば、厚さ0.5〜1mmのSi基板H1108で薄膜が形成されている。また、インク流路として長溝状の貫通口からなるインク供給口H1101が形成され、インク供給口H1101の両側に発熱抵抗素子H1102がそれぞれ1列ずつ千鳥状に配列されている。発熱抵抗素子H1102及びAl等の電気配線が成膜技術により形成されている。また、電気配線に電力を供給するため、電極H1103が設けられている。
【0043】
インク供給口H1101は、Si基板H1108の結晶方位を利用して、異方性エッチングを行う。ウエハー面に<100>、厚さ方向に<111>の結晶方位を持つ場合、アルカリ系(KOH、TMAH、ヒトラジン等)の異方性エッチングにより、約54.7度の角度でエッチングが進行する。この方法を用いて、所望の深さにエッチングされる。
【0044】
Si基板H1108上には、ノズルプレートH1110が設けられ、発熱抵抗素子H1102に対応して、インク流路H1104と、ノズルH1105と、発泡室H1107とがフォトリソ技術により形成されている。
【0045】
ノズルH1105は、発熱抵抗素子H1102に対向するように設けられており、インク供給口H1101から供給されたインクを発熱抵抗素子H1102により気泡を発生させてインクを吐出させる。
【0046】
ここで、図6は、記録素子基板H1100と温度センサとの位置関係の一例を示す図である。各記録素子基板H1100には、図6に示すように、当該基板の中央部に1つの温度センサH1120が設けられている。
【0047】
図7は、記録ヘッド2における機能的な構成の一例を示す図である。
【0048】
記録素子基板H1100(H1100a〜H1100d)には、記録素子(発熱抵抗素子)が複数配列されるとともに、その他の各種機能を提供する素子も設けられる。
【0049】
記録素子基板H1100に備わる温度センサH1120(不図示)の出力は、配線25(25a〜25d)によって引き出され、(アナログ)マルチプレクサ23に入力される。マルチプレクサ23は、いずれかの温度センサH1120の出力を選択する。当該選択された温度センサH1120の出力は、記録ヘッド2と外部とを電気的に接続するために設けられた出力用端子20を介して外部に取り出される。
【0050】
カウンタ22のデコード信号を利用することにより、各記録素子基板H1100の温度センサH1120の出力は、外部に取り出される。これにより、記録装置1においては、各記録素子基板H1100の温度に応じて、記録ヘッド2を温度制御することが可能となる。
【0051】
図8は、図7に示す温度センサH1120とマルチプレクサ23との間の接続の一例を示す図である。この場合、温度センサH1120(H1120a〜H1120d)としては、ダイオードが用いられており、その順方向の電圧効果が温度特性を持つことを利用して温度検出が行なわれる。
【0052】
各温度センサH1120は、記録素子基板H1100にそれぞれ対応してその内部に設けられている。それら温度センサ(ダイオード)H1120のカソード電極をコモン電極33とし、それらアノード電極がマルチプレクサ23に接続される。
【0053】
マルチプレクサ23は、選択信号21を用いて、それらアノード電極を選択的に外部取り出し電極32を介して記録装置本体と接続する。なお、選択信号21は、記録装置本体側から入力される。記録装置本体は、マルチプレクサ23によって選択されたダイオードの順方向の電圧降下を読み取ることにより温度を検知する。
【0054】
次に、図9を用いて、記録装置本体側(図1に示す制御部9)における機能的な構成の一例について説明する。ここでは、記録素子基板(例えば、温度センサ、ヒータ及び駆動回路、マルチプレクサ等)の異常の判定に係わる構成について例を挙げて説明する。
【0055】
制御部9には、検出信号取得部41と、加熱制御部45と、異常判定部46と、タイマー部47とが設けられる。なお、これら機能的な構成は、例えば、CPUがROM(ReadOnly Memory)等に設けられるプログラムをRAM(Random Access Memory)をワーク領域にして実行することにより実現される。なお、その一部又は全てが専用のハードウェア構成として実現されても良い。
【0056】
検出信号取得部41は、各記録素子基板H1100に設けられた温度センサH1120から検出信号(検出温度(測定温度))を取得する。検出信号取得部41には、第1の検出信号取得部42と、第2の検出信号取得部43と、第3の検出信号取得部44とが設けられる。
【0057】
第1の検出信号取得部42は、記録素子基板H1100の異常を判定する異常判定処理に際して、複数の記録素子基板H1100に対して加熱が行なわれる前に各温度センサH1120から検出信号をそれぞれ取得する。
【0058】
第2の検出信号取得部43は、加熱中の記録素子基板H1100における温度センサH1120からの検出信号を取得する。なお、第3の検出信号取得部44は、実施形態1においては、特に機能せず、関係のない構成であるため、実施形態2で説明する。
【0059】
加熱制御部45は、記録素子基板H1100の加熱を制御する。より具体的には、発熱抵抗素子を発熱させることにより複数の記録素子基板H1100を(1つずつ)順番に加熱させる。なお、異常判定処理に際して、加熱制御部45は、インクが吐出されない程度に発熱抵抗素子を発熱させる(吐出前の準備)。
【0060】
異常判定部46は、検出信号取得部41により取得された検出信号に基づいて、記録素子基板H1100の異常の有無を判定する。
【0061】
タイマー部47は、所定の時間を計時する。以上が、制御部9上に実現される機能的な構成についての説明である。
【0062】
図10は、記録素子基板H1100異常判定を行なう際のタイミングチャートの一例を示す図である。なお、図10(図11、図12、図14、図16)に示す「選択された温度センサ」においては、温度センサを示す符号(H1120a〜H1120d)のアルファベット(a〜d)を用いて選択中の温度センサが示されている。
【0063】
記録素子基板H1100aにおいては、ヒータ加熱前、すなわちヒータに電圧のパルスを印加する前の温度がTt0(時刻t0)、ヒータ加熱後、すなわちヒータに電圧のパルスを印加開始した後の温度がTt1及びTt2となる。ヒータ加熱前後、すなわち電圧パルスを印加する前後の温度差(Tt1−Tt0、Tt2−Tt0)が予め定められた第1の閾値を越えていれば、記録素子基板H1100aが正常に動作していると判定できる。
【0064】
異常判定処理は、各記録素子基板H1100において実施される。具体的には、異常判定処理は、時刻t4〜t7においては記録素子基板H1100bで実施され、時刻t8〜t11においては記録素子基板H1100cで実施され、時刻t12〜t15においては記録素子基板H1100dで実施される。
【0065】
図11に、各記録素子基板の温度センサを順次選択するための選択回路(マルチプレクサ23)や、電気配線基板H1300に設けられた配線や、記録素子基板H1100の電極H1103と電気配線基板H1300の電極端子H1302とのボンディング等に不具合が生じて温度センサの出力を正常に検出できない場合を示す。
【0066】
図11には、いずれの温度検出タイミングにおいても、記録素子基板H1100aの温度センサH1120aが何らかの不具合で常に選択されるようになっている場合を示している。このような状況では、記録素子基板H1100bにおける温度センサH1120bに何らかの不具合が生じていたとしても、異常はないと判定されてしまう。つまり、記録素子基板の状態を誤判定してしまう。
【0067】
図10を用いて説明した通り、記録素子基板H1100bにおける温度センサH1120bは、本来、時刻t4から検出信号(検出温度)を出力する予定であるが、図11においては、時刻t4において記録素子基板H1100aの検出信号が出力されている。
【0068】
また、時刻t4以降は、各記録素子基板H1100の異常判定を順次行なうはずであるが、記録素子基板H1100aの検出信号が出力され続けている。そのため、いずれの記録素子基板H1100においても、検出信号の出力差が第1の閾値を越えていると判定され、見かけ上、正常であると誤った判定をされてしまう。
【0069】
ここで、図12を用いて、このような事態に対処する本実施形態における手法について説明する。
【0070】
本実施形態では、図12に示すように、異常判定における各タイミングにおいて、複数の記録素子基板H1100全てを加熱せず、いずれか1つのみを選択的に加熱する。すなわち、異常判定の対象となる記録素子基板の記録素子のみを駆動させ、それ以外の記録素子基板の記録素子は同時に駆動させない。
【0071】
次に、図13を用いて、図1に示す記録装置1における処理の流れの一例について説明する。ここでは、温度センサH1120やマルチプレクサ23、ヒータ等における異常を判定する際の処理の流れの一例について説明する。
【0072】
この処理が開始すると、記録装置1は、まず、第1の検出信号取得部42において、異常判定の対象となる記録素子基板全ての温度センサの出力(Tini_n、Tini_n+1、・・・)を取得する(S101)。このタイミングでは、いずれの記録素子基板においても、ヒータの加熱制御が行なわれていないので、正常な状態であれば、ほぼ同じ温度が取得される。
【0073】
続いて、記録装置1は、加熱制御部45において、記録素子基板N(Nの初期値は1)の加熱をオンするとともに(S102)、タイマー部47において、タイマーの計時を開始する(S103)。記録装置1は、第2の検出信号取得部43において、記録素子基板Nの検出温度Ton_nを取得し(S104)、異常判定部46において、加熱前の温度との温度差Ton_n−Tini_nが第1の閾値Tjを越えているか否かを判定する。
【0074】
判定の結果、第1の閾値Tjを越えていない、すなわち、所定の温度差以下であれば(S105でNO)、記録装置1は、加熱時間が加熱制限となる時間(加熱制限時間)P秒を越えるまで(S106でNO)、S104〜S106の処理を繰り返し実施する。加熱時間がP秒を越えれば(S106でYES)、加熱オンしているにも関わらず温度が上がっていないため異常であると判定し、記録装置1は、エラー処理を行なった後(S107)、この処理を終了する。
【0075】
また、S105の判定の結果、第1の閾値Tjを越えていれば(S105でYES)、記録装置1は、記録素子基板Nが正常であると判定し、加熱オフ及びタイマーリセットを実施する(S108)。
【0076】
ここで、記録装置1は、全ての記録素子基板の異常判定が終了したか否かを判定し、終了していれば(S109でYES)、この処理を終了する。終了していなければ(S109でNO)、記録装置1は、次の記録素子基板(N=N+1)を選択する(S110)。なお、ここでは、Nを「1」インクリメントし、支持プレートに配置された順番で異常判定処理を行なう場合について説明したが、予め定められたテーブル等で記録素子基板の個数、順番を指定することも可能である。
【0077】
以上説明したように本実施形態によれば、判定の対象となる記録素子基板の記録素子のみを駆動させ、それ以外の記録素子基板の記録素子は同時に駆動させない。
【0078】
これにより、例えば、選択回路(マルチプレクサ)や、電気配線基板H1300に設けられた配線や、記録素子基板H1100の電極H1103と電気配線基板H1300の電極端子H1302とのボンディング等に不具合がある場合であっても、異常はないと誤判定してしまうことを防止できる。つまり、記録素子基板の異常判定結果の信頼性を向上させることができる。
【0079】
(実施形態2)
次に、実施形態2について説明する。実施形態2においては、記録ヘッド2の熱伝導特性が実施形態1と異なる場合について説明する。なお、記録ヘッドの熱伝導特性は、例えば、各記録素子基板の支持プレートの材質、形状によって変わってくる。
【0080】
図14は、記録素子基板H1100異常判定を行なう際のタイミングチャートの一例を示す図である。なお、ここでは、記録素子基板H1100a及びH1100bのみ例に挙げて説明し、記録素子基板H1100c及びH1100dについての説明は省略する。
【0081】
図14を参照すると、実施形態1を説明した記録ヘッドに比べて、ヒータ加熱の開始時刻、終了時刻が同じであったとしても、加熱開始前の温度に戻るまでに長い時間を要することが分かる。
【0082】
記録素子基板H1100bにおいては、記録素子基板H1100aが加熱された影響により、その検出温度が高くなっている。記録素子基板H1100bの異常判定処理においては、ヒータ加熱前、すなわちヒータに電圧のパルスを印加する前の温度(時刻t4)も、既に高い状態となる。そのため、ヒータ加熱後、すなわちヒータに電圧のパルスの印加を開始した後との温度差(Tt5−Tt4、Tt6−Tt4)は、記録素子基板H1100aの異常処理時の温度差(Tt1−Tt0、Tt2−Tt0)よりも小さくなる。従って、第1の閾値を越えていないと判定される可能性があり、正常な状態にも関わらず、見掛け上は異常と判定されてしまう不具合が生じる場合がある。
【0083】
ここで、図15を用いて、実施形態2に係わる記録装置1における処理の流れの一例について説明する。ここでは、温度センサH1120やマルチプレクサ23、ヒータ等における異常を判定する際の処理の流れの一例について説明する。なお、S201〜S210の処理は、実施形態1を説明した図13におけるS101〜S110の処理と同様であるため、ここでは、S211以降の処理について説明する。
【0084】
記録装置1は、S210の処理で次の記録素子基板を選択すると、タイマー部47において、タイマー計時を開始する(S211)。そして、第3の検出信号取得部44において、記録素子基板Nの温度センサから当該基板Nの現在の温度Toff_nを取得する(S212)。
【0085】
ここで、記録装置1は、加熱制御部45において、S201で取得済みの加熱制御前の検出温度Tini_nとの温度差Toff_n−Tini_nが第2の閾値Tkを越えているか否かを判定する。第2の閾値Tkを越えていなければ(S213でNO)、ほぼ熱伝導の影響がないと判定できるので、タイマーをリセットした後(S215)、S202の処理に進み。すなわち、記録素子基板Nを加熱し、上記同様の処理を実施する。
【0086】
一方、S213の判定の結果、温度差Toff_n−Tini_nが第2の閾値Tkを越えていれば(S213でYES)、記録装置1は、時間Q秒を越えるまで(S214でNO)、S212〜S213の処理を繰り返し実施する。時間Q秒を越えれば(S214でYES)、記録装置1は、エラー処理を行なった後(S207)、この処理を終了する。
【0087】
ここで、図16を用いて、図15で説明した処理のタイミングチャートについて説明する。
【0088】
記録素子基板H1100bは、記録素子基板H1100aを加熱制御した際の熱伝導影響を受けるが、記録素子基板H1100bに電圧のパルスを印加して加熱を開始する前に、予め測定された値との温度差が第2の閾値以下となるように放熱するための十分な時間を設けている。そのため、異常判定処理時には、当該熱伝導の影響を排除できる。
【0089】
また、実施形態2に係わる記録ヘッド2における熱伝導特性を考慮すれば、ある記録素子基板を過熱した後、Y方向(ノズル配列方向)に沿って隣接しない記録素子基板を次に加熱する記録素子基板として選択しても良い。図6を参照して具体的に説明すると、例えば、H1106a、H1106c、H1106b、H1106dの順番で加熱する基板を選択しても良い。この場合、記録素子基板同士の距離が離散的になるように基板の加熱が行なわれるため、異常判定処理に要する時間を短縮することができる。
【0090】
以上説明したように実施形態2によれば、第1の記録素子基板に対して異常の有無の判定を行なった後に、第2の記録素子基板に対して異常の有無の判定を行なうときにも、記録素子基板の状態判定を正確に行なえる。すなわち、実施形態2によれば、どのような熱伝導特性を有する記録ヘッドであっても、実施形態1同様の効果が得られる。
【0091】
(実施形態3)
次に、実施形態3について説明する。実施形態2のように熱伝導の影響を受ける記録ヘッドの構成では、できるだけ熱伝導の影響を受けないように電圧のパルスを印加して加熱を開始する加熱制御の開始前に十分なウェイト時間を確保していた。そのため、実施形態1に係わる記録ヘッドと比べると異常判定処理に時間を要することになる。そこで、実施形態3においては、このウェイト時間を短縮する方法について説明する。
【0092】
図17(a)は、実施形態3に係わる記録ヘッド2の部分的断面を模式的に示した図である。
【0093】
記録素子基板H1100は、記録素子の配列方向に沿って4個配置されている。また、記録素子基板各々に対応してフィルター部材H1600が設けられている。記録素子基板H1100とフィルター部材H1600との間には、インク流路が形成される。各記録素子基板H1100にインクを供給する共通液室H1501は、複数に分離されており、各液室の両端部には、インク流出口が設けられる。
【0094】
ここで、図17(b)に示すように、各液室を連結するインク流路にインクを循環すると、各記録素子基板H1100で発生した熱がインクに伝熱する。そのため、インクが循環する上流側の記録素子基板の熱は、下流側の記録素子基板にインクを介して伝わりやすい状態にある。つまり、1循環路に属する記録素子を均一な記録デューティーで駆動させた場合、入口側(インクの上流側)よりも出口側(インクの下流側)の方に向かって温度勾配が生じることになる。
【0095】
このように熱伝導に方向性を持つ記録ヘッド2においては、上述した異常判定処理をインク循環方向の下流側の記録素子基板から順次実施する。これにより、インクを介した熱伝導の影響を低減できる。
【0096】
また、実施形態3に係わる記録ヘッド2の記録素子基板H1100は、図17(c)に示すように、複数の温度センサ(p,q,r)も備えられており、それらも基板間の温度センサ同様に選択回路(不図示)により制御される。すなわち、記録装置本体側(制御部9)においては、複数の温度センサ(p,q,r)からの出力を別々に取得できる。一般に、記録素子基板は、支持プレートよりも熱伝導特性が良いシリコン基板等により形成されているので、同一基板内で異常判定処理が連続しないようにすることも処理時間の短縮につながる。
【0097】
また、記録素子基板H1100は、当該基板の外周をアルミ配線で這い回し、温度変化に対し抵抗値が変化する別構成の温度センサを搭載している。このように複数種の温度センサを搭載する構成において、異常判定処理を行なう場合、温度センサ、ヒータ及び駆動回路などの異常箇所を特定することもできる。
【0098】
以上説明したように実施形態3によれば、インクの循環に起因した熱伝導特性を考慮して記録素子基板の加熱制御を行なうため、実施形態2のような熱伝導特性を持つ記録ヘッドであっても、異常判定処理を迅速に行なえる。
【0099】
以上が本発明の代表的な実施形態の例であるが、本発明は、上記及び図面に示す実施形態に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【0100】
なお、上述した実施形態1〜3においては、異常判定処理の実施タイミングについては特に説明していないが、例えば、記録装置1の電源オン時等に実施すれば良い。また、記録処理後(又は電源オフ)の経過時間に応じて実施するか否かを決めても良い。なお、記録処理後(又は電源オフ)の経過時間に応じて実施するか否かを決めるのは、記録処理の実行後は、記録デューティーにも依存するが、記録ヘッドに熱分布が生じている可能性が高く、熱分布が大きければ、異常判定時に誤判定の要因となるためである。
【0101】
また、上述した実施形態1〜3においては、複数の記録素子基板が千鳥状に複数配されるフルラインタイプの記録ヘッドを例に挙げて説明したが、これに限られない。すなわち、1又は複数の温度センサを有する複数の記録素子基板が配置される記録ヘッドであれば何でも良い。
【0102】
また、上述した実施形態1〜3においては、ヒータ加熱前後、すなわち電圧パルスを印加する前後の温度差が予め定められた第1の閾値を越えているか否かに応じて異常の判定を行なう場合について説明したが(図13のS105参照)、これに限られない。例えば、予め決められた所定の温度(第1の温度)を越えているか否かに基づいて異常の判定を行なうようにしても良い。
【0103】
また更に、実施形態2で説明した第2の閾値についても同様に、温度差ではなく、所定の温度(第2の温度)を越えているか否かに基づいてほぼ熱伝導の影響がないと判定するようにしても良い(図15のS213)。すなわち、第2の温度以下であれば、次の記録素子基板に対する処理を実施するようにしても良い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱エネルギーを利用してインクを吐出する記録素子を備えた複数の記録素子基板と、
前記記録素子基板のそれぞれに設けられ、前記記録素子基板の温度を測定する複数の温度センサと、
複数の前記温度センサのいずれか1つを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された前記温度センサが設けられた前記記録素子基板の記録素子のみを駆動するように制御する制御手段と、
前記選択手段により選択された前記温度センサで測定された測定温度に基づき、前記記録素子基板の異常の有無を判定する判定手段と
を具備することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記複数の記録素子基板のうちの第1の記録素子基板に対して異常の有無の判定が行なわれた後に、前記複数の記録素子基板のうちの第2の記録素子基板に対して異常の有無の判定を行なうときに、前記第2の記録素子基板の温度を測定する温度センサにより測定された測定温度が、所定の温度以下となってから、前記第2の記録素子基板の記録素子を駆動するように制御する
ことを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項3】
前記判定手段は、
前記記録素子基板の記録素子を駆動する前と駆動を開始した後との温度差が所定の温度差を越えている場合に正常と判定し、前記所定の温度差以下の場合に異常と判定する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の記録装置。
【請求項4】
前記複数の記録素子基板は、前記記録素子の配列方向に沿って配置されている
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項5】
前記選択手段は、
前記複数の記録素子基板のいずれかに対して異常の有無を判定した後、当該判定した記録素子基板に隣接しない記録素子基板の温度センサを次に選択する
ことを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
【請求項6】
前記複数の記録素子基板が配置される方向に沿って設けられ、各記録素子基板に共通にインクを供給するインクの流路を有し、
前記選択手段は、
前記流路の下流側に位置する前記記録素子基板の温度センサから順番に選択する
ことを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
【請求項7】
前記制御手段は、インクが吐出されない程度に前記記録素子を駆動するように制御する
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項8】
熱エネルギーを利用してインクを吐出する記録素子を備えた複数の記録素子基板と、前記記録素子基板のそれぞれに設けられ前記記録素子基板の温度を測定する複数の温度センサとを備えた記録装置の判定方法であって、
選択手段が、複数の前記温度センサのいずれか1つを選択する選択工程と、
制御手段が、前記選択工程で選択された前記温度センサが設けられた前記記録素子基板の記録素子のみを駆動するように制御する制御工程と、
判定手段が、前記選択工程で選択された前記温度センサで測定された測定温度に基づき、前記記録素子基板の異常の有無を判定する判定工程と
を有することを特徴とする判定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−176603(P2012−176603A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−272752(P2011−272752)
【出願日】平成23年12月13日(2011.12.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】